【文献】
小林憲弘,作業者の動作予測と予測の信頼度を考慮したパワーアシスト制御方法に関する研究,博士論文,日本,北海道大学,2016年,DOI:10.14943/doctoral.k12198
【文献】
伊藤隆洋,向山将行,鈴木達也,稲垣伸吉,“電動搬送機における自律/アシスト切り替え制御計の設計”,電気学会研究会資料.IIC,産業計測制御研究会,日本,電気学会,2008年 3月11日,pp.43-48
【文献】
佐川克雄,中嶋勝也,平野聡,大高理秀,“パワーアシスト積載運搬台車の研究開発”,茨城県工業技術センター研究報告,日本,茨城県工業技術センター,1999年10月,27号,pp.28-29,ISSN:0912-9936
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明によるパワーアシスト台車について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態によるパワーアシスト台車は、障害物が検知された場合に、障害物に近づく方向のアシスト力を低減するが、台車の旋回方向のアシスト力は低減しないことによって、ユーザが台車を容易に旋回できるようにして、障害物を回避できるようにするものである。
【0011】
図1Aは、本実施の形態によるパワーアシスト台車1を示す外観図であり、
図1Bは、パワーアシスト台車1の底面図であり、
図2は、パワーアシスト台車1の制御関係の構成を示すブロック図である。本実施の形態によるパワーアシスト台車1は、台車2と、操作力取得部11と、モータ12a,12dと、センサ13a,13bと、制御部14とを備える。台車2は、操作用ハンドル21と、車輪22a〜22dと、荷台23とを有する。なお、モータ12a,12dを特に区別しない場合には、モータ12と呼ぶものとする。また、センサ13a,13bを特に区別しない場合には、センサ13と呼ぶものとする。また、制御部14等の制御に関する構成は、台車2の裏面側に存在してもよい。
【0012】
操作用ハンドル21は、台車2を操作する際にユーザが把持するハンドルである。操作用ハンドル21は、通常、荷台23の長さ方向の一端に設けられているが、そうでなくてもよい。また、
図1A,
図1Bでは、台車2が4個の車輪22a〜22dを有する場合について示しているが、台車2は2個以上の車輪を有していればよく、その個数は問わない。なお、車輪22a〜22dのそれぞれを特に区別しない場合には、車輪22と呼ぶものとする。車輪22は、旋回可能な自在車輪(操舵車輪)であってもよく、旋回できない固定車輪であってもよい。
図1A,
図1Bで示される台車2では、車輪22a,22dが固定車輪であり、車輪22b,22cが自在車輪であるとする。以下、自在車輪22b,22cが固定車輪22a,22dと同じ向き(角度)である場合に台車2が移動可能な方向を前後方向と呼び、それに直角な方向(水平面内の方向)を左右方向と呼ぶことがある。また、台車2は、
図1Aで示されるように、オープンな荷台23を有していてもよく、または、壁などで囲われた荷台を有していてもよい。後者の場合として、例えば、配膳車などの運搬用台車を挙げることができる。また、車輪22は、オムニホイールであってもよい。
【0013】
操作力取得部11は、操作用ハンドル21に加えられた操作力を取得する。操作力取得部11は、例えば
図1Aで示されるように、操作用ハンドル21の荷台23への連結部に設けられていてもよい。その操作力取得部11は、操作用ハンドル21の第1の連結部において、左右方向と前後方向の操作力をそれぞれ検出する歪ゲージと、操作用ハンドル21の第2の連結部において、左右方向と前後方向の操作力をそれぞれ検出する歪ゲージとから構成されてもよい。その場合には、操作力取得部11は、合計4方向の操作力を検出することになる。その各操作力をF1〜F4とする。なお、操作力取得部11が取得する操作力の個数は、台車2の自由度以上であることが好適であるが、そうでなくてもよい。また、台車2の自由度以上の個数のモータ12が存在する場合には、そのモータ12の個数以上の操作力が取得されてもよく、または、そうでなくてもよい。例えば、
図1Aで示される台車の自由度は2であり、モータ12の個数は2個であるため、2個以上の操作力が取得されることが好適である。また、操作力取得部11が操作力を取得する方法は問わない。歪ゲージ等の力を検出するセンサを用いて操作力を取得してもよく、外乱オブザーバによって操作力を取得してもよい。外乱オブザーバを用いる場合には、外乱に応じた力を操作力として取得することになる。また、操作力取得部11が取得する操作力は、厳密な意味での力であってもよく、または、力と相関のある値であってもよい。後述する説明から明らかなように、操作力の値そのものが重要なのではなく、操作力に応じてどれだけのアシストを行うかが重要だからである。なお、力と相関のある値である操作力は、例えば、歪ゲージによって取得される歪量や、抵抗の変化量などであってもよい。また、操作用ハンドル21に加えられた操作力を取得する方法は、歪ゲージを用いた方法に限定されないことは言うまでもない。例えば、力覚センサを用いて操作力が取得されてもよく、上記特許文献1に記載された力検出器等の各種のセンサを用いて操作力が取得されてもよい。
【0014】
モータ12は、台車2の車輪22を駆動する。なお、本実施の形態では、モータ12が2個である場合について説明するが、モータ12の個数は2個以上であってもよい。したがって、その2個以上のモータ12によって駆動される車輪22の個数も2個以上である。モータ12による駆動対象となるのは、台車2が有する車輪22のすべてであってもよく、または一部であってもよい。また、1個のモータ12によって2個以上の車輪22が駆動されてもよく、または、1個のモータ12によって1個の車輪22が駆動されてもよい。本実施の形態によるパワーアシスト台車1では、2個のモータ12a,12dを備えており、それぞれ固定車輪22a,22dを独立して駆動するものとする。なお、モータ12の個数は、台車2の自由度以上であることが好適であるが、そうでなくてもよい。
【0015】
センサ13は、障害物までの距離を取得する。センサ13は、非接触型の距離センサであってもよい。その距離センサは、例えば、超音波式のものであってもよく、レーザ式のものであってもよく、または、その他の方式のものであってもよい。また、そのセンサ13は、画像処理によって距離を測定するものであってもよい。画像処理による距離の測定は、例えば、ステレオ画像を用いた距離の測定であってもよく、その他の方式による距離の測定であってもよい。また、障害物とは、センサ13が距離を測定する方向に存在する物であり、例えば、壁などであってもよく、道路や廊下に置かれた物体であってもよく、人や動物等であってもよい。また、センサ13の個数は問わない。例えば、パワーアシスト台車1が有するセンサ13の個数は、
図1Aで示されるように2個であってもよく、1個であってもよく、または、3個以上であってもよい。センサ13は、通常、
図1Aで示されるように、台車2の進行方向(推進方向)の前方において、障害物までの距離を測定することが好適である。なお、センサ13によって測定された障害物までの距離が、あらかじめ決められた閾値以下となった場合に、障害物が検知されたとしてもよい。センサ13が複数存在する場合には、いずれかのセンサ13によって測定された距離が閾値以下となった場合に、障害物が検知されたと考えてもよい。その閾値は、例えば、1メートルや2メートル、70センチメートル等であってもよい。また、センサ13が取得する距離は、障害物までの距離を示す長さであってもよく、または、その距離が閾値より長いかどうかを示す二値であってもよい。後者の場合、すなわち、センサ13が二値の近接センサである場合については後述する。
【0016】
制御部14は、操作力取得部11が取得した操作力に応じて2個以上のモータ12を制御する。本実施の形態では、制御部14は、2個のモータ12a,12dを制御するものとする。その制御は、例えば、モータ12が指令値に応じた動作を行うように制御することであってもよい。その制御は、例えば、PID制御やPI制御等のフィードバック制御であってもよく、または、そうでなくてもよい。前者の場合には、制御部14は、例えば、モータ12の現在電流値が、トルク指令値に応じた値となるようにフィードバック制御してもよい。後者の場合には、制御部14は、例えば、トルク指令値に応じた電流がモータ12に流れるように制御してもよい。なお、障害物が検知された状態のことを障害物検知モードと呼び、障害物が検知されていない状態のことを通常モードと呼ぶことにする。障害物検知モードでは、例えば、いずれかのセンサ13によって測定された距離が閾値以下となっていてもよい。制御部14は、通常モードと、障害物検知モードとにおいて、異なる制御を行うものとする。
【0017】
通常モードにおいては、制御部14は、従来のパワーアシスト台車と同様に、操作力に応じてモータ12を制御する。その制御は、例えば、上記特許文献2で示されるように、操作力のうち、推進方向(前後方向)については、その推進方向の力が大きいほど、推進方向のトルクが大きくなるように制御し、旋回方向については、その旋回方向の力が大きいほど、旋回方向のトルクが大きくなるように制御することであってもよい。この通常モードにおける制御は、パワーアシスト台車の制御方法としてすでに公知であり(例えば、特開平8−282498号公報等を参照されたい)、その詳細な説明を省略する。
【0018】
障害物検知モードにおいては、制御部14は、台車2が障害物に近づく方向のモータ12のトルクを低減し、台車2の旋回方向のモータ12のトルクを低減しないように制御する。台車2が障害物に近づく方向は、例えば、センサ13によって取得された距離が短くなる方向であってもよい。そのセンサ13によって台車2の前方の距離を測定している場合には、台車2が障害物に近づく方向は、例えば、台車2の前進方向(推進方向)であってもよい。また、モータ12のトルクを低減するように制御するとは、通常モード時と比較して低減することであってもよい。また、トルクを低減するとは、トルクの絶対値が小さくなるようにすることであると考えてもよい。ここで、そのようにトルクを制御する方法について、具体的に説明する。障害物が検知されていない通常モードにおけるモータ12a,12dのトルクがそれぞれτ
a,τ
dであったとする。なお、τ
a,τ
dは共に、正の値である場合に、台車2が前進方向に加速されるものとする。障害物検知モードにおいては、制御部14は、モータ12a,12dのトルクであるτ
aobs,τ
dobsを、次のようにして算出する。
【0019】
(1)τ
a<0、かつ、τ
d<0である場合
この場合には、制御部14は、τ
aobs,τ
dobsを次のようにする。この場合には、各モータ12にブレーキ方向の力がかかっていることになるため、結果として、台車2が障害物に近づく方向のトルクは各モータ12に働いていないことになり、通常、衝突が回避されることになる。
τ
aobs=τ
a
τ
dobs=τ
d
【0020】
(2)それ以外の場合
この場合には、制御部14は、τ
aobs,τ
dobsを次のようにする。
τ
aobs=L×τ
f/L
max+τ
θ
τ
dobs=L×τ
f/L
max−τ
θ
なお、Lは、センサ13によって取得された障害物までの距離(複数の距離が存在する場合には、その最小値であってもよい)であり、L
maxは、障害物までの距離の最大値、すなわち、障害物の検知の際に用いられる閾値であり、τ
f,τ
θは、次式の通りである。すなわち、τ
fは、前進方向に応じたトルクであり、τ
θは、旋回方向に応じたトルクである。
τ
f=(τ
a+τ
d)/2
τ
θ=(τ
a−τ
d)/2
【0021】
したがって、上述のように制御された場合には、前進方向のトルクについては、L/L
max(<1)倍となるように低減されているのに対して、旋回方向のトルクについては、1倍であり、低減されていないことになる。なお、障害物検知モードにおいて、旋回方向のトルクは低減されなければよいため、増加されてもよいが、通常は、低減も増加もされないことが好適である。
【0022】
なお、上記説明では、台車2から障害物までの距離Lが短いほど、台車2が障害物に近づく方向のモータ12のトルクがより小さくなるように制御される場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、上記式において、L/L
maxに代えて、1未満の定数を用いるようにしてもよい。その定数は、1より小さいことが好適であり、例えば、1/2等であってもよい。また、そのような制御を行う場合には、センサ13は、障害物の有無を判断するだけのセンサ(二値の判断結果を出力するセンサ)であってもよい。そのようなセンサ13は、二値の近接センサであってもよい。
【0023】
また、上記説明では、τ
a<0、かつ、τ
d<0である場合には、台車2が障害物に近づく方向のモータ12のトルクは存在しないため、そのトルクを低減しないとしたが、そうでなくてもよい。τ
a<0、かつ、τ
d<0であっても、(2)の場合と同様に制御してもよい。また、障害物検知モードにおいて、結果として、台車2が障害物に近づく方向のモータ12のトルクが低減され、台車2の旋回方向のモータ12のトルクが低減されないのであれば、その制御方法は、上述した具体的な式に応じた制御方法と異なっていてもよい。
【0024】
次に、パワーアシスト台車1の動作について
図3のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)センサ13は、距離を取得するかどうか判断する。そして、距離を取得する場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、ステップS108に進む。センサ13は、例えば、距離を取得すると定期的に判断してもよい。
【0025】
(ステップS102)センサ13は、距離の測定を行う。
【0026】
(ステップS103)制御部14は、障害物が検知されたかどうか判断する。すなわち、測定された距離に閾値以下のものが存在するかどうか判断する。そして、測定された距離に閾値以下のものが存在した場合には、障害物が検知されたとしてステップS104に進み、そうでない場合には、ステップS106に進む。
【0027】
(ステップS104)制御部14は、その時点のモードが障害物検知モードであるかどうか判断する。そして、障害物検知モードである場合には、ステップS101に戻り、通常モードである場合には、ステップS105に進む。
【0028】
(ステップS105)制御部14は、現在のモードを障害物検知モードに設定する。そして、ステップS101に戻る。
【0029】
(ステップS106)制御部14は、その時点のモードが通常モードであるかどうか判断する。そして、通常モードである場合には、ステップS101に戻り、そうでない場合には、ステップS107に進む。
【0030】
(ステップS107)制御部14は、現在のモードを通常モードに設定する。そして、ステップS101に戻る。
【0031】
(ステップS108)操作力取得部11は、操作力を取得するかどうか判断する。そして、操作力を取得する場合には、ステップS109に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。操作力取得部11は、例えば、操作力を取得すると定期的に判断してもよい。
【0032】
(ステップS109)操作力取得部11は、ユーザが操作用ハンドル21に加えた操作力を取得する。その操作力は、例えば、F1,F2,F3,F4であってもよい。
【0033】
(ステップS110)制御部14は、その時点のモードが通常モードであるかどうか判断する。そして、通常モードである場合には、ステップS111に進み、そうでない場合には、ステップS112に進む。
【0034】
(ステップS111)制御部14は、上述の通常モードの場合のようにモータ12a,12dのそれぞれのトルク指令値τ
a,τ
dを算出し、各モータ12a,12dのトルクがそのトルク指令値となるように制御する。そして、ステップS101に戻る。
【0035】
(ステップS112)制御部14は、上述の障害物検知モードの場合のようにモータ12a,12dのそれぞれのトルク指令値τ
aobs,τ
dobsを算出し、各モータ12a,12dのトルクがそのトルク指令値となるように制御する。そして、ステップS101に戻る。
なお、
図3のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0036】
次に、本実施の形態によるパワーアシスト台車1の動作について、具体例を用いて説明する。ユーザがパワーアシスト台車1を操作している場合であって、障害物が検知されていない場合には、操作力に応じたアシストがなされることになり(ステップS108〜S111)、ユーザは、軽い力で台車2を操作することができることになる。
【0037】
次に、ユーザが、L字型に曲がった狭い通路においてパワーアシスト台車1を操作していたとする。そして、そのL字の曲がり角に近づくと、前方の壁面が障害物として検出され、障害物検知モードとなる(ステップS101〜S105)。その結果、その壁面に近づく向きのアシスト力が制限されることになるが、旋回方向のアシスト力は制限されないことになる(ステップS108〜S110,S112)。壁面に近づく向きのアシスト力が制限されることによって、台車2が壁面に衝突することを防止できる。また、旋回方向のアシスト力は制限されないことによって、ユーザは、その狭い曲がり角において、台車2を軽い力で旋回させることができ、閉所でも小回りが利くアシストを実現できる。また、その旋回に応じて、センサ13によって取得される距離が長くなり、閾値以上になったとすると、通常モードに切り替わる(ステップS101〜S103,S106,S107)。その結果、進行方向のアシスト力も通常通りとなるため、ユーザは再度、軽い操作力によって台車2を進行方向に進ませることができるようになる(ステップS108〜S111)。
【0038】
以上のように、本実施の形態によるパワーアシスト台車1によれば、障害物が検知された場合に、障害物に近づく方向のアシスト力が低減されるため、障害物により近づきにくくなる。特に、台車2から障害物までの距離が短いほど、台車2が障害物に近づく方向のモータ12のトルクがより小さくなるように制御されることによって、台車2が障害物に近づく可能性をより低減させることができる。一方、障害物が検知された場合であっても、旋回方向のトルクは低減されないため、ユーザは、台車2を旋回させることによって容易に障害物を回避できることになる。通常、障害物を回避する際には台車2を旋回させることが多いと考えられるため、このような制御を行うは、障害物の回避を助けることになる。また、そのように台車2を旋回させることによって、障害物までの距離が長くなり、障害物が検知されなくなると、上述の具体例の場合のように、通常モードに戻って通常の操作を行うことができるようになる。また、障害物の回避方向に一律に駆動力が働くようなことはないため、ユーザは、障害物を回避するために、自らの意図している方向に台車2を旋回させたり、移動させたりすることができる。また、パワーアシスト台車1を閉所にて操作する際には、障害物検知モードとなることが多いと考えられるが、そのような場合であっても、旋回方向のトルクは低減されないことにより、閉所での動作性は確保されることになる。
【0039】
なお、本実施の形態では、台車2が
図1Aで示されるオープンな荷台23を有している場合について主に説明したが、そうでなくてもよいことは上述の通りである。例えば、
図4で示されるように、台車2は、配膳車などの運搬用台車であってもよい。また、操作力取得部11も、操作用ハンドル21に加えられた操作力を結果として取得できるのであれば、上述した以外のものであってもよい。例えば、
図4で示されるように、操作力取得部11は、操作用ハンドル21の基部に設けられていてもよい。その操作力取得部11は、例えば、6軸の力覚センサであってもよい。
【0040】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、または、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0041】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、または長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、または、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、または、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0042】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、または、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0043】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、または、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現されうる。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。また、そのプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。また、そのプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、または分散処理を行ってもよい。
【0044】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。