特許第6501801号(P6501801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6501801生物学的脳年齢の算出装置およびその算出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6501801
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】生物学的脳年齢の算出装置およびその算出方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20190408BHJP
   A61B 5/00 20060101ALN20190408BHJP
【FI】
   A61B5/055 380
   !A61B5/00 G
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-570992(P2016-570992)
(86)(22)【出願日】2015年6月3日
(65)【公表番号】特表2017-522927(P2017-522927A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】KR2015005564
(87)【国際公開番号】WO2015186963
(87)【国際公開日】20151210
【審査請求日】2016年12月26日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0067742
(32)【優先日】2014年6月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326683
【氏名又は名称】サムスン ライフ パブリック ウェルフェア ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG LIFE PUBLIC WELFARE FOUNDATION
(73)【特許権者】
【識別番号】507175175
【氏名又は名称】インダストリー−アカデミック コーポレーション ファウンデーション,ヨンセイ ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ナ ドゥク エル.
(72)【発明者】
【氏名】ソ サン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ソン ジュン キュン
(72)【発明者】
【氏名】キム チャンス
【審査官】 後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0296194(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0129129(US,A1)
【文献】 特開2003−132143(JP,A)
【文献】 特開2002−209867(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0155226(US,A1)
【文献】 山口修平,アンチエイジングにおける脳年齢評価の意味を探る,Angiotensin Research,2009年,第6巻、第2号,第43−47頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01R 33/20−33/64
医中誌Web
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象者のMRI脳画像を入力する画像情報入力部、
前記MRI脳画像で領域別の脳皮質厚さを測定する脳厚さ測定部、
測定された前記脳皮質厚さを年齢別の脳厚さ正常範囲にマッチングして、前記検査対象者の生物学的脳年齢を算出する脳年齢算出部、
正常対照群の年齢別の脳厚さ情報、脳疾患別の脳皮質が侵された領域の情報、前記検査対象者の基本情報、前記検査対象者のMRI脳画像情報、前記検査対象者の健康問診表情報のうち少なくともいずれか1つ以上の情報を格納する脳年齢情報部、
検査対象者の基本情報および健康問診表情報を入力する検査対象者情報入力部、および
前記脳年齢算出部により算出された検査対象者の脳年齢に応じた予測される特定脳疾患情報を提供する脳疾患予測部を含み、
前記脳疾患予測部は、
予測された前記特定脳疾患情報に応じて前記検査対象者の健康問診表上での脳厚さの悪化を招く個人別の生活習慣因子を導き出し、特定脳疾患を予防するための生活指針情報を提供すること、
を特徴とする生物学的脳年齢の算出装置。
【請求項2】
前記脳年齢算出部は、
年齢と脳皮質厚さに応じた脳萎縮程度を推定統計学的方法で適用した回帰式に検査対象者の脳皮質厚さを適用して検査対象者の脳年齢を算出することを特徴とする、請求項1に記載の生物学的脳年齢の算出装置。
【請求項3】
検査対象者の脳年齢算出結果を外部に表示する算出結果表示部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の生物学的脳年齢の算出装置。
【請求項4】
(a)生物学的脳年齢の算出装置の検査対象者情報入力部、検査対象者の基本情報および健康問診表情報を入力するステップ、
(b)生物学的脳年齢の前記算出装置の画像情報入力部、検査対象者のMRI脳画像を入力するステップ、
(c)生物学的脳年齢の前記算出装置の脳厚さ測定部、前記MRI脳画像で領域別の脳皮質厚さを測定するステップ、
(d)生物学的脳年齢の前記算出装置の脳年齢算出部、測定された前記脳皮質厚さを年齢別の脳厚さ正常範囲にマッチングして、前記検査対象者の生物学的脳年齢を算出するステップ、および
(e)生物学的脳年齢の前記算出装置の脳疾患予測部、前記(d)ステップで算出された検査対象者の脳年齢に応じた予測される特定脳疾患情報を提供するステップ、
を含み、
前記(e)ステップは、
(e−1)前記脳疾患予測部が、予測された前記特定脳疾患情報に応じて前記検査対象者の健康問診表上での脳厚さの悪化を招く個人別の生活習慣因子を導き出すステップ、および
(e−2)前記脳疾患予測部が、特定脳疾患を予防するための生活指針情報を提供するステップをさらに含み、
前記(a)ステップ前に、
(g)生物学的脳年齢の前記算出装置の脳年齢情報部、正常対照群の年齢別、性別、学歴別の脳厚さ情報と脳疾患別の脳皮質が侵された領域の情報を格納するステップをさらに含むことを特徴とする、生物学的脳年齢の算出装置の作動方法
【請求項5】
前記(d)ステップは、
前記脳年齢算出部が、年齢と脳皮質厚さに応じた脳萎縮程度を推定統計学的方法で適用した回帰式に検査対象者の脳皮質厚さを適用して検査対象者の脳年齢を算出するステップであることを特徴とする、請求項4に記載の生物学的脳年齢の算出装置の作動方法
【請求項6】
前記(e)ステップ後に、
(f)生物学的脳年齢の前記算出装置の算出結果表示部が、検査対象者の算出された脳年齢と予測される特定脳疾患情報を表示するステップ、および
)前記脳年齢情報部が、算出された脳年齢と予測される特定脳疾患情報を格納するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の生物学的脳年齢の算出装置の作動方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物学的脳年齢を算出する技術に関し、より詳しくは、検査対象者の脳MRI画像で領域別の脳皮質厚さを測定し、それを正常対照群情報と比較して生物学的脳年齢を算出する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に脳画像に対する具体的な定量的情報を提示するレベルでは技術として開示されたことがある。しかし、従来技術は主に研究用として使用グループの平均値をもって利用されており、今のところ各個人に健康診断の次元で個人脳の脳萎縮情報を定量的に提示する方法は実施されていないのが現状である。
【0003】
健康診断でMRIが撮影されても脳疾患が発見されなければ、あえて検査対象者に現在の脳健康状態に関する情報を提供しないため、使用者に定量的な情報が具体的に伝達されないという問題点がある。
【0004】
例えば、血液検査と尿検査などの結果数値は正常に対比した数値を提示して使用者が利用することができるが、脳指標に関しては標準化された指標が存在しない。
【0005】
また、患者の診断においても具体的な指標を使って診断するよりは、撮影されたイメージの定性的な判断に依存することにより、健康診断時、本人の現在の脳健康状態や今後の脳疾患に関する定量化された情報を全く提供していないのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記のような従来の問題点を解決するために提案されたものであり、本発明に係る生物学的脳年齢の算出装置の目的は、検査対象者のMRI脳画像で領域別の脳皮質厚さを測定し、測定された脳皮質厚さに応じて検査対象者の生物学的脳年齢を数学的指標として算出して提供する装置を提供することにある。
【0007】
他の目的は、脳年齢情報部をさらに含み、脳年齢を算出するための年齢別の脳厚さ情報、脳疾患特性情報、検査対象者の基本情報、MRI脳画像情報、健康問診表情報を格納管理することにある。
【0008】
また他の目的は、脳疾患予測部をさらに含み、検査対象者の脳年齢に応じた特定脳疾患情報を予測して提供することにある。
【0009】
また他の目的は、検査対象者別に予測された特定脳疾患情報に応じた危険な生活習慣因子を導き出し、予防のための生活指針情報を提供することにある。
【0010】
本発明に係る生物学的脳年齢の算出方法の目的は、検査対象者の基本情報、健康問診表情報、MRI脳画像の入力を受け、領域別の脳皮質厚さ情報を測定して検査対象者の脳年齢を算出して提供することにある。
【0011】
他の目的は、検査対象者の脳年齢の算出において、年齢と脳皮質厚さに応じた脳萎縮程度を推定統計学的方法で適用した回帰式に検査対象者の脳皮質厚さを適用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る生物学的脳年齢の算出装置は、検査対象者のMRI脳画像を入力する画像情報入力部、前記MRI脳画像に基づいて前記検査対象者の生物学的脳年齢の算出作業を制御する脳年齢算出制御部、前記MRI脳画像で領域別の脳皮質厚さを測定する脳厚さ測定部、および測定された前記脳皮質厚さを年齢別の脳厚さ正常範囲にマッチングして、前記検査対象者の生物学的脳年齢を算出する脳年齢算出部を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る生物学的脳年齢の算出装置は、脳年齢算出制御部と連結され、正常対照群の年齢別の脳厚さ情報、脳疾患別の脳厚さ侵犯領域情報、前記検査対象者の基本情報、前記検査対象者のMRI脳画像情報、前記検査対象者の健康問診表情報のうち少なくともいずれか1つ以上の情報を格納する脳年齢情報部をさらに含むことを特徴とする。
【0014】
なお、本発明に係る生物学的脳年齢の算出装置は、脳年齢算出制御部と連結され、検査対象者の基本情報および健康問診表情報を入力する検査対象者情報入力部をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る生物学的脳年齢の算出装置は、脳年齢算出制御部と連結され、前記脳年齢算出部により算出された検査対象者の脳年齢に応じた予測される特定脳疾患情報を提供する脳疾患予測部をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
なお、本発明に係る生物学的脳年齢の算出装置において、脳疾患予測部は、予測された前記特定脳疾患情報に応じて前記検査対象者の健康問診表上での脳厚さの悪化を招く個人別の生活習慣因子を導き出し、特定脳疾患を予防するための生活指針情報を提供することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る生物学的脳年齢の算出方法は、(a)検査対象者情報入力部を用いて、検査対象者の基本情報および健康問診表情報を入力するステップ、(b)画像情報入力部を用いて、検査対象者のMRI脳画像を入力するステップ、(c)脳厚さ測定部を用いて、前記MRI脳画像で領域別の脳皮質厚さを測定するステップ、および(d)脳年齢算出部を用いて、測定された前記脳皮質厚さを年齢別の脳厚さ正常範囲にマッチングして、前記検査対象者の生物学的脳年齢を算出するステップを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上で説明したように、本発明に係る生物学的脳年齢の算出装置は、検査対象者のMRI脳画像で領域別の脳皮質厚さを測定し、測定された脳皮質厚さに応じて検査対象者の生物学的脳年齢を数学的指標として算出することによって、健康診断時、検査対象者に正確な脳健康状態を提供することができ、さらには早期脳健康検診に活用して脳疾患の予防を可能にする効果がある。
【0019】
また、脳年齢を算出するための年齢別の脳厚さ情報、脳疾患特性情報、検査対象者の基本情報、MRI脳画像情報、健康問診表情報を体系的に管理できる効果がある。
【0020】
また、検査対象者の脳年齢に応じた特定脳疾患情報を予測することによって、現在の脳厚さに応じて今後発病しうる脳疾患に対して警戒心を持って予防するための努力ができるようにする効果がある。
【0021】
なお、検査対象者別に予測された特定脳疾患情報に応じた危険な生活習慣因子を導き出し、予防のための生活指針情報を提供することによって、検査対象者が脳疾患を予防するために積極的に生活習慣を改善できるようにする効果がある。
【0022】
本発明に係る生物学的脳年齢の算出方法は、検査対象者の基本情報、健康問診表情報、MRI脳画像の入力を受け、領域別の脳皮質厚さ情報を測定することによって検査対象者の生物学的脳年齢を算出して提供することができ、健康診断時、退行性脳疾患の予測および診断情報を提供できる効果がある。
【0023】
他の目的は、検査対象者の脳年齢の算出において、年齢と脳皮質厚さに応じた脳萎縮程度を推定統計学的方法で適用した回帰式に検査対象者の脳皮質厚さを適用することによって、正確な脳年齢の算出が可能であり、算出された脳年齢資料をもって正確な脳健康状態を相談できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る生物学的脳年齢の算出装置の全体構成を示す構成図である。
図2】本発明に係る生物学的脳年齢の算出において、男性、女性、統合性別に応じた年齢と脳皮質厚さの関連関係を示す図である。
図3】本発明に係る生物学的脳年齢の算出装置において、年齢と脳皮質厚さとの関係における個人別の脳年齢算出の実施形態を示す図である。
図4】本発明に係る生物学的脳年齢の算出装置において、算出結果表示部の一実施形態を示す図である。
図5】本発明に係る生物学的脳年齢の算出方法の全体流れを示すフローチャートである。
図6】本発明に係る生物学的脳年齢の算出方法において、ステップS60の詳細な流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る生物学的脳年齢の算出装置およびその算出方法を実施するための具体的な内容を説明すれば次の通りである。
【0026】
図1は本発明に係る生物学的脳年齢の算出装置の全体構成を示す図であり、生物学的脳年齢の算出装置は、画像情報入力部10、脳年齢算出制御部20、検査対象者情報入力部30、脳厚さ測定部40、脳年齢算出部50、脳疾患予測部60、脳年齢情報部70および算出結果表示部80を含む。
【0027】
前記画像情報入力部10は検査対象者のMRI脳画像を入力し、本発明に係るMRI脳画像は検査対象者の脳領域別に皮質状態を確認できる画像が入力されることが好ましく、前記画像情報入力部10により入力されたMRI脳画像情報は前記脳年齢算出制御部20に送信される。
【0028】
前記脳年齢算出制御部20は、前記MRI脳画像に基づいて前記検査対象者の生物学的脳年齢の算出作業を制御し、前記MRI脳画像情報が伝達され、前記脳厚さ測定部40に領域別の脳皮質厚さ算出作業を要請することになる。
【0029】
前記検査対象者情報入力部30は、前記脳年齢算出制御部20と連結され、検査対象者の基本情報および健康問診表情報を入力し、このような検査対象者情報入力部30を介して入力されたMRI脳画像の検査対象者に関する識別が可能であり、検査対象者が作成した健康問診表情報を用いて今後発病しうる脳疾患情報に活用することができる。
【0030】
本発明において、前記基本情報は検査対象者の名前、年齢、性別、BMI、医療保険証番号、学歴情報のうち少なくともいずれか1つ以上を含み、前記健康問診表情報は検査対象者の普段の生活習慣や過去の病名を含む現在の健康状態を確認できる情報をいう。
【0031】
前記脳厚さ測定部40は、前記脳年齢算出制御部20と連結され、前記MRI脳画像で領域別の脳皮質厚さを測定し、検査対象者の全体平均脳厚さと領域別の脳厚さを算出することができ、算出された全体平均脳厚さと領域別の脳厚さは前記脳年齢算出制御部20に伝達する。
【0032】
前記脳年齢算出部50は、前記脳年齢算出制御部20と連結され、測定された前記脳皮質厚さを年齢別の脳厚さ正常範囲にマッチングして、前記検査対象者の生物学的脳年齢を算出し、本発明において、前記脳年齢算出部50は、年齢と脳皮質厚さに応じた脳萎縮程度を推定統計学的方法で適用した回帰式に検査対象者の脳皮質厚さを適用して検査対象者の脳年齢を算出する。
【0033】
すなわち、年齢別の正常対照群の被験者を対象にMRIを撮影して、平均脳厚さおよび領域別の脳厚さを算出し、正常対照群の年齢別の脳厚さを算出することができ、本発明の実施形態においては、総被験者2500人の平均脳厚さ値で図2(c)のようなグラフを導き出すことができ、これは図2(a)および図2(b)のように、性別に応じて平均脳厚さ情報を導き出すことができる。
【0034】
前記脳疾患予測部60は、前記脳年齢算出制御部20と連結され、前記脳年齢算出部により算出された検査対象者の脳年齢に応じた予測される特定脳疾患情報を提供する。
【0035】
すなわち、本発明において、図3のように正常対照群の年齢および脳皮質厚さ情報にマッチングして脳年齢を算出し、同一の年齢に脳厚さ数値が低いAという人と脳厚さ数値が高いBという人を比較すると、Aという人は、健康問診表情報から、教育レベルが低く、BMIが高く、高血圧、糖尿があり、お酒や喫煙をよくする人であることが確認され、Bという人は、教育レベルが高く、BMIが適正なレベルであり、高血圧、糖尿がなく、お酒や喫煙をしない人であることが明らかになっており、現在の脳萎縮程度に応じて発病可能な退行性脳疾患情報を提供することができる。
【0036】
このように前記脳疾患予測部60は、予測された前記特定脳疾患情報に応じて前記検査対象者の健康問診表上での脳厚さの悪化を招く個人別の生活習慣因子を導き出し、特定脳疾患を予防するための生活指針情報を前記算出結果表示部80を介して提供することができる。
【0037】
前記算出結果表示部80は、前記脳年齢算出制御部20と連結され、検査対象者の脳年齢算出過程を外部に表示し、本発明の実施形態においては、図4のように、検査対象者の基本情報である名前、性別、年齢、検査日が表示され、脳年齢算出結果と脳疾患予測情報を表示するようにした。
【0038】
また、検査結果に対して生物学的脳年齢の数値情報をリポートし、生活習慣の考慮のために脳年齢と関連した因子および人々に個人別に可能性のある危険因子および保護因子を提示し、正常範囲から外れる数値を知らせることができる。
【0039】
すなわち、本発明の実施形態のように、低体重でお酒をよく飲む人に、「貴方の現在の脳年齢は60才であって、貴方の実際年齢の55才より5才多いです。貴方の脳年齢に老化をもたらす可能性が高い危険因子は低体重でお酒をよく飲む習慣です。」という文句で検査対象者が本人の脳年齢算出結果をより容易に理解できるようにした。
【0040】
前記脳年齢情報部70は、前記脳年齢算出制御部20と連結され、正常対照群の年齢別、性別、学歴別の脳厚さ情報、脳疾患別の脳厚さ侵犯領域情報、前記検査対象者の基本情報、前記検査対象者のMRI脳画像情報、前記検査対象者の健康問診表情報のうち少なくともいずれか1つ以上の情報を格納する。
【0041】
以上で説明したように、本発明に係る生物学的脳年齢の算出装置は、検査対象者のMRI脳画像で領域別の脳皮質厚さを測定し、測定された脳皮質厚さに応じて検査対象者の生物学的脳年齢を数学的指標として算出することによって、健康診断時、検査対象者に正確な脳健康状態を提供できる効果があり、さらには早期脳健康検診に活用して脳疾患の予防を可能にする効果がある。
【0042】
図5は本発明に係る生物学的脳年齢の算出方法の全体流れを示す図であり、検査対象者情報入力部30を用いて検査対象者の基本情報および健康問診表情報を入力するステップ(S10)を実行し、本発明の実施形態において、前記ステップS10で入力される基本情報は検査対象者の名前、年齢、性別、BMI、医療保険証番号、学歴情報のうち少なくともいずれか1つ以上を含み、前記健康問診表情報は検査対象者の普段の生活習慣や過去の病名を含む現在の健康状態を確認できる情報である。
【0043】
本発明に係る生物学的脳年齢の算出方法において、図面には示していないが、前記脳年齢情報部に正常対照群の年齢別、性別、学歴別の脳厚さ情報と脳疾患別の脳厚さ侵犯領域情報を格納するステップが先行される。
【0044】
次に、前記画像情報入力部10を用いて、検査対象者のMRI脳画像を入力するステップ(S20)を実行し、前記脳厚さ測定部40を用いて、前記MRI脳画像で領域別の脳皮質厚さを測定するステップ(S30)を実行し、前記脳年齢算出部50を用いて、測定された前記脳皮質厚さを年齢別の脳厚さ正常範囲にマッチングして、前記検査対象者の生物学的脳年齢を算出するステップ(S40)を実行する。
【0045】
本発明において、前記ステップS40は、年齢と脳皮質厚さに応じた脳萎縮程度を推定統計学的方法で適用した回帰式に検査対象者の脳皮質厚さを適用して検査対象者の脳年齢を算出する。
【0046】
次に、前記脳疾患予測部60を介して前記ステップS40で算出された脳年齢と前記ステップS10で入力された検査対象者の基本情報と健康問診表情報を通じて、今後発病しうる退行性脳疾患情報が存在するか否かを判断するステップ(S50)を実行し、前記ステップS50で退行性脳疾患情報が存在する場合、予測された脳疾患情報を提供するステップ(S60)を実行する。
【0047】
前記ステップS60は、図6に示すように、予測される特定脳疾患情報を導き出し(S61)、予測された前記特定脳疾患情報に応じて前記検査対象者の健康問診表上での脳厚さの悪化を招く個人別の生活習慣因子を導き出すステップ(S63)、および特定脳疾患を予防するための生活指針情報を提供するステップ(S65)を実行する。
【0048】
次に、算出結果表示部80に検査対象者の算出された脳年齢と予測される特定脳疾患情報を表示するステップ(S70)を実行し、前記脳年齢情報部70に算出された脳年齢と予測される特定脳疾患情報を格納するステップ(S80)を実行する。
【0049】
以上で説明したように、本発明に係る生物学的脳年齢の算出方法を適用すれば、検査対象者の基本情報、健康問診表情報、MRI脳画像の入力を受け、領域別の脳皮質厚さ情報を測定することによって検査対象者の生物学的脳年齢を算出して提供することができ、健康診断時、退行性脳疾患の予測および診断情報を提供できる効果がある。
【0050】
以上、本発明の実施形態をもって説明したが、本発明の技術的思想が前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範疇で様々な生物学的脳年齢の算出装置およびその算出方法に実現されることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6