(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502220
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】モバイル無線通信装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 28/22 20090101AFI20190408BHJP
H04W 36/00 20090101ALI20190408BHJP
H04W 88/04 20090101ALI20190408BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20190408BHJP
【FI】
H04W28/22
H04W36/00
H04W88/04
H04W88/06
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-178357(P2015-178357)
(22)【出願日】2015年9月10日
(65)【公開番号】特開2017-55285(P2017-55285A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2018年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 智輝
【審査官】
松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−069567(JP,A)
【文献】
特開平11−239092(JP,A)
【文献】
特開2002−190769(JP,A)
【文献】
特開2014−192837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の通信におけるハンドオーバ実施を検知し、前記検知に係るハンドオーバ実施情報を出力する通信手段と、
入力された前記ハンドオーバ実施情報にもとづき自装置の移動頻度を算出し、前記算出された移動頻度が所定の閾値と比較して高いほど前記通信に係る通信速度を低くする制御手段と
を備えたモバイル無線通信装置であって、
前記移動頻度は、前記モバイル無線通信装置の起動時から所定時間に達する時刻までのハンドオーバの実施回数の時間平均である
ことを特徴とするモバイル無線通信装置。
【請求項2】
前記ハンドオーバ実施情報は、前記検知に係る基地局識別子を含み、
前記制御手段は、さらに、前記基地局識別子の情報にもとづき自装置の移動パターンを認識し、前記認識された移動パターンにもとづき二地点間での所定速度以上の移動が行われていると判別した場合、前記通信速度を所定値以下にすることを特徴とする請求項1に記載のモバイル無線通信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、さらに、前記算出された移動頻度が高いほど前記通信以外の少なくとも一つの通信である他通信に係る通信速度を低くし、前記認識された移動パターンにもとづき二地点間での所定速度以上の移動が行われていると判別した場合、前記他通信に係る通信速度を所定値以下にすることを特徴とする請求項2に記載のモバイル無線通信装置。
【請求項4】
さらに、情報の表示を行う表示手段と、
前記通信または前記他通信に係る切り替えを前記情報の表示にもとづいて手動で行うモードにするスイッチと
を備え、
前記制御手段は、前記算出された移動頻度、または前記認識された移動パターンの情報を前記表示手段に表示する
ことを特徴とする請求項3に記載のモバイル無線通信装置。
【請求項5】
通信手段の通信におけるハンドオーバ実施を検知し、前記検知に係るハンドオーバ実施情報を出力する通信工程と、
入力された前記ハンドオーバ実施情報にもとづきモバイル無線通信装置の移動頻度を算出し、前記算出された移動頻度が所定の閾値と比較して高いほど前記通信に係る通信速度を低くする制御工程とを備えた、モバイル無線通信装置の制御方法であって、
前記移動頻度は、前記モバイル無線通信装置の起動時から所定時間に達する時刻までのハンドオーバの実施回数の時間平均であることを特徴とするモバイル無線通信装置の制御方法。
【請求項6】
前記ハンドオーバ実施情報は、前記検知に係る基地局識別子を含み、
前記制御工程は、さらに、前記基地局識別子の情報にもとづきモバイル無線通信装置の移動パターンを認識し、前記認識された移動パターンにもとづき二地点間での所定速度以上の移動が行われていると判別した場合、前記通信速度を所定値以下にすることを特徴とする請求項5に記載のモバイル無線通信装置の制御方法。
【請求項7】
前記制御工程は、さらに、前記算出された移動頻度が高いほど前記通信以外の少なくとも一つの通信である他通信に係る通信速度を低くし、前記認識された移動パターンにもとづき二地点間での所定速度以上の移動が行われていると判別した場合、前記他通信に係る通信速度を所定値以下にすることを特徴とする請求項6に記載のモバイル無線通信装置の制御方法。
【請求項8】
さらに、情報の表示を行う表示工程と、
前記通信または前記他通信に係る切り替えを前記情報の表示にもとづいて手動で行うモードにするスイッチ工程と
を備え、
前記制御工程は、前記算出された移動頻度、または前記認識された移動パターンの情報を前記表示工程で表示させる
ことを特徴とする請求項7に記載のモバイル無線通信装置の制御方法。
【請求項9】
モバイル無線通信装置を構成するコンピュータに、
通信手段の通信におけるハンドオーバ実施を検知し、前記検知に係るハンドオーバ実施情報を出力する通信処理と、
入力された前記ハンドオーバ実施情報にもとづきモバイル無線通信装置の移動頻度を算出し、前記算出された移動頻度が所定の閾値と比較して高いほど前記通信に係る通信速度を低くする制御処理とを実行させたモバイル無線通信装置のプログラムであって、
前記移動頻度は、前記モバイル無線通信装置の起動時から所定時間に達する時刻までのハンドオーバの実施回数の時間平均である
ことを特徴とするモバイル無線通信装置のプログラム。
【請求項10】
前記ハンドオーバ実施情報は、前記検知に係る基地局識別子を含み、
前記制御処理は、さらに、前記基地局識別子の情報にもとづきモバイル無線通信装置の移動パターンを認識し、前記認識された移動パターンにもとづき二地点間での所定速度以上の移動が行われていると判別した場合、前記通信速度を所定値以下にすることを特徴とする請求項9に記載のモバイル無線通信装置のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル無線通信装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線装置における通信の伝送効率に関する技術が特許文献1に記載されている。
【0003】
すなわち、特許文献1に記載の技術において、受信無線装置(
図1参照)は、無線制御部011により送信無線装置(
図2参照)からのデータ受信中の受信レベルを検出する。受信無線装置は、検出受信レベルに基づき送信無線装置からのデータ受信の不良状態を認識した場合に、無線送受信部012により送信無線装置へ伝送レート変更要求を送信する。送信無線装置は、無線送受信部021により受信無線装置から受信した伝送レート変更要求に基づき、無線制御部022により受信無線装置に対する伝送レートを低レートへ変更する。
【0004】
このように、特許文献1に記載の技術においては、受信無線装置がデータ受信の不良状態を認識した場合、送信無線装置が伝送レートを低レートへ変更する。
【0005】
また、無線通信装置における通信品質と省電力化に関する技術が特許文献2に記載されている。
【0006】
すなわち、特許文献2に記載の無線通信装置(
図3参照)において、CPU(Central Processing Unit)031は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)計測部032に基地局からの受信電波レベルを計測させる。CPU031は、メモリ033への設定値以下の低受信レベル環境では、通信品質を確保するために、次の通信スロット以降、PLLシンセサイザ部034を通常ロックモードとする。他方、CPU031は、設定値よりも高い高受信レベル環境では、次の通信スロットで、一旦高速ロックモードに切換える。また、CPU031は、BER(Bit Error Rate)計測部035で受信BERを計測し、メモリ033への設定値よりも大きい高BER環境では、通信品質を確保するために通常ロックモードに戻す。CPU031は、設定値以下の低BER環境では、電源ON時間を短くして省電力化を図るために、高速ロックモードを保持する。
【0007】
このように、特許文献2に記載の無線通信装置は、受信レベルおよびBERの環境に応じてPLLシンセサイザのロックモードを切換える。
【0008】
また、ヘテロジーニアスネットワークにおける省電力化に関する技術が特許文献3に記載されている。
【0009】
すなわち、特許文献3に記載の(ヘテロジーニアスネットワークにおけるスモールセル基地局である)通信制御装置(
図4参照)において、無線通信部041が、マクロセル基地局が第1の無線通信サービスを提供するセル内で第2の無線通信サービスを提供する。制御部042が無線通信部041の動作モードを第1のモードから第1のモードよりも消費電力の少ない第2のモードへ遷移させる際に、無線通信部041から送信されるリファレンス信号の送信電力を段階的に引き下げた後に、動作モードを第2のモードに切り替える。
【0010】
このように、特許文献3に記載の通信制御装置は、自装置に接続中のアクティブな端末が存在しなくなるまで受動的に待たずとも、動作モードを消費電力の低いモードへ円滑に切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−135260号公報
【特許文献2】特開2006−148383号公報
【特許文献3】国際公開第2015/022814号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、モバイルワイヤレスルータ装置(以下、モバイルルータと呼ぶ)は、バッテリで動作可能であり、それに伴って可搬である。モバイルルータにおいては、通信速度の高速化のため、例えば、MIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)による4×4通信が行われて、消費電力が増加する傾向にある。
【0013】
モバイルルータには、容量の限られているバッテリの効率的な使用のため、通信モードとして、省電力のモード(以下、省電力モードと呼ぶ)と高速通信のモード(以下、ハイパフォーマンスモードと呼ぶ)とが備えられていることがある。
【0014】
ハイパフォーマンスモードは、例えば、モバイルルータのWAN(Wide Area Network)側、LAN(Local Area Network)側でMIMOの多重数を最大に(大きく)して、高速通信が行われるモードである。ハイパフォーマンスモードでは、無線回路やベースバンド回路などの、多くの回路が動作するため、消費電力が大きくなる。他方、省電力モードは、例えば、WAN側ではMIMOの多重数を最小に(小さく)し、LAN側ではMIMOの多重数を最小に(小さく)するか、消費電力の小さいBluetoothで通信を行うかして、低速通信が行われるモードである。省電力モードでは、動作する回路の数が抑制されるため、消費電力が比較的小さくなる。
【0015】
モバイルルータにおいては、バッテリの残容量や所望の通信速度に応じて、ユーザによりハイパフォーマンスモードと省電力モードとを切り替えることが可能となる。ところが、ハイパフォーマンスモードで通信を行っても、モバイルルータの通信環境が良好でない状態であれば、通信速度が高速にならず、結果的に通信に無駄な電力が消費されることになる。例えば、モバイルルータのユーザが移動している状態であれば、モバイルルータの複数のアンテナから送出された電波が相手先のアンテナにそれぞれ時間差をもって到達して干渉し合って(フェージング)、通信品質ひいては通信速度が低下することがある。
【0016】
この問題に対し、特許文献1または2に記載の技術を用いれば、それぞれ受信レベルまたはRSSIやBERで通信環境の状態を判別することが可能となるように思われる。ところが、特許文献1または2に記載の技術では、モバイルルータのユーザが移動している状態、さらにそのことに起因するフェージングが発生しうる状態を判別することができない。すなわち、特許文献1または2に記載の技術では、フェージングによる受信レベルやBERの時間的変動に応じてモードの切り替えを行うことは可能となるように思われるが、その際の、度重なるモード切り替えの処理に伴う電力消費が看過できない。また、特許文献3に記載の技術では、モードの切り替えに際して、リファレンス信号の送信電力を段階的に引き下げるのみである。
【0017】
つまり、モバイルルータのユーザが移動していることに起因するフェージングが発生するような状態で、通信に無駄な電力が消費されることが課題である。
【0018】
本発明の目的は、上記課題を解決するモバイル無線通信装置および制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のモバイル無線通信装置は、自身の通信におけるハンドオーバ実施を検知し、前記検知に係るハンドオーバ実施情報を出力する通信手段と、入力された前記ハンドオーバ実施情報にもとづき自装置の移動頻度を算出し、前記算出された移動頻度が高いほど前記通信に係る通信速度を低くする制御手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明のモバイル無線通信装置の制御方法は、通信手段の通信におけるハンドオーバ実施を検知し、前記検知に係るハンドオーバ実施情報を出力する通信工程と、入力された前記ハンドオーバ実施情報にもとづきモバイル無線通信装置の移動頻度を算出し、前記算出された移動頻度が高いほど前記通信に係る通信速度を低くする制御工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、モバイルルータのユーザが移動していることに起因するフェージングが発生するような状態で、通信に無駄な電力が消費されないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図5】第1の実施形態におけるモバイルルータの構成例を示すブロック図である。
【
図6】第1の実施形態におけるモバイルルータの動作例を示すフローチャートである。
【
図7】第1の実施形態におけるモバイルルータのディスプレイ表示例を示す図である。
【
図8】第2の実施形態におけるモバイル無線通信装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
図5に、本実施形態におけるモバイルルータの構成例を示す。モバイルルータ10は、制御回路11、WAN通信回路12、LAN通信回路13、メモリ14、電源回路15、バッテリ16を備える。
【0025】
制御回路11は、モバイルルータ10全体の制御、通信環境状態の判別、通信モードの切り替えを行う。
【0026】
WAN通信回路12は、アンテナ121を含み、MIMOに対応する。WAN通信回路12は、設定された通信モードで、通信に使用するアンテナの数の制御を行って、基地局、WAN回線に接続して通信を行い、ハンドオーバ実施の検知を行う。
【0027】
LAN通信回路13は、アンテナ131を含み、MIMOに対応する。LAN通信回路は、設定された通信モードで、無線LAN機能を有するスマートフォン等のモバイル機器との通信を行う。
【0028】
メモリ14は、ハンドオーバ実施情報等のデータの記憶を行う。
【0029】
電源回路15は、電力の電圧変換を行い、各回路等への電力の供給を行う。
【0030】
バッテリ16は、いわゆる二次電池で、電源回路への電力の供給を行う。
【0031】
上記の構成例を踏まえ、本実施形態におけるモバイルルータの動作について、
図6を参照して説明する。
図6は本実施形態におけるモバイルルータの動作例を示すフローチャートである。
【0032】
ユーザの、ハイパフォーマンスモードおよび省電力モードのいずれかの通信モードの設定を含む所定操作によりモバイルルータ10が起動される。なお、ハイパフォーマンスモードとは、モバイルルータのWAN側およびLAN側でのMIMO多重数を最大にして、高速通信が行われるモードである。また、省電力モードとは、WAN側およびLAN側でのMIMOの多重数を最小にして、低速通信が行われるモードである。
【0033】
その起動の際、制御回路11がタイマ(図示せず)をスタートさせる(S601)。タイマのスタートから所定時間(T)、WAN通信回路12が、自身の通信においてハンドオーバが実施されたとき、それを検知して、ハンドオーバの実施情報(フラグ、時刻など)を制御回路11に出力する。なお、ハンドオーバ実施の検知は、例えば、WAN通信回路12が通信相手の基地局の切り替わりを知ることにより可能である。制御回路11は入力されたハンドオーバ実施情報をメモリ14に記憶する(S602)。タイマのスタートから所定時間(T)経過した時点で、制御回路11はメモリ14に記憶されているハンドオーバ実施情報からハンドオーバ実施回数(c)を計数し、あらかじめメモリ14に設定されている所定閾値(n)と比較する(S603)。cがn以上の場合(S603でYes)には、制御回路11は通信モードを省電力モードとする(S604)。cがn未満の場合(S603でNo)には、制御回路11は通信モードをハイパフォーマンスモードとする(S605)。同時に、制御回路11はタイマを再スタートさせ、S601からの処理が行われる。なお、制御回路11は設定した通信モードでWAN通信回路やLAN通信回路などを動作させる。
【0034】
上記のハイパフォーマンスモードおよび省電力モードにおけるそれぞれのMIMO多重数は、最大、最小に限らず、WAN側(、LAN側それぞれ)について、ハイパフォーマンスモードおよび省電力モードでの通信が比較的にそれぞれ高速および低速となる数であればよい。また、省電力モードでのLAN側の通信を、Wi−Fi(Wireless Fidelity 登録商標)ではなく、消費電力の小さいBluetooth(登録商標)で行ってもよい。なお、LAN側での通信モードの切り替えは行わなくてもよい。上記の通信モードは、2モードとなっているが、3モード以上としてもよい。3モードの場合の例として、高速、中速、低速の組合せが挙げられる。
【0035】
上記のS603において、所定時間(T)毎に該所定時間内のハンドオーバ実施回数(c)を所定閾値(n)と比較しているが、(別の)所定時間毎に装置起動時からの該時刻までのハンドオーバ実施回数の時間平均を(別の)所定閾値と比較してもよい。つまり、ハンドオーバ実施(移動)の頻度を示す指標についての所定閾値との比較を行えばよく、ハンドオーバ実施頻度が高い場合には、通信モードの設定を低速(省電力)なモード、低い場合には、高速なモードとする。
【0036】
上記のS602において、ハンドオーバ実施の検知の際、ハンドオーバ実施情報に該ハンドオーバに係る基地局の識別番号を含めてもよい。その場合、S603でYesの場合に、制御回路11は、メモリ14に記憶されている基地局識別番号の群からあらかじめメモリ14に記憶されている所定ルールにもとづいてユーザの移動パターンを認識してから、通信モードの切り替えを行う。例えば、基地局識別番号がいくつかのものについて繰り返されている場合、ユーザがいくつかの基地局エリアを行き来していると認識される。また、基地局識別番号が全て異なっており、さらに、ハンドオーバ実施回数が多い場合、ユーザが自動車や列車などでの高速移動を行っていると認識される。ユーザがいくつかの基地局エリアを行き来している場合よりユーザが高速移動を行っている場合の方が通信環境の良好でない状態であるため、ユーザが高速移動を行っている場合に、制御回路11が通信モードの設定をさらに省電力なモード(通信速度を所定値以下)とするようにしてもよい。
【0037】
上記のS603において、さらに、制御回路11がハンドオーバ実施回数の閾値との比較結果にもとづく通信環境の状態を、例えばディスプレイに、表示するようにしてもよい。その表示は、例えば、
図7のように行われ、通信環境の状態に応じてマーク71(良好)か72(不良)がハイライトされる。さらに、通信モードの切り替えを自動(本機能)か手動にするスイッチ73を設けてもよい。通信環境が良好な状態の場合で、その状態が続くことが見通されているようなとき、スイッチ73で通信モードの切り替えを手動にし、チェックボックス74(ハイパフォーマンスモード)にチェックを入れる。この操作により、モバイルルータで、電力消費を伴う、通信環境状態の判別処理が行われることなく、ハイパフォーマンスモードでの通信が行われる。また、ユーザの移動が続く等、通信環境が不良な状態が続くことが見通されているようなとき、スイッチ73で通信モードの切り替えを手動にし、チェックボックス75(省電力モード)にチェックを入れる。なお、通信モードの切り替えを手動で行う技術は周知である。
【0038】
以上のように、モバイルルータはハンドオーバ実施の検知情報にもとづいて算出した自装置の移動頻度に応じて通信速度のモードの切り替えを行っている。(移動頻度が高いほど通信速度を低くする。)自装置ひいてはユーザの移動頻度はモバイルルータのユーザが移動しているような通信環境の状態を反映している。
【0039】
このため、モバイルルータのユーザが移動していることに起因するフェージングが発生するような状態で、通信に無駄な電力が消費されないようにすることが可能となる。
【0040】
本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0041】
図8に、本実施形態におけるモバイル無線通信装置の構成例を示す。モバイル無線通信装置20は、通信回路21、制御回路22を備える。
【0042】
通信回路21は、自身の通信におけるハンドオーバ実施を検知し、検知に係るハンドオーバ実施情報を出力する。
【0043】
制御回路22は、入力されたハンドオーバ実施情報にもとづき自装置の移動頻度を算出し、算出された移動頻度が高いほど通信回路22の通信に係る通信速度を低くする。
【0044】
上記の構成例を踏まえ、本実施形態におけるモバイル無線通信装置の動作例について説明する。
【0045】
ユーザの、通信モードの設定を含む所定操作によりモバイル無線通信装置20が起動される。通信回路21が自身の通信におけるハンドオーバ実施を検知し、検知に係るハンドオーバ実施情報を出力する、制御回路22が入力されたハンドオーバ実施情報にもとづき自装置の移動頻度を算出し、算出された移動頻度が高いほど通信回路21の通信に係る通信速度を低くする。
【0046】
以上のように、モバイル無線通信装置はハンドオーバ実施の検知情報にもとづいて算出した自装置の移動頻度に応じて通信モードの切り替えを行っている。(移動頻度が高いほど通信速度を低くする。)自装置ひいてはユーザの移動頻度はモバイル無線通信装置のユーザが移動しているような通信環境の状態を反映している。
【0047】
このため、モバイルルータのユーザが移動していることに起因するフェージングが発生するような状態で、通信に無駄な電力が消費されないようにすることが可能となる。
【0048】
なお、以上の実施形態において、係る動作処理を実行させるためのプログラムを、CD−ROM、MOなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に格納して配布してもよい。該プログラムをモバイルルータ等のモバイル無線通信装置(のメモリ)にインストールすることにより、モバイル無線通信装置(の制御部)に該動作処理を実行させてもよい。CD−ROMはCompact Disk Read-Only Memoryの略称で、MOはMagneto-Optical diskの略称である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、モバイル無線通信装置および制御方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 モバイルルータ
11、22 制御回路
12 WAN通信回路
13 LAN通信回路
14 メモリ
15 電源回路
16 バッテリ
20 モバイル無線通信装置
21 通信回路
121、131アンテナ