特許第6502197号(P6502197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502197
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】バルブ構造
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/70 20160101AFI20190408BHJP
   F16K 1/22 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   F02M26/70 301
   F02M26/70 351
   F16K1/22 E
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-133569(P2015-133569)
(22)【出願日】2015年7月2日
(65)【公開番号】特開2017-15194(P2017-15194A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207791
【氏名又は名称】大豊工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 亮治
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 実開平6−14635(JP,U)
【文献】 実開平1−173353(JP,U)
【文献】 特開平9−112710(JP,A)
【文献】 実開昭59−116669(JP,U)
【文献】 米国特許第5630571(US,A)
【文献】 実開平4−13870(JP,U)
【文献】 特開2015−169280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00−1/54
F02M 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路を形成する円筒状のスリーブと、該スリーブの内部で回動可能に配置され、前記流路の上流側と下流側とを区画するバルブと、を備えるバルブ構造であって、
前記バルブは、前記流路を開閉可能な円板状のバルブ本体と、該バルブ本体が固定されるシャフトと、を備え、
前記バルブ本体は、前記シャフトの軸心部分を通って半径方向に貫通する貫通溝に挿入されて組付けられることにより前記スリーブの内部で回動可能とされ、
前記シャフトは、前記バルブ本体よりも軸心方向外側の部分の周囲に筒状のカラー部材が嵌装され、
前記シャフトの前記貫通溝と前記バルブ本体との間に形成される隙間が、前記カラー部材により閉塞される、バルブ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路を開閉するバルブ構造の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用エンジンの排気ガス再循環装置(EGR:Exhaust Gas Recirculation)等に用いられる流量制御バルブにおいて、流路を形成する円筒状のスリーブを円板状のバルブで開閉するバルブ構造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−263723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては図5に示す如く、シャフトには軸心部分を通って半径方向に貫通する貫通溝が開口され、この貫通溝にバルブ本体が挿入された状態でバルブが形成される。そして、スリーブの内周面に挿通孔が開口され、バルブのシャフトが挿通孔に挿通された状態で軸受に支持されることにより、バルブがスリーブの内部で回動可能とされる。しかし、バルブが流路を閉塞した際に、図5中の矢印Xに示す如く、シャフトの貫通溝とバルブ本体との間の隙間を通じてEGRガス等の流体が流通し、この隙間から流体が洩れるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は係る課題に鑑み、バルブが流路を閉塞した際に、シャフトの貫通溝とバルブ本体との間の隙間を通じたEGRガス等の流体を遮断し、バルブが流路を閉塞した際に流体が洩れることを防止することが可能なバルブ構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、流体の流路を形成する円筒状のスリーブと、該スリーブの内部で回動可能に配置され、前記流路の上流側と下流側とを区画するバルブと、を備えるバルブ構造であって、前記バルブは、前記流路を開閉可能な円板状のバルブ本体と、該バルブ本体が固定されるシャフトと、を備え、前記バルブ本体は、前記シャフトの軸心部分を通って半径方向に貫通する貫通溝に挿入されて組付けられることにより前記スリーブの内部で回動可能とされ、前記シャフトは、前記バルブ本体よりも軸心方向外側の部分の周囲に筒状のカラー部材が嵌装され、前記シャフトの前記貫通溝と前記バルブ本体との間に形成される隙間が、前記カラー部材により閉塞されるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
すなわち、本発明に係るバルブ構造によれば、バルブが流路を閉塞した際に、シャフトの貫通溝とバルブ本体との間の隙間を通じたEGRガス等の流体を遮断し、バルブが流路を閉塞した際に流体が洩れることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一実施形態に係るバルブ構造を示す断面図。
図2】バルブ構造が備えるスリーブを示した図。
図3】(a)及び(b)はそれぞれ、カラー部材を組付ける前後のバルブ部材を示した図。
図4】第一実施形態に係るバルブ構造が備えるバルブの支持構造を示した図。
図5】従来技術に係るバルブ構造が備えるバルブの支持構造を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図1から図4を用いて、本発明の第一実施形態に係るバルブ構造1を説明する。本実施形態において、バルブ構造1は自動車のEGRに用いられる流量制御バルブである。このバルブ構造1は、図示しない給気管と排気管とを連通させるガス通路2(パイプ)の途中に配設され、流体としてEGRガスがその内部を流通する。本実施形態においては、バルブ構造1の左側をEGRガスの上流側、右側を下流側として説明する。
【0012】
バルブ構造1は、ガス通路2の途中に取り付けた円筒状のハウジング3と、ハウジング3の内周部に相互に逆方向から軸心をずらして挿入したスリーブ(上流側スリーブ4a及び下流側スリーブ4b、以下、「スリーブ4a・4b」と記載する)と、を備える。スリーブ4a・4bはその内周面がEGRガスの流路(上流側流路41及び下流側流路42、以下、「流路41・42」と記載する)を形成する。
【0013】
また、バルブ構造1は、スリーブ4a・4bの内部で回動可能に配置され、上流側流路41と下流側流路42とを区画するバルブ5を備える。バルブ5は、流路41・42を開閉可能な円板状のバルブ本体6と、バルブ本体6をスリーブ4a・4bの内部で回動可能に支持するシャフト7と、を備える。
【0014】
バルブ5は、一端部が図示しない駆動手段(例えば、モータやエアシリンダ)に連結されている。そして、バルブ5はこの駆動手段によって、図1中の矢印Rに示す如く軸心回りの正方向及び逆方向に回動される。図1に示す如く、バルブ本体6の端部がスリーブ4a・4bの先端に当接している際は、バルブ5が流路41・42を閉塞する。また、図1中の二点鎖線に示す如く、バルブ本体6の端部がスリーブ4a・4bの先端から離間している際は、バルブ5は流路41・42を開放する。このように、バルブ5が流路41・42を閉塞又は開放することにより、図示しない給気管と排気管との間においてEGRガスが遮断又は流通される。そして、上記駆動手段によるバルブ5の回動角度を変更することにより、ガス通路2を流通する排気ガスの流量を制御することが出来る。
【0015】
ハウジング3におけるシャフト7の軸心方向の両側部には、図4に示す如く、ハウジング3の軸心と直交する直線上に二か所の貫通孔3hを穿設している。また、ハウジング3に挿入したスリーブ4a・4bの内周面には、貫通孔3hの位置に合わせて、スリーブ4a・4bの軸心方向と直交する方向に挿通孔4hが開口されている。詳細には図2に示す如く、上流側スリーブ4a及び下流側スリーブ4bのそれぞれの先端部に、半円筒状の切欠きが形成されている。そして、この切欠きの位置が一致するように上流側スリーブ4aと下流側スリーブ4bとの先端面を突き合わせることにより、挿通孔4hが形成される。図4に示す如く、シャフト7が挿通孔4hに挿通された状態で、シャフト7の被支持部7cが貫通孔3hに配設された軸受3aに回動可能に支持される。これにより、バルブ5はスリーブ4a・4bの内部で回動可能とされる。
【0016】
図3(a)及び(b)に示す如く、バルブ5はシャフト7にバルブ本体6を組付けることにより形成される。シャフト7には、シャフト7の軸心部分を通って半径方向に貫通する貫通溝7aが開口されている。この貫通溝7aにバルブ本体6を挿入し、ネジ8・8をシャフト7及びバルブ本体6に螺入することにより、バルブ本体6とシャフト7とが組付けられる。
【0017】
図3(a)に示す如く、シャフト7においてバルブ本体6よりもシャフト7の軸心方向外側の部分には、バルブ本体6が挿入される中央部分よりも外径が小さい小径部7b・7bが形成されている。そして、小径部7b・7bには、図3(a)中の矢印Aに示す如く、円筒状のカラー部材71・71が嵌装される。換言すれば、シャフト7の小径部7b・7bはカラー部材71・71に挿入(圧入)されている。これにより、シャフト7の貫通溝7aとバルブ本体6との間に形成される隙間α(図4中の網掛部を参照)が閉塞される。
【0018】
このように、本実施形態に係るバルブ構造1においては、図4に示す如く、カラー部材71・71により、シャフト7の貫通溝7aとバルブ本体6との間に形成される隙間αを閉塞する構成としている。これにより、バルブ5が流路流路41・42を閉塞した際に、貫通溝7aとバルブ本体6との間の隙間を通じてEGRガス等の流体が流通することを防ぐことができ、流体が洩れることを防止できる。
【0019】
1 バルブ構造
4a 上流側スリーブ
4b 下流側スリーブ
5 バルブ
6 バルブ本体
7 シャフト
41 上流側流路
42 下流側流路
71 カラー部材
α 隙間
図1
図2
図3
図4
図5