(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば、電子部品検査装置用として、対向する一対の主面を有するセラミック配線基板と、該セラミック配線基板における一方の主面上に積層され、且つ複数の樹脂絶縁層および該樹脂絶縁層間に形成された配線層を有する配線構造体と、からなる多層配線基板およびその製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記複数の樹脂絶縁層は、互いに同じ厚みであり、個々の樹脂絶縁層は、例えば、ポリイミド系の熱硬化性樹脂からなり、且つ厚みが約20μmである第1樹脂層と、該第1樹脂層の両面に積層され、ポリイミド系の熱可塑性樹脂からなり、且つ厚みが約2〜3μmである第2樹脂層と、から構成されている。
【0003】
前記多層配線基板を製造するには、前記セラミック配線基板における一方の主面上に配線構造体を積層した状態で、両者の厚み方向に沿って、該配線構造体に対して約350℃の熱プレスを施している。係る熱プレス工程において、上記セラミック配線基板がアルミナのように比較的強度が高い高温焼成セラミックからなる場合には、比較的高い圧力で熱プレスしても割れたりしにくい。しかし、例えば、ガラス−セラミックのような比較的強度が低い低温焼成セラミックからなる場合には、熱プレス工程において、割れるおそれがある。
しかも、前記樹脂絶縁層の第2樹脂層が2〜3μmと薄いため、比較的低い圧力(約20kg/cm
2)により上記熱プレスを行うと、セラミック配線基板における一方の主面との間で密着不良(デラミネーション)を生じてしまう場合があった。一方、上記熱プレスを比較的高い圧力(約85kg/cm
2)で行うと、前記セラミック配線基板に割れが生じる場合もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術で説明した問題点を解決し、複数の樹脂層を積層してなる樹脂基板部と、セラミックからなるセラミック基板部とを強固に密着して形成された多層配線基板と、上記セラミック基板部を割れにくくした該多層配線基板が得られる製造方法とを提供する、ことを課題とする。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、前記樹脂基板部を構成する複数の樹脂層のうち、前記セラミック基板部の表面に隣接する樹脂層の厚みを他の樹脂層の厚みよりも厚くする、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の多層配線基板(請求項1)は、複数の樹脂層を積層してなり、表面および裏面を有すると共に、かかる表面に複数の電極が形成された樹脂基板部と、セラミックからなり、上記樹脂基板部の裏面側に積層される表面と、該表面に対向する裏面とを有すると共に、かかる裏面に形成され、且つ上記複数の電極の何れかと導通する複数の外部接続端子を有するセラミック基板部と、を備えた多層配線基板であって、上記樹脂基板部を構成する複数の樹脂層のうち、上記セラミック基板部の表面に隣接する裏面側の樹脂層の厚みは、他の樹脂層の厚みよりも大である、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、前記樹脂基板部を構成する複数の樹脂層のうち、前記セラミック基板部の表面に隣接する裏面側の樹脂層の厚みは、他の樹脂層の厚みよりも大とされているので、以下の効果(1)〜(3)を奏することが可能である。
(1)前記樹脂基板部とセラミック基板部との間における密着不良のない多層配線基板となっている。
(2)前記セラミック基板部に割れのない多層配線基板となっている。
(3)前記セラミック基板部の表面に隣接する比較的厚みの大きい樹脂層によって、電極と外部接続端子とを導通する導通経路におけるシグナルインピーダンスを所望の値に合わせることができる。更に、その他の比較的厚みの小さい樹脂層によって、電極と外部接続端子とを導通する導通経路におけるパワーインピーダンスを所望の値に合わせることもできる。従って、互いに厚みの異なる樹脂層ごとを、要求される電気的特性ごとに使い分けることが可能となる。
【0008】
尚、前記樹脂層を構成する樹脂は、約150℃程度でも軟化および溶融しない耐熱性を有する樹脂が望ましく、例えば、ポリイミド(PI)、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート(PC)などが用いられる。
また、前記樹脂基板部は、複数の樹脂層間に配線層が形成され、該配線層は、上下の樹脂層を個別に貫通するビア導体の少なくとも一方と接続されている。
更に、前記セラミック基板部を構成するセラミックは、熱膨張率の低いセラミックが望ましく、例えば、線熱膨張率が3.0〜4.5×10
6/℃であるガラス−セラミック、ムライト、窒化アルミニウム(AlN)、BNなどが用いられる。
また、前記セラミック基板部には、比較的低熱膨張率である単層のセラミック層からなる形態のほか、複数のセラミック層を積層してなる形態も含まれる。
加えて、本発明の多層配線基板は、例えば、電子部品検査装置用に用いられるが、かかる用途以外についても、適用することが可能である。
【0009】
また、本発明には、前記セラミック基板部は、複数のセラミック層を積層してなり、かかるセラミック層間には、上下のビア導体と両面で個別に接続する配線層が形成されている、多層配線基板(請求項2)も含まれる。
これによれば、上記セラミック基板部の配線層とビア導体とを介して、前記樹脂基板部の電極の何れかと外部接続端子とが導通するので、該セラミック基板部の裏面において、外部接続端子を任意の位置に形成することが可能となる。その結果、セラミック基板部の外部接続端子を、例えば、プリント基板などのマザーボード側の外部接続端子に対して、容易に導通させることができる(効果4)。
【0010】
更に、本発明には、前記樹脂基板部を構成する複数の樹脂層は、それらの両面の全面に溶融接着層を有している、多層配線基板(請求項3)も含まれる。
これによれば、隣接する樹脂層同士の密着は基より、前記樹脂基板部の裏面側に位置する比較的厚みの大きな樹脂層とセラミック基板部の表面との間も確実に密着した多層配線基板となっている(効果5)。
尚、前記溶融接着層は、樹脂層を構成する熱硬化性樹脂と同種または異種の熱可塑性樹脂に限らず、加熱された際に接着性を発揮し得る樹脂であれば良い。
【0011】
一方、本発明による多層配線基板の製造方法(請求項4)は、多層配線基板の製造方法であって、セラミックからなり、表面および裏面を有する前記セラミック基板部を準備する工程と、該セラミック基板部の表面側に、前記複数の樹脂層をそれらの厚み方向に沿って配置した状態で熱プレスする工程と、を含み、前記熱プレスする工程において、上記複数の樹脂層のうち、上記セラミック基板部の表面に隣接して配置される樹脂層の厚みは、他の樹脂層の厚みよりも大である、ことを特徴とする。
【0012】
これによれば、以下のような効果(6)〜(8)を奏することが可能となる。
(6)樹脂基板部とセラミック基板部とを密着不良(デラミネーション)を生じることなる強固に接着することができる。
(7)比較的小さな圧力の熱プレス工程によって、セラミック基板部に割れを生じることを防止できると共に、省エネルギーを図ることも可能となる。
(8)上記効果(6),(7)が相まって、前記のような多層配線基板を確実に製造することができる。
尚、前記セラミック基板部が単層のセラミック層からなる形態の場合、ビア導体を平面視でその表面から裏面側に向って斜め外側向きに傾斜して拡がる形態としても良い。係る形態とするには、複数の傾斜したビア導体に倣ったロウ模型を囲むようにセラミックスラリを所定の密閉型内に充填し、加熱して上記ロウ模型を溶出した跡に、導電性ペーストを充填して、焼成する方法や、3Dプリンタを用いて上記セラミックスラリを順次充填して、焼成する方法により準備される。
また、前記樹脂基板部は、前記樹脂層となる樹脂フィルム(樹脂シート)を貫通するビア導体や、該樹脂フィルムの表面に配線層を形成し、これらの樹脂フィルムを積層するなどの技術によって製作することが可能である。
更に、前記各工程は、多数個取りの形態によって行うことも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による一形態の多層配線基板1を示す断面図である。
かかる多層配線基板1は、
図1に示すように、図示で上方に位置し、表面3および裏面4を有する樹脂基板部2と、該樹脂基板部2の裏面4側に積層され、表面13および裏面14を有するセラミック基板部12と、を備えている。
上記樹脂基板部2は、複数の樹脂層J1〜J3を積層したものであり、かかる樹脂層J1〜J3間には、所定パターンの配線層8,9が形成され、その表面3には複数の電極(パッド)7が形成されていると共に、該電極7と配線層8,9との間、および配線層9と裏面4との間は、ビア導体10,11によって接続されている。上記樹脂層J1〜J3は、比較的耐熱性を有する熱硬化性のポリイミドからなるベース層5と、該ベース層5の両面の全面に配置され、且つ上記同様の耐熱性を有する熱可塑性のポリイミドからなる一対の溶融接着層6とからなる。
【0015】
更に、表面3側の樹脂層J1,J2は、全体の厚みが約25μmで且つ両面の溶融接着層6ごとの厚みは、2〜3μmである。一方、裏面4側の樹脂層J3は、全体の厚みが約50μmで且つ両面の溶融接着層6ごとの厚みは、それぞれ約5〜6μmである。かかる樹脂層J3の厚みを、他の樹脂層J1,J2の厚みよりも大としたのは、後述する製造時において、樹脂基板部2の裏面4と、セラミック基板部12の表面13との密着不良(デラミネーション)を防ぐためである。
図1に示すように、前記複数の電極7は、樹脂基板部2の表面3における比較的中央側に配置され、追ってSiウェハ(図示せず)に形成された複数の電子部品の電気的特性を検査するためのフローブ20が個別に接続される。かかる電極7に対し、該樹脂基板部2の裏面4側に一端面が露出するビア導体11は、上記複数の電極7に比べ、平面視で該裏面4の中央側から周辺側にわたる広範囲に位置しており、かかる配置パターンとなるように、上記ビア導体10と配線層8,9とが形成されている。
因みに、上記電極7、配線層8,9、およびビア導体10,11は、CuまたはAg、あるいは、これらの何れか一方をベースとする合金からなる。
【0016】
一方、前記セラミック基板部12は、
図1に示すように、複数のセラミック層C1〜C3を積層してなり、その表面13には、前記ビア導体11と接続する配線層(接続端子)15が形成され、上記セラミック層C1〜C3間には、所定パターンの配線層16,17が形成され、その裏面14には、複数の外部接続端子18が形成されている。上記配線層15,16,17、および外部接続端子18の間は、上下3層のビア導体19を介して導通可能とされている。即ち、前記樹脂基板部2の表面3に位置する複数の電極の電極7と、上記外部接続端子18との間も、電気的に導通可能とされている。
上記セラミック層C1〜C3は、互いにほぼ同じ厚みであり、且つ比較的熱膨張率の低いガラス−セラミック、ムライト、BN、AlNなどからなる。
また、上記配線層15,16,17、および外部接続端子18は、上記セラミック層C1〜C3がガラス−セラミックのような低温焼成セラミックからなる場合には、CuまたはAg、あるいは、これらの何れか一方をベースとする合金などが用いられ、上記セラミック層C1〜C3がムライト、BN、またはAlNのような高温焼成セラミックからなる場合には、WまたはMo、あるいは、これらの何れか一方をベースとする合金などが用いられる。
【0017】
更に、
図1に示すように、前記セラミック基板部12の表面13に位置する配線層(接続端子)15は、平面視で該表面13の中心部側に配設されているのに対し、該セラミック基板部12の裏面14に位置する外部接続端子18は、該裏面14の全体にほぼ均一に分散して配設されている。かかる配置関係になるように、前記配線層16,17、およびビア導体19が、上記セラミック層C1〜C3間、あるいは該セラミック層C1〜C3内に形成されている。
【0018】
以上のような多層配線基板1によれば、前記樹脂基板部2を構成する複数の樹脂層J1〜J3のうち、前記セラミック基板部12の表面13に隣接する裏面4側の樹脂層J3の厚みが、他の樹脂層J1,J2の厚みよりも大とされているので、前記効果(1)〜(5)を奏することが可能である。
尚、前記樹脂層J3の厚みは、他の樹脂層J1,J2の厚みよりも少なくとも20%以上大きいことが望ましい。例えば、厚みと積層構造とが前記同様で全体の厚みが25μmの前記樹脂層J1,J2に対し、前記ベース層5の厚みが20μmで且つ両面の溶融接着層6の厚みがそれぞれ5μmであると共に、全体の厚みが30μmとした樹脂層J3を例示することができる。
【0019】
以下において、前記多層配線基板1の製造方法について説明する。
予め、
図2(A)に示すように、一方の溶融接着層6ごとの全面に厚みが5μmのCu箔21が貼り付けられた3層の前記樹脂層J1〜J3を用意した。
次いで、上記樹脂層J1〜J3ごとのCu箔21の表面全体に感光性樹脂フィルム(図示せず)を貼り付け、該樹脂フィルムの上面に予め所定の配線パターンが形成された露光用マスク(図示せず)を配置した。次に、かかる露光用マスクを介して、上記樹脂フィルムに対し紫外線などを露光し、且つ前記露光用マスクを除去した後、上記樹脂フィルムごとに現像(エッチング)を施して、上記配線パターンに倣ったエッチングレジスト層(図示せず)を個別に形成した。
【0020】
更に、前記エッチングレジスト層ごとを介して、前記樹脂層J1〜J3ごとのCu箔21のうち、該レジスト層ごとのパターンから外部に露出する部分をエッチングして除去した後、上記レジスト層を剥離液との接触によって除去した。
その結果、
図2(B)に示すように、前記樹脂層J1〜J3ごとの片面には、所定パターンの電極7、配線層8,9が個別に形成された。
次いで、
図2(B)中の右側で例示するように、上記電極7、配線層8,9ごとにおける所定の位置に対し、上記樹脂層J1〜J3ごとの厚み方向に沿ったレーザ加工を施して、複数のビアホールvhを上記所定の位置ごとに形成した。尚、上記レーザ加工に替えて、公知の打ち抜き加工を行っても良い。
次に、上記ビアホールvh内ごとにCu粉末を主成分とする導電性ペーストを、図示しないペースト印刷充填装置を用いて充填した後、約150℃で1時間程度加熱する脱脂処理を行った。
【0021】
その結果、
図3(A)に示すように、前記樹脂層J1〜J3における所定の位置ごとに、前記電極7、配線層8,9を含めて貫通する複数のビア導体10,11が形成された。尚、前記ビアホールvhおよび上記ビア導体10,11を形成する工程は、前記電極7、配線層8,9を形成する工程の前における前記Cu箔21を有する状態の樹脂層J1〜J3に対して行っても良い。
そして、以上のような電極7、配線層8,9およびビア導体10,11を有する記樹脂層J1〜J3を、それらの溶融接着層6同士を介して積層した。
その結果、
図3(B)に示すように、3層の樹脂層J1〜J3を積層してなり、表面3および裏面4を有し、該表面3の中央側に複数の電極7が形成され、且つ上記樹脂層J1〜J3間に、配線層8,9が形成されていると共に、電極7、配線層8,9間がビア導体10を介して導通可能とされ、一端側で配線層9と導通するビア導体11の他端側が樹脂層J3の裏面4側に露出する樹脂基板部2が得られた。尚、上記樹脂基板部2を形成する工程は省略し、次述する熱プレス工程において、上記樹脂層J1〜J3をセラミック基板部(12)の表面(13)側に順次積層するようにしても良い。
【0022】
前記樹脂基板部2の製造工程とは並行して、セラミック基板部12を準備する工程を行った。
予め、ガラスおよびアルミナ(セラミック)を主成分とする3層のグリーンシート(図示せず)を用意し、該グリーンシートごとにおける所定の位置ごとに公知の打ち抜き加工を行って、複数のビアホール(図示せず)を形成した後、該ビアホール内ごとにCu粉末を含む導電性ペースト(図示せず)を吸引・充填して、未焼成のビア導体19を個別に形成した。尚、上記打ち抜き加工に替えて、レーザ加工を行っても良い。
次に、上記グリーンシートごとの表面および裏面の少なくとも一方に、上記同様の導電性ペーストをスクリーン印刷により所定パターンにして印刷して、未焼成の配線層15,16,17、および外部接続端子18を所定の位置ごとに形成した。次いで、上記3層のグリーンシートを積層および圧着した後、焼成した。
【0023】
その結果、
図4の下方に示すように、3層のセラミック層C1〜C3を積層してなり、配線層15が形成された表面13および外部接続端子18が形成された裏面14を有し、セラミック層C1〜C3間に配線層16,17を有すると共に、上記配線層15と外部接続端子18との間が、配線層16,17およびビア導体19を介して、導通可能とされたセラミック基板部12を得ることができた。
更に、
図4中の白抜き矢印で示すように、セラミック基板部12の表面13上に、樹脂基板部2の裏面4側に位置する前記樹脂層J3の溶融接着層6を接着させた状態で、かかるセラミック基板部12と樹脂基板部2との厚み方向に沿って、約300℃で且つ約20kg/cm
2の圧力を加える熱プレス工程を行った。
【0024】
この際、前記樹脂層J3の溶融接着層6の厚みが約5〜6μmと比較的厚いことに起因して、前記のような比較的小さな圧力であっても、樹脂基板部2の裏面4とセラミック基板部12の表面13との間を強固に接着できると共に、セラミック基板部12のセラミック層C1〜C3には、割れなど不具合が生じなかった。
最後に、外部に露出する樹脂基板部2の表面3に位置する複数の電極7の表面と、セラミック基板部12の裏面14に位置する複数の外部接続端子18の表面とに対し、電解Niメッキおよび電解Auメッキを順次施して、所要の厚みのNiメッキ膜およびAuメッキ膜を2層にして被覆した。
その結果、前記
図1に示した多層配線基板1を得ることができた。
以上のような多層配線基板1の製造方法によれば、前記効果(6)〜(8)を奏することが確認された。
【0025】
図5は、前記樹脂基板部2を、異なる形態のセラミック基板部22の表面23上に熱プレスして密着する工程を示す。
上記セラミック基板部22は、
図5の下方に示すように、単一のセラミック層Cbからなり、前記同様の複数の配線層15が位置する表面23と、複数の外部接続端子18が位置する裏面24とを有している。更に、上記配線層15と外部接続端子18との間には、平面視の中央付近でセラミック層Cbを垂直に貫通する前記同様のビア導体19と、表面23の周辺側に位置するほど、平面視で裏面24の周辺側に一層達するように傾斜したビア導体25とが配置されている。
【0026】
前記セラミック基板部22は、垂直の前記ビア導体19および複数の傾斜したビア導体25の外形に倣ったロウ模型あるいはハンダなどからなる低融点合金の模型を、密閉したキャビティ(何れも図示せず)内にセットし、該キャビティ内にセラミックスラリを充填し、加熱して上記ロウ模型などを溶出した跡に、導電性ペーストを充填した後、表面23および裏面24に導電性ペーストをスクリーン印刷してから、焼成する方法によって得られる。
あるいは、3Dプリンタを用いて上記セラミックスラリを順次積層して、得られた立体スラリの表面と裏面との間に形成されたビアホール内に導電性ペーストを充填し、更に上記同様のスクリーン印刷した後、焼成する方法によって得ることも可能である。
【0027】
前記のようなセラミック基板部22の表面23上に、
図5中の白抜き矢印で示すように、前記樹脂基板部2における裏面4側の溶融接着層6を接着し、前記同様の熱プレス工程を行うことで、上記セラミック基板部22を含む多層配線基板1を得ることができる。上記多層配線基板1によれば、前記効果(1)〜(3),(5)を奏することができる。また、上記セラミック基板部22を含む多層配線基板1を製造する方法においても、前記効果(6)〜(8)が得られる。
【0028】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記樹脂基板部2を構成する樹脂層は、前記ポリイミドと同様の耐熱性を有するエポキシ系樹脂や、ポリカーボネートなどからなり、これらの熱硬化性樹脂を前記ベース層5に用い、これらの熱可塑性樹脂を前記溶融接着層6に用いた形態としても良い。更に、例えば、エポキシ系の熱硬化性樹脂からなるベース層5の両面に、ポリイミドの熱可塑性樹脂からなる溶融接着層6を積層するように、種類の異なる樹脂をベース層5とその両面の溶融接着層6としても良い。
また、前記樹脂基板部2を構成する樹脂層は、少なくとも2層以上を積層したものであり、且つその裏面4側に位置する樹脂層の厚みが、他の樹脂層の厚みよりも大であれば、特に限定されない。例えば、上記他の樹脂層同士の厚みが互いに相違していても良い。
加えて、前記樹脂基板部2を構成する複数の樹脂層のうち、裏面4側に位置する樹脂層の厚みは、他の樹脂層のうち、少なくとも1つの樹脂層の厚みよりも大であっても良い。即ち、裏面4側に位置する樹脂層の厚みよりも、厚みが大きな樹脂層が前記樹脂基板部2に含まれていても良い。
【0029】
更に、前記樹脂基板部2の表面3に形成された複数の電極7は、例えば、半導体素子や発光素子などの電子部品の表面実装用に活用しても良い。
また、前記セラミック基板部12,22を構成するセラミックは、前記ガラス−セラミックと同様に熱膨張率の低いムライト、BN、あるいはAlNなどとしても良い。これらの高温焼成セラミックを用いた場合、前記配線層15〜17、外部接続端子18、ビア導体19,25は、主にWあるいはMoからなるものとされる。
加えて、前記樹脂基板部2およびセラミック基板部12,22からなる多層配線基板1の平面視における外形は、矩形(長方形または正方形)状のほか、五角形以上の正多角形状あるいは変形多角形を呈するものであっても良い。