特許第6501811号(P6501811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6501811
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】二重管ロッド脱着装置
(51)【国際特許分類】
   E21B 19/14 20060101AFI20190408BHJP
   E21B 19/086 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   E21B19/14
   E21B19/086
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-34791(P2017-34791)
(22)【出願日】2017年2月27日
(65)【公開番号】特開2018-141285(P2018-141285A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2017年11月28日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「再生可能エネルギー熱利用技術開発」業務委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504242375
【氏名又は名称】株式会社日伸テクノ
(73)【特許権者】
【識別番号】000168506
【氏名又は名称】鉱研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴 田 和 夫
(72)【発明者】
【氏名】森 広 晃
【審査官】 苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/129337(WO,A1)
【文献】 特開2011−226086(JP,A)
【文献】 特開平05−302488(JP,A)
【文献】 特開2014−205968(JP,A)
【文献】 特開昭50−072801(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/089528(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00〜 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削機に設けられ、インナーロッド及びアウターロッドからなる二重管ロッドを継ぎ足しや回収するための脱着装置であって、
前記二重管ロッドの複数を横並び状に立設させて支持するターンプレートと、
ループ状の移動路を有し、前記移動路に沿って前記ターンプレートの複数が周回可能に配置されるロッドコンテナと、
前記ロッドコンテナに回転駆動可能に設けられ、前記ターンプレートに連結されてターンテーブルが周回するための移動力を作用させるターンプレート移動手段と、
開閉動作するグリップ爪を有し、前記インナーロッド及びアウターロッドを掴持及び解放するグリッパーと、
前記グリッパーを上下移動させると共に前記ターンプレート上で横並び状となっている複数の二重管ロッドのそれぞれに対応して前記グリッパーを進退移動させるグリッパー駆動手段と、を備え、
前記ターンプレート移動手段は、前記ロッドコンテナのループ状の移動路の内側に回転可能に立設した回転ロッド及び従動ロッドと、前記回転ロッドを回転させる回転用モータと、前記回転ロッド及び従動ロッドを連結する回転伝達手段と、内側の二重管ロッドに係合可能な係合用凹部が形成され前記回転ロッド及び従動ロッドに取り付けられて一体回転するロッドガイドと、を備え、
前記ターンプレートは前記回転伝達手段に連結されて前記移動力が付与されることを特徴とする二重管ロッド脱着装置。
【請求項2】
前記グリッパー駆動手段は傾斜手段をさらに備え、前記ターンプレート上に立設した二重管ロッドに対して全体が傾斜することにより前記グリッパーを二重管ロッドから退避させる構造となっていることを特徴とする請求項1記載の二重管ロッド脱着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削機に設けられることにより、インナーロッド及びアウターロッドからなる二重管ロッドを掘削時に継ぎ足し、回収するための二重管ロッド脱着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、掘削機による掘削時に二重管ロッドを継ぎ足し及び回収するための二重管ロッド脱着装置が記載されている。この装置は、複数の二重管ロッドをループ状の移動軌道に沿って立設状に配置したコンテナと、コンテナから二重管ロッドを取り出し又は戻すグリッパーとを備えている。コンテナは移動軌道を駆動して二重管ロッドを順次移動させる。ロッドの継ぎ足しが必要になった時、グリッパーが二重管ロッドを掴持してコンテナから引き出して掘削機のドリルヘッドに供給し、ロッドの回収が必要になった時、グリッパーが二重管ロッドを掘削機から引き取ってコンテナに戻すものである。
特許文献2には、二重管ロッドを掘削機に供給するハンドリング装置が記載されている。この装置は、起倒自在のレイズフレームと、シャフトに設けたロッドホルダ、インナーロッドクランプ、アウターロッドクランプとを備えた構造となっている。このハンドリング装置に対しては、手作業で二重管ロッドを装填、回収するものである。
特許文献3には、マガジンに対してロッドを2段で格納するため、2つの螺旋状の溝をマガジンに形成すると共に、2つの螺旋状の溝に合わせた2つの支持溝をセットプレートに形成する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2007−129337 A1公報
【特許文献2】特開平5−263581号公報
【特許文献3】特開2014−205968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の装置では、コンテナに対する二重管ロッドの配置が単列であるため、ロッドの格納本数が増えるのに伴ってコンテナが長く大きくなって、占有スペースが大きくなる。このため、装置全体及び動作が大掛かりとなり、掘削機に搭載するのに制約が生じる問題がある。
特許文献2の装置では、装置へのロッドの装填、回収を人力によって行う必要があるため、1本ずつの作業となり迅速な作業ができず作業性が悪いと共に人身事故リスクが高く、連続的な稼働が難しい問題がある。
特許文献3の装置は、二重管ロッドではなく、単管ロッドへ適用する装置であり、従って、二重管掘削のロッドの取り出しや格納に適用することができないものとなっている。例えば、二重管掘削では、インナーロッドを格納した後、アウターロッドを同じ位置に格納して二重管ロッドへのセットを行う必要があるが、これができない問題がある。
【0005】
本発明は、以上の問題点を考慮してなされたものであり、二重管ロッドを供給するための構造を大きくすることなく、コンパクトであっても多くの本数の二重管ロッドをセットすることができ、しかも二重管ロッドの継ぎ足し、回収を効率良く行うことができる二重管ロッド脱着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の二重管ロッド脱着装置は、掘削機に設けられ、インナーロッド及びアウターロッドからなる二重管ロッドを継ぎ足しや回収するための脱着装置であって、前記二重管ロッドの複数を横並び状に立設させて支持するターンプレートと、ループ状の移動路を有し、前記移動路に沿って前記ターンプレートの複数が周回可能に配置されるロッドコンテナと、前記ロッドコンテナに回転駆動可能に設けられ、前記ターンプレートに連結されてターンテーブルが周回するための移動力を作用させるターンプレート移動手段と、開閉動作するグリップ爪を有し、前記インナーロッド及びアウターロッドを掴持及び解放するグリッパーと、前記グリッパーを上下移動させると共に前記ターンプレート上で横並び状となっている複数の二重管ロッドのそれぞれに対応して前記グリッパーを進退移動させるグリッパー駆動手段と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
上記装置において、前記ターンプレート移動手段は、前記ロッドコンテナのループ状の移動路の内側に回転可能に立設した回転ロッド及び従動ロッドと、前記回転ロッドを回転させる回転用モータと、前記回転ロッド及び従動ロッドを連結する回転伝達手段とを備え、前記ターンテーブルは前記回転伝達手段に連結されて前記移動力が付与されることを特徴とする。
又、前記ターンプレート移動手段は、前記内側の二重管ロッドに係合可能な係合用凹部が形成され、前記回転ロッド及び従動ロッドに取り付けられて一体回転するロッドガイドをさらに備えていることを特徴とする。
さらに、前記グリッパー駆動手段は傾斜手段をさらに備え、前記ターンプレート上に立設した二重管ロッドに対して全体が傾斜することにより前記グリッパーを二重管ロッドから退避させる構造となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、二重管ロッドの継ぎ足し及び回収する構造をコンパクトとすることができ、しかも多くの本数の二重管ロッドをセットすることができ、二重管ロッドの継ぎ足し、回収を効率良く行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の二重管ロッド脱着装置(以下、ロッド脱着装置)を示す側面図である。
図2】ロッド脱着装置の正面図である。
図3】ロッド脱着装置の平面図である。
図4】ロッド脱着装置に用いるロッドコンテナを示す側面図である。
図5】ロッドコンテナの正面図である。
図6】ロッドコンテナ上のターンプレートを示す平面図である。
図7】ロッド脱着装置に用いるターンプレート及びターンプレート移動手段を示す側面からの断面図である。
図8図7の正面図である。
図9】ターンプレート移動手段の要部を示す平面図である。
図10】ターンプレート移動手段とターンプレートの関係を示す図7のA−A矢視図である。
図11】グリッパー駆動手段を示す側面図である。
図12】グリッパーが閉じた状態を示す平面図である。
図13】グリッパーが開いた状態を示す平面図である。
図14】グリッパーの掴持動作を示す平面図である。
図15】傾斜手段を備えたグリッパー駆動手段を示す正面図である。
図16】傾斜手段を備えたグリッパー駆動手段を示す側面図である。
図17】二重管ロッドの接続動作を示す正面図である。
図18図17に続く二重管ロッドの接続動作を示す正面図である。
図19図18に続く二重管ロッドの接続動作を示す正面図である。
図20図19に続く二重管ロッドの接続動作を示す正面図である。
図21図20に続く二重管ロッドの接続動作を示す正面図である。
図22図21に続く二重管ロッドの接続動作を示す正面図である。
図23図22に続く二重管ロッドの接続動作を示す正面図である。
図24図23に続く二重管ロッドの接続動作を示す正面図である。
図25図24に続く二重管ロッドの接続動作を示す正面図である。
図26図25に続く二重管ロッドの接続動作を示す正面図である。
図27図26に続く二重管ロッドの接続動作を示す正面図である。
図28】インナーロッドの回収動作を示す正面図である。
図29図28に続くインナーロッドの回収動作を示す正面図である。
図30図29に続くインナーロッドの回収動作を示す正面図である。
図31図30に続くインナーロッドの回収動作を示す正面図である。
図32図31に続くインナーロッドの回収動作を示す正面図である。
図33図32に続くインナーロッドの回収動作を示す正面図である。
図34図33に続くインナーロッドの回収動作を示す正面図である。
図35図34に続くインナーロッドの回収動作を示す正面図である。
図36】アウターロッドの回収動作を示す正面図である。
図37図36に続くアウターロッドの回収動作を示す正面図である。
図38図37に続くアウターロッドの回収動作を示す正面図である。
図39図38に続くアウターロッドの回収動作を示す正面図である。
図40図39続くアウターロッドの回収動作を示す正面図である。
図41図40に続くアウターロッドの回収動作を示す正面図である。
図42図41に続くアウターロッドの回収動作を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図示する実施形態により具体的に説明する。図1図3は、本発明の一実施形態における二重管ロッド脱着装置1(以下、ロッド脱着装置1)の全体を示す。ロッド脱着装置1は掘削機2に取り付けられており、掘削機2と一体となって掘削場所に移動する。この実施形態では、図1図3に示すように、前後方向をX方向、上下方向をY方向、左右方向(横方向)をZ方向として説明する。
【0011】
掘削機2は、クローラ22を備えた掘削機本体21と、掘削機本体21に伸縮駆動可能に設けられた複数のアーム23と、アーム23の先端部に取り付けられたガイドセル24とを備えている。ガイドセル24はアーム23の駆動により傾斜状態及び直立状態への変更が可能となっている。掘削駆動を行うドリルヘッド25はガイドセル24の長さ方向に沿って上下動する。
ドリルヘッド25は横方向に伸縮駆動するスライドテーブル27に取り付けられている。スライドテーブル27はガイドセル24の頂部の給進機構26に取り付けられる。スライドテーブル27が駆動することにより、ドリルヘッド25は左右に移動し、給進機構26が駆動することによりドリルヘッド25はガイドセル24に沿って上下に移動する。ドリルヘッド25には、後述する二重管ロッド8と連結されて二重管ロッド8にドリルヘッド25の回転力を伝達する駆動ロッド28が設けられている。二重管ロッド8はこの駆動ロッド28に連結される。
【0012】
ロッド脱着装置1は、ロッドコンテナ3と、ターンプレート4と、グリッパー5と、ターンプレート移動手段6と、グリッパー駆動手段7とを備えている。
【0013】
ロッドコンテナ3は、掘削機本体21に設けたベースプレート13(図2参照)上に配置される。ロッドコンテナ3がベースプレート13上に配置されることによりロッドコンテナ3はガイドセル24が傾斜及び直立する動作と共に起倒動作することができる。図4図8に示すように、ロッドコンテナ3はベースプレート13から立設したスタンド脚31と、スタンド脚31上のテーブル32を有している。テーブル32は後述するターンプレート4の移動を支承するものであり、同テーブル32は図6及び図10に示すように長円からなるループ状に形成される。ループ状となったテーブル32はターンプレート4が移動するためのループ状の移動路33となり、この移動路33に沿って複数のターンプレート4が周回する。ターンプレート4が移動路33に沿って周回するため、ターンプレート4の下面には、好ましくは移動路33(テーブル32)に係合して摺動する突起部(図示省略)が形成される。移動路33がループ状となっていることから、移動路33は無端状となるものである。
以上の構造では、ロッドコンテナ3がガイドセル24と共に起倒動作するが、本発明では、ロッドコンテナ3をガイドセル24と切り離した構造としてロッドコンテナ3が独立して起倒するようにしても良い。
【0014】
ターンプレート4は、複数がロッドコンテナ3の移動路33(テーブル32)に沿って配置される。ターンプレート4は複数の二重管ロッド8を横並び状に立設させて支持する。この実施形態において、ターンプレート4は2本の二重管ロッド8を横並び状に立設させるようになっており、以下、内側の二重管ロッドを8a、外側の二重管ロッドを8bと記載する。内外2本の二重管ロッド8a、8bを立設させるため、それぞれのターンプレート4には2本のロッドスタンド34が横並び状に設けられている。
ロッドスタンド34は、図4図5図7図8に示すように、下側の大径部34a及び上側の小径部34bが上下に連続した形状となっており、小径部34bが二重管ロッド8のインナーロッド9に挿入され、大径部34aがアウターロッド10に挿入され、これらの挿入によってアウターロッド10にインナーロッド9が差し込まれた状態での二重管ロッド8を立設状に支持する。
【0015】
図4及び図5に示すように、ロッドコンテナ3には、ループ状の移動路33と同様のループ状となった外側ガイド11が設けられる。外側ガイド11は、移動路33のループ状よりも大きな長円となっており、移動路33を周回するターンプレート4に立設した外側の二重管ロッド8bの外側を囲む大きさのループ状に形成されている(図3参照)。この外側ガイド11はテーブル32に起立した柱部12に支持されて二重管ロッド8の長さ方向の中間部分を外側から囲んでおり、外側の二重管ロッド8bの振れ及び外側への倒れを防止する。
【0016】
図7図10に示すように、ターンプレート移動手段6は、ロッドコンテナ3におけるループ状の移動路33の内側に位置するようにテーブル32から立設した回転ロッド61及び従動ロッド62と、これらのロッド61、62を連結する回転伝達手段とを有している。回転伝達手段は、回転ロッド61及び従動ロッド62のそれぞれの下部に取り付けられたギア63と、これらのギア63に掛け渡されたチェーン64とによって形成されている(図10参照)。ターンプレート移動手段6は、駆動ロッド61を回転させるオイルモータからなる回転用モータ66を有している。
【0017】
ターンプレート移動手段6はロッドガイド65を有している。ロッドガイド65は図7及び図9に示すように、回転ロッド61及び従動ロッド62のそれぞれの上部部分に取り付けられており、これらのロッド61、62の回転と一体的に回転する。図9に示すように、ロッドガイド65は平面視星形状に形成されるものであり、その外周面には、二重管ロッド8に係合する係合用凹部67が複数形成されている。回転ロッド61及び従動ロッド62がロッドコンテナ3における移動路33の内側に設けられることから、これらのロッド61、62に取り付けられるロッドガイド65は移動路33を周回するターンプレート4における内側の二重管ロッド8aに対向し、内側の二重管ロッド8aが入り込むことにより内側の二重管ロッド8aに係合する。図7に示すように、ロッドガイド65は回転ロッド61及び従動ロッド62における長さ方向の上部部分に取り付けられており、これによりロッドガイド65の係合用凹部67が内側の二重管ロッド8aの上部部分に係合して内側の二重管ロッド8aの振れを防止するように作用する。
【0018】
以上のターンプレート移動手段6は、ターンプレート4がロッドコンテナ3の移動路33に沿って周回するための移動力を付与するものである。この移動力の付与のため、ターンテーブル移動手段6の回転伝達手段を構成するチェーン64がそれぞれのターンプレート4の底面部分に連結される。チェーン64は回転用モータ65の駆動によって回転する回転ロッド61に掛け渡されているため、ターンプレート4は回転用モータ65の駆動によってロッドコンテナ3の移動路33に沿って周回する。
【0019】
グリッパー5は、ターンプレート4上の二重管ロッド8を掴持及び解放する。図12図14に示すように、グリッパー5は一対のグリップ爪51と、伸縮する油圧シリンダからなる開閉用シリンダ52と、開閉用シリンダ52と各グリップ爪51の基部側とを連結するリンク53とによって形成されている。グリップ爪51は屈曲したロッド把持面を有しており、これにより径の異なるロッドであっても確実に掴持することが可能となっている。従って、グリッパー5は二重管ロッド8のインナーロッド9及びアウターロッド10の双方を掴持することができる。
【0020】
グリッパー5は、グリッパー駆動手段7に取り付けられる。グリッパー駆動手段7は図2に示すように、ロッドコンテナ3とドリルヘッド25(ガイドセル24)との間に配置される。
グリッパー駆動手段7は図11に示すように、ベースプレート13(図2参照)上に起立状に設けられ上下方向(Z方向)に伸縮するグリッパーリフトシリンダ71と、グリッパーリフトシリンダ71の上端部に取り付けられ、横方向に伸縮するグリッパースライドシリンダ72とを有しており、グリッパー5はグリッパースライドシリンダ72の上部に取り付けられる。このようなグリッパー駆動手段7は、グリッパーリフトシリンダ71の伸縮によって、二重管ロッド8の高さ方向にグリッパー5を移動させ、グリッパースライドシリンダ72の伸縮によってグリッパー5をドリルヘッド25とロッドコンテナ3上の二重管ロッド8との間で移動させる。これによりグリッパー5を二重管ロッド8の方向に進出及び退出させるように動作する。かかるグリッパー駆動手段7において、ターンプレート4の移動時には、グリッパースライドシリンダ72によってグリッパー5を退避させて二重管ロッド8との干渉を防止するようになっている。
【0021】
図14は、グリッパー駆動手段7によってターンプレート4上の二重管ロッド8を掴持する動作を示す。グリッパーリフトシリンダ71の駆動によってグリッパー5が上下動して二重管ロッド8の掴持高さに対応した高さに達する。このグリッパー5の上下方向の位置は電気センサ、光学センサ、磁気センサ等のセンサ(図示省略)によって検出される。検出されたグリッパー5の位置は操作系にフィードバックされ、操作系による高さ位置の制御が行われる。
次に、グリッパースライドシリンダ72が駆動することによりグリッパー5が二重管ロッド8の方向に進出する。図14は外側の二重管ロッド8bを掴持する状態を示し、グリッパースライドシリンダ72が伸長することによりグリッパー5は外側の二重管ロッド8bを掴持するためのロッドセンタに移動する。内側の二重管ロッド8aを掴持する場合には、グリッパースライドシリンダ72がこれよりも長く伸長して内側の二重管ロッド8aを掴持するためのロッドセンタに移動する。外側及び内側のロッドセンタのそれぞれの位置は、電気センサ、光学センサ、磁気センサ等のセンサ(図示省略)によって検出され、操作系にフィードバックされて操作系による掴持位置の制御が行われる。
以上のようにセンサによって位置検出を行い、操作系による位置制御を行う場合には、二重管ロッド8の脱着作業の自動化及び無人化が可能となり、事故リスクの低減及びコスト削減が可能となる。
【0022】
この実施形態の構造では、ターンプレート4上の内側の二重管ロッド8a及び外側の二重管ロッド8bの双方をグリッパー5が確実に掴持することができる。従って、ターンプレート4に対して2本の二重管ロッド8a、8bを横並び状に立設させることができ、一のターンプレート4に取り付ける二重管ロッド8の本数を増やすことができ、一のターンプレート4による二重管ロッド8の供給本数を増加させることができる。これによりターンプレート4の数を削減でき、ターンプレート4が周回するロッドコンテナ3の移動路33の軸間距離を短くすることができ、ロッドコンテナ3の省スペース化が可能となる。
なお、本発明では、ターンプレート4に対し3本以上の二重管ロッド8を横並び状に配置することも可能であり、これによりさらに軸間距離を短くでき、ロッドコンテナ3をさらに省スペース化することができる。
さらに本発明では、ロッドコンテナ3の移動路33の軸間距離を長くしてターンテーブル4の数を増やしても良く、これによっても二重管ロッド8の供給本数を増やすことができる。
以上のような本発明では、ターンプレート4上に配置する二重管ロッド8の本数を変更したり、ロッドコンテナ3の移動路33の軸間距離を変更することにより二重管ロッド8の供給本数が決定される。これにより二重管ロッド8を供給するためのレイアウトの設計自由度が増大するメリットがある。
【0023】
図15及び図16は、グリッパー駆動手段7の別の形態を示す。このグリッパー駆動手段7においては、傾斜手段としての傾斜シリンダ73を設けるものである。傾斜シリンダ73はグリッパー駆動手段7の全体を傾斜させるシリンダであり、ベースプレート13とグリッパーリフトシリンダ71とに両端部が連結される。傾斜シリンダ73はロッドコンテナ3と掘削機本体21の間でグリッパーリフトシリンダ71を前後方向(X方向)に傾斜させる。図16における矢印Qは傾斜シリンダ73の駆動によってグリッパーリフトシリンダ71が傾斜する方向を示す。このような前後方向(X方向)への傾斜によって、傾斜シリンダ73は、ロッドコンテナ3とドリルヘッド25との間の二重管ロッド8の移送経路からグリッパー5を退避させるようにグリッパーリフトシリンダ71(すなわちグリッパー駆動手段7の全体)を傾斜させる。これによりロッドコンテナ3に立設している二重管ロッド8が長い場合(図15に示す符号8Tの二重管ロッドの場合)にも、グリッパー5が二重管ロッド8の移送の邪魔となることがなくなる。
【0024】
以下、この実施形態による二重管ロッド8の接続動作を図17図27、インナーロッド9の回収動作を図28図35、アウターロッド10の回収動作を図36図42により説明する。
掘削機2においては、図2に示すように、ブレーカクランプ14、インナークランプ15、アウタークランプ16がガイドセル24に沿って配置される。ブレーカクランプ14はドリルヘッド25の駆動ロッド28との二重管ロッド8の脱着のためにクランプし、インナークランプ15はインナーロッド9を脱着するためにクランプし、アウタークランプ16はアウタークランプ10を脱着するためにクランプする。
【0025】
[二重管ロッドの接続動作]
図17に示すように、ドリルヘッド25をスライドテーブル27に沿ってインナーロッド9の切り離し高さへ移動させ、ブレーカクランプ14、インナークランプ15、アウタークランプ16を閉じ、ブレーカクランプ14によって駆動ロッド28(ドリルヘッド25)とインナーロッド9との接続を切る。ブレーカクランプ14を開き、ドリルヘッド25を切り離し方向に回転(右回転)させる。ドリルヘッド25がインナーロッド切り離し完了位置まで移動した後、給進停止及び回転停止してインナーロッドの切り離しを完了する。
【0026】
次に、ターンプレート移動手段6を駆動してターンプレート4をロッド脱着位置に移動させる。図18に示すように、ドリルヘッド25をロッド脱着高さに移動させた後、スライドテーブル27に沿ってドリルヘッド25を移動させる。このとき、取り出す二重管ロッド8の位置に合わせてドリルヘッド25を移動させる。すなわち内側の二重管ロッド8a又は外側の二重管ロッド8bに合わせて移動させる。そして、グリッパースライドシリンダ72によってグリッパー5を取り出し目的の二重管ロッド8に移動させる。
二重管ロッド8の取り出しに際しては、まず外側の二重管ロッド8bを連続して取り出し、外側の二重管ロッド8bの取り出しが完了してから内側の二重管ロッド8aを連続して取り出すように操作制御する。
【0027】
図19では、グリッパーリフトシリンダ71によってグリッパー5をインナーロッド9の高さに移動させた後、グリッパー5によってインナーロッド9を掴持する。
【0028】
図20では、ドリルヘッド25を接続方向に回転(左回転)させながら、グリッパーリフトシリンダ71によってインナーロッド9を上昇させ、ドリルヘッド25に接続する。グリッパー5が接続完了高さに到達した後、グリッパー5の掴持を解放し、グリッパーリフトシリンダ71を停止、ドリルヘッド25を回転停止させる。
これにより、インナーロッド9がドリルヘッド25に接続される。その後、アウターロッド10をドリルヘッド25に接続する。
【0029】
図21に示すように、グリッパーリフトシリンダ71によってグリッパー5をアウターロッド10の掴持高さへ移動させ、グリッパー5によってアウターロッド10を掴持する。
【0030】
図22では、ドリルヘッド25を接続方向に回転(左回転)させながらグリッパーリフトシリンダ71によってグリッパー5を上昇させ、アウターロッド10をドリルヘッド25に接続させる。グリッパー5がアウターロッド接続完了高さに到達した後、グリッパー5の掴持を解放し、グリッパー5の上昇及びドリルヘッド25の回転を停止する。その後、二重管ロッド8を地盤中の前段の二重管ロッド8に接続する。
【0031】
図23では、グリッパーリフトシリンダ71によってグリッパー5を下端位置へ移動させた後、グリッパースライドシリンダ72によってグリッパー5を後方へ移動させる。
【0032】
図24では、ドリルヘッド2を地盤中の前段の二重管ロッド8の上方に移動させた後、スライドテーブル27に沿ってドリルヘッド25を接続のためのセンタリング位置に移動させる。
【0033】
図25では、ドリルヘッド25をインナーロッド接続開始高さに移動(下降)させ、接続方向に回転(左回転)させる。ドリルヘッド25が接続完了位置まで移動した後、給進停止、回転停止させる。
【0034】
図26では、インナークランプ15を開き、ドリルヘッド25をアウターロッド接続開始高さに移動させ、接続方向に回転(左回転)させ、ドリルヘッド25が接続完了位置まで移動した後、給進停止、回転停止させる。
【0035】
図27では、アウタークランプ16を開き、地盤中の前段の二重管ロッドへの二重管ロッド8の接続を完了する。
【0036】
[インナーロッドの回収動作]
図28に示すように、ドリルヘッド25の回転を停止させて地盤掘りを停止し、ドリルヘッド25をインナーロッド抜管高さに移動させる。そしてインナークランプ15、ブレーカクランプ14を閉じ、ブレーカクランプ14によって地盤中の二重管ロッドのインナーロッド9との接続を切る。ブレーカクランプ14を開き、ドリルヘッド25を上昇させながら切り離し方向に回転(右回転)させる。ドリルヘッド25がインナーロッド切り離し完了位置まで移動した後、給進停止及び回転停止させる。
【0037】
図29では、ドリルヘッド25をインナーロッド抜管高さへ移動させ、ドリルヘッド25を切り離し方向に回転(右回転)させ、螺合を緩めた後、回転停止する。
【0038】
図30では、ブレーカクランプ14を開き、ターンプレート移動手段6を駆動してターンプレート4をロッド脱着位置に移動させる。続いて、ドリルヘッド25を脱着高さ(センタリング高さ)に移動させ、スライドテーブル27に沿ってドリルヘッド25をターンテーブル4上に移動させる。このとき、ターンプレート4の回収位置に合わせて移動させる。すなわちターンプレート4の内側の回収位置又は外側の回収位置に合わせて移動させる。そして、グリッパースライドシリンダ72によってグリッパー5をターンプレート4の目的の空位のロッドスタンド34上に移動させる。
インナーロッド9の回収に際しては、まずターンプレート4の内側の空位に対して連続して回収し、内側の空位への回収が完了してから外側の空位に対して回収を行うように操作制御する。
【0039】
図31では、ドリルヘッド25を下降させた後、グリッパーリフトシリンダ71によってグリッパー5をインナーロッド9の掴持高さに移動させ、グリッパー5によってインナーロッド9を掴持する。グリッパーリフトシリンダ71によってグリッパー5を下降させながらドリルヘッド25を切り離し方向に回転(右回転)させる。
【0040】
図32では、グリッパー5がインナーロッド切り離し高さに到達後、グリッパーリフトシリンダ71を停止し、グリッパー5による掴持を解放する。インナーロッド9は目的のロッドスタンド34に支持される。ドリルヘッド25は回転停止させる。
【0041】
図33では、グリッパースライドシリンダ72によってグリッパー5を後退させた後、グリッパーリフトシリンダ71によってグリッパー5を下降させる、ドリルヘッド25は掘削位置に移動し、インナーロッド9の回収が完了する。
【0042】
図34では、ドリルヘッド25を次のインナーロッド接続開始高さに移動させ、接続方向に回転(左回転)させる。ドリルヘッド25がインナーロッド接続完了位置まで移動したら給進停止、回転停止させる。
【0043】
図35図34に続いた状態であり、インナークランプ15を開くことにより次のインナーロッド抜管準備に移行する。
【0044】
[アウターロッドの回収動作]
アウターロッド10の回収は、インナーロッド9の回収が終了した後に行う。図36はインナーロッド9の回収が終了した後の状態であり、駆動ロッド28(ドリルヘッド25)をアウターロッド抜管高さに移動させる。ドリルヘッド25がアウターロッド接続完了位置まで移動した後、給進停止する。
【0045】
図36に続く図37では、アウタークランプ16を開き、ドリルヘッド25をアウターロッド抜管高さに移動(上昇)させる。アウタークランプ16及びブレーカクランプ14を閉じた後、ブレーカクランプ14を開き、ドリルヘッド25を上昇させながら切り離し方向に回転(右回転)させる。ドリルヘッド25がアウターロッド切り離し完了位置まで移動した後、給進停止及び回転停止する。
【0046】
図38では、ドリルヘッド25がアウターロッド抜管高さに移動した後、ブレーカクランプ14を閉じる。そして、ドリルヘッド25を切り離し方向に回転(右回転)させて螺合を緩める。
【0047】
図39では、ターンプレート移動手段6を駆動してターンプレート4をロッド脱着位置に移動させる。グリッパーリフトシリンダ71によってグリッパー5をアウターロッド10掴持高さに移動させ、グリッパースライドシリンダ72によってグリッパー5をターンプレート4におけるアウターロッド装填位置に移動させる。すなわちグリッパー5をターンプレート4における回収位置に合わせて移動させるものであり、ターンプレート4の内側の回収位置又は外側の回収位置に合わせて移動させる。なお、ターンプレート4には、既に回収したインナーロッド9が立設されており、このインナーロッド9の外側にアウターロッド10がセットされる。
【0048】
図40では、ドリルヘッド25を回収位置まで上昇させた後、スライドテーブル27に沿ってドリルヘッド25をターンプレート4における回収位置上に移動させる。すなわち、ドリルヘッド25を図39の段階で選択したターンプレート4におけるアウターロッド装填位置に移動させる。すなわち、ドリルヘッド25をターンプレート4の内側の回収位置又は外側の回収位置に合わせて移動させる。この移動により、アウターロッド10がターンプレート4における回収位置の上方に移動する。その後、グリッパー5によってアウターロッド10を掴持する。このとき掴持は、所定時間だけ解放する。グリッパー5をアウターロッド回収のガイドとして使用するためである。
アウターロッド10の回収に際しては、まずターンプレート4の内側の回収位置に対して連続して回収し、内側に対する回収が完了してから外側の回収位置への回収を行うように操作制御する。
【0049】
図41では、ドリルヘッド25をアウターロッド装填高さに移動(下降)させ、グリッパー5によってアウターロッド10を掴持し、この状態でグリッパーリフトシリンダ71によってグリッパー5を下降させながらドリルヘッド25を切り離し方向に回転(右回転)させる。グリッパー5がアウターロッド切り離し高さに到達した後、グリッパー5の掴持を解放し、グリッパーリフトシリンダ71を停止、ドリルヘッド25の回転を停止する。これによりアウターロッド10の回収が完了する。すなわちターンプレート4に回収されているインナーロッド9の外側にアウターロッド10がセットされる。これによりターンプレート4には、インナーロッド9とアウターロッド10とが組み合わされた状態の二重管ロッド8が回収される。
【0050】
図42図41に続いた状態であり、グリッパースライドシリンダ72によってグリッパー5が後退し、グリッパーリフトシリンダ71によってグリッパー5を下降させる。そして、ドリルヘッド25を次段のアウターロッド抜管位置に移動させ、次のアウターロッド抜管準備に移行する。
【0051】
以上のロッド脱着装置1によれば、ターンテーブル4に複数の二重管ロッド8を横並び状に立設させる構造のため、ターンプレート4の数を削減でき、ターンプレート4が周回するロッドコンテナ3の軸間距離を短くできる。このため、二重管ロッド8を供給する構造をコンパクトとすることができる。
又、グリッパー5が横並び状の二重管ロッド8に合わせて進退移動して掴持する構造となっているため、二重管ロッドの継ぎ足し、回収を効率良く行うことができる。
さらに二重管ロッド8の継ぎ足しや回収を自動化できるため、迅速で作業性が良く、人身事故リスクの低減が可能となる。
【符号の説明】
【0052】
1 ロッド脱着装置
2 掘削機
3 ロッドコンテナ
4 ターンプレート
5 グリッパー
6 ターンプレート移動手段
7 グリッパー駆動手段
8 二重管ロッド
8a 内側の二重管ロッド
8b 外側の二重管ロッド
9 インナーロッド
10 アウターロッド
25 ドリルヘッド
32 テーブル
33 移動路
34 ロッドスタンド
51 グリップ爪
52 開閉用シリンダ
65 ロッドガイド
67 係合用凹部
71 グリッパーリフトシリンダ
72 グリッパースライドシリンダ
73 傾斜シリンダ
図1
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