(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502199
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】孔経路測定方法
(51)【国際特許分類】
E21B 7/04 20060101AFI20190408BHJP
E02D 1/00 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
E21B7/04 Z
E02D1/00
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-141664(P2015-141664)
(22)【出願日】2015年7月15日
(65)【公開番号】特開2017-25477(P2017-25477A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年4月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149206
【氏名又は名称】株式会社大阪防水建設社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 浩
(72)【発明者】
【氏名】山本 彰
(72)【発明者】
【氏名】佐原 守
(72)【発明者】
【氏名】稲川 雄宣
【審査官】
荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−113829(JP,A)
【文献】
特開2011−001773(JP,A)
【文献】
特開2008−275478(JP,A)
【文献】
特開平08−304070(JP,A)
【文献】
特開昭63−015111(JP,A)
【文献】
特開平04−121616(JP,A)
【文献】
特開昭59−044613(JP,A)
【文献】
米国特許第04459759(US,A)
【文献】
特開2004−347490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00−49/10
E02D 1/00−3/115
G01C 1/00−1/14
G01C 5/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に削孔ビッドを備える中空の削孔管を前記削孔ビッドにより掘削しつつ地中へ挿入した後、前記削孔管の内孔へ削孔管の基端部の開口よりセンサープローブを押し込んで削孔管の先端部まで導いた後、前記センサープローブを削孔管の内孔を逆方向へ移行させつつ孔経路を測定する孔経路測定方法であって、
前記センサープローブの後端部にセンサープローブを削孔管の内孔へ押し込むための可撓性のある棒材をセンサープローブの外形より大きい外形の治具を介して接続する準備工程と、
前記削孔管の内孔へ削孔管の基端部の開口より挿入したセンサープローブを前記棒材の押込み操作により削孔管の先端部まで導くセンサープローブの導入工程と、
前記削孔管の内孔を通って後端部の開口より引き出されたセンサープローブのケーブルを引っ張ることより前記治具を一体に伴ってセンサープローブを削孔管の内孔を逆方向へ移行させつつ前記孔経路の測定を行う計測工程とを実施することを特徴とする孔経路測定方法。
【請求項2】
前記センサープローブは、本体部と、ケーブルと、前記ケーブルを前記本体部に接続するためのコネクター部とから成り、前記治具は、前記コネクター部上に被せられる本体部の外形より大きい外形の筒状部に前記棒材が接続される接続部が一体に形成されている請求項1に記載の孔経路測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削孔ビッドによる掘削により地中に挿入された削孔管の内孔の孔経路を計測する孔経路測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地盤の液状化を防止するなどの地盤改良工事のために、地表より地盤中に作業孔を形成し、この孔を通して地盤中に土壌間隙水の移動を防止するための薬液等を注入することが行われている。
この地盤改良工事を建造物下の基礎地盤において行うために、作業孔を形成する工法として、対象建造物周囲の地表面から建造物下向に向かって斜めに曲線削孔を行い、その後、水平方向に向きを変えて直線削孔を行う曲がりボーリング工法が知られている。
【0003】
曲がりボーリング工法には、削孔管の先端部に先端ビットが連結された削孔装置が用いられる。この削孔管は、折り曲げ可能な中空の筒状のものであり、地中に挿入される深さに応じて、挿入方向に複数の筒状体を順次継ぎ足すように連結することで形成される(特許文献1)。
【0004】
また、曲がりボーリング工法においては、削孔が所望の経路で行われているかを確認するために削孔経路の測定を行っている。測定は、削孔管の基端部の開口から削孔管の先端部までセンサープローブを挿入し、センサープローブ内に設けられたセンサーを初期化した後、センサープローブを一定速度で削孔管の基端部まで引っ張って移行させることで行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−209827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
センサープローブに設けられた加速度計や角速度計などのセンサーはセンサープローブの姿勢の急激な変化により測定誤差が生じやすい。このため、削孔経路の測定を行う際には、センサープローブの姿勢に急激な変化が生じないことが求められる。
しかし、削孔管は複数の筒状体を連結しているため、隣り合う筒状体の連結部分で内壁面が連続せずに段差が生じている場合がある。また、削孔管内に供給された薬剤等が削孔管の内壁に固まって付着し、段差となる場合がある。削孔経路の測定においては、センサープローブを削孔管の基端部に向けて引っ張る際にセンサープローブが段差に引っかかって跳ね、径方向に急激に動いて測定値に大きい誤差が生じるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記した課題に着目してなされたものであり、センサープローブを削孔管の基端部に向けて引っ張る際に、センサープローブの姿勢に大きな変化が生じることを防止する孔経路測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の孔経路測定方法は、先端に削孔ビッドを備える中空の削孔管を前記削孔ビッドにより掘削しつつ地中へ挿入した後、前記削孔管の内孔へ削孔管の基端部の開口よりセンサープローブを押し込んで削孔管の先端部まで導いた後、前記センサープローブを削孔管の内孔を逆方向へ移行させつつ孔経路を測定するものであって、前記センサープローブの後端部にセンサープローブを削孔管の内孔へ押し込むための可撓性のある棒材をセンサープローブの外形より大きい外形の治具を介して接続する準備工程と、前記削孔管の内孔へ削孔管の基端部の開口より挿入したセンサープローブを前記棒材の押込み操作により削孔管の先端部まで導くセンサープローブの導入工程と、前記削孔管の内孔を通って後端部の開口より引き出されたセンサープローブのケーブルを引っ張ることより前記治具を一体に伴ってセンサープローブを削孔管の内孔を逆方向へ移行させつつ前記孔経路の測定を行う計測工程とを実施することを特徴とし、上記の目的はこの孔経路測定方法により達成される。
【0009】
上記の構成によれば、孔経路の測定時に削孔管の内孔においては、センサープローブのケーブルが引っ張られることにより、センサープローブは自身の外形より大きい外形の治具を一体に伴って押し込み方向とは逆方向に移行する。この時、センサープローブには、治具を介して接続された棒材によってケーブルによる引っ張り力と反対方向の力が作用し、また、センサープローブには冶具の重量や棒材の重量が加わるため、削孔管の内孔の段差にセンサープローブの本体部や冶具が引っ掛かっても、センサープローブが跳ねにくくなる。また、跳ねた場合であっても、センサープローブの外形よりも大きい外形の冶具が削孔管の内壁面に当たるため、センサープローブの径方向の変位は冶具と削孔管の内壁面までの距離に抑えられ、センサープローブの姿勢に大きな変化が生じることを防止することができる。
【0010】
好ましい実施形態においては、前記センサープローブは、本体部と、ケーブルと、前記ケーブルを前記本体部に接続するためのコネクター部とから成り、前記治具は、前記コネクター部上に被せられる本体部の外形より大きい外形の筒状部に前記棒材が接続される接続部が一体に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る孔経路測定方法によると、孔経路の測定時に削孔管の内孔においては、センサープローブのケーブルが引っ張られることにより、センサープローブは自身の外形より大きい外形の治具を一体に伴って押し込み方向とは逆方向に移行する。この時、センサープローブには治具を介して接続された棒材によってケーブルによる引っ張り力と反対方向の力が作用し、また、センサープローブには冶具の重量や棒材の重量が加わるため、削孔管の内孔の段差にセンサープローブの本体部や冶具が引っ掛かっても、センサープローブが跳ねにくくなる。また、跳ねた場合であっても、センサープローブの外形よりも大きい外形の冶具が削孔管の内壁面に当たるため、センサープローブの変位は冶具と削孔管の内壁面までの距離に抑えられ、センサープローブの姿勢に大きな変化が生じることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る孔経路測定方法を用いる削孔装置の全体構成を示す概略図である。
【
図2】センサープローブに冶具を取り付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る孔経路測定方法に用いる削孔装置10の全体構成を示す概略図であり、
図2はセンサープローブ20に治具30を取り付けた状態の断面図、
図3は治具30の正面図である。
以下の説明においては、
図1の削孔管11を地中へ挿入する方向を先端側、削孔管11の基端部側を後端側とする。他の図面においても、これらを基準として説明する。
【0014】
削孔装置10は、中空の削孔管11と、削孔管11の先端部に設けられた削孔ビッド12を備えている。
削孔管11は、折り曲げ可能であり、管内に各種液体の供給や各種器具が挿入可能な内孔111を有している。この削孔管11は、地中に挿入される深さに応じて、挿入方向に1.5m〜3m程度の長さの複数の筒状体を順次継ぎ足すように連結することで形成されている。この連結部分において、隣り合う筒状体の内壁面が連続せずに段差Pが生じている場合がある。また、削孔管11内に供給される薬剤等が削孔管11の内壁に固まって付着し、段差Pとなる場合がある。
【0015】
本発明の孔経路測定方法においては、削孔管11を削孔ビッド12により掘削しつつ地中へ挿入した後、削孔管11の内孔111へ削孔管11の基端部の開口112よりセンサープローブ20を押し込んで削孔管11の先端部まで導いた後、センサープローブ20を押し込み方向とは逆方向(後端側)へ移行させつつ孔経路を測定する。
【0016】
図2に示すように、センサープローブ20は、本体部21と、コネクター部22と、ケーブル23とを備えている。
本体部21は円筒形状であり、内部に孔経路を測定するための加速度計や角速度計が配置されている。
【0017】
コネクター部22は円筒形状であって本体部21の後端部に連結されている。
図2に示すように、コネクター部22の後端部は先が細く円錐形状となっており長さ方向の断面においてテーパー面221が形成されている。
【0018】
コネクター部22の後端部にはケーブル23の一端が接続されている。ケーブル23は複数の信号線を絶縁体で被覆したものであり、ケーブル23の信号線が本体部21の加速度計や角速度計と接続されている。センサープローブ20が削孔管11に押し込まれたときに、ケーブル23は削孔管11の内孔111を通って後端部の開口112より引き出され、ケーブル23の他端は地表に設置されたケーブル23の巻き取り機24に接続されている。また、ケーブル23は加速度計や角速度計からのデータを計測するパソコン等の計測機(図示せず)と接続されている。
【0019】
図2、
図3に示すように、治具30は、筒状部31と、接続部32とが一体に形成されている。
筒状部31は、センサープローブ20の本体部21の外形より大径の円筒状体であって、内部にコネクター部22の形状に対応した内孔311が形成されており、コネクター部22上に被せられる。筒状部31の外径は、削孔管11内を移行可能なように削孔管11の内径より小さいが、できるだけ大きい径に設定されている。
図3に示すように、筒状部31の下端には、長さ方向全長に亘って筒状部31の一部を切り欠いた切り欠き部312を設けている。切り欠き部312は内孔311と連通し、ケーブル23を通過させることが可能である。
【0020】
接続部32は筒状部31の後端に筒状部31に連続して形成されており、筒状部31と同じ径の半円筒形状である。接続部32の後端には、棒材33の先端が接続されている。
棒材33は、センサープローブ20を削孔管11の内孔111へ押し込むために長さ方向の剛性を備えているとともに、地中に曲がって挿入された削孔管11に沿うように可撓性を備えている。
棒材33の後端は、地表に設置された棒材33の巻き取り機34に接続されている。
棒材33は、センサープローブ20の押し込み操作や巻き取り機34による巻き取りの際に、ねじれが生じにくい素材から構成されており、例えば、グラスファイバーやカーボンから構成されている。
【0021】
このような削孔装置10の削孔管11の内孔111の孔経路を測定する本発明の孔経路測定方法について説明する。
まず、準備工程では、センサープローブ20のケーブル23を、治具30の筒状部31の切り欠き部312を経て内孔311に通し、治具30を移動させて後端側からコネクター部22に治具30の筒状部31を嵌めこむ。これにより、センサープローブ20の後端部に棒材33が治具30を介して接続される。
次に、センサープローブ20の導入工程では、センサープローブ20は削孔管11の基端部の開口112より削孔管11の内孔111へ挿入される。治具30に接続された棒材33の押込み操作によりセンサープローブ20のテーパー面221が治具30の内孔311の内壁面に押され、センサープローブ20は削孔管11の先端部まで導かれる。
【0022】
次に、計測工程では、削孔管11の内孔111を通って後端部の開口112より引き出されたセンサープローブ20のケーブル23を引っ張ると、センサープローブ20のテーパー面221が治具30の内孔311の内壁面を押し、センサープローブ20は治具30を一体に伴って削孔管11の内孔111を逆方向へ移行する。センサープローブ20の移行中にセンサープローブ20内に設けられたセンサーにより孔経路の測定が行われる。削孔管11の後端部の開口より引き出されたケーブル23は順次巻き取り機24で巻き取っていく。治具30に接続された棒材33も削孔管11の後端部の開口より順次引き出されるため、巻き取り機34によって順次巻き取っていく。
【0023】
本発明によれば、このような計測工程において、削孔管11の内壁に生じた段差Pにセンサープローブ20の本体部21や治具30が引っ掛かった場合、センサープローブ20には治具30の重量や棒材33の重量が加わっており、また、センサープローブ20には治具30を介して接続された棒材33によってケーブル23による引っ張り力と反対方向の力が作用するため、センサープローブ20が跳ねにくくなる。また、跳ねたときでも、センサープローブ20の外形よりも大きい外形の治具30が削孔管11の内壁面に当たるため、センサープローブ20の変位は治具30と削孔管11の内壁面までの距離に抑えられ、センサープローブ20の姿勢に大きな変化が生じることを防止することができる。
【0024】
また、ケーブル23が複数の素線を撚り合わせて形成されている場合にはケーブル23にねじれが生じやすい。このため、従来技術においては、削孔経路の測定時にケーブル23を引っ張ってセンサープローブ20を移行させると、ケーブル23のねじれによりセンサープローブ20が軸まわりに回転し、測定誤差が生じることがある。
しかし、本発明においては、センサープローブ20は、治具30を介して接続された棒材33を伴って削孔管11の内孔111を移行しており、棒材33はねじれが生じにくい素材から構成されているため、棒材33によりセンサープローブ20の回転が抑制され、センサープローブ20の回転に起因する測定誤差が生じるのを防止することができる。
【0025】
さらに、センサープローブ20が跳ねにくくなりセンサープローブ20の姿勢に大きな変化が生じないため、ケーブル23が削孔管11の内部でたるみにくくなり、ケーブル23のよじれ(キンク)等による損傷を防止することができる。
【0026】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態では治具30の筒状部31に形成された内孔311は筒状部31の中心部に形成されているが、
図4、
図5に示す冶具40のように、内孔411を長さ方向に対して垂直方向の断面において筒状部41の中心部より一方側に(
図4では下端側に)形成してもよい。
また、治具30の筒状部31の長さ方向に対して垂直方向の断面は円形に限定されず、
図6に示す冶具50の筒状部51のように、長さ方向に対して垂直方向の断面を矩形としてもよく、他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0027】
10 削孔装置
11 削孔管
111 内孔
12 削孔ビッド
20 センサープローブ
21 本体部
22 コネクター部
23 ケーブル
30、40、50 治具
31、41、51 筒状部
311、411 内孔
32 接続部