特許第6501802号(P6501802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6501802ジフルオロメチル−ニコチン酸−インダニルカルボキサミド類
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6501802
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】ジフルオロメチル−ニコチン酸−インダニルカルボキサミド類
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/82 20060101AFI20190408BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20190408BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20190408BHJP
   C07C 211/60 20060101ALI20190408BHJP
   C07C 229/30 20060101ALI20190408BHJP
   A01C 1/08 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   C07D213/82CSP
   A01P3/00
   A01N43/40 101D
   C07C211/60
   C07C229/30
   A01C1/08
【請求項の数】13
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2016-574411(P2016-574411)
(86)(22)【出願日】2015年6月22日
(65)【公表番号】特表2017-522290(P2017-522290A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】EP2015063938
(87)【国際公開番号】WO2015197530
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2018年6月19日
(31)【優先権主張番号】14173934.2
(32)【優先日】2014年6月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507203353
【氏名又は名称】バイエル・クロップサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】デュボ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンター,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ブランジェス,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】フォード,マルク・ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァッヒェンドルフ−ノイマン,ウルリーケ
(72)【発明者】
【氏名】モンターニュ,シリル
(72)【発明者】
【氏名】フォルス,ジャン−ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ブリュネ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】リノルフィ,フィリップ
【審査官】 西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−034962(JP,A)
【文献】 特開平01−117864(JP,A)
【文献】 特表2014−501743(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/109301(WO,A1)
【文献】 特開2012−025735(JP,A)
【文献】 特表平06−505252(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/124907(WO,A2)
【文献】 特表2011−500796(JP,A)
【文献】 特表2016−510313(JP,A)
【文献】 Masatsugu ODA, Toshiro SAKAKI, Naoko SASAKI, Harumi NONAKA, Kenji YAMAGISHI and Hirofumi TOMITA,Quantitative Structure-Activity Relationships of 2-Chloropyridine-3-carboxamide Fungicides,Journal of Pesticide Science,日本農薬学会,1993年,Vol. 18,pp. 49-57
【文献】 Masatsugu ODA, Toshiro SASAKI, Naoko SASAKI, Nobuyuki NONAKA, kenji YAMAGISHI and Hirofumi TOMITA,Structure-Activity Relationships of N-(1,1,3-Trimethylindan-4-yl)carboxamide Fungicides,Journal of Pesticide Science,日本農薬学会,1993年,Vol. 18,pp. 245-251
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07C
A01N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
〔式中、
は、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチルを表し;
nは、0又は1を表し;
は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル又はトリフルオロメチルを表し;
は、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、イソ−ブチルを表す〕
で表されるジフルオロメチル−ニコチン酸インダニルカルボキサミド。
【請求項2】
nは、0を表し;
は、水素を表し;
は、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、イソ−ブチルを表す;
請求項1に記載の式(I)で表されるジフルオロメチル−ニコチン酸インダニルカルボキサミド。
【請求項3】
異性体の比旋光度が(−)である、請求項1又は2に記載の式(I)で表されるジフルオロメチル−ニコチン酸インダニルカルボキサミド。
【請求項4】
式(III)
【化2】
〔式中、
は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル又はトリフルオロメチルを表し;
は、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、イソ−ブチルを表す〕
で表される化合物。
【請求項5】
は、水素を表し;
は、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、イソ−ブチルを表す;
請求項4に記載の式(III)で表される化合物。
【請求項6】
式(IV)
【化3】
〔式中、
は、C−Cアルキルを表し;
は、互いに独立して、C−Cアルキルを表す〕
で表される化合物。
【請求項7】
は、エチル、メチルを表し;
は、互いに独立して、メチル、エチルを表す;
請求項6に記載の式(IV)で表される化合物。
【請求項8】
は、エチルを表し;
は、エチルを表す
請求項6に記載の式(IV)で表される化合物。
【請求項9】
有害な植物病原性菌類を防除するための組成物であって、増量剤及び/又は界面活性剤
に加えて請求項1〜3のいずれかに記載の式(I)で表される少なくとも1種類の化合物を含んでいることを特徴とする、前記組成物。
【請求項10】
有害な植物病原性菌類を防除する方法であって、請求項1〜3のいずれかに記載の式(I)で表される化合物を当該有害な植物病原性菌類及び/又はそれらの生息環境に施用することを特徴とする、前記方法。
【請求項11】
有害な植物病原性菌類を防除するための、請求項1〜3のいずれかに記載の式(I)で表される化合物又は請求項9に記載の組成物の使用。
【請求項12】
有害な植物病原性菌類を防除するための組成物を製造する方法であって、請求項1〜3のいずれかに記載の式(I)で表される化合物を増量剤及び/又は界面活性剤と混合させることを特徴とする、前記方法。
【請求項13】
トランスジェニック植物、種子及びトランスジェニック植物の種子を処理するための、請求項1〜3のいずれかに記載の式(I)で表される化合物又は請求項9に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ジフルオロメチル−ニコチン酸インダニルカルボキサミド類、これらの化合物を調製する方法、これらの化合物を含んでいる組成物、並びに、生物学的に活性な化合物としての、特に、作物保護及び材料物質(materials)の保護において有害な微生物を防除するための生物学的に活性な化合物としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
特定のピラゾールインダニルカルボキサミド類が殺菌特性を有しているということは、既に知られている(例えば、WO 1992/12970、WO 2012/065947、「J. Org. Chem. 1995, 60, 1626−1631」、及び、WO 2012/084812)。
【0003】
特定のピリジンインダニルカルボキサミド類又はベンゾフランカルボキサミド類が殺菌特性を有しているということも、既に知られている(例えば、EP−A 0256503、JP−A 1117864、JP−A 1211568、EP−A 315502、「J. Pesticide sci. 18, 1993, 49−57」、「J. Pesticide sci. 18, 1993, 245−251」)。
【0004】
特定のベンゾイルインダニルアミド類が殺菌特性を有しているということも、既に知られている(WO 2010/109301)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際特許出願公開第1992/12970号
【特許文献2】国際特許出願公開第2012/065947号
【特許文献3】国際特許出願公開第2012/084812号
【特許文献4】欧州特許出願公開第0256503号
【特許文献5】日本特許出願公開第1117864号
【特許文献6】日本特許出願公開第1211568号
【特許文献7】欧州特許出願公開第315502号
【特許文献8】国際特許出願公開第2010/109301号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J. Org. Chem. 1995, 60, 1626−1631
【非特許文献2】J. Pesticide sci. 18, 1993, 49−57
【非特許文献3】J. Pesticide sci. 18, 1993, 245−251
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現代の活性成分(例えば、殺菌剤)に求められる生態学的及び経済学的な要求、例えば、活性スペクトル、毒性、選択性、施用量、残留物の形成及び好ましい製造方法などに関する要求は、継続的に増大しており、また、例えば抵抗性に関する問題も存在し得るので、少なくとも一部の領域において既知組成物よりも有利な新規殺菌剤組成物を開発することは絶えず求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式(I)
【化1】
【0009】
〔式中、
は、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチルを表し;
nは、0又は1を表し;
は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル又はトリフルオロメチルを表し;
は、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、イソ−ブチルを表す〕
で表される新規ジフルオロメチル−ニコチン酸インダニルカルボキサミドを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好ましいのは、式(I)〔式中、
は、フッ素を表し、且つ、nは、0又は1を表し、さらに好ましくは、nは、0を表し;
は、水素を表し;
は、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、イソ−ブチルを表す〕
で表される化合物である。
【0011】
式(I)で表される好ましい化合物の中で最も好ましいのは、(−)−異性体である(ここで、(−)は、比旋光度を示している)。
【0012】
さらにまた、本発明は、式(III)
【化2】
【0013】
〔式中、ラジカルR及びRは、式(I)に関する定義と同様に定義される〕
で表される化合物も提供する。
【0014】
本発明のさらなる態様は、式(IV)
【化3】
【0015】
〔式中、
は、C−Cアルキルを表し;
は、互いに独立して、C−Cアルキルを表す〕
で表される化合物である。
【0016】
好ましいのは、式(IV)〔式中、
は、エチル、メチルを表し;
は、互いに独立して、メチル、エチルを表す〕
で表される化合物である。
【0017】
最も好ましいのは、式(IV)〔式中、
は、エチルを表し;
は、エチルを表す〕
で表される化合物である。
【0018】
調製方法及び中間体に関する説明
式(I)で表されるカルボキサミドは、式(II)で表される酸を、カップリング剤の存在下、場合により酸結合剤の存在下、及び、場合により希釈剤の存在下で、式(III)で表されるアミンと反応させれば、得られる。
【0019】
あるいは、式(XII)で表される化合物を、場合によりカップリング剤の存在下、場合により酸結合剤の存在下、及び、場合により希釈剤の存在下で、式(III)で表されるアミンと反応させることによって、得られる(調製方法(a)を参照されたい):
調製方法(a):
【化4】
【0020】
式(II)において、X及びnは、一般に、及び、好ましくは、式(I)で表される化合物の記載に関連してこれらのラジカルについて既に挙げられている意味を有する。
【0021】
式(XII)において、Xは、ハロゲンを表す。Xは、好ましくは、フッ素、塩素を表し、特に好ましくは、、塩素を表す。X及びnは、一般に、及び、好ましくは、式(I)で表される化合物の記載に関連してこれらのラジカルについて既に挙げられている意味を有する。
【0022】
式(III)は、本発明による調製方法(a)を実施するために出発物質として必要とされるアミンの一般的な定義を与えている。
【0023】
この式(III)において、R、R、R、Rは、一般に、好ましくは、特に好ましくは、極めて特に好ましくは、式(I)で表される化合物の記載に関連してこれらのラジカルについて既に挙げられている意味を有する。
【0024】
式(XII)で表される化合物は、式(II)で表される化合物をハロゲン化剤(例えば、塩化チオニル、臭化チオニル、塩化オキサリル、ホスゲン又はPOCl)と反応させることによって、得られる。
【0025】
出発物質として使用される式(II)で表される化合物は、文献中に記載されている方法を用いて、式(XIII)で表されるエステルを、場合により希釈剤の存在下で、鹸化することによって得られる(調製方法(b)を参照されたい):
調製方法(b):
【化5】
【0026】
式(XIII)において、X及びnは、一般に、及び、好ましくは、式(I)で表される化合物の記載に関連してこれらのラジカルについて既に挙げられている意味を有する。Xは、C−Cアルキル基を表す。
【0027】
出発物質として使用される式(XIII)で表される化合物は、市販されているか、又は、「Chem. Commun., 2008, 4207−4209」に記載されている方法と類似した方法を用いて調製する。
【0028】
式(II−a)で表される化合物、式(II)〔式中、nは、0を表す〕で表される化合物は、式(IV)で表される化合物を、気体としてのアンモニアと、又は、適切な溶媒に溶解させたアンモニア(例えば、場合により希釈剤の存在下で、水酸化アンモニウムとして水に溶解させたアンモニア)と、反応させることによって得られる(調製方法(c)を参照されたい):
調製方法(c):
【化6】
【0029】
式(IV)において、X及びRは、独立して、C−Cアルキル基を表す。式(IV)は、E異性体とZ異性体の両方、それら異性体の任意の混合物、及び、可能な互変異性体形態を表す。
【0030】
出発物質として使用される式(IV)で表される化合物は、式(V)で表される化合物を、場合により希釈剤の存在下で、式(VI)で表されるビルスマイヤー塩及び式(VII)で表される化合物と反応させることによって、得られる(調製方法(d)を参照されたい):
調製方法(d):
【化7】
【0031】
式(V)において、Xは、C−Cアルキル基を表し;好ましくは、メチル及びエチルを表し;最も好ましくは、エチルを表す。
【0032】
式(VI)において、Rは、C−Cアルキル基を表し;好ましくは、メチル及びエチルを表し;最も好ましくは、エチルを表す。
【0033】
式(VII)において、Rは、C−Cアルキル基を表し;好ましくは、メチル及びエチルを表し;最も好ましくは、メチルを表す。
【0034】
式(VI)で表されるビルスマイヤー塩は、対応するホルムアミドを活性化剤(例えば、SOCl、POCl、塩化オキサリル又はホスゲン(phosogene))と反応させることによって、独立して又はその場で、調製することができる。
【0035】
式(VII)で表される化合物は、市販されている。
【0036】
式(IV)で表される化合物も、式(V)で表される化合物を、脱水剤(例えば、無水酢酸又は硫酸)の存在下、及び、場合により希釈剤の存在下で、式(VIII)で表されるアルデヒドと反応させることによって、得ることができる(調製方法(e)):
調製方法(e):
【化8】
【0037】
式(III)で表される化合物は、式(IX−a)、式(IX−b)又は式(IX−c)で表されるアルコールを、場合により希釈剤の存在下で、触媒量又は化学量論的な量又は化学量論的な量を超える量のブレンステッド酸若しくはルイス酸及び/又は脱水剤と反応させれば、得られる(調製方法(f)を参照されたい):
調製方法(f):
【化9】
【0038】
式(IX−a)、式(IX−b)又は式(IX−c)は、本発明による調製方法(e)を実施するために出発物質として必要とされるアルコールの一般的な定義を与えている。
【0039】
これらの式(IX−a)、式(IX−b)又は式(IX−c)において、R、R、R、Rは、一般に、好ましくは、特に好ましくは、極めて特に好ましくは、式(I)で表される化合物の記載に関連してこれらのラジカルについて既に挙げられている意味を有する。
【0040】
式(IX−a)、式(IX−b)又は式(IX−c)で表される化合物は、既知方法に従って調製することができる(WO2002/38542、WO2006/120031)。
【0041】
本発明による調製方法(a)、調製方法(b)、調製方法(c)、調製方法(d)、調製方法(e)及び調製方法(f)を実施するのに適している希釈剤は、全ての不活性有機溶媒である。そのようなものとしては、好ましくは、以下のものを挙げることができる: 脂肪族、脂環式又は芳香族の炭化水素類、例えば、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリン;ハロゲン化炭化水素類、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン又はトリクロロエタン;エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソール;ケトン類、例えば、アセトン、ブタノン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、n−ブチロニトリル、i−ブチロニトリル又はベンゾニトリル;アミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン又はヘキサメチルリン酸トリアミド;それらと水の混合物、又は、純粋な水。
【0042】
調製方法(a)、調製方法(b)、調製方法(c)、調製方法(d)、調製方法(e)及び調製方法(f)は、一般に大気圧下で実施する。しかしながら、高圧下又は減圧下(一般に、0.1バール〜100バール)で実施することも可能である。
【0043】
本発明による調製方法(a)、調製方法(b)、調製方法(c)、調製方法(d)、調製方法(e)及び調製方法(f)を実施する場合、その反応温度は、比較的広い範囲内で変えることができる。一般に、該調製方法は、0℃〜150℃の温度で、好ましくは、20℃〜110℃の温度で実施する。
【0044】
がハロゲンを表す場合、本発明による調製方法(a)は、適切な場合には、適切な酸受容体の存在下で実施する。適切な酸受容体は、慣習的な全ての無機塩基又は有機塩基である。そのようなものとしては、好ましくは、以下のものを挙げることができる: アルカリ土類金属又はアルカリ金属の水素化物、水酸化物、アミド、アルコレート、酢酸塩、炭酸塩又は重炭酸塩、例えば、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム又は炭酸アンモニウム、並びに、さらに、第3級アミン類、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−ベンジルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)又はジアザビシクロウンデセン(DBU)。
【0045】
本発明による調製方法(a)は、適切な場合には、適切なカップリング剤の存在下で実施する。適切なカップリング剤は、慣習的な全てのカルボニル活性化剤である。そのようなものとしては、好ましくは、以下のものを挙げることができる: N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N’−エチル−カルボジイミド−塩酸塩、N,N’−ジ−sec−ブチルカルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、1−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−3−エチルカルボジイミドメチオジド、2−ブロモ−3−エチル−4−メチルチアゾリウムテトラフルオロボレート、N,N−ビス[2−オキソ−3−オキサゾリジニル]ホスホロジアミド酸クロリド、クロロトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−ビス(テトラメチレン)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート、O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−ビス(テトラメチレン)ウロニウムテトラフルオロボレート、N,N,N’,N’−ビス(テトラメチレン)クロロウロニウムテトラフルオロボレート、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N,N−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール。これらの試薬は、単独で使用することが可能であるが、組合せて使用することも可能である。
【0046】
本発明による調製方法(a)を実施する場合、式(XII)で表されるハロゲン化カルボニル又は式(II)で表される酸の1モル当たり、一般に、0.2〜5mol、好ましくは、0.5〜2molの、式(III)で表されるアミンを使用する。後処理は、慣習的な方法で実施する。
【0047】
該エステルの加水分解は、化学文献の中で見いだされる標準的な方法によって、例えば、適切な溶媒(ここで、該溶媒は、水又は水の混合物であり得るが、必ずしも水又は水の混合物である必要はない)の中で金属水酸化物又は水酸化アルキルアンモニウムを使用することによって、又は、切な溶媒混合物(これは、水を含んでいる)の中で代替え的な塩基(例えば、金属炭酸塩)を使用することによって、実施することができる。
【0048】
本発明による調製方法(e)は、適切な酸又は脱水剤の存在下で実施する。適切な酸は、例えば、HCl、HBr、HF、HSO、KHSO、AcOH、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ポリリン酸、リン酸である。適切な脱水剤は、例えば、無水カルボン酸又は無水スルホン酸であり得る。
【0049】
本発明による調製方法(f)は、適切なルイス酸(例えば、金属ハロゲン化物、例えば、AlCl、BF、及び、文献中で知られている別のルイス酸)又はトリフラート類(例えば、銀トリフラート、及び、文献中に記載されている別のトリフラート)の存在下で実施する。該調製方法は、ブレンステッド酸(例えば、HCl、HBr、HF、HSO、KHSO、AcOH、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ポリリン酸、及び、リン酸)の存在下で実施することも可能である。この反応に関して、適切な脱水剤(例えば、無水カルボン酸又は無水スルホン酸、塩化リン、酸化アルミニウム、及び、文献中に記載されている別の脱水剤)を添加することは、有益であり得る。
【0050】
異性体
式(I)で表される化合物は、その置換基の種類に応じて、幾何異性体の形態でも、及び/又は、光学活性異性体の形態でも、又は、種々の組成における対応する異性体混合物の形態でも、存在し得る。これらの立体異性体は、例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体又は幾何異性体である。従って、本発明は、純粋な立体異性体とそれら異性体の任意の混合物の両方を包含する。
【0051】
方法及び使用
本発明は、さらに、望ましくないな微生物を防除する方法にも関し、ここで、該方法は、式(I)で表される化合物を当該微生物及び/又はそれらの生息環境に施用することを特徴とする。
【0052】
本発明は、さらに、式(I)で表される少なくとも1種類の化合物で処理された種子にも関する。
【0053】
本発明は、最後に、式(I)で表される少なくとも1種類の化合物で処理された種子を使用することによる、望ましくない微生物から種子を保護する方法を提供する。
【0054】
式(I)で表される化合物は、強力な殺微生物活性(microbicidal activity)を有しており、作物保護及び材料物質(materials)の保護において、望ましくない微生物(例えば、菌類及び細菌類)を防除するために使用することができる。
【0055】
式(I)で表される化合物は、極めて良好な殺菌特性を有しており、作物保護において、例えば、ネコブカビ類(Plasmodiophoromycetes)、卵菌類(Oomycetes)、ツボカビ類(Chytridiomycetes)、接合菌類(Zygomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)及び不完全菌類(Deuteromycetes)などを防除するために、使用することができる。
【0056】
殺細菌剤(bactericide)は、作物保護において、、シュードモナス科(Pseudomonadaceae)、リゾビウム科(Rhizobiaceae)、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、コリネバクテリウム科(Corynebacteriaceae)及びストレプトミセス科(Streptomycetaceae)を防除するために、使用することができる。
【0057】
式(I)で表される化合物は、植物病原性菌類を治療的又は保護的に防除するために使用することができる。従って、本発明は、本発明による活性成分又は組成物を使用して植物病原性菌類を防除するための治療的方法及び保護的方法にも関し、ここで、該活性成分又は組成物は、種子、植物若しくは植物の部分、果実又は植物がそこで生育している土壌に施用される。
【0058】
植物
本発明に従って、全ての植物及び植物の部分を処理することができる。ここで、植物というのは、望ましい及び望ましくない野生植物又は作物植物(自然発生した作物植物を包含する)のような全ての植物及び植物個体群を意味するものと理解される。作物植物は、慣習的な育種法と最適化法によって、又は、生物工学的方法と遺伝子工学的方法によって、又は、それら方法を組み合わせたものによって得ることが可能な植物であることができる。そのような作物植物には、トランスジェニック植物も包含され、また、植物育種家の権利によって保護され得る植物品種も及び保護され得ない植物品種も包含される。植物の部分は、枝条、葉、花及び根などの、植物の地上及び地下の全ての部分及び全ての器官を意味するものと理解され、その例としては、葉、針状葉、茎、幹、花、子実体、果実及び種子、並びに、さらに、根、塊茎及び根茎などを挙げることができる。植物の部分には、さらに、収穫物、並びに、栄養繁殖器官及び生殖繁殖器官(vegetative and generative propagation material)、例えば、挿木(cutting)、塊茎、根茎、接ぎ穂(slip)及び種子なども包含される。
【0059】
本発明に従って処理することが可能な植物としては、以下のものを挙げることができる: ワタ、アマ、ブドウの木、果実、野菜、例えば、バラ科各種(Rosaceae sp.)(例えば、仁果、例えば、リンゴ及びナシ、さらに、核果、例えば、アンズ、サクラの木、アーモンド及びモモ、並びに、小果樹、例えば、イチゴ)、リベシオイダエ科各種(Ribesioidae sp.)、クルミ科各種(Juglandaceae sp.)、カバノキ科各種(Betulaceae sp.)、ウルシ科各種(Anacardiaceae sp.)、ブナ科各種(Fagaceae sp.)、クワ科各種(Moraceae sp.)、モクセイ科各種(Oleaceae sp.)、マタタビ科各種(Actinidaceae sp.)、クスノキ科各種(Lauraceae sp.)、バショウ科各種(Musaceae sp.)(例えば、バナナの木及びプランテーション)、アカネ科各種(Rubiaceae sp.)(例えば、コーヒー)、ツバキ科各種(Theaceae sp.)、アオギリ科各種(Sterculiceae sp.)、ミカン科各種(Rutaceae sp.)(例えば、レモン、オレンジ及びグレープフルーツ)、ナス科各種(Solanaceae sp.)(例えば、トマト)、ユリ科各種(Liliaceae sp.)、キク科各種(Asteraceae sp.)(例えば、レタス)、セリ科各種(Umbelliferae sp.)、アブラナ科各種(Cruciferae sp.)、アカザ科各種(Chenopodiaceae sp.)、ウリ科各種(Cucurbitaceae sp.)(例えば、キュウリ)、ネギ科各種(Alliaceae sp.)(例えば、リーキ、タマネギ)、マメ科各種(Papilionaceae sp.)(例えば、エンドウ); 主要作物植物、例えば、イネ科各種(Gramineae sp.)(例えば、トウモロコシ、芝、禾穀類、例えば、コムギ、ライムギ、イネ、オオムギ、エンバク、アワ及びライコムギ)、キク科各種(Asteraceae sp.)(例えば、ヒマワリ)、アブラナ科各種(Brassicaceae sp.)(例えば、白キャベツ、赤キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、タイサイ、コールラビ、ラディッシュ、ナタネ、カラシナ、セイヨウワサビ、及び、コショウソウ)、マメ科各種(Fabacae sp.)(例えば、インゲンマメ、ピーナッツ)、マメ科各種(Papilionaceae sp.)(例えば、ダイズ)、ナス科各種(Solanaceae sp.)(例えば、ジャガイモ)、アカザ科各種(Chenopodiaceae sp.)(例えば、テンサイ、飼料ビート、フダンソウ、ビートルート); 庭園及び樹木の茂った地域に関して有用な植物及び観賞植物;及び、これら植物のそれぞれの遺伝子組み換えが行われた品種。
【0060】
病原体
本発明に従って治療することが可能な菌類病の病原体の非限定的な例としては、以下のものを挙げることができる:
・ 例えば以下のような、うどんこ病病原体に起因する病害: ブルメリア属各種(Blumeria species)、例えば、ブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis); ポドスファエラ属各種(Podosphaera species)、例えば、ポドスファエラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha); スファエロテカ属各種(Sphaerotheca species)、例えば、スファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea); ウンシヌラ属各種(Uncinula species)、例えば、ウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator);
・ 例えば以下のような、さび病病原体に起因する病害: ギムノスポランギウム属各種(Gymnosporangium species)、例えば、ギムノスポランギウム・サビナエ(Gymnosporangium sabinae); ヘミレイア属各種(Hemileia species)、例えば、ヘミレイア・バスタトリクス(Hemileia vastatrix); ファコプソラ属各種(Phakopsora species)、例えば、ファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)又はファコプソラ・メイボミアエ(Phakopsora meibomiae); プッシニア属各種(Puccinia species)、例えば、プッシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)、プッシニア・グラミニス(Puccinia graminis)又はプッシニア・ストリイホルミス(Puccinia striiformis); ウロミセス属各種(Uromyces species)、例えば、ウロミセス・アペンジクラツス(Uromyces appendiculatus);
・ 例えば以下のような、卵菌類(Oomycetes)の群の病原体に起因する病害: アルブゴ属各種(Albugo species)、例えば、アルブゴ・カンジダ(Albugo candida); ブレミア属各種(Bremia species)、例えば、ブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae); ペロノスポラ属各種(Peronospora species)、例えば、ペロノスポラ・ピシ(Peronospora pisi)又はペロノスポラ・ブラシカエ(P. brassicae); フィトフトラ属各種(Phytophthora species)、例えば、フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans); プラスモパラ属各種(Plasmopara species)、例えば、プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola); プセウドペロノスポラ属各種(Pseudoperonospora species)、例えば、プセウドペロノスポラ・フムリ(Pseudoperonospora humuli)又はプセウドペロノスポラ・クベンシス(Pseudoperonospora cubensis); ピシウム属各種(Pythium species)、例えば、ピシウム・ウルチムム(Pythium ultimum);
・ 例えば以下のものに起因する、斑点病(leaf blotch disease)及び萎凋病(leaf wilt disease): アルテルナリア属各種(Alternaria species)、例えば、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani); セルコスポラ属各種(Cercospora species)、例えば、セルコスポラ・ベチコラ(Cercospora beticola); クラジオスポリウム属各種(Cladiosporium species)、例えば、クラジオスポリウム・ククメリヌム(Cladiosporium cucumerinum); コクリオボルス属各種(Cochliobolus species)、例えば、コクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)(分生子形態:Drechslera, 同義語:Helminthosporium)又はコクリオボルス・ミヤベアヌス(Cochliobolus miyabeanus); コレトトリクム属各種(Colletotrichum species)、例えば、コレトトリクム・リンデムタニウム(Colletotrichum lindemuthanium); シクロコニウム属各種(Cycloconium species)、例えば、シクロコニウム・オレアギヌム(Cycloconium oleaginum); ジアポルテ属各種(Diaporthe species)、例えば、ジアポルテ・シトリ(Diaporthe citri); エルシノエ属各種(Elsinoe species)、例えば、エルシノエ・ファウセッチイ(Elsinoe fawcettii); グロエオスポリウム属各種(Gloeosporium species)、例えば、グロエオスポリウム・ラエチコロル(Gloeosporium laeticolor); グロメレラ属各種(Glomerella species)、例えば、グロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata); グイグナルジア属各種(Guignardia species)、例えば、グイグナルジア・ビドウェリ(Guignardia bidwelli); レプトスファエリア属各種(Leptosphaeria species)、例えば、レプトスファエリア・マクランス(Leptosphaeria maculans); マグナポルテ属各種(Magnaporthe species)、例えば、マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea); ミクロドキウム属各種(Microdochium species)、例えば、ミクロドキウム・ニバレ(Microdochium nivale); ミコスファエレラ属各種(Mycosphaerella species)、例えば、ミコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)、ミコスファエレラ・アラキジコラ(Mycosphaerella arachidicola)又はミコスファエレラ・フィジエンシス(Mycosphaerella fijiensis); ファエオスファエリア属各種(Phaeosphaeria species)、例えば、ファエオスファエリア・ノドルム(Phaeosphaeria nodorum); ピレノホラ属各種(Pyrenophora species)、例えば、ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)又はピレノホラ・トリチシ・レペンチス(Pyrenophora tritici repentis); ラムラリア属各種(Ramularia species)、例えば、ラムラリア・コロ−シグニ(Ramularia collo−cygni)又はラムラリア・アレオラ(Ramularia areola); リンコスポリウム属各種(Rhynchosporium species)、例えば、リンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis); セプトリア属各種(Septoria species)、例えば、セプトリア・アピイ(Septoria apii)又はセプトリア・リコペルシシ(Septoria lycopersici); スタゴノスポラ属各種(Stagonospora species)、例えば、スタゴノスポラ・ノドルム(Stagonospora nodorum); チフラ属各種(Typhula species)、例えば、チフラ・インカルナタ(Typhula incarnata); ベンツリア属各種(Venturia species)、例えば、ベンツリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis);
・ 例えば以下のものに起因する、根及び茎の病害: コルチシウム属各種(Corticium species)、例えば、コルチシウム・グラミネアルム(Corticium graminearum); フサリウム属各種(Fusarium species)、例えば、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum); ガエウマンノミセス属各種(Gaeumannomyces species)、例えば、ガエウマンノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis); プラスモジオホラ属各種(Plasmodiophora species)、例えば、プラスモジオホラ・ブラシカエ(Plasmodiophora brassicae); リゾクトニア属各種(Rhizoctonia species)、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani); サロクラジウム属各種(Sarocladium species)、例えば、サロクラジウム・オリザエ(Sarocladium oryzae); スクレロチウム属各種(Sclerotium species)、例えば、スクレロチウム・オリザエ(Sclerotium oryzae); タペシア属各種(Tapesia species)、例えば、タペシア・アクホルミス(Tapesia acuformis); チエラビオプシス属各種(Thielaviopsis species)、例えば、チエラビオプシス・バシコラ(Thielaviopsis basicola);
・ 例えば以下のものに起因する、穂の病害(ear and panicle disease)(トウモロコシの穂軸を包含する): アルテルナリア属各種(Alternaria species)、例えば、アルテルナリア属種(Alternaria spp.); アスペルギルス属各種(Aspergillus species)、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus); クラドスポリウム属各種(Cladosporium species)、例えば、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides); クラビセプス属各種(Claviceps species)、例えば、クラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea); フサリウム属各種(Fusarium species)、例えば、フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum); ジベレラ属各種(Gibberella species)、例えば、ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae); モノグラフェラ属各種(Monographella species)、例えば、モノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis); スタグノスポラ属各種(Stagnospora species)、例えば、スタグノスポラ・ノドルム(Stagnospora nodorum);
・ 例えば以下のものなどの、黒穂病菌類(smut fungi)に起因する病害: スファセロテカ属各種(Sphacelotheca species)、例えば、スファセロテカ・レイリアナ(Sphacelotheca reiliana); チレチア属各種(Tilletia species)、例えば、チレチア・カリエス(Tilletia caries)又はチレチア・コントロベルサ(Tilletia controversa); ウロシスチス属各種(Urocystis species)、例えば、ウロシスチス・オクルタ(Urocystis occulta); ウスチラゴ属各種(Ustilago species)、例えば、ウスチラゴ・ヌダ(Ustilago nuda);
・ 例えば以下のものに起因する、果実の腐敗(fruit rot): アスペルギルス属各種(Aspergillus species)、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus); ボトリチス属各種(Botrytis species)、例えば、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea); ペニシリウム属各種(Penicillium species)、例えば、ペニシリウム・エキスパンスム(Penicillium expansum)又はペニシリウム・プルプロゲヌム(Penicillium purpurogenum); リゾプス属各種(Rhizopus species)、例えば、リゾプス・ストロニフェル(Rhizopus stolonifer); スクレロチニア属各種(Sclerotinia species)、例えば、スクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum); ベルチシリウム属各種(Verticilium species)、例えば、ベルチシリウム・アルボアトルム(Verticilium alboatrum);
・ 例えば以下のものに起因する、種子及び土壌によって媒介される腐敗病及び萎凋病(seed− and soil−borne rot and wilt disease)並びに実生の病害: アルテルナリア属各種(Alternaria species)、例えば、アルテルナリア・ブラシシコラ(Alternaria brassicicola); アファノミセス属各種(Aphanomyces species)、例えば、アファノミセス・エウテイケス(Aphanomyces euteiches); アスコキタ属各種(Ascochyta species)、例えば、アスコキタ・レンチス(Ascochyta lentis); アスペルギルス属各種(Aspergillus species)、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus); クラドスポリウム属各種(Cladosporium species)、例えば、クラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum); コクリオボルス属各種(Cochliobolus species)、例えば、コクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)(分生子形態:Drechslera、Bipolaris 異名:Helminthosporium); コレトトリクム属各種(Colletotrichum species)、例えば、コレトトリクム・ココデス(Colletotrichum coccodes); フサリウム属各種(Fusarium species)、例えば、フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum); ジベレラ属各種(Gibberella species)、例えば、ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae); マクロホミナ属各種(Macrophomina species)、例えば、マクロホミナ・ファセオリナ(Macrophomina phaseolina); ミクロドキウム属各種(Microdochium species)、例えば、ミクロドキウム・ニバレ(Microdochium nivale); モノグラフェラ属各種(Monographella species)、例えば、モノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis); ペニシリウム属各種(Penicillium species)、例えば、ペニシリウム・エキスパンスム(Penicillium expansum); ホマ属各種(Phoma species)、例えば、ホマ・リンガム(Phoma lingam); ホモプシス属各種(Phomopsis species)、例えば、ホモプシス・ソジャエ(Phomopsis sojae); フィトフトラ属各種(Phytophthora species)、例えば、フィトフトラ・カクトルム(Phytophthora cactorum); ピレノホラ属各種(Pyrenophora species)、例えば、ピレノホラ・グラミネア(Pyrenophora graminea); ピリクラリア属各種(Pyricularia species)、例えば、ピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae); ピシウム属各種(Pythium species)、例えば、ピシウム・ウルチムム(Pythium ultimum); リゾクトニア属各種(Rhizoctonia species)、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani); リゾプス属各種(Rhizopus species)、例えば、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae); スクレロチウム属各種(Sclerotium species)、例えば、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii); セプトリア属各種(Septoria species)、例えば、セプトリア・ノドルム(Septoria nodorum); チフラ属各種(Typhula species)、例えば、チフラ・インカルナタ(Typhula incarnata); ベルチシリウム属各種(Verticillium species)、例えば、ベルチシリウム・ダーリアエ(Verticillium dahliae);
・ 例えば以下のものに起因する、癌性病害(cancer)、こぶ(gall)及び天狗巣病(witches’ broom): ネクトリア属各種(Nectria species)、例えば、ネクトリア・ガリゲナ(Nectria galligena);
・ 例えば以下のものに起因する、萎凋病(wilt disease): モニリニア属各種(Monilinia species)、例えば、モニリニア・ラキサ(Monilinia laxa);
・ 例えば以下のものに起因する、葉、花及び果実の奇形: エキソバシジウム属各種(Exobasidium species)、例えば、エキソバシジウム・ベキサンス(Exobasidium vexans); タフリナ属各種(Taphrina species)、例えば、タフリナ・デホルマンス(Taphrina deformans);
・ 例えば以下のものに起因する、木本植物の衰退性病害(degenerative disease): エスカ属各種(Esca species)、例えば、ファエオモニエラ・クラミドスポラ(Phaeomoniella chlamydospora)、ファエオアクレモニウム・アレオフィルム(Phaeoacremonium aleophilum)又はフォミチポリア・メジテラネア(Fomitiporia mediterranea); ガノデルマ属各種(Ganoderma species)、例えば、ガノデルマ・ボニネンセ(Ganoderma boninense);
・ 例えば以下のものに起因する、花及び種子の病害: ボトリチス属各種(Botrytis species)、例えば、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea);
・ 例えば以下のものに起因する、植物塊茎の病害: リゾクトニア属各種(Rhizoctonia species)、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani); ヘルミントスポリウム属各種(Helminthosporium species)、例えば、ヘルミントスポリウム・ソラニ(Helminthosporium solani);
・ 例えば以下のものなどの、細菌性病原体に起因する病害: キサントモナス属各種(Xanthomonas species)、例えば、キサントモナス・カムペストリス pv.オリザエ(Xanthomonas campestris pv. oryzae); シュードモナス属各種(Pseudomonas species)、例えば、シュードモナス・シリンガエ pv.ラクリマンス(Pseudomonas syringae pv. lachrymans); エルウィニア属各種(Erwinia species)、例えば、エルウィニア・アミロボラ(Erwinia amylovora)。
【0061】
好ましくは、ダイズの以下の病害を防除する:
・ 例えば以下のものに起因する、葉、茎、鞘及び種子の菌類病:
アルテルナリア斑点病(alternaria leaf spot)(Alternaria spec. atrans tenuissima)、炭疽病(Colletotrichum gloeosporoides dematium var. truncatum)、褐紋病(brown spot)(Septoria glycines)、紫斑病(cercospora leaf spot and blight)(Cercospora kikuchii)、コアネホラ葉枯病(choanephora leaf blight)(Choanephora infundibulifera trispora(Syn.))、ダクツリオホラ斑点病(dactuliophora leaf spot)(Dactuliophora glycines)、べと病(Peronospora manshurica)、ドレクスレラ胴枯病(drechslera blight)(Drechslera glycini)、斑点病(frogeye leaf spot)(Cercospora sojina)、そばかす病(leptosphaerulina leaf spot)(Leptosphaerulina trifolii)、灰星病(phyllostica leaf spot)(Phyllosticta sojaecola)、黒点病(pod and stem blight)(Phomopsis sojae)、うどんこ病(Microsphaera diffusa)、ピレノカエタ斑点病(pyrenochaeta leaf spot)(Pyrenochaeta glycines)、葉腐病(rhizoctonia aerial, foliage, and web blight)(Rhizoctonia solani)、さび病(Phakopsora pachyrhizi, Phakopsora meibomiae)、黒とう病(Sphaceloma glycines)、ステムフィリウム葉枯病(stemphylium leaf blight)(Stemphylium botryosum)、褐色輪紋病(Corynespora cassiicola);
・ 例えば以下のものに起因する、根及び茎基部の菌類病:
黒根腐病(Calonectria crotalariae)、炭腐病(Macrophomina phaseolina)、赤かび病(fusarium blight or wilt, root rot, and pod and collar rot)(Fusarium oxysporum、Fusarium orthoceras、Fusarium semitectum、Fusarium equiseti)、ミコレプトジスクス根腐病(mycoleptodiscus root rot)(Mycoleptodiscus terrestris)、根腐病(neocosmospora)(Neocosmospora vasinfecta)、黒点病(Diaporthe phaseolorum)、茎腐爛病(stem canker)(Diaporthe phaseolorum var. caulivora)、茎疫病(phytophthora rot)(Phytophthora megasperma)、落葉病(brown stem rot)(Phialophora gregata)、根茎腐敗病(pythium rot)(Pythium aphanidermatum、Pythium irregulare、Pythium debaryanum、Pythium myriotylum、Pythium ultimum)、リゾクトニア根腐病(rhizoctonia root rot, stem decay, and damping−off)(Rhizoctonia solani)、菌核病(sclerotinia stem decay)(Sclerotinia sclerotiorum)、スクレロチニアサウザンブライト病(sclerotinia southern blight)(Sclerotinia rolfsii)、チエラビオプシス根腐病(thielaviopsis root rot)(Thielaviopsis basicola)。
【0062】
マイコトキシン
さらに、式(I)で表される化合物は、収穫物並びにその収穫作物から作られる食料及び飼料におけるマイコトキシンの含有量を低減させることが可能である。マイコトキシンとしては、限定するものではないが、特に、以下のものを挙げることができる:デオキシニバレノール(DON)、ニバレノール、15−Ac−DON、3−Ac−DON、T2−トキシン、HT2−トキシン、フモニシン類、ゼアラレノン、モニリホルミン、フザリン、ジアセトキシシルペノール(DAS)、ベアウベリシン(beauvericin)、エンニアチン、フサロプロリフェリン(fusaroproliferin)、フサレノール(fusarenol)、オクラトキシン類、パツリン、エルゴットアルカロイド類及びアフラトキシン類〔これらは、例えば、以下の菌類によって産生され得る:とりわけ、フサリウム属各種(Fusarium spec.)、例えば、フサリウム・アクミナツム(F. acuminatum)、フサリウム・アシアチクム(F. asiaticum)、フサリウム・アベナセウム(F. avenaceum)、フサリウム・クロオクウェレンセ(F. crookwellense)、フサリウム・クルモルム(F. culmorum)、フサリウム・グラミネアルム(F. graminearum)(ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae))、フサリウム・エクイセチ(F. equiseti)、フサリウム・フジコロイ(F. fujikoroi)、フサリウム・ムサルム(F. musarum)、フサリウム・オキシスポルム(F. oxysporum)、フサリウム・プロリフェラツム(F. proliferatum)、フサリウム・ポアエ(F. poae)、フサリウム・プセウドグラミネアルム(F. pseudograminearum)、フサリウム・サムブシヌム(F. sambucinum)、フサリウム・シルピ(F. scirpi)、フサリウム・セミテクツム(F. semitectum)、フサリウム・ソラニ(F. solani)、フサリウム・スポロトリコイデス(F. sporotrichoides)、フサリウム・ラングセチアエ(F. langsethiae)、フサリウム・スブグルチナンス(F. subglutinans)、フサリウム・トリシンクツム(F. tricinctum)、フサリウム・ベルチシリオイデス(F. verticillioides)など、及び、さらに、アスペルギルス属各種(Aspergillus spec.)、例えば、アスペルギルス・フラブス(A. flavus)、アスペルギルス・パラシチクス(A. parasiticus)、アスペルギルス・ノミウス(A. nomius)、アスペルギルス・オクラセウス(A. ochraceus)、アスペルギルス・クラバツス(A. clavatus)、アスペルギルス・テレウス(A. terreus)、アスペルギルス・ベルシコロル(A. versicolor)、ペニシリウム属各種(Penicillium spec.)、例えば、ペニシリウム・ベルコスム(P. verrucosum)、ペニシリウム・ビリジカツム(P. viridicatum)、ペニシリウム・シトリヌム(P. citrinum)、ペニシリウム・エキスパンスム(P. expansum)、ペニシリウム・クラビホルメ(P. claviforme)、ペニシリウム・ロクエホルチ(P. roqueforti)、クラビセプス属各種(Claviceps spec.)、例えば、クラビセプス・プルプレア(C. purpurea)、クラビセプス・フシホルミス(C. fusiformis)、クラビセプス・パスパリ(C. paspali)、クラビセプス・アフリカナ(C. africana)、スタキボトリス属各種(Stachybotrys spec.)など〕。
【0063】
材料物質の保護
式(I)で表される化合物は、材料物質の保護において、植物病原性菌類による攻撃及び破壊に対して工業材料を保護するするために用いることもできる。
【0064】
さらに、式(I)で表される化合物は、単独で、又は、別の活性成分と組み合わせて、汚れ止め組成物として用いることもできる。
【0065】
本発明に関連して、工業材料とは、工業において使用するために準備された無生物材料を意味するものと理解される。例えば、本発明の組成物で微生物による変性又は破壊から保護することが意図されている工業材料は、接着剤、膠、紙、壁紙及び厚紙/板紙、織物、カーペット、皮革、木材、繊維及び薄織物、塗料及びプラスチック製品、冷却用潤滑油、並びに、微生物によって感染又は破壊され得る別の材料などであり得る。微生物の増殖により損なわれ得る建造物及び製造プラントの部品、例えば、冷却水循環路、冷却装置及び暖房装置、並びに、換気装置及び空調設備なども、保護すべき材料の範囲内のものとして挙げることができる。本発明の範囲内における工業材料としては、好ましくは、接着剤、サイズ、紙及び厚紙、皮革、木材、塗料、冷却用潤滑油及び熱媒液などを挙げることができ、さらに好ましくは、木材を挙げることができる。
【0066】
式(I)で表される化合物は、腐朽、腐敗、変色、脱色又は黴発生などの、悪影響を防止することができる。
【0067】
木材を処理する場合、式(I)で表される化合物は、材木の表面又は内部で増殖するであろう菌類病に対しても使用することができる。用語「材木(timber)」は、全ての種類の木材、そのような木材を建築用に加工した全てのタイプのもの、例えば、ソリッドウッド、高密度木材、積層木材及び合板などを意味する。本発明による材木の処理方法は、主に、本発明の本発明の組成物を接触させることにより行う。これには、例えば、直接的な塗布、噴霧、浸漬、注入、又は、別の適切な任意の方法が包含される。
【0068】
さらにまた、式(I)で表される化合物は、海水又は淡海水と接触するもの(特に、船体、障壁(screen)、網、建造物、係船設備及び信号システム)を付着物に対して保護するために使用することもできる。
【0069】
式(I)で表される化合物は、貯蔵品を保護するために使用することもできる。貯蔵品は、長期間の保護が望まれる、植物若しくは動物起源の天然物質又は自然起源のそれら天然物質の加工製品を意味するものと理解される。植物起源の貯蔵品、例えば、植物若しくは植物の分部、例えば、茎、葉、塊茎、種子、果実、穀粒などは、新たに収穫された状態で保護することができるか、又は、(予備)乾燥、加湿、粉砕、摩砕、加圧成形又は焙焼によって加工された後で保護することができる。貯蔵品には、さらに、未加工の木材(例えば、建築用木材、電柱及び柵)又は完成品の形態にある木材(例えば、家具)の両方とも包含される。動物起源の貯蔵品は、例えば、皮革、革製品、毛皮及び獣毛などである。本発明の組成物は、腐朽、腐敗、変色、脱色又は黴発生などの、不利な効果を防止することができる。
【0070】
工業材料を劣化又は変性させることができる微生物としては、例えば、細菌類、菌類、酵母類、藻類及び粘菌類(slime organisms)などを挙げることができる。式(I)で表される化合物は、好ましくは、菌類、特に、カビ類、材木を変色させる菌類及び材木を破壊する菌類(子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)、不完全菌類(Deuteromycetes)及び接合菌類(Zygomycetes))、並びに、粘菌類(slime organisms)及び藻類に対して作用する。以下の属の微生物を例として挙げることができる: アルテルナリア(Alternaria)、例えば、アルテルナリア・テヌイス(Alternaria tenuis); アスペルギルス(Aspergillus)、例えば、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger); カエトミウム(Chaetomium)、例えば、カエトミウム・グロボスム(Chaetomium globosum); コニオホラ(Coniophora)、例えば、コニオホラ・プエタナ(Coniophora puetana); レンチヌス(Lentinus)、例えば、レンチヌス・チグリヌス(Lentinus tigrinus); ペニシリウム(Penicillium)、例えば、ペニシリウム・グラウクム(Penicillium glaucum); ポリポルス(Polyporus)、例えば、ポリポルス・ベルシコロル(Polyporus versicolor); アウレオバシジウム(Aureobasidium)、例えば、アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans); スクレロホマ(Sclerophoma)、例えば、スクレロホマ・ピチオフィラ(Sclerophoma pityophila); トリコデルマ(Trichoderma)、例えば、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride);オフィオストマ属種(Ophiostoma spp.)、セラトシスチス属種(Ceratocystis spp.)、フミコラ属種(Humicola spp.)、ペトリエラ属種(Petriella spp.)、トリクルス属種(Trichurus spp.)、コリオルス属種(Coriolus spp.)、グロエオフィルム属種(Gloeophyllum spp.)、プレウロツス属種(Pleurotus spp.)、ポリア属種(Poria spp.)、セルプラ属種(Serpula spp.)及びチロミセス属種(Tyromyces spp.)、クラドスポリウム属種(Cladosporium spp.)、パエシロミセス属種(Paecilomyces spp.)、ムコル属種(Mucor spp.)、エシェリキア(Escherichia)、例えば、エシェリキア・コリ(Escherichia coli); シュードモナス(Pseudomonas)、例えば、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa); スタフィロコッカス(Staphylococcus)、例えば、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、カンジダ属種(Candida spp.)及びサッカロミセス属種(Saccharomyces spp.)、例えば、サッカロミセス・セレビサエ(Saccharomyces cerevisae)。
【0071】
製剤
本発明は、さらに、式(I)で表される化合物のうちの少なくとも1種類を含んでいる、望ましくない微生物を防除するための組成物にも関する。該組成物は、好ましくは、農業上適切な補助剤、溶媒、担体、界面活性剤又は増量剤を含んでいる殺菌剤組成物である。
【0072】
本発明によれば、担体は、特に植物又は植物の部分又は種子への施用に関して、適用性を良好にするために、当該活性成分と混合させるか又は組み合わせる天然又は合成の有機物質又は無機物質である。このような担体は、固体又は液体であり得るが、一般に、不活性であり、そして、農業において使用するのに適しているべきである。
【0073】
有用な固体担体としては、例えば、アンモニウム塩、及び、天然岩粉、例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト又はケイ藻土、及び、合成岩粉、例えば、微粉化シリカ、アルミナ及びシリケートなどがあり; 粒剤に対して有用な固体担体としては、例えば、粉砕して分別した天然岩石、例えば、方解石、大理石、軽石、海泡石及び苦灰岩、並びに、さらに、無機及び有機の粉末からなる合成顆粒や、有機材料、例えば、紙、おがくず、ココナッツ殻、トウモロコシ穂軸及びタバコの葉柄などからなる顆粒などがあり; 有用な乳化剤及び/又は泡形成剤としては、例えば、非イオン性及びアニオン性の乳化剤、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル類、例えば、アルキルアリールポリグリコールエーテル類、アルキルスルホネート類、アルキルスルフェート類、アリールスルホネート類、及び、さらに、タンパク質加水分解物などがあり; 適切な分散剤は、非イオン性及び/又はイオン性の物質、例えば、アルコール−POE及び/又は−POPエーテル類、酸及び/又はPOP POEエステル類、アルキルアリール及び/又はPOP POEエーテル類、脂肪及び/又はPOP POE付加体、POE−及び/又はPOP−ポリオール誘導体、POE−及び/又はPOP−ソルビタン若しくは糖付加体、アルキル若しくはアリールのスルフェート類、アルキル若しくはアリールのスルホネート類及びアルキル若しくはアリールのホスフェート類又はそれらの対応するPO−エーテル付加体の類から選ばれたものである。さらにまた、適しているものは、オリゴマー又はポリマー、例えば、ビニルモノマーから誘導されたもの、アクリル酸から誘導されたもの、EO及び/又はPOの単独又は例えば(ポリ)アルコール類若しくは(ポリ)アミン類と組み合わせたものから誘導されたものである。さらに、リグニン及びそのスルホン酸誘導体、未変性セルロース及び変性セルロース、芳香族及び/又は脂肪族スルホン酸並びにそれらのホルムアルデヒドとの付加体なども使用することができる。
【0074】
上記活性成分は、溶液剤、エマルション剤、水和剤、水性懸濁液剤、油性懸濁液剤、粉末剤(powders)、粉剤(dusts)、ペースト剤、可溶性粉末剤、可溶性顆粒剤、ばらまき用顆粒剤、サスポエマルション製剤、活性成分を含浸させた天然産物、活性成分を含浸させた合成物質、肥料、及び、さらに、ポリマー物質中にマイクロカプセル化したもののような、慣習的な製剤に変換することができる。
【0075】
本発明の活性成分は、それだけでも施用することができるし、その製剤の形態又はその製剤の形態から調製された使用形態、例えば、即時使用可能な(ready−to−use)溶液剤、エマルション剤、水性懸濁液剤、油性懸濁液剤、粉末剤(powders)、水和剤、ペースト剤、可溶性粉末剤、粉剤(dusts)、可溶性顆粒剤、ばらまき用顆粒剤、サスポエマルション製剤、活性成分を含浸させた天然産物、活性成分を含浸させた合成物質、肥料、及び、さらに、ポリマー物質中にマイクロカプセル化したものなどの形態でも施用することができる。施用は、慣習的な方法で、例えば、灌水、散布、噴霧、ばらまき、散粉、泡状散布(foaming)、塗布(spreading−on)などにより行う。さらに、本発明の活性成分は、微量散布法により施用することも可能であり、又は、該活性成分の調製物/活性成分自体を土壌に注入することも可能である。植物の種子を処理することも可能である。
【0076】
上記製剤は、自体公知の方法で、例えば、該活性成分を少なくとも1種類の慣習的な増量剤、溶媒若しくは稀釈剤、乳化剤、分散剤、及び/又は、結合剤若しくは固定剤、湿潤剤、撥水剤と混合させ、適切な場合には、さらに、乾燥剤及び紫外線安定剤と混合させ、適切な場合には、さらに、染料及び顔料、消泡剤、防腐剤、第2の増粘剤、固着剤、ジベレリン類、並びに、さらに、別の加工助剤と混合させることにより、調製することができる。
【0077】
本発明は、適切な装置を用いて植物又は種子に対して施用(deploy)可能で且つ既に使用できる状態にある製剤のみではなく、使用前に水で希釈することが必要な商業的な濃厚物も包含する。
【0078】
式(I)で表される化合物は、それだけで、又は、その(商業用)製剤中に、及び、そのような製剤から調製された使用形態中に、殺虫剤、誘引剤、不妊剤、殺細菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、成長調節剤、除草剤、肥料、薬害軽減剤及び/又は情報化学物質などの別の(既知)活性成分との混合物として、存在させることができる。
【0079】
使用する補助剤は、当該組成物自体及び/又はそれから誘導された調製物(例えば、散布液、種子粉衣)に、特定の特性、例えば、特定の技術的特性及び/又特定の生物学的特性などを付与するのに適している物質であり得る。典型的な補助剤としては、増量剤、溶媒及び担体などがある。
【0080】
適切な増量剤は、例えば、水、並びに、極性及び非極性の有機化学的液体、例えば、以下の種類から選択されるものである:芳香族及び非芳香族の炭化水素類(例えば、パラフィン類、アルキルベンゼン類、アルキルナフタレン類、クロロベンゼン類)、アルコール類及びポリオール類(これらは、場合により、置換されていてもよく、エーテル化されていてもよく、及び/又は、エステル化されていてもよい)、ケトン類(例えば、アセトン、シクロヘキサノン)、エステル類(これは、脂肪類及び油類を包含する)及び(ポリ)エーテル類、置換されていない及び置換されているアミン類、アミド類、ラクタム類(例えば、N−アルキルピロリドン類)及びラクトン類、スルホン類及びスルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)。
【0081】
液化ガス増量剤又は担体は、標準温度及び標準圧下では気体である液体、例えば、エーロゾル噴射剤、例えば、ハロ炭化水素類、又は、ブタン、プロパン、窒素及び二酸化炭素などでを意味するものと理解される。
【0082】
上記製剤において、粘着性付与剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、並びに、粉末又は顆粒又はラテックスの形態にある天然ポリマー及び合成ポリマー、例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニル、又は、天然のリン脂質、例えば、セファリン及びレシチン、及び、合成リン脂質などを使用することができる。さらなる添加剤は、鉱油及び植物油であり得る。
【0083】
使用する増量剤が水である場合、例えば有機溶媒を補助溶媒として使用することもできる。有用な液体溶媒は、本質的に、芳香族化合物、例えば、キシレン、トルエン又はアルキルナフタレン類、塩素化芳香族化合物又は塩素化脂肪族炭化水素、例えば、クロロベンゼン類、クロロエチレン類又は塩化メチレン、脂肪族炭化水素、例えば、シクロヘキサン又はパラフィン類、例えば、石油留分、アルコール類、例えば、ブタノール又はグリコールとそれらのエーテル及びエステル、ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン、強極性溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドなどであり、又は、水も適している。
【0084】
式(I)で表される化合物を含んでいる組成物には、さらに、例えば界面活性剤などの、さらなる成分も含有させることができる。適切な界面活性剤は、イオン特性若しくは非イオン特性を有する乳化剤及び/若しくは泡形成剤、分散剤又は湿潤剤であるか、又は、そのような界面活性剤の混合物である。それらの例は、以下のものである:ポリアクリル酸の塩、リグノスルホン酸の塩、フェノールスルホン酸若しくはナフタレンスルホン酸の塩、エチレンオキシドと脂肪アルコールの重縮合物若しくはエチレンオキシドと脂肪酸の重縮合物若しくはエチレンオキシドと脂肪アミンの重縮合物、置換されているフェノール(好ましくは、アルキルフェノール又はアリールフェノール)、スルホコハク酸エステルの塩、タウリン誘導体(好ましくは、アルキルタウレート)、ポリエトキシル化アルコールのリン酸エステル若しくはポリエトキシル化フェノールのリン酸エステル、ポリオールの脂肪酸エステル、並びに、硫酸アニオン、スルホン酸アニオン及びリン酸アニオンを含んでいる該化合物の誘導体、例えば、アルキルアリールポリグリコールエーテル類、アルキルスルホネート類、アルキルスルフェート類、アリールスルホネート類、タンパク質加水分解物、リグノスルファイト廃液及びメチルセルロースなど。該活性成分のうちの1種類及び/又は該不活性担体のうちの1種類が水不溶性であり且つ施用が水で行われる場合は、界面活性剤を存在させることが必要である。界面活性剤の割合は、本発明組成物の5重量%〜40重量%である。
【0085】
着色剤、例えば、無機顔料、例えば、酸化鉄、酸化チタン及びプルシアンブルー(Prussian Blue)、並びに、有機染料、例えば、アリザリン染料、アゾ染料及び金属フタロシアニン染料、並びに、微量栄養素、例えば、鉄塩、マンガン塩、ホウ素塩、銅塩、コバルト塩、モリブデン塩及び亜鉛塩などを使用することができる。
【0086】
さらなる添加剤は、芳香物質、場合により改質されていてもよい鉱油又は植物油、蝋、並びに、栄養素(微量栄養素を包含する)、例えば、鉄塩、マンガン塩、ホウ素塩、銅塩、コバルト塩、モリブデン塩及び亜鉛塩などである。
【0087】
さらなる成分は、安定剤(例えば、低温安定剤)、防腐剤、酸化防止剤、光安定剤、又は、化学的及び/若しくは物理的安定性を向上させる別の作用剤であり得る。
【0088】
適切な場合には、付加的な別の成分、例えば、保護コロイド、結合剤、粘着剤、増粘剤、揺変性物質、浸透剤、安定化剤、金属イオン封鎖剤、錯体形成物質(complex former)なども存在させることができる。一般的に、該活性成分は、製剤目的で通常使用される固体又は液体の任意の添加剤と組み合わせることが可能である。
【0089】
該製剤は、一般に、0.05〜99重量%、0.01〜98%重量%、好ましくは、0.1〜95重量%、さらに好ましくは、0.5〜90重量%の活性成分を含有し、最も好ましくは、10〜70重量%の活性成分を含有する。
【0090】
上記製剤は、望ましくない微生物を防除するために使用することが可能であり、その際、式(I)で表される化合物を含んでいる組成物は、当該微生物及び/又はそれらの生息環境に施用される。
【0091】
混合物
式(I)で表される化合物は、それ単独で、又は、その製剤中に含ませて、使用することが可能であり、及び、例えば活性スペクトルを拡大するために又は抵抗性の発達を防止するために、既知の殺菌剤、殺細菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺虫剤と混合させることもできる。
【0092】
有用な混合相手剤としては、例えば、既知の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺細菌剤などがある(「Pesticide Manual, 14th ed.」も参照されたい)。
【0093】
除草剤のような別の既知活性成分と混合することも可能であり、又は、肥料及び成長調節剤、薬害軽減剤及び/若しくは情報化学物質と混合することも可能である。
【0094】
種子処理
本発明は、さらに、種子を処理する方法も包含する。
【0095】
本発明のさらなる態様は、特に、式(I)で表される化合物のうちの少なくとも1種類で処理された種子(休眠状態にあるか、プライミングされているか、催芽されている(pregerminated)か、又は、根及び葉が出現していてもよい)に関する。本発明による種子は、有害な植物病原性菌類から種子及びその種子から発生する植物を保護するための方法において使用される。これらの方法においては、本発明による少なくとの1種類の活性成分で処理された種子を使用する。
【0096】
式(I)で表される化合物は、種子及び幼植物を処理するのにも適している。有害な生物に起因する作物植物に対する被害の大部分は、播種前又は植物の発芽後において、種子が感染することによって起こる。この相は特に危険である。それは、生長している植物の根及び苗条は特に感受性が高く、少量の損傷であってもその植物が死に至り得るからである。従って、適切な組成物を用いて種子及び発芽中の植物を保護することに、大きな関心が持たれている。
【0097】
さらに、使用する活性成分によって植物自体に損傷を与えることなく、植物病原性菌類による攻撃から種子、発芽中の植物及び発生した幼植物が最良に保護され得るように、使用する活性成分の量を最適化することも望ましい。特に、種子を処理する方法では、最少量の作物保護組成物を使用して種子及び発芽中の植物の最適な保護を達成するために、トランスジェニック植物の内因性の表現型も考慮に入れるべきである。
【0098】
従って、本発明は、害虫及び/又は有害な植物病原性微生物による攻撃に対して種子、発芽中の植物及び発生した幼植物を保護する方法にも関し、ここで、該方法は、当該種子を本発明の組成物で処理することによる。本発明は、さらに、種子、発芽中の植物及び発生した幼植物を害虫及び/又は植物病原性微生物から保護するために種子を処理するための本発明の組成物の使用にも関する。本発明は、さらに、害虫及び/又は植物病原性微生物から保護するために、本発明の組成物で処理された種子にも関する。
【0099】
本発明の有利な点の1つは、そのような組成物で種子を処理することにより、害虫及び/又は有害な植物病原性微生物から、その種子自体が保護されるのみではなく、出芽後に生じる植物も保護されるということである。このようにして、播種時又は播種後間もなくの作物の即時的な処理及び播種前の種子処理によって、植物が保護される。さらにまた、本発明の活性成分又は組成物が、特に、トランスジェニック種子に対しても使用可能である(その場合、当該種子から生長した植物は、害虫、除草剤による損傷又は非生物的ストレスに対して作用するタンパク質を発現することができる)ということも、有利な点として見なされる。そのような種子を本発明の活性成分又は組成物で処理することによって(例えば、殺虫性タンパク質)、特定の害虫を防除することが可能である。驚くべきことに、この場合、さらなる相乗効果が観察され得る。そのような相乗効果は、害虫による攻撃、雑草又は非生物的ストレスに対する保護の有効性をさらに増大させる。
【0100】
式(I)で表される化合物は、農業において、温室内で、森林で又は園芸において使用される全ての植物品種の種子を保護するのに適している。特に、該種子は、禾穀類(例えば、コムギ、オオムギ、ライムギ、アワ及びエンバク)、ナタネ、トウモロコシ、ワタ、ダイズ、イネ、ジャガイモ、ヒマワリ、インゲンマメ、コーヒー、ビート(例えば、テンサイ及び飼料用ビート)、ラッカセイ、野菜(例えば、トマト、キュウリ、タマネギ及びレタス)、芝及び観賞植物の種子である。特に重要なのは、コムギ、ダイズ、ナタネ、トウモロコシ及びイネの種子を処理することである。
【0101】
以下でも記載されているように、本発明の活性成分又は組成物によるトランスジェニック種子の処理は、特に重要である。これは、例えば殺虫特性を有する、ポリペプチド又はタンパク質の発現を可能とする少なくとも1種類の異種遺伝子を含んでいる植物の種子に関する。トランスジェニック種子内のそのような異種遺伝子は、例えば、バシルス(Bacillus)種、リゾビウム(Rhizobium)種、シュードモナス(Pseudomonas)種、セラチア(Serratia)種、トリコデルマ(Trichoderma)種、クラビバクテル(Clavibacter)種、グロムス(Glomus)種又はグリオクラジウム(Gliocladium)種の微生物に由来し得る。これらの異種遺伝子は、好ましくは、バシルス属種(Bacillus sp.)に由来し、この場合、その遺伝子産物は、アワノメイガ(European corn borer)及び/又はウェスタンコーンルートワーム(Western corn rootworm)に対して有効ある。該異種遺伝子は、特に好ましくは、バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)に由来する。
【0102】
本発明に関連して、本発明の組成物は、種子に対して、単独で施用するか、又は、適切な製剤中に含ませて施用する。好ましくは、種子は、処理中に損傷が生じないように充分なほど安定な状態で処理する。一般に、種子は、収穫と播種の間の任意の時点で処理することができる。慣習的に、植物から分離されていて、穂軸、殻、葉柄、外皮、被毛又は果肉を伴っていない種子を処理する。例えば、収穫され、不純物が取り除かれ、及び、含水量が15重量%未満となるまで乾燥された種子を使用することができる。あるいは、乾燥後に、例えば水で処理され、その後再度乾燥された種子、又は、プライミングをされた直後の種子、又は、プライミング状態で貯蔵された種子、又は、催芽された種子、又は、苗床トレイ若しくは苗床テープ若しくは苗床紙に播種された種子を、使用することも可能である。
【0103】
種子を処理する場合、種子の発芽が悪影響を受けないように、又は、種子から生じた植物が損傷を受けないように、一般に、種子に施用する本発明組成物の量及び/又はさらなる添加剤の量を確実に選択しなくてはならない。このことは、とりわけ、特定の施用量で薬害作用を示し得る活性成分の場合には、保証しなくてはならない。
【0104】
式(I)で表される化合物は、直接的に施用することが、即ち、別の成分を含ませることなく、また、希釈することなく、施用することが可能である。一般に、該組成物は、適切な製剤の形態で種子に施用するのが好ましい。種子を処理するための適切な製剤及び方法は、当業者には知られている。式(I)で表される化合物は、種子施用(on−seed application)に関連した慣習的な製剤、例えば、溶液剤、エマルション剤、懸濁液剤、粉末剤、泡剤、スラリー剤、又は、種子用の別のコーティング組成物(例えば、フィルム形成性材料、ペレット化材料、微細鉄粉(fine iron)若しくは別の金属粉、顆粒、不活性化種子用のコーティング材料)と組み合わされたもの、及び、さらに、ULV製剤などに変換することができる。
【0105】
これらの製剤は、既知方法で、活性成分又は活性成分組合せを、慣習的な添加剤、例えば、慣習的な増量剤、及び、溶媒又は希釈剤、着色剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、防腐剤、第2の増粘剤、粘着剤、ジベレリン類などと混合させ、及び、さらに、水と混合させることによって、調製する。
【0106】
本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる有用な着色剤は、そのような目的に関して慣習的な全ての着色剤である。水中であまり溶解しない顔料と水中で溶解する染料のいずれも使用することができる。その例としては、「Rhodamin B」、「C.I.Pigment Red 112」及び「C.I.Solvent Red 1」の名称で知られている着色剤などを挙げることができる。
【0107】
本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる有用な湿潤剤は、農薬活性成分の製剤に関して慣習的に使用される、湿潤を促進する全ての物質である。好ましくは、アルキルナフタレンスルホネート類、例えば、ジイソプロピルナフタレンスルホネート又はジイソブチルナフタレンスルホネートなどを使用することができる。
【0108】
本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる有用な分散剤及び/又は乳化剤は、農薬活性成分の製剤に関して慣習的に使用される非イオン性、アニオン性及びカチオン性の全ての分散剤である。好ましくは、非イオン性若しくはアニオン性の分散剤又は非イオン性若しくはアニオン性の分散剤の混合物を使用することができる。有用な非イオン性分散剤としては、特に、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー類、アルキルフェノールポリグリコールエーテル類及びトリスチリルフェノールポリグリコールエーテル類、並びに、それらのリン酸化誘導体又は硫酸化誘導体などを挙げることができる。適しているアニオン性分散剤は、特に、リグノスルホネート類、ポリアクリル酸塩類及びアリールスルホネート/ホルムアルデヒド縮合物である。
【0109】
本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる消泡剤は、農薬活性成分の製剤中に関して慣習的に使用される全ての泡抑制物質である。好ましくは、シリコーン消泡剤及びステアリン酸マグネシウムを使用することができる。
【0110】
本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる防腐剤は、農薬組成物中で当該目的のために使用することが可能な全ての物質がである。例として、ジクロロフェン及びベンジルアルコールヘミホルマールなどを挙げることができる。
【0111】
本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる第2の増粘剤は、農薬組成物中で当該目的のために使用することが可能な全ての物質である。好ましい例としては、セルロース誘導体、アクリル酸誘導体、キサンタン、変性クレー及び微粉化シリカなどを挙げることができる。
【0112】
本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる粘着剤は、種子粉衣製品中で使用可能な全ての慣習的な結合剤である。好ましい例としては、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール及びチロースなどを挙げることができる。
【0113】
本発明に従って使用することが可能な種子施用用製剤は、広い範囲のさまざまな種類の種子を処理するために、直接的に使用することができるか、又は、予め水で希釈したあとで使用することができる。例えば、濃厚製剤(concentrate)又は水で希釈することによって濃厚製剤から得ることができる調製物は、禾穀類、例えば、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク及びライコムギなどの種子を粉衣するのに使用可能であり、並びに、さらに、トウモロコシ、ダイズ、イネ、ナタネ、エンドウマメ、インゲンマメ、ワタ、ヒマワリ及びビートの種子を粉衣するのに使用可能であり、又は、広い範囲のさまざまな野菜の種子を粉衣するのに使用可能である。本発明に従って使用することが可能な該製剤又はそれらの希釈された調製物は、トランスジェニック植物の種子に対しても使用することが可能である。この場合、発現により形成された物質との相互作用において、付加的な相乗効果が生じることもあり得る。
【0114】
本発明に従って使用することが可能な該製剤又は水を添加することによってその製剤から調製された調製物を用いて種子を処理する場合、種子施用に関して慣習的に使用可能な全ての混合装置が有用である。具体的には、種子施用における手順は、種子を混合機の中に入れること、所望される特定量の該製剤を、そのままで添加するか又は予め水で希釈したあとで添加すること、及び、施用された全ての製剤が当該種子の表面に均質に分配されるまで全てを混合させることである。適切な場合には、続いて乾燥工程を行う。
【0115】
本発明に従って使用することが可能な該製剤の施用量は、比較的広い範囲内で変えることができる。それは、当該製剤中の活性成分の特定の含有量及び種子に左右される。それぞれの単独の活性成分の施用量は、一般に、種子1kg当たり0.001〜15gであり、好ましくは、種子1kg当たり0.01〜5gである。
【0116】
GMO
上記で既に述べたように、本発明に従って、全ての植物及びそれらの部分を処理することができる。好ましい実施形態では、野生の植物種及び植物品種、又は、交雑若しくはプロトプラスト融合のような慣習的な生物学的育種法により得られた植物種及び植物品種、並びに、それらの部分を処理する。好ましいさらなる実施形態では、適切な場合には慣習的な方法と組み合わせた遺伝子工学的方法により得られたトランスジェニック植物及び植物品種(遺伝子組換え生物)及びそれらの部分を処理する。用語「部分(parts)」又は「植物の部分(parts of plants)」又は「植物の部分(plant parts)」については、既に上記で説明した。さらに好ましくは、市販されているか又は使用されている植物品種の植物を、本発明に従って処理する。植物品種は、慣習的な育種又は突然変異誘発又は組換えDNA技術によって得られた、新しい特性(「形質」)を有する植物を意味するものと理解される。これらは、品種、変種、生物型又は遺伝子型であることができる。
【0117】
本発明による処理方法は、遺伝子組換え生物(GMO)(例えば、植物又は種子)の処理において使用することができる。遺伝子組換え植物(又は、トランスジェニック植物)は、異種遺伝子がゲノムに安定的に組み込まれている植物である。表現「異種遺伝子」は、本質的に、供給されたか又は当該植物の外部で構築された遺伝子であって、核のゲノム、葉緑体のゲノム又はミトコンドリアのゲノムの中に導入されたときに、興味深いタンパク質若しくはポリペプチドを発現することにより、又は、その植物内に存在している別の1つ若しくは複数の遺伝子をダウンレギュレート若しくはサイレンシングすることにより、当該形質転換された植物に新しい又は改善された作物学的特性又は別の特性を付与する遺伝子を意味する〔例えば、アンチセンス技術、コサプレッション技術、RNA干渉(RNAi)技術又はミクロRNA(miRNA)技術などを使用する〕。ゲノム内に位置している異種遺伝子は、導入遺伝子とも称される。植物ゲノム内におけるその特異的な位置によって定義される導入遺伝子は、形質転換又は遺伝子導入イベントと称される。
【0118】
本発明に従って処理するのが好ましい植物及び植物品種は、特に有利で有益な形質を植物に付与する遺伝物質を有している全ての植物(育種によって得られたものであろうと、及び/又は、生物工学的方法によって得られたものであろうと)を包含する。
【0119】
本発明に従って処理するのが同様に好ましい植物及び植物品種は、1以上の生物的ストレスに対して抵抗性を示す。即ち、そのような植物は、害虫及び有害微生物に対して、例えば、線虫類、昆虫類、ダニ類、植物病原性の菌類、細菌類、ウイルス類及び/又はウイロイド類などに対して、良好な防御を示す。
【0120】
本発明に従って同様に処理し得る植物及び植物品種は、1以上の非生物的ストレスに対して抵抗性を示す植物である。非生物的なストレス状態としては、例えば、渇水、低温に晒されること、熱に晒されること、浸透ストレス、湛水、土壌中の塩分濃度の上昇、より多くの鉱物に晒されること、オゾンに晒されること、強い光に晒されること、利用可能な窒素養分が限られていること、利用可能なリン養分が限られていること、日陰回避などを挙げることができる。
【0121】
本発明に従って同様に処理し得る植物及び植物品種は、増大した収量特性を特徴とする植物である。そのような植物における増大した収量は、例えば、改善された植物の生理機能、生長及び発育、例えば、水の利用効率、水の保持効率、改善された窒素の利用性、強化された炭素同化作用、改善された光合成、上昇した発芽効率及び促進された成熟などの結果であり得る。収量は、さらに、改善された植物の構成(architecture)によっても影響され得る(ストレス条件下及び非ストレス条件下)。そのような改善された植物の構成としては、限定するものではないが、早咲き、ハイブリッド種子産生のための開花制御、実生の活力、植物の寸法、節間の数及び距離、根の成長、種子の寸法、果実の寸法、莢の寸法、莢又は穂の数、1つの莢又は穂当たりの種子の数、種子の体積、強化された種子充填、低減された種子分散、低減された莢の裂開及び耐倒伏性などがある。収量についてのさらなる形質としては、種子の組成、例えば、炭水化物の含有量及び組成(例えば、ワタ)、又は、デンプン、タンパク質含有量、油の含有量及び組成、栄養価、抗栄養化合物の低減、改善された加工性並びに向上した貯蔵安定性などがある。
【0122】
本発明に従って処理し得る植物は、雑種強勢(これは、結果として、一般に、増加した収量、向上した活力、向上した健康状態並びに生物的及び非生物的ストレスに対する向上した抵抗性をもたらす)の特性を既に呈しているハイブリッド植物である。
【0123】
本発明に従って処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得られたもの)は、除草剤耐性植物、即ち、1種類以上の所与の除草剤に対して耐性にされた植物である。そのような植物は、遺伝的形質転換によって得ることができるか、又は、当該除草剤耐性を付与する突然変異を含んでいる植物を選抜することによって得ることができる。
【0124】
本発明に従って同様に処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得られたもの)は、昆虫抵抗性トランスジェニック植物、即ち、特定の標的昆虫による攻撃に対して抵抗性にされた植物である。そのような植物は、遺伝的形質転換によって得ることができるか、又は、そのような昆虫抵抗性を付与する突然変異を含んでいる植物を選抜することによって得ることができる。
【0125】
本発明に従って同様に処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得られたもの)は、非生物的ストレスに対して耐性を示す。そのような植物は、遺伝的形質転換によって得ることができるか、又は、そのようなストレス抵抗性を付与する突然変異を含んでいる植物を選抜することによって得ることができる。
【0126】
本発明に従って同様に処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得られたもの)は、収穫された生産物の改変された量、品質及び/若しくは貯蔵安定性、並びに/又は、収穫された生産物の特定の成分の改変された特性を示す。
【0127】
本発明に従って同様に処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得ることができるもの)は、改変された繊維特性を有する植物(例えば、ワタ植物)である。そのよう植物は、遺伝的形質転換によって得ることができるか、又は、そのような改変された繊維特性を付与する突然変異を含んでいる植物を選抜することによって得ることができる。
【0128】
本発明に従って同様に処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得ることができるもの)は、改変されたオイルプロフィール特性を有する植物(例えば、ナタネ植物又は関連するアブラナ属植物)である。そのよう植物は、遺伝的形質転換によって得ることができるか、又は、そのような改変されたオイルプロフィール特性を付与する突然変異を含んでいる植物を選抜することによって得ることができる。
【0129】
本発明に従って同様に処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得ることができるもの)は、改変された種子脱粒特性を有する植物(例えば、ナタネ植物又は関連するアブラナ属植物)である。そのよう植物は、遺伝的形質転換によって得ることができるか、又は、そのような改変された種子脱粒特性を付与する突然変異を含んでいる植物を選抜することによって得ることができる。そのような植物としては、種子の脱粒が遅延されているか又は低減されている植物(例えば、ナタネ植物)などがある。
【0130】
本発明に従って同様に処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得ることができるもの)は、翻訳後タンパク質修飾パターンが改変されている植物(例えば、タバコ植物)である。
【0131】
施用量
式(I)で表される化合物を殺菌剤として使用する場合、その施用量は、施用の種類に応じて、比較的広い範囲内で変えることができる。本発明の活性成分の施用量は、以下のとおりである:
・ 植物の部分、例えば、葉を処理する場合: 0.1〜10000g/ha、好ましくは、10〜1000g/ha、さらに好ましくは、50〜300g/ha(潅水又は滴下によって施用する場合、特に、ロックウール又はパーライトなどの不活性底土を用いる場合には、上記施用量はさらに低減させることができる);
・ 種子を処理する場合: 種子100kg当たり0.1〜200g、好ましくは、種子100kg当たり1〜150g、さらに好ましくは、種子100kg当たり2.5〜25g、さらに一層好ましくは、種子100kg当たり2.5〜12.5g;
・ 土壌を処理する場合: 0.1〜10000g/ha、好ましくは、1〜5000g/ha。
【0132】
上記施用量は、単に例としてのものであり、本発明の目的に関して限定するものではない。
【実施例】
【0133】
下記実施例によって、本発明について例証する。しかしながら、本発明は、それら実施例に限定されるものではない。
【0134】
調製実施例
上記実施例と同様にして、及び、本発明による化合物を調製する方法についての一般的な記載に従って、下記表1中の式(I)で表される化合物を得ることができる。
【表1】
【0135】
LogP値の測定は、「EEC directive 79/831 Annex V.A8」に従い、下記方法を用いて、逆相カラムでのHPLC(高性能液体クロマトグラフィー)によって実施した:
[a] LogP値は、水中の0.1%ギ酸及びアセトニトリルを溶離液として用いて(10%アセトニトリルから95%アセトニトリルまでの直線勾配)、酸性範囲内において、LC−UVを測定することによって求める。
【0136】
較正は、LogP値が知られている直鎖アルカン−2−オン(3個〜16個の炭素原子を有している)を用いて実施した(LogP値は、連続するアルカノンの間の線形補間によって、保持時間を用いて測定する)。ラムダマックス値は、200nm〜400nmの紫外線スペクトル及びクロマトグラフシグナルのピーク値を用いて決定した。
【0137】
上記実施例と同様にして、及び、本発明による化合物を調製する方法についての一般的な記載に従って、下記表2中の式(III)で表される化合物を得ることができる。
【表2】
【0138】
LogP値の測定は、「EEC directive 79/831 Annex V.A8」に従い、下記方法を用いて、逆相カラムでのHPLC(高性能液体クロマトグラフィー)によって実施した:
[a] LogP値は、水中の0.1%ギ酸及びアセトニトリルを溶離液として用いて(10%アセトニトリルから95%アセトニトリルまでの直線勾配)、酸性範囲内において、LC−UVを測定することによって求める。
【0139】
較正は、LogP値が知られている直鎖アルカン−2−オン(3個〜16個の炭素原子を有している)を用いて実施した(LogP値は、連続するアルカノンの間の線形補間によって、保持時間を用いて測定する)。ラムダマックス値は、200nm〜400nmの紫外線スペクトル及びクロマトグラフシグナルのピーク値を用いて決定した。
【0140】
NMRピークリスト
選択された実施例の1H−NMRデータは、1H−NMRピークリストの形態で記載されている。各シグナルピークに対して、δ値(ppm)及びシグナル強度(丸括弧内)が記載されている。δ値−シグナル強度の対の間には、区切り符号としてセミコロンが存在している。
【0141】
従って、1つの例のピークリストは、以下の形態をとる:
δ(強度);δ(強度);...;δ(強度);...;δ(強度)。
【0142】
先鋭なシグナルの強度は、NMRスペクトルの印刷された例におけるシグナルの高さ(cm)と相関し、シグナル強度の真の関係を示している。幅が広いシグナルからは、数種類のピーク又は該シグナルの中央及び当該スペクトルの中の最も強いシグナルと比較したそれらの相対的強度が示され得る。
【0143】
1Hスペクトルの化学シフトを較正するために、特にスペクトルがDMSO中で測定される場合には、テトラメチルシランを使用するか及び/又は用いられる溶媒の化学シフトを使用する。従って、NMRピークリストでは、テトラメチルシランのピークは存在し得るが、必ずしも存在するわけではない。
【0144】
1H−NMRピークリストは、古典的な1H−NMRのプリントと類似しており、従って、通常、NMRの古典的な解釈で記載される全てのピークを含んでいる。
【0145】
さらに、それらは、古典的な1H−NMRのプリントのように、溶媒のシグナル、目標化合物の立体異性体(これも、本発明の対象である)のシグナル及び/又は不純物のピークのシグナルも示し得る。
【0146】
溶媒及び/又は水のデルタ−範囲内における化合物シグナルを示すために、溶媒の通常のピーク(例えば、DMSO−D中のDMSOのピーク)及び水のピークは、本発明者らの1H−NMRピークリストの中に示されており、そして、通常、平均して高い強度を有している。
【0147】
目標化合物の立体異性体のピーク及び/又は不純物のピークは、通常、平均して、目標化合物(例えば、純度>90%)のピークよりも低い強度を有している。
【0148】
そのような立体異性体及び/又は不純物は、特定の調製方法に対して特有であり得る。従って、それらのピークは、本発明者らの調製方法の再現性を「副産物の指紋(side−products−fingerprints)」によって認識するのに役立ち得る。
【0149】
目標化合物のピークを既知方法(MestreC、ACD−シミュレーション、さらに、経験的に評価された期待値の使用)で計算する専門家は、必用に応じて、場合により付加的な強度フィルターを使用して、目標化合物のピークを分離することができる。この分離は、1H−NMRの古典的な解釈での関連するピークのピッキングに類似しているであろう。
【0150】
ピークリストによるNMRデータの記載のさらなる詳細については、「Research Disclosure Database Number 564025」の刊行物「Citation of NMR Peaklist Data within Patent Applications」の中に見いだすことができる。
【表3】
【0151】
実験的実施例
【化10】
【0152】
3−エチル−1,1−ジメチルインダン−4−アミン(5g、26.41mmol、1eq.)、DMAP(0.161g、1.32mmol、0.05eq.)及びTEA(4g、5.52mL、39.62mmol、1.5eq.)をTHF(200mL)に溶解させた冷(0℃)溶液に、2−(ジフルオロメチル)ニコチノイルクロリド(5.56mmol、29.05mmol、1.1eq.)をTHF(25mL)に溶解させた溶液を滴下して加える。添加が終了したら、その反応物を室温で3時間撹拌する。次いで、その溶媒を減圧下で除去し、残渣をAcOEtの中で摩砕する。固体を濾過により除去し、その溶液を、1N 水性HCl、1N 水性NaOH及びブラインで洗浄する。その有機相をMgSOで脱水し、濃縮して、黒ずんだシロップ状物が得られる。シリカゲルクロマトグラフィーで精製して、2−(ジフルオロメチル)−N−(3−エチル−1,1−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル)ニコチンアミド(8.38g、68%)が白色の固体として得られる。
【0153】
NMRデータに関しては、表1を参照されたい。
【化11】
【0154】
2−(ジフルオロメチル)ニコチン酸(25g、144mmol、1eq.)をDCM(200mL)に懸濁させた懸濁液に、塩化チオニル(85.9g、52.66mL、722mmol、5eq.)及びDMF(0.1g、0.11mL、1.44mmol、0.01eq.)を添加する。その反応物を2時間環流し、さらに、室温で一晩撹拌する。溶媒及び余分な塩化チオニルを減圧下で除去して、2−(ジフルオロメチル)ニコチノイルクロリドが黄色みを帯びた油状物(26.5g、96%)として得られる。これは、それ以上精製することなく次の段階で使用した。
【0155】
H−NMR(300MHz,CDCl):8.92(d,1H);8.55(d,1H);7.65(dd,1H),7.13(t,1H)。
【化12】
【0156】
2−(ジフルオロメチル)ニコチン酸エチル(0.1g、0.49mmol、1eq.)をEtOH(4mL)に溶解させた溶液に、1N 水性NaOH(0.74mL、0.74mmol、1.5eq.)を添加する。一晩撹拌し、その反応物を減圧下で濃縮する。その水層を1N 水性HClで酸性化し、AcOEtで抽出して、2−(ジフルオロメチル)ニコチン酸(82mg、95%)が固体として得られる。
【0157】
H−NMR(300MHz,DMSO):8.85(d,1H);8.32(d,1H);7.70(dd,1H);7.53(t,1H)。
【化13】
【0158】
エチル−5−(ジエチルアミノ)−2−(ジフルオロアセチル)ペンタ−2,4−ジエノエート(6.78g、24.6mmol、1eq.)をエタノール(30mL)に溶解させた溶液を環流温度まで加熱し、その後、水酸化アンモニウム(25%−11mL)をゆっくりと添加する。90分間経過した後、その混合物を20℃まで冷却し、水性希塩酸(0.1M)を用いて中和する。エタノールの大部分を蒸発させ、残った水層をAcOEt(3×40mL)で抽出する。その有機層を合してMgSOで脱水し、減圧下で濃縮して、2−(ジフルオロメチル)ニコチン酸エチル(2.95g、60%)が生成される。
【0159】
H−NMR(400MHz,DMSO):8.89(d,1H);8.33(d,1H);7.74(dd,1H);7.42(t,1H);4.36(t,2H);1.33(q,3H)。
【化14】
【0160】
ジエチルホルムアミド(3.3g、3mL、32.6mmol、1.1eq.)をDCM(45mL)に溶解させた溶液を0℃まで冷却し、それに、塩化オキサリル(4.5g、35.4mmol、1.2eq.)をゆっくりと添加する。20℃まで昇温させてさらに30分間撹拌した後、その混合物を0℃まで冷却し、n−ブチルビニルエーテル(6.0g、59mmol、2eq.)を添加する。20℃で2時間撹拌した後、その橙色の溶液を再度0℃まで冷却し、次いで、ジフルオロアセチルアセテート(5.0g、29.5mmol、1eq.)及びトリエチルアミン(9.0g、88.5mmol、3eq.)を添加する。その混合物は、直ぐに、赤色の懸濁液に変わる。冷却することなく10分間撹拌した後、45mLの10%水性塩酸を添加する。ジクロロメタン(3×45mL)で抽出した後、その有機層を合して脱水し(MgSO)、減圧下で濃縮する。ヘキサン(45mL)を添加して、橙色の結晶が生じる。これを濾過により単離し、減圧下で乾燥させて、エチル−5−(ジエチルアミノ)−2−(ジフルオロアセチル)ペンタ−2,4−ジエノエート(6.78g、83%)が得られる。
【0161】
H−NMR(400MHz,CDCl):7.85(dd、1H);7.26(m、2H);6.75(t、1H);4.26(q、2H);3.43(m、4H);1.32(m、9H)。
【化15】
【0162】
3−(2−アミノフェニル)−5−メチルヘキサン−3−オール(0.632g、3.04mmol、1eq.)をPPA(5.9g、30.48mmol、10eq.)に懸濁させた懸濁液を、3日間80℃まで加熱する。GC−MSは、完全に変換したことを示す。次いで、その反応物を室温まで冷却し、水酸化アンモニウム溶液(25%)と氷を強く撹拌しながら、それに、注ぎ入れる。次いで、その混合物をAcOEt(3×150mL)で抽出し、その有機物を合してMgSOで脱水し、減圧下で濃縮する。その残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、3−エチル−1,1−ジメチルインダン−4−アミン(0.351g、52%)が透明な油状物として得られる。
【0163】
NMRデータに関しては、表2を参照されたい。
【0164】
実施例: アルテルナリア・ブラシカエ(Alternaria brassicae)(ダイコンにおける黒斑病)に対するインビボ予防試験
溶媒: 5体積%のジメチルスルホキシド
10体積%のアセトン
乳化剤: 活性成分1mg当たり1μLのTween(登録商標)80
活性成分を、ジメチルスルホキシド/アセトン/Tween(登録商標)80の混合物の中で、可溶化及び均質化し、次いで、水で稀釈して所望の濃度とする。
【0165】
ダイコンの幼植物を、上記のように調製された活性成分を噴霧することによって処理する。対照植物は、アセトン/ジメチルスルホキシド/Tween(登録商標)80の水溶液のみで処理する。
【0166】
24時間経過した後、アルテルナリア・ブラシカエ(Alternaria brassicae)の胞子の水性懸濁液を葉に噴霧することにより、該植物を汚染する。その汚染されたダイコン植物を、20℃、相対湿度100%で6日間インキュベートする。
【0167】
当該試験について、上記接種の6日後に評価する。0%は、対照植物の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、病害が観察されないことを意味する。
【0168】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、90%〜100%の効力を示した: 1;2;3。
【0169】
実施例: ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)(灰色かび病)に対するインビボ予防試験
溶媒: 5体積%のジメチルスルホキシド
10体積%のアセトン
乳化剤: 活性成分1mg当たり1μLのTween(登録商標)80
活性成分を、ジメチルスルホキシド/アセトン/Tween(登録商標)80の混合物の中で、可溶化及び均質化し、次いで、水で稀釈して所望の濃度とする。
【0170】
ガーキン(gherkin)の幼植物を、上記のように調製された活性成分を噴霧することによって処理する。対照植物は、アセトン/ジメチルスルホキシド/Tween(登録商標)80の水溶液のみで処理する。
【0171】
24時間経過した後、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)の胞子の水性懸濁液を葉に噴霧することにより、該植物を汚染する。その汚染されたガーキン植物を、17℃、相対湿度90%で4〜5日間インキュベートする。
【0172】
当該試験について、上記接種の4〜5日後に評価する。0%は、対照植物の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、病害が観察されないことを意味する。
【0173】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、70%〜79%の効力を示した: 6;13。
【0174】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、80%〜89%の効力を示した: 3;15。
【0175】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、90%〜100%の効力を示した: 1;2;11;14。
【0176】
同じ条件下で、実施例2の化合物を活性成分の薬量100ppmで用いて極めて優れた保護が観察されるが、EP0256503の化合物11では不充分な保護しか観察されない。
【表4】
【0177】
実施例: プッシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)(コムギの赤さび病)に対するインビボ予防試験
溶媒: 5体積%のジメチルスルホキシド
10体積%のアセトン
乳化剤: 活性成分1mg当たり1μLのTween(登録商標)80
活性成分を、ジメチルスルホキシド/アセトン/Tween(登録商標)80の混合物の中で、可溶化及び均質化し、次いで、水で稀釈して所望の濃度とする。
【0178】
コムギの幼植物を、上記のように調製された活性成分を噴霧することによって処理する。対照植物は、アセトン/ジメチルスルホキシド/Tween(登録商標)80の水溶液のみで処理する。
【0179】
24時間経過した後、プッシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)の胞子の水性懸濁液を葉に噴霧することにより、該植物を汚染する。その汚染されたコムギ植物を、20℃、相対湿度100%で24時間インキュベートし、次いで、20℃、相対湿度70〜80%で10日間インキュベートする。
【0180】
当該試験について、上記接種の11日後に評価する。0%は、対照植物の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、病害が観察されないことを意味する。
【0181】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、70%〜79%の効力を示した: 9;12。
【0182】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、80%〜89%の効力を示した: 4;7。
【0183】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、90%〜100%の効力を示した: 1;2;3;5;6;8;10;11;13;14;15。
【0184】
実施例: ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)(オオムギの網斑病)に対するインビボ予防試験
溶媒: 5体積%のジメチルスルホキシド
10体積%のアセトン
乳化剤: 活性成分1mg当たり1μLのTween(登録商標)80
活性成分を、ジメチルスルホキシド/アセトン/Tween(登録商標)80の混合物の中で、可溶化及び均質化し、次いで、水で稀釈して所望の濃度とする。
【0185】
オオムギの幼植物を、上記のように調製された活性成分を噴霧することによって処理する。対照植物は、アセトン/ジメチルスルホキシド/Tween(登録商標)80の水溶液のみで処理する。
【0186】
24時間経過した後、ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)の胞子の水性懸濁液を葉に噴霧することにより、該植物を汚染する。その汚染されたオオムギ植物を、20℃、相対湿度100%で48時間インキュベートし、次いで、20℃、相対湿度70〜80%で12日間インキュベートする。
【0187】
当該試験について、上記接種の14日後に評価する。0%は、対照植物の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、病害が観察されないことを意味する。
【0188】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、70%〜79%の効力を示した: 5。
【0189】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、80%〜89%の効力を示した: 1;3;11。
【0190】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、90%〜100%の効力を示した: 2;6。
【0191】
同じ条件下で、実施例2の化合物を活性成分の薬量100ppmで用いて極めて優れた保護が観察され、及び、活性成分の薬量10ppmで用いて中程度の保護が観察されるが、2−クロロ−N−(3−エチル−1,1−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル)ニコチンアミドを用いた場合、100ppmで中程度の保護が観察され、及び、10ppmでは保護が全く観察されず、並びに、EP0256503の化合物11を用いた場合、両方の薬量で保護が全く観察されない。
【表5】
【0192】
実施例: セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)(コムギの葉枯病(leaf spot))に対するインビボ予防試験
溶媒: 5体積%のジメチルスルホキシド
10体積%のアセトン
乳化剤: 活性成分1mg当たり1μLのTween(登録商標)80
活性成分を、ジメチルスルホキシド/アセトン/Tween(登録商標)80の混合物の中で、可溶化及び均質化し、次いで、水で稀釈して所望の濃度とする。
【0193】
コムギの幼植物を、上記のように調製された活性成分を噴霧することによって処理する。対照植物は、アセトン/ジメチルスルホキシド/Tween(登録商標)80の水溶液のみで処理する。
【0194】
24時間経過した後、セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)の胞子の水性懸濁液を葉に噴霧することにより、該植物を汚染する。その汚染されたコムギ植物を、18℃、相対湿度100%で72時間インキュベートし、次いで、20℃、相対湿度90%で21日間インキュベートする。
【0195】
当該試験について、上記接種の24日後に評価する。0%は、対照植物の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、病害が観察されないことを意味する。
【0196】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、80%〜89%の効力を示した: 11;14。
【0197】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、90%〜100%の効力を示した: 2。
【0198】
同じ条件下で、実施例2の化合物を活性成分の薬量10ppmで用いて極めて優れた保護が観察されるが、2−クロロ−N−(3−エチル−1,1−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル)ニコチンアミド及びEP0256503の化合物11を用いた場合、中程度の保護しか観察されない。
【表6】
【0199】
実施例: スファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)(ウリ科植物のうどんこ病)に対するインビボ予防試験
溶媒: 5体積%のジメチルスルホキシド
10体積%のアセトン
乳化剤: 活性成分1mg当たり1μLのTween(登録商標)80
活性成分を、ジメチルスルホキシド/アセトン/Tween(登録商標)80の混合物の中で、可溶化及び均質化し、次いで、水で稀釈して所望の濃度とする。
【0200】
ガーキンの幼植物を、上記のように調製された活性成分を噴霧することによって処理する。対照植物は、アセトン/ジメチルスルホキシド/Tween(登録商標)80の水溶液のみで処理する。
【0201】
24時間経過した後、スファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)の胞子の水性懸濁液を葉に噴霧することにより、該植物を汚染する。その汚染されたガーキン植物を、18℃、相対湿度100%で72時間インキュベートし、次いで、20℃、相対湿度70〜80%で12日間インキュベートする。
【0202】
当該試験について、上記接種の15日後に評価する。0%は、対照植物の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、病害が観察されないことを意味する。
【0203】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、90%〜100%の効力を示した: 1;2;3;5;6;10;11;13;15。
【0204】
同じ条件下で、実施例2の化合物を活性成分の薬量10ppmで用いて完全な保護が観察されるが、2−クロロ−N−(3−エチル−1,1−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル)ニコチンアミドを用いた場合、不充分な保護しか観察されず、及び、EP0256503の化合物11を用いた場合、中程度の保護が観察される。
【表7】
【0205】
実施例: ウロミセス・アペンジクラツス(Uromyces appendiculatus)(インゲンマメのさび病)に対するインビボ予防試験
溶媒: 5体積%のジメチルスルホキシド
10体積%のアセトン
乳化剤: 活性成分1mg当たり1μLのTween(登録商標)80
活性成分を、ジメチルスルホキシド/アセトン/Tween(登録商標)80の混合物の中で、可溶化及び均質化し、次いで、水で稀釈して所望の濃度とする。
【0206】
インゲンマメの幼植物を、上記のように調製された活性成分を噴霧することによって処理する。対照植物は、アセトン/ジメチルスルホキシド/Tween(登録商標)80の水溶液のみで処理する。
【0207】
24時間経過した後、ウロミセス・アペンジクラツス(Uromyces appendiculatus)の胞子の水性懸濁液を葉に噴霧することにより、該植物を汚染する。その汚染されたインゲンマメ植物を、20℃、相対湿度100%で24時間インキュベートし、次いで、20℃、相対湿度70〜80%で10日間インキュベートする。
【0208】
当該試験について、上記接種の11日後に評価する。0%は、対照植物の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、病害が観察されないことを意味する。
【0209】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、70%〜79%の効力を示した: 4。
【0210】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、90%〜100%の効力を示した: 1;2;3;5;6;8;10;11;13;14;15。
【0211】
実施例: コリネスポラ(Corynespora)試験(トマト)に対するインビボ予防試験
溶媒: 24.5重量部のアセトン
24.5重量部のジメチルアセトアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を調製するために、1重量部の活性化合物を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。
【0212】
予防活性について試験するために、幼植物に、活性化合物の該調製物を記載されている施用量で噴霧する。その噴霧による被膜が乾燥した後、該植物に、コリネスポラ・カッシイコラ(Corynespora cassiicola)の胞子の水性懸濁液を用いて接種する。次いで、その植物を、約20℃で相対大気湿度100%のインキュベーション室の中に置く。
【0213】
当該試験について、上記接種の3日後に評価する。0%は、処理されていない対照の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、病害が観察されないことを意味する。
【0214】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度250ppmで、90%〜100%の効力を示した: 2;3;5。
【0215】
実施例: ファコプソラ(Phakopsora)試験(ダイズ)に対するインビボ予防試験
溶媒: 24.5重量部のアセトン
24.5重量部のジメチルアセトアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を調製するために、1重量部の活性化合物を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。
【0216】
予防活性について試験するために、幼植物に、活性化合物の該調製物を記載されている施用量で噴霧する。その噴霧による被膜が乾燥した後、該植物に、ダイズさび病の病原であるファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)の胞子の水性懸濁液を用いて接種し、その植物を、約24℃で相対大気湿度95%のインキュベーション室の中に光無しで24時間置く。
【0217】
その植物を、約24℃、相対大気湿度約80%で、昼/夜の間隔12時間のインキュベーション室の中に置く。
【0218】
当該試験について、上記接種の7日後に評価する。0%は、処理されていない対照の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、病害が観察されないことを意味する。
【0219】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度10ppmで、90%〜100%の効力を示した: 2;3;5;6;10。
【0220】
実施例: ベンツリア(Venturia)試験(リンゴ)に対するインビボ予防試験
溶媒: 24.5重量部のアセトン
24.5重量部のジメチルアセトアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を調製するために、1重量部の活性化合物を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。
【0221】
予防活性について試験するために、幼植物に、活性化合物の該調製物を記載されている施用量で噴霧する。その噴霧による被膜が乾燥した後、該植物に、リンゴ黒星病の病原であるベンツリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis)の分生子の水性懸濁液を用いて接種し、次いで、その植物を、約20℃で相対大気湿度100%のインキュベーション室の中に1日間置く。
【0222】
次いで、その植物を、約21℃で相対大気湿度約90%の温室の中に置く。
【0223】
当該試験について、上記接種の10日後に評価する。0%は、処理されていない対照の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、病害が観察されないことを意味する。
【0224】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、90%〜100%の効力を示した: 2;3;5;6。
【0225】
実施例: フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)試験(コムギ)に対するインビボ予防試験
溶媒: 49重量部のN,N−ジメチルアセトアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を調製するために、1重量部の活性化合物又は活性化合物組合せを上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。
【0226】
予防活性について試験するために、幼植物に、活性化合物又は活性化合物組合せの該調製物を記載されている施用量で噴霧する。その噴霧による被膜が乾燥した後、該植物にサンドブラストを用いて僅かに傷をつけ、その後、該植物に、フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)の分生子の懸濁液を噴霧する。
【0227】
その植物を、温室内の、温度約22℃で相対大気湿度約100%の半透明のインキュベーションキャビネットの下に置く。
【0228】
当該試験について、上記接種の5日後に評価する。0%は、処理されていない対照の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、病害が観察されないことを意味する。
【0229】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、90%〜100%の効力を示した: 2;3;6。
【0230】
実施例: セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)試験(コムギ)に対するインビボ予防試験
溶媒: 49重量部のN,N−ジメチルアセトアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を調製するために、1重量部の活性化合物又は活性化合物組合せを上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。
【0231】
予防活性について試験するために、幼植物に、活性化合物又は活性化合物組合せの該調製物を記載されている施用量で噴霧する。
【0232】
その噴霧による被膜が乾燥した後、該植物にセプトリア・トリチシ(Septoria tritici)の胞子の懸濁液を噴霧する。その植物を、約20℃で相対大気湿度100%のインキュベーション室の中に48時間置き、その後、約15℃で相対大気湿度約100%の半透明のインキュベーション室の中に置く。
【0233】
その植物を、温度約15℃で相対大気湿度80%の温室の中におく。
【0234】
当該試験について、上記接種の21日後に評価する。0%は、処理されていない対照の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、病害が観察されないことを意味する。
【0235】
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、90%〜100%の効力を示した: 5
この試験において、本発明による以下の化合物は、活性成分の濃度100ppmで、90%〜100%の効力を示した: 2;3;6。