(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502184
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】携帯端末用カバーケース
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20190408BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20190408BHJP
H04M 1/17 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
G06F1/16 312Q
G06F3/044 Z
H04M1/17 A
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-117939(P2015-117939)
(22)【出願日】2015年6月11日
(65)【公開番号】特開2017-4276(P2017-4276A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴之
【審査官】
征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−087783(JP,A)
【文献】
特開2014−093770(JP,A)
【文献】
特開2009−159416(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0311940(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/16
G06F3/041−3/047
H04M1/02−1/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量方式のタッチパネルが設けられた携帯端末に取り付けられる携帯端末用カバーケースであって、
前記携帯端末のGNDと接続するように設けられた配線と、
前記携帯端末のディスプレイを覆う側の面に、前記タッチパネルにあらかじめ設定されたパターンに対応するように設けられた導電性部材と、を備え、
前記タッチパネルに前記パターンに対応するように設けられた導電性部材がタッチされたことを検知させることで、前記携帯端末用カバーケースの閉と認識させる
携帯端末用カバーケース。
【請求項2】
前記配線は、前記携帯端末用カバーケースを閉じたときに、前記携帯端末のディスプレイに形成されたGND配線を覆うように形成されている
請求項1に記載の携帯端末用カバーケース。
【請求項3】
前記GND配線は、前記ディスプレイのパネルに形成されている
請求項2に記載の携帯端末用カバーケース。
【請求項4】
前記GND配線は、前記ディスプレイのカバー部材に形成されている
請求項2に記載の携帯端末用カバーケース。
【請求項5】
前記配線は、前記携帯端末の背面側において、前記携帯端末内のGND部分と直接接続されるように形成されている
請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の携帯端末用カバーケース。
【請求項6】
前記導電性部材と前記携帯端末の背面側に形成された前記配線とを接続する接続部材が、導電性の素材で構成されている
請求項5に記載の携帯端末用カバーケース。
【請求項7】
前記導電性部材と前記携帯端末の背面側に形成された前記配線とを接続する接続部材の中に、CuまたはAgのペーストで配線が形成されている
請求項5に記載の携帯端末用カバーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末に取り付けられる携帯端末用カバーケース(単に「カバーケース」とも称する)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末に取り付けられるカバーケースであって、携帯端末の表示面をカバーケースで覆うことにより、携帯端末にカバーケースの開閉を認識させて、ディスプレイをオフしたり、カバーケースの小窓に対応した一部の表示面のみを表示したりするものがある。
【0003】
例えば、保護カバーが表示画面の上に覆われた状態では、保護カバーの透視部と対応する表示画面の一部に主な情報が表示可能なように保護カバーの開閉を認識しうる感知手段を備え、携帯用のモバイル機器と連動されるモバイル機器用の保護カバーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、カバーケースの開閉を認識する方法として、現在は、磁気センサや近接センサを用いることが主流となっている。
図5は、従来のカバーケースの開閉を認識する方法を示す説明図である。
【0005】
図5において、携帯端末50のディスプレイ51の上部には、磁気センサ52および近接センサ53が設けられている。磁気センサ52は、磁石等の磁気を発生する物体が近づいてきたことを検知する。また、近接センサ53は、赤外光等の光が遮断されたことを検知する。カバーケース60には、カバーケース60を閉じたときに、磁気センサ52と対向する位置に、磁石61が取り付けられている。
【0006】
ここで、カバーケース60が閉じられると、磁気センサ52は、カバーケース60に取り付けられた磁石61が近づいてきたことを検知して、カバーケース60が閉じられたことを認識する。また、近接センサ53は、カバーケース60が閉じられることにより、光が遮断されたことを検知して、カバーケース60が閉じられたことを認識する。
【0007】
しかしながら、磁気センサや近接センサを用いてカバーケースの開閉を認識する場合には、センサを追加する必要があり、コストが上昇するという問題があった。そこで、上記の方法に代えて、携帯端末に設けられた静電容量方式のタッチパネルを利用して、特定のパターンがタッチされたことを検知した場合に、カバーケースが閉じられたことを認識する方法が考えられる。
【0008】
具体的には、この方法は、カバーケースに、特定のパターンに対応するように導電性部材を取り付けることにより、カバーケースを閉じたときに、タッチパネルに特定のパターンがタッチされたことを検知させることで、カバーケースが閉じられたことを認識するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2014−93770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
すなわち、携帯端末に設けられた静電容量方式のタッチパネルを利用する場合には、カバーケースに取り付けられた導電性部材がフローティング状態であることから、タッチパネルで検知されるタッチ信号の信号レベルが低くなり、カバーケースの開閉を認識することが困難であるという問題がある。
【0011】
図6は、携帯端末に設けられた静電容量方式のタッチパネルによるタッチ検出を示す説明図である。
図6において、(a)は非タッチ時のセンサ素子および電荷の積分値を示し、(b)は人体等による通常タッチ時のセンサ素子および電荷の積分値を示し、(c)はカバーケースのようなフローティング状態の導電性部材によるタッチ時のセンサ素子および電荷の積分値を示している。
【0012】
ここで、(b)の通常タッチ時は、人体等がGNDに接続されていることから、十分な大きさのタッチ容量Ctouchが出力電圧Voutに反映されるので、(a)の非タッチ時の出力電圧Voutとの差が大きくなり、タッチ信号の信号レベルが高くなる。
【0013】
これに対して、(c)のフローティング状態の導電性部材によるタッチ時は、導電性部材がフローティング状態であることから、仮想的なGNDによる微小なタッチ容量Ctouchのみが出力電圧Voutに反映されるので、(a)の非タッチ時の出力電圧Voutとの差が小さく、タッチ信号の信号レベルが低くなる。
【0014】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、携帯端末に設けられた静電容量方式のタッチパネルを利用して、カバーケースの開閉を認識させることができる携帯端末用カバーケースを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明に係る携帯端末用カバーケースは、静電容量方式のタッチパネルが設けられた携帯端末に取り付けられる携帯端末用カバーケースであって、携帯端末のGNDと接続するように設けられた配線と、携帯端末のディスプレイを覆う側の面に、タッチパネルにあらかじめ設定されたパターンに対応するように設けられた導電性部材とを備え、タッチパネルにパターンがタッチされたことを検知させることで、携帯端末用カバーケースの開閉と認識させるものである。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る携帯端末用カバーケースによれば、携帯端末のGNDと接続するように設けられた配線と、携帯端末のディスプレイを覆う側の面に、タッチパネルにあらかじめ設定されたパターンに対応するように設けられた導電性部材とを備え、タッチパネルにパターンがタッチされたことを検知させることで、携帯端末用カバーケースの開閉と認識させる。
そのため、携帯端末に設けられた静電容量方式のタッチパネルを利用して、カバーケースの開閉を認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る携帯端末用カバーケースを携帯端末とともに示す構成図である。
【
図2】この発明の実施の形態1に係る別の携帯端末用カバーケースを示す構成図である。
【
図3】(a)、(b)は、
図2に示した接続部材を示す断面図である。
【
図4】この発明の実施の形態1に係る携帯端末用カバーケースの効果を示す説明図である。
【
図5】従来のカバーケースの開閉を認識する方法を示す説明図である。
【
図6】携帯端末に設けられた静電容量方式のタッチパネルによるタッチ検出を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明に係る携帯端末用カバーケースの好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0019】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る携帯端末用カバーケースを携帯端末とともに示す構成図である。
図1において、携帯端末10とカバーケース20とが、接続部材30を介して互いに接続されている。
【0020】
なお、カバーケースには、磁気等によって携帯端末10の側面に接続部材30が取り付けられて、携帯端末10のディスプレイ11を覆うものや、携帯端末10を格納する背面カバー(図示せず)と接続部材30を介して互いに接続されたもの、携帯端末10の本来の裏蓋の代わりに取り付けられた裏蓋(図示せず)と接続部材30を介して互いに接続されたもの等がある。
【0021】
携帯端末10のディスプレイ11には、静電容量方式のタッチパネル(図示せず)が設けられており、特定のパターンがタッチされたことを検知した場合に、カバーケースが閉じられたことを認識することがあらかじめ設定されている。また、ディスプレイ11のパネルには、静電気対策(ESD:Electro−Static Discharge)用のGND配線12が形成されている。
【0022】
カバーケース20には、カバーケースを閉じたときに、GND配線12と対向する位置に、GND配線12を覆うように、カバーケース配線21が形成されている。また、カバーケース20には、タッチパネルの特定のパターンに対応するように、例えば金属板である導電性部材22が3つ取り付けられ、接続配線23によってカバーケース配線21と接続されている。
【0023】
ここで、特定のパターンは、カバーケースが閉じられたと誤認識を起こすことを防止するものである。すなわち、ディスプレイ11の1箇所がタッチされただけでカバーケースが閉じられたと認識する場合には、通常の使用時にその箇所をタッチする可能性があるため、複数箇所を指定して特定のパターンとしている。
【0024】
このように、カバーケースを閉じたときに、GND配線12覆うようにカバーケース配線21を形成することにより、導電性部材22の接続先がGNDに接続されているので、GNDを強くすることができる。そのため、
図6において、出力電圧Voutを大きくすることができ、タッチ信号の信号レベルが高くなる。
【0025】
なお、ディスプレイ11のパネルに、静電気対策用のGND配線12が形成されていると説明したが、パネルにGND配線12が形成されていない場合であっても、ディスプレイ11のカバー部材(カバーガラスまたはカバープラスチック)に、GND配線を後付けで形成することにより、
図1に示した発明を適用することができる。すなわち、
図1に示した発明は、各種のディスプレイに適用することができる。
【0026】
図2は、この発明の実施の形態1に係る別の携帯端末用カバーケースを示す構成図である。
図2において、カバーケース20と裏蓋40とが、接続部材30を介して互いに接続されている。ここで、裏蓋40は、携帯端末の本来の裏蓋を取り外して、代わりに取り付けられたものである。
【0027】
カバーケース20には、図示しない携帯端末のディスプレイのタッチパネルにあらかじめ設定された特定のパターンに対応するように、例えば金属板である導電性部材22が3つ取り付けられ、接続配線23によって接続部材30と接続されている。
【0028】
裏蓋40には、例えば
図1に示したGND配線12のような、携帯端末内のGND部分と直接接続されるパッド部41が設けられ、接続配線42によって接続部材30と接続されている。このパッド部41は、裏蓋40を携帯端末に取り付けることにより、携帯端末のGND部分と電気的に接続される。
【0029】
ここで、接続部材30は、導電性部材22とパッド部41とを電気的に接続している。また、接続部材30は、
図3(a)に示されるように、導電性の高い素材で構成されていてもよいし、
図3(b)に示されるように、接続部材30中に、導電性の高いCuまたはAgのペーストで配線31が形成されていてもよい。
【0030】
このように、裏蓋40に、携帯端末のGND部分と直接接続されるパッド部41を設けることにより、導電性部材22の接続先がGNDに接続されているので、GNDを強くすることができる。そのため、
図6において、出力電圧Voutを大きくすることができ、タッチ信号の信号レベルが高くなる。なお、
図1に示した発明と、
図2に示した発明とを、組み合わせてもよい。
【0031】
図4は、この発明の実施の形態1に係る携帯端末用カバーケースの効果を示す説明図である。
図4において、導電性部材22がフローティング状態である場合には、タッチ信号の信号レベルが0となり、タッチを認識することができない。
【0032】
また、配線1と配線2との比較において、カバーケース配線21の長さを変えて、
図4の右側に示したGND配線12を覆う面積を大きくすることで、タッチ信号の信号レベルを向上させることができる(例えば、配線1:24から配線2:31)。
【0033】
さらに、配線3について、裏蓋40にパッド部41を設けて、携帯端末のGND部分と直接接続することにより、タッチ信号の信号レベルを大幅に向上させることができる(例えば、配線3:131)。
【0034】
以上のように、実施の形態1によれば、携帯端末のGNDと接続するように設けられた配線と、携帯端末のディスプレイを覆う側の面に、タッチパネルにあらかじめ設定されたパターンに対応するように設けられた導電性部材とを備え、タッチパネルにパターンがタッチされたことを検知させることで、携帯端末用カバーケースの開閉と認識させる。
そのため、携帯端末に設けられた静電容量方式のタッチパネルを利用して、カバーケースの開閉を認識させることができる。
また、従来必要であった磁気センサや近接センサを用いる必要がなくなるので、コストを削減することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 携帯端末、11 ディスプレイ、12 GND配線、20 カバーケース、21 カバーケース配線、22 導電性部材、23 接続配線、30 接続部材、40 裏蓋、41 パッド部、42 接続配線。