(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
図4は、本発明に係る作業機の側面図を示している。
図4では、作業機の一例として、スキッドステアローダを示している。但し、本発明に係る作業機はスキッドステローダに限定されず、例えば、コンパクトトラックローダ等の他の種類のローダ作業機であってもよい。また、ローダ作業機以外の作業機であってもよい。
作業機1は、機体(車体)2と、キャビン3と、作業装置4と、走行装置5A、5Bとを備えている。
【0014】
機体2上にはキャビン3が搭載されている。キャビン3内の後部には運転席8が設けられている。本発明の実施形態において、作業機1の運転席8に着座した運転者の前側(
図4の左側)を前方、運転者の後側(
図4の右側)を後方、運転者の左側(
図4の手前側)を左方、運転者の右側(
図4の奥側)を右方として説明する。また、前後の方向に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の中央部から右部或いは左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって、機体2から離れる方向である。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって、機体2に近づく方向である。
【0015】
キャビン3は、機体2に搭載されている。作業装置4は、作業を行う装置で、機体2に装備されている。走行装置5Aは、機体2を走行させる装置であって、機体2の左側に設けられている。走行装置5Bは、機体2を走行させる装置であって、機体2の右側に設けられている。機体2内の後部には原動機7が設けられている。原動機7は、ディーゼルエンジン(エンジン)である。なお、原動機7は、エンジンに限定されず、電動モータ等であってもよい。
【0016】
運転席8の左側には、走行レバー9Lが設けられている。運転席8の右側には、走行レバー9Rが設けられている。左側の走行レバー9Lは、左側の走行装置5Aを操作するものであり、右側の走行レバー9Rは、右側の走行装置5Bを操作するものである。
作業装置4は、ブーム10と、バケット11と、リフトリンク12、制御リンク13と、ブームシリンダ14と、バケットシリンダ17とを有する。ブーム10は、機体2の側方に設けられている。バケット11は、ブーム10の先端(前端)に設けられている。リフトリンク12及び制御リンク13は、ブーム10の基部(後部)を支持する。ブームシリンダ14は、ブーム10を上又は下に駆動する。
【0017】
詳しくは、リフトリンク12、制御リンク13及びブームシリンダ14は、機体2の側方に設けられている。リフトリンク12の上部は、ブーム10の基部の上部に枢支されている。リフトリンク12の下部は、機体2の後部の側部に枢支されている。制御リンク13は、リフトリンク12の前方に配置されている。制御リンク13の一端は、ブーム10の基部の下部に枢支され、他端が機体2に枢支されている。
【0018】
ブームシリンダ14は、ブーム10を昇降する油圧シリンダである。ブームシリンダ14の上部は、ブーム10の基部の前部に枢支されている。ブームシリンダ14の下部は、機体2の後部の側部に枢支されている。ブームシリンダ14を伸縮すれば、リフトリンク12及び制御リンク13によってブーム10が上下に揺動する。バケットシリンダ17は、バケット11を揺動する油圧シリンダである。バケットシリンダ17は、バケット11の左部と左のブームとの間を連結すると共に、バケット11の右部と右のブームとの間を連結する。なお、ブーム10の先端(前部)には、バケット11の代わりに、油圧圧砕機,油圧ブレーカ,アングルブルーム,オーガー,パレットフォーク,スイーパー,モア,スノウブロア等の予備アタッチメントが装着可能とされている。
【0019】
走行装置5A,5Bは、本実施形態では前輪5F及び後輪5Rを有する車輪型の走行装置5A,5Bが採用されている。なお、走行装置5A,5Bとしてクローラ型(セミクローラ型を含む)の走行装置5A,5Bを採用してもよい。
次に、スキッドステアローダ1に設けられた作業系油圧回路(作業系油圧システム)について説明する。
【0020】
図1に示すように、作業系油圧システムは、ブーム10、バケット11、予備アタッチメント等を作動させるシステムであって、複数の制御弁20と、作業系の油圧ポンプ(第1油圧ポンプ)P1を備えている。また、第1油圧ポンプP1とは異なる第2油圧ポンプP2を備えている。
第1油圧ポンプP1は、原動機7の動力によって作動するポンプであって、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第1油圧ポンプP1は、タンク(作動油タンク)15に貯留された作動油を吐出可能である。第2油圧ポンプP2は、原動機7の動力によって作動するポンプであって、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第2油圧ポンプP2は、タンク(作動油タンク)15に貯留された作動油を吐出可能である。なお、第2油圧ポンプP2は、油圧システムにおいて、信号用の作動油、制御用の作動油を吐出する。信号用の作動油及び制御用の作動油のことをパイロット油という。
【0021】
複数の制御弁20は、作業機1に設けられた様々な油圧アクチュエータを制御する弁である。油圧アクチュエータとは、作動油によって作動する装置で、油圧シリンダ、油圧モータ等である。この実施形態では、複数の制御弁20は、第1制御弁20A、第2制御弁20B、第3制御弁20Cである。
まず、第2制御弁20B及び第3制御弁20Cについて説明する。
【0022】
第2制御弁20Bは、バケット11を制御する油圧シリンダ(バケットシリンダ)17を制御する弁である。第3制御弁20Cは、予備アタッチメントに装着された油圧アクチュエータ(油圧シリンダ、油圧モータ等)16を制御する弁である。
第2制御弁20Bは、それぞれパイロット方式の直動スプール形3位置切換弁である。第2制御弁20Bは、中立位置20b3、中立位置20b3とは異なる第1位置20b1、中立位置20b3及び第1位置20b1とは異なる第2位置20b2に切り換わる。第2制御弁20Bにおいて、中立位置20b3、第1位置20b1及び第2位置20b2の切換は、操作部材の操作によりスプールを動かすことによって行う。第2制御弁20Bには、油路を介してバケットシリンダ17が接続されている。
【0023】
したがって、操作部材の操作によって当該第2制御弁20Bを第1位置20b1にすれば、バケットシリンダ17は収縮する。バケットシリンダ17の収縮により、バケット11はスクイ動作する。操作部材の操作によって当該第2制御弁20Bを第2位置20b2にすれば、バケットシリンダ17は伸長する。バケットシリンダ17は伸長により、バケット11はダンプ動作する。なお、第2制御弁20Bの切換は、操作部材によってスプールを直接移動させることにより行っているが、スプールを作動油(パイロット油)の圧力によって移動させてもよい。
【0024】
第3制御弁20Cは、それぞれパイロット方式の直動スプール形3位置切換弁である。第3制御弁20Cは、中立位置20c3、中立位置20c3とは異なる第1位置20c1、中立位置20c3及び第1位置20c1とは異なる第2位置20c2に切り換わる。第3制御弁20Cにおいて、中立位置20c3、第1位置20c1及び第2位置20c2の切換は、パイロット油の圧力によってスプールを動かすことによって行う。第3制御弁20Cには、給排油路83a、83bを介して接続部材18が接続されている。接続部材18には、予備アタッチメントの油圧アクチュエータ16に接続された油路が接続される。
【0025】
したがって、第3制御弁20Cを第1位置20c1にすれば、給排油路83aから予備アタッチメントの油圧アクチュエータ16に作動油を供給することができる。第3制御弁20Cを第2位置20c2にすれば、給排油路83bから予備アタッチメントの油圧アクチュエータ16に作動油を供給することができる。このように、給排油路83a又は給排油路83bから油圧アクチュエータ16に作動油を供給することにより、当該油圧アクチュエータ16(予備アタッチメント)を作動させることができる。
【0026】
次に、第1制御弁について説明する。
図1に示すように、第1制御弁20Aは、シリーズ回路に適用可能な弁である。上流側の制御弁(例えば、第1制御弁20A)と下流側の制御弁(例えば、第2制御弁20B)を有するシリーズ回路においては、第1制御弁20Aの作動時に油圧アクチュエータから当該第1制御弁20Aに戻ってきた作動油(戻り油)は第2制御弁20Bに流すことになる。第1制御弁20Aは、作動時に油圧アクチュエータから戻ってきた戻り油の一部を、作動油を排出する油路に出力可能な弁である。本実施形態では、第1制御弁20Aは、油路を介して油圧アクチュエータの1つである油圧シリンダ(ブームシリンダ)14に接続されている。この第1制御弁20Aは、ブームシリンダ14から戻ってきた作動油を後述する第4油路24に排出する。
【0027】
このブームシリンダ14は、筒体14aと、筒体14aに移動自在に設けられたロッド14bと、ロッド14に設けられたピストン14cとを備えている。筒体14aの基端部(ロッド14b側とは反対側)には、作動油を給排する第1給排ポート14dが設けられている。筒体14aの先端部(ロッド14b側)には、作動油を給排する第2給排ポート14eが設けられている。第1給排ポート14dには、第1油路21の一端が接続され、第2給排ポート14eには、第2油路22の一端が接続されている。即ち、第2油路22は、ブームシリンダ14に接続された第1油路21とは異なる位置で、ブームシリンダ14に接続する油路である。第1油路21及び第2油路22は作動油を流すことが可能で油圧ホース、パイプ、継手等の管材である。
【0028】
図1に示すように、第1制御弁20Aは、それぞれパイロット方式の直動スプール形4位置切換弁である。第1制御弁20Aは、中立位置20a3、中立位置20a3とは異なる第1位置20a1、中立位置20a3及び第1位置20a1とは異なる第2位置20a2、第3位置20a4に切り換わる。
図2Aに示すように、第1制御弁20Aは、本体30を備えている。本体30は、鋳物や樹脂などで形成されている。本体30は、複数のポートを有している。
図1に示すように、複数のポートは、第1ポート31、第2ポート32、第3ポート33、第4ポート34、第5ポート35を含んでいる。
【0029】
第1ポート31は、ブームシリンダ14に接続された第1油路21の他端を接続するポートである。したがって、第1ポート31からブームシリンダ14に向かう作動油は、第1油路21を通ってブームシリンダ14の第1給排ポート14dに入る。また、第1給排ポート14dから第1制御弁20Aに向かう作動油は、第1油路21を通って第1ポート31に入る。
【0030】
第2ポート32は、ブームシリンダ14に接続された第2油路22の他端を接続するポートである。したがって、第2ポート32からブームシリンダ14に向かう作動油は、第2油路22を通ってブームシリンダ14の第2給排ポート14eに入る。また、第2給排ポート14eから第1制御弁20Aに向かう作動油は、第2油路22を通って第2ポート32に入る。
【0031】
第3ポート33は、作動油を吐出する第1油圧ポンプP1に接続される第3油路23が接続されるポートである。具体的には、第3油路23は中途部で3つに分岐していて、第1分岐油路23aと、第2分岐油路23bと、第3分岐油路23cとが第3ポート33に接続されている。即ち、第3ポート33は、第1分岐油路23aに接続されるポート33aと、第2分岐油路23bに接続されるポート33bと、第3分岐油路23cに接続されるポート33cとを含んでいる。
【0032】
第4ポート34は、作動油タンク15に接続された第4油路24が接続されるポートである。詳しくは、第4油路24は、第1排出油路24aと、第2排出油路24bと、第3排出油路24cとを含んでいる。第1排出油路24aは、第1制御弁20Aを通過した作動油を作動油タンク15に流す油路である。第2排出油路24bは、第2制御弁20Bを通過した作動油を作動油タンク15に流す油路である。第3排出油路24cは、第3制御弁20Cを通過した作動油を作動油タンク15に流す油路である。
【0033】
第1排出油路24aは、第1油路21に接続された第1排出部24a1と、第2油路22に接続された第2排出部24a2と、第1排出部24a1と第2排出部24a2とを接続する第3排出部24a3と、第3排出部24a3と作動油タンク15とを接続する第4排出部24a4を含んでいる。
第1排出部24a1及び第2排出部24a2には、リリーフ弁28が接続されている。第4排出部24a4は、第2排出油路24bが接続されている。第4排出部24a4には、逆止弁29が接続されている。第3排出部24a3は、第1排出部24a1と第2排出部24a2とを繋ぐ主油路26aと、主油路26aから少なくとも2つに分岐した分岐油路26b、26cとを含んでいる。第4ポート34には、分岐油路26b、26cが接続されている。即ち、第4ポート34は、分岐油路26bに接続されるポート34aと、分岐油路26cに接続されるポート34bとを含んでいる。なお、本実施形態では、第4ポート34は、2つのポート34a、34bを含むポートであるが、ポートの数は限定されず、例えば、ポートは1つであってもよい。
【0034】
第5ポート35は、第1ポート31又は第2ポート32を通過した作動油を外部に排出するポートである。即ち、第5ポート35は、ブームシリンダ14から第1ポート31に戻ってきた作動油(戻り油)、又は、ブームシリンダ14から第2ポート32に戻ってきた作動油(戻り油)を、下流側の制御弁に排出するポートである。
詳しくは、作業系油圧システムは、第5油路25を備えている。第5油路25は、第1制御弁20Aの作動時、即ち、第1制御弁20Aのスプール50が移動時に、戻り油を第2制御弁20Bに流す油路である。第5油路25の一端は、2つに分岐していて、一方の分岐油路(分岐後の一方の油路)25aと、他方の分岐油路(分岐後の他方の油路)25bとが第5ポート35に接続されている。即ち、第5ポート35は、一方の分岐油路25aに接続されるポート35aと、他方の分岐油路25bに接続されるポート35bとを含んでいる。なお、本実施形態では、第5ポート35は、2つのポート35a、35bを含むポートであるが、ポートの数は限定されず、例えば、ポートは1つであってもよい。
【0035】
図2Aに示すように、本体30の内部には、作動油を流す油路が形成されている。即ち、本体30は、第1内部油路41、第2内部油路42、第3内部油路43、第4内部油路44及び第5内部油路45とを有する。
説明の便宜上、
図2A〜
図2Dにおいて紙面左側を左、紙面右側を右、左及び右の方向を横方向、横方向に直交する方向を縦方向という。また、第1内部油路41、第2内部油路42、第3内部油路43、第4内部油路44及び第5内部油路45は、
図2Aの断面視にて説明する。
【0036】
第1内部油路41は、本体30の内部に形成された油路であって、第1ポート31に連通している。
図2Aに示すように、本体30の横方向の左部に第1ポート31が設けられ、当該第1ポート31に続いて第1内部油路41が形成されている。第1内部油路41は、少なくとも縦方向に延設している。
第2内部油路42は、本体30の内部に形成された油路であって、第2ポート32に連通している。本体30の横方向の右部に第2ポート32が設けられ、当該第2ポート32に続いて第2内部油路42が形成されている。第2内部油路42は、少なくとも縦方向に延設している。
【0037】
第3内部油路43は、本体30の内部に形成された油路であって、第3ポート33に連通している。本体30の横方向の中央部に第3内部油路43が形成されている。具体的には、第3内部油路43は、左油路43aと、右油路43bと、中央油路43cとを含んでいる。中央油路43cは、本体30の横方向の中央に形成され且つポート33cに連通している。左油路43aは、中央油路43cの左に位置して且つポート33aに連通している。右油路43bは、中央油路43cの右に位置して且つポート33bに連通している。左油路43aと中央油路43cとは連通し、右油路43bと中央油路43cとは連通している。左油路43a、右油路43b及び中央油路43cは、少なくとも縦方向に延設している。
【0038】
第4内部油路44は、本体30の内部に形成された油路であって、第4ポート34に連通している。具体的には、第4内部油路44は、左油路44aと、右油路44bとを含んでいる。左油路44aは、本体30の横方向の左部に形成され且つポート34aに連通している。左油路44aは、第1内部油路41の左側に位置している。右油路44bは、本体30の横方向の右部に形成され且つポート34bに連通している。右油路44bは、第2内部油路42の右側に位置している。左油路44aと、右油路44bは、少なくとも縦方向に延設している。
【0039】
第5内部油路45は、本体30の内部に形成された油路であって、第5ポート35に連通している。具体的には、第5内部油路45は、左油路45aと、右油路45bとを含んでいる。左油路45aは、本体30の横方向の左部に形成され且つポート35aに連通している。左油路45aは、第1内部油路41と第4内部油路44の左油路44aとの間に位置している。右油路45bは、本体30の横方向の右部に形成され且つポート35bに連通している。右油路45bは、第2内部油路42と第4内部油路44の右油路44bとの間に位置している。左油路45aと、右油路45bは、少なくとも縦方向に延設している。
【0040】
さて、本体30の横方向の一端(左端)から他端(右端)に延びる環状の縁部36(貫通孔36a)が形成されている。即ち、本体30には、円柱状に形成されたスプール50を挿入する直線状の貫通孔36aが形成されている。貫通孔36aを構成する環状の縁部36には、第1内部油路41、第2内部油路42、第3内部油路43、第4内部油路44及び第5内部油路45が達している。第1内部油路41の端部41aが縁部36に達している。第2内部油路42の端部42aが縁部36に達している。第3内部油路43の左油路43aの端部43a1が縁部36に達している。第3内部油路43の右油路43bの端部43b1が縁部36に達している。第3内部油路43の中央油路43cの端部43c1が縁部36に達している。第4内部油路44の左油路44aの端部44a1が縁部36に達している。第4内部油路44の右油路44bの端部44b1が縁部36に達している。第5内部油路45の左油路45aの端部45a1が縁部36に達している。第5内部油路45の右油路45bの端部45b1が縁部36に達している。なお、端部41a、端部42a、端部43a1、端部43b1、端部43c1、端部44a1、端部44b1、端部45a1、端部45b1は、凹状に形成されている。
【0041】
図2Aに示すように、第1制御弁20Aは、スプール50を有している。スプール50は、本体40の内部を移動することによって、第1内部油路41、第2内部油路42、第3内部油路43、第4内部油路44及び第5内部油路45の連通先を変更可能である。
以下、スプール50について詳しく説明する。
スプール50は、円柱状に形成されている。円柱状のスプール50は、本体40の内部に形成された貫通孔36aに挿入されている。スプール50の左端又は右端は、本体40から突出している。スプール50の突出した部分(突出部)にレバー等の操作部材が連結されている。
【0042】
スプール50は、第1連通部51を有している。第1連通部51は、第1内部油路41、第2内部油路42及び第4内部油路44を連通可能な部分である。具体的には、第1連通部51は、第1延設油路51aと、複数の第2延設油路51bとを含んでいる。第1延設油路51aは、スプール50の内部を長手方向(軸方向)に延びる油路であって、当該スプール50の内部に軸方向に延びる孔を形成することにより構成されている。第1延設油路51aは、スプール50の左部から右部にかけて延びている。第1延設油路51aの左端及び右端は閉鎖されている。したがって、第1延設油路51aに入った作動油は、スプール50の内部を軸方向に流れる。
【0043】
複数の第2延設油路51bは、第1延設油路51aからスプール50の外周面に延びる油路であって、第1延設油路51aと連通している。第1延設油路51aの左部には、複数の第2延設油路51bが連通し、第1延設油路51aの中央部にも複数の第2延設油路51bが連通し、第1延設油路51aの右部にも複数の第2延設油路51bが連通している。言い換えれば、スプール50の左部、中央部及び右部に複数の第2延設油路51bが設けられている。
【0044】
説明の便宜上、スプール50の左部(第1延設油路51aの左部)に設けられた第2延設油路51bのことを「第1縦油路51b1」、スプール50の右部(第1延設油路51aの右部)に設けられた第2延設油路51bのことを「第2縦油路51b2」、スプール50の中央部に設けられた第2延設油路51bのことを「第3縦油路51b3」という。
図2A及び
図3Aに示すように、スプール50の左部において、周方向に所定の間隔で複数の第1縦油路51b1が設けられている。
図2A及び
図3Bに示すように、スプール50の右部において、周方向に所定の間隔で複数の第2縦油路51b2が設けられている。
図2A及び
図3Cに示すように、スプール50の中央部の左寄りには、周方向に所定の間隔で複数の第3縦油路51b3が設けられている。
【0045】
図2Cに示すように、スプール50を移動して、第1縦油路51b1と第4内部油路44の左油路44a(端部44a1)とを重複(一致)させる。即ち、第1制御弁20Aを第3位置20a4(フロート位置という)にする。そうすると、第2縦油路51b2と第2内部油路42の端部42aとが重複すると共に、第3縦油路51b3と第1内部油路41の端部41aとが重複する。
【0046】
つまり、第1制御弁20Aをフロート位置にした場合、第1内部油路41、第2内部油路42及び第4内部油路44は、第1縦油路51b1、第2縦油路51b2、第3縦油路51b3及び第1延設油路51aによって繋がることになる。即ち、第1ポート31、第2ポート32、第4ポート34が、内部油路及びスプール50によって繋がる。
したがって、第1制御弁20Aをフロート位置にした場合、ブームシリンダ14の内部の作動油は、第1制御弁20Aを通って、作動油タンク15に抜けるため、当該ブームシリンダ14をフロート動作させることができる。
【0047】
さて、スプール50は、第2連通部52と、第3連通部53と、第4連通部54とを有している。第2連通部52は、第1内部油路41と第5内部油路45とを連通可能である。また、第2連通部52は、第1内部油路41と第3内部油路43とを連通可能である。
具体的には、第2連通部52は、第1凹部52aを含んでいる。第1凹部52aは、スプール50の外周面を環状に凹ますことにより形成した部分である。第1凹部52aは、スプール50の左部であって、第1縦油路51b1と第3縦油路51b3との間に位置している。
【0048】
また、
図2Bに示すように、スプール50を移動して、第1凹部52a、第1内部油路41の端部41a及び第3内部油路43の左油路43a(端部43a1)を重複(一致)させる。即ち、第1制御弁20Aが第1位置20a1である場合、第1内部油路41と第3内部油路43とを連通することができる。
図2Dに示すように、スプール50を移動して、第1凹部52a、第1内部油路41の端部41a及び第5内部油路45の左油路45a(端部45a1)を重複(一致)させる。即ち、第1制御弁20Aが第2位置20a2である場合、第1内部油路41と第5内部油路45とを連通することができる。
【0049】
図2A及び
図2Dに示すように、第3連通部53は、第2連通部52によって第1内部油路41と第5内部油路45とを連通している状態で、当該第5内部油路45及び第4内部油路44を連通可能である。
第3連通部53は、第1溝53aを含んでいる。第1溝53aは、スプール50の外周面に形成された溝である。第1溝53aは、スプール50の左部に設けられている。第1溝53aは、複数の第2延設油路51bの外端部の間に設けられている。即ち、スプール50の左部に設けられた複数の第1縦油路51b1の外端部の間に設けられている。詳しくは、複数の第1縦油路51b1のうち、任意の第1縦油路51b1の外端部(第1外端部58a)と、当該任意の第1縦油路51b1と隣接する他の任意の第1縦油路51b1の外端部(第2外端部58b)との間に、第1溝53aが設けられている。第1溝53aの右端は、第1外端部58a及び第2外端部58bよりも右側に位置している。第1溝53aの左端は、第1外端部58a及び第2外端部58bよりも左側に位置している。
【0050】
詳しくは、
図3Aに示すように、スプール50の外周面には、6つの第1縦油路51b1が設けられている。6つの第1縦油路51b1のそれぞれの間に第1溝53aが設けられている。なお、第1縦油路51b1及び第1溝53aの数は、実施形態に限定されない。また、第1縦油路51b1及び第1溝53aは、スプール50を中心として対称(縦方向に対称、横方向に対称)に設けることが好ましい。また、第1溝53aは、
図2D等に示すような矩形状の溝であっても、断面視V字状の溝であっても、断面視円弧状の溝であってもよい。
【0051】
したがって、
図2Dに示すように、第1内部油路41と第5内部油路45とを連通している状態(第1制御弁20Aが第2位置20a2である状態)では、第1溝53aの右端が、第5内部油路45の左油路45a(端部45a1)に重複し、且つ、第1溝53aの左端が、第4内部油路44の左油路44a(端部44a1)に重複する。つまり、第2連通部52(第1凹部52a)によって、第1内部油路41と第5内部油路45とを連通している状態では、第3連通部53(第1溝53a)によって、第5内部油路45及び第4内部油路44を連通することができる。
【0052】
第4連通部54は、第2内部油路42と第5内部油路45とを連通可能である。また、第4連通部54は、第2内部油路42と第3内部油路43とを連通可能である。
具体的には、第4連通部54は、第2凹部54aを含んでいる。第2凹部54aは、スプール50の外周面を環状に凹ますことにより形成した部分である。第2凹部54aは、スプール50の右部であって、第2縦油路51b2の左方に位置している。
【0053】
図2Dに示すように、スプール50を移動して、第2凹部54a、第2内部油路42の端部42a及び第3内部油路43の右油路43b(端部43b1)を重複(一致)させる。即ち、第1制御弁20Aが第2位置20a2である状態では、第2内部油路42と第3内部油路43とを連通することができる。第2内部油路42と第3内部油路43とが連通している状態では、第1溝53a、第5内部油路45の左油路45a、第4内部油路44の左油路44aが連通する。つまり、第4連通部54(第2凹部54a)は、第3連通部53(第1溝53a)によって第5内部油路45及び第4内部油路44を連通している状態で、第2内部油路42と第3内部油路43とを連通することができる。
【0054】
なお、
図2Bに示すように、スプール50を移動して、第2凹部54a、第2内部油路42の端部42a及び第5内部油路45の右油路45b(端部45b1)を重複(一致)させることにより、第2内部油路42と第5内部油路45とを連通することができる。
以上、上述した第1制御弁20Aによれば、次のように、作業油を流すことができる。
第1制御弁20Aが第1位置20a1である状態では、第3ポート33に入った作動油は、
図2Bの矢印R1に示すように、第3内部油路43の中央油路43cから左油路43aに流れる。第3内部油路43の左油路43aに到達した作動油は、第2連通部52(第1凹部52a)を通過した後、第1内部油路41へ入る。第1内部油路41へ入った作動油は、第1ポート31を経て第1油路21へ流れる。
【0055】
また、第1制御弁20Aが第1位置20a1である状態では、第2油路22から第2ポート32に入った作動油は、
図2Bの矢印R2に示すように、第2内部油路42へ入る。第2内部油路42へ入った作動油は、第4連通部54(第2凹部54a)を通過した後に、第5内部油路45の右油路45bに入る。第5内部油路45の右油路45bに入った作動油は、第5ポート35(ポート35b)を経て他方の分岐油路25bへ流れる。
【0056】
したがって、第1制御弁20Aを第1位置20a1にすれば、ブームシリンダ14の第1給排ポート14dに作動油を供給すると共に、ブームシリンダ14の第2給排ポート14eから筒体14a内の作動油を排出することができる。即ち、ブームシリンダ14を伸長させることができる。
なお、
図2Bに示すように、第1制御弁20Aが第1位置20a1である状態では、第3連通部53(第1溝53a)の右端部は、第1内部油路41の端部41aには達していない。即ち、第1制御弁20Aが第1位置20a1である状態では、第3連通部53(第1溝53a)には作動油は流れない。
【0057】
また、第1制御弁20Aがフロート位置である状態では、第1ポート31に入った作動油は、
図2Cの矢印R3に示すように、第1内部油路41を通過して第2延設油路51bの第3縦油路51b3に入る。第2延設油路51bの第3縦油路51b3に入った作動油は、第1延設油路51aを通過して第2延設油路51bの第1縦油路51b1に入る。第2延設油路51bの第1縦油路51b1に入った作動油は、第4内部油路44の左油路44aに入る。第4内部油路44の左油路44aに入った作動油は、第4ポート34(ポート34a)を経て第4油路24(分岐油路26b)に排出される。また、第1制御弁20Aがフロート位置である状態では、第2ポート32に入った作動油は、
図2Cの矢印R4に示すように、第2内部油路42を通過して第2延設油路51bの第2縦油路51b2に入る。第2延設油路51bの第2縦油路51b2に入った作動油は、第1延設油路51a、第1縦油路51b1、左油路44aに流れる。
【0058】
したがって、第1制御弁20Aをフロート位置にすれば、ブームシリンダ14の第1給排ポート14d及び第2給排ポート14eから筒体14a内の作動油を、油路及び第1制御弁20Aを経て作動油タンク15に排出することができる。
また、第1制御弁20Aが第2位置20a2である状態では、第3ポート33に入った作動油は、
図2Dの矢印R5に示すように、第3内部油路43の中央油路43cから右油路43bに流れる。第3内部油路43の右油路43bに到達した作動油は、第4連通部54(第2凹部54a)を通過した後、第2内部油路42へ入る。第2内部油路42へ入った作動油は、第2ポート32を経て第2油路22へ流れる。
【0059】
また、第1制御弁20Aが第2位置20a2である状態では、第1油路21から第1ポート31に入った作動油(戻り油)は、
図2Dの矢印R6に示すように、第1内部油路41へ入る。第1内部油路41へ入った作動油は、
図2Dの矢印R7に示すように、第2連通部52(第1凹部52a)を通過した後に、第5内部油路45の左油路45aに入る。第5内部油路45の左油路45aに入った作動油の一部は、
図2Dの矢印R8に示すように、第3連通部53(第1溝53a)を通過して第4内部油路44の左油路44aに入る。また、第5内部油路45の左油路45aに入った他の作動油は、第5ポート35(ポート35a)を経て一方の分岐油路25aへ流れた後、第2制御弁20Bに入る。
【0060】
したがって、第1制御弁20Aを第2位置20a2にすれば、ブームシリンダ14の第2給排ポート14eに作動油を供給すると共に、ブームシリンダ14の第1給排ポート14dから筒体14a内の作動油を排出することができる。即ち、ブームシリンダ14を収縮させることができる。ここで、ブームシリンダ14におけるロッド14bと、ピストン14cとの横断面(ロッド14と直交する方向の断面)を考える。横断面において、ピストン14cの断面積は、ロッド14bの断面積より大きい。そのため、ブームシリンダ14を収縮した場合は、ブームシリンダ14を伸長した場合に比べて、第1給排ポート14dから排出される作動油の量は多くなる。つまり、ブームシリンダ14を収縮した場合は、第1油路21及び第1ポート31へ戻る作動油の量(戻り油の量)が多くなってしまう。
【0061】
従来では、戻り油を第2制御弁20Bにそのまま供給していたため、第1制御弁20Aと同時に第2制御弁20Bを操作すると、第2制御弁20Bで作動する油圧アクチュエータ(バケットシリンダ17)の操作性が低下する。即ち、第1制御弁20A及び第2制御弁20Bを同時に操作した場合と、同時に操作しなかった場合とで操作感覚が異なる。
一方、第1制御弁20Aによれば、第1ポート31へ戻る作動油の量(戻り油の量)が多くなってしまった場合でも、
図2の矢印R8に示したように、戻り油の一部を、第3連通部53(第1溝53a)を通過させて、第4ポート34から排出している。そのため、第2制御弁20Bに入る戻り油の量を、第1制御弁20Aを操作しなかった場合に第2制御弁20Bに入る作動油の量と略同じにすることができる。その結果、第1制御弁20A及び第2制御弁20Bを同時に操作した場合でも、操作性が低下することを抑制することができる。
【0062】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。