(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6501923
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】腸管洗浄用の下剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4402 20060101AFI20190408BHJP
A61K 31/047 20060101ALI20190408BHJP
A61K 31/77 20060101ALI20190408BHJP
A61P 1/10 20060101ALI20190408BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
A61K31/4402
A61K31/047
A61K31/77
A61P1/10
A61K9/08
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-565935(P2017-565935)
(86)(22)【出願日】2015年6月22日
(65)【公表番号】特表2018-519286(P2018-519286A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】KR2015006323
(87)【国際公開番号】WO2016208781
(87)【国際公開日】20161229
【審査請求日】2017年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】513202731
【氏名又は名称】シーティーシー バイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ホンリョル
(72)【発明者】
【氏名】イ ボンサン
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒュンイル
(72)【発明者】
【氏名】イ ハンソン
【審査官】
中村 浩
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/056896(WO,A1)
【文献】
特表2010−521357(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/046847(WO,A1)
【文献】
特表2014−504612(JP,A)
【文献】
特表2016−537404(JP,A)
【文献】
特表2007−512336(JP,A)
【文献】
特表2011−500711(JP,A)
【文献】
特表2014−504628(JP,A)
【文献】
Gastrointestinal Endoscopy,2015年,Vol.81, No.4,p.781-794,URL,http://dx.doi.org/10.1016/j.gie.2014.09.048
【文献】
経口腸管洗浄剤モビプレップ配合内用剤 添付文書,日本,2013年 6月,5版
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00−31/80
A61K 9/00− 9/72
A61K47/00−47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
WPIDS/CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状剤形であって、組成物100ml当たりポリエチレングリコール40〜60g、ソルビトール10〜28g及びピコ硫酸ナトリウム1〜10mgを含むことを特徴とする腸管洗浄用の下剤組成物。
【請求項2】
液状剤形であって、組成物100ml当たりポリエチレングリコール40〜60g、ソルビトール10〜28g及びビサコジル1〜15mgを含むことを特徴とする腸管洗浄用の下剤組成物。
【請求項3】
前記ポリエチレングリコールは、数平均分子量が1,000〜10,000であることを特徴とする請求項1又は2に記載の腸管洗浄用の下剤組成物。
【請求項4】
前記ポリエチレングリコールは、数平均分子量が3,000〜4,800であることを特徴とする請求項3に記載の腸管洗浄用の下剤組成物。
【請求項5】
前記組成物が、溶液剤、懸濁液剤及び乳剤のいずれかの形態で製造されることを特徴とする請求項1又は2に記載の腸管洗浄用の下剤組成物。
【請求項6】
前記組成物100〜200mLを、水300〜400mLに希釈して20〜40分内に服用し、さらに20〜40分内に水400〜600mLを飲んだ後、50〜70分経過してから同様の方法でさらに1回反復して服用することを特徴とする請求項1又は2に記載の腸管洗浄用の下剤組成物。
【請求項7】
前記組成物は、組成物1体積当り、水5〜10体積比で一緒に服用されることを特徴とする請求項1又は2に記載の腸管洗浄用の下剤組成物。
【請求項8】
前記服用される組成物と水との総体積が、3.5L以下であることを特徴とする請求項7に記載の腸管洗浄用の下剤組成物。
【請求項9】
組成物100ml当たりポリエチレングリコール40〜60g、ソルビトール10〜28g及びピコ硫酸ナトリウム1〜10mgを含むか、または組成物100ml当たりポリエチレングリコール40〜60g、ソルビトール10〜28g及びビサコジル1〜15mgを含む腸管洗浄用の液状剤形の下剤組成物と、
前記組成物1体積当り5〜10体積比の水と一緒に服用するように記載された服用説明書と、を含む腸管洗浄用の下剤製品。
【請求項10】
前記服用説明書は、前記組成物100〜200mLを水300〜400mLに希釈して20〜40分内に服用し、さらに20〜40分内に水400〜600mLを飲んだ後、50〜70分経過してから同様の方法でさらに1回反復して服用するように記載されていることを特徴とする請求項9に記載の腸管洗浄用の下剤製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腸管洗浄率に優れ、かつ服薬順応度の高い腸管洗浄用の下剤組成物及びこれを用いる腸管洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線検査、内視鏡術、放射線撮影または手術前の腸管洗浄などに際し、腸管の内部を可能な限り完全に空けることが必要である。このために、水浣腸剤(water−enemas)または多様な塩を含む高張水溶液(hypertonic aqueous solution)などを用いて腸管内部の物質を懸濁液の形態で外部へ排出する方法がよく用いられている。
【0003】
最近は、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム及び水結合ポリエチレングリコール(PEG)からなるPEG/電解質浄化組成物が最も広く用いられている。しかし、前記のようなPEG/電解質を含む腸管下剤組成物は、2〜3時間内に約4Lの溶液を飲まなければならないため(Afridi et al.,Gastrointest.Endosc.,1995,41,485−489)、多くの患者が過量の投与量による不便さ、吐き気、痙攣及び嘔吐のような副作用を経験するだけでなく(Dipalma et al.,Am.J.Gastroenterol.,2003,98,2187−2191)、塩味が強くて不快感を訴えることもある。
【0004】
また、前記4LにあたるPEG/電解質を含む腸管下剤組成物を改善するために、リン酸ナトリウム組成、クエン酸マグネシウム組成、ピコ硫酸ナトリウム組成に関する多くの研究が行われてきたが、患者の安全と服薬順応度の向上、そして腸管洗浄率を全て満すことには困難がある。
【0005】
一例で、リン酸ナトリウムに基づく腸管下剤組成物の場合、高浸透性の下剤であって、相当量の水を腸内へ流入させることで排便を促進する効果を奏する。しかし、重症の急性リン酸腎症による腎臓の永久的障害をもたらすことから長期透析が求められるなどの問題点から、患者の服薬順応度及び腸管洗浄率を満すとしても患者には使用できない高危険性の薬物である。
【0006】
また、クエン酸マグネシウム、ピコ硫酸ナトリウムの組成のような腸管下剤組成物の場合、服用量が少ないことから患者の服薬順応度が高いが、組成物自体の腸管洗浄率は既存のPEG/電解質を含む腸管下剤組成物に比べて著しく劣るという不具合がある。
【0007】
したがって、このような副作用や不快感を生じることなく、少量で十分な腸管洗浄の効果を奏する下剤の開発が要求されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、腸管洗浄率に優れ、かつ安全性などを含む服薬順応度の高い下剤を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、腸管洗浄用の下剤薬物を少量服用しても十分効果が発揮され、下剤服用時において多量の薬物を飲まなくてはならない患者の苦情を軽減させる腸管洗浄方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を達成するため、本発明は、ポリエチレングリコール、ソルビトール及びピコ硫酸ナトリウムを含む腸管洗浄用の下剤組成物、またはポリエチレングリコール、ソルビトール及びビサコジルを含む腸管洗浄用の下剤組成物を提供する。
【0011】
本発明者は、患者の安全を害することなく服薬順応度と腸管洗浄率とをともに満たす腸管洗浄用の下剤組成物を研究していた中、ポリエチレングリコールと、ソルビトールと、ピコ硫酸ナトリウムと、を特定組成比で含むか、または、ポリエチレングリコールと、ソルビトールと、ビサコジルと、を特定組成比で含む下剤の場合、患者の安全性及び服薬順応度を高めるとともに、少ない服用量でも腸管洗浄の効果に優れていることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
「下剤(purgative)」とは、排便を促進する物質を意味する。したがって、下剤は、下痢作用の範疇を含む。一例で、下剤は、大腸を完全に空けるか(「完全便通(complete purgation)」)、または、ほとんど空ける強い排便(stronger catharsis)のみならず、下痢(「部分便通(partial purgation)」)を起す軽い便通(mild catharsis)をもたらすことも含む。
【0013】
本発明の腸管洗浄用の下剤組成物は、液状組成物100ml当たり、ポリエチレングリコール40〜60gと、ソルビトール10〜28gと、ピコ硫酸ナトリウム1〜10mgと、を含むことが望ましい。また、本発明の腸管洗浄用の下剤組成物は、液状組成物100ml当たり、ポリエチレングリコール40〜60gと、ソルビトール10〜28gと、ビサコジル1〜15mgと、を含むことが望ましい。組成物100ml当たりのポリエチレングリコールが40g未満である場合は、下剤としての腸管洗浄効果が劣り、60g超過の場合は、服用量の増加によって患者の服薬順応度が劣る。組成物100ml当たりのソルビトールが10g未満である場合は、浸透圧が等張液よりも低くなり、体内に吸収される水分量によって服用量に対して下剤として作用する容量が減少し、ソルビトールが28g超過である場合は、浸透圧が等張液よりも高くて、腸管内に留まるときに体内の水分を引き込み、体内の水分バランスに影響を与える。組成物100ml当たりのピコ硫酸ナトリウムまたはビサコジルが1mg未満である場合は、下剤としての作用が僅かであり、ピコ硫酸ナトリウム10mg超過またはビサコジル15mg超過の場合は、過度な大腸刺激で腹痛をもたらす。
【0014】
前記下剤組成物に含まれるポリエチレングリコールは、数平均分子量が1,000〜10,000であるものを用いることができる。分子量が1,000未満である場合は、腸粘膜で吸収されやすくて下剤として適していない。望ましくは、ポリエチレングリコールの分子量が2,000〜6,000であるものを用いることができ、より望ましくは分子量が3,000または4,800であるものを用いることができる。
【0015】
浸透性下剤は、腸内浸透圧を増加させる役割を果たし、それによって腸内流体の滞留を促進する。前記下剤組成物に使用可能な浸透性下剤としては、クエン酸マグネシウム、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酸化マグネシウム、またはこれらの塩やグリセリン、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、糖アルコール、L−糖、ポリエチレングリコールまたはラクツロースなどが挙げられるが、ピコ硫酸ナトリウムまたはビサコジルとともに浸透性下剤としてソルビトール及びポリエチレングリコールを含むとき、腸管洗浄率及び服薬順応度が最も優秀となる。
【0016】
非浸透性下剤は、大腸粘膜で神経末端を直接的に刺激する刺激性下剤(stimulant laxatives)のみならず、胃腸管の運動性を刺激する胃腸運動促進下剤(prokinetic laxatives)を用い得る。前記下剤組成物に使用可能な非浸透性下剤としては、ミネラルオイル、アロエ、ビサコジル(bisacodyl)、ピコ硫酸ナトリウム(sodium picosulfate)、カサンスラノール(casanthranol)、カスカラ(cascara)、ひまし油、ダントロン(dantron)、デヒドロコール酸(dehydrocholic acid)、フェノールフタレイン(phenolphthalein)、センノシド(sennosides)、ドキュセート(docusate)、ベタニコール(bethanechol)、コルヒチン(colchicines)、ミソプロストール(misoprostol)、シサプリド(cisapride)、ノルシサプリド(norcisapride)、パラフィン、レイン(rhein)またはテガセロド(tegaserod)などが挙げられるが、ポリエチレングリコール及びソルビトールとともに非浸透性下剤としてピコ硫酸ナトリウム及び/またはビサコジルを含む場合、腸管洗浄率及び服薬順応度が最も優秀となる。
【0017】
前記下剤組成物の製造方法は、(S1)容器にポリエチレングリコールを入れ、精製水を適量加えて60℃に加温して溶かす段階と、(S2)浸透性下剤、非浸透性下剤及び甘味剤を入れる段階と、(S3)精製水で体積を合わせた後、80℃で完全に溶かす段階と、を含む。
【0018】
前記下剤組成物は、液状製剤として、水、プロピレングリコール溶液のような溶液剤、懸濁液剤、乳剤などの形態で製造できるが、これらに限定されない。また、前記下剤組成物は、適切な甘味剤、着色剤、着香剤、安定化剤、粘性化剤などを添加して製造し得る。
【0019】
前記下剤組成物に含まれる甘味剤は、通常の糖類であるグルコース、スクロース、デキストロース、プロクトース、マルトースのみならず、少ない量でも甘味効果と速い溶解度を示すサッカリン、サッカリンナトリウム、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、ステビオサイド、エリスリトール、アスパタム、アセスルファムカリウム、スクラロースなどを用い得るが、これらに限定されことではない。
【0020】
また、本発明の前記下剤組成物を用いて腸管を洗浄する方法を提供する。より具体的に、前記洗浄方法は、前記下剤組成物100〜200mL及び水400〜600mLを服用し、さらに20分内に水400〜600mLを飲み、同様の方法でさらに1回反復して服用することを特徴とする。望ましくは、前記下剤組成物125〜175mL及び水450〜550mLを服用し、20分内に水450〜550mLをさらに飲み、同様の方法でさらに1回反復して服用し得る。望ましくは、前記下剤組成物150mL及び水500mLを服用し、20分内に水500mLをさらに飲み、同様の方法でさらに1回反復して服用し得る。最も望ましくは、前記下剤組成物150mL及び水350mLを30分内に服用し、30分内に水500mLをさらに飲んだ後、最小1時間経過後、同様の方法でさらに1回反復して服用し得る。本発明の下剤組成物を用いた腸管の洗浄方法は、飲む水の量を約2Lに減らしても腸管洗浄効果が充分発揮される。
【0021】
本発明は、前記下剤組成物100〜200mLを水300〜400mLに希釈して20〜40分内に服用し、20〜40分内に水400〜600mLをさらに飲んだ後、50〜70分経過してから同様の方法でさらに1回反復して服用することを特徴とする腸管洗浄用の下剤組成物を提供する。
【0022】
また、本発明は、前記下剤組成物の1体積当り5〜10体積比の水と一緒に服用されることを特徴とする腸管洗浄用の下剤組成物を提供する。望ましくは、前記下剤組成物1体積当り水5.3〜8体積比で一緒に服用し、最も望ましくは、前記下剤組成物1体積当り水5.5〜6体積比で服用し得る。
【0023】
また、本発明は、前記下剤組成物と水との総体積が3.5L以下に服用されることを特徴とする腸管洗浄用の下剤組成物を提供する。望ましくは、下剤組成物と水との総体積が2.5L以下で服用し、最も望ましくは2L以下で服用し得る。
【0024】
本発明は、ポリエチレングリコール、ソルビトール及びピコ硫酸ナトリウムを含むか、またはポリエチレングリコール、ソルビトール及びビサコジルを含む腸管洗浄用の下剤組成物と、前記組成物1体積当り5〜10体積比の水と一緒に服用するように記載された服用説明書と、を含む腸管洗浄用の下剤製品を提供する。前記腸管洗浄用の下剤製品に含まれる組成物は、望ましくは、組成物1体積当り水5.3〜8体積比であり、最も望ましくは、組成物1体積当り水5.5〜6体積比である。
【0025】
前記腸管洗浄用の下剤製品に含まれる組成物は、液状剤形であって、組成物100ml当たりポリエチレングリコール40〜60g、ソルビトール10〜28g及びピコ硫酸ナトリウム1〜10mgを含むか、または、液状剤形であって、組成物100ml当たりポリエチレングリコール40〜60g、ソルビトール10〜28g及びビサコジル1〜15mgを含み得る。
【0026】
前記腸管洗浄用の下剤製品に含まれる服用説明書は、前記組成物100〜200mLを水300〜400mLに希釈して20〜40分内に服用し、さらに20〜40分内に水400〜600mLを飲んだ後、50〜70分経過してから同様の方法でさらに1回反復して服用するように記載していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の腸管洗浄用の下剤組成物は、服薬順応度が高く、かつ腸管洗浄効果に優れている。また、前記組成物は、少量の水と一緒に服用しても十分な効果を奏し、下剤の服用に際し、多量の薬物を服用しなくてはならない患者の苦情を軽減させる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】腸管洗浄用の下剤組成物(原液)100mLを、水500mLに希釈して服用し、次の服用前、水500mLをさらに飲んだ後、同様の方法で1時間おきでさらに2回反復して服用した後、内視鏡によって腸管の内部を検査した結果を示す。
【
図2】腸管洗浄用の下剤組成物(原液)100mLを服用し、水500mLを20分内に飲んだ後、次の服用前に水500mLをさらに飲んだ後、同様の方法で1時間おきでさらに2回反復した後、内視鏡によって腸管の内部を検査した結果を示す。
【
図3】腸管洗浄用の下剤組成物(原液)150mLを、水500mLに希釈して服用し、次の服用前に水500mLを飲んだ後、同様の方法で1時間おきでさらに1回反復して服用した後、内視鏡によって腸管の内部を検査した結果である。
【
図4】腸管洗浄用の下剤組成物(原液)150mLを、水350mLに希釈して30分内に服用し、さらに30分以内に水500mLを飲んだ後、最小1時間経過後、同様の方法でさらに1回反復して服用した後、内視鏡によって腸管の内部を検査した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0030】
[実施例1]
下記の表1に示している成分で腸管洗浄用の下剤組成物を製造した。適切な容器にポリエチレングリコール(数平均分子量4800)150gを入れ、精製水を適量加えて60℃に加熱して溶かした後、ソルビトール液(ソルビトール50%)60mL、ピコ硫酸ナトリウム10mg及び甘味剤を添加し、総体積が300mLになるよう精製水を添加した後、80℃で完全に溶かした。
【0032】
[実施例2]
数平均分子量が3000であるポリエチレングリコールを用いたことを除いては、前記実施例1と同一の条件で腸管洗浄用の下剤組成物を製造した。
【0033】
[実施例3]
下記の表2に示されている成分で腸管洗浄用の下剤組成物を製造した。適切な容器にポリエチレングリコール(数平均分子量4800)130gを入れ、精製水を適量加えて60℃に加熱して溶かした後、ソルビトール液(ソルビトール50%)90mL、ピコ硫酸ナトリウム10mg及び甘味剤を添加し、総体積が300mLになるよう精製水を添加した後、80℃で完全に溶かした。
【0035】
[実施例4]
下記の表3に示されている成分で腸管洗浄用の下剤組成物を製造した。適切な容器にポリエチレングリコール(数平均分子量4800)130gを入れ、精製水を適量加えて60℃に加熱して溶かした後、ソルビトール液(ソルビトール50%)90mL、ビサコジル15mg及び甘味剤を添加し、総体積が300mLになるよう精製数を添加した後、80℃で完全に溶かした。
【0037】
[実施例5]
下記の表4に示している成分で腸管洗浄用の下剤組成物を製造した。適切な容器にポリエチレングリコール(数平均分子量3350)150gを入れ、精製水を適量を加えて60℃に加熱して溶かした後、ソルビトール粉末54.6g、ピコ硫酸ナトリウム10mg及び甘味剤を添加し、総体積が300mLになるよう精製水を添加した後、80℃で完全に溶かした。
【0039】
比較例1
下記の表5に示している成分で腸管洗浄用の下剤組成物を製造した。適切な容器にポリエチレングリコール(数平均分子量3350)236gと塩化カリウム2.97g、塩化ナトリウム5.86g、炭酸水素ナトリウム6.74g、無水硫酸ナトリウム22.74gを添加し、総体積が4Lになるように精製水を添加した後、完全に溶かした。
【0041】
比較例2
下記表6に示されている成分で腸管洗浄用の下剤組成物を製造した。適切な容器にピコ硫酸ナトリウム0.01g、酸化マグネシウム3.5g、クエン酸12g、炭酸水素ナトリウム0.3g及び甘味剤を添加し、総体積が2Lになるよう精製水を添加した後、完全に溶かした。
【0043】
比較例3
注射用生理食塩水
<実験例1> 浸透圧比較
浸透圧測定機を用いて実施例1〜5及び比較例1〜3の腸管洗浄用の下剤組成物の浸透圧を測定し、下記の表7に示した。実施例1〜5は、一緒に服用する水の量を勘案して希釈して測定しており、比較例3は、体内浸透圧に類似な等張液である。また、比較例1及び比較例2は、通常使用されるポリエチレングリコール/電解質から構成された腸管洗浄用の下剤組成物またはピコ硫酸ナトリウムから構成された腸管洗浄用の下剤組成物である。
【0045】
前記表7の結果から、実施例1〜5の浸透圧は、生理食塩水である比較例3の浸透圧に類似であることを確認し、比較例2の浸透圧が最も低いことを確認した。
【0046】
比較例1は、服用量を勘案すれば、浸透圧が良好な水準であるが、多い量を服用しなくてはならない比較例1の特性上、患者の服用便宜性が最も乏しいことが分かる。また、ポリエチレングリコールは、電解質と反応しない非イオン性高分子であるため、服用時に電解質が体内に吸収される点を考慮すれば、4Lの服用量のうち実際に下剤として作用する容量はそれよりも低いと予想される。
【0047】
<実験例2>水の服用量による腸管洗浄力の比較
実施例1の組成物100mLを水500mLに希釈して服用し、次の服用前、水500mLをさらに飲んだ後、同様の方法で1時間おきでさらに2回反復して服用した後、内視鏡によって腸管の内部を検査した結果を
図1に示した。
【0048】
実施例1の組成物100mLを服用し、水500mLを20分内に飲んだ後、次の服用前、水500mLをさらに飲んだ後、同様の方法で1時間おきでさらに2回反復して服用した後、内視鏡によって腸管の内部を検査した結果を
図2に示した。
【0049】
実施例1の組成物150mLを水500mLに希釈して服用し、次の服用前、水500mLをさらに飲んだ後、同様の方法で1時間おきでさらに1回反復して服用した後、内視鏡によって腸管の内部を検査した結果を
図3に示した。
【0050】
実施例5の組成物150mLを水350mLに希釈して30分内に服用し、さらに30分内に水500mLを飲んだ後、最小1時間経過後、同様の方法でさらに1回反復して服用した後、内視鏡によって腸管の内部を検査した結果を
図4に示した。
【0051】
結果として、実施例1及び実施例5の下剤組成物を用いた腸管の洗浄方法は、総服用量を水2L、または下剤組成物を含む水2Lに減少させても、腸管洗浄力が充分優秀であることを確認した。