(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6501797
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】低歪信号生成回路ブロックを備えた手持ち式試験計測器
(51)【国際特許分類】
G01N 27/416 20060101AFI20190408BHJP
【FI】
G01N27/416 338
【請求項の数】27
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-568417(P2016-568417)
(86)(22)【出願日】2015年6月9日
(65)【公表番号】特表2017-517730(P2017-517730A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(86)【国際出願番号】EP2015062839
(87)【国際公開番号】WO2015189209
(87)【国際公開日】20151217
【審査請求日】2018年5月17日
(31)【優先権主張番号】14/300,454
(32)【優先日】2014年6月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502328710
【氏名又は名称】ライフスキャン・スコットランド・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】エルダー デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】マッサーリ ロッサーノ
【審査官】
大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/045950(WO,A1)
【文献】
特開昭64−007704(JP,A)
【文献】
特開2008−187272(JP,A)
【文献】
特開2004−163411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26 − 27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液試料中の検体の判定において分析試験ストリップと共に使用する手持ち式試験計測器であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置された時計モジュールと、
前記ハウジング内に配置されたマイクロコントローラと、
前記ハウジング内に配置された低歪信号生成回路ブロックであって、
信号総和回路サブブロックと、
抵抗−キャパシタンス(RC)フィルタと、
単一演算増幅器と、を含む、低歪信号生成回路ブロックと、
分析試験ストリップを操作可能に受け入れるように構成されるストリップポートコネクタと、を備え、
前記時計モジュール及び前記マイクロコントローラが、複数の位相シフトした矩形波信号を生成し、かつ前記複数の位相シフトした矩形波信号を前記信号総和回路に出力するように構成され、
前記信号総和回路が、前記複数の位相シフトした矩形波信号を総和し、得られた総和波信号を生成し、かつ前記得られた総和波信号を前記RCフィルタに出力するように構成され、
前記RCフィルタが前記得られた総和波信号から高調波をフィルタ処理するように構成され、それによって高調波歪低減信号が生成され、
並びに前記単一演算増幅器が、前記ストリップポートコネクタで受け取られた分析試験ストリップに出力される増幅された高調波歪低減信号を発生させるために前記高調波歪低減信号を増幅するように構成される、手持ち式試験計測器。
【請求項2】
信号位相と大きさ測定回路とを更に含む、請求項1に記載の手持ち式試験計測器。
【請求項3】
前記複数の位相シフトした矩形波信号が、第1の位相シフトした矩形波信号と第2の位相シフトした矩形波信号とを含む、請求項1に記載の手持ち式試験計測器。
【請求項4】
前記第1の位相シフトした矩形波信号と前記第2の位相シフトした矩形波信号とが、45度〜75度の範囲の位相差を有する、請求項3に記載の手持ち式試験計測器。
【請求項5】
前記第1の位相シフトした矩形波信号と前記第2の位相シフトした矩形波信号とが、60度の位相差を有する、請求項4に記載の手持ち式試験計測器。
【請求項6】
前記マイクロコントローラが
タイマーブロックを含み、
前記タイマーブロックが前記複数の位相シフトした矩形波を生成するために利用される、請求項1に記載の手持ち式試験計測器。
【請求項7】
前記得られた総和波信号が、正弦波信号に近似し、かつ第3次高調波を本質的に有さない、請求項1に記載の手持ち式試験計測器。
【請求項8】
前記増幅された高調波歪低減信号が1.1%未満の全高調波歪を有する、請求項1に記載の手持ち式試験計測器。
【請求項9】
前記分析試験ストリップが、体液試料のグルコース及びヘマトクリットを判定するように構成された電気化学に基づいた分析試験ストリップである、請求項1に記載の手持ち式試験計測器。
【請求項10】
前記時計モジュールと前記マイクロコントローラと前記低歪信号生成回路ブロックとが、増幅された低歪信号を前記手持ち式試験計測器に挿入された分析試験ストリップの試料セル中の体液試料に押し流すことによって前記体液試料の位相シフトを測定するように構成される、請求項1に記載の手持ち式試験計測器。
【請求項11】
前記増幅された高調波歪低減信号が、増幅された高調波歪低減正弦波信号である、請求項1に記載の手持ち式試験計測器。
【請求項12】
手持ち式試験計測器及び分析試験ストリップを利用するための方法であって、
手持ち式試験計測器のストリップポートコネクタに分析試験ストリップを挿入することと、
前記手持ち式試験計測器の時計モジュールとマイクロコントローラとを使用して、複数の位相シフトした矩形波信号を生成し、前記複数の位相シフトした矩形波信号を前記手持ち式試験計測器の低歪信号生成回路ブロックに出力することと、
低歪信号生成の信号総和回路サブブロックと抵抗−キャパシタンス(RC)フィルタと単一演算増幅器とを利用して、前記複数の位相シフトした矩形波信号を総和し得られた総和波信号を生成し、前記得られた総和波信号から高調波をフィルタ処理し、それによって高調波歪低減信号を生成することと、前記ストリップポートコネクタで受け取られた前記分析試験ストリップに出力される増幅された高調波歪低減信号を発生させるために前記高調波歪低減信号を増幅することと、
前記増幅された高調波歪低減信号を使用して前記分析試験ストリップに加えられた体液試料中の検体及び体液試料の特徴のうちの少なくとも1つを判定することと、を含む方法。
【請求項13】
前記利用することが、前記分析試験ストリップに加えられた全血試料のヘマトクリットを判定するために前記増幅された高調波歪低減信号を利用することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の位相シフトした矩形波が、第1の位相シフトした矩形波と第2の位相シフトした矩形波とである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記増幅された高調波歪低減信号が正弦波である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1の位相シフトした矩形波信号と第2の位相シフトした矩形波信号とが、45度〜60度の範囲の位相差を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
第1の位相シフトした矩形波信号と第2の位相シフトした矩形波信号とが、60度の位相差を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第1の位相シフトした矩形波信号と第2の位相シフトした矩形波信号とが、デジタル信号である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記増幅された高調波歪低減信号が正弦波信号である、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記増幅された高調波歪低減信号が、1.1%未満の全高調波歪を有する正弦波信号である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記増幅された高調波歪低減信号が、本質的に第3次高調波を有さない正弦波信号である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
体液試料中の検体の判定において分析試験ストリップと共に使用する手持ち式試験計測器であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置された時計モジュールと、
前記ハウジング内に配置されたマイクロコントローラと、
前記ハウジング内に配置された低歪信号生成回路ブロックであって、
信号総和回路サブブロックと、
単一演算増幅器と、を含む、低歪信号生成回路ブロックと、
分析試験ストリップを操作可能に受け入れるように構成されるストリップポートコネクタと、を備え、
前記時計モジュールと前記マイクロコントローラとが、複数の位相シフトした矩形波信号を生成し、かつ前記複数の位相シフトした矩形波信号を前記信号総和回路に出力するように構成され、
前記信号総和回路が、前記複数の位相シフトした矩形波信号を総和し、得られた総和波信号を生成し、前記得られた総和波信号を前記単一演算増幅器に出力するように構成され、
並びに前記単一演算増幅器が、前記得られた総和波信号を増幅し、前記ストリップポートコネクタで受け取られた分析試験ストリップに出力される増幅された低歪信号を発生するように構成される、手持ち式試験計測器。
【請求項23】
前記増幅された低歪信号が、増幅された低歪みの三角形信号である、請求項22に記載の手持ち式試験計測器。
【請求項24】
前記増幅された低歪信号が、増幅された低歪みの台形信号である、請求項22に記載の手持ち式試験計測器。
【請求項25】
手持ち式試験計測器及び分析試験ストリップを利用するための方法であって、
手持ち式試験計測器のストリップポートコネクタに分析試験ストリップを挿入することと、
前記手持ち式試験計測器の時計モジュールとマイクロコントローラとを使用して、複数の位相シフトした矩形波信号を生成し、前記複数の位相シフトした矩形波信号を前記手持ち式試験計測器の低歪信号生成回路ブロックに出力することと、
前記低歪信号生成の信号総和回路サブブロックと単一演算増幅器とを利用して前記複数の位相シフトした矩形波信号を総和し、得られた総和波信号を生成し、前記ストリップポートコネクタで受け取られた前記分析試験ストリップに出力される増幅された低歪信号を発生させるために前記得られた総和波信号を増幅することと、
前記増幅された低歪信号を使用して前記分析試験ストリップに加えられた体液試料中の検体及び体液試料の特徴のうちの少なくとも1つを判定することと、を含む方法。
【請求項26】
前記増幅された低歪信号が、増幅された低歪みの三角形信号である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記増幅された低歪信号が、増幅された低歪みの台形信号である、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは医療デバイスに関し、具体的には試験計測器及び関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体液試料中の検体の判定(例えば、検出及び/又は濃度測定)、又は、体液試料の特性は、医療分野において特に関心が高い。例えば、体液(例えば尿、血液、血漿、又は間質液)の試料中のグルコース、ケトン体、コレステロール、リポタンパク質、トリグリセリド、アセトアミノフェン、ヘマトクリット、及び/又はHbA1c濃度を測定することが望ましいことがある。そのような判定は、手持ち式試験計測器を分析用試験ストリップ(例えば、電気化学式分析用試験ストリップ)と組み合わせて使用して達成することができる。
【0003】
本発明の新規特性を、添付の特許請求の範囲で具体的に説明する。本発明の特徴及び利点は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の「発明を実施するための形態」、及び同様の数表示が同様の要素を示す添付の図面を参照することによって、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本発明の実施形態による手持ち式試験計測器の簡略化図である。
【
図2】
図1の手持ち式試験計測器の様々なブロックの簡略化ブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態で使用することができる低歪信号生成回路ブロックの簡略化概略図である。
【
図4】
図3の低歪信号生成回路ブロックのより簡略化された(つまり、1つの能動部品に縮約された)概略図である。
【
図5】積み重ねたy軸フォーマットを使用する2つの位相シフトした矩形波信号、及び得られた総和波信号の簡略化積み重ね図である。
【
図6】(i)本発明の様々な実施形態で使用することができる低歪信号生成回路ブロックのシミュレーション、及び(ii)代替信号生成回路ブロックを含む、様々なシミュレーションに使用される電気回路ブロックの簡略化電気接続図である。
【
図7】
図6の電気回路ブロックを使用して生成された位相分離に対する第1次高調波のシミュレーション振幅結果の簡略化グラフである。
【
図8】
図6の電気回路ブロックを使用して生成された位相分離に対する、第2次、第3次、第4次、及び第5次高調波のシミュレーション振幅結果の簡略化グラフである。
【
図9】
図6の電気回路ブロックを使用して生成された位相分離に対する全高調波歪(THD)の簡略化グラフである。
【
図10】本発明の実施形態で使用することができる第2次フィルタ処理及び±60度矩形波位相分離を使用する低歪信号発生ブロック、並びに第4次フィルタを使用する代替信号発生ブロックの高調波のシミュレーション振幅結果を比べる棒グラフ(y軸が相対強さを表わす)である。
【
図11】本発明の実施形態による、手持ち式試験計測器を採用するための方法における段階を描写する、フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の詳細な説明は、図面を参照しつつ読まれるべきもので、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも一定の縮尺ではなく、説明目的のみのために例示的な実施形態を図示するものであり、本発明の範囲を制限することは意図されない。詳細な説明は、本発明の原理を限定ではなく一例として例証するものである。この説明により、当業者による本発明の作成及び使用を明確に可能にし、本発明を実施する最良の形態であると現時点において考えられるものを含む、本発明のいくつかの実施形態、適用例、変形例、代替例、及び使用を説明する。
【0006】
本明細書で使用する場合、任意の数値又は数値の範囲についての「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書で述べる意図された目的に沿って機能することを可能とするような好適な寸法の許容範囲を示すものである。
【0007】
一般に、体液試料中の検体、及び/又は特性の判定で分析試験ストリップと共に使用する、本発明の実施形態による手持ち式試験計測器は、ハウジング、ハウジング内に配置された時計モジュール、ハウジング内に配置されたマイクロコントローラ、ハウジング内に配置された低歪信号生成回路ブロック、及び分析試験ストリップを操作可能に受け入れるように構成されるストリップポートコネクタを含む。低歪信号生成回路ブロックは、信号総和回路サブブロック、抵抗−キャパシタンス(RC)フィルタ、及び単一演算増幅器を含む。
【0008】
時計モジュール及びマイクロコントローラは、複数の位相シフトした矩形波信号を生成し、複数の位相シフトした矩形波信号を信号総和回路に出力するように構成される。信号総和回路は、位相シフトした矩形波信号を総和し、得られる総和波信号を生成し、得られた総和波信号をRCフィルタに出力するように構成される。更に、RCフィルタは、得られた総和波信号から高調波をフィルタ処理するように構成され、それによって高調波歪低減信号が生成される。単一演算増幅器は、ストリップポートコネクタで受け取られた分析試験ストリップに出力される増幅された高調波歪低減信号を発生させるために、高調波歪低減信号を増幅するように構成される。
【0009】
本発明の実施形態による手持ち式試験計測器は、安価な低歪信号生成回路ブロックを使用して判定精度の向上を提供する点で有益である。更に、低歪信号生成回路ブロックは単一演算増幅器のみを含むので、手持ち式試験計測器ハウジング中の比較的少ない空間を必要とする。低歪信号生成回路ブロックは、例えば、単一の能動部品、すなわち単一演算増幅器のみを含み、回路の残りは電池(又は他の好適な電力線源)、抵抗器、及びコンデンサなどの受動部品から構成されるので、低コストである。単一演算増幅器のみを含んでいるにもかかわらず、低歪信号生成回路ブロックは、歪みが有利にも低い(例えば、全高調波歪(THC)が、例えば、第2次及び第4次高調波に関してそれぞれ1,1%未満及び0.8%未満である)高調波歪低減信号を生成し、したがって、高精度判定の使用に特に好適である。
【0010】
いったん本開示を知ると当業者は、本発明による手持ち式試験計測器(hand-hand test meter)として容易に修正することができる手持ち式試験計測器の例は、LifeScan Inc.(Milpitas,California)から市販のOneTouch(登録商標)Ultra(登録商標)2グルコース計測器であることを認識するであろう。同様に修正することができる手持ち式試験計測器の追加例は、米国特許出願公開第2007/0084734号(2007年4月19日公開)及び同第2007/0087397号(2007年4月19日公開)、並びに国際公開特許WO第2010/049669号(2010年5月6日公開)に見られ、これらのそれぞれは、参照によって全体が本明細書に組み込まれる。更に、ヘマトクリットの判定用の他の回路構成が米国特許出願第13/008405号で説明され、この出願は参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0011】
図1は、本発明の実施形態による体液試料中の検体の判定用の手持ち式試験計測器100の簡略化図である。
図2は、手持ち式試験計測器100の様々なブロックの簡略化ブロック図である。
図3は、手持ち式試験計測器100を含む本発明の実施形態で使用することができる低歪信号生成回路ブロックの簡略化概略図である。
図4は、
図3の低歪信号生成回路ブロックのより簡略化された(つまり、1つの能動部品に縮約された)概略図である。
図5は、2つの位相シフトした矩形波信号、及び得られた総和波信号の簡略化積み重ね図である。
【0012】
図6は、(i)本発明の様々な実施形態で使用することができる低歪信号生成回路ブロックのシミュレーション、及び(ii)代替信号生成回路ブロックを含む、様々なシミュレーションに使用される、電気回路ブロック200の簡略化電気接続図である。
図7は、電気回路ブロック200を使用して生成された位相分離に対する第1次高調波のシミュレーション振幅結果の簡略化グラフである。
図8は、電気回路ブロック200を使用して生成された位相分離に対する、第2次、第3次、第4次、及び第5次高調波のシミュレーション振幅結果の簡略化グラフである。
図9は、電気回路ブロック200を使用して生成された位相分離に対する全高調波歪(THD)の簡略化グラフである。
図10は、本発明の実施形態で使用することができる第2次フィルタ処理及び±60度矩形波位相分離を使用する低歪信号発生ブロック、並びに第4次フィルタを使用する代替信号発生ブロックの高調波のシミュレーション振幅結果を比べる棒グラフである。
【0013】
図3、4、及び6中、「A」は、第1の位相シフトした矩形波信号を表し、「B」は、第2の位相シフトした矩形波信号を表し、「C」は、ストリップポートコネクタで受け取られた分析試験ストリップに出力される増幅された高調波歪低減信号(例えば、増幅された高調波歪低減正弦波信号)を表す。信号「A」は、例えば、1Vピークトゥピークで+30度だけ位相シフトされた250kHzデジタル矩形波であり得る。信号「B」は、例えば、1Vピークトゥピークで−30度だけ位相シフトされた250kHzデジタル矩形波であり得る。信号「C」は、例えば、10mVピークトゥピークで250kHzデジタル正弦波であり得る。
【0014】
図1〜10を参照すると、手持ち式試験計測器100は、ディスプレイ102と、複数のユーザーインターフェイスボタン104と、ストリップポートコネクタ106と、USBインターフェイス108と、ハウジング110(
図1を参照されたい)と、を含む。特に
図2を参照すると、手持ち式試験計測器100は、時計モジュール112と、マイクロコントローラ114と、低歪信号生成回路ブロック116と、位相シフトベースのヘマトクリット測定ブロック118と、分析試験ストリップ(
図1及び2中、TSと表示される)に試験電圧を印加し、更に電気化学的反応(例えば、複数の試験電流値)を測定しその電気化学的反応に基づいて検体又は特性を判定するための他の電子部品(図示されていない)と、を更に含む。目下の説明を簡素化するため、図は、全てのかかる電子回路を示すというわけではない。
【0015】
低歪信号生成回路ブロック116は、信号総和回路サブブロック119と、抵抗−キャパシタンス(RC)フィルタ120と、単一演算増幅器122(特に
図3を参照)と、を含む。信号総和回路サブブロック119は、
図3の抵抗器R10及びR7を含む。RCフィルタ120は、第1のステージ(つまり、
図3のコンデンサC6及び抵抗器R9)、及び第2のステージ(つまり、
図3のコンデンサC7及び抵抗器R8)を含む。
図3中、単一演算増幅器122はU3と表示される。
【0016】
時計モジュール112及びマイクロコントローラ114は、複数の位相シフトした矩形波信号(例えば、
図4中信号A及びBと示される)を生成し、複数の位相シフトした矩形波信号を信号総和回路サブブロック119(
図3を参照)に出力するように構成される。信号総和回路サブブロック119は、複数の位相シフトした矩形波信号を合計し得られる総和波信号を生成し、得られた総和波信号をRCフィルタ120に出力するように構成される。RCフィルタ120は、得られた総和波信号から高調波をフィルタ処理するように構成され、それによって高調波歪低減信号が生成される。単一演算増幅器122は、ストリップポートコネクタ106で受け取られた分析試験ストリップTSに出力される増幅された高調波歪低減信号(例えば、信号C)を発生させるために、高調波歪低減信号を増幅するように構成される。
【0017】
時計モジュール112、マイクロコントローラ114及び信号総和回路サブブロック119の動作を図示するために、
図5は、第1及び第2の位相シフトした矩形波、並びに得られた総和波信号を表わす。
図5中、最上の信号は−30度位相シフトした矩形波信号であり、真ん中の信号は+30度位相シフトした矩形波信号である。2つの矩形波信号は、したがって、合計60度だけ位相シフトした。最下の信号は得られた総和波信号であり、第1及び第2の位相シフトした矩形波信号のどちらよりも正弦波により近似している。60度だけ位相シフトした2つの矩形波信号を使用して、得られる総和波信号を生成することは、本質的に任意の第3次高調波を完全に除去することが判明していた。しかしながら、45度〜75度の範囲の位相シフトなど他の位相シフトも、実質的に第3次高調波を低減させることができる。
【0018】
第1次〜第5次高調波の位相分離の効果が、
図6に描写されるシミュレーション接続図を使用して検討された。結果が
図7、8、9及び10に示される。ここで、
図6の場合、シミュレーション接続図の上方部分は2つの演算増幅器を使用する第4次フィルタであり、下方部分は
図3の接続図と本質的に同等であることに留意すべきである。
【0019】
図7、8、9及び10は、第1次高調波が0度の位相分離で最大、180度の位相分離で最小であることを示す。
図8は、入力矩形波が奇数次高調波のみで構成されるため、第2次及び第4次高調波は最小であることを示す。第3次高調波は全高調波歪(THD)に最大に寄与しており、60度、180度、及び300度の位相分離で最小である(
図8を参照)。最低THDは、60度及び300度である(
図9を参照)。
図10は、低歪信号生成回路ブロック116の第2次、第3次、及び第4次高調波THDが、60度だけシフトした2つの矩形波の場合では、2つの演算増幅器を備えた第4次RCフィルタに同様の性能を与えることを表わす。
【0020】
本発明の実施形態による手持ち式試験計測器では、「折点」周波数を変えることは、第1次高調波の減衰を変え、したがって得られる正弦波の振幅を制御する点で、RCフィルタの折点周波数と得られる正弦波との間に関係があることが判明していた。例えば、第2次RCフィルタでは、生成された矩形波の振幅を2Vピークトゥピークから20mVピークトゥピークに低減することは40dBの減衰を必要とする。これは、折点周波数を所望の周波数より10進下のレベル(つまり、1オーダー)で設定することを必要とする。したがって、例示的であるが非限定的な所望の周波数250KHzでは、25kHzの折点周波数を有するRCフィルタが必要である。
【0021】
ディスプレイ102は、例えば、スクリーン画像を示すように構成される液晶ディスプレイ又は双安定ディスプレイであり得る。スクリーン画像の例には、グルコース濃度、日付及び時間、エラーメッセージ、並びにエンドユーザがどのように試験を実行するかを指示するためのユーザインターフェイスが挙げられ得る。
【0022】
ストリップポートコネクタ106は、全血試料中のヘマトクリット及び/又はグルコースの判定用に構成された電気化学ベースの分析試験ストリップなどの分析試験ストリップTSと動作可能に接続されるように構成される。したがって、分析試験ストリップは、ストリップポートコネクタ106内に操作上挿入され、例えば、好適な電気的接触を経由して、低歪信号生成回路ブロック116及び位相シフトベースのヘマトクリット測定ブロック118と動作可能に接続されるように構成される。
【0023】
USBインターフェイス108は、当業者に既知の任意の好適なインターフェイスであってよい。USBインターフェイス108は、本質的に、手持ち式試験メーター100に給電し、データラインを提供するように構成される、受動構成要素である。
【0024】
いったん、分析試験ストリップが、手持ち式試験計測器100とインターフェイス接続されると、又はその前に、体液試料(例えば、全血試料)が分析試験ストリップの試料チャンバの中に導入される。分析試験ストリップは、検体を別の所定の化学形態に選択的かつ定量的に転換させる、酵素試薬を含むことができる。例えば、分析試験ストリップは、グルコースを酸化型に物理的に転換させることができるように、フェリシアン化物及びグルコースオキシダーゼを伴う酵素試薬を含むことができる。
【0025】
マイクロコントローラ114は、分析試験ストリップの電気化学的反応に基づいた検体を判定するため、及び導入された試料のヘマトクリットも判定するための、好適なアルゴリズムを記憶するメモリサブブロックを更に含む。マイクロコントローラ114は、ハウジング110内に配置され、当業者に既知の任意の好適なマイクロコントローラ及び/又はマイクロプロセッサを含むことができる。好適なマイクロコントローラとしては、Texas Instruments(Dallas,Texas,USA)から部品番号MSP430F5636として市販のマイクロコントローラ、及びSTMicroelectronics(Geneva,Switzerland)から部品番号STM8L152として市販のマイクロコントローラが挙げられるが、これらに限定されない。マイクロコントローラ114は、所望の場合、複数の位相シフトした矩形波の生成に使用されるタイマーブロックを含むことができる。
【0026】
以下で更に説明されるように、位相シフトベースのヘマトクリット測定ブロック118及びマイクロコントローラ114は、例えば、体液試料を通って励振される1つ又は2つ以上の高周波電気信号の位相シフトを測定することによって、手持ち式試験計測器に挿入された分析試験ストリップの試料セル中の体液試料の位相シフトを測定するように構成される。更に、マイクロコントローラ114は、測定された位相シフトに基づいて体液のヘマトクリットを計算するように構成される。
【0027】
低歪信号生成回路ブロック116によって発生した増幅された高調波歪低減信号は、ストリップポートコネクタ106に通信され、そこで分析試験ストリップTSの試料セル全体で励振され、得られた信号が位相シフトベースのヘマトクリット測定ブロック118によって検出される。体液試料中のヘマトクリットを判定するために正弦波信号を使用することに関する更なる詳細は、米国特許出願第13/008405号に見ることができ、この出願は参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0028】
図1〜11に関して説明される実施形態では、増幅された高調波歪低減信号は正弦波である。しかしながら、本発明の他の実施形態による手持ち式試験計測器は、例えば、増幅された低歪みの台形波信号、及び増幅された低歪みの三角波信号が挙げられる、複数の位相シフトした矩形波信号から他の増幅された低歪信号を生成するために使用することができる。そのような台形波及び三角波の信号は、RCフィルタを使用せずに生成することができ、位相シフトした矩形波信号の総和数が増加するにつれて増幅信号の歪みが低減する。
【0029】
したがって、一般に、本発明の実施形態による体液試料中の検体、及び/又は特性の判定において分析試験ストリップと共に使用する手持ち式試験計測器の他の実施形態は、ハウジング、ハウジング内に配置された時計モジュール、ハウジング内に配置されたマイクロコントローラ、ハウジング内に配置された低歪信号生成回路ブロック、及び分析試験ストリップを操作可能に受け入れるように構成されるストリップポートコネクタを含む。低歪信号生成回路ブロックは、信号総和回路サブブロック及び単一演算増幅器を含む。
【0030】
時計モジュール及びマイクロコントローラは、複数の位相シフトした矩形波信号を生成し、複数の位相シフトした矩形波信号を信号総和回路に出力するように構成される。信号総和回路は、位相シフトした矩形波信号を総和し、得られる総和波信号を生成し、得られた総和波信号を単一演算増幅器に出力するように構成される。単一演算増幅器は、ストリップポートコネクタで受け取られた分析試験ストリップに出力される低歪増幅信号(増幅された低歪みの三角波信号又は増幅された低歪みの台形波信号など)を発生させるために、得られた総和波信号を増幅するように構成される。
【0031】
図11は、本発明の実施形態による手持ち式試験計測器(例えば、
図1の手持ち式試験計測器100)を使用する方法300のステージを示すフローチャートである。
【0032】
方法300は、手持ち式試験計測器のストリップポートコネクタに分析試験ストリップを挿入すること(
図11のステップ310を参照)を含む。分析試験ストリップは、例えば、全血試料中のグルコース及び/又はヘマトクリットを判定するように構成された電気化学に基づいた分析試験ストリップが挙げられる、任意の好適な分析試験ストリップであり得る。
【0033】
方法300のステップ320で、手持ち式試験計測器の時計モジュール及びマイクロコントローラは、複数の位相シフトした矩形波信号を生成し、複数の位相シフトした矩形波信号を手持ち式試験計測器の低歪信号生成回路ブロックに出力するために使用される。複数の位相シフトした矩形波は、例えば、45度〜75度の範囲で位相シフトされ得る。
【0034】
図11のステップ330に示されるように、低歪信号生成回路ブロックの信号総和回路サブブロック、抵抗−キャパシタンス(RC)フィルタ、及び単一演算増幅器は、(i)複数の位相シフトした矩形波信号を総和し、得られる総和波信号を生成する、(ii)得られた総和波信号から高調波をフィルタ処理し、それによって高調波歪低減信号が生成される、及び(iii)高調波歪低減信号を増幅し、ストリップポートコネクタで受け取られた分析試験ストリップに出力される増幅された高調波歪低減信号を発生する、ために使用される。あるいは、増幅された低歪みの三角波又は台形波信号が生成されるとき、RCフィルタが使用される必要はなく、得られた総和波信号は増幅されて、増幅された低歪信号を生成することができる。
【0035】
方法300のステップ340で、分析試験ストリップに加えられた体液試料中の検体(グルコースなど)及び特性(例えばヘマトクリット)の少なくとも1つは、増幅された高調波歪低減信号、又は、択一的に、増幅された低歪信号を使用して判定される。
【0036】
いったん本開示を知らされると、当業者は、方法300を含む、本発明の実施形態による方法が、本発明の実施形態による、かつ本明細書において説明される、手持ち式試験計測器の技術、利益、及び特徴のいずれかを組み込むように容易に修正することができることを認識するであろう。例えば、必要に応じて、導入された体液試料中の検体は、分析試験ストリップ、手持ち式試験計測器、及び計算されたヘマトクリットを使用して判定されることができる。
【0037】
本発明の好ましい実施形態を本明細書で図示し説明したが、このような実施形態は単に一例として与えられているものであることは当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく多くの変形、変更、及び代用が想到されるであろう。本発明の実施に際して、本明細書に記載される実施形態の様々な代替例が用いられ得る点を理解されたい。以下の「特許請求の範囲」は、本発明の範囲を定義するとともに、特許請求の範囲に含まれる装置及び方法、並びにそれらの均等物をこれによって網羅することを目的としたものである。