(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502185
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】垂直軸風車の動的アンバランス修正方法と、この修正方法を実施するための垂直軸風車の動的不釣り合いの測定装置
(51)【国際特許分類】
G01M 1/16 20060101AFI20190408BHJP
G01M 1/38 20060101ALI20190408BHJP
F03D 3/06 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
G01M1/16
G01M1/38
F03D3/06 G
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-119025(P2015-119025)
(22)【出願日】2015年6月12日
(65)【公開番号】特開2017-3483(P2017-3483A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】390023308
【氏名又は名称】日章電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】東島 哲二
(72)【発明者】
【氏名】東島 鎮▲かく▼
【審査官】
島田 保
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−356060(JP,A)
【文献】
特開昭57−057232(JP,A)
【文献】
特開2005−146898(JP,A)
【文献】
特開2006−118384(JP,A)
【文献】
特開2007−085182(JP,A)
【文献】
特開平11−032464(JP,A)
【文献】
特開平06−265423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 1/00−1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の直線翼を有する垂直軸風車の動的アンバランスの修正方法であって、前記垂直軸風車の回転軸を実回転角および回転角速度の測定手段を介して前記回転軸の駆動用電動機に結合した風車回転軸結合体を、前記垂直軸風車を上方にして垂直方向に支持し、かつ前記回転軸の軸方向に設けた複数個の軸受を介して垂直支持装置に取り付け、前記垂直支持装置の軸方向下端部を架台に水平に固定した多分力検出器に結合した上で、前記実回転角θおよび回転角速度ωの測定手段の出力値と、前記多分力検出器による4分力検出値(Fx,Fy,Mx,My)とにより、前記複数個の直線翼を有する垂直軸風車の2面釣合わせにおける不釣り合い量m1r1,m2r2およびその位相角φ1,φ2を計測し、前記2面釣合わせにおける不釣り合い量m1r1,m2r2およびその位相角φ1,φ2を、ベクトル的に、前記複数個の直線翼の軸方向両端部に分散させ、分散した不釣り合い量の合力ベクトルと、前記2面釣合わせにおける不釣り合い量の合力ベクトルとを一致させることにより、垂直軸風車の動的アンバランスを修正することを特徴とする方法。
なお、上記のFx,FyおよびMx,Myは、それぞれ、X,Y,Z直交座標系のX,Y軸方向の力およびX,Y軸回りのモーメントであり、m1,m2は、それぞれ、2面釣合わせの各位置における不釣り合い質量であり、r1,r2は、それぞれ、前記不釣り合い質量の回転半径である。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、下記の演算手順に基づいて、前記複数個の直線翼を有する垂直軸風車の2面釣合わせにおける不釣り合い量m
1r
1,m
2r
2およびその位相角φ
1,φ
2を
求めることを特徴とする方法。
前記のF
x,F
y,M
x,M
yに基づいて、下記[数3]により、(F
x1,F
x2,F
y1、F
y2)を演算する。下記[数3]において、A
−は、行列Aの逆行列であり、行列Aは、下記[数4]とする。
【数3】
【数4】
上記[数4]において、Z
1、Z
2は、それぞれ、各不釣り合い量のZ軸方向における所定の基準点からの距離を示す既知量である。
上記[数3]の演算値(F
x1,F
x2,F
y1、F
y2)に基づいて、位相角φ
1,φ
2および不釣り合い量m
1r
1,m
2r
2を下記により求める。
φ
1=tan
−1(F
y1/F
x1)
φ
2=tan
−1(F
y2/F
x2)
m
1r
1=(F
x12+F
y12)
1/2/ω
2
m
2r
2=(F
x22+F
y22)
1/2/ω
2
【請求項3】
請求項1記載の方法を実施するための、前記複数個の直線翼を有する垂直軸風車の2面釣合わせにおける不釣り合い量m1r1,m2r2およびその位相角φ1,φ2を計測する動的不釣り合いの測定装置であって、前記垂直軸風車の回転軸を、実回転角および回転角速度の測定手段を介して前記回転軸の駆動用電動機に結合した風車回転軸結合体と、この風車回転軸結合体を前記垂直軸風車を上方にして垂直方向に支持し、かつ前記回転軸の軸方向に設けた複数個の軸受を介して前記垂直方向に支持する垂直支持装置と、この垂直支持装置の軸方向下端部に結合され架台に水平に固定した多分力検出器と、この多分力検出器による4分力検出値ならびに前記実回転角および回転角速度の測定手段の出力値により所定の演算式に基づいて前記動的不釣り合い量およびその位相角を出力する演算制御装置と、を備えることを特徴とする測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種の回転運動を伴う電気的もしくは機械的部品、人工衛星、自動車の車体等において、被測定物(回転体)の動的不釣り合いを測定する方法、特に、垂直軸風車の動的不釣り合いを測定する方法及び装置、並びに、垂直軸風車の動的アンバランス修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転運動を伴う電気的もしくは機械的部品、人工衛星、自動車の車体等、例えば、発電用の垂直軸風車、各種電動機のロータ、OA機器、ビデオ、あるいはオーディオ機器のディスク・ドライブ機構、自動車の回転部品(ブレーキディスク、クラッチ板、過給器のロータ等)や自動車用車体では、その動的不釣り合いを正しく測定することが必要である。
【0003】
この発明の主な適用対象である垂直軸風車に関してその概要を述べ、さらに、従来の動的アンバランスの測定方法及び装置を適用した場合の問題点について述べる。
【0004】
垂直軸風車とは、回転軸が垂直軸である風車であり、その呼称は、「垂直軸風車」、「縦軸風車」、「直線翼縦軸風車」、「縦軸型直線翼風車」など種々の呼称がある(特許文献1,2ならびに非特許文献1〜3参照)。
【0005】
発電用の風車には、一般に2つの形式があり、その1つはプロペラ型のように回転軸が水平の風車であり、他は回転軸が垂直の風車である。後者のタイプの垂直軸風車にも、翼型によっていくつかの種類がある。例えば、非特許文献1の
図1を加工した
図3に概念的構成を示す垂直軸風車は、複数個の板状の直線翼31を回転軸32にそれぞれ平行に等間隔で翼支持体33を介して取付け、翼に作用する揚力で回転軸32を回し、発電機Gにより発電する構成を備える。直線翼31の数は、
図1は3個の例を示すが、2個や5個などの例もある。また、翼の形状も種々存在する(非特許文献3の
図1参照)。
【0006】
上記垂直軸風車は、プロペラ型風車に比べていくつかの優位性をもっている(非特許文献2参照)。例えば、構造が簡単、風向変化に対して遅れがない、翼の製作が簡単、風速変化に対応するためのピッチ制御機構が不要、設計の自由度が大きい、発電機を直結して地面に置くことが可能、等々である。
【0007】
ところで、垂直軸風車の軸の固定方法には2種類あり、1つは軸の下端と上端を軸受で支持する方法であるが、他は、
図3に示すように、軸の下方のみを支持する片持ち梁とする方法である。後者は構造が簡単になるが、剛性が比較的弱く、動的不安定性による振動が発生するため、回転体のダイナミックバランスを十分にとる必要があり、動的不釣り合いの測定およびその修正方法が問題となる。
【0008】
動的不釣り合いの測定およびその修正方法としては、周知のとおり一般に、回転体をバランス修正機(又はフィールドバランサ)に設置し、外部駆動で回転させ、軸受け部に設けたアンバランス検出センサで不釣り合いの大きさおよびその位相角を検知する。そして、アンバランス検出センサの出力に対応した不釣り合い量を、回転体外周部を削ったり、重りを付加して2面で修正する。この方法は、「2面釣合わせ」と呼称される方法であり、精度の良い修正が可能となる。
【0009】
特許文献3は、上記「2面釣合わせ」に基づいて、例えば、電動送風機の回転子の動的不釣り合いの測定方法および動的不釣り合いを修正する方法を開示する。
【0010】
上記のような従来の動的不釣り合いの測定方法および装置を前記垂直軸風車に適用した場合には、測定装置が複雑かつ大型化し、かつ、測定精度が低い問題があった。
【0011】
なお、下記特許文献4は、本発明において使用する多分力検出器であって、本願出願人の出願に係るものであり、後述する本発明の説明において引用して述べる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−118384号公報
【特許文献2】特開2007−85182号公報
【特許文献3】特開平11−32464号公報
【特許文献4】特許第2690626号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】実用化迫る「直線翼縦軸風車」の可能性、石田 己津人、インターネット<URL:http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1106/21/news012.html
【非特許文献2】水野 明哲、“風力発電用直線翼縦軸風車の長所と短所”、インターネット<URL:http://fluid.mech.kogakuin.ac.jp/windturbine/adv#j.pdf#search='%E7%B8%A6%E8%BB%B8%E9%A2%A8%E8%BB%8A'>
【非特許文献3】鈴木 政彦、他3名、“垂直軸風車の実験的研究”、インターネット<URL:http://www.globalenergy.jp/product/download/sympo29#02.pdf#search='%E5%9E%82%E7%9B%B4%E8%BB%B8%E9%A2%A8%E8%
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
この発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、この発明の課題は、多分力検出器を用い、従来に比較して簡単かつ小型な装置により、被測定物、特に、垂直軸風車の回転体の動的不釣り合いが精度よく簡便にできる測定方法並びに測定装置を提供することにある。また、前記垂直軸風車の好適な動的アンバランス修正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述の課題を解決するために、この発明は下記のような方法とする。即ち、多分力検出器を用いて、被測定物(回転体)の動的不釣り合いを2面釣合わせに基づいて測定する方法であって、前記回転体を定速回転した際の実回転角θおよび回転角速度ωの測定値と、前記多分力検出器による4分力検出値(F
x,F
y,M
x,M
y)とにより、所定の演算手順に基づいて、前記回転体の2面釣合わせにおける不釣り合い量m
1r
1,m
2r
2およびその位相角φ
1,φ
2を計測することを特徴とする。
【0016】
なお、上記のF
x,F
yおよびM
x,M
yは、それぞれ、X,Y,Z直交座標系のX,Y軸方向の力およびX,Y軸回りのモーメントであり、m
1,m
2は、それぞれ、2面釣合わせの各位置における不釣り合い質量であり、r
1,r
2は、それぞれ、前記不釣り合い質量の回転半径である。また、前記所定の演算手順については、本発明の実施の形態の項において詳述する。
【0017】
さらに、上記多分力検出器の構成や機能は、例えば、前記特許文献4に開示されているものが使用できる。さまざまな外力が作用している物体の任意の一点について考えると、その外力はX,Y,Z直交座標系の各軸方向の力F
x,F
y,F
zと各軸回りのモーメントM
x,M
y,M
zで構成される6個の独立した分力成分に分解できるが、このような6分力は、上記多分力検出器で各分力成分に分解して計測できる。また、特許文献3にも記載されたように、6分力の内、例えば、必要な4分力や3分力のみに対してブリッジ回路を形成して、4分力や3分力のみを測定するようにすることができる。
【0018】
後述する本発明においては、X,Y軸方向に働く力F
x,F
yおよびこれらの軸回りに働くモーメントM
x,M
yの4分力のみを測定すればよい。
【0019】
また、前記垂直軸風車の回転体の動的不釣り合いの測定方法に関する課題は下記により達成される。即ち、前記発明の方法を用いて垂直軸風車の2面釣合わせにおける動的不釣り合い量m
1r
1,m
2r
2およびその位相角φ
1,φ
2を測定する方法であって、前記垂直軸風車の回転軸を実回転角および回転角速度の測定器を介して前記回転軸の駆動用電動機に結合した風車回転軸結合体を、前記垂直軸風車を上方にして垂直方向に支持し、かつ前記回転軸の軸方向に設けた複数個の軸受を介して垂直支持装置に取り付け、前記垂直支持装置の軸方向下端部を架台に水平に固定した多分力検出器に結合した上で、前記実回転角θおよび回転角速度ωの測定手段、例えばエンコーダの出力値と、前記多分力検出器による4分力検出値(F
x,F
y,M
x,M
y)とにより、前記垂直軸風車の2面釣合わせにおける動的不釣り合い量およびその位相角を測定することを特徴とする。
【0020】
さらに、前記垂直軸風車の動的アンバランスの修正方法に関する課題は下記により達成される。即ち、複数個の直線翼を有する垂直軸風車の動的アンバランスの修正方法であって、前述に記載の方法を用いて、前記複数個の直線翼を有する垂直軸風車の2面釣合わせにおける不釣り合い量およびその位相角を計測し、前記2面釣合わせにおける不釣り合い量m
1r
1,m
2r
2およびその位相角φ
1,φ
2を、ベクトル的に、前記複数個の直線翼の軸方向両端部に分散させ、分散した不釣り合い量の合力ベクトルと、2面釣合わせにおける不釣り合い量の合力ベクトルとを一致させることにより、垂直軸風車の動的アンバランスを修正することを特徴とする。
【0021】
また、前述の課題を解決するための測定装置としては下記による。即ち、前記発明の方法を実施するための垂直軸風車の動的不釣り合い量およびその位相角の測定装置であって、前記垂直軸風車の回転軸を、実回転角および回転角速度の測定器を介して前記回転軸の駆動用電動機に結合した風車回転軸結合体と、この風車回転軸結合体を前記垂直軸風車を上方にして垂直方向に支持し、かつ前記回転軸の軸方向に設けた複数個の軸受を介して前記垂直方向に支持する垂直支持装置と、この垂直支持装置の軸方向下端部に結合され架台に水平に固定した多分力検出器と、この多分力検出器による4分力検出値および前記実回転角および回転角速度の測定手段の出力値により所定の演算式に基づいて前記動的不釣り合い量およびその位相角を出力する演算制御装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、多分力検出器を用いて、従来に比較して簡単かつ小型な装置により、被測定物、特に、垂直軸風車の回転体の動的不釣り合いが精度よく簡便にできる測定方法並びに測定装置を提供することができる。また、前記垂直軸風車の好適な動的アンバランス修正方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施態様であって、多分力検出器を用いて定速回転により動的不釣り合いを測定する方法の概念的説明図。
【
図2】本発明の測定装置の概略構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1および
図2に基づき、本発明の実施の形態について以下に述べる。
(1)多分力検出器を用いた定速回転による動的不釣り合い測定方法の基本的説明
図1は、本発明の測定方法であって、定速回転により回転体の2面釣合わせに基づいて動的不釣り合いを、多分力検出器を用いて測定する方法を概念的に説明する図である。
図1(a)は、同一中心軸線上に、回転体としての被測定物(供試体)1と、多分力検出器2とを有する概念的構成の側面図、
図1(b)は、
図1(a)を上方から見た図であって、供試体1の回転状態におけるアンバランス質量の位相角や慣性力などを概念的に示す図である。なお、
図1(a)において、多分力検出器2は、回転体の動的不釣り合いに基づく力およびモーメントが伝達されるように、回転体としての供試体1と同一中心軸線上に配設されるものの、回転はしない。
【0025】
即ち、
図1(a)において、回転体である供試体1は垂直方向に、図示しない適切な支持装置を介して支持され、下部において定速回転するための図示しない駆動用電動機に直結され、片持ち支持の状態で定速回転する。その際、前記回転体に生ずるアンバランス力(力およびモーメント)が、水平架台に取り付けられた多分力検出器2に伝達されるように、前記供試体1と多分力検出器2とが前記支持装置を介して結合される。
【0026】
また、図示しない駆動用電動機にはその実回転角θおよび回転角速度ωを測定するための図示しない測定手段が結合されている。実回転角θおよび回転角速度ωの計測には、例えば、市販の回転角度(ヨー角ψ)検出用のエンコーダが利用できる。
【0027】
さらに、
図1(a)において、P
1、P
2は、前記2面釣合わせにおける各アンバランス質量の位置を示し、Z
1、Z
2は、それぞれ、各アンバランス質量のZ軸方向における基準点O(多分力検出器2のモーメントセンター)からの距離を示す。
【0028】
図1(b)において、m
iは、各点P
i(P
1、P
2)におけるアンバランス質量であり、r
iは、各点におけるアンバランス質量の回転半径であり、φ
iは、各点における位相角である。また、M
yiは、各点の影響で多分力検出器2のY座標軸周りに作用するモーメント、M
xiは、各点の影響で多分力検出器2のX座標軸周りに作用するモーメントである。
【0029】
図1における供試体1の2つの修正面におけるアンバランスを、
P
1点において、m
1r
1(kg-m),位相角φ
1(deg)
P
2点において、m
2r
2(kg-m),位相角φ
2(deg)
であるとすると、多分力検出器2に作用する分力(力FおよびモーメントM)に関して、P
1点のアンバランス質量による影響分力(F
x1,F
y1,M
x1,M
y1)は下記(1−1)〜(1−4)式のとおりである。
【0030】
F
x1=m
1r
1ω
2cosφ
1 ・・・・・・・・・・・・・・(1−1)
F
y1=m
1r
1ω
2sinφ
1 ・・・・・・・・・・・・・・(1−2)
M
x1=−F
y1・Z
1 ・・・・・・・・・・・・・・・・(1−3)
M
y1=F
x1・Z
1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・(1−4)
また、P
2点のアンバランス質量による影響分力(F
x2,F
y2,M
x2,M
y2)は下記(2−1)〜(2−4)式のとおりである。
【0031】
F
x2=m
2r
2ω
2cosφ
2 ・・・・・・・・・・・・・・(2−1)
F
y2=m
2r
2ω
2sinφ
2 ・・・・・・・・・・・・・・(2−2)
M
x2=−F
y2・Z
2 ・・・・・・・・・・・・・・・・(2−3)
M
y2=F
x2・Z
2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・(2−4)
ところで、前記
図1(b)は、回転座標系(ξ,η,ζ)の回転角θが零、即ち、回転時間t=0の時のθ=θ
0=0の状態を示している。θ=θ
0=0ではなく、実回転角θが任意の回転角度θ=θの時には、回転座標系(ξ,η,ζ)に対する位相角φ(φ
1、φ
2)は、φ=ψ−θで表される。
【0032】
なお、上記の式φ=ψ−θにおいて、ψは、アンバランス質量mによる法線方向の力と、静止座標系(X,Y,Z)のX軸方向との角度を示す。
【0033】
ここで、実回転角θを考慮した説明とすると説明が複雑になるので、以下においては、前記φ(φ
1、φ
2)が求められたものと考えて、演算式の説明を行う。
【0034】
前記(1−1)〜(2−4)式に基づき、多分力検出器2に作用する分力(力FおよびモーメントM)は、(3−1)〜(3−4)式のとおりである。即ち、
F
x=F
x1+F
x2=(m
1r
1cosφ
1+m
2r
2cosφ
2)ω
2・・(3−1)
F
y=F
y1+F
y2=(m
1r
1sinφ
1+m
2r
2sinφ
2)ω
2・・(3−2)
M
x=M
x1+M
x2=−(F
y1・Z
1+F
y2・Z
2)・・・・・(3−3)
M
y=M
y1+M
y2=(F
x1・Z
1+F
x2・Z
2)・・・・・・(3−4)
上記(3−1)、(3−2)の前段の等式と、(3−3)、(3−4)の後段の等式に基づき、(3−1)〜(3−4)の連立方程式は、下記(4−1)〜(4−4)式のとおりに書き換え可能である。
【0035】
F
x=F
x1+F
x2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4−1)
F
y=F
y1+F
y2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4−2)
M
x=−F
y1・Z
1−F
y2・Z
2・・・・・・・・・・・・・・(4−3)
M
y=F
x1・Z
1+F
x2・Z
2・・・・・・・・・・・・・・・(4−4)
上記(4−1)〜(4−4)式において、F
x,F
y,M
x,M
y,Z
1,Z
2は既知である。そこで、未知数に関して行列を用いて演算するようにすべく、(4−1)〜(4−4)式を以下のように、(4−1)´〜(4−4)´と整理する。
【0036】
F
x1 + F
x2 =F
x・・・(4−1)´
F
y1 + F
y2 =F
y・・・(4−2)´
−F
y1・Z
1− F
y2・Z
2 =M
x・・・(4−3)´
F
x1・Z
1+ F
x2・Z
2 =M
y・・・(4−4)´
上記(4−1)´〜(4−4)´の左辺に基づき、行列Aを下記[数1]とする。
【0038】
前記行列Aと、その逆行列A
-に基づいて、下記[数2]が成り立つ。
【0040】
上記[数2]の右辺によれば、既知量である(F
x,F
y,M
x,M
y,Z
1,Z
2)に基づき、(F
x1,F
x2,F
y1,F
y2)が演算できる。
【0041】
ここで、前記(1−1)〜(1−2)式および(2−1)〜(2−2)式に関し、(F
x1,F
y1,F
x2,F
y2)を、それぞれX1,Y1,X2,Y2を用いて、下記(5−1)〜(5−4)式に書き換える。即ち、
F
x1=m
1r
1ω
2cosφ
1=m
1X
1ω
2・・・・・・・・・・(5−1)
F
y1=m
1r
1ω
2sinφ
1=m
1Y
1ω
2・・・・・・・・・・(5−2)
F
x2=m
2r
2ω
2cosφ
2=m
2X
2ω
2・・・・・・・・・・(5−3)
F
y2=m
2r
2ω
2sinφ
2=m
2Y
2ω
2・・・・・・・・・・(5−4)
上記(5−1)〜(5−4)式および[数2]に基づき、測定すべきP
1、P
2点における不釣り合いの位相角φ
1,φ
2ならびに不釣り合い量m
1r
1,m
2r
2は、下記(6−1),(6−2)式および(7−1),(7−2)式によって演算することができる。
【0042】
tanφ
1=m
1Y
1/m
1X
1=F
y1/F
x1・・・・・・・・・(6−1)
tanφ
2=m
2Y
2/m
2X
2=F
y2/F
x2・・・・・・・・・(6−2)
m
1r
1=(F
x12+F
y12)
1/2/ω
2・・・・・・・・・(7−1)
m
2r
2=(F
x22+F
y22)
1/2/ω
2・・・・・・・・・(7−2)
なお、上記(6−1),(6−2)式は、下記(6−1)´,(6−2)´式と書き換えることができ、これにより、位相角φ
1,φ
2を求めることができる。即ち、
φ
1=tan
-1(F
y1/F
x1)・・・・・・・・・・・・・(6−1)´
φ
2=tan
-1(F
y2/F
x2)・・・・・・・・・・・・・(6−2)´
(2)垂直軸風車の動的不釣り合い量およびその位相角の測定方法および装置の説明
図2に基づいて垂直軸風車の動的不釣り合い測定について以下に説明する。
【0043】
本発明の垂直軸風車の動的不釣り合い測定装置は、
図2のブロック図に示すように、以下の構成を備える。即ち、垂直軸風車の回転軸11を、実回転角および回転角速度の測定手段(例えば、エンコーダ)13を介して前記回転軸の駆動用電動機14に結合した風車回転軸結合体10と、この風車回転軸結合体10を前記垂直軸風車を上方にして垂直方向に支持し、かつ前記回転軸の軸方向に設けた複数個の軸受B1,B2を介して前記垂直方向に支持する垂直支持装置15と、この垂直支持装置15の軸方向下端部に結合され架台に水平に固定した多分力検出器12と、この多分力検出器による4分力検出値ならびに前記実回転角および回転角速度の測定器の出力値により所定の演算式に基づいて前記動的不釣り合い量およびその位相角を出力する演算制御装置30と、を備える。
【0044】
上記
図2の基本的構成を備えた測定装置に基づき、前記本発明の測定方法が実施できる。即ち、垂直軸風車の2面釣合わせにおける動的不釣り合い量m
1r
1,m
2r
2およびその位相角φ
1,φ
2を測定する方法であって、前記垂直軸風車の回転軸11を実回転角および回転角速度の測定手段(例えば、エンコーダ)13を介して前記回転軸の駆動用電動機14に結合した風車回転軸結合体10を、下部片持ち支持の状態で、即ち、前記垂直軸風車を上方にして垂直方向に支持し、かつ前記回転軸の軸方向に設けた複数個の軸受B1,B2を介して垂直支持装置15に取り付け、前記垂直支持装置の軸方向下端部を架台に水平に固定した多分力検出器12に結合した上で、前記実回転角θおよび回転角速度ωの測定器13の出力値と、前記多分力検出器による4分力検出値(F
x,F
y,M
x,M
y)とにより、前記垂直軸風車の2面釣合わせにおける動的不釣り合い量およびその位相角を測定することができる。
【0045】
なお、駆動用電動機にはエンコーダが付設されているものがある。この場合には、
図2に示すエンコーダ13としては、上記の付設されたエンコーダを使用することができる。
【0046】
また、
図3に示す垂直軸風車の発電機Gは、風力による発電のスタート時に風車の回転軸11に回転のトリガーを与えるために、駆動電動機の機能を兼ね備えるものがある。この場合には、
図2に示す駆動電動機14としては、上記のように駆動電動機の機能を兼ね備えた発電機を用いることができる。
【0047】
そして、前記方法によって計測した2面釣合わせにおける不釣り合い量m
1r
1,m
2r
2およびその位相角φ
1,φ
2を、ベクトル的に、前記複数個の直線翼の軸方向両端部に分散させ、分散した不釣り合い量の合力ベクトルと、2面釣合わせにおける不釣り合い量の合力ベクトルとを一致させることにより、垂直軸風車の動的アンバランスを修正することができる。この場合、修正不釣り合い量の付加または低減は、例えば、3個の直線翼を回転軸に支持する翼支持体(
図3の33参照)を直線翼の軸方向端部に設け、その翼支持体における翼近傍で実施することができる。
【0048】
上記のような多分力検出器を用いた垂直軸風車の動的不釣り合い測定装置により、従来に比較して簡単かつ小型な装置により、被測定物、特に、垂直軸風車の回転体の動的不釣り合いが精度よく簡便に測定できる。
【符号の説明】
【0049】
1:被測定物(供試体)、2,12:多分力検出器、10:風車回転軸結合体、11:垂直軸風車の回転軸、13:実回転角および回転角速度の測定手段(例えば、エンコーダ)、14:駆動用電動機、15:垂直支持装置、30:演算制御装置、B1,B2:軸受。