特許第6502012号(P6502012)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6502012透明導電性積層体、タッチパネル、および、表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502012
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】透明導電性積層体、タッチパネル、および、表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20190408BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   G06F3/041 430
   G06F3/041 440
   G06F3/041 450
   G06F3/044 128
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-241822(P2013-241822)
(22)【出願日】2013年11月22日
(65)【公開番号】特開2015-102942(P2015-102942A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年10月20日
【審判番号】不服2018-5209(P2018-5209/J1)
【審判請求日】2018年4月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】518236856
【氏名又は名称】株式会社VTSタッチセンサー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】橋田 裕功
【合議体】
【審判長】 千葉 輝久
【審判官】 山田 正文
【審判官】 稲葉 和生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−237673(JP,A)
【文献】 特開2011−221938(JP,A)
【文献】 特開2013−225266(JP,A)
【文献】 特許第4606495(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極層と、第2電極層と、前記第1電極層と前記第2電極層との間に位置する透明誘電体層とを備える透明導電性積層体であって、
前記第1電極層は、第1方向に沿って延びる複数の第1電極と、複数の第1配線とを含み、前記複数の第1配線の各々が相互に異なる前記第1電極に接続し、かつ、各第1配線に共通して基板の一側縁部に配置される単一の回路に接続するための配線であり、
前記第2電極層は、第2方向に沿って延びる複数の第2電極と、複数の第2配線とを含み、前記複数の第2配線の各々が相互に異なる前記第2電極に接続し、
前記複数の第1配線は、矩形板状を有する基板の周縁部の中で前記基板の一辺に沿った部分である前記一側縁部に設けられ、前記一側縁部には部品を配置する配線不可領域が含まれ、相互に隣合う2つの前記第1配線が1つの配線対であり、
前記複数の第1配線がつの接続要素を構成し、前2つの接続要素のうちの1つである基準接続要素と、前記2つの接続要素のうちの1つである分岐接続要素とが隣合い、前記分岐接続要素の経路が前記基準接続要素の経路から分岐し、
前記基準接続要素は、前記一側縁部において前記配線不可領域と隣合う直線形状を有した経路を通り、
前記分岐接続要素は、前記基準接続要素通る経路から離れ、前記配線不可領域を折れ線状に迂回した後前記基準接続要素が通る経路に合流する経路を有し
第1電極層および第2電極層の少なくとも一方は、前記基準接続要素と前記分岐接続要素とに跨る前記配線対における前記分岐による時定数の差を減らす補正パターンを備え、前記補正パターンは前記一側縁部に位置する
ことを特徴とする透明導電性積層体。
【請求項2】
前記基準接続要素は、複数の前記第1配線から構成され、
前記補正パターンは、前記分岐接続要素の中で前記基準接続要素に最も近い前記第1配線と、前記基準接続要素を構成する複数の前記第1配線の各々との間において、前記分岐による前記時定数の前記差を減らす
請求項1に記載の透明導電性積層体。
【請求項3】
前記補正パターンは、
前記第2電極層が備える補正用電極を含み、
前記基準接続要素を構成する前記第1配線の長さは、前記分岐接続要素を構成する前記第1配線の長さよりも短く、
前記補正用電極は、
前記透明誘電体層を挟んで前記基準接続要素と対向する領域の一部に配置され、前記補正用電極と対向する前記第1配線とは異なる電位を有する
請求項1または2に記載の透明導電性積層体。
【請求項4】
前記補正パターンは、前記第1配線の一部である異線幅部を含み、
前記異線幅部は、前記分岐による前記時定数の前記差を減らすように、前記異線幅部を含む前記第1配線のなかで前記異線幅部以外の部分と異なる線幅を有する
請求項1〜3のいずれか1つに記載の透明導電性積層体。
【請求項5】
前記補正パターンは、前記第1配線の一部である異形部を含み、
前記異形部を含む前記第1配線の延びる方向における単位長あたりにおいて、
前記異形部の有する長さは、前記分岐による前記時定数の前記差を減らすように、前記異形部以外の部分の有する長さと異なる
請求項1〜4のいずれか1つに記載の透明導電性積層体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の透明導電性積層体を備える
ことを特徴とするタッチパネル。
【請求項7】
表示パネルと、
前記表示パネルに積層されたタッチパネルと、を備える表示装置であって、
前記タッチパネルは、請求項1〜5のいずれか1つに記載の透明導電性積層体を備える
ことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、投影型静電容量方式のタッチパネルに用いられる透明導電性積層体、透明導電性積層体を備えたタッチパネル、および、タッチパネルを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投影型静電容量方式のタッチパネルでは、X方向に沿って延びる複数のドライブ電極と、X方向に対して直交するY方向に沿って延びる複数のセンシング電極とが、透明誘電体層を挟んで重ねられている。そして、相互に対向する2つの電極間の静電容量値は、タッチパネルの操作面に指等が接触するときに減少する。それゆえに、複数のドライブ電極の各々と1つのセンシング電極との間における静電容量値の減少の有無が、センシング電極ごとに検出されることによって、操作面での操作位置が検出される。
【0003】
ドライブ電極が形成されている面内において、複数のドライブ電極の各々からは配線が引き出され、これらの配線はドライブ電極の各々に信号を入力するドライブ回路に接続している。また、センシング電極が形成されている面内において、複数のセンシング電極の各々からは配線が引き出され、これらの配線はセンシング電極の各々から出力された信号が入力されるセンシング回路に接続している。これらの配線は、ドライブ電極あるいはセンシング電極が配置されている領域の外側に引き回されて、各回路に接続している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−230471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ドライブ電極が形成されている面、および、センシング電極が形成されている面にて、これらの電極が配置されている領域の外側の領域である外周領域は、タッチパネルの操作面のうち操作位置の検出対象となる領域の外側の領域と対向する領域である。通常、外周領域には、各種のセンサーやカメラ等の付属部品を配置するための領域が設けられる。そして、この付属部品を配置するための領域には、配線を形成することができない。
【0006】
図12は、配線を形成することができない領域である配線不可領域を避けた配線の配置の一例を示す図である。図12に示される例では、複数の配線100が、配線不可領域NAに経路を阻害されずに直線的に延びる接続要素110Aと、配線不可領域NAを迂回して延びる接続要素110Bとに二分されている。そのため、接続要素110Aに含まれる配線100の線長と接続要素110Bに含まれる配線100の線長とに差が生じて、配線抵抗値や配線容量値に差が生じる等、接続要素110Aに含まれる配線100と接続要素110Bに含まれる配線100との間に電気特性の差が生じる。その結果、配線不可領域NAの近傍では、相互に隣合う配線100間の時定数の差である時定数差が、接続要素110Aと接続要素110Bとの間において変わる。複数の配線100内におけるこうした局部的な時定数差の変化は、操作位置の検出精度を低下させる要因となっている。
【0007】
なお、配線不可領域NAが設けられない場合であっても、例えば、外周領域の形状や、配線とドライブ回路あるいはセンシング回路との接続位置等に起因して、複数の配線100が相互に異なる経路を通る接続要素110Aと接続要素110Bとに分けられる場合には、同様の問題が生じる。
【0008】
本開示の技術は、操作位置の検出精度の低下を抑えることの可能な透明導電性積層体、タッチパネル、および、表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する透明導電性積層体は、第1電極層と、第2電極層と、前記第1電極層と前記第2電極層との間に位置する透明誘電体層とを備える透明導電性積層体である。前記第1電極層は、第1方向に沿って延びる複数の第1電極と、複数の第1配線とを含み、前記複数の第1配線の各々が相互に異なる前記第1電極に接続する。前記第2電極層は、第2方向に沿って延びる複数の第2電極と、複数の第2配線とを含み、前記複数の第2配線の各々が相互に異なる前記第2電極に接続する。相互に隣合う2つの前記第1配線が1つの配線対であり、1以上の前記第1配線が1つの接続要素を構成し、前記複数の第1配線は、複数の前記接続要素に分けられる。そして、前記複数の接続要素のうちの1つである基準接続要素と、前記複数の接続要素のうちの1つである分岐接続要素とが隣合い、前記分岐接続要素の経路が前記基準接続要素の経路から分岐し、第1電極層および第2電極層の少なくとも一方は、前記基準接続要素と前記分岐接続要素とに跨る前記配線対における前記分岐による時定数の差を減らす補正パターンを備える。
【0010】
上記課題を解決するタッチパネルは、上記透明導電性積層体を備える。
上記課題を解決する表示装置は、表示パネルと、前記表示パネルに積層されたタッチパネルを備える表示装置であって、前記タッチパネルは、上記透明導電性積層体を備える。
【0011】
上記構成によれば、基準接続要素と分岐接続要素とに跨る配線対において、分岐による時定数の差が減るため、複数の第1配線の経路が分岐点を有する場合であっても、複数の第1配線内において局部的に時定数差に変化が生じることが抑えられる。その結果、操作位置の検出精度の低下を抑えることができる。
【0012】
上記透明導電性積層体において、前記複数の第1配線は、矩形板状を有する基板の周縁部の中で前記基板の一辺に沿った部分である一側縁部に設けられ、前記一側縁部には配線不可領域が含まれ、前記基準接続要素は、前記一側縁部において前記配線不可領域と隣合う直線形状を有した経路を通り、前記分岐接続要素は、前記基準接続要素の通る経路から前記配線不可領域を迂回した経路を通り、前記補正パターンが前記一側縁部に位置することが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、相互に隣合う第1配線の時定数の差が時定数差であり、接続要素間において時定数差に変化を生じさせる部分は、配線不可領域の近傍である。そして、こうした時定数差を減らす補正パターンと、配線不可領域とが、共通する1つの一側縁部に位置する。ここで、配線不可領域と補正パターンとが、相互に異なる側縁部に位置する構成は、配線不可領域と補正パターンとの間に配線不可領域以外の他の要素を多く含む。それゆえに、配線不可領域と補正パターンとが、相互に異なる側縁部に位置する構成は、時定数差に変化を生じさせる要因を配線不可領域以外にも含む可能性を高めるため、補正パターンの設計が容易ではない。この点において、上記構成であれば、配線不可領域の位置と、補正パターンの位置とが近いため、補正パターンの設計が容易でもある。
【0014】
上記透明導電性積層体において、前記基準接続要素は、複数の前記第1配線から構成され、前記補正パターンは、前記分岐接続要素の中で前記基準接続要素に最も近い前記第1配線と、前記基準接続要素を構成する複数の前記第1配線の各々との間において、前記分岐による時定数の差を減らすことが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、複数の第1配線内の全体において局部的に時定数差に変化が生じることが抑えられる。
上記透明導電性積層体において、前記補正パターンは、前記第2電極層が備える補正用電極を含み、前記基準接続要素を構成する前記第1配線の長さは、前記分岐接続要素を構成する前記第1配線の長さよりも短く、前記補正用電極は、前記透明誘電体層を挟んで前記基準接続要素と対向する領域の一部に配置され、前記補正用電極と対向する前記第1配線とは異なる電位を有してもよい。
【0016】
上記構成によれば、補正用電極と第1配線との間に形成される容量によって、接続要素間における第1配線の時定数の差が減らされる。
上記透明導線性積層体において、前記補正パターンは、前記第1配線の一部である異線幅部を含み、前記異線幅部は、前記分岐による前記時定数の前記差を減らすように、前記異線幅部を含む前記第1配線のなかで前記異線幅部以外の部分と異なる線幅を有してもよい。
【0017】
上記構成によれば、異線幅部における抵抗値によって分岐による時定数の差が減らされる。
上記透明導電性積層体において、前記補正パターンは、前記第1配線の一部である異形部を含み、前記異形部を含む前記第1配線の延びる方向における単位長あたりにおいて、前記異形部の有する長さは、前記分岐による前記時定数の前記差を減らすように、前記異形部以外の部分の有する長さと異なってもよい。
【0018】
上記構成によれば、異形部における抵抗値によって分岐による時定数の差が減らされる。
【発明の効果】
【0019】
本開示の技術によれば、タッチパネルの操作面における操作位置の検出精度の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の技術を具体化した第1〜第3の実施形態における透明導電性積層体、タッチパネル、および、表示装置の断面構成を示す断面図である。
図2】第1〜第3の実施形態の透明導電性積層体の平面構造を示す平面図である。
図3】第1実施形態の透明導電性積層体における配線不可領域の付近を拡大して示す平面図である。
図4】第1実施形態の透明導電性積層体における配線不可領域の付近を拡大して示す断面図である。
図5】第1実施形態の配線の等価回路を示す回路図である。
図6】第1実施形態の透明導電性積層体における配線不可領域と配線の配置例を示す図である。
図7】第1実施形態の透明導電性積層体の変形例における配線不可領域の付近を拡大して示す平面図である。
図8】第2実施形態の透明導電性積層体における配線不可領域の付近を拡大して示す平面図である。
図9】第2実施形態の透明導電性積層体の変形例における配線不可領域の付近を拡大して示す平面図である。
図10】第3の実施形態の透明導電性積層体における配線不可領域の付近を拡大して示す平面図である。
図11】第3の実施形態の透明導電性積層体の変形例における配線不可領域の付近を拡大して示す平面図である。
図12】従来の透明導電性積層体における配線不可領域の付近を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
図1図11を参照して、透明導電性積層体、タッチパネル、および、表示装置の第1実施形態について説明する。まず、図1を参照して表示装置の全体構成について説明する。なお、図1では、透明導電性積層体が備える電極および配線の数を割愛して示している。
【0022】
図1に示されるように、表示装置10は、表示パネル11と、表示パネル11の上に接着部材を介して積層されたタッチパネル12とを備えている。
タッチパネル12は、基材上に形成された複数の電極を備える透明導電性積層体13と、透明導電性積層体13に積層されてタッチパネル12の表面である操作面を構成するカバー層14とを備えている。
【0023】
透明導電性積層体13は、ドライブ基材20の上に形成されたドライブ電極層21と、センシング基材22の上に形成されたセンシング電極層23とを備えている。ドライブ基材20とセンシング基材22とは、例えば、ガラスや樹脂フィルム等から形成される。
【0024】
ドライブ電極層21は、複数のドライブ電極30と、ドライブ電極30の各々に接続された複数のドライブ配線31とを備え、センシング電極層23は、複数のセンシング電極40と、センシング電極40の各々に接続された複数のセンシング配線41とを備えている。
【0025】
ドライブ電極30とセンシング電極40とは、例えば、各基材20,22の表面に成膜された銅膜や銀膜等の金属薄膜がエッチングされることによって形成される。あるいは、ドライブ電極30とセンシング電極40とは、例えば酸化インジウムスズ(ITO)等の金属酸化物のエッチングによって形成されてもよい。
【0026】
ドライブ配線31とセンシング配線41とは、各電極30,40がエッチングによって形成される際に、金属薄膜が併せてエッチングされることによって形成されてもよいし、ドライブ電極30やセンシング電極40とは異なる金属薄膜が各基材20,22上に成膜されて、その金属薄膜がエッチングされることによって形成されてもよい。
【0027】
透明導電性積層体13は、ドライブ電極層21が形成されたドライブ基材20の上に、センシング電極層23が形成されたセンシング基材22が接着部材を介して積層されることによって形成される。なお、上記の構成に代えて、1つの基材の一方の面にドライブ電極層21が形成され、他方の面にセンシング電極層23が形成されてもよい。また、透明導電性積層体13は、上記の構成層に加えて、積層体の機械的強度を高めるための層や積層体の光学的な特性を調整するための層等の機能層を備えていてもよい。
【0028】
カバー層14は、例えば強化ガラスや合成樹脂等から形成され、接着部材を介して透明導電性積層体13に貼り付けられる。さらに、ドライブ電極30とセンシング電極40とに信号を入出力する回路等が接続されて、タッチパネル12が構成される。
【0029】
表示パネル11は、例えば液晶パネルや有機ELパネル等である。表示パネル11とタッチパネル12とが積層され、各種のセンサーやカメラ、回路等が組み付けられることによって、表示装置10が形成される。
【0030】
図2を参照して、透明導電性積層体13における各電極30,40と各配線31,41の配置について説明する。なお、図2では、各電極30,40および各配線31,41の数を割愛して示している。
【0031】
図2に示されるように、透明導電性積層体13の平面視にて、複数のドライブ電極30は、X方向に沿って延び、X方向と直交するY方向に沿って隙間をあけて並設されている。また、複数のセンシング電極40は、Y方向に沿って延び、X方向に沿って隙間をあけて並設されている。電極30,40の1つ1つは、例えば、電極30,40が金属薄膜から形成される場合には、エッチングによって形成された複数の金属線から構成される。あるいは、電極30,40がITOから形成される場合には、電極30,40の1つ1つは、例えば、長方形状や、複数のひし形が一方向に繋げられた形状に形成される。
【0032】
複数のドライブ電極30と複数のセンシング電極40とが対向している領域は、操作面での操作位置を検出可能な検出領域SAである。すなわち、ドライブ基材20上にて複数のドライブ電極30が形成されている領域、および、センシング基材22上にて複数のセンシング電極40が形成されている領域が、検出領域SAに相当する。
【0033】
ドライブ基材20上にて、複数のドライブ電極30の各々には、ドライブ配線31が接続されている。ドライブ配線31は、ドライブ電極30の一方の端部から引き出され、検出領域SAの外側の領域である外周領域OAに延設されている。同様に、センシング基材22上にて、複数のセンシング電極40の各々には、センシング配線41が接続されている。センシング配線41は、センシング電極40の一方の端部から引き出され、検出領域SAの外側の領域である外周領域OAに延設されている。ドライブ配線31とセンシング配線41との間に容量が形成されることを抑えるために、透明導電性積層体13の平面視にて、ドライブ配線31とセンシング配線41とは、重ならないことが好ましい。
【0034】
透明導電性積層体13を用いてタッチパネル12が組み立てられるときには、ドライブ配線31はドライブ回路50に接続され、センシング配線41はセンシング回路51に接続される。ドライブ回路50は、ドライブ配線31を通じて、センシング基材22の電荷を充放電させる選択信号を各ドライブ電極30に順に印加する。そして、各センシング電極40は、センシング配線41を通じて、各ドライブ電極30とそのセンシング電極40との間の静電容量の大きさに応じた検出信号をセンシング回路51に出力する。出力された検出信号に基づいて、各ドライブ電極30と各センシング電極40との間における静電容量値の減少の有無が判定されることによって、操作面での操作位置が検出される。
【0035】
ここで、ドライブ基材20、および、センシング基材22は、矩形板状を有する基板の一例であり、基板の周縁部である外周領域OAの中で、基板の一辺に沿った部分である一側縁部には、配線不可領域NAが設けられている。配線不可領域NAは、タッチパネル12あるいは表示装置10が組み立てられたとき、例えば、各種のセンサーや、カメラ、スピーカー、マイク等が配置される領域や、タッチパネル12や表示装置10の各部材を固定するためのネジが通される領域や、製造番号が付される領域等を含む。透明導電性積層体13においては、配線不可領域NAは、例えば、上述のような部品を配置するための孔として具体化される。
【0036】
以下では、図3および図4を参照し、外周領域OAにおける配線の配置の詳細について、センシング基材22上の外周領域OAに配線不可領域NAが設けられている例を挙げて説明する。
【0037】
図3に示されるように、配線不可領域NAの付近にて、センシング配線41は、配線不可領域NAに経路を阻害されず、配線不可領域NAと隣合う直線形状を有した基準接続要素42Aと、配線不可領域NAを迂回して延びる分岐接続要素42Bとに二分されている。基準接続要素42Aと分岐接続要素42Bとの延びる経路は、配線不可領域NAの手前で一旦分岐し、配線不可領域NAを越えたところで再び合流している。
【0038】
分岐接続要素42Bは、配線不可領域NAの外周に沿って、配線不可領域NAを迂回しているため、分岐接続要素42Bに含まれるセンシング配線41の長さは、基準接続要素42Aに含まれるセンシング配線41の長さよりも長い。センシング配線41の長さは、各センシング配線41が接続されているセンシング電極40の位置がセンシング回路51から離れるに連れて徐々に長くなるが、これはセンシング配線41ごとの漸次的な変化である。こうした漸次的な配線長の変化による時定数差の補正は、センシング回路51において可能である。
【0039】
これに対して、基準接続要素42Aの中で分岐接続要素42Bに最も近いセンシング配線41と、分岐接続要素42Bの中で基準接続要素42Aに最も近いセンシング配線41との間での配線長の変化は、接続要素間での変化であり、複数のセンシング配線41の中における局部的な変化である。
【0040】
詳細には、基準接続要素42Aにて配線41a,41b,41cがこの順に並び、分岐接続要素42Bにて配線41d,41e,41fがこの順に並び、配線41cと配線41dとが隣合うとき、相互に隣合うセンシング配線41の長さの差は、基準接続要素42Aと分岐接続要素42Bとの境界を形成する配線41cと配線41dとの間で急激に大きくなる。こうした局部的な配線長の変化による時定数差の変化をセンシング回路51が補正するためには、局部的な変化の要因となるセンシング配線41をセンシング回路51において個別に取扱う必要があるため、センシング回路51の設計に過大な負荷が強いられる。
【0041】
ここで、第1実施形態において、透明導電性積層体13の平面視にて、センシング配線41のうちの基準接続要素42Aと重なる領域の一部には、ドライブ基材20上に補正パターンの一例である補正用電極32が設けられている。
【0042】
図4に示されるように、補正用電極32は、ドライブ基材20上において、基準接続要素42Aと対向する領域に設けられ、分岐接続要素42Bと対向する領域には設けられていない。補正用電極32は、例えばグランド電位等、補正用電極32と対向するセンシング配線41とは異なる電位を有している。補正用電極32の電位は、補正用電極32とセンシング配線41との間に容量が形成される電位であればよい。
【0043】
図5を参照して、上述の構成がもたらす作用について説明する。
図5に示されるように、直線形状を有するドライブ配線31やセンシング配線41は、インダクタンスをほとんど有しない伝送路であって、その等価回路は、相互に異なる電位である電位V1と電位V2とを接続する抵抗Rと、抵抗Rと電位V2との間と接地電位とを接続するコンデンサCとを用いたRC回路によって表される。RC回路において、時定数τは、下式(1)に示されるように、抵抗Rの抵抗値rとコンデンサCの容量値cの積として求められる。
【0044】
τ(s)=r(Ω)×c(F)・・・(1)
センシング配線41の長さの差に起因して、基準接続要素42Aに含まれるセンシング配線41の抵抗値raは、分岐接続要素42Bに含まれるセンシング配線41の抵抗値rbよりも、全般的に小さい。詳細には、相互に隣合うセンシング配線41を1つの配線対とするとき、配線41a〜41fについて、配線対内での抵抗値の差は、基準接続要素42Aと分岐接続要素42Bとを跨ぐ配線対において急激に大きくなる。
【0045】
補正用電極32が設けられない場合、こうした抵抗値の変化に起因して、相互に隣合うセンシング配線41の時定数τの差は、配線41cと配線41dとの間で急激に大きくなる。このように、センシング配線41間における時定数τの差の変化が局部的に生じると、操作位置の算出に際して、時定数τの差による出力の差がノイズと判断されて、操作位置の検出精度が低下する。
【0046】
一方、補正用電極32が設けられることによって、基準接続要素42Aに含まれるセンシング配線41の容量値caは増加する。容量値caの増加量は、補正用電極32が設けられる領域の大きさによって調整が可能であるため、抵抗値raと抵抗値rbとの差に応じて容量値caの増加量が調整される。これによって、基準接続要素42Aと分岐接続要素42Bとを跨ぐ配線対、すなわち、配線41cと配線41dとの間において時定数τの差は小さくなる。その結果、補正用電極32が設けられていない場合と比較して、基準接続要素42Aと分岐接続要素42Bとの間において、分岐による時定数差の変化が生じ難く、それゆえに、接触位置の検出精度の低下が抑えられる。
【0047】
以上説明したように、第1実施形態では、センシング配線41が、配線不可領域NAの周囲で相互に異なる経路を通る基準接続要素42Aと分岐接続要素42Bとに分かれても、接触位置の検出精度の低下が抑えられる。従来、配線における時定数τの急激な変化を抑えるためには、すべての配線を1つの束状に揃えて配置する必要があった。この場合、配線不可領域NAを、配線の経路に影響を与えない領域にまとめて配置せざるを得ないため、配線不可領域NAの配置に関する自由度は低くなっていた。これに対し、第1実施形態では、配線の延びる経路を分岐させても接触位置の検出精度の低下が抑えられるため、配線不可領域NAの配置についての自由度が高められる。
【0048】
例えば、図6は、センシング基材22上の外周領域OAに複数の配線不可領域NAが設けられている例を示す。
図6に示される例では、センシング配線41は、配線41g,41h,41iが含まれる接続要素42Cと、配線41jが含まれる接続要素42Dと、配線41kが含まれる接続要素42Eと、配線41lが含まれる接続要素42Fとに分けられる。接続要素42C〜42Fは、1以上のセンシング配線41を含み、相互に隣合う接続要素42の延びる経路は、少なくとも1箇所の分岐点を有している。接続要素42C〜42Fの延びる経路は、配線不可領域NAの周囲で分岐と合流とを行い、配線不可領域NAを取り囲んでいる。
【0049】
相互に隣合う接続要素42の一方を基準接続要素とするとき、相互に隣合う接続要素42の他方は分岐接続要素である。基準接続要素の経路から分岐接続要素の経路が1箇所以上で分岐する構成であれば、基準接続要素の経路の形状、および、分岐接続要素の経路は限定されない。相互に隣合う接続要素42は、接続要素42C〜42Fに含まれるセンシング配線41の各々がセンシング回路51に接続される態様であれば、分岐点で分岐した後に合流しなくてもよい。
【0050】
補正用電極32は、配線不可領域NAの周囲で、相対的に配線長の短いセンシング配線41と対向している。このように、複数の配線不可領域NAがある場合、複数の補正用電極32を配置することによって、センシング配線41が、配線不可領域NAの間の領域を通るように経路が分岐された接続要素42C〜42Fに分けられても、接触位置の検出精度の低下を抑えることができる。したがって、外周領域OAにて複数の配線不可領域NAを点在させることができるため、配線不可領域NAの配置についての自由度が高められる。
【0051】
また、センシング配線41と配線不可領域NAの配置についての制約が少なくなる結果、センシング配線41と配線不可領域NAとを狭い領域に配置することも可能となるため、外周領域OAの大きさを縮小することが可能となる。その結果、操作面における操作位置の検出対象となる領域の外側の領域が縮小され、表示装置10の小型化が可能となる。また、外周領域OAの外形やドライブ回路50、センシング回路51との接続位置についての自由度も高められる。したがって、例えば、透明導電性積層体13の平面視における外径を矩形とは異なる形状に形成することができるため、表示装置10の設計についての自由度が高められる。
【0052】
なお、基準接続要素42Aに含まれる配線41a〜41cに補正用電極32の付加する容量は、補正用電極32が設けられない構成と比較して、複数のセンシング配線41において、相互に隣合うセンシング配線41の時定数差の差異が小さくなる大きさであればよい。すなわち、補正用電極32の付加する容量は、分岐によって生じる時定数差を減らす大きさであればよく、配線41a〜41cに付加される容量の大きさに応じて、補正用電極32の大きさは設定される。
【0053】
例えば、図7に示されるように、基準接続要素42Aに含まれる配線41a〜41cの各々と、補正用電極32とが対向する領域の大きさは、配線41a〜41cごとに異なってもよい。図7に示される例では、センシング配線41の延びる方向における補正用電極32の長さが徐々に変化している。そのため、配線41a、配線41b、配線41cの順に、補正用電極32と対向する領域の大きさが徐々に小さくなっている。したがって、配線41a〜41cの各々と補正用電極32との間に形成される容量の大きさは、配線41a〜41cごとに異なる。
【0054】
こうした構成によれば、各配線41a〜41cの抵抗値が、各配線41a〜41cの長さの違い等に起因して、配線41a〜41cごとに異なる場合に、各配線41a〜41cの抵抗値の違いに応じた大きさの容量を付加することもできる。
【0055】
また、付加される容量の大きさの調整に際して必要であれば、分岐接続要素42Bに含まれる配線41d〜41fと対向する領域にも、補正用電極32が設けられてもよい。
なお、上記実施形態では、センシング電極層23が第1電極層の一例であり、センシング電極40が第1電極の一例であり、センシング配線41が第1配線の一例である。そして、ドライブ電極層21が第2電極層の一例であり、ドライブ電極30が第2電極の一例であり、ドライブ配線31が第2配線の一例である。
【0056】
上記実施形態では、センシング基材22上の外周領域OAに配線不可領域NAが設けられている場合について説明したが、ドライブ基材20上の外周領域OAに配線不可領域NAが設けられている場合についても、同様の構成が適用できる。すなわち、ドライブ配線31は、相互に異なる経路を通る基準接続要素と分岐接続要素とに分けられ、基準接続要素と分岐接続要素とに含まれる複数のドライブ配線31のうち、相対的に抵抗値が小さくなるドライブ配線31と対向するセンシング基材22上の領域に、補正用電極が設けられる。この場合、ドライブ電極層21が第1電極層の一例であり、ドライブ電極30が第1電極の一例であり、ドライブ配線31が第1配線の一例である。そして、センシング電極層23が第2電極層の一例であり、センシング電極40が第2電極の一例であり、センシング配線41が第2配線の一例である。
【0057】
また、センシング基材22上とドライブ基材20上の両方の外周領域OAに配線不可領域NAが設けられている場合には、上述の構成が組み合わされればよい。この場合、第1配線に加えて、第2配線も、相互に異なる経路を通る基準接続要素と分岐接続要素とに分けられ、第1配線と第2配線との双方が補正パターンによる時定数差の補正対象となる。
【0058】
さらに、分岐接続要素の経路が基準接続要素の経路から分岐する構成であれば、配線不可領域NAが設けられない構成であってもよい。
以上説明したように、第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0059】
(1)相互に隣合う接続要素の延びる経路が分岐する場合であっても、相互に隣合う接続要素を跨ぐ配線対にて、分岐による時定数差の変化が生じることが抑えられるため、操作位置の検出精度の低下を抑えることができる。
【0060】
(2)相互に隣合う接続要素の延びる経路が分岐する場合であっても、操作位置の検出精度の低下を抑えることができるため、配線不可領域NAを点在させることが可能となる。したがって、配線不可領域NAの配置についての自由度が高められる。
【0061】
(3)配線と配線不可領域NAの配置についての制約が少なくなる結果、これらが配置される外周領域OAの大きさを縮小することが可能となり、また、外周領域OAの外形についての自由度も高められる。
【0062】
(4)補正用電極と配線との間に容量が形成されることによって、配線の時定数が補正される。したがって、時定数の補正が適切に実現される。
(第2実施形態)
図8を参照して、透明導電性積層体、タッチパネル、および、表示装置の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、時定数差を補正するための構成が第1実施形態と主に異なる。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0063】
また、以下では、センシング基材22上の外周領域OAに配線不可領域NAが設けられている例について説明する。
図8に示されるように、センシング配線41は、補正パターンの一例として、線幅がその配線の他の部分と異なる異線幅部43を備えている。基準接続要素42Aに含まれる配線41a,41b,41cの線幅は、異線幅部43において狭くなっている。一方、分岐接続要素42Bに含まれる配線41d,41e,41fの線幅は、異線幅部43にて広くなっている。センシング配線41の延びる方向において、各配線41a〜41fの異線幅部43の長さは、いずれも等しい。
【0064】
上述の構成がもたらす作用について説明する。
第1実施形態で説明したように、すべての配線41a〜41fについて、線幅が一定である場合、基準接続要素42Aに含まれるセンシング配線41の抵抗値raは、分岐接続要素42Bに含まれるセンシング配線41の抵抗値rbよりも、全般的に小さくなる。詳細には、配線41a〜41fについて、相互に隣合うセンシング配線41の抵抗値の差は、基準接続要素42Aと分岐接続要素42Bとを跨ぐ配線対において急激に大きくなる。
【0065】
これに対し、第2実施形態では、基準接続要素42Aに含まれる配線41a〜41cの線幅は部分的に狭いため、線幅が一定である場合と比較して、配線41a〜41cの抵抗値は高い。一方、分岐接続要素42Bに含まれる配線41d〜41fの線幅は部分的に広いため、線幅が一定である場合と比較して、配線41d〜41fの抵抗値は低い。配線41a〜41cの抵抗値や、配線41d〜41fの抵抗値は、異線幅部43の長さによって調整が可能である。
【0066】
したがって、異線幅部43が設けられていない場合と比較して、基準接続要素42Aと分岐接続要素42Bとを跨ぐ配線対、すなわち、配線41cと配線41dとの間において時定数τの差は小さくなる。それゆえに、基準接続要素42Aと分岐接続要素42Bとの間で、分岐による時定数差の変化が生じ難く、それゆえに、接触位置の検出精度の低下が抑えられる。
【0067】
異線幅部43が設けられることによる配線41a〜41fの抵抗値の増減量は、異線幅部43が設けられない場合と比較して、複数のセンシング配線41において、相互に隣合うセンシング配線41の時定数差の差異が小さくなる大きさであればよい。すなわち、異線幅部43による抵抗値の増減量は、分岐によって生じる時定数差を減らす大きさであればよく、配線41a〜41fの抵抗値の増減量に応じて、異線幅部43の設けられる領域の大きさは設定される。
【0068】
例えば、図9に示されるように、配線41a〜41cごとに異線幅部43の大きさは異なってもよいし、配線41d〜41fごとに異線幅部43の大きさは異なってもよい。図9に示される例では、配線41a、配線41b、配線41cの順に、異線幅部43の大きさが徐々に小さくなっている。また、配線41d、配線41e、配線41fの順に、異線幅部43の大きさが徐々に大きくなっている。したがって、配線41a〜41cにおける抵抗値の増加量は、配線41a〜41cごとに異なり、配線41d〜41fにおける抵抗値の減少量は、配線41d〜41fごとに異なる。
【0069】
こうした構成によれば、異線幅部43が設けられない場合の各配線41a〜41cの抵抗値が相互に異なる場合に、その抵抗値の違いに応じて抵抗値を増加させることができる。あるいは、異線幅部43が設けられない場合の各配線41d〜41fの抵抗値が相互に異なる場合に、その抵抗値の違いに応じて抵抗値を減少させることができる。
【0070】
また、時定数差の補正に必要とされる抵抗値によっては、基準接続要素42Aに含まれる配線41a〜41cのみに異線幅部43が設けられてもよいし、分岐接続要素42Bに含まれる配線41d〜41fのみに異線幅部43が設けられてもよい。
【0071】
また、異線幅部43の構成は、実質的に配線41a〜41fの線幅が変更される構成であればよく、例えば、配線41d〜41fでは、異線幅部43にて配線が2本に分岐することによって実質的な線幅が広くされてもよい。
【0072】
なお、上記実施形態では、センシング基材22上の外周領域OAに配線不可領域NAが設けられている場合について説明したが、ドライブ基材20上の外周領域OAに配線不可領域NAが設けられている場合には、ドライブ配線31に、他の部分と線幅の異なる異線幅部を設ければよい。また、センシング基材22上とドライブ基材20上の両方の外周領域OAに配線不可領域NAが設けられている場合には、これらの構成が組み合わされればよい。さらに、分岐接続要素の経路が基準接続要素の経路から分岐する構成であれば、配線不可領域NAが設けられない構成であってもよい。
【0073】
以上説明したように、第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(3)の効果に加えて、以下の効果が得られる。
(5)異線幅部43が設けられ、配線の抵抗値が調整されることによって、配線の時定数差が適切に補正される。また、第1実施形態と比較して、検出領域SAにおける容量値が、外周領域OAに形成される容量値によって変わることが抑えられる。また、配線の抵抗値は、容量値よりも計算や測定が容易であるため、時定数差の補正が容易でもある。
【0074】
(第3の実施形態)
図10を参照して、透明導電性積層体、タッチパネル、および、表示装置の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、時定数差を補正するための構成が第1実施形態と主に異なる。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0075】
また、以下では、センシング基材22上の外周領域OAに配線不可領域NAが設けられている例について説明する。
図10に示されるように、基準接続要素42Aに含まれる配線41a,41b,41cは、補正パターンの一例である異形部44を備えている。異形部44では、配線41a〜41cが、配線41a〜41cと直交する方向に複数回折れ曲がった九十九折状を有している。配線41a〜41cの折れ曲がる部分において、配線41a〜41cは、その延びる方向を直角に変えている。配線41a〜41cの延びる方向における単位長あたりにおいて、異形部44の有する長さは、異形部44を含むセンシング配線41のなかの異形部44以外の部分の有する長さよりも長い。これによって、配線41a〜41cが単に直進する場合と比較して、配線41a〜41cの線長は増加している。すなわち、異形部44が設けられた配線41a〜配線41cの長さは、これらの配線41a〜41cが含まれる基準接続要素42Aの延びる経路の長さよりも長い。
【0076】
上述の構成がもたらす作用について説明する。
第1実施形態で説明したように、異形部44が設けられない場合、基準接続要素42Aに含まれるセンシング配線41の抵抗値raは、分岐接続要素42Bに含まれるセンシング配線41の抵抗値rbよりも、全般的に小さい。詳細には、配線41a〜41fについて、相互に隣合うセンシング配線41の抵抗値の差は、基準接続要素42Aと分岐接続要素42Bとを跨ぐ配線対で急激に大きくなる。
【0077】
これに対し、第3の実施形態では、異形部44が設けられることによって、基準接続要素42Aに含まれる配線41a〜41cの線長が増加しているため、配線41a〜41cの抵抗値は増加する。配線41a〜41cの抵抗値の増加量は、異形部44にて付加される配線の長さによって調整が可能である。
【0078】
したがって、異形部44が設けられていない場合と比較して、基準接続要素42Aと分岐接続要素42Bとを跨ぐ配線対、すなわち、配線41cと配線41dとの間において時定数τの差は小さくなる。それゆえに、基準接続要素42Aと分岐接続要素42Bとの間で、分岐による時定数差の変化が生じ難く、それゆえに、接触位置の検出精度の低下が抑えられる。
【0079】
異形部44が設けられることによる配線41a〜41cの抵抗値の増加量は、異形部44が設けられない場合と比較して、複数のセンシング配線41において、相互に隣合うセンシング配線41の時定数差の差異が小さくなる大きさであればよい。すなわち、異形部44による抵抗値の増加量は、分岐によって生じる時定数差を減らす大きさであればよい。配線41a〜41cの抵抗値の増加量に応じて、異形部44にて付加される配線の長さが設定され、これに基づいて異形部44の設けられる領域の大きさは設定される。
【0080】
例えば、図11に示されるように、配線41a〜41cごとに、異形部44にて付加される配線の長さは異なってもよい。図11に示される例では、配線41a、配線41b、配線41cの順に、異形部44にて配線が折れ曲がる回数が少なくなり、付加される配線の長さが小さくなっている。したがって、配線41a〜41cにおける抵抗値の増加量は、配線41a〜41cごとに異なる。
【0081】
こうした構成によれば、異形部44が設けられない場合の各配線41a〜41cの抵抗値が相互に異なる場合に、その抵抗値の違いに応じて抵抗値を増加させることができる。
なお、異形部44の形状は、上述の形状に限られず、例えば、曲線状に折れ曲がる形状や、配線の延びる方向に複数回折れ曲がる形状であってもよい。要は、異形部44の占める領域の両端を直線状に結ぶよりも、センシング配線41の長さが長くなる形状に、異形部44が形成されていればよい。ただし、異形部44の形状が、センシング配線41が直角に折れ曲がることを繰り返す形状であると、センシング配線41が斜めに延びる形状や曲線から構成される形状と比較して、センシング配線41の加工精度が高い。
【0082】
なお、上記実施形態では、センシング基材22上の外周領域OAに配線不可領域NAが設けられている場合について説明したが、ドライブ基材20上の外周領域OAに配線不可領域NAが設けられている場合には、ドライブ配線31に、線長を増加させる異形部を設ければよい。また、センシング基材22上とドライブ基材20上の両方の外周領域OAに配線不可領域NAが設けられている場合には、これらの構成が組み合わされればよい。さらに、分岐接続要素の経路が基準接続要素の経路から分岐する構成であれば、配線不可領域NAが設けられない構成であってもよい。
【0083】
以上説明したように、第3の実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(3)の効果に加えて、以下の効果が得られる。
(6)異形部44が設けられ、配線の抵抗値が調整されることによって、配線の時定数が補正される。したがって、時定数の補正が適切に実現される。配線の線長の付加によって時定数を補正する場合、例えば、相互に隣合う接続要素の経路の長さの差を、異形部44にて付加される配線の長さとすればよく、第2実施形態の異線幅部43の幅や長さの設定と比較して、異形部44の長さの設定にかかる負担は少ない。そのため、容易に時定数の補正を行うことができる。
【0084】
(変形例)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・第1〜第3の実施形態が組み合わされてもよい。すなわち、透明導電性積層体13が、補正パターンとして、補正用電極32と異線幅部43と異形部44のうちのいずれか2つ以上を備えていてもよい。
【0085】
・上記各実施形態において、補正用電極32、異線幅部43、異形部44の少なくとも1つは、基準接続要素と分岐接続要素とを跨ぐ配線対においてのみ、分岐による時定数差を減らす構成であってもよい。例えば、補正用電極32は、配線41cのみと対向する形状を有してもよいし、配線41bおよび配線41cのみと対向する形状を有してもよい。こうした構成であっても、基準接続要素と分岐接続要素とに跨る配線対において分岐による時定数差が減るため、この配線対に起因した操作位置の検出精度の低下は抑えられる。
【0086】
・上記各実施形態では、補正パターンを、配線不可領域NAの付近に設けたが、時定数を補正する配線の経路上であれば、補正パターンの設けられる位置は限定されない。
例えば、外周領域OA上にて配線の密集度の低い領域や、配線の配置されていない隙間がある領域に補正パターンを設ければ、外周領域OA上の領域を有効に活用できる。
【0087】
また、ドライブ配線31の時定数差を補正する補正パターンが、外周領域OAのうち、ドライブ回路50が配置される辺と同一の辺に沿った領域に配置され、センシング配線41の時定数差を補正する補正パターンが、外周領域OAのうち、センシング回路51が配置される辺と同一の辺に沿った領域に配置されてもよい。こうした構成であれば、外周領域OAに配置される構成要素が1つの側縁部にまとめられる。したがって、外周領域OAの不要な拡大を抑えることができる。
【0088】
また、配線不可領域NAの付近に補正パターンを設ければ、時定数差の局部的な変化の要因となる箇所に近い位置で、回路に入出力される信号が補正されるため、接続要素の通る経路が配線不可領域NAで分岐することによる影響が広い領域に及ぶことが抑えられる。
【0089】
また、複数のドライブ配線31における局部的な時定数差の変化を抑える補正パターンが、検出領域SAの付近に設けられる構成によれば、補正直後の信号がドライブ電極30に入力される。また、複数のセンシング配線41における局部的な時定数差の変化を抑える補正パターンが、センシング回路51の付近に設けられる構成によれば、補正直後の信号がセンシング回路51に入力される。したがって、補正直後の信号が信号の入力先に入力されるため、信号変化の遅延による検出誤差がさらに抑えられる。
【符号の説明】
【0090】
10…表示装置、11…表示パネル、12…タッチパネル、13…透明導電性積層体、20…ドライブ基材、21…ドライブ電極層、22…センシング基材、23…センシング電極層、30…ドライブ電極、31…ドライブ配線、32…補正用電極、40…センシング電極、41,41a〜41l…センシング配線、42,42A〜42F…接続要素、43…異線幅部、44…異形部、50…ドライブ回路、51…センシング回路、SA…検出領域、OA…外周領域、NA…配線不可領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12