(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、全自動洗濯機では、洗濯の際に洗濯物から出る糸屑や埃を捕集するための構造の一つとして、
図10に示すリント捕集構造が採られている。かかるフィルタ捕集構造が採られた洗濯機が、たとえば、特許文献1に記載されている。
【0003】
図10(a)は、リントフィルタ捕集構造を示す、洗濯脱水槽500の要部断面図である。洗濯脱水槽500の側面部には、水路形成部材510により環流水路520が形成される。水路形成部材510には、後方に窪むフィルタ装着部511が形成され、フィルタ装着部511にフィルタユニット530が着脱自在に設けられる。フィルタ装着部511には、下面511aに上方に突出する第1支軸512が形成され、上面511bに第1軸孔513が形成され、後面511cに流出口514が形成される。フィルタユニット530の下部に設けられた第2軸孔531が第1支軸512に嵌め込まれ、フィルタユニット530の上部に設けられた第2支軸532が第1軸孔513に嵌め込まれる。これにより、フィルタユニット530は、第1支軸512と第2支軸532とを回転軸として、左右方向に所定の角度だけ回転可能となる。環流水路520はパルセータ540の側方に接続される。
【0004】
パルセータ540が回転すると、矢印F1に示すように、パルセータ540の揚水羽根541によって外周方向に押し出された水が、環流水路520内に導かれ、流出口514から流出し、フィルタユニット530を通じて洗濯脱水槽500内に戻される。この際、水に含まれる糸屑等がフィルタユニット530に捕集される。
【0005】
また、パルセータ540の回転より発生した水流に押されてフィルタユニット530が回転し、矢印F2に示すように、洗濯脱水槽500の内周壁に沿って流れる水が、後面の取込口533からフィルタユニット530内に流入し、フィルタユニット530内を通過する。この際、水とともに流入した糸屑等がリントフィルタユニット530に捕集される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
水路形成部材510は、樹脂材料により形成され得る。この場合、水路形成部材510は、金型を用いて成形により製造される。
【0008】
図10(b)は、水路構成部材510を成形する金型Mの要部を示す図である。たとえば、水路形成部材510の成形に、表側の第1金型M1と裏側の第2金型M2で構成され、水路形成部材510の前後方向に分割される金型Mが用いられ得る。この場合、第1支軸512の片側が第2金型M2で形成されるため、フィルタ装着部511の後面511cには、第1支軸512の背後となる位置に第2金型M2が通る開口部515が形成されることとなる。なお、金型Mに、第1支軸512の突出方向にスライドする第3金型を追加し、この第3金型によって第1支軸512を形成することも可能である。しかしながら、この場合、開口部515は形成されないが、後面511cにスライド跡が形成され、外観品位を損ねたり、糸屑等の引っかかりが発生したりする虞がある。
【0009】
水路形成部材510に形成された開口部515は、環流水路520内に連通する。このため、
図10(a)の矢印F3に示すように、環流水路520を流出口514に向かって流れる水の一部が、開口部515から流出する。流出した水は、フィルタユニット530を通らずに洗濯脱水槽500内へ戻る。こうなると、フィルタユニット530による糸屑等の捕集効率が低下する虞がある。
【0010】
そこで、本発明は、糸屑等の捕集効率を向上させることができる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の主たる態様に係る洗濯機は、洗濯物を収容する洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽の底部に回転自在に配置されるパルセータと、前記洗濯脱水槽の側面部に設けられ、前記パルセータの回転により送られてきた水が流れる環流水路と、前記洗濯脱水槽の内周壁との間で前記環流水路を形成する樹脂製の水路形成部材と、前記水路形成部材に形成されるフィルタ装着部と、前記フィルタ装着部に回転可能に装着され、前記環流水路から前記洗濯脱水槽内に戻る水と前記パルセータの回転で発生する水流により前記内周壁に沿って流れる水とを取り込んで通過させ、通過した水に含まれる糸屑等を捕集するフィルタユニットと、を備える。ここで、前記フィルタ装着部は、前記フィルタユニットの回転軸となる支軸と、当該支軸の背後に形成され前記環流水路内に連通する開口部とを含む。さらに、前記水路形成部材における前記環流水路に臨む面には、前記内周壁側へ向けて、前記開口部からの水の流出を抑制する壁部が形成される。
【0012】
上記の構成によれば、環流水路内を流れる水をフィルタユニット内に良好に導くことができるので、フィルタユニットによる糸屑等の捕集効率を向上させることが期待できる。
【0013】
本態様に係る洗濯機において、前記壁部は、少なくとも前記開口部の下および左右の三方を囲むよう構成され得る。
【0014】
上記の構成によれば、壁部の下側の壁に当たって一旦分かれた水が側方から開口部に流入することを抑制でき、開口部からの水の流出をより一層抑制することができる。
【0015】
上記の構成とされた場合、さらに、前記壁部と前記内周壁との間に隙間が形成され得る。
【0016】
このような構成とされると、開口部の少なくとも三方を囲った壁部の内部に、脱水工程の際、洗濯物から排出された水が侵入しても、侵入した水を隙間から環流水路内へ流し出すことができる。よって、壁部の内部に水が残ったままとなるのを防止できる。
【0017】
本態様に係る洗濯機において、前記壁部は、前記開口部の左右方向における両端部よりも中央部が前記環流水路の上流側に張り出す形状を有する張出部を含む構成とされ得る。
【0018】
上記の構成によれば、環流水路内を流れる水は、張出部に当たることで円滑に左右に分かれる。これにより、環流水路内の水の流速の低下を抑制できるので、糸屑等を水の流れに載せて良好にフィルタユニットまで運ぶことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、糸屑等の捕集効率を向上させることができる洗濯機を提供することができる。
【0020】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の洗濯機の一実施形態である全自動洗濯機について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、全自動洗濯機1の構成を示す側面断面図である。
【0024】
全自動洗濯機1は、外観を構成する筐体10を備える。筐体10は、上下の面が開放された方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12と、胴体部11を支持する脚台13とを含む。上面板12には、洗濯物の投入口14が形成される。投入口14は、開閉自在な上蓋15により覆われる。
【0025】
筐体10内には、外槽20が、図示しない4本の吊棒により弾性的に吊り下げ支持される。外槽20内には、洗濯脱水槽21が配される。外槽20および洗濯脱水槽21は、前方にやや傾く。洗濯脱水槽21は、鉛直方向に対して前方にやや傾いた回転軸Rを中心として回転する。筐体10は、外槽20の上部が前方へ張り出す分だけ前方へ張り出す張出部10aを有する。
【0026】
洗濯脱水槽21の内周壁21aには、多数の脱水孔21bが形成される。また、洗濯脱水槽21の底面には、複数の通水孔21cが形成される。さらに、洗濯脱水槽21の上部には、バランスリング22が設けられる。
【0027】
洗濯脱水槽21の底部には、パルセータ23が配される。パルセータ23の表面には、表面中央から放射状に延びる複数の羽根23aが形成される。また、パルセータ23の裏面には、裏面中央から放射状に延びる複数の揚水羽根23bが形成される。これら揚水羽根23bは、パルセータ23の裏面と洗濯脱水槽21の底面との間に形成されるポンプ室24に配される。
【0028】
洗濯脱水槽21の内周壁21aに沿って上下方向に延びる環流水路25が、水路形成部材26と内周壁21aとによって形成される。環流水路25の下端部は、ポンプ室24に繋がる。環流水路25、即ち、環流水路25を構成する水路形成部材26に、フィルタユニット27が取り外し可能に装着される。フィルタユニット27は、洗濯の際に洗濯物から出る糸屑や埃を捕集する。
【0029】
外槽20の外底部には、洗濯脱水槽21およびパルセータ23を駆動するトルクを発生させる駆動ユニット30が配される。駆動ユニット30は、駆動モータ31と、伝達機構部32とを含む。伝達機構部32は、クラッチ機構を有し、当該クラッチ機構による切替操作により、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ23のみに伝達してパルセータ23のみを回転させ、脱水工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ23および洗濯脱水槽21に伝達してパルセータ23および洗濯脱水槽21を一体的に回転させる。また、伝達機構部32は、減速機構を有する。洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31の回転数が減速機構の減速比に従って低くされた回転数でパルセータ23が回転する。
【0030】
外槽20の外底部には、排水口部20aが形成される。排水口部20aには、排水バルブ40が設けられる。排水バルブ40は、排水ホース41に接続される。排水バルブ40が開放されると、洗濯脱水槽21および外槽20に溜められた水が排水ホース41を通じて機外へ排出される。
【0031】
上面板12の後部には、水道水を洗濯脱水槽21内に供給するための給水ユニット50が配される。給水ユニット50には給水バルブ51が接続され、給水バルブ51が水道栓に接続される。給水ユニット50には、洗濯運転が行われる際に洗剤が投入される。給水バルブ51が開放されると、給水ユニット50内に水道水が導入される。導入された水道水は、給水ユニット50内で洗剤と混合された後に給水ユニット50から流出し、洗濯脱水槽21内に供給される。
【0032】
全自動洗濯機1は、各種運転コースの洗濯運転を行う。洗濯運転は、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程を含む。
【0033】
洗い工程およびすすぎ工程では、洗濯脱水槽21内に水が溜められた状態で、パルセータ23が右方向および左方向に回転する。パルセータ23の回転により洗濯脱水槽21内に水流が発生する。洗い工程では、発生した水流と水に含まれる洗剤とにより洗濯物が洗われる。すすぎ工程では、発生した水流により洗濯物がすすがれる。
【0034】
中間脱水工程および最終脱水工程では、洗濯脱水槽21およびパルセータ23が一体となって高速回転する。洗濯脱水槽21に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
【0035】
本実施の形態の全自動洗濯機1は、環流水路25とフィルタユニット27で構成されるリント捕集構造を特徴としており、以下、リント捕集構造について詳細に説明する。
【0036】
図2は、環流水路25の周辺部分が示された洗濯脱水槽21の要部縦断面図である。
図3は、環流水路25の周辺部分が示された洗濯脱水槽21の要部横断面図であり、
図3(a)は右回りの水流が発生したときの状態を示し、
図3(b)は左回りの水流が発生したときの状態を示す。
図4は、フィルタユニット27の構成を示す図であり、
図4(a)はフィルタユニット27の斜視図、
図4(b)はフィルタユニット27の側面縦断面図である。
図5および
図6は、それぞれ、水路形成部材26の構成を示す正面図および背面斜視図である。
【0037】
フィルタユニット27は、リントフィルタ110と、フィルタケース120を備える。リントフィルタ110は、メッシュ地の袋体で構成される。フィルタケース120は、中空な縦長の直方体形状に形成され、その後面が取込口121として開口する。フィルタケース120の前面に取付開口部122が形成され、この取付開口部122にリントフィルタ110が取り付けられる。
【0038】
フィルタケース120の上端部には、下方に撓むことが可能な弾性片123が形成され、この弾性片123の上面に、上方に突出する上部支軸124が形成される。また、弾性片123の前端部に操作片125が形成される。ユーザは、この操作片125を指で押し下げることで弾性片123を下方に撓ませることができる。さらに、フィルタケース120の下端部には、下部軸孔126が形成される。
【0039】
水路形成部材26は、樹脂材料により形成され、上下方向に延びるとともに前方にやや膨らむ。水路形成部材26は、その表面が洗濯脱水槽21の内部に臨み、その裏面が環流水路25の内部に臨む。水路形成部材26の表面には、フィルタユニット27のフィルタケース120に対応する形状に窪んだフィルタ装着部201が形成される。
【0040】
フィルタ装着部201には、その底部201aに、上方に突出する下部支軸202が形成され、その上部201bに上部軸孔203が形成される。下部支軸202は、本発明の支軸に相当する。
【0041】
フィルタ装着部201の後面201cには、中央部とそのやや下方に、複数の流出口204が形成される。また、フィルタ装着部201の後面201cには、上部に凹部205が形成される。凹部205には、フィルタユニット27がフィルタ装着部201に装着されたときにフィルタユニット27の弾性片123の後部が収容される。
【0042】
さらに、フィルタ装着部201の後面201cには、下部支軸202の背後の位置に、下部支軸202よりもやや大きな方形状の開口部206が形成される。水路形成部材26は、金型を用いて成形により製造される。開口部206は、
図10(b)で説明したように、成形製造の際、下部支軸202を形成する金型を通すために形成される。開口部206は、環流水路25内に連通する。
【0043】
水路形成部材26の表面には、フィルタ装着部201の左右両側に、それぞれ、フィルタ装着部201と同様に窪むとともに左右方向に延びる複数の右流路207および左流路208が形成される。
【0044】
水路形成部材26の裏面には、後方に向けて2重構造の水路区画リブ209が形成される。水路区画リブ209の内側領域が環流水路25となる。さらに、水路形成部材26の裏面には、開口部206の周囲に、後方、即ち、洗濯脱水槽21の内周壁21a側に向けて遮水壁部210が形成される。遮水壁部210は、本発明の壁部に相当する。遮水壁部210は、開口部206の四方が囲まれるように、方形の筒状に形成され、下壁211、上壁212、左壁213および右壁214を有する。
図2に示すように、水路形成部材26が洗濯脱水槽21の内周壁21aに取り付けられた状態において、遮水壁部210と内周壁21aとの間に所定の隙間Sが形成される。
【0045】
フィルタユニット27は、水路形成部材26のフィルタ装着部201に装着される。水路形成部材26の装着の際、ユーザは、まず、フィルタユニット27の下部軸孔126をフィルタ装着部201の下部支軸202に嵌め込む。次に、ユーザは、フィルタユニット27の操作片125を押し下げ、上部支軸124がフィルタ装着部201の上部軸孔203より低くなるように弾性片123を下方に撓ませながら、フィルタユニット27の上部を後方に移動させる。そして、ユーザは、上部支軸124が上部軸孔203の位置に達すると、弾性片123の撓みを開放して、上部支軸124を上部軸孔203に嵌め込む。フィルタユニット27は、上部支軸124および下部支軸202を回転軸として、水路形成部材26の正面から見て右方向または左方向に所定角度だけ回転可能となる状態で、水路形成部材26に固定される。
【0046】
次に、
図2および
図3を参照して、フィルタユニット27による糸屑等の捕集動作について説明する。
【0047】
洗い工程またはすすぎ工程において、パルセータ23が回転すると、揚水羽根23bによるポンプ作用によって、洗濯脱水槽21と外槽20との間の水が通水孔21cを通じてポンプ室24内に吸い込まれ、外周方向に押し出される。矢印F1に示すように、押し出された水は、環流水路25内を上昇して流出口204から流出し、フィルタユニット27のリントフィルタ110を通じて洗濯脱水槽21内に戻される。この際、水に含まれる糸屑等がリントフィルタ110に捕集される。
【0048】
また、
図3(a)および(b)に示すように、パルセータ23の回転により右回りまたは左回りの水流が発生すると、フィルタユニット27が右方向または左方向に傾く。これにより、矢印F2に示すように、洗濯脱水槽21の内周壁21aに沿って流れる水が、後面の取込口121からフィルタユニット27内に流入し、リントフィルタ110を通過する。この際、水に含まれる糸屑等がリントフィルタ110に捕集される。
【0049】
図7は、環流水路25内を流出口204へと向かう水の流れを示す図である。流出口204の上流に位置する開口部206は遮水壁部210で囲まれており、環流水路25内を上昇する水は、遮水壁部210の下壁211に当たって左右に分かれ、遮水壁部210の左右両側を流れて流出口204へと至る。これにより、環流水路25内を流れる水の一部が開口部206から流出してしまうのを抑制できる。
【0050】
なお、脱水工程の際に、洗濯物から排出された水が開口部206を通じて遮水壁部210の内部に侵入する場合が生じ得る。この場合、侵入した水は、遮水壁部210と内周壁21aとの隙間Sから環流水路25内へ流れる。よって、遮水壁部210の内部に水が残ったままとなりにくい。
【0051】
<本実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、水路形成部材26の裏面に設けた遮水壁部210により環流水路25内を流れる水の一部が開口部206から流出してしまうのを抑制できる。よって、環流水路25内を流れる水をフィルタユニット27内に良好に導くことができるので、フィルタユニット27による糸屑等の捕集効率を向上させることが期待できる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、遮水壁部210は、開口部206の四方を囲む構成とされるので、下壁211で一旦分かれた水が側方から開口部206に流入することを抑制でき、開口部206からの水の流出をより一層抑制することができる。
【0053】
さらに、本実施の形態によれば、遮水壁部210と洗濯脱水槽21の内周壁21aとの間に隙間Sが形成されるので、脱水工程の際に遮水壁部210の内部に侵入した水を、隙間Sから環流水路25内へ流し出すことができ、遮水壁部210の内部に水が残ったままとなるのを防止できる。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0055】
<変更例1>
図8(a)は、変更例1に係る、遮水壁部210Aの構成を示す、水路形成部材26の要部の背面斜視図である。
【0056】
本変更例における遮水壁部210Aは、開口部206の下縁において左右方向に延びる下壁211のみにより構成される。遮水壁部210Aの幅は、開口部206の横幅よりも大きくされる。環流水路25内を上昇する水は、遮水壁部210Aに当たって左右に分かれ、開口部206の左右両外側を流れて流出口204へと至る。
【0057】
よって、本変更例によっても、環流水路25内を流れる水の一部が開口部206から流出してしまうのを抑制でき、フィルタユニット27による糸屑等の捕集効率を向上させることが期待できる。
【0058】
<変更例2>
図8(b)は、変更例1に係る、遮水壁部210Bの構成を示す、水路形成部材26の要部の背面斜視図である。
【0059】
本変更例における遮水壁部210Bは、下壁211の下に、左右の両端部よりも中央部が環流水路25の上流側に張り出すほぼV字形状を有する張出部215を含む。
環流水路25内を上昇する水は、張出部215に当たって左右に分かれ、遮水壁部210Bの左右両側を流れて流出口204へと至る。
【0060】
よって、本変更例によっても、環流水路25内を流れる水の一部が開口部206から流出してしまうのを抑制でき、フィルタユニット27による糸屑等の捕集効率を向上させることが期待できる。
【0061】
さらに、本変更例によれば、環流水路25内を流れる水は、張出部215に当たることで円滑に左右に分かれる。これにより、環流水路25内の水の流速の低下を抑制できるので、糸屑等を水の流れに載せて良好にフィルタユニット27まで運ぶことができる。
【0062】
<その他の変更例>
上記実施の形態の遮水壁部210、上記変更例1の遮水壁部210Aおよび上記変更例2の遮水壁部210Bの他、開口部206からの水の流出を抑制する壁部として、たとえば、
図9に示すように、種々の遮水壁部210C〜210Iが開口部206に関連して設けられ得る。
【0063】
たとえば、
図9(a)に示すように、上壁212を有さず、下壁211、左壁213および右壁214により開口部206を囲む遮水壁部210Cが設けられてもよい。また、
図9(b)に示すように、下壁211、左壁213および右壁214を有するが、左右の壁213、214が開口部206の上端まで延びない遮水壁部210Dが設けられてもよい。
図9(a)および(b)の遮水壁部210C、210Dのように、開口部206の少なくとも下および左右の三方を囲むと、下壁211で一旦分かれた水が側方から開口部206に流入することを抑制できるので、変更例1のような下壁211のみにより構成される遮水壁部210Aに比べて、開口部206からの水の流出を一層抑制できる。
【0064】
さらに、
図9(c)に示すように、下壁211がなく、左右の壁213、214からV状の張出部215が形成される遮水壁部210Eが設けられてもよい。さらに、
図9(d)および(e)に示すように、V字状でなく、円弧またはU字状の張出部216を有する遮水壁部210F、210Gが設けられてもよい。さらに、
図9(f)に示すように、V字状の張出部215のみにより構成される遮水壁部210Hが設けられてもよい。さらに、
図9(g)に示すように、円弧またはU字状の張出部216のみにより構成される遮水壁部210Iが設けられてもよい。
【0065】
さらに、上記実施の形態では、水路形成部材26は、バランスリング22の位置まで上方に延びており、フィルタユニット27よりも上方の部位は、水流により撹拌される洗濯物が擦れるバッフルとして機能する。しかしながら、上方の部位は、環流水路25として機能していないため、なくされてもよい。
【0066】
さらに、上記実施の形態では、外槽20と洗濯脱水槽21とが前方に傾いているが、これらが傾いていなくてもよい。
【0067】
上記実施の形態の全自動洗濯機1は、乾燥機能を備えていないが、本発明は、乾燥機能を備えた全自動洗濯機に適用することもできる。
【0068】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。