(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
[セルスタック装置]
以下、本発明に係るセルスタック装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1及び
図2に示すように、セルスタック装置100は、複数の燃料電池セル1と、マニホールド2と、第1連結部材3、第2連結部材4、及び筐体5を備えている。
【0018】
[マニホールド]
マニホールド2は、各燃料電池セル1にガスを分配するように構成されている。マニホールド2は、中空状であり、内部空間を有している。マニホールド2の内部空間には、導入管201を介して燃料ガスなどのガスが供給される。マニホールド2は、この内部空間と外部とを連通する複数の貫通孔27を有している。
【0019】
マニホールド2は、各燃料電池セル1を支持している。詳細には、マニホールド2は、各燃料電池セル1の基端部を支持している。マニホールド2は、底板21、側板22、及び天板23を有している。また、マニホールド2は、フランジ部24をさらに有している。
【0020】
底板21は、略矩形状である。側板22は、底板21の外周縁部から上方に延びている。底板21と側板22とは、1つの部材によって形成されている。この底板21及び側板22は、マニホールド本体20を構成している。フランジ部24は、側板22の上端部から外方に延びている。このフランジ部24は、底板21及び側板22と1つの部材によって形成されている。
【0021】
天板23は、マニホールド本体20の開口上面を塞ぐように配置されている。詳細には、天板23は、フランジ部24に接合されている。天板23とフランジ部24とは、例えば、溶接又は接合材などによって互いに接合される。導入管201は、側板22又は天板23に取り付けられている。
【0022】
天板23は、各燃料電池セル1が取り付けられるように構成されている。詳細には、天板23は、複数の貫通孔27を有している。各貫通孔27は、マニホールド2の幅方向(y軸方向)に延びている。また、各貫通孔27は、マニホールド2の長手方向(z軸方向)において、互いに間隔をあけて配置されている。
【0023】
例えば、マニホールド2は、耐熱性を有するような金属あるいは絶縁性セラミックスによって形成される。より具体的には、マニホールド2は、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、Ni基合金、MgO(酸化マグネシウム)、Al
2O
3(酸化アルミニウム)、MgAl
2O
4(マグネシアアルミナスピネル)、MgO・SiO
2(ステアタイト)、及び2MgO・SiO
2(フォルステライト)よりなる群から選ばれる少なくとも1種から形成されている。
【0024】
[燃料電池セル]
各燃料電池セル1は、マニホールド2から上方に延びている。詳細には、各燃料電池セル1は、マニホールド2の天板23から上方に延びている。燃料電池セル1の基端部は、貫通孔27内に挿入されている。なお、本実施形態では、燃料電池セル1の基端部は、下端部と同義である。また、燃料電池セル1の先端部は、上端部と同義である。燃料電池セル1の基端部は、天板23から下方に突出していてもよい。燃料電池セルの長手方向(x軸方向)の長さは、例えば、100〜300mm程度とすることができる。
【0025】
各燃料電池セル1の基端部は、第1接合材101によって、マニホールド2に固定されている。第1接合材101は、燃料電池セル1の基端部とマニホールド2の天板23とを接合している。詳細には、第1接合材101は、燃料電池セル1の下端部と天板23との隙間を塞ぐように配置されている。
【0026】
第1接合材101は、例えば、結晶化ガラスである。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO
2−B
2O
3系、SiO
2−CaO系、又はSiO
2−MgO系が採用され得る。なお、本明細書では、結晶化ガラスとは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラスを指す。なお、第3接合材103の材料として、非晶質ガラス、ろう材、又はセラミックス等が採用されてもよい。具体的には、第3接合材103は、SiO
2−MgO−B
2O
5−Al
2O
3系及びSiO
2−MgO−Al
2O
3−ZnO系よりなる群から選ばれる少なくとも一種である。
【0027】
各燃料電池セル1は、配列方向(z軸方向)に沿って、互いに間隔をあけて配置されている。なお、各燃料電池セル1は、配列方向に沿って、等間隔に配置されていることが好ましいが、等間隔に配置されていなくてもよい。
【0028】
図3に示すように、各燃料電池セル1は、複数のガス流路121を有している。ガス流路121は、燃料電池セル1の長手方向(x軸方向)に沿って延びている。具体的には、ガス流路121は、上下方向に延びている。各ガス流路121は、燃料電池セル1の幅方向(y軸方向)において、互いに間隔をあけて配置されている。各ガス流路121は、燃料電池セル1の基端面及び先端面において開口している。すなわち、各ガス流路121は、燃料電池セル1の基端面から先端面まで延びている。
【0029】
燃料電池セル1は、複数の発電素子部11と、支持基板12とを備えている。
【0030】
[支持基板]
支持基板12は、マニホールド2から上方に延びている。すなわち、支持基板12は、上下方向に延びている。支持基板12は、上述した複数のガス流路121を内部に有している。支持基板12の長手方向(x軸方向)は、燃料電池セル1の長手方向と同じ方向である。
【0031】
図4に示すように、支持基板12は、複数の第1凹部123を有している。各第1凹部123は、支持基板12の両面に形成されている。各第1凹部123は支持基板12の長手方向において互いに間隔をあけて配置されている。
【0032】
支持基板12は、電子伝導性を有さない多孔質の材料によって構成される。支持基板12は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、支持基板12は、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY
2O
3(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl
2O
4(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。支持基板12の気孔率は、例えば、20〜60%程度である。
【0033】
[発電素子部]
各発電素子部11は、支持基板12の両面に支持されている。なお、各発電素子部11は、支持基板12の片面のみに支持されていてもよい。各発電素子部11は、燃料電池セル1の長手方向(x軸方向)において、配列されている。すなわち、各発電素子部11は、上下方向に配列されている。本実施形態に係る燃料電池セル1は、いわゆる横縞型の燃料電池セルである。
【0034】
各発電素子部11は、発電素子本体部110と、電気的接続部111と、を有している。発電素子本体部110は、燃料極13、電解質14、及び空気極15を有している。また、各発電素子部11は、反応防止膜16をさらに有している。燃料極13は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。燃料極13は、燃料極集電部131と燃料極活性部132とを有する。
【0035】
燃料極集電部131は、第1凹部123内に配置されている。詳細には、燃料極集電部131は、第1凹部123内に充填されており、第1凹部123と同様の外形を有する。各燃料極集電部131は、第2凹部131a及び第3凹部131bを有している。燃料極活性部132は、第2凹部131a内に配置されている。詳細には、燃料極活性部132は、第2凹部131a内に充填されている。
【0036】
燃料極集電部131は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極集電部131は、NiO(酸化ニッケル)とY
2O
3(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極集電部131の厚さ、並びに第1凹部123の深さは、50〜500μm程度である。
【0037】
燃料極活性部132は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極活性部132は、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極活性部132の厚さは、5〜30μmである。
【0038】
電解質14は、燃料極13上を覆うように配置されている。詳細には、電解質14は、隣り合うインターコネクタ112間を長手方向に延びている。すなわち、燃料電池セル1の長手方向において、電解質14とインターコネクタ112とが交互に配置されている。
【0039】
電解質14は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料から構成される焼成体である。電解質14は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、電解質14は、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。電解質14の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0040】
反応防止膜16は、緻密な材料から構成される焼成体である。反応防止膜16は、電解質14と空気極15との間に配置されている。反応防止膜16は、電解質14内のYSZと空気極15内のSrとが反応して電解質14と空気極15との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するために設けられている。
【0041】
反応防止膜16は、希土類元素を含むセリアを含んだ材料から構成されている。反応防止膜16は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O
2(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜16の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0042】
空気極15は、空気極活性部151と、空気極集電部152とを有している。空気極活性部151は、反応防止膜16上に配置されている。空気極活性部151は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。空気極活性部151は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O
3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極活性部151は、LSF=(La,Sr)FeO
3(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O
3(ランタンニッケルフェライト)、又は、LSC=(La,Sr)CoO
3(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。空気極活性部151は、LSCFから構成される第1層(内側層)とLSCから構成される第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極活性部151の厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0043】
空気極集電部152は、空気極活性部151上に配置されている。空気極集電部152は、空気極活性部151上から隣の発電素子部11に向かって延びている。詳細には、空気極集電部152は、隣の発電素子部11の電気的接続部111であるインターコネクタ112まで延びている。空気極集電部152は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。
【0044】
空気極集電部152は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O
3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極集電部152は、LSC=(La,Sr)CoO
3(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、空気極集電部152は、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電部152の厚さは、例えば、50〜500μm程度である。
【0045】
各発電素子部11のうち、最も下方に配置される下側発電素子部11aを除いた残りの発電素子部11は、電気的接続部111としてインターコネクタ112を有している。インターコネクタ112は、隣り合う発電素子本体部110同士を互いに電気的に接続するように構成されている。
【0046】
インターコネクタ112は、第3凹部131b内に配置されている。詳細には、インターコネクタ112は、第3凹部131b内に埋設(充填)されている。インターコネクタ112は、電子伝導性を有する緻密な材料から構成される焼成体である。インターコネクタ112は、例えば、LaCrO
3(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、インターコネクタ112は、(Sr,La)TiO
3(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ112の厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0047】
図5に示すように、各発電素子部11のうち、最も下方に配置される下側発電素子部11aは、発電素子本体部110と、電気的接続部111とを有している。なお、支持基板12の両面に発電素子部11が配置されている場合、支持基板12の両面のそれぞれに下側発電素子部11aが配置されている。電気的接続部111は、発電素子本体部110と電気的に接続している。また、電気的接続部111は、発電素子本体部110から下方に延びている。この下側発電素子部11aの電気的接続部111は、第1接続部113と、第2接続部114とを有している。
【0048】
第1接続部113は、上述したインターコネクタ112と同様の構成を有している。すなわち、第1接続部113は、燃料極集電部131の第3凹部131b内に配置されている。第1接続部113は、電子伝導性を有する緻密な材料から構成される。第1接続部113は、上述したインターコネクタ112の材料のいずれかで形成することができる。
【0049】
第2接続部114は、上述した空気極集電部152の材料のいずれかで形成することができる。第2接続部114は、第1接続部113と電気的に接続されている。また、第2接続部114は、第1接続部113から下方に延びている。
【0050】
燃料電池セル1の基端部は、緻密膜18によって覆われている。詳細には、緻密膜18は、支持基板12を覆っている。緻密膜18は、第2接続部114と支持基板12との間から下方に延びている。
【0051】
緻密膜18は、緻密膜18の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密膜18の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。このガスシール機能を発揮するため、この緻密膜18の気孔率は、例えば、10%以下である。また、緻密膜18は、絶縁性セラミックスで構成されている。
【0052】
具体的には、緻密膜18は、上述した電解質14と反応防止膜16とによって構成することができる。緻密膜18を構成する電解質14は、支持基板12を覆っており、第1接続部113から支持基板12の下端近傍まで延びている。また、緻密膜18を構成する反応防止膜16は、電解質14と第2接続部114との間に配置されている。なお、緻密膜18は、電解質14のみで構成されていてもよいし、電解質14及び反応防止膜16以外の材料によって構成されていてもよい。
【0053】
[集電部材]
図2に示すように、各燃料電池セル1は、集電部材6を介して互いに電気的に接続されている。集電部材6は、各燃料電池セル1の間に配置されており、隣り合う各燃料電池セル1を電気的に接続している。集電部材6は、導電性を有する材料から形成されている。例えば、集電部材6は、酸化物セラミックスの焼成体又は金属などによって形成されている。なお、集電部材6は、第2接合材102によって各燃料電池セル1に接合されている。第2接合材102は、例えば、例えば、(Mn,Co)
3O
4、(La,Sr)MnO
3、及び(La,Sr)(Co,Fe)O
3などから選ばれる少なくとも1種である。
【0054】
[表裏接続部材]
各燃料電池セル1において、支持基板12の一方面に形成された発電素子部11と、支持基板12の他方面に形成された発電素子部11とは、表裏接続部材7によって電気的に接続されている。詳細には、表裏接続部材7は、支持基板12の一方面及び他方面のそれぞれにおいて最も上方に配置される各発電素子部11同士を電気的に接続している。
【0055】
[第1及び第2連結部材]
図6に示すように、第1連結部材3は、燃料電池セル1の配列方向(z軸方向)に延びている。第1連結部材3は、各燃料電池セル1の先端面上に配置されている。また、第1連結部材3は、各燃料電池セル1の幅方向の第1端部に配置されている。具体的には、第1連結部材3は、ガス流路121の開口面と重ならないように配置されている。
【0056】
図7に示すように、第1連結部材3は、各燃料電池セル1の先端部を互いに連結するように構成されている。詳細には、第1連結部材3は、連結本体部31と、複数の弾性部32とを有している。
【0057】
連結本体部31は、板状である。連結本体部31は、各燃料電池セル1の配列方向(z軸方向)に沿って延びている。連結本体部31は、各燃料電池セル1の先端面上に配置されている。
【0058】
各弾性部32は、連結本体部31から下方に突出している。各弾性部32は、連結本体部31の長手方向に沿って、互いに間隔をあけて配置されている。なお、各弾性部32の間隔は、燃料電池セル1の厚さと同じ程度である。各弾性部32は、連結本体部31の長手方向において、弾性を有している。各弾性部32は、例えば、U字状に折り曲げられた金属板、又は、無機材料によって形成されている。より具体的には、各弾性部32は、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、ニッケル基合金等の金属材料又はマイカ、バーミキュライト等の無機材料などによって形成される。
【0059】
図1に示すように、隣り合う一対の弾性部32の間に、各燃料電池セル1の先端部が挿入される。このように、第1連結部材3が各燃料電池セル1の先端部を挟むことで、各燃料電池セル1は互いに連結される。
【0060】
図6に示すように、第2連結部材4は、燃料電池セル1の配列方向(z軸方向)に延びている。第2連結部材4は、各燃料電池セル1の先端面上に配置されている。また、第2連結部材4は、各燃料電池セル1の幅方向の第2端部に配置されている。具体的には、第2連結部材4は、ガス流路121の開口面と重ならないように配置されている。第2連結部材4は、第1連結部材3と基本的に同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0061】
[筐体]
筐体5は、複数の燃料電池セル1、マニホールド2、第1連結部材3、及び第2連結部材4などを収容している。筐体5は、例えば、金属材料から構成されている。より具体的には、筐体5は、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、又はNi基合金などによって構成されている。
【0062】
[発電方法]
以上のように構成されたセルスタック装置100は、次のようにして発電する。マニホールド2を介して各燃料電池セル1のガス流路121内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板12の両面を酸素を含むガス(空気等)に曝すことにより、電解質14の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。このセルスタック装置100を外部の負荷に接続すると、空気極15において下記(1)式に示す電気化学反応が起こり、燃料極13において下記(2)式に示す電気化学反応が起こり、電流が流れる。
(1/2)・O
2+2e
−→O
2− …(1)
H
2+O
2−→H
2O+2e
− …(2)
【0063】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0064】
変形例1
上記実施形態では、燃料極集電部131が第2凹部131a及び第3凹部131bを有しているが、燃料極集電部131の構成はこれに限定されない。例えば、燃料極集電部131は第2凹部131a及び第3凹部131bなどの凹部を有していなくてもよい。この場合、燃料極活性部132は、燃料極集電部131上に形成されており、燃料極集電部131に埋設されていない。また、インターコネクタ112及び第1接続部113は、燃料極集電部131上に形成されており、燃料極集電部131に埋設されていない。
【0065】
変形例2
図8及び
図9に示すように、第1連結部材3と第2連結部材4は、複数の中間部材8によって互いに連結されていてもよい。一対の中間部材8は、燃料電池セル1の幅方向に延びている。一方の中間部材8は、第1連結部材3及び第2連結部材4の一方の端部同士を連結している。他方の中間部材8は、第1連結部材3及び第2連結部材4の他方の端部同士を連結している。第1連結部材3、第2連結部材4、及び各中間部材8は、それぞれ別の部材によって形成されていてもよいし、一つの部材によって形成されていてもよい。
【0066】
また、
図10に示すように、各中間部材8は、各燃料電池セル1の主面毎に配置されていてもよい。すなわち、各中間部材8は、各燃料電池セル1の表面と裏面とのそれぞれに沿って延びている。各中間部材8は、板状である。各中間部材8は、各燃料電池セル1の主面と対向するように配置されている。
【0067】
各中間部材8は、金属製である。中間部材8を構成する金属の熱伝導率は、支持基板12を構成する材料の熱伝導率よりも高い。中間部材8は、例えば、耐熱性のFe基合金(ステンレス鋼)、Fe−Ni基合金、Ni基合金、又はCo基合金等で構成される。燃焼により高温に長時間曝されることから、中間部材8を構成する材料は、酸化被膜として酸化クロムを主成分とする膜や酸化アルミニウムを主成分とする膜を形成する金属材料が好ましく、さらに好ましくは高い耐酸化性を有する酸化アルミニウムを主成分とする膜を形成する金属材料が好ましい。なお、主成分とは、全体の50質量%以上であることを意味する。
【0068】
変形例3
上記実施形態では、第1連結部材3は、一対の弾性部32によって燃料電池セル1を挟んでいたが、第1連結部材3の構成はこれに限定されない。例えば、
図11に示すように、第1連結部材3は、複数の係合凹部33を有していてもよい。各係合凹部33は、各燃料電池セル1の配列方向(z軸方向)において互いに間隔をあけて配置されている。各燃料電池セル1の先端部は、各係合凹部33に挿入される。なお、配列方向(z軸方向)において、各燃料電池セル1の先端部は、係合凹部33よりも小さい寸法を有している。このため、各燃料電池セル1の先端部と、係合凹部33の内壁面との間に隙間が形成されている。なお、第2連結部材4も同様に上記構成に限定されない。
【0069】
変形例4
図12に示すように、第1連結部材3及び第2連結部材4は、筐体5に向かって延びていてもよい。具体的には、第1連結部材3及び第2連結部材4は、配列方向(z軸方向)において、両端に配置された各燃料電池セル1を越えて筐体5まで延びている。そして、第1連結部材3及び第2連結部材4の各両端は、筐体5と接触している。なお、第1連結部材3及び第2連結部材4の各両端は、筐体5と間隔をあけていてもよい。
【0070】
変形例5
上記実施形態では、1つの第1連結部材3と1つの第2連結部材4とによって、複数の燃料電池セル1を連結していたが、セルスタック装置100の構成はこれに限定されない。例えば、
図13に示すように、セルスタック装置100は複数の第1連結部材3を備えていてもよい。そして、複数の第1連結部材3のそれぞれが、複数の燃料電池セル1を連結していてもよい。なお、各第1連結部材3の連結する燃料電池セル1の数は、互いに異なっていてもよい。なお、第2連結部材4も同様である。
【0071】
変形例6
図14に示すように、セルスタック装置100は、仕切部材9をさらに備えていてもよい。仕切部材9は、第1連結部材3と第2連結部材4との間を延びている。仕切部材9は、一対の燃料電池セル1の間において、第1連結部材3と第2連結部材4とを連結している。仕切部材9は、貫通孔91を有している。貫通孔91は、例えば、平面視が矩形状である。この貫通孔91を介して、燃料電池セル1の間を流れる空気が上方に排出される。なお、仕切部材9は、例えば、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、ニッケル基合金等の金属材料、又はマイカ、バーミキュライト等の無機材料などによって形成することができる。
【0072】
この構成によれば、仕切部材9が各燃料電池セル1の先端部と発電素子部11とを隔てている。このため、各燃料電池セル1の先端部から外部に排出された燃料ガスが燃焼した場合であっても、その燃焼熱によって発電素子部11にクラックが生じることを抑制することができる。なお、仕切部材9の上面又は下面に断熱層が配置されていてもよい。断熱層は、仕切部材9よりも熱伝導率が低い。例えば、断熱層は、アルミナファイバ、アルミナシリカ系ファイバ、アルカリ土類金属含有セラミックファイバ、または非晶質セラミックファイバ等の無機材料によって形成することができる。
【0073】
なお、仕切部材9の貫通孔91の形状及び数などは特に限定されず、例えば、
図15に示すように、仕切部材9は、複数の貫通孔91を有していてもよい。そして、各貫通孔91は、平面視が円形状であってもよい。
【0074】
変形例7
図16に示すように、セルスタック装置100は、充填部材30をさらに備えていてもよい。充填部材30は、筐体5と第1連結部材3との間に配置されている。また、別の充填部材30が筐体5と第2連結部材4との間に配置されていてもよい。充填部材30は、筐体5に支持されている。なお、第1連結部材3と第2連結部材4とは、上述した中間部材8によって連結されていることが好ましい。
【0075】
充填部材30は、弾性を有する材料によって形成されていることが好ましい。例えば、充填部材30は、アルミナファイバ、アルミナシリカ系ファイバ、アルカリ土類金属含有セラミックファイバ、又は非晶質セラミックファイバなどによって形成することができる。