(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6501812
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】三次元物体を層ごとに製造するために、粉末粒子を溶融/焼結する方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/295 20170101AFI20190408BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20190408BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20190408BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20190408BHJP
B33Y 70/00 20150101ALI20190408BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20190408BHJP
【FI】
B29C64/295
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y80/00
B33Y70/00
B29C64/153
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-58621(P2017-58621)
(22)【出願日】2017年3月24日
(65)【公開番号】特開2017-170899(P2017-170899A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2017年4月3日
(31)【優先権主張番号】10 2016 205 053.2
(32)【優先日】2016年3月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501073862
【氏名又は名称】エボニック デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マイク グレーベ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング ディークマン
(72)【発明者】
【氏名】ズィークリート ヘッセル−ゲルトマン
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン クロイツ
【審査官】
田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06007764(US,A)
【文献】
特開2005−120347(JP,A)
【文献】
特表2008−542529(JP,A)
【文献】
特表2014−527481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/295
B29C 64/153
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B33Y 70/00
B33Y 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元物体を層ごとに製造する方法であって、
以下の工程:
a)電磁線の作用によって固化可能な粉末材料の層を載せる工程、
b)熱放射要素の放射によって、最大温度がDIN 53765に従う融点を10K下回る温度に、粉末材料を加熱する工程、前記熱放射要素の最大放射強度は、5000nmの波長、又はそれよりも長い波長にあり、ここで、前記熱放射要素の面積が、加熱すべき粉末床の垂直投影面積の少なくとも100%であり、かつ、前記最大放射強度の波長変動は10%未満であり、
c)三次元物体の断面に相当する前記粉末材料の少なくとも1つの領域を、選択的に溶融及び/又は焼結させる工程、
d)三次元物体が得られるまで、前記工程a)〜c)を繰り返す工程、
が含まれている、前記方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記熱放射要素の放射照度が、加熱すべき粉末床の垂直投影面積に対して少なくとも2000W/m2であることを特徴とする、前記方法。
【請求項3】
三次元物体を層ごとに製造するための装置において、
熱放射要素が含まれており、電磁線を粉末床の表面に放つ前記熱放射要素の面積が、製造フレームによって区切られている粉末床の垂直投影面積の少なくとも100%であり、ここで、前記熱放射要素の最大放射強度は、少なくとも5000nmの波長にあるように構成されており、かつ、前記最大放射強度の波長変動は10%未満であることを特徴とする、前記装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、
前記熱放射要素は、該熱放射要素の面法線の方向への合計放射率が、少なくとも0.2であるように構成されていることを特徴とする、前記装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の方法で使用される粉末材料において、
5000nmを超える波長における吸収率が、少なくとも0.8であることを特徴とする、前記粉末材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元物体を層ごとに製造するために、粉末粒子を溶融/焼結する方法に関する。
【0002】
プロトタイプ、又は小さなバッチを迅速に提供することは、近年しばしば設定される課題である。これを可能にする方法は、ラピッドプロトタイピング/ラピッドマニファクチャリング、又は付加製造法(additive manufacturing)、又は単に3Dプリンティングとも呼ばれる。粉末状素材を選択的に溶融及び/又は固化することによって、所望の構造を層ごとに製造する方法が、特に適している。この原理に従って作業する方法は、粉末床溶融結合(powder bed fusion)という上位概念でまとめられる。
【0003】
この粉末床溶融結合法のための例は、選択的なレーザー焼結(SLS)である。この方法では、粉末に対してチャンバ内で選択的に短時間、レーザー光線を照射し、これによってレーザー光線を当てた粉末粒子が溶融する。溶融した粒子は一体化し、迅速に凝固して、再度固体物質になる。常に新たに施与された層に繰り返し照射することにより、この方法で三次元物体が容易、かつ迅速に製造できる。
【0004】
粉末状ポリマーから成形体を製造するためのレーザー焼結法は、米国特許第6136948号明細書(US 6136948)、及び国際公開第9606881号(WO 9606881)に、詳細に記載されている(ともにDTM Corporation)。特許文献の国際公開第9208566号(WO 9208566)には、製造領域を加熱するリング状の放射加熱が記載されている。特許文献の独国特許出願公開第102005024790号明細書(DE102005024790 A1)には、平面的な放射要素、特に黒鉛製のもの、によって製造領域を迅速に加熱する放射加熱が記載されている。
【0005】
粉末溶融結合法のためのさらなる例は、特許文献の米国特許第6531086号明細書(US 6531086)、及び欧州特許出願公開1740367号明細書(EP 1740367)に記載されている。
【0006】
粉末床における粉末状ポリマーの温度は、加工安全性にとって、またこの方法により製造される三次元物体の品質にとって、決定的に重要である。粉末床の表面における粒子の温度をできるだけ高くすることには、例えばレーザー光線によって、それほど多くのエネルギーを選択的に投入する必要が無くなるという利点がある。例えばレーザーによる照射後に、付加的なエネルギーの投入(事後的な焼結)は、もはや必要では無い。
【0007】
加えて、粉末床の表面における粉末粒子の温度が高いことには、溶融したばかりの溶融層の歪みを低減するという利点がある。溶融層の著しい歪み、特に縁部の反り/まくれは通常、カール(curling)と呼ばれる。そこでこのカールを、特にポリマー材料を加工する際に避けるために、粉末床表面における温度を制御して、歪み及び/又はカールができるだけ小さくなるようにしながらも、粉末が温度処理によって既に焼結、又は溶融してしまわないようにする。多くのポリマー粉末にとって、この加工温度はたいてい、ポリマー粉末の融点を10〜20℃だけ下回る。新たに載せた粉末層はまた、製造プロセスの速度を高めるため、できるだけ迅速に温度処理しなければならない。よって粉末床表面の温度処理は、従来技術によれば、放射が約1400nmの波長で最大強度を有する熱放射要素によって行われる。
【0008】
上記利点に加えて、高温処理法には決定的な欠点もある。ポリマーの老化は、温度の上昇とともに劇的に増加する。粉末床溶融結合法による製造には、多くの時間が必要となることが普通である。このためポリマー素材に対して、高い熱負荷が生じる。従来技術による放射加熱では必然的に、粉末床内にある比較的深い層も電磁線によって加熱され、不所望の熱負荷にさらされてしまう。
【0009】
本発明の課題は、粉末床の表面を放射加熱によって温度処理し、放射によって比較的深い層にエネルギーが投入されることを回避する、三次元物体を製造するための改善された方法を提供することである。加えて、粉末床表面について充分に迅速、かつ均一な温度処理が保証されるのが望ましい。
【0010】
意外なことに、5000nmの波長、又はそれより長い波長で最大放射強度を有する放射を放つ熱放射要素によって、最上部の粉末層を迅速に加熱することができ、その下にある粉末層は、電磁線によって過度に加熱されないことが判明した。ここで最上部の粉末層とは、粉末を層状に載せた層厚がどれほど大きいかに拘わらず、粉末床の粉末堆積物の最上部0.5mmと規定される。熱放射要素の最大放射強度の波長は、熱放射要素の温度を測定し(測定装置は、PT100測定センサ付きのtesto 735-1)、それからウィーンの変位則(2897800nm・Kをウィーン定数とする)によって、最大放射強度を有する波長をnmで算出することによって特定する。
【0011】
本発明の対象は、三次元物体を層ごとに製造する方法であって、ここで第一の工程では、製造フレーム(10)内にある高さ調節可能な製造プラットフォーム(6)を下げ、装置(9)を用いて、電磁線の作用により固化可能な材料の層を製造プラットフォーム(6)に載せ、ここで粉末材料は、粉末配分装置(7)によって供給される。過剰な粉末材料は、余剰分容器(8)に押し出される。第二の工程では粉末材料を、放射加熱器(2)、温度測定装置(11)、及び温度調節器(12)から成る加熱系によって加熱する。粉末材料の加熱は、5000nm、又はそれより長い波長で最大放射強度を有する放射によって行う。粉末材料の加熱は、好ましくは5250nm、又はそれより長い波長、特に好ましくは6000nm、又はそれより長い波長で最大放射強度を有する放射によって行う。粉末材料の加熱は、極めて特に好ましくは7000nm、又はそれより長い波長で最大放射強度を有する放射によって行う。第三の工程では、電磁線を放射する放射源(1)によって粉末床(3)の表面における所望の箇所で、選択的に溶融及び/又は焼結する。これらの
工程は、三次元物体(4)が生じるまで層ごとに繰り返す。製造プロセス、及び場合によっては必要な粉末ケーク(5)の冷却が終了した後、三次元物体(4)を粉末ケークから取り出すことができる。
【0012】
ここで最大放射強度の波長は20%未満しか、変動しないのが望ましい。最大放射強度の波長は好ましくは、最大10%変動する。最大放射強度の波長は特に好ましくは、最大5%変動する。
【0013】
5000nm超の波長で最大放射強度を有する熱放射要素は
緩慢であるとみなされ、このため迅速な温度制御/調整は、非常に困難であるように思われる。意外なことに、粉末床の表面を、面積の大きい熱放射要素によって様々な方向から同時に照射することにより、粉末床表面の迅速な温度処理が、5000nmの波長、又はそれより高い波長で最大放射強度を有する電磁線によっても可能であることが判明した。ここで放射
照度は好ましくは、加熱すべき粉末床の垂直投影面積に対して少なくとも2000W/m
2である。粉末床の垂直投影面積は、製造フレームによって区切られている製造領域の面積にも相当する。ここで放射
照度は特に好ましくは、加熱すべき粉末床の垂直投影面積に対して少なくとも3000W/m
2である。ここで、粉末床の表面に電磁線を放つ熱放射要素の面積は、加熱すべき粉末床の垂直投影面積の少なくとも100%である。粉末床の表面に電磁線を放つ熱放射要素の面積は好ましくは、加熱すべき粉末床の垂直投影面積の少なくとも150%である。粉末床の表面に電磁線を放つ熱放射要素の面積は好ましくは、加熱すべき粉末床の垂直投影面積の少なくとも200%である。
【0014】
図1は、三次元物体を製造するための装置の基本的な構造を示す。本発明のさらなる対象は、三次元物体を層ごとに製造するための装置である。この装置は、高さ調節可能な製造プラットフォーム(6)を有する製造フレーム(10)、電磁線の作用によって固化可能な材料の層を製造プラットフォーム(6)上に施与するための装置(9)、放射加熱器(2)、及び固化可能な材料を選択的に溶融及び/又は焼結させる電磁線放射源(1)を備える。放射加熱器は、熱源、及び熱放射要素から成る。温度制御器はここでも、温度測定装置(11)と、制御ユニット(12)とから成る。温度測定装置は有利には、非接触型放射温度計として構成されている。
【0015】
ここで、粉末床の表面に電磁線を放つ熱放射要素(2)の面積は合計で、製造フレーム(10)によって区切られている粉末床の垂直投影面積の少なくとも100%である。ここで粉末床の表面に電磁線を放つ熱放射要素の面積は好ましくは、製造フレーム(10)によって区切られている粉末床の垂直投影面積の少なくとも150%である。ここで粉末床の表面に電磁線を放つ熱放射要素の面積は特に好ましくは、製造フレーム(10)によって区切られている粉末床の垂直投影面積の少なくとも200%である。ここで熱放射要素の
面法線の方向への合計放射率は、少なくとも0.2である。ここで熱放射要素の
面法線の方向への合計放射率は、好ましくは少なくとも0.5である。熱放射要素は、熱放射要素の放射の最大強度が、少なくとも5000nmの波長にあるように構成されている。熱放射要素は好ましくは、熱放射要素の放射の最大強度が、少なくとも5250nm、特に好ましくは少なくとも6000nmの波長にあるように構成されている。熱放射要素は極めて特に好ましくは、熱放射要素の放射の最大強度が、少なくとも7000nmの波長にあるように構成されている。
【0016】
熱放射要素は、熱放射要素の放射の最大強度が、最大で20%変動するように構成されている。熱放射要素は好ましくは、熱放射要素の放射の最大強度が、最大で10%変動するように構成されている。熱放射要素は特に好ましくは、熱放射要素の放射の最大強度が、最大で5%変動するように構成されている。熱放射要素の温度処理は例えば、誘導、対流、熱
伝導、又は電磁線によって、熱源により行うことができる。ここで熱放射要素の
放射発散度は、少なくとも500W/m
2である。ここで熱放射要素の
放射発散度は好ましくは、少なくとも1000W/m
2である。放射加熱器において、熱源(14)、及び熱放射要素(13)は、1つの部材に統合されていてよく、及び/又は熱源は熱放射要素によって完全に取り囲まれていてよく、又は熱放射要素(15)及び熱源(16)は、別個の部材として存在していてよい。好ましい実施形態において、粉末床表面における温度分布を均一に調整するため、熱放射要素は相互に独立して温度処理することができる。
【0017】
基本的に、当業者に公知のあらゆる粉末が、本発明による装置、又は本発明による方法において使用するために適している。特に適しているのは、ポリアミド、コポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、ポリエーテルアミド、及びポリエーテルケトンからの粉末である。特に適しているのは、5000nmの波長における吸収率が0.8超であるポリマー粉末である。極めて特に適しているのは、5000nmの波長における吸収率が0.9超であるポリマー粉末である。本発明による方法により製造される三次元物体も、同様に本発明の対象である。
【0018】
さらなる説明をせずとも、当業者は上記説明を幅広い範囲で利用できる。よって、好ましい実施形態及び実施例は、単に説明のためのものであり、何らかの形で本開示を制限するものと理解されるべきではない。以下、本発明を実施例により詳細に説明する。本発明の代替的な実施形態は、同様のやり方で得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】三次元物体を製造するための装置の基本的な構造を示す。
【
図2】熱源(14)が、熱放射要素(13)によって完全に取り囲まれている実施形態を示す。
【
図3】熱放射要素(15)、及び熱源(16)が、別個の部材として存在している実施形態を示す。
【0020】
実施例
例1(本発明によるものではない)
表1に記載した特性値を有するポリアミド12からの粉末を、製造領域(寸法は35cm×35cm、面積は1225cm
2)内に室温(23℃)で載せ、高さ100mmの粉末床を作る。放射加熱器(この放射加熱器の熱放射要素は、1400nmの波長で最大強度を有する放射を発する)が、粉末床を加熱する。ここで最大放射強度の波長は30%超、変動する。ここで熱放射要素の面積は、224cm
2である。粉末床の表面における温度と、粉末床内で深さ20mmの温度を測定し、記録する。その結果が、表4に示されている。
【0021】
例2(本発明によるものではない)
表1に記載した特性値を有するポリマー粉末を、製造領域(寸法は35cm×35cm、面積は1225cm
2)内に載せ、高さ100mmの粉末床を作る。黒鉛シートから成る熱放射要素を有する放射加熱器(この要素は、2000nmの波長で最大強度を有する放射を発する)が、粉末床を加熱する。ここで熱放射要素の面積は、775cm
2である。粉末床の表面における温度と、粉末床内で深さ20mmの温度を測定し、記録する。その結果が、表5に示されている。
【0022】
例3(本発明によるもの)
表1に記載した特性値を有するポリマー粉末を、製造領域(寸法は35cm×35cm、面積は1225cm
2)内に載せ、高さ100mmの粉末床を作る。この粉末床を、放射加熱器により加熱する。この放射加熱器の熱放射要素は、6200nmの波長で最大強度を有する放射を発する。ここで最大放射強度の波長は10%未満、変動する。ここで熱放射要素の面積は、1852cm
2である。粉末床の表面における温度と、粉末床内で深さ20mmの温度を測定し、記録する。その結果が、表6に示されている。ここで表面における温度は、本発明によらない例と比較して、明らかにより迅速に上昇する。これに対して深さ20mmにおける温度は、非常にゆっくりとしか上昇しない。これはつまり、比較的深い粉末層内にある粉末を過度に加熱することなく、このため熱によって不必要な負荷をかけることなく、粉末床の表面における温度を高められるということである。
【0023】
例4(本発明によるもの)
表2に記載した特性値を有するポリマー粉末を、製造領域(寸法は35cm×35cm、面積は1225cm
2)内に載せ、高さ100mmの粉末床を作る。この粉末床を、放射加熱器により加熱する。この放射加熱器の熱放射要素は、5700nmの波長で最大強度を有する放射を発する。ここで最大放射強度の波長は10%未満、変動する。ここで熱放射要素の面積は、2466cm
2である。粉末床の表面における温度と、粉末床内で深さ20mmの温度を測定し、記録する。その結果が、表7に示されている。ここで表面における温度は、本発明によらない例と比較して、明らかにより迅速に上昇する。これに対して深さ20mmにおける温度は、非常にゆっくりとしか上昇しない。これはつまり、比較的深い粉末層内にある粉末を過度に加熱することなく、このため熱によって不必要な負荷をかけることなく、粉末床の表面における温度を高められるということである。
【0024】
例5(本発明によるもの)
表3に記載した特性値を有するポリマー粉末を、製造領域(寸法は35cm×35cm、面積は1225cm
2)内に載せ、高さ100mmの粉末床を作る。この粉末床を、放射加熱器により加熱する。この放射加熱器の熱放射要素は、5000nmの波長で最大強度を有する放射を発する。ここで最大放射強度の波長は10%未満、変動する。ここで熱放射要素の面積は、2466cm
2である。粉末床の表面における温度と、粉末床内で深さ20mmの温度を測定し、記録する。その結果が、表8に示されている。ここで表面における温度は、本発明によらない例と比較して、明らかにより迅速に上昇する。これに対して深さ20mmにおける温度は、非常にゆっくりとしか上昇しない。これはつまり、比較的深い粉末層内にある粉末を過度に加熱することなく、このため熱によって不必要な負荷をかけることなく、粉末床の表面における温度を高められるということである。
【0025】
例6(本発明によるもの)
表1に記載した特性値を有するポリマー粉末を、製造領域(寸法は35cm×35cm、面積は1225cm
2)内に載せ、高さ100mmの粉末床を作る。この粉末床を、放射加熱器により加熱する。この放射加熱器の熱放射要素は、7050nmの波長で最大強度を有する放射を発する。ここで熱放射要素の面積は、1852cm
2である。ここで最大放射強度の波長は5%未満、変動する。粉末床の表面における温度と、粉末床内で深さ20mmの温度を測定し、記録する。その結果が、表9に示されている。ここで表面における温度は、本発明によらない例と比較して、明らかにより迅速に上昇する。これに対して深さ20mmにおける温度は、非常にゆっくりとしか上昇しない。これはつまり、比較的深い粉末層内にある粉末を過度に加熱することなく、このため熱によって不必要な負荷をかけることなく、粉末床の表面における温度を高められるということである。
【0026】
【表1-1】
【表1-2】
【0027】
【表2-1】
【表2-2】
【0028】
【表3-1】
【表3-2】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
【表7】
【0033】
【表8】
【0034】
【表9】