(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の粒子および前記第2の粒子によって形成される凝集体を分離するために要求される電場は、前記第3の粒子および前記第4の粒子、前記第1の粒子および前記第4の粒子、または、前記第2の粒子および前記第3の粒子によって形成される凝集体を分離するために要求されるもの未満である、請求項1に記載の電気泳動媒体。
前記第1の粒子、前記第2の粒子、前記第3の粒子、および、前記第4の粒子は、それぞれ、白顔料、シアン顔料、黄顔料、および、マゼンタ顔料を含む、請求項1に記載の電気泳動媒体。
前記第1の粒子および前記第2の粒子は、前記粒子中のポリマーの体積分率が少なくとも25%であるようにポリマーコーティングを担持する一方、前記第3の粒子および前記第4の粒子は、ポリマーシェルを全く有していないか、または、前記粒子中のポリマーの体積分率が15%を超えないようにポリマーシェルを有するかのいずれかである、請求項1に記載の電気泳動媒体。
(a)前記第1の粒子および前記第4の粒子は各々、ポリマーコーティングを有し、前記ポリマーコーティングは、少なくとも60重量%のアクリレートまたはメタクリル酸エステルモノマーを備え、エステル基は、少なくとも6個の炭素原子を含む炭化水素鎖を備え、
(b)前記第2の粒子は、ポリジメチルシロキサン含有モノマーを備えるポリマーコーティングを有する、請求項1に記載の電気泳動媒体。
前記流体は、中に、ポリマーを溶解または分散させ、前記ポリマーは、20,000を超える数平均分子量を有し、かつ、本質的に、前記粒子上で非吸収性である、請求項1に記載の電気泳動媒体。
請求項13に記載の電気泳動ディスプレイを備える電子書籍リーダ、ポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートカード、標識、腕時計、棚ラベル、または、フラッシュドライブ。
電気泳動ディスプレイを駆動する方法であって、前記電気泳動ディスプレイは、第1の電極と第2の電極との間に配置される電気泳動媒体の層を備え、前記第1の電極は、前記ディスプレイの画面を形成し、前記電気泳動媒体は、流体中に分散された複数の第1の粒子と複数の第2の粒子と複数の第3の粒子と複数の第4の粒子とを備え、前記ディスプレイは、前記第1の電極と前記第2の電極との間に、電圧差+VH、+VL、0、−VL、および−VHをそれぞれ印加可能な電圧制御手段を有し、
+VH>+VL>0>−VL>−VHであり、
前記方法は、いずれかの順序において、
(a)+VHまたは−VHのいずれかである一連の第1のパルスであって前記第4の粒子を前記第1の電極に向かって駆動する極性である一連の第1のパルスを前記電極間に印加することによって、前記画面に、交互に、前記第4の粒子の色と、前記第4の粒子および前記第2の粒子の混合物の色とを表示することであって、前記一連の第1のパルスは、+VLまたは−VLである第2のパルスであって前記第1のパルスと反対極性であるがより長い持続時間を有する第2のパルスと交互する、ことと、
(b)+VHまたは−VHのいずれかである一連の第3のパルスであって前記第3の粒子を前記第1の電極に向かって駆動する極性である一連の第3のパルスを前記電極間に印加することによって、前記画面に、交互に、前記第3の粒子の色と、前記第3の粒子および前記第2の粒子の混合物の色とを表示することであって、前記一連の第3のパルスは、+VLまたは−VLである第4のパルスであって前記第3のパルスと反対極性であるがより長い持続時間を有する第4のパルスと交互する、ことと
を含む、方法。
電気泳動ディスプレイを駆動する方法であって、前記電気泳動ディスプレイは、第1の電極と第2の電極との間に配置される電気泳動媒体の層を備え、前記第1の電極は、前記ディスプレイの画面を形成し、前記電気泳動媒体は、流体中に分散された複数の第1の粒子と複数の第2の粒子と複数の第3の粒子と複数の第4の粒子とを備え、前記ディスプレイは、前記第1の電極と第2の電極との間に、電圧差+VH、0、および、−VHをそれぞれ印加可能な電圧制御手段を有し、
+VH>0>−VHであり、
前記方法は、いずれかの順序において、
(a)+VHまたは−VHのいずれかである一連の第1のパルスであって前記第4の粒子を前記第2の電極に向かって駆動する極性である一連の第1のパルスを前記電極間に印加することによって、前記画面に、交互に、前記第4の粒子の色と、前記第4の粒子および前記第2の粒子の混合物の色とを表示することであって、前記一連の第1のパルスは、+VHまたは−VHである第2のパルスであって前記第1のパルスと反対極性であるがより長い持続時間を有する第2のパルスと交互する、ことと、
(b)+VHまたは−VHのいずれかである一連の第3のパルスであって前記第3の粒子を前記第2の電極に向かって駆動する極性である一連の第3のパルスを前記電極間に印加することによって、前記画面に、交互に、前記第3の粒子の色と、前記第3の粒子および前記第2の粒子の混合物の色とを表示することであって、前記一連の第3のパルスは、+VHまたは−VHである第4のパルスであって前記第3のパルスと反対極性であるがより長い持続時間を有する第4のパルスと交互する、ことと
を含む、方法。
【背景技術】
【0003】
本明細書で使用されるとき、色という用語は、黒および白を含む。白粒子は、多くの場合、光散乱型である。
【0004】
本明細書において、グレー状態という用語は、画像化技術分野におけるその従来的な意味で使用され、2つの極端なピクセルの光学的状態の中間の状態を指し、必ずしも黒と白とのこれらの2つの極端な状態の間の遷移を意味するわけではない。例えば、下記に参照されるいくつかの電気泳動インクに関する特許および公開された出願は、極端な状態が白および濃青であり、中間のグレー状態が実際には薄青になる電気泳動ディスプレイを説明している。実際、すでに述べたように、光学的状態の変化は、色の変化では全くない場合もある。黒および白という用語は以下において、ディスプレイの2つの極端な光学的状態を指すように以下で使用される場合があり、例えば、前述の白および濃青状態等の厳密には黒および白ではない極端な光学的状態を通常含むものとして理解されるべきである。
【0005】
本明細書において、双安定および双安定性という用語は、当該技術分野におけるそれらの従来的な意味で使用され、少なくとも1つの光学的特性の異なる第1および第2のディスプレイ状態を有するディスプレイ要素を含み、したがって、任意の所与の要素が有限間隔のアドレスパルスによって駆動されて、その第1または第2のディスプレイ状態のいずれかになった後、アドレスパルスが終了した後に、その状態が少なくとも複数回、例えば、少なくとも4回、ディスプレイ要素の状態を変化させるのに必要な最小のアドレスパルスの間隔の間、持続することになる、ディスプレイを指す。グレースケールが可能ないくつかの粒子ベース電気泳動ディスプレイは、それらの極端な黒および白状態においてのみではなく、また同様に、それらの中間のグレー状態においても安定しており、同じことが他の種類の電気光学ディスプレイにも当てはまることが米国特許第7,170,670号に示されている。この種類のディスプレイは、双安定というよりもむしろ多安定と呼ぶのが適切であるが、便宜上、双安定という用語は、本明細書において双安定および多安定ディスプレイの両方を網羅するように使用されてもよい。
【0006】
本明細書において、インパルスという用語は、電気泳動ディスプレイの駆動に言及して使用されるとき、ディスプレイが駆動される期間中の時間についての印加電圧の積分を指すように使用される。
【0007】
本明細書において、広帯域かまたは選択される波長かのいずれかにおいて光を吸収、散乱、または反射する粒子は、着色または顔料粒子と称される。染料または光結晶等の、顔料以外の光を吸収または反射する種々の材料(不溶性着色材料を意味する用語の厳密な意味における)もまた、本発明の電気泳動媒体およびディスプレイにおいて使用されてもよい。
【0008】
粒子ベース電気泳動ディスプレイは、長年にわたり研究および開発の関心の対象である。そのようなディスプレイ中において、複数の帯電粒子(顔料粒子と称される場合もある)が、電場の影響下で流体を通って移動する。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したときに、良好な輝度および対比、広視野角、状態双安定、ならびに低電力消費の属性を有することができる。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期の画像品質に伴う問題は、その広範な利用を妨げている。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は、沈降する傾向があり、これらのディスプレイの不十分な使用可能寿命をもたらす。
【0009】
上述のように、電気泳動媒体は、流体の存在を必要とする。殆どの先行技術の電気泳動媒体では、この流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状流体を使用して生産され得る(例えば、Kitamura,T., et al. Electrical toner movement for electronic paper−like display, IDW Japan, 2001, Paper HCS1−1、およびYamaguchi, Y., et al., Toner display using insulative particles charged triboelectricaily, IDW Japan, 2001, Paper AMD4−4を参照)。同様に、米国特許第7,321,459号および第7,236,291号も参照されたい。そのようなガスベース電気泳動媒体は、例えば、媒体が垂直プレーンに配置される看板等、媒体がそのような沈降を可能にする配向で使用されるときに、粒子沈降のために液体ベース電気泳動媒体と同じ種類の問題の影響を受けやすいと考えられる。実際、粒子沈降は、電気泳動粒子のより高速の沈降を可能にする流体の粘度と比較して、ガス状懸濁流体のより低い粘度のため、液体ベース電気泳動媒体よりもガスベース電気泳動媒体において深刻な問題であると考えられる。
【0010】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化された電気泳動および他の電気光学媒体に使用される種々の技術を説明している。そのようなカプセル化された媒体は、多数の小型カプセルを含み、そのそれぞれはそれ自体、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含有する内相と、内相を包囲するカプセル壁とを含む。典型的には、カプセルはそれ自体が、ポリマー接着剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられる密着した層を形成する。これらの特許および出願に説明される技術としては、以下が挙げられる。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号を参照)
(b)カプセル、接着剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号を参照)
(c)電気光学材料を含むフィルムおよび組み立て部品(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号を参照)
(d)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、ならびにディスプレイに使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号を参照)
(e)色形成および色調節(例えば、米国特許第6,017,584号、第6,664,944号、第6,864,875号、第7,075,502号、第7,167,155号、第7,667,684号、第7,791,789号、第7,839,564号、第7,956,841号、第8,040,594号、第8,054,526号、第8,098,418号、第8,213,076号、および第8,363,299号、ならびに米国特許出願公開第2004/0263947号、第2007/0223079号、第2008/0023332号、第2008/0043318号、第2008/0048970号、第2009/0004442号、第2009/0225398号、第2010/0103502号、第2010/0156780号、第2011/0164307号、第2011/0195629号、第2011/0310461号、第2012/0008188号、第2012/0019898号、第2012/0075687号、第2012/0081779号、第2012/0134009号、第2012/0182597号、第2012/0212462号、第2012/0157269号、および第2012/0326957号を参照)
(f)ディスプレイを駆動するための方法(例えば、米国特許第5,930,026号、第6,445,489号、第6,504,524号、第6,512,354号、第6,531,997号、第6,753,999号、第6,825,970号、第6,900,851号、第6,995,550号、第7,012,600号、第7,023,420号、第7,034,783号、第7,116,466号、第7,119,772号、第7,193,625号、第7,202,847号、第7,259,744号、第7,304,787号、第7,312,794号、第7,327,511号、第7,453,445号、第7,492,339号、第7,528,822号、第7,545,358号、第7,583,251号、第7,602,374号、第7,612,760号、第7,679,599号、第7,688,297号、第7,729,039号、第7,733,311号、第7,733,335号、第7,787,169号、第7,952,557号、第7,956,841号、第7,999,787号、第8,077,141号、第8,125,501号、第8,139,050号、第8,174,490号、第8,289,250号、第8,300,006号、第8,305,341号、第8,314,784号、第8,384,658号、第8,558,783号、および第8,558,785号、ならびに米国特許出願公開第2003/0102858号、第2005/0122284号、第2005/0253777号、第2007/0091418号、第2007/0103427号、第2008/0024429号、第2008/0024482号、第2008/0136774号、第2008/0291129号、第2009/0174651号、第2009/0179923号、第2009/0195568号、第2009/0322721号、第2010/0220121号、第2010/0265561号、第2011/0193840号、第2011/0193841号、第2011/0199671号、第2011/0285754号、および第2013/0194250号(これらの特許および出願は、以降、MEDEOD(MEthods for Driving Electro−optic Displays)出願と称される場合もある)を参照)
(g)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号を参照)
(h)非電気泳動ディスプレイ(米国特許第6,241,921号、第6,950,220号、第7,420,549号、および第8,319,759号、ならびに米国特許出願公開第2012/0293858号に説明)
前述の特許および出願の多くは、カプセル化された電気泳動媒体内の分離マイクロカプセルを包囲する壁が、連続相によって置き換えられることができ、したがって、電気泳動媒体が複数の分離電気泳動流体の液滴とポリマー材料の連続相とを含む、いわゆるポリマー分散電気泳動ディスプレイを生成すること、またそのようなポリマー分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の分離液滴は、分離カプセル膜が各個別の液滴に関連付けられないとしても、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされてもよいことを認識しており、例えば、米国特許第6,866,760号を参照されたい。したがって、本出願の目的のために、そのようなポリマー分散電気泳動媒体は、カプセル化された電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0011】
関連した種類の電気泳動ディスプレイは、いわゆるマイクロセル電気泳動ディスプレイである。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、帯電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、その代わりに、担体媒体内、典型的には、ポリマーフィルム内に形成される複数の空洞内に保持される。例えば、どちらもSipix Imaging, Incに譲渡された米国特許第6,672,921号および第6,788,449号を参照されたい。
【0012】
多くの場合、電気泳動媒体は不透明であり(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子は、ディスプレイを通る可視光の透過を実質的に遮断するため)、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、1つのディスプレイ状態が実質的に不透明であり、1つは、光透過性である、いわゆる遮蔽モードで動作するように作製され得る。例えば、米国特許第5,872,552号、第6,130,774号、第6,144,361号、第6,172,798号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。誘電泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイと類似するが、電場強度の変動に依存し、類似のモードで動作し得る。米国特許第4,418,346号を参照されたい。他の種類の電気光学ディスプレイもまた、遮蔽モードで動作することが可能なことがある。遮蔽モードで動作する電気光学媒体は、フルカラーディスプレイ用の多層構造で使用されることができ、そのような構造では、ディスプレイの画面に隣接する少なくとも1つの層は、遮蔽モードで動作して、画面からより遠くにある第2の層を露出させるか、または隠す。
【0013】
カプセル化された電気泳動ディスプレイは、典型的には、従来的な電気泳動機器のクラスタ化および沈降故障モードに悩まされることがなく、多様な柔軟性および剛性基材上にディスプレイを印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する。(印刷という語の使用は、全ての形態の印刷およびコーティングを含むことが意図され、限定ではないが、前計量コーティング、例えば、パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等、ロールコーティング、例えば、ナイフオーバーロールコーティング、フォワードおよびリバースロールコーティング等、グラビアコーティング、浸漬コーティング、吹き付けコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電気印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動析出(米国特許第7,339,715号を参照)、ならびに他の同様の技術が挙げられる。)したがって、得られるディスプレイは、柔軟性であり得る。さらに、ディスプレイ媒体は(種々の方法を使用して)印刷され得るため、ディスプレイ自体は、安価に作製され得る。
【0014】
前述の米国特許第6,982,178号は、大量生産に非常に適した固体電気光学ディスプレイ(カプセル化された電気泳動ディスプレイを含む)を組み立てる方法を説明している。本質的に、この特許は、光透過性導電性層、導電性層と電気接点を有する固体電気光学媒体の層、接着剤層、および剥離シートを順に備える、いわゆるフロントプレーンラミネート(FPL)を説明している。典型的には、光透過性導電性層は、光透過性基材上に担持され、好ましくは、基材が永久的な変形を伴わずに、(例えば)直径10インチ(254mm)のドラムの周囲に手で巻き付けられ得るという意味で柔軟性である。この出願および本明細書において、光透過性という用語は、そのように指定される層が、その層を通して見ている観察者が、電気光学媒体のディスプレイ状態の変化を観察することを可能にするために十分な光を透過させ、通常、導電性層および隣接する基材(存在する場合)を通して見られることを意味するように使用され、電気光学媒体ディスプレイが非可視波長における反射率において変化する場合、光透過性という用語は、当然ながら、関連する非可視波長の透過に関して解釈されるべきである。基板は、典型的には、ポリマーフィルムであって、通常、約1〜約25ミル(25〜634μm)、好ましくは、約2〜約10ミル(51〜254μm)の範囲内の厚さを有するであろう。導電性層は、便宜上、例えば、アルミニウムもしくはインジウムスズ酸化物(ITO)の薄い金属または金属酸化物層である、または伝導性ポリマーであってもよい。アルミニウムまたはITOでコーティングされたポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フィルムは、例えば、E.I. du Pont de Nemours & Company(Wilmington DE)からのアルミ被覆Mylar(Mylarは、登録商標である)として商業上利用可能であって、そのような商業上の材料は、フロントプレーンラミネートにおける良好な結果と併用され得る。
【0015】
そのようなフロントプレーンラミネートを使用した電気光学ディスプレイの組立は、剥離シートをフロントプレーンラミネートから除去し、接着剤層をバックプレーンに接着させるのに効果的な条件下で接着剤層をバックプレーンに接触させ、それによって、接着剤層、電気光学媒体の層、および導電性層をバックプレーンに固定することによって達成されてもよい。このプロセスは、フロントプレーンラミネートが、典型的にはロールからロールへのコーティング技術を使用して大量生産され、次に、特定のバックプレーンとの使用に必要とされる任意のサイズの片に切断され得るため、大量生産に非常に適している。
【0016】
米国特許第7,561,324号は、いわゆる二重剥離シートを説明しており、これは、本質的には、前述の米国特許第6,982,178号のフロントプレーンラミネートの単純化された変形である。二重剥離シートの1つの形態は、2つの接着剤層間に挟まれた固体電気光学媒体の層を備え、接着剤層の一方または両方は、剥離シートによって被覆される。二重剥離シートの別の形態は、2つの剥離シート間に挟まれた固体電気光学媒体の層を備える。二重剥離フィルムのどちらの形態も、すでに説明されたフロントプレーンラミネートから電気光学ディスプレイを組み立てるためのプロセスに概して類似するプロセスにおける使用を意図されるが、2つの分離したラミネート加工を含み、典型的には、第1のラミネート加工において、二重剥離シートはフロント電極にラミネート加工されて、フロントプレーン組み立て部品を形成し、次に、第2のラミネート加工において、フロントプレーン組立部品は、バックプレーンにラミネート加工されて、最終的なディスプレイを形成するが、但し、これらの2つのラミネート加工の順序は所望により逆転され得る。
【0017】
米国特許第7,839,564号は、いわゆる反転されたフロントプレーンラミネートを説明しており、これは、前述の米国特許第6,982,178号に説明されるフロントプレーンラミネートの変形である。この反転されたフロントプレーンラミネートは、光透過性保護層および光透過性導電性層のうちの少なくとも1つ、接着剤層、固体電気光学媒体の層、ならびに剥離シートを順に備える。この反転されたフロントプレーンラミネートは、電気光学層とフロント電極またはフロントプレーン基材との間にラミネート加工接着剤の層を有する電気光学ディスプレイを形成するために使用され、第2の、典型的には薄い接着剤の層が、電気光学層とバックプレーンとの間に存在してもよく、または存在しなくてもよい。そのような電気光学ディスプレイは、良好な解像度と良好な低温性能とを組み合わせることができる。
【0018】
上記に示されるように、最も単純な先行技術の電気泳動媒体は、2つの色のみを本質的に表示する。そのような電気泳動媒体は、第2の異なる色を有する着色流体内の第1の色を有する1種類の電気泳動粒子(この場合、粒子がディスプレイの画面に隣接しているときには第1の色が表示され、粒子が画面から離れているときには第2の色が表示される)か、または無着色流体内の異なる第1および第2の色を有する第1および第2の種類の電気泳動粒子(この場合、第1の種類の粒子がディスプレイの画面に隣接しているときには第1の色が表示され、第2の種類の粒子が画面に隣接しているときには第2の色が表示される)かのいずれかを使用する。典型的には、2つの色は、黒および白である。フルカラーディスプレイが所望される場合、色フィルタ配列が、モノクロ(黒および白)ディスプレイの画面上に堆積されてもよい。色フィルタ配列を有するディスプレイは、領域共有および色配合を利用して色刺激を作成する。利用可能なディスプレイ領域が、赤/緑/青(RGB)または赤/緑/青/白(RGBW)等の3つまたは4つの原色間で共有され、フィルタが、1次元(縦縞)または2次元(2×2)の反復パターンで配設され得る。他の原色の選択または3つを上回る原色も、当該技術分野において既知である。意図される視距離において均一な色刺激を有する単一のピクセルに視覚的に混ざり合うために、十分に小さい3つ(RGBディスプレイの場合)または4つ(RGBWディスプレイの場合)のサブピクセルが選択される(「色配合」)。領域共有特有の不利点は、着色剤が常に存在し、色は、その下部のモノクロディスプレイの対応するピクセルを白または黒に切り替える(対応する原色を入または切に切り替える)ことによってのみ調整され得るということである。例えば、理想的なRGBWディスプレイでは、赤、緑、青、および白原色のそれぞれは、ディスプレイ領域の4分の1(4つのサブピクセルのうちの1つ)を占め、白サブピクセルは、その下部のモノクロディスプレイの白と同程度の輝度であり、着色サブピクセルのそれぞれは、モノクロディスプレイの白の3分の1より明るくない。全体としてディスプレイによって示される白の輝度は、白サブピクセルの輝度の2分の1超にはなり得ない(ディスプレイの白領域は、各4つのうち1つの白サブピクセルと、白サブピクセルの3分の1に等しいその着色形態である各着色サブピクセルとを表示することによって生成され、したがって、組み合わされた3つの着色サブピクセルは、1つの白サブピクセルより寄与しない)。色の輝度および飽和度は、黒に切り替えられた色ピクセルを有する領域共有によって低下される。黄は等輝度のいかなる他の色よりも明るく、飽和した黄は白とほぼ同程度の輝度であるため、領域共有は、黄を混合するときに特に問題である。青ピクセル(ディスプレイ領域の4分の1)の黒への切り替えは、黄を暗くし過ぎる。
【0019】
多積層電気泳動ディスプレイは、当該技術分野において既知である。例えば、J. Heikenfeld, P. Drzaic, J−S Yeo and T. Koch, Journal of the SID, 19(2), 2011, pp. 129−156を参照されたい。そのようなディスプレイでは、周辺光は、従来的な色印刷と同様に3つの減法混色の原色のそれぞれにおいて画像を通過する。米国特許第6,727,873号は、切り替え可能なセルの3つの層が反射性背景上に定置された積層電気泳動ディスプレイを説明している。着色粒子が、横方向に移動される(国際出願第WO2008/065605号を参照)か、または縦および横方向の動きの組み合わせを使用してマイクロピット内に隔離される、類似のディスプレイが既知である。どちらの場合においても、各層は、着色粒子をピクセルベースで集中または分散させるように働く電極とともに提供され、その結果、3つの層のそれぞれは、薄膜トランジスタ(TFT)の層(TFTの3つの層のうちの2つは実質的に透明でなければならない)と光透過性対電極とを必要とする。そのような電極の複雑な配設は、製造費用がかかり、当該技術分野の現在の状況では、ピクセル電極の適切に透明なプレーンを提供することは、特に、ディスプレイの白状態は、電極の複数の層を通して見られなければならないため、困難である。多層ディスプレイはまた、ディスプレイの積み重ねの厚さがピクセルサイズに近付くか、またはそれを超過するため、視差の問題を有する。
【0020】
米国出願公開第2012/0008188号および第2012/0134009号は、独立してアドレス指定可能なピクセル電極と共通の光透過性フロント電極とを備える単一のバックプレーンを有する、多色電気泳動ディスプレイを説明している。バックプレーンとフロント電極との間に、複数の電気泳動層が配置される。これらの出願に説明されるディスプレイは、任意のピクセル場所で原色(赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄、白、および黒)のいずれかをレンダリングすることが可能である。しかしながら、1セットのアドレス電極間に設置される複数の電気泳動層の使用に対して不利点が存在する。特定の層内の粒子が経験する電場は、同一の電圧でアドレス指定される単一の電気泳動層の場合よりも低い。それに加えて、画面最近傍電気泳動層における光学的損失(例えば、光の散乱または不要な吸収によって引き起こされる)は、その下部の電気泳動層に形成される画像の見た目に影響を及ぼす場合がある。
【0021】
単一の電気泳動層を使用するフルカラー電気泳動ディスプレイを提供する試みが行われてきた。例えば、米国特許出願公開第2013/0208338号は、クリアかつ無色または着色溶媒中に分散された1つまたは2つのタイプの顔料粒子を含む電気泳動流体を備え、電気泳動流体が共通電極と複数の駆動電極との間に狭入される、カラーディスプレイについて説明している。駆動電極は、背景層を暴露するために、ある距離に保たれる。米国特許出願公開第2014/0177031号は、反対電荷極性を担持し、2つの対比色の2つのタイプの帯電粒子を含む電気泳動流体で充填された、ディスプレイセルを駆動するための方法について説明している。2つのタイプの顔料粒子は、着色溶媒または非帯電もしくは若干帯電された着色粒子がその中に分散された溶媒中に分散される。本方法は、完全駆動電圧の約1〜約20%の駆動電圧を印加することによって、ディスプレイセルを駆動し、溶媒の色または非帯電もしくは若干帯電された着色粒子の色を表示するステップを含む。米国特許出願公開第2014/0092465号および第2014/0092466号は、電気泳動流体と、電気泳動ディスプレイを駆動するための方法とについて説明している。流体は、第1、第2、および第3のタイプの顔料粒子を備え、全て、溶媒または溶媒混合物中に分散される。第1および第2のタイプの顔料粒子は、反対電荷極性を担持し、第3のタイプの顔料粒子は、第1または第2のタイプの電荷レベルの約50%未満である電荷レベルを有する。3つのタイプの顔料粒子は、異なるレベルの閾値電圧、または異なるレベルの移動性、または両方を有する。これらの特許出願のいずれも、その用語が以下で使用される意味において、フルカラーディスプレイを開示していない。
【0022】
米国特許出願公開第2007/0031031号は、各ピクセルが白、黒、および1つの他の色を表示可能である、ディスプレイ媒体上に画像を表示するために、画像データを処理するための画像処理デバイスについて説明している。米国特許出願公開第2008/0151355号、第2010/0188732号、および第2011/0279885号は、可動粒子が多孔性構造を通して移動する、カラーディスプレイについて説明している。米国特許出願公開第2008/0303779号および第2010/0020384号は、異なる色の第1、第2、および第3の粒子を備える、ディスプレイ媒体について説明している。第1および第2の粒子は、凝集体を形成することができ、より小さい第3の粒子は、凝集された第1の粒子と第2の粒子との間に残された開口を通して移動することができる。米国特許出願公開第2011/0134506号は、一対の基板の間に封入された複数のタイプの粒子を含む、電気泳動ディスプレイ要素であって、基板のうちの少なくとも1つが、半透明であって、個別の複数のタイプの粒子がそれぞれ、同一極性で帯電され、光学特性が異なり、かつ移動するための移動速度および/または電場閾値のいずれかが異なり、半透明ディスプレイ側電極が、半透明基板が配置される、基板側に提供され、第1の裏側電極が、ディスプレイ側電極に面する他方の基板側に提供され、第2の裏側電極が、ディスプレイ側電極に面する他方の基板側に提供される、電気泳動ディスプレイ要素と、複数のタイプの粒子からの最速移動速度を有する粒子のタイプまたは複数のタイプの粒子からの最低閾値を有する粒子のタイプが、異なるタイプの粒子のそれぞれずつ順に、第1の裏側電極または第2の裏側電極に移動され、次いで、第1の裏側電極に移動される粒子が、ディスプレイ側電極に移動されるように、ディスプレイ側電極、第1の裏側電極、および第2の裏側電極に印加される電圧を制御する、電圧制御区分とを含む、ディスプレイデバイスについて説明している。米国特許出願公開第2011/0175939号、第2011/0298835号、第2012/0327504号、および第2012/0139966号は、複数の粒子の凝集および閾値電圧に依拠にする、カラーディスプレイについて説明している。米国特許出願公開第2013/0222884号は、帯電基含有ポリマーおよび着色剤を含有する着色粒子と、着色粒子に付着され、共重合成分として、反応性モノマーおよびモノマーの具体的群から選択された少なくとも1つのモノマーを含有する、分岐型シリコーンベースのポリマーとを含有する、電気泳動粒子について説明している。米国特許出願公開第2013/0222885号は、分散媒体と、分散媒体中に分散され、電場内を移動する、着色電気泳動粒子群と、移動せず、電気泳動粒子群のものと異なる色を有する、非電気泳動粒子群と、中性極性基および疎水性基を有し、分散液体全体に基づいて、約0.01〜約1質量%の比率で分散媒体中に含有される、化合物とを含有する、電気泳動ディスプレイのための分散液体について説明している。米国特許出願公開第2013/0222886号は、着色剤および親水性樹脂を含むコア粒子と、コア粒子のそれぞれの表面を被覆し、7.95(J/cm
3)
1/2またはそれを上回る溶解度パラメータに差異を伴う疎水性樹脂を含有する、シェルとを含有する、浮遊粒子を含む、ディスプレイのための分散液体について説明している。米国特許出願公開第2013/0222887号および第2013/0222888号は、規定された化学組成物を有する電気泳動粒子について説明している。最後に、米国特許出願公開第2014/0104675号は、電場に応答して移動する第1および第2の着色粒子と、分散媒体とを含み、第2の着色粒子が、第1の着色粒子より大きい直径および第1の色粒子の帯電特性と同一帯電特性を有し、ディスプレイの単位面積あたりの第1の着色粒子の電荷量Csと第2の着色粒子の電荷量Clの比率(Cs/Cl)が5未満またはそれに等しい、粒子分散について説明している。前述のディスプレイのうちのいくつかは、フルカラーを提供するが、その代わり、長期かつ煩雑な対処方法を要求する。
【0023】
米国特許出願公開第2012/0314273号および第2014/0002889号は、絶縁液体中に含まれる複数の第1および第2の電気泳動粒子を含み、第1および第2の粒子が、相互と異なる異なる帯電特性を有する、電気泳動デバイスであって、さらに、絶縁液体内に含まれ、線維構造から形成される、多孔性層を備える、デバイスについて説明している。これらの特許出願は、その用語が以下に使用される意味において、フルカラーディスプレイではない。
【0024】
また、米国特許出願公開第2011/0134506号および前述の出願第14/277,107号も参照されたい。後者は、着色流体中に3つの異なるタイプの粒子を使用するフルカラーディスプレイについて説明しているが、着色流体の存在は、ディスプレイによって達成され得る、白状態の品質を制限する。
【0025】
要するに、最先端技術では、フルカラーディスプレイは、典型的には、低切替速度(数秒もの長さ)、高アドレス指定電圧等の妥協、または色品質に関する妥協を伴う。
【0026】
本発明は、単一の電気泳動層のみを使用するが、ディスプレイのピクセル毎に、白、黒、減法混色の三原色(シアン、マゼンタ、および黄)および加法混色の三原色(赤、緑、および青)を可能にする、フルカラーディスプレイと、そのような電気泳動ディスプレイを駆動する方法とを提供することを模索する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0029】
発明の概要
したがって、本発明は、
(a)流体と、
(b)流体中に分散された複数の第1および複数の第2の粒子であって、第1および第2の粒子は、反対極性の電荷を帯び、第1の粒子は、光散乱性粒子であって、第2の粒子は、減法混色の原色のうちの1つを有する、第1および第2の粒子と、
(c)流体中に分散された複数の第3および複数の第4の粒子であって、第3および第4の粒子は、反対極性の電荷を帯び、それぞれ、相互および第2の粒子と異なる、減法混色の原色を有する、第3および第4の粒子と、
を備え、第3および第4の粒子によって形成される凝集体を分離するために要求される電場は、任意の他の2つのタイプの粒子から形成される凝集体を分離するために要求されるものを上回る、電気泳動媒体を提供する。
【0030】
本発明はまた、第1の粒子と第2の粒子との間に形成される凝集体を分離するために要求される電場が、第3の粒子と第4の粒子、第1の粒子と第4の粒子、および第2の粒子と第3の粒子との間に形成される凝集体を分離するために要求されるもの未満である、前述のような電気泳動媒体を提供する。
【0031】
別の実施形態では、本発明は、
(a)流体と、
(b)流体中に分散された複数の第1および複数の第2の粒子であって、第1および第2の粒子は、反対極性の電荷を帯び、それぞれ、本質的に非溶媒和状態における(すなわち、乾燥粉末における)ポリマーの体積が、複数の粒子の総体積(すなわち、コア顔料およびポリマーコーティングを含む)の少なくとも20%であるようなポリマーコーティングを有し、第1の粒子は、光散乱性粒子であって、第2の粒子は、減法混色の原色のうちの1つを有する、第1および第2の粒子と、
(c)流体中に分散された複数の第3の粒子であって、第3の粒子は、第1の粒子と同一極性の電荷を帯び、ポリマーコーティングを有していないか、または本質的に非溶媒和状態における(すなわち、乾燥粉末における)ポリマーの体積が、複数の粒子の総体積(すなわち、コア顔料およびポリマーコーティングを含む)の15%を上回らないようなポリマーコーティングを有するかのいずれかであって、第2の粒子のものと異なる減法混色の原色を有する、第3の粒子と、
(d)第2の粒子と同一極性の電荷を帯び、ポリマーコーティングを有していないか、または本質的に非溶媒和状態における(すなわち、乾燥粉末における)ポリマーの体積が、複数の粒子の総体積(すなわち、コア顔料およびポリマーコーティングを含む)の15%を上回らないようなポリマーコーティングを有するかのいずれかであって、第2および第3の粒子のものと異なる減法混色の原色を有する、複数の第4の粒子と、
を備える、電気泳動媒体を提供する。
【0032】
さらに、本発明は、第2、第3、および第4の粒子のうちの少なくとも2つが、実質的に非散乱性である、そのような電気泳動媒体を提供する。
【0033】
なおもさらに、本発明は、第1の粒子が、白であって、第2、第3、および第4の粒子が、実質的に非散乱性である、そのような電気泳動媒体を提供する。
【0034】
本発明はまた、流体中に分散された前述のような4つのタイプの粒子を備え、
(a)第1の白粒子または第2の粒子および第4の粒子はそれぞれ、少なくとも約60重量%のアクリレートまたはメタクリル酸エステルモノマーを備える、ポリマーコーティングを有し、エステル基は、少なくとも約6個の炭素原子を含む炭化水素鎖を備え、
(b)第1または第2の粒子の着色粒子は、ポリジメチルシロキサン含有モノマーを備える、物理吸着ポリマーコーティングを有する、
電気泳動媒体を提供する。
【0035】
ある好ましい実施形態では、第1および第3の粒子は、負に帯電され、第2および第4の粒子は、正に帯電される。
【0036】
本発明の電気泳動媒体の一好ましい形態では、第1、第2、第3、および第4の粒子はそれぞれ、白、シアン、黄およびマゼンタ色である。白および黄粒子は、負に帯電され、マゼンタおよびシアン粒子は、正に帯電される。
【0037】
別の側面では、本発明は、
(a)流体と、
(b)流体中に分散された複数の第1および複数の第4の粒子であって、第1および第4の粒子は、反対極性の電荷を帯び、それぞれ、ポリマーコーティングを有し、ポリマーコーティングは、少なくとも約60重量%のアクリレートまたはメタクリル酸エステルモノマーを備え、エステル基は、少なくとも約6個の炭素原子を含む炭化水素鎖を備え、第1および第4の粒子のうちの一方は、光散乱性粒子であって、第1および第4の粒子の他方は、減法混色の原色のうちの1つを有する、実質的に非光散乱性粒子である、第1および第4の粒子と、
(c)流体中に分散された複数の第2の粒子であって、第2の粒子は、第4の粒子と同一極性の電荷を帯び、ポリマーコーティングを有し、ポリマーコーティングは、少なくとも約60重量%のポリジメチルシロキサン含有モノマーを備え、第2の粒子は、第1および第4の粒子の実質的に非光散乱のものと異なる減法混色の原色を有する、第2の粒子と、(d)第1の粒子と同一極性の電荷を帯び、実質的に非光散乱性であって、第1および第4の粒子の実質的に非光散乱性のものと異なり、かつ第2の粒子のものと異なる、減法混色の原色を有する、複数の第3の粒子と、
を備える、電気泳動媒体を提供する。
【0038】
さらなる側面では、本発明は、本発明の電気泳動ディスプレイを駆動する方法であって、ディスプレイは、第1の電極と第2の電極との間に配置される電気泳動媒体の層を備え、第1の電極は、ディスプレイの画面を形成し、ディスプレイは、それぞれ、第1の電極と第2の電極との間に、電圧差+VH、+VL、0、−VL、および−VHを印加可能な電圧制御手段を有し、
+V
H>+V
L>0>−V
L>−V
Hであって、
本方法は、いずれかの順序において、
(a)電極間に、+V
Hまたは−V
Hのいずれかであって、第4の粒子を第1の電極に向かって駆動する極性の一連の第1のパルスを印加することによって、画面に、交互に、第4の粒子の色と、第4および第2の粒子の混合物の色を表示するステップであって、該一連の第1のパルスは、+V
Lまたは−V
Lであって、第1のパルスと反対極性であるが、より長い持続時間の第2のパルスと交互する、ステップと、
(b)電極間に、+V
Hまたは−V
Hのいずれかであって、第3の粒子を第1の電極に向かって駆動する極性の一連の第3のパルスを印加することによって、画面に、交互に、第3の粒子の色と、第3および第2の粒子の混合物の色を表示するステップであって、該一連の第3のパルスは、+V
Lまたは−V
Lであって、第3のパルスと反対極性であるが、より長い持続時間の第4のパルスと交互する、ステップと、
を含む、方法を提供する。
【0039】
本方法はさらに、
(c)電極間に、+V
Lまたは−V
Lのいずれかであって、第1の粒子を第2の電極に向かって駆動する極性の一連の第6のパルスを印加することによって、画面に、実質的に黒を表示するステップであって、該一連の第5のパルスは、電極間において実質的にゼロ電圧差の周期と交互する、ステップと、
(d)電極間に、+V
Lまたは−V
Lのいずれかであって、第1の粒子を第1の電極に向かって駆動する極性の一連の第6のパルスを印加することによって、画面に、第1の粒子の色を表示するステップであって、該一連の第6のパルスは、電極間において実質的にゼロ電圧差の周期と交互する、ステップと、
を含んでもよい。
【0040】
本方法がステップ(c)および(d)を含むかどうかにかかわらず、本方法はさらに、(e)電極間に、+V
Lまたは−V
Lのいずれかであって、第2の粒子を第2の電極に向かって駆動する極性の一連の第7のパルスを印加することによって、画面に、交互に、第2の粒子の色または第3および第4の粒子の混合物の色を表示するステップであって、該一連の第7のパルスは、+V
Lまたは−V
Lのいずれかであって、第7のパルスと反対極性であるが、より長い第8のパルスと交互する、ステップを含んでもよい。
【0041】
本発明はまた、本発明の、電気泳動ディスプレイを駆動する代替方法であって、ディスプレイは、第1の電極と第2の電極との間に配置される電気泳動媒体の層を備え、第1の電極は、ディスプレイの画面を形成し、ディスプレイは、それぞれ、第1の電極と第2の電極との間に、電圧差+VH、0、および−VHを印加可能な電圧制御手段を有し、
+V
H>0>−V
Hであって、
本方法は、いずれかの順序において、
(a)電極間に、+V
Hまたは−V
Hのいずれかであって、第4の粒子を第2の電極に向かって駆動する極性の一連の第3のパルスを印加することによって、画面に、交互に、第4の粒子の色と、第4および第2の粒子の混合物の色を表示するステップであって、該一連の第1のパルスは、V
Hまたは−V
Hであって、第1のパルスと反対極性であるが、より長い持続時間の第2のパルスと交互する、ステップと、
(b)電極間に、+VHまたは−VHのいずれかであって、第3の粒子を第2の電極に向かって駆動する極性の一連の第3のパルスを印加することによって、画面に、交互に、第3の粒子の色と、第3および第2の粒子の混合物の色を表示するステップであって、該一連の第3のパルスは、+VHまたは−VHであって、第3のパルスと反対極性であるが、より長い持続時間の第4のパルスと交互する、ステップと、
を含む、方法を提供する。
【0042】
本代替方法は、随意に、前述のステップ(c)、(d)および(e)のうちの任意の1つまたはそれを上回るものを組み込んでもよい。
【0043】
本発明の電気泳動媒体は、前述のEInkおよびMIT特許ならびに出願に説明されるような先行技術の電気泳動媒体において使用される添加剤のいずれかを含有してもよい。したがって、例えば、本発明の電気泳動媒体は、典型的には、少なくとも1つの電荷制御剤を備え、種々の粒子上の電荷を制御し、流体は、その中に、約20,000を上回る数平均分子量を有し、本質的に、粒子上で非吸収性である、ポリマーを溶解または分散させ、前述の米国特許第7,170,670号に説明されるようなディスプレイの双安定性を改良し得る。
【0044】
すでに述べたように、一好ましい実施形態では、本発明は、光散乱性粒子、典型的には、白と、3つの実質的に非光散乱性粒子との使用を要求する。当然ながら、完全に光散乱性粒子または完全に非光散乱性粒子のようなものは存在せず、本発明の電気泳動において使用される、最小光散乱度の光散乱性粒子および実質的に非光散乱性粒子において許容可能な最大許容可能光散乱度は、使用される正確な顔料、その色、および理想的所望の色からのある程度の逸脱を許容するユーザまたは用途の能力等の要因に応じて、幾分、変動し得る。顔料の散乱および吸収特性は、白および暗背景に対して適切なマトリクスまたは液体中に分散された顔料のサンプルの拡散反射率の測定によって査定され得る。そのような測定からの結果は、当技術分野において周知のいくつかのモデル、例えば、1次元Kubelka−Munk処理に従って解釈されることができる。本発明では、白顔料は、顔料が顔料および屈折率1.55未満の液体を備える厚さ1μmの層内に15体積%で略等方的に分布されるとき、少なくとも5%の黒背景にわたって測定される、550nmにおいて拡散反射率を呈することが好ましい。黄、マゼンタ、およびシアン顔料は、好ましくは、それぞれ、同一条件下で2.5%未満の黒背景にわたって測定される、650、650および450nmにおいて拡散反射率を呈する。(黄、マゼンタ、およびシアン顔料の測定のために上記で選定された波長は、これらの顔料による最小限の吸収のスペクトル領域に対応する。)これらの基準を満たす着色顔料は、以降、「非散乱性」または「実質的に非光散乱性」と称される。
【0045】
以下の表1は、ポリ(イソブチレン)マトリクス中に分散されたこれらの材料のKubelka−Munk分析に従って、その吸収および散乱係数の比率とともに、本発明の電気泳動媒体において有用な好ましい黄、マゼンタ、シアン、および白顔料(以下により詳細に説明される、Y1、M1、C1、およびW1)の拡散反射率を示す。
【0046】
【表1】
【0047】
本発明の電気泳動媒体は、前述の形態のいずれかであってもよい。したがって、電気泳動媒体は、カプセル化されない、カプセル壁によって囲繞される離散カプセル内にカプセル化される、またはポリマー分散もしくはマイクロセル媒体の形態であってもよい。
【0048】
本発明は、本発明の電気泳動媒体を含むフロントプレーンラミネート、二重剥離シート、反転されたフロントプレーンラミネート、または電気泳動ディスプレイに及ぶ。本発明のディスプレイは、先行技術の電気光学ディスプレイが使用されてきた任意の用途に使用されてもよい。したがって、例えば、本発明のディスプレイは、電子書籍リーダ、携帯用コンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートカード、サイン、腕時計、棚ラベル、およびフラッシュドライブに使用されてもよい。
本明細書は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
流体と、上記流体中に分散された第1の粒子、第2の粒子、第3の粒子および第4の粒子(1−4)とを備える、電気泳動媒体であって、
(a)上記複数の第1の粒子(1)および上記複数の第2の粒子(2)は、反対極性の電荷を帯び、上記第1の粒子(1)は、光散乱性粒子であって、上記第2の粒子(2)は、減法混色の原色のうちの1つを有し、
(b)上記複数の第3の粒子(3)および上記複数の第4の粒子(4)は、反対極性の電荷を帯び、上記第3の粒子(3)および第4の粒子(4)はそれぞれ、相互および上記第2の粒子(2)と異なる減法混色の原色を有し、
上記第3の粒子(3)および上記第4の粒子(4)のタイプによって形成される凝集体を分離するために要求される電場は、任意の他の2つのタイプの粒子から形成される凝集体を分離するために要求されるものを上回る、
ことを特徴とする、媒体。
(項目2)
上記第1の粒子(1)および第2の粒子(2)によって形成される凝集体を分離するために要求される電場は、上記第3の粒子(3)および上記第4の粒子(4)、上記第1の粒子(1)および第4の粒子(4)、または上記第2の粒子(2)および第3の粒子(3)によって形成される凝集体を分離するために要求されるもの未満である、項目1に記載の電気泳動媒体。
(項目3)
上記第2の粒子(2)、第3の粒子(3)および第4の粒子(4)のうちの少なくとも2つは、非光散乱性である、項目1に記載の電気泳動媒体。
(項目4)
上記第1の粒子(1)は、白であって、上記第2の粒子、第3の粒子、および第4の粒子(2、3、4)は、非光散乱性である、項目3に記載の電気泳動媒体。
(項目5)
上記第1の粒子(1)および第3の粒子(3)は、負に帯電され、上記第2の粒子(2)および第4の粒子(4)は、正に帯電される、項目1に記載の電気泳動媒体。
(項目6)
上記第1の粒子、第2の粒子、第3の粒子、および第4の粒子(1−4)は、それぞれ、白、シアン、黄、およびマゼンタの色であって、上記白および黄粒子は、負に帯電され、上記マゼンタおよびシアン粒子は、正に帯電される、項目5に記載の電気泳動媒体。
(項目7)
上記第1の粒子および第2の粒子(1、2)は、上記粒子中のポリマーの体積分率が少なくとも約25%であるように、ポリマーコーティングを担持する一方、上記第3の粒子および第4の粒子(3、4)は、ポリマーシェルを全く有していないか、または上記粒子中のポリマーの体積分率が約15%を超えないように、ポリマーシェルを有するかのいずれかである、項目1に記載の電気泳動媒体。
(項目8)
(a)上記第1の粒子(1)および第4の粒子(4)はそれぞれ、ポリマーコーティングを有し、上記ポリマーコーティングは、少なくとも約60重量%のアクリレートまたはメタクリル酸エステルモノマーを備え、上記エステル基は、少なくとも約6個の炭素原子を含む炭化水素鎖を備え、
(b)上記第2の粒子(2)は、ポリマーコーティングを有し、上記ポリマーコーティングは、少なくとも約60重量%のポリジメチルシロキサン含有モノマーを備える、
項目1に記載の電気泳動媒体。
(項目9)
上記流体は、液体である、項目1に記載の電気泳動媒体。
(項目10)
上記液体は、約5未満の誘電定数を有する、非極性液体である、項目9に記載の電気泳動媒体。
(項目11)
上記流体は、その中に、約20,000を上回る数平均分子量を有し、本質的に、上記粒子上で非吸収性である、ポリマーを溶解または分散させる、項目1に記載の電気泳動媒体。
(項目12)
上記黄、マゼンタ、およびシアン顔料は、それぞれ、上記顔料が、上記顔料および屈折率1.55未満の液体を備える、厚さ1μmの層内に15体積%で略等方的に分布されるとき、2.5%未満の黒背景にわたって測定される、650、550および450nmにおいて拡散反射率を呈する、項目4に記載の電気泳動媒体。
(項目13)
項目1に記載の電気泳動媒体を備える、フロントプレーンラミネート、両面剥離シート、反転フロントプレーンラミネート、または電気泳動ディスプレイ。
(項目14)
項目13に記載の電気泳動ディスプレイを備える、電子書籍リーダ、ポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートカード、標識、腕時計、棚ラベル、またはフラッシュドライブ。
(項目15)
流体と、上記流体中に分散された第1の粒子、第2の粒子、第3の粒子および第4の粒子(1−4)とを備える、電気泳動媒体であって、
(a)上記複数の第1の粒子(1)および上記複数の第4の粒子(4)は、反対極性の電荷を帯び、それぞれ、ポリマーコーティングを有し、上記ポリマーコーティングは、少なくとも約60重量%のアクリレートまたはメタクリル酸エステルモノマーを備え、上記エステル基は、少なくとも約6個の炭素原子を含む炭化水素鎖を備え、上記第1の粒子(1)および第4の粒子(4)のうちの一方は、光散乱性粒子であって、上記第1の粒子(1)および第4の粒子(4)の他方は、上記減法混色の原色のうちの1つを有する、実質的に非光散乱性粒子であって、
(b)上記複数の第2の粒子(2)は、上記第4の粒子と同一極性の電荷を帯び、ポリマーコーティングを有し、上記ポリマーコーティングは、少なくとも約60重量%のポリジメチルシロキサン含有モノマーを備え、上記第2の粒子(2)は、上記第1の粒子(1)および第4の粒子(4)のうちの上記実質的に非光散乱性のものと異なる減法混色の原色を有し、
(d)上記複数の第3の粒子(3)は、上記第1の粒子と同一極性の電荷を帯び、実質的に非光散乱性であって、上記第1の粒子(1)および第4の粒子(4)の粒子のうちの上記実質的に非光散乱性のものと異なり、かつ上記第2の粒子(2)のものと異なる減法混色の原色を有する、
ことを特徴とする、媒体。
(項目16)
項目13に記載の電気泳動ディスプレイを駆動する方法であって、上記ディスプレイは、第1の電極と第2の電極との間に配置される電気泳動媒体の層を備え、上記第1の電極は、上記ディスプレイの画面を形成し、上記方法は、上記ディスプレイが、それぞれ、上記第1の電極と第2の電極との間に、電圧差+V
H、+V
L、0、−V
L、および−V
Hを印加可能な電圧制御手段を有することを特徴とし、
+V
H>+V
L>0>−V
L>−V
Hであって、
上記方法は、いずれかの順序において、
(a)上記電極間に、+V
Hまたは−V
Hのいずれかである一連の第1のパルスであって上記第4の粒子を上記第1の電極に向かって駆動する極性である一連の第1のパルスを印加することによって、上記画面に、交互に、上記第4の粒子の色と、上記第4の粒子および第2の粒子の混合物の色とを表示するステップであって、上記一連の第1のパルスは、+V
Lまたは−V
Lである第2のパルスあって上記第1のパルスと反対極性であるがより長い持続時間である第2のパルスと交互する、ステップと、
(b)上記電極間に、+V
Hまたは−V
Hのいずれかである一連の第3のパルスであって上記第3の粒子を上記第1の電極に向かって駆動する極性である一連の第3のパルスを印加することによって、上記画面に、交互に、上記第3の粒子の色と、上記第3の粒子および第2の粒子の混合物の色とを表示するステップであって、上記一連の第3のパルスは、+V
Lまたは−V
Lである第4のパルスあって上記第3のパルスと反対極性であるがより長い持続時間である第4のパルスと交互する、ステップと、
を含む、方法。
(項目17)
(c)上記電極間に、+V
Lまたは−V
Lのいずれかである一連の第5のパルスであって上記第1の粒子を上記第2の電極に向かって駆動する極性である一連の第5のパルスを印加することによって、上記画面に、実質的に黒を表示するステップであって、上記一連の第5のパルスは、上記電極間において実質的にゼロ電圧差の周期と交互する、ステップと、
(d)上記電極間に、+V
Lまたは−V
Lのいずれかである一連の第6のパルスであって上記第1の粒子を上記第1の電極に向かって駆動する極性である一連の第6のパルスを印加することによって、上記画面に、上記第1の粒子の色を表示するステップであって、上記一連の第6のパルスは、上記電極間において実質的にゼロ電圧差の周期と交互する、ステップと、
をさらに含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
(e)上記電極間に、+V
Lまたは−V
Lのいずれかである一連の第7のパルスであって上記第2の粒子を上記第2の電極に向かって駆動する極性である一連の第7のパルスを印加することによって、上記画面に、交互に、上記第2の粒子の色または上記第3の粒子および第4の粒子の混合物の色を表示するステップであって、上記一連の第7のパルスは、+V
Lまたは−V
Lのいずれかである第8のパルスであって上記第7のパルスと反対極性であるがより長い第8のパルスと交互する、ステップと、
をさらに含む、項目16または17に記載の方法。
(項目19)
上記電気泳動媒体は、項目6に記載のものである、項目16に記載の方法。
(項目20)
項目13に記載の電気泳動ディスプレイを駆動する方法であって、上記ディスプレイは、第1の電極と第2の電極との間に配置される電気泳動媒体の層を備え、上記第1の電極は、上記ディスプレイの画面を形成し、上記方法は、上記ディスプレイが、それぞれ、上記第1の電極と第2の電極との間に、電圧差+V
H、0、および−V
Hを印加可能な電圧制御手段を有することを特徴とし、
+V
H>0>−V
Hであって、
上記方法は、いずれかの順序において、
(a)上記電極間に、+V
Hまたは−V
Hのいずれかである一連の第3のパルスであって上記第4の粒子を上記第2の電極に向かって駆動する極性である一連の第3のパルスを印加することによって、上記画面に、交互に、上記第4の粒子の色と、上記第4の粒子および第2の粒子の混合物の色とを表示するステップであって、上記一連の第1のパルスは、+V
Hまたは−V
Hである第2のパルスであって上記第1のパルスと反対極性であるがより長い持続時間である第2のパルスと交互する、ステップと、
(b)上記電極間に、+V
Hまたは−V
Hのいずれかである一連の第3のパルスであって上記第3の粒子を上記第2の電極に向かって駆動する極性である一連の第3のパルスを印加することによって、上記画面に、交互に、上記第3の粒子の色と、上記第3の粒子および第2の粒子の混合物の色とを表示するステップであって、上記一連の第3のパルスは、+V
Hまたは−V
Hである第4のパルスであって上記第3のパルスと反対極性であるがより長い持続時間である第4のパルスと交互する、ステップと、
を含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0050】
発明を実施するための形態
前述のように、本発明は、1つの光散乱性粒子(典型的には、白)と、減法混色の三原色を提供する3つの他の粒子とを備える、電気泳動媒体を提供する。(2014年9月10日に出願された同時係属中の出願第62/048,591号および2015年6月1日に出願された同時係属中の出願第62/169,221号では、前述の第1、第2、第3、および第4の顔料タイプは、以降、それぞれ、第1、第3、第4、および第2の顔料タイプと称されることに留意されたい。)
減法混色の三原色を提供する3つの粒子は、実質的に非光散乱性(「SNLS」)であり得る。SNLS粒子の使用は、色の混合を可能にし、同一数の散乱性粒子を用いて達成され得る、より多くの色結果を提供する。前述の第US2012/0327504号は、減法混色の原色を有する粒子を使用するが、非白粒子の独立アドレス指定のための2つの異なる電圧閾値を要求する(すなわち、ディスプレイは、3つの正および3つの負電圧を用いてアドレス指定される)。これらの閾値は、クロストークの回避のために十分に分離されなければならず、本分離は、いくつかの色のために、高アドレス指定電圧の使用を必要とする。加えて、最高閾値を用いた着色粒子のアドレス指定はまた、全ての他の着色粒子も移動させ、これらの他の粒子は、続いて、より低い電圧でその所望の位置に切り替えられなければならない。そのような段階的色アドレス指定スキームは、望ましくない色の閃光および長遷移時間をもたらす。本発明は、そのような段階的波形の使用を要求せず、全色に対するアドレス指定は、以下に説明されるように、2つの正および2つの負電圧のみを用いて達成されることができる(すなわち、5つの異なる電圧、つまり、2つの正、2つの負、およびゼロのみ、ディスプレイ内で要求されるが、以下に説明されるように、ある実施形態では、より多くの異なる電圧を使用して、ディスプレイをアドレス指定することが好ましくあり得る)。
【0051】
すでに述べたように、付随の図面の
図1は、黒、白、減法混色の三原色、および加法混色の三原色を表示するときの本発明の電気泳動媒体中の種々の粒子の位置を示す、概略断面図である。
図1では、ディスプレイの画面は、上部にある(図示されるように)、すなわち、ユーザは、ディスプレイを本方向から視認し、光は、本方向から入射すると仮定される。すでに述べたように、好ましい実施形態では、本発明の電気泳動媒体において使用される4つの粒子のうちの1つのみが、光を実質的に散乱させ、
図1では、本粒子は、白顔料であると仮定される。基本的に、本光散乱性白粒子は、白粒子の上方の任意の粒子(
図1に図示されるように)が視認される、白反射体を形成する。ディスプレイの画面に進入する光は、これらの粒子を通して通過し、白粒子から反射され、これらの粒子を通して逆通過し、ディスプレイから出現する。したがって、白粒子の上方の粒子は、種々の色を吸収し得、ユーザに現れる色は、白粒子の上方の粒子の組み合わせから生じるものである。白粒子の下方(ユーザの視点から背後)に配置される任意の粒子は、白粒子によってマスクされ、表示される色に影響を及ぼさない。第2、第3、および第4の粒子は、実質的に非光散乱性であるため、相互に対するその順序または配列は、重要ではないが、すでに述べられた理由から、白(光散乱性)の粒子に対するその順序または配列は、重要である。
【0052】
より具体的には、シアン、マゼンタ、および黄粒子が、白粒子の下方にあるとき(
図1における状況[A])、白粒子の上方に粒子が存在せず、ピクセルは、単に、白を表示する。単一粒子が白粒子の上方にあるとき、それぞれ、
図1における状況[B]、[D]、および[F]での黄、マゼンタ、およびシアンのように、その単一粒子の色が、表示される。2つの粒子が白粒子の上方にあるとき、表示される色は、これらの2つの粒子のそれらの組み合わせである。すなわち、
図1における状況[C]では、マゼンタおよび黄粒子は、赤色を表示し、状況[E]では、シアンおよびマゼンタ粒子は、青色を表示し、状況[G]では、黄およびシアン粒子は、緑色を表示する。最後に、全3つの着色粒子が白粒子の上方にあるとき(
図1における状況[H])、全入射光は、減法混色の三原色着色粒子によって吸収され、ピクセルは、黒色を表示する。
【0053】
1つの減法混色の原色は、ディスプレイが2つのタイプの光散乱性粒子を備え、その一方が白であって、他方が着色されるであろうように、光を散乱させる粒子によってレンダリングされ得ることが可能性として考えられる。しかしながら、この場合、白粒子を覆う他の着色粒子に対する光散乱性着色粒子の位置は、重要となるであろう。例えば、黒色をレンダリングする際(全3つの着色粒子が白粒子にわたってあるとき)、散乱性着色粒子は、非散乱性着色粒子にわたって存在することができない(そうでなければ、部分的または完全に、散乱性粒子の背後に隠され、レンダリングされる色は、黒ではない、散乱性着色粒子のものとなるであろう)。
【0054】
1つを上回るタイプの着色粒子が光を散乱させた場合、黒色をレンダリングすることは、容易ではないであろう。
【0055】
図1は、色が汚染されない(すなわち、光散乱性白粒子が白粒子の背後にある任意の粒子を完全にマスクする)、理想的状況を示す。実際は、白粒子によるマスクは、不完全であり得、理想的には完全にマスクされるであろう粒子によって、わずかな光の吸収が存在し得る。そのような汚染は、典型的には、レンダリングされている色の明度および彩度の両方を低減させる。本発明の電気泳動媒体では、そのような色汚染は、形成される色が色レンダリングのための産業標準に準拠する点まで最小限にされるはずである。特に、好ましい標準は、SNAP(新聞広告制作のための標準)であって、これは、上記で参照した8つの原色毎に、L
*、a
*、およびb
*値を規定するものである。(以降、「原色」は、
図1に示されるように、8つの色、すなわち、黒、白、減法混色の三原色、および加法混色の三原色を指すために使用されるであろう。)
図1に示されるように、複数の異なる着色粒子を「層」内に電気泳動的に配列するための方法は、先行技術に説明されている。そのような方法の最も単純なものは、異なる電気泳動移動性を有する「レーシング」顔料を伴う。例えば、米国特許第8,040,594号を参照されたい。そのようなレースは、帯電顔料自体の運動が、電気泳動流体内で局所的に被られる電場を変化させるために、最初に理解され得るよりも複雑である。例えば、正に帯電された粒子がカソードに向かって移動し、負に帯電された粒子がアノードに向かって移動するにつれて、その電荷は、2つの電極間の中間の帯電粒子によって被られる電場を遮る。顔料レーシングは、本発明の電気泳動内に伴われるが、
図1に図示される粒子の配列の要因である唯一の現象ではないと考えられる。
【0056】
複数の粒子の運動を制御するために採用され得る、第2の現象は、異なる顔料タイプ間の異種凝集である。例えば、前述の第US2014/0092465号を参照されたい。そのような凝集は、電荷媒介され得る(クーロン力)、または、例えば、水素結合もしくはファンデルワールス相互作用の結果として生じ得る。相互作用の強度は、顔料粒子の表面処理の選択肢によって影響され得る。例えば、クーロン相互作用は、反対に帯電された粒子の接近の最接近距離が立体障壁(典型的には、ポリマーグラフト化される、または一方もしくは両方の粒子の表面に吸着される)によって最大限にされるときに弱化され得る。本発明では、前述のように、そのようなポリマー障壁は、第1および第2のタイプの粒子上で使用され、第3および第4のタイプの粒子上では使用されてもよい、または使用されなくてもよい。
【0057】
複数の粒子の運動を制御するために利用され得る、第3の現象は、前述の出願第14/277,107号に詳細に説明されるように、電圧または電流依存移動性である。
【0058】
図2は、本発明の好ましい実施形態において使用される4つの顔料タイプ(1−4)の概略断面表現を示す。コア顔料に吸着されるポリマーシェルは、暗く陰影されて示される一方、コア顔料自体は、陰影されずに示される。様々な形態が、コア顔料のために使用されてもよく、当技術分野において周知であるように、より小さい粒子の球状、針状、または別様に異方性の凝集体(すなわち、「ブドウの房」)、結合剤中に分散された小顔料粒子または染料を備える複合粒子等が挙げられる。ポリマーシェルは、当技術分野において周知であるように、グラフト化プロセスもしくは化学吸着によって行われる共有結合ポリマーであってもよい、または粒子表面上に物理吸着されてもよい。例えば、ポリマーは、不溶性および可溶性区画を備える、ブロックコポリマーであってもよい。ポリマーシェルをコア顔料に添着するためのいくつかの方法は、以下の実施例に説明される。
【0059】
本発明の一実施形態における第1および第2の粒子タイプは、好ましくは、第3および第4の粒子タイプより多くの実質的ポリマーシェルを有する。光散乱白粒子は、第1または第2のタイプである(負または正のいずれかに帯電される)。以下の議論では、白粒子が負電荷を帯びる(すなわち、タイプ1)と仮定されるが、説明される一般原理が白粒子が正に帯電される一式の粒子にも適用されるであろうことは、当業者に明白となるであろう。
【0060】
本発明では、電荷制御剤を含有する懸濁溶媒中のタイプ3および4の粒子の混合物から形成される凝集体を分離するために要求される電場は、2つのタイプの粒子の任意の他の組み合わせから形成される凝集体を分離するために要求されるものを上回る。第1のタイプの粒子と第2のタイプの粒子との間に形成される凝集体を分離するために要求される電場は、一方、第1の粒子と第4の粒子または第2の粒子と第3の粒子との間に形成される凝集体を分離するために要求されるもの未満である(当然ながら、第3および第4の粒子を分離するために要求されるもの未満である)。
【0061】
図2では、粒子を備えるコア顔料は、略同一サイズを有するように示され、各粒子のゼータ電位は、図示されないが、略同一であると仮定される。変動するのは、各コア顔料を囲繞するポリマーシェルの厚さである。
図2に示されるように、本ポリマーシェルは、タイプ1および2の粒子に対して、タイプ3および4の粒子より厚く、これは、実際、本発明のある実施形態のために好ましい状況である。
【0062】
ポリマーシェルの厚さが、反対に帯電された粒子の凝集体を分離するために要求される電場にどのように影響を及ぼすかを理解するために、粒子対間の力の平衡を検討することが有用であり得る。実際は、凝集体は、多数の粒子から成り得、状況は、単純対相互作用の場合よりかなり複雑であろう。それでもなお、粒子対分析は、本発明の理解のために、ある程度の指針を提供する。
【0063】
電場内の対の粒子の一方に作用する力は、以下によって求められる。
【0065】
式中、F
Appは、印加される電場によって粒子上に付与される力であって、F
Cは、反対電荷の第2の粒子によって粒子上に付与されるクーロン力であって、F
VWは、第2の粒子によって1つの粒子に付与される引力ファンデルワールス力であって、F
Dは、懸濁溶媒の中への安定化ポリマーの含有(随意)の結果として、粒子対上への枯渇凝集によって付与される引力である。
【0066】
印加される電場によって粒子上に付与される力F
Appは、以下によって求められる。
【0068】
式中、qは、方程式(2)に示されるようなゼータ電位(ζ)に関連する、(大体ヒュッケル限界にある)粒子の電荷であって、aは、コア顔料半径であって、sは、溶媒膨張ポリマーシェルの厚さであって、他の記号は、当技術分野において公知のその従来の意味を有する。
【0069】
クーロン相互作用の結果として1つの粒子に別の粒子によって付与される力の大きさは、粒子1および2に関して、以下によって概算的に求められる。
【0071】
各粒子に印加されるF
App力は、粒子を分離するように作用する一方、他の3つの力は、粒子間の引力であることに留意されたい。1つの粒子に作用するF
App力が、他に作用するものより高い場合(1つの粒子上の電荷が、他のもの上のものより高いため)ニュートンの第三法則に従って、対を分離するために作用する力は、2つのF
App力の弱い方によって求められる。
【0072】
(2)および(3)から、引力クーロン項と分離クーロン項との間の差異の大きさが以下によって求められることが分かる。
【0074】
粒子が、等半径およびゼータ電位である場合、(a+s)をより小さくする、またはζをより大きくすることは、粒子を分離することをより困難にさせるであろう。したがって、本発明の一実施形態では、タイプ1および2の粒子は、大きく、比較的に低ゼータ電位を有する一方、粒子3および4は、小さく、比較的に大ゼータ電位を有することが好ましい。
【0075】
しかしながら、粒子間のファンデルワールス力はまた、ポリマーシェルの厚さが増加する場合、実質的に変化し得る。粒子上のポリマーシェルは、溶媒によって膨張され、ファンデルワールス力を通して相互作用するコア顔料の表面をさらに引き離す。それらの間の距離(s
1+s
2)よりはるかに大きい半径(a
1、a
2)を伴う球状コア顔料に関しては、以下となる。
【0077】
式中、Aは、ハーマーカー定数である。コア顔料間の距離が増加するにつれて、式は、より複雑になるが、効果は、同一のままである。すなわち、s
1またはs
2の増加は、粒子間の引力ファンデルワールス相互作用の低減に有意な影響を及ぼす。
【0078】
本背景を用いて、
図2に図示される粒子タイプの背後にある理論的解釈を理解することが可能となる。タイプ1および2の粒子は、溶媒によって膨張され、コア顔料をさらに引き離し、より小さいポリマーシェルを有する、または全く有さない、タイプ3および4の粒子に対して可能性として考えられるものを上回る、それらの間のファンデルワールス相互作用を低減させる、実質的ポリマーシェルを有する。粒子が略同一サイズおよび大きさのゼータ電位を有する場合でも、本発明によると、対の凝集体間の相互作用の強度を前述の要件に従うように配列することが可能となるであろう。
【0079】
以下の表2は、本発明において使用される粒子の種々の特性を示す。これらの粒子の調製のための方法は、以下の実施例に説明される。白粒子W1およびW2は、
図2では、タイプ1の粒子である。シアン粒子C1は、タイプ2であって、黄粒子Y1、Y2、Y3、およびY4は、タイプ3であって、マゼンタ粒子M1は、タイプ4である。マゼンタ粒子M2は、タイプ2である。
【0081】
粒子のゼータ電位の大きさは、相互に類似することが分かる(少なくとも約3倍以内)。すなわち、全て、約25〜70mV(絶対値)の範囲内にある。引用される粒子直径は、ポリマーシェル(存在する場合)が溶媒によって膨張された溶液中で測定される。粒子サイズは、典型的には、約150nm〜1000nmの範囲である。
【0082】
ポリマーシェルの範囲は、便宜上、粒子の乾燥サンプルの温度が上昇され、熱分解に起因する質量損失が温度の関数として測定される技法である、熱重量分析(TGA)によって査定される。ポリマーコーティングは損失されるが、コア顔料は残留するという状態が、見出され得る(これらの状態は、使用される精密なコア顔料粒子に依存する)。TGAを使用して、ポリマーである粒子の質量の割合が、測定されることができ、これは、コア顔料およびそれらに付着されるポリマーの既知の密度を使用して、体積分率に変換されることができる。
【0083】
表2から分かるように、タイプ1および2(W1、W2、M2、C1)の粒子は、少なくとも25nmの典型的粒子サイズに関して、乾燥ポリマーシェル厚さに対応する、少なくとも約25%のポリマーの体積分率を有する。懸濁溶媒中、ポリマーシェルは、溶媒を占有するにつれて、これよりさらに延在するであろう。
【0084】
タイプ3および4(Y1、Y2、Y3、M1)の粒子は、ポリマーシェルを全く有さないか、または0〜10nmの典型的粒子サイズに関して、乾燥ポリマーシェル厚さに対応する、
約15%
を超えない体積分率を有する、ポリマーシェルを有するかのいずれである。
【0085】
本分析では、ポリマーシェルは、コア顔料の表面全体を均一にカプセル化すると仮定される。しかしながら、これは、決して保証されるものではない。(例えば、前述の米国特許第6,822,782号、
図6および第16−17欄における関連説明参照。)ポリマーの付着の方法は、結晶性コア顔料の別の面より片面に有利に働き得、ポリマー被覆を伴うコア顔料の部分的面積および全くまたは非常にわずかにしか伴わない他の面積が存在し得る。また、特に、グラフト化技法がポリマーを顔料表面に付着するために使用されるとき、ポリマーの成長は、まばらとなり、グラフト化ポリマーの質量が大きい場合でも、コア顔料の大面積が被覆されずに残り得る。
【0086】
ポリマーの被覆を査定するために使用され得る方法の1つは、顔料表面上の比較的に極性の分子の吸着等温線を測定することである。本判定を実施するための方法は、以下の実施例に説明される。本判定において使用するための便宜的極性分子は、極性頭基および非極性尾基を備える両親媒性分子である、電荷制御剤(CCA)である。そのような分子は、本発明において使用される懸濁溶媒等の非極性溶媒中に逆ミセルを形成することが知られている。顔料粒子の存在下、極性頭基は、非極性ポリマー鎖によって保護されない表面(典型的には、極性である)上に吸着することが知られている。顔料表面上へのCCAの吸着度は、したがって、非極性ポリマーによって被覆されていない、したがって、アクセス不能である、顔料表面の面積の測定となる。
【0087】
表2の最後の欄は、粒子の単位面積あたりの典型的CCA(ソルスパース19000、Lubrizol Corporationから利用可能)の吸着率を示す。タイプ1および2の粒子上への本物質の吸着度は、0.4〜0.7mg/m
2の範囲内である一方、タイプ3および4の粒子に関しては、1.7〜4.6mg/m
2の範囲内である。好ましい範囲は、タイプ1および2の粒子に関しては、0〜1mg/m
2であって、タイプ3および4の粒子に関しては、>1.5mg/m
2である。
【0088】
図3は、概略形態において、本発明の粒子タイプの対の凝集体を分離するために要求される電場の強度を示す。タイプ3および4の粒子間の相互作用は、タイプ2および3の粒子間のものより強い。タイプ2および3の粒子間の相互作用は、タイプ1および4の粒子間のものと略等しく、タイプ1および2の粒子間のものより強い。電荷の同一符号の対の粒子間の全相互作用は、タイプ1および2の粒子間の相互作用と同程度またはそれより弱い。
【0089】
図4は、これらの相互作用が、概して、
図1を参照して論じられたように、全原色(減法、加法、黒、および白)を作製するためにどのように利用され得るかを示す。
【0090】
低電場(
図4(A))を用いてアドレス指定されると、粒子3および4は、凝集され、分離されない。粒子1および2は、場内を自由に移動する。粒子1が白粒子である場合、左から視認すると見える色は、白であって、右から視認すると見える色は、黒である。場の極性の反転は、黒状態と白状態を切り替える。しかしながら、黒状態と白状態との間の過渡色が、着色される。粒子3および4の凝集体は、粒子1および2と比較して場内で非常にゆっくり移動するであろう。粒子2は粒子1を越えて移動する(左に)一方、粒子3および4の凝集体は、認め得るほどに移動しない状態が、見出され得る。この場合、粒子2は、左から視認すると見られるであろう一方、粒子3および4の凝集体は、右から視認すると見られるであろう。以下の実施例に示されるように、本発明のある実施形態では、粒子3および4の凝集体は、弱く正に帯電され、したがって、そのような遷移の開始時、粒子2の近傍に位置付けられる。
【0091】
高電場(
図4(B))を用いてアドレス指定されると、粒子3および4は、分離される。粒子1および3(それぞれ、負電荷を有する)のいずれが、左から視認されると可視となるかは、波形(以下参照)に依存するであろう。図示されるように、粒子3は、左から可視であって、粒子2および4の組み合わせは、右から可視である。
【0092】
図4(B)に示される状態から開始すると、反対極性の低電圧は、正に帯電される粒子を左に、負に帯電される粒子を右に移動させるであろう。しかしながら、正に帯電される粒子4は、負に帯電される粒子1に遭遇し、負に帯電される粒子3は、正に帯電される粒子2に遭遇するであろう。結果として、粒子2および3の組み合わせが、左から視認すると見え、粒子4は、右から視認すると見えるであろう。
【0093】
前述のように、好ましくは、粒子1は、白であって、粒子2は、シアンであって、粒子3は、黄であって、粒子4は、マゼンタである。
【0094】
白粒子において使用されるコア顔料は、典型的には、電気泳動ディスプレイの当技術分野において周知であるような高屈折率の金属酸化物である。白顔料の実施例は、以下の実施例に説明される。
【0095】
前述のように、タイプ2−4の粒子を作製するために使用されるコア顔料は、減法混色の三原色:シアン、マゼンタ、および黄を提供する。
【0096】
好適な黄コア顔料は、C.I.黄顔料1、3、12、13、14、16、17、73、74、81、83、97、111、120、126、137、139、150、151、155、174、175、176、180、181、191、194、213、および214を含む。好ましい黄コア顔料は、C.I.黄顔料139、155および180を含む。
【0097】
好適なマゼンタコア顔料は、C.I.赤顔料12、14、48:2、48:3、48:4、57:1、112、122、146、147、176、184、185、209、257、および262、ならびにC.I.紫顔料19および32を含む。好ましいマゼンタコア顔料の1つは、C.I.赤顔料122である。
【0098】
好適なシアンコア顔料は、C.I.青顔料15:1、15:2、15:3、15:4および79、およびC.I.青溶媒70を含む。
【0099】
ディスプレイデバイスは、先行技術において公知のいくつかの方法において、本発明の電気泳動流体を使用して構築されてもよい。電気泳動流体は、マイクロカプセル内にカプセル化される、またはマイクロセル構造の中に組み込まれ、その後、ポリマー層で密閉されてもよい。マイクロカプセルまたはマイクロセル層は、導電性材料の透明コーティングを支承するプラスチック基板またはフィルム上にコーティングまたはエンボス加工されてもよい。本アセンブリは、導電性接着剤を使用して、ピクセル電極を支承するバックプレーンにラミネートされてもよい。
【0100】
図1に示される粒子配列のそれぞれを達成するために使用される波形の第1の実施形態が、ここで、
図5−7を参照して説明される。以降、本駆動方法は、本発明の「第1の駆動スキーム」と称される。本議論では、第1の粒子は、白であって、負に帯電され、第2の粒子は、シアンであって、正に帯電され、第3の粒子は、黄であって、負に帯電され、第4の粒子は、マゼンタであって、正に帯電されると仮定される。当業者は、第1および第2の粒子の一方が白であるように提供され得るため、粒子色のこれらの割当が変更される場合、色遷移がどのように変化するであろうかを理解するであろう。同様に、全粒子上の電荷の極性は、反転されることができ、電気泳動媒体は、媒体を駆動するために使用される波形の極性(次の段落参照)も同様に反転されることを前提として、依然として、同一様式で機能するであろう。
【0101】
以下の議論では、本発明のディスプレイのバックプレーンのピクセル電極に印加される波形(電圧対時間曲線)について説明およびプロットされるが、フロント電極は、接地される(すなわち、ゼロ電位)と仮定される。電気泳動媒体によって被られる電場は、当然ながら、バックプレーンとフロント電極との間の電位の差異とそれらを分離する距離とによって判定される。ディスプレイは、典型的には、そのフロント電極を通して視認され、したがって、ピクセルによって表示される色を制御するのは、フロント電極に隣接する粒子であって、バックプレーンに対するフロント電極の電位が検討される場合、時として、伴われる光学遷移を理解するのがより容易である。これは、単に、以下に論じられる波形を反転することによって行われることができる。
【0102】
これらの波形は、ディスプレイの各ピクセルが、
図5−7では、30V、15V、0、−15V、および−30Vとして図示される、+V
high、+V
low、0、−V
low、および−V
highとして指定される、5つの異なるアドレス指定電圧において駆動され得ることを要求する。実際は、より多数のアドレス指定電圧を使用することが好ましくあり得る。3つのみの電圧が利用可能である場合(すなわち、+V
high、0、および−V
high)、電圧V
highであるが、1/nのデューティサイクルを伴うパルスを用いてアドレス指定することによって、より低い電圧におけるアドレス指定と同一結果を達成することが可能であり得る(例えば、V
high/nであって、nは、正の整数>1である)。
【0103】
本発明において使用される波形は、3つの相、すなわち、以下に説明されるように、ピクセルに印加される前の波形に起因するDC不平衡が補正される、または後続色レンダリング遷移において被られるDC不平衡が補正される(当技術分野において公知のように)、DC平衡化相と、ピクセルが、ピクセルの前の光学状態にかかわらず、少なくとも略同一である開始構成に戻される、「リセット」相と、「色レンダリング」相とを備えてもよい。DC平衡化およびリセット相は、随意であって、特定の用途の需要に応じて、省略されてもよい。「リセット」相は、採用される場合、ディスプレイを後続色が再現可能に得られ得る状態に戻すことを前提として、以下に説明される、マゼンタ色レンダリング波形と同一であってもよい、または最大可能正および負電圧を連続して駆動することを伴ってもよい、またはある他のパルスパターンであってもよい。
【0104】
図5Aおよび5Bは、理想形態における、本発明のディスプレイにおいて黒および白状態を生成するために使用される波形の典型的色レンダリング相を示す。
図5Aおよび5Bにおけるグラフは、ディスプレイのバックプレーン(ピクセル)電極に印加される電圧を示す一方、トッププレーン上の透明共通電極は、接地される。x−軸は、任意単位で測定される時間を表す一方、y−軸は、ボルト単位の印加される電圧である。ディスプレイを黒(
図5A)または白(
図5B)状態に駆動することは、前述のように、V
lowに対応する場(または電流)において、マゼンタおよび黄顔料がともに凝集されるため、それぞれ、好ましくは、電圧V
lowにおける正または負インパルスのシーケンスによってもたらされる。したがって、白およびシアン顔料は、移動する一方、マゼンタおよび黄顔料は、定常のままであって(またははるかにより低い速度で移動する)、ディスプレイは、白状態とシアン、マゼンタ、および黄顔料による吸収に対応する状態(多くの場合、当技術分野では、「複合黒」と称される)との間で切り替える。黒および白を駆動するためのパルスの長さは、約10〜1000ミリ秒に変動し得、パルスは、10〜1000ミリ秒の範囲内の長さのリセット(ゼロ印加ボルト時)によって分離される。
図5は、黒および白を生成するために、それぞれ、正および負電圧のパルスを示し、これらのパルスゼロ電圧が供給される、「リセット」によって分離されるが、時として、これらの「リセット」周期は、駆動パルスと反対極性であるが、より低いインパルスを有する(すなわち、より短い持続時間、または主要駆動パルスより低い印加される電圧、または両方を有する)パルスを備えることが好ましい。
【0105】
図6A−6Dは、マゼンタおよび青(
図6Aおよび6B)および黄および緑(
図6Cおよび6D)色を生成するために使用される波形の典型的色レンダリング相を示す。
図6Aでは、波形は、正インパルスと負インパルスとの間で発振するが、正インパルス(t
p)の長さは、負インパルス(t
n)のものより短い一方、正インパルス(V
p)において印加される電圧は、負インパルス(V
n)のものを上回る。以下であるとき、
V
pt
p=V
nt
n
全体としての波形は、「DC平衡化」される。正および負インパルスの1サイクルの周期は、約30〜1000ミリ秒の範囲であり得る。
【0106】
正インパルスの終了時、ディスプレイは、青状態にある一方、負インパルスの終了時、ディスプレイは、マゼンタ状態にある。これは、シアン顔料の運動に対応する光学密度の変化が、マゼンタまたは黄顔料の運動に対応する変化より大きい(白顔料に対して)ということと一貫する。上記に提示される仮説に従って、これは、マゼンタ顔料と白顔料との間の相互作用がシアン顔料と白顔料との間のものより強い場合、予期されるであろう。黄および白顔料(両方とも負に帯電される)の相対的移動性は、シアンおよび白顔料(反対に帯電される)の相対的移動性よりはるかに低い。したがって、マゼンタまたは青を生成するための好ましい波形では、V
pt
p後、V
nt
nが続く、少なくとも1つのサイクルを備える、インパルスのシーケンスが、好ましく、V
p>V
nおよびt
p<t
nである。青色が要求されるとき、シーケンスは、V
pで終了する一方、マゼンタ色が要求されるとき、シーケンスは、V
nで終了する。
【0107】
図6Bは、3つのみの電圧レベルを使用する、マゼンタおよび青状態の生成のための代替波形を示す。本代替波形では、V
pt
p後、V
nt
nが続く、少なくとも1つのサイクルが、好ましく、V
p=V
n=V
highおよびt
n<t
pである。本シーケンスは、DC平衡化されることができない。青色が要求されるとき、シーケンスは、V
pで終了する一方、マゼンタ色が要求されるとき、シーケンスは、V
nで終了する。
【0108】
図6Cおよび6Dに示される波形は、それぞれ、
図6Aおよび6Bに示されるものの逆であって、対応する相補的色黄および緑を生成する。
図6Cに示されるような黄または緑を生成するための一好ましい波形では、V
pt
p後、V
nt
nが続く、少なくとも1つのサイクルを備える、インパルスのシーケンスが、使用され、V
p<V
nおよびt
p>t
nである。緑色が要求されるとき、シーケンスは、V
pで終了する一方、黄色が要求されるとき、シーケンスは、V
nで終了する。
【0109】
3つのみの電圧レベルを使用する、黄または緑を生成するための別の好ましい波形は、
図6Dに示される。この場合、V
pt
p後、V
nt
nが続く、少なくとも1つのサイクルが、使用され、V
p=V
n=V
highおよびt
n>t
pである。本シーケンスは、DC平衡化されることができない。緑色が要求されるとき、シーケンスは、V
pで終了する一方、黄色が要求されるとき、シーケンスは、V
nで終了する。
【0110】
図7Aおよび7Bは、本発明のディスプレイ上に赤およびシアン色をレンダリングするために使用される波形の色レンダリング相を示す。これらの波形もまた、正インパルスと負インパルスとの間で発振するが、正および負インパルスの1サイクルの周期が、典型的には、より長く、使用されるアドレス指定電圧が、より低くあり得る(但し、必ずしもではない)という点において、
図6A−6Dの波形と異なる。
図7Aの赤波形は、黒(
図5Aに示される波形に類似する)を生成するパルス(+V
low)後、反対極性のより短いパルス(−V
low)が続き、これは、シアン粒子を除去し、黒をシアンの相補的色である赤に変化させる。シアン波形は、赤のものの逆であって、白(−V
low)を生成する区分後、短パルス(V
low)が続き、画面に隣接するシアン粒子を移動させる。
図6A−6Dに示される波形と同様に、シアンは、白に対して、マゼンタまたは黄顔料のいずれかより高速に移動する。しかしながら、
図6の波形とは対照的に、
図7の波形における黄顔料は、マゼンタ粒子と同一の白粒子側にとどまる。
【0111】
図5−7を参照して前述の波形は、5レベル駆動スキーム、すなわち、任意の所与の時間において、ピクセル電極が、共通フロント電極に対して、2つの異なる正電圧、2つの異なる負電圧、またはゼロボルトのうちの任意の1つにあり得る、駆動スキームを使用する。
図5−7に示される具体的波形では、5つのレベルは、0、±15V、および±30Vである。しかしながら、少なくともいくつかの場合には、7つの異なる電圧、すなわち、3つの正、3つの負、およびゼロを使用する、7レベル駆動スキームを使用することが有利であることが見出されている。本7レベル駆動スキームは、以降、本発明の「第2の駆動スキーム」と称され得る。ディスプレイをアドレス指定するために使用される電圧の数の選択肢は、ディスプレイを駆動するために使用される電子機器の制限を考慮すべきである。一般に、駆動電圧の数が多いほど、異なる色のアドレス指定においてより柔軟性を提供するであろうが、このようなより多数の駆動電圧を従来のデバイスディスプレイドライバに提供するために必要な配列を複雑にする。本発明者らは、7つの異なる電圧の使用が、ディスプレイアーキテクチャの複雑性と色域との間の良好な妥協を提供することを見出した。
【0112】
本発明のディスプレイ(
図1に示されるもの等)に印加される本第2の駆動スキームを使用する、8つの原色(白、黒、シアン、マゼンタ、黄、赤、緑、および青)の生成において使用される一般原理が、ここで、説明される。
図5−7におけるように、第1の顔料は、白であって、第2の顔料は、シアンであって、第3顔料は、黄であって、第4顔料は、マゼンタであると仮定される。顔料色の割当が変更される場合、ディスプレイによって呈される色も変化するであろうことは、当業者に明白となるであろう。
【0113】
ピクセル電極に印加される最大正および負電圧(
図8では±Vmaxとして指定される)は、それぞれ、第2および第4の粒子の混合物(シアンおよびマゼンタ、青色を生成する−右から視認される
図1Eおよび
図4B参照)、または第3の粒子単独(黄−左から視認される
図1Bおよび
図4B参照−白顔料が、光を散乱させ、着色顔料間にある)によって形成される色を生成する。これらの青および黄色は、必ずしも、ディスプレイによって達成される最良青および黄ではない。ピクセル電極に印加される中間レベル正および負電圧(
図8では±Vmidとして指定される)は、それぞれ、黒および白である、色を生成する(但し、必ずしも、ディスプレイによって達成可能な最良黒および白色ではない−
図4A参照)。
【0114】
これらの青、黄、黒、または白光学状態から、他の4つの原色は、第2の粒子(この場合、シアン粒子)のみを最低印加電圧(
図8では±Vminとして指定される)を使用して達成される第1の粒子(この場合、白粒子)に対して移動させることによって得られ得る。したがって、シアンを青から移動させること(−Vminをピクセル電極に印加することによって)は、マゼンタを生成し(それぞれ、青およびマゼンタに関する
図1Eおよび1D参照)、シアンを黄の中に移動させること(+Vminをピクセル電極に印加することによって)は、緑を提供し(それぞれ、黄および緑に関する
図1Bおよび1G参照)、シアンを黒から移動させること(−Vminをピクセル電極に印加することによって)は、赤を提供し(それぞれ、黒および赤に関する
図1Hおよび1C参照)、シアンを白の中に移動させること(+Vminをピクセル電極に印加することによって)は、シアンを提供する(それぞれ、白およびシアンに関する
図1Aおよび1F参照)。
【0115】
これらの一般原理は、本発明のディスプレイにおいて特定の色を生成するための波形の構築において有用であるが、実際は、前述の理想的挙動は、観察され得ず、基本スキームの修正が、望ましくは、採用される。
【0116】
前述の基本原理の修正を具現化する一般的波形は、
図8に図示され、横座標は、時間(任意単位)を表し、縦座標は、ピクセル電極と共通フロント電極との間の電圧差を表す。
図8に図示される駆動スキームにおいて使用される3つの正電圧の大きさは、約+3V〜+30Vにあって、3つの負電圧の大きさは、約−3V〜−30Vにあり得る。一経験上好ましい実施形態では、最高正電圧+Vmaxは、+24Vであって、中間正電圧+Vmidは、12Vであって、最低正電圧+Vminは、5Vである。類似様式において、負電圧−Vmax、−Vmid、および−Vminは、ある好ましい実施形態では、−24V、−12V、および−9Vである。3つの電圧レベルのいずれかに関する電圧の大きさは、|+V|=|−V|である必要はないが、ある場合には、そうであることが好ましくあり得る。
【0117】
図8に図示される一般的波形には、4つの固有の相が存在する。第1の相(
図8では「A」)では、ディスプレイ上にレンダリングされた前の画像を消去する(すなわち、ディスプレイを「リセット」する)役割を果たす、+Vmaxおよび−Vmaxにおけるパルスが供給される(「パルス」は、単極方形波、すなわち、所定の時間の間の一定電圧の印加を示す)。これらのパルス(t
1およびt
3)ならびにリセット(すなわち、それらの間のゼロ電圧の周期(t
2およびt
4))の長さは、波形全体(すなわち、
図8に図示されるように全体的波形にわたる時間に対する電圧の積分)がDC平衡化される(すなわち、積分が実質的にゼロである)ように選定されてもよい。DC平衡は、相Aにおいて供給される正味インパルスが、大きさが等しく、相BおよびCの組み合わせにおいて供給される正味インパルスと符号が反対であるように、本相においてパルスおよびリセットの長さを調節することによって達成されることができ、本相の間、以下に説明されるように、ディスプレイは、特定の所望の色に切り替えられる。
【0118】
図8に示される波形は、一般的波形の構造の例証目的のためのものにすぎず、本発明の範囲をいかようにも限定することを意図するものではない。したがって、
図8では、負パルスは、相Aにおいて正パルスに先行して示されるが、これは、本発明の要件ではない。また、相Aに単一負および単一正パルスのみ存在することも要件ではない。
【0119】
前述のように、一般的波形は、本質的に、DC平衡化され、これは、本発明のある実施形態では、好ましくあり得る。代替として、相Aにおけるパルスは、先行技術のある黒および白ディスプレイに提供されるものに類似する様式において、DC平衡を、単一遷移にではなく、一連の色遷移に提供してもよい。例えば、米国特許第7,453,445号および本特許の第1欄に参照される前述の出願を参照されたい。
【0120】
波形の第2の相(
図8では相B)では、最大および中間電圧振幅を使用するパルスが、供給される。本相では、白、黒、マゼンタ、赤、および黄色が、好ましくは、
図5−7を参照して前述の様式でレンダリングされる。より一般的には、波形の本相では、タイプ1の粒子(白粒子は負に帯電されると仮定する)、タイプ2、3、および4(黒)の粒子の組み合わせ、タイプ4(マゼンタ)の粒子、タイプ3および4(赤)の粒子の組み合わせ、ならびにタイプ3(黄)の粒子に対応する色が、形成される。
【0121】
前述のように(
図5Bおよび関連説明参照)、白は、−Vmidにおけるパルスまたは複数のパルスによってレンダリングされてもよい。しかしながら、ある場合には、このように生成される白色は、黄顔料によって汚染され、淡黄に現れ得る。本色汚染を補正するために、正極性のいくつかのパルスを生成する必要があり得る。したがって、例えば、白は、単一インスタンス、または長さT
1および振幅+Vmaxまたは+Vmidを伴うパルス後、長さT
2および振幅−Vmidを伴うパルスが続く、パルスのシーケンス(T
2>T
1)のインスタンスの反復によって得られてもよい。最終パルスは、負パルスであるはずである。
図8では、時間t
5の間の+Vmax後、時間t
6の間の−Vmidが続く、4つのシーケンスの反復が、示される。本パルスのシーケンスの間、ディスプレイの外観は、マゼンタ色(但し、典型的には、理想的マゼンタ色ではない)と白との間で発振する(すなわち、白色は、最終白状態より低いL
*およびより高いa
*の状態が先行するであろう)。これは、マゼンタと青との間の発振が観察された、
図6Aに示されるパルスシーケンスに類似する。ここでの差異は、パルスシーケンスの正味インパルスが、
図6Aに示されるパルスシーケンスより負であって、したがって、発振が、負に帯電される白顔料に向かってバイアスされることである。
【0122】
前述のように(
図5Aおよび関連説明参照)、黒は、+Vmidにおけるパルスまたは複数のパルス(ゼロ電圧の周期によって分離される)によるレンダリングによって得られ得る。
【0123】
前述のように(
図6Aおよび6Bおよび関連説明参照)、マゼンタは、単一インスタンス、または長さT
3および振幅+Vmaxまたは+Vmidを伴うパルス後、長さT
4および振幅−Vmidを伴うパルスが続く、パルスのシーケンス(T
4>T
3)を備える、インスタンスの反復によって得られ得る。マゼンタを生成するために、波形の本相における正味インパルスは、白を生成するために使用される正味インパルスより正であるはずである。マゼンタを生成するために使用されるパルスのシーケンスの間、ディスプレイは、本質的に、青およびマゼンタである、状態間で発振するであろう。マゼンタ色は、最終マゼンタ状態より負a
*およびより低いL
*の状態が先行するであろう。
【0124】
前述のように(
図7Aおよび関連説明参照)、赤は、単一インスタンス、または長さT
5および振幅+Vmaxまたは+Vmidを伴うパルス後、長さT
6および振幅−Vmaxまたは−Vmidを伴うパルスが続く、パルスのシーケンスを備える、インスタンスの反復によって得られ得る。赤を生成するために、正味インパルスは、白または黄を生成するために使用される正味インパルスより正であるはずである。好ましくは、赤を生成するために、使用される正および負電圧は、実質的に同一の大きさ(両Vmaxまたは両Vmidのいずれか)であって、正パルスの長さは、負パルスの長さより長く、最終パルスは、負パルスである。赤を生成するために使用されるパルスのシーケンスの間、ディスプレイは、本質的に、黒および赤である、状態間で発振するであろう。赤色は、最終赤状態より低いL
*、より低いa
*、およびより低いb
*の状態が先行するであろう。
【0125】
黄(
図6Cおよび6Dおよび関連説明参照)は、単一インスタンス、または長さT
7および振幅+Vmaxまたは+Vmidを伴うパルス後、長さT
8および振幅−Vmaxを伴うパルスが続く、パルスのシーケンスを備える、インスタンスの反復によって得られ得る。最終パルスは、負パルスであるはずである。代替として、前述のように、黄色は、−Vmaxにおける単一パルスまたは複数のパルスによって得られ得る。
【0126】
波形の第3の相(
図8では相C)では、中間および最小電圧振幅を使用するパルスが、供給される。波形の本相では、青およびシアン色は、波形の第2の相における白に向かう駆動後に生成され、緑色は、波形の第2の相における黄に向かう駆動後に生成される。したがって、本発明のディスプレイの波形過渡が観察されるとき、青およびシアン色は、b
*が最終シアンまたは青のb
*値より正である色が先行し、緑色は、L
*が最終緑のL
*、a
*、およびb
*より高く、a
*およびb
*がより正である、より黄が先行するであろう。より一般的には、本発明のディスプレイが、第1および第2の粒子の着色されたものに対応する色をレンダリングするとき、その状態は、本質的に、白である(すなわち、約5未満のC
*を有する)、状態が先行するであろう。本発明のディスプレイが、第1および第2の粒子の着色されたものと本粒子の反対電荷を有する第3および第4の粒子の粒子の組み合わせに対応する色をレンダリングするとき、ディスプレイは、最初に、本質的に、第1および第2の粒子の着色されたものと反対電荷を有する、第3および第4の粒子の粒子の色をレンダリングするであろう。
【0127】
典型的には、シアンおよび緑は、+Vminが使用されなければならない、パルスシーケンスによって生成されるであろう。これは、本最小正電圧においてのみ、シアン顔料が、白顔料に対してマゼンタおよび黄顔料から独立して移動され得るためである。シアン顔料のそのような運動は、白から開始するシアンまたは黄から開始する緑をレンダリングするために必要である。
【0128】
最後に、波形の第4の相(
図8では相D)では、ゼロ電圧が、供給される。
【0129】
本発明のディスプレイは、8つの原色を生成するように説明されたが、実際は、可能な限り多くの色がピクセルレベルで生成されることが好ましい。フルカラーグレースケール画像が、次いで、撮像技術における当業者に周知の技法を使用して、これらの色間でディザリングすることによってレンダリングされてもよい。例えば、前述のように生成される8つの原色に加え、ディスプレイは、付加的8つの色をレンダリングするように構成されてもよい。一実施形態では、これらの付加的色は、薄い赤、薄い緑、薄い青、濃いシアン、濃いマゼンタ、濃い黄、および黒と白との間の2つのレベルの灰色である。本文脈において使用される用語「薄い」および「濃い」は、基準色とCIEL
*a
*b
*等の色空間内で実質的に同一色相角であるが、それぞれ、より高いまたはより低いL*を有する、色を指す。
【0130】
一般に、薄い色は、濃い色と同一様式においてであるが、相BおよびCにおいて、若干異なる正味インパルスを有する波形を使用して得られる。したがって、例えば、薄い赤、薄い緑、および薄い青波形は、相BおよびCにおいて、対応する赤、緑、および青波形より負の正味インパルスを有する一方、濃いシアン、濃いマゼンタ、および濃い黄は、相BおよびCにおいて、対応するシアン、マゼンタ、および黄波形より正の正味インパルスを有する。正味インパルスの変化は、相BおよびCにおいて、パルスの長さ、パルスの数、またはパルスの大きさを改変することによって達成されてもよい。
【0131】
灰色は、典型的には、低または中電圧間で発振するパルスのシーケンスによって達成される。
【0132】
薄膜トランジスタ(TFT)アレイを使用して駆動される本発明のディスプレイでは、
図8の横座標上で利用可能な時間インクリメントが、典型的には、ディスプレイのフレームレートによって量子化されるであろうことは、当業者に明白となるであろう。同様に、ディスプレイは、フロント電極に対するピクセル電極の電位を変更することによってアドレス指定され、これは、ピクセル電極またはフロント電極のいずれかまたは両方の電位を変更することによって遂行され得ることも明白となるであろう。本最先端技術では、典型的には、ピクセル電極のマトリクスは、バックプレーン上に存在する一方、フロント電極は、全ピクセルに共通である。したがって、フロント電極の電位が変更されると、全ピクセルのアドレス指定が、影響される。
図8を参照して前述の波形の基本構造は、可変電圧がフロント電極に印加されるかどうかにかかわらず、同一である。
【0133】
図8に図示される一般的波形は、駆動電子機器が、ディスプレイの選択された列の更新の間、7つ程度の異なる電圧をデータラインに提供することを要求する。7つの異なる電圧を送達可能な多重レベルソースドライバが利用可能であるが、電気泳動ディスプレイのための多くの商業上利用可能なソースドライバは、3つのみの異なる電圧が単一フレームの間に送達されることを可能にする(典型的には、正電圧、ゼロ、および負電圧)。本明細書では、用語「フレーム」は、ディスプレイ内の全列の単一更新を指す。パネルに供給される3つの電圧(典型的には、+V、0、および−V)が、あるフレームから次のフレームに変更され得ることを前提として、
図8の一般的波形を修正し、3レベルソースドライバアーキテクチャに対応させることが可能である。(すなわち、例えば、フレームnでは、電圧(+Vmax、0、−Vmin)が供給され得る一方、フレームn+1では、電圧(+Vmid、0、−Vmax)が供給され得るように)。
【0134】
ソースドライバに供給される電圧への変更は、全てのピクセルに影響を及ぼすため、波形は、各色を生成するために使用される波形が供給される電圧と整合されなければならないように、適宜、修正される必要がある。
図9は、
図8の一般的波形に対する適切な修正を示す。相Aでは、3つのみの電圧(+Vmax、0、−Vmax)が必要とされるため、変更は、必要ない。相Bは、それぞれ、長さL
1およびL
2として定義される、サブ相B1およびB2によって置換され、そのそれぞれの間、特定のセットの3つの電圧が使用される。
図9では、相B1において、電圧+Vmax、0、−Vmaxが、利用可能である一方、相B2では、電圧+Vmid、0、−Vmidが、利用可能である。
図9に示されるように、波形は、サブ相B1における時間t
5の間、+Vmaxのパルスを要求する。サブ相B1は、時間t
5より長く(例えば、t
5より長いパルスが必要とされ得る別の色のための波形に対応するために)、したがって、ゼロ電圧が、時間L
1−t
5の間に供給される。長さt
5のパルスおよびサブ相B1内の長さL
1−t
5のゼロパルスまたは複数のパルスの場所は、要求に応じて調節されてもよい(すなわち、サブ相B1は、必ずしも、図示されるように、長さt
5のパルスから開始しない)。3つの正電圧のうちの1つ、3つの負電圧のうちの1つ、およびゼロの選択肢が存在する、相BおよびCをサブ相に再分割することによって、より長い波形(必要ゼロパルスに対応するため)を犠牲にはするが、多重レベルソースドライバを使用して得られるであろうものと同一光学結果を達成することが可能である。
【0135】
トッププレーン切替が、3レベルソースドライバとの組み合わせにおいて使用されるとき、同一の一般原理が、
図9を参照して前述のように適用される。トッププレーン切替は、ソースドライバが好ましいVmaxほど高い電圧を供給することができないとき、好ましくあり得る。トッププレーン切替を使用して電気泳動ディスプレイを駆動するための方法は、当技術分野において周知である。
【0136】
本発明の第2の駆動スキームに従う典型的波形は、以下の表3に示され、括弧内の数字は、示されるバックプレーン電圧を用いて駆動されるフレームの数に対応する(ゼロ電位にあると仮定されるトッププレーンに対して)。
【0138】
リセット相では、最大負および正電圧のパルスは、ディスプレイの前の状態を消去するために提供される。各電圧におけるフレームの数は、色がレンダリングされる、高/中電圧および低/中電圧相における正味インパルスを補償する、量(色xに関してΔ
xとして示す)だけオフセットされる。DC平衡を達成するために、Δ
xは、その正味インパルスの半分となるように選定される。リセット相は、表に図示される精密な様式で実装される必要はない。例えば、トッププレーン切替が使用されるとき、特定の数のフレームを負および正駆動に配分する必要がある。そのような場合、DC平衡の達成と一貫した最大数の高電圧パルスを提供することが好ましい(すなわち、必要に応じて、2Δ
xを負または正フレームから減算する)。
【0139】
高/中電圧相では、前述のように、各色に適切なパルスシーケンスのN回の反復シーケンスが、提供され、Nは、1〜20であり得る。示されるように、本シーケンスは、大きさVmaxまたはVmidの正もしくは負電圧またはゼロが配分される、14のフレームを備える。示されるパルスシーケンスは、前述の議論と一致する。波形の本相では、白、青、およびシアン色をレンダリングするためのパルスシーケンスは、同一であることが分かる(青およびシアンが、この場合、前述のように、白状態から開始して達成されるため)。同様に、本相では、黄および緑をレンダリングするためのパルスシーケンスも、同一である(緑が、前述のように、黄状態から開始して達成されるため)。
【0140】
低/中電圧相では、青およびシアン色は、白から得られ、緑色は、黄から得られる。
【0141】
表4は、以下の実施例11パートAに説明されるように調製されたコーティングを使用して作製され、薄膜トランジスタアレイバックプレーンにラミネートされたディスプレイを駆動することができるから生じる結果を示す。使用される波形は、表3に図示されるものに類似し、N=18であって、ディスプレイは、前述のように、好ましい電圧を用いて、65フレーム/秒でアドレス指定された。
【実施例】
【0143】
実施例
ここで、好ましい本発明の電気泳動媒体の詳細およびこれらの好ましい電気泳動媒体を駆動するためのプロセスを示すために実施例が、与えられるが、例証にすぎない。これらの実施例において使用される粒子は、以下の通りである。
【0144】
白粒子W1は、米国特許第7,002,728号に説明されるように、メタクリル酸ラウリル(LMA)モノマーを含むポリマー材料が付着される、シラノール官能化光散乱顔料(二酸化チタン)である。
【0145】
白粒子W2は、米国特許第5,852,196号の実施例1に説明されるように実質的に生成されるポリマーコーティングチタニアであって、ポリマーコーティングは、約99:1比率のメタクリル酸ラウリルと2,2,2−メタクリル酸トリフルオロエチルを含む。
【0146】
黄粒子Y1は、概して、前述の出願第14/277,107号および以下の実施例1に説明されるように、コーティングを伴わずに使用され、ソルスパース19000の存在下、磨砕によって分散されたC.I.黄顔料180である。
【0147】
黄粒子Y2は、概して、前述の出願第14/277,107号および以下の実施例2に説明されるように、コーティングを伴わずに使用され、ソルスパース19000の存在下、磨砕によって分散されたC.I.黄顔料155である。
【0148】
黄粒子Y3は、概して、前述の出願第14/277,107号および以下の実施例3に説明されるように、コーティングを伴わずに使用され、ソルスパース19000の存在下、磨砕によって分散されたC.I.黄顔料139である。
【0149】
黄粒子Y4は、以下の実施例4に説明される様式において、分散重合によってコーティングされ、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸メチル、およびジメチルポリシロキサン含有モノマーを組み込む、C.I.黄顔料139である。
【0150】
マゼンタ粒子M1は、前述の出願第14/277,107号および以下の実施例5に説明されるように、塩化ビニルベンジルおよびLMAを使用する、正に帯電されたマゼンタ材料(ジメチルキナクリドン、C.I.赤顔料122)コーティングである。
【0151】
マゼンタ粒子M2は、以下の実施例6に説明される様式において、分散重合によってコーティングされ、メタクリル酸メチルおよびジメチルポリシロキサン含有モノマーを組み込む、C.I.赤顔料122である。
【0152】
シアン粒子C1は、以下の実施例7に説明される様式において、分散重合によってコーティングされ、メタクリル酸メチルおよびジメチルポリシロキサン含有モノマーを組み込む、銅フタロシアニン材料(C.I.青顔料15:3)である。
【0153】
(実施例1)
実施例1:黄顔料Y1の調製
黄顔料Novoperm Yellow P−HG(Clariant(Basel, Switzerland)から利用可能)(26g)が、アイソパーG(70g)と、ソルスパース19000の溶液(Lubrizol Corporation(Wickliffe, OH)から利用可能、アイソパーG中70gの20%w/w溶液)と組み合わせられ、1時間、ガラスビーズで激しく磨砕させ、黄顔料を分散させることによって、混合物は、分散された。
【0154】
(実施例2)
実施例2:黄顔料Y2の調製
黄顔料Inkjet Yellow 4GC(Clariant(Basel, Switzerland)から利用可能)(26g)が、アイソパーG(70g)と、ソルスパース19000の溶液(Lubrizol Corporation(Wickliffe, OH)から利用可能、アイソパーG中70gの20%w/w溶液)と組み合わせられた。結果として生じた混合物は、1時間、600RPMで、250mLのガラスビーズで磨砕させ、次いで、200μmメッシュスクリーンを通して濾過させ、黄顔料を分散させることによって分散された。
【0155】
(実施例3)
実施例3:黄顔料Y3の調製
黄顔料Novoperm Yellow P−M3R(Clariant(Basel, Switzerland)から利用可能)(28g)が、アイソパーG(70g)と、ソルスパース19000の溶液(Lubrizol Corporation(Wickliffe, OH)から利用可能、アイソパーG中70gの20%w/w溶液)と組み合わせられた。結果として生じた混合物は、1時間、600RPMで、250mLのガラスビーズで磨砕させ、次いで、200μmメッシュスクリーンを通して濾過させ、黄顔料を分散させることによって分散された。
【0156】
(実施例4)
実施例4:黄顔料Y4の調製
2Lプラスチック瓶に、64.0g Novoperm Yellow P M3R(Clariant Corporation 118380)、12.6 g 2,2,2−メタクリル酸トリフルオロエチル、42.5 g メタクリル酸メチル、100 g モノメタクリレート終端ポリ(ジメチルポリシロキサン)(Gelest MCR−M22、分子量10,000)、376 g アイソパーE、80 g 20重量%ソルスパース17000溶液、およびZirconoxビーズ(0.7−2.4mm)が添加された。瓶は、24時間、転動され、次いで、200μmメッシュを通して500mL反応器の中に傾注された。反応器は、窒素浸漬管、オーバーヘッド攪拌インペラ、および空気コンデンサとともに組み立てられた。オーバーヘッド空気撹拌器は、400rpmに設定され、反応混合物は、30分間、65℃で窒素でパージされ、その後、浸漬管は、除去され、ロータメータ窒素レベルが設定された。小バイアル内で、0.358g2,2’−アゾビス(2−メトキシプロピオニトリル)(AIBN)が、酢酸エチル中で溶解され、注入器に添加された。バイアルは、次いで、酢酸エチルで濯がれ、同一注入器に添加された。得られたAIBN溶液は、30分にわたって、反応器の中に注入され、反応混合物は、16〜24時間、加熱された。反応混合物は、1L遠心瓶の中に分注され、遠心分離された。上澄みは、傾瀉され、残りの顔料は、アイソパーEで洗浄され、遠心分離された。本洗浄プロセスは、さらに2回、繰り返され、最終上澄みが傾瀉された後、残りの顔料は、室温で一晩、真空炉内で乾燥された。
【0157】
乾燥顔料は、音波処理および転動を使用して、アイソパーGとの25重量%混合物に分散され、結果として生じた分散体は、200μmメッシュを通して濾過され、分散体中の固体物質のパーセンテージが、測定された。
【0158】
(実施例5)
実施例5:マゼンタ顔料M1の調製
Ink Jet Magenta E 02(Clariant Corporationから利用可能、15g)が、トルエン(135g)中に分散された。分散体は、500mL丸底フラスコに移送され、頭隙が、窒素で脱気された。得られた反応混合物は、42℃にされ、温度平衡に応じて、4−ビニルベンジルクロリドが、添加され、反応混合物は、一晩42℃で窒素下、撹拌された。結果として生じた生成物は、室温まで空冷され、官能化顔料を単離するために遠心分離された。遠心ケーキが、トルエンで3回洗浄され、官能化マゼンタ顔料(13.76g)が得られた。
【0159】
本官能化マゼンタ顔料は、前述の米国特許第7,002,728号に説明されるように、ポリ(メタクリル酸ラウリル)で処理され、次いで、アイソパーEと組み合わせられ、マゼンタ顔料分散体が得られ、これは、200μmメッシュフィルムを通して濾過され、そのパーセンテージ固体は、17.8%であることが判定された。
【0160】
(実施例6)
実施例6:マゼンタ顔料M2の調製
1Lプラスチック瓶に、32.0 g Ink Jet Magenta E 02(Clariant Corporation)、26.5gメタクリル酸メチル、53gモノメタクリレート終端ポリ(ジメチルポリシロキサン)(Gelest MCR−M22、分子量10,000)、220gアイソパーE、およびZirconoxビーズ(0.7〜2.4mm)が添加された。瓶は、2時間、転動され、次いで、250gのアイソパーEが、顔料混合物に添加されたに。これは、次いで、200μmメッシュを通して1L反応器の中に傾注された。反応器は、窒素浸漬管、オーバーヘッド攪拌インペラ、および空気コンデンサとともに組み立てられた。オーバーヘッド空気撹拌器は、400rpmに設定され、反応混合物は、30分間、65℃で窒素でパージされ、その後、浸漬管は、除去され、ロータメータ窒素レベルが設定された。小バイアル内で、0.6g2,2’−アゾビス(2−メトキシプロピオニトリル)(AIBN)が、酢酸エチル中で溶解され、注入器に添加された。バイアルは、次いで、酢酸エチルで濯がれ、同一注入器に添加された。得られたAIBN溶液は、30分にわたって、反応器の中に注入され、反応混合物は、16〜24時間、加熱された。反応混合物は、1L遠心瓶の中に分注され、遠心分離された。上澄みは、傾瀉され、残りの顔料は、アイソパーEで洗浄され、遠心分離された。本洗浄プロセスは、さらに2回、繰り返され、最終上澄みが傾瀉された後、残りの顔料は、室温で一晩、真空炉内で乾燥された。
【0161】
乾燥顔料は、音波処理および転動を使用して、アイソパーGとの25重量%混合物に分散され、結果として生じた分散体は、200μmメッシュを通して濾過され、分散体中の固体物質のパーセンテージが、測定された。
【0162】
(実施例7)
実施例7:シアン顔料C1の調製
1Lプラスチック瓶に、32.0 g Hostaperm Blue B2G−EDS(Clariant Corporation 225226)、15 gメタクリル酸メチル、30gモノメタクリレート終端ポリ(ジメチルポリシロキサン)(Gelest MCR−M22、分子量10,000)、220 gアイソパーE、およびZirconoxビーズ(0.7−2.4mm)が添加された。瓶は、24時間、転動され、次いで、200μmメッシュを通して500mL反応器の中に傾注された。反応器は、窒素浸漬管、オーバーヘッド攪拌インペラ、および空気コンデンサとともに組み立てられた。オーバーヘッド空気撹拌器は、400rpmに設定され、反応混合物は、1時間、65℃で窒素でパージされ、その後、浸漬管は、除去され、ロータメータ窒素レベルが設定された。小バイアル内で、0.189g2,2’−アゾビス(2−メトキシプロピオニトリル)(AIBN)が、酢酸エチル中で溶解され、注入器に添加された。バイアルは、次いで、酢酸エチルで濯がれ、同一注入器に添加された。得られたAIBN溶液は、30分にわたって、反応器の中に注入され、反応混合物は、16〜24時間、加熱された。反応混合物は、1L遠心瓶の中に分注され、遠心分離された。上澄みは、傾瀉され、残りの顔料は、アイソパーEで洗浄され、遠心分離された。本洗浄プロセスは、さらに3回繰り返され、最終上澄みが傾瀉された後、残りの顔料は、室温で一晩、真空炉内で乾燥された。
【0163】
乾燥顔料は、音波処理および転動を使用して、アイソパーGとの25重量%混合物に分散され、結果として生じた分散体は、200μmメッシュを通して濾過され、分散体中の固体物質のパーセンテージが、測定された。
【0164】
(実施例8)
実施例8:本発明の粒子上におけるソルスパース19000の吸着等温線の測定
溶媒(白粒子用)中10%w/w濃度またはアイソパーG溶媒(着色粒子用)中5%w/w濃度における20グラムサンプルが、ゼロ〜約0.5g/gの顔料で変動する10〜20濃度においてソルスパース19000を含有するように調製された。サンプルは、少なくとも24時間、室温で混合を用いて平衡化され、次いで、粒子は、3500rpmで1時間(白顔料)または20000rpmで1時間(着色サンプル)、遠心分離によって除去された。上澄みの伝導性が、測定され、残りのソルスパース19000の濃度が、較正曲線に対して判定された。
【0165】
シアン粒子C1および未加工顔料(C.I.青顔料15:3、Clariantから利用可能なHostaperm Blue B2G−EDS)で得られた結果は、
図10に示される。ポリマーシェルは、粒子上に吸着されるソルスパース19000の量を約100mg/g〜約15mg/gに減少させることが分かる。
図10で観察される未加工シアン顔料上へのソルスパース19000の吸着は、より多くの界面活性剤が添加されるにつれて低下するように見える。これは、測定のアーチファクトである。理想的測定では、吸着される量は、プラトーに到達するであろう。説明される実験では、非常に高界面活性剤レベルにおいて、上澄みから完全に除去され得ない、いくつかの微細な粒子が、生成される。その結果、上澄みの伝導性は、顔料が全体的に除去される場合より高い(帯電シアン微粒子の存在に起因して)。類似アーチファクトは、分散重合サンプルに観察されず、顔料がポリマー中に全体的に吸い込まれ、シアンコアの一次粒子サイズ(故に、表面積)は、実験に重要ではないことを示唆する。
【0166】
(実施例9)
実施例9:電場中を移動する本発明の粒子の可視化
パートA:電気泳動流体の調製
流体(i):0.36%w/wの4:1質量比のソルスパース19000:ソルスパース17000を含有するアイソパーG中の上記の実施例7に説明されるように調製された0.91gの22%w/w分散体の粒子C1が、0.36%w/wの4:1質量比のソルスパース19000:ソルスパース17000を含有するアイソパーG中の上記の実施例3に説明されるように調製された0.33gの15%w/w分散体の粒子Y3と、0.36%w/wの4:1質量比のソルスパース19000:ソルスパース17000を含有する17.76gのアイソパーGと組み合わせられた。粒子C1およびY3の分散体は、事前に、45分間、20,000rpmで遠心分離され、0.36%w/wの4:1質量比のソルスパース19000:ソルスパース17000を含有するアイソパーGで3回再希釈され、いかなる可溶性不純物も除去されることを確実にした。流体が調製された後、使用前に、90分間、音波処理で分散された。
【0167】
流体(ii):0.36%w/wの4:1質量比のソルスパース19000:ソルスパース17000を含有するアイソパーG中の上記の実施例5に説明されるように調製された0.33gの15%w/w分散体の粒子M1が、0.36%w/wの4:1質量比のソルスパース19000:ソルスパース17000を含有するアイソパーG中の上記の実施例3に説明されるように調製された1.33gの15%w/w分散体の粒子Y3と、17.34gの0.36%w/wの4:1質量比のソルスパース19000:ソルスパース17000を含有するアイソパーGと組み合わせられた。粒子M1およびY3の分散体は、事前に、45分間、20,000rpmで遠心分離され、0.36%w/wの4:1質量比のソルスパース19000:ソルスパース17000を含有するアイソパーGで3回再希釈され、いかなる可溶性不純物も除去されることを確実にした。流体が調製された後、使用前に、90分間、音波処理で分散された。
【0168】
パートB:粒子運動の可視化
流体(i)−(ii)は、
図11に図示される装置を使用して視覚化された。長方形断面を伴うホウケイ酸ガラス毛管の壁112は、厚さ20μmであって、中心空洞110は、幅200μmおよび高さ20μmを有していた。毛管は、5分硬化性エポキシ接着剤114を使用して、2つの金属電極120間および2つのシートのホウケイ酸ガラス116と118との間で密閉された。毛管と電極との間のエポキシの厚さを最小限にするために、電極は、エポキシが硬化している間、相互に向かって押動されて保持された。
【0169】
流体が、注入器を介して、毛管の中に装填された後、流動が鎮まるまで短い待機時間が続いた。毛管の他端を開放したままにすることは、いったん注入器が解放されると、圧力を緩和し、流動の停止を加速させることに役立つ。
【0170】
電気泳動流体は、次いで、
図12および13に示されるように、電圧印加を受ける一方、運動の画像が、カメラを装備した顕微鏡122を用いて捕捉され、112フレーム/秒でサンプリングした。異なる印加電圧間、すなわち、異なる試験間では、毛管内の電気泳動流体は、新しい流体が注入器からのものと交換された。異なるサンプル間では、同一毛管管が、デバイスから流出する溶液が光学的にクリアとなるまで、アイソパーE中0.1%w/w濃度における約2ミルの4:1比率のソルスパース19000:ソルスパース17000溶液で洗い流され、次いで、次のサンプルが、装填された。このように、幾何学形状(したがって、流体によって被られる電場)は、一定のままであった。
図12および13では、カソードは、上部電極であって、アノードは、底部電極である。
【0171】
図12は、電場をマゼンタ顔料M1および黄顔料Y3(流体(i))の混合物に印加した結果を示す。最高電圧においてさえ、これらの2つの顔料間の凝集体は、分離されず、カソードに向かって移動する赤みを帯びた集塊として残った。
【0172】
図13は、電場をシアン顔料C1および黄顔料Y3(流体(ii))の混合物に印加した結果を示す。1000Vおよびそれより高い電圧が印加されると、2つの顔料は、分離され、シアンは、カソードに向かって、黄は、アノードに向かって進行した。
【0173】
図12および13から、本発明の顔料M1およびY3は、本発明の顔料C1およびY3を分離する電場を受けてもそのままである、凝集体を形成することが明白である。換言すると、凝集体を分離するために要求される電場強度は、タイプ2、3、および4の粒子に対してP3−P4>P3−P2の順序となる。
【0174】
(実施例10)
実施例10:粒子の静電分離
パートA:電気泳動流体の調製
流体(i):以下の実施例12パートAに説明されるように調製された白粒子分散体(W1)(0.11g)が、上記の実施例7において調製されたシアン粒子分散体(C1)(0.13g)と、ソルスパース19000(アイソパーG中60mgの2%w/w溶液)と、ソルスパース17000(アイソパーG中10mgの2%w/w溶液)と、アイソパーG(3.49g)と組み合わせられた。本得られた混合物は、一晩完全に混合され、電気泳動流体(すなわち、移動相中に顔料を含む電気泳動組成物)を生成するために、90分間、音波処理された。混合物は、次いで、電気泳動流体(1.0g)と付加的アイソパーG(9.0g)を組み合わせることによって希釈された。本得られた混合物は、一晩完全に混合され、90分間、音波処理された。
【0175】
流体(ii):以下の実施例12パートAに説明されるように調製された白顔料分散(W1)(0.11g)が、上記の実施例5に説明されるように調製されたマゼンタ粒子分散体(M1)(0.13g)と、ソルスパース19000(アイソパーG中200mgの2%w/w溶液)と、ソルスパース17000(アイソパーG中50mgの2%w/w溶液)と、アイソパーG(3.17g)と組み合わせられた。本得られた混合物は、一晩完全に混合され、電気泳動流体(すなわち、移動相中に顔料を含む電気泳動組成物)を生成するために、90分間、音波処理された。本混合物は、次いで、電気泳動流体(1.0g)と付加的アイソパーG(9.0g)を組み合わせることによって希釈された。本得られた混合物は、一晩完全に混合され、90分間、音波処理された。
【0176】
流体(iii):上記の実施例3に説明される黄粒子分散体(Y3)(0.32g)が、上記の実施例5に説明されるようなマゼンタ粒子分散体(M1)(0.23g)と、ソルスパース19000(アイソパーG中260mgの2%w/w溶液)と、ソルスパース17000(70mgの2%w/w溶液アイソパーG中)と、アイソパーG(2.77g)と組み合わせられた。本得られた混合物は、一晩完全に混合され、電気泳動流体(すなわち、移動相中に顔料を含む電気泳動組成物)を生成するために、90分間、音波処理された。混合物は、次いで、電気泳動流体(1.0g)と付加的アイソパーG(9.0g)を組み合わせることによって希釈された。本得られた混合物は、一晩完全に混合され、90分間、音波処理された。
【0177】
パートB:電気泳動流体の試験
ITOコーティングガラススライド(約25cm×17.5mm)が、電気泳動流体を含有するリザーバの中に、深度約20mmまで沈められた。ガラスプレート間の間隙は、10mmの距離で一定に保持され、ITOコーティング側は、相互に面した。電気接続が、次いで、両プレートのITOコーティング側で行われ、500VのDCバイアスが、合計30秒間、印加された。
【0178】
スライドは、次いで、電気泳動流体から除去され、電極表面に接着されなかったいかなる物質も除去するために、約1mLのアイソパーEで直ちに濯がれた。スライドは、次いで、各スライドに接着された粒子を判定するために検査された。
図14(a)から分かるように、白およびシアン粒子は、流体(i)が試験されたとき、きれいに分離され、白粒子は、アノード上に、シアン粒子は、カソード上に堆積した。一方、
図14(b)に見られるように、マゼンタ/白流体(ii)は、試験されたとき、両顔料は、ともに堆積されて見られた(これは、特に、アノード上で明白である)。より顕著であったのは、流体(iii)のマゼンタ/黄での結果であった。この場合、マゼンタおよび黄顔料は、分離されず、それぞれ、アノードおよびカソードの両方上で可視であった。これらの実験の結論は、凝集体を分離するために要求される電場強度が、タイプ2、3、および4の粒子に対してP1−P4>P1−P2およびP3−P4>P1−P2の順序となる。
【0179】
(実施例11)
実施例11:縮小顔料セット
パートA:黄粒子分散体(Y3)の調製
黄顔料Novoperm Yellow P−M3R(Clariant(Basel, Switzerland)から利用可能)(28g)が、アイソパーG(116g)と、ソルスパース19000の溶液(Lubrizol Corporation(Wickliffe, OH)から利用可能、アイソパーG中24gの20%w/w溶液)と組み合わせられた。結果として生じた混合物は、1時間、600RPMで、250mLのガラスビーズで磨砕させ、次いで、200μmメッシュスクリーンを通して濾過させ、黄粒子を分散させることによって分散された。
【0180】
パートB:電気泳動流体の調製
流体(i):以下の実施例12パートAに説明されるように調製された白粒子分散体(W1)(4.94g)が、上記の実施例5に説明されるように調製されたマゼンタ粒子分散体(M1)(0.92g)と、前述のような黄顔料分散体(0.90g)と、ソルスパース19000(アイソパーG中0.23gの20%w/w溶液)と、ソルスパース17000(アイソパーG中0.09gの20%w/w溶液)と、アイソパーG(2.42g)と、分子量850,000のポリ(イソブチレン)(アイソパーG中0.49gの15%w/w溶液)と組み合わせられた。得られた混合物は、一晩完全に混合され、電気泳動流体を生成するために、90分間、音波処理された。
【0181】
流体(ii):以下の実施例12パートAに説明されるように調製された白粒子分散体(W1)(4.94g)が、上記の実施例7に説明されるように調製されたシアン粒子分散体(C1)(0.61gの24.8%w/w分散体)と、前述のような黄顔料分散体(0.90g)と、ソルスパース19000(アイソパーG中0.15gの20%w/w溶液)と、ソルスパース17000(アイソパーG中0.07gの20%w/w溶液)と、アイソパーG(2.83g)と、分子量850,000のポリ(イソブチレン)(アイソパーG中0.49gの15%w/w溶液)と組み合わせられた。得られた混合物は、一晩完全に混合され、電気泳動流体を生成するために、90分間、音波処理された。
【0182】
流体(iii):以下の実施例12パートAに説明されるように調製された白粒子分散体(W1)(4.94g)が、上記の実施例5に説明されるように調製されたマゼンタ粒子分散体(M1)(0.92g)と、上記の実施例7に説明されるように調製されたシアン粒子分散体(C1)(0.61gの24.8%w/w分散体)と、ソルスパース19000(アイソパーG中0.26gの20%w/w溶液)と、ソルスパース17000(アイソパーG中0.06gの20%w/w溶液)と、アイソパーG(2.71g)と、分子量850,000のポリ(イソブチレン)(アイソパーG中0.49gの15%w/w溶液)と組み合わせられた。得られた混合物は、一晩完全に混合され、電気泳動流体を生成するために、90分間、音波処理された。
【0183】
流体(iv):以下の実施例12パートAに説明されるように調製された白粒子分散体(W1)(34.59gの60%w/w分散体)が、上記の実施例5に説明されるように調製されたマゼンタ分散体(6.45gの16.5%w/w分散体)と、上記の実施例7に説明されるように調製されたシアン分散体(4.97gの24.8%w/w分散体)と、上記の実施例3に説明されるように調製された黄顔料分散体(6.29gの16.7%w/w分散体)と、ソルスパース17000(アイソパーG中0.66gの20%w/w溶液)と、アイソパーG(13.7g)と、分子量850,000のポリ(イソブチレン)(アイソパーG中3.35gの15%w/w溶液)と組み合わせられた。得られた混合物は、一晩完全に混合され、電気泳動流体を生成するために、90分間、音波処理された。
【0184】
パートC:ディスプレイデバイスの調製
透明導体(インジウムスズ酸化物、ITO)のコーティングを伴うポリ(エチレンテレフタレート)フィルム上にエンボス加工されたマイクロセルのアレイが、上記のパートBに説明されるように調製された電気泳動流体で充填された。マイクロセルは、六角形形状であって、20マイクロメートル深度と、縁から縁まで測定された130マイクロメートル幅とを伴った。過剰電気泳動流体は、ドクターブレードによってマイクロセルから除去され、米国仮特許出願第62/065575号に説明されるように、複合ポリマーコーティングで密閉された。本アセンブリは、ディスプレイデバイスを生成するために、3μmの厚さの米国特許第7,012,735号に説明されるようなドープ熱接着剤を使用して、ITO電極とともにガラスバックプレーンに実質的にラミネートされた。
【0185】
パートD:電気光学試験
パートCに説明されるように生成されたデバイスは、表5に示されるような波形を使用して駆動された。波形は、4つの相:(1)高アドレス指定電圧における低周波数を伴うリセットと、(2)表3を参照して前述のものに類似する方法を使用した白状態へのライティングと、(3)
図7(B)を参照して前述のものに類似する方法を使用したシアン状態へのライティングと、(4)ゼロボルトとから成った。波形の各相は、示されるようなデューティサイクル(ディスプレイが電圧V1において駆動される1サイクルの時間の割合として定義される)を用いて、示される周波数において電圧V1とV2との間で交互する方形波形態を使用した。
【0186】
【表5】
【0187】
図15−18は、表5に示される波形の「シアンライティング」および「ゼロ」相の間に得られる、450nm(青光吸収)、550nm(緑光吸収)および650nm(赤光吸収)における光学密度を示す。未加工光学密度は、示される波長における他の顔料の吸収の除去によって、「分析密度」、すなわち、650nmにおけるシアン顔料のみ、550nmにおけるマゼンタ顔料のみ、および450nmにおける黄顔料のみの光学密度寄与度に変換された。これは、以下のように達成された:a)未加工光学密度が、デバイス内の光学損失に起因するベースライン減算によって補正され、b)650nmにおける光学密度は、シアン粒子のみ本波長において有意に吸収したため、さらに補正されず、c)550nmにおける光学密度は、シアン粒子が緑光の著しい吸収を認めたため、0.5
*OD(650)
corrの減算によって補正され、d)450nmにおける光学密度は、シアンおよびマゼンタ粒子の両方がある程度の青光を吸収したため、0.08
*OD(650)
corrおよび0.29*OD(550)
corrの減算によって補正された。より正確な補正が全交差吸収項を考慮することによって行われ得ることは、当業者に明白となるであろう。説明された補正が行われた後、450nmにおける光学密度は、白顔料の視認側における黄顔料の量に略比例し、550nmにおける光学密度は、白顔料の視認側におけるマゼンタ顔料の量に略比例し、650nmにおける光学密度は、白顔料の視認側におけるシアン顔料の量に略比例した。
【0188】
図15は、白、黄、およびマゼンタ粒子の混合物(流体(i))に対応する光学密度トレースを示す。(本低アドレス指定電圧において)事実上、白状態からの変調は見られない。これは、黄およびマゼンタ粒子によって形成されるほぼ不動の凝集体の形成と一貫する(すなわち、白顔料は、本低アドレス指定電圧では、移動し得るが、黄およびマゼンタ粒子の(赤)凝集体を変位させることができない。
【0189】
図16は、白、黄、およびシアン粒子の混合物(流体(ii))に対応する光学密度トレースを示す。ここでは、(再び、低アドレス指定電圧において)シアン(650nm、ダイナミックレンジ約0.3OD)および黄(450nm、ダイナミックレンジ約0.1OD)の顕著により大きい変調が見られる。これは、黄粒子とマゼンタ粒子との間に形成されるものより弱い黄粒子とシアン粒子との間の凝集体の形成と一貫する。シアン発振のダイナミックレンジは、黄粒子が存在しないときよりはるかに低い(以下の
図17参照)。
【0190】
図17は、白、マゼンタ、およびシアン粒子の混合物(流体(iii))に対応する光学密度トレースを示す。ここでは、(再び、低アドレス指定電圧において)シアン(650nm、ダイナミックレンジ約0.9OD)およびマゼンタ(550nm、ダイナミックレンジ約0.6OD)の顕著な変調が見られる。
図16に示されるものと比較してシアンにおける増加した光学密度範囲は、分離するためにシアンおよび白より高い場を要求する凝集体を形成する、シアンおよび黄と一貫する。換言すると、凝集体を分離するために要求される電場強度は、タイプ1、2、および3の粒子に対してP2−P3>P2−P1の順序であると考えられる。
【0191】
最後に、
図18は、白、黄、マゼンタ、およびシアン粒子の混合物(流体(iv))に対応する光学密度トレースを示す。ここでは、シアン(650nm、ダイナミックレンジ約0.9OD)のみの顕著な変調が存在する一方、マゼンタは、抑制されている(550nm、ダイナミックレンジ約0.2OD)。
図17に示されるものと比較してマゼンタにおける低減した光学密度範囲は、分離するためにシアンおよび黄より高い場を要求する凝集体を形成する、マゼンタおよび黄と一貫する。同一結果は、実施例9および10においても得られ、すなわち、凝集体を分離するために要求される電場強度は、タイプ2、3、および4の粒子に対してP3−P4>P3−P2の順序となり、これと
図17を参照して前述の結果を組み合わせると、凝集体を分離するために要求される電場をP3−P4>P3−P2>P2−P1としてランク付けることができる。
【0192】
(実施例12)
実施例12:電気泳動組成物の比較
パートA:白粒子分散体の調製
二酸化チタンが、米国特許第7,002,728号に説明されるように、シランで処理され、シランで処理された白顔料は、ポリ(メタクリル酸ラウリル)と重合され、コーティングされた白顔料をもたらした。乾燥顔料(1100g)が、アイソパーG(733.33g)と組み合わせられ、最終白分散体を得た。
【0193】
パートB:電気泳動流体の調製
流体(i):上記のパートAにおいて調製された白顔料分散体(4.95g)が、上記の実施例5に説明されるように調製されたマゼンタ分散体(0.92g)と、上記の実施例7に説明されるように調製されたシアン分散体(0.61gの24.8%w/w分散体)と、上記の実施例1に説明されるように調製された黄顔料分散体(0.90g)と、ソルスパース17000(アイソパーG中0.09gの20%w/w溶液)と、アイソパーG(2.05g)と、分子量850,000のポリ(イソブチレン)(アイソパーG中0.48gの15%w/w溶液)と組み合わせられた。得られた混合物は、一晩完全に混合され、330pS/cmの伝導性を有する電気泳動流体(すなわち、移動相中に顔料を含む電気泳動組成物)を生成するために、90分間、音波処理された。
【0194】
流体(ii):上記のパートAにおいて調製された白顔料分散体(3.46g)が、上記の実施例5において調製されたマゼンタ分散体(0.69g)と、上記の実施例7に説明されるように調製されたシアン分散体(0.43gの24.9%w/w分散体)と、上記の実施例2に説明されるように調製された黄顔料分散体(0.63g)と、ソルスパース17000(アイソパーG中0.07gの20%w/w溶液)と、アイソパーG(1.38g)と、分子量850,000のポリ(イソブチレン)(アイソパーG中0.34gの15%w/w溶液)と組み合わせられた。得られた混合物は、一晩完全に混合され、200pS/cmの伝導性を有する電気泳動流体(すなわち、移動相中に顔料を含む電気泳動組成物)を生成するために、90分間、音波処理された。
【0195】
流体(iii):上記のパートAにおいて調製された白顔料分散体(4.93g)が、上記の実施例5において調製されたマゼンタ分散体(0.85g)と、上記の実施例7に説明されるように調製されたシアン分散体(0.69gの23.6%w/w分散体)と、上記の実施例3に説明されるように調製された黄顔料分散体(0.90g)と、ソルスパース17000(アイソパーG中0.09gの20%w/w溶液)と、アイソパーG(2.05g)と、分子量850,000のポリ(イソブチレン)(アイソパーG中0.48gの15%w/w溶液)と組み合わせられた。得られた混合物は、一晩完全に混合され、75pS/cmの伝導性を有する電気泳動流体(すなわち、移動相中に顔料を含む電気泳動組成物)を生成するために、90分間、音波処理された。
【0196】
流体(iv):上記の実施例3パートCにおいて調製された白顔料分散体(4.95g)が、同一実施例のパートBにおいて調製されたマゼンタ分散体(0.76g)と、上記の実施例1および2に説明されるように調製されたシアン分散体(0.66gの22.4%w/w分散体)と、上記の実施例4において調製された黄顔料分散体(0.77g)と、ソルスパース19000(アイソパーG中0.38gの20%w/w溶液)、ソルスパース17000(アイソパーG中0.09gの20%w/w溶液)と、アイソパーG(1.92g)と、分子量850,000のポリ(イソブチレン)(アイソパーG中0.48gの15%w/w溶液)と組み合わせられた。得られた混合物は、一晩完全に混合され、134pS/cmの伝導性を有する電気泳動流体(すなわち、移動相中に顔料を含む電気泳動組成物)を生成するために、90分間、音波処理された。
【0197】
流体(v):米国特許第7,002,728号に説明されるように調製された白顔料分散体(4.92gの59.8%w/w分散体)が、上記の実施例5において調製されたマゼンタ分散体(0.77g)と、上記の実施例7に説明されるように調製されたシアン分散体(0.61gの24.8%w/w分散体)と、上記の実施例3に説明されるように調製された黄顔料分散体(0.90g)と、ソルスパース17000(アイソパーG中0.09gの20%w/w溶液)と、アイソパーG(2.23g)と、分子量850,000のポリ(イソブチレン)(アイソパーG中0.48gの15%w/w溶液)と組み合わせられた。得られた混合物は、一晩完全に混合され、54pS/cmの伝導性を有する電気泳動流体(すなわち、移動相中に顔料を含む電気泳動組成物)を生成するために、90分間、音波処理された。
【0198】
流体(vi):上記のパートAにおいて調製された白顔料分散体(4.95g)が、上記の実施例6に説明されるように調製されたマゼンタ分散体(1.43gの23.6%w/w分散体)と、上記の実施例7に説明されるように調製されたシアン分散体(0.60gの24.9%w/w分散体)と、上記の実施例3に説明されるように調製された黄顔料分散体(0.90g)と、ソルスパース19000(アイソパーG中0.15gの20%w/w溶液)と、ソルスパース17000(0.08gの20%w/w溶液アイソパーG中)と、アイソパーG(1.42g)と、分子量850,000のポリ(イソブチレン)(アイソパーG中0.47gの15%w/w溶液)と組み合わせられた。得られた混合物は、一晩完全に混合され、100pS/cmの伝導性を有する電気泳動流体(すなわち、移動相中に顔料を含む電気泳動組成物)を生成するために、90分間、音波処理された。
【0199】
パートC:電気光学試験
並列プレート試験セルが、調製され、2つの水平50×55mmガラスプレートから成り、それぞれ、インジウムスズ酸化物(ITO)の透明の伝導性コーティングでコーティングされ、その間に、試験されるべき電気泳動媒体が導入された。公称上、20μm直径のシリカスペーサビーズが、ガラスプレート間の一定間隙を維持するために組み込まれた。前述のように調製された電気泳動流体(95μL)は、下側ガラスプレートのITOコーティング面上に分注され、次いで、上側ガラスプレートが、ITOコーティングが流体と接触するように、流体にわたって載置された。電気接続が、次いで、上部および底部ガラスプレートの両方のITOコーティング側に行われた。
【0200】
セルは、表6に要約される波形を使用して駆動された。基本波形は、それぞれ、20.5秒の長さで6つの区分に分割される。各区分の間、30Hz周波数を伴う方形波AC基本波は、表に示されるように、DC電圧によってオフセットされる(全てのオフセットが示されるわけではないが、シーケンスは、表のエントリから明白となるはずである)。方形波ACのデューティサイクル(すなわち、正電圧が印加される、正および負電圧の1サイクルの時間の割合)は、表に示されるように変動される。全体的試験は、基本波形の3回の反復から成り、毎回、「高Vオフセット」、「中Vオフセット」、および「低Vオフセット」と示されるように、異なる電圧オフセットシーケンスを伴う。したがって、例えば、初期「高Vオフセット」は、−15Vである。方形波ACの大きさは、「高Vオフセット」シーケンスに対して+/−30Vであって、「中Vオフセット」シーケンスに対して+/−20Vであって、「低Vオフセット」シーケンスに対して「+/−10Vである。
【0201】
【表6】
【0202】
反射スペクトルが、セルが電気的に駆動されるにつれて取得された。これらは、波形が印加されるにつれてセルから反射された光のCIEL
*、a
*およびb
*値を計算するために使用された。スペクトルサンプル毎に、8つのSNAP原色のそれぞれからのセルの色のL
*a
*b
*空間内の距離が、ΔE*の単位で計算された。試験される電気泳動流体毎に、SNAP原色から表示される色の最小距離が、記録された。すなわち、本距離が短いほど、電気泳動流体の性能がSNAP標的に近づく。
【0203】
試験された6つの流体に関する本査定の結果は、表7に示される。上記の表2に示されるように、粒子Y1、Y2、Y3、およびM1は、最小限のポリマーシェルを有する、または全く有していない一方、粒子W1、W2、M2、およびC1は、実質的ポリマーシェルを有する。粒子W1は、粒子W2より低いゼータ電位を有する。
【0204】
【表7】
【0205】
表7では、より良好な結果は、SNAP標的までの最接近がより少ない数である(すなわち、標的までの距離がより短い−理想的には、ゼロとなるであろう)ときに得られる。最良調合物は、タイプ3および4(黄およびマゼンタ)の粒子のそれぞれが最小限のポリマーシェルを有するものであることが分かる。流体ivでは、黄粒子が、実質的ポリマーシェルを有する一方、流体viでは、マゼンタ粒子が、実質的ポリマーシェルを有する。これらの流体のそれぞれにおいて、標的までの最接近の平均距離は、流体i、ii、およびiii(約8)等の本発明の流体を上回る(約13.5)。流体vもまた、対照より不良に機能する。すなわち、本流体では、白顔料(タイプ1粒子)は、流体i、ii、およびiiiにおいてより高いゼータ電位を有し、したがって、シアン顔料(タイプ2粒子)とより強く相互作用することが予期され、これは、本発明では、好ましくない。
【0206】
(実施例13)
実施例13:前述のような第1の駆動スキームを使用した電気泳動デバイスの切替
パートA:ディスプレイデバイスの調製
透明導体(インジウムスズ酸化物、ITO)のコーティングを伴うポリ(エチレンテレフタレート)フィルム上にエンボス加工されたマイクロセルのアレイが、上記の実施例10に説明されるように調製された電気泳動流体(iii)で充填された。マイクロセルは、六角形形状であって、20マイクロメートル深度と、縁から縁まで測定された130マイクロメートル幅とを伴った。過剰電気泳動流体は、2014年10月17日に出願された米国出願第62/065,575号に説明されるように、ドクターブレードによってマイクロセルから除去され、複合ポリマーコーティングで密閉された。本アセンブリは、3μmの厚さのディスプレイデバイスを生成するために、米国特許第7,012,735号に説明されるように、ドープ熱接着剤を使用して、ITO電極とともにガラスバックプレーンに実質的にラミネートされた。
【0207】
パートB:ディスプレイデバイスの8つの原色への電気駆動
パートAに説明されるように生成されたデバイスが、表8に示されるような波形を使用して駆動された。リセット区分の2つのサブ相が存在し、すなわち、1)高アドレス指定電圧における低周波数と、2)同一電圧を伴う比較的に高周波数とを用いて駆動した。本相後、「色ライティング」相が続き、
図5−7を参照して前述のものと本質的に同じように行った。波形の本相は、示されるようなデューティサイクル(ディスプレイが電圧V1において駆動される1サイクルの時間の割合として定義される)を用いて、示される周波数において電圧V1とV2との間で交互する方形波形態を使用した。見出し「終了」の欄は、方形波ACの最終サイクルが電圧「V1」を用いたライティング後に終了するとき、エントリ「V1」を有する(すなわち、ディスプレイが電圧「V2」においてアドレス指定されたであろう部分を省略する)。見出し「終了」の欄にエントリが存在しない場合、方形波ACの最終サイクルは、他のサイクルと同一であった。
【0208】
【表8】
【0209】
表9は、試験ディスプレイが前述のように駆動された後に得られる、色を示す。全8つの原色を得ることが可能であることが分かる。しかしながら、色レンダリングの品質は、本発明の「第2の駆動スキーム」が採用されたときほど高くなかった(上記の表4参照)。
【0210】
【表9】
【0211】
(実施例14)
実施例14:タイプ2(シアン粒子)の粒子の官能化のための分散重合とシラン処理/重合の比較
パートA:ポリマーシェル中にポリ(ジメチルポリシロキサン)を含有するシアン粒子の例示的調製
500mLプラスチック瓶に、32.0g Hostaperm Blue B2G−EDS(Clariant Corporation 225226)、12.5gメタクリル酸メチル、25gモノメタクリレート終端ポリ(ジメチルポリシロキサン)(Gelest MCR−M22、分子量10,000)およびアイソパーEが添加された。瓶は、振盪され、内容物が、500mL反応器の中に傾注され、30分間、25℃で均質化された。ホモジナイザが、除去され、反応器は、窒素浸漬管、オーバーヘッド攪拌インペラ、および空気コンデンサと再組み立てされた。オーバーヘッド空気撹拌器は、400rpmに設定され、反応混合物は、1時間、65℃で窒素でパージされ、その後、浸漬管は、除去され、ロータメータ窒素レベルが設定された。小バイアル内で、0.189gの2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)が、酢酸エチル中で溶解され、注入器に添加された。バイアルは、次いで、酢酸エチルで濯がれ、同一注入器に添加された。得られたAIBN溶液は、単一添加において、反応器の中に注入され、反応混合物は、16〜24時間、加熱された。反応混合物は、次いで、1L遠心瓶の中に分注され、遠心分離された。上澄みは、傾瀉され、残りの顔料は、アイソパーEで洗浄され、再び、遠心分離された。本洗浄手技は、2回繰り返され、最終上澄みが傾瀉された後、残りの顔料は、室温で一晩、真空炉内で乾燥された。
【0212】
乾燥顔料は、音波処理および転動を使用して、アイソパーGとの30重量%混合物に分散され、結果として生じた分散体は、200μmメッシュを通して濾過され、分散体中の固体物質のパーセンテージが、測定された。
【0213】
パートB:シラン結合/重合プロセスを使用したポリマーコーティングシアン粒子の例示的調製
500mLプラスチック瓶に、45.0g Heliogen Blue D 7110 F(BASF Corporation)、濃縮水性アンモニア溶液、および水が添加された。混合物は、転動され、顔料を分散させ、次いで、ガラスビーズを使用して、磨砕された。別個に、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N’−(4−ビニルベンジル)エチレンジアミンビス−塩酸塩7.875g(United Chemical Technologiesから利用可能)、氷酢酸、および水が、ガラスバイアル中で混合され、1時間、転動(またはスピン)によって混合され、加水分解シランの溶液を形成した。シアン顔料の磨砕が、中止され、加水分解シラン溶液が、磨砕機の中に添加された。pHが、濃縮水性水酸化アンモニウム溶液を用いて約9.4に調節された。磨砕は、次いで、さらに1時間継続され、その後、ガラスビーズは、濾過によって除去され、得られたシラン官能化顔料は、遠心分離によって、濾過物から単離され、16時間、70℃で乾燥され、次いで、すり鉢とすりこぎを用いて微細な粉末に粉砕された。
【0214】
メタクリル酸ラウリル(前のステップからの乾燥顔料のグラムあたり1g)およびトルエンが、粉砕された顔料に添加され、混合物は、完全に分散されるまで、音波処理および転動の複数回のサイクルを受けた。得られた混合物は、200μmメッシュを通して、コンデンサおよび磁気撹拌を装備する丸底フラスコの中に濾過され、その後、フラスコは、窒素でパージされ、混合物は、65℃まで加熱された。酢酸エチル中AIBN(0.428g)の溶液が、次いで、滴下添加され、混合物は、17時間、65℃で加熱され、次いで、空冷され、顔料が、遠心分離によって収集された。粗製顔料が、音波処理を用いてトルエンの中に再分散され、再び、遠心分離(4500rpm、30分)によって収集され、次いで、70℃で乾燥された。乾燥顔料は、音波処理および転動を使用して、アイソパーGとの30重量%混合物に分散され、次いで、200μmメッシュを通して濾過され、分散体中の固体物質のパーセンテージが、測定された。
【0215】
表10は、上記に概略された一般的方法に従って調製された一連の顔料の特性を示す。ある場合には、界面活性剤が、重合に先立って、コア顔料粒子の分散を補助するために添加された。これは、表内に「分散助剤」として示される(PVPは、ポリ(ビニルピロリドンである)。ソルスパース8000は、Lubrizol Corporation(Wickliffe, OH)から利用可能な界面活性剤である。OLOA371は、Chevron Oronite(Bellaire, TX)から利用可能な界面活性剤である。また、ある重合には、示されるように、架橋結合剤:トリメタクリル酸トリメチロールプロパン(TMPTMA)も添加された。コア顔料である青顔料15:3および青顔料15:4は、銅フタロシアニン物質(すなわち、有機金属化合物)である。EX1456およびBL0424として示されるコア顔料は、Shepherd Color Company(Cincinnati, OH)から利用可能な無機物質である。無機物質散乱光は、実質的に、上記の調製方法Bにおいて使用されるシラン結合剤と反応するであろう官能基(例えば、金属に結合された酸素原子)を有することが予期されるであろう表面を有する。
【0216】
【表10】
【0217】
パートC:電気泳動流体の調製
電気泳動流体は、シアン粒子C2−C15を用いて調製された。シアン顔料が、その消光係数に反比例する量で電気泳動流体組成物に添加された。例示的調製は、以下に与えられる。
【0218】
実施例1において調製された黄顔料分散体(0.64g)が、実施例5において調製されたマゼンタ分散体(0.85g)と、上記の実施例10パートAにおいて調製された白分散体(4.93g)と、シアン分散体(650nmにおいて測定される消光係数2.24m2/gの顔料に対して0.47gの31.7%w/w分散体)と、ソルスパース17000(アイソパーG中0.06gの20%w/w溶液)と、分子量850,000のポリ(イソブチレン)と、付加的アイソパーGと組み合わせられた。得られた混合物は、一晩完全に混合され、約30pS/cmの伝導性を有する電気泳動流体(すなわち、移動相中に顔料を含む電気泳動組成物)を生成するために、90分間、音波処理された。
【0219】
パートD:電気光学試験
上記のパートCにおいて調製された電気泳動流体は、実施例12パートCに前述のように試験された。
図19−21は、それぞれ、アイソパーG中の電荷制御剤(4:1比率におけるソルスパース19000とソルスパース17000の混合物)およびポリマー安定化剤(ポリ(イソブチレン))とともに、異なるシアン粒子であるが、同一白、マゼンタ、および黄粒子を同一質量比で含有する、14の異なる電気泳動媒体に対する全8つの原色のSNAP標準的からの平均距離を示す。前述のように、シアン粒子は、その消光係数に反比例して装填された。3つの異なるタイプのシアン粒子、すなわち、a)上記のパートAに説明されるように、メタクリル酸メチルおよびモノメタクリレート終端ポリ(ジメチルポリシロキサン)モノマーを使用した分散重合によって官能化された物質(
図19−21における白丸によって示される粒子C2−C9)、b)シラン処理後、メタクリル酸ラウリルとの重合によって、上記のパートBに説明されるように官能化された有機金属物質(
図19−21における白正方形によって示される粒子C10−C13)およびc)シラン処理後、メタクリル酸ラウリルとの重合によって、上記のパートBに説明されるように官能化された無機物質(
図19−21における黒正方形によって示される粒子C14−C15)が、使用された。
【0220】
図19−21におけるグラフの横座標は、電荷制御剤としてのソルスパース17000を用いて測定されたシアン顔料とマゼンタ顔料との間のゼータ電位の差異である(全例におけるマゼンタ顔料は、上記の実施例5に説明されるように調製された粒子M1であった)。これらのゼータ電位は、アイソパーEまたはアイソパーG中で測定された。
図19−21のグラフでは、SNAPからの距離の値が小さいほど、より優れた色性能に対応することに留意されたい。
【0221】
図19から、有機金属コアシアン顔料が分散重合によってコーティングされたとき(方法A、白丸)、シアン色性能は、概して、シアン顔料がシラン処理/ポリ(メタクリル酸ラウリル)でコーティングされたとき(方法B、白正方形)より良好であることが分かる。本結果の正当化するものの1つは、分散重合プロセスが、有機金属コアシアン顔料(タイプ2の粒子)に対してシラン処理プロセスより効果的立体障壁を提供することである。分散剤を用いた方法Aを使用して調製された2つのシアン粒子(C8およびC9)が、分散剤を使用せずに調製された粒子より低いゼータ電位を呈し、より低い性能をもたらすことは、注目に値する。無機シアン粒子(黒正方形)は、可能性として、前述のように、シラン処理が、有機表面より無機表面に印加されるとき、より効率的であるため、はるかに高いゼータ電位を有し、良好な色結果をもたらす。しかしながら、無機コア顔料は、光を実質的に散乱させ、これらの調合物から得られる黒状態(それぞれ、C14およびC15に対するL
*34および36)は、より優れた有機金属顔料から得られる黒状態(例えば、それぞれ、C3およびC4に対するL
*28および27)よりはるかに不良であった。
【0222】
図20は、マゼンタ色に対する同一傾向を示す。上記から進歩した仮説に従って、マゼンタ色は、マゼンタ顔料が、シアン顔料(タイプ2の粒子であって、タイプ1の粒子との弱い異質凝集のみを有する)よりよりゆっくり白顔料を通して移動する(この場合、タイプ1と4の粒子間の異質凝集に起因する)ときに形成される。シラン処理は、マゼンタとシアン顔料との間の区別が殆ど明白ではないほど、有機金属コアシアン顔料に対する分散重合プロセスほどの効果的立体ポリマーシェルを提供しないと考えられる。
【0223】
図21は、シアン顔料のポリマー処理が黄色のレンダリングにほぼ差異をもたらさないことを示す。これは、前述のように、黄色の形成を媒介すると考えられる、マゼンタ顔料と黄顔料との間の相互作用の強度であるため、予想外である。