特許第6502118号(P6502118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502118
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】操作/表示パネル用の合成樹脂成形品
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20190408BHJP
   B32B 3/14 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   B29C45/14
   B32B3/14
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-29207(P2015-29207)
(22)【出願日】2015年2月18日
(65)【公開番号】特開2016-150515(P2016-150515A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2018年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】392010267
【氏名又は名称】株式会社サカイヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100121762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 直人
(74)【代理人】
【識別番号】100126767
【弁理士】
【氏名又は名称】白銀 博
(72)【発明者】
【氏名】杉野 勝
【審査官】 中山 基志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−138281(JP,A)
【文献】 特開昭63−137017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C45/00−45/84
G09G3/20
B60R16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓部を構成し、エラストマー樹脂以外の熱可塑性樹脂からなる第1の合成樹脂シートと、
窓枠部を構成し、熱可塑性のエラストマー樹脂からなる第2の合成樹脂シートと、
第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートの裏面側に配置され、第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートに一体化された射出成型樹脂とから成り、
第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートの接合部は、第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートが部分的に重ね合わされていることを特徴とする操作/表示パネル用の合成樹脂成型品。
【請求項2】
請求項1に記載された合成樹脂成型品において、前記第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートが重ね合わされた位置には、ベゼルが配置されていることを特徴とする操作/表示パネル用の合成樹脂成型品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された合成樹脂成型品において、前記第1の合成樹脂シートの表面又は裏面であって、少なくとも第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートが重ね合わされる領域には、光不透過性の印刷層が設けられていることを特徴とする操作/表示パネル用の合成樹脂成型品。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかに記載された合成樹脂成型品において、前記第2の合成樹脂シートの表面の一部または全面に、エンボス加工が施されていることを特徴とする操作/表示パネル用の合成樹脂成型品。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれかに記載された合成樹脂成型品において、前記第1の合成樹脂シートの表面側には少なくともハードコート処理され、耐指紋性コート処理され、あるいはアンチグレア加工フィルム添付のいずれかがされていることを特徴とする操作/表示パネル用の合成樹脂成型品。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれかに記載された合成樹脂成型品において、前記第2の合成樹脂シートに替えて、2層構造を有し、表面側は熱可塑性のエラストマー樹脂層からなり、裏面側はエラストマー樹脂以外の熱可塑性樹脂層から構成されている第2の合成樹脂シートを備えていることを特徴とする操作/表示パネル用の合成樹脂成型品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、意匠性と機能性を兼ね備えた合成樹脂成形品を提供するものであり、更に詳細には、意匠性を高めた窓枠部と、機能性を高めた窓部からなる合成樹脂成型品を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の内装品や家電製品においては、タッチパネルを利用した操作と表示を行うパネル部品(以後、「操作/表示パネル部品」と呼ぶ)が多く使われるようになってきている。 このような操作/表示パネル部品では、そこに表示された内容がユーザーにとって見やすいものでなければならない。 例えば、その表示内容を視認する際に、ユーザーの見る方向によって外部からの光が反射して見にくくなるようなことがないもの、すなわち防眩性を備えたものであることが必要である。
【0003】
また、操作/表示パネル部品は、ユーザーが指先をタッチすることにより機器の操作を行うものであるから、ユーザーの指先が触れることによるキズが生じたり指紋が残ったりしにくいもの、すなわち防傷性や耐指紋性を備えたものでなければならない。 更に、操作/表示パネル部品は、ユーザーが最も直視する部分であるため、高級感を与える美観や触感を有する、すなわち意匠性を有するものでなければならない。
【0004】
一般に、防眩性、防傷性、そして耐指紋性等を改善するために、特殊な樹脂で表面をコーティングしたり、表面に薄い機能性フィルムを貼付することによって実現されるが、このような処理をするためには、ベースとなる基材は硬質な樹脂から構成されることが望ましい。
【0005】
一方、高級感を与える美観や触感を有する意匠性を備えた表面を形成するためには、ベースとなる基材は比較的軟質な樹脂から構成されることが望ましい。
【0006】
したがって、操作/表示パネル部品のように、防眩性、防傷性、そして耐指紋性等を備えると共に、意匠性をも備えた表面を有する合成樹脂成型品では、それぞれの具備すべき機能に合せた特性の異なる樹脂を成形品表面に設けてやることが必要になる。
【0007】
なお、意匠性を向上させた合成樹脂成型品の先行技術としては、特許文献1に開示された発明がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014−173203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述したような技術的背景に鑑みなされたものであり、操作/表示パネル部品のように、防眩性、防傷性、そして耐指紋性等を備えると共に、意匠性をも備えた表面を有することができる合成樹脂成型品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述したような課題を解決するために、第1の観点にかかる発明では、窓部を構成し、エラストマー樹脂以外の熱可塑性樹脂からなる第1の合成樹脂シートと、窓枠部を構成し、熱可塑性のエラストマー樹脂からなる第2の合成樹脂シートと、第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートの裏面側に配置され、第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートに一体化された射出成型樹脂とから成り、第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートの接合部は、第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートが部分的に重ね合わされている構成の操作/表示パネル用の合成樹脂成型品とした。
【0011】
また、第2の観点にかかる発明では、第1の観点にかかる発明の合成樹脂成型品において、第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートが重ね合わされた位置には、ベゼルが配置されている構成の操作/表示パネル用の合成樹脂成型品とした。
【0012】
また、第3の観点にかかる発明では、第1または第2の観点にかかる発明の合成樹脂成型品において、第1の合成樹脂シートの表面又は裏面であって、少なくとも第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートが重ね合わされる領域には、光不透過性の印刷層が設けられている構成の操作/表示パネル用の合成樹脂成型品とした。
【0013】
また、第の観点にかかる発明では、第1乃至第の観点にかかる発明の合成樹脂成型品において、第2の合成樹脂シートの表面の一部または全面に、エンボス加工が施されている構成の操作/表示パネル用の合成樹脂成型品とした。
【0014】
また、第の観点にかかる発明では、第1乃至第の観点にかかる発明の合成樹脂成型品において、第1の合成樹脂シートの表面側には少なくともハードコート処理され、耐指紋性コート処理され、あるいはアンチグレア加工フィルムが添付されている構成の操作/表示パネル用の合成樹脂成型品とした。
【0015】
更に、第の観点にかかる発明では、第1乃至第の観点にかかる発明の合成樹脂成型品において、前記第2の合成樹脂シートに替えて、2層構造を有し、表面側は熱可塑性のエラストマー樹脂層からなり、裏面側はエラストマー樹脂以外の熱可塑性樹脂層から構成されている第2の合成樹脂シートを備えていることを特徴とする操作/表示パネル用の合成樹脂成型品。
【発明の効果】
【0016】
上述したような発明の構成とすることによって、防眩性、防傷性、そして耐指紋性等を備えると共に、意匠性をも備えた表面を有することができる合成樹脂成型品を提供することが可能となった。
【0017】
特に、窓部を構成する領域では、防眩性、防傷性、そして耐指紋性等の機能を備えることが容易となり、また窓枠部を構成する領域では、高級感を与える美観や触感を有する高度な意匠性を備えることが容易になる。
【0018】
更に、ベゼルを備えた第2の観点にかかる発明では、後で詳細に説明するように、成型時ベゼルを利用して、第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートを成形金型に固定し、位置決めすることが可能となり、生産性の向上に寄与することが可能となる。
【0019】
また、第1の合成樹脂シートの表面又は裏面であって、少なくとも第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートが重ね合わされる領域に、光不透過性の印刷層を設けた第3の観点にかかる発明では、後で詳細に説明するように、第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートの接合部が合成樹脂成型品の表面側から直接視認することができない構成となっているため、微妙に蛇行して乱れた第1の合成樹脂シートと第2の合成樹脂シートの接合部が、外部から視認されず、高度な意匠性を損なうことがないという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明にかかる合成樹脂成型品の1実施例を示すものであり、合成樹脂成型品の表側から見た斜視図を示したものである。
図2図2は、図1に示す合成樹脂成型品の横断面を示した模式図である。
図3図3は、本発明にかかる合成樹脂成型品の別の実施例を示すものであり、合成樹脂成型品の横断面を示した模式図である。
図4図4は、本発明にかかる合成樹脂成型品の更に別の実施例を示すものであり、合成樹脂成型品の横断面を示した模式図である。
図5図5は、本発明にかかる合成樹脂成型品1の製造工程の例をフローチャートとして示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明にかかる合成樹脂成型品の1実施例を示すものであり、合成樹脂成型品の表側から見た斜視図を示したものである。 また、図2は、図1に示す合成樹脂成型品の横断面を示した模式図である。 特に図2に示す図においては、その構成を分かり易く説明するために板厚等を誇張して示してある。
なお、本明細書において表面側とはユーザーが視認し、操作のためにタッチする面側を裏面側とは、表面側とは反対の面側をいう。
【0023】
図1に示す実施例では、合成樹脂成型品1は、四角形状の窓部10とそれを取り囲むように配置された窓枠部20とから構成されている。 そして、窓部10の表面側には第1の合成樹脂シート11が配置され、窓枠部20の表面側には第2の合成樹脂シート21が配置されている。 更に、第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21の裏面側には、これら第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21に一体化された射出成型樹脂31が配置されている。
【0024】
窓部10は主に表示機能を発揮する必要のある領域でもあるため、第1の合成樹脂シート11としては、透明または半透明の熱可塑性合成樹脂が使用される。 また、窓部10は、ユーザーが表示画面にタッチして操作するために使用される領域でもあるため、硬質な表面特性を有することが望ましいことから、第1の合成樹脂シート11は、エラストマー樹脂以外の熱可塑性合成樹脂を使用することが望ましい。
【0025】
このような合成樹脂の種類としては、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PC/PETブレンド、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
窓枠部20は、合成樹脂成型品1の美観や触感に高級感を与えるための領域であるため、第2の合成樹脂シート21としては、軟質な表面特性を有する熱可塑性のエラストマー樹脂を使用することが望ましい。 熱可塑性エラストマー樹脂としては、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、アミド系のものが例示されるがこれらに限定されるものではない。
【0027】
第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21の裏面側に配置される射出成型樹脂31は、溶融合成樹脂を射出成型により第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21の裏面側に射出し冷却固化させて、第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21を保持するものであり、ポリカーボネート、アクリル、ABS樹脂、ポリプロピレン(PP)等の樹脂が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
合成樹脂成型品1は、一般にインモールド成形法と呼ばれる成形方法によって成形されるものであり、金型50の内面に予め第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21の表面を沿わせて配置し、第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21の裏面側と金型50によって形成されるキャビティに加熱溶融した合成樹脂を加圧注入し、これを冷却することにより溶融した合成樹脂が射出成型樹脂31となり、第1の合成樹脂シート11および第2の合成樹脂シート21と一体化した合成樹脂成型品1ができあがる。
【0029】
合成樹脂成型品1の第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21の接合部は、図2に示すように、第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21が部分的に重ね合わされて配置されている。 即ち第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21が重ね合わされた領域は、窓部10を取り囲むように配置されている。
【0030】
この第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21が部分的に重ね合わされる領域は、例えば、図2に示すように第1の合成樹脂シート11が第2の合成樹脂シート21の表面側に位置しており、成型時にこのような状態で溶融した合成樹脂を加圧注入すると第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21が金型50に押し付けられることになる。
【0031】
そして第2の合成樹脂シート21として熱可塑性エラストマー樹脂のような軟質な樹脂シートを使用すると、特に第2の合成樹脂シート21が大きく押しつぶされて、第2の合成樹脂シート21の窓部側端面が窓部側に不均一に押し出され、その端面が蛇行してしまうことがある。
【0032】
第1の合成樹脂シート11として透明または半透明の熱可塑性合成樹脂が使用されているため、このような第2の合成樹脂シート21の窓部側端面の蛇行は、合成樹脂成型品1の表面側から直接視認されることになるため、合成樹脂成型品1の美観を大きく損ねてしまうことになる。
【0033】
このような合成樹脂成型品1の意匠上の問題を解決するために、第1の合成樹脂シート11の表面又は裏面であって、少なくとも第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21が重ね合わされる領域に、窓部10の輪郭に沿って光不透過性の印刷層11−1(「マスキング印刷層」とも呼ぶ)を設けるようにしても良い。 例えば、黒色の光不透過性の印刷層を設けることによって、第2の合成樹脂シート21の窓部側端面の蛇行は、合成樹脂成型品1の表面側から視認することができなくなり、合成樹脂成型品1の美観を損なうことはない。
【0034】
窓部10を形成する第1の合成樹脂シート11の表面側には、防眩性、防傷性、そして耐指紋性等の機能を高めるために、アンチグレア加工フィルムを貼付したり、ハードコート処理したり、耐指紋性コート処理したりすることができる。
【0035】
合成樹脂成型品1に高級感のある美観や触感を与えるために、第2の合成樹脂シートが配置された窓枠部20の領域にエンボス加工を施すことができる。 エンボス加工を行う方法として、第2の合成樹脂シート21の表面側に微細な突起模様を有する型紙を、加熱しながら押し付け、型紙の突起模様を第2の合成樹脂シート21の表面側に転写する、インプリント法と呼ばれる方法を採用することができる。
【0036】
例えば、第2の合成樹脂シート21の材料として、透明あるいは半透明の材料を使用し、第2の合成樹脂シート21の表面側の一部または前面にエンボス加工として、革シボ調模様を転写し、第2の合成樹脂シート21の裏面側に皮革調の色合いの印刷層を設けてやれば、第2の合成樹脂シート21のエンボス加工が行われた領域は、皮革調の美観と触感を備えた意匠面を構成することになる。
【0037】
また、第2の合成樹脂シート21の裏面側の一部に、文字、図形、又は模様、又はこれらの組み合わせの意匠を構成する印刷層を設けて、裏面側からバックライティングすることによって、文字、図形、又は模様、又はこれらの組み合わせにかかる意匠を皮革調の美観と触感を備えた表面側の意匠面の中に浮かび上がらせることが可能となる。
【0038】
なお、ここでは、エンボス加工として革シボ調模様について説明したが、これに限定されるものではなく、様々な模様を採用することが可能である。
【0039】
また、ここでは、第2の合成樹脂シート11が配置された窓枠部20に意匠面を設けることについて説明したが、第1の合成樹脂シート11が配置された窓部10にも意匠を設けることができる。 この場合には、例えば、第1の合成樹脂シート11の表面または裏面に文字、図形、又は模様、又はこれらの組み合わせの意匠を構成する印刷層を設けてやることにより、意匠面を形成することが可能となる。
【0040】
第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21が重ね合わされた位置であって、窓部10の外周を取り巻くようにベゼル40を配置しても良い。 ベゼル40は「枠」や「額縁」を意味するものであって、表示/操作部品の窓部を保護するために使用されるものである。 ベゼル40は、金属または樹脂製の材料の表面にメッキ等を施して使用することができる。
【0041】
なお、本発明にかかる合成樹脂成型品1を成形する際に、予め第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21を金型50内に位置決めし、固定することが必要になるが、各シートを金型50内に位置決めし、固定するために、ベゼル40を使用することができる。
【0042】
図3に示すように、ベゼル40の裏面側に所定間隔で突起部41を設け、この突起部41を第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21の重ね合わせた部分を貫通させることによって第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21の相対的な位置関係を固定し、かつベゼル40の表面側を金型50内の所定溝に保持することにより、ベゼル40、第1の合成樹脂シート11、および第2の合成樹脂シート21を金型50内に位置決めし、固定することが可能となる。
【0043】
図2図3に示す実施例では、第2の合成樹脂シート21として、軟質な表面特性を有する熱可塑性のエラストマー樹脂を使用するものとして説明してきたが、このようなエラストマー樹脂は、それ自体で形状保持することが困難になる場合もある。 そのような場合図4に示すように、第2の合成樹脂シート21を2層構造とし、裏面側に芯材層21−2として、例えばポリカーボネートのようなエラストマー樹脂以外の熱可塑性樹脂層を設け、表面側に表面層21−1として熱可塑性のエラストマー樹脂層を設けるようにしても良い。
【0044】
このように第2の合成樹脂シート21を表面層21−1としての熱可塑性のエラストマー樹脂層と芯材層(裏面層)21−2としてのエラストマー樹脂以外の熱可塑性樹脂層の2層構造とすることにより、第2の合成樹脂シート21の形状保持機能を格段に向上させることができる。 このことによって、合成樹脂成型品1を成形する際に、第2の合成樹脂シート21を金型50内へセットする作業を容易にすることができる。
【0045】
なお、図1に示す実施例では、合成樹脂成型品1は、四角形状の窓部10とそれを取り囲むように配置された窓枠部20とから構成されているとして説明してきたが、合成樹脂成型品1の窓部10の形状は四角形状に限定されるものではなく、様々な形状にすることが可能である。
【0046】
次に、本発明にかかる合成樹脂成型品1の製造方法について説明する。 図5は、第2の合成樹脂シート21を2層構造とし、ベゼルを使用しない場合における、本発明にかかる合成樹脂成型品1の製造工程をフローチャートとして示した図である。
【0047】
第1の合成樹脂シート11の製造工程100では、第1の合成樹脂シート11の表面又は裏面にマスキング印刷層11−1を施すと共に、必要に応じて文字、図形、又は模様、又はこれらの組み合わせの意匠を構成する印刷層を施す。 次に、第1の合成樹脂シート11を所定の形状にプレスを使用して切断する。
【0048】
第2の合成樹脂シート21の製造工程110では、第2の合成樹脂シート21の表面層21−1の裏面側に、例えば皮革調の色合いの印刷層(スモーク印刷層)を施すと共に、必要に応じて文字、図形、又は模様、又はこれらの組み合わせの意匠を構成する印刷層(マスク印刷層とも呼ぶ)を施す。 次に、芯材層(裏面層)21−2の表面側に接着剤を塗布する。
【0049】
更に、表面層21−1と芯材層(裏面層)21−2を加熱しつつ表面層21−1の表面側に凹凸模様を有する型紙を押し当て、インプリント法により表面層21−1の表面側に皮革調の模様を形成させると共に、表面層21−1と芯材層(裏面層)21−2を熱圧着加工することにより、表面層21−1と芯材層(裏面層)21−2を接着し、一体化する。 その後、表面層21−1と芯材層(裏面層)21−2からなる第2の合成樹脂シート21を所定の形状にプレスを使用して切断する。
【0050】
次に、射出成型工程120では、第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21を金型内(上型または下型)の所定位置に、金型の壁面に沿うように位置決めして固定する。 なお、このとき、第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21の表面側が金型の壁面に沿うように配置する。
【0051】
次に、金型の上型と下型を突き合わせた後、第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21の裏面側と金型によって形成されるキャビティ内へ溶融合成樹脂(冷却固化した段階で射出成型樹脂31となる)を射出成型法により注入し、これを冷却固化させることにより、第1の合成樹脂シート11、第2の合成樹脂シート21、および射出成型樹脂31が一体化した合成樹脂成型品1となる。 溶融合成樹脂が固化した後、合成樹脂成型品1は金型から取り出され、合成樹脂成型品1は完成する。
【0052】
なお、第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21を金型内の所定位置に設置するにあたって、第1の合成樹脂シート11と第2の合成樹脂シート21を金型内面に沿った形状に、ホットプレス等を使用して予め賦形しておくようにしても良い。
【符号の説明】
【0053】
1 合成樹脂成型品
10 窓部
11 第1の合成樹脂シート
11−1 印刷層(マスキング印刷層)
20 窓枠部
21 第2の合成樹脂シート
21−1 表面層
21−2 芯材層(裏面層)
31 射出成型樹脂
40 ベゼル
41 突起部
50 金型
100 第1の合成樹脂シートの製造工程
110 第2の合成樹脂シートの製造工程
120 射出成型工程
図1
図2
図3
図4
図5