【文献】
第4回:高次の積分公式と一般的な微分方程式,日本,[online],2009年 7月15日,[2017年3月14日検索],URL,https://web.archive.org/web/20090715113443/http://www.gaia.h.kyoto-u.ac.jp/~sakai/gfd/gfd_04.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置および情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
〔1.情報処理装置による情報処理の一例〕
図1を用いて、実施形態に係る情報処理装置1による情報処理の一例を説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理装置1による情報処理の一例を示す図である。
【0011】
まず、
図1に示す情報処理装置1は、取引価格が時間tに対して変動する金融商品の取引価格Xに関する履歴の情報X(t
n)・・・X(t
n−m)を取得する。
【0012】
ここで、t
nは、例えば、現在の時刻(直近の時刻)を示す。また、t
n+1は、例えば、現在の時刻から1分後の時刻(将来の時刻)を示す。同様に、t
n−mは、例えば、現在の時刻からm分前の時刻(過去の時刻)を示す。なお、nおよびmは、それぞれ、独立に整数である。
【0013】
履歴の情報X(t
n)・・・X(t
n−m)は、それぞれ、時刻t
n・・・t
n−m(現在から過去)における金融商品の取引価格Xに関する情報である。
【0014】
履歴の情報X(t
n)・・・X(t
n−m)は、例えば、それぞれ、時刻t
n・・・t
n−mにおける金融商品の取引価格Xの値を示す。金融商品の取引価格Xは、例えば、
図1に示すような為替レートであってもよい。
【0015】
次に、情報処理装置1は、上記の取得された履歴の情報X(t
n)・・・X(t
n−m)に基づいて、例えば、将来の時刻t
n+1における取引価格Xの時間に関する二階微分値d
2X/dt
2(t
n+1)を予測する。
【0016】
例えば、情報処理装置1は、履歴の情報X(t
n)・・・X(t
n−m)から二階微分値d
2X/dt
2(t
n+1)を予測するモデルを用いて、二階微分値の予測値d
2X/dt
2^(t
n+1)を求めることで、二階微分値d
2X/dt
2(t
n+1)を予測する。
【0017】
次に、情報処理装置1は、上記の予測された二階微分値d
2X/dt
2(t
n+1)に基づいて、将来の時刻t
n+1における取引価格Xの値X(t
n+1)を予測する。
【0018】
例えば、情報処理装置1は、二階微分値の予測値d
2X/dt
2^(t
n+1)から、後述する式の演算によって、取引価格Xの予測値X^(t
n+1)を求めることで、値X(t
n+1)を予測する。
【0019】
このように、情報処理装置1は、将来の時刻t
n+1における取引価格Xの時間に関する二階微分値d
2X/dt
2(t
n+1)を予測すると共に、上記の予測された二階微分値d
2X/dt
2(t
n+1)に基づいて、将来の時刻t
n+1における取引価格Xの値X(t
n+1)を予測するため、将来の時刻t
n+1における金融商品の取引価格Xの値X(t
n+1)を高い精度で予測することができる。
【0020】
すなわち、情報処理装置1は、時間に関する一階微分値のような取引価格Xの時間変動ではなく、時間に関する二階微分値、すなわち、取引価格Xの時間変動の時間変動を予測し、かかる二階微分値の予測値から取引価格Xを求めることで、従来に比べ予測の精度が改善された。なお、金融商品の取引価格Xの時間に関する二階微分値を予測することによって、金融商品の取引価格Xの時間変動の加速度を予測することができる。それに応じて、金融商品の取引価格Xの時間変動を引き起こす力の大きさおよび向きを予測することができる。このように、金融商品の取引価格Xの時間変動を引き起こす力の大きさおよび向きを予測することができるため、金融商品の取引価格Xの値を高い精度で予測することができる。
【0021】
情報処理装置1は、例えば、図示しない所定の通信網を介して、有線または無線により端末装置3と通信可能である。端末装置3は、例えば、スマートフォンである。端末装置3は、情報処理装置1に対して取引価格Xの値の予測を要求することができる。
【0022】
情報処理装置1は、端末装置3から取引価格Xの値の予測を要求されると、将来の時刻t
n+1における取引価格Xの予測値X^(t
n+1)を端末装置3に配信することができる。端末装置3は、将来の時刻t
n+1における取引価格Xの予測値X^(t
n+1)を受信する。
【0023】
その結果、端末装置3のユーザは、高い精度で予測された将来の時刻t
n+1における取引価格Xの予測値X^(t
n+1)に基づいて、金融商品の取引を実行することができる。
【0024】
〔2.情報処理装置の構成例〕
次に、
図2を用いて、実施形態に係る情報処理装置1の構成例を説明する。
図2は、実施形態に係る情報処理装置1の構成例を示す図である。
図2に示すように、情報処理装置は、通信部10と、記憶部20と、制御部30とを備える。
【0025】
なお、情報処理装置1は、情報処理装置1の管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)等を有してもよい。情報処理装置1は、スタンドアローンであってもよい。
【0026】
〔2.1.通信部10〕
通信部10は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部10は、ネットワークNと有線または無線で接続され、例えば取引装置2および端末装置3との間で情報の送受信を行う。
【0027】
取引装置2は、取引価格が変動する金融商品の取引に関する各種のサービスを提供する情報処理装置である。取引装置2は、例えば、サーバ装置またはクラウドシステム等により実現される。
【0028】
ここで、取引価格が変動する金融商品としては、例えば、外国為替、株式、国債、ファンド、保険商品などが挙げられる。金融商品の取引価格としては、例えば、為替レート、株価、国債価格、ファンド配当、保険商品の配当金などが挙げられる。
【0029】
なお、株価は、0円になることもあるため、取引価格が変動する金融商品としては、為替レートが連続的に変動する外国為替などが好ましい。
【0030】
例えば、取引装置2は、金融商品の取引価格に関する履歴の情報を情報処理装置1に配信する。また、例えば、取引装置2は、情報処理装置1または端末装置3から金融商品の取引に関する情報、例えば、金融商品を売買する意思表示に関する情報を受け付ける。
【0031】
また、例えば、取引装置2は、情報処理装置1または端末装置3から受け付けた金融商品の取引に関する情報に応じて、金融商品の取引を実行する。
【0032】
端末装置3は、ユーザによって利用される情報処理装置である。端末装置3は、例えば、スマートフォン、タブレット型端末、ノート型PC(Personal Computer)、デスクトップPC、携帯電話機、またはPDA(Personal Digital Assistant)等により実現される。
【0033】
例えば、端末装置3は、情報処理装置1が金融商品の取引価格の値を予測することを要求する。また、例えば、端末装置3は、情報処理装置1から金融商品の取引価格の予測値を受け付ける。また、端末装置3は、取引装置2に金融商品の取引に関する情報、例えば、例えば、金融商品を売買する意思表示に関する情報を配信する。
【0034】
〔2.2.記憶部20〕
記憶部20は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0035】
図2に示すように、記憶部20は、履歴情報記憶部21と、学習情報記憶部22と、検出情報記憶部23と、予測情報記憶部24と、受付情報記憶部25と、取引情報記憶部26とを備える。
【0036】
履歴情報記憶部21は、金融商品の取引価格に関する履歴の情報を記憶する。
【0037】
学習情報記憶部22は、学習処理を実行するための情報および学習処理の結果として生成されたモデルに関する情報を記憶する。
【0038】
検出情報記憶部23は、金融商品の取引価格の変動に対する所定値および検出された金融商品の取引価格の所定値を超える変動に関する情報を記憶する。
【0039】
予測情報記憶部24は、予測された金融商品の取引価格に関する情報を記憶する。
【0040】
受付情報記憶部25は、金融商品の取引価格の値についての予測の要求に関する情報を記憶する。
【0041】
取引情報記憶部26は、予測された金融商品の取引価格の値に対する所定の条件および所定の条件に対する金融商品の取引に関する情報を記憶する。
【0042】
〔2.3.制御部30〕
制御部30は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報処理装置1の内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。
【0043】
また、制御部30は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0044】
図2に示すように、制御部30は、取得部31と、学習部32と、検出部33と、予測部34と、受付部35と、配信部36と、取引処理部37とを備える。制御部30は、以下に説明する情報処理の機能または作用を実現または実行する。
【0045】
〔2.3.1.取得部31〕
取得部31は、取引価格が変動する金融商品の取引価格に関する履歴の情報を取得する。例えば、取得部31は、取引装置2からネットワークNおよび通信部10を介して金融商品の取引価格に関する履歴の情報を取得する。
【0046】
ここで、金融商品の取引価格に関する履歴の情報は、過去から現在までの期間における時刻ごとの金融商品の取引価格に関する情報である。
【0047】
金融商品の取引価格に関する情報としては、例えば、金融商品の取引価格の値、金融商品の取引価格の一階微分値、金融商品の取引価格の二階微分値等が挙げられる。以下、金融商品の取引価格の一階微分値は、金融商品の取引価格の時間に関する一階微分値を意味すると共に、金融商品の取引価格の二階微分値は、金融商品の取引価格の時間に関する二階微分値を意味する。
【0048】
金融商品の取引価格の値としては、例えば、金融商品の取引価格の高値、安値、始値、および終値のセット、金融商品の取引価格の高値、安値、始値、および終値の平均値、または金融商品の取引価格の高値、安値、始値、および終値のうちのいずれか一つの値のような代表値等が挙げられる。
【0049】
例えば、取得部31は、取得された履歴の情報を履歴情報記憶部21に記憶する。
【0050】
ここで、
図3を用いて、実施形態に係る金融商品の取引価格に関する履歴の情報の一例を説明する。
図3は、実施形態に係る金融商品の取引価格に関する履歴の情報の一例を示す図である。
【0051】
図3に示すように、取得部31は、例えば、金融商品の取引価格の種類ごとに過去の期間における時刻ごとの金融商品の取引価格の値を取得する。
【0052】
図3に示す例においては、金融商品の取引価格の種類は、為替(X1)の高値X1
H、安値X1
L、始値X1
S、終値X1
E、株価(X2)の高値X2
H、安値X2
L、始値X2
S、終値X2
E、および国債(X3)の高値X3
H、安値X3
L、始値X3
S、終値X3
Eを含む。
【0053】
取得部31は、過去の時間t=t
n−m,t
n−m+1・・・t
n−2,t
n−1,t
nごとの金融商品の取引価格の値X1
H(t)・・・X3
E(t)のテーブルを履歴情報記憶部21に記憶する。
【0054】
〔2.3.2.学習部32〕
図2に戻り、学習部32は、取得部31で取得された金融商品の取引価格に関する履歴の情報に基づいて、教師あり学習を行うことによって、モデルを生成する。
【0055】
例えば、学習部32は、金融商品の取引価格に関する履歴の情報を履歴情報記憶部21から読み出す。また、例えば、学習部32は、学習処理を実行するための情報、例えば、後述するニューラルネットワークにおけるバックプロパゲーション(誤差逆伝播法)等の処理を実行するための情報を学習情報記憶部22から読み出す。
【0056】
例えば、学習部32は、金融商品の取引価格に関する履歴の情報に基づいて、金融商品の取引価格の二階微分値の正解情報を算出する。例えば、学習部32は、ある時刻t
l(lは整数である)における金融商品の取引価格の二階微分値の正解情報d
2X/dt
2(t
l)を、
d
2X/dt
2(t
l)=(X(t
l)−2X(t
l−1)+X(t
l−2))/Δt
2
の式に従って算出する。ここで、X(t
l)、X(t
l−1)、およびX(t
l−2)は、それぞれ、隣接する三個の時刻t
l、t
l−1、およびt
l−2における金融商品の取引価格Xの値である。また、Δtは、t
l−t
l−1またはt
l−1−t
l−2によって与えられる時間差である。
【0057】
例えば、学習部32は、金融商品の取引価格に関する履歴の情報と金融商品の取引価格の二階微分値の正解情報との関係を学習することによって、金融商品の取引価格に関する履歴の情報から金融商品の取引価格の二階微分値を予測するモデルを生成する。
【0058】
また、例えば、学習部32は、金融商品の取引価格に関する履歴の情報に基づいて、金融商品の取引価格の一階微分値の正解情報を算出する。例えば、学習部32は、ある時刻t
l(lは整数である)における金融商品の取引価格の一階微分値の正解情報dX/dt(t
l)を、
dX/dt(t
l)=(X(t
l)−X(t
l−1))/Δt
の式に従って算出する。ここで、X(t
l)およびX(t
l−1)は、それぞれ、隣接する二個の時刻t
lおよびt
l−1における金融商品の取引価格Xの値である。また、Δtは、t
l−t
l−1によって与えられる時間差である。
【0059】
例えば、学習部32は、金融商品の取引価格に関する履歴の情報と金融商品の取引価格の一階微分値の正解情報との関係を学習することによって、金融商品の取引価格に関する履歴の情報から金融商品の取引価格の一階微分値を予測するモデルを生成する。
【0060】
例えば、金融商品の取引価格に関する履歴の情報が、過去から現在までの期間における時刻ごとの金融商品の取引価格の高値、安値、始値、および終値の情報を含む場合には、学習部32は、過去の期間における時刻ごとの金融商品の取引価格の高値、安値、始値、および終値の情報と金融商品の取引価格の(例えば終値の)二階微分値または一階微分値の正解情報との関係を学習する。
【0061】
例えば、金融商品の取引価格に関する履歴の情報が、過去の一定期間における金融商品の取引価格に関する情報を含む場合には、学習部32は、過去の一定期間における金融商品の取引価格に関する情報と金融商品の取引価格の二階微分値または一階微分値の正解情報との関係を複数の一定期間について繰り返して学習する。
【0062】
なお、金融商品の取引価格に関する履歴の情報から金融商品の取引価格の二階微分値または一階微分値を予測するモデルは、金融商品の取引価格の二階微分値または一階微分値を予測する時間および時間幅が異なる複数のモデルであってもよい。
【0063】
例えば、上記のモデルは、現在から時刻s分後(sは整数である)における金融商品の取引価格の二階微分値または一階微分値を予測するモデルであってもよい。また、例えば、上記のモデルは、現在から時刻s分後におけるt分間(tは整数である)の金融商品の取引価格の二階微分値または一階微分値の平均値を予測するモデルであってもよい。
【0064】
学習部32は、例えば、複数のノードを有する層を多段階に接続したニューラルネットワークであり、いわゆるディープラーニングの技術により実現されるDNN(Deep Neural Network)であってもよい。
【0065】
例えば、学習部32は、ディープラーニングの技術により、以下のような学習手法により非線形のモデルを生成する。例えば、学習部32は、ニューラルネットワークにおける各ノードの間の結合係数を初期化すると共に、金融商品の取引価格に関する履歴の情報の入力を受け付ける。
【0066】
そして、学習部32は、バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)等の処理によって非線形のモデルを生成する。バックプロパゲーションにおいては、金融商品の取引価格に関する履歴の情報の入力と金融商品の取引価格の二階微分値または一階微分値の出力との間における所定の誤差関数の値を最小化するように結合係数を調整する。
【0067】
このようにして、学習部32は、金融商品の取引価格に関する履歴の情報に対する予測値の非線形のモデルを生成する。
【0068】
例えば、学習部32は、学習処理の結果として生成されたモデル、すなわち、金融商品の取引価格に関する履歴の情報に対して教師あり学習を行うことによって生成されたモデルを学習情報記憶部22に記憶する。
【0069】
ここで、
図4を用いて、実施形態に係る金融商品の取引価格を予測するモデルの一例を説明する。
図4は、実施形態に係る金融商品の取引価格を予測するモデルの一例を示す図である。
【0070】
図4に示すように、学習部32は、例えば、金融商品の取引価格の種類ごとに複数の種類のモデルを生成する。
【0071】
図4に示す例においては、金融商品の取引価格の種類は、
図4に示すような、為替(X1)、株価(X2)、および国債(X3)を含む。
図4に示す例においては、モデルの種類は、後述するように、為替(X1)についてのモデル1A、モデル1B、およびモデル1C、株価(X2)についてのモデル2A、モデル2B、およびモデル2C、国債(X3)についてのモデル3A、モデル3B、およびモデル3Cを含む。
【0072】
ここで、モデル1A、モデル2A、モデル3Aは、金融商品の取引価格に関する履歴の情報から金融商品の取引価格の二階微分値を予測するモデルである。
【0073】
また、モデル1B、モデル2B、およびモデル3Bは、金融商品の取引価格に関する履歴の情報から金融商品の取引価格の二階微分値および一階微分値を予測するモデルである。
【0074】
また、モデル1C、モデル2C、およびモデル3Cは、複数の金融商品の取引価格に関する履歴の情報から複数の金融商品の取引価格の二階微分値を予測するモデルである。モデル1Cは、例えば、日本円、米ドル、欧州ユーロ、中国元などの間の複数の為替レートから複数の為替レートの二階微分値を予測するモデルである。例えば、モデル2Cは、例えば、複数の株式会社の株価から複数の株式会社の株価の二階微分値を予測するモデルである。
【0075】
学習部32は、金融商品の取引価格としての為替(X1)、株価(X2)、および国債(X3)について生成されたモデル1A・・・モデル3Cのテーブルを学習情報記憶部22に記憶する。
【0076】
〔2.3.3.検出部33〕
図2に戻り、検出部33は、取得部31で取得された金融商品の取引価格に関する履歴の情報に基づいて、金融商品の取引価格の所定値を超える変動を検出する。
【0077】
例えば、検出部33は、金融商品の取引価格に関する履歴の情報を履歴情報記憶部21から読み出す。また、例えば、検出部33は、金融商品の取引価格の変動に対する所定値(閾値)を検出情報記憶部23から読み出す。
【0078】
例えば、検出部33は、ある時刻における金融商品の取引価格の変動の値が所定値(閾値)を超えるか否かについて判定することによって、金融商品の取引価格の所定値を超える変動を検出する。
【0079】
例えば、金融商品の取引価格に関する履歴の情報が、金融商品の取引価格の値である場合には、金融商品の取引価格の変動の値は、金融商品の取引価格の一階微分値である。
【0080】
例えば、金融商品の取引価格に関する履歴の情報が、金融商品の取引価格の一階微分値である場合には、金融商品の取引価格の変動の値は、金融商品の取引価格の二階微分値である。
【0081】
例えば、金融商品の取引価格に関する履歴の情報が、金融商品の取引価格の二階微分値である場合には、金融商品の取引価格の変動の値は、金融商品の取引価格の三階微分値である。
【0082】
例えば、検出部33は、検出された金融商品の取引価格の所定値を超える変動に関する情報を検出情報記憶部23に記憶する。具体的には、検出部33は、金融商品の取引価格の変動に対する所定値、所定値(閾値)を超える金融商品の取引価格の変動の値、所定値(閾値)を超える金融商品の取引価格の変動を示す時刻、その時刻における金融商品の取引価格に関する情報などを記憶する。
【0083】
ここで、
図5を用いて、実施形態に係る金融商品の取引価格における所定値を超える変動の検出の一例を説明する。
図5は、実施形態に係る金融商品の取引価格における所定値を超える変動の検出の一例を示す図である。
【0084】
図5において、横軸は、時間tを示すと共に、縦軸は、金融商品の取引価格Xの変動Vの値、すなわち、金融商品の取引価格Xの一階微分値を示す。なお、金融商品の取引価格Xの変動Vの値には、金融商品の取引価格Xの一階微分値の絶対値を用いてもよい。
図5において、所定値Vthは、金融商品の取引価格Xの変動Vの値に対する閾値を意味する。
【0085】
図5に示す例において、時刻t’および時刻t”における金融商品の取引価格Xの変動Vの値V(t’)およびV(t”)が所定値Vthを超えている。検出部33は、時刻t’および時刻t”において金融商品の取引価格Xの所定値Vthを超える変動の値V(t’)およびV(t”)を検出する。
【0086】
〔2.3.4.予測部34〕
図2に戻り、予測部34は、取得部31で取得された金融商品の取引価格に関する履歴の情報に基づいて、将来における金融商品の取引価格の値を予測する。
【0087】
例えば、予測部34は、金融商品の取引価格に関する履歴の情報を履歴情報記憶部21から読み出す。また、例えば、予測部34は、学習処理の結果として生成されたモデルに関する情報を学習情報記憶部22から読み出す。また、例えば、予測部34は、金融商品の取引価格の所定値を超える変動に関する情報を検出情報記憶部23から読み出す。
【0088】
ここで、
図6を用いて、実施形態に係る予測部34の構成例を説明する。
図6は、実施形態に係る予測部の構成例を示す図である。
図6に示すように、予測部34は、二階微分値予測部34aと、一階微分値予測部34bと、取引価格予測部34cと、価格変動予測部34dと、処理部34eとを備える。
【0089】
〔2.3.4.1.二階微分値予測部34a〕
二階微分値予測部34aは、取得部31で取得された金融商品の取引価格に関する履歴の情報に基づいて、将来における金融商品の取引価格の二階微分値を予測する。
【0090】
例えば、二階微分値予測部34aは、金融商品の取引価格に関する履歴の情報により学習されたニューラルネットワークを用いて将来における金融商品の取引価格の二階微分値を予測する。
【0091】
例えば、二階微分値予測部34aは、金融商品の取引価格に関する履歴の情報を学習部32によって生成されたモデルに入力することによって、将来における金融商品の取引価格の二階微分値を予測する。
【0092】
例えば、金融商品の取引価格に関する履歴の情報が、過去の一定期間における金融商品の取引価格に関する情報を含む場合に、二階微分値予測部34aは、過去の一定期間における金融商品の取引価格に関する情報に基づいて、将来における金融商品の取引価格の二階微分値を予測する。
【0093】
例えば、二階微分値予測部34aは、過去の一定期間における金融商品の取引価格に関する情報を、学習部32において過去の一定期間における金融商品の取引価格に関する情報を用いて生成されたモデルに入力することによって、将来における金融商品の取引価格の二階微分値を予測する。
【0094】
なお、学習部32においてモデルを作成する際に用いられる過去の一定期間における金融商品の取引価格に関する情報の過去の一定期間は、将来における金融商品の取引価格の二階微分値を予測する際に用いられる過去の一定期間における金融商品の取引価格に関する情報の過去の一定期間と同じ時間幅を有する。
【0095】
例えば、金融商品の取引価格に関する履歴の情報が、過去から現在までの期間における時刻ごとの金融商品の取引価格の高値、安値、始値、および終値の情報を含む場合には、二階微分値予測部34aは、過去から現在までの期間における時刻ごとの金融商品の取引価格の高値、安値、始値、および終値の情報に基づいて、将来における金融商品の取引価格の二階微分値を予測する。
【0096】
例えば、二階微分値予測部34aは、過去から現在までの期間における時刻ごとの金融商品の取引価格の高値、安値、始値、および終値の情報を、学習部32において金融商品の取引価格の高値、安値、始値、および終値の情報を用いて生成されたモデルに入力することによって、将来における金融商品の取引価格の二階微分値を予測する。
【0097】
例えば、検出部33が、金融商品の取引価格の所定値を超える変動を検出した場合に、二階微分値予測部34aは、検出部33によって検出された所定値を超える変動を伴った情報を除いた履歴の情報に基づいて、将来における金融商品の取引価格の二階微分値を予測する。
【0098】
例えば、学習部32は、検出された所定値を超える変動を伴った情報を除いた金融商品の取引価格に関する履歴の情報と金融商品の取引価格の二階微分値の正解情報との関係を学習する。
【0099】
二階微分値予測部34aは、検出された所定値を超える変動を伴った情報を除いた金融商品の取引価格に関する履歴の情報を学習部32によって生成されたモデルに入力することによって、将来における金融商品の取引価格の二階微分値を予測する。
【0100】
図5に示す例においては、二階微分値予測部34aは、金融商品の取引価格Xに関する履歴の情報X(t)から、検出部33によって検出された所定値Vthを超える変動の値V(t’)およびV(t”)を伴った情報である金融商品の取引価格Xの値X(t’)およびX(t”)を除く。
【0101】
そして、二階微分値予測部34aは、検出部33によって検出された所定値Vthを超える変動の値V(t’)およびV(t”)を伴った情報である金融商品の取引価格Xの値X(t’)およびX(t”)を除いた金融商品の取引価格Xに関する履歴の情報X(t)に基づいて、金融商品の取引価格Xの二階微分値を予測する。
【0102】
〔2.3.4.2.一階微分値予測部34b〕
一階微分値予測部34bは、取得部31で取得された金融商品の取引価格に関する履歴の情報に基づいて、将来における金融商品の取引価格の一階微分値を予測する。
【0103】
例えば、一階微分値予測部34bは、二階微分値予測部34aと同様に、金融商品の取引価格に関する履歴の情報により学習されたニューラルネットワークを用いて将来における金融商品の取引価格の一階微分値を予測する。
【0104】
例えば、一階微分値予測部34bは、二階微分値予測34aと同様に、金融商品の取引価格に関する履歴の情報を学習部32によって生成されたモデルに入力することによって、将来における金融商品の取引価格の一階微分値を予測する。
【0105】
例えば、金融商品の取引価格に関する履歴の情報が、過去の一定期間における金融商品の取引価格に関する情報を含む場合に、一階微分値予測部34bは、二階微分値予測部34aと同様に、過去の一定期間における金融商品の取引価格に関する情報に基づいて、将来における金融商品の取引価格の一階微分値を予測する。
【0106】
例えば、金融商品の取引価格に関する履歴の情報が、過去から現在までの期間における時刻ごとの金融商品の取引価格の高値、安値、始値、および終値の情報を含む場合には、一階微分値予測部34bは、二階微分値予測部34aと同様に、過去から現在までの期間における時刻ごとの金融商品の取引価格の高値、安値、始値、および終値の情報に基づいて、将来における金融商品の取引価格の一階微分値を予測する。
【0107】
例えば、検出部33が、金融商品の取引価格の所定値を超える変動を検出した場合に、一階微分値予測部34bは、二階微分値予測部34aと同様に、検出部33によって検出された所定値を超える変動を伴った情報を除いた履歴の情報に基づいて、将来における金融商品の取引価格の一階微分値を予測する。
【0108】
〔2.3.4.3.取引価格予測部34c〕
取引価格予測部34cは、二階微分値予測部34aで予測された二階微分値に基づいて、将来における金融商品の取引価格Xの値を予測する。
【0109】
例えば、取引価格予測部34cは、過去の時刻t
n−1(例えば、現在の1分前の時刻)と現在の時刻t
nとの時間差Δtおよび現在の時刻t
nと将来の時刻t
n+1の時間差Δtが一定である場合には、将来の時刻t
n+1(例えば、現在の1分後の時刻)における金融商品の取引価格Xの予測値X^(t
n+1)を
X^(t
n+1)=2X(t
n)−X(t
n−1)+d
2X/dt
2^(t
n+1)×Δt
2
の式に従って演算する。
【0110】
ここで、X(t
n−1)は、過去の時刻t
n−1における金融商品の取引価格Xの値である。また、X(t
n)は、現在の時刻t
nにおける金融商品の取引価格Xの値である。また、d
2X/dt
2^(t
n+1)は、将来の時刻t
n+1における金融商品の取引価格Xの二階微分値の予測値である。
【0111】
なお、時間差Δtが小さいほど、取引価格予測部34cは、高い精度でX(t
n+1)を得ることができる。
【0112】
例えば、取引価格予測部34cは、二階微分値予測部34aで予測された二階微分値および一階微分値予測部34bで予測された一階微分値に基づいて、将来における金融商品の取引価格を予測するものであってもよい。
【0113】
例えば、取引価格予測部34cは、過去の時刻t
n−1と現在の時刻t
nとの時間差Δtおよび現在の時刻t
nと将来の時刻t
n+1の時間差Δtが一定である場合には、将来の時刻t
n+1における金融商品の取引価格Xの予測値X^(t
n+1)を
X^(t
n+1)=X(t
n−1)+2dX/dt^(t
n+1)×Δt−d
2X/dt
2^(t
n+1)×Δt
2
の式に従って演算する。
【0114】
ここで、X(t
n−1)は、過去の時刻t
n−1における金融商品の取引価格Xの値である。また、dX/dt^(t
n+1)は、将来の時刻t
n+1における金融商品の取引価格Xの一階微分値の予測値である。また、d
2X/dt
2^(t
n+1)は、将来の時刻t
n+1における金融商品の取引価格Xの二階微分値の予測値である。
【0115】
なお、取引価格予測部34cは、上述した式とは異なる式に従って、将来の時刻t
n+1における金融商品の取引価格Xの予測値X^(t
n+1)を演算してもよい。また、取引価格予測部34cにおいて予測される将来における金融商品の取引価格Xの値は、現在の1分後の時刻における金融商品の取引価格Xの値に限られない。
【0116】
例えば、取引価格予測部34cは、1分後の時刻における金融商品の取引価格Xの値の予測を繰り返すことによって、現在のs分後(sは、2以上の整数である)の時刻における金融商品の取引価格Xの値を予測することができる。
【0117】
例えば、取引価格予測部34cは、同様にして、現在のs分後(sは、2以上の整数である)の時刻からt分間(tは、1以上の整数である)の金融商品の取引価格Xの値およびそれらの平均値を予測することができる。
【0118】
ここで、
図7を用いて、実施形態に係る金融商品の取引価格の予測の一例を説明する。
図7は、実施形態に係る金融商品の取引価格の予測の一例を示す図である。
図7において、横軸は、時間tを示すと共に、縦軸は、金融商品の取引価格Xの値を示す。なお、時間tは、UNIX(登録商標)時間であってもよい。
【0119】
図7において、実線は、金融商品の取引価格(為替レート)Xの実際のデータを示すと共に、点線は、情報処理装置1による予測の結果を示す。
図7においては、過去の時刻t
n−mから現在の時刻t
nまでの金融商品の取引価格の実際のデータが示されている。
【0120】
図7に示す例において、ニューラルネットワークである学習部32は、時刻t
n−k−10から時刻t
n−k−1までの過去の一定期間T(時刻t
n−kの前の10分間)における金融商品の取引価格Xの値X(t
n−k−10)・・・X(t
n−k−1)と時刻t
n−kにおける金融商品の取引価格Xの二階微分値d
2x/dt
2(t=t
n−k)の正解情報との関係をk=0・・・mについて繰り返して学習する。例えば、学習部32は、14年分のデータを用いて1分刻みで学習する。
【0121】
それによって、学習部32は、所定の時刻前の10分間における金融商品の取引価格Xの値から所定の時刻における金融商品の取引価格の二階微分値を予測するモデルd
2x/dt
2(t=t
n−k)=f(X(t
n−k−10)・・・X(t
n−k−1))を生成する。ここで、fは、モデルを表す非線形の関数である。
【0122】
このように、学習部32は、時系列のデータによって繰り返して学習するため、学習部32には、再帰型ニューラルネットワークを用いることが好ましい。
【0123】
次に、二階微分値予測部34aは、学習部32によって生成されたモデルを用いて、時刻t
n+1における金融商品の取引価格Xの二階微分値d
2X/dt
2(t
n+1)を予測する。
【0124】
取引価格予測部34cは、二階微分値予測部34aで予測された時刻t
n+1における金融商品の取引価格Xの二階微分値d
2X/dt
2(t
n+1)に基づいて、例えば、上述した式に従って、時刻t
n+1における金融商品の取引価格Xの値X(t
n+1)を予測する。
【0125】
図7に、過去の時刻t
n−mから現在の時刻t
nまでの金融商品の取引価格の実際のデータX(t
n−m)・・・X(t
n)に対して、情報処理装置1において同様にして予測された結果を示す。
図7に示す予測の結果は、情報処理装置1が金融商品の取引価格Xの値を高い精度で予測することができることを示す。
【0126】
このように、情報処理装置1は、二階微分値予測部34aが過去の一定期間T(t
n−k−10・・・t
n−k−1)ごとの金融商品の取引価格Xの値X(t
n−k−10)・・・X(t
n−k−1)に基づいて過去の一定期間Tの経過後の時刻t
n−kにおける金融商品の取引価格Xの二階微分値d
2x/dt
2(t=t
n−k)を予測すると共に取引価格予測部34cが予測された二階微分値d
2x/dt
2(t=t
n−k)に基づいて過去の一定期間Tの経過後の時刻t
n−kにおける金融商品の取引価格Xの値X(t
n−k)を予測するように構成されてもよい。
【0127】
なお、情報処理装置1は、二階微分値予測部34aが(現在を含むことがある)過去の一定期間ごとの金融商品の取引価格の値に基づいて次の一定期間後の時刻における金融商品の取引価格の二階微分値を予測すると共に取引価格予測部34cが予測された二階微分値に基づいて上記次の一定期間後の時刻における金融商品の取引価格の値を予測するように構成されてもよい。
【0128】
また、情報処理装置1は、二階微分値予測部34aが(現在を含むことがある)過去の一定期間ごとの金融商品の取引価格の値に基づいて一定期間よりも長い期間後の時刻における金融商品の取引価格の二階微分値を予測すると共に取引価格予測部34cが予測された二階微分値に基づいて上記一定期間よりも長い期間後の時刻における金融商品の取引価格の値を予測するように構成されてもよい。
【0129】
また、例えば、二階微分値予測部34aは、
図3に示されたような複数の金融商品の取引価格に関する履歴の情報X1
H(t)・・・X3
E(t)(t=t
n−m,t
n−m+1・・・t
n−2,t
n−1,t
n)を
図4に示すような複数のモデル1A、・・・モデル3Cに入力する。
【0130】
それによって、二階微分値予測部34aは、複数の金融商品の取引価格X1、X2、X3の二階微分値等を予測する。取引価格予測部34cは、複数の金融商品の取引価格X1、X2、X3の二階微分値等に基づいて、複数の金融商品の取引価格X1、X2、X3の値を予測する。
【0131】
このように、情報処理装置1は、二階微分値予測部34aが複数の金融商品の取引価格に関する履歴の情報に基づいて複数の金融商品の取引価格の二階微分値等を予測すると共に取引価格予測部34cが複数の金融商品の取引価格の二階微分値等に基づいて複数の金融商品の取引価格を予測するように構成されてもよい。
【0132】
なお、情報処理装置1は、二階微分値予測部34aが複数の金融商品の取引価格に関する履歴の情報に基づいて複数の金融商品の取引価格の二階微分値等を予測すると共に取引価格予測部34cが複数の金融商品の取引価格の二階微分値等に基づいて単一の金融商品の取引価格を予測するように構成されてもよい。
【0133】
〔2.3.4.4.価格変動予測部34d〕
図6に戻り、価格変動予測部34dは、取得部31で取得された金融商品の取引価格に関する履歴の情報に基づいて、将来における金融商品の取引価格の所定値を超える変動を予測する。
【0134】
例えば、価格変動予測部34dは、金融商品の取引価格に関する履歴の情報に含まれる過去における金融商品の取引価格の所定値を超える変動を伴った情報を用いて、将来における金融商品の取引価格の所定値を超える変動を予測する。
【0135】
〔2.3.4.5.処理部34e〕
処理部34eは、価格変動予測部34dによって予測された所定値を超える変動に応じて所定の処理を実行する。処理部34eは、予測停止部34fと予測補間部34gとを備える。
【0136】
予測停止部34fは、価格変動予測部34dによって予測された所定値を超える変動に対応する期間において二階微分値予測部34aによる二階微分値の予測を停止させる。例えば、予測停止部34fは、通信部10およびネットワークNを介して端末装置3の表示器に金融商品の取引価格の予測を停止することを表示させる信号を送信する。
【0137】
あるいは、予測停止部34fは、価格変動予測部34dによって予測された所定値を超える変動に対応する期間において二階微分値予測部34aによる二階微分値の予測を停止させることなく、取引処理部37における処理を停止させてもよい。
【0138】
予測補間部34gは、価格変動予測部34dによって予測された所定値を超える変動に対応する期間において二階微分値予測部34aによる二階微分値の予測を補間する。
【0139】
例えば、予測補間部34gは、価格変動予測部34dによって予測された所定値を超える変動に対応する期間の前後における二階微分値の平均値を用いて二階微分値の予測を補間する。あるいは、例えば、予測補間部34gは、価格変動予測部34dによって予測された所定値を超える変動に対応する期間の前後における二階微分値を用いて連続的に二階微分値の予測の補間をする。
【0140】
例えば、取引価格予測部34cは、二階微分値予測部34aで予測された二階微分値および予測補間部34gで補間された二階微分値に基づいて、金融商品の取引価格を予測する。
【0141】
例えば、予測部34は、予測された金融商品の取引価格の値を予測情報記憶部24に記憶する。
【0142】
予測部34によって予測された金融商品の取引価格に関する情報としては、二階微分値予測部34aによって予測された金融商品の取引価格の二階微分値、一階微分値予測部34bによって予測された金融商品の取引価格の一階微分値、取引価格予測部34cによって予測された金融商品の取引価格の値、および価格変動予測部34dによって予測された金融商品の取引価格の所定値を超える変動の値などが挙げられる。
【0143】
〔2.3.5.受付部35〕
受付部35は、端末装置3からネットワークNおよび通信部10を介して金融商品の取引価格の値についての予測の要求に関する情報を受け付ける。
【0144】
金融商品の取引価格の値についての予測の要求に関する情報としては、例えば、取引価格の予測に係る、金融商品の種類、金融商品の取引価格の値の種類、年月日、時刻、および時間などが挙げられる。
【0145】
例えば、受付部35は、金融商品の取引価格の値についての予測の要求に関する情報を受付情報記憶部25に記憶する。
【0146】
〔2.3.6.配信部36〕
配信部36は、受付部35が金融商品の取引価格の値についての予測の要求に関する情報を受け付けた場合には、予測部34における取引価格予測部34cによって予測された金融商品の取引価格の値を、通信部10およびネットワークNを介して端末装置3に配信する。
【0147】
〔2.3.7.取引処理部37〕
例えば、取引処理部37は、通信部10およびネットワークNを介して取引装置2に金融商品の取引に関する情報、例えば、金融商品を売買する意思表示に関する情報を送信する。
【0148】
例えば、取引処理部37は、予測部34における取引価格予測部34cによって予測された金融商品の取引価格の値に対する所定の条件を取引情報記憶部26から読み出す。
【0149】
そして、取引処理部37は、予測部34における取引価格予測部34cによって予測された金融商品の取引価格の値が所定の条件を満たすか否かについて判定する。
【0150】
取引処理部37は、予測部34における取引価格予測部34cによって予測された金融商品の取引価格の値が所定の条件を満たす場合に、通信部10およびネットワークNを介して取引装置2に金融商品の取引に関する情報を送信する。
【0151】
例えば、取引処理部37は、取引価格予測部34cによって予測された金融商品の取引価格の値が所定の値または現在における金融商品の取引価格に対して高い(低い)場合に、取引装置2に金融商品を売る(買う)意思表示に関する情報を送信する。
【0152】
あるいは、例えば、取引処理部37は、学習部32において金融商品の取引価格に関する履歴の情報から金融商品の取引価格の二階微分値を予測するモデルを生成する際の誤差関数の値が所定の値より大きい(小さい)場合に、取引装置2に金融商品を売買しない(売買する)意思表示に関する情報を送信するように構成されてもよい。
【0153】
取引処理部37は、所定の条件に対する金融商品の取引に関する情報、例えば、金融商品を売買する意思表示に関する情報を取引情報記憶部26に記憶する。
【0154】
〔3.学習処理の手順〕
次に、
図8を用いて、実施形態に係る学習部における学習処理の手順の一例を説明する。
図8は、実施形態に係る学習部における学習処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0155】
図8に示すように、まず、情報処理装置1における学習部32は、金融商品の取引価格に関する履歴の情報を取得する(ステップS101)。
【0156】
その後、学習部32は、金融商品の取引価格の二階微分値等の正解情報を算出する(ステップS102)。
【0157】
その後、学習部32は、学習部32から出力される金融商品の取引価格の二階微分値等と取引価格の二階微分値等の正解情報との間の誤差関数の値を最小化するようにモデルを生成する(ステップS103)。
【0158】
その後、学習部32は、誤差関数の値が所定の条件を満たすか否かについて判定する(ステップS104)。誤差関数の値が所定の条件を満たす場合(ステップS104:Yes)には、学習部32は、学習処理を終了する。誤差関数の値が所定の条件を満たさない場合(ステップS104:No)には、学習部32は、ステップS103に戻る。
【0159】
〔4.取引価格の予測の手順〕
次に、
図9を用いて、実施形態に係る金融商品の取引価格に関する予測の手順の一例を説明する。
図9は、実施形態に係る金融商品の取引価格に関する予測の手順の一例を示すフローチャートである。
【0160】
図9に示すように、まず、情報処理装置1は、金融商品の取引価格に関する履歴の情報を取得する(ステップS201)。
【0161】
その後、情報処理装置1は、金融商品の取引価格の所定値を超える変動を検出したか否かについて判定する(ステップS202)。
【0162】
金融商品の取引価格の所定値を超える変動を検出した場合(ステップS202:Yes)には、情報処理装置1は、ステップS203に進む。
【0163】
その後、情報処理装置1は、金融商品の取引価格に関する履歴の情報から取引価格の所定値を超える変動を伴った情報を除く(ステップS203)。
【0164】
金融商品の取引価格の所定値を超える変動を検出しなかった場合(ステップS202:No)には、情報処理装置1は、ステップS204に進む。
【0165】
その後、情報処理装置1は、金融商品の取引価格の二階微分値等を予測する(ステップS204)。
【0166】
その後、情報処理装置1は、金融商品の取引価格の値を予測する(ステップS205)。
【0167】
その後、情報処理装置1は、金融商品の取引価格の値についての予測の要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS206)。
【0168】
金融商品の取引価格の値についての予測の要求を受け付けた場合(ステップS206:Yes)には、情報処理装置1は、ステップS207に進む。
【0169】
その後、情報処理装置1は、予測された金融商品の取引価格の値を配信する(ステップS207)。
【0170】
金融商品の取引価格の値についての予測の要求を受け付けなかった場合(ステップS206:No)には、情報処理装置1は、ステップS208に進む。
【0171】
その後、情報処理装置1は、予測された金融商品の取引価格の値が所定の条件を満たすか否かについて判定する(ステップS208)。
【0172】
予測された金融商品の取引価格の値が所定の条件を満たす場合(ステップS208:Yes)には、情報処理装置1は、ステップS209に進む。
【0173】
その後、情報処理装置1は、金融商品の取引処理を実行する(ステップS209)。
【0174】
予測された金融商品の取引価格の値が所定の条件を満たさない場合(ステップS208:No)には、情報処理装置1は、金融商品の取引価格についての予測の処理を終了する。
【0175】
〔5.ハードウェア構成〕
上述してきた実施形態に係る情報処理装置1は、例えば
図10に示すような構成のコンピュータ100によって実現される。
図10は、実施形態に係る情報処理装置1の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ100は、CPU110、RAM120、ROM130、HDD(Hard Disk Drive)140、メディアインターフェイス(I/F)150、通信インターフェイス(I/F)160、及び入出力インターフェイス(I/F)170を有する。
【0176】
CPU110は、ROM130またはHDD140に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM130は、コンピュータ100の起動時にCPU110によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ100のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0177】
HDD140は、CPU110によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。
【0178】
メディアインターフェイス150は、記録媒体180に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM120を介してCPU110に提供する。CPU110は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス150を介して記録媒体180からRAM120上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体180は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0179】
通信インターフェイス160は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信してCPU110へ送り、CPU110が生成したデータをネットワークNを介して他の機器へ提供する。
【0180】
CPU110は、入出力インターフェイス170を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU110は、入出力インターフェイス170を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU110は、生成したデータを入出力インターフェイス170を介して出力装置へ出力する。
【0181】
例えば、コンピュータ100が実施形態に係る情報処理装置1として機能する場合、コンピュータ100のCPU110は、RAM120上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部30の機能を実現する。コンピュータ100のCPU110は、これらのプログラムを記録媒体180から読み取って実行するが、他の例として、他の装置からネットワークNを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0182】
また、上述した情報処理装置1は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)またはネットワークコンピューティングなどで呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0183】
〔6.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置1は、取得部31と、二階微分値予測部34aと、取引価格予測部34cとを備える。取得部31は、取引価格が変動する金融商品の取引価格に関する履歴の情報を取得する。二階微分値予測部34aは、取得部31で取得された履歴の情報に基づいて、取引価格の時間に関する二階微分値を予測する。取引価格予測部34cは、二階微分値予測部34aで予測された二階微分値に基づいて、取引価格を予測する。
【0184】
このように、実施形態に係る情報処理装置1は、履歴の情報に基づいて金融商品の取引価格の時間に関する二階微分値を予測すると共に予測された二階微分値に基づいて金融商品の取引価格を予測するので、金融商品の取引価格を高い精度で予測することができる。
【0185】
また、実施形態に係る情報処理装置1は、一階微分値予測部34bをさらに備える。一階微分値予測部34bは、取得部31で取得された履歴の情報に基づいて、取引価格の時間に関する一階微分値を予測する。取引価格予測部34cは、二階微分値予測部34aで予測された二階微分値および一階微分値予測部34bで予測された一階微分値に基づいて、取引価格を予測する。
【0186】
このように、実施形態に係る情報処理装置1は、履歴の情報に基づいて金融商品の取引価格の時間に関する二階微分値および一階微分値を予測すると共に予測された二階微分値および予測された一階微分値の両方に基づいて金融商品の取引価格を予測するので、金融商品の取引価格をより高い精度で予測することができる。
【0187】
また、情報処理装置1において、履歴の情報は、過去の一定期間における取引価格に関する情報を含む。二階微分値予測部34aは、過去の一定期間における取引価格に関する情報に基づいて、取引価格の時間に関する二階微分値を予測する。
【0188】
このように、実施形態に係る情報処理装置1は、過去の一定期間における金融商品の取引価格に関する情報に基づいて、金融商品の取引価格の時間に関する二階微分値を予測するので、金融商品の取引価格の時間に関する二階微分値を簡便に予測すると共に金融商品の取引価格を簡便に高い精度で予測することができる。
【0189】
また、情報処理装置1において、二階微分値予測部34aは、履歴の情報により学習されたニューラルネットワークを用いて取引価格の時間に関する二階微分値を予測する。
【0190】
このように、実施形態に係る情報処理装置1は、金融商品の取引価格に関する履歴の情報により学習されたニューラルネットワークを用いて取引価格の時間に関する二階微分値を予測するので、金融商品の取引価格の時間に関する二階微分値を高い精度で予測すると共に金融商品の取引価格をより高い精度で予測することができる。
【0191】
また、実施形態に係る情報処理装置1は、検出部33をさらに備える。検出部33は、取得部31で取得された履歴の情報に基づいて、取引価格の所定値を超える変動を検出する。二階微分値予測部34aは、検出部33によって検出された所定値を超える変動を伴った情報を除いた履歴の情報に基づいて、取引価格の時間に関する二階微分値を予測する。
【0192】
このように、実施形態に係る情報処理装置1は、金融商品の取引価格の所定値を超える変動を伴った情報を除いた履歴の情報に基づいて金融商品の取引価格の時間に関する二階微分値を予測するので、金融商品の取引価格の時間に関する二階微分値を高い精度で予測すると共に金融商品の取引価格をより高い精度で予測することができる。
【0193】
また、実施形態に係る情報処理装置1は、価格変動予測部34dと、処理部34eとをさらに備える。価格変動予測部34dは、取得部31で取得された履歴の情報に基づいて、取引価格の所定値を超える変動を予測する。処理部34eは、価格変動予測部34dによって予測された所定値を超える変動に応じて所定の処理を実行する。
【0194】
このように、実施形態に係る情報処理装置1は、金融商品の取引価格に関する履歴の情報に基づいて取引価格の所定値を超える変動を予測すると共に予測された所定値を超える変動に応じて金融商品の取引価格の予測の停止または補間のような所定の処理を実行するので、金融商品の取引価格を必要に応じて適切に予測することができる。
【0195】
〔7.その他〕
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0196】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0197】
この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0198】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0199】
また、上述してきた実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0200】
また、上記してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」または「回路」などに読み替えることができる。例えば、予測部は、予測手段または予測回路などに読み替えることができる。