特許第6502178号(P6502178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502178
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/046 20060101AFI20190408BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   G06F3/046 A
   G06F3/041 410
【請求項の数】11
【全頁数】80
(21)【出願番号】特願2015-109263(P2015-109263)
(22)【出願日】2015年5月29日
(65)【公開番号】特開2016-224638(P2016-224638A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2017年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水橋 比呂志
(72)【発明者】
【氏名】倉澤 隼人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大地
(72)【発明者】
【氏名】後藤 詞貴
【審査官】 酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−352572(JP,A)
【文献】 特開2014−021937(JP,A)
【文献】 特開2014−164770(JP,A)
【文献】 特開2006−163745(JP,A)
【文献】 特開2013−246811(JP,A)
【文献】 特開2014−127201(JP,A)
【文献】 特開平08−161100(JP,A)
【文献】 特開平07−129305(JP,A)
【文献】 特開2007−048278(JP,A)
【文献】 特開平10−049301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/046
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に配置された複数の画素を有する画素配列と、
前記画素配列において、第1方向に延在し、前記第1方向とは交差する第2方向に配列された複数の駆動電極と、
前記第2方向に沿った前記画素配列の辺のうち一方の辺に沿って配置され、前記複数の駆動電極から選択された駆動電極間を接続する切換回路と、
前記第2方向に沿った前記画素配列の辺のうち他方の辺に沿って配置され、外部検出物体を検出するとき、前記複数の駆動電極から選択された駆動電極に駆動信号と所定の電圧を供給する選択駆動回路と、
を備え、
前記複数の駆動電極は、第1駆動電極と、前記第2方向において前記第1駆動電極と隣接して配置された第2駆動電極と、第3駆動電極と、前記第2方向において前記第3駆動電極と隣接して配置された第4駆動電極とを備え、前記第2方向において近接する前記第2駆動電極と前記第3駆動電極との間には、所定の数の駆動電極が配置され、
前記外部検出物体を検出するとき、前記切換回路によって、前記第1駆動電極と前記第3駆動電極とを接続して第1コイルを形成し、前記第2駆動電極と前記第4駆動電極とを接続して第2コイルを形成し、
前記外部検出物体を検出するとき、前記選択駆動回路が、前記第1コイルを形成する前記第1駆動電極と前記第3駆動電極に前記駆動信号と前記所定の電圧を供給し、前記第2コイルを形成する前記第2駆動電極と前記第4駆動電極に前記駆動信号と前記所定の電圧を供給することにより、前記第1コイルおよび前記第2コイルのそれぞれにおいて発生する磁界が、前記所定の数の駆動電極が配置された領域において重畳される、表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記表示装置は、
前記画素配列の各列に配置され、対応する列に配置された複数の画素に、画像信号を供給する複数の信号線を備え、
前記複数の駆動電極は、前記画素配列において、互いに平行に配置され、画像の表示のとき、前記複数の画素に対して駆動信号を供給する、表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、
前記複数の駆動電極のそれぞれは、第1電極と、前記第1電極に接続され、前記第1電極よりも抵抗値の小さい複数の第2電極とを備える、表示装置。
【請求項4】
請求項2またはに記載の表示装置において、
前記複数の駆動電極は、前記第1方向に沿った前記画素配列の1対の辺の間に配置された第駆動電極と、前記第1方向に沿った前記画素配列の辺に沿って配置された第駆動電極とを備え、前記第駆動電極の幅が、前記第駆動電極よりも狭くされ、前記外部検出物体を検出するとき、前記第6駆動電極は、前記第1コイルを形成する前記第1駆動電極として用いられる、表示装置。
【請求項5】
請求項3に記載の表示装置において、
前記表示装置は、前記複数の信号線に結合され、外部検出物体を検出するとき、前記複数の信号線を巻線とした複数の検出コイルを形成する信号線切換回路を備え、検出コイルによって、前記外部検出物体からの磁界を検出する、表示装置。
【請求項6】
請求項に記載の表示装置において、
前記信号線切換回路は、前記第1方向に沿った前記画素配列の1対の辺のうち、一方の辺に沿って配置され、前記複数の信号線に結合された第1切換回路と、他方の辺に沿って配置され、前記複数の信号線に結合された第2切換回路とを備え、
外部検出物体を検出するとき、前記第1切換回路は、前記複数の検出コイルを形成するように、信号線間を電気的に接続し、前記第2切換回路は、前記外部検出物体からの磁界に従った検出信号を出力する、表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の表示装置において、
前記表示装置は、前記第2方向に沿った前記画素配列の辺に沿って配置され、前記複数の信号線よりも幅の狭い磁界用信号線を備え、前記第1切換回路は、前記複数の信号線のうちの所定の信号線と前記磁界用信号線とを接続して検出コイルを形成する、表示装置。
【請求項8】
請求項に記載の表示装置において、
前記複数の駆動電極は、前記第2方向において、前記第4駆動電極に隣接して配置された第7駆動電極と、前記第2方向において、前記第7駆動電極を挟んで、前記第4駆動電極に隣接するように配置された第8駆動電極を備え、
前記切換回路は、前記第1コイルと前記第2コイルを形成したあと、前記所定の数の駆動電極に含まれる第9駆動電極と前記第7駆動電極とを接続して、第3コイルを形成し、前記所定の数の駆動電極に含まれる第10駆動電極と前記第8駆動電極とを接続して、第4コイルを形成し、
前記選択駆動回路は、前記第3コイルを構成する前記第7駆動電極と前記第9駆動電極に前記駆動信号と前記所定の電圧を供給し、前記第4コイルを構成する前記第8駆動電極と前記第10駆動電極に前記駆動信号と前記所定の電圧を供給することにより、前記第3コイルにより形成される磁界と、前記第4コイルにより形成される磁界とが、前記第3駆動電極と前記第4駆動電極とを含む領域において重畳されるようにする、
表示装置。
【請求項9】
請求項3または8に記載の表示装置において、
前記所定の数と、互いに隣接して配置され、前記選択駆動回路から、それぞれ前記駆動信号が供給される駆動電極の数は等しい、
表示装置。
【請求項10】
請求項1に記載の表示装置において、
前記外部検出物体を検出するとき、前記第1コイルと前記第2コイルには、互いに同期して変化する前記駆動信号が、実質的に同時に供給される、表示装置。
【請求項11】
請求項1に記載の表示装置において、
前記選択駆動回路は、前記複数の駆動電極のそれぞれに前記駆動信号または前記所定の電圧を供給する複数のスイッチを備え、
前記第1コイルおよび前記第2コイルのそれぞれに駆動信号を供給するとき、前記複数のスイッチは、前記第1駆動電極および前記第2駆動電極のそれぞれに前記駆動信号を供給し、前記第3駆動電極および前記第4駆動電極のそれぞれに前記所定の電圧を供給するように制御される、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に外部近接物体を検出可能なタッチ検出機能付き表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるタッチパネルと呼ばれる、外部近接物体を検出可能なタッチ検出装置が注目されている。タッチパネルは、表示装置、例えば液晶表示装置上に装着または液晶表示装置と一体化され、タッチ検出機能付き表示装置として提供される。
【0003】
外部近接物体として、例えばペンを用いることを可能にしたタッチパネルがある。ペンを用いることを可能とすることにより、例えば小さな領域を指定したり、手書き文字の入力が可能となる。ペンによるタッチを検出する技術は、種々ある。種々ある技術の一つとして、電磁誘導方式がある。電磁誘導方式は、高精度、高い筆圧検出精度を実現することが可能であり、外部近接物体がタッチパネル表面から離間したホバリング検出機能も実現可能であるため、ペンによるタッチを検出する技術としては有力な技術である。
電磁誘導方式を用いたタッチ検出の技術は、例えば、特許文献1〜3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−49301号公報
【特許文献2】特開2005−352572号公報
【特許文献3】特開2006−163745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電磁誘導方式としては、ペンにコイルと電池を実装し、ペンにおいて磁界を発生させ、タッチパネルにおいて、磁界エネルギーを検出する方式がある。この場合、タッチパネルには、磁界エネルギーを受け取るセンサ板が必要とされる。また、ペンにコイルと容量を実装し、タッチパネルにおいて磁界を発生し、ペンに実装された容量に磁界エネルギーを蓄え、タッチパネルで検出する方式がある。この方式の場合には、タッチパネルにおいて磁界を発生し、ペンからの磁界エネルギーを受け取るセンサ板が必要とされる。
【0006】
いずれの電磁誘導方式においても、タッチ検出機能付き表示装置を実現するためには、センサ板を追加することが必要とされ、価格(生産コスト)が上昇することになる。
【0007】
本発明者らは、価格の上昇を抑制するために、センサ板を表示装置と一体化させることを検討した。センサ板は、磁界を検出および/または発生するために、複数のコイルを備えている。表示装置にセンサ板を装着するようにして、タッチ検出機能付き表示装置を提供する場合には、例えばコイルは、通常の金属配線で形成することが可能である。これに対して、一体化のために、コイルを、表示装置内の信号配線によって構成する場合には、コイルを形成する信号配線のシート抵抗が、通常の金属配線に比べて、例えば1桁あるいは2桁程高い。そのため、コイルを流れる電流が小さくなり、発生する磁界エネルギーが小さくなり、タッチ検出の精度が低下することが危惧される。
【0008】
特許文献1〜3には、電磁誘導方式を用いたタッチ検出装置が記載されている。しかしながら、表示装置内の信号配線のシート抵抗を考慮した技術は記載も、認識もされていない。
【0009】
本発明の目的は、精度の向上を図ることが可能なタッチ検出機能付き表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係わる表示装置は、行列状に配置された複数の画素を有する画素配列と、画素配列に配置された複数の信号配線とを備える。ここで、外部検出物体を検出するとき、複数の信号配線のうちの複数の信号配線によって、互いに重なった領域を有する複数のコイルが、形成され、複数のコイルに駆動信号を供給することにより、複数のコイルのそれぞれにおいて発生する磁界が、重なった領域において重畳される。
【0011】
コイルが互いに重なった領域においては、磁界が重畳されるため、磁界を強くすることが可能である。そのため、それぞれのコイルの巻数を少なくすることにより、それぞれのコイルのインダクタンスが小さくなっても、重なった領域においては磁界を強くすることが可能である。一方、コイルの巻数を少なくすることにより、コイルの巻線となる信号配線の長さを短くすることが可能となり、コイルのインピーダンスを小さくすることが可能となる。これにより、コイルを流れる電流の値を高くすることが可能となり、重なった領域において発生される磁界を強くすることが可能となる。発生する磁界を強くすることが可能となるため、タッチ検出の精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】タッチ検出機能付き液晶表示装置を有する電子装置とペンとの関係を示す説明図である。
図2】電磁誘導方式の原理を示す説明図である。
図3】電磁誘導方式の原理を示す波形図である。
図4】液晶表示装置の断面を示す断面図である。
図5】(A)および(B)は、実施の形態1に係わる液晶表示装置の構成を模式的に示す平面図および断面図である。
図6】実施の形態1に係わる液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
図7】実施の形態1に係わる液晶表示装置を実装したモジュールの構成を示す平面図である。
図8】実施の形態1に係わる液晶表示装置の表示パネルの構成を示す平面図である。
図9】実施の形態1に係わる液晶表示装置の断面を示す断面図である。
図10】実施の形態1に係わる液晶表示装置の表示パネルの構成を示す回路図である。
図11】実施の形態1に係わる液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
図12】実施の形態1に係わる液晶表示装置のタッチ検出の動作を示すブロック図である。
図13】実施の形態1に係わる液晶表示装置のタッチ検出の動作を示すブロック図である。
図14】実施の形態1に係わる液晶表示装置のタッチ検出の動作を示すブロック図である。
図15】実施の形態1に係わる液晶表示装置において形成されるコイルの構成を模式的に示す平面図である。
図16】実施の形態1に係わる液晶表示装置の選択制御回路および切換回路の構成を示すブロック図である。
図17】実施の形態1に係わる液晶表示装置の切換調整回路の構成を示すブロック図である。
図18】実施の形態1に係わる液晶表示装置において形成されるコイルの構成を模式的に示す平面図である。
図19】実施の形態1に係わる液晶表示装置の構成を模式的に示す断面図である。
図20】実施の形態1に係わる液晶表示装置の構成を模式的に示す平面図である。
図21】実施の形態1に係わる液晶表示装置の構成を模式的に示す断面図である。
図22】実施の形態1に係わる液晶表示装置の構成を模式的に示す平面図である。
図23】実施の形態2に係わる液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
図24】実施の形態2に係わる液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
図25】実施の形態2に係わる液晶表示装置のタッチ検出の動作を示すブロック図である。
図26】実施の形態2に係わる液晶表示装置のタッチ検出の動作を示すブロック図である。
図27】実施の形態2に係わる液晶表示装置のタッチ検出の動作を示すブロック図である。
図28】実施の形態2に係わる液晶表示装置のタッチ検出の動作を示すブロック図である。
図29】実施の形態3に係わる液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
図30】(A)〜(G)は、実施の形態4に係わる液晶表示装置の動作を示す波形図である。
図31】実施の形態5に係わる液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
図32】(A)〜(F)は、実施の形態5に係わる液晶表示装置の動作を示す波形図である。
図33】実施の形態3に係わる液晶表示装置の概要を示す模式図である。
図34】本発明者が検討した液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
図35】本発明者が検討した液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
図36】本発明者が検討した液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまでも一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0014】
また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0015】
以下の説明は、タッチ検出機能付き表示装置としてタッチ検出機能付き液晶表示装置を例として述べる。しかしながら、これに限定されず、タッチ検出機能付きOLED表示装置にも適用することが可能である。また、電磁誘導方式として、2種類の方式を例に説明したが、ここでは、後者の方式を採用している場合について説明する。後者の方式では、ペンに電池を実装しなくてもよいため、ペンの小型化および/または形状の自由度を向上することが可能である。
(実施の形態1)
<電磁誘導方式の基本原理>
【0016】
先ず、電磁誘導方式の基本原理を説明しておく。図1は、タッチ検出機能付き液晶表示装置を有する電子装置とペンとの関係を模式的に示した説明図である。また、図2および図3は、電磁誘導方式の基本原理を模式的に示した説明図である。
【0017】
図1において、電子装置は、金属カバーに納められた液晶表示装置1と、導光板と、センサ板と、磁性シートとを有している。同図に示した例では、液晶表示装置1と金属カバーとの間に、センサ板が実装されている。このセンサ板には、複数のコイルが設けられているが、図1には、そのうちの1個のコイルが、センサ板内コイル(以下、単にコイルとも称する)L2として模式的に示されている。
【0018】
また、外部近接物体に該当するペンには、コイルと容量素子とが内蔵されている。図1では、容量素子は省略されているが、ペンに内蔵されているコイルが、ペン内コイル(以下、単にコイルとも称する)L1として模式的に示されている。コイルL1とコイルL2との間は、磁界によって結合される。
【0019】
なお、液晶表示装置1は、模式的にその構造を示すために、図1では、液晶表示装置1に含まれるTFTガラス基板、カラーフィルタおよびCFガラス基板が描かれている。TFTガラス基板および図示しないTFTを含んでTFT基板が形成され、CFガラス基板およびカラーフィルタを含んでカラーフィルタ基板が形成される。TFT基板とカラーフィルタ基板との間には図示しない液晶層が挟持されている。また、導光板は、液晶表示装置1とセンサ板との間に挟まれるように、固定部で固定されている。
【0020】
ペンが、電子装置に近接(接触を含む)することにより、コイルL1が、コイルL2に近接することになる。これにより、コイルL1とコイルL2との間の磁界結合が発生し、ペンが近接したことが検出される。
【0021】
この検出を、図2および図3を用いて説明する。図2(A)は、コイルL2が磁界を発生している状態を示しており、図2(B)は、コイルL1が磁界を発生している状態を示している。
【0022】
図2において、コイルL2とペン内容量素子(以下、単に容量素子とも称する)Cとは並列的に接続されており、共振回路を構成している。コイルL1は、1回巻線のコイルが例として示されており、1対の端子を有している。タッチを検出するとき(タッチ検出のとき)、コイルL1の一方の端子PTは、所定時間、送信アンプAP1の出力に接続され、所定時間後に、受信アンプAP2の入力に、所定時間、接続される。また、センサ板内コイルL1の他方の端子は、タッチ検出のとき、接地電圧Vssに接続される。
【0023】
図3は、タッチ検出のときに動作を示す波形図である。図3の横軸は、時間を示しており、図3(A)は、送信アンプAP1の出力の波形を示しており、図3(B)は、受信アンプAP2の出力の波形を示している。
【0024】
コイルL2の一方の端子PTが、送信アンプAP1の出力に接続されているとき、送信アンプAP1の入力には、周期的に変化する送信信号INが供給される。これにより、送信アンプAP1は、送信信号INの変化に従って、周期的に変化する駆動信号φ1を、図3(A)に示すように、所定時間(磁界発生期間)TGT、コイルL2の一方の端子に供給する。これにより、コイルL2が磁界を発生する。このときの磁力線が、図2(A)ではφGとして示されている。
【0025】
磁力線φGは、コイルL2の巻線を中心として発生するため、コイルL2の内側の磁界が強くなる。コイルL1が、コイルL2に近接し、例えば図2(A)に示すように、コイルL1の中心軸LOが、コイルL2の内側に存在すると、コイルL1に、コイルL2の磁力線が到達する。すなわち、コイルL1が、コイルL2において発生している磁界内に配置され、コイルL1とコイルL2とが磁界結合されることになる。コイルL2は、駆動信号φ1の変化に従って、周期的に変化する磁界を発生する。そのため、コイルL2とコイルL1間の相互誘導の作用により、コイルL1には、誘起電圧を発生する。容量素子Cは、コイルL1によって発生した誘起電圧によって充電される。
【0026】
所定時間後に、コイルL2の一方の端子PTは、所定時間(磁界検出期間または電流検出期間)TDT、受信アンプAP2の入力に接続される。磁界検出期間TDTにおいては、先の磁界発生期間TGTにおいて容量素子Cが、充電されていれば、容量素子Cに充電された電荷によって、コイルL1が、磁界を発生する。図2(B)には、容量素子Cに充電された電荷によって発生したコイルL1の磁力線が、φDとして示されている。
【0027】
タッチ検出のとき、すなわち、磁界発生期間TGTおよび磁界検出期間TDTのとき、ペン内コイルL1が、センサ板内コイルL2に近接していれば、磁界発生期間TGTのとき、容量素子Cに充電が行われ、磁界検出期間TDTのとき、コイルL1の磁力線φDが、コイルL2に到達する。コイルL1と容量素子Cとにより共振回路が構成されているため、コイルL1の発生する磁界は、共振回路の時定数に従って変化する。コイルL1が発生する磁界が変化することにより、コイルL2に誘起電圧が発生する。この誘起電圧によって、コイルL2の一方の端子PTにおいて、信号が変化する。この信号の変化が、検出信号φ2として、磁界検出期間TDTのとき、受信アンプAP2に入力され、増幅され、センサ信号OUTとして受信アンプAP2から出力される。
【0028】
一方、タッチ検出のとき、ペン内コイルL1が、センサ板内コイルL2に近接していなれば、磁界発生期間TGTのとき、容量素子Cは充電されない、または充電される電荷量が少なくなる。その結果、磁界検出期間TDTのとき、コイルL1が発生する磁界の磁力線φDは、コイルL2に到達しない。そのため、磁界検出期間TDTのとき、コイルL2の一方の端子PTにおける検出信号φ2は変化しない。
【0029】
図3には、ペン内コイルL1が、センサ板内コイルL2に近接しているときと、近接していないときの両方の状態が示されている。すなわち、図3において、左側には、コイルL1がコイルL2に近接していないときの状態が示されており、右側には、コイルL1がコイルL2に近接しているときの状態が示されている。そのため、図3(B)において、左側に示した磁界検出期間TDTでは、検出信号φ2は変化しておらず、右側に示した磁界検出期間TDTでは、検出信号φ2が変化している。検出信号φ2が変化している場合を、ペン有りと判定し、検出信号φ2が変化していない場合を、ペン無しと判定することにより、ペンによるタッチを検出することができる。
【0030】
図3では、ペン有りとペン無しの判定を示したが、コイルL1とコイルL2との間の距離に従って、検出信号φ2の値が変化するため、ペンとセンサ板との間の距離あるいはペンの筆圧を判定することも可能である。
<液晶表示装置とセンサ板の一体化構造>
【0031】
本発明者らは、図1に示したように、液晶表示装置1と、センサ板とを別々に準備した場合、センサ板が高価であるため、電子装置が高価になると考えた。そこで、本発明者らは、センサ板を、液晶表示装置1の層(レイヤ)により形成し、液晶表示装置とセンサ板とを一体化することを考えた。図4は、センサ板をセンサ層(レイヤ)として一体化した液晶表示装置1の模式的な断面を示す断面図である。図4は、図1と類似しているので、相違点を主に説明する。図1においては、液晶表示装置1とは別に、センサ板を準備し、導光板と磁性シートとの間に、センサ板を設けるようにしていた。これに対して、図4では、TFTガラス基板上に、センサレイヤを形成する。これにより、センサ板に相当するセンサレイヤが、液晶表示装置1に設けられるため、価格の上昇を抑制することが可能となる。
【0032】
図5は、液晶表示装置1の構造を模式的に示す図であり、図5(A)は、液晶表示装置1の平面を、模式的に示しており、図5(B)は、液晶表示装置1の断面を、模式的に示している。図5(A)および(B)において、TL(0)〜TL(p)は、TFTガラス基板に形成された駆動電極を示している。駆動電極TL(0)〜TL(p)は、図5(A)において、横方向(行方向)に延在し、縦方向(列方向)に平行に配置されている。すなわち、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれは、延在方向において互いに平行するように形成されている。駆動電極TL(0)〜TL(p)の上側には、図5(B)に示すように、液晶層が設けられ、さらにその上側にカラーフィルタ、CFガラス基板が形成されている。また、CFガラス基板の上側には偏光板が形成されている。図5では、説明を容易にするために、図5(B)に示すように、上側から目視した場合で、上側と説明したが、勿論、目視する方向により、上側は、下側あるいは横側に変わる。
【0033】
駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれには、表示のときに、表示用の駆動信号(表示駆動信号)が供給される。そのため、表示の場合のみを考えた場合、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、互いに電気的に接続されていてもよい。言い換えるならば、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、1個の駆動電極としてもよい。しかしながら、この実施の形態1においては、タッチ検出のとき、駆動電極をコイルの巻線として用いる。そのため、この実施の形態1においては、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、互いに電気的に分離されている。互いに分離された駆動電極TL(0)〜TL(p)には、表示のときには、例えば共通の表示駆動信号が供給され、タッチ検出のときには、コイルを形成するように所定の駆動電極間が電気的に接続される。
【0034】
すなわち、この実施の形態1においては、駆動電極TL(0)〜TL(p)を形成する信号配線の層が、センサレイヤとされる。この駆動電極TL(0)〜TL(p)には、表示のとき、表示駆動信号が供給される。従って、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、表示のときとタッチ検出のときとで、共通に用いられる(兼用される)ことになる。そのため、この実施の形態1においては、コイルの巻線を形成するために、レイヤを追加しなくても済み、さらに価格の上昇を抑制することが可能となる。なお、駆動電極TL(0)〜TL(p)が、表示用の共通電極も兼ねるため、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれは、共通電極と見なすことができる。そのため、本明細書においては、駆動電極TL(0)〜TL(p)を共通電極と称する場合もある。
<本発明者の検討>
【0035】
次に、タッチ検出のとき、駆動電極TL(0)〜TL(p)のような液晶表示装置1内の信号配線を用いてコイルを形成するようにした場合の課題を、本発明者の検討結果を基にして説明する。図34図36は、本発明者が検討した液晶表示装置1の構成を示すブロック図である。これらの図には、タッチ検出のときの状態が示されている。
【0036】
図34において、TL(n−3)〜TL(n+13)は、駆動電極を示している。同図において、VL01は、電圧配線を示しており、表示のときには、電圧配線VL01を介して、駆動電極TL(n−3)〜TL(n+13)に表示駆動信号が供給される。また、図34において、VL02は、電圧配線を示しており、タッチ検出のとき、例えば接地電圧Vssが、電圧配線VL02へ供給される。さらに、図34において、LL01は、信号配線を示しており、信号配線LL01には、タッチ検出のとき、周期的に電圧が変化するコイルクロック信号が供給される。
【0037】
図34において、LL11、LL12、LL21、LL22、LL31、LL32、LL40、LL50およびLL60は、信号配線を示しており、x00〜x16およびy00〜y16は、スイッチを示している。スイッチx00〜x16およびy00〜y16のそれぞれは、共通端子cと3個の端子(第1端子p1、第2端子p2および第3端子)とを備えている。図面が複雑になるのを避けるために、図34には、第3端子は省略されている。スイッチx00〜x16およびy00〜y16のそれぞれの第3端子は、何処にも接続されておらず、フローティング状態となっている。スイッチx00〜x16のそれぞれの第1端子p1は、電圧配線VL01に接続され、それぞの第2端子p2は、対応する信号配線LL11、LL12、LL21、LL22、LL32、LL32に接続されている。また、スイッチy00〜y16のそれぞれの第1端子p1は、電圧配線VL01に接続され、それぞの第2端子p2は、対応する信号配線LL40、LL50、LL60、電圧配線VL02、信号配線LL01に接続されている。これらのスイッチx00〜x16およびy00〜y16のそれぞれは、図示しないスイッチ制御信号によって、共通端子cは、第1端子p1、第2端子p2または第3端子に選択的に接続される。
【0038】
先ず、表示のときを説明すると、スイッチx00〜x16およびy00〜y16は、それぞれの共通端子cを第1端子p1へ接続するように、スイッチ制御信号により制御される。これにより、スイッチx00〜x16およびy00〜y16を介して、駆動電極TL(n−3)〜TL(n+13)のそれぞれの端部は、電圧配線VL01に接続されることになる。その結果、表示のときには、所望の表示駆動信号が、電圧配線VL01を介して、駆動電極TL(n−3)〜TL(n+13)のそれぞれの端部に供給されることになり、所望の表示を行うことが可能となる。
【0039】
タッチ検出のときには、スイッチx00〜x16およびy00〜y16のうち、コイルの巻線として機能させる駆動電極に接続されたスイッチにおいて、共通端子cが第2端子p2に接続されるように、制御され、コイルの巻線として機能させない駆動電極に接続されたスイッチにおいては、共通端子cが第3端子に接続されるように、制御される。図2で説明したように、磁界はコイルの内側が強くなる。そのため、磁界を発生させる領域を挟むように配置された駆動電極が、コイルの巻線を構成するように、スイッチx00〜x16およびy00〜y16を制御する。
【0040】
図34においては、強い磁界を発生させる領域として、駆動電極TL(n)〜TL(n+3)に相当する領域を指定している場合を示している。そのため、これらの駆動電極TL(n)〜TL(n+3)を挟むように配置されている駆動電極TL(n−2)、TL(n−1)、TL(n+4)およびTL(n+5)が、コイルの巻線となるように、スイッチx01、x02、x07およびx08とスイッチy01、y02、y07およびy08が選択される。選択されたスイッチx01、x02、x07、x08、y01、y02、y07およびy08においては、共通端子cが、第2端子p2に接続される。これに対して、選択されていないスイッチのそれぞれにおいては、共通端子cは、第3端子に接続される。
【0041】
第3端子は、フローティング状態であるため、共通端子cが第3端子に接続されても、第3端子はハイインピーダンス状態となる。そのため、図34において、選択されていないスイッチの共通端子cは、フローティング状態で描かれている。例えば、スイッチx00とy00を例にすると、これらのスイッチは選択されていないため、共通端子cは、何処にも接続されておらず、図34では、フローティング状態として描かれている。
【0042】
スイッチx01とx07において、共通端子cが、第2端子p2に接続されることにより、駆動電極TL(n−2)の一方の端部は、スイッチx01を介して信号配線L11に接続され、信号配線L11は、スイッチx07を介して駆動電極TL(n+4)の一方の端部に接続される。同様に、スイッチx02とx08において、共通端子cが、第2端子p2に接続されることにより、駆動電極TL(n−1)の一方の端部は、スイッチx02を介して信号配線L12に接続され、信号配線L12は、スイッチx08を介して駆動電極TL(n+5)の一方の端部に接続される。
【0043】
また、スイッチy02とy07において、共通端子cが、第2端子p2に接続されることにより、駆動電極TL(n−1)の他方の端部は、スイッチy02を介して信号配線LL40に接続され、信号配線LL40は、スイッチy07を介して駆動電極TL(n+4)の他方の端部に接続される。さらに、スイッチy01において、共通端子cが、第2端子p2に接続されることにより、駆動電極TL(n−2)の他方の端部は、スイッチy01を介して、電圧配線VL02に接続される。また、スイッチy08において、共通端子cが、第2端子p2に接続されることにより、駆動電極TL(n+5)の他方の端部は、スイッチy08を介して、信号配線LL01に接続される。
【0044】
これにより、信号配線LL01と電圧配線VL02との間に、駆動電極TL(n−2)、TL(n−1)、TL(n+4)、TL(n+5)および信号配線LL11、LL12、LL40が直列的に接続されることになる。この場合、駆動電極TL(n−2)、TL(n−1)、TL(n+4)およびTL(n+5)は、互いに平行に配置されているため、コイルの巻線として機能することになる。電圧配線VL02に接地電圧Vssを供給し、信号配線LL01に、その電圧が周期的に変化するコイルクロック信号を供給することにより、コイルの両端に電圧が供給され、例えば、図34に矢印I(n)として示した電流が流れることになる。これにより、駆動電極TL(n−2)、TL(n−1)、TL(n+4)およびTL(n+5)を巻線としたコイルによって磁界が発生する。
【0045】
コイルの内側となる領域(駆動電極TL(n)〜TL(n+3)に相当)に、ペンが近接していれば、磁界発生期間TGTにおいて、ペン内容量素子Cに充電が行われる。磁界検出期間TDTにおいて、ペン内コイルが発生した磁界によって、駆動電極TL(n−2)、TL(n−1)、TL(n+4)およびTL(n+5)を巻線としたコイルに誘起電圧が発生し、信号配線LL01に信号の変化が生じる。この変化を検出信号として判定する。一方、ペンが近接していなければ、磁界発生期間TGTにおいて、容量素子Cに充電が行われない。その結果、磁界検出期間TDTにおいて、信号配線LL01に信号の変化は生じない。このように、信号配線LL01における信号の変化を判定することにより、ペンによるタッチを検出することが可能となる。
【0046】
図35は、図34で説明したコイルの内側の領域(駆動電極TL(n)〜TL(n+3)に相当)に、ペンが近接したか否かを検出したあと、隣接する領域に、ペンが近接しているか否を検出する場合の状態を示している。
【0047】
図35に示す構成は、図34と同じである。図34と相違する部分は、コイルの内側の領域、すなわち磁界を発生する領域が、異なることである。すなわち、駆動電極TL(n)〜TL(n+3)の領域に隣接した領域(駆動電極TL(n+4)〜TL(n+7)に相当)において磁界が発生するように、スイッチx00〜x16およびy00〜y16が制御される。図35で説明すると、駆動電極TL(n+4)〜TL(n+7)を挟むように配置されている駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)、TL(n+8)およびTL(n+9)に接続されているスイッチx05、x06、x11、x12およびy05、y06、y11およびy12が選択され、選択されたこれらのスイッチにおいて、共通端子cが、第2端子p2に接続されるように制御される。
【0048】
一方、残りの非選択スイッチにおいては、共通端子cが、第3端子に接続されるように制御される。これにより、タッチ検出のとき、信号配線LL01と電圧配線VL02との間には、選択されたスイッチx05、x06、x11、x12およびy05、y06、y11およびy12を介して、駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)、TL(n+8)、TL(n+9)、信号配線LL21、LL22およびLL50が直列的に接続される。すなわち、駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)、TL(n+8)、TL(n+9)を巻線としたコイルが形成される。
【0049】
図34で説明したのと同様に、駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)、TL(n+8)、TL(n+9)を巻線としたコイルに、信号配線LL01を介してコイルクロック信号を供給し、電圧配線VL02に接地電圧Vssを供給することにより、コイルの内側の領域(駆動電極TL(n+4)〜TL(n+7)に相当)において磁界が発生する。磁界が発生したあとの磁界検出期間TDTのときに、信号配線LL01における信号の変化を検出することにより、コイルの内側の領域(駆動電極TL(n+4)〜TL(n+7)に相当)にペンが近接しているか否かを検出することができる。なお、磁界発生期間TGTにおいて、コイルを流れる電流が、図35では、矢印I(n+4)として示されている。
【0050】
図36は、図35で説明したコイルの内側の領域(駆動電極TL(n+4)〜TL(n+7)に相当)に、ペンが近接したか否かを検出したあと、隣接する領域に、ペンが近接しているか否を検出する場合の状態を示している。
【0051】
図36に示す構成も、図35と同じである。図35と相違する部分は、コイルの内側の領域、すなわち磁界を発生する領域が、異なることである。すなわち、駆動電極TL(n+4)〜TL(n+7)の領域に隣接した領域(駆動電極TL(n+8)〜TL(n+11)に相当)において磁界が発生するように、スイッチx00〜x16およびy00〜y16が制御される。図36で説明すると、駆動電極TL(n+8)〜TL(n+11)を挟むように配置されている駆動電極TL(n+6)、TL(n+7)、TL(n+12)およびTL(n+13)に接続されているスイッチx09、x10、x15、x16およびy09、y10、y15およびy16が選択され、選択されたこれらのスイッチにおいて、共通端子cが、第2端子p2に接続されるように制御される。
【0052】
一方、残りの非選択スイッチにおいては、共通端子cが、第3端子に接続されるように制御される。これにより、タッチ検出のとき、信号配線LL01と電圧配線VL02との間には、選択されたスイッチx09、x10、x15、x16およびy09、y10、y15およびy16を介して、駆動電極TL(n+6)、TL(n+7)、TL(n+12)、TL(n+13)、信号配線LL31、LL32およびLL60が直列的に接続される。すなわち、駆動電極TL(n+6)、TL(n+7)、TL(n+12)、TL(n+13)を巻線としたコイルが形成される。
【0053】
図34で説明したのと同様に、駆動電極TL(n+6)、TL(n+7)、TL(n+12)、TL(n+13)を巻線としたコイルに、信号配線LL01を介してコイルクロック信号を供給し、電圧配線VL02に接地電圧Vssを供給することにより、コイルの内側の領域(駆動電極TL(n+8)〜TL(n+11)に相当)において磁界が発生する。そのあとの磁界検出期間TDTのとき、信号配線LL01における信号の変化を検出することにより、コイルの内側の領域(駆動電極TL(n+8)〜TL(n+11)に相当)にペンが近接しているか否かを検出することができる。なお、磁界発生期間TGTにおいて、コイルを流れる電流が、図36では、矢印I(n+8)として示されている。
【0054】
図34図36を用いて説明したように、駆動電極TL(0)〜TL(p)を用いて、タッチ検出のときコイルを形成することが可能である。図34図36では、形成するコイルの巻数が、2回の場合を例として示したが、より巻数を増やすことにより、コイルのインダクタンスをより高くすることが可能となり、発生する磁界をより強くすることが可能である。しかしながら、駆動電極は、例えば透明電極により構成される。透明電極のシート抵抗は、通常の金属配線に比べて遙かに高い値である。そのため、コイルの巻数を増やすと、コイルのインピーダンス、すなわち、信号配線LL01と電圧配線VL02との間に接続されたときのコイルのインピーダンスが、高くなり、コイルを流れる電流が小さくなる。磁界発生期間TGTにおいて、コイルを流れる電流が小さいと、発生する磁界が弱くなる。その結果として、検出精度の低下が危惧される。
【0055】
なお、透明電極(第1電極)に、透明電極よりもシート抵抗の低い補助電極(第2電極)を、複数個電気的に接続して、駆動電極のシート抵抗を低くすることが考えられるが、このようにしても、第1電極と複数の第2電極により構成された駆動電極のシート抵抗は、通常の金属配線に比べて、高く、強い磁界を発生するのは困難である。
【0056】
以上述べた本発明者の検討により、液晶表示装置1に設けられている信号配線(駆動電極)を用いて、タッチ検出のときにコイルを形成することは可能であるとの理解に至った。しかしながら、透明電極等の駆動電極による信号配線は、シート抵抗が高いため、強い磁界を発生することができるようにコイルのインダクタンスを高めると、通常の金属配線では無視することが可能なコイルのインピーダンスが無視できなくなるという課題に到達した。
<液晶表示装置の全体概要>
【0057】
図6は、実施の形態1に係わる液晶表示装置1の構成を示すブロック図である。図6において、液晶表示装置1は、表示パネル(液晶パネル)2、表示制御装置4、ゲートドライバ5およびタッチ制御装置6を備えている。また、液晶表示装置1は、選択制御回路SR−L、SR−R、SRX−D、切換回路DSC、選択駆動回路SDCおよび切換調整回路SCX−U、SCX−Dを備えている。液晶表示装置1が備えるこれらの装置および回路については、あとで詳しく説明するので、ここでは全体概要を説明する。
【0058】
表示パネル2は、後で図10を用いて説明する、複数の画素が行列状に配置された画素配列LCDを有している。画素配列LCDには、複数の信号線、複数の駆動電極および複数の走査線が配置されている。ここで、信号線は、画素配列LCDのそれぞれの列に配置され、駆動電極は、画素配列LCDの行に配置され、複数の走査線は、画素配列LCDのそれぞれの行に配置されている。すなわち、同図において、信号配線は、縦方向(列方向)に延在し、横方向(行方向)に平行に配置されている。また、駆動電極は、横方向に延在し、縦方向に平行に配置されている。さらに、走査線は、横方向に延在し、縦方向に平行に配置されている。この場合、画素は、信号線と走査線とが交差する部分に配置されている。表示の期間(表示期間)においては、信号線と走査線により、画素が選択され、選択された画素には、そのときの信号線の電圧と、駆動電極の電圧(表示駆動信号)が印加され、選択された画素は、信号線と駆動電極との間の電圧差に従った表示を行う。
【0059】
表示制御装置4は、制御回路D−CNTと信号線ドライバD−DRVとを備えている。制御回路D−CNTは、外部端子Ttに供給されるタイミング信号と入力端子Tiに供給される画像情報とを受け、入力端子Tiに供給されている画像情報に従った画像信号Snを形成し、信号線ドライバD−DRVへ供給する。信号線ドライバD−DRVは、供給された画像信号Snを、表示期間のとき、時分割的に、信号線セレクタ3へ供給する。また、制御回路D−CNTは、外部端子Ttに供給されるタイミング信号とタッチ制御装置6からの制御信号SWとを受け、種々の制御信号を形成する。制御回路D−CNTが形成する制御信号としては、信号線セレクタ3に供給される選択信号SEL1、SEL2、同期信号TSHD、クロック信号CLK、磁界イネーブル信号SC_EN、表示駆動信号VCOMDC、タッチ検出に関する制御信号X−CNT、Y−CNT、コイルクロック信号CCLK、ハイインピーダンス制御信号HZ−CT等がある。
【0060】
制御回路D−CNTにより形成される信号のうち、磁界イネーブル信号SC_ENは、タッチ検出(磁界タッチ検出)を実施することを示すイネーブル信号である。また、同期信号TSHDは、表示パネル2において表示を行う期間(表示期間)とタッチ検出を行う期間(タッチ検出期間)とを識別する同期信号であり、表示駆動信号VCOMDCは、表示期間のとき、駆動電極に供給される駆動信号である。
【0061】
信号線ドライバD−DRVは、表示期間のとき、選択信号SEL1、SEL2に従って、時分割的に、画像信号Snを信号線セレクタ3へ、供給する。信号線セレクタ3は、表示パネル2に配置された複数の信号線に接続されており、表示期間のとき、供給されている画像信号を、選択信号SEL1、SEL2に従って、適切な信号線へ供給する。ケートドライバ5は、表示期間のとき、制御回路D−CNTからのタイミング信号に従って走査線信号Vs0〜Vspを形成し、表示パネル2内の走査線に供給する。表示期間においては、ハイレベルの走査線信号が供給されている走査線に接続されている画素が選択され、選択された画素は、そのとき信号線に供給されている画像信号に従った表示を行うことにより、表示か行われる。
【0062】
また、特に制限されないが、信号線ドライバD−DRVおよびゲートドライバ5には、制御回路D−CNTからハイインピーダンス制御信号HZ−CTが供給されている。信号線ドライバD−DRVおよびゲートドライバ5は、特に制限されないが、タッチ検出期間のとき、ハイインピーダンス制御信号HZ−CTによって、その出力が、ハイインピーダンス状態にされる。
【0063】
タッチ制御装置6は、センス信号S(0)〜S(p)を受ける磁界検出回路SE−DETと、磁界検出回路SE−DETからの検出信号SC−Dに対して処理を行い、タッチされた位置の座標を抽出する処理回路PRSと、制御回路T−CNTを備えている。制御回路T−CNTは、表示制御装置4から同期信号TSHD、クロック信号CLKおよび磁界イネーブル信号SC_ENと受け、タッチ制御装置6が、表示制御装置4に同期して動作するように制御する。
【0064】
すなわち、制御回路T−CNTは、同期信号TSHDおよび磁界イネーブル信号SC_ENがタッチ検出を示しているとき、磁界検出回路SE−DETおよび処理回路PRSが、動作するように制御する。また、制御回路T−CNTは、磁界検出回路SE−DETからの検出信号を受け、制御信号SWを形成し、制御回路D−CNTへ供給する。処理回路PRSは、抽出した座標を、座標情報として、外部端子Toから出力する。
【0065】
表示パネル2は、画素配列LCDの行に平行した辺2−U、2−Dと、画素配列LCDの列に平行した辺2−R、2−Lを有している。ここで、辺2−Uと辺2−Dは、互いに対向した辺であり、この2辺の間に、画素配列LCDにおける複数の駆動電極と複数の走査線が挟まれるように配置されている。また、辺2−Rと辺2−Lも、互いに対向した辺であり、この2辺の間に、画素配列LCDにおける複数の信号線が挟まれるように配置されている。
【0066】
切換回路DSCは、表示パネル2の辺2−Rに沿って配置され、選択駆動回路SDCは、表示パネル2の辺2−Lに沿って配置されている。切換回路DSCは、表示パネル2の辺2−R側において、表示パネル2に配置されている複数の駆動電極に結合され、選択駆動回路SDCは、表示パネル2の辺2−L側において、表示パネル2に配置されている複数の駆動電極に結合されている。すなわち、切換回路DSCおよび選択駆動回路SDCは、表示パネル2の外部において、表示パネル2に配置されている駆動電極と接続されている。
【0067】
選択制御回路SR−Rは、特に制限されないが、表示パネル2の辺2−Rに沿って配置されており、同じ辺2−Rに沿って配置された切換回路DSCは、対応する選択制御回路SR−Rからの指示に従って動作する。また、選択制御回路SR−Lは、特に制限されないが、表示パネル2の辺2−Lに沿って配置されており、同じ辺2−Lに沿って配置された選択駆動回路SDCは、対応する選択制御回路SR−Lからの指示に従って動作する。
【0068】
選択制御回路SR−Rは、タッチ検出のときに、複数のコイルが形成されるように、それぞれコイルの巻線となる複数の駆動電極を切換回路DSCへ指定する。切換回路DSCは、指定された駆動電極間を電気的に接続することにより、複数のコイルを形成する。また、表示期間のときには、選択制御回路SR−Rは、駆動電極に表示駆動信号VCOMDCを供給するように、切換回路DSCを制御する。選択制御回路SR−Lは、タッチ検出のとき、複数のコイルの巻線となる複数の駆動電極を選択駆動回路SDCに指定する。選択駆動回路SDCは、指定された複数の駆動電極に対して磁界用の駆動信号(磁界駆動信号)を供給する。また、表示期間のときに、選択制御回路SR−Lは、駆動電極に表示駆動信号VCOMDCを供給するように、選択駆動回路SDCを制御する。
【0069】
すなわち、磁界イネーブル信号SC_ENによりタッチ検出が指示されているとき、選択制御回路SR−R、SR−Lは、タッチを検出する領域を挟むように配置されている複数の駆動電極を、駆動電極TL(0)〜TL(p)から指定する。切換回路DSCは、指定された複数の駆動電極間を電気的に接続し、選択駆動回路SDCは、指定された複数の駆動電極に対して、磁界駆動信号を供給する。このときの磁界駆動信号として、選択駆動回路SDCは、周期的に電圧が変化するコイルクロック信号CCLKを供給する。ここで、選択制御回路SR−R、SR−Lは、タッチを検出する領域が、複数のコイルの内側に配置されるように、駆動電極を指定する。すなわち、複数のコイル間で重なった領域が、タッチを検出する領域を含むように、選択制御回路SR−R、SR−Lは、駆動電極TL(0)〜TL(p)から複数の駆動電極を指定する。
【0070】
これにより、タッチ検出期間であって、磁界発生期間TGTのとき、タッチを検出する領域においては、複数のコイルによって発生した磁界が重畳されることになり、強い磁界が発生することになる。また、表示期間のときには、駆動電極の両端部から、駆動電極に表示駆動信号が供給されるため、表示期間のとき、駆動電極の電圧を安定化させることが可能となる。
【0071】
表示パネル2の辺2−Uに沿って、切換調整回路SCX−Uが配置され、辺2−U側において、切換調整回路SCX−Uは、表示パネル2に配置された複数の信号線に結合されている。すなわち、切換調整回路SCX−Uは、表示パネル2の外部において、複数の信号線に接続されている。また、切換調整回路SCX−Dは、表示パネル2の辺2−Dに沿って配置された信号線セレクタ3を介して、表示パネル2に配置された複数の信号線に結合されている。
【0072】
タッチ検出期間において、磁界イネーブル信号SC_ENによりタッチ検出が指定されているとき、切換調整回路SCX−U、SCX−Dは、表示パネル2に配置されている信号線間を電気的に接続し、信号線を巻線とした複数のコイルを形成する。選択制御回路SRX−Dは、タッチ検出期間において、信号線により形成された複数のコイルから、タッチを検出する領域を挟むように配置されている信号線により構成されているコイルを選択する。タッチ検出期間であって、磁界検出期間TDTのとき、選択されたコイルにおける信号の変化が、センス信号S(0)〜S(p)として出力され、磁界検出回路SE−DETへ供給される。
【0073】
図2および図3を用いて説明した電磁誘導方式では、磁界発生に用いるコイルと磁界検出に用いるコイルとが同じであったが、この実施の形態1においては、磁界発生に用いるコイルと磁界検出に用いるコイルとが異なっている。すなわち、磁界発生期間TGTにおいては、駆動電極により形成されたコイルにより磁界が発生し、磁界検出期間TDTにおいては、信号線により形成されたコイルにより磁界の検出が行われる。この場合も、電磁誘導方式の基本原理は、図2および図3で説明した基本原理と同じである。すなわち、磁界発生期間TGTのとき、ペン内コイルL1(図2)は、駆動電極により形成されたコイルにより発生した磁界に基づいて、誘起電圧を発生し、容量素子C(図2)へ充電を行う。また、磁界検出期間TDTのときには、ペン内コイルL1により発生した磁界に基づいて、信号線により形成されたコイルに誘起電圧が発生し、信号線における信号の変化か、タッチ検出の結果を表すセンス信号(以下、検出信号と称する場合もある)となる。
【0074】
なお、切換調整回路SCX−U、SCX−Dによって、信号線を巻線としたコイルを形成するとき、信号線セレクタ3は、信号線と切換調整回路SCX−D間を電気的に接続する。
【0075】
タッチ検出期間においては、磁界イネーブル信号SC_ENにより、タッチ制御装置6における磁界検出回路SE−DETが動作する。磁界検出回路SE−DETは、センス信号S(0)〜S(p)を増幅し、デジタル信号へ変換して、検出信号SC−Dとして、処理回路PRSへ供給する。供給された検出信号SC−Dに基づいて、処理回路PRSは、ペンがタッチした位置の座標を抽出し、位置情報として外部端子Toから出力する。
【0076】
磁界検出期間TDTのとき、選択制御回路SRX−Dによって、コイルを選択するように説明したが、選択制御回路SRX−Dは、コイルを選択せずに、信号線により形成されているコイルのそれぞれにおける信号変化を、センス信号S(0)〜S(p)として、磁界検出回路SE−DETへ供給するようにしてもよい。この場合、磁界検出回路SE−DETにおいて、センス信号S(0)〜S(p)のそれぞれを、時間的に並列に増幅することが可能であり、検出動作の高速化を図ることが可能となる。
【0077】
タッチ検出期間における、切換回路DSC、選択駆動回路SDC、切換調整回路SCX−U、SCX−Dおよび選択制御回路SR−R、SR−L、SRX−Dの動作概要を説明したが、表示期間においては、次のように動作する。
【0078】
すなわち、表示期間において、切換回路DSCおよび選択駆動回路SDCは、複数の駆動電極に表示駆動信号を供給する。また、切換調整回路SCX−U、SCX−Dは、信号線間を電気的に分離する。これにより、表示期間においては、信号線ドライバD−DRVからの画像信号Snが信号線セレクタ3によって、適切な信号線に供給される。また、駆動電極には、表示駆動信号が供給されるため、走査線がハイレベルになることにより、選択された画素には、信号線に供給されている画像信号と駆動電極に供給されている表示駆動信号との電圧差が与えられることになり、画像信号に従った表示が行われる。
【0079】
この実施の形態1においては、駆動電極は、磁界を発生するためのコイルの巻線および表示駆動電極を伝達する信号配線として兼用されることになる。また、信号線は、磁界を検出するためのコイルの巻線と画像信号を伝達する信号配線として兼用されることになる。これにより、タッチ検出機能を有する液晶表示装置1を、製造コストの上昇を抑制しながら提供することが可能となる。
【0080】
実施の形態1において、切換回路DSC、選択駆動回路SDCおよび選択制御回路SR−R、SR−Lによって、駆動電極に、表示駆動信号または磁界駆動信号が供給される。そのため、切換回路DSC、選択駆動回路SDCおよび選択制御回路SR−R、SR−Lによって、電極駆動回路が構成されていると見なすことができる。
【0081】
同様に、切換調整回路SCX−U、SCX−Dおよび選択制御回路SRX−Dにより、画像信号またはセンス信号の伝達が行われる。そのため、切換調整回路SCX−U、SCX−Dおよび選択制御回路SRX−Dによって、信号線駆動回路が構成されていると見なすことができる。この場合、信号線駆動回路は、表示パネル2の辺2−Uに沿って配置された第1切換回路SCX−Uと、表示パネル2の辺2−D側に沿って配置された第2切換回路SCX−Dを有する切換回路と、選択制御回路SRX−Dとにより構成されていると見なすことができる。
<液晶表示装置1のモジュール構成>
【0082】
図7は、液晶表示装置1を実装したモジュール500の全体構成を示す模式的な平面図である。模式的ではあるが、図7は、実際の配置に合わせて描かれている。同図において、501は、図4および図5で示したTFTガラス基板における領域を示しており、502は、図4および図5で示したTFTガラス基板とCFガラス基板とを有する領域を示している。モジュール500において、TFTガラス基板は一体となっている。すなわち、領域501と領域502とにおいて、TFTガラス基板は共通であり、領域502には、図4および図5に示したように、TFTガラス基板の上方面に、CFガラス基板等が、さらに形成されている。
【0083】
図7において、500−Uは、モジュール500の短辺を示しており、500−Dは、モジュール500の辺であって、短辺500−Uと対向する短辺を示している。また、500−Lは、モジュール500の長辺を示しており、500−Rは、モジュールの辺であって、長辺500−Lに対向する長辺を示している。
【0084】
領域502であって、表示パネル2の辺2−Lとモジュール500の長辺500−Lとの間の領域には、図6で示したゲートドライバ5、選択駆動回路SDCおよび選択制御回路SR−Lが配置されている。また、表示パネル2の辺2−Rとモジュール500の長辺500−Rとの間の領域には、図6で示した切換回路DSCおよび選択制御回路SR−Rが配置されている。表示パネル2の辺2−Uとモジュール500の短辺500−Uとの間の領域には、図6で示した切換調整回路SCX−Uが配置されている。
【0085】
また、表示パネル2の辺2−Dとモジュール500の短辺500−Dとの間の領域には、図6で示した信号線セレクタ3、切換調整回路SCX−D、選択制御回路SRX−Dおよびドライブ用半導体装置DDICが配置されている。
【0086】
この実施の形態1においては、図6に示した信号線ドライブD−DRVおよび制御回路D−CNTは、1個の半導体装置に内蔵されている。本明細書においては、この1個の半導体装置が、ドライブ用半導体装置DDICとして示されている。また、図6に示したタッチ制御装置6も、1個の半導体装置に内蔵されている。本明細書においては、ドライブ用半導体装置DDICと区別するために、タッチ制御装置6を内蔵した半導体装置をタッチ用半導体装置6と称する。勿論、ドライブ用半導体装置DDICおよびタッチ用半導体装置6のそれぞれは、複数の半導体装置で構成してもよい。また、例えばドライブ用半導体装置DDICに、切換調整回路SCX−Dおよび選択制御回路SRX−Dを内蔵させてもよい。
【0087】
この実施の形態1においては、切換調整回路SCX−Dおよび選択制御回路SRX−Dは、領域501に配置されており、領域501のTFTガラス基板に形成された配線および部品により構成されている。部品としては、スイッチ部品があり、スイッチ部品は例えば薄膜トランジスタ(以下、TFTトランジスタと称する)である。また、平面視的に、切換調整回路SCX−Dおよび選択制御回路SRX−Dを覆うように、ドライブ用半導体装置DDICが、TFTガラス基板に実装されている。これにより、表示パネル2の下側額縁が大きくなるのを抑制することが可能となる。
【0088】
また、切換回路DSC、選択駆動回路SDC、切換調整回路SCX−Uおよび選択制御回路SR−R,SR−Lを構成する部品も、領域502におけるTFTガラス基板上に形成されている。
【0089】
図7において、FB1、FB2は、フレキシブルケーブルを示している。特に制限されないが、フレキシブルケーブルFB1には、タッチ用半導体装置6が実装され、フレキシブルケーブルFB2には、コネクタCNが実装されている。図6において説明したセンス信号S(0)〜S(p)は、このコネクタCNを介して、選択制御回路SRX−Dからタッチ用半導体装置6に供給されている。さらに、コネクタCNを介して、タッチ用半導体装置6とドライブ用半導体装置DDICとの間で信号の送受信が行われる。図7には、送受信される信号の例として、同期信号TSHDが描かれている。
【0090】
表示パネル2には、既に述べたように、複数の画素が行列状に配置された画素配列を有しており、画素配列は、配列の行に沿って配置された複数の駆動電極TL(0)〜TL(p)および走査線GL(0)〜GL(p)と、配列の列に沿って配置された複数の信号線SL(0)〜SL(p)とを備えている。図7には、例として、2個の駆動電極TL(n)、TL(m)と2個の信号配線SL(k)、SL(n)とが示されている。なお、図7では、走査線は、省略されている。信号線SL(0)〜SL(p)と走査線あるいは駆動電極TL(0)〜TL(p)との交差部分には、画素が配置されている。図7に示した表示パネル2の4辺に明示してあるR、G、Bは、3原色に対応した画素を示している。
【0091】
図8は、表示パネル2が備えている駆動電極と信号線との関係を示す平面図である。表示パネル2は、駆動電極TL(0)〜TL(p)および信号線SL(0)〜SL(p)を備えているが、図8には、これらの駆動電極および信号線のうちの一部が、駆動電極TL(n−6)〜TL(n+9)および信号線SL(n−6)〜SL(n+9)として例示されている。なお、図8には、走査線は省略されている。
【0092】
図8に示した駆動電極TL(n−6)〜TL(n+9)を例にして、駆動電極を説明すると、それぞれの駆動電極は、第1電極と、この第1電極に接続された複数の第2電極とを備えている。ここで、第1電極は、例えば透明電極であり、第2電極は、第1電極よりもシート抵抗の低い電極である。図8には、それぞれの駆動電極が備えている複数の第2電極のうち1個の第2電極が、補助電極SMとして示されている。なお、図面が複雑になるのを避けるために、図8では、駆動電極TL(n−6)およびTL(n+9)が備えている補助電極についてのみ、符号SMが付されている。
【0093】
補助電極SMも、駆動電極を構成する第1電極(透明電極)と同様に、配列の行方向に延在し、第1電極と電気的に接続されている。これにより、第1電極と補助電極(第2電極)とを備えている駆動電極の合成抵抗(インピーダンス)の低減が図られている。本明細書においては、特に明示しない限り、第1電極(透明電極)と、この第1電極に接続された第2電極(補助電極SM)とを合わせて、駆動電極と称している。
【0094】
なお、図8において、符号U(−6)〜U(+9)およびD(−6)〜D(+9)は、あとで説明する切換調整回路SCX−U、SCX−Dとの接続を示すための符号である。
<表示パネルの構造>
【0095】
図9は、実施の形態1に係わる液晶表示装置1に含まれる表示パネル2の構成を示す断面図である。表示という観点で見た場合、表示パネル2の領域(第1領域)は、アクティブな領域(アクティブ領域)であり、表示が行われる表示領域である。これに対して、表示パネル2の外部の領域(第2領域)は、表示が行われない領域で有り、非アクティブな領域(非アクティブ領域)あるいは周辺領域と見なすことができる。図7を例にして説明すると、アクティブ領域は、表示パネル2の辺2−U、2−D、2−Rおよび2−Lによって囲まれた領域である。
【0096】
図9は、図7に示した表示パネル2のA−A’断面を示している。この実施の形態1においては、カラー表示を行うために、R(赤)、G(緑)およびB(青)の3原色のそれぞれに対応した3個の画素を用いて、1個のカラー画素を表示する。すなわち、1個のカラー画素が、3個の副画素により構成されていると見なすことができる。この場合、表示期間において、カラー画像信号を伝達する信号線は、3個の信号線により構成されることになる。図9には、具体的な表示パネル2の構造を示すために、カラー表示を行う例が示されている。
【0097】
図9を説明する前に、図9で用いる信号線の符号を説明しておく。信号線SL(0)〜SL(p)のそれぞれは、表示期間において、カラー画像信号を伝達する信号線を示している。それぞれの信号線は、3個の副画素に画像信号を伝達する3個の信号線を有している。図9においては、信号線の符号の後に対応する副画素の英字を付して、3個の信号線を区別している。信号線SL(n)を例にすると、信号線SL(n)は、信号線SL(n)R、SL(n)GおよびSL(n)Bを有している。ここで、符号SL(n)の後に付した英字Rは、表示期間においては、三原色の赤(R)に対応する副画素へ画像信号を伝達する信号線を示しており、符号SL(n)の後に付した英字Gは、三原色の緑(G)に対応する副画素へ画像信号を伝達する信号線を示しており、符号SL(n)の後に付した英字Bは、三原色の青(B)に対応する副画素へ画像信号を伝達する信号線を示している。
【0098】
図9において、600は、TFTガラス基板を示している。TFTガラス基板600には、第1配線層(金属配線層)601が形成されている。この第1配線層601に形成された配線によって、走査線GL(n)が構成される。第1配線層601の上には、絶縁層602が形成されており、絶縁層602上には、第2配線層(金属配線層)603が形成されている。第2配線層603に形成された配線によって、信号線SL(n)R、SL(n)G、SL(n)B、信号線SL(n+1)R、SL(n+1)G、SL(n+1)Bおよび信号線SL(n+2)R、SL(n+2)Gが構成される。同図では、これらの信号線が第2配線層603によって構成されていることを示すために、信号線の符号の後に、第2配線層を示す符号603を[]内に記載している。例えば、信号線SL(n)Gは、SL(n)G[603]として示されている。
【0099】
第2配線層603上には、絶縁層604が形成され、絶縁層604上には、第3配線層(金属配線層)605が形成されている。第3配線層605に形成された配線によって、駆動電極TL(n)と補助電極SMが構成されている。ここで、駆動電極TL(n)は、透明電極(第1電極)である。また、補助電極SM(第2電極)は、駆動電極TL(n)よりも抵抗値が低く、駆動電極TL(n)と電気的に接続するように形成されている。透明電極である駆動電極TL(n)の抵抗値は、比較的高いが、補助電極SMを駆動電極TL(n)と電気的に接続することにより、合成抵抗を低減することが可能となっている。ここでも、駆動電極および補助電極の符号に付された[605]は、第3配線層605により構成されていることを示している。
【0100】
第3配線層605上には、絶縁層606が形成され、絶縁層606の上面には画素電極LDPが形成されている。図9において、CR、CB、CGのそれぞれは、カラーフィルタである。カラーフィルタCR(赤)、CG(緑)、CB(青)と絶縁層606との間には液晶層607が挟まれている。ここで、画素電極LDPは、走査線と信号線との交点に設けられており、各画素電極LDPの上方に、それぞれの画素電極LDPに対応したカラーフィルタCR、CGあるいはCBが設けられている。各カラーフィルタCR、CG、CB間にはブラックマトリクスBMが設けられている。
【0101】
また、図9では、省略されているが、カラーフィルタCR、CG、CB上には、図4および図5に示したように、CFガラス基板が形成されている。さらに、CFガラス基板の上には、図5に示すように、偏光板が配置されている。
<画素配列>
【0102】
次に、表示パネル2の回路構成を説明しておく。図10は、図7に示した表示パネル2の回路構成を示す回路図である。図10においても、信号線は、図9と同じ表示形式で表されている。同図において、一点鎖線で示した複数個のSPixのそれぞれは、1個の液晶表示素子(副画素)を示している。副画素SPixは、表示パネル2において、行列状に配置され、液晶素子配列(画素配列)LCDを構成している。画素配列LCDは、各行に配置され、行方向に延在する複数の走査線GL(0)〜GL(p)と、各列に配置され、列方向に延在する信号線SL(0)R、SL(0)G、SL(0)B〜SL(p)R、SL(p)G、SL(p)Bとを具備している。また、画素配列LCDは、各行に配置され、行方向に延在する駆動電極TL(0)〜TL(p)を有している。
【0103】
図10には、走査線GL(n−1)〜GL(n+1)と、信号線SL(n)R、SL(n)G、SL(n)B〜SL(n+1)R、SL(n+1)G、SL(n+1)Bと、駆動電極TL(n−1)〜TL(n+1)に関する画素配列の部分のみが示されている。図10においては、説明を容易にするために、駆動電極TL(n−1)〜TL(n+1)が、それぞれの行に配置されているように、示されているが、複数の行に対して1個の駆動電極を配置するようにしてもよい。
【0104】
画素配列LCDの行と列の交点に配置されたそれぞれの副画素SPixは、TFTガラス基板600に形成されたTFTトランジスタTrと、TFTトランジスタTrのソースに一方の端子が接続された液晶素子LCとを具備している。画素配列LCDにおいて、同じ行に配置された複数の副画素SPixのTFTトランジスタTrのゲートは、同じ行に配置されている走査線に接続され、同じ列に配置された複数の副画素SPixのTFTトランジスタTrのドレインは、同じ列に配置された信号線に接続されている。言い換えるならば、複数の副画素SPixが、行列状に配置され、各行には、走査線が配置され、走査線には、対応する行に配置された複数の副画素SPixが接続されている。また、各列には信号線が配置され、信号線には、対応する列に配置された画素SPixが接続されている。また、同じ行に配置された複数の副画素SPixの液晶素子LCの他端は、行に配置された駆動電極に接続されている。
【0105】
図10に示した例で説明すれば、同図において、最上段の行に配置された複数の副画素SPixのそれぞれのTFTトランジスタTrのゲートは、最上段の行に配置された走査線GL(n−1)に接続されている。また、同図において、最も左側の列に配置された複数の副画素SPixのそれぞれのTFTトランジスタTrのドレインは、最も左側の列に配置された信号線SL(n)Rに接続されている。さらに、最上段の行に配置された複数の副画素SPixのそれぞれの液晶素子LCの他端は、図10においては、最上段の行に配置された駆動電極TL(n−1)に接続されている。
【0106】
1個の副画素SPixが、先に述べたように、3原色の1つに対応する。従って、3個の副画素SPixによって、R、G、Bの3原色が構成される。図10では、同じ行に、連続的に配置された3個の副画素SPixによって、1つのカラー画素Pixが形成され、当該画素Pixにてカラーが表現される。すなわち、図10において、700Rとして示されている副画素SPixが、R(赤)の副画素SPix(R)とされ、700Gとして示されている副画素SPixが、G(緑)の副画素SPix(G)とされ、700Bとして示されている副画素SPixが、B(青)の副画素SPix(B)とされる。そのために、700Rとして示されている副画素SPix(R)には、カラーフィルタとして赤色のカラーフィルタCRが設けられており、700Gの副画素SPix(G)には、カラーフィルタとして緑色のカラーフィルタCGが設けられており、700Bの副画素SPix(B)には、カラーフィルタとして青色のカラーフィルタCBが設けられている。
【0107】
また、1つの画素を表す信号のうち、Rに対応する画像信号が、信号線セレクタ3から、信号線SL(n)Rに供給され、Gに対応する画像信号が、信号線セレクタ3から、信号線SL(n)Gに供給され、Bに対応する画像信号が、信号線セレクタ3から、信号線SL(n)Bに供給される。
【0108】
各副画素SPixにおけるTFTトランジスタTrは、特に制限されないが、Nチャンネル型TFTトランジスタである。走査線GL(0)〜GL(p)には、例えばこの順番で順次ハイレベルとなるパルス状の走査線信号が、ゲートドライバ5(図6および図7)から供給される。すなわち、画素配列LCDにおいて、上段の行に配置された走査線GL(0)から下段の行に配置された走査線GL(p)に向かって、走査線の電圧が、順次ハイレベルとなる。これにより、画素配列LCDにおいて、上段の行に配置された副画素SPixから下段の行に配置された副画素SPixに向かって、副画素SPixにおけるTFTトランジスタTrが、順次導通状態となる。
【0109】
TFTトランジスタTrが導通状態となることにより、そのとき信号線に供給されている画像信号が、導通状態のTFTトランジスタを介して、液晶素子LCに供給される。液晶素子LCは、駆動電極TL(0)〜TL(p)に供給されている表示駆動信号の電圧と、供給された画像信号の電圧との間の差電圧に従って、電界が変化し、その液晶素子LCを透過する光の変調が変わる。これにより、走査線GL(0)〜GL(p)に供給する走査線信号に同期して、信号線SL(0)R、SL(0)G、SL(n)B〜SL(p)R、SL(p)G、SL(p)Bに供給した画像信号に応じたカラー画像が、表示パネル2に表示されることになる。
【0110】
複数の副画素SPixのそれぞれは、選択端子と1対の端子とを有していると見なすことができる。この場合、副画素SPixを構成するTFTトランジスタTrのゲートが、副画素SPixの選択端子であり、TFTトランジスタTrのドレインが、1対の端子のうちの一方の端子であり、液晶素子LCの他端が、副画素SPixの他方の端子である。
【0111】
ここで、図6および図7に示した表示パネル2の配置と、図10に示した回路図との対応を述べておくと、次のようになる。
【0112】
画素配列LCDは、その配列の行と実質的に平行な1対の辺と、その配列の列と実質的に平行な1対の辺とを有している。画素配列LCDの行と平行な1対の辺が、図6および図7に示した表示パネル2の短辺2−U、2−Dに対応した第1辺、第2辺であり、画素LCDの列と平行な1対の辺が、表示パネル2の長辺2−L、2−Rに対応した第3辺、第4辺である。
【0113】
画素配列LCDにおいて、行と平行な1対の辺のうちの第2辺、すなわち、表示パネル2の一方の短辺2−Dに沿って、図7に示されているように、信号セレクタ3、切換調整回路SCX−D、選択制御回路SRX−D、ドライブ用半導体装置DDICが配置されている。画素配列LCDにおいては、この第2辺(液晶パネル2の短辺2−D)において、信号線セレクタ3を介して、ドライブ用半導体装置DDICからの画像信号が、信号線SL(0)R、SL(0)G、SL(0)B〜SL(p)R、SL(p)G、SL(p)Bに供給される。
【0114】
また、画素配列LCDの第1辺、すなわち、表示パネル2の他方の辺(短辺2−U)に沿って、図7に示したように、切換調整回路SCX−Uが配置されている。
【0115】
画素配列LCDにおいて、列と平行な1対の辺(第3辺、第4辺)のうち第3辺、すなわち、表示パネル2の長辺2−Lに沿って、ゲートドライバ5、選択制御回路SR−L、選択駆動回路SDCが配置されている。画素配列LCDにおいては、この第3辺において、走査線GL(0)〜GL(p)にゲートドライバ5からの走査線信号が供給される。図7では、ゲートドライバ5が、表示パネル2の長辺2−Lに沿って配置されていたが、ゲートドライバ5を、2個に分け、長辺2−L(画素配列LCDの第3辺)と長辺2−R(画素配列LCDの第4辺)のそれぞれに沿って配置するようにしてもよい。また、画素配列LCDにおいては、表示期間のとき、第3辺において、選択駆動回路SDCから、駆動電極に表示駆動信号が供給され、タッチ検出期間の磁界発生期間TGTのとき、第3辺において、選択駆動回路SDCから、磁界駆動信号が、指定された複数の駆動電極へ供給される。
【0116】
また、画素配列LCDの第4辺、すなわち表示パネル2の長辺2−Rに沿って、図7に示したように、切換回路DSC、選択制御回路SR−Rが配置されている。表示期間においては、この第4辺において、切換回路DSCから表示駆動信号が、共通電極へ供給される。タッチ検出期間においては、第4辺側において、複数の駆動電極間が電気的に接続される。
【0117】
表示パネル2においてカラー表示を行う場合の画素配列LCDを具体的に説明したが、それぞれ3個の副画素SPixにより構成された複数のカラー画素Pix(画素)により、画素配列LCDが構成されていると見なしてもよい。このように見なした場合、複数の画素Pixが、行列状に配置され、画素配列LCDが構成される。画素Pixにより構成された画素配列LCDのそれぞれの行には、対応する走査線GL(0)〜GL(p)と、対応する駆動電極TL(0)〜TL(p)が配置され、それぞれの列には、信号線SL(0)〜SL(p)が配置される。
【0118】
この場合、3個の副画素SPixを、1個の画素Pixと見なし、画素Pixは、副画素SPixと同様な構成を有していると見なす。画素配列LCDに行列状に配置された画素Pixのそれぞれの選択端子は、画素Pixと同じ行に配置された走査線GL(0)〜GL(p)に接続され、画素Pixのそれぞれの一方の端子は、同じ列に配置された信号線SL(0)〜SL(p)に接続され、画素Pixのそれぞれの他方の端子は、同じ列に配置された駆動電極TL(0)〜TL(p)に接続されることになる。勿論、1個の駆動電極が、画素配列LCDの複数の行に対応していてもよい。この場合には、複数の行に配置された画素Pixの他方の端子が、共通の駆動電極に接続されることになる。
【0119】
このように、画素配列LCDが、複数の画素Pixにより構成されていると見なした場合においても、図6および図7に示した表示パネル2の配置と、図10に示した回路図との対応は、先に説明した内容と同じである。
【0120】
1個のカラー画素Pixを構成する副画素SPixの数が、3個の場合を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば上記R、G、Bに加えて白(W)や黄色(Y)、または上記R、G、Bの補色(シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y))のいずれか1色又は複数色を加えた副画素で1つのカラー画素としてもよい。
<電極駆動回路>
【0121】
次に、実施の形態1に係わる液晶表示装置1における電極駆動回路(選択制御回路SR−R、SR−L、切換回路DSCおよび選択駆動回路SDC)を、図11図15を用いて説明する。
<<電極駆動回路の動作概要>>
【0122】
電極駆動回路の理解を容易にするために、先ず、動作概要を述べておく。実施の形態1においては、磁界発生期間TGTのとき、複数の駆動電極TL(0)〜TL(p)のなかから、4個の駆動電極が指定される。指定された4個の駆動電極は、それぞれ2個が1つの束(ペア−)とされ、2個の束が構成される。それぞれの束において、一方の駆動電極の端部と、他方の駆動電極の端部とが、互いに電気的に接続される。駆動電極は、互いに平行して配置されているため、端部間を電気的に接続することにより、それぞれの束において駆動電極を巻線としたコイルが形成される。1個の束により、1個のコイルが形成されるため、4個の駆動電極により、2個のコイルが形成されることになる。
【0123】
4個の駆動電極を指定するとき、形成される2個のコイル間で、コイルの内側が互いに重なるようにように指定される。言い換えるならば、2個の束を第1束と第2束とした場合、第1束を構成する2個の駆動電極によって挟まれる領域(駆動電極)と第2束を構成する2個の駆動電極によって挟まれる領域(駆動電極)とが、重なるような、駆動電極を指定する。
【0124】
形成された2個のコイルには、互いに同期したコイルクロック信号が、実質的に同時に、磁界駆動信号として供給される。これにより、重なった領域(駆動電極に相当する領域)においては、第1束の駆動電極により形成されたコイルにより発生する磁界と、第2束の駆動電極により形成されたコイルにより発生する磁界とが重畳されることになる。第1束および第2束により形成されるコイルのそれぞれは、1回巻線のコイルとなるため、駆動電極のシート抵抗が比較的高くても、形成されるコイルの長さが比較的短くなるため、コイルのインピーダンスが高くなるのを抑制することが可能となり、コイルクロック信号に同期して、コイルを流れる駆動電流が小さくなるのを抑制することが可能となる。その結果、コイル1個当たりが発生する磁界が弱くなるのを抑制しつつ、磁界の重畳によって、重なった領域における磁界を強くすることが可能となる。
【0125】
また、実施の形態1においては、コイルが互いに重なる領域として、互いに隣接した2個の駆動電極に対応する領域が設定される。所定の磁界発生期間TGTにおいては、この互いに隣接した2個の駆動電極の領域を挟むように配置されている4個の駆動電極によって、2個のコイルを形成し、互いに隣接した2個の駆動電極の領域において磁界を発生する。次の磁界発生期間TGTにおいては、この互いに隣接した2個の駆動電極を、2個の束を構成する駆動電極として指定し、次の磁界発生期間TGTにおいては、この指定した駆動電極を含む2個の束によって、2個のコイルを形成し、磁界を発生する。これにより、重なった領域に相当する駆動電極が、次の磁界発生期間TGTにおいては、磁界を発生するためのコイルの巻線として用いられることになる。このように、重なった領域に対応する駆動電極を、次の磁界発生期間TGTにおいては、コイルの巻線として用いように、順次駆動電極を指定することにより、表示パネル2がタッチされているか、あるいはタッチされている表示パネル2の位置をスキャンすることが可能となる。
【0126】
このようなスキャンを行うことにより、タッチを検出する領域(重なった領域)と、スキャンにおいて、コイルをずらす領域とを同じ大きさにすることが可能となり、スキャンにおいて磁界が発生しない領域が生じるのを防ぐことが可能となり、タッチの検出精度が低下するような領域が生じるのを防ぐことが可能となる。実施の形態1に沿って説明すると、スキャンにおいては、重なった領域は、2個の駆動電極に相当し、2束を単位としてコイルがずれる(移動する)。
<<電極駆動回路の構成>>
【0127】
図11は、実施の形態1に係わる液晶表示装置1の構成を示すブロック図である。同図には、駆動電極TL(0)〜TL(p)と、これらの駆動電極のうち駆動電極TL(n−2)〜TL(n+7)に対応する電極駆動回路(選択制御回路SR−R、SR−L、切換回路DSC、選択駆動回路SDC)の部分の構成が示されている。なお、先に説明したように、それぞれの駆動電極は、第1電極(透明電極)と第2電極(補助電極)とを備えている。図11では、このことを明示するために、補助電極SMの符号を付した実線が、代表として、駆動電極TL(0)およびTL(p)に描かれている。
<<選択制御回路SR−Rおよび切換回路DSC>>
【0128】
選択制御回路SR−Rは、特に制限されないが、実施の形態1においては、シフトレジスタを有している。このシフトレジスタは、磁界イネーブル信号SC_ENによって、タッチ検出の動作が指示され、制御信号Y−CNTが例えばハイレベルになることにより、クロック信号CLKの変化に同期してシフト動作を行う。選択制御回路SR−Rは、シフトレジスタの各段に対応する複数の単位選択回路を備えている。タッチ検出の動作が指定されると、クロック信号CLKの変化に同期して、複数の単位選択回路から順次、論理値“1”に相当するハイレベルの選択信号が出力される。実施の形態1においては、複数の単位選択回路のそれぞれは、強い磁界を発生する領域に1対1に対応している。実施の形態1において、それぞれ強い磁界を発生する領域は、互いに近接して配置された2個の駆動電極に相当している。そのため、選択制御回路SR−Rは、それぞれ2個の駆動電極に対して1対1に対応した複数の単位選択回路を備えていることになる。
【0129】
図11においては、駆動電極TL(n)と駆動電極TL(n+1)が、強い磁界を発生する1個の領域に相当している。同様に、駆動電極TL(n+2)と駆動電極TL(n+3)が、強い磁界を発生する1個の領域に相当し、駆動電極TL(n+4)と駆動電極TL(n+5)が、強い磁界を発生する1個の領域に相当し、駆動電極TL(n+6)と駆動電極TL(n+7)が、強い磁界を発生する1個の領域に相当し、駆動電極TL(n−2)と駆動電極TL(n−1)が、強い磁界を発生する1個の領域に相当している。
【0130】
図11には、選択制御回路SR−Rを構成する複数の単位選択回路のうち、これらの強い磁界を発生する領域に対応する単位選択回路USR(n−2)〜USR(n+6)が示されている。すなわち、単位選択回路USR(n)は、駆動電極TL(n)と駆動電極TL(n+1)に相当する領域に対応している。同様に、単位選択回路USR(n+2)は、駆動電極TL(n+2)と駆動電極TL(n+3)に相当する領域に対応しており、単位選択回路USR(n+4)は、駆動電極TL(n+4)と駆動電極TL(n+5)に相当する領域に対応している。また、単位選択回路USR(n+6)は、駆動電極TL(n+6)と駆動電極TL(n+7)に相当する領域に対応しており、単位選択回路USR(n−2)は、駆動電極TL(n−2)と駆動電極TL(n−1)に相当する領域に対応している。
【0131】
単位選択回路USR(n−2)、USR(n)、USR(n+2)、USR(n+4)、USR(n+6)は、タッチ検出期間のとき、クロック信号CLKに同期して、選択信号Ty(n−2)R、Ty(n)R、Ty(n+2)R、Ty(n+4)R、Ty(n+6)Rを出力する。単位選択回路USR(n−2)〜USR(n+6)からの選択信号Ty(n−2)R〜Ty(n+6)は、切換回路DSCに供給される。
【0132】
切換回路DSCは、信号配線LL1、LL2、電圧配線VL1および第1スイッチa00〜a09を備えている。ここで、信号配線LL1およびLL2は、タッチ検出期間のとき、駆動電極間を電気的に接続するための信号配線として用いられる。また、電圧配線VL1には、表示期間のとき、表示駆動信号VCOMDCが供給される。表示駆動信号VCOMDCの値は、例えば接地電圧Vssである。
【0133】
第1スイッチa00〜a09のそれぞれは、共通端子cと、第1端子p1と、第2端子P2と、第3端子とを備えており、単位選択回路USR(n−2)〜USR(n+6)からの選択信号Ty(n−2)R〜Ty(n+6)に従って、共通端子cが、第1端子p1、第2端子p2および第3端子のいずれかに接続される。第1スイッチa00〜a09のそれぞれの第3端子は、何処にも接続されておらず、フローティング状態となっている。そのため、図11では、第1スイッチa00〜a09のそれぞれの第3端子は、省略されている。
【0134】
第1スイッチa00〜a09のそれぞれの第1端子p1は、電圧配線VL1に接続されている。また、第1スイッチa00、a02、a04、a06およびa08の第2端子p2は、信号配線LL1に接続され、第1スイッチa01、a03、a05、a07およびa09の第2端子p2は、信号配線LL2に接続されている。
【0135】
第1スイッチa00の共通端子cは、対応する駆動電極TL(n−2)の一方の端部に接続され、第1スイッチa01の共通端子cは、対応する駆動電極TL(n−1)の一方の端部に接続され、第1スイッチa02の共通端子cは、対応する駆動電極TL(n)の一方の端部に接続され、第1スイッチa03の共通端子cは、対応する駆動電極TL(n+1)の一方の端部に接続され、第1スイッチa04の共通端子cは、対応する駆動電極TL(n+2)の一方の端部に接続されている。同様に、第1スイッチa05の共通端子cは、対応する駆動電極TL(n+3)の一方の端部に接続され、第1スイッチa06の共通端子cは、対応する駆動電極TL(n+4)の一方の端部に接続され、第1スイッチa07の共通端子cは、対応する駆動電極TL(n+5)の一方の端部に接続され、第1スイッチa08の共通端子cは、対応する駆動電極TL(n+6)の一方の端部に接続され、第1スイッチa09の共通端子cは、対応する駆動電極TL(n+7)の一方の端部に接続されている。
【0136】
第1スイッチa00と第1スイッチa01は、1組として制御される。すなわち、第1スイッチa01およびa02は、単位選択回路USR(n)からの選択信号Ty(n)Rと図示しない単位選択回路USR(n−4)からの選択信号Ty(n−4)Rによって制御される。また、第1スイッチa02、a03は、1組とされ、単位選択回路USR(n−2)からの選択信号Ty(n−2)Rと単位選択回路USR(n+2)からの選択信号Ty(n+2)Rによって制御され、第1スイッチa04、a05は、1組とされ、単位選択回路USR(n)からの選択信号Ty(n)Rと単位選択回路USR(n+4)からの選択信号Ty(n+4)Rによって制御される。同様に、第1スイッチa06、a07は、1組とされ、単位選択回路USR(n+2)からの選択信号Ty(n+2)Rと単位選択回路USR(n+6)からの選択信号Ty(n+6)Rによって制御され、第1スイッチa08、a09は、1組とされ、単位選択回路USR(n+4)からの選択信号Ty(n+4)Rと図示しない単位選択回路USR(n+8)からの選択信号Ty(n+8)Rによって制御される。
【0137】
磁界発生期間TGTにおいて、コイルに磁界駆動信号を供給すると、そのコイルの内側に強い磁界が発生する。そのため、2個の駆動電極に対応した単位選択回路により形成される選択信号は、この2個の駆動電極を挟むように配置されている駆動電極間を電気的に接続する選択信号として用いられる。駆動電極TL(n)と駆動電極TL(n+1)に対応した単位選択回路USR(n)を例にして説明すると、単位選択回路USR(n)により形成される選択信号Ty(n)Rは、磁界発生期間TGTのとき、対応する駆動電極TL(n)、TL(n+1)の領域において強い磁界が発生するように、駆動電極TL(n)およびTL(n+1)を挟むように配置されている駆動電極TL(n−2)、TL(n−1)と、駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)との間を電気的に接続する選択信号として用いられる。
【0138】
この実施の形態1では、先に概要で述べたように、磁界発生期間TGTにおいては、4個の駆動電極を指定し、指定した駆動電極のうちのそれぞれ2個の駆動電極によって1個の束が構成され、2個の束を単位として、磁界を発生する。単位選択回路USR(n)が形成する選択信号Ty(n)Rは、駆動電極TL(n)、TL(n+1)の領域において強い磁界を発生するとき、駆動電極TL(n−2)、TL(n−1)、TL(n+2)およびTL(n+3)を指定する。指定された駆動電極TL(n−2)とTL(n+2)とによって1個の束(第1束)が構成され、駆動電極TL(n−1)とTL(n+3)とによって1個の束(第2束)が構成されように、選択信号Ty(n)Rが、第1スイッチa00、a01、a04およびa05を制御する。すなわち、選択信号Ty(n)によって、第1スイッチa00、a01、a04およびa05のそれぞれの共通端子cが、第2端子p2に接続されるように制御する。
【0139】
これにより、駆動電極TL(n−2)は、第1スイッチa00を介して信号配線LL1に接続され、駆動電極TL(n+2)は、第1スイッチa04を介して信号配線LL1に接続される。その結果、駆動電極TL(n−2)とTL(n+2)とが電気的に接続され、これらの駆動電極を巻線としたコイルCY(n)が形成されることになる。同様に、駆動電極TL(n−1)は、第1スイッチa01を介して信号配線LL2に接続され、駆動電極TL(n+3)は、第1スイッチa05を介して信号配線LL2に接続される。その結果、駆動電極TL(n−1)とTL(n+3)とが電気的に接続され、これらの駆動電極を巻線としたコイルCY(n+1)が形成されることになる。
【0140】
この場合、コイルCY(n)によって発生する磁界の領域、すなわちコイルの領域は、駆動電極TL(n−2)と駆動電極TL(n+2)とによって挟まれた領域となり、駆動電極TL(n−1)〜TL(n+1)に相当する領域となる。一方、コイルCY(n+1)によって発生する磁界の領域、すなわちコイルの領域は、駆動電極TL(n−1)と駆動電極TL(n+3)とによって挟まれた領域となり、駆動電極TL(n)〜TL(n+2)に相当する領域となる。従って、コイルCY(n)の領域とコイルCY(n+1)の領域とは、駆動電極TL(n)、TL(n+1)に相当する領域において、互いに重なっていることになる。
【0141】
また、駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)の領域において磁界を発生するときには、この駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)に対応した単位選択回路USC(n+2)が形成する選択信号Ty(n+2)Rによって、4個の駆動電極TL(n)、TL(n+1)、TL(n+4)およびTL(n+5)が指定され、第1スイッチa02、a03、a06、a07のそれぞれの共通端子cが、第2端子p2に接続される。これにより、駆動電極TL(n)とTL(n+4)とが電気的に接続され、コイルCY(n+2)が形成され、駆動電極TL(n+1)とTL(n+5)とが電気的に接続され、コイルCY(n+3)が形成される。この場合、コイルCY(n+2)の領域とコイルCY(n+3)の領域とが、互いに重なっている領域が、駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)に相当する領域となる。
【0142】
同様に、駆動電極TL(n+4)、TL(n+5)の領域において強い磁界を発生するときには、この駆動電極TL(n+4)、TL(n+5)に対応した単位選択回路USC(n+4)が形成する選択信号Ty(n+4)Rによって、4個の駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)、TL(n+6)およびTL(n+7)が指定され、第1スイッチa04、a05、a08、a09のそれぞれの共通端子cが、第2端子p2に接続される。これにより、駆動電極TL(n+2)とTL(n+6)とが電気的に接続され、コイルCY(n+4)が形成され、駆動電極TL(n+3)とTL(n+7)とが電気的に接続され、コイルCY(n+5)が形成される。この場合、コイルCY(n+4)の領域とコイルCY(n+5)の領域とが、互いに重なっている領域が、駆動電極TL(n+4)、TL(n+5)に相当する領域となる。
【0143】
他の駆動電極についても同様である。すなわち、単位選択回路が形成する選択信号によって指定された駆動電極により2個のコイルが形成される。この場合、形成された2個のコイルは、互いに重なった領域を有している。この実施の形態1において、単位選択回路は、形成した2個のコイルが互いに重なっている領域を指定していると見なすこともできる。
【0144】
図11においては、図面が複雑になるのを避けるために、選択信号Ty(n−2)R、Ty(n)R、Ty(n+2)R、Ty(n+4)RおよびTy(n+6)Rのそれぞれが、1本の信号で示されているが、それぞれの選択信号は、複数の選択信号によって構成されている。選択信号Ty(n)Rを例にして説明すると、選択信号Ty(n)Rは、第1スイッチa00、a01、a04、a05の共通端子cを第1端子p1へ接続するか否かを選択する表示選択信号Ty(n)R−1と、第1スイッチa00、a01、a04、a05の共通端子cを第2端子p2または第3端子へ接続するかを選択するタッチ選択信号Ty(n)R−2とを有している。
【0145】
他の選択信号Ty(n−2)R、Ty(n+2)R、Ty(n+4)RおよびTy(n+6)Rのそれぞれについても同様に、選択信号は、表示選択信号(選択信号の符号に−1の符号を付す)とタッチ選択信号(選択信号の符号に−2の符号を付す)を有している。選択信号Ty(n+2)Rを、さらに例にして述べておくと、選択信号Ty(n+2)Rは、第1スイッチa02、a03、a06、a07の共通端子cを第1端子p1へ接続するか否かを選択する表示選択信号Ty(n+2)R−1と、第1スイッチa02、a03、a06、a07の共通端子cを第2端子p2または第3端子へ接続するかを選択するタッチ選択信号Ty(n+2)R−2とを有している。
【0146】
ドライブ用半導体装置DDIC内の制御回路D−CNTは、タッチ検出のとき、磁界イネーブル信号SC_ENを、例えばハイレベルにし、制御信号Y−CNTをハイレベルにする。クロック信号CLKが周期的に変化することにより、選択制御回路SR−Rから出力されるタッチ選択信号は、例えば順次、ハイレベルとなる。
【0147】
図11を例にして説明すると、単位選択回路USR(n−2)から出力されるタッチ選択信号Ty(n−2)R−2が、先ずハイレベルになる。このとき、他のタッチ選択信号Ty(n)R−2、Ty(n+2)R−2、Ty(n+4)R−2およびTy(n+6)R−2は、ロウレベルである。クロック信号CLKが変化すると、単位選択回路USR(n)から出力されるタッチ選択信号Ty(n)R−2がハイレベルへ変化し、他のタッチ選択信号Ty(n−2)R−2、Ty(n+2)R−2、Ty(n+4)R−2およびTy(n+6)R−2は、ロウレベルとなる。以降、クロック信号CLKが変化するごとに、タッチ選択信号Ty(n+2)R−2、Ty(n+4)R−2およびTy(n+6)R−2の順にハイレベルとなり、ハイレベルとなるタッチ選択信号を除いたタッチ選択信号はロウレベルとなる。
【0148】
また、磁界イネーブル信号SC_ENがロウレベルとなることにより、単位選択回路USR(n−2)、USR(n)、USR(n+2)、USR(n+4)およびUSR(n+6)は、タッチ選択信号Ty(n−2)R−2、Ty(n)R−2、Ty(n+2)R−2、Ty(n+4)R−2およびTy(n+6)R−2のそれぞれをロウレベルとし、表示選択信号Ty(n−2)R−1、Ty(n)R−1、Ty(n+2)R−1、Ty(n+4)R−1およびTy(n+6)R−1のそれぞれを、ロウレベルからハイレベルへ変化させる。
【0149】
第1スイッチa00〜a09のそれぞれは、供給されているタッチ選択信号が、ハイレベルとなることにより、共通端子cを第2端子p2へ接続し、タッチ選択信号が、ロウレベルとなることにより、共通端子cを第3端子へ接続する。また、第1スイッチa00〜a09のそれぞれは、供給されている表示選択信号が、ハイレベルのとき、共通端子cを第1端子p1へ接続し、表示選択信号が、ロウレベルのとき、共通端子cと第1端子p1との間を非導通にする。
【0150】
タッチ検出のときには、磁界イネーブル信号SC_ENがロウレベルとなり、タッチ選択信号Ty(n)R−2からTy(n+6)−Rへ向かって順に、タッチ選択信号はハイレベルとなる。これにより、上記したように、コイルCY(n)、CY(n+1)が形成され、次に、コイルCY(n+2)、CY(n+3)が形成される。コイルCY(n+2)、CY(n+3)のあとに、コイルCY(n+4)、CY(n+5)が形成される。すなわち、2個単位で、順番にコイルが形成されることになる。
【0151】
図15は、磁界発生期間TGTにおいて形成されるコイルCY(n)〜CY(n+6)を模式的に示した平面図である。図15には、コイルCY(n)〜CY(n+6)の全てが、描かれているが、コイルCY(n)とCY(n+1)、コイルCY(n+2)とCY(n+3)、コイルCY(n+4)とCY(n+5)の順番で、2個のコイル単位で、時間の経過に伴って順次形成される。また、図面を見易くするために、駆動電極間を接続する配線を別々に描いているが、駆動電極間を接続する配線は、図11に示した信号配線LL1とLL2とが用いられている。また、駆動電極TL(n+6)、TL(n+7)およびこれらの駆動電極と駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)間を接続する配線は、図面を見易くするために、破線で描かれている。
【0152】
図15において、PTL(n−2)〜PTL(n+7)は、駆動電極TL(n−2)〜TL(n+7)のそれぞれの他方の端部を示している。
【0153】
また、図15において、CX(n)〜CX(n+5)は、駆動電極TL(n−2)〜TL(n+7)の代わりに、信号線SL(n−2)〜SL(n+7)を用いてコイルを形成した場合のコイルを示している。駆動電極の代わりに、信号線を用いることによっても、コイルCX(n)とCX(n+1)、コイルCX(n+2)とCX(n+3)、コイルCX(n+4)とCX(n+5)の順番で、2個のコイル単位で、時間の経過に伴って順次形成することが可能である。なお、図15において、PSL(n−2)〜PSL(n+7)は、信号線SL(n−2)〜SL(n+7)の端部を示している。
【0154】
タッチ検出のときを説明したが、表示期間のときには、磁界イネーブル信号SC_ENがロウレベルとなるため、表示選択信号がハイレベルとなり、第1スイッチa00〜S09のそれぞれにおいて、共通端子cが、第1端子p1へ接続される。表示期間においては、電圧配線VL1に表示駆動信号VCOMDCが供給されているため、駆動電極TL(n−2)〜TL(n+7)のそれぞれの一方の端部に、第1スイッチa00〜a09を介して、表示駆動信号VCOMDCが供給されることになる。
【0155】
例えば、第1スイッチa02において、共通端子cと、第2端子p2または第3端子との間の接続は、タッチ選択信号Ty(n)R−2と、タッチ選択信号Ty(n+2)R−2の両方によって制御されることになるが、ハイレベル優先で、共通端子cと第2端子p2との間が接続されるようにすればよい。他の第1スイッチも同様である。
<<選択制御回路SR−Lおよび選択駆動回路SDC>>
【0156】
次に、選択制御回路SR−Lおよび選択駆動回路SDCを、図11を用いて説明する。選択制御回路SR−Lの構成は、選択制御回路SR−Rと類似している。すなわち、選択制御回路SR−Lは、シフトレジスタを有しており、磁界イネーブル信号SC_ENがハイレベルにされ、制御信号Y−CNTがハイレベルにされ、クロック信号CLKが変化することにより、順次ハイレベルとなる選択信号を出力する。また、選択制御回路SR−Lは、シフトレジスタの各段に対応する複数の単位選択回路を有している。図11には、複数の単位選択回路のうち、単位選択回路USL(n−2)、USL(n)、USL(n+2)、USL(n+4)およびUSL(n+6)が示されている。
【0157】
選択制御回路SR−Lを構成する複数の単位選択回路のそれぞれは、選択制御回路SR−Rを構成する単位選択回路と同様に、磁界発生期間TGTにおいて強い磁界を発生する領域に1対1に対応している。図11に示した単位選択回路を例にして説明すると、単位選択回路USL(n−2)は、駆動電極TL(n−2)、TL(n−1)の領域に対応し、単位選択回路USL(n)は、駆動電極TL(n)、TL(n+1)の領域に対応し、単位選択回路USL(n+2)は、駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)の領域に対応している。同様に、単位選択回路USL(n+4)は、駆動電極TL(n+4)、TL(n+5)の領域に対応し、単位選択回路USL(n+6)は、駆動電極TL(n+6)、TL(n+7)の領域に対応している。単位選択回路USL(n−2)、USL(n)、USL(n+2)、USL(n+4)およびUSL(n+6)は、磁界発生期間TGTにおいて、対応する領域において磁界を発生するとき、選択信号Ty(n−2)L、Ty(n)L、TY(n+2)L、Ty(n+4)LおよびTy(n+6)Lを形成して、出力する。
【0158】
選択駆動回路SDCは、信号配線LL3、電圧配線VL1、VL2および第2スイッチb00〜b09を備えている。信号配線LL3には、タッチ検出のとき、制御回路D−CNT(図6)からコイルクロック信号CCLKが供給される。このコイルクロック信号CCLKは、所定の周期で変化するクロック信号である。電圧配線VL1には、表示期間のとき、表示駆動信号VCOMDCが供給される。また、電圧配線VL2には、タッチ検出のとき、所定の電圧、例えば接地電圧Vssが供給される。
【0159】
第2スイッチb00〜b09のそれぞれは、共通端子c、第1端子p1、第2端子p2、第3端子p3および第4端子を備えており、供給される選択信号に従って、共通端子cが、第1端子p1、第2端子p2、第3端子p3または第4端子に接続される。第2スイッチb00〜b09のそれぞれにおける第4端子は、第1スイッチの第3端子と同様に、何処にも接続されておらず、フローティング状態となっている。そのため、第2スイッチb00〜b09のそれぞれにおける第4端子は省略されている。第2スイッチb00〜b09のそれぞれの第1端子p1は、電圧配線VL1に接続され、第2端子p2は、信号配線LL3に接続され、第3端子p3は、電圧配線VL2に接続されている。
【0160】
第2スイッチb00の共通端子cは、対応する駆動電極TL(n−2)の他方の端部PTL(n−2)に接続され、第2スイッチb01の共通端子cは、駆動電極TL(n−1)の他方の端部PTL(n−1)に接続され、第2スイッチb02の共通端子cは、駆動電極TL(n)の他方の端部PTL(n)に接続され、第2スイッチb03の共通端子cは、駆動電極TL(n+1)の他方の端部PTL(n+1)に接続されている。また、第2スイッチb04の共通端子cは、駆動電極TL(n+2)の他方の端部PTL(n+2)に接続され、第2スイッチb05の共通端子cは、駆動電極TL(n+3)の他方の端部PTL(n+3)に接続され、第2スイッチb06の共通端子cは、駆動電極TL(n+4)の他方の端部PTL(n+4)に接続され、第2スイッチb07の共通端子cは、駆動電極TL(n+5)の他方の端部PTL(n+5)に接続されている。同様に、第2スイッチb08の共通端子cは、駆動電極TL(n+6)の他方の端部PTL(n+6)に接続され、第2スイッチb09の共通端子cは、駆動電極TL(n+7)の他方の端部PTL(n+7)に接続されている。
【0161】
第2スイッチb00、b01のそれぞれにおける共通端子cを、第1端子p1、第2端子p2、第3端子p3および第4端子のいずれに接続するかは、単位選択回路USL(n)からの選択信号Ty(n)Lと図示しない単位選択回路USL(n−4)からの選択信号Ty(n−4)Lとによって決定される。また、第2スイッチb02、b03のそれぞれにおける共通端子cを、第1端子p1、第2端子p2、第3端子p3および第4端子のいずれに接続するかは、単位選択回路USL(n−2)からの選択信号Ty(n−2)Lと単位選択回路USL(n+2)からの選択信号Ty(n+2)Lとによって決定される。第2スイッチb04、b05のそれぞれにおける共通端子cを、第1端子p1、第2端子p2、第3端子p3および第4端子のいずれに接続するかは、単位選択回路USL(n)からの選択信号Ty(n)Lと単位選択回路USL(n+4)からの選択信号Ty(n+4)Lとによって決定される。
【0162】
また、第2スイッチb06、b07のそれぞれにおける共通端子cを、第1端子p1、第2端子p2、第3端子p3および第4端子のいずれに接続するかは、単位選択回路USL(n+2)からの選択信号Ty(n+2)Lと単位選択回路USL(n+6)からの選択信号Ty(n+6)Lとによって決定される。同様に、第2スイッチb08、b09のそれぞれにおける共通端子cを、第1端子p1、第2端子p2、第3端子p3および第4端子のいずれに接続するかは、単位選択回路USL(n+4)からの選択信号Ty(n+4)Lと図示しない単位選択回路USL(n+8)からの選択信号Ty(n+8)Lとによって決定される。
【0163】
タッチ検出のとき、選択制御回路SR−Lは、強い磁界を発生する領域を挟むように配置された4個の駆動電極を指定する選択信号を形成する。図11を例にして説明すると、駆動電極TL(n)、TL(n+1)に相当する領域において強い磁界を発生する場合、この領域に対応する単位選択回路USL(n)が、選択信号Ty(n)Lを形成する。形成された選択信号Ty(n)Lによって、第2スイッチb00およびb01においては、共通端子cのそれぞれが、第2端子p2に接続され、第2スイッチb04およびb05においては、共通端子cのそれぞれが、第3端子p3に接続される。これにより、駆動電極TL(n−2)の端部PTL(n−2)には、第2スイッチb00を介してコイルクロック信号CCLKが、磁界駆動信号として供給され、駆動電極TL(n−2)の端部PTL(n−2)にも、第2スイッチb01を介してコイルクロック信号CCLKが、磁界駆動信号として供給される。このとき、駆動電極TL(n+2)の端部PTL(n+2)には、第2スイッチb04を介して、接地電圧Vssが供給され、駆動電極TL(n+3)の端部PTL(n+3)にも、第2スイッチb05を介して、接地電圧Vssが供給される。
【0164】
同じコイルクロック信号CCLKが、駆動電極TL(n−2)およびTL(n−1)に磁界駆動信号として供給されるため、駆動電極TL(n−2)に供給される磁界駆動信号と駆動電極TL(n−1)に供給される磁界駆動信号は、実質的に位相が同じクロック信号となる。また、同じ選択信号によって、第2スイッチb00とb01は制御され、また第2スイッチb04とb05も、同じ選択信号によって制御される。そのため、駆動電極TL(n−2)の端部PTL(n−2)と駆動電極TL(n−1)の端部PTL(n−1)には、実質的に同じタイミングで、同位相の磁界駆動信号が供給されることになる。また、駆動電極TL(n+2)の端部PTL(n+2)と駆動電極TL(n+3)の端部PTL(n+3)の端部PTL(n+3)には、実質的に同じタイミングで、接地電圧Vssが供給されることになる。
【0165】
駆動電極TL(n−2)と駆動電極TL(n+2)とによって、コイルCY(n)が形成されるため、駆動電極TL(n−2)の端部PTL(n−2)と駆動電極TL(n+2)の端部PTL(n+2)は、コイルCY(n)の端部あるいは端子と見なすことができる。同様に、端部PTL(n−1)と端部PTL(n+3)は、コイルCY(n+1)の端部あるいは端子と見なすことができる。以下、端部PTL(n−2)〜PTL(n+7)は、コイルの端部あるいは端子とも称する場合がある。
【0166】
コイルCY(n)の端部PTL(n+2)に接地電圧Vssが供給され、コイルCY(n)の端部PTL(n−2)には、周期的に変化する磁界駆動信号が供給されるため、コイルCY(n)は、磁界駆動信号に従って変化する磁界を発生する。この場合、磁界は、コイルCY(n)の内側の領域、すなわち駆動電極TL(n−1)〜TL(n+1)の領域において強くなる。同様に、コイルCY(n+1)も、磁界駆動信号に従って変化する磁界を発生する。この場合、磁界は、コイルCY(n+1)の内側の領域、すなわち駆動電極TL(n)〜TL(n+2)の領域において強くなる。
【0167】
コイルCY(n)とコイルCY(n+1)に供給される磁界駆動信号は、実質的に同じタイミングであり、同じ位相であるため、コイルCY(n)が発生する磁界の変化と、コイルCY(n+1)が発生する磁界の変化とは同じになる。その結果、コイルCY(n)とコイルCY(n+1)とが重なった領域、すなわち駆動電極TL(n)とTL(n+1)に相当する領域においては、磁界が重畳されることになり、強い磁界が形成されることになる。
【0168】
以上、駆動電極TL(n)、TL(n+1)に相当する領域において磁界を発生する場合を説明したが、他の領域において磁界を発生する場合も同様である。
【0169】
すなわち、駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)に相当する領域において磁界を発生させる場合、単位選択回路USL(n+2)からの選択信号Ty(n+2)Lによって、第2スイッチb02およびb03における共通端子cが、第2端子p2に接続され、第2スイッチb06およびb07における共通端子cが、第3端子p3に接続される。これにより、駆動電極TL(n)、TL(n+1)の端部PTL(n)、PTL(n+1)に、コイルクロック信号CCLKが、実質的に同じタイミングで、同位相の磁界駆動信号として供給され、駆動電極TL(n+4)、TL(n+5)の端部PTL(n+4)、PTL(n+5)には、接地電圧Vssが供給される。その結果、コイルCY(n+1)とコイルCY(n+2)は、供給されている磁界駆動信号に従って、互いに同じように変化する磁界を発生する。コイルCY(n+2)とコイルCY(n+3)とが重なっている領域は、駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)に相当する領域であるため、この領域において、コイルCY(n+2)とコイルCY(n+3)によって発生した磁界が重畳され、強い磁界となる。
【0170】
同様に、駆動電極TL(n+4)、TL(n+5)に相当する領域において磁界を発生させる場合、単位選択回路USL(n+4)からの選択信号Ty(n+4)Lによって、第2スイッチb04およびb05における共通端子cが、第2端子p2に接続され、第2スイッチb08およびb09における共通端子cが、第3端子p3に接続される。これにより、駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)の端部PTL(n+2)、PTL(n+3)に、コイルクロック信号CCLKが、実質的に同じタイミングで、同位相の磁界駆動信号として供給され、駆動電極TL(n+6)、TL(n+7)の端部PTL(n+6)、PTL(n+7)には、接地電圧Vssが供給される。その結果、コイルCY(n+4)とコイルCY(n+5)は、供給されている磁界駆動信号に従って、互いに同じように変化する磁界を発生する。コイルCY(n+4)とコイルCY(n+5)とが重なっている領域は、駆動電極TL(n+4)、TL(n+5)に相当する領域であるため、この領域において、コイルCY(n+4)とコイルCY(n+5)によって発生した磁界が重畳され、強い磁界となる。
【0171】
図面が複雑になるのをさけるために、選択信号Ty(n−2)L〜Ty(n+6)Lは、図11では、1個の信号として示しているが、それぞれの選択信号は、複数の選択信号を有している。
【0172】
選択信号Ty(n)Lを例にして説明すると、選択信号Ty(n)Lは、第2スイッチb00、b01、b04、b05の共通端子cを第1端子p1へ接続するか否かを選択する表示選択信号Ty(n)L−1と、第2スイッチb00、b01の共通端子cを第2端子p2または第4端子へ接続するかを選択する第1タッチ選択信号Ty(n)L−2と、第2スイッチb04、b05の共通端子cを第3端子p3または第4端子へ接続するかを選択する第2タッチ選択信号Ty(n)L−3を有している。
【0173】
他の選択信号Ty(n−2)L、Ty(n+2)L、Ty(n+4)LおよびTy(n+6)Lのそれぞれについても同様に、選択信号は、表示選択信号(選択信号の符号に−1の符号を付す)と第1タッチ選択信号(選択信号の符号に−2の符号を付す)と第2タッチ選択信号(選択信号の符号に−3の符号を付す)を有している。
【0174】
例えば、選択信号Ty(n+2)Lは、第2スイッチb02、b03、b06、b07の共通端子cを第1端子p1へ接続するか否かを選択する表示選択信号Ty(n+2)L−1と、第2スイッチb02、b03の共通端子cを第2端子p2または第4端子へ接続するかを選択する第1タッチ選択信号Ty(n+2)L−2と、第2スイッチb06、b07の共通端子cを第3端子p3または第4端子へ接続するかを選択する第2タッチ選択信号Ty(n+2)L−3を有している。選択信号Ty(n+4)Lは、第2スイッチb04、b05、b08、b09の共通端子cを第1端子p1へ接続するか否かを選択する表示選択信号Ty(n+4)L−1と、第2スイッチb04、b05の共通端子cを第2端子p2または第4端子へ接続するかを選択する第1タッチ選択信号Ty(n+4)L−2と、第2スイッチb08、b09の共通端子cを第3端子p3または第4端子へ接続するかを選択する第2タッチ選択信号Ty(n+4)L−3を有している。
【0175】
選択制御回路SR−Lは、選択制御回路SR−Rと同様に、磁界イネーブル信号SC_ENがハイレベルで、制御信号Y−CNTがハイレベルのとき、クロック信号CLKの変化に同期して動作する。すなわち、選択制御回路SR−Rから出力される第1タッチ選択信号および第2タッチ選択信号は、例えば順次、ハイレベルとなる。
【0176】
図11を例にして説明すると、単位選択回路USL(n−2)から出力される第1タッチ選択信号Ty(n−2)L−2と第2タッチ選択信号Ty(n−2)L−3が、先ずハイレベルになる。このとき、他の第1タッチ選択信号Ty(n)L−2、Ty(n+2)L−2、Ty(n+4)L−2およびTy(n+6)L−2および他の第2タッチ選択信号Ty(n)L−3、Ty(n+2)L−3、Ty(n+4)L−3およびTy(n+6)L−3は、ロウレベルである。
【0177】
クロック信号CLKが変化すると、単位選択回路USL(n)から出力される第1タッチ選択信号Ty(n)L−2と、第2タッチ選択信号Ty(n)L−3がハイレベルへ変化し、他の第1タッチ選択信号Ty(n−2)L−2、Ty(n+2)L−2、Ty(n+4)L−2およびTy(n+6)L−2は、ロウレベルとなる。また、他の第2タッチ選択信号Ty(n−2)L−3、Ty(n+2)L−3、Ty(n+4)L−3およびTy(n+6)L−3も、ロウレベルとなる。以降、クロック信号CLKが変化するごとに、第1タッチ選択信号は、第1タッチ選択信号Ty(n+2)L−2、Ty(n+4)L−2およびTy(n+6)L−2の順にハイレベルとなり、ハイレベルとなる第1タッチ選択信号を除いた第1タッチ選択信号はロウレベルとなる。同様に、第2タッチ選択信号も、第2タッチ選択信号Ty(n+2)L−3、Ty(n+4)L−3およびTy(n+6)L−3の順にハイレベルとなり、ハイレベルとなる第2タッチ選択信号を除いた第2タッチ選択信号はロウレベルとなる。
【0178】
また、磁界イネーブル信号SC_ENがロウレベルとなると、単位選択回路USL(n−2)、USL(n)、USL(n+2)、USL(n+4)およびUSL(n+6)は、第1タッチ選択信号Ty(n−2)L−2、Ty(n)L−2、Ty(n+2)L−2、Ty(n+4)L−2およびTy(n+6)L−2をロウレベルとし、第2タッチ選択信号Ty(n−2)L−3、Ty(n)L−3、Ty(n+2)L−3、Ty(n+4)L−3およびTy(n+6)L−3もロウレベルとする。このとき、単位選択回路USL(n−2)、USL(n)、USL(n+2)、USL(n+4)およびUSL(n+6)は、ロウレベルの磁界イネーブル信号SC_ENに応答して、表示選択信号Ty(n−2)L−1、Ty(n)L−1、Ty(n+2)L−1、Ty(n+4)L−1およびTy(n+6)L−1のそれぞれを、ロウレベルからハイレベルへ変化させる。
【0179】
第2スイッチb00〜b09のそれぞれは、供給されている第1タッチ選択信号が、ハイレベルとなることにより、共通端子cを第2端子p2へ接続し、第1タッチ選択信号が、ロウレベルとなることにより、共通端子cを第4端子へ接続する。また、第2スイッチb00〜b09のそれぞれは、供給されている第2タッチ選択信号が、ハイレベルとなることにより、共通端子cを第3端子p3へ接続し、第2タッチ選択信号が、ロウレベルとなることにより、共通端子cを第4端子へ接続する。さらに、第2スイッチb00〜b09のそれぞれは、供給されている表示選択信号が、ハイレベルのとき、共通端子cを第1端子p1へ接続し、表示選択信号が、ロウレベルのとき、共通端子cと第1端子p1との間を非導通にする。
【0180】
タッチ検出のときには、磁界イネーブル信号SC_ENがロウレベルとなり、クロック信号CLKの変化に伴って、第1タッチ選択信号は、第1タッチ選択信号Ty(n)L−2からTy(n+6)L−2へ向かって順に、ハイレベルとなる。これに同期して、第2タッチ選択信号も、第2タッチ選択信号Ty(n)L−3からTy(n+6)L−3へ向かって順に、ハイレベルとなる。これにより、上記したように、コイルCY(n)、CY(n+1)の端部PTL(n−2)、PTL(n−1)には、磁界駆動信号が供給され、端部PTL(n+2)、PTL(n+3)には、接地電圧Vssが供給される。次に、コイルCY(n+2)、CY(n+3)の端部PTL(n)、PTL(n+1)に、磁界駆動信号が供給され、端部PTL(n+4)、PTL(n+5)に、接地電圧Vssが供給される。そのあと、コイルCY(n+4)、CY(n+5)の端部PTL(n+2)、PTL(n+3)に、磁界駆動信号が供給され、端部PTL(n+6)、PTL(n+7)に、接地電圧Vssが供給される。すなわち、2個単位で、順番に、コイルに磁界駆動信号と接地電圧Vssとが供給されることになる。
【0181】
第2スイッチb00〜b09のそれぞれは、例えば3個のスイッチによって構成してもよい、この場合、第1のスイッチは、共通端子cと第1端子p1との間に接続され、表示選択信号がハイレベルのとき、導通状態となり、ロウレベルのとき、非導通状態となるようにする。第2のスイッチは、共通端子cと第2端子p2との間に接続され、第1タッチ選択信号がハイレベルのとき、導通状態となり、ロウレベルのとき、非導通状態となるようにする。また、第3のスイッチは、共通端子cと第3端子p3との間に接続され、第2タッチ選択信号がハイレベルのとき、導通状態となり、ロウレベルのとき、非導通状態となるようにする。
【0182】
選択制御回路SR−Rと選択制御回路SR−Lとは互いに同期して動作する。すなわち、単位選択回路USR(n−2)〜USR(n+6)と単位選択回路USL(n−2)〜USL(n+6)とは、同期して選択信号を出力する。例えば、単位選択回路USR(n)がハイレベルのタッチ選択信号を出力するとき、単位選択回路USL(n)もハイレベルの第1タッチ選択信号と第2タッチ選択信号を出力する。また、表示期間においては、選択制御回路SR−Rと選択制御回路SR−Lのそれぞれから、ハイレベルの表示選択信号が出力される。これにより、タッチ検出の際には、発生する磁界を強くすることが可能であり、表示期間においては、表示駆動信号が、駆動電極の両端部から供給されるため、駆動電極の電圧の安定化を図ることが可能となる。
<スキャン動作>
【0183】
図12図14は、実施の形態1に係わる液晶表示装置1の動作を示すブロック図である。図12図14には、タッチ検出のときの液晶表示装置1の動作が示されており、表示のときの動作は省略されている。
【0184】
図12図14において、TL(n−2)〜TL(n+7)は、駆動電極を示している。ここで、駆動電極TL(n−2)〜TL(n+7)は、この順番で、表示パネル2(図6図7)の辺2−U側から辺2−D側に配置された駆動電極を示している。すなわち、駆動電極TL(n−2)は、駆動電極TL(n−1)〜TL(n+7)に比べて、表示パネル2の辺2−Uに近く配置された駆動電極であり、駆動電極TL(n+7)は、駆動電極TL(n−2)〜TL(n+6)に比べて、表示パネル2の辺2−Dに近く配置された駆動電極である。
【0185】
表示パネル2の辺2−U、2−Dは、図10に示した画素配列LCDの辺(行と平行な辺)に対応しているため、駆動電極TL(n−2)〜TL(n+7)は、画素配列LCDの一方の辺(辺2−Uに対応)から画素配列LCDの他方の辺(辺2−Dに対応)に向かって、この順番で配置された駆動電極であると見なすことができる。この場合にも、駆動電極TL(n−2)は、駆動電極TL(n−1)〜TL(n+7)に比べて、画素配列LCDの一方の辺(辺2−Uに対応)に近く配置された駆動電極であり、駆動電極TL(n+7)は、駆動電極TL(n−2)〜TL(n+6)に比べて、画素配列LCDの他方の辺(辺2−Dに対応)に近く配置された駆動電極である。
【0186】
図12図14を用いて、表示パネル2のいずれかの部分がペンによってタッチされているか否か、あるいはタッチしている表示パネル2における位置を検出するためのスキャンの動作を説明する。ここでは、表示パネル2の辺2−U(画素配列LCDの一方の辺)側から辺2−D(画素配列LCDの他方の辺)に向かって、順次、タッチ検出を実施して、スキャンする場合を説明する。勿論、逆の方向(辺2−Dから辺2−U)に、順次、タッチ検出を実施し、逆方向へスキャンしてもよい。
【0187】
図12図14のそれぞれは、図11に示した構成と類似しているので、相違点を主に説明する。先ず、図12図14には、図11で説明した選択制御回路SR−R、SR−Lおよび選択信号Ty(n−2)R〜Ty(n+6)R、Ty(n−2)L〜Ty(n+6)Lは省略されている。しかしながら、図12図14に示している第1スイッチa00〜a09および第2スイッチb00〜b09は、図11で説明したのと同様に、選択制御回路SR−R、SR−Lから出力される選択信号Ty(n−2)R〜Ty(n+6)R、Ty(n−2)L〜Ty(n+6)Lによって制御されている。
【0188】
図12は、表示パネル2の辺2−U側の近くに配置された駆動電極TL(n)、TL(n+1)に相当する領域において、タッチを検出する場合の状態を示している。タッチの検出は、図3から理解されるように、磁界発生期間TGTと磁界検出期間TDTとを有している。磁界発生期間TGTのとき、駆動電極TL(n)、TL(n+1)に相当する領域において強い磁界を発生するために、選択制御回路SR−R、SR−Lは、これらの駆動電極TL(n)、TL(n+1)を指定する選択信号Ty(n)R、Ty(n)Lをハイレベルにする。すなわち、駆動電極TL(n)、TL(n+1)に対応する単位選択回路USR(n)、USL(n)が、これらの駆動電極を挟むように配置された4個の駆動電極を指定する選択信号Ty(n)R、Ty(n)Lをハイレベルにする。より具体的に述べるならば、タッチ選択信号Ty(n)R−2、第1タッチ選択信号Ty(n)L−2および第2タッチ選択信号Ty(n)L−3がハイレベルにされる。これにより、図11で説明したように、第1スイッチと第2スイッチは次のように制御される。
【0189】
すなわち、選択信号Ty(n)Rによって、第1スイッチa00、a01、a04、a05のそれぞれにおける共通端子cが、第2端子p2に接続される。また、選択信号Ty(n)Lによって、第2スイッチb00、b01のそれぞれにおける共通端子cが、第2端子p2に接続され、第2スイッチb04、b05のそれぞれにおける共通端子cが、第3端子p3に接続される。これにより、駆動電極TL(n−2)の一方の端部とTL(n+2)の一方の端部とが、第1スイッチa00、a04を介して電気的に接続される。同様に、駆動電極TL(n−1)の端部とTL(n+3)の端部とが、第1スイッチa01、a05を介して電気的に接続される。また、駆動電極TL(n−2)の他方の端部は、第2スイッチb00を介して信号配線LL3に接続され、駆動電極TL(n−1)の他方の端部も、第2スイッチb01を介して信号配線LL3に接続される。さらに、駆動電極TL(n+2)の他方の端部は、第2スイッチb03を介して電圧配線VL2に接続され、駆動電極TL(n+3)の他方の端部も、第2スイッチb04を介して電圧配線VL2に接続される。
【0190】
これによって、駆動電極TL(n−2)、TL(n+2)を巻線とした1回巻のコイルCY(n)と、駆動電極TL(n−1)、TL(n+3)を巻線とした1回巻のコイルCY(n+1)とが形成されることになる。磁界発生期間TGTにおいては、コイルクロック信号CCLKが、信号配線LL3に供給され、接地電圧Vssが、電圧配線VL2に供給される。その結果、これらのコイルCY(n)、CY(n+1)のそれぞれが、コイルクロック信号CCLKの変化に従って変化する磁界を発生する。これらのコイルCY(n)、CY(n+1)は、駆動電極TL(n)、TL(n+1)に相当する領域において重なっているため、磁界発生期間TGTのとき、重なった領域において、それぞれのコイルによって発生された磁界が重畳され、強い磁界が発生する。
【0191】
図12において、I1は、磁界発生期間TGTのとき、コイルCY(n)の巻線となる駆動電極TL(n−2)、TL(n+2)を流れる駆動電流を示しており、I2は、磁界発生期間TGTのとき、コイルCY(n+1)の巻線となる駆動電極TL(n−1)、TL(n+3)を流れる駆動電流を示している。この実施の形態1においては、コイルCY(n)、CY(n+1)のそれぞれが、1回巻線のコイルである。そのため、コイルCY(n)の端子間(PTL(n−2)とPTL(n+2)間)の長さを、比較的短く抑制することが可能である。同様に、コイルCY(n+1)の端子間(PTL(n−1)とPTL(n+3)間)の長さも、比較的短く抑制することが可能である。その結果、駆動電極のシート抵抗が比較的高くても、それぞれのコイルのインピーダンスを低く抑制することが可能となり、駆動電流I1、I2を高い値にすることができる。
【0192】
駆動電流I1、I2を高くすることにより、それぞれのコイルにおいて発生する磁界が弱くなるのが抑制され、タッチを検出する領域において、それぞれのコイルにより発生する磁界が重畳されるため、磁界発生期間TGTのときに、タッチを検出する領域において強い磁界を発生することが可能となる。
【0193】
ペンが、タッチを検出する領域、すなわちコイルが重なった領域(駆動電極TL(n)、TL(n+1)に相当)に近接しているか否かによって、図2および図3で説明したように、ペン内の容量素子Cに充電される電荷量が変わる。
【0194】
磁界発生期間TGTに続く、磁界検出期間TDTにおいては、信号線SL(0)〜SL(p)を巻線としたコイルが形成される。磁界発生期間TGTのときに容量素子Cに充電された電荷によって、ペン内コイルL1が磁界を発生していれば、信号線を巻線としたコイルに誘起電圧が発生し、センサ信号S(0)〜S(p)として、磁界検出回路SE−DETに供給され、検出される。
【0195】
実施の形態1においては、磁界発生期間TGTにおいて、発生する磁界を強くすることが可能であるため、ペン内の容量素子Cに充電される電荷量を大きくすることが可能となり、検出精度の向上を図ることが可能となる。
【0196】
選択制御回路SR−R、SR−Lは、タッチを検出する領域に対応する選択信号Ty(n)R、Ty(n)Lをハイレベルにしたとき、選択信号Ty(n)R、Ty(n)Lを除いた全ての選択信号をロウレベルにする。図11を例にして述べると、選択信号Ty(n−2)R、Ty(n+2)R、Ty(n+4)R、Ty(n+6)RおよびTy(n−2)L、Ty(n+2)L、Ty(n+4)L、Ty(n+6)Lのそれぞれがロウレベルにされる。これにより、第1スイッチa00、a01、a04、a05を除く第1スイッチにおいては、共通端子cが第3端子に接続される。また、第2スイッチb00、b01、b04、b05を除く第2スイッチにおいては、共通端子cが第4端子に接続される。
【0197】
第1スイッチにおける第3端子および第2スイッチにおける第4端子は、フローティング状態にされているため、コイルCY(n)およびCY(n+1)の巻線となる駆動電極TL(n−2)、TL(n−1)、TL(n+2)およびTL(n+3)を除く駆動電極は、フローティング状態となる。これらの駆動電極がフローティング状態であることを明示するために、図12には、第1スイッチa00、a01、a04、a05を除く第1スイッチおよび第2スイッチb00、b01、b04、b05を除く第2スイッチの共通端子cが何処にも接続されていないように描かれている。
【0198】
図13は、図12に続いたタッチ検出の状態を示している。すなわち、図12で述べたタッチを検出する領域(駆動電極TL(n)、TL(n+1)に相当)の隣の領域を、タッチを検出する領域として指定した場合の状態が、図13に示されている。この場合、図12で述べたタッチを検出する領域に対して、表示パネル2の辺2−D側に近づいた領域が、タッチを検出する領域(駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)に相当)となっている。
【0199】
図13の場合、選択制御回路SR−RおよびSR−Lは、タッチを検出する領域を指定する選択信号として、選択信号Ty(n+2)R、Ty(n+2)Lをハイレベルにする。すなわち、単位選択回路USR(n+2)、USL(n+2)から出力される選択信号Ty(n+2)R、Ty(n+2)Lがハイレベルとなる。より具体的に述べるならば、単位選択回路USR(n+2)から、ハイレベルのタッチ選択信号Ty(n+2)R−2が出力され、単位選択回路USL(n+2)からハイレベルの第1タッチ選択信号Ty(n+2)R−2とハイレベルの第2タッチ選択信号Ty(n+2)R−3が出力される。
【0200】
これにより、駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)に相当する領域に対してタッチを検出するとき、磁界発生期間TGTでは、第1スイッチa02、a03、a06,a07の共通端子cが、第2端子p2に接続され、第2スイッチb02、b03の共通端子cが、第2端子p2に接続され、第2スイッチb06、b07の共通端子cが、第3端子p3に接続される。その結果、磁界発生期間TGTにおいて、タッチを検出する領域(駆動電極TK(n+2)、TL(n+3)に相当)において、互いに重なったコイルCY(n+2)、CY(n+3)が、駆動電極TL(n)、TL(n+1)、TL(n+4)、TL(n+5)によって形成される。
【0201】
タッチを検出する領域において、互いに重なったコイルCY(n+2)、CY(n+3)が形成され、これらのコイルが、コイルクロック信号CCLKの変化に従った磁界を発生するため、図12で述べたのと同様に、磁界発生期間TGTにおいて、強い磁界を、タッチを検出する領域において発生することが可能となる。
【0202】
図13の場合も、図12と同様に、磁界発生期間TGTに続く磁界検出期間TDTにおいて、信号線によってコイルを形成し、形成したコイルにおける信号が、センサ信号S(0)〜S(p)として、磁界検出回路SE−DETに供給され、タッチの検出が行われる。
【0203】
なお、図12と同様に、選択制御回路SR−R、SR−Lは、タッチを検出する領域を指定する選択信号Ty(n+2)R、Ty(n+2)Lを除いた選択信号をロウレベルにする。これにより、コイルの巻線となる駆動電極TL(n)、TL(n+1)、TL(n+4)、TL(n+5)を除いた駆動電極は、フローティング状態となる。これらの駆動電極がフローティング状態になっていることを明示するために、図13においても、図12と同様に、第1スイッチa02、a03、a06,a07および第2スイッチb02、b03、b06、b07を除く第1スイッチおよび第2スイッチの共通端子cは、何処にも接続されていないように描かれている。
【0204】
図14は、図13に続いたタッチ検出の状態を示している。すなわち、図13で述べたタッチを検出する領域(駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)に相当)の隣の領域を、タッチを検出する領域として指定した場合の状態が、図14に示されている。この場合、図13で述べたタッチを検出する領域に対して、表示パネル2の辺2−D側に近づいた領域が、タッチを検出する領域(駆動電極TL(n+4)、TL(n+5)に相当)となっている。
【0205】
図14の場合、選択制御回路SR−RおよびSR−Lは、タッチを検出する領域を指定する選択信号として、選択信号Ty(n+4)R、Ty(n+4)Lをハイレベルにする。すなわち、単位選択回路USR(n+4)、USL(n+4)から出力される選択信号Ty(n+4)R、Ty(n+4)Lがハイレベルとなる。より具体的に述べるならば、単位選択回路USR(n+4)から、ハイレベルのタッチ選択信号Ty(n+4)R−2が出力され、単位選択回路USL(n+4)からハイレベルの第1タッチ選択信号Ty(n+4)R−2とハイレベルの第2タッチ選択信号Ty(n+4)R−3が出力される。
【0206】
これにより、駆動電極TL(n+4)、TL(n+5)に相当する領域に対してタッチを検出するとき、磁界発生期間TGTでは、第1スイッチa04、a05、a08,a09の共通端子cが、第2端子p2に接続され、第2スイッチb04、b05の共通端子cが、第2端子p2に接続され、第2スイッチb08、b09の共通端子cが、第3端子p3に接続される。その結果、磁界発生期間TGTにおいて、タッチを検出する領域(駆動電極TK(n+4)、TL(n+5)に相当)において、互いに重なったコイルCY(n+4)、CY(n+5)が、駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)、TL(n+6)、TL(n+7)によって形成される。
【0207】
タッチを検出する領域において、互いに重なったコイルCY(n+4)、CY(n+5)が形成され、これらのコイルが、コイルクロック信号CCLKの変化に従った磁界を発生するため、図12で述べたのと同様に、磁界発生期間TGTにおいて、強い磁界を、タッチを検出する領域において発生することが可能となる。
【0208】
図14の場合も、図12と同様に、磁界発生期間TGTに続く磁界検出期間TDTにおいて、信号線によってコイルを形成し、形成したコイルにおける信号が、センサ信号S(0)〜S(p)として、磁界検出回路SE−DETに供給され、タッチの検出が行われる。
【0209】
なお、図12と同様に、選択制御回路SR−R、SR−Lは、タッチを検出する領域を指定する選択信号Ty(n+4)R、Ty(n+4)Lを除いた選択信号をロウレベルにする。これにより、コイルの巻線となる駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)、TL(n+6)、TL(n+7)を除いた駆動電極は、フローティング状態となる。これらの駆動電極がフローティング状態になっていることを明示するために、図14においても、図13と同様に、第1スイッチa04、a05、a08、a09および第2スイッチb04、b05、b08、b09を除く第1スイッチおよび第2スイッチの共通端子cは、何処にも接続されていないように描かれている。
【0210】
以上のようにして、表示パネル2の辺2−Uから辺2−Dに向かって、順次、タッチ検出を実施することにより、辺2−Uから辺2−Dに向けたスキャン動作を実施することが可能である。スキャン動作を行うことにより、表示パネル2のいずれかの場所が、ペンによってタッチされているか、あるいはタッチされている位置を検出すること可能となる。
【0211】
この実施の形態1においては、スキャン動作のとき、選択制御回路SR−R、SR−Lから出力される選択信号によって、表示パネル2の辺2−Uから辺2−D間に配置されている駆動電極TL(n−2)〜TL(n+7)から、順次、駆動電極が指定され、指定された駆動電極によって1回巻線のコイルが2個形成される。形成される2個のコイル間で重なっている領域で強い磁界が形成され、重なっている領域でのタッチ検出が行われる。これにより、表示パネル2上をスキャンするように、順次タッチ検出を行うことができる。
【0212】
見方を変えると、それぞれ1回巻線の2個のコイルが、選択制御回路SR−R、SR−Lからの選択信号に従って、表示パネル2の辺2−Uから辺2−Dに向かって、順次、ずれながら、タッチ検出を実施していると見なすことができる。この場合、それぞれ1回巻線の2個のコイルを1単位として、ずれる領域の値は、タッチを検出する領域の値と実質的に同じになる。すなわち、実施の形態1では、ずれる領域の値と、タッチを検出する領域の値は、2個の隣接(近接)した駆動電極(例えば、TL(n)とTL(n+1))に相当する。1回巻線のコイルを形成する2個の駆動電極を束として見なした場合には、スキャン動作は、選択制御回路SR−R、SR−Lからの選択信号に従って。2個の束(第1束と、第2束)が、2個束ね分ずつずれながら、タッチ検出を実施することにより達成されることになる。
【0213】
実施の形態1においては、磁界発生期間TGTにとき、互いに近接して配置された駆動電極を用いて、2個のコイルが形成される。図11を例にして述べると、駆動電極TL(n)、TL(n+1)に相当する領域において強い磁界を発生するとき、互いに近接して配置された駆動電極TL(n−2)と駆動電極TL(n−1)が、2個のコイルのそれぞれの一方の巻線として用いられる。また、互いに近接して配置された駆動電極TL(n+2)と駆動電極TL(n+3)が、2個のコイルのそれぞれの他方の巻線として用いられる。駆動電極のそれぞれの幅、すなわち、駆動電極の延在方向と直交する方向の長さは、実質的に同じである。そのため、実施の形態1では、2個のコイルが重なっている領域(タッチを検出する領域)の幅は、2個のコイルの一方(または他方)の巻線として用いられる駆動電極の幅の合計と、実質的に同じになる。
<切換調整回路SCX−U、SCX−Dおよび選択制御回路SRX−D>
【0214】
図16は、実施の形態1に係わる液晶表示装置1における切換調整回路SCX−Dおよび選択制御回路SRX−Dの構成を示すブロック図である。また、図17は、実施の形態1に係わる液晶表示装置1における切換調整回路SCX−Uの構成を示すブロック図である。
【0215】
図16には、図8に示した信号線SL(n−6)〜SL(n+9)に対応する切換調整回路SCX−Dの部分と、信号線SL(n−6)〜SL(n+9)に対応する選択制御回路SRX−Dの部分が示されている。図8に示した符号D(−6)〜D(+9)が、図16に示した符号D(−6)〜D(+9)にそれぞれ接続される。同様に、図17には、図8に示した信号線SL(n−6)〜SL(n+9)に対応する切換調整回路SCX−Uの部分が示されている。図8に示した符号U(−6)〜U(+9)が、図17に示した符号U(−6)〜U(+9)にそれぞれ接続される。
<<信号線により構成されるコイル>>
【0216】
切換調整回路SCX−D、SCX−Uおよび切換調整回路SRX−Dを説明する前に、実施の形態1において、信号線により形成されるコイル(検出コイル)を説明しておく。
【0217】
特に制限されないが、実施の形態1においては、タッチ検出のとき、信号線SL(0)〜SL(p)によって、2回巻線のコイルが複数個形成される。ここでは、図8に示した信号線SL(n−6)〜SL(n+9)によって、タッチ検出のときに形成されるコイルCX(n−2)〜CX(n+1)を例にして説明する。
【0218】
図18は、信号線SL(n−6)〜SL(n−3)、SL(n)〜SL(n+3)およびSL(n+6)〜SL(n+9)を巻線としたコイルの模式的な平面図である。タッチ検出のとき、これらの信号線と、これらの信号線の端部間を接続する信号配線とによって、コイルCX(n−2)〜CX(n+1)が形成される。
【0219】
あとで図16および図17を用いて説明するが、タッチ検出のとき、次に述べる信号線の端部は信号配線を介して電気的に接続される。
【0220】
信号線SL(n−5)の一方の端部は、信号配線6511を介して、信号線SL(n+2)の一方の端部に電気的に接続される。また、信号線SL(n−6)、SL(n−5)のそれぞれの他方の端部は、信号配線6521、6531を介して、信号線SL(n+2)、SL(n+3)の他方の端部に接続される。さらに、信号線SL(n+3)の一方の端部には、接地電圧Vssが供給され、信号線SL(n−6)の一方の端部は、出力端子Xp1(n−1)に接続される。これにより、タッチ検出のときには、接地電圧Vssと出力端子Xp(n−1)との間に、信号線SL(n−6)、SL(n−5)、SL(n+5)およびSL(n+3)が、直列的に接続されることになる。また、信号線SL(n−6)〜SL(n+9)は、互いに平行するように延在している。そのため、タッチ検出のときには、信号線SL(n−6)、SL(n−5)、SL(n+5)およびSL(n+3)を巻線としたコイルCX(n−1)が形成されることになる。
【0221】
また、信号線SL(n+1)の一方の端部は、信号配線6512を介して、信号線SL(n+8)の一方の端部に電気的に接続される。また、信号線SL(n)、SL(n+1)のそれぞれの他方の端部は、信号配線6522、6532を介して、信号線SL(n+8)、SL(n+9)の他方の端部に接続される。さらに、信号線SL(n+9)の一方の端部には、接地電圧Vssが供給され、信号線SL(n)の一方の端部は、出力端子Xp1(n)に接続される。これにより、タッチ検出のときには、接地電圧Vssと出力端子Xp(n)との間に、信号線SL(n−6)、SL(n−5)、SL(n+5)およびSL(n+3)が、直列的に接続されることになり、タッチ検出のときには、信号線SL(n)、SL(n+1)、SL(n+8)およびSL(n+9)を巻線としたコイルCX(n)が形成されることになる。
【0222】
同様に、信号線SL(n+6)、SL(n+7)と図示しない信号線の間が、信号配線6513、6523、6533を介して接続されることにより、出力端子Xp1(n+1)と接地電圧Vssとの間にコイルCX(n+1)が形成される。さらに、信号線SL(n−4)、SL(n−3)と図示しない信号線の間が、信号配線6510、6520、6530を介して接続されることにより、コイルCX(n−2)が形成される。
【0223】
タッチ検出のとき、信号線SL(0)〜SL(p)を巻線として形成されるコイルは、信号線の延在方向に、延在する。これに対して、図11図14に示したコイル、すなわち駆動電極を巻線としたコイルは、駆動電極の延在方向に延在することになる。そのため、信号線を巻線としたコイルと駆動電極を巻線としたコイルは、互いに直交することになる。図15に示したコイルCY(n)〜CY(n+5)と図18に示したコイルCX(n−2)〜CX(n+1)を例にすると、コイルCY(n)〜CY(n+5)とコイルCX(n−2)〜CX(n+1)は、電気的に分離された状態で、直交している。
【0224】
実施の形態1では、タッチ検出のときに形成されるコイルCX(n−2)〜CX(n+1)は、互いに重なるようにされている。コイルCX(n)とCX(n−1)を例にすると、コイルCX(n)の内側に、コイルCX(n−1)の巻線である信号線SL(n+2)、SL(n+3)が配置されるようになっている。同様に、コイルCX(n−1)の内側に、コイルCX(n)の巻線である信号線SL(n)、SL(n+1)が配置されるようになっている。このように、タッチ検出のとき、コイルが重なるようにすることにより、磁界の検出精度が低下する領域が発生するのを防ぐことが可能となる。
<<切換調整回路SCX−Dおよび選択制御回路SRX−Dの構成>>
【0225】
次に、図16および図8を用いて、切換調整回路SCX−Dおよび選択制御回路SRX−Dの構成を説明する。図16には、信号線SL(n−6)〜SL(n+9)に対応する部分の構成と、模式的な信号線セレクタ3の構成が示されている。
【0226】
表示期間のときには、表示制御装置4(図6)から、時分割的に、画像信号が端子SPのそれぞれに供給される。なお、図面が複雑になるのを避けるために、図14では、最も右側に配置された端子と最も左側に配置された端子にのみ、符号SPが付されている。
【0227】
信号線セレクタ3は、選択信号SEL1、SEL2に従ってスイッチ制御される複数のスイッチを有しており、端子SPに供給された画像信号を適切な信号線に供給する。信号線セレクタ3におけるスイッチは、表示期間においては、選択的に端子SPと信号線との間を接続するが、タッチ検出期間においては、全ての信号線と端子SPとを実質的に同時に接続する。表示期間とタッチ検出期間とで、信号線と端子SPとの接続が変わることを示すために、信号線セレクタ3に含まれるスイッチとして、図16には、模式的なスイッチSW11(符号SW11は、最も右側と最も左側のみに付している)が示されている。すなわち、図16に示したスイッチSW11は、タッチ検出期間において、信号線SL(0)〜SL(p)と端子SPとを接続することを表すために、描かれている。
【0228】
切換調整回路SCX−Dは、磁界イネーブル信号SC_ENによってスイッチ制御される第3スイッチc00〜c05と、選択制御回路SRX−Dからの選択信号X−Out(n−1)〜X−Out(n+1)によってスイッチ制御される第4スイッチd00〜d02と、信号配線6510〜6513を備えている。
【0229】
制御回路D−CNT(図6)は、タッチ検出が指定されると、磁界イネーブル信号SC_ENをハイレベルにする。タッチ検出が指定されていないとき、および表示期間においては、制御回路D−CNTは、磁界イネーブル信号SC_ENをロウレベルにする。磁界イネーブル信号SC_ENがハイレベルとなることにより、第3スイッチc00〜c05はオン状態となる。これに対して、磁界イネーブル信号SC_ENがロウレベルになると、第3スイッチc00〜c05はオフ状態となる。また、タッチ検出期間においては、信号線セレクタ3内のスイッチSW11がオン状態となるため、端子SPと信号線SL(n−6)〜SL(n+9)間が電気的に接続される。
【0230】
これにより、タッチ検出期間のとき、信号線SL(n−5)の一方の端部は、第3スイッチc00および信号配線6511を介して、信号線SL(n+2)の一方の端部に接続され、信号線SL(n+1)の一方の端部は、第3スイッチc02および信号配線6512を介して、信号線SL(n+8)の一方の端部に接続される。また、信号線SL(n−4)は、信号配線6510および図示しない第3スイッチを介して図示しない信号線に接続され、信号配線SL(n+7)は、第3スイッチc04および信号配線6513を介して図示しない信号線に接続される。
【0231】
また、タッチ検出期間のとき、信号線SL(n−3)、SL(n+9)のそれぞれの一方の端部は、第3スイッチc01、c05を介して、それぞれ電圧配線VL2に接続される。この電圧配線VL2には、タッチ検出期間のとき、例えば接地電圧Vssが供給される。また、タッチ検出期間のとき、第4スイッチd00〜d02は、選択制御回路SRX−Dからの選択信号X−Out(n−1)〜X−Out(n+1)に従ってオン状態となる。
【0232】
図6に示した制御回路D−CNTは、タッチの検出を開始するとき、制御信号X−CNTおよびY−CNTを、例えばハイレベルにする。選択制御回路SRX−Dは、制御信号X−CNTがハイレベルになることにより、クロック信号CLKの変化に同期してコイルの選択動作を行う。例えば、選択制御回路SRX−Dは、クロック信号CLKの変化に同期して、選択信号X−Out(0)〜X−Out(p)の順に、この選択信号をハイレベルにする。また、選択制御回路SRX−Dは、それぞれのコイルCX(0)〜CX(p)に対応した入力端子XIO(0)〜XIO(p)を有している。選択信号X−Out(0)〜X−Out(p)が、順次ハイレベルになることにより、第4スイッチが、順次導通し、コイルCX(0)〜CX(p)からの信号が、入力端子XIO(0)〜XIO(p)へ供給される。選択制御回路SRX−Dは、供給された信号を、磁界検出期間TDTのとき、センス信号S(0)〜S(p)として出力する。なお、図16には、コイルCX(n−1)〜CX(n+1)の出力端子Xp1(n−1)〜Xp1(n+1)にそれぞれ接続される入力端子XIO(n−1)〜XIO(n+1)と、これらの入力端子に対応した選択信号X−Out(n−1)〜X−Out(n+1)のみが示されている。
【0233】
なお、図16において、破線で示したDDICは、ドライブ用半導体装置を示している。ドライブ用半導体装置DDICは、上記した切換調整回路SCX−Dおよび選択制御回路SRX−Dを覆うように配置されており、ドライブ用半導体装置DDICの外部端子が、端子SPに接続されている。端子SPに接続されているドライブ用半導体装置DDICの外部端子から、表示期間においては、画像信号が、端子SPへ供給される。また、タッチ検出期間においては、ドライブ用半導体装置DDICの外部端子は、ハイインピーダンス状態となる。
【0234】
なお、第4スイッチは設けずに、選択制御回路SRX−Dの入力端子XIO(0)〜XIO(p)のそれぞれに、コイルCX(0)〜CX(p)の出力端子Xp1(0)〜Xp1(p)が接続されるようにしてもよい。このようにすることにより、それぞれのコイルCX(0)〜CX(p)からの信号を、センス信号S(0)〜S(p)として、選択制御回路SRX−Dから出力することが、可能となる。
<<切換調整回路SCX−Uの構成>>
【0235】
図17は、切換調整回路SCX−Uの構成を示す回路図である。図17には、信号線SL(n−6)〜SL(n+9)に対応する切換調整回路SCX−Uの部分が示されている。切換調整回路SCX−Uは、磁界イネーブル信号SC_ENによってスイッチ制御される第5スイッチe00〜e05と、信号配線6520〜6523、6530〜6533を有している。第5スイッチe00〜e05は、タッチ検出のとき、ハイレベルの磁界イネーブル信号SC_ENが供給されるため、オン状態となる。一方、タッチ検出が指定されていないとき、および表示期間においては、第5スイッチe00〜e05は、オフ状態となる。
【0236】
タッチ検出のとき、切換調整回路SCX−Uにおいて、信号線SL(n−6)の他方の端部は、第5スイッチe00および信号配線6521を介して、信号線SL(n+2)の他方の端部に接続され、信号線SL(n−5)の他方の端部は、第5スイッチe01および信号配線6531を介して、信号線SL(n+3)の他方の端部に接続される。このとき、切換調整回路SCX−Uにおいて、信号線SL(n)の他方の端部は、第5スイッチe02および信号配線6522を介して、信号線SL(n+8)の他方の端部に接続され、信号線SL(n+1)の他方の端部は、第5スイッチe03および信号配線6532を介して、信号線SL(n+9)の他方の端部に接続される。また、このとき、図示しない第5スイッチおよび信号配線6520を介して、図示しない信号線に信号線SL(n−4)は接続され、図示しない第5スイッチおよび信号配線6520を介して、図示しない信号線に信号線SL(n−3)は接続される。さらに、信号線SL(n+6)は第5スイッチe04および信号配線6523を介して、図示しない信号線に接続され、信号線SL(n+7)は、第5スイッチe05および信号配線6533を介して、図示しない信号線に接続される。
<<切換調整回路SCX−D、SCX−D、選択制御回路SRX−Dの動作>>
【0237】
タッチ検出が指定されると、切換調整回路SCX−Dにおいて、信号線SL(n−5)と信号線SL(n+2)とが接続され、信号線SL(n+1)と信号線SL(n+8)とが接続され、信号線SL(n+3)およびSL(n+9)は電圧配線VL2に接続されることになる。また、タッチ検出が指定されると、切換調整回路SCX−Uにおいて、信号線SL(n−6)と信号線SL(n+2)とが接続され、信号線SL(n−5)と信号線SL(n+3)が接続され、信号線SL(n)と信号線SL(n+8)が接続され、信号線SL(n+1)と信号線SL(n+9)とが接続されることになる。これにより、タッチ検出が指定されると、表示パネル2において、互いに平行に配置された信号線SL(n−6)、SL(n−5)、SL(n+2)およびSL(n+3)が直列的に接続され、これらの信号線を巻線としたコイルX(n−1)が形成される。同様に、磁界タッチ検出が指定されると、信号線SL(n)、SL(n+1)、SL(n+8)およびSL(n+9)が直列的に接続され、これらの信号線を巻線としたコイルX(n)が形成される。
【0238】
このとき、コイルX(n−1)およびX(n)のそれぞれの一方の端部は、電圧配線VL2に接続され、接地電圧Vssが供給されることになる。選択制御回路SRX−Dによって、コイルX(n−1)または/およびX(n)が選択されると、選択信号X−Out(n−1)または/およびX−Out(n)がハイレベルとなる。これにより、選択されたコイルX(n−1)または/およびX(n)の他方の端部は、第4スイッチd00または/およびd01を介して、選択制御回路SRX−Dの入力端子XIO(n−1)または/およびXIO(n)に接続される。
【0239】
タッチ検出の磁界発生期間TGTにおいては、図11図14を用いて説明したように、駆動電極を巻線としたコイル(例えばコイルCY(n)、CY(n+1))によって、タッチを検出する領域において強い磁界が発生している。このとき、ペンが、タッチを検出する領域に近接しているが否かにより、ペン内の容量素子Cに充電される電荷量が定まる。
【0240】
磁界発生期間TGTに続く磁界検出期間TDTにおいて、選択制御回路SRX−Dは、選択するコイルX(n−1)またはX(n)に対応する選択信号X−Out(n−1)またはX−Out(n)のみをハイレベルにし、非選択とするコイルX(n)またはX(n−1)に対応する選択信号をロウレベルにする。これにより、選択するコイルX(n−1)またはX(n)の出力端子が、選択制御回路SRX−Dの入力端子に接続され、非選択とするコイルの出力端子は、選択制御回路SRX−Dの入力端子に接続されない。
【0241】
タッチ検出のときに、タッチ検出をする領域であって、選択したコイルの近傍に、ペンが存在していれば、ペン内の容量素子Cに充電された電荷によって、ペン内コイルL1が磁界を発生し、発生した磁界によって、選択したコイルに誘起電圧が発生する。その結果、選択したコイルの出力端子に信号の変化が発生する。この信号の変化が、選択制御回路SRX−Dの入力端子に伝達され、センス信号S(n)として、選択制御回路SRX−Dから出力される。一方、タッチ検出のときに、タッチ検出をする領域あるいは選択したコイルの近傍に、ペンが存在しない場合には、選択したコイルの出力端子に信号の変化は発生せず、これが、センス信号S(n)として出力される。
【0242】
一方、表示期間においては、第3スイッチc00〜c05、第4スイッチd00〜d02および第5スイッチe00〜e05は、オフ状態となる。これにより、信号線SL(n−6)〜SL(n+9)は、互いに電気的に分離される。表示期間においては、表示制御装置4から端子SPに画像信号が供給され、信号線SL(n−6)〜SL(n+9)は、画像信号を伝達することが可能となる。
<信号配線の構造>
【0243】
実施の形態1において、切換回路DSCおよび選択駆動回路SDCは、表示パネル2(画素配列LCD)の外部に配置されている。すなわち、切換回路DSCおよび選択駆動回路SDCに含まれる信号配線LL1、LL2は、表示パネル2の外部に配置された配線により構成されている。ここでは、図11に示した信号配線LL1を例にして、表示パネル2の外部に配置された配線を用いた信号配線の構造を説明する。図19は、図11において、B1−B1’の断面およびB2−B2’の断面を示す断面図である。なお、表示パネル2内における断面の構造は、図9に示しているので、説明は省略する。
【0244】
図19において、[603]は、第2配線層603の配線を示しており、[605]は、第3配線層605の配線を示している。駆動電極TL(0)〜TL(p)および補助電極SMは、第3配線層に形成された配線により構成されている。表示パネル2に形成された駆動電極TL(0)〜TL(p)および補助電極SMは、特に制限されないが、表示パネル2の外部に配置された切換回路DSCおよび選択駆動回路SDCまで、延在している。図19には、切換回路DSCまで延在している駆動電極TL(n+1)、TL(n+8)およびこれらの駆動電極上に配置された補助電極SMが示されている。図19では、駆動電極TL(n)、TL(n−2)および補助電極SMが、第3配線層605の配線により構成されていることを明示するために、TL(n)[605]、TL(n−2)およびSM[605]として示されている。
【0245】
この実施の形態1において、切換回路DSCおよび選択駆動回路SDCに含まれている信号配線は、第2配線層の配線により構成されている。すなわち、信号配線LL1は、第2配線層603に形成された配線LL1[603]により構成されている。この配線LL1[603]は、第1スイッチa02を介して、駆動電極TL(n)[605]および補助電極SM[605]に接続され、さらに第1スイッチa00を介して、駆動電極TL(n−2)[605]および補助電極SM[605]に接続されている。なお、切換回路DSCおよび選択駆動回路SDCは、表示パネル2の外部であるため、図19に示した絶縁層606の上には、液晶層607は形成されていない。
【0246】
この実施の形態1においては、コイルを形成するために、駆動電極間を接続する信号配線LL1、LL2として、第2配線層603の配線が用いられている。すなわち、信号線SL(0)〜SL(p)と同じ配線層の配線を、信号配線LL1、LL2として用いている。また、コイルの巻線として、駆動電極および補助電極を用いている。そのため、配線層を増加させることなく、コイルを形成することが可能となり、価格の上昇を抑制することが可能となる。
【0247】
信号線SL(0)〜SL(p)を形成するとき、表示パネル2の外側にも、信号線SL(0)〜SL(p)と平行な配線を形成し、表示パネル2の外側に形成した配線を、上記した信号配線LL1、LL2として用いてもよい。
【0248】
図20は、図11において、破線で囲んだ領域PP1を詳しく示した平面図である。図20において、R、G、Bは、三原色の画素を示しており、TL(n−1)〜TL(n+1)は、駆動電極を示している。また、SMは、補助電極を示しており、駆動電極と電気的に接続されている。さらに、同図において、GL(n−2)〜GL(n+3)は、走査線を示している。
【0249】
図20に示されているように、1個の駆動電極TL(n)に対して複数個の補助電極SMが接続されている。例えば、数十本の補助電極SMが、駆動電極TL(n)と平行に延在し、駆動電極TL(n)に接続されている。これにより、駆動電極および補助電極SMによってコイルを形成するとき、コイルの抵抗を低減することが可能となる。
【0250】
信号配線LL1、LL2として、第2配線層603における配線を用いる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1配線層601における配線を信号配線として用いてもよいし、第3配線層605における配線を信号配線として用いてもよい。
【0251】
実施の形態1において、切換調整回路SCX−U、SCX−Dは、表示パネル2(画素配列LCD)の外部に配置されている。すなわち、切換調整回路SCX−U、SCX−Dに含まれる信号配線は、表示パネル2の外部に配置された配線により構成されている。図16および図17に示した例で述べると、信号配線6510〜6513、6520〜6523および6530〜6533は、表示パネル2の外部に配置された配線により構成されている。ここでは、切換調整回路SCX−Dに含まれる信号配線6512を例にして、表示パネル2の外部に配置された配線を用いた信号配線の構造を説明する。図21は、図16において、B1−B1’の断面およびB2−B2’の断面を示す断面図である。なお、表示パネル2内の断面の構造は、図9に示しているので、説明は省略する。
【0252】
図21において、[603]は、第2配線層の配線を示しており、[605]は、第3配線層の配線を示している。信号線SL(0)〜SL(p)は、第2配線層に形成された配線により構成されている。表示パネル2に形成された信号線は、切換調整回路SCX−U、SCX−Dおいて、第2配線層の配線に接続される。図21において、SL(n+1)[603]〜SL(n+3)[603]およびSL(n+8)[603]は、切換調整回路SCX−Dにおいて、信号線SL(n+1)〜SL(n+3)およびSL(n+8)が接続された第2配線層の配線を示している。図16に示した信号配線6512は、第3配線層605に形成された配線6512[605]により構成されている。この配線6512[605]は、層間配線SLCによって、配線SL(n+1)[603]およびSL(n+8)[603]に接続されている。この場合、配線6512[605]は、補助電極SMに対応する配線と、駆動電極に対応する配線とを含んでいる。なお、切換調整回路SCX−U、SCX−Dは、表示パネル2の外部であるため、図21に示した絶縁層606の上には、液晶層607は形成されていない。
【0253】
この実施の形態1においては、コイルを形成するために、信号線間を接続する信号配線として、第3配線層605の配線が用いられている。すなわち、駆動電極TLおよび補助電極SMと同じ配線層の配線を、信号配線6510〜6513、6520〜6523および6530〜6533として用いている。また、コイルの巻線として、信号線を用いている。そのため、配線層を増加させることなく、コイルを形成することが可能となり、価格の上昇を抑制することが可能となる。例えば、駆動電極TLおよび補助電極を、表示パネル2のアクティブエリアに形成するとき、表示パネル2の外側(アクティブエリア外)にも、配線を形成し、表示パネル2の外側に形成した配線を、上記した信号配線として用いればよい。
【0254】
また、駆動電極TLおよび補助電極を形成するとき、表示パネル2の外側にも、駆動電極TLおよび補助電極と平行な配線を形成し、表示パネル2の外側に形成した配線を、上記した信号配線として用いてもよい。この場合には、信号配線と接続しない部分を切断すればよい。切断して不要となった配線は残しておいても、除去してもよい。
【0255】
図22は、図18において、一点鎖線で囲んだ領域PP2を詳しく示した平面図である。図22において、R、G、Bは、三原色の画素を示しており、TLは、駆動電極を示している。また、SL(n+6)1(G)〜SL(n+8)0(G)、SL(n+6)1(B)〜SL(n+8)0(B)およびSL(n+7)0(R)〜SL(n+8)0(R)は、信号線を示している。
【0256】
この実施の形態1においては、図8に示した信号線SL(n+8)として、図22に示した信号線SL(n+6)1(G)〜SL(n+8)0(G)、SL(n+6)1(B)〜SL(n+8)0(B)およびSL(n+7)0(R)〜SL(n+8)0(R)のうちの複数の信号線が用いられる。すなわち、信号線によってコイルを形成するとき、複数の信号線が互いに接続され、1本の信号線とされ、コイルの巻線とされる。これにより、コイルの抵抗を低減することが可能となる。この場合、例えば数十本の信号線を、互いに電気的に接続して、コイルの巻線として用いることが望ましい。
【0257】
図15図17では、信号線により形成されるコイルの巻数が2の場合を説明したが、これに限定されるものではない。切換調整回路SCX−U、SCX−Dにおける信号線と信号配線との接続の数を変更することにより、コイルの巻数を増減すことが可能である。また、信号線と信号配線との接続を変更することにより、任意の信号線をコイルの巻線として用いることが可能である。さらに、切換調整回路SCX−U、SCX−Dにおける接続を変更することにより、互いに隣接するコイル間での重なる量を変更することが可能である。すなわち、調整部によって、タッチ検出期間に用いられるコイルを調整することが可能となる。
【0258】
信号配線として、第3配線層605における配線を用いる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1配線層における配線を信号配線6510〜6513、6520〜6523および6530〜6533として用いてもよい。この場合には、走査線GL(0)〜GL(p)を形成するときに、信号配線6510〜6513、6520〜6523および6530〜6533として用いる配線が形成されることになり、この場合にも価格の上昇を抑制することが可能である。
(実施の形態2)
【0259】
図23および図24は、実施の形態2に係わる液晶表示装置1の構成を示すブロック図である。図24は、図23に連続している。すなわち、図23において符号DDで示されている部分が、図24において符号DDで示されている部分と連続している。図23および図24には、図11と同様に、駆動電極TL(0)〜TL(p)(第1駆動電極)と、切換回路DSC1と、選択駆動回路SDC1と、選択制御回路SR1−R、SR1−Lが示されている。図23および図24において、TL(du1)〜TL(du3)およびTL(dd1)〜TL(dd3)は、特に制限されないが、磁界発生用の駆動電極(以下、磁界用駆動電極(第2駆動電極)とも称する)である。
【0260】
実施の形態1においては、磁界発生期間TGTのとき、それぞれ1回巻線の2個のコイルが形成され、2個のコイルを単位として、磁界が発生するようにされていた。これに対して、実施の形態2では、磁界発生期間TGTのとき、それぞれ1回巻線のコイルが、3個形成され、3個のコイルを単位として、磁界が発生する。また、実施の形態1では、2個のコイルの領域が、互いに重なっている領域は、2個の駆動電極に相当する領域であったが、実施の形態2においては、3個のコイルの領域が、互いに重なっている領域は、1個の駆動電極に相当する領域とされる。
【0261】
さらに、スキャン動作のとき、実施の形態1では、2個のコイルを単位としてずれ、ずれる量は、2個のコイル分であった。これに対して、実施の形態2では、3個のコイルを単位としてずれるが、ずれる量は、1個のコイル分とされる。
<磁界用駆動電極>
【0262】
特に制限されないが、この実施の形態2において、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、表示パネル2(画像配列LCD)の辺2−U側から辺2−D側に向かって、この順番で配置されている。すなわち、表示パネル2のアクティブ領域内に、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、配置されている。これに対して、磁界用駆動電極TL(du1)〜TL(du3)は、表示パネル2(画素配列LCD)の辺2−Uに沿って配置されているが、表示パネル2のアクティブ領域の外部に配置されている。同様に、磁界用駆動電極TL(dd1)〜TL(dd3)も、表示パネル2(画素配列LCD)の辺2−Dに沿って配置されているが、表示パネル2のアクティブ領域の外部に配置されている。
【0263】
磁界用駆動電極TL(du1)〜TL(du3)のそれぞれは、駆動電極TL(0)〜TL(p)と平行するように、延在して配置されており、磁界用駆動電極TL(du3)からTL(du1)の順に、表示パネル2の辺2−Uから遠ざかるように配置されている。また、特に制限されないが、磁界用駆動電極TL(du1)の幅d1は、磁界用駆動電極TL(du2)の幅d2よりも狭くされ、磁界用駆動電極TL(du2)の幅d2は、磁界用駆動電極TL(du3)の幅d3よりも狭くされている。さらに、磁界用駆動電極TL(du3)の幅d3は、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれの幅d4よりも狭くされている。
【0264】
同様に、磁界用駆動電極TL(dd1)〜TL(dd3)のそれぞれは、駆動電極TL(0)〜TL(p)と平行するように、延在して配置されており、磁界用駆動電極TL(dd3)からTL(dd1)の順に、表示パネル2の辺2−Dから遠ざかるように配置されている。また、特に制限されないが、磁界用駆動電極TL(dd1)の幅d5は、磁界用駆動電極TL(dd2)の幅d6よりも狭くされ、磁界用駆動電極TL(dd2)の幅d6は、磁界用駆動電極TL(dd3)の幅d7よりも狭くされている。さらに、磁界用駆動電極TL(dd3)の幅d7は、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれの幅d4よりも狭くされている。
【0265】
画素配列LCDに対応させて説明すると、磁界用駆動電極TL(du1)〜TL(du3)のそれぞれは、画素配列LCDの行と平行な辺(表示パネル2の辺2−Uに対応)に沿って配置され、それぞれは、画素配列LCDの行と平行になっている。また、磁界用駆動電極TL(du3)〜TL(du1)の順番で、画素配列LCDの辺(辺2−Uに対応)から遠ざかるように配置されている。同様に、磁界用駆動電極TL(dd1)〜TL(dd3)のそれぞれは、画素配列LCDの行と平行な辺(表示パネル2の辺2−Dに対応)に沿って配置され、それぞれは、画素配列LCDの行と平行になっている。また、磁界用駆動電極TL(dd3)〜TL(dd1)の順番で、画素配列LCDの辺(辺2−Dに対応)から遠ざかるように配置されている。
【0266】
磁界用駆動電極TL(du1)〜TL(du3)およびTL(dd1)〜TL(dd3)は、表示パネル2のアクティブ領域の外部に形成されているため、表示の際には機能しない。すなわち、表示のときに、磁界用駆動電極TL(du1)〜TL(du3)およびTL(dd1)〜TL(dd3)に、表示駆動信号が供給されも供給されなくても、表示には影響しない。磁界用駆動電極は(du1)〜TL(du3)およびTL(dd1)〜TL(dd3)は、磁界発生期間TGTのとき、駆動電極と組み合わされる。すなわち、磁界発生期間TGTのときに、表示パネル2(画素配列LCD)の辺2−Uまたは辺2−Dに近接した駆動電極と磁界用駆動電極とによって、コイルが形成される。この場合、表示パネル2の外部に配置され、磁界発生期間において、駆動電極と組み合わせてコイルを形成する電極が、磁界用駆動電極であると見なすこともできる。
<選択制御回路SR1−R、SR1−L>
【0267】
選択制御回路SR1−R、SR1−Lは、実施の形態1で説明した選択制御回路SR−R、SR−Lと同様な構成を有している。すなわち、選択制御回路SR1−R、SR1−Lのそれぞれは、シフトレジスタを有しており、シフトレジスタの各段に対応する複数の単位選択回路を備えている。タッチ検出の動作を指定するように、磁界イネーブル信号SC_ENがハイレベルにされ、制御信号Y−CNTがハイレベルにされることにより、シフトレジスタは、クロック信号CLKの変化に同期してシフト動作を行う。シフト動作が行われることにより、シフトレジスタの各段に対応する単位選択回路から、順番にハイレベルとなる選択信号Ty(0)R〜Ty(p)RおよびTy(0)L〜Ty(p)Lが出力される。なお、実施の形態1と同様に、選択制御回路SR1−1と選択制御回路SR1−Lは、互いに同期して動作する。すなわち、例えば、選択制御回路SR1−Rからの選択信号Ty(n)Rがハイレベルへ変化するとき、選択制御回路SR1−Lからの選択信号Ty(n)Lもハイレベルへ変化する。
【0268】
選択制御回路SR1−R、SR1−Lから出力される選択信号Ty(0)R〜Ty(p)RおよびTy(0)L〜Ty(p)Lは、駆動電極TL(0)〜TL(p)に1対1に対応している。例えば、選択信号Ty(0)R、Ty(0)Lは、駆動電極TL(0)に対応し、選択信号Ty(n)R、TY(n)Lは、駆動電極TL(n)に対応し、選択信号Ty(p)R、Ty(p)Lは、駆動電極TL(p)に対応している。選択制御回路SR1−R、SR1−Lからの選択信号Ty(0)R〜Ty(p)RおよびTy(0)L〜Ty(p)Lによって、強い磁界を発生する領域(駆動電極に相当)が指定される。すなわち、ハイレベルとなった選択信号に対応する駆動電極に相当する領域において、強い磁界が発生するように、切換回路DSC1および選択駆動回路SDC1が制御される。例えば、選択信号Ty(n)がハイレベルの場合、この選択信号Ty(n)に対応する駆動電極TL(n)に相当する領域において強い磁界が発生するように、切換回路DSC1および選択駆動回路SDC1が制御される。
【0269】
この実施の形態2においては、特に制限されないが、選択制御回路R1−R、SR1−Lから出力される選択信号Ty(0)R〜Ty(p)RおよびTy(0)L〜Ty(p)Lは、この順番で、ハイレベルへ変化する。すなわち、タッチ検出のときに、選択信号Ty(0)R、Ty(0)Lが、ロウレベルからハイレベルになり、その後、選択信号Ty(0)R、Ty(0)Lは、ハイレベルからロウレベルへ変化し、選択信号Ty(1)R、Ty(1)Lが、ロウレベルからハイレベルへ変化する。
【0270】
このようにして、ハイレベルが、選択信号Ty(0)R、Ty(0)LからTy(p)R、Ty(p)Lへと、順次移動する。これにより、タッチ検出のときには、表示パネル2(画素配列LCD)の辺2−Uから辺2−Dへ向けて、順次、磁界が発生する。すなわち、タッチ検出のとき、駆動電極TL(0)に相当する領域で、強い磁界が発生し、次に隣接した駆動電極TL(1)に相当する領域で、強い磁界が発生する。以降、順次、1個の駆動電極に相当する領域で、強い磁界が発生する。これにより、表示パネル2において、タッチをスキャンすることが可能となる。
<切換回路DSC1>
【0271】
切換回路DSC1は、信号配線LL4、LL5、LL6と、第6スイッチf00〜f05と、第7スイッチg00〜g0pを備えている。ここで、信号配線LL4〜LL5は、磁界発生期間TGTのとき、駆動電極間を接続する信号配線である、この実施の形態2においては、磁界発生期間TGTのとき、実質的に同時に3個のコイルを形成するため、駆動電極間を接続する信号配線として、3個の信号配線LL4〜LL6が設けられている。
【0272】
第6スイッチf00は、磁界用駆動電極TL(du1)と信号配線LL4との間に接続され、第6スイッチf01は、磁界用駆動電極TL(du2)と信号配線LL5との間に接続され、第6スイッチf03は、磁界用駆動電極TL(du3)と信号配線LL6との間に接続されている。ここで、第6スイッチf00〜f02は、選択制御回路SR1−Rからの選択信号Ty(0)R〜Ty(2)Rによりスイッチ制御される。
【0273】
また、第6スイッチf03は、磁界用駆動電極TL(dd1)と信号配線LL4との間に接続され、第6スイッチf04は、磁界用駆動電極TL(dd2)と信号配線LL5との間に接続され、第6スイッチf05は、磁界用駆動電極TL(dd3)と信号配線LL6との間に接続されている。ここで、第6スイッチf03〜f05は、選択制御回路SR1−Rからの選択信号Ty(p−2)R〜Ty(p)Rによりスイッチ制御される。
【0274】
第7スイッチg00〜g0pのそれぞれは、第6スイッチf00〜f05と異なり、共通端子cと、第1端子p1と、第2端子p2と、第3端子とを備えている。第7スイッチg00〜g0pには、選択制御回路SR1−Rから選択信号Ty(0)R〜Ty(p)Rが供給される。第6スイッチg00〜g0pのそれぞれは、供給される選択信号に従って、共通端子cを、第1端子p1、第2端子p2または第3端子に接続する。第6スイッチg00〜g0pのそれぞれの第3端子は、何処にも接続されておらず、フローティング状態となっている。そのため、図11の第1スイッチa00〜a09と同様に、第3端子は、図23および図24では省略されている。
【0275】
第7スイッチg00〜g0pのそれぞれの共通端子cは、対応する駆動電極TL(0)〜TL(p)の端部に接続されている。例えば、第7スイッチg00は、駆動電極TL(0)に対応し、駆動電極TL(0)の端部に、第7スイッチg00の共通端子cが接続され、第7スイッチg04は、駆動電極TL(n)に対応し、駆動電極TL(n)の端部に、第7スイッチg04の共通端子cが接続されている。このように、第7スイッチの共通端子は、対応する駆動電極の端部に接続されている。
【0276】
第7スイッチg01、g02、g05、g08、g0mおよびg0oのそれぞれの第1端子p1は、信号配線LL4に接続され、第7スイッチg03、g06、g09、g0nおよびg0pのそれぞれの第1端子p1は、信号配線LL5に接続され、第7スイッチg00、g04およびg07のそれぞれの第1端子p1は、信号配線LL6に接続されている。
【0277】
また、第7スイッチg00、g04およびg07のそれぞれの第2端子p2は、信号配線LL4に接続され、第7スイッチg01、g02、g05、g08、g0mおよびg0oのそれぞれの第2端子p2は、信号配線LL5に接続され、第7スイッチg03、g06、g09、g0nおよびg0pのそれぞれの第2端子p2は、信号配線LL6に接続されている。
【0278】
磁界発生期間TGTにおいて、選択制御回路SR1−Rから出力される選択信号Ty(0)R〜Ty(p)Rによって、第6スイッチf00〜f05および第7スイッチg00〜g0pは、次のように制御される。すなわち、選択信号がハイレベルになると、このハイレベルの選択信号に対応した駆動電極から辺2−U側に隣接して配置された3個の駆動電極のそれぞれに接続された3個の第7スイッチにおいて、共通端子cが、第2端子p2に接続される。このとき、ハイレベルの選択信号に対応した駆動電極から辺2−D側に隣接して配置された3個の駆動電極のそれぞれに接続された3個の第7スイッチにおいて、共通端子cが、第1端子p1に接続される。このとき、これらの6個の第7スイッチを除いた第7スイッチにおいては、共通端子cは、第3端子に接続される。また、第6スイッチf00〜f05は、オフ状態にされる。
【0279】
選択制御回路SR1−Rから出力されている選択信号Ty(n+1)Rがハイレベルの場合を例にして説明すると次のようになる。選択信号Ty(n+1)がハイレベルになることにより、選択信号Ty(n+1)に対応する駆動電極TL(n+1)から辺2−U側に隣接して配置された駆動電極TL(n)、TL(n−1)、TL(n−2)のそれぞれに接続された第7スイッチg04、g03、g02において、共通端子cが、第2端子p2に接続される。また、駆動電極TL(n+1)から辺2−D側に隣接して配置された駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)、TL(n+4)のそれぞれに接続された第7スイッチg06、g07、g08において、共通端子cが、第1端子p1に接続される。このとき、第7スイッチg02〜g04およびg06〜g08を除いた第7スイッチ(図23および図24では、g05、g09〜g0p)においては、共通端子cが、第3端子に接続される。このとき、第7スイッチf00〜f05は、オフ状態となる。
【0280】
これにより、駆動電極TL(n−2)の端部は、第7スイッチg02を介して信号配線LL5に接続され、駆動電極TL(n−1)の端部は、第7スイッチg03を介して、信号配線LL6に接続され、駆動電極TL(n)の端部は、第7スイッチg04を介して、信号配線LL4に接続される。また、駆動電極TL(n+1)を挟んで、駆動電極TL(n)〜TL(n−2)の反対側に配置された駆動電極TL(n+2)の端部は、第7スイッチg06を介して、信号配線LL5に接続され、駆動電極TL(n+3)の端部は、第7スイッチg07を介して、信号配線LL6に接続され、駆動電極TL(n+4)の端部は、第7スイッチg08を介して、信号配線LL4に接続される。
【0281】
その結果、信号配線LL5を介して、駆動電極TL(n−2)と駆動電極TL(n+2)とが直列的に接続され、信号配線LL6を介して、駆動電極TL(n−1)と駆動電極TL(n+3)とが直列的に接続され、信号配線LL4を介して、駆動電極TL(n)と駆動電極TL(n+4)とが直列的に接続されることになる。これにより、それぞれ1回巻線の3個のコイルが、駆動電極を巻線として形成されることになる。この場合、3個のコイルで重なっている領域が、ハイレベルの選択信号Ty(n+1)に対応する駆動電極TL(n+1)に相当する領域となる。
【0282】
第6スイッチおよび第7スイッチは、選択信号Ty(3)R〜Ty(p−3)Rのいずれかが、選択制御回路SR1−Rによってハイレベルにされたとき、上記したように制御され、ハイレベルの選択信号に対応する駆動電極に相当する領域において、互いに重なった3個のコイルが形成される。
【0283】
選択制御回路SR1−Rから出力される選択信号Ty(0)〜Ty(p)のうち、表示パネル2の辺2−Uまたは辺2−Dに近接した駆動電極に対応する選択信号がハイレベルとなった場合、コイルを形成する駆動電極が、表示パネル2のアクティブ領域に存在しなくなる。例えば選択信号Ty(0)Rがハイレベルとなった場合、この選択信号Ty(0)Rに対応する駆動電極は、駆動電極TL(0)となる。この駆動電極TL(0)は、辺2−D側には、駆動電極TL(1)〜TL(3)が存在するが、辺2−U側には、駆動電極が存在しない。すなわち、駆動電極TL(0)に相当する領域を、内側としたコイルを形成することが困難となる。従って、磁界発生期間TGTのとき、駆動電極TL(0)に相当する領域において、強い磁界を発生することが困難となる。
【0284】
また、選択信号Ty(1)Rまたは選択信号Ty(2)Rがハイレベルになった場合には、駆動電極TL(1)またはTL(2)に相当する領域において、互いに重なるコイルの数が減少する。そのため、磁界発生期間TGTにおいて発生する磁界が弱くなる。
【0285】
これに対して、実施の形態2においては、表示パネル2のアクティブ領域の外部に磁界用駆動電極を設けることにより、表示パネル2の辺2−Uまたは辺2−Dに近接した領域においても、強い磁界を発生することが可能とされている。
【0286】
すなわち、第6スイッチf00は、選択信号Ty(0)Rがハイレベルになったとき、オン状態となるように制御され、第6スイッチf01は、選択信号Ty(0)RおよびTy(1)Rのいずれかがハイレベルになったとき、オン状態となるように制御される。さらに第6スイッチf02は、選択信号Ty(0)R〜Ty(2)Rのいずれかがハイレベルとなったとき、オン状態となるように制御される。選択信号Ty(0)R〜Ty(2)Rのいずれかがハイレベルとなったとき、駆動電極TL(1)〜TL(3)における共通端子cは、上記した選択信号Ty(n−1)Rのときと同様に、第1端子p1に接続するように制御する。
【0287】
これにより、磁界発生期間TGTにおいて、選択信号Ty(0)がハイレベルの場合には、第6スイッチf00を介して、磁界用駆動電極TL(du1)が信号配線LL4に接続され、第6スイッチf01を介して、磁界用駆動電極TL(du2)が、信号配線LL5に接続され、第6スイッチf02を介して、磁界用駆動電極TL(du3)が、信号配線LL6に接続されることになる。このとき、駆動電極TL(1)の端部は、第7スイッチg01を介して、信号配線LL4に接続される。図23には示していないが、駆動電極TL(2)は、第7スイッチを介して、信号配線LL5に接続され、駆動電極TL(3)は、第7スイッチを介して、信号配線LL6に接続される。すなわち、駆動電極と磁界用駆動電極とを組み合わせて、3個のコイルが形成される。これにより、磁界発生期間TGTのとき、駆動電極TL(0)に相当する領域において、互い領域が重なった3個のコイルを形成することが可能となり、駆動電極TL(0)に相当する領域で、強い磁界を発生することが可能となる。
【0288】
また、選択信号Ty(1)Rがハイレベルの場合には、図示しない駆動電極TL(2)と磁界用駆動電極TL(du2)によって1個のコイルが形成され、図示しない駆動電極TL(3)と磁界用駆動電極TL(du3)によって1個のコイルが形成され、駆動電極TL(0)と図示しない駆動電極TL(4)によって1個のコイルが形成されることになる。さらに、選択信号Ty(2)Rがハイレベルの場合には、図示しない駆動電極TL(3)と磁界用駆動電極TL(du3)によって1個のコイルが形成され、図示しない駆動電極TL(4)と駆動電極TL(0)によって1個のコイルが形成され、駆動電極TL(1)と図示しない駆動電極TL(5)によって1個のコイルが形成されることになる。
【0289】
これにより、表示パネル2の辺2−Uの近辺の領域をタッチ検出の領域として指定しても、タッチ検出を行うことが可能となる。
【0290】
実施の形態2では、磁界用駆動電極TL(du1)〜TL(du3)の幅が、互いに異なっているが、互いに同じ幅であってもよい。また、磁界用駆動電極TL(du1)〜TL(du3)の順に、幅が狭くなるようにしてもよい。磁界用駆動電極は、表示に影響しないため、表示パネル2の周辺(額縁)が広くなるのを抑制するために、磁界用駆動電極TL(du1)〜TL(du3)の幅は、駆動電極TLの幅d4よりも狭いことが望ましい。
【0291】
図24に示すように、表示パネル2の辺2−Dに沿って、表示パネル2のアクティブ領域の外部に、磁界用駆動電極TL(dd1)〜TL(dd3)が配置されている。この磁界用駆動電極TL(dd1)〜TL(dd3)および第6スイッチf03〜f05は、上記した磁界用駆動電極TL(du1)〜TL(du3)および第6スイッチf00〜f02と同様な動作を行う。
【0292】
そのため、詳細な説明は省略するが、選択信号Ty(p)Rがハイレベルになったとき、磁界用駆動電極TL(dd1)と駆動電極TL(p−1)によりコイルが形成され、磁界用駆動電極TL(dd2)と図示しない駆動電極TL(p−2)によりコイルが形成され、磁界用駆動電極TL(dd3)と図示しない駆動電極TL(p−3)によりコイルが形成される。また、選択信号Ty(p−1)Rがハイレベルになったとき、磁界用駆動電極TL(dd2)と図示しない駆動電極TL(p−2)によりコイルが形成され、磁界用駆動電極TL(dd3)と図示しない駆動電極TL(p−3)によりコイルが形成され、駆動電極TL(p)と図示しない駆動電極TL(p−4)によりコイルが形成される。さらに、選択信号Ty(p−2)Rがハイレベルになったとき、磁界用駆動電極TL(dd3)と駆動電極TL(p−3)によりコイルが形成され、駆動電極TL(p)と図示しない駆動電極TL(p−4)によりコイルが形成され、駆動電極TL(p−1)と駆動電極TL(p−5)によりコイルが形成される。
【0293】
これにより、表示パネル2の辺2−Dの近辺の領域をタッチ検出の領域として指定しても、タッチ検出を行うことが可能となる。
<選択駆動回路SDC1>
【0294】
選択駆動回路SDC1は、電圧配線VL1と、電圧配線VL2と、信号配線LL3と、第8スイッチh00〜h05と、第9スイッチi00〜i0pとを備えている。実施の形態1と同様に、電圧配線VL1には、表示のとき、表示駆動信号VCOMDCが供給され、電圧配線VL2には、磁界発生期間TGTのとき、例えば接地電圧Vssが供給される。また、信号配線LL3には、磁界発生期間TGTのとき、コイルクロック信号CCLKが供給される。
【0295】
第8スイッチh00は、信号配線LL3と磁界用駆動電極TL(du1)の端部との間に接続され、第8スイッチh01は、信号配線LL3と磁界用駆動電極TL(du2)の端部との間に接続され、第8スイッチh02は、信号配線LL3と磁界用駆動電極TL(du3)の端部との間に接続されている。また、第8スイッチh03は、電圧配線VL2と磁界用駆動電極TL(dd1)の端部との間に接続され、第8スイッチh04は、電圧配線VL2と磁界用駆動電極TL(dd2)の端部との間に接続され、第8スイッチh05は、電圧配線VL2と磁界用駆動電極TL(dd3)の端部との間に接続されている。
【0296】
これらの第8スイッチh00〜h05のそれぞれは、選択制御回路SR1−Lからの選択信号Ty(0)L〜Ty(2)LおよびTy(p−2)L〜Ty(p)Lによって制御される。すなわち、選択信号Ty(0)L〜Ty(2)LおよびTy(p−2)L〜Ty(p)Lによって、第7スイッチh00〜h05は、オン状態またはオフ状態とされる。
【0297】
第9スイッチi00〜i0pのそれぞれは、対応する駆動電極の端部に接続され共通端子cと、電圧配線VL1に接続された第1端子p1と、信号配線LL3に接続された第2端子p2と、電圧配線VL2に接続された第3端子p3と、第4端子とを備えている。第9スイッチi00〜i0pのそれぞれの第4端子は、何処にも接続されておらず、フローティング状態となっている。そのため、図11に示した第2スイッチb00〜b09と同様に、図23および図24において、第4端子は省略されている。
【0298】
これらの第9スイッチi00〜i0pも、選択制御回路SR1−Lからの選択信号Ty(0)L〜Ty(p)Lによって制御される。しかしながら、第8スイッチh00〜h05と異なり、供給される選択信号に従って、共通端子cが、第1端子p1、第2端子p2、第3端子p3および第4端子のいずれかに接続される。
【0299】
選択制御回路SR1−Lから出力される選択信号Ty(0)L〜Ty(p)Lのそれぞれも、選択回路SR1−Rから出力される選択信号Ty(0)R〜Ty(p)Rのそれぞれと同様に、駆動電極TL(0)〜TL(p)と1対1に対応している。選択制御回路SR1−Lから出力される選択信号がハイレベルのとき、第9スイッチi00〜i0pは、そのハイレベルの選択信号に対応する駆動電極に相当する領域において互いに重なっている3個のコイルに、磁界駆動信号および接地電圧Vssを供給するように、制御される。
【0300】
すなわち、選択信号がハイレベルになると、この選択信号に対応した駆動電極から辺2−U側に隣接して配置された3個の駆動電極のそれぞれに接続された3個の第9スイッチにおいて、共通端子cが、第2端子p2に接続されるように制御される。このとき、選択信号に対応した駆動電極から辺2−D側に隣接して配置された3個の駆動電極のそれぞれに接続された3個の第9スイッチにおいて、共通端子cが、第3端子p3に接続されるように制御される。また、このとき、これらの6個の第9スイッチを除いた第9スイッチにおいては、共通端子cは、第4端子に接続される。また、第8スイッチh00〜h05は、オフ状態にされる。
【0301】
選択制御回路SR1−Rと同様に、選択制御回路SR1−Lから出力されている選択信号Ty(n+1)Lがハイレベルの場合を例にして説明すると次のようになる。選択信号Ty(n+1)Lがハイレベルになることにより、選択信号Ty(n+1)Lに対応する駆動電極TL(n+1)から辺2−U側に隣接して配置された駆動電極TL(n)、TL(n−1)、TL(n−2)のそれぞれに接続された第9スイッチi04、i03、i02において、共通端子cが、第2端子p2に接続される。また、駆動電極TL(n+1)から辺2−D側に隣接して配置された駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)、TL(n+4)のそれぞれに接続された第9スイッチi06、i07、i08において、共通端子cが、第3端子p3に接続される。このとき、第9スイッチi02〜i04およびi06〜i08を除いた第9スイッチ(図23および図24では、i05、i09〜i0p)においては、共通端子cが、第4端子に接続される。このとき、第8スイッチh00〜h05は、オフ状態となる。
【0302】
これにより、駆動電極TL(n−2)の端部は、第9スイッチi02を介して信号配線LL3に接続され、駆動電極TL(n−1)の端部は、第9スイッチi03を介して、信号配線LL3に接続され、駆動電極TL(n)の端部は、第9スイッチi04を介して、信号配線LL3に接続される。また、駆動電極TL(n+1)を挟んで、駆動電極TL(n)〜TL(n−2)の反対側に配置された駆動電極TL(n+2)の端部は、第9スイッチi06を介して、電圧配線VL2に接続され、駆動電極TL(n+3)の端部は、第9スイッチi07を介して、電圧配線VL2に接続され、駆動電極TL(n+4)の端部も、第9スイッチi08を介して、電圧配線VL2に接続される。
【0303】
このとき、上記したように、切換回路DSC1によって、信号配線LL5を介して駆動電極TL(n−2)と駆動電極TL(n+2)とが直列的に接続され、信号配線LL6を介して、駆動電極TL(n−1)と駆動電極TL(n+3)とが直列的に接続され、信号配線LL4を介して、駆動電極TL(n)と駆動電極TL(n+4)とが直列的に接続されている。すなわち、それぞれ1回巻線の3個のコイルが、駆動電極を巻線として形成されている。
【0304】
駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)およびTL(n+4)のそれぞれの端部には、第9スイッチi06〜i08を介して、電圧配線VL2の接地電圧Vssが供給される。また、駆動電極TL(n−2)、TL(n−1)およびTL(n)のそれぞれの端部には、第9スイッチi02〜i04を介して、時間において並列的に、信号配線LL3のコイルクロック信号CCLKが、磁界駆動信号として供給される。
【0305】
その結果、駆動電極TL(n+1)に相当する領域において、互いに領域が重なった3個のコイルに、実質的に同時に、磁界駆動信号が供給され、駆動電極TL(n+1)に相当する領域において、強い磁界が発生する。
【0306】
第8スイッチh00は、選択信号Ty(0)Lがハイレベルになったとき、オン状態となるように制御され、第8スイッチh01は、選択信号Ty(0)LおよびTy(1)Lのいずれかがハイレベルになったとき、オン状態となるように制御される。さらに第8スイッチf02は、選択信号Ty(0)L〜Ty(2)Lのいずれかがハイレベルとなったとき、オン状態となるように制御される。一方、第9スイッチi01〜i03のそれぞれは、選択信号Ty(0)L〜Ty(2)Lがハイレベルとなったとき、上記した選択信号Ty(n+1)Lのときと同様に、共通端子cを第3端子p3に接続するように制御される。
【0307】
これにより、選択信号Ty(0)Lがハイレベルの場合には、第8スイッチh00を介して、磁界用駆動電極TL(du1)が信号配線LL3に接続され、第8スイッチh01を介して、磁界用駆動電極TL(du2)が、信号配線LL3に接続され、第8スイッチh02を介して、磁界用駆動電極TL(du3)が、信号配線LL3に接続されることになる。このとき、駆動電極TL(1)の端部は、第9スイッチi01を介して、電圧配線VL2に接続される。また、図23には示していないが、駆動電極TL(2)は、第9スイッチi02を介して、電圧配線VL2に接続され、駆動電極TL(3)は、第9スイッチi03を介して、電圧配線VL2に接続される。これにより、駆動電極TL(1)〜TL(3)と磁界用駆動電極TL(du1)〜TL(du3)とを組み合わせて形成された3個のコイルのそれぞれに、磁界駆動信号と接地電圧Vssとが実質的に同時に供給されることになる。その結果、磁界発生期間TGTのとき、駆動電極TL(0)に相当する領域において、互い領域が重なった3個のコイルを形成することが可能となり、駆動電極TL(0)に相当する領域で、強い磁界を発生することが可能となる。
【0308】
同様に、駆動電極TL(1)に対応する選択信号Ty(1)Lが、ハイレベルになった場合には、磁界用駆動電極TL(du2)、TL(du3)、駆動電極TL(0)および図示しない駆動電極TL(2)〜TL(4)の組合せにより形成された3個のコイルに対して、磁界駆動信号と接地電圧Vssが供給される。この場合には、第8スイッチh01、h02がオン状態となり、第9スイッチi00において、共通端子cが第2端子p2に接続され、第9スイッチi01、i02、i03において共通端子cが、第3端子p3に接続されることになる。また、駆動電極TL(2)に対応する選択信号Ty(2)Lが、ハイレベルになった場合には、磁界用駆動電極TL(du3)、駆動電極TL(0)、TL(1)および図示しない駆動電極の組合せにより形成された3個のコイルに対して、磁界駆動信号と接地電圧Vssが供給されることになる。
【0309】
表示パネル2の辺2−D側に配置された駆動電極TL(p)、TL(p−1)、TL(p−2)が、タッチを検出する領域として指定された場合も同様である。すなわち、駆動電極TL(p)に対応する選択信号Ty(p)Lがハイレベルとなったときには、磁界用駆動電極TL(dd1)〜TL(dd3)、駆動電極TL(p−1)および図示しない駆動電極TL(p−2)、TL(p−3)の組合せにより形成された3個のコイルに対して、磁界駆動信号と接地電圧Vssが供給される。この場合には、第8スイッチh03〜h05がオン状態となり、駆動電極TL(p−1)〜TL(p−3)にそれぞれ接続された第9スイッチ(図24では、i0oが例示)において、共通端子cが、第2端子p2に接続される。
【0310】
また、駆動電極TL(p−1)に対応する選択信号Ty(p−1)Lがハイレベルとなったときには、磁界用駆動電極TL(dd2)、TL(du3)、駆動電極TL(p)および図示しない駆動電極TL(p−2)〜TL(p−4)の組合せにより形成された3個のコイルに対して、磁界駆動信号と接地電圧Vssが供給される。この場合には、第8スイッチh04、h05がオン状態となり、第9スイッチi0pおよび駆動電極TL(p−2)〜TL(p−3)にそれぞれ接続された第9スイッチにおいて、共通端子cが、第2端子p2に接続される。さらに、駆動電極TL(p−2)に対応する選択信号Ty(p−2)Lがハイレベルとなったときには、磁界用駆動電極TL(dd3)、駆動電極TL(p)、TL(p−1)および図示しない駆動電極TL(p−3)〜TL(p−5)の組合せにより形成された3個のコイルに対して、磁界駆動信号と接地電圧Vssが供給されることになる。
【0311】
このように、第8スイッチh00〜h05および第9スイッチi00〜i0pは、対応する選択信号Ty(0)L〜Ty(p)Lが、選択制御回路SR1−Lによってハイレベルにされることにより、上記したように制御され、ハイレベルの選択信号に対応する駆動電極に相当する領域において、互いに重なった3個のコイルに、磁界駆動信号と接地電圧Vssが、実質的に同時に供給する。
【0312】
選択制御回路SR1−Lは、例えば磁界イネーブル信号SC_ENがロウレベルのとき、第9スイッチi00〜i0pのそれぞれにおいて、共通端子cが、第1端子p1へ接続されるように制御する。表示期間のとき、磁界イネーブル信号SC_ENはロウレベルにされる。そのため、表示期間のとき、第9スイッチi00〜i0pは、それぞれの駆動電極TL(0)〜TL(p)を電圧配線VL1へ接続する。電圧配線VL1は、表示期間のとき、表示駆動信号VCOMDCが供給されるため、表示期間のとき、それぞれの駆動電極TL(0)〜TL(p)には、選択駆動回路SDC1から表示駆動信号が供給されることになる。
【0313】
切換回路DSC1にも、電圧配線VL1を設け、第7スイッチg00〜g0pのそれぞれに電圧配線VL1に接続された第4端子を設け、磁界イネーブル信号SC_ENがロウレベルのとき、第7スイッチg00〜g0pのそれぞれの共通端子cが、第4端子に接続されるようにしてもよい。このようにすることにより、表示期間のとき、駆動電極TL(0)〜TL(p)には、切換回路DSC1からも表示駆動信号が供給されるようにすることが可能となる。すなわち、表示期間のとき、駆動電極TL(0)〜TL(p)の両方の端部から、表示駆動信号を供給することが可能となる。
<タッチ検出の動作>
【0314】
次に、実施の形態2に係わる液晶表示装置1におけるタッチ検出の動作を、図25図28を用いて、説明する。図25図28のそれぞれは、磁界発生期間TGTにおいて、図23および図24に示した選択制御回路SR1−R、SR1−Lにより、第6スイッチf00〜f05、第7スイッチg00〜g0p、第8スイッチh00〜h05および第9スイッチi00〜i0pを制御している状態を示している。図面が複雑になるのを避けるために、図25図28には、第8スイッチh00〜h05および第9スイッチi00〜i0pは省略されており、第9スイッチにおける共通端子cを第2端子p2または第3端子p3へ接続することにより供給される駆動電流が、I1〜I4として示されている。磁界発生期間TGTにおいて、コイルに磁界駆動信号が供給されることにより、駆動電流が流れるため、I1〜I4は、磁界駆動信号を示していると見なすこともできる。
【0315】
駆動電流(磁界駆動信号)I1〜I4が供給される駆動電極を除いた、駆動電極はフローティング状態となる。すなわち、磁界駆動信号I1〜I4が供給されない駆動電極に接続された第6スイッチおよび第8スイッチは、オフ状態となっている。また、磁界駆動信号I1〜I4が供給されない駆動電極に接続された第7スイッチにおいては、共通端子cが第3端子p3に接続され、第9スイッチにおいては、共通端子cが第4端子に接続されている。
【0316】
ここでは、スキャン動作によって、駆動電極TL(n+1)に相当する領域から駆動電極TL(n+4)に相当する領域において、順次、強い磁界を発生する場合を例として説明する。他の領域におい強い磁界を発生する場合も、同様である。また、磁界用駆動電極TL(du1)〜TL(du3)およびTL(dd1)〜TL(dd3)と駆動電極とを組み合わせて、強い磁界を発生する動作は、先に説明しているので、ここでは省略する。
【0317】
選択制御回路SR1−RおよびSR1−Lは、表示パネル2の辺2−Uから辺2−Dに向けって、選択信号を、選択信号Ty(0)R、Ty(0)Lから選択信号Ty(p)R、Ty(p)Lの順にハイレベルにする。図25図28を例にすると、選択制御回路SR1−RおよびSR1−Lは、タッチ検出のときであって、磁界発生期間TGTのとき、選択信号Ty(n+1)R、Ty(n+1)Lをハイレベルにし、次の磁界発生期間TGTのときには、選択信号Ty(n+2)R、Ty(n+2)Lをハイレベルにする。その後の磁界発生期間TGTのとき、選択信号Ty(n+3)R、Ty(n+3)Lをハイレベルにし、さらにあとの磁界発生期間TGTのとき、選択信号Ty(n+4)R、Ty(n+4)Lをハイレベルにする。いずれの磁界発生期間TGTにおいても、ハイレベルとなる選択信号を除いた選択信号は、ロウレベルとなる。
【0318】
図25は、選択信号Ty(n+1)R、Ty(n+1)Lがハイレベルとなっているときの状態を示し、図26は、選択信号Ty(n+2)R、Ty(n+2)Lがハイレベルとなっているときの状態を示している。同様に、図27は、選択信号Ty(n+3)R、Ty(n+3)Lがハイレベルとなっているときの状態を示し、図28は、選択信号Ty(n+4)R、Ty(n+4)Lがハイレベルとなっているときの状態を示している。
【0319】
選択信号Ty(n+1)Rがハイレベルとなることにより、図23および図24で説明したように、第7スイッチg02〜g04のそれぞれにおいて、共通端子cは、第2端子p2に接続され、第7スイッチg06〜g08のそれぞれにおいて、共通端子cは、第1端子p1に接続される。これにより、駆動電極TL(n−2)とTL(n+2)とが、第7スイッチg02、g06を介して、信号配線LL5に接続され、駆動電極TL(n−1)とTL(n+3)とが、第7スイッチg03、g07を介して、信号配線LL6に接続され、駆動電極TL(n)とTL(n+4)とが、第7スイッチg03、g07を介して、信号配線LL4に接続される。その結果、駆動電極TL(n−2)とTL(n+2)とを巻線としたコイルCY(n)が形成され、駆動電極TL(n−1)とTL(n+3)とを巻線としたコイルCY(n+1)が形成され、駆動電極TL(n)とTL(n+4)とを巻線としたコイルCY(n+2)が形成される(図15参照)。
【0320】
この場合、コイルCY(n)は、駆動電極TL(n−1)〜TL(n+1)に相当する領域を、内側としたコイルとなり、コイルCY(n+1)は、駆動電極TL(n)〜TL(n+2)に相当する領域を、内側としたコイルとなり、コイルCY(n+2)は、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)に相当する領域を、内側としたコイルとなる。そのため、コイルCY(n)とコイルCY(n+1)とは、駆動電極TL(n)とTL(n+1)に相当する領域において重なっており、コイルCY(n)とコイルCY(n+2)とは、駆動電極TL(n+1)に相当する領域において重なっており、コイルCY(n+1)とコイルCY(n+2)とは、駆動電極TL(n)とTL(n+1)に相当する領域において重なっていることになる。また、3個のコイルCY(n)〜CY(n+2)が、互いに重なっている領域は、駆動電極TL(n+1)に相当する領域となる。
【0321】
コイルCY(n)〜CY(n+2)のそれぞれが形成されているとき、すなわち、磁界発生期間TGTのとき、選択信号Ty(n+1)Lもハイレベルとなるため、第9スイッチi02〜i04のそれぞれにおいて、共通端子cは、第2端子p2に接続され、第9スイッチi06〜i08のそれぞれにおいて、共通端子cは、第3端子p3に接続される。その結果、コイルCY(n)〜CY(n+2)のそれぞれの端子PTL(n−2)〜PTL(n)には、信号配線LL3からコイルクロック信号CCLKが、磁界駆動信号I1として供給される。磁界駆動信号I1は、コイルCY(n)〜CY(n+2)を形成する駆動信号および信号配線を伝達し、それぞれの端子PTL(n+2)〜PTL(n+4)から電圧配線VL2へ伝達される。
【0322】
コイルクロック信号CCLKは、周期的に変化する信号であるため、コイルCY(n)〜CY(n+2)のそれぞれが、磁界駆動信号I1の変化に従って変化する磁界を発生する。磁界駆動信号I1は、コイルCY(n)〜CY(n+2)に、実質的に同時に供給される。そのため、コイルCY(n)〜CY(n+2)のそれぞれの内側が重なった領域において、磁界が重畳されることになる。この場合、2個のコイルが重なった領域においては、2個のコイルによって発生した磁界が重畳することになる。特に、駆動電極TL(n)に相当する領域は、3個のコイルCY(n)〜CY(n+2)が互いに重なった領域であるため、駆動電極TL(n)に相当する領域においては、この3個のコイルが発生する磁界が重畳されることになるため、最も強い磁界が発生することになる。
【0323】
タッチ検出のとき、駆動電極TL(n+1)に相当する領域に、ペンがタッチしているか否かに応じて、磁界検出期間TDTのとき、図16図18において説明したように、信号線を用いて形成したコイルCX(0)〜CX(p)に信号の変化が生じ、センス信号として出力される。
【0324】
選択信号Ty(n+1)R、Ty(n+1)Lに続いて、選択制御回路SR1−R、SR1−Lは、選択信号Ty(n+2)R、Ty(n+2)Lをハイレベルにする。このとき、選択信号Ty(n+1)R、Ty(n+1)Lは、ロウレベルとなる。選択信号Ty(n+2)R、Ty(n+2)Lがハイレベルに変化することにより、図26に示すように、第7スイッチg03〜g05のそれぞれにおいて、共通端子cは、第2端子p2に接続され、第7スイッチg07〜g09のそれぞれにおいて、共通端子cは、第1端子p1に接続される。その結果、駆動電極TL(n−1)とTL(n+3)は、信号配線LL6に接続され、駆動電極TL(n)とTL(n+4)は、信号配線LL4に接続され、駆動電極TL(n+1)とTL(n+5)は、信号配線LL5に接続されることになる。これにより、これらの駆動電極を巻線としたコイルCY(n+1)〜CY(n+3)が、実質的に同時に形成される。この場合、3個のコイルCY(n+1)〜CY(n+3)が互いに重なっている領域は、駆動電極TL(n+2)に相当する領域となる。
【0325】
一方、選択制御信号Ty(n+2)Lがハイレベルとなることにより、第9スイッチi03〜i05において、共通端子cは、第2端子p2に接続され、第9スイッチi07〜i09において、共通端子cは、第3端子p3に接続される。その結果、コイルCY(n+1)〜CY(n+3)の端子PTL(n−1)〜PTL(n+1)は、信号配線LL3に接続され、コイルCY(n+1)〜CY(n+3)の端子PTL(n+3)〜PTL(n+5)は、電圧配線VL2に接続される。これにより、磁界発生期間TGTのときには、コイルクロック信号CCLKが、磁界駆動信号I2として、コイルCY(n+1)〜CY(n+3)の端子PTL(n−1)〜PTL(n+1)に供給され、磁界駆動信号I2は、これらのコイルを介して、電圧配線VL2へ伝達される。
【0326】
これにより、図25の場合と同様に、それぞれのコイルCY(n+1)〜CY(n+3)において、磁界が発生する。図26の場合には、駆動電極TL(n+2)に相当する領域において、この3個のコイルによって発生した磁界が重畳され、最も強い磁界が発生することになる。
【0327】
タッチ検出のとき、駆動電極TL(n+2)に相当する領域に、ペンがタッチしているか否かに応じて、磁界検出期間TDTのとき、図16図18において説明したように、信号線を用いて形成したコイルCX(0)〜CX(p)に信号の変化が生じ、センス信号として出力される。
【0328】
選択信号Ty(n+2)R、Ty(n+2)Lに続いて、選択制御回路SR1−R、SR1−Lは、選択信号Ty(n+3)R、Ty(n+3)Lをハイレベルにする。このとき、選択信号Ty(n+2)R、Ty(n+2)Lは、ロウレベルとなる。選択信号Ty(n+3)R、Ty(n+3)Lがハイレベルに変化することにより、図27に示すように、第7スイッチg04〜g06のそれぞれにおいて、共通端子cは、第2端子p2に接続され、第7スイッチg08〜g010のそれぞれにおいて、共通端子cは、第1端子p1に接続される。その結果、駆動電極TL(n)とTL(n+4)は、信号配線LL4に接続され、駆動電極TL(n+1)とTL(n+5)は、信号配線LL5に接続され、駆動電極TL(n+2)とTL(n+6)は、信号配線LL6に接続されることになる。これにより、これらの駆動電極を巻線としたコイルCY(n+2)〜CY(n+4)が、実質的に同時に形成される。この場合、3個のコイルCY(n+2)〜CY(n+4)が重なっている領域は、駆動電極TL(n+3)に相当する領域となる。
【0329】
一方、選択制御信号Ty(n+3)Lがハイレベルとなることにより、第9スイッチi04〜i06において、共通端子cは、第2端子p2に接続され、第9スイッチi08〜i010において、共通端子cは、第3端子p3に接続される。その結果、コイルCY(n+2)〜CY(n+4)の端子PTL(n)〜PTL(n+2)は、信号配線LL3に接続され、コイルCY(n+2)〜CY(n+4)の端子PTL(n+4)〜PTL(n+6)は、電圧配線VL2に接続される。これにより、磁界発生期間TGTのときには、コイルクロック信号CCLKが、磁界駆動信号I3として、コイルCY(n+2)〜CY(n+4)の端子PTL(n)〜PTL(n+2)に供給され、磁界駆動信号I2は、これらのコイルを介して、電圧配線VL2へ伝達される。
【0330】
これにより、図25の場合と同様に、それぞれのコイルCY(n+2)〜CY(n+4)において、磁界が発生する。図27の場合には、駆動電極TL(n+3)に相当する領域において、この3個のコイルによって発生した磁界が重畳され、最も強い磁界が発生することになる。
【0331】
選択信号Ty(n+3)R、Ty(n+3)Lに続いて、選択制御回路SR1−R、SR1−Lは、選択信号Ty(n+4)R、Ty(n+4)Lをハイレベルにする。このとき、選択信号Ty(n+3)R、Ty(n+3)Lは、ロウレベルとなる。選択信号Ty(n+4)R、Ty(n+4)Lがハイレベルに変化することにより、図28に示すように、第7スイッチg05〜g07のそれぞれにおいて、共通端子cは、第2端子p2に接続され、第7スイッチg09〜g011のそれぞれにおいて、共通端子cは、第1端子p1に接続される。その結果、駆動電極TL(n+1)とTL(n+5)は、信号配線LL5に接続され、駆動電極TL(n+2)とTL(n+6)は、信号配線LL6に接続され、駆動電極TL(n+3)とTL(n+7)は、信号配線LL4に接続されることになる。これにより、これらの駆動電極を巻線としたコイルCY(n+3)〜CY(n+5)が、実質的同時に形成される。この場合、3個のコイルCY(n+3)〜CY(n+5)が重なっている領域は、駆動電極TL(n+4)に相当する領域となる。
【0332】
一方、選択制御信号Ty(n+4)Lがハイレベルとなることにより、第9スイッチi05〜i07において、共通端子cは、第2端子p2に接続され、第9スイッチi09〜i011において、共通端子cは、第3端子p3に接続される。その結果、コイルCY(n+3)〜CY(n+5)の一方の端子は、信号配線LL3に接続され、コイルCY(n+2)〜CY(n+4)の他方の端子は、電圧配線VL2に接続される。これにより、磁界発生期間TGTのときには、コイルクロック信号CCLKが、磁界駆動信号I4として、コイルCY(n+3)〜CY(n+5)の一方の端子に供給され、磁界駆動信号I2は、これらのコイルを介して、電圧配線VL2へ伝達される。
【0333】
これにより、図25の場合と同様に、それぞれのコイルCY(n+3)〜CY(n+5)において、磁界が発生する。図28の場合には、駆動電極TL(n+4)に相当する領域において、この3個のコイルによって発生した磁界が重畳され、最も強い磁界が発生することになる。
【0334】
この実施の形態2においては、磁界発生期間TGTのとき、互いに隣接して配置された駆動電極(例えば、TL(n−2)〜TL(n)と、TL(n+2)〜TL(n+4))を巻線として、3個のコイル(例えばCY(n+2)〜CY(n))が形成される。形成された3個のコイルに、実質的に同時に磁界駆動信号(I1)が供給される。3個のコイルの内側が互いに重なった領域が、コイルの巻線となる駆動電極に挟まれた駆動電極(TL(n+1))に相当する領域となる。このコイルが重なった領域においては、3個のコイルによってそれぞれ発生した磁界が重畳されることになり、最も強い磁界となる。タッチ検出のときに、コイルが重なった領域にペンが近接していれば、強い磁界によって、ペン内コイルL1が誘起電圧を発生するため、ペン内容量素子Cに充電される電荷量を大きくすることが可能となり、検出精度の向上を図ることが可能となる。また、それぞれのコイルが、1回巻線のコイルであるため、それぞれのコイルを流れる駆動電流が小さくなることを防ぐことが可能であり、それぞれのコイルにおいて発生する磁界が弱くなるのを抑制することが可能となる。
【0335】
この実施の形態2においては、磁界発生期TGTのとき、1回巻線のコイルが3個形成され、互いに重なった領域において強い磁界が発生する。スキャン動作においては、表示パネル2の辺2−U側から辺2−D側へ向かって、3個のコイルがずれながら形成される。また、ずれる領域の幅は、タッチを検出する領域に対応する1個の駆動電極の幅に相当している。そのため、タッチを検出する領域が不連続となるのを防ぐことが可能となり、検出精度が低下する領域が発生するのを防ぐことが可能となる。
【0336】
また、表示パネル2の辺2−Uおよび2−Dに沿って、表示パネル2のアクティブ領域の外部に磁界用駆動電極を設けている。表示パネル2の辺2−Uおよび2−Dに近接した領域を、タッチ検出の領域とするとき、磁界用駆動電極を、コイルを形成する際の巻線として用いることにより、表示パネル2の辺2−Uおよび2−Dに近接した領域においても、強い磁界を発生することが可能となる。その結果、表示パネル2の辺に近接した領域において、検出精度が低下するのを防ぐことが可能となる。
【0337】
コイルを形成する際に巻線となる磁界用駆動電極TL(du1)〜TL(du3)およびTL(dd1)〜TL(dd3)を、表示パネル2のアクティブ領域の外部、すなわち表示領域の外部に設ける例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、表示パネル2のアクティブ領域内であって、表示パネル2の辺2−Uおよび辺2−Dに沿って、1個または複数個の磁界用駆動電極を設けるようにしてもよい。この場合、磁界用駆動電極の幅を狭くすることにより、表示領域が狭くなることを低減することが可能である。
(実施の形態3)
【0338】
図29は、実施の形態3に係わる液晶表示装置1の構成を示す説明図である。図29は、タッチ検出のときの動作を示している。同図には、磁界発生期間TGTのとき、駆動電極によって形成されたコイルにより磁界を発生し、磁界検出期間TDTのとき、信号線によって形成されたコイルにより、ペンPNからの磁界を検出する構成が示されている。
【0339】
図29の左側は、磁界発生期間TGTの状態を示しており、磁界発生期間TGTにおいて発生した磁界によって、図29の上側に示したペンPN内のコイルL1に誘起電圧が発生し、コイルL1に発生した誘起電圧によって、ペンPN内の容量素子C(図示しない)が充電される。容量素子Cに充電された電荷によって、磁界検出期間TDTのとき、ペンPN内のコイルL1が磁界を発生する。発生した磁界が、図29の右側に示された信号線によって形成されたコイルによって検出される。
【0340】
先ず、図29の左側に示した磁界発生期間TGTの状態を説明する。図29の左側には、表示パネル2に配置された駆動電極TL(0)〜TL(p)と、表示パネル2のアクティブ領域の外部に配置された磁界用駆動電極TL(du1)〜TL(du3)、TL(dd1)〜TL(dd3)と、第6スイッチf00〜f05と、第7スイッチg00〜g0pが示されている。これらの駆動電極、磁界用駆動電極、第6スイッチおよび第7スイッチの構成は、図23から図28に示した構成と同じである。また、図29の左側には、図26と同様に、第7スイッチg02〜g04において、共通端子cが、第2端子p2に接続され、第7スイッチg06〜g08において、共通端子cが、第1端子p1に接続された状態が示されている。これにより、図26において説明したように、コイルCY(n−1)〜CY(n+1)が形成される。
【0341】
磁界発生期間TGTのとき、形成されたコイルCY(n−1)〜CY(n+1)の一方の端部PTL(n−1)〜PTL(n+1)のそれぞれには、コイルクロック信号CCLKが、磁界駆動信号として供給され、コイルCY(n−1)〜CY(n+1)の他方の端部PTL(n+3)〜PTL(n+5)のそれぞれには、接地電圧Vssが供給される。これにより、磁界発生期間TGTのとき、これらのコイルが、互いに重なった領域、すなわち、駆動電極TL(n−2)に相当する領域において、最も強い磁界が発生する。
【0342】
駆動電極TL(n−2)の近傍にペンPNが存在していることにより、ペンPN内のコイルL1に誘起電圧が発生し、ペンPN内の容量素子Cが充電される。
【0343】
次に、図29の右側に示した構成を説明する。この実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、磁界検出期間TDTのとき、信号線によって、複数のコイルが形成される。しかしながら、この実施の形態3においては、実施の形態1と異なり、信号線により形成されるコイルのそれぞれは、1回巻線のコイルである。
【0344】
また、特に制限されないが、この実施の形態3においては、表示パネル2の辺2−Rと2−Lに沿って磁界用信号線SL(dR)とSL(dL)とが配置されている。すなわち、液晶表示装置1は、表示パネル2のアクティブ領域の外部であって、辺2−Rに沿って、信号線SL(0)〜SL(p)(第1信号線)と平行するように配置された磁界用信号線SL(dR)(第2信号線)と、表示パネル2のアクティブ領域の外部であって、辺2−Rに沿って、信号線SL(0)〜SL(p)と平行するように配置された磁界用信号線SL(dL)(第2信号線)とを備えている。この磁界用信号線SL(dR)、SL(dL)は、表示パネル2のアクティブ領域の外部であるため、表示には寄与せず、タッチ検出の際に用いられる。
【0345】
なお、表示パネル2を画素配列LCDに対応させた場合、磁界用信号線SL(dR)、SL(dL)は、画素配列LCDの列と平行な画素配列LCDの辺に沿って配置されていることになる。すなわち、表示パネル2の辺2−Rに対応する画素配列LCDの辺に沿って、磁界用信号線SL(dR)が配置され、表示パネル2の辺2−Lに対応する画素配列LCDの辺に沿って、磁界用信号線SL(dL)が配置されていることになる。
【0346】
この実施の形態3においては、表示パネル2の辺2−U側に沿って、切換調整回路SCX−Uが、配置されている。図29においては、上側が表示パネル2の辺2−U側を示しており、下側が表示パネル2の辺2−D側を示している。切換調整回路SCX−Uは、第10スイッチj00、j01および第11スイッチk00〜kpを備えている。
【0347】
信号線SL(0)〜SL(p)は、特に制限されないが、この順番で、表示パネル2の辺2−Lから辺2−Rに向けて配置されている。この実施の形態3においては、磁界検出期間TDTのとき、間に2個の信号線を挟むように配置された信号線間が、第11スイッチk00〜kpによって接続されている。図29を例にして説明すると、第11スイッチk00は、信号線SL(1)の端部と信号線SL(4)の端部との間に接続され、第11スイッチk01は、信号線SL(3)の端部と信号線SL(6)の端部との間に接続されている。また、第11スイッチkn−1は、信号線SL(n−2)の端部と信号線SL(n+1)の端部との間に接続され、第11スイッチknは、信号線SL(n)の端部と信号線SL(n+3)の端部との間に接続され、第11スイッチkn+1は、信号線SL(n+2)の端部と信号線SL(n+5)の端部との間に接続されている。
【0348】
さらに、第11スイッチkp−1は、信号線SL(p−6)の端部と信号線SL(p−3)の端部との間に接続され、第11スイッチkpは、信号線SL(p−4)の端部と信号線SL(p−1)の端部との間に接続されている。
【0349】
第10スイッチj00は、磁界用信号線SL(dL)の端部と信号線SL(2)の端部との間に接続され、第10スイッチj01は、磁界用信号線SL(dR)の端部と信号線SL(p−2)の端部との間に接続されている。
【0350】
第10スイッチj00、j01および第11スイッチk00〜kpのそれぞれは、磁界イネーブル信号SC_ENによってスイッチ制御される。この実施の形態3において、第10スイッチj00、j01および第11スイッチk00〜kpは、磁界イネーブル信号SC_ENが、ハイレベルのとき、オン状態となり、ロウレベルのとき、オフ状態となる。
【0351】
タッチ検出のときには、磁界イネーブル信号SC_ENがハイレベルとなるため、第10スイッチおよび第11スイッチは、オン状態となる。その結果、タッチ検出のとき、間に2個の信号線を挟んだ信号線間が電気的に接続されることになる。図29を例にして述べると、信号線SL(2)とSL(3)を挟んで配置された信号線SL(1)とSL(4)との間が、第11スイッチk00によって電気的に接続される。同様に信号線SL(4)、SL(5)を挟んで配置された信号線SL(3)と信号線SL(6)との間が、第11スイッチk01によって接続され、信号線SL(n−1)、SL(n)を挟んで配置された信号線SL(n−2)と信号線SL(n+1)との間が、第11スイッチkn−1によって接続され、信号線SL(n+1)、SL(n+2)を挟んで配置された信号線SL(n)と信号線SL(n+3)との間が、第11スイッチknによって接続され、信号線SL(n+3)、SL(+4)を挟んで配置された信号線SL(n+2)と信号線SL(n+5)との間が、第11スイッチkn+1によって接続される。
【0352】
さらに、信号線SL(p−5)、SL(p−4)を挟んで配置された信号線SL(p−6)と信号線SL(p−3)との間が、第11スイッチkp−1によって接続され、信号線SL(p−3)、SL(p−2)を挟んで配置された信号線SL(p−4)と信号線SL(p−2)との間が、第11スイッチkpによって接続される。
【0353】
この実施の形態3においては、さらに、信号線SL(0)、SL(1)を挟むように配置された磁界用信号線SL(dL)と、信号線SL(2)との間が、第10スイッチj00によって接続され、信号線SL(p−1)、SL(p)を挟むように配置された磁界用信号線SL(dR)と、信号線SL(p−2)との間が、第10スイッチj01によって接続される。
【0354】
これにより、図16図18を用いて説明したのと同様に、信号線SL(0)〜SL(p)を巻線としたコイルを、磁界検出期間TDTの際に形成することが可能となる。さらに、実施の形態3では、表示パネル2の辺2−Rおよび2−Lの近傍にも、磁界検出期間TDTのとき、コイルを形成することが可能となる。すなわち、表示パネル2の辺2−Lに近接して配置されている信号線SL(0)、SL(1)を、内側としたコイルを、磁界用信号線SL(dL)と信号線SL(2)を巻線として形成することができる。同様に、表示パネル2の辺2−Rに近接して配置されている信号線SL(p−1)、SL(p)を、内側としたコイルを、磁界用信号線SL(dR)と信号線SL(p−2)を巻線として形成することができる。これにより、辺2−Rおよび辺2−Lの近傍に、ペンPNが近接している場合も検出することが可能となる。また、この実施の形態3においても、図16図18で説明したコイルと同様に、形成されるコイルが、互いに重なっている。これにより、検出漏れを防ぐことが可能となる。
【0355】
磁界用信号線SL(dR)、SL(dL)の幅d8、d10は、信号線SL(0)〜SL(p)の幅d9、d10よりも狭くされている。これにより、額縁が大きくなるのを抑制することが可能である。
【0356】
磁界検出期間TDTのとき、信号線により形成されたそれぞれのコイルの1対の端子のうちの、一方の端子には、接地電圧Vssが供給され、他方の端子は、図16で説明した第4スイッチを介して、選択制御回路SRX−Dの入力端子XIOに接続される。図29を例にして説明すると、信号線SL(n−2)の端部が、図16に示した第4スイッチd00を介して、入力端子XIO(n−1)に接続され、信号線SL(n)の端部が、図16に示した第4スイッチd01を介して、入力端子XIO(n)に接続され、信号線SL(n+2)の端部が、図16に示した第4スイッチd02を介して、入力端子XIO(n+1)に接続される。
【0357】
磁界検出期間TDTにおいて、選択制御回路SRX−Dからの選択信号X−Out(0)〜X−Out(p)によって、第4スイッチ(例えば、第4スイッチd01)をオン状態とすることにより、信号線SL(n)、信号線SL(n+3)によって形成されたコイルが、ペンPNから発生している磁界によって、誘起電圧を発生しているか否に応じた信号が入力端子XIO(n)に伝達され、センス信号として、出力される。
【0358】
なお、図29では、説明のために、駆動電極と信号線とを別々に描いているが、駆動電極と信号線とは、電気的に分離された状態で重なっている。
【0359】
実施の形態3では、表示パネル2の両方の辺に沿って、コイルを形成する際に巻線となる磁界用信号線SL(dR)、SL(dL)を設ける例を示したが、勿論、いずれか一方に設けるようにしてもよい。また、第10スイッチj00と第11スイッチk00〜kpは、磁界イネーブル信号SC_ENはハイレベルに変化してから、所定時間経過後に、オン状態になるようにしてもよい。このようにすることにより、タッチ検出のときであって、磁界検出期間TDTのときに、第10スイッチおよび第11スイッチがオン状態となるようにしてもよい。
【0360】
図33は、実施の形態3に係わる液晶表示装置1の概要を模式的に示した模式図である。同図には、駆動電極TL(0)〜TL(p)と、信号線SL(0)〜SL(p)と、第11スイッチk00〜kpと、ドライブ用半導体装置DDICと、第12スイッチl00〜lpと、選択制御回路SR1−R、SR1−Lと、切換回路DSCと、選択駆動回路SDCが示されている。これらは、TFTガラス基板に形成されている。そのため、図33には、モジュールに実装された液晶表示装置1が示されていると見なすこともできる。また、図33には、コイルL1を備えたペンPNも示されている。
【0361】
モジュールの辺500−Rに沿って、切換回路DSCおよび選択制御回路SR1−Rが配置され、辺500−Lに沿って、選択駆動回路SDCおよび選択制御回路SR1−Lが配置されている。切換回路DSCと選択駆動回路SDCとの間に、信号線SL(0)〜SL(p)が、互いに平行となるように配置されており、モジュールの辺500−Uに沿って、第11スイッチk00〜kpが配置され、辺500−Dに沿って、第12スイッチl00〜lpが配置されている。また、第11スイッチk00〜kpと、第12スイッチl00〜lpとの間に、駆動電極TL(0)〜TL(p)が、互いに平行となるように配置されている。
【0362】
第11スイッチk00〜kpは、図29で説明したように、タッチ検出のとき、信号線間を接続する。
【0363】
第12スイッチl00〜lpは、2つのグループに分けられ、第1のクループの第12スイッチは、磁界検出期間TDTのとき接地電圧Vssが供給されるべき信号線、例えば図29に示した信号線SL(2)、SL(n+3)、SL(p−1)等のそれぞれの端部と電圧配線VL3との間に接続され、磁界検出期間TDTのとき、オン状態にされる。また、第2グループの第12スイッチは、磁界検出期間TDTのとき、コイルにおける信号の変化を出力する信号線、例えば、図29に示した信号線SL(1)、SL(n)、SL(p−4)等の端部と、対応する信号配線LL7との間に接続されている。図33では、例示として、信号線SL(0)の端部に接続された第12スイッチ(第2グループ)、信号線SL(n)の端部に接続された第12スイッチ(第2グループ)、信号線SL(n+3)の端部に接続された第12スイッチ(第1グループ)および信号線L(p)の端部に接続された第12スイッチ(第1グループ)に、符号l00、ln、ln+3およびlpが付されている。信号配線LL7は、1個の配線として示されているが、第2グループの第12スイッチに対応した数の信号配線を含んでいる。磁界検出期間のとき、第2グループの第12スイッチもオン状態とされる。これにより、それぞれのコイルに発生した信号が、対応する信号配線LL7に伝達され、増幅回路AMPによって増幅され、センス信号S(0)〜S(p)として、タッチ検出用半導体装置6(図6)へ供給される。
【0364】
この実施の形態3においては、第12スイッチl00〜lpは、TFTガラス基板に形成されており、第12スイッチl00〜lpを覆うように、ドライブ用半導体装置DDICが、配置されている。これにより、額縁が広くなるのを抑制することが可能とされている。
【0365】
タッチ検出のとき、選択制御回路SR1−R、SR1−L、切換回路DSCおよび選択駆動回路SDCによって、駆動電極TL(n−1)〜TL(n+1)、TL(n+3)〜TL(n+5)を巻線とした3個のコイルが形成され、3個のコイルのそれぞれに磁界駆動信号が供給される。これにより、図33において矢印を付した実線Iで示すような駆動電流が流れる。磁界駆動信号が周期的に変化することにより、3個のコイルのそれぞれにおいて、磁界が発生する。図33では、発生する磁界φGの様子が、模式的に破線で示されている。なお、矢印の向きは、特に意味がなく、3個のコイルが重なっている領域(駆動電極TL(n+2)から強い磁界が発生することを示している。
【0366】
3個のコイルが重なっている領域の近傍にペンPNが存在すると、ペンPN内のコイルL1が、相互誘導の作用により、誘起電圧を発生する。発生した誘起電圧により、ペンPN内の容量素子C(図示しない)が充電される。
【0367】
容量素子Cに充電された電荷によって、ペンPN内コイルL1が、磁界検出期間TDTのとき、磁界を発生する。このときの磁力線が、図33では、φDとして示されている。
【0368】
磁界検出期間TDTにおいては、図29で説明したように、第11スイッチk00〜kpがオン状態にされる。これにより、信号線SL(0)〜SL(p)を巻線とした複数のコイルが形成される。信号線を巻線としたコイルとペンPN内コイルL1との相互誘導の作用により、信号線を巻線としたコイルに誘起電圧が発生し、信号線における信号が、第2グループの第12スイッチへ伝達される。第2グループの第12スイッチをオン状態にすることにより、センス信号S(0)〜S(p)として、増幅回路AMPから出力される。図33では、信号線SL(n)を介して、第12スイッチlnに伝達される信号が、矢印を付した実線で示されている。
【0369】
磁界用信号線SL(dL)、SL(dR)を、表示パネル2のアクティブ領域の外部に配置する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、表示パネル2のアクティブ領域内であって、辺2−Lおよび2−Rのそれぞれに沿って、磁界用信号線SL(dL)および/または磁界用信号線SL(dR)を配置するようにしてもよい。この場合、配置する磁界用信号配線SL(dL)および/またはSL(dR)の幅d10を、信号線の幅d11よりも狭くすることにより、表示領域が狭くなるのを低減することが可能である。
(実施の形態4)
【0370】
図30は、実施の形態4に係わる液晶表示装置1の動作を示すタイミング図である。ここでは、実施の形態1で述べた液晶表示装置1を例として説明するが、実施の形態2および3についても、同様である。
【0371】
図30において、横軸は時間を示している。図30(A)は、周期的に発生するフレーム信号Fを示しており、液晶表示装置は、例えば1画面分の表示を、フレーム信号Fによって定められた1フレーム期間Tfにおいて行う。この実施の形態4においては、図6に示した制御回路D−CNTは、1フレーム期間Tfにおいて、複数の表示期間と複数のタッチ検出期間とが、交互に発生するように制御する。図30(B)〜図30(G)は、複数のフレーム期間Tfのうち、1フレーム期間Tf内でのタイミングを示している。すなわち、図30(B)〜図30(G)に示すタイミングが、複数のフレーム期間Tfのそれぞれにおいて発生する。
【0372】
ここで、図30(B)は、1フレーム期間Tfにおいて発生する表示期間と、タッチ検出期間とを模式的に示している。図30(C)は、信号線セレクタ3(図6)に供給する選択信号SEL1、SEL2の波形を示している。図30(D)は、磁界イネーブル信号SC_ENの波形を示している。また、図30(E)〜図30(F)は、選択制御回路SR−R、SR−Lからの選択信号のうち、選択信号Ty(n)R、Ty(n)Lと、選択信号Ty(n+2)R、Ty(n+2)Lの波形を示している。図30(G)は、駆動電極を用いて形成されるコイルおよび信号線を用いて形成されるコイルにおける信号の変化を示している。
【0373】
制御回路D−CNTは、図30(B)に示すように、それぞれのフレーム期間Tfにおいて、表示期間DISP1(DISP2)とタッチ検出期間SEN1(SEN2)とが、時系列的に交互に発生するように制御する。すなわち、表示期間DISP1(DISP2)においては、画像信号Snが信号線ドライバD−DRV(図6)から信号線セレクタ3へ供給され、選択信号SEL1、SEL2が交互にハイレベルにされることにより、画像信号が適切な信号線に供給されるようにする。なお、図30(C)では、選択信号SEL1、SEL2が変化していることを示すために、選択信号SEL1、SEL2を1個の波形で示している。また、表示期間DISP1(DISP2)においては、切換回路DSCおよび選択駆動回路SDCから、駆動電極TL(0)〜TL(p)に対して、表示駆動信号が供給されるように、切換回路DSCおよび選択駆動回路SDCは、選択制御回路SR−R、SR−Lによって制御される。さらに、ゲートドライバ5(図6)から適切な走査信号が走査線GL(0)〜GL(p)へ供給されるように、ゲートドライバ5を制御する。これにより、表示パネル2において、表示期間DISP1(DISP2)のとき、画像信号Snに応じた表示が行われる。
【0374】
図30(D)に示すように、タッチ検出期間SEN1(SEN2)において、制御回路D−CNTは、磁界イネーブル信号SC_ENをハイレベルにする。これにより、選択制御回路SR−R、SR−Lは、例えば、選択信号Ty(0)R、Ty(0)L〜Ty(p)R、Ty(p)Lの順にハイレベルにする。図30においては、タッチ検出期間SEN1のとき、選択信号Ty(n)R、Ty(n)Lがハイレベルになり、次のタッチ検出期間SEN2において、選択信号Ty(n+2)R、Ty(n+2)Lがハイレベルになっている状態が示されている。
【0375】
タッチ検出期間SEN1(SEN2)は、磁界を発生する磁界発生期間TGTと、磁界発生期間TGTに続く磁界検出期間TDTとを備えている。磁界発生期間TGTにおいては、駆動電極を用いてコイルが形成され、形成されたコイルにより磁界が発生する。当該コイルとペン内のコイルL1(図1図2)との間の相互誘導により、コイルL1に誘起電圧が発生し、ペン内の容量素子C(図2)が充電される。磁界検出期間TDTにおいては、容量素子Cに充電された電荷量に従って、ペン内のコイルL1が磁界を発生する。また、磁界検出期間TDTにおいては、信号線を用いてコイルが形成される。信号線により形成されたコイルとペン内のコイルL1との相互誘導により、信号線により形成されたコイルに誘起電圧が発生する。この誘起電圧により流れる信号線の電流を検出することによって、ペンを検出する。
【0376】
制御回路D−CNTは、磁界発生期間TGTのとき、コイルクロック信号CCLKを信号配線LL3へ供給する。また、制御回路D−CNTは、磁界検出期間TDTのとき、コイルクロック信号CCLKの供給を停止し、端子SP(図16)に接続されたドライブ用半導体装置DDICの外部端子が、ハイインピーダンス状態となるように制御し、信号線セレクタ3(図16)が、端子SPと信号線との間を接続するように、選択信号SEL1、SEL2によって制御する。これにより、信号線SL(0)〜SL(p)を用いて、コイルを形成したとき、コイルはハイインピーダンス状態になる。
【0377】
選択信号Ty(n)R、Ty(n)Lが、ハイレベルとなることにより、実施の形態1で説明したように、駆動電極を巻線とした2個のコイルが形成される。形成された2個のコイルの領域は、選択信号TY(n)R、Ty(n)Lに対応した駆動電極TL(n)、TL(n+1)において重なっている。磁界発生期間TGTにおいては、この2個のコイルのそれぞれに、信号線LL3が接続され、コイルクロック信号CCLKが、磁界駆動信号として、それぞれのコイルに供給される。その結果、2個のコイルのそれぞれにおいて、磁界駆動信号に従って変化する磁界が発生し、駆動電極TL(n)、TL(n+1)に相当する領域において、磁界の重畳が行われ、強い磁界が発生する(図30では、駆動電極コイル磁界発生と記載)。
【0378】
磁界検出期間TDTにおいては、実施の形態1で説明したように、信号配線SL(0)〜SL(p)によって、複数のコイルCX(0)〜CX(p)(図18参照)が形成される。タッチ検出期間SEN1において、ペンが駆動電極TL(n)に相当する領域に近接しているか否かにより、磁界発生期間TGTのときに、ペン内の容量素子Cに充電されている電荷量が変わる。磁界検出期間TDTのとき、複数のコイルCX(0)〜CX(p)のそれぞれの電流を検出(信号線コイル電流検出)することにより、ペンが近接している領域の座標等を判定することが可能となる。
【0379】
次に、制御回路D−CNTは、磁界イネーブル信号SC_ENをロウレベルにして、表示動作を、表示期間DISP2において行う。表示期間DISP2のあとで、再び、制御回路D−CNTは、磁界イネーブル信号SC_ENをハイレベルにする。
【0380】
この磁界イネーブル信号SC_ENのハイレベルへの変化に同期して、選択制御回路SR−R、SR−Lは、選択信号Ty(n+2)R、Ty(n+2)Lをハイレベルへ変化させ、選択信号Ty(n)R、Ty(n)Lをロウレベルに維持する。タッチ検出期間SEN2において、制御回路D−CNTは、磁界発生期間TGTのとき、信号配線LL3にコイルクロック信号CCLKを供給し、磁界検出期間TDTのとき、コイルクロック信号CCLKの供給を停止する。これにより、実施の形態1で述べたように、磁界発生期間TGTのときには、駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)に相当する領域において強い磁界が発生するように、駆動電極TL(n+1)に相当する領域で互いに重なる2個のコイルが形成され、それぞれのコイルが、コイルクロック信号CCLK(磁界駆動信号)の変化に従った磁界を発生し、駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)に相当する領域で、磁界の重畳が行われる。
【0381】
磁界検出期間TDTにおいては、信号線によりコイルCX(0)〜CX(p)が形成され、それぞれのコイルからの電流を検出することにより、ペンが近接している領域の座標等の判定を行う。
【0382】
以上述べたタッチ検出期間の動作を繰り返すことに、例えば表示パネル2の辺2−Uから辺2−Dへ向けて、2個分の駆動電極に相当する領域を単位として、順次、強い磁界が発生する。強い磁界が発生している領域において、ペンが近接している位置が、コイルCX(0)〜CX(p)からの電流により判定される。これにより、例えば、1フレーム期間Tfの間に、表示パネル2の全面のタッチ検出を行うことが可能となる。
【0383】
磁界発生期間TGTのとき、選択駆動回路SDCは、ハイレベルの選択信号に対応した駆動電極を、信号配線LL3および電圧配線VL2に接続し、ロウレベルの選択信号に対応した駆動電極は、フローティング状態にする。例を述べると、選択信号Ty(n)Lがハイレベルのとき、駆動電極TL(n−2)、TL(n−1)を信号配線LL3に接続し、駆動電極TL(n+2)、TL(n+3)を電圧配線VL2に接続する。この4個の駆動電極を除く駆動電極、すなわち駆動電極TL(0)〜TL(n−3)、TL(n)、TL(n+1)およびTL(n+4)〜TL(p)をフローティング状態にする。言い換えるならば、これらの駆動電極TL(0)〜TL(n−3)、TL(n)、TL(n+1)およびTL(n+4)〜TL(p)は、ハイインピーダンス状態となる。
【0384】
また、この実施の形態4においては、制御回路D−CNTから、ゲートドライバ5および信号線駆動回路D−DRVへハイインピーダンス制御信号HZ−CTが供給されている。制御回路D−CNTは、磁界発生期間TGTのとき、ハイインピーダンス制御信号HZ−CTによって、ゲートドライバ5および信号線駆動回路D−DRVのそれぞれの出力が、ハイインピーダンス状態となるように制御する。これにより、信号線SL(0)〜SL(p)および走査線GL(0)〜GL(p)は、磁界発生期間TGTのとき、フローティングとなり、ハイインピーダンス状態となる。その結果として、コイルを形成しない駆動電極、信号線および走査線の全てがハイインピーダンス状態となる。これにより、コイルをコイルクロック信号CCLKで駆動するときに、充電する寄生容量を低減することが可能となり、磁界発生期間の短縮化、磁界検出の精度向上を図ることが可能となる。
(実施の形態5)
【0385】
実施の形態1〜4においては、磁界発生期間TGTのときに磁界を発生するコイルと、磁界検出期間TDTのときに磁界を検出するコイルとが、別々になっていた。すなわち、表示パネル2(画素配列LCD)の行方向に平行に配置された駆動電極を用いて形成されたコイルによって、磁界発生期間TGTのときに、磁界を発生する。一方、表示パネル2(画素配列LCD)の列方向に平行に配置された信号線を用いて形成されたコイルによって、磁界検出期間TDTのとき、磁界を検出するようにしていた。これに対して、実施の形態5においては、駆動電極によって形成されたコイルを用いて、磁界発生期間TGTのときに、磁界を発生し、磁界検出期間TDTのときも、駆動電極によって形成されたコイルを用いて、磁界を検出する。すなわち、駆動電極を用いて形成したコイルが、磁界発生と磁界検出の両方に使われる。この場合、信号線を用いて形成したコイルも、磁界発生と磁界検出の両方に使うことにより、ペンの近接した領域の座標を抽出することが可能となる。
【0386】
ここでは、駆動電極を用いて形成したコイルを、磁界発生と磁界検出の両方の用いる場合を説明する。
【0387】
図31は、実施の形態5に係わる液晶表示装置1に用いられる磁界検出回路の一例を示す回路図である。図31において、CY(0)〜CY(p)は、タッチ検出期間において形成されるコイルを示している。また、SWCTは、スイッチ制御信号SWCによりスイッチ制御される複数のスイッチSWRLを有するスイッチ部を示している。ここで、スイッチSWRLは、例えば図11に示した第2スイッチb00〜b09に相当し、スイッチ制御信号SWCは、選択信号Ty(n−2)L〜Ty(n+6)Lに相当する。
【0388】
コイルCY(0)〜CY(p)のそれぞれの一方の端部は、タッチ検出期間のとき、接地電圧Vssに接続され、他方の端部は、対応するスイッチSWRLおよび信号配線LL3を介して、ノードn4に接続される。ノードn4における検出信号は、ゲイン回路に供給され、ゲイン回路によって増幅される。増幅された検出信号は、ノイズを除去するためにフィルタ回路に供給され、フィルタ回路の出力は、整流回路で整流され、積分回路へ供給される。積分回路の出力は、マイクロコントローラMCUに供給される。
【0389】
マイクロコントローラMCUは、図示しないが、アナログ/デジタル変換回路、クロック信号発生回路、プログラムを格納した不揮発性メモリ、不揮発性メモリに格納されたプログラムに従って動作する処理ユニットを有している。上記した積分回路からの出力は、マイクロコントローラMCUの端子ADCを介してアナログ/デジタル変換回路に供給され、デジタル信号に変換される。変換により得られたデジタル信号は、処理ユニットによって処理され、コイルCY(0)〜CY(p)のいずれかにペンが近接しているか否かの判定が行われる。
【0390】
マイクロコントローラMCU内の処理ユニットは、プログラムに従って、制御信号を形成する。この制御信号としては、スイッチ制御信号SWC、イネーブル信号ENおよびリセット信号rstがある。また、マイクロコントローラMCU内のクロック信号発生回路によって、周期的に電圧が変化するクロック信号CLKが発生する。このクロック信号がコイルクロック信号CCLKとして用いられる。
【0391】
コイルクロック信号CCLKは、バッファ回路BFに供給される。バッファ回路BFは、イネーブル信号ENにより制御される。イネーブル信号ENがハイレベルのとき、コイルクロック信号CCLKを抵抗R11を介して、ノードn4へ供給する。一方、イネーブル信号ENがロウレベルのときには、バッファ回路BFの出力はハイインピーダンス状態(Hi−Z)となる。
【0392】
ゲイン回路は、抵抗R8〜R10と、オペアンプOP4と、直流カット用の容量素子CP3を有している。検出信号は、オペアンプOP4の正相入力(+)に供給され、オペアンプOP4の反転入力(−)は、抵抗R9を介して接地電圧Vsに接続され、また、抵抗R8を介して、オペアンプOP4の出力に接続されている。
【0393】
フィルタ回路は、抵抗R4〜R7と、容量素子CP2と、オペアンプOP3を有している。オペアンプOP3の正相入力(+)は、抵抗R7を介して接地電圧Vsに接続され、容量素子CP2を介して、ゲイン回路からの出力信号が供給される。また、オペアンプOP3の反転入力(−)は、抵抗R6を介して接地電圧Vsに接続され、さらに抵抗R5を介して、オペアンプの出力に接続されている。さらに、オペアンプOP3の出力は、抵抗R4を介して、フィルタ回路の入力に接続されている。
【0394】
整流回路は、抵抗R1〜R3と、オペアンプOP2と、ダイオードDとを有している。オペアンプの正相入力(+)は、抵抗R3を介して接地電圧Vsに接続され、オペアンプOP2の反転入力(−)は、抵抗R2を介して、フィルタ回路からの出力が供給され。さらに、整流回路の出力が抵抗R1を介して供給されている。オペアンプOP2の出力はダイオードDを介して出力される。
【0395】
積分回路は、容量素子CP1と、リセット信号rstをスイッチ制御信号として受けるスイッチSW13と、オペアンプOP1とを有している。オペアンプの正相入力(+)は、接地電圧Vsに接続され、反転入力(−)は、容量素子CP1を介して、積分回路の出力に接続されている。また、積分回路の出力と入力との間にスイッチSW13が接続されている。
【0396】
図32は、図31に示した磁界検出回路の動作を示す波形図である。図32において、横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示している。図32(A)は、コイルクロック信号CCLKの波形を示し、図32(B)は、スイッチ制御信号SWCの波形を示し、図32(C)は、イネーブル信号ENの波形を示している。また、図32(D)は、リセット信号rstの波形を示しており、図32(E)は、ゲイン回路の出力波形OUT1を示しており、図32(F)は、積分回路の出力OUT2の波形を示している。なお、図32には、タッチ検出の動作が示されており、表示期間の動作は、省略されている。
【0397】
先ず、時刻t0において、リセット信号rstがロウレベルとなることにより、リセットが解除される。このとき、マイクロコントローラMCUは、イネーブル信号ENをハイレベルにする。これにより、コイルクロック信号CCLKは、抵抗R11を介しバッファ回路BFから、ノードn4へ供給される。このとき、マイクロコントローラMCUは、例えば、コイルCY(n−2)、CY(n−1)に対応するスイッチSWRLをオン状態にするようなスイッチ制御信号SWCを出力する。ここで、スイッチSWRLのオン状態/オフ状態と図11に示した第2スイッチとの対応を述べておくと、次のようになる。すなわち、スイッチSWRLのオン状態とは、図11に示した第2スイッチb00、b01、b04およびb05を例にすると、第2スイッチb00、b01のそれぞれにおける共通端子cが、第2端子p2に接続され、第2スイッチb04、b05のそれぞれにおける共通端子cが、第3端子p3に接続されている状態を意味している。一方、スイッチSWRLのオフ状態とは、第2スイッチb00、b01、b04およびb05のそれぞれにおける共通端子cが、第4端子に接続されている状態を示している。
【0398】
コイルCY(n−2)、CY(n−1)に対応するスイッチSWRL(図11の第2スイッチb00、b01、b04、b05)がオン状態となることにより、ノードn4に供給されたコイルクロック信号CCLKは、磁界駆動信号として、コイルCY(n−2)、CY(n−1)のそれぞれの端部に供給される。
【0399】
ノードn4に供給されたコイルクロック信号CCLKは、ゲイン回路にも供給される。ゲイン回路の出力OUT1は、コイルクロック信号CCLKの電圧変化に従って変化するため、図32(E)に示すように変化する。増幅回路の出力OUT1は、フィルタ回路を介して整流回路に供給され、整流された出力が積分回路に供給される。時刻t0から時刻t1においては、ノードn4の電圧は、周期的に変化しているが、包絡線的には、変化がないため、積分回路の出力は一定の値となる。
【0400】
時刻t1において、マイクロコントローラMCUは、イネーブル信号ENをロウレベルにする。これにより、ノードn4はハイインピーダンス状態(Hi−Z)となる。また、時刻t1において、例えばコイルCY(n−2)、CY(n−1)に対応するスイッチSWRL(b00、b01、b04、b05)をオン状態に維持し、残りのスイッチSWRL(b02、b03、b06〜b09)をオフ状態にするようなスイッチ制御信号SWCを、マイクロコントローラMCUは形成する。これにより、コイルCY(n−2)、CY(n−1)のそれぞれの端部は、ノードn4に接続された状態が維持され、他のコイルは、ノードn4から分離された状態が維持される。図32の例では、時刻t0から時刻t2の間では、ペンが、コイルCY(n−2)とCY(n−1)が重なった領域に近接していないため、ペンから、コイルCY(n−2)、CY(n−1)へ磁界エネルギーが与えられない。そのため、積分回路の出力OUT2は変化しない。
【0401】
時刻t2に移る前に、マイクロコントローラMCUは、リセット信号rstを、いったんハイレベルにするとともに、スイッチ制御信号SWCを全てロウレベルにする。これにより、リセットを行った後、再び、リセット信号rstをロウレベルにして、リセットを解除する。時刻t2からt3は、時刻t0からt1と同じである。
【0402】
時刻t3において、マイクロコントローラMCUは、例えばコイルCY(n)、CY(n+1)に対応するスイッチSWRL(b02、b03、b06、b07)をオン状態に維持し、残りのコイルに対応するスイッチSWRLをオフ状態にするようなスイッチ制御信号SWCを形成する。なお、図32(B)において、時刻t0から時刻t2の間は、コイルCY(n−2)、CY(n−1)に対応するスイッチSWRLに供給されるスイッチ制御信号SWCの波形を示しており、時刻t2から時刻t4の間は、コイルCY(n)、CY(n+1)に対応するスイッチSWRLに供給されるスイッチ制御信号SWCの波形を示している。
【0403】
また、時刻t3において、マイクロコントローラMCUは、イネーブル信号ENをロウレベルにする。これにより、ノードn4は、ハイインピーダンス状態となる。このとき、コイルCY(n)、CY(n+1)が重なった領域の近傍にペンが有るため、時刻t2からt3の間で、コイルCY(n)、CY(n+1)が重なった領域において発生する磁界により、コイルCY(n)、CY(n+1)に誘起電圧が発生し、容量素子C(図2)が充電される。
【0404】
時刻t3において、ペン内のコイルL1は、容量素子Cに充電された電荷量に基づいて磁界を発生する。コイルL1が発生する磁界の変化によって、コイルCY(n)、CY(n+1)に誘起電圧が発生する。
【0405】
その結果、ゲイン回路の出力OUT1は、図32(E)に示すように、振動しながら、減衰する。すなわち、電圧は、包絡線的には、減衰する。ゲイン回路の出力OUT1が、時刻t3から、振動しながら、減衰するため、積分回路の出力OUT2は、徐々に上昇する。マイクロコントローラMCUは、この積分回路の出力OUT2をデジタル信号へ変換することにより、ペンが有ると判定する。このとき、マイクロコントローラMCUは。コイルCY(0)〜CY(p)のうち、スイッチ制御信号SWCをハイレベルにして、選択したコイルの位置を把握することが可能であるため、変換によって得たデジタル信号の値と、把握したコイルの位置から、ペンが有る位置、すなわちタッチした位置と、ペンの筆圧等を判定することができる。
【0406】
以上の動作を繰り返すことにより、ペンの有無と、筆圧等を判定することができる。コイルCY(0)〜CY(p)を例にして説明したが、コイルCX(0)〜CX(p)についても同様の動作を行うことができる。このときのコイルCX(0)〜CX(p)のそれぞれは、例えば信号線によって形成する。図15には、信号線SL(n−2)〜SL(n+7)によって形成されたコイルCX(n)〜CX(n+5)の例が、平面図として示されている。また、コイルCY(0)〜CY(p)とコイルCX(0)〜CX(p)のそれぞれに対して、図31および図32で説明した磁界発生と磁界検出を行うことにより、ペンが近接している領域の座標を抽出することが可能となる。
【0407】
実施の形態5において、ゲイン回路の抵抗R9は、リセット信号rstによりスイッチ制御されるスイッチを介して、接地電圧Vsに接続するようにしてもよい。このようにすることにより、消費電力の低減を図ることが可能となる。また、抵抗R11は、クロック信号CLKが供給されたときの電流を制限するために設けられている。そのため、コイルの抵抗が比較的高い場合には、設けなくてもよい。
【0408】
上記した複数の実施の形態においては、表示期間において、表示駆動信号が供給される駆動電極が、複数の駆動電極TL(0)〜TL(p)によって構成されている。これらの駆動電極を巻線として用いて、タッチ検出の際には、コイルが形成される。また、表示期間のとき、画像信号を伝達する信号線SL(0)〜SL(p)を用いて、タッチ検出の際には、コイルが形成される。ここで、信号線SL(0)〜SL(p)は、図9に示したように、駆動電極TL(0)〜TL(p)を形成する第3配線層605よりも下層の第2配線層603に形成された配線により構成される。そのため、駆動電極が1個の電極によって構成されていると、磁界検出期間TDTのとき、ペン内コイルL1によって発生した磁界によって駆動電極に渦電流が発生することになる。そのため、ペン内コイルL1によって発生した磁界が、渦電流の発生により、消費され、信号線により形成されたコイルへ到達する磁界が弱くなることが考えられる。
【0409】
これに対して、駆動電極を、複数の駆動電極で構成すれば、渦電流の発生する領域を狭くすることが可能となり、駆動電極により、磁界が弱くなるのを低減するこが可能となる。複数の駆動電極により、駆動電極を構成すると、それぞれの駆動電極のインピーダンスが上昇するが、実施の形態で述べたように、補助電極を駆動電極に接続させて、補助電極もコイルの配線として用いることにより、コイルを形成したときの駆動電極(補助電極を含む)のインピーダンスを低減することが可能である。さらに、実施の形態においては、コイルの巻数を少なくすることにより、コイルの長さを短くすることにより、インピーダンスの低減を図っている。また、複数のコイルが重なっている領域において、磁界が重畳されるようにすることにより、発生する磁界が強くなるようにされている。
【0410】
上記した複数の実施の形態においては、磁界を発生するコイルの例として、1回巻線のコイルを説明したが、これに限定されるものではない。例えば、実質的に同時に磁界を発生する複数のコイルのそれぞれは、1.5回巻線であっても、2回巻線以上のコイルであってもよい。
【0411】
また、図11図23および図24において説明した信号配線および電圧配線の数も、限定されるものではない。例えば、他の信号配線あるいは電圧配線と兼用してもよい。
【0412】
実施の形態においては、選択制御回路SR−R、SR−L、SR1−R、SR1−L、切換回路DSCおよび選択駆動回路SDCを、TFTガラス基板に設けた例を説明したが、TFTガラス基板に設けなくてもよい。例えば、図7に示したフレキシブルケーブルFB1、FB2に、これらの回路または一部の回路を設けるようにしてもよい。しかしながら、TFTガラス基板に設けるようにすることにより、端子数が増加するのを抑制することが可能である。
【0413】
さらに、実施の形態では、互いに隣接して配置された駆動電極を用いて、複数のコイルを形成する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、離間した複数の駆動電極を用いて、複数のコイルを形成してもよい。この場合、形成したコイルの領域が重なっていれば、重なった領域において、磁界が重畳されるため、強い磁界を発生することが可能となる。
【0414】
駆動電極あるいは信号線を巻線としたコイルによって、磁界を発生する例を説明したが、勿論、磁界を発生するコイルの巻線としては、駆動電極あるいは信号線に限定されず、走査線等の信号配線であってもよい。
【0415】
複数のコイルに実質的に同時に磁界駆動信号を供給することにより、これらのコイルが重なっている領域において強い磁界を発生する例を説明した。磁界を検出するためのコイルとしても、同様に複数のコイルを用いることが可能である。しかしながら、強い磁界を発生し、ペンPNに蓄積される電荷量を増大することが、検出精度の向上に図るためにより有効である。
【0416】
実施の形態では、電磁誘導方式を用いて、ペンのタッチを検出することを述べた。例えば、指のタッチを検出するには、電磁誘導方式とは異なる静電容量方式を用いることが知られている。実施の形態で述べた構成に、静電容量方式のタッチ検出機能を付加するようにしてもよい。この場合、例えば駆動電極と直交するように検出電極を配置し、指のタッチを検出する際には、駆動電極に電界駆動信号を供給する。指がタッチしている否かによって、検出電極における信号の変化が変わるため、この変化を検出することにより、指のタッチを検出することが可能である。この場合、駆動電極には、表示駆動信号、磁界駆動信号または電界駆動信号が供給されることになる。
【0417】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例及び修正例に想到し得るものであり、それら変形例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0418】
例えば、前述の各実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0419】
例えば、実施の形態においては、共通電極TL(0)〜TL(p)および信号線SL(0)〜SL(p)は、列方向に延在し、行方向に配置されている場合を説明したが、行方向および列方向は、見る視点により変化する。見る視点を変えて、共通電極TL(0)〜TL(p)および信号線SL(0)〜SL(p)が、行方向に延在し、列方向に配置されている場合も本発明の範囲に含まれるものである。また、本明細書で用いている「平行」とは、互いに一端から他端に亘るまで交わることなく延在することを意味する。そのため、一方の線の一部又は全部が他方の線に対して傾いた状態で設けられていたとしても、これらの線が一端から他端まで交わるものでなければ、本明細書においては、この状態も「平行」であるとする。
【符号の説明】
【0420】
1 タッチ機能付き液晶表示装置
2 表示パネル
3 信号線セレクタ
4 表示制御装置
5 ゲートドライバ
6 タッチ制御装置
TL(0)〜TL(p) 駆動電極
TL(du1)〜TL(du3)、TL(dd1)〜TL(dd3) 磁界用駆動電極
GL(0)〜GL(p) 走査線
SL(0)〜SL(p) 信号線
SL(dR)、SL(dL) 磁界用信号線
SR−R、SR−L、SR1−R、SR1−L、SRX−D 選択制御回路
SDC 選択駆動回路
DSC 切換回路
CX(0)〜CX(p)、CY(0)〜CY(p) コイル
SCX−U、SCX−D 切換調整回路
SC_EN 磁界イネーブル信号
Ty(n−2)R、Ty(n)R、Ty(n+2)R、Ty(n+4)R、Ty(n+6)R、Ty(n−2)L、Ty(n)L、Ty(n+2)L、Ty(n+4)L、Ty(n+6)L 選択信号
PN ペン
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