(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の位置調整手段及び前記第2の位置調整手段の少なくとも一方は、前記光学素子カセットの前記光軸に対して垂直な方向の所定の面に当接するネジと、前記光学素子カセットの前記ネジが当接する面とは反対側の面に前記ネジが当接する面の方向に付勢力を有するバネである
ことを特徴とする請求項3に記載の光学ユニット。
前記第1の位置調整手段及び前記第2の位置調整手段の少なくとも一方は、前記バネの付勢力を前記光学素子カセットに一時的に与えないようにするための付勢力回避手段を備える
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の光学ユニット。
請求項1から9のいずれか一項に記載の光学ユニットと、対物レンズを有する光学系と、を備え、前記位置調整機構は、前記対物レンズの光軸と前記光学素子カセットの光軸とが一致するように前記光学素子カセットを移動可能とする
ことを特徴とする光学装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示した従来技術において、液晶プロジェクタ装置本体の光学系の光軸と液晶素子からなる映像表示素子の光軸を合わせる調整に関しての記載が全くなく、そして、装置本体に設置されたコネクタに交換用ケースのコネクタを挿入すると、電気的な接続がなされると同時に、装置本体のコネクタの位置によって、交換用ケースの位置が決まるため、液晶素子と装置本体との正確な光軸合わせ調整をすることができない。
【0007】
そのため、レーザ顕微鏡や光ピックアップ装置などの光学系の光軸と液晶素子の光軸との合わせ精度がより厳しい装置にあっては、この交換用ケースの構造では、適用ができなかった。
【0008】
そこで、本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、光変調素子を有する光学素子カセットのコネクタと外部コネクタとを接続しても、光変調素子の正確な光軸調整ができる光学ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光学ユニットは、上記目的を達成するために、下記記載の構成を採用するものである。
【0010】
上蓋と下蓋を有する筐体と、光学素子カセットと、光学素子カセットの位置を固定する固定手段と、筐体内に
着脱可能に載置される光学素子カセットを、光学素子カセットの光軸に対して垂直な方向に移動可能な位置調整機構と、を有する光学ユニットであって、光学素子カセットは、駆動信号によって駆動する光変調素子と、外部ケーブルに接続するためのコネクタ
と、位置調整機構ネジとを備え、固定手段は、コネクタ又は外部ケーブルが挿通可能な開口部を備え、コネクタ又は外部ケーブルが、固定手段と当接しないように、開口部の大きさを位置調整機構によってコネクタ又は外部ケーブルが移動する範囲より大きく設定
され、固定手段又は下蓋に長孔を設けて位置調整機構ネジを長孔に挿通し、光学素子カセットの位置を調整することを特徴とする。
【0011】
これにより、光変調素子の光軸の位置調整を行っても、連動して移動するコネクタや外部ケーブルの移動範囲を確保する開口部が固定手段に設けられているため、コネクタや外部ケーブルが固定手段に干渉することなく、光学素子カセットの位置調整を容易にし、精度の高い光軸合わせができる。
【0012】
また、位置調整機構は、光軸に垂直な第1の方向の位置決めを行う第1の位置調整手段を有していてもよい。
【0013】
これにより、光学素子カセットの光軸位置調整が容易になる。
【0014】
また、位置調整機構は、光軸及び第1の方向に垂直な第2の方向の位置決めを行う第2の位置調整手段を有していてもよい。
【0015】
これにより、光学素子カセットの光学ユニットへの配置後、第1の位置調整手段と第2の位置調整手段によって、光軸に直交する二次元平面の位置調整が可能となるため、高精度な光軸位置合わせができる。
【0016】
また、第1の位置調整手段及び第2の位置調整手段の少なくとも一方は、光学素子カセットの光軸に対して垂直な方向の所定の面に当接するネジと、光学素子カセットのネジが当接する面とは反対側の面に前記ネジが当接する面の方向に付勢力を有するバネであってもよい。
【0017】
これにより、位置調整をネジ送り量によって可能とし、バネの付勢力により光学素子カセットのスムーズな移動及び位置決めができるため、容易で高精度な光軸調整ができる。
【0018】
また、第1の位置調整手段のバネの付勢力と第2の位置調整手段のバネの付勢力とが互いに異なっていてもよい。
【0019】
これにより、光学素子カセットの位置調整において、光学素子カセットの光軸調整をスムーズに行うことができる。
【0020】
第1の位置調整手段及び第2の位置調整手段の少なくとも一方は、バネの付勢力を光学素子カセットに一時的に与えないようにするための付勢力回避手段を備えてもよい。
【0021】
これにより、光学素子カセットを交換する操作が非常に容易となる。
【0022】
筐体は、光軸に対して垂直な方向から光学素子カセットを出し入れ可能とする構成であってもよい。
【0023】
これにより、光学素子カセットの交換が容易になる。
【0024】
筐体は、所定の光学系に対して着脱可能な着脱機構を備えてもよい。
【0025】
これにより、光学ユニットの着脱が容易で正確な配置が可能となる。
【0026】
光学素子カセットは、所定の偏光方向に対して光変調を行う光変調方向を有し、光変調方向が、筐体に入射する直線偏光に対して略同一の方向となるように、着脱機構の着脱方向が固定されていてもよい。
【0027】
これにより、光学ユニットを着脱したとしても、着脱機構によって取り付けが容易であり、セッティング位置の再現性が高く、その光変調方向と偏光面にズレが生ずることがない。
【0028】
本発明の光学装置の製造方法は、駆動信号によって駆動する光変調素子と外部ケーブルに接続するためのコネクタ
と長孔とを備えた光学素子カセットと、
上蓋と下蓋を有する筐体の内部に
位置調整機構ネジを備えた光学素子カセットを
着脱可能に載置する光学ユニットと、対物レンズを有する光学系と、を有する光学装置の製造方法であって、光学ユニットと光学系とを接続する工程と、光学ユニットが備える位置調整機構によって、対物レンズの光軸と、光学素子カセットの光軸とを合わせる光軸調整工程と、光学ユニットが備える固定手段
と下蓋によって、光学素子カセットの位置を筐体に固定する固定工程と、
外部ケーブル又はコネクタを、固定手段に設けたコネクタ又は外部ケーブルが挿通可能であり、かつ、コネクタ又は外部ケーブルが、固定手段と当接しないように、位置調整機構によってコネクタ又は外部ケーブルが移動する範囲よりの大きく設定された開口部に挿通し、外部ケーブルとコネクタとを接続する外部ケーブル接続工程と、を有し、光軸調整工程は、
固定手段又は下蓋の長孔を介して位置調整機構によって
位置調整機構ネジを調整し、光学素子カセットを、光学素子カセットの光軸に垂直な方向に移動させることによって行われることを特徴とする。
【0029】
これにより、光学ユニットの位置調整機構と開口部によって、光学素子カセットの光軸位置の調整範囲が確保され、光学装置の光軸と光学素子カセットの光軸とを容易にかつ正確に位置合わせされた光学装置を製造することができる。
【発明の効果】
【0030】
以上のように本発明の光学ユニットによれば、コマ収差、球面収差、チルト収差の収差補正や超解像などの光変調が得られる光変調素子が組み込まれた光学素子カセットを交換することが容易であって、光学素子カセットのコネクタに外部ケーブルを接続して、光学装置の光軸と光変調素子の光軸を合わせる位置調整を行っても、そのコネクタや外部ケーブルが貫通する光学ユニットの開口部とコネクタが干渉することなく、光学素子カセットの移動範囲を確保して、精度の高い光軸合わせができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の光学ユニットは、光学装置の本体と対物レンズの間に組み込まれ、交換可能な光学素子カセットを内蔵し、光学素子カセットのコネクタと接続する外部ケーブルが、光学素子カセットを固定する固定手段と当接しないように、コネクタ又は外部ケーブルが挿通可能で充分な大きさの開口部を有する。この開口部は、光学素子カセットの光軸位置調整で連動して移動するコネクタや外部ケーブルと干渉することなく、その移動範囲を確保している点が特徴的な部分である。
【0033】
以下、図面を用いて光学ユニットを詳述し、そして、光学ユニットを備えた光学装置の製造方法を詳述する。
図1から
図3を用いて光学装置に組み込む光学ユニットの第1の実施形態を説明する。次に、
図4から
図7を用いて第1の実施形態の光学ユニットを装着する光学装置の製造方法を説明する。そして、
図8と
図9を用いて光学ユニットの第1の実施形態の変形例を説明する。
図10を用いて光学ユニットの第2の実施形態を説明する。
図11から
図14を用いて光学ユニットの第3の実施形態を説明する。
【0034】
第1の実施形態では、光学素子カセットのコネクタ及び外部ケーブルと固定手段の開口部との関係の一例を示す。
第1の実施形態の変形例では、光学素子カセットのコネクタと固定手段の開口部との関係を第1の実施形態とは別の構成例を示す。
第2の実施形態では、第1の実施形態の光学ユニットとは異なる着脱機構を形成した構成例を示す。
第3の実施形態では、第1の実施形態の光学ユニットとは異なる位置調整手段の構成例を示す。
【0035】
[光学ユニットの第1の実施形態の構成の説明:
図1〜
図3]
まず、
図1〜
図3を用いて光学ユニットの第1の実施形態の構成を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光学ユニットを、対物レンズを有する光学系内に組み込んだ光学装置の斜視図である。
図2は、光学ユニットの構成を説明するための分解斜視図であり、
図3は、光学ユニットの位置調整機構を説明するための部分断面を含む平面図である。なお、各図において同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。
【0036】
図1は、光学装置本体と対物レンズとの間に光学ユニットが装着された光学装置100を説明するための斜視図である。ここで光学装置本体2は、光源やレンズなどの光学素子が組み込まれた光学系を有し、一般に複雑な構成ほど大型になるが、この図にあっては、簡易的に示してある。また、対物レンズ3の取付部の構造は、例えば、レボルバ方式など
があるが、この図にあっては、模式的に部分的に示してある。
【0037】
図1に示すように、光学ユニット1の外形形状は、上蓋20と下蓋40からなる筐体4と前蓋61で形成され、前蓋61には外部ケーブル70が挿通する開口部62が形成されている。そして、光学ユニット1は光学装置本体2の対物レンズ取付部(図示せず)と対物レンズ3との間に装着される。例えば、光学装置本体2と対物レンズ3とが螺合する構成である場合、光学ユニット1は、光学装置本体2の対物レンズ取付部と接続する側(後述する上蓋20)に対物レンズ3と同じ雄ネジが形成され、対物レンズ3と接続する側(後述する下蓋40)に光学装置本体2の対物レンズ取付部と同じ雌ネジが形成されている。つまり、光学装置本体2及び対物レンズ3と螺合して接続する構成となっている。
なお、光学ユニット1の筐体4は、上蓋20と下蓋40とが別体の構成で説明を行うが、この構成に限定されず、一体形成された構成としてもよい。
【0038】
次に、
図2を用いて、第1の実施形態の光学ユニット1の全体構成を詳細に説明する。
図2に示すように、光学ユニット1は、上蓋20、光学素子カセット30、下蓋40、固定手段60、そして、外部ケーブル70で構成されている。ここで、三次元のXYZ軸は、Z軸方向は光学ユニット1の中心軸80方向であり、X軸方向は、光学素子カセット30を調整移動する第1の位置調整方向であり、Y軸は、光学素子カセット30を調整移動する第2の位置調整方向であり、そして、光学素子カセット30を光学ユニット1から出し入れ交換する方向でもある。
【0039】
上蓋20は、上面にZ軸方向に突出した円筒部21が形成されており、更に、その外周面に雄ネジ部211が形成されている。この雄ネジ部211は、光学装置本体2の対物レンズ取付部と螺合する。それにより、円筒部21の中心軸80と光学装置本体2の対物レンズ取付部に設けられた開口部の中心軸とがZ軸方向に同軸で結合される。
また、上蓋20には後述する下蓋40と接続するための接続部22が形成されている。
【0040】
光学素子カセット30は、光変調素子31と光変調素子ホルダ32とコネクタ33から構成される。
光変調素子31は、例えば、駆動信号によって入射光を光変調する液晶素子を使用することができる。後述するコネクタ33を介して外部から駆動信号を得るために、光変調素子31はFPCといったケーブルでコネクタ33と電気的に接続しておくのが好ましい。また、光変調素子31は所望の光変調にあわせて単数又は複数枚重ねて使用してもよい。
光変調素子ホルダ32は、光変調素子31を保持し、光変調素子31の光変調領域に対応する部分に開口を有している。
コネクタ33は、例えば光変調素子ホルダ32の一端に固定され、外部ケーブル70と接続して図示しない制御装置からの駆動信号を受け取る。
これによって光変調素子31の波面収差補正や超解像といった光変調を電気的にコントロールすることが可能となっている。
【0041】
下蓋40は、光学素子カセット30を内蔵可能とするコの字形状の側壁の左側壁42、右側壁43、奥側壁44、そして、底部41からなり、コの字形状の開口部である前蓋取付部45の開放端は、光学素子カセット30を出し入れ可能に形成されている。
【0042】
また、下蓋40には、複数のX軸押圧手段51とX軸ネジ部材52と複数のY軸押圧手段53とが配置されており、これらと後述するY軸ネジ部材54とで内蔵した光学素子カセット30のXY平面における位置調整を可能としている。位置調整方法についての詳細は後述する。
【0043】
そして、底部41からZ軸の下方向に形成された円形の開口部46は、雌ネジ部411
が内側に形成され、その中心軸は、上蓋20の中心軸80と同軸であって、対物レンズ3が螺合可能に形成されている。なお、上述した開口部46はZ軸の下方向に突出した円筒部としてもよい。
【0044】
ここで、下蓋40と対物レンズ3を螺合するときに、対物レンズ3の雄ネジ部が光学素子カセット30に干渉して後述する光学素子カセット30の位置調整に支障がでないように、雌ネジ部411の長さを対物レンズの雄ネジ部よりも長くするか、又は底部41と開口部46の間に仕切りを設けておいてもよい。
【0045】
また、下蓋40には前述した上蓋20と接続するための接続部47が形成されており、前述した上蓋20の接続部22の位置に対応している。接続部22と接続部47との接続方法は、ネジ止めや、一方に凸部を他方に凹部を形成して圧入する方法などが挙げられる。
【0046】
これにより、上蓋20と下蓋40で形成した筐体4からなる光学ユニット1は、上下両方向に形成された雄ネジ部211、雌ネジ部411のネジ接続によって、
図1に示したとおり光学装置本体2と対物レンズ3間に配置され組み込まれる構成となっている。ここで、光学装置本体2の開口部の中心軸及び対物レンズ3の中心軸が光学系の光軸と一致している場合には、光学素子カセット30の光軸を光学ユニット1の円筒部21及び開口部46の中心軸を一致させることで、光学ユニット1を組み込んだ後の光学系全体の光軸を一致させることができるが、光学系の光軸が光学装置本体2の開口部の中心軸及び対物レンズ3の中心軸からずれていることがある。このようなときには、後述する光学ユニット1の位置調整手段によって光学素子カセット30の光軸を調整することで、光軸合わせをおこなうことができる。
【0047】
固定手段60は、前蓋61に開口部62とY軸ネジ部材54と下蓋40に接続するための接続部63とが形成された構成であり、奥側壁44とY軸方向に対向する位置に配置される。接続部63は下蓋40の前蓋取付部45の面に形成された接続部48とで接続される。
従って、光学素子カセット30は、上蓋20と下蓋40と固定手段60で囲まれ形成された空間に内蔵載置される。
【0048】
開口部62は、光学素子カセット30のコネクタ33と外部ケーブル70とを接続するために外部ケーブル70が挿通可能な開口部であり、開口の大きさは光学素子カセット30のX軸方向の位置調整をしたときに、光学素子カセット30と同時に移動するコネクタ33が当接しないようにコネクタ33の移動領域をカバーする大きさに形成されている。
【0049】
次に光学素子カセット30の位置調整手段の詳細について、
図2及び
図3を用いて説明する。
図2に示すとおり、下蓋40に形成されたコの字形状の側壁において、互いに対向する壁で形成される左側壁42と右側壁43には、光学素子カセット30のX軸方向の位置調整を担う第1の位置調整手段が構成されている。第1の位置調整手段は、例えば、左側壁42に光学素子カセット30をX軸方向に付勢力を付加するX軸押圧手段51を有し、右側壁43にX軸押圧手段51の付勢力に対抗するX軸ネジ部材52を有し、X軸ネジ部材52を右又は左に回わすことで、光学素子カセット30をX軸の正負方向に平行移動可能としている。
【0050】
なお、X軸ネジ部材52は右側壁43内に配置された六角穴付きのネジと、この六角穴に嵌合するピンのついた調整ネジとの組み合わせでもよく、X軸方向の位置調整後に調整ネジを外すことで、誤動作による位置ズレを起こす心配がなくなるとともに、光学素子カ
セット30のX軸方向に対する位置を記憶することができる。これは、後述のY軸方向の位置調整におけるYネジ部材54にも同様に用いることができる。
【0051】
第2の位置調整手段は、光学素子カセット30のY軸方向の位置調整を担う位置調整手段であり、奥側壁44と対向する固定手段60にあって、奥側壁44のY軸方向に付勢力を付加するY軸押圧手段53と、固定手段60のY軸ネジ部材54によって構成されている。そして、Y軸ネジ部材54を右又は左に回わすことで、光学素子カセット30をY軸の正負方向に平行移動可能としている。
【0052】
前蓋61の開口部62の幅W1は、コネクタ33の幅W2又は外部ケーブル70の幅W3に光学素子カセット30の光軸調整による移動範囲より少し大きい値に設定されている。従って、開口部62は、光学素子カセット30がXY方向、すなわち、XY平面を前後左右に移動したとしても、連動して移動する外部ケーブル70やコネクタ33と干渉や衝突が起きることのない光軸合わせの位置調整が可能となる。
【0053】
続いて、筐体4に内蔵された光学素子カセット30の位置調整手段の構成と調整方法について、
図3を用いて詳細に説明する。
図3は、筐体4に内蔵された光変調素子カセット30と、光軸合わせ調整のための第1、第2位置調整手段と、コネクタ33と接続した外部ケーブル70が挿通する開口部62とを説明するための平面図であり、説明しやすくするため、上蓋20を省略し前蓋61を部分断面とした平面図である。そして、図に示す座標系のように、紙面左右方向がX軸、上下方向がY軸、紙面に垂直な方向がZ軸方向である。
【0054】
図3(a)に示すように、光学素子カセット30は、複数のX軸押圧手段51とX軸ネジ部材52からなる第1の位置調整手段と、複数のY軸押圧手段53とY軸ネジ部材54からなる第2の位置調整手段それぞれからの付勢力とネジ部材の送り量をその側面で受け、X軸方向とY軸方向に移動可能に形成されている。
【0055】
第1の位置調整手段の付勢力を担い、左側壁42に配置された複数のX軸押圧手段51は、X軸押圧コマ511とX軸押圧バネ512とX軸押圧解除ツマミ513から形成される。X軸押圧コマ511は、X軸押圧バネ512により付勢力を受けて光変調素子ホルダ32の側面を押圧する。そして、光変調素子ホルダ32と接触するX軸押圧コマ511の円筒端面は、滑らかな平面或いは球面に形成されて、光学素子カセット30のY軸方向の移動を滑らかにしている。
【0056】
第1の位置調整手段のネジ送りを担う右側壁43に配置されたX軸ネジ部材52は、左側壁42の複数のX軸押圧手段51と対をなし、光変調素子ホルダ32の側面に当接して、X軸押圧手段51の付勢力と釣り合う位置に配置されており、X軸ネジ部材52のネジ送り量によって、光学素子カセット30がX軸の左右方向に平行移動することを可能としている。
【0057】
X軸押圧解除ツマミ513は、付勢力回避手段であって、光学素子カセット30を光学ユニット1の筐体4から出し入れ交換し載置することを容易にしている。すなわち、筐体4の左側壁42の外側、矢印A方向にX軸押圧解除ツマミ513を引っ張ることで、X軸押圧コマ511の先端を左側壁42の内側面の近くまで引き込み、光学素子カセット30の交換の際の出し入れで、光学素子カセット30とX軸押圧コマ511の衝突や干渉を防ぐことを可能としている。そして、X軸押圧解除ツマミ513の大きさは、指で2個同時に摘み扱えるように設定され、光学素子カセット30の出し入れ交換を容易にしている。
【0058】
本実施形態において、付勢力回避手段は、X軸押圧解除ツマミ513としたが、一般的
な簡単な構成の治具で2つのツマミを同時に引っ掛け、そして、引っ張る構成でも良いことは自明である。
【0059】
第2の位置調整手段の付勢力を担い、奥側壁44に配置された複数のY軸押圧手段53は、Y軸押圧コマ531と、Y軸押圧バネを内蔵するY軸押圧バネ内蔵コマ532から形成される。Y軸押圧コマ531は、Y軸押圧バネ内蔵コマ532により付勢力を受けて光変調素子ホルダ32の側面を押圧する。そして、Y軸押圧コマ531の光変調素子ホルダ32との接触面は、X軸押圧コマ511と同様に、円筒端面が滑らかな平面或いは球面を形成し、光学素子カセット30のX軸方向の移動を滑らかにしている。
【0060】
第2の位置調整手段のネジ送りを担う前蓋61の複数のY軸ネジ部材54は、複数のY軸押圧手段53の付勢力と釣り合う位置に配置されており、光変調素子ホルダ32の側面に当接して、複数のY軸ネジ部材54を交互に徐々にネジ送りすることによって、そのネジ送り量に応じて、光学素子カセット30がY軸の前後方向の平行移動を可能としている。
【0061】
ここで、どちらか一方の付勢力が他方よりも大きい場合には、付勢力が大きい方の位置調整手段によって光学素子カセット30が固定されてしまうため、付勢力が小さい方の方向の位置調整を行っても光学素子カセット30の位置を動かせなくなる可能性がある。特に、ネジ部材で押し込む方向に移動させることは可能だとしても、ネジ部材を開放し引き込む方向に移動させることができなくなるおそれがある。このようなときには、付勢力が大きい方の位置調整手段に付勢力解除手段を設けておくのがよい。上述の構成であれば、第1の位置調整手段のX軸押圧手段51による付勢力を、第2の位置調整手段のY軸押圧手段53による付勢力より大きく設定し、Y軸方向の調整をするときに、X軸押圧解除ツマミ513によってX軸方向の付勢力を一時的に解除することにより、Y軸方向の位置調整がスムーズに行うことができる。X軸方向の光軸調整は、Y軸方向の付勢力よりも大きいために、Y軸方向の付勢力を解除する必要はなく移動が可能である。よって、Y軸方向の調整を行った後に、X軸方向の位置を調整すれば確定したY軸方向の位置がズレることなく、光軸調整をスムーズに行うことができる。
【0062】
なお、Y軸押圧手段53による付勢力がX軸押圧手段51による付勢力より大きく設定した場合には、Y軸方向に付勢力解除手段であるY軸押圧解除ツマミを設け、光軸調整順もX軸方向の調整を行った後に、Y軸方向の位置調整を行うことでスムーズに行うことができる。また、各軸の付勢力の大小関係が環境に応じて変化する場合には、X軸又はY軸のいずれにも付勢力解除手段である押圧解除ツマミを設けておいてもよい。
【0063】
上述したように、開口部62の幅W1は、光学素子カセット30の位置調整をおこなっても、幅W2を有するコネクタ33や幅W3を有する外部ケーブル70が当接することのないように、光軸調整による移動範囲より少し大きい値に設定されており、光学素子カセット30の光軸調整による可動範囲が確保されているから、光学素子カセット30の容易な高精度の位置調整が可能となる。
【0064】
上述の光学素子カセット30の光軸調整による可動範囲は、光学素子カセット30の側面が、X軸方向が左側壁42と右側壁43、Y軸方向が奥側壁44と前蓋61、と当接する位置までである。この光学素子カセット30の移動範囲において、Y軸方向の移動範囲を妨げるものはないが、X軸方向の移動範囲においては、光学素子カセット30と連動して移動するコネクタ33及び外部ケーブル70と開口部62との当接を防止することが必要となる。
【0065】
図3(b)は、光学素子カセット30の光軸調整のX軸方向の移動範囲を説明する図で
ある。すなわち、
図3(a)では光学素子カセット30が光学ユニット1内部のほぼ中央に配置されているが、
図3(b)は、それと異なり、光学素子カセット30が第1の位置調整機構のX軸ネジ部材52によって、左端に移動した例であって、この光学素子カセット30に連動して移動したコネクタ33及び外部ケーブル70と開口部62との位置関係を説明するための図である。
【0066】
図3(b)に示すように、光学素子カセット30は、X軸ネジ部材52を右に回わしていくと、複数のX軸押圧手段51の付勢力に対抗し左方向に平行移動し、ついには左側壁42に光学素子カセット30の側面が当接し配置される。この左端の位置にあって、光学素子カセット30と連動して移動するコネクタ33及び外部ケーブル70と開口部62の干渉を防止するため隙間δが設定されている。
この光学素子カセット30のX軸方向の平行移動は、第2の位置調整機構の複数のY軸押圧手段53の付勢力と複数のY軸ネジ部材54も寄与していることは言うまでもない。
【0067】
そして、光学素子カセット30が
図3(b)に示すのと逆の右端の右側壁43に当接配置される場合においても、同様に、コネクタ33及び外部ケーブル70と開口部62の干渉を防止するため隙間δ(図示せず)が設定されている。この隙間δの2倍の値が上述した光軸調整による移動範囲より少し大きい値に相当することになる。
【0068】
すなわち、光学素子カセット30の光軸調整にあって、光学素子カセット30がX軸方向の左右両端に移動したとしても、光学素子カセット30と連動するコネクタ33及び外部ケーブル70が開口部62との間に隙間δを有するから、決して衝突、干渉することがなく光軸調整の移動範囲が確保され、光学素子カセット30の容易な高精度の位置調整が可能となる。
【0069】
従って、光学装置の光軸と光変調素子の光軸を厳密に位置合わせすることが容易であり、このような光学ユニットが組み込まれた光学装置にコマ収差、球面収差、チルト収差の収差補正や超解像などの特性を容易に付与することが可能となる。
【0070】
[光学ユニットを備えた光学装置の製造方法の説明:
図4〜
図7]
ここで、本発明に係る第1の実施形態の光学ユニットを備えた光学装置の製造方法について、
図4〜
図7を用いて説明する。
この製造方法の製造工程は、5段階であって、光学ユニットと光学系とを接続する工程、光学ユニットに光学素子カセットを組み込む工程、光学素子カセットの位置を筐体に固定する固定工程、外部ケーブルとコネクタとを接続する外部ケーブル接続工程、そして、光軸調整工程で構成されている。
なお、各図において同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。
【0071】
まず、光学ユニットと光学系とを接続する工程について
図4(a)、(b)を用いて説明する。
図4(a)に示すとおり、光学装置本体2から対物レンズ3を取り外し、その両者の間に光学ユニット1を組み込む工程である。光学ユニット1は、X軸押圧手段51とX軸ネジ部材52とY軸押圧手段が組み込まれた下蓋40に上蓋20がネジ止めなどにより接続された筐体4の形態にある。
【0072】
そして、その結果、
図4(b)に示すように、光学ユニット1を光学装置本体2にネジ込み接続し、次に、対物レンズ3を光学ユニット1にネジ込み接続して、光学装置本体2の光学系に光学ユニット1が組み込まれ一体化される。
【0073】
次に、光学ユニットに光学素子カセットを組み込む工程について
図5(a)、(b)を用いて説明する。
図5(a)に示すように、光学ユニット1に光学素子カセット30を組み込む工程であって、光学素子カセット30が矢印B方向から前蓋取付部45の開放端に挿入され、筐体4の内部に形成された空間に載置される。この時、付勢力回避手段である2つの押圧解除ツマミ513を指先で摘み、筐体4の外側方向(矢印Aの方向)に引っ張る操作で、X軸押圧コマ511(
図3(a)参照)の先端と光学素子カセット30の衝突、干渉が防止され、光学素子カセット30の組み込みが容易となる。
【0074】
そして、
図5(b)に示すように、光学ユニット1に光学素子カセット30が挿入され、光学素子カセット30とそのコネクタ33が、筐体4の内部空間に載置される。
【0075】
次に、光学素子カセットを筐体の内部空間に固定する固定工程について
図6(a)、(b)、(c)を用いて説明する。
図6(a)に示すように、光学素子カセット30を筐体4の内部空間に固定する固定工程として、固定手段60の前蓋61と、筐体4の前蓋取付部45とを、接続部63、接続部48によって接続する。接続方法としては例えば、接続部63をネジ部材とし、接続部48を雌ネジ孔としたネジ止めなどが使用できる。
【0076】
図6(b)に示すように、前蓋61は筐体4にネジ止め接続され、光学素子カセット30は、固定手段60によって筐体4の内部空間に載置され、第1、第2の位置調整手段の付勢力で仮位置に固定される。前蓋61の開口部62の内部では光学素子カセット30のコネクタ33が外部ケーブルと接続可能に配置される。
【0077】
図6(c)は、
図6(b)の固定手段を矢視Cから見た正面図である。上述したように、固定手段60の前蓋61は、開口部62が形成され、そして、複数のY軸ネジ部材54を有している。光学素子カセットのコネクタ33の幅W2に対し、外部ケーブルが挿通する開口部62の幅W1を示す。図から明らかなように、開口部62の幅W1は、コネクタ33の幅W2に対し、位置調整で連動するコネクタ33の左右方向(X軸方向)の移動範囲より少し大きい値に設定され、当接を防止して光軸調整を容易に行なうことが可能となる。
【0078】
次に、外部ケーブル接続工程について
図7(a)、(b)を用いて説明する。
図7(a)に示すように、外部ケーブル70が矢印D方向から開口部62を挿通して、コネクタ33に差し込まれて電気的に接続する。外部ケーブル70とコネクタ33の接続後の外観を
図7(b)に示す。そして、外部ケーブル70の一方に接続された制御装置(図示せず)からの駆動信号によって光変調素子を駆動することが可能となる。
【0079】
次に、光軸調整工程について
図7(b)を用いて説明する。
図7(b)に示すように、光軸調整工程において、X軸方向は、第1の位置調整機構のX軸ネジ部材52によって、Y軸方向は、第2の位置調整機構のY軸ネジ部材54によって、開口部とコネクタ、外部ケーブルが当接及び干渉することなく、光学素子カセットを仮位置からXY軸方向に移動させて、対物レンズ3の光軸と光学素子カセット30の光軸の正確な位置合わせ調整が可能となる。
【0080】
以上のような製造工程によって、本発明の光学ユニット1を光学装置本体2と対物レンズ3の間に組み込むことによって、容易で高精度な光軸位置調整が可能で、波面収差を補正したり、超解像を可能にする特性を光学装置に付与することが可能となる。
なお、光学ユニットに光学素子カセットを組み込む工程及び光学素子カセットを筐体の内部空間に固定する固定工程や外部ケーブルとコネクタとを接続する外部ケーブル接続工
程は、光学ユニットと光学系とを接続する工程の前に行ってもよい。
【0081】
[光学ユニットの第1の実施形態の変形例の構成の説明:
図8、
図9]
次に、
図8、
図9を用いて上述した光学ユニットの第1の実施形態の変形例を説明する。
図8(a)は、第1の実施形態の製造工程である光学素子カセットを筐体の内部空間に固定する固定工程後の、
図6(b)と同様の形態を示す斜視図であり、
図8(b)は、固定手段周辺の部分拡大図である。
図9は、第1の実施形態の
図3と同様に、上蓋を省略し前蓋を部分断面とした平面図である。なお、各図において同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。
【0082】
第1の実施形態の変形例の特徴は、光学ユニット1の開口部から光学素子カセットのコネクタ33が突出する構成を形成している点である。すなわち、第1の実施形態は、コネクタ33が前蓋61の開口部62の外表面より内側に配置されているが、第1の実施形態の変形例は、コネクタ33が前蓋61の開口部62から外側に突出して形成されていることが特徴である。
【0083】
図8(a)に示すように、第1の実施形態と同様に、光学ユニット1は、光学装置本体2と対物レンズ3の間に取り付けられている。光学ユニット1に内蔵された光学素子カセットは、実施例より少しコネクタ33が突出する構成を形成している。そして、光学ユニット1の上蓋20と下蓋40は、実施例よりY軸方向に少し短く形成されている。
【0084】
その結果、コネクタ33が前蓋61の開口部62の表面から外側に突出して形成されて、外観においてもコネクタ33がよく見え、外部ケーブル70との接続が容易となる。
【0085】
図8(b)の部分拡大図に示すように、固定手段60は、第1の実施形態と同様に、前蓋61と開口部62と複数のY軸ネジ部材54で形成されている。そして、コネクタ33が開口部62の外表面から突出して保持されている。従って、上述したように、コネクタ33を見ながら外部ケーブル70を接続することが可能で、手探りで接続することなく、外部ケーブル70をコネクタ33に差し込み接続する操作が非常に容易となる。
【0086】
図9に示すように、第1の実施形態と同様に、光学ユニット1において、光変調素子カセット30は、X軸押圧手段51とX軸ネジ部材52からなる第1の位置調整手段と、Y軸押圧手段53とY軸ネジ部材54からなる第2の位置調整手段によって、XY平面内のなめらかな移動が可能で、光軸の位置合わせ調整が可能となっている。
【0087】
従って、開口部62の幅W1は、コネクタ33と当接しないようにコネクタ33の幅W2に光学素子カセット30の光軸調整によるX軸方向の移動範囲より少し大きい値に設定されるだけでよく、外部ケーブルの幅を考慮する必要がなく、容易で高精度な光軸位置調整機構を有する光学ユニット1を提供することが可能となる。
【0088】
[光学ユニットの第2の実施形態の構成の説明:
図10]
次に、
図10を用いて第2の実施形態を説明する。第1の実施形態の光学ユニット1は、円筒部21に形成した雄ネジ部211を有し、光学装置本体2と螺合によって着脱可能な着脱機構を有する構成であった。これに対し、本実施形態では、所定の方向にスライドすることにより光学装置本体2と嵌合する着脱機構を有している。
このような構成は、例えば、レーザ光のコヒーレント光としての特性を用いて高解像度の2次元画像の取得や3次元画像を観測する共焦点レーザ顕微鏡のような光学装置等に対して有効である。このような光学装置本体から出射するレーザ光のコヒーレント光を光変調するには、その偏光方向と光学ユニットに載置された光変調素子の光変調方向とを一致
させること、そして、光学装置と光学ユニットの光軸を一致させることが重要である。そして、これらの光学装置から出射するコヒーレント光の偏光方向は、予め決められた方向となっているためである。
【0089】
図10(a)に示すように、第2の実施形態の光学ユニット1は、第1の実施形態と同様に、光学装置本体2と対物レンズ3の間に取り付けられる。異なる点は、光学装置本体2はアリミゾ26を有し、光学ユニット1と光学装置本体2との取り付けは、光学ユニット1に設けられた着脱機構23を介する構成である。すなわち、アリガタ24と連結部材25からなる着脱機構23を、光学装置本体2のアリミゾ26に対して、矢印Fの方向から挿入して位置決めをすることによって、光学ユニット1の着脱が容易で正確な配置が可能となる。なお、図に示すXYZ軸は、
図2で説明したと全く同様の方向の座標軸を示す。
【0090】
光学装置本体2のアリミゾ26に着脱機構23のアリガタ24を嵌め込む取り付けによって、光学装置本体2と光学ユニット1の向きが常に一定に組み付けられることになる。
従って、光学装置本体2から出射するレーザ光の偏光方向が既知であるならば、光学ユニット1の光変調方向をそれに合わせて設定することにより、何の調整もなしに一致させることが可能となる。例えば、
図10(a)に示すように、光学装置本体2のレーザ光の偏光方向がアリミゾ26の溝方向(Y軸方向)であるとすれば、光学ユニット1に組み込んだときの光学変調素子の光変調方向をアリガタ24の形成方向(Y軸方向)と揃うようにして連結部材25を介して組み立てることにより、レーザ光の偏光方向と光学変調素子の光変調方向との方向を容易に合わせることができる。
【0091】
次に、
図10(b)に示すように、光学ユニット1が着脱機構23を介して光学装置本体2と対物レンズ3の間に取り付けられた後の光軸合わせの調整は、第1の実施形態の
図7(b)に示す光軸調整工程と同様に、第1の位置調整機構のX軸ネジ部材52と、第2の位置調整機構のY軸ネジ部材54によって、開口部とコネクタ、外部ケーブルが当接及び干渉することなく、光学素子カセットをXY軸方向に移動させて、光学装置本体2の光軸と光学素子カセットの光軸の正確な位置合わせ調整が可能となる。
【0092】
更に、位置合わせ調整後に光学ユニットを着脱したとしても、着脱機構によって取り付けが容易であり、セッティング後の光変調方向や光軸中心位置の再現性の高い光学ユニットを提供することが可能である。
【0093】
本実施形態においては、光学装置本体2はアリミゾ26を有する構成として説明を行った。しかし、光学装置本体2にアリミゾが無く、螺合用の雌ねじ部のみを有する場合がある。このようなときには、光学装置本体2に螺合可能な雄ネジ部とアリミゾとを有する治具を別途用意し、光学装置本体2に接続しておけばよい。これにより、第2の実施形態で説明した光学ユニットを光学装置本体に用いることができる。
【0094】
[光学ユニットの第3の実施形態の構成の説明:
図11〜
図14]
次に、
図11〜
図14を用いて第3の実施形態を説明する。第1の実施形態の光学ユニット1と異なる点は、光学素子カセットの位置調整手段にあって、X軸ネジ部材及びY軸ネジ部材の配置と形状だけが異なる。すなわち、光軸調整用のネジ部材が、第1の実施形態では光学素子カセットを内蔵する光学ユニット1の筐体側壁に設けられているが、第3の実施形態では光学素子カセットに設けられている点で異なっている。
【0095】
図11は、
図1と同様に、本発明の第3の実施形態に係る光学ユニットを、対物レンズを有する光学系内に組み込んだ光学装置の斜視図である。
図12は、
図2と同様に、光学ユニットの構成を説明するための分解斜視図である。
図13は、光学ユニットの位置調整
機構のネジ部材を説明するための
図11の矢視Gから見た正面図である。
図14は、
図3(b)と同様に、光学ユニットの位置調整機構を説明するための平面図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。
【0096】
図11に示すように、第3の実施形態の光学ユニット1は、第1の実施形態と同様に、光学装置本体2と対物レンズ3の間に螺合して取付けられ、光学装置100を形成している。この第3の実施形態おいては、下蓋40にX軸長孔49、前蓋61に2個のY軸長孔64が、第1の実施形態におけるX軸ネジ部材52、Y軸ネジ部材54の配置された位置に代わって形成されている。そして、X軸長孔49、Y軸長孔64は、それぞれのX軸ネジ部材55、Y軸ネジ部材56(後述する
図12参照)を回すための調整用ドライバ71が貫通可能な寸法形状で形成されている。
【0097】
次に、
図12を用いて、第3の実施形態の光学ユニット1の全体構成を詳細に説明する。
図12に示すように、第3の実施形態の光学ユニット1は、
図2に示す第1の実施形態と基本的に同じ構成で、上蓋20、光学素子カセット30、下蓋40、固定手段60、そして、外部ケーブル70で構成されており、重複する構成部材については説明を省略する。
【0098】
上述したX軸長孔49及び2個のY軸長孔64に対応して、光学ユニット1に内蔵される光学素子カセット30の光変調素子ホルダ32の側壁に第1の位置調整機構のX軸ネジ部材55、2個の第2の位置調整機構のY軸ネジ部材56がそれぞれ形成されている。このX軸ネジ部材55及びY軸ネジ部材56は、ネジ頭の厚さの薄い超低頭六角穴付ネジを採用することが望ましい。
【0099】
ここで、三次元のXYZ軸は、
図2と同様であって、X、Y軸方向がそれぞれ光学素子カセット30の第1、第2の位置調整方向で、Z軸方向が光学ユニット1の中心軸80方向に対応している。第1の位置調整手段は、左側壁42に配置されたX軸押圧手段51により、光学素子カセット30をX軸方向に押圧し、X軸ネジ部材55のネジ頭が右側壁43と当接することによって、X軸方向の位置が定められる。
【0100】
そして、右側壁43に形成されたX軸長孔49を貫通して、調整ドライバ71をX軸ネジ部材55の六角穴に嵌め込み時計回り或いは反時計回りに回転し、X軸調整ネジ55のネジ頭の、光変調素子ホルダ32の側壁からの、突出量を変えることで、光学素子カセット30をX軸方向(第1の位置調整方向)に往復移動することが可能となる。
【0101】
Y軸方向の第2の位置調整手段は、中央部にコネクタ33の開口部62があるため、Y軸ネジ部材56が力のバランスを取り2箇所に配置されている。そして、Y軸ネジ部材56のネジ頭が前蓋61と当接するように、奥側壁44に配置されたY軸押圧手段53でY軸方向に押圧することによって、光学素子カセット30のY軸方向の位置が定められる。
【0102】
そして、前蓋61に形成された2個のY軸長孔64を貫通して、2本の調整ドライバ71をY軸ネジ部材56の六角穴に嵌め込み時計回り或いは反時計回りに回転し、Y軸ネジ部材55のネジ頭の、光変調素子ホルダ32の側壁からの、突出量を変えることで、光学素子カセット30をY軸方向(第2の位置調整方向)に往復移動することが可能となる。
【0103】
従って、光変調素子31の光軸と光学装置100の光軸合わせは、この第1の位置調整手段のX軸ネジ部材55、第2の位置調整手段のY軸ネジ部材56の突出量で調整することが可能となる。しかも、X軸ネジ部材55及びY軸ネジ部材56は、光変調素子31を
有する光学素子カセット30に組み込まれ一体となっているから、その突出量が光軸合わせの一致した位置データとなる。
【0104】
言い換えると、光学素子カセット30は、組み込みの初回に光軸調整を行なうだけで、光変調素子31の光軸位置データをX軸ネジ部材55及びY軸ネジ部材56の突出量で保持することになり、光学素子カセット30の出し入れ交換を行ったとしても、光軸合わせに再現性を有し、再調整が不要となる。
【0105】
更に、クランプネジ57は、光変調素子ホルダ32上面からX軸ネジ部材55及びY軸ネジ部材56を固定することが可能に設けられ、光軸合わせ調整後にX軸ネジ部材55及びY軸ネジ部材56にネジ込み締め付けることにより突出量が確実に固定され、更に、再現性の確実な光学素子カセット30を提供することが可能となる。
【0106】
図13は、X軸ネジ部材55と下蓋の右側壁43のX軸長孔49との位置関係を説明する図であって、
図11の矢視Gから見た部分的な正面図である。
図13に示すように、X軸長孔49のスリット幅W4は、X軸ネジ部材55のネジ頭のフラット部552より狭く、ネジ頭の六角穴551に嵌合する調整ドライバ71の太さより少し大きい寸法に設定されている。従って、X軸押圧手段から受ける力をネジ頭のフラット部552で安定して受け止めることが可能な構成となっている。また、X軸長孔49の長さは、光学素子カセット30のY軸方向の移動距離より少し長く設定される。従って、Y軸ネジ部材56の突出量にかかわらず、X軸ネジ部材55の調整を行うことができる。
Y軸ネジ部材56と前蓋61のY軸長孔64に関しても、この構成は同様に形成されている。
【0107】
図14は、左側壁42に光学素子カセット30の左側側面が当接するように調整ドライバ71を反時計方向に回して、X軸ネジ部材55を突出させたときの光学ユニット1の平面図である。
図14に示すように、
図3(b)と同様に、この光学素子カセット30が左端一杯に寄った位置にあって、光学素子カセット30と連動して移動するコネクタ33及び外部ケーブル70と開口部62の間に隙間δが干渉を防止するために設定されていることを示す。
すなわち、第1の実施形態と全く同様に、光軸調整の移動範囲が確保され、光学素子カセット30の容易な高精度の位置調整が可能であり、光軸合わせに再現性を有する光学素子カセットの提供が可能となる。なお、調整ドライバ71はX軸ネジ部材55又はYネジ部材56の突出量を調整するために接続されたままでもよいが、光軸合わせ後は不必要であるため取り外してもよい。
【0108】
以上、本発明の好ましい実施形態の光学装置として、光軸調整の厳しい顕微鏡用の光学装置で説明してきたが、その他、光ピックアップ、眼底検査装置(OCT)、プロジェクタ等の光学系を有する光学装置に応用可能である。
【0109】
なお、本発明は、上述した光学装置の実施例や変形例に限定されることはなく、それらの全てを行う必要もなく、特許請求の範囲の各請求項に記載した内容の範囲で種々に変更や省略をすることが出来ることは言うまでもない。