(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外部との無線通信を担う通信コントローラ(8)と、情報が表示される不揮発性表示媒体である表示体(9)を含む表示ユニット(U)と、RFIDタグ(1)の全体の制御を行う制御部(11)と、少なくとも制御部(11)と表示ユニット(U)に対して電力を供給する電源(13)とを備えるRFIDタグであって、
制御部(11)は、通信コントローラ(8)からの起動信号を受信待機するスリープモードと、RFIDタグ(1)を制御する制御モードにモード変更可能に構成されており、
通信コントローラ(8)は、外部から送信される動作指令を受信待機する待機モードと、外部との間で無線通信を行う通信モードにモード変更可能に構成されており、
通信コントローラ(8)は、動作指令を受信して待機モードから通信モードへとモード変更した際に、制御部(11)に向かって起動信号を出力するように構成されており、
表示体(9)の表示内容の書き換えに対応する動作指令には、通信コントローラ(8)が備える記憶部(19)にフラグを格納するフラグ格納指示が含まれており、
制御部(11)は、通信コントローラ(8)から起動信号を受けて、スリープモードから制御モードへとモード変更したとき、通信コントローラ(8)の記憶部(19)にフラグが格納されているか否かを判別し、フラグが格納されている場合に、表示ユニット(U)への電力の供給をオフ状態からオン状態に切り換えることを特徴とするRFIDタグ。
RFIDタグ(1)と、ホスト端末(2)と、ホスト端末(2)に制御されてRFIDタグ(1)と無線通信を行うリーダライタ(3)とを含む、RFIDタグシステムであって、
RFIDタグ(1)は、リーダライタ(3)との無線通信を担う通信コントローラ(8)と、情報が表示される不揮発性表示媒体である表示体(9)を含む表示ユニット(U)と、リーダライタ(3)から通信コントローラ(8)へ送信された制御指令に基づいてRFIDタグ(1)の全体の制御を行う制御部(11)と、少なくとも制御部(11)と表示ユニット(U)に対して電力を供給する電源(13)とを備えており、
制御部(11)は、通信コントローラ(8)からの起動信号を受信待機するスリープモードと、RFIDタグ(1)を制御する制御モードにモード変更可能に構成されており、
通信コントローラ(8)は、リーダライタ(3)から送信される動作指令を受信待機する待機モードと、リーダライタ(3)との間で無線通信を行う通信モードにモード変更可能に構成されており、
通信コントローラ(8)は、動作指令を受信して待機モードから通信モードへとモード変更した際に、制御部(11)に向かって起動信号を出力するように構成されており、
表示体(9)の表示内容の書き換えに対応する動作指令には、通信コントローラ(8)が備える記憶部(19)にフラグを格納するフラグ格納指示が含まれており、
制御部(11)は、通信コントローラ(8)から起動信号を受けて、スリープモードから制御モードへとモード変更したとき、通信コントローラ(8)の記憶部(19)にフラグが格納されているか否かを判別し、フラグが格納されている場合に、表示ユニット(U)への電力の供給をオフ状態からオン状態に切り換えることを特徴とするRFIDタグシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の情報表示装置では、リーダライタから送信された表示情報が更新された場合のみバッテリーの電力を表示部に供給する。そのため、表示内容の更新を伴わない情報がリーダライタから送信された場合には、表示部に電力が供給されることがなく、表示部でバッテリーが無駄に消費されるのを防ぐことができる。
【0005】
特許文献1の情報表示装置のように、7個の表示電極の表示、あるいは非表示を組合わせて表示する表示部では、リーダライタから送信される情報のデータ容量が小さいため、UHFチップが備えるメモリの容量も比較的小さな容量であっても動作が可能である。しかし、表示部が、例えば情報量が大きな電子ペーパーなどで構成してある場合には、リーダライタから送信される表示情報のデータ容量も大きくなる。そのため、データ容量の大きな表示情報を記憶させるために、メモリの容量が大きなUHFチップを使用する必要がある。従って、メモリの容量が大きい分UHFチップが高価となって、情報表示装置の製造コストが高くつく。また、容量の大きな表示情報の全部をメモリに記憶させた後に表示情報の更新確認を行わなければならないので、表示部への電力の供給などの次動作に移行するための応答時間が長くなる不利もある。
【0006】
本発明の目的は、表示体が表示できる情報量に係わらず、小さなデータ容量の通信を行うだけで表示ユニットへの電力供給のオン・オフ状態を制御でき、従って、通信コントローラの記憶部の容量が小さい分だけ製造コストが少なくて済むRFIDタグ、およびRFIDタグシステムを提供することにある。
本発明の目的は、表示ユニットへの電力供給のオン・オフ状態の切り換えを素早く判断して短時間で次動作に移行できる、応答性に優れたRFIDタグ、およびRFIDタグシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外部との無線通信を担う通信コントローラ8と、情報が表示される不揮発性表示媒体である表示体9を含む表示ユニットUと、RFIDタグ1の全体の制御を行う制御部11と、少なくとも制御部11と表示ユニットUに対して電力を供給する電源13とを備えるRFIDタグを対象とする。制御部11は、通信コントローラ8からの起動信号を受信待機するスリープモードと、RFIDタグ1を制御する制御モードにモード変更可能に構成されている。通信コントローラ8は、外部から送信される動作指令を受信待機する待機モードと、外部との間で無線通信を行う通信モードにモード変更可能に構成されている。通信コントローラ8は、動作指令を受信して待機モードから通信モードへとモード変更した際に、制御部11に向かって起動信号を出力するように構成されている。表示体9の表示内容の書き換えに対応する動作指令には、通信コントローラ8が備える記憶部19にフラグを格納するフラグ格納指示が含まれている。制御部11は、通信コントローラ8から起動信号を受けて、スリープモードから制御モードへとモード変更したとき、通信コントローラ8の記憶部19にフラグが格納されているか否かを判別し、フラグが格納されている場合には、表示ユニットUへの電力の供給をオフ状態からオン状態に切り換えることを特徴とする。
【0008】
本発明における「不揮発性表示媒体」とは、表示の書き換え時のみ僅かな電力を消費し、表示の書き換え後は電力を消費することなく、あるいはごく僅かな電力消費で表示内容を保持できる表示媒体のことを意味する。具体的には、電子ペーパーや電子ペーパーと同様の利点を備えた有機ELディスプレイが不揮発性表示媒体に相当する。
【0009】
電源13から表示ユニットUへ電力を供給する給電回路に、前記給電回路を開閉するスイッチ14を設ける。制御部11でスイッチ14をオン・オフして、表示ユニットUへの電力の供給をオン・オフする。
【0010】
表示体9は電子ペーパーで構成する。
【0011】
また、本発明は、RFIDタグ1と、ホスト端末2と、ホスト端末2に制御されてRFIDタグ1と無線通信を行うリーダライタ3とを含む、RFIDタグシステムを対象とする。RFIDタグ1は、リーダライタ3との無線通信を担う通信コントローラ8と、情報が表示される不揮発性表示媒体である表示体9を含む表示ユニットUと、リーダライタ3から通信コントローラ8へ送信された制御指令に基づいてRFIDタグ1の全体の制御を行う制御部11と、少なくとも制御部11と表示ユニットUに対して電力を供給する電源13とを備えている。制御部11は、通信コントローラ8からの起動信号を受信待機するスリープモードと、RFIDタグ1を制御する制御モードにモード変更可能に構成されている。通信コントローラ8は、リーダライタ3から送信される動作指令を受信待機する待機モードと、リーダライタ3との間で無線通信を行う通信モードにモード変更可能に構成されている。通信コントローラ8は、動作指令を受信して待機モードから通信モードへとモード変更した際に、制御部11に向かって起動信号を出力するように構成されている。表示体9の表示内容の書き換えに対応する動作指令には、通信コントローラ8が備える記憶部19にフラグを格納するフラグ格納指示が含まれている。制御部11は、通信コントローラ8から起動信号を受けて、スリープモードから制御モードへとモード変更したとき、通信コントローラ8の記憶部19にフラグが格納されているか否かを判別し、フラグが格納されている場合に、表示ユニットUへの電力の供給をオフ状態からオン状態に切り換えることを特徴とする。
【0012】
電源13から表示ユニットUへ電力を供給する給電回路に、前記給電回路を開閉するスイッチ14を設ける。制御部11でスイッチ14をオン・オフして、表示ユニットUへの電力の供給をオン・オフする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るRFIDタグにおいては、通信コントローラ8が外部からの動作指令を受信して待機モードから通信モードへとモード変更した際に、起動信号を制御部11へ出力して、制御部11をスリープモードから制御モードへとモード変更するようにした。また、制御部11が制御モードに切換った状態では、通信コントローラ8の記憶部19に動作指令に含まれたフラグ格納指示によるフラグが格納されているか否かを判別し、フラグが格納されている場合に、表示ユニットUへの電力の供給をオフ状態からオン状態に切り換えるようにした。
【0014】
このように、制御部11が記憶部19におけるフラグの有無により表示ユニットUへの電力の供給のオン・オフ状態を制御部11で切り換えるようにすると、表示情報の全部を送信して表示部への電力の供給を制御する従来形態に比べて、常に小さいデータ容量の通信を行うだけで表示ユニットUへの電力供給のオン・オフを制御できる。これにより、表示体9が表示できる情報量に係わらず、小さなデータ容量の通信を行うだけで表示ユニットUへの電力供給のオン・オフを制御でき、従って、通信コントローラ8の記憶部19の容量が小さい分だけ製造コストが少なくて済むRFIDタグ1を提供できる。また、動作指令のデータ容量が小さい分、外部からの送信時間を短縮することができるので、表示ユニットUへの電力供給のオン・オフ状態の切り換えを素早く判断して短時間で次動作に移行でき、従って、応答性に優れたRFIDタグ1を提供できる。なお、「動作指令」は、通信コントローラ8のモードを変更する指示であるのでデータ容量は小さく、この動作指令にフラグ格納指示を含めたとしてもそのデータ容量の増加は僅かである。
【0015】
電源13から表示ユニットUへ電力を供給する給電回路に、前記給電回路を開閉するスイッチ14を設け、制御部11でスイッチ14をオン・オフして、表示ユニットUの給電状態を制御するようにした。これによれば、例えば、表示ユニットUが表示体9に加えて表示体9の動作を制御する機器を備える場合、あるいは2個以上の表示体9を備える場合でも、1個のスイッチ14で表示ユニットUへの電力の供給をオン・オフすることができるので、RFIDタグ1の構成を簡素化でき、さらに製造コストを抑えることができる。
【0016】
表示体9を電子ペーパーで構成したRFIDタグによれば、電力を消費することなく、つまり表示ユニットUへの電力の供給がオフ状態であっても表示内容を保持することができ、また、表示内容の書き換え時の消費電力が僅かであるので、表示体9で消費される電源13の電力の低減化を図ることができる。
【0017】
また、本発明に係るRFIDタグシステムにおいては、通信コントローラ8がリーダライタ3からの動作指令を受信して待機モードから通信モードへとモード変更した際に、起動信号を制御部11へ出力して、制御部11をスリープモードから制御モードへとモード変更するようにした。また、制御部11が制御モードに切換った状態では、通信コントローラ8の記憶部19に動作指令に含まれたフラグが格納されているか否かを判別し、フラグが格納されている場合に、表示ユニットUへの電力の供給をオフ状態からオン状態に切り換えるようにした。
【0018】
このように、制御部11が記憶部19におけるフラグの有無により表示ユニットUへの電力供給のオン・オフ状態を制御部11で切り換えるようにすると、表示情報の全部を送信して表示部への電力の供給を制御する従来形態に比べて、常に小さいデータ容量の送信を行うだけで表示ユニットUへの電力供給のオン・オフ状態を制御できる。これにより、表示体9が表示できる情報量に係わらず、小さなデータ容量の通信を行うだけで表示ユニットUへの電力供給のオン・オフ状態を制御でき、従って、通信コントローラ8の記憶部19の容量が小さい分だけ製造コストが少なくて済むRFIDタグシステムを提供できる。また、動作指令のデータ容量が小さい分、リーダライタ3からの送信時間を短縮することができるので、表示ユニットUへの電力供給のオン・オフ状態の切り換えを素早く判断して短時間で次動作に移行でき、従って、応答性に優れたRFIDタグシステムを提供できる。
【0019】
電源13から表示ユニットUへ電力を供給する給電回路に、前記給電回路を開閉するスイッチ14を設け、制御部11でスイッチ14をオン・オフして、表示ユニットUの給電状態を制御するようにした。これによれば、例えば、表示ユニットUが表示体9に加えて表示体9の動作を制御する機器を備える、あるいは2個の表示体9を備える場合でも、1個のスイッチ14で表示ユニットUへの電力の供給をオン・オフすることができるので、RFIDタグ1の構成を簡素化でき、さらにRFIDタグシステム全体のコストを抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施例)
図1から
図4に、本発明に係るRFIDタグ、およびRFIDタグシステムの実施例を示す。本実施例における前後、左右、上下とは、
図2に示す矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図1において、RFIDタグシステムは、RFIDタグ1と、パーソナルコンピュータなどで構成されるホスト端末2と、ホスト端末2に接続される複数のリーダライタ3などで構成される。
【0022】
リーダライタ3は、ホスト端末2からの制御信号などに基づいて、RFIDタグ1の通信コントローラ8との間で非接触の無線通信を行う。かかるリーダライタ3と通信コントローラ8との間の無線通信には、UHF周波数帯(920MHz)の電波を使用する。これにより、NFC(Near Field Communication)を使用して無線通信を行う場合に比べて通信距離を大きくすることができる。符号4は、無線通信用の送信波を送信し、或いはRFIDタグ1からの反射波を受信するリーダライタ3のアンテナを示す。アンテナ4はバッチアンテナで構成されている。なお、リーダライタ3とホスト端末2との間のデータ通信は、有線や無線のLANのほか、インターネット、或いは携帯電話回線を介して行うことができる。リーダライタ3との無線通信が確立できる範囲にあるRFIDタグ1は、リーダライタ3から放射された送信波を通信コントローラ8が受信することにより動作する。
【0023】
図1に示すように、RFIDタグ1は、リーダライタ3との間で無線通信を担う通信コントローラ8と、各種の情報が表示される電子ペーパー(不揮発性表示媒体)である表示体9と、表示体9を制御する表示ドライバ10と、RFIDタグ1全体の制御を行うタグコントローラ(制御部)11と、各種データ情報が記憶される記憶部12と、表示体9、およびタグコントローラ11などに電力を供給する一次電池(電源)13とを有する。表示体9と表示ドライバ10とは表示ユニットUを構成しており、表示ドライバ10は、タグコントローラ11からの制御信号を受けて、表示体9の表示内容の表示、および消去などを行う。表示ユニットUは、一次電池13から電力の供給を受けて駆動される。一次電池13から表示ユニットUへ電力を供給する給電回路には、前記給電回路を開閉するスイッチ14が設けられており、このスイッチ14をオン・オフして表示ユニットUの給電状態を制御する。なお、スイッチ14には、耐久性の理由から、FETなどの半導体スイッチを使用することが好ましい。通信コントローラ8、表示ドライバ10、タグコントローラ11、一次電池13、およびスイッチ14などは、基板15(
図1参照)に実装されている。
【0024】
図2に示すようにRFIDタグ1を構成するタグ本体16は、後面に開口を有する浅い皿状の前ケース16aと、前ケース16aの後面開口を塞ぐように固定した後ケース16bとからなり、これら前後のケース16a・16bの間に、表示体9および基板15などが収納されている。前ケース16aの前壁には、表示体9の表示面をタグ本体16の外面から視認するための横長長方形状の窓16cが設けられている。
【0025】
通信コントローラ8は、リーダライタ3からの無線通信用の送信波を受信し、或いは反射波を送信するアンテナ18を備える。アンテナ18は折返しダイポールアンテナで構成されている。通信コントローラ8は、リーダライタ3から送信された指令に基づき、タグコントローラ11にデータを送信し、あるいはリーダライタ3と通信を行う。
【0026】
通信コントローラ8は記憶部19を備えており、その記憶領域は、システム領域とユーザー領域とに区分されている。システム領域には、通信コントローラ8固有の識別コードと、リーダライタ3との無線通信を制御するプログラムとが格納されており、これにより、通信コントローラ8は単独でRFIDタグの機能を発揮する。また、システム領域にはタグコントローラ11との通信を制御するプログラムが格納されている。ユーザー領域は、通信コントローラ8がタグコントローラ11と通信を行う際に、リーダライタ3から送信されたデータを一時的に格納するために使用される。
【0027】
通信コントローラ8は、一次電池13の電力を利用することなくリーダライタ3からの送信波を受信待機する待機モードと、一次電池13の電力を利用してリーダライタ3との間で無線通信を行う通信モードにモード変更可能に構成されている。ホスト端末2からリーダライタ3を介して送信される動作指令をアンテナ18で受信することにより、通信コントローラ8は待機モードから通信モードへとモード変更する。このモード変更に伴い、通信コントローラ8はタグコントローラ11に向かって起動信号を出力する。
【0028】
動作指令には、書き換え用動作指令と、メンテナンス用動作指令の2種の動作指令がある。書き換え用動作指令は、表示体9の表示内容の書き換えを伴う動作に対応しており、メンテナンス用動作指令は、記憶部12に格納されている画像データのデータ更新などの表示体9の表示内容の書き換えを伴わない動作に対応している。両動作指令には、通信コントローラ8のモードを変更するモード変更指示が含まれており、書き換え用動作指令には、モード変更指示に加えて通信コントローラ8の記憶部19にフラグを格納するフラグ格納指示が含まれている。フラグ格納指示を受信した通信コントローラ8は、記憶部19のユーザー領域にフラグを格納する。なお、モード変更指示は、通信コントローラ8のモードを変更するだけの指示であるのでデータ容量は小さく、この動作指令にフラグ格納指示を含めたとしてもそのデータ容量の増加は僅かである。従って、コストが少なくて済む比較的容量が小さな記憶部19を備えた通信コントローラ8であっても搭載することができる。
【0029】
表示体9の表示内容の書き換えなどの動作を含むRFIDタグ1の全体はタグコントローラ11で制御される。タグコントローラ11は、一次電池13の僅かな電力を利用して通信コントローラ8からの起動信号を受信待機するスリープモードと、一次電池13の電力を利用してRFIDタグ1を制御する制御モードにモード変更可能に構成されている。通信コントローラ8から出力された起動信号を受信したタグコントローラ11は、スリープモードから制御モードへとモード変更する。
【0030】
記憶部12の記憶領域は、システム領域と画像データ領域とデータ格納領域とに区分されている。システム領域には、RFIDタグ1の全体を制御するためのプログラムが格納されており、このプログラムに基づいてタグコントローラ11はRFIDタグ1を制御する。画像データ領域には、表示画像データの基となる各種文字や記号で構成されるベース画像データと、文字、数字、記号、図形などの複数個の定型画像データが格納されている。各ベース画像データ、および定型画像データには、画像データを特定するためのコードが割り当てられている。表示体9の表示内容を書き換える動作を行うとき、タグコントローラ11は、表示内容を書き換えるための制御指令に格納されたコードに基づいて画像データを読み出し、表示ドライバ10を介して、表示体9の所定の座標位置にベース画像と定型画像を重畳的に表示することで、表示体9に文字などを白黒表示することができる。データ格納領域には、リーダライタ3から送信された各種データなどが格納される。
【0031】
スイッチ14のオン・オフは、タグコントローラ11で制御されており、通常においてはオフ状態である。スイッチ14は、タグコントローラ11がスリープモードから制御モードへとモード変更したとき、通信コントローラ8の記憶部19にフラグが格納されているか否かを判別し、フラグが格納されている場合に、スイッチ14をオン状態に切り換える。これにより、表示ユニットUへの電力の供給がオン状態に切り換えられ、一次電池13の電力が供給されて、表示体9の表示内容を書き換えることができる。また、タグコントローラ11は、表示ユニットUの書き換え動作が完了したことを確認したとき、スイッチ14をオフ状態に切り換える。これにより、表示ユニットUへの電力の供給がオフ状態に切り換えられ、一次電池13の電力の供給が遮断される。このように、記憶部19のフラグの有無により表示ユニットUへの電力供給のオン・オフ状態を切り換えるようにするので、表示体9の表示内容の書き換えを行う場合のみ、一次電池13からの電力を表示ユニットUに供給して、表示ユニットUで消費される電力の低減化を図ることができる。
【0032】
ここで、表示体9の表示内容の書き換え動作の流れを、
図3の動作フロー図を用いて説明する。まず、ホスト端末2を操作して動作を開始すると、ホスト端末2はリーダライタ3を制御して送信波の発信を開始し、通信コントローラ8に向けてフラグ格納指示を含む動作指令を送信する(S1)。このとき、通信コントローラ8は、アンテナ18がリーダライタ3から放射された送信波を受信した際の電波によって生じる起電力で起動し、待機モードから通信モードへとモード変更され(S2)、フラグ格納指示により記憶部19のユーザー領域にフラグを格納する(S3)。モード変更に伴い、通信コントローラ8はタグコントローラ11に向かって起動信号を送信し、タグコントローラ11はスリープモードから制御モードへとモードが変更される(S4)。制御モードへとモードが変更されたタグコントローラ11は、まず通信コントローラ8の記憶部19のフラグの有無を確認する(S5)。先の(S3)でフラグが格納されているので、タグコントローラ11は、表示体9の表示内容の書き換え動作を含む動作指令であると判断し、スイッチ14を切り換えて、表示ユニットUへの電力の供給をオン状態に切り換える(S6)。
【0033】
表示ユニットUへの電力の供給がオン状態に切り換わると、タグコントローラ11は、リーダライタ3に対してRFIDタグの識別コードを含む起動確認信号を送信するよう通信コントローラ8を制御して、RFIDタグ1が正常に起動したことをホスト端末2に知らせる(S7)。RFIDタグ1の起動を確認したホスト端末2は(S8)、書き換え動作を行う制御指令および画像データを生成するためのコードのデータ送信を開始する(S9)。データを受信した通信コントローラ8は、受信したデータを記憶部19に一時的に保持し(S10)、タグコントローラ11にデータを転送する(S11)。データを取得したタグコントローラ11はデータを記憶部12に格納する(S12)。このとき、通信コントローラ8の記憶部19のユーザー領域より大きな容量のデータがリーダライタ3から送信される場合には、データは複数回にわたってホスト端末2から通信コントローラ8に送信され、(S9)から(S12)の動作が繰り返される。
【0034】
制御指令および表示内容のデータをすべて取得したタグコントローラ11は、制御指令に基づいて、記憶部12に格納されているベース画像データおよび定型画像データを読み出して表示画像データを生成する。表示画像データを生成したのち、表示ドライバ10を制御して現在表示体9に表示されている表示画像データを消去し、新たに生成した表示画像データの画像を表示体9に表示して表示内容を書き換える(S13)。表示内容の書き換えが完了した信号を、タグコントローラ11が表示ドライバ10から受信すると、タグコントローラ11はスイッチ14をオフして、表示ユニットUへの電力の供給をオフ状態に切り換える(S14)。書き換え動作が完了すると、タグコントローラ11は、スリープモードへとモード変更される(S15)。これに伴い、通信コントローラ8は、記憶部19のユーザー領域に格納したフラグを消去したのち(S16)、リーダライタ3に書き換え完了の信号を送信し(S17)、通信モードから待機モードへとモードが変更される(S18)。書き換え動作の完了をホスト端末2が確認すると(S19)、ホスト端末2はリーダライタ3を制御して送信波の発信が停止される。
【0035】
次いで、表示体9の表示内容の書き換え動作を含まない、記憶部12に格納されている画像データの更新動作の流れを、
図4の動作フロー図を用いて説明する。まず、ホスト端末2を操作して動作を開始すると、ホスト端末2はリーダライタ3を制御して送信波の発信を開始し、通信コントローラ8に向けてフラグ格納指示を含まない動作指令を送信する(S21)。このとき、通信コントローラ8は、アンテナ18がリーダライタ3から放射された送信波を受信した際の起電力で起動し、待機モードから通信モードへとモード変更される(S22)。モード変更に伴い、通信コントローラ8はタグコントローラ11に向かって起動信号を送信し、タグコントローラ11はスリープモードから制御モードへとモードが変更される(S23)。制御モードへとモードが変更されたタグコントローラ11は、まず通信コントローラ8の記憶部19のフラグの有無を確認する(S24)。画像データの更新動作に係る動作指令では、記憶部19にフラグが格納されないため、タグコントローラ11は、スイッチ14をオンすることなく、表示ユニットUへ電力は供給されない。
【0036】
フラグの有無の確認後、タグコントローラ11は、リーダライタ3に向けてRFIDタグの識別コードを含む起動確認信号を送信するよう通信コントローラ8を制御して、RFIDタグ1が正常に起動したことをホスト端末2に知らせる(S25)。RFIDタグ1の起動を確認したホスト端末2は(S26)、データ更新動作を行う制御指令および更新画像データの送信を開始する(S27)。制御指令およびデータを受信した通信コントローラ8は、受信したデータを記憶部19に一時的に保持し(S28)、タグコントローラ11にデータを転送する(S29)。データを取得したタグコントローラ11はデータを記憶部12に格納して、画像データを更新する(S30)。このとき、上記の動作と同様に、通信コントローラ8の記憶部19のユーザー領域より大きな容量のデータがリーダライタ3から送信される場合には、データは複数回にわたって通信コントローラ8に送信され、(S27)から(S30)の動作が繰り返される。
【0037】
画像データの更新が完了すると、タグコントローラ11は、スリープモードへとモード変更される(S31)。これに伴い、通信コントローラ8は、リーダライタ3に書き換え完了の信号を送信し(S32)、通信モードから待機モードへとモードが変更される(S33)。更新動作の完了をホスト端末2が確認すると(S34)、ホスト端末2はリーダライタ3を制御して送信波の発信が停止される。
【0038】
図5および
図6に、表示体9の表示内容の書き換え動作の別の実施例を示す。本実施例では、まず、ホスト端末2を操作して動作を開始すると、ホスト端末2はリーダライタ3を制御して送信波の発信を開始し、通信コントローラ8に向けて通信コントローラ8のモード変更指示を含む起動指令の送信を開始する(S41)。この起動指令は、表示体9に表示すべき表示内容の画像データを生成する、書き換え準備動作を行うための指令であり、表示体9の表示内容を書き換える動作指示は含まれていない。起動指令を受信した通信コントローラ8は、アンテナ18がリーダライタ3から放射された送信波を受信した際の電波によって生じる起電力で起動し、待機モードから通信モードへとモード変更される(S42)。このモード変更に伴い、通信コントローラ8はタグコントローラ11に向かって起動信号を送信し、タグコントローラ11はスリープモードから制御モードへとモードが変更される(S43)。タグコントローラ11のモード変更を確認した通信コントローラ8は、リーダライタ3に向けてRFIDタグ1の識別コードを含む起動確認信号を送信する(S44)。
【0039】
RFIDタグ1の起動を確認したホスト端末2は(S45)、画像データの生成を行う制御指令および画像データを生成するためのコードのデータの送信を開始する(S46)。データを受信した通信コントローラ8は、受信したデータを記憶部19に一時的に保持し(S47)、タグコントローラ11にデータを転送する(S48)。データを取得したタグコントローラ11はデータを記憶部12に格納する(S49)。このとき、通信コントローラ8の記憶部19のユーザー領域より大きな容量のデータがリーダライタ3から送信される場合には、データは複数回にわたってホスト端末2から通信コントローラ8に送信され、(S46)から(S49)の動作が繰り返される。
【0040】
データをすべて取得したタグコントローラ11は、制御指令に基づいて、記憶部12に格納されているベース画像データおよび定型画像データを読み出して表示画像データを生成し、生成した表示画像データを記憶部12に格納する(S50)。記憶部12への表示画像データの格納が完了すると、タグコントローラ11は一旦スリープモードへとモードが変更される(S51)。タグコントローラ11のモード変更を確認した通信コントローラ8は、リーダライタ3にデータの取得および表示画像データの生成が完了した信号を送信し(S52)、通信モードから待機モードへとモードが変更される(S53)。
【0041】
データの取得および表示画像データの生成の完了を確認したホスト端末2は(S54)、通信コントローラ8に向けて表示体9の書き換え動作を行うためにフラグ格納指示を含む動作指令を送信する(S55)。通信コントローラ8は、先と同様にリーダライタ3から放射された送信波による起電力で起動し、待機モードから通信モードへとモード変更され(S56)、フラグ格納指示により記憶部19のユーザー領域にフラグを格納する(S57)。モード変更に伴い、通信コントローラ8はタグコントローラ11に向かって起動信号を送信し、タグコントローラ11はスリープモードから制御モードへとモードが変更される(S58)。動作指令により制御モードへとモードが変更されたタグコントローラ11は、通信コントローラ8の記憶部19のフラグの有無を確認する(S59)。先の(S57)で記憶部19のユーザー領域にはフラグが格納されているので、タグコントローラ11は、スイッチ14を切り換えて、表示ユニットUへの電力の供給をオン状態に切り換える(S60)。
【0042】
表示ユニットUへの電力の供給を確認したタグコントローラ11は、表示ドライバ10を制御して現在表示体9に表示されている表示画像データを消去し、先の書き換え準備動作で記憶部12に格納した表示画像データを表示体9に表示して表示内容を書き換える(S61)。表示内容の書き換えが完了した信号を、タグコントローラ11が表示ドライバ10から受信すると、タグコントローラ11はスイッチ14をオフして、表示ユニットUへの電力の供給をオフ状態に切り換える(S62)。書き換え動作が完了すると、タグコントローラ11は、スリープモードへとモードが変更される(S63)。これに伴い、通信コントローラ8は、記憶部19のユーザー領域に格納したフラグを消去したのち(S64)、リーダライタ3に書き換え完了の信号を送信し(S65)、通信モードから待機モードへとモードが変更される(S66)。書き換え動作の完了をホスト端末2が確認すると(S67)、ホスト端末2はリーダライタ3を制御して送信波の発信が停止される。
【0043】
上記のように、本実施例の書き換え動作では、まず、書き換え準備動作を行って表示体9に表示すべき画像データを生成し、次いで、表示ユニットUへの電力の供給をオン状態にして表示体9の表示内容を書き換えるようにした。先の実施例では、通信コントローラ8によるRFIDタグ1の起動確認送信のステップ(S7)からタグコントローラ11によるデータ取得および表示画像データの生成のステップ(S12)の間も表示ユニットUへは電力が供給されている。そのため、表示ユニットUの書き換え動作が実行されていないときでも、表示ユニットUは待機電力として一次電池13の電力を消費していた。しかし、本実施例の書き換え動作によれば、表示ユニットUへの電力の供給を、書き換え動作を行う直前にオン状態に切り換え、書き換えが完了したのちすぐにオフ状態に切り換えるので、一次電池13の電力が表示ユニットUの待機電力として消費されるのを解消して、RFIDタグ1の低消費電力化を実現できる。
【0044】
また、書き換え動作中に通信環境が不安定となり、RFIDタグ1とリーダライタ3との無線通信が遮断されるなどの通信エラーが発生することがある。本実施例の書き換え動作では、書き換え準備動作が終了したのち、表示ユニットUへの電力の供給をオン状態に切り換える。従って、書き換え準備動作において前記通信エラーが発生した場合でも、表示ユニットUへの電力の供給はオフ状態であるので、無駄に一次電池13の電力が消費されることがない。
【0045】
以上のように、本実施例のRFIDタグ、およびRFIDタグシステムにおいては、リーダライタ3(外部)からの動作指令に含まれるフラグ格納指示により記憶部19にフラグを格納し、フラグの有無により表示ユニットUへの電力の供給のオン・オフ状態をタグコントローラ11で切り換える。こうしたRFIDタグ、およびRFIDタグシステムによれば、表示情報の全部を送信して表示部への電力の供給を制御する従来形態に比べて、常に小さいデータ容量の送信を行うだけで表示ユニットUへの電力供給のオン・オフ状態を制御できる。これにより、表示体9が表示できる情報量に係わらず、小さなデータ容量の通信を行うだけで表示ユニットUへの電力供給のオン・オフ状態を制御でき、従って、通信コントローラ8の記憶部19の容量が小さい分だけ製造コストが少なくて済むRFIDタグ1、およびRFIDタグシステムを提供できる。また、動作指令のデータ容量が小さい分、リーダライタ3からの送信時間を短縮することができるので、表示ユニットUへの電力供給のオン・オフ状態の切り換えを素早く判断して短時間で次動作に移行でき、従って、応答性に優れたRFIDタグ1、およびRFIDタグシステムを提供できる。
【0046】
一次電池13から表示ユニットUへ電力を供給する給電回路に、前記給電回路を開閉するスイッチ14を設け、タグコントローラ11でスイッチ14をオン・オフして、表示ユニットUの給電状態を制御するので、本実施例のように、表示ユニットUが表示体9と表示ドライバ10で構成されている場合でも、1個のスイッチ14で表示ユニットUへの電力の供給をオン・オフすることができる。従って、RFIDタグ1の構成を簡素化でき、さらにRFIDタグ1の製造コスト、およびRFIDタグシステム全体のコストを抑えることができる。
【0047】
表示体9を電子ペーパーで構成したRFIDタグによれば、電力を消費することなく、つまり表示ユニットUへの電力の供給がオフ状態であっても表示内容を保持することができ、また、表示内容の書き換え時の消費電力が僅かであるので、表示体9で消費される一次電池13の電力の低減化を図ることができる。
【0048】
上記の実施例では、電源13を一次電池で構成したが、電源13は二次電池で構成してもよい。この場合には、表示ユニットUで消費される電力が低減化されている分、充電間隔を大きくすることができるので、RFIDタグ1のメンテナンスの手間を軽減できる。表示ユニットUは、1個に限らず複数個設けてもよい。例えば3個の表示ユニットUを設けた場合には、各表示ユニットUに電力を供給する給電回路に、それぞれスイッチ14を設け、リーダライタ3から送信される動作指令には、各表示ユニットUに対応したフラグ格納指示を含むようにする。フラグの有無を確認したタグコントローラ11は、フラグに対応する表示ユニットUのスイッチを14をオンして表示ユニットUへの電力の供給をオン状態に切り換える。