(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6501850
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】床型枠用鋼製デッキプレートのリブ切断装置
(51)【国際特許分類】
B23D 47/02 20060101AFI20190408BHJP
E04B 5/40 20060101ALI20190408BHJP
E04G 21/16 20060101ALI20190408BHJP
B23D 47/12 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
B23D47/02
E04B5/40 Z
E04G21/16
B23D47/12
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-215118(P2017-215118)
(22)【出願日】2017年11月7日
【審査請求日】2017年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】517389768
【氏名又は名称】丸家工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592045094
【氏名又は名称】東洋マシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148792
【弁理士】
【氏名又は名称】三田 大智
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 志郎
【審査官】
津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−089110(JP,A)
【文献】
特開2017−133320(JP,A)
【文献】
特開2015−121072(JP,A)
【文献】
特開2002−038719(JP,A)
【文献】
実開平05−032530(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0170050(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 47/02
B23D 47/12
E04B 5/40
E04G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床型枠用鋼製デッキプレートの下面から垂下するウェブと該ウェブの下端に設けられたフランジから成るリブのウェブ上端部を切断する切断装置であって、複数の固定手段を介して切断対象リブの下位に該切断対象リブの長手方向と平行に固定されるレール部と、該レール部に上記切断対象リブの長手方向に沿って移動可能に支持されたランナー部と、該ランナー部に上記切断対象リブと接近又は離間する方向にスライド可能に支持された電動切断機を備え、該電動切断機は電動モーター軸を内蔵する胴部と該胴部の先端部に回転可能に設けられた切断刃を有し該切断刃の回転面と上記胴部の中心軸とが直交する構成を有すると共に上記胴部の軸方向が垂直方向となるように且つ上記切断刃が上記切断対象リブのウェブ上端部に対峙するように上記ランナー部に支持され、上記固定手段は一対の対向する挾持部を有し、該各挾持部はリブのフランジの自由端部を上下側から拘束する一対の傾斜面を有し、該各挾持部で上記切断対象リブのフランジ又は上記切断対象リブに隣接するリブのフランジを左右側から挾持して上記レール部を固定することを特徴とする床型枠用鋼製デッキプレートのリブ切断装置。
【請求項2】
上記電動切断機は上記胴部の中心軸と上記切断刃の回転軸とが偏心する構成を有していることを特徴とする請求項1記載の床型枠用鋼製デッキプレートのリブ切断装置。
【請求項3】
上記レール部に上記ランナー部を移動可能且つ無段階固定可能に支持する移動手段を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の床型枠用鋼製デッキプレートのリブ切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨造、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物における床又は屋根のスラブコンクリート打設時に用いる床型枠用鋼製デッキプレート(フラットデッキ)が備えるリブを切断する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
床型枠用鋼製デッキプレートは板厚0.8mm以上の薄鋼板を折り曲げ加工して成り、軽量であると共に経済性に優れ、作業も安全に行えるメリットを有する一方、薄鋼板から成ることから、補強のために下面に比較的狭い間隔(約200mm)を置いて複数のリブを設ける必要がある。なお、該各リブは薄鋼板の折り曲げ加工によりプレート下面から垂下するウェブと該ウェブ下端に設けられたフランジを備え、長手方向の両端部は押し潰されて閉塞されている。
【0003】
このリブの存在により、床型枠用鋼製デッキプレートはスラブコンクリートの荷重に有効に耐えることができるが、現場においてリブの一部が直下のフロアに配設する耐火用間仕切壁やダクト等の部材と干渉する場合があり、その場合には当該部材が適切に配設できるように、現場において部材と干渉するリブの一部をウェブ上端部から切断し除去せねばならない。
【0004】
当該現場でのリブ切断作業は、スラブコンクリート打設後の作業であるので、直下のフロアから行わねばならず、作業者は上向きでの作業を強いられる上に、リブ間の間隔が狭いために切断対象リブのウェブ上端部(切断箇所)にレシプロソー(セーバーソー)やディスクサンダー(ディスクグラインダ)等の既存の切断機器の切断刃を対峙させること自体も困難であった。また、小型の切断機器を用いて切断箇所に切断刃を対峙させることができたとしても、今度は切断のための力が不足し、有効にリブのウェブ上端部を切断することができなかった。
【0005】
他方、切断刃を要しないガス切断等によりリブを溶断することも考えられるが、床型枠用鋼製デッキプレートには、リブを含めて腐食防止のために亜鉛メッキが施されており、溶断しようとすると火花や有毒ガスが発生し、作業者が危険にさらされてしまうおそれがある。
【0006】
したがって、床型枠用鋼製デッキプレートのリブを現場で容易且つ安全に切断する機器や方法が切望されているが、未だ有効な切断機器や方法は開発されていない。
【0007】
但し、床型枠用鋼製デッキプレートによる施工を研究するフラットデッキ工業会(東京都中央区日本橋茅場町3−2−10 鉄鋼会館ビル4F)は、下記非特許文献1において、新規の切断装置を提案している。
【0008】
詳述すると、下記非特許文献1の切断装置は、切断対象リブのウェブと該切断対象リブに隣接するリブのウェブとを併せて挟持する二対のトグルクランプを介して上記切断対象リブの下位に該切断対象リブの長手方向と平行に固定される二本のレール部と、該二本のレール部に上記切断対象リブの長手方向に沿って移動可能に支持されたランナー部と、該ランナー部に上記切断対象リブと接近又は離間する方向に回動可能に支持された既製のディスクグラインダを備え、該ディスクグラインダの胴部に該胴部を延長する方向に延びる長尺のハンドルを取り付けた構成となっている。
【0009】
当該切断装置によれば、作業者は長尺のハンドルを操作してディスクグラインダを移動又は回動して、切断対象リブのウェブ上端部を切断していくことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】″フラットデッキリブ切断工法に関する提案および施工試験報告書″、[online]、平成24年8月3日、フラットデッキ工業会、[平成29年10月6日]、インターネット〈URL:http://www.flatdeck.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/09/news-2012100301.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記非特許文献1に開示の切断装置によれば、作業者が切断機器を持ち上げる必要がなく、容易且つ安全にリブ上端部を切断することが可能となる。
【0012】
しかしながら、当該切断装置及び切断方法にあっては、長尺のハンドルの存在により、作業者が切断箇所を視認し難く、適切な箇所を切断できない問題点を有している。
【0013】
加えて、ディスクグラインダが回動して切断対象リブに接近又は離間する構成であるので、適切な箇所に切断刃を当てることも難しいと共に切断刃を当てる角度によっては切断刃が跳ね返されてしまうという問題点をも有している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、従来の切断装置が抱える問題点を有効に解決し、より簡便且つ確実にリブのウェブ上端部を切断することができる切断装置及び切断方法を提供する。
【0015】
要述すると、本発明に係る床型枠用鋼製デッキプレートのリブ切断装置は、床型枠用鋼製デッキプレートの下面から垂下するウェブと該ウェブの下端に設けられたフランジから成るリブのウェブ上端部を切断する切断装置であって、複数の固定手段を介して切断対象リブの下位に該切断対象リブの長手方向と平行に固定されるレール部と、該レール部に上記切断対象リブの長手方向に沿って移動可能に支持されたランナー部と、該ランナー部に上記切断対象リブと接近又は離間する方向にスライド可能に支持された電動切断機を備え、該電動切断機は電動モーター軸を内蔵する胴部と該胴部の先端部に回転可能に設けられた切断刃を有し該切断刃の回転面と上記胴部の中心軸とが直交する構成を有すると共に上記胴部の軸方向が垂直方向となるように且つ上記切断刃が上記切断対象リブのウェブ上端部に対峙するように上記ランナー部に支持されたことにより、上記切断対象リブのウェブ上端部を視認しながら床型枠用鋼製デッキプレートの下面に近い位置で確実に切断することができる。
【0016】
好ましくは、上記電動切断機は上記胴部の中心軸と上記切断刃の回転軸とが偏心する構成を有し、上記電動切断機の胴部が切断対象リブのフランジと接触するのを有効に防止しつつ上記切断刃を切断対象リブのウェブ上端部に近づけることができ、上記電動切断機がスライドする距離を可及的に短くすることができる。
【0017】
また、上記レール部に上記ランナー部を移動可能且つ無段階固定可能に支持する移動手段を設けたことにより、上記電動切断機が切断対象リブのウェブ上端部を確実に切断しながら移動することができる。
【0018】
また、上記固定手段は一対の対向する挾持部を有し、該固定手段の各挾持部で上記切断対象リブのフランジ又は上記切断対象リブに隣接するリブのフランジを左右側から挾持して上記レール部を固定することにより、切断作業時に上記レール部、上記ランナー部及び上記電動切断機が上下方向にズレるのを防止することができる。好ましくは、上記固定手段の各挾持部はリブのフランジの自由端部を上下側から拘束する一対の傾斜面を有する構成とし、上記ズレ防止を確実ならしめる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る床型枠用鋼製デッキプレートのリブ切断装置によれば、切断対象リブのウェブ上端部を視認しながら床型枠用鋼製デッキプレートの下面に近い位置で確実に切断することができる。
【0021】
また、取り付けが容易なため、作業者の負担を軽減できると共に、切断完了までの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る床型枠用鋼製デッキプレートのリブ切断装置の取付状態を電動切断機を分解して示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る床型枠用鋼製デッキプレートのリブ切断装置の取付状態を示す正面図である。
【
図6】リブのウェブ上端部を切断する様子を示す説明図である。
【
図8】固定手段の他例を示す、床型枠用鋼製デッキプレートのリブ切断装置の取付状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施する最良の形態について、
図1乃至
図8に基づき説明する。
【0024】
本発明に係る床型枠用鋼製デッキプレートのリブ切断装置(以下、単に「リブ切断装置」という。)1は、
図1乃至
図3に示すように、床型枠用鋼製デッキプレート(以下、単に「デッキプレート」という。)Pの下面p1に間隔を置いて複数設けられたリブR・R′の切断用装置である。
【0025】
リブR・R′は数枚の薄鋼板を折り曲げ加工して形成されており、デッキプレートPの下面p1から垂下するウェブr1・r′1と該ウェブr1・r′1の下端に設けられたフランジr2・r′2とを備え、ウェブr1・r′1は垂直に延びる壁状のウェブ上端部r1a・r′1aと下方に向かい末広がり形状の断面三角形状のウェブ下端部r1b・r′1bから成る構成となっている。本発明に係るリブ切断装置1は特にウェブr1・r′1の上端部r1a・r′1aを切断するものである。
【0026】
なお、説明の便宜上、以下、ウェブr1(r1a及びr1b)とフランジr2から成るリブRを切断対象リブとし、ウェブr′1(r′1a・r′1b)とフランジをr′2から成るリブR′を切断対象リブRに隣接するリブとして説明する。
【0027】
本発明に係るリブ切断装置1は、
図1乃至3に示すように、基本構成として、複数の固定手段2を介して切断対象リブRの下位に該切断対象リブRの長手方向と平行に固定されるレール部3と、該レール部3に切断対象リブRの長手方向に沿って移動可能に支持されたランナー部4と、該ランナー部4に上記切断対象リブと接近又は離間する方向にスライド可能に支持された電動切断機5を備えている。なお、図中の6と7は、固定手段2とレール部3とを連結するフレームであり、アルミ等の軽量の金属で構成する。
【0028】
レール部3は、アルミ等の金属製で角筒状を呈し、上面にレール溝3aを開設し、該レール溝3aにランナー部4を移動可能に支持する。したがって、ランナー部4及び電動切断機5の荷重を上面で効果的に受けることができ、当該荷重によってレール溝3aの縁部が損傷するおそれがない。
【0029】
図3に示すように、好ましくはレール部3内に既知の単軸アクチュエータの如き、ランナー部4を移動可能且つ無段階固定可能に支持する移動手段8を配する。移動手段8は、ねじ軸部8aと該ねじ軸部8aを回転させるハンドル8bを有し、ネジ軸部8aとランナー部4の一部を螺合することにより、ハンドル8bが回転するときにはランナー部4を切断対象リブRの長手方向に沿って移動(前進・後退)できるようにし、ハンドル8bが回転しないときにはランナー部4をその位置で固定できるようにする。なお、移動手段は、上記例示したアクチュエータに限らず、ランナー部4を移動可能且つ無段階固定可能に支持できる手段であれば、特に限定はない。
【0030】
既述のようにレール部3のレール溝3aにて支持されたランナー部4は、鋼等の金属から成り、
図2・
図3に示すように、レール溝3aに支持される基部4aと該基部4a上にスライド可能に設けられたスライド部4bを有しており、該スライド部4bが電動切断機5を支持し、該電動切断機5を切断対象リブRと接近する方向又は離間する方向にスライドさせる。スライド部4bは例えばラックアンドピニオン等の既知のスライド機構を利用して、移動可能且つ無段階固定可能に設けることが望ましい。なお、図中の4cはスライド部4bをスライドさせるスライド摘みであり、スライド部4bのラックと係合するピニオンと連動している。
【0031】
ランナー部4のスライド部4bに支持された電動切断機5は、
図4・
図5に示すように、電動モーター軸5dを内蔵する胴部5aと該胴部5aの先端部に回転可能に設けられた切断刃5bを有し該切断刃5bの回転面と上記胴部5aの中心軸とが直交する構成を有する。また、切断刃5bの周囲には切断の際に切削粉が飛び散らないように、また作業者の安全のためにカバー部5cが取り付けられている。
【0032】
好ましくは、
図4・
図5に示すように、胴部5aの中心軸(電動モーター軸5dの中心)と切断刃5bの回転軸(回転中心)とが偏心する構成を有する。詳述すると、電動モーター軸5dと切断刃5bの回転軸5f間に中間軸5eを介在させて、これら三つの軸をベベルギヤを介して連結することにより、胴部5aの中心軸と切断刃5bの回転軸5fとを偏心させる構成となっている。この偏心構成により、電動切断機の胴部5aが切断対象リブRのフランジr2と接触するのを有効に防止しつつ切断刃5bを切断対象リブRのウェブ上端部r1aに近づけることができ、電動切断機5がスライドする距離を可及的に短くすることができる。
【0033】
また、電動切断機5は胴部5aの軸方向が垂直方向となるように且つ切断刃5bが切断対象リブRのウェブ上端部r1aに対峙するようにランナー部4のスライド部4bに支持される。なお、本発明にあっては、電動切断機5の前記偏心構成により、切断刃5bを覆うカバー部5cを突出して設けることができ、該突出したカバー部5cをランナー部4のスライド部4bが支持することにより、電動切断機5の荷重をスライド部4bが安定して受けることができる。
【0034】
最後に固定手段2について説明する。本発明に係るリブ切断装置1は、
図1乃至
図3に示すように、四つの固定手段2を備え、該四つの固定手段2は横フレーム6及び縦フレーム7を介して連結したレール部3を支持している。具体的には、二つの固定手段2を切断対象リブRのフランジr2に固定し、残りの二つの固定手段2を切断対象リブRと隣接するリブR′のブランジr′2に固定している。
【0035】
固定手段2は、
図7に示すように、対向する一対の挾持部2a・2bと、この内の挾持部2aを操作するレバー2cを有している。固定の際には、レバー2cを水平に倒すことにより挾持部2aを挾持部2bから離間させ、該挾持部2aと挾持部2b間に切断対象リブRのフランジr2又は該切断対象リブRに隣接するリブR′のフランジr′2を介在させた後、レバー2cを垂直となるまで下方に回動させれば、挾持部2a及び挾持部2bがフランジの左右側の自由端部を左右側から挾持して固定することができる。したがって、建設現場において簡単に固定作業が完了する。
【0036】
また、前記した挾持部2a・2bは、フランジr2・r′2の自由端部を上下側から拘束する一対の傾斜面2d・2eを備えることが望ましい。傾斜面2dはフランジr2・r′2の自由端部に向かって上り傾斜する面であり、傾斜面2eはフランジr2・r′2の自由端部に向かって下り傾斜する面であり、これら傾斜面2d・2eによりフランジr2・r′2の自由端部を左右側のみならず上下側からも拘束して強固に固定することができる。そのため、切断作業時にレール部3、ランナー部4及び電動切断機5が上下方向にズレるのを有効に防止することができる。
【0037】
なお、図の例では、切断対象リブRと、それに隣接するリブR′の双方に固定手段2を固定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば切断対象リブRのみに複数の固定手段2を固定することや、切断対象リブRに隣接するウェブR′のみに複数の固定手段2を固定することも実施に応じ任意である。いずれにしても、レール部3を切断対象リブRの下位に、該切断対象リブRの長手方向に平行に配することができれば良い。
【0038】
また、固定手段2は既述したようなフランジr2・r′2を挟持する構成に限らず、例えば、
図8に示すように、永久磁石や電磁石等の磁力発生部2fを有する構成とし、該磁力発生部2fで切断対象リブRを備えるデッキプレートPの下面p1に磁力吸着してレール部3を固定するようにすることもできる。これにより、レール部3をはじめランナー部4及び電動切断機5を素早く固定することができる。
【0039】
以上説明した構成の本発明に係るリブ切断装置1によれば、
図6に示すように、建設現場において、切断対象リブRのウェブ上端部r1aを視認しながら作業することができ、電動切断機5の切断刃5bをデッキプレートPの下面p1に近い位置で切断対象リブRのウェブ上端部r1aに対峙させて切断を開始することができる。よって、切断対象リブRのウェブ上端部r1aをデッキプレートPの下面p1に近い位置で確実に切断することができる。しかも、レール部3が備える移動手段8により、電動切断機5の移動と無段階固定が可能となるので、切断刃5bは確実にスリットCを形成しながら、移動することができる。したがって、切断後のウェブ上端部r1aの残存高さを数mm程度に抑えるように切断することができると共に、切断面も美麗なものとなる。
【0040】
また、取り付けが容易なため、作業者の負担を軽減できると共に、切断完了までの時間を短縮することができる。
【0041】
なお、本発明に係るリブ切断装置1によって所望の長さのスリットCを形成した後、該スリットCの長手方向の両端部において、既知のレシプロソー等の切断器具によりフランジr2側からスリットCにかけて切断すれば、切断対象リブRをコの字状に切欠することができ、耐火用間仕切壁やダクト等の部材との干渉を有効に解消することができる。
【符号の説明】
【0042】
1…床型枠用鋼製デッキプレートのリブ切断装置、2…固定手段、2a…挾持部、2b…挾持部、2c…レバー、2d…第一傾斜面、2e…第二傾斜面、2f…磁力発生部、3…レール部、3a…レール溝、4…ランナー部、4a…基部、4b…スライド部、4c…スライド摘み、5…電動切断機、5a…胴部、5b…切断刃、5c…カバー部、5d…電動モーター軸、5e…中間軸、5f…切断刃の回転軸、6…横フレーム、7…縦フレーム、8…移動手段、8a…ねじ軸部、8b…ハンドル、P…床型枠用鋼製デッキプレート、p1…下面、R…切断対象リブ、r1…ウェブ、r1a…ウェブ上端部、r1b…ウェブ下端部、r2…フランジ、R′…切断対象リブに隣接するリブ、r′1…ウェブ、r′1a…ウェブ上端部、r′1b…ウェブ下端部、r′2…フランジ、C…スリット。
【要約】
【課題】 床型枠用鋼製デッキプレートの下面から垂下するウェブと該ウェブの下端に設けられたフランジから成るリブのウェブ上端部を容易且つ確実に切断する切断装置の提供。
【解決手段】 本発明に係る床型枠用鋼製デッキプレートのリブ切断装置は、複数の固定手段を介して切断対象リブの下位に該切断対象リブの長手方向と平行に固定されるレール部と、該レール部に上記切断対象リブの長手方向に沿って移動可能に支持されたランナー部と、該ランナー部に上記切断対象リブと接近又は離間する方向にスライド可能に支持された電動切断機を備え、該電動切断機は電動モーター軸を内蔵する胴部と該胴部の先端部に回転可能に設けられた切断刃を有し該切断刃の回転面と上記胴部の中心軸とが直交する構成を有すると共に上記胴部の軸方向が垂直方向となるように且つ上記切断刃が上記切断対象リブのウェブ上端部に対峙するように上記ランナー部に支持される。
【選択図】
図1