特許第6502145号(P6502145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6502145プレキャスト基礎施工治具および施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502145
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】プレキャスト基礎施工治具および施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/01 20060101AFI20190408BHJP
【FI】
   E02D27/01 102A
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-68080(P2015-68080)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-188472(P2016-188472A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2018年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000233734
【氏名又は名称】株式会社アステック入江
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(72)【発明者】
【氏名】川上 浩史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀一
(72)【発明者】
【氏名】南野 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 良彰
(72)【発明者】
【氏名】角谷 儀典
(72)【発明者】
【氏名】井上 信之
(72)【発明者】
【氏名】原田 雅行
【審査官】 苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−123507(JP,A)
【文献】 特開平07−113240(JP,A)
【文献】 特開2003−147781(JP,A)
【文献】 特開平07−286332(JP,A)
【文献】 特開平10−168899(JP,A)
【文献】 特開2015−229914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00〜 27/52
E04B 1/00〜 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立上り部がプレキャストコンクリート体であるプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなり、前記プレキャスト基礎の真下に前記ベース部の主筋が位置し、前記プレキャスト基礎の下端から突出した複数本のあばら筋に前記主筋が結合された連続基礎における、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所で起立姿勢に支持するプレキャスト基礎施工治具であって、
前記プレキャスト基礎の下面に取付けられる受け部と、この受け部から立ち下がる脚部と、この脚部の下端から前記プレキャスト基礎の厚さ方向に広がる下端広がり部とを有し、前記脚部は前記プレキャスト基礎の前記真下の主筋の側方に位置し、前記脚部の前記主筋が位置する側方に、前記主筋に添わせて重ね継手で接合する継手鉄筋を前記側方から前記主筋に近づけるように導入可能な側方開放空間を有し、前記下端広がり部上に、前記側方開放空間に導入された前記継手鉄筋を載せる棚部を有し、
前記脚部が、高さ方向の少なくとも中間部分が前記プレキャスト基礎の厚さ方向に偏るように位置し、前記脚部の反偏り側となる側方に前記棚部を有するプレキャスト基礎施工治具。
【請求項2】
立上り部がプレキャストコンクリート体であるプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなり、前記プレキャスト基礎の真下に前記ベース部の主筋が位置し、前記プレキャスト基礎の下端から突出した複数本のあばら筋に前記主筋が結合された連続基礎における、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所で起立姿勢に支持するプレキャスト基礎施工治具であって、
前記プレキャスト基礎の下面に取付けられる受け部と、この受け部から立ち下がる脚部と、この脚部の下端から前記プレキャスト基礎の厚さ方向に広がる下端広がり部とを有し、前記脚部は前記プレキャスト基礎の前記真下の主筋の側方に位置し、前記脚部の前記主筋が位置する側方に、前記主筋に添わせて重ね継手で接合する継手鉄筋を前記側方から前記主筋に近づけるように導入可能な側方開放空間を有し、前記下端広がり部上に、前記側方開放空間に導入された前記継手鉄筋を載せる棚部を有し、
前記脚部は、前記下端広がり部における広がり方向に延びる前後の縁部に沿う一対の前後縁立ち上がり板部とこれら前後縁立ち上がり板部の中間を結ぶ中間立ち上がり板部とでなる水平断面H形状であり、前記棚部は、前記脚部の前記前後縁立ち上がり板部の一部として前記下端広がり部から立ち上がる前後一対の棚部構成板部からなり、前記下端広がり部は前記脚部の前記一対の前後縁立ち上がり板部に続く板状であり、この下端広がり部および前記一対の棚部構成板部にコンクリート充填穴が設けられたプレキャスト基礎施工治具。
【請求項3】
請求項2に記載のプレキャスト基礎施工治具において、前記脚部が、高さ方向の少なくとも中間部分が前記プレキャスト基礎の厚さ方向に偏るように位置し、前記脚部の反偏り側となる側方に前記棚部を有するプレキャスト基礎施工治具。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のプレキャスト基礎施工治具において、前記連続基礎を構築する基礎支持面に載せられた状態で前記脚部の高さを調整する高さ調整部を前記下端広がり部に設けたプレキャスト基礎施工治具。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のプレキャスト基礎施工治具において、前記脚部の前記主筋が位置する側方とは反対側の側方に、前記各鉄筋とは異なる別の鉄筋を導入可能な逆側方開放空間を有し、前記下端広がり部上に、前記逆側方開放空間に導入された前記別の継手鉄筋を載せる第2の棚部を有するプレキャスト基礎施工治具。
【請求項6】
請求項2または請求項3に記載のプレキャスト基礎施工治具において、前記脚部の前記主筋が位置する側方とは反対側の側方に、前記各鉄筋とは異なる別の継手鉄筋を導入可能な逆側方開放空間を有し、前記下端広がり部上に、前記逆側方開放空間に導入された前記別の継手鉄筋を載せる第2の棚部を有し、この第2の棚部は、前記脚部の前記前後縁立ち上がり板部の一部として前記下端広がり部から立ち上がる前後一対の第2の棚部構成板部からなり、これら第2の棚部構成板部にコンクリート充填穴が設けられたプレキャスト基礎施工治具。
【請求項7】
請求項2または請求項3に記載のプレキャスト基礎施工治具において、前記受け部に、この受け部を前記プレキャスト基礎に取付けるボルトを挿通させる上下に貫通したボルト挿通孔を有し、このボルト挿通孔と底面視で整合する位置で、前記下端広がり部に前記ボルトを締めつける工具を挿通可能な大きさのコンクリート充填穴が設けられたプレキャスト基礎施工治具。
【請求項8】
立上り部がプレキャストコンクリート体であるプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなり、前記プレキャスト基礎の真下の前記ベース部の主筋、および下端が前記主筋に結合された複数本のあばら筋が前記プレキャスト基礎の下端から突出した連続基礎における、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所に起立姿勢に設置し、かつ前記主筋と重ね継手で接続する継手鉄筋を配置するプレキャスト基礎施工方法であって、
前記プレキャスト基礎の下面にプレキャスト基礎施工治具を取付ける過程と、このプレキャスト基礎施工治具が取付けられたプレキャスト基礎を基礎支持面上に配置する過程と、前記継手鉄筋を前記主筋に添わせて結束線で前記主筋に結合する過程とを含み、前記プレキャスト基礎施工治具として、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のプレキャスト基礎施工治具を用い、前記継手鉄筋を、前記脚部の前記主筋が位置する側方から前記主筋に近づけて前記棚部に載せ、前記主筋に添わせることを特徴とするプレキャスト基礎施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハーフプレキャスト構造の連続基礎の施工において、プレキャスト基礎を基礎構築場所で起立姿勢に支持するプレキャスト基礎施工治具、およびこのプレキャスト基礎施工治具を用いるプレキャスト基礎施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立上り部がプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなるハーフプレキャスト構造の連続基礎の施工において、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所で起立姿勢に支持するプレキャスト基礎施工治具が用いられている。このプレキャスト基礎施工治具として、例えば図17に示すものが提案されている(特許文献1)。
現場打ちコンクリート体に埋め込む下端主筋22が、あばら筋24に接合されてプレキャスト基礎21の下方に突出しており、下端主筋22が干渉しないようにプレキャスト基礎21を支持する必要がある。そのため、プレキャスト基礎施工治具31は、プレキャスト基礎21の底面に取り付けられる取付け部32から、2つの脚部33を突き出させ、両脚部33,33が下端主筋22を跨ぐようにしている。前記脚部33は、その下端からプレキャスト基礎21の厚さ方向に延びる下端広がり部34を有し、この下端広がり部34には基礎支持面30に載せられた状態で前記脚部33の高さを調整するボルト39が螺合されている。
【0003】
前記プレキャスト基礎施工治具31を用いた連続基礎の施工では、このプレキャスト基礎施工治具31でプレキャスト基礎21を起立姿勢に支持し、縦列に並ぶ各プレキャスト基礎21の真下に位置する各下端の下端主筋22,22同士を、図18のように継手鉄筋25と結束線26による重ね継手で接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−211496号公報
【特許文献2】特開2013−227787号公報
【特許文献3】特開2010−70903号公報
【特許文献4】特開2002−212957号公報
【特許文献5】特開平10−168899号公報
【特許文献6】特開平8−326065号公報
【特許文献7】特開平7−286332号公報
【特許文献8】特開平7−113240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成のプレキャスト基礎施工治具31では、その脚部33がプレキャスト基礎21の真下に位置する下端主筋22を跨いだ状態となる。そのため、隣り合う下端主筋22,22同士を重ね継手で接合する継手鉄筋25を下端主筋22に添わせるのに、継手鉄筋25を基礎長手方向に差し込む必要があって、沿わせ作業に手間がかかるという問題がある。また、継手鉄筋25と下端主筋22とを結束するときに、片手で継手主筋25を支えながら作業を行なう必要があり、一人での作業が容易でないという問題もある。
【0006】
この発明の目的は、プレキャスト基礎の下方に突出した主筋を隣のプレキャスト基礎の下方に突出した主筋と接続する継手鉄筋の配置作業が容易で、プレキャスト基礎の施工の作業性を向上させることができるプレキャスト基礎施工治具および施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のプレキャスト基礎施工治具は、立上り部がプレキャストコンクリート体であるプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなり、前記プレキャスト基礎の真下に前記ベース部の主筋が位置し、前記プレキャスト基礎の下端から突出した複数本のあばら筋に前記主筋が結合された連続基礎における、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所で起立姿勢に支持するプレキャスト基礎施工治具であって、
前記プレキャスト基礎の下面に取付けられる受け部と、この受け部から立ち下がる脚部と、この脚部の下端から前記プレキャスト基礎の厚さ方向に広がる下端広がり部とを有し、前記脚部は前記プレキャスト基礎の前記真下の主筋の側方に位置し、前記脚部の前記主筋が位置する側方に、前記主筋に添わせて重ね継手で接合する継手鉄筋を前記側方から前記主筋に近づけるように導入可能な側方開放空間を有し、前記下端広がり部上に、前記側方開放空間に導入された前記継手鉄筋を載せる棚部を有することを基本構成とする。
【0008】
この構成の治具によると、脚部の側方に、継手鉄筋を導入可能な側方開放空間を有する。そのため、前記継手鉄筋を、側方から主筋に近づけるように導入できる。また、下端広がり部上に、前記側方開放空間に導入された継手鉄筋を載せる棚部を有する。そのため、前記の導入した継手鉄筋を棚部に載せて支持させることが可能であり、縦列に並べられるプレキャスト基礎の真下に位置する主筋同士を重ね継手で接合する作業を、一人で効率良く行うことができる。
【0009】
前記基本構成において、前記連続基礎を構築する基礎支持面に載せられた状態で前記脚部の高さを調整する高さ調整部を前記下端広がり部に設けても良い。この構成の場合、前記高さ調整部で前記脚部の高さを調整することで、プレキャスト基礎の高さを調整することができる。
【0010】
この発明の第1のプレキャスト基礎施工治具は、前記基本構成のプレキャスト基礎施工治具において、前記脚部が、高さ方向の少なくとも中間部分が前記プレキャスト基礎の厚さ方向に偏るように位置し、前記脚部の反偏り側となる側方に前記棚部を有するものとされる。
脚部をこのように位置させると、プレキャスト基礎施工治具をプレキャスト基礎の厚さ方向の中央に位置させても、前記厚さ方向の中央に位置するベース部の主筋と脚部との干渉を回避できる。そのため、プレキャスト基礎をバランス良く支持することができる。
【0011】
この発明の他のプレキャスト基礎施工治具は、前記基本構成のプレキャスト基礎施工治具において、前記脚部は、前記下端広がり部における広がり方向に延びる前後の縁部に沿う一対の前後縁立ち上がり板部とこれら前後縁立ち上がり板部の中間を結ぶ中間立ち上がり板部とでなる水平断面H形状であり、前記棚部は、前記脚部の前記前後縁立ち上がり板部の一部として前記下端広がり部から立ち上がる前後一対の棚部構成板部からなり、前記下端広がり部は前記脚部の前記一対の前後縁立ち上がり板部に続く板状であり、この下端広がり部および前記一対の棚部構成板部にコンクリート充填穴が設けられたものである。 この構成の場合、前記H形の断面形状によって強度が得易く、余分な材料を省いて軽量で剛性、材料コストに優れたものとできる。棚部構成板部にコンクリート充填穴が設けられているため、コンクリートの充填も確実に行える。
【0012】
この発明において、前記脚部の前記主筋が位置する側方とは反対側の側方に、前記各鉄筋とは異なる別の鉄筋を導入可能な逆側方開放空間を有し、前記下端広がり部上に、前記逆側方開放空間に導入された前記別の鉄筋を載せる第2の棚部を有するものとしても良い。
この構成の場合、縦列に並ぶプレキャスト基礎に対してこれと直角に別のプレキャスト基礎を配置する連続基礎の施工において、前記直角に配置されるプレキャスト基礎の真下の主筋に対して平面視でL字状の継手鉄筋の一端側を前記主筋に重ね継手で接合し、この継手鉄筋の他端側を前記縦列に並ぶプレキャスト基礎を支持するプレキャスト基礎施工治具の前記逆側方開放空間から導入して前記第2の棚部に載せることによって、縦列の基礎部分とこれに対して直角方向に延びる別の基礎部分との間での主筋の接合を、プレキャスト基礎施工治具を介して一人で効率良く行なうことができる。なお、この明細書において「平面視」とは、上方から見ることを言う。
【0013】
この発明において、前記脚部の前記主筋が位置する側方とは反対側の側方に、前記各鉄筋とは異なる別の鉄筋を導入可能な逆側方開放空間を有し、前記下端広がり部上に、前記逆側方開放空間に導入された前記別の鉄筋を載せる第2の棚部を有し、この第2の棚部は、前記脚部の前記前後縁立ち上がり板部の一部として前記下端広がり部から立ち上がる前後一対の第2の棚部構成板部からなり、これら第2の棚部構成板部にコンクリート充填穴が設けられたものであっても良い。
前記連続基礎として、T字形や十字形等を成すように、垂直方向の別のプレキャスト基礎が配置される場合がある。その場合、前記垂直方向のプレキャスト基礎の端部に定着用の鉄筋や継手鉄筋を突出状態に設ける場合がある。このような鉄筋を、前記第2の棚部構成板部に載せて支持させることができ、また前記逆側方開放空間があることで、前記第2の棚部構成板部上へ容易に導入できる。
【0014】
この発明において、前記受け部に、この受け部を前記プレキャスト基礎に取付けるボルトを挿通させる上下に貫通したボルト挿通孔を有し、このボルト挿通孔と底面視で整合する位置で、前記下端広がり部に前記ボルトを締めつける工具を挿通可能な大きさのコンクリート充填穴を設けても良い。なお、この明細書において「底面視」とは、下方から見ることを言う。また、上記「整合」とは、必ずしも中心が一致していなくても良く、ボルトまたは工具等の相通させる物が相通可能な位置関係にあることを言う。
この構成の場合、受け部のボルト挿通孔に挿通させたボルトを締めつけて受け部をプレキャスト基礎に取付ける作業を、下端広がり部の前記コンクリート充填穴からボルト締めつけ用工具を挿入することで容易に行なえる。
【0015】
この発明のプレキャスト基礎施工方法は、立上り部がプレキャストコンクリート体であるプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなり、前記プレキャスト基礎の真下の前記ベース部の主筋、および下端が前記主筋に結合された複数本のあばら筋が前記プレキャスト基礎の下端から突出した連続基礎における、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所に起立姿勢に設置し、かつ前記主筋と重ね継手で接続する継手鉄筋を配置するプレキャスト基礎施工方法であって、
前記プレキャスト基礎の下面にプレキャスト基礎施工治具を取付ける過程と、このプレキャスト基礎施工治具が取付けられたプレキャスト基礎を基礎支持面上に配置する過程と、前記継手鉄筋を前記主筋に添わせて結束線で前記主筋に結合する過程とを含み、前記プレキャスト基礎施工治具として、この発明のプレキャスト基礎施工治具を用いる。
【0016】
この施工方法によると、継手鉄筋を、前記脚部の主筋が位置する側方から主筋に近づけて前記棚部に載せ主筋に添わせることができるので、縦列に並べられるプレキャスト基礎の真下に配筋される主筋同士を重ね継手で接合する作業を効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明のプレキャスト基礎施工治具は、立上り部がプレキャストコンクリート体であるプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなり、前記プレキャスト基礎の真下に前記ベース部の主筋が位置し、前記プレキャスト基礎の下端から突出した複数本のあばら筋に前記主筋が結合された連続基礎における、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所で起立姿勢に支持するプレキャスト基礎施工治具であって、前記プレキャスト基礎の下面に取付けられる受け部と、この受け部から立ち下がる脚部と、この脚部の下端から前記プレキャスト基礎の厚さ方向に広がる下端広がり部とを有し、前記脚部は前記プレキャスト基礎の前記真下の主筋の側方に位置し、前記脚部の前記主筋が位置する側方に、前記主筋に添わせて重ね継手で接合する継手鉄筋を前記側方から前記主筋に近づけるように導入可能な側方開放空間を有し、前記下端広がり部上に、前記側方開放空間に導入された前記継手鉄筋を載せる棚部を有するものとしたため、プレキャスト基礎の下方に突出した主筋を隣のプレキャスト基礎の下方に突出した主筋と接続する継手鉄筋の配置作業が容易に行え、前記主筋同士の重ね継手による接合作業を効率良く行うことができる。
【0018】
この発明のプレキャスト基礎施工方法は、立上り部がプレキャストコンクリート体であるプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなり、前記プレキャスト基礎の真下の前記ベース部の主筋、および下端が前記主筋に結合された複数本のあばら筋が前記プレキャスト基礎の下端から突出した連続基礎における、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所に起立姿勢に設置し、かつ前記主筋と重ね継手で接続する継手鉄筋を配置するプレキャスト基礎施工方法であって、前記プレキャスト基礎の下面にプレキャスト基礎施工治具を取付ける過程と、このプレキャスト基礎施工治具が取付けられたプレキャスト基礎を基礎支持面上に配置する過程と、前記継手鉄筋を前記主筋に添わせて結束線で前記主筋に結合する過程とを含み、前記プレキャスト基礎施工治具は、前記プレキャスト基礎の前記主筋の側方に位置する脚部、および前記継手鉄筋を載せる棚部を有し、前記継手鉄筋を、前記脚部の前記主筋が位置する側方から前記主筋に近づけて前記棚部に載せ、前記主筋に添わせる方法としたため、プレキャスト基礎の下方に突出した主筋を隣のプレキャスト基礎の下方に突出した主筋と接続する継手鉄筋の配置作業が容易に行え、前記主筋同士の重ね継手による接合作業を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の発明のプレキャスト基礎施工治具を用いて施工される連続基礎の縦断面図である。
図2】同連続基礎の部分正面図である。
図3】この発明の一実施形態にかかるプレキャスト基礎施工治具の斜視図である。
図4】同プレキャスト基礎施工治具を下側から見た斜視図である。
図5】同プレキャスト基礎施工治具の正面図である。
図6】(A)は同プレキャスト基礎施工治具の受け部の平面図、(B)は同右側面図である。
図7】同プレキャスト基礎施工治具の下端広がり部の裏面図である。
図8】同プレキャスト基礎施工治具の右側面図である。
図9図5のA矢視方向から見た受け部の裏面図である。
図10図5のB矢視方向から見た棚部の平面図である。
図11】同プレキャスト基礎施工治具でプレキャスト基礎を起立姿勢に支持した状態を示す正面図である。
図12】同プレキャスト基礎施工治具でプレキャスト基礎を起立姿勢に支持した状態を示す斜視図である。
図13】プレキャスト基礎の他の配置例を示す平面図である。
図14】同プレキャスト基礎施工治具の受け部をプレキャスト基礎の下面にボルトで締めつける作業の説明図である。
図15】この発明の他の実施形態にかかるプレキャスト基礎施工治具の斜視図である。
図16】同プレキャスト基礎施工治具の受け部をプレキャスト基礎の下面にボルトで締めつける作業の説明図である。
図17】プレキャスト基礎施工治具の従来例を示す正面図である。
図18】プレキャスト基礎を用いて施工される連続基礎における下端主筋と継手鉄筋の接合状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の第1の実施形態を図1ないし図14と共に説明する。図1はこの実施形態のプレキャスト基礎施工治具を用いて施工される連続基礎の縦断面図を示し、図2はその連続基礎の部分正面図を示す。この連続基礎20は、例えば住宅の外周部の布基礎である。この連続基礎20は、立上り部20Aがプレキャストコンクリート体であり、ベース部20Bが現場打ちコンクリート体からなるハーフプレキャスト構造である。プレキャスト基礎21は、複数個が縦列に並べて配置される。プレキャスト基礎21の真下には、前記ベース部20Bの主筋である下端主筋22が位置し、この下端主筋22は、プレキャスト基礎21の下端から突出した複数本のあばら筋24の下端に溶接されている。下端主筋22は、連続基礎の下端筋となる。隣り合うプレキャスト基礎21の真下にそれぞれ配筋される前記下端主筋22,22同士は、これら下端主筋22に継手鉄筋25を添わせ、結束線26で結束する重ね継手により互いに接合される。各プレキャスト基礎21の上部に配筋される主筋である上端主筋23同士は、図示しない機械継手等の鉄筋継手で接続される。
【0021】
前記各プレキャスト基礎21は、図3および図4に斜視図で示すこの実施形態のプレキャスト基礎施工治具1を用いて、図11および図12のように基礎構築場所における前記連続基礎20を構築する基礎支持面30の上に起立姿勢に支持される。このプレキャスト基礎施工治具1は、例えば、鋳物製品からなり、プレキャスト基礎21の下面に取付けられる受け部2と、この受け部2から立ち下がる脚部3と、この脚部3の下端からプレキャスト基礎21の厚さ方向に広がる下端広がり部4とを有する。脚部3は、図11のようにプレキャスト基礎21の真下の前記下端主筋22の側方に位置する。脚部3の下端主筋22が位置する側方には、下端主筋22に添わせて重ね継手で接合する継手鉄筋25を前記側方から下端主筋22に近づけるように導入可能な側方開放空間8が形成されている。また、下端広がり部4上には、側方開放空間8に導入された継手鉄筋25を載せる棚部10が形成されている。
【0022】
図3のように、前記受け部2には、この受け部2を前記プレキャスト基礎21の下面に結合するボルト5を挿通させる上下に貫通したボルト挿通孔6が、プレキャスト基礎21の厚さ方向に振り分けて2つ設けられている。これに対応して、プレキャスト基礎21の下端部には、図11のように前記ボルト5が螺合する2つの高ナット7が埋め込まれている。これにより、プレキャスト基礎21の下面に前記受け部2が結合される。
【0023】
前記脚部3は、高さ方向の少なくとも中間部分がプレキャスト基礎21の厚さ方向に偏るように位置し、脚部3の反偏り側となる側方に前記棚部10が形成されている。
脚部3をこのように位置させると、プレキャスト基礎施工治具1をプレキャスト基礎21の厚さ方向の中央に位置させても、前記厚さ方向の中央に位置するベース部の主筋である下端主筋22と脚部3との干渉が回避される。そのため、プレキャスト基礎21をバランス良く支持することができる。
【0024】
また、前記脚部3は、下端広がり部4における広がり方向に延びる前後の縁部に沿う一対の前後縁立ち上がり板部3a,3aと、これら前後縁立ち上がり板部3a,3aの中間を結ぶ中間立ち上がり板部3bとでなる水平断面H形状とされる。また、前記棚部10は、脚部3の前後縁立ち上がり板部3a,3aの一部として下端広がり部4から立ち上がる前後一対の棚部構成板部10a,10aからなる。このように水平断面H形状とされているため、強度が得易く、余分な材料を省いて軽量で剛性、材料コストに優れたものとできる。
【0025】
下端広がり部4は、前記脚部3の一対の前後縁立ち上がり板部3a,3aに続く板状であり、図3および図4に示すように、下端広がり部4の板状部および前記一対の棚部構成板部10a,10aにコンクリート充填穴11,12,13が設けられている。下端広がり部4のコンクリート充填穴13は、前記受け部2に設けられたボルト挿通孔6と底面視で整合する位置に設けられ、図14のように前記ボルト挿通孔6に挿通させるボルト5を締めつける工具19を挿通可能な大きさに形成されている。
下端広がり部4のコンクリート充填穴13をこのように形成することにより、受け部2のボルト挿通孔6に挿通させたボルト5を締めつけて受け部2をプレキャスト基礎21の下面に取付ける作業を、図14のように、下端広がり部4の前記コンクリート充填穴13からボルト締めつけ用工具19を挿入させることで容易に行なうことができる。
【0026】
また、前記下端広がり部4には、その長手方向の両端部にねじ孔14が設けられ、このねじ孔14に、前記脚部3の高さを調整する高さ調整部となる高さ調整ボルト9が螺合される。図1の連続基礎20を構築する前記基礎支持面30の上にプレキャスト基礎施工治具1が載せられた状態で、前記高さ調整ボルト9を廻すことにより、脚部3の高さを調整することができる。
【0027】
また、前記脚部3の下端主筋22が位置する側方とは反対側の側方には、前記各鉄筋22,25とは異なる別の定着用の鉄筋27を導入可能な逆側方開放空間18が形成されている。さらに、前記下端広がり部4上には、前記逆側方開放空間18に導入された前記定着用の鉄筋27を載せる第2の棚部15が形成されている。
【0028】
このように、脚部3の下端主筋22が位置する側方とは反対側の側方に、前記各鉄筋22,25とは異なる定着用の鉄筋27を導入可能な逆側方開放空間18を形成し、さらに、下端広がり部4上に前記逆側方開放空間18に導入された定着用の鉄筋27を載せる第2の棚部15を形成することにより、図13のように縦列に並ぶプレキャスト基礎21に対してこれと直角に別のプレキャスト基礎21を配置する連続基礎の施工を以下のように行なうことができる。
前記定着用の鉄筋27として平面視でL字状の定着用の鉄筋を用い、この定着用鉄筋27の一端側を、前記直角に配置されるプレキャスト基礎21の真下の下端主筋22に重ね継手で接合する。この定着用鉄筋27の他端側を前記縦列に並ぶプレキャスト基礎21を支持するプレキャスト基礎施工治具1の前記逆側方開放空間18から導入して前記第2の棚部15に載せる。
【0029】
前記第2の棚部15は、脚部3の前後縁立ち上がり板部3a,3aの一部として下端広がり部4から立ち上がる前後一対の第2の棚部構成板部15a,15aからなり、これら第2の棚部構成板部15a,15aにはコンクリート充填穴16が設けられている。
このように第2の棚部15を構成することにより、第2の棚部15に前記定着用の鉄筋27を載せて支持することができる。第2の棚部構成板部15a,15aにはコンクリート充填穴16が設けられているので、コンクリートの充填が確実に行える。
【0030】
なお、前記脚部3の前後縁立ち上がり部3a,3aは、受け部2の前後縁に続く上側において、受け部2の左右方向に広がっており、この上側広がり部3aaのうち前記側方開放空間8側の部分にもコンクリート充填穴17が設けられている。さらに、脚部3の前後縁立ち上がり部3a,3aにおける前記上側広がり部3aaの前記側方開放空間8を囲む下縁間には一部を半円形に切り欠いた板部3cが設けられている。その板部3cの切欠3caは、図14に示した工具19の挿入を妨げないためのものである。同様に、前記棚部10の前後の棚部構成板部10a,10aの上縁間にも、一部を半円形に切り欠いた板部10bが設けられている。その板部10bの切欠10baも、図14に示した工具19の挿入を妨げないためのものである。図5はこのプレキャスト基礎施工治具1の正面図を示し、図6(A)はその受け部2の平面図を、図6(B)はその受け部2の左側面図を示す。図7は同プレキャスト基礎施工治具1の下端広がり部4の裏面図を示し、図8は同プレキャスト基礎施工治具1の右側面図を示す。図9図5における矢印Aの方向から見た受け部2の裏面図を、図10図5における矢印Bの方向から見た棚部10の平面図を示す。
【0031】
このプレキャスト基礎施工治具1を用いた前記連続基礎20の施工方法は、以下のように行われる。
まず、プレキャスト基礎21の下面に、前記ボルト5を用いてプレキャスト基礎施工治具1の受け部2を取付ける。次に、このプレキャスト基礎施工治具1が取付けられたプレキャスト基礎21を、基礎支持面30上に配置する。次に、図2のように継手鉄筋25を前記下端主筋22に添わせて結束線26で下端主筋22に結合する。プレキャスト基礎施工治具1は、上記したように下端主筋22の側方に位置する脚部3を有するので、継手鉄筋25を、脚部3の下端主筋22が位置する側方から下端主筋22に近づけて下端主筋22に添わせることができ、プレキャスト基礎施工の施工効率を上げることができる。
なお、図5および図11では、下端主筋22の側方に継手鉄筋25を添わせて接合する場合を例示したが、同図に仮想線で示すように、下端主筋22の斜め上方あるいは下端主筋22の上に重なるように継手鉄筋25を添わせて接合しても良い。
【0032】
図15および図16は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態では、図1ないし図14に示した先の実施形態において、図15のように底面視で受け部2のボルト挿通孔6と整合する下端広がり部4の大径のコンクリート充填穴13が省略されている。その他の構成は、先の実施形態の場合と同様である。
【0033】
この実施形態の場合、下端広がり部4に工具19を挿入する開口がないので、受け部2のボルト挿通孔6に挿通させたボルト5を締めつけて受け部2をプレキャスト基礎21に取付ける作業を、図16のように、脚部3の側方からボルト締めつけ用工具19を挿入させて行なう。その他の作用効果は、先の実施形態の場合と同様である。
【符号の説明】
【0034】
1…プレキャスト基礎施工治具
2…受け部
3…脚部
3a…前後縁立ち上がり板部
3b…中間立ち上がり板部
4…下端広がり部
8…側方開放空間
9…高さ調整ボルト(高さ調整部)
10…棚部
10a…棚部構成板部
11, 12, 13, 16…コンクリート充填穴
15…第2の棚部
15a…第2の棚部構成板部
18…逆側方開放空間
20…連続基礎
20A…立上り部
20B…ベース部
21…プレキャスト基礎
22…下端主筋
24…あばら筋
25…継手鉄筋
26…結束線
27…定着用の鉄筋
30…基礎支持面
図1
図2
図3
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