特許第6502190号(P6502190)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502190
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/02 20060101AFI20190408BHJP
【FI】
   F24C7/02 501J
   F24C7/02 551J
   F24C7/02 501H
   F24C7/02 511Z
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-124449(P2015-124449)
(22)【出願日】2015年6月22日
(65)【公開番号】特開2017-9182(P2017-9182A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2017年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】302071092
【氏名又は名称】三洋テクノソリューションズ鳥取株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(72)【発明者】
【氏名】萩原 伸一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真知子
(72)【発明者】
【氏名】山澤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】綿口 里枝
(72)【発明者】
【氏名】三上 幸治
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−147225(JP,A)
【文献】 実開平03−103597(JP,U)
【文献】 特開昭60−165088(JP,A)
【文献】 特開2014−042602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物が収容される調理室と、
前記調理室内に高周波を供給する高周波供給部と、
前記調理室の底面に設けられた金属製の設置部と、
前記設置部に載せられて接触する接触部が金属製であり、撹拌用の羽根を有する容器と、
前記羽根を駆動するための動力を供給する動力供給部と、
前記動力供給部を動作させながら前記高周波供給部を動作させる制御部と、
前記接触部が前記設置部から離れる方向に動かないよう、前記容器を着脱可能に前記調理室内に固定する固定部と、を備える、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記固定部は、前記接触部が前記設置部に接触する方向への力を前記容器に付与する、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項2に記載の加熱調理器において、
前記接触部は、容器本体の底部に設けられ、当該容器本体を支える台座部を含み、
前記台座部には、外側に張り出す突起部が形成され、
前記固定部は、前記設置部に設けられ、前記台座部が前記設置部に置かれ水平方向に回転されたときに前記突起部の上方に重なるようにして前記突起部に係合する係合部を含み、
前記係合部は、前記設置部に固定された根元部が上方に撓むことができ、
前記突起部が前記係合部に係合すると、前記係合部が上方に押し上げられて前記根元部が撓み、前記係合部から前記突起部に対して押し下げる力が付与される、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の加熱調理器において、
前記容器に、前記接触部を囲み、前記接触部に向う高周波をシールドするシールド壁部が設けられる、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項5】
請求項4に記載の加熱調理器において、
前記シールド壁部の内側に、周期構造体が設けられる、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項6】
請求項4または5に記載の加熱調理器において、
前記容器が前記調理室内に設置されない状態では、前記シールド壁部の下面が、前記接触部における前記設置部との接触面よりも低くされ、
前記設置部における前記接触部との接触面は、前記設置部の周囲の前記調理室の底面より高くされ、
前記容器が前記調理室内に設置され、前記接触部と前記設置部の接触面同士が接触した状態では、前記シールド壁部と前記設置部の周囲の前記調理室の底面との間に、スパークを生じさせないだけの隙間が形成される、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一項に記載の加熱調理器において、
ガスの炎を熱源とする熱風を前記調理室に供給する熱風供給部を、さらに備え、
前記制御部は、前記動力供給部を動作させながら前記高周波供給部と前記熱風供給部を動作させる、
ことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーブンレンジ、電子レンジ等、被調理物を高周波により加熱する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、調理室内に撹拌羽根を備えた撹拌容器を設置し、撹拌容器に収容した具材を撹拌しながら高周波により加熱する電子レンジが知られている。かかる電子レンジは、たとえば、特許文献1に記載されている。特許文献1の電子レンジでは、撹拌容器は、誘電体(絶縁体)により構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−071213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、かかる電子レンジにおいて、撹拌容器を金属材料により形成する構成が採られ得る。この撹拌容器が、調理室の底面等、金属製である設置部に設置された場合、調理室内に高周波が導入されたときに、撹拌容器と当該撹拌容器に接触する設置部の間では、導入された高周波の影響で帯電による電位差ができ、スパークが生じる虞がある。
【0005】
かかる課題に鑑み、本発明は、被調理物を高周波により加熱できる加熱調理器において、撹拌機能を有する容器を金属材料により形成した場合に、かかる容器と調理室との間でのスパークの発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主たる態様に係る加熱調理器は、被調理物が収容される調理室と、前記調理室内に高周波を供給する高周波供給部と、前記調理室の底面に設けられた金属製の設置部と、前記設置部に載せられて接触する接触部が金属製であり、攪拌用の羽根を有する容器と、前記羽根を駆動するための動力を供給する動力供給部と、前記動力供給部を動作させながら前記高周波供給部を動作させる制御部と、前記接触部が前記設置部から離れる方向に動かないよう、前記容器を着脱可能に前記調理室内に固定する固定部とを備える。
【0007】
上記の構成によれば、接触部と設置部の接触面同士をしっかりと密着させておくことができるので、高周波による加熱が行われる際に、前記容器と設置部との間に高周波の影響による電位差が発生しない。よって、容器と調理室との間でスパークが生じることを防止できる。
【0008】
本態様に係る加熱調理器において、前記固定部は、前記接触部が前記設置部に接触する方向への力を前記容器に付与する構成とされ得る。
【0009】
たとえば、前記接触部は、容器本体の底部に設けられ、当該容器本体を支える台座部を含み、前記台座部に、外側に張り出す突起部が形成される。前記固定部は、前記設置部に設けられ、前記台座部が前記設置部に置かれ水平方向に回転されたときに前記突起部の上方に重なるようにして前記突起部に係合する係合部を含み、前記係合部は、前記設置部に固定された根元部が上方に撓むことができる。前記突起部が前記係合部に係合すると、前記係合部が上方に押し上げられて前記根元部が撓み、前記係合部から前記突起部に対して押し下げる力が付与される。
【0010】
上記の構成によれば、接触部(台座部)と設置部の接触面同士の密着性が良くなるので、容器と調理室との間のスパークの防止効果が一層高まる。
【0011】
本態様に係る加熱調理器において、前記容器に、前記接触部を囲み、前記接触部に向う高周波をシールドするシールド壁部が設けられ得る。
【0012】
上記の構成によれば、シールド壁部の内側への高周波の侵入が抑制されるので、接触部、特に接触部の接触面部分へ高周波が集中することを防止できる。これにより、容器と調理室との間のスパークの防止効果がさらに一層高まる。
【0013】
上記の構成とされた場合、さらに、前記シールド壁部の内側に、周期構造体が設けられ得る。
【0014】
このような構成とされれば、周期構造体によって高周波を減衰させることができるので、シールド壁部の内側への高周波の侵入をより一層抑制することができる。
【0015】
また、上記のように、前記容器にシールド壁部が設けられる構成とされた場合、さらに、前記容器が前記調理室内に設置されない状態では、前記シールド壁部の下面が、前記接触部における前記設置部との接触面よりも低くされ得る。この場合、前記設置部における前記接触部との接触面は、前記設置部の周囲の前記調理室の底面より高くされ得る。これにより、前記容器が前記調理室内に設置され、前記接触部と前記設置部の接触面同士が接触した状態では、前記シールド壁部と前記設置部の周囲の前記調理室の底面との間に、スパークを生じさせないだけの隙間が形成される。
【0016】
このような構成とされれば、容器を加熱調理器から取り出してテーブル等の載置台に置いたとき、シールド壁部で容器本体を支えることでき、容器を安定して載置台に置くことができる。さらに、容器を調理室内に設置したときには、シールド壁部と調理室の底面との間でスパークが生じることを防止できる。
【0017】
本態様に係る加熱調理器において、ガスの炎を熱源とする熱風を前記調理室に供給する熱風供給部を、さらに備える構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記動力供給部を動作させながら前記高周波供給部と前記熱風供給部を動作させる。
【0018】
上記の構成によれば、容器による撹拌時に調理室内に熱風と高周波の双方が供給されるので、撹拌容器内の被調理物の加熱効果を高めることができ、調理時間の短縮が図れる。しかも、熱風は、ガスの炎を熱源とする熱風供給部から供給されるので、熱風と高周波の双方が供給される場合であっても、電気容量を気にする必要がない。
【発明の効果】
【0019】
以上のとおり、本発明によれば、被調理物を高周波により加熱できる加熱調理器において、撹拌機能を有する容器を金属材料により形成した場合に、かかる容器と調理室との間でスパークが発生することを防止できる。
【0020】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態に係る、加熱調理器の構成を示す図である。
図2】実施の形態に係る、加熱調理器の構成を示す図である。
図3】実施の形態に係る、駆動装置の構成を示す図である。
図4】実施の形態に係る、撹拌容器の構成を示す図である。
図5】実施の形態に係る、撹拌容器の構成を示す図である。
図6】実施の形態に係る、調理室の底面に設けられた設置台への撹拌容器の設置について説明するための図である。
図7】実施の形態に係る、加熱調理器の構成を示すブロック図である。
図8】変更例に係る、撹拌容器の構成を示す図である。
図9】変更例に係る、撹拌容器の構成を示す図である。
図10】その他の変更例にかかる、調理室の底面自身が撹拌容器の設置部とされる構成の一例を示す図である。
図11】その他の変更例にかかる、設置台の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1および図2は、加熱調理器1の構成を示す図である。図1(a)は、加熱調理器1の正面図である。図1(b)は、加熱調理器1の正面断面図である。図2(a)は、調理室20内にターンテーブル60が設置された状態を示す図であり、図2(b)は、調理室20内に撹拌容器70が設置された状態を示す図である。
【0024】
本実施の形態において、加熱調理器1は、ガスバーナーで加熱された熱風によるオーブン加熱調理と、マグネトロンから放出された高周波(マイクロ波)による電子レンジ加熱調理と、熱風と高周波によるコンビ加熱調理とが可能なガスオーブンレンジである。この他、加熱調理器1は、電子オーブンレンジ、電子レンジ等、他の種類の加熱調理器であっても良い。
【0025】
加熱調理器1は、ほぼ方形の箱状に形成された金属製の筐体10を備えている。筐体10内には、調理室20が設けられている。調理室20は、ほぼ方形の箱状に形成されており、前面が開口している。調理室20は、金属材料により形成されている。調理室20の前面は、筐体10のドア11で開閉される。ドア11は、下端部の両側が回転可能に支持されており、ユーザが持ち手部11aを持ってドア11を前方に引くと、ドア11が下方に倒れるように開放される。
【0026】
筐体10の正面には、ドア11に隣接して操作パネル12が設けられている。操作パネル12には、各種の操作ボタンや表示器が配置されている。操作ボタンは、各種調理コースを選択するためのボタン、スタート操作を行うためのボタン等を含む。調理コースの中に、後述する自動調理を行う自動調理コースが含まれる。
【0027】
調理室20の後方には、熱風供給ユニット30が設けられており、調理室20の後面に形成された導入口21と導出口22とが、熱風供給ユニット30に連通している。熱風供給ユニット30は、ガスバーナー、送風ファン等を含み、送風ファンによって生起されガスバーナーで加熱された熱風が導入口21から調理室20内に導入される。導入された熱風によって調理室20内の食品が加熱される。熱風は、導出口22から導出されて熱風供給ユニット30に戻され、再び加熱される。
【0028】
調理室20の側方には、高周波供給ユニット40が設けられている。高周波供給ユニット40は、マグネトロン41と導波管42を含み、マグネトロン41が発生した高周波が導波管42を通って調理室20内に導入される。導入された高周波によって、調理室20内の食品が高周波加熱される。
【0029】
調理室20は、取付板13等を介して筐体10に固定される。調理室20は、筐体10および筐体10に接続されたアース線を介して接地されている。
【0030】
調理室20の下方には、駆動装置50が配置されている。駆動装置50は、ターンテーブル60と撹拌容器70の撹拌羽根を回転させる。
【0031】
図2(a)に示すように、熱風や高周波により食品の単純な加熱調理を行う際には、調理室20内にターンテーブル60が設置される。ターンテーブル60の上に、食品を載せたバットや皿が置かれる。
【0032】
加熱調理器1は、撹拌容器70を用いた自動調理の機能を備えている。自動調理の際、図2(b)に示すように、調理室20内に、撹拌羽根を有する撹拌容器70が設置される。撹拌容器70は、調理室20の底面に設けられた設置台120に取り外し可能に固定される。自動調理では、たとえば、切られた具材が撹拌容器70内に投入され、撹拌容器70内で撹拌されながら熱風供給ユニット30からの熱風と高周波供給ユニット40からの高周波とにより加熱される。このようにして、ユーザは、加熱調理器1を用いて、カレーや煮物料理を作ることができる。自動調理には、パン焼きの調理が含まれる。撹拌容器70内に生地材料が投入され、撹拌される。こうして、撹拌容器70内でパン生地が生成される。その後、熱風と高周波とによりパン生地が加熱され、パンが焼き上げられる。このようにして、ユーザは、加熱調理器1を用いて、パンを焼き上げることができる。
【0033】
図3は、駆動装置50の構成を示す図であり、図3(a)は駆動軸110の周辺の平面図、図3(b)は駆動軸110の周辺の断面図である。
【0034】
図1および図3を参照して、駆動装置50は、駆動軸110と、設置台120と、固定具130と、軸受ケース140と、出力カム150と、駆動モータ160と、伝達機構部170と、を含む。
【0035】
駆動軸110は、円筒状に形成され、上部に軸挿入穴111が形成されている。図2(a)に示すように、ターンテーブル60には、底面の中央に回転軸61が形成されており、この回転軸61の先端部が軸挿入穴111に挿入されることにより、回転軸61と駆動軸110とが連結される。
【0036】
設置台120は、アルミニウム等の金属材料により円盤状に形成されており、表面に円形の凹部121が形成されている。凹部121には、中央に軸孔122が形成されている。取付板13および調理室20の底部を貫通した駆動軸110が軸孔122に通され、その先端部が凹部121内に突き出す。
【0037】
固定具130は、金属材料により形成されており、複数の係合爪部131と、係合爪部131を繋ぐ環状の取付部132とを含む。係合爪部131は、凹部121の内周面から内側に突き出すように、凹部121の上部においてほぼ均等な間隔で配置される。係合爪部131の底面131aは、上から見て右回り方向に向うに従って、その高さが低くなるよう、即ち、凹部121の底面121aとの隙間が狭くなるように傾斜している。固定具130は、取付部132が設置台120の上面にネジ133で止められる。ネジ133で止められる位置は、係合爪部131の根元部分の位置となる。
【0038】
軸受ケース140は、円筒状の軸受141を備え、軸受141により駆動軸110を回転可能に支持している。
【0039】
出力カム150は、円形のボス部151と、ボス部151の両側に形成された出力羽根152とを含む。出力カム150は、ボス部151が駆動軸110の上端部に固定され、凹部121内に配置される。
【0040】
駆動モータ160は、取付板13に取り付けられる。駆動モータ160と駆動軸110とは、伝達機構部170により連結されている。伝達機構部170は、駆動軸110に固定される大プーリー171と、駆動モータ160に固定される小プーリー172と、大プーリー171と小プーリー172に架け渡されるベルト173とを含む。駆動モータ160の動力が伝達機構部170を介して駆動軸110に伝達される。
【0041】
次に、撹拌容器70の構成について説明する。図4および図5は、撹拌容器70の構成を示す図である。図4(a)は撹拌容器70の平面図であり、図4(b)は撹拌容器70の底面図である。図5は、撹拌容器70の正面断面図である。なお、図5は、撹拌容器70が、テーブルなど載置台に置かれた状態を示している。
【0042】
撹拌容器70は、容器本体210と、台座部220と、シールド壁部230と、翼軸240と、撹拌羽根250と、入力カム260とを含む。
【0043】
容器本体210は、アルミニウム等の金属材料で形成された底の深い丸鍋である。容器本体210の形状は、丸鍋の形状に限られるものではなく、如何なるものであってもよい。
【0044】
台座部220は、上面が閉鎖され底面が開放された円筒形状を有し、容器本体210を支える。台座部220は、アルミニウム等の金属材料により形成されている。台座部220の外周面の下端部には、外側に張り出すように、ほぼ均等な間隔を置いて複数の爪部221が形成されている。爪部221の高さは、図3(b)に示す、係合爪部131の底面131aの中央と設置台120の凹部121の底面121aとの間の隙間Sと等しくされている。
【0045】
シールド壁部230は、円筒形状を有し、台座部220を囲むように設けられている。シールド壁部230は、金属材料により台座部220と一体に形成されている。シールド壁部230の下端面230aは、円弧状に形成されており、台座部220の下端面220aよりも低くされている。このため、図5に示すように、撹拌容器70を加熱調理器1から取り出してテーブル等の載置台に置いたとき、台座部220よりも外径の大きなシールド壁部230で容器本体210を支えることできる。よって、撹拌容器70を安定して載置台に置くことができる。
【0046】
シールド壁部230が一体形成された台座部220は、ネジ270により容器本体210の底部に固定される。台座部220の上部にはすべり軸受222が設けられており、台座部220はすべり軸受222によって翼軸240を回転可能に支持している。
【0047】
撹拌羽根250は、ボス部251と、ボス部251から外側に延びる羽根252とを含み、ボス部251が翼軸240の先端部に装着されている。入力カム260は、台座部220内に配置され、翼軸240の下部に固定されている。入力カム260には、両側に下方に延びる入力羽根261が形成されている。
【0048】
図6は、調理室20の底面に設けられた設置台120への撹拌容器70の設置について説明するための図である。図6(a)は、撹拌容器70の台座部220が設置台120に固定される前の状態を示し、図6(b)および(c)は、撹拌容器70の台座部220が設置台120に固定された状態を示す。なお、図6(a)および(b)では、設置台120への装着動作が分かりやすいよう、台座部220の途中で水平に切断した平面図が用いられている。
【0049】
撹拌容器70が、設置台120に装着される際には、まず、図6(a)に示すように、台座部220の爪部221が、固定具130の係合爪部131に当たらないように、台座部220が設置台120の凹部121に収容される。その後、図6(b)に示すように、台座部220の爪部221の上方に固定具130の係合爪部131が重なる位置まで、撹拌容器70が水平に右回り方向に回転される。爪部221と係合爪部131とが係合することにより、撹拌容器70が設置台120から上方に外れなくなる。
【0050】
ここで、爪部221の高さは、係合爪部131と凹部121の底面との間の最も狭い隙間より大きい。また、係合爪部131は、根元部分で上方に少し撓むことができる。このため、図6(c)に示すように、爪部221が係合爪部131に完全に重なった状態では、爪部221が係合爪部131を僅かに押し上げた状態となり、上方に撓んだ係合爪部131からは、図の太矢印で示すように、爪部221に対して下に押す力が付与される。これにより、台座部220の下端面220aと設置台120の凹部121の底面121a、即ち台座部220と凹部121の接触面同士の密着性が良くなる。
【0051】
図6(c)に示すように、撹拌容器70が設置台120に装着された状態では、シールド壁部230の下端面230aと設置台120の周囲の調理室20の底面との間に隙間Dが生じる。その隙間Dは、シールド壁部230の下端面230aに、万一、高周波が集中しても調理室20の底面との間でスパークが生じない値に設定される。シールド壁部230と調理室20の底面との間に十分な隙間Dが確保できるよう、凹部121の底面121aの調理室20の底面からの高さHが設定される。また、シールド壁部230の下端面230aは、円弧形状(R形状)を有しているため、下端面230aに高周波が集中しにくい。
【0052】
撹拌容器70が設置台120に装着されると、台座部220の内部では、入力カム260の入力羽根261が出力カム150の出力羽根152に係合し、撹拌容器70の翼軸240が駆動軸110に連結される。
【0053】
駆動モータ160が駆動されると、駆動モータ160の回転が伝達機構部170によって駆動軸110に伝達され、駆動軸110が伝達機構部170による減速比に従って減速された回転数で回転する。駆動軸110に連結された翼軸240が回転し、容器本体210において撹拌羽根250が回転する。撹拌羽根250の回転によって、撹拌容器70内に収容された被調理物が撹拌される。
【0054】
撹拌容器70内での被調理物の撹拌と同時に、高周波供給ユニット40と熱風供給ユニット30が動作し、調理室20内に高周波と熱風が供給される。撹拌容器70内の被調理物が高周波と熱風により加熱される。ここで、図6(c)に示すように、調理室20内に供給された高周波Mはシールド壁部230でシールドされるため、シールド壁部230の内側への高周波Mの侵入が防止される。
【0055】
図7は、加熱調理器1の構成を示すブロック図である。
【0056】
加熱調理器1は、上述した各構成に加えて、制御部300と、温度センサ301と、重量センサ302とを含む。温度センサ301は、調理室20内の温度を検出する。重量センサ302は、調理室20内に収容された被調理物の重量を検出する。制御部300は、操作パネル12、温度センサ301、重量センサ302等からの入力に基づいて、熱風供給ユニット30のガスバーナー31および送風ファン32、高周波供給ユニット40のマグネトロン41、駆動装置50の駆動モータ160等の動作を制御する。
【0057】
操作パネル12で自動調理コースが選択されてスタート操作がなされると、制御部300は、自動調理コースの運転を開始し、駆動モータ160を動作させながら、高周波供給ユニット40(マグネトロン41)および熱風供給ユニット30(ガスバーナー31および送風ファン32)を動作させる。上述の通り、撹拌容器70内で被調理物が撹拌されつつ加熱される。
【0058】
<実施形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、以下の効果が奏される。
【0059】
撹拌容器70の台座部220を固定具130によって設置台120から上方に離れないように固定したので、撹拌動作が行われた際などに、台座部220と設置台120の接触面同士をしっかりと密着させておくことができる。これにより、高周波による加熱が行われる際に、台座部220と設置台120との間に高周波の影響による電位差が発生しない。よって、撹拌容器70と調理室20との間でスパークが生じることを防止できる。
【0060】
また、台座部220が固定具130に固定された状態で、固定具130の係合爪部131から台座部220の爪部221に対して下に押す力が付与されるので、台座部220と凹部121の接触面同士の密着性が良くなる。さらに、係合爪部131は、撹拌羽根250が回転すると締まる方向に底面131aが傾斜しており、調理運転中に一層強く接触面同士を密着させる力が働く。よって、撹拌容器70と調理室20との間のスパークの防止効果が一層高まる。
【0061】
さらに、シールド壁部230の内側への高周波の侵入が抑制されるので、台座部220、特に台座部220の下端部分(接触面部分)へ高周波が集中することを防止できる。これにより、撹拌容器70と調理室20との間のスパークの防止効果がさらに一層高まる。
【0062】
さらに、撹拌容器70による撹拌時に調理室20内に熱風と高周波の双方が供給されるので、撹拌容器70内の被調理物の加熱効果を高めることができ、調理時間の短縮が図れる。しかも、熱風は、ガスの炎を熱源とする熱風供給ユニット30から供給されるので、熱風と高周波の双方が供給される場合であっても、電気容量を気にする必要がない。
【0063】
<変更例>
図8および図9は、変更例に係る、撹拌容器70の構成を示す図である。図8は撹拌容器70の正面断面図であり、図9は撹拌容器70の底面図である。
【0064】
本変更例の撹拌容器70では、上記実施の形態のシールド壁部230と構成の異なるシールド壁部280によって、台座部220が囲まれる。
【0065】
シールド壁部280は、方形筒状を有するとともに、各コーナーにアールが形成されている。シールド壁部280の内側には、周期構造体281がシール壁部280と一体形成される。周期構造体281は、シールド壁部280に沿って周期配列された複数の小片282により構成される。シールド壁部280と調理室20の底面との隙間からシールド壁部280の内側に侵入しようとする高周波M1(図8の点線矢印)は、周期構造体281の内部から戻ってきた高周波M2(図8の一点鎖線矢印)であって、侵入しようとする高周波M1とは波長が半波長ずれた高周波M2と干渉する。これにより、侵入しようとする高周波M1が減衰される。
【0066】
このように、本変更例の構成によれば、周期構造体281によって高周波を減衰させることができるので、シールド壁部280の内側への高周波の侵入をより一層抑制することができる。
【0067】
<その他の変更例>
以上、本発明の実施の形態および変更例について説明したが、本発明は上記実施の形態および変更例に何ら制限されるものではない。
【0068】
たとえば、上記実施の形態では、撹拌容器70が設置される設置部として、調理室20の底面に設置台120が設けられる。しかしながら、設置台120が設けられず、調理室20の底面自身が撹拌容器70の設置部とされる構成が採られてもよい。
【0069】
図10は、調理室20の底面自身が撹拌容器70の設置部とされる構成の一例を示す図である。
【0070】
この例では、上記実施の形態と同様、シールド壁部230と調理室20の底面との間に隙間を確保するため、調理室20の底面の一部(中央部)を隆起させて設置部20aを形成するようにしている。設置部20aには、複数の係合爪部136と環状の取付部137とからなる固定具135がネジ138により固定されている。撹拌容器70の台座部220が設置部20aに装着され、上方に離れないように固定具135で固定される。なお、図10の太矢印に示すように、係合爪部136の根元部分が撓むことにより、台座部220の爪部221に対して下方への力が付与される点は、上記実施の形態と同様である。
【0071】
上記実施の形態では、撹拌容器70を固定する固定部が、設置台120と別に構成された固定具130とされている。しかしながら、たとえば、図11に示すように、設置台120の凹部121の内周面に、内側へ張り出すように、固定部となる係合爪部125が一体形成されてもよい。
【0072】
上記実施の形態では、複数の係合爪部131を有する固定具130により、撹拌容器70が固定されるが、撹拌容器70を固定する固定部の構成は、撹拌容器70が設置台120から上方に外れない構造であれば、如何なる構造であってもよい。
【0073】
上記実施の形態では、撹拌容器70を用いた自動調理を行う場合、熱風と高周波が調理室20内に供給される。しかしながら、高周波のみの供給により自動調理が行われてもよい。あるは、加熱調理器1は、高周波のみの供給による自動調理と、熱風のみによる自動調理と、熱風と高周波による自動調理の3種類の自動調理が可能であってもよい。
【0074】
上記の実施の形態では、撹拌容器70は、被調理物を撹拌する機能の他、パン生地等の生地材料を混錬する機能を有する。しかしながら撹拌容器70は、生地材料の混錬機能がなくてもよく、また、生地材料の混錬機能のみを有していてもよい。
【0075】
上記実施の形態では、シールド壁部230が、台座部220と一体形成されている。しかしながら、容器本体210と一体形成されてもよい。あるいは、台座部220および容器本体210の何れとも別体に形成されてもよい。また、容器本体210、台座部220およびシールド壁部230が一体形成されてもよく、容器本体210と台座部220が一体形成され、これらとは別体にシールド壁部230が形成されてもよい。
【0076】
上記実施の形態では、熱風供給ユニット30が設けられ、オーブン加熱調理機能が加熱調理器1に搭載されたが、オーブン加熱調理機能が省略され、電子レンジ加熱調理機能のみが加熱調理器1に搭載されても良い。
【0077】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 … 加熱調理器
20 … 調理室
20a … 設置部
30 … 熱風供給ユニット(熱風供給部)
40 … 高周波供給ユニット(高周波供給部)
50 … 駆動装置
70 … 撹拌容器(容器)
120 … 設置台(設置部)
130 … 固定具(固定部)
131 … 係合爪部(係合部)
160 … 駆動モータ(動力供給部)
210 … 容器本体
220 … 台座部(接触部)
221 … 爪部(突起部)
230 … シールド壁部
250 … 撹拌羽根(撹拌用の羽根)
280 … シールド壁部
281 … 周期構造体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11