(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502162
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】ウェブ材料加工装置および加工方法
(51)【国際特許分類】
B65H 23/18 20060101AFI20190408BHJP
B65H 20/04 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
B65H23/18
B65H20/04
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-97358(P2015-97358)
(22)【出願日】2015年5月12日
(65)【公開番号】特開2016-210585(P2016-210585A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110859
【氏名又は名称】キヤノンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100148987
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 礼子
(72)【発明者】
【氏名】外村 幸博
(72)【発明者】
【氏名】木村 友彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 教弘
【審査官】
西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−309458(JP,A)
【文献】
実開昭59−081532(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 23/00 − 23/34
B65H 26/00 − 26/08
B65H 20/00 − 20/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側から下流側へ搬送されているウェブ材料に対して加工を行う加工ユニットを有するウェブ材料加工装置であって、
前記ウェブ材料を上流側から下流側へ搬送させるウェブ搬送手段と、
前記加工ユニットの移動を行う移動手段と、
加工ユニットの移動許容範囲内において、上流側から下流側へのウェブ材料搬送中に、そのウェブ材料をその搬送方向と逆方向に移動させる逆方向移動手段と、
少なくとも加工ユニットの移動許容範囲で、ウェブ材料の搬送速度と、加工ユニットの上流側から下流側への移動速度とを合わせる同期手段と、
前記同期手段にて、ウェブ材料の搬送速度と、加工ユニットの上流側から下流側への移動速度とを合わせた状態で、加工ユニットのウェブ材料への加工を行う指令を行う指令手段とを備え、
前記逆方向移動手段は、上流側ローラ群の可動ローラと下流側ローラ群の可動ローラとを有するローラ機構と、ローラ機構の各可動ローラをウェブ材料搬送方向の下流側から上流側へ移動させる移動機構とを備え、前記ウェブ搬送手段による、上流側から下流側へのウェブ材料搬送中に、前記各可動ローラを下流側から上流側へ移動させることによって、ウェブ材料をその搬送方向と逆方向に移動させることを特徴とするウェブ材料加工装置。
【請求項2】
前記ウェブ材料を上流側から下流側へ搬送するウェブ材料搬送手段を備え、このウェブ材料搬送手段は、複数のローラを有するローラ機構にて構成され、少なくとも加工ユニットの移動許容範囲内において、ウェブ材料が水平方向に沿って搬送されるように案内するガイドローラを具備することを特徴とする請求項1に記載のウェブ材料加工装置。
【請求項3】
ウェブ材料搬送手段にて搬送されているウェブ材料に対して加工ユニットにて加工を行うウェブ材料加工方法であって、
加工ユニットは、設定される移動許容範囲内において、ウェブ材料搬送方向の上流側から下流側への移動と、前記ウェブ材料搬送方向の下流側から上流側への移動とが可能であり、
上流側から下流側へのウェブ材料搬送中に、上流側ローラ群の可動ローラと下流側ローラ群の可動ローラとを有するローラ機構と、ローラ機構の各可動ローラをウェブ材料搬送方向の下流側から上流側へ移動させる移動機構とを備えた逆方向移動手段における、前記各可動ローラを下流側から上流側へ移動させることにより、ウェブ材料をその搬送方向と逆方向に移動させつつ、少なくとも加工ユニットの移動許容範囲内において、ウェブ材料搬送手段にて搬送されているウェブ材料の搬送速度と、加工ユニットの上流側から下流側への移動速度とを合わせた状態で、加工ユニットによるウェブ材料への加工を行うことを特徴とするウェブ材料加工方法。
【請求項4】
搬送中の加工ユニットの移動速度がウェブ材料の搬送速度の1/2であることを特徴とする請求項3に記載のウェブ材料加工方法。
【請求項5】
加工ユニットの移動方向と逆方向へウェブ材料を移動させるユニットと、加工ユニットとを連動させることにより、反力を打消し合い装置振動成分を小さくし、前記逆方向へウェブ材料を移動させるユニットは、上流側ローラ群の可動ローラと下流側ローラ群の可動ローラとを有することを特徴とする請求項4に記載のウェブ材料加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ材料加工装置および加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウェブ材料(フィルム、非鉄金属、不織布などのシート状素材)に対して、塗布、転写、切断(切り抜き)等の種々の加工を施す場合がある。すなわち、特許文献1には、薄型電池及びその製造方法が記載され、特許文献2には、ウェブ搬送装置およびインクジェットプリンタが記載され、特許文献3には、フィーダおよびプレス機が記載されている。
【0003】
特許文献1は、リチウム一次電池の製造方法であって、塗布工程、乾燥工程、及び切断工程を備えたものである。この場合、塗布工程及び乾燥工程では、ウェブ材料を搬送した状態で行い、切断工程では、ウェブ材料の搬送を停止して行うものである。
【0004】
また、特許文献2では、記録媒体(ウェブ材料)が搬送されている間に、インクジェットプリンタが画像形成動作を行うものである。特許文献3では、板状の被加工材料にプレス機にて、曲げ加工や、打ち抜き加工等を行うものである。
【0005】
そして、このようなウェブ材料加工装置として、従来では、
図4に示すように、ウェブ材料Wを上流側から下流側へ搬送するウェブ材料搬送手段51と、ウェブ材料搬送手段51にて搬送されているウェブ材料Wに対して加工を行う加工ユニット52と、設定された移動許容範囲H内で、ウェブ材料搬送方向の上流側から下流側への加工ユニット52の移動と、前記ウェブ材料搬送方向の下流側から上流側への加工ユニット52の移動とを行う移動手段53と、少なくとも加工ユニット52の移動許容範囲で、ウェブ材料Wの搬送速度と、加工ユニット52の上流側から下流側への移動速度とを合わせる同期手段(図示省略)と、ウェブ材料Wの搬送速度と、加工ユニット52の上流側から下流側への移動速度とが合ったウェブ材料搬送状態で、加工ユニット52のウェブ材料Wへの加工を行わせる指令手段(図示省略)とを備えたものが提案されている。
【0006】
ウェブ材料搬送手段51は、複数のローラを有するローラ機構60にて構成される。すなわち、ウェブ材料Wが巻設されてそのウェブ材料Wを巻き出す巻出ローラ61と、ウェブ材料Wを巻き取る巻取ローラ62と、巻出ローラ61から巻き出されたウェブ材料Wを加工ユニット52に案内するガイドローラ63、64を有する上流側ローラ群67と、加工ユニット52にて加工されたウェブ材料Wを、巻取ローラ62に案内するガイドローラ65,66を有する下流側ローラ群68とを備える。
【0007】
巻出ローラ61が矢印A方向に回転するとともに、巻取ローラ62が矢印B方向に回転する。このため、巻出ローラ61に巻設されたウェブ材料Wは、矢印C1のように巻き出されて、ガイドローラ63、64にてガイド(案内)されて、加工ユニット52を通過し、ガイドローラ65,66にてガイド(案内)されて、矢印C1のように巻取ローラ62にて巻き取られることになる。
【0008】
加工ユニット52は、上型71と、下型72と、上型71と下型72とを連結する連結バー73とを有するものであって、リニアガイド機構74上に配置されている。このため、加工ユニット52は、リニアガイド機構74のガイドレールに沿って、ウェブ材料搬送方向の上流側から下流側への移動と、前記ウェブ材料搬送方向の下流側から上流側への移動とが可能となっている。
【0009】
前記
図4に示すウェブ材料加工装置によれば、ウェブ材料Wの搬送速度と、加工ユニット52の上流側から下流側への移動速度とを合わせた状態で、加工ユニット52のウェブ材料Wへの加工を行わせることができるので、加工ユニット52によるウェブ材料Wに対する加工位置は、位置ずれしない状態とすることができた。このため、ウェブ材料Wの搬送を停止させることなく、ウェブ材料Wの被加工部位に対して加工ユニット52にて加工することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−344518号公報
【特許文献2】特開2004−91151号公報
【特許文献3】特開2011−88193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1の切断工程や特許文献3では、ウェブ材料の搬送の一時停止を行う必要がある。このため、停止させることによって、生産性に劣るとともに、搬送を停止する場合、その被加工部位を高精度に所定位置で停止させる必要があり、制御性にも問題があった。
【0012】
また、特許文献1の塗布工程及び乾燥工程や特許文献2ではウェブ材料の走行(搬送)動作を停止させずに、各種の加工を行うことができるものであって、生産性の向上を図ることができる。しかしながら、ウェブ材料が走行するものであるので、加工種類によってはできないものある。
【0013】
また、前記
図4に記載のウェブ材料加工装置では、高速化していくとウェブ材料の被加工部位と加工ユニットとの位置を保つことが難しくなり、良好な加工精度が得られなくなった。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みて、効率よく、しかも高精度にウェブ材料に対して行うべき加工を行うことができるウェブ材料加工装置及びウェブ材料加工方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のウェブ材料加工装置は、上流側から下流側へ搬送されているウェブ材料に対して加工を行う加工ユニットを有するウェブ材料加工装置であって、
前記ウェブ材料を上流側から下流側へ搬送させるウェブ搬送手段と、前記加工ユニットの移動を行う移動手段と、加工ユニットの移動許容範囲内において、上流側から下流側へのウェブ材料搬送中に、そのウェブ材料をその搬送方向と逆方向に移動させる逆方向移動手段
と、少なくとも加工ユニットの移動許容範囲で、ウェブ材料の搬送速度と、加工ユニットの上流側から下流側への移動速度とを
合わせる同期手段と、前記同期手段にて、ウェブ材料の搬送速度と、加工ユニットの上流側から下流側への移動速度とを合わせた状態で、
加工ユニットのウェブ材料への加工を行う指令を行う指令手段とを備え、前記逆方向移動手段は、上流側ローラ群の可動ローラと下流側ローラ群の可動ローラとを有するローラ機構と、ローラ機構の各可動ローラをウェブ材料搬送方向の下流側から上流側へ移動させる移動機構とを備え、前記ウェブ搬送手段による、上流側から下流側へのウェブ材料搬送中に、前記各可動ローラを下流側から上流側へ移動させることによって、ウェブ材料をその搬送方向と逆方向に移動させるものである。
【0016】
本発明のウェブ材料加工装置によれば、少なくとも加工ユニットの移動許容範囲内において、上流側から下流側へのウェブ材料搬送中に、そのウェブ材料をその搬送方向と逆方向に移動させる逆方向移動手段を備えることで、搬送されているウェブ材料の加工ユニットとの移送速度との相対的な関係において、加工ユニットの速度を逆方向移動手段を有さないものに比べて遅くすることができる。これにより、効率よくしかも高精度にウェブ材料に対して行うことができる。
【0017】
前記ウェブ材料を上流側から下流側へ搬送するウェブ材料搬送手段を備え、このウェブ材料搬送手段は、複数のローラを有するローラ機構にて構成され、少なくとも加工ユニットの移動許容範囲内において、ウェブ材料が水平方向に沿って搬送されるように案内するガイドローラを具備するものであってもよい。
【0018】
ウェブ材料搬送手段を、複数のローラを有するローラ機構にて構成することによって、簡単な構成で安定してウェブ材料を搬送することができる。しかも、少なくとも加工ユニットの移動許容範囲内では、ウェブ材料が水平方向に沿って搬送されるものであり、加工ユニットの移動方向としても、水平方向に沿った移動となる。
【0020】
本発明のウェブ材料加工方法は、
ウェブ材料搬送手段にて搬送されているウェブ材料に対して加工ユニットにて加工を行うウェブ材料加工方法であって、加工ユニットは、設定される移動許容範囲内において、ウェブ材料搬送方向の上流側から下流側への移動と、前記ウェブ材料搬送方向の下流側から上流側への移動とが可能であり、上流側から下流側へのウェブ材料搬送中に、
上流側ローラ群の可動ローラと下流側ローラ群の可動ローラとを有するローラ機構と、ローラ機構の各可動ローラをウェブ材料搬送方向の下流側から上流側へ移動させる移動機構とを備えた逆方向移動手段における、前記各可動ローラを下流側から上流側へ移動させることにより、ウェブ材料をその搬送方向と逆方向に移動させつつ、少なくとも加工ユニットの移動許容範囲内において、
ウェブ材料搬送手段にて搬送されているウェブ材料の搬送速度と、加工ユニットの上流側から下流側への移動速度とを合わせた状態で、加工ユニットによるウェブ材料への加工を行うものである。
【0021】
本発明のウェブ材料加工方法によれば、搬送されているウェブ材料の加工ユニットとの移送速度との相対的な関係において、加工ユニットの速度を逆方向移動手段を有さないものに比べて遅くすることができる。この際、加工ユニットの移動速度がウェブ材料の搬送速度の1/2であるように設定でき、加工ユニットと逆方向へ移動させるユニット
(上流側ローラ群の可動ローラと下流側ローラ群の可動ローラとを有するユニット)とを連動させることにより、反力を打消し合い装置振動成分(要因)を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、搬送中のウェブ材料を、その搬送方向と逆方向に移動させるものであり、加工ユニットをウェブ材料の搬送速度に合わせる際における加工ユニットの振動を比較的小さくなるように抑制でき、また、加工ユニットの移動速度を抑えることができるので、ウェブ材料と加工ユニットとの速度同期性の向上を図ることができる。このため、加工精度の向上を図ることができる。さらには、加工ユニットの移動距離を小さくでき、加工ユニットを移動させるにも関わらず、装置全体のスペースを小さく設定できる。
【0023】
ウェブ材料搬送手段を、複数のローラを有するローラ機構にて構成することによって、簡単な構成で安定してウェブ材料を搬送することができる。しかも、少なくとも加工ユニットの移動許容範囲内では、ウェブ材料が水平方向に沿って搬送されるものであり、加工ユニットの移動方向としても、水平方向に沿った移動となって、制御性の向上を図ることができ、しかも、加工ユニットの移動機構の簡略化を図ることができる。
【0024】
逆方向移動手段が、前記ガイドローラをウェブ材料の搬送方向と逆方向に移動させる機構であれば、逆方向移動手段の機構の簡略化を図ることができる。この場合、加工ユニットの移動速度がウェブ材料の搬送速度の1/2であるように設定できる。このように設定すれば、加工ユニットの移動速度を、搬送中のウェブ材料をその搬送方向と逆方向に移動させない場合に比べて、1/2にすることができ、安定した加工を継続することができる。また、装置振動成分(要因)を小さくすることができ、安定したウェブ材料の搬送が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明のウェブ材料搬送装置の簡略図である。
【
図2】前記
図1のウェブ材料搬送装置の簡略構成図である。
【
図3】前記
図1のウェブ材料搬送装置を用いたウェブ材料搬送方法のフローチャート図である。
【
図4】従来の第2のウェブ材料搬送装置の簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下本発明の実施の形態を
図1〜
図3に基づいて説明する。
【0027】
図1と
図2とは本発明に係るウェブ材料加工装置を示し、このウェブ材料加工装置は、
ウェブ材料Wを上流側から下流側へ搬送するウェブ材料搬送手段1と、ウェブ材料搬送手段1にて搬送されているウェブ材料Wに対して加工を行う加工ユニット2と、加工ユニット2の移動を行う移動手段3と、ウェブ材料Wの搬送速度と、加工ユニット2の移動速度とを合わせる同期手段4と、加工ユニットのウェブ材料Wへの加工を行わせる指令手段5とを備える。ウェブ材料Wとしては、フィルム、非鉄金属、不織布などのシート状素材である。加工ユニット2としては、塗布、転写、切断(型抜き)等の種々の加工を施すユニットである。
【0028】
ウェブ材料搬送手段1は、複数のローラを有するローラ機構10にて構成される。すなわち、ウェブ材料Wが巻設されてそのウェブ材料Wを巻き出す巻出ローラ11と、ウェブ材料Wを巻き取る巻取ローラ12と、巻出ローラ11から巻き出されたウェブ材料Wを加工ユニット2に案内する上流側ローラ群17と、加工ユニット2にて加工されたウェブ材料Wを巻取ローラ12に案内する下流側ローラ群18とを備える。この場合の上流側ローラ群17は、一対の固定ローラ30,31と、可動ローラ32とを有し、下流側ローラ群18も、一対の固定ローラ33,34と、可動ローラ35とを有する。
【0029】
巻出ローラ11には図示の巻出用モータ(巻出制御モータ)が付設されるとともに、巻取ローラ12には図示の巻取用モータ(巻取制御モータ)が付設されている。このため、巻出用モータ及び巻取用モータの駆動によって、巻出ローラ11が矢印A方向に回転するとともに、巻取ローラ12が矢印B方向に回転する。このため、巻出ローラ11に巻設されたウェブ材料Wは、矢印C1のように巻き出されて、上流側ローラ群17にてガイド(案内)されて、加工ユニット2を通過し、下流側ローラ群18にてガイド(案内)されて、矢印C1のように巻取ローラ12にて巻き取られることになる。
【0030】
加工ユニット2は、上型21と、下型22と、上型21と下型22とを連結する連結バー23とを有するものであって、リニアガイド機構24上に配置されている。このため、加工ユニット2は、リニアガイド機構24のガイドレールに沿って、ウェブ材料搬送方向の上流側から下流側への移動と、前記ウェブ材料搬送方向の下流側から上流側への移動とが可能となっている。
【0031】
この場合、加工ユニット2は、予め設定された移動許容範囲H内を矢印C方向に往復動が可能とされている。また、この移動許容範囲H内をウェブ材料Wが搬送される際には、上流側ローラ群17と下流側ローラ群18とで、水平方向に沿って搬送される。
【0032】
また、加工ユニット2の上型21は、リンク機構、シリンダ機構、リニアガイド機構等の往復動機構にて、矢印Dのように上下動が可能となっている。この際、上型21の上下動は連結バー23にてガイドされて上下動することになる。そして、上型21が下降することによって、ウェブ材料Wに対して、加工(例えば、切断(型抜き))を行うことができる。
【0033】
また、ウェブ材料搬送手段1は、
図2に示すように、ウェブ材料Wの搬送速度を検出する速度検出手段25を備えている。速度検出手段25としては、例えば、ウェブ材料Wのマーカを設け、このマーカを検出することによって、ウェブ材料Wの搬送速度を検出することができる。このマーカ検出器としては、接触式であっても、非接触式であってもよい。また、巻出ローラ11の巻出用モータ(巻出制御モータ)及び、巻取ローラ12の巻取用モータ(巻取制御モータ)の回転数等から、ウェブ材料Wの搬送速度を検出するものであってもよい。
【0034】
さらに、この装置は、加工ユニット2の移動速度を検出する速度検出手段26を備えている。速度検出手段26としては、前記のようにリニアガイド機構を備えたものであれば、このリニアガイド機構のスライダーの速度を検出するもの等で構成できる。
【0035】
ウェブ材料Wの搬送速度と加工ユニット2の移動速度とを合わせる同期手段4としては、ウェブ材料Wの搬送速度に加工ユニット2の移動速度を合わせるように移動手段3を制御することになる。また、速度が同期すれば、指令手段5は、加工ユニット2にてウェブ材料Wへの加工を行わせる。
【0036】
また、この装置では逆方向移動手段27を備える。逆方向移動手段27としては、ローラ機構10の上流側ローラ群17の可動ローラ(ガイドローラ)32と、ローラ機構10の下流側ローラ群18の可動ローラ(ガイドローラ)35と、各可動ローラ32,35を、ウェブ材料搬送方向の下流側から上流側へ移動させる移動機構とを備えたものである。移動機構としては、駆動源としての駆動用モータ(例えば、サーボモータ)と、この駆動源の駆動にて可動ローラ32,35を駆動させるための連動機構と、ウェブ材料搬送方向の下流側から上流側へ移動させるためのガイド機構等で構成できる。
【0037】
移動機構としては、シリンダ機構、リニアガイド機構等の往復動機構を用いることができる。さらに、移動機構として、可動ローラ32,35に対して1個であっても、それぞれに付設されるものであってもよい。この場合、可動ローラ32,35が同期して、同時に移動して、その際の移動速度及び移動範囲を同一に設定する必要がある。
【0038】
この加工装置では、この逆方向移動手段27にて移動する可動ローラ32,35の速度を検出する速度検出手段28が設けられている。なお、この速度検出手段28としては、
図4に示す加工装置等に用いられる従来の構成と同様の手段にて構成できる。
【0039】
次に、前記のように構成された装置を用いてウェブ材料Wを加工する方法を
図3に示すフローチャート図を用いて説明する。ウェブ材料Wの搬送を開始し(ステップS11)、この搬送中に、加工ユニット2を
図1に示す矢印C1方向に、つまりこのウェブ材料搬送方向の上流側から下流側へ移動させると同時に可動ローラ33,35を、
図1に示す矢印C2方向に、ウェブ材料搬送方向の下流側から上流側へ移動させる(ステップS12)。
【0040】
その後、ステップS13へ移行して、ウェブ材料の搬送速度と、加工ユニット2の移動速度とが同じ速度になったか(同期したか)を判断する。この際、この実施形態では、前記
図4に示したように、逆方向移動手段27を有さない装置におけるウェブ材料Wの半分の速度になるように加工ユニット2を加速する。その加速に伴って、可動ローラ33,35を、ウェブ材料搬送方向の下流側から上流側へ加工ユニット2の速度となるように加速する。
【0041】
これによって、加工ユニット2の移動許容範囲H内でウェブ材料Wの搬送速度と加工ユニット2とが同一速度で、ウェブ材料搬送方向の上流側から下流側へ移動することになる。このように、ステップS13で同期すれば、ウェブ材料Wの搬送速度と、加工ユニット2の移動速度とをそのままの状態で、ステップS14へ移行して、加工ユニット2にて加工することになる。
【0042】
その後は、ステップS15へ移行して、加工工程を終了するか判断する。ステップS15で終了すると判断すれば、終了し、終了しない場合は、加工ユニット2を初期位置に戻す。すなわち、加工ユニット2を、このウェブ材料搬送方向の下流側から上流側へ移動させて、初期位置に戻す(ステップS16)。このように初期位置に戻れば、ステップS11に戻る。
【0043】
このように、逆方向移動手段27を備えたものでは、搬送されているウェブ材料Wの加工ユニット2との移送速度との相対的な関係において、加工ユニット2の速度を、逆方向移動手段27を有さないものに比べて遅くすることができる。搬送中のウェブ材料Wを、その搬送方向と逆方向に移動させるものでは、加工ユニット2をウェブ材料Wの搬送速度に合わせる際における加工ユニット2の振動を比較的小さくなるように抑制でき、また、加工ユニット2の移動速度を抑えることができるので、ウェブ材料Wと加工ユニット2との速度同期性の向上を図ることができる。このため、加工精度の向上を図ることができる。さらには、加工ユニット2の移動距離を小さくでき、加工ユニット2を移動させるにも関わらず、装置全体のスペースを小さく設定できる。
【0044】
ウェブ材料搬送手段1を、複数のローラ30、31、32、33、34、35を有するローラ機構10にて構成することによって、簡単な構成で安定してウェブ材料Wを搬送することができる。しかも、少なくとも加工ユニット2の移動許容範囲内では、ウェブ材料Wが水平方向に沿って搬送されるものであり、加工ユニット2の移動方向としても、水平方向に沿った移動となって、制御性の向上を図ることができ、しかも、加工ユニット2の移動機構の簡略化を図ることができる。
【0045】
逆方向移動手段27が、前記ガイドローラ32,35をウェブ材料の搬送方向と逆方向に移動させる機構であれば、逆方向移動手段27の機構の簡略化を図ることができる。加工ユニット2の質量と、可動ローラ33,35の質量とを同一とした場合に、搬送中の加工ユニット2の移動速度がウェブ材料Wの搬送速度の1/2であるように安定よく設定できる。このように設定すれば、加工ユニット2の移動速度を、搬送中のウェブ材料Wをその搬送方向と逆方向に移動させない場合に比べて、1/2にすることができ、安定した加工を継続することができる。また、加工ユニット2と逆方向へ移動させるユニット(可動ローラ32,35等)とを連動させることにより、反力を打消し合い装置振動成分(要素)を小さくすることができ、安定したウェブ材料の搬送が可能である。
【0046】
搬送中の加工ユニット2の移動速度がウェブ材料Wの搬送速度の1/2に設定する場合に限るものではない。例えば、ウェブ材料Wの移動速度をV1とし、加工ユニット2の移動速度V2とした場合に、0<V2/V1<1であればよい。なお、加工ユニット2の質量と、可動ローラ33,35の質量とが相違する場合であってもよい。
【0047】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、加工ユニット2として、前記実施形態では、上型21と下型22を備えたプレス機械であり、切断(型抜き)するものであったが、いわゆるミシン目等を入れるものであってもよい。また、加工ユニット2としてレーザースキャナや画像転写装置等であってもよい。レーザースキャナ等では、照射されたレーザをウェブ材料Wの搬送方向に対して直交する方向に走査することになる。
【0048】
ウェブ材料搬送装置として、上流側ローラ群17及び下流側ローラ群18のローラ数としては、図例のものに限るものではなく、増減が任意である。また、加工ユニット2を搬送方向に沿って移動させる機構、上型21の上下動機構、及び可動ローラ33,35の移動機構としては、公知公用の各種の往復動機構を用いることができる。
【0049】
ウェブ材料Wの搬送速度と、加工ユニット2の上流側から下流側への移動速度とを合わせる際に、前記実施形態では、ウェブ材料Wの搬送速度を基準として、この速度に加工ユニット2の移動速度を合わせるように制御していたが、逆に加工ユニット2の移動速度を基準にウェブ材料Wの搬送速度を合わせるようにしてもよい。また、ウェブ材料Wの搬送速度と加工ユニット2の移動速度をともに調整するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 ウェブ材料搬送手段
2 加工ユニット
3 移動手段
4 同期手段
5 指令手段
10 ローラ機構
27 逆方向移動手段
30,31、33,34 ガイドローラ(固定ローラ)
32,35 ガイドローラ(可動ローラ)
H 移動許容範囲
W ウェブ材料