(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図7は、本発明に係る作業機の側面図を示している。
図7では、作業機の一例として、コンパクトトラックローダを示している。但し、本発明に係る作業機はコンパクトトラックローダアローダに限定されず、例えば、スキッドステアローダ等の他の種類のローダ作業機であってもよい。また、ローダ作業機以外の作業機であってもよい。
【0018】
作業機1は、
図7及び8に示すように、作業機1は、機体2と、キャビン3と、作業装置4と、走行装置5とを備えている。本発明の実施形態において、作業機1の運転席8に着座した運転者の前側(
図7の左側)を前方、運転者の後側(
図7の右側)を後方、運転者の左側(
図7の手前側)を左方、運転者の右側(
図7の奥側)を右方として説明する。また、前後の方向に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の中央部から右部或いは左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって、機体2から離れる方向である。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって、機体2に近づく方向である。
【0019】
キャビン3は、機体2に搭載されている。このキャビン3には運転席8が設けられている。作業装置4は機体2に装着されている。走行装置5は、機体2の外側に設けられている。機体2内の後部には、原動機が搭載されている。
作業装置4は、ブーム10と、作業具11と、リフトリンク12と、制御リンク13と、ブームシリンダ14と、バケットシリンダ15とを有している。
【0020】
ブーム10は、キャビン3の右側及び左側に上下揺動自在に設けられている。作業具11は、例えば、バケットであって、当該バケット11は、ブーム10の先端部(前端部)に上下揺動自在に設けられている。リフトリンク12及び制御リンク13は、ブーム10が上下揺動自在となるように、ブーム10の基部(後部)を支持している。ブームシリンダ14は、伸縮することによりブーム10を昇降させる。バケットシリンダ15は、伸縮することによりバケット11を揺動させる。
【0021】
左側及び右側の各ブーム10の前部同士は、異形の連結パイプで連結されている。各ブーム10の基部(後部)同士は、円形の連結パイプで連結されている。
リフトリンク12、制御リンク13及びブームシリンダ14は、左側と右側の各ブーム10に対応して機体2の左側と右側にそれぞれ設けられている。
リフトリンク12は、各ブーム10の基部の後部に、縦向きに設けられている。このリフトリンク12の上部(一端側)は、各ブーム10の基部の後部寄りに枢支軸16(第1枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。また、リフトリンク12の下部(他端側)は、機体2の後部寄りに枢支軸17(第2枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第2枢支軸17は、第1枢支軸16の下方に設けられている。
【0022】
ブームシリンダ14の上部は、枢支軸18(第3枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第3枢支軸18は、各ブーム10の基部であって、当該基部の前部に設けられている。ブームシリンダ14の下部は、枢支軸19(第4枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第4枢支軸19は、機体2の後部の下部寄りであって第3枢支軸18の下方に設けられている。
【0023】
制御リンク13は、リフトリンク12の前方に設けられている。この制御リンク13の一端は、枢支軸20(第5枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第5枢支軸20は、機体2であって、リフトリンク12の前方に対応する位置に設けられている。制御リンク13の他端は、枢支軸21(第6枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第6枢支軸21は、ブーム10であって、第2枢支軸17の前方で且つ第2枢支軸17の上方に設けられている。
【0024】
ブームシリンダ14を伸縮することにより、リフトリンク12及び制御リンク13によって各ブーム10の基部が支持されながら、各ブーム10が第1枢支軸16回りに上下揺動し、各ブーム10の先端部が昇降する。制御リンク13は、各ブーム10の上下揺動に伴って第5枢支軸20回りに上下揺動する。リフトリンク12は、制御リンク13の上下揺動に伴って第2枢支軸17回りに前後揺動する。
【0025】
ブーム10の前部には、バケット11の代わりに別の作業具が装着可能とされている。別の作業具としては、例えば、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等のアタッチメント(予備アタッチメント)である。
左側のブーム10の前部には、接続部材50が設けられている。接続部材50は、予備アタッチメントに装備された油圧機器と、ブーム10に設けられたパイプ等の第1管材とを接続する装置である。具体的には、接続部材50の一端には、第1管材が接続可能で、他端には、予備アタッチメントの油圧機器に接続された第2管材が接続可能である。これにより、第1管材を流れる作動油は、第2管材を通過して油圧機器に供給される。
【0026】
バケットシリンダ15は、各ブーム10の前部寄りにそれぞれ配置されている。バケットシリンダ15を伸縮することで、バケット11が揺動される。
左側及び右側の各走行装置5は、本実施形態ではクローラ型(セミクローラ型を含む)の走行装置が採用されている。なお、前輪及び後輪を有する車輪型の走行装置を採用してもよい。
【0027】
次に、走行系の油圧システムについて説明する。
図1に示すように、油圧システム30は、第1油圧ポンプP1と、左走行モータ装置(第1走行モータ装置)31Lと、右走行モータ装置(第2走行モータ装置)31Rと、原動機32と、第1作動弁33と、走行油圧装置34と、第2作動弁35とを備えている。
原動機32は、電気モータ、エンジン等から構成されている。この実施形態では、原動機32はエンジンである。第1油圧ポンプP1は、原動機32の動力によって駆動するポンプであって、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第1油圧ポンプP1は、タンク22に貯留された作動油を吐出可能である。特に、第1油圧ポンプP1は、主に制御に用いる作動油を吐出する。説明の便宜上、作動油を貯留するタンク22のことを作動油タンクということがある。また、第1油圧ポンプP1から吐出した作動油のうち、制御用として用いられる作動油のことをパイロット油、パイロット油の圧力のことをパイロット圧ということがある。
【0028】
第1油圧ポンプP1の吐出側には、作動油(パイロット油)を流す油路(吐出油路)40が設けられている。吐出油路(第1油路)40には、第1作動弁33、第2作動弁35、第1走行モータ装置31L及び第2走行モータ装置31Rが設けられている。
第1作動弁33は、第1走行モータ装置31L及び第2走行モータ装置31Rの回転を変更する電磁弁であって、励磁により第1位置33aと第2位置33bとに切り換え可能な二位置切換弁である。第1作動弁33の切換え操作は、図示省略の操作部材等によって行う。
【0029】
第2作動弁35は、当該第2作動弁35よりも下流側の吐出油路40に作動油を流すか流さないかを切り換える電磁弁であって、励磁により第1位置35aと第2位置35bとに切り換え可能な二位置切換弁である。第2作動弁35の切換え操作は、運転席8の周囲に設けられたスイッチ等によって行う。スイッチがオンである場合、第2作動弁35が第1位置35aに切り換えられ、第2作動弁35よりも下流側の吐出油路40には作動油が流れない。スイッチがオフである場合、第2作動弁35が第2位置35bに切り換えられ、第2作動弁35よりも下流側の吐出油路40には作動油が流れる。
【0030】
第1走行モータ装置31Lは、機体2の左側に設けられた走行装置5の駆動軸に動力を伝達するモータである。第2走行モータ装置31Rは、機体2の右側に設けられた走行装置5の駆動軸に動力を伝達するモータである。
第1走行モータ装置31Lは、HSTモータ(走行モータ)36と、斜板切換シリンダ37と、走行制御弁(油圧切換弁)38とを有している。走行モータ36は、斜板形可変容量アキシャルモータあって、車速(回転)を1速或いは2速に変更することができるモータである。走行モータ36は、走行速度(回転速度)が変更可能である。
【0031】
斜板切換シリンダ37は、伸縮によって走行モータ36の斜板の角度を変更するシリンダである。走行制御弁38は、斜板切換シリンダ37を一方側或いは他方側に伸縮させる弁であって、第1位置38a及び第2位置38bに切り換わる二位置切換弁である。この走行制御弁38の切換え操作は、当該走行制御弁38に接続された上流側に位置する第1作動弁33によって行われる。なお、第2走行モータ装置31Rの構成及び作動は、第1走行モータ装置31Lと同様であるため説明を省略する。
【0032】
走行油圧装置34は、第1走行モータ装置31L及び第2走行モータ装置31Rを駆動する装置であって、第1走行モータ装置31Lの駆動用の駆動回路(左駆動回路)34Lと、第2走行モータ装置31Rの駆動用の駆動回路(右駆動回路)34Rとを有している。
左駆動回路34L及び右駆動回路34Rは、それぞれ走行ポンプ(走行油圧ポンプ)53L,53Rと、変速用油路(第3油路)57h,57iと、第2チャージ油路57jとを有している。変速用油路(第3油路)57h,57iは、走行ポンプ53L,53Rと走行モータ36とを接続する油路である。第2チャージ油路57jは、変速用油路57h,57iに接続され、第1油圧ポンプP1からの作動油を変速用油路57h,57iに補充する油路である。
【0033】
走行ポンプ53L,53Rは、原動機32の動力によって駆動される斜板形可変容量ア
キシャルポンプである。走行ポンプ53L,53Rは、パイロット圧が作用する前進用受圧部53aと後進用受圧部53bとを有している。前進用受圧部53a、後進用受圧部53bに作用するパイロット圧によって斜板の角度が変更される。斜版の角度を変更することによって、走行ポンプ53L,53Rの出力(作動油の吐出量)や作動油の吐出方向を変えることができる。
【0034】
以上、第1走行モータ装置31Lによれば、操作部材の操作によって第1作動弁33を第1位置33aにした場合、第1作動弁33と走行制御弁38との間における区間においてパイロット油が抜け、走行制御弁38が第1位置38aに切換えられる。その結果、斜板切換シリンダ37が縮み、走行モータ36は1速状態になる。また、操作部材によって第1作動弁33を第2位置33bにした場合、第1作動弁33を通じて走行制御弁38にパイロット油が供給され、走行制御弁38が第2位置38bに切換えられる。その結果、斜板切換シリンダ37が延び、走行モータ36は2速状態になる。
【0035】
次に、作業系の油圧システムについて説明する。
図2に示すように、油圧システム30は、複数の制御弁56と、作業系油圧ポンプ(第2油圧ポンプ)P2を備えている。
第2油圧ポンプP2は、第1油圧ポンプP1とは異なる位置に設置されたポンプであって、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第2油圧ポンプP2は、作動油タンク22に貯留された作動油を吐出可能である。特に、第2油圧ポンプP2は、主に油圧アクチュエータを作動させる作動油を吐出する。
【0036】
第2油圧ポンプP2の吐出側には、油路(メイン油路)39が設けられている。このメイン油路39には、複数の制御弁56が接続されている。制御弁56は、パイロット油のパイロット圧によって作動油の流す方向を切換可能な弁である。また、制御弁56は、油圧機器を制御可能な弁である。油圧機器とは、例えば、ブーム、バケット、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等の油圧装置を制御(駆動)するための機器であって、例えば、油圧シリンダ、油圧モータ等である。
【0037】
複数の制御弁56は、第1制御弁56A、第2制御弁56B、第3制御弁56Cである。第1制御弁56Aは、ブームを制御する油圧シリンダ(ブームシリンダ)14を制御する弁である。第2制御弁56Bは、バケットを制御する油圧シリンダ(バケットシリンダ)15を制御する弁である。第3制御弁56Cは、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等の予備アタッチメントに装着された油圧機器(油圧シリンダ、油圧モータ)を制御する弁である。
【0038】
第1制御弁56A、第2制御弁56Bは、それぞれパイロット方式の直動スプール形3位置切換弁である。第1制御弁56A、第2制御弁56Bは、パイロット圧によって、中立位置、中立位置とは異なる第1位置、中立位置及び第1位置とは異なる第2位置に切り換わる。第1制御弁56Aには、油路を介してブームシリンダ14が接続され、第2制御弁56Bには、油路を介してバケットシリンダ15が接続されている。
【0039】
第3制御弁56Cには、給排油路83が接続されている。給排油路83の一端は、第3制御弁56Cの給排ポートに接続され、給排油路83の中途部は、接続部材50に接続され、給排油路83の他端部は、予備アタッチメントの油圧機器に接続される。
詳しくは、給排油路83は、第3制御弁56Cの第1給排ポートと接続部材50の第1ポートとを接続する第1給排油路83aを含んでいる。また、給排油路83は、第3制御弁56Cの第2給排ポートと接続部材50の第2ポートとを接続する第2給排油路83bとを含んでいる。つまり、第3制御弁56Cを操作することによって、第3制御弁56Cから第1給排油路83aに向けて作動油を流したり、第3制御弁56Cから第2給排油路83bに向けて作動油を流すことができる。
【0040】
第3制御弁56Cは、複数の比例弁60によって操作される。比例弁60は、励磁によって開度が変更可能な電磁弁である。複数の比例弁60は、第1比例弁60Aと、第2比例弁60Bである。第1比例弁60A及び第2比例弁60Bには、吐出油路40が接続さ
れている。第1比例弁60A及び第2比例弁60Bには、第1油圧ポンプP1から、作動油のうち制御用として用いられる作動油であるパイロット油が供給される。
【0041】
第3制御弁56Cと、比例弁60(第1比例弁60Aと、第2比例弁60B)とは、制御油路86により接続されている。
制御油路86は、パイロット油を比例弁60(第1比例弁60Aと、第2比例弁60B)を介して第3制御弁56Cに流す油路である。制御油路86は、鋼管、パイプ、ホース等で構成されている。制御油路86は、第1比例弁60Aと第3制御弁56Cの受圧部61aとを接続する第1制御油路86aと、第2比例弁60Bと第3制御弁56Cの受圧部61bとを接続する第2制御油路86bとを含んでいる。
【0042】
したがって、第1比例弁60Aを開くと、パイロット油は第1制御油路86aを介して第3制御弁56Cの受圧部61aに作用し、当該第1比例弁60Aの開度によって受圧部61aに付与(作用)するパイロット圧が決まる。受圧部61aに付与されたパイロット圧が所定値以上になると、スプールの移動によって、第3制御弁56Cは、第3位置(中立位置)62cから第1位置62aに切り換わる。また、第2比例弁60Bを開くと、パイロット油は第2制御油路86bを介して第3制御弁56Cの受圧部61bに作用し、当該第2比例弁60Bの開度によって受圧部61bに付与(作用)するパイロット圧が決まる。受圧部61bに付与されたパイロット圧が所定値以上になると、スプールの移動によって、第3制御弁56Cは、第3位置(中立位置)62cから第2位置62bに切り換わる。
【0043】
比例弁60(第1比例弁60Aと、第2比例弁60B)の操作(開閉)は、制御装置90で行う。制御装置90は、CPU等から構成されている。制御装置90には、操作部材93が接続されている。制御装置90には、操作部材93の操作量(例えば、スライド量、揺動量等)が入力される。操作部材93は、例えば、揺動自在なシーソ型スイッチ、スライド自在なスライド型スイッチ、或いは、押圧自在なプッシュ型スイッチで構成されている。
【0044】
制御装置90は、操作部材93が操作されると、当該操作部材93の操作量に応じた電流を、第1比例弁60Aのソレノイド、或いは、第2比例弁60Bのソレノイドに印加する。即ち、第1比例弁60Aや第2比例弁60Bは、操作部材93の操作量に応じて開度が変更される。
例えば、操作部材93を一方向に揺動、或いは、スライドすることによって、第1比例弁60Aの開度を調整した結果、第3制御弁56Cの受圧部61aに作用するパイロット圧が所定以上になると、第3制御弁56Cのスプールが移動して当該第3制御弁56Cのは、第3位置62cから第1位置62aに切り換わる。また、例えば、操作部材93を他方向に揺動、或いは、スライドすることによって、第2比例弁60Bの開度を調整した結果、第3制御弁56Cの受圧部61bのパイロット圧が所定以上になると、第3制御弁56Cのスプールが移動して当該第3制御弁56Cは、第3位置62cから第2位置62bに切り換わる。以上のように、制御弁56を切り換えることによって、予備アクチュエータを作動させることができる。
【0045】
図1及び
図2に示すように、作業機1の走行に関する操作(走行操作)及び作業に関する操作(作業操作)は、運転席8の左に設けられた第1操作装置47と、運転席8の右に設けられた第2操作装置48とによって行う。
次に、第1操作装置47及び第2操作装置48について詳しく説明する。
第1操作装置47は、走行操作と作業操作との両方を行うことが可能な装置であり、第1操作部材54を有している。第1操作部材54は、前後に動かす第1操作と、前後とは異なる左右(機体幅方向)に動かす第2操作とを行うことが可能なレバーである。言い換えれば、第1操作部材54は、一方向(例えば、前、左)と、一方向とは異なる他方向(例えば、後、右)とに動かすことが可能なレバーである。
【0046】
第1操作部材54において、第1操作は走行操作に割り当てられており、第2操作は作業操作に割り当てられている。つまり、第1操作部材54は、走行の操作部材(走行操作部材)と、作業の操作部材(作業操作部材)とを兼用している。なお、第1操作部材54
は、少なくとも第1操作と第2操作とを独立して行うことができるものであれば、レバーに限定されない。
【0047】
第1操作部材54の下部には、複数のパイロット弁(操作弁)55が設けられている。複数のパイロット弁55は、パイロット弁55A、パイロット弁55B、パイロット弁55C及びパイロット弁55Dである。パイロット弁55A、パイロット弁55B、パイロット弁55C及びパイロット弁55Dは、第2作動弁35の下流側における吐出油路40に接続されている。
【0048】
パイロット弁55Aは、第1操作(前後の操作)のうち前操作で作動する弁であって、前操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。パイロット弁55Bは、第1操作(前後の操作)のうち後操作で作動する弁であって、後操作の操作量(操作)
に応じて出力する作動油の圧力が変化する。つまり、パイロット弁55A及びパイロット弁55Bは、第1操作によって作動する弁であり、走行操作に対応する動きをする。
【0049】
パイロット弁55Cは、第2操作(左右の操作)のうち左操作で作動する弁であって、左操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。パイロット弁55Dは、第2操作(左右の操作)のうち右操作で作動する弁であって、右操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。つまり、パイロット弁55C及びパイロット弁55Dは、第2操作によって作動する弁であり、作業操作に対応する動きをする。
【0050】
第2操作装置48は、走行操作と作業操作との両方を行うことが可能な装置であり、第2操作部材58を有している。第2操作部材58は、前後に動かす第1操作と、前後とは異なる左右(機体幅方向)に動かす第2操作とを行うことが可能なレバーである。言い換えれば、第2操作部材58は、一方向(例えば、前、左)と、一方向とは異なる他方向(例えば、後、右)とに動かすことが可能なレバーである。
【0051】
第2操作部材58において、第1操作は走行操作に割り当てられており、第2操作は作業操作に割り当てられている。つまり、第2操作部材48は、走行の操作部材(走行操作部材)と、作業の操作部材(作業操作部材)とを兼用している。なお、第2操作部材58は、少なくとも第1操作と第2操作とを独立して行うことができるものであれば、レバーに限定されない。
【0052】
第2操作部材58の下部には、複数のパイロット弁(操作弁)59が設けられている。複数のパイロット弁59は、パイロット弁59A、パイロット弁59B、パイロット弁59C及びパイロット弁59Dである。パイロット弁59A、パイロット弁59B、パイロット弁59C及びパイロット弁59Dは、第2作動弁35の下流側における吐出油路40に接続されている。
【0053】
パイロット弁59Aは、第2操作(前後の操作)のうち前操作で作動する弁であって、前操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。パイロット弁59Bは、第1操作(前後の操作)のうち後操作で作動する弁であって、後操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。つまり、パイロット弁59A及びパイロット弁59Bは、第1操作によって作動する弁であり、走行操作に対応する動きをする。
【0054】
パイロット弁59Cは、第1操作(左右の操作)のうち左操作で作動する弁であって、左操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。パイロット弁59Dは、第2操作(左右の操作)のうち右操作で作動する弁であって、右操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。つまり、パイロット弁59C及びパイロット弁59Dは、第2操作によって作動する弁であり、作業操作に対応する動きをする。
【0055】
以上のことから、複数のパイロット弁のうち、パイロット弁55A、パイロット弁55B、パイロット弁59A、パイロット弁59Bは、走行操作に対応して作動し、パイロット弁55C、パイロット弁55D、パイロット弁59C、パイロット弁59Dは、作業操作に対応して作動する。説明の便宜上、パイロット弁55A、パイロット弁55B、パイロット弁59A、パイロット弁59Bのことを、第1操作弁(走行操作弁)ということがある。また、パイロット弁55C、パイロット弁55D、パイロット弁59C、パイロット弁59Dのことを、第2操作弁(作業操作弁)ということがある。
【0056】
次に、第1操作弁(走行操作弁)、第2操作弁(作業操作弁)、油圧機器との関係について説明する。
図1及び
図2に示す符号「W1」、「W2」、「D1」、「D2」は油路の接続先を示している。
第1操作弁(走行操作弁)と、走行系の油圧機器(走行油圧機器)の1つである走行ポンプ53L,53Rとは、走行油路(第2油路)45によって接続されている。言い換えれば、走行ポンプ53L,53Rは、第1操作弁から出力した作動油によって作動可能な第1油圧機器である。
【0057】
走行油路45は、第1走行油路45a、第2走行油路45b、第3走行油路45c、第4走行油路45dを有している。第1走行油路45aは、第1操作弁55Aと走行ポンプ53Lの前進用受圧部53aとを接続する油路である。第2走行油路45bは、第1操作弁55Bと走行ポンプ53Lの後進用受圧部53bとを接続する油路である。第3走行油路45cは、第1操作弁59Aと走行ポンプ53Rの前進用受圧部53aとを接続する油路である。第4走行油路45dは、第1操作弁59Bと走行ポンプ53Rの後進用受圧部53bとを接続する油路である。
【0058】
第1操作部材54を前側に傾動させると、第1操作弁55Aが操作されて当該第1操作弁55Aからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、走行ポンプ53Lの前進用受圧部53aに作用する。第2操作部材58を前側に傾動させると、第1操作弁59Aが操作されて当該第1操作弁59Aからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、走行ポンプ53Rの前進用受圧部53aに作用する。
【0059】
第1操作部材54を後側に傾動させると、第1操作弁55Bが操作されて当該第1操作弁55Bからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、走行ポンプ53Lの後進用受圧部53bに作用する。第2操作部材58を後側に傾動させると、第1操作弁59Bが操作されて当該第1操作弁59Bからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、走行ポンプ53Rの後進用受圧部53bに作用する。
【0060】
したがって、第1操作部材54と第2操作部材58とを前側に揺動すると、走行モータ(HSTモータ)36は、第1操作部材54及び第2操作部材58の揺動量に比例した速度で正転し、その結果、作業機1が前方に直進する。第1操作部材54と第2操作部材58とを後側に揺動すると、走行モータ36は、第1操作部材54及び第2操作部材58の揺動量に比例した速度で逆転して、その結果、作業機1が後方に直進する。
【0061】
また、第1操作部材54と第2操作部材58とのうち、一方を前側に揺動し、他方を後側に揺動すると、左側の走行モータ36と右側の走行モータ36とが異なる方向に回転して、その結果、作業機1が右又は左に旋回する。
以上、第1操作部材54を前後に動かしたり、第2操作部材58を前後に動かすことによって、作業機1を前進、後進、右旋回、左旋回させる走行操作を行うことができる。
【0062】
また、第2操作弁(作業操作弁)と、作業系の油圧機器(作業油圧機器)の1つである制御弁56とは、作業油路(第4油路)46によって接続されている。言い換えれば、制御弁56は、第2操作弁から出力した作動油によって作動可能な第2油圧機器である。
作業油路46は、第1作業油路46a、第2作業油路46b、第3作業油路46c、第4作業油路46dを有している。第1作業油路46aは、第2操作弁55Cと第1制御弁56Aの受圧部56aとを接続する油路である。第2作業油路46bは、第2操作弁55Dと第1制御弁56Aの受圧部56bとを接続する油路である。第3作業油路46cは、第2操作弁59Cと第2制御弁56Bの受圧部56aとを接続する油路である。第4作業油路46dは、第2操作弁59Dと第2制御弁56Bの受圧部56bとを接続する油路である。
【0063】
第1操作部材54を左側に傾動させると、第2操作弁55Cが操作されて当該第2操作弁55Cから出力されるパイロット油のパイロット圧が設定される。このパイロット圧は、第1制御弁56Aの受圧部56aに作用し、ブームシリンダ14が伸長して、ブーム10は上昇する。
第1操作部材54を右側に傾動させると、第2操作弁55Dが操作されて当該第2操作弁55Dから出力されるパイロット油のパイロット圧が設定される。このパイロット圧は
、第1制御弁56Aの受圧部56bに作用し、ブームシリンダ14収縮して、ブーム10は下降する。
【0064】
第2操作部材58を左側に傾動させると、第2操作弁59Cが操作されて当該第2操作弁59Cから出力されるパイロット油のパイロット圧が設定される。このパイロット圧は、第2制御弁56Bの受圧部56aに作用し、バケットシリンダ15は収縮して、バケット11がスクイ動作する。
第2操作部材58を右側に傾動させると、第2操作弁59Dが操作され当該第2操作弁59Dから出力されるパイロット油のパイロット圧が設定される。このパイロット圧は、第2制御弁56Bの受圧部56bに作用し、バケットシリンダ15は伸長して、バケット11がダンプ動作する。
【0065】
したがって、第1操作部材58を左右に動かしたり、第2操作部材58を左右に動かすことによって、ブーム10の昇降、バケットのダンプ動作或いはスクイ動作等の作業操作を行うことができる。
さて、油圧システム30には、走行油路(第2油路)45の作動油の圧力を低減(減圧)することが可能な回路が設けられている。
図1に示すように、走行ポンプ53L,53Rと第1操作弁とを繋ぐ走行油路(第2油路)45は分岐されていて、分岐後の油路に、走行油路45における作動油の圧力を低減可能な低減部(減圧部)70が設けられている。
【0066】
詳しくは、走行油路(第2油路)45は、第1分岐油路451aと、第2分岐油路451bと、第3分岐油路451cと、第4分岐油路451dと、第5分岐油路451eとを有している。
第1分岐油路451aは、第1走行油路45aの中途部から分岐する油路である。第2分岐油路451bは、第2走行油路45bの中途部から分岐する油路である。第3分岐油路451cは、第3走行油路45cの中途部から分岐する油路である。第4走行油路45dは、第4走行油路45dの中途部から分岐する油路である。第5分岐油路451eは、第1分岐油路451a、第2分岐油路451b、第3分岐油路451c及び第4分岐油路451dを接続する油路である。第5分岐油路451eに低減部70が接続されている。
【0067】
第1分岐油路451a、第2分岐油路451b、第3分岐油路451c、第4走行油路451dのそれぞれには、分岐部から第5分岐油路451eに向けて作動油が流れることを許容し且つ第5分岐油路451eから分岐部に向けて作動油が流れることを阻止する逆止弁71が設けられている。
走行油路(第2油路)45には、第1操作弁から分岐油路(第1分岐油路451a、第2分岐油路451b、第3分岐油路451c、第4分岐油路451d)に至る作動油の流量を低下させる絞り部49が設けられている。
【0068】
絞り部49は、第1絞り部49a、第2絞り部49b、第3絞り部49c、第4絞り部49dを含んでいる。第1絞り部49aは、第1走行油路45aにおいて、第1分岐油路451aに分岐する分岐部と、第1操作弁55Aとの区間(主油路)に設けられた絞りである。第2絞り部49bは、第2走行油路45bにおいて、第2分岐油路451bに分岐する分岐部と、第1操作弁55Bとの区間(主油路)に設けられた絞りである。第3絞り部49cは、第3走行油路45cにおいて、第3分岐油路451cに分岐する分岐部と、第1操作弁59Aとの区間(主油路)に設けられた絞りである。第4絞り部49dは、第4走行油路45dにおいて、第4分岐油路451dに分岐する分岐部と、第1操作弁59Bとの区間(主油路)に設けられた絞りである。
【0069】
低減部70は、ソレノイドを励磁することによって開度が変更可能な電磁比例弁(比例弁)である。比例弁70は、一次ポート(ポンプポート)70a、二次ポート70b、排出ポート70cを有している。比例弁70の一次ポート70aは、プラグ等の栓部材72によって閉鎖されている。比例弁70の二次ポート70bは、走行油路45であって第5分岐油路451eに接続されている。排出ポート70cは、作動油を排出する油路(第6油路)73を介して作動油タンク22に接続されている。なお、実施形態では、第6油路73は作動油タンク22に接続されているが、作動油を排出する油路であれば何でもよく、作動油タンク2
2以外にもポンプの吸入回路に接続してもよいし、その他の回路等に接続してもよい。
【0070】
比例弁70によれば、全閉の状態から開度を変更すれば、二次ポート70bと排出ポート70cとが繋がり、第5分岐油路451eの作動油を二次ポート70bを通過させて、排出ポート70cから排出することができる。つまり、上記の構成をすることで、比例弁70によって、第5分岐油路451e、即ち、第5分岐油路451eと繋がる第1走行油路45a、第2走行油路45b、第3走行油路45c、第4走行油路45dの作動油の圧力を下げることができる。
【0071】
比例弁70の開度の変更は、制御装置90によって行う。制御装置90には、原動機32の負荷を検出する検出装置91が接続されている。検出装置91は、例えば、原動機3の負荷を示す指標としてエンジン回転数が入力される。制御装置90は、エンジン回転数が予め定められた所定以下となった場合に、比例弁70を開く制御信号を出力する。その結果、比例弁70が開くことで走行油路45の圧力が抜け、走行ポンプ53L,53Rの出力を下げることができる。したがって、比例弁70によって、第1操作弁(走行操作弁)の二次側の圧力を低減して、走行ポンプ53L、53Rの出力を下げることができるため、エンジンストールを防止することができる。なお、原動機の負荷を直接測定して、原動機の負荷が所定以上となった場合に、第1操作弁(走行操作弁)の二次側の圧力を低減してもよい。
【0072】
上述した実施形態では、エンジンストールを防止するために、比例弁70が開くことで走行油路45の圧力(第1操作弁の二次圧)を下げているが、次に示す制御によって走行油路45の圧力を下げてもよい。
制御装置90には、オン又はオフに切換可能なスイッチ(パーキングスイッチ)92が接続されている。スイッチ92をオンにすると、走行を停止した状態で作業装置4が作動する。具体的には、スイッチ92をオンすると、制御装置90は、比例弁70を全開にする制御信号を出力する。その結果、比例弁70が全開にすることで走行油路45の圧力が抜け、走行ポンプ53L,53Rから吐出する作動油は殆ど無くなり、走行モータ36の回転は停止する。したがって、比例弁70によって、第1操作弁(走行操作弁)の二次側の圧力を零にすることで、走行モータ36を停止することで作業機1を停止させたまま、作業装置4を動かすことができる。
【0073】
以上、第1操作弁の二次側の圧力を低下させる構成、即ち、第2油路45の圧力を低下させる低減部(減圧部)70として、可変リリーフ弁、或いは、バランス形リリーフ弁を用いてもよい。この実施形態のように、比例弁70の二次ポート70bを制御対象の機器(油圧機器)に接続した状態で、一次ポート70aをプラグ等の栓部材72によって閉鎖するようにすれば、比例弁70の開放により、第2油路45の圧力を低下させる。つまり、第1操作弁の二次側の油路に可変リリーフ弁が装着されていない機種でも、比例弁(電磁比例弁)70があれば、二次側の圧力を低下させて油圧機器の出力を低下させることができる。この実施形態では、走行油路(第2油路)45及び作業油路(第4油路)46のうち、一方の走行油路に繋がる走行油圧機器の出力を低下させることができる。なお、走行油路(第2油路)45及び作業油路(第4油路)46のうち、他方の作業油路に繋がる作業油圧機器の出力を低下させるようにしてもよい。
[第2実施形態]
図3は、第2実施形態における油圧システムの一部を示している。
図3では、一部の油圧システムを示しているが、他の部分は上述した実施形態と同様である。また、上述した実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0074】
第2実施形態の油圧システムでは、第1操作弁(走行操作弁)の二次側の圧力だけでなく、第2操作弁(作業操作弁)の二次側の圧力を低減できるようにした回路である。
図3に示すように、第1走行油路45a及び第2走行油路45bは、走行油圧機器(走行ポンプ53L)に接続されている。第1走行油路45aの中途部を分岐した第1分岐油路451aと、第2走行油路45bの中途部を分岐した第2分岐油路451bとは、第6分岐油路451fで接続されている。
【0075】
また、第1作業油路46a及び第2作業油路46bは、作業油圧機器(制御弁56A)
に接続されている。第1作業油路46aの中途部を分岐した第1分岐油路461aと、第2作業油路46bの中途部を分岐した第2分岐油路461bとは第6分岐油路451fにより接続されている。つまり、第6分岐油路451fは、走行油路45の一部でも作業油路46の一部でもある油路である。
【0076】
また、作業油路(第4油路)46には、第2操作弁から分岐油路(第1作業油路46a、第2作業油路46b)に至る作動油の流量を低下させる絞り部42が設けられている。絞り部42は、第1絞り部42aと、第2絞り部42bとを含んでいる。第1絞り部42aは、第1作業油路46aにおいて、第1分岐油路461aに分岐する分岐部と、第2操作弁55Cとの区間(主油路)に設けられた絞りである。第2絞り部42bは、第2作業油路46bにおいて、第2分岐油路461bに分岐する分岐部と、第2操作弁55Dとの区間(主油路)に設けられた絞りである。
【0077】
第1分岐油路461a及び第2分岐油路461bには、逆止弁74が設けられている。逆止弁74は、分岐部から第6分岐油路451fに向けて作動油が流れることを許容し且つ第6分岐油路451fから分岐部に向けて作動油が流れることを阻止する弁である。
第4油路46(第1分岐油路461a、第2分岐油路461b)設けた逆止弁74の設定圧と、第2油路45に設けた逆止弁71の設定圧とは異なるようにすることが好ましい。例えば、逆止弁71において設定圧が変更可能な場合(バネ等で設定できる場合)、当該逆止弁71は所定の設定圧に設定して、逆止弁74は、逆止弁71よりも低い設定圧にする。
【0078】
第6分岐油路451fには、低減部70が接続されている。即ち、低減部70は、第2油路45及び第4油路46に接続されている。比例弁70の二次ポート70bは、第6分岐油路451fに接続されている。一次ポート70aは、プラグ等の栓部材72によって閉鎖され、排出ポート70cは、油路(第6油路)73を介して作動油タンク22に接続される。
【0079】
比例弁70によれば、全閉の状態から開度を変更すれば、二次ポート70bと排出ポート70cとが繋がり、第6分岐油路451fの作動油を二次ポート70bを通過させて、排出ポート70cから排出することができる。つまり、上記の構成をすることで、比例弁70によって、所定の走行油路45の作動油と、所定の作業油路46の作動油の圧力との両方を下げることができる。
【0080】
作業系油圧システムでは、第2操作部材48等の作業操作部材の操作に伴って、制御弁56A等の作業油圧機器が作動することができる。例えば、比例弁70を操作して、所定の作業油路46の二次圧を下げることにより、強制的に制御弁56Aを中立位置に戻すことができる。また、例えば、作業油圧機器が制御弁56Bである場合、比例弁70を操作して、第3作業油路46cの二次圧を下げることにより、バケットシリンダ15の作動(バケット11のスクイ動作を遅くすることができる。つまり、油圧システムが有する複数の作動油圧機器のうち、特定の油圧機器の動作を遅くすることができる。
[第3実施形態]
図4Aは、第3実施形態における油圧システムの一部を示している。
図4A〜4Cでは、一部の油圧システムを示しているが、他の部分は上述した実施形態と同様である。また、上述した実施形態と同様の構成については説明を省略する。説明の便宜上、第3実施形態では、複数の走行操作弁(パイロット弁55A、パイロット弁55B、パイロット弁59A、パイロット弁59B)において、パイロット弁55Aのことを第1走行操作弁、パイロット弁55Bのことを第2走行操作弁、パイロット弁59Aのことを第3走行操作弁、パイロット弁59Bのことを第4走行操作弁という。
【0081】
図4に示すように、第1走行操作弁55Aは、第1走行油路45aに接続されている。第2走行操作弁55Bは、第2走行油路45bに接続されている。第3走行操作弁59Aは、第3走行油路45cに接続されている。第4走行操作弁59Bは、第4走行油路45dに接続されている。
第1走行油路45aの第1分岐油路451aと、第3走行油路45cの第3分岐油路451cとは、第1選択弁75に接続されている。第2走行油路45bの第2分岐油路45
1bと、第4走行油路45dの第4分岐油路451dとは、第2選択弁76に接続されている。第1選択弁75と第2選択弁76とは、第3選択弁77が設けられた第5分岐油路451eによって接続されている。第5分岐油路451eには、作動油の圧力を検出する検出装置(圧力センサ、圧力スイッチ)78が接続されている。検出装置78は所定の圧力が入力されると、スイッチがオン、或いは、圧力センサによる作動油の流れが検出される。
【0082】
第1選択弁(シャトル弁)75は、第1分岐油路451aの作動油(第1走行操作弁55Aから出力する作動油)の圧力と、第3分岐油路451cの作動油(第3走行操作弁59Aから出力する作動油)の圧力とのうち、圧力の高い作動油を出力する出力ポート75aを有している。
第2選択弁(シャトル弁)76は、第2分岐油路451bの作動油(第2走行操作弁55Bから出力する作動油)の圧力と、第4分岐油路451dの作業油(第4走行操作弁59Bから出力する作動油)の圧力とのうち、圧力の高い作動油を出力する出力ポート76aを有している。
【0083】
第3選択弁(シャトル弁)77は、第1選択弁75の出力ポート75aから出力した作動油の圧力と、第2選択弁76の出力ポート76aから出力した作動油の圧力のうち、圧力の高い作動油を出力する出力ポート77aを有している。第3選択弁(シャトル弁)77の出力ポート77aには、電磁比例弁(比例弁)である低減部70が接続されている。即ち、第3選択弁(シャトル弁)77の出力ポート77aには、比例弁70の二次ポート70bが接続されている。
【0084】
図4Aの油圧システムによれば、第1操作部材54と第2操作部材58とを後側に揺動させた場合に、第2選択弁76から作動油が出力されて第5分岐油路451eに流れ、検出装置78によって作動油が流れたことを検出するため、作業機1の後進を検出することができる。本発明の油圧システムでは、運転席8の左に配置された第1操作部材54と、運転席8の右に配置された第2操作部材58とを用いて後進の操作をすることになる。ゆえに、第1操作部材54により操作される第1走行操作弁55A及び第2走行操作弁55Bと、第2操作部材58により操作される第3走行操作弁59A及び第4走行操作弁59Bとが運転席8を挟んで配置されることになる。ここで、第1走行操作弁55A、第2走行操作弁55B、第3走行操作弁59A及び第4走行操作弁59Bに検出装置を設けると、多くの検出装置が必要であるだけでなく、当該検出装置と制御装置90とを繋げるハーネスも多く必要になる。
図4Aに示す油圧システムにすることにより、検出装置及びハーネスが1つで済み、ハーネスを左及び右に配置する作業を少なくすることができる。
【0085】
しかも、比例弁70の開度を変更すれば、二次ポート70bと排出ポート70cとが繋がり、第5分岐油路451eの排出ポート70cから排出することができる。つまり、上記の構成をすることで、比例弁70によって、第1走行油路45a、第2走行油路45b、第3走行油路45c、第4走行油路45dの作動油の圧力を下げることができる。
図4Bは、第3実施形態の第1の変形例を示し、
図4Cは、第3実施形態の第2の変形例を示している。
【0086】
図4Bに示すように、第1選択弁75には、第1分岐油路451aと第3分岐油路451cとが接続されている。第2選択弁76には、第2分岐油路451bと第4分岐油路451dが接続されている。第1選択弁75と第2選択弁76とは、第7分岐油路451gによって接続されている。第7分岐油路451gには、作動油の圧力を検出する検出装置78が接続されている。
図4Bの油圧システムによれば、第1操作部材54及び第2操作部材58において、走行操作をした場合に、第1選択弁75、或いは、第2選択弁76から作動油が出力されて第7分岐油路451gに流れるため、走行操作をしたことを検出装置78で検出することができる。
【0087】
図4Cに示すように、第2選択弁76には、第2分岐油路451bと第4分岐油路451dが接続されている。第2選択弁76の出力ポートには、検出装置78が接続されている。
図4Cの油圧システムによれば、第1操作部材54及び第2操作部材58において、作業機1を後進する操作をした場合に、第2選択弁76から作動油が出力されて検出装置
78で検出することができる。
[第4実施形態]
図5は、第4実施形態の油圧システムを示している。第4実施形態の油圧システムは、比例弁70の接続先の変形例である。上述した実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0088】
図5に示すように、作業機の油圧システムには、複数の油圧機器100が設けられている。複数の油圧機器100は、複数の第5油路101によって接続されている。第5油路101は、作動油が流れる油路であって、例えば、第1油圧ポンプP1、第2油圧ポンプP2から吐出した作動油を流す油路である。第5油路101には、上述した走行油路(第2油路)45或いは作業油路(第4油路)46も含まれる。
【0089】
油圧機器100は、油圧システムを構築する様々な機器であって、作動油によって作動する機器である。例えば、油圧機器100は、作動油により回転する油圧モータ、作動油により伸縮する油圧シリンダ、作動油の流量や向きを変える制御弁、切換弁、操作弁等である。比例弁70は、第5油路101を減圧するために様々な個所に設けられる。例えば、
図5に示すように、第1油圧ポンプP1と操作弁55とを接続する第5油路101、第2油圧ポンプP2と油圧機器100とを接続する第5油路101、油圧機器100と油圧機器100とを接続する第5油路101に接続可能である。比例弁70の一次ポート70aは、プラグ等の栓部材72によって閉鎖されている。二次ポート70bは第5油路101に接続される。排出ポート70cは、油路(第6油路)73を介して作動油タンク22に接続される。したがって、比例弁70によれば、当該比例弁70の開放することによって、様々な第5油路101の作動油を作動油タンク22に流すことができる。つまり、比例弁70を第5油路101の圧力を低減する減圧弁として用いることができる。なお、
図5は、比例弁70を減圧弁として採用した場合の一例であり、油圧システム(油圧回路)においては、
図5に示した様々な個所に設けることができる。
【0090】
また、上述した油圧ポンプP1,P2は一例であって、作動油を吐出することが可能なポンプであればどのようなポンプであってもよい。
図6は、低減部の変形例の油圧システムを示している。
図6の低減部は、上述した全ての実施形態に適用可能である。
図6に示すように、低減部70は、電磁比例弁(比例弁)79aと、逆止弁79bとを有している。比例弁79aは、一次ポート70a、二次ポート70b、排出ポート70cを有している。
【0091】
比例弁79aの一次ポート70aは、第1油圧ポンプP1の吐出側に設けられた吐出油路40が接続されている。比例弁79aの二次ポート70bは、複数の油圧機器が繋がる油路(第5油路)に接続されている。
図6に示すように、例えば、走行油圧機器に繋がる第2油路45及び作業油圧機器に繋がる第4油路46に、比例弁79aの二次ポート70bが接続されている。即ち、二次ポート70bは、第2油路45及び第4油路46を兼用する第6分岐油路451fに接続されている。排出ポート70cは、作動油を排出する油路(第6油路)73を介して作動油タンク22に接続されている。
【0092】
逆止弁79bは、比例弁79aと油圧機器とを繋ぐ油路に接続される。例えば、逆止弁79bは、第2油路45、第4油路46に設けられる。例えば、逆止弁79bは、第1分岐油路461aに設けられる第1逆止弁791bと、第2分岐油路461bに設けられる第2逆止弁792bとを含んでいる。言い換えれば、第1逆止弁791b及び第2逆止弁792bは、上述した逆止弁74と同じである。第1逆止弁791b及び第2逆止弁792bは、比例弁79aの二次ポート70bへ向けて作動油が流れるのを許容し、且つ、比例弁79aから所定の油圧機器(作業油圧機器)に作動油が流れるのを阻止する。
【0093】
以上、
図6の変形例によれば、比例弁79aの一次ポート70aを第1油圧ポンプP1の油路(吐出油路40)に接続し、比例弁79aの二次ポート70bを、走行油圧機器及び作業油圧機器などの複数の油圧機器に接続する油路に接続したとしても、比例弁79a及び逆止弁79b(第1逆止弁791b、第1逆止弁791b)によって、第6分岐油路451fの作動油の圧力を下げることが可能である。
【0094】
例えば、作業油圧機器における第4油路46に流れる作動油の圧力が、走行油圧機器に
おける第2油路45を流れる作動油の圧力よりも高い場合において、比例弁79aの開度を大きくすると、第6分岐油路451fの作動油は、矢印Cに示すように、逆止弁79bを通過して比例弁79aに入り、排出ポート70cから排出することができる。つまり、比例弁79a及び逆止弁79bによって、リリーフ弁と同じように、作動油の圧力を下げることができる。
【0095】
なお、上述した実施形態では、第4油路46に設けた逆止弁74を、低減部70が有する逆止弁79bとして説明したが、第2油路45に設けた逆止弁71も、低減部70が有する逆止弁79bとして働く。例えば、走行油圧機器における第2油路45に流れる作動油の圧力が、作業油圧機器における第4油路46を流れる作動油の圧力よりも高い場合において、比例弁79aの開度を大きくすると、第6分岐油路451fの作動油は、矢印Dに示すように、逆止弁71を通過して比例弁79aに入り、排出ポート70cから排出することができる。
【0096】
図6で示した油圧機器及び油路は一例であり、
図6に示した油圧機器及び油路に限定されず、比例弁79a及び逆止弁79bは、あらゆる油圧機器及び油路に適用することが可能である。また、低減部として、2位置切換弁等の切換弁の二次ポートに接続して、逆止弁79bを設けることにより、切換弁でも作動油の圧力を低減することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。