特許第6502257号(P6502257)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502257
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】バイオマスの処理
(51)【国際特許分類】
   B09B 5/00 20060101AFI20190408BHJP
   B01J 19/08 20060101ALI20190408BHJP
   G21K 5/00 20060101ALN20190408BHJP
   G21K 5/04 20060101ALN20190408BHJP
【FI】
   B09B5/00 ZZAB
   B01J19/08 A
   !G21K5/00 B
   !G21K5/00 C
   !G21K5/00 S
   !G21K5/00 W
   !G21K5/04 E
【請求項の数】58
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2015-536893(P2015-536893)
(86)(22)【出願日】2013年10月10日
(65)【公表番号】特表2016-500559(P2016-500559A)
(43)【公表日】2016年1月14日
(86)【国際出願番号】US2013064332
(87)【国際公開番号】WO2014059140
(87)【国際公開日】20140417
【審査請求日】2016年10月11日
【審判番号】不服2018-2962(P2018-2962/J1)
【審判請求日】2018年3月1日
(31)【優先権主張番号】61/711,801
(32)【優先日】2012年10月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/711,807
(32)【優先日】2012年10月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512175199
【氏名又は名称】ザイレコ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ピータース,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】メドフ,マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】マスターマン,トーマス,クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】パラディス,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】イップ,ケニー,キン−チュイ
【合議体】
【審判長】 加藤 友也
【審判官】 大島 祥吾
【審判官】 渕野 留香
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭49−8692(JP,B2)
【文献】 特表2010−506961(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/103033(WO,A1)
【文献】 特開昭51−138297(JP,A)
【文献】 特表2013−519391(JP,A)
【文献】 国際公開第00/42620(WO,A1)
【文献】 特開平7−94135(JP,A)
【文献】 特開2001−287472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00 - 5/00
G21K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理バイオマス材料を生成する方法であって、前記方法は、
電子ビームを複数の窓箔を通してバイオマス材料中に通過させることにより、前記バイオマス材料を照射することであって、前記複数の窓箔は、少なくとも、
電子ビーム加速器の走査ホーンの高真空側と連通する第1の単一型窓箔と、
前記走査ホーンの大気側に配置される第2の単一型窓箔であって、前記第2の単一型窓箔と前記バイオマス材料との間の距離は0.1cm超かつ10cm未満である、第2の単一型窓箔と、
を含み、前記複数の窓箔はガス冷却される窓箔のシステムを含み、前記システムはカバー表面を有する処理筐体をさらに含み、前記処理筐体は前記電子ビーム加速器とは反対側にある前記第2の単一型窓箔の側に配置され、前記処理筐体は第1の開口部を有することと、
前記バイオマス材料を前記第1の開口部を通して運搬することと、
前記バイオマス材料を前記第2の単一型窓箔の下に配置することと、
ビームストップにより前記電子ビームをブロックすることであって、前記ビームストップは異なる量の前記電子ビームを吸収するように移動可能であることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記窓箔の1つ以上は金属箔の形態にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バイオマス材料の照射は前記バイオマス材料の不応性を低減させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ガス冷却される窓箔のシステムは、
前記第1の単一型窓箔および前記第2の単一型窓箔の間のギャップと、
前記第1の単一型窓箔への冷却を提供する第1の流路と、
前記第2の単一型窓箔への冷却を提供する第2の流路と、
を規定する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ガス冷却される窓箔のシステムは、前記第1の単一型窓箔および前記第2の単一型窓箔の両方ともが前記電子ビーム加速器の前記走査ホーンの一部である場合、
冷却ガスが前記第1の単一型窓箔および前記第2の単一型窓箔の間で規定されるギャップに入ることを可能にするように構成された少なくとも1つの入口と、
冷却ガスを前記第1の単一型窓箔および前記第2の単一型窓箔の間で規定されるギャップから取り出すように構成された少なくとも1つの出口と、
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ガス冷却される窓箔のシステムは冷却チャンバをさらに含み、前記冷却チャンバは4つの壁を含み、前記冷却チャンバの内部体積は形状において長方形の角柱である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の単一型窓箔は前記カバー表面上に取り付けられ、前記処理筐体と一体である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記カバー表面は前記電子ビーム加速器に垂直である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記処理筐体は第2の開口部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記被処理バイオマス材料を前記処理筐体から前記第2の開口部を通して運搬すること
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記処理筐体を不活性ガスでパージすることをさらに含む、請求項1または10に記載の方法。
【請求項12】
前記処理筐体を反応性ガスでパージすることをさらに含む、請求項1または10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の単一型窓箔は、チタン、スカンジウム、バナジウム、クロム、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、イリジウムからなる群より選択される元素およびこれらのいずれかの合金または混合物から製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の単一型窓箔は、チタン、スカンジウム、バナジウム、クロム、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、イリジウム、ベリリウム、アルミニウム、ケイ素からなる群より選択される元素およびこれらのいずれかの合金または混合物から製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の単一型窓箔および前記第2の単一型窓箔は同じ元素、合金、または混合物から製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の単一型窓箔および前記第2の単一型窓箔は異なる元素、合金、または混合物から製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の単一型窓箔または前記第2の単一型窓箔、または両方は低Z元素から製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の単一型窓箔は高Z元素から製造され、前記第2の単一型窓箔は低Z元素から製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の単一型窓箔は10〜50ミクロンの厚さである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の単一型窓箔は15〜40ミクロンの厚さである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の単一型窓箔は20〜30ミクロンの厚さである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の単一型窓箔は5〜30ミクロンの厚さである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の単一型窓箔は8〜25ミクロンの厚さである、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の単一型窓箔は10〜20ミクロンの厚さである、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の単一型窓箔および前記第2の単一型窓箔は同じ厚さを有する、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の単一型窓箔および前記第2の単一型窓箔は異なる厚さを有する、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記バイオマス材料は、セルロース材料、リグノセルロース材料、および澱粉質材料からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記バイオマス材料は、紙、紙製品、紙くず、木材、パーティクルボード、おがくず、農業廃棄物、下水、サイレージ、草、麦わら、もみ殻、バガス、綿、ジュート、麻、亜麻、竹、サイザル麻、アバカ、わら、トウモロコシ穂軸、コーン・ストーバー、アルファルファ、干し草、ココナツの毛、海藻、藻類、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記バイオマス材料は10〜200Mradの間の放射線で処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記バイオマス材料は10〜75Mradの間の放射線で処理される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記バイオマス材料は15〜50Mradの間の放射線で処理される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記バイオマス材料は20〜35Mradの間の放射線で処理される、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記電子ビームは0.5〜10MeVのエネルギーを有する電子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記電子ビームは0.8〜5MeVのエネルギーを有する電子を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記電子ビームは0.8〜3MeVのエネルギーを有する電子を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記電子ビームは1〜3MeVのエネルギーを有する電子を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記電子ビームは1MeVのエネルギーを有する電子を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記電子ビームは少なくとも50mAのビーム電流を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記電子ビームは少なくとも60mAのビーム電流を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記電子ビームは少なくとも70mAのビーム電流を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記電子ビームは少なくとも80mAのビーム電流を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記電子ビームは少なくとも90mAのビーム電流を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記電子ビームは少なくとも100mAのビーム電流を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記電子ビームは少なくとも125mAのビーム電流を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記電子ビームは少なくとも150mAのビーム電流を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記電子ビームは1MeVのエネルギーを有する電子を含み、かつ前記第1の単一型窓箔および前記第2の単一型窓箔の間の間隔は30センチメートル未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記電子ビームは1MeVのエネルギーを有する電子を含み、かつ前記第1の単一型窓箔および前記第2の単一型窓箔の間の間隔は20センチメートル未満である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記電子ビームは1MeVのエネルギーを有する電子を含み、かつ前記第1の単一型窓箔および前記第2の単一型窓箔の間の間隔は10センチメートル未満である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記電子ビームは5MeVのエネルギーを有する電子を含み、かつ前記第1の単一型窓箔および前記第2の単一型窓箔の間の間隔は75センチメートル未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
前記電子ビームは5MeVのエネルギーを有する電子を含み、かつ前記第1の単一型窓箔および前記第2の単一型窓箔の間の間隔は60センチメートル未満である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記電子ビームは5MeVのエネルギーを有する電子を含み、かつ前記第1の単一型窓箔および前記第2の単一型窓箔の間の間隔は50センチメートル未満である、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記電子ビームは5MeVのエネルギーを有する電子を含み、かつ前記第1の単一型窓箔および前記第2の単一型窓箔の間の間隔は40センチメートル未満である、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記電子ビームは5MeVのエネルギーを有する電子を含み、かつ前記第1の単一型窓箔および前記第2の単一型窓箔の間の間隔は30センチメートル未満である、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記電子ビームは5MeVのエネルギーを有する電子を含み、かつ前記第1の単一型窓箔および前記第2の単一型窓箔の間の間隔は20センチメートル未満である、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
前記ビームストップは入射電子の少なくとも20%を吸収する、請求項に記載の方法。
【請求項56】
前記ビームストップは入射電子の少なくとも40%を吸収する、請求項に記載の方法。
【請求項57】
前記ビームストップは入射電子の少なくとも60%を吸収する、請求項に記載の方法。
【請求項58】
前記ビームストップは入射電子の少なくとも80%を吸収する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年10月10日に出願された米国仮特許出願第61/711,807号および2012年10月10日に出願された米国仮特許出願第61/711,801号に対し優先権を主張する。これらの出願の全開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
石油への需要が増加するにつれ、バイオ燃料および生化学物質を製造するための再生可能な供給原料への関心も増加する。そのような製造プロセスのための供給原料としてのリグノセルロースバイオマスの使用は、1970年代から研究されている。リグノセルロースバイオマスは魅力的である、というのも、これは豊富で、再生可能で、国産であり、食品業界使用と競合しないからである。
【0003】
多くの可能性のあるリグノセルロース供給原料が今日入手可能であり、2〜3例を挙げると、農業残渣、木質バイオマス、自治体廃棄物、油料種子/ケーキおよび海藻が挙げられる。現在のところ、これらの材料は、動物飼料、バイオコンポスト材料として使用され、コジェネレーション施設で燃やされるか、または埋め立てられる。
【0004】
リグノセルロースバイオマスは、リグニンにより囲まれた、ヘミセルロースマトリクス中に埋め込まれた結晶セルロース繊維を含む。これは、酵素および他の化学、生化学および生物学的プロセスによりアクセスするのが困難なコンパクトなマトリクスを生成させる。セルロースバイオマス材料(すなわち、リグニンが取り出されるバイオマス材料)は酵素および他の変換プロセスによりアクセスしやすいが、例えそうであっても、天然起源のセルロース材料はしばしば、加水分解酵素と接触させても収率が低い(理論的収率に比べ)。リグノセルロースバイオマスは酵素攻撃に対してよりいっそう不応性である。さらに、各型のリグノセルロースバイオマスはそれ固有の組成のセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンを有する。
【0005】
多くの方法が構造炭水化物をリグノセルロースバイオマスから抽出するために試されてきたが、それらは、高価すぎる、生成収率が低すぎる、得られた生成物中に望ましくない化学物質を残す、または単に糖類を分解する。
【0006】
再生可能なバイオマス源由来の単糖類は、石油および他の化石供給原料に取って代わる、補充する、または置換することにより化学および燃料工業の基本となり得るであろう。しかしながら、これらの単糖類を大量に、かつ許容される純度および価格で入手可能にする技術を開発する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
バイオマス材料を処理するための方法が本明細書で記載され、ここで、方法は電子ビームを複数のウィンドウホイルを通して、バイオマス材料中に通過させることを含む。複数のウィンドウホイルは冷却される窓箔のシステムを含むことができる。
【0008】
別の実行では発明は、走査型電子ビーム加速器の第1および第2の窓箔を冷却するための方法およびシステムに関する。
【0009】
1つの実施形態では、発明は、走査型電子ビーム加速器の第1および第2の窓箔を冷却し、材料(例えば、バイオマス材料)を照射するための方法およびシステムに関する。
【0010】
被処理バイオマス材料を生成させるための方法が提供され、ここで、方法は下記を含む:開始バイオマス材料を提供すること;ならびに電子ビームを複数の窓箔を通して開始バイオマス材料中まで通過させること;よって、被処理バイオマス材料を生成させること。被処理バイオマス材料は開始バイオマス材料に比べより低いレベルの不応性を有することができる。複数の窓箔は、ガス冷却される窓箔のシステムを含むことができる。
【0011】
電子ビーム加速器の複数の単一型窓箔を冷却するためのシステムもまた提供され、ここでシステムは下記を含み:第1の冷却ガスを第1の単一型窓箔を横切って提供するための第1の流路および第2の冷却ガスを第2の単一型窓箔を横切って提供するための第2の流路、ここで、第1および第2の単一型窓箔は、それらの間が約9cm未満のギャップで配置される。あるいは、電子ビーム加速器のエネルギーが高い場合、より大きなギャップを使用することができる。75cmものギャップを使用することができる。
【0012】
電子ビーム加速器の複数の単一型窓箔を冷却するのための方法もまた提供され、ここで、方法は下記を含み:第1の冷却ガスを第1の単一型窓箔を横切って通過させること、および第2の冷却ガスを第2の単一型窓箔を横切って通過させること、ここで、第1および第2の単一型窓箔は、互いに向かい合ってそれらの間が約9cm未満のギャップで配置される。
【0013】
ガス冷却される窓箔のシステムは下記を含むことができる:電子ビーム加速器の走査ホーンに取り付けられた第1の単一型窓箔;走査ホーンの大気側に配置された第2の単一型窓箔;第1の冷却ガスを第1の単一型窓箔を横切って提供する第1の流路;第2の冷却ガスを第2の単一型窓箔を横切って提供する第2の流路;ならびに第1の単一型窓箔と第2の単一型窓箔の間のギャップ。ガス冷却される窓箔のシステムはさらに下記を含むことができ:1つ以上の壁、第1の単一型窓箔および第2の単一型窓箔により規定される内部体積を有する冷却チャンバ、ここで、冷却チャンバは下記を含む:第1の入口(第1の冷却ガスが内部体積に入るのを可能にする);任意の第2の入口(任意で、第2の冷却ガスが内部体積に入るのを可能にする);および少なくとも1つの出口(第1および第2の冷却ガスが内部体積から出て行くのを可能にする)。冷却チャンバは4つの壁を含むことができ、内部体積はおよそ長方形の角柱の形状とすることができる。ガス冷却される窓箔のシステムはさらにカバー表面を有する処理筐体含むことができ、ここで、筐体は、電子ビーム加速器と反対の第2の単一型窓箔の側に配置される。第2の単一型窓箔は、カバー表面上に取り付けることができる。カバー表面は電子ビーム加速器に垂直とすることができる。処理筐体は第1の開口部を有することができる。
【0014】
方法およびシステムはまた、下記工程を含むことができる:バイオマス材料を第1の開口部を通して運搬する工程;バイオマス材料を第2の単一型窓箔下に配置する工程;ならびにバイオマス材料を照射する工程;よって、被処理バイオマス材料を生成させる工程。処理筐体は第2の開口部を含むことができる。方法は被処理バイオマス材料を処理筐体から第2の開口部を通して運搬する工程を含むことができる。バイオマスの配置は即時とすることができ、すなわち、配置工程は、材料を連続して移動しているコンベヤーベルトで運搬することを含むことができる。
【0015】
方法はまた、処理筐体を不活性ガス、または反応性ガスでパージすることを含むことができる。
【0016】
第1の単一型窓箔は、下記からなる群より選択される元素:チタン、スカンジウム、バナジウム、クロム、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、イリジウム、およびこれらのいずれかの合金または混合物から製造することができる。
【0017】
あるいは、第2の単一型窓箔は、下記からなる群より選択される元素:チタン、スカンジウム、バナジウム、クロム、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、イリジウム、ベリリウム、アルミニウム、ケイ素、およびこれらのいずれかの合金または混合物から製造することができる。
【0018】
第1の単一型窓箔および第2の単一型窓箔は、同じ元素、合金、もしくは混合物から製造することができ、またはそれらは、異なる元素、合金、もしくは混合物から製造することができる。第1の単一型窓箔、または第2の単一型窓箔、または両方は、低Z元素から製造することができる。第1の単一型窓箔は、高Z元素から製造することができ、第2の単一型窓箔は、低Z元素から製造することができる。
【0019】
第1の単一型窓箔は10〜50ミクロンの厚さ、15〜40ミクロンの厚さ、20〜30ミクロンの厚さ、5〜30ミクロンの厚さ、8〜25ミクロンの厚さ、または10〜20ミクロンの厚さとすることができる。単一型窓箔は同じ厚さ、または異なる厚さとすることができる。
【0020】
開始バイオマス材料は下記からなる群より選択される:セルロース材料、リグノセルロース材料および澱粉質材料。バイオマスは紙、紙製品、紙くず、木材、パーティクルボード、おがくず、農業廃棄物、下水、サイレージ、草、麦わら、もみ殻、バガス、綿、ジュート、麻、亜麻、竹、サイザル麻、アバカ、わら、トウモロコシ穂軸、コーン・ストーバー、アルファルファ、干し草、ココナツの毛、海藻、藻類、およびそれらの混合物。
【0021】
バイオマスは10〜200Mradの間の放射線、10〜75Mradの間の放射線、15〜50Mradの間の放射線、または20〜35Mradの間の放射線で処理することができる。
【0022】
電子ビームは約0.5〜10MeV、約0.8〜5MeV、約0.8〜3MeV、約1〜3MeV、または約IMeVのエネルギーを有する電子を含むことができる。
【0023】
電子ビームは少なくとも約50mA、少なくとも約60mA、少なくとも約70mA、少なくとも約80mA、少なくとも約90mA、少なくとも約100mA、少なくとも約125mA、少なくとも約150mAのビーム電流を有することができる。
【0024】
電子ビームは約1MeVのエネルギーを有する電子を含むことができ、第1の単一型窓箔と第2の単一型窓箔の間の間隔は約30センチメートル未満とすることができる。電子ビームは約1MeVのエネルギーを有する電子を含むことができ、第1の単一型窓箔と第2の単一型窓箔の間の間隔は20センチメートル未満とすることができる。電子ビームは約1MeVのエネルギーを有する電子を含むことができ、第1の単一型窓箔と第2の単一型窓箔の間の間隔は10センチメートル未満とすることができる。
【0025】
あるいは、電子ビームは約5MeVのエネルギーを有することができる電子を含み、第1の単一型窓箔と第2の単一型窓箔の間の間隔は75センチメートル未満とすることができる。電子ビームは、約5MeVのエネルギーを有することができる電子を含み、第1の単一型窓箔と第2の単一型窓箔の間の間隔は60センチメートル未満とすることができる。電子ビームは、約5MeVのエネルギーを有することができる電子を含み、第1の単一型窓箔と第2の単一型窓箔の間の間隔は50センチメートル未満とすることができる。電子ビームは、約5MeVのエネルギーを有することができる電子を含み、第1の単一型窓箔と第2の単一型窓箔の間の間隔は40センチメートル未満とすることができる。電子ビームは、約5MeVのエネルギーを有することができる電子を含み、第1の単一型窓箔と第2の単一型窓箔の間の間隔は30センチメートル未満とすることができる。電子ビームは、約5MeVのエネルギーを有することができる電子を含み、第1の単一型窓箔と第2の単一型窓箔の間の間隔は20センチメートル未満とすることができる。
【0026】
本明細書で記載される方法およびシステムはビームストップを含むことができる。
【0027】
本明細書で記載される方法およびシステムの1つの利点は、プロセスがより強固であり、窓箔の故障から生じるダウンタイムが少ないことである。特に、複数のウィンドウシステムは、第1のウィンドウ故障/内破(高価な加速器部品を破壊する可能性がある)の可能性を著しく低減させる。別の利点は、いくつかの従来のプロセスに比べ毒性副産物の生成の低減が起こり得ることである。これらの利点により、より安全でより強固加工処理が提供され、例えば、有用な生成物の生成におけるより高く、より安全なスループットが得られる。記載される方法およびシステムのいくつかのさらに別の利点は、窓箔の冷却が、高い流速の冷却ガスを用いて、照射のために標的とされる材料を妨害せずに実施され得ることがである。方法およびシステムのいくつかの別の利点は、窓箔間のギャップにより、ビームストップがウィンドウ間に取り外し可能に配置されることである。
【0028】
発明の実行は任意で下記の要約された特徴の1つ以上を含む。いくつかの実行では、選択された特徴は任意の順序で適用または利用することができ、一方、他の実行では、特定の選択された順番が適用または利用される。個々の特徴は、2回以上、任意の順番で適用または利用することができる。加えて、適用または利用される特徴の全順番、または順番の一部は、1回または繰り返し任意の順序で適用または利用することができる。いくつかの任意の実行では、特徴は異なる、または適用可能であれば同じ、設定たまたは変動された、当業者により決定される量的または質的パラメータを用いて適用または利用することができる。例えば、特徴のパラメータ、例えばサイズ、個々の寸法(例えば、長さ、幅、高さ)、位置、程度(例えば、不応性の程度などの程度)、持続期間、使用頻度、密度、濃度、強度および速度は、適用可能であれば当業者により決定されるように、変動または設定させることができる。
【0029】
電子ビームを複数のウィンドウを通してバイオマス材料中に通過させることによりバイオマス材料を照射する方法。バイオマスの不応性は、照射により低減される。複数のウィンドウの少なくとも1つは金属ホイルである。第1の単一型窓箔は電子ビーム加速器の走査ホーンの高真空側にあり、第2のウィンドウは走査ホーンの大気側に配置される。1つの態様では、第1の単一型窓箔および第2のウィンドウは同じ電子ビーム構造の一部であり、ホイルは冷却ガスにより冷却される。1つの構成では、第1および第2の窓箔はどちらも冷却ガスを有する。別の態様では第1の窓箔は電子ビーム加速器の走査ホーンの真空側にあり、カバー表面を有する処理筐体が存在し、この場合、筐体は電子ビーム加速器と反対の第2の単一型窓箔の側に配置され、第2の単一型窓箔はカバー表面上に取り付けられ、電子ビーム加速器に垂直であり、処理筐体と機械的に一体化される。
【0030】
バイオマスを加工処理する方法であって、ここで、バイオマスは処理筐体の第1の開口部中に運搬され、第2の単一型窓箔下に配置され、照射され、続いて、照射されたバイオマスは、筐体の第2の開口部の外に運搬される。処理筐体のガス空間は、不活性ガス、反応性ガスまたはこれらの混合物でパージすることができる。
【0031】
窓箔は、下記からなる群より選択される元素:チタン、スカンジウム、バナジウム、クロム、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、イリジウム、ベリリウム、アルミニウム、ケイ素、およびこれらのいずれかの合金または混合物から製造され得る。窓箔は前に列挙された同じもしくは異なる元素、または合金から製造され得る。窓箔は、低Z元素から製造することができ、単一型の第1のウィンドウは、高Z元素から製造することができる。第1の単一型窓箔は10〜50ミクロンの厚さ、あるいは15ミクロン〜40ミクロン、任意で20〜30ミクロンの厚さである。第2の単一型窓箔は5〜30ミクロンの厚さ、あるいは8ミクロン〜25ミクロン、任意で10〜20ミクロンの厚さである。窓箔は異なる厚さであってもよい。
【0032】
開始バイオマス材料は下記からなる群より選択され:セルロース材料、リグノセルロース材料、および澱粉質材料、下記からなる群より選択することができる:紙、紙製品、紙くず、木材、パーティクルボード、おがくず、農業廃棄物、下水、サイレージ、草、麦わら、もみ殻、バガス、綿、ジュート、麻、亜麻、竹、サイザル麻、アバカ、わら、トウモロコシ穂軸、コーン・ストーバー、アルファルファ、干し草、ココナツの毛、海藻、藻類、およびそれらの混合物。バイオマスは10〜200Mradの間の放射線、任意で10〜75Mrad、あるいは15〜50Mrad、さらに任意で20〜35Mradで処理される。バイオマスは処理され、ここで、電子ビームは0.5〜10MeVの間、任意で0.8〜5MeV、あるいは0.8〜3MeV、さらに任意で1〜3MeVのエネルギーを有する。バイオマスは処理され、ここで、電子ビームは少なくとも50mA、あるいは、少なくとも60mA、任意で、少なくとも70、さらに任意で少なくとも80mA、あるいは、少なくとも90mA、あるいは、少なくとも100mA、任意で少なくとも125mA、さらに任意で少なくとも150mAのビーム電流を有する。バイオマスは約1MeVの電子を有する電子ビームで処理され、第1の単一型窓箔と第2の単一型窓箔の間の間隔は30センチメートル未満であり、あるいは、間隔は20センチメートル未満であり、任意で、間隔は10センチメートル未満である。あるいは、電子ビームは、約5MeVの電子を有し、第1の単一型窓箔と第2の単一型窓箔の間の間隔は75センチメートル未満であり、あるいは、間隔は60センチメートル未満であり、任意で、間隔は50センチメートル未満であり、任意で間隔は40センチメートル未満であり、あるいは30、あるいは20センチメートル未満である。
【0033】
処理方法であって、ここで、電子ビーム加速器はビームストップを有し、これは、異なるレベルの電子を吸収するために移動可能とすることができる。ビームストップおよびその構成は入射電子エネルギーの10%、20%、40%、60%、80%および96%を吸収ることができる。
【0034】
方法およびシステムの他の特徴および利点は下記詳細な説明、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】バイオマス材料の有用な生成物への例示的な加工処理を示す図である。
図2】不活性雰囲気中でのバイオマスの照射を含む例示的な加工処理を示す図である。
図3】バイオマス供給材料を照射するための封入されたコンベヤーを示す図である
図4A封入されたコンベヤーおよび冷却ウィンドウを有する走査ホーンの拡大断面を示す。
図4Bビームストップを含む拡大断面の異なる構成を示す。
図4C電子をブロックする枢動ビームストップを有する封入されたコンベヤーの拡大断面図である。
図5査電子ビームの深部を通して見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
バイオマス材料を照射するための方法が本明細書で記載され、これは、材料の有用な生成物への変換を促進し、それらの生成物のバイオマス材料からの収率を改善する。よって、本明細書で記載される処理方法は、他のプロセスで使用するためのバイオマス供給原料を生成するのに有用である。
【0037】
本明細書で開示される方法はバイオマス材料の不応性レベルを効果的に低下させる、その、有用な中間体および生成物の生成における供給原料としての有用性を改善することができる。特許請求される方法は、バイオマス材料を、方法、例えばバイオプロセス処理(例えば、本明細書で記載される任意の微生物、例えばホモ酢酸生成細菌またはヘテロ酢酸生成細菌、および/または本明細書で記載される任意の酵素を用いる)、熱加工処理(例えば、気化または熱分解)または化学的加工処理(例えば、酸加水分解または酸化)により加工処理させるのをより容易にする。供給原料としての使用を目的とするバイオマス材料は、本明細書で記載される方法、例えば機械的処理、化学的処理、放射線、超音波処理、酸化、熱分解または蒸気爆発のいずれか1つ以上を使用して処理または加工処理することができる。様々な処理システムおよび方法は、本明細書および他のどこかで記載されるこれらの技術または他のものの2つ、3つ、またはさらに4つまたはそれ以上の組み合わせで使用することができる。
【0038】
糖化されたバイオマスはその後、様々な生成物に製造させることができる。例えば、図1は糖および他の有用な生成物(例えば、アルコール)を製造するためのプロセスを示す。プロセスは、例えば、任意で供給原料を機械的に処理すること(工程110)、この処理前および/または後、供給原料を、別の物理的処理、例えば照射を用いて本明細書で記載される方法により処理し、さらにその不応性を低減させること(工程112)、ならびに供給原料を糖化し、糖溶液を形成させること(工程114)を含むことができる。任意で、方法はまた、例えば、パイプライン、鉄道車両、トラックまたはバージにより、溶液(または、糖化が途中で実施される場合、供給原料、酵素および水)を製造プラントに輸送すること(工程116)を含み得る。場合によっては、糖化された供給原料はさらにバイオプロセス処理され(例えば、発酵され)所望の生成物(工程118)および副産物(111)が生成する。得られた生成物は、いくつかの実行では、さらに、例えば、蒸留(工程120)により加工処理され得る。所望であれば、リグニン量を測定する工程(工程122)およびこの測定の基づきプロセスパラメータを設定または調整する工程(工程124)は、2010年2月11日に出願された米国特許出願公開2010/0203495A1号(その全開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、プロセスの様々な段階で実施することができる。
【0039】
図2は照射プロセスを示す。このプロセスは、図1で記載されるプロセスの一部とすることができ、または、別のプロセスの一部とすることができる。最初に、バイオマスはコンベヤーに送達させることができる(150)。任意で、コンベヤーは封入することができる。バイオマスは封入されたコンベヤー内で封入されている間または封入されたコンベヤー内に材料を封入する前に照射前加工処理することができる。有利に、コンベヤー上のバイオマスは処理筐体内にある場合、バイオマス(例えば、微粒子およびダスト)を空気中に打ち上げさせる可能性がある急速な空気の流れから保護される。これは爆発の危険を示す、または機器に損傷を与える可能性がある。バイオマスは照射ゾーンを通って運搬することができる(例えば、放射線場)(154)。照射後、バイオマスは後加工処理することができる(156)。プロセスは繰り返すことができる(例えば、破線矢印A)。最後に照射されたバイオマスはコンベヤーから除去され、後の加工処理のために収集され、または有用な生成物を製造するために直接送られる。
【0040】
図3は1つの実施形態、粉砕されたバイオマスを照射するための封入された運搬システムを示す。筐体は封入された分配システム(310)、封入されたコンベヤー(311)、材料除去システム(318)(ここでは照射された材料がコンベヤーから出て行く)ならびに照射ボールトおよび走査ホーン(322)を有する。電子窓箔(図示せず)および筐体窓箔(図示せず)は、それぞれ、ウィンドウの表面を横切って空気を吹き付けるためにウィンドウ冷却器(320)および(326)を有する。封入された材料分配システム(310)はバイオマスをコンベヤー上に分配し、バイオマスを照射ボールトの外側から封入されたステンレス鋼コンベヤー中に、筐体の外側でダストを発生させずに持って行く(例えば、バイオマスをウィンドウ冷却システムからの空気から保護する)。分配システムには散布システム(図示せず)を取り付けることができ、バイオマスをコンベヤー上に約0.25インチの深さまで分配することができる。封入された除去システム(318)は、材料をコンベヤーベルトから、筐体の外側でダストを発生させずに落とすことを可能にし、ここで、材料は収集することができ(例えば、照射ボールトの外側)またはさらなる加工処理のためにどこかへ向かわせることができる。走査ホーンウィンドウおよび筐体ウィンドウは一緒になり、または整列させることができ、よって、電子ビームは、走査ホーンウィンドウを、冷却空気の小さなギャップを、その後筐体ウィンドウを通過する。例えば、コンベヤーは、キャスター上で移動させ、その後、定位置で固定することにより整合させることができる。例えば、キャスターは永久的な中断、ブロック、およびまたは下降によりブロックすることができる。コンベヤーはまた、他の方法および機器、例えばレール、車輪、滑車、シムにより、例えば、任意の組み合わせで整合させることができる。このウィンドウ配列では、走査ホーンウィンドウおよび筐体ウィンドウは接触せず、よって、残ったギャップにより効率的な冷却が可能になる。走査ホーンウィンドウは電子ビーム装置の一部であり、筐体ウィンドウは処理筐体システムの一部である。
【0041】
図3の走査ホーンおよび走査ホーンウィンドウの横断面詳細図が図4Aに示される。走査ホーンウィンドウ冷却器(426)および筐体ウィンドウ冷却器(420)が、小さな矢印により示されるように、空気を高速でウィンドウを横切って吹き付ける。電子ビーム(430)中の電子は、走査ホーンの真空(422)を、走査ホーンウィンドウ(428)を、走査ホーンウィンドウと筐体ウィンドウの間の冷却エアギャップを、筐体ウィンドウ(429)を通過し、コンベヤー表面(415)上のバイオマス材料(444)に衝突し、侵入する。走査ホーンウィンドウは、例えば真空のために、走査ホーンの真空側に向かって湾曲したものとして示される。図示される実施形態では、筐体ウィンドウは、運搬される材料に向かって湾曲している。ウィンドウの湾曲は、冷却空気経路が効率的な冷却のためにウィンドウのそばを流れるのを助けることができる。筐体ウィンドウは封入されたコンベヤーのカバー(412)上に取り付けられる。筐体ウィンドウは、カバー表面と整合される。
【0042】
図4Bはビームストップを含む封入されたコンベヤーの詳細断面図の異なる構成を示す。ビームストップ(440)は枢動可能に走査ホーンに固定させることができ、開いた位置で示され、例えば、e−ビームを運搬される材料に衝突させる。図4Cは走査ホーンおよび走査ホーンウィンドウの横断面拡大図をビームストップ(440)と共に示す。ここで、ビームストップは電子をブロックするための位置にある。カバー表面は414により示される。
【0043】
任意で、図3で示される運搬システムは、窒素ガス源に連結された入口を通す穏やかなパージにより、不活性または反応性ガスの雰囲気下で維持することができる。入口は異なる位置に、例えば、ゾーンに近接して、ここでは、パージが不活性ガスを用いて行われる場合、バイオマスはオゾン形成を低減させるのにより有効となるように照射され;または照射された材料と反応させるように設計された反応性ガスが使用される場合、さらにおよび照射の下流で配置することができる。
【0044】
図5は走査電子ビームのための2窓箔取り出しシステムの他の実施形態の横断面図である。走査ホーン(520)内の第1の窓箔(510)が示される。示された領域は高真空領域(525)である。一般に、第1のウィンドウは高真空領域(525)に向かって凹状である。第2の窓箔(530)はより平面であるが、これらもまた同じ方向で凹状である。この湾曲は、ウィンドウへの構造的支持を提供するのを助け、平面ウィンドウよりも機械的に強い。あるいはウィンドウは平面にすることができ、または任意の方向に湾曲させることができる。側壁(540)ならびに第1および第2のウィンドウは内部空間(550)を規定することができる。この構成では第1および第2のウィンドウは側壁により連結されるので、両方のウィンドウは電子ビーム装置の一部となる。電子(560)は両方のウィンドウを通って移動し、真下に配置されたバイオマスに衝突し、侵入する。1つの側壁(512)上の第1の入口は、冷却流体(例えば、液体またはガス)を第1の窓箔に衝突させるように配列される。冷却流体はウィンドウに沿って流れ、その後、遠い(反対)壁と接触した時点で方向を反転し、図示されるように、一般に内部空間の中心を通って流れてもどり、その後、排出ポートおよびまたは出口(514)通って出て行く。側壁上の第2の入口(516)は、冷却流体を第2の窓箔に同様の様式で衝突させるように配列される。任意でより多くの入口(例えば、2、3、4、5、6またはそれ以上)が冷却流体を第1および第2のウィンドウ表面に行かせることができ、1を超える出口(例えば、2、3、4、5、6またはそれ以上)は冷却流体を内部空間から出て行かせることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の側壁は多くの開口を有するメッシュ、スクリーンまたは格子とすることすらでき、これを通して、ウィンドウへの構造的支持を提供しながら、冷却ガスは流れることができる。システムは、運搬表面(570)を有するコンベヤーを含むことができる。材料、例えばバイオマス(444)は、示された方向で、薄いパイル(574)、例えば、約0.25インチとして運搬することができる。電子は、材料を、それが2ホイル取り出しシステム下で運搬される時に照射した。
【0045】
ウィンドウ
バイオマスはウィンドウ下を通過する時に照射され、ウィンドウは一般に金属ホイル(例えば、チタン、チタン合金、アルミニウムおよび/またはケイ素)である。ウィンドウはガスに対して不透過性であるが、電子は低抵抗で通過することができる。窓箔は好ましくは約10〜100ミクロンの間の厚さ(例えば、約10ミクロンの厚さ〜約30ミクロンの厚さ、約15〜40ミクロン、約20〜30ミクロン、約5〜30ミクロン、約8〜25ミクロン、約10〜20ミクロン、約20〜25ミクロンの厚さ、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100ミクロンの厚さ)である。薄いウィンドウは、厚いウィンドウより好ましく、というのも、薄いウィンドウは電子ビームがそれらを通過する時に、より少ないエネルギーを放散するからである(例えば、抵抗加熱はより低く、というのも、出力は電流の2乗と抵抗の積であるからである、P=IR)。薄いウィンドウはまた、より機械的に強くなく、より故障しやすく、これが、機器に対する費用の増大およびダウンタイムの増加を引き起こす。第1の窓箔の前面および第2の窓箔の後面の間の距離は好ましくは30cm未満、より好ましくは20cm未満、最も好ましくは10cm未満である。
【0046】
窓箔は空気または不活性ガスをウィンドウ上で通過させることにより冷却することができる。筐体を使用する場合、ウィンドウを筐体に取り付け、ウィンドウを封入された運搬システムの外側の側から冷却し、照射される材料の微粒子を打ち上げないようにすることが一般に好ましい。
【0047】
システムは1を超えるウィンドウ、例えば、第1のウィンドウおよび第2のウィンドウを含むことができる。2つのウィンドウはパージガスおよび/または冷却ガスを含む筐体を形成してもよい。第2のウィンドウは第1のウィンドウを保護するための「犠牲」ウィンドウとしての機能を果たすことができる。電子ビーム装置は電子源と第1のウィンドウの間に真空を含み、第1のウィンドウの破損により、バイオマス材料は電子ビーム装置中に吸い上げられる可能性があり、損傷、修復コスト、および機器ダウンタイムが生じる。
【0048】
ウィンドウはポリマ、セラミック、コートセラミック、複合物またはコート複合物とすることができる。第2のウィンドウは、例えば、ポリマまたはコートポリマの連続シート/ロールとすることができ、これは連続してまたは間隔をおいて進めることができ、第2のウィンドウとして機能する清浄または新しいセクションを提供することができる。
【0049】
第1のウィンドウおよび第2のウィンドウは、同じ材料、または異なる材料から製造することができる。例えば、第1の窓箔は、チタン、スカンジウム、バナジウム、クロム、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、イリジウム、またはこれらのいずれかの合金もしくは混合物から製造することができる。第2の単一型窓箔は、チタン、スカンジウム、バナジウム、クロム、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、イリジウム、ベリリウム、アルミニウム、ケイ素、またはこれらのいずれかの合金もしくは混合物から製造することができる。第1および第2のウィンドウは同じ材料、材料の混合物、もしくは合金、または異なる材料、材料の混合物もしくは合金とすることができる。ウィンドウの1つまたは両方は、同じまたは異なる材料、材料の混合物、または合金の積層物とすることができる。
【0050】
1つ以上のウィンドウは、その面を横切る支持構造を有することができる。「単一型ウィンドウ」という用語は、本明細書では、その面を横切る支持構造を有さないウィンドウを意味する。「二重型ウィンドウ」という用語は、本明細書では、その面を横切る支持構造を有するウィンドウを意味し、この場合、支持構造は効果的にウィンドウの表面を2つの部分に分割する。そのような二重型ウィンドウはNishimuraの米国特許第5,877,582号において示されている。追加の支持構造もまた使用することができる。
【0051】
第1の窓箔および第2の窓箔はどちらも低Z元素から製造することができる。あるいは、第1の窓箔は、高Z元素から製造することができ、第2の窓箔は、低Z元素から製造することができる。
【0052】
本明細書で記載される実施形態は追加のウィンドウの包含を除外せず、これは保護機能を有してもよく、または、放射線曝露を改変するために含められ得る。
【0053】
ウィンドウは凹状、平面または凸状とすることができる。ウィンドウは、冷却流体の方向から離れた方向ではわずかに凸状であることが一般に好ましい。この湾曲はウィンドウの機械強度を改善し、許容される温度レベルを増加させ、ならびに冷却流体のためのより良好な流路を可能にする。走査ホーンの1つの側では、湾曲は、真空のために(例えば、約10−5〜10−10Torr、約10−6〜10−9Torr、約10−7〜10−8Torr)、真空に向かう傾向がある(例えば、冷却流体から離れる)。
【0054】
ウィンドウの冷却および/またはウィンドウの凹状形状は、高ビーム電流、例えば少なくとも約100mA電子銃電流(例えば、少なくとも約110mA、少なくとも約120mA、少なくとも約130mA、少なくとも約140mA、少なくとも約150mA少なくとも約200mA、少なくとも約500mA、少なくとも約1000mA)に対してとりわけ重要となり、というのも、抵抗加熱は上記のように電流の2乗とおよそ関連するからである。ウィンドウは任意の形状とすることができるが、典型的には幅の長さに対する高いアスペクト比を有するおよそ長方形(ここで、幅方向は運搬方向に垂直な運搬システムの幅と同じであり、長さは運搬方向と同じである)である。運搬される材料までのウィンドウの距離は、約10cm未満(例えば、約5cm未満)および約0.1cm超(例えば、約1cm超、約2cm超、約3cm超、約4cm超)とすることができる。異なる、多様な形状を有し、異なる様式で構成される複数のウィンドウ(例えば、3、4、5、6またはそれ以上)を使用することもまた、可能である。例えば、第1または第2の窓箔は同じ平面内のまたは層状の1、2またはそれ以上ウィンドウを含むことができ、ならびに、1つ以上の支持構造を含むことができる。例えば、支持構造は、同じ平面内のウィンドウに接触するバーまたはグリッドとすることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、封入された運搬システム上に取り付けられるウィンドウは走査電子ビームのための2窓箔取り出しシステムの第2の窓箔である。他の実施形態ではバイオマス材料を運搬するための筐体は存在せず、例えば、バイオマスは、空気中照射装置下で運搬される。
【0056】
ウィンドウ間隔
ウィンドウ間の大きな間隔が、例えば、以上で記載される理由のために、有利である可能性があるが、大きな間隔はいくつかの不利点を提示する。ウィンドウ間の大きな間隔の1つの不利点は、電子ビームがより大きな体積の冷却ガスを通過し、これによりエネルギー損失が引き起こされる可能性があることである。例えば、1MeVビームは約0.2MeV/mのエネルギーを損失し、5MeVビームは約0.23MeV/mを損失し、10MeVビームは約0.26MeV/mを損失する。よって、1MeVビームの電子が1cmの空気を通過する場合、ビームはそのエネルギーの0.2%しか損失せず、10cmの空気では、ビームはそのエネルギーの2%を損失し、20cmでは、これはそのエネルギーの4%であり、一方、50cmでは、エネルギー損失は10%である。電子はまた第2の窓箔からバイオマスまで追加の空気を通って移動しなければならないので、ウィンドウ間のギャップは注意深く制御されなければならない。好ましくは、エネルギー損失は約20%未満(例えば、10%未満、5%未満またはさらに1%未満)である。エネルギー損失を減少させるためにウィンドウ間の間隔を最小に抑えることは有利である。以上で記載される冷却のために、およびエネルギー損失を低減させるために、ウィンドウ間(例えば、電子窓箔の表面側と第2の窓箔の対向する表面の間)の最適間隔(例えば、平均間隔)は30cm未満(例えば、約2〜20cmの間、約3〜20cmの間、約4〜20cmの間、約5〜20cmの間、約6〜20cmの間、約7〜20cmの間、約8〜20cmの間、約3〜15cmの間、約4〜15cmの間、約5〜15cmの間、約6〜15cmの間、約7〜15cmの間、約8〜15cmの間約3〜10cmの間、約4〜10cmの間、約5〜10cmの間、約6〜10cmの間、約7〜10cmの間、約8〜10cmの間、好ましくは20cm未満、最も好ましくは10cm未満である。
【0057】
あるいは、より高いMeV機器では、より大きなギャップが容認され得る。より高いギャップは75cmもの大きさとすることができる。いくつかの実施形態では、ウィンドウのための支持構造はウィンドウを横切って使用することができるが、これらの型の構造は、電子ビームがこれらの種類の構造に突き当たった時に電子ビームに対して起こる可能性があるエネルギー損失のためにあまり好ましくない。
【0058】
ウィンドウ間の大きな間隔は、ウィンドウ間でより大きな体積を規定し、非常に効率的な冷却のための大きな体積の冷却ガスの急速な流れを可能にするので、有利となり得る。入口および出口は直径が1mm〜120mmの間である(例えば、約2mm、約5mm約10mm、約20mm、約50mmまたはさらに約100mm)。冷却ガス流は約500〜2500CFMの間(例えば、約600〜2500CFM、約700〜2500CFM、約800〜2500CFM、約1000〜2500CFM、約600〜2000CFM、約700〜2000CFM、約800〜2000CFM、約1000〜2000CFM、約600〜1500CFM、約700〜1500CFM、約800〜1500CFM、約1000〜1500CFM)とすることができる。いくつかの実施形態では、約50%のガスが約60秒またはそれ以下(例えば、約50secまたはそれ以下、約30secまたはそれ以下、約10secまたはそれ以下、約1secまたはそれ以下)毎に交換される。
【0059】
冷却およびパージガス
2つの窓箔取り出しシステムにおける冷却ガスはパージガスまたは混合物、例えば空気、または純粋ガスとすることができる。いくつかの実施形態ではガスは不活性ガス、例えば窒素、アルゴン、ヘリウムおよびまたは二酸化炭素である。液体ではなくガスを使用することが好ましく、というのも、電子ビームへのエネルギー損失が最小に抑えられるからである。純粋ガスの混合物もまた使用することができ、予混合され、またはウィンドウに衝突する前にラインでもしくはウィンドウ間の空間で混合される。冷却ガスは、例えば、熱交換システム(例えば、冷却装置)を使用することにより、および/または凝縮ガス(例えば、液体窒素、液体ヘリウム)からのボイルオフを使用することにより冷却することができる。
【0060】
筐体を使用する場合、封入されたコンベヤーはまた、雰囲気を低減された酸素レベルで維持するために不活性ガスでパージさせることができる。酸素レベルを低く維持すると、場合によっては、その反応性および毒性のために望ましくないオゾンの形成が回避される。例えば、酸素は約20%未満(例えば、約10%未満、約1%未満、約0.1%未満、約0.01%未満、またはさらに約0.001%未満酸素)とすることができる。パージは、不活性ガス、例えば、限定はされないが、窒素、アルゴン、ヘリウムまたは二酸化炭素を用いて実施することができる。これは、例えば、液体源(例えば、液体窒素またはヘリウム)のボイルオフから供給させる、空気からインサイチューで生成または分離させる、または槽から供給させることができる。不活性ガスは再循環させることができ、残存酸素は触媒、例えば銅触媒床を使用して全て除去することができる。あるいは、酸素レベルを低く維持するために、パージ、再循環および酸素除去の組み合わせを使用することができる。
【0061】
筐体はまた、バイオマスと反応することができる反応性ガスでパージすることができる。これは、照射プロセス前、中または後に実施することができる。反応性ガスは、亜酸化窒素、アンモニア、酸素、オゾン、炭化水素、芳香族化合物、アミド、過酸化物、アジド、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、リン化物、ホスフィン、アルシン、スルフィド、チオール、ボランおよび/または水素化物とすることができるが、それらに限定されない。反応性ガスは筐体中で、例えば、照射(例えば、電子ビーム、UV照射、マイクロ波照射、加熱、IR放射線)により活性化することができ、よって、それはバイオマスと反応する。バイオマス自体を、例えば照射により活性化することができる。好ましくは、バイオマスは電子ビームにより活性化され、ラジカルが生成され、これはその後、活性化または非活性化反応性ガスと、例えば、ラジカルカップリングまたはクエンチングにより反応する。
【0062】
封入されたコンベヤーに供給されるパージガスはまた、例えば約25℃未満、約0℃未満、約−40℃未満、約−80℃未満、約−120℃未満に冷却させることができる。例えば、ガスは、圧縮ガス、例えば液体窒素から煮沸して取り除くことができ、または固体二酸化炭素から昇華させることができる。別の例として、ガスは冷却装置により冷却することができ、またはコンベヤーの一部もしくは全体を冷却することができる。
【0063】
ビームストップ
いくつかの実施形態では、システムおよび方法はビームストップ(例えば、シャッター)を含む。例えば、ビームストップは、電子ビーム装置の電源を切らずに材料の照射を迅速に中断または低減するために使用することができる。あるいは、ビームストップは電子ビームを起動しながら使用することができ、例えば、所望のレベルのビーム電流が達成されるまでビームストップは電子ビームを中断させることができる。ビームストップは第1の窓箔と第2の窓箔の間に配置することができる。例えば、ビームストップは移動可能となるように取り付けることができ、すなわち、ビーム経路中に出入りさせることができる。例えば、照射線量を制御するために、ビームの一部被覆さえも使用することができる。ビームストップは床面、バイオマスのためのコンベヤー、壁、放射線装置(例えば、走査ホーン)、または任意の構造支持体に取り付けることができる。好ましくは、ビームストップは走査ホーンとの関係で固定され、よって、ビームは、ビームストップにより効果的に制御することができる。ビームストップはヒンジ、レール、車輪、スロット、またはビーム中に出入りする際にその動作を可能にする他の手段は組み込むことができる。ビームストップは、少なくとも5%の電子、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはさらに約100%の電子を中断させる任意の材料から製造することができる。電子を中断させる有用なレベルは10%、20%、40%、60%、80%および96%とすることができる。
【0064】
ビームストップは、金属、例えば、限定はされないが、ステンレス鋼、鉛、鉄、モリブデン、銀、金、チタン、アルミニウム、スズ、またはこれらの合金、またはそのような金属により製造された積層物(層状材料)(例えば、金属コートセラミック、金属コートポリマ、金属コート複合物、多層金属材料)から製造することができる。
【0065】
ビームストップは、例えば、冷却流体、例えば水溶液またはガスを用いて冷却することができる。ビームストップは部分的にまたは完全に中空とすることができ、例えば空洞を有する。ビームストップの内部空間は、流体およびガスを冷却するために使用することができる。ビームストップは任意の形状とすることができ、平面、湾曲、円形、卵形、正方形、長方形、斜角およびくさび形形状が挙げられる。
【0066】
ビームストップは穴を有することができ、よって、いくつかの電子を通し、よってウィンドウの全領域にわたる、またはウィンドウの特定の領域における放射線レベルを制御する(例えば、低減させる)ことを可能にする。ビームストップは、例えば、繊維またはワイヤから形成されたメッシュとすることができる。照射を制御するために、複数のビームストップを一緒にまたは独立して使用することができる。ビームストップは、例えば、無線信号により遠隔操作することができ、またはビームを定位置に出入りさせるためにモーターに配線接続される。
【0067】
放射線源
放射線の型は使用される放射線源の種類ならびに放射線装置および関連機器を決定する。例えば材料を放射線で処理するための、本明細書で記載される方法、システムおよび機器は本明細書で記載される源ならびに任意の他の有用な源を使用することができる。
【0068】
γ線源としては、放射性核、例えばコバルト、カルシウム、テクネチウム(technicium)、クロム、ガリウム、インジウム、ヨウ素、鉄、クリプトン、サマリウム、セレン、ナトリウム、タリウム(thalium)、およびキセノンの同位体が挙げられる。
【0069】
X線源としては、金属ターゲット、例えばタングステンまたはモリブデンまたは合金との電子ビーム衝突、または小型光源、例えば商業的にLynceanにより生成されたものが挙げられる。
【0070】
α粒子はヘリウム原子の核と同一であり、様々な放射性核、例えばビスマス、ポロニウム、アスタチン、ラドン、フランシウム、ラジウム、いくつかのアクチニド、例えばアクチニウム、トリウム、ウラン、ネプツニウム、キュリウム、カリフォルニウム、アメリシウム、およびプルトニウムの同位体のα崩壊により生成される。
【0071】
紫外線のための源としては重水素またはカドミウムランプが挙げられる。
【0072】
赤外線のための源としてはサファイア、亜鉛、またはセレン化物ウィンドウセラミックランプが挙げられる。
【0073】
マイクロ波のための源としてはクライストロン、Slevin型RF源、または水素、酸素、または窒素ガスを使用する原子ビーム源が挙げられる。
【0074】
粒子(例えば、電子またはイオン)を加速するために使用される加速器は、静電DC、例えば動電DC、RF線形、磁気誘導線形または連続波とすることができる。例えば、様々な照射装置が本明細書で開示される方法において使用され得、電界電離源、静電イオンセパレータ、電界電離発生器、熱電子放出源、マイクロ波放電イオン源、再循環または静的加速器、動的線形加速器、ファンデグラフ加速器、Cockroft Walton加速器(例えば、PELLETRON(登録商標)加速器)、LINACS、ダイナミトロン(例えば、DYNAMITRON(登録商標)加速器)、サイクロトロン、シンクロトロン、ベータトロン、変圧器型加速器、マイクロトロン、プラズマ発生器、カスケード加速器、および折り返しタンデム加速器が挙げられる。例えば、サイクロトロン型加速器はIBA、Belgiumから入手可能であり、例えばRHODOTRON(商標)システムであり、一方、DC型加速器はRDI、現在IBA Industrialから入手可能であり、例えばDYNAMITRON(登録商標)である。他の好適な加速器システムとしては、例えば下記が挙げられる:Nissin High Voltage、Japanから入手可能なDC絶縁コア変圧器(ICT)型システム;L3−PSD(USA)、Linac Systems(France)、Mevex(Canada)、およびMitsubishi Heavy Industries(Japan)から入手可能なSバンドLINAC;Iotron Industries(Canada)から入手可能なLバンドLINAC;ならびに、Budker Laboratories(Russia)から入手可能なILU系加速器。イオンおよびイオン加速器は、下記に記載される:Introductory Nuclear Physics, Kenneth S. Krane, John Wiley & Sons, Inc. (1988), Krsto Prelec, FIZIKA B 6 (1997) 4, 177‐206, Chu, William T., “Overview of Light−Ion Beam Therapy”, Columbus−Ohio, ICRU−IAEA Meeting, 2006年3月18〜20日、Iwata, Y. et al., “Alternating−Phase−Focused IH−DTL for Heavy−Ion Medical Accelerators”, Proceedings of EPAC 2006, Edinburgh, Scotland、およびLeitner, C.M. et al., “Status of the Superconducting ECR Ion Source Venus”, Proceedings of EPAC 2000, Vienna, Austria。いくつかの粒子加速器およびそれらの使用が、例えば、Medoffの米国特許第7,931,784号(その完全な開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)で開示される。
【0075】
電子はβ崩壊を受ける放射性核、例えばヨウ素、セシウム、テクネチウム、およびイリジウムの同位体により生成され得る。あるいは、電子銃は、電子源として、熱電子放出を介して使用することができ、加速電位により加速され得る。電子銃は電子を生成させ、これはその後、大きな電位(例えば、約500000超、約100万超、約200万超、約500万超、約600万超、約700万超、約800万超、約900万超、またはさらに1000万超ボルト)により加速され、その後、磁気的にx−y面で走査され、この場合、電子は最初にz方向に加速管を下って加速され、窓箔を通して取り出される。電子ビームの走査は、走査ビームを通して運搬される材料、例えば、バイオマスを照射する場合に、照射表面を増加させるのに有用である。電子ビームの走査はまた、熱負荷を均一にウィンドウ上に分配し、電子ビームによる局部加熱による窓箔破裂を低減させるのを助ける。窓箔破裂はその後の必要とされる修復および電子銃の再起動による著しいダウンタイムの原因である。
【0076】
電子ビームは、放射線源として使用することができる。電子ビームは高い線量率(例えば、1、5、またはさらに10Mrad/秒)、ハイスループット、より低い封じ込め、およびより低い閉じ込め機器という利点を有する。電子ビームはまた、高い電気効率(例えば、80%)を有し、他の放射線法に比べより低いエネルギー使用を可能にし、これにより、より低い運転コストおよびより低い温室効果ガス放出となり得、より少量の使用エネルギーに対応する。電子ビームは、例えば、静電起電機、カスケード起電機、変圧起電機、走査システムを有する低エネルギー加速器、リニアカソードを有する低エネルギー加速器、線形加速器、およびパルス加速により生成させることができる。
【0077】
電子はまた、例えば、鎖切断のメカニズムにより、炭水化物含有材料の分子構造の変化を引き起こすのに、より効率的であり得る。加えて、0.5〜10MeVのエネルギーを有する電子は低密度材料、例えば本明細書で記載されるバイオマス材料、例えば、0.5g/cm3未満の嵩密度を有する材料に、0.3〜10cmの深さで侵入することができる。電離放射線源としての電子は、例えば、材料の比較的薄いパイル、層または床、例えば、約0.5インチ未満、例えば、約0.4インチ未満、0.3インチ、0.25インチ、または約0.1インチ未満に対し有用であり得る。いくつかの実施形態では、電子ビームの各電子のエネルギーは約0.3MeV〜約2.0MeV(100万電子ボルト)、例えば、約0.5MeV〜約1.5MeV、または約0.7MeV〜約1.25MeVである。材料を照射する方法は、2011年10月18日に出願された米国特許出願公開2012/0100577A1号(その全開示内容は本明細書にて参照により組み込まれる)に記載される。
【0078】
電子ビーム照射装置は商業的に調達されてもよく、構築されてもよい。例えば要素または構成要素、例えばインダクタ、コンデンサ、ケーシング、電源、ケーブル、配線、電圧制御システム、電流制御要素、絶縁材料、マイクロコントローラおよび冷却機器を購入し、組み立てて装置にすることができる。任意で、市販の装置は改良することができ、および/または適合させることができる。例えば、装置および構成要素は、下記を含む本明細書で記載される商業的供給源のいずれかから購入することができる:Ion Beam Applications(Louvain−la−Neuve,Belgium)、NHV Corporation(Japan)、Titan Corporation(SanDiego,CA)、Vivirad High Voltage Corp(Billeric,MA)および/またはBudker Laboratories(Russia)。典型的な電子エネルギーは0.5MeV、1MeV、2MeV、4.5MeV、7.5MeV、または10MeVとすることができる。典型的な電子ビーム照射装置出力は1kW、5kW、10kW、20kW、50kW、60kW、70kW、80kW、90kW、100kW、125kW、150kW、175kW、200kW、250kW、300kW、350kW、400kW、450kW、500kW、600kW、700kW、800kW、900kWまたはさらに1000kWとすることができる。使用することができる加速器としては、下記が挙げられる:NHV照射器中間的エネルギーシリーズEPS−500(例えば、500kV加速器電圧および65、100または150mAビーム電流)、EPS−800(例えば、800kV加速器電圧および65または100mAビーム電流)、またはEPS−1000(例えば、1000kV加速器電圧および65または100mAビーム電流)。また、NHVの高エネルギーシリーズからの加速器、例えばEPS−1500(例えば、1500kV加速器電圧および65mAビーム電流)、EPS−2000(例えば、2000kV加速器電圧および50mAビーム電流)、EPS−3000(例えば、3000kV加速器電圧および50mAビーム電流)ならびにEPS−5000(例えば、5000および30mAビーム電流)を使用することができる。
【0079】
電子ビーム照射装置出力仕様を考慮する際のトレードオフは、運転コスト、資本コスト、減価償却、および装置設置面積を含む。電子ビーム照射の曝露線量レベルを考慮する際のトレードオフはエネルギーコストおよび環境、安全性、および健康(ESH)懸案事項である。典型的に、発生器は、とりわけ、プロセスにおいて生成されるX線からの生成のために、例えば、鉛またはコンクリートのボールトに収容される。電子エネルギーを考慮する際のトレードオフはエネルギーコストを含む。
【0080】
電子ビーム照射装置は、固定ビームまたは走査ビームのいずれかを生成させることができる。走査ビームは大きな走査掃引長さおよび高い走査速度を有すると有利である可能性があり、というのも、これは大きな、固定ビーム幅に効果的にとって代わるからである。さらに、0.5m、1m、2mまたはこれ以上の有効な掃引幅が使用可能である。本明細書で記載されるほとんどの実施形態では、走査ビームが好ましく、というのも、走査幅がより大きく、局部加熱およびウィンドウの故障の可能性が低減するからである。
【0081】
供給原料のその後の使用
本明細書で記載される方法を使用して、開始バイオマス材料(例えば、植物バイオマス、動物バイオマス、紙、および自治体廃棄バイオマス)は、有用な中間体および生成物、例えば有機酸、有機酸の塩、無水物、有機酸のエステルおよび燃料、例えば、内燃機関のための燃料または燃料電池のための供給原料を生成させるための供給原料として使用することができる。供給原料として、容易に入手することができるが、しばしば加工処理するのが困難であり得るセルロースおよび/またはリグノセルロース材料、例えば、自治体廃棄物ストリームおよび紙くずストリーム、例えば新聞紙、クラフト紙、段ボール紙またはこれらの混合物を含むストリームを使用することができる、システムおよびプロセスが本明細書で記載される。
【0082】
供給原料を容易に加工処理することができる形態に変換するために、供給原料中のグルカンまたはキシラン含有セルロースは、糖化剤、例えば、酵素または酸、糖化と呼ばれるプロセスにより、低分子量炭水化物、例えば糖類に加水分解させることができる。低分子量炭水化物はその後、例えば、既存の製造プラント、例えば単細胞タンパク質プラント、酵素製造プラント、または燃料プラント、例えば、エタノール製造施設において使用することができる。
【0083】
供給原料は、酵素を用いて、例えば、材料および酵素を溶媒中、例えば、水溶液中で合わせることにより加水分解させることができる。
【0084】
あるいは、酵素はバイオマス、例えばセルロースおよび/またはバイオマスのリグニン部分を分解し、様々なセルロース分解酵素(セルラーゼ)、リグニナーゼまたは様々な小分子バイオマス分解代謝物を含むまたは製造する生物により供給させることができる。これらの酵素は、相乗的に作用し、結晶セルロースまたはバイオマスのリグニン部分を分解する酵素の複合体としてもよい。セルロース分解酵素の例としては下記が挙げられる:エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、およびセロビアーゼ(βグルコシダーゼ)。
【0085】
糖化中、セルロース基質は最初に、エンドグルカナーゼによりランダムな位置で加水分解させることができ、オリゴマ中間体が生成される。これらの中間体はその後、エキソ開裂グルカナーゼ、例えばセロビオヒドロラーゼのための基質となり、セルロースポリマの端部からセロビオースが生成される。セロビオースはグルコースの水溶性1,4−結合二量体である。最後に、セロビアーゼは、セロビオースを切断し、グルコースが得られる。このプロセスの効率(例えば、加水分解するための時間、および/または加水分解の完全性)はセルロース材料の不応性に依存する。
【0086】
バイオマス材料調製−機械的処理
バイオマスは乾燥形態とすることができ、例えば約35%未満の含水量(例えば、約20%未満、約15%未満、約10%未満約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満またはさらに約1%未満)を有する。バイオマスはまた、湿潤状態で、例えば湿潤固体、スラリーまたは少なくとも約10wt%の固体を有する懸濁液(例えば、少なくとも約20wt%、少なくとも約30wt%、少なくとも約40wt%、少なくとも約50wt%、少なくとも約60wt%、少なくとも約70wt%)として送達させることができる。
【0087】
本明細書で開示されるプロセスは、約0.75g/cm未満、例えば、約0.7未満、0.65、0.60、0.50、0.35、0.25、0.20、0.15、0.10、0.05またはそれ以下、例えば、約0.025g/cm未満の嵩密度を有するように物理的に前処理された、低嵩密度材料、例えばセルロースまたはリグノセルロース供給原料を使用することができる。嵩密度はASTM D1895Bを用いて決定される。簡単に言うと、方法は公知の体積のメスシリンダーを試料で満たし、試料の重量を得ることを含む。嵩密度はグラムで表された試料の重量を立方センチメートルで表されたシリンダーの公知の体積で割ることにより計算される。所望であれば、低嵩密度材料は、例えば、Medoffの米国特許第7,971,809号(その全開示内容は本明細書で参照により組み込まれる)で記載される方法により高密度化させることができる。
【0088】
場合によっては、照射前加工処理は、バイオマス材料のスクリーニングを含む。スクリーニングは所望の開口サイズ、例えば、約6.35mm(1/4インチ、0.25インチ)未満、(例えば、約3.18mm(1/8インチ、0.125インチ)未満、約1.59mm(1/16インチ、0.0625インチ)未満、約0.79mm(1/32インチ、0.03125インチ)未満、例えば、約0.51mm(1/50インチ、0.02000インチ)未満、約0.40mm(1/64インチ、0.015625インチ)未満、約0.23mm(0.009インチ)未満、約0.20mm(1/128インチ、0.0078125インチ)未満、約0.18mm(0.007インチ)未満、約0.13mm(0.005インチ)未満、またはさらに約0.10mm(1/256インチ、0.00390625インチ)未満)を有するメッシュまたは有孔板を通すことによって行うことができる。1つの構成では、所望のバイオマスは穴またはスクリーンを通り抜け、よって、穴またはスクリーンよりも大きなバイオマスは照射されない。これらのより大きな材料は、例えば粉砕により再加工処理することができ、またはそれらは単純に、加工処理から除去され得る。別の構成では、穴より大きな材料は照射され、より小さな材料はスクリーニングプロセスにより除去され、またはリサイクルされる。この種の構成では、コンベヤーは、それ自体(例えばコンベヤーの一部)穴が開けられまたはメッシュで製造され得る。例えば、1つの特定の実施形態では、バイオマス材料は湿性であっもよく、穴またはメッシュは水を照射前にバイオマスから流出させることができる。
【0089】
材料のスクリーニングはまた、手作業による方法、例えば望まれない材料を除去するオペレーターまたはメカノイド(例えば、色、反射または他のセンサが搭載されたロボット)によるものとすることができる。スクリーニングはまた、磁気スクリーニングによるものとすることができ、この場合、磁石が運搬される材料の近くに配置され、磁気材料が磁気的に除去される。
【0090】
任意の前処理加工は材料を加熱することを含むことができる。例えば、コンベヤーの一部は、加熱ゾーン通して送ることができる。加熱ゾーンは、例えば、IR放射線、マイクロ波、燃焼(例えば、ガス、石炭、油、バイオマス)、抵抗加熱および/または誘導コイルにより生成させることができる。熱は、少なくとも1つの側または1を超える側から適用することができ、連続または周期的とすることができ、材料の一部のみ、または材料全てに対するものとすることができる。例えば、運搬トラフの一部は、加熱ジャケットの使用により加熱することができる。加熱は、例えば、材料を乾燥させるためとすることができる。材料を乾燥させる場合、これはまた、加熱あり、またはなしで、運搬される時にバイオマス上および/またはこれを通すガスの移動(例えば、空気、酸素、窒素、He、CO、アルゴン)により促進することができる。
【0091】
任意で、照射前加工処理は材料を冷却することを含むことができる。材料の冷却はMedoffの米国特許第7,900,857号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。例えば、冷却は、冷却流体、例えば水(例えば、グリセロールと共に)、または窒素(例えば、液体窒素)を運搬トラフの底部に供給することによるものとすることができる。あるいは、冷却ガス、例えば、冷却窒素がバイオマス材料上または運搬システム下で吹き付けられ得る。
【0092】
別の任意の照射前加工処理は、材料をバイオマスに添加することを含むことができる。追加の材料は、例えば、材料をバイオマス上に、これが運搬される時に浴びせる、まき散らすおよびまたは注ぐことにより添加することができる。添加することができる材料としては、例えば、米国特許出願公開2010/0105119A1号(2009年10月26日に出願)および米国特許出願公開2010/0159569A1号(2009年12月16日に出願)(その全開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載される金属、セラミックおよび/またはイオンが挙げられる。添加することができる任意の材料としては、酸および塩基が挙げられる。他の添加することができる材料はオキシダント(例えば、過酸化物、塩素酸塩)、ポリマ、重合可能なモノマ(例えば、不飽和結合を含む)、水、触媒、酵素および/または生物である。材料は、例えば、純粋形態で、溶媒中の溶液として(例えば、水または有機溶媒)および/または溶液として添加することができる。場合によっては、溶媒は揮発性であり、および、例えば、前に記載されるように、加熱および/またはガスを吹き付けることにより、蒸発させることができる。添加された材料はバイオマス上で均一なコーティングを形成することができ、または異なる成分(例えば、バイオマスおよび追加の材料)の均一混合物となり得る。添加された材料はその後の照射工程を、照射効率を増加させる、照射を減衰させるまたは照射の効果を変化させる(例えば、電子ビームからX線または熱へ)ことにより調節することができる。方法は、照射に影響を与えない可能性があるが、さらに下流の加工処理に有用となる可能性がある。添加された材料は、例えば、ダストレベルを低下させることにより材料の運搬を助けることができる。
【0093】
バイオマスは本明細書で記載されるように、例えば電子ビーム放射線により、運搬される間に処理することができる。バイオマスはベルトコンベヤー、空気コンベヤー、スクリューコンベヤー、ホッパー、パイプにより、手作業でまたはこれらの組み合わせにより、コンベヤーに送達させることができる。バイオマスは、例えば、これらの方法のいずれかによりコンベヤー上に落とす、注ぐおよび/または配置することができる。いくつかの実施形態では、材料は、低酸素雰囲気を維持するおよび/またはダストおよび微粒子を制御するのを助けるために、封入された材料分配システムを使用してコンベヤーに送達される。打ち上げられたまたは空気中に浮いたバイオマス微粒子およびダストは望ましくなく、というのも、これらは、爆発の危険を形成し、または窓箔に損傷を与える可能性があるからである。
【0094】
材料は、約0.0312〜5インチの間(例えば、約0.0625〜2.000インチの間、約0.125〜1インチの間、約0.125〜0.5インチの間、約0.3〜0.9インチの間、約0.2〜0.5インチの間、約0.25〜1.0インチの間、約0.25〜0.5インチの間、0.100+/−0.025インチ、0.150+/−0.025インチ、0.200+/−0.025インチ、0.250+/−0.025インチ、0.300+/−0.025インチ、0.350+/−0.025インチ、0.400+/−0.025インチ、0.450+/−0.025インチ、0.500+/−0.025インチ、0.550+/−0.025インチ、0.600+/−0.025インチ、0.700+/−0.025インチ、0.750+/−0.025インチ、0.800+/−0.025インチ、0.850+/−0.025インチ、0.900+/−0.025インチ、0.900+/−0.025インチの均一な厚さを形成するように水平にすることができる。
【0095】
一般に、スループットを最大にするためには、材料をできる限り迅速に電子ビームを通して運搬することが好ましい。例えば、材料は、少なくとも1ft/min、例えば、少なくとも2ft/min、少なくとも3ft/min、少なくとも4ft/min、少なくとも5ft/min、少なくとも10ft/min、少なくとも15ft/min、20、25、30、35、40、45、50ft/minの速度で運搬することができる。運搬速度はビーム電流に関連し、例えば、1/4インチの厚さのバイオマスおよび100mAでは、コンベヤーは、有用な照射線量を提供するために約20ft/minで移動することができ、50mAでは、コンベヤーは、およそ同じ照射線量を提供するために約10ft/minで移動することができる。
【0096】
バイオマス材料が処理領域、例えば、放射線ゾーンを通って運搬された後、任意の後加工処理を実施することができる。任意の後加工処理は、例えば、本明細書で記載された任意のプロセスとすることができる。例えば、バイオマスはスクリーニングされ、加熱され、冷却されおよび/または添加物と合わせられ得る。照射後に一意的に、ラジカルのクエンチング、例えば、流体またはガスの添加(例えば、酸素、亜酸化窒素、アンモニア、液体)による、圧力、熱、および/またはラジカルスカベンジャーの添加を用いることによるラジカルのクエンチングが起こり得る。例えば、バイオマスは、封入されたコンベヤーから外に運搬され、ガス(例えば、酸素)に曝露させることができ、ここで、クエンチされ、カルボキシル化された基を形成する。1つの実施形態ではバイオマスは照射中に反応性ガスまたは流体に曝露され得る。照射されたバイオマスのクエンチングは、Medoffの米国特許第8,083,906号(その全開示内容は本明細書において参照により組み込まれる)に記載されている。
【0097】
所望であれば、さらに、炭水化物含有材料の不応性を低減させるために、1つ以上の機械的処理を照射に加えて使用することができる。これらのプロセスは、照射前、中およびまたは後に適用することができる。
【0098】
場合によっては、機械的処理は受理したままの供給原料の初期調製、例えば、粉砕、例えば、切断、破砕、せん断、微粉化または細断などによる材料のサイズ低減を含み得る。例えば、場合によっては、ルースな供給原料(例えば、再生紙、澱粉質材料、スイッチグラス)がせん断または寸断によって調製される。機械的処理は炭水化物含有材料の嵩密度を低減させ、炭水化物含有材料の表面積を増加させ、および/または炭水化物含有材料の1つ以上の寸法を減少させることができる。
【0099】
その代わりに、または加えて、供給原料材料は最初に、1つ以上の他の物理的処理方法、例えば、化学的処理、放射線、超音波処理、酸化、熱分解または蒸気爆発により物理的に処理することができ、その後機械的に処理することができる。この順番は有利である可能性があり、というのも、1つ以上の他の処理、例えば、照射または熱分解により処理された材料は、より脆性となる傾向があり、よって、材料の構造を機械的処理によりさらに変化させることがより容易になり得るからである。例えば、供給原料材料は、本明細書で記載されるコンベヤーを使用して電離放射線を通して運搬し、その後、機械的に処理することができる。化学的処理はリグニンのいくらかまたは全てを除去することができ(例えば化学パルプ化)、材料を部分的にまたは完全に加水分解することができる。方法はまた、前加水分解された材料と共に使用することができる。方法はまた、前加水分解されていない材料と共に使用することができる。方法は、加水分解および非加水分解材料の混合物、例えば、約50%以上の非加水分解材材料、約60%以上の非加水分解材材料、約70%以上の非加水分解材材料、約80%以上の非加水分解材材料またはさらに90%以上の非加水分解材材料と共に使用することができる。
【0100】
加工処理において最初におよび/または後に実施することができるサイズ低減に加えて、機械的処理もまた、炭水化物含有材料を切り開く、応力を加える、破壊するまたは粉々にする、材料のセルロースを、物理的処理中の鎖切断および/または結晶構造の破壊をより受けやすくするのに有利である可能性がある。
【0101】
炭水化物含有材料を機械的に処理する方法は、例えば、ミリングまたは破砕を含む。ミリングは、例えば、ハンマーミル、ボールミル、コロイドミル、円錐またはコーンミル、ディスクミル、エッジミル、Wileyミル、グリストミルまたは他のミルを用いて実施することができる。破砕は、例えば、切断/衝撃型グラインダーを用いて実施することができる。いくつかの例示的なグラインダーとしては、石材グラインダー、ピングラインダー、コーヒーグラインダー、およびバーグラインダーが挙げられる。破砕またはミリングは、例えば、ピンミルの場合と同様に、ピンまたは他の要素を往復運動させることにより提供することができる。他の機械的処理方法としては機械的リッピングまたはテアリング、圧力を繊維に適用する他の方法、およびエアアトリションミリングが挙げられる。好適な機械的処理はさらに、前の加工処理工程により開始された材料の内部構造の破壊を続けさせる任意の他の技術を含む。
【0102】
機械的供給調製システムは、特定の特性、例えば、例として、特定の最大サイズ、特定の長さ対幅、または特定の表面積比を有するストリームを生成するように構成させることができる。物理的調製は、材料を切り開き、それらを、プロセスおよび/または試薬、例えば溶液中の試薬によりアクセスしやすいものとすることにより、反応速度を増加させ、コンベヤー上での材料の動きを改善し、材料の照射プロファイルを改善し、材料の放射線均一性を改善し、または要求される加工処理時間を低減させることができる。
【0103】
供給原料の嵩密度は制御する(例えば、増加させる)ことができる。場合によっては、例えば、材料を高密度化し(例えば、高密度化は、より簡単に、より安価で別の場所に輸送することを可能にする)、その後、材料をより低い嵩密度状態に戻す(例えば、輸送後)ことにより低嵩密度材料を調製することが、望ましい可能性がある。材料は、例えば、約0.2g/cc未満から約0.9g/cc超まで(例えば、約0.3未満から約0.5g/cc超まで、約0.3未満から約0.9g/cc超まで、約0.5未満から約0.9g/cc超まで、約0.3未満から約0.8g/cc超まで、約0.2未満から約0.5g/cc超まで)高密度化させることができる。例えば、材料はMedoffの米国特許第7,932,065号および国際公開第WO2008/073186号(2007年10月26日に出願され、英語で公開され、米国を指定した)(その全開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる)で開示された方法および機器により、高密度化させることができる。高密度化された材料は、本明細書で記載される方法のいずれかにより加工処理することができ、または本明細書で記載される方法のいずれかにより加工処理された材料はいずれもその後高密度化させることができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、加工処理される材料は繊維性材料の形態であり、これは、繊維源をせん断することにより提供される繊維を含む。例えば、せん断はロータリーナイフカッターを用いて実施することができる。
【0105】
例えば、不応性であるまたはその不応性レベルが低減された、例えば、繊維源は、例えば、ロータリーナイフカッターにおいてせん断することができ、第1の繊維性材料が提供される。第1の繊維性材料は、例えば、1.59mm以下(1/16インチ、0.0625インチ)の平均開口サイズを有する第1のスクリーンを通過し、第2の繊維性材料を提供する。所望であれば、繊維源はせん断前に、例えば、シュレッダーを用いて切断することができる。例えば、紙が繊維源として使用される場合、紙は最初に、シュレッダー、例えば、反対方向に回転するスクリューシュレッダー、例えばMunson(Utica、N.Y.)により製造されたものを用いて切断してストリップにすることができ、これらは、例えば、1/4〜1/2インチ幅である。寸断の代わりとして、紙は、ギロチンカッターを使用して、切断によりサイズを低減させ、所望のサイズにすることができる。例えば、ギロチンカッターは、紙をシートに切断するために使用することができ、それらは、例えば、10インチ幅×12インチ長である。
【0106】
いくつかの実施形態では、繊維源のせん断および得られた第1の繊維性材料の第1のスクリーンの通過は同時に実施される。せん断および通過はまた、バッチ型プロセスで実施することができる。
【0107】
例えば、ロータリーナイフカッターは、同時に、繊維源をせん断し、第1の繊維性材料をスクリーニングするために使用することができる。ロータリーナイフカッターは、ホッパーを含み、これには、繊維源を寸断することにより調製された寸断された繊維源を入れることができる。寸断された繊維源。いくつかの実行では、供給原料は、糖化および/または発酵前に物理的に処理される。物理的処理プロセスは、本明細書で記載されるもの、例えば機械的処理、化学的処理、照射、超音波処理、酸化、熱分解または蒸気爆発のいずれかの1つ以上を含むことができる。処理方法は、これらの技術の2、3、4またはさらに全ての組み合わせで(任意の順序で)使用することができる。1を超える処理方法が使用される場合、方法は同時に、または異なる時に適用することができる。バイオマス供給原料の分子構造を変化させる他のプロセスもまた、単独で、または本明細書で開示されるプロセスと組み合わせて使用され得る。
【0108】
使用され得る機械的処理、および機械的に処理された炭水化物含有材料の特性は、2011年10月18日に出願された米国特許出願公開2012/01000577A1号(その全開示内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる)でさらに詳細に記載される。
【0109】
超音波処理、熱分解、酸化、蒸気爆発、加熱
所望であれば、1つ以上の超音波処理、熱分解、酸化的または蒸気爆発プロセスを、炭水化物含有材料の不応性をさらに低減させるために、照射に加えて使用することができる。これらのプロセスは、照射前、中およびまたは後に適用することができる。これらのプロセスは、Medoffの米国特許第7,932,065号(その全開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)で詳細に記載される。
【0110】
照射後のバイオマス加工処理
照射後、バイオマスは、糖化のための容器に移してもよい。あるいは、バイオマスはバイオマスが照射されされた後、糖化工程前に加熱することができる。バイオマスは、例えば、IR放射線、マイクロ波、燃焼(例えば、ガス、石炭、油、バイオマス)、抵抗加熱および/または誘導コイルにより加熱することができる。この加熱は液体中、例えば、水または他の水系溶媒中とすることができる。熱は、少なくとも1つの側または1を超える側から適用することができ、連続または周期的とすることができ、材料の一部のみ、または材料全てに対するものとすることができる。バイオマスは酸または塩基が存在し得る水性液体中で約90℃超の温度まで加熱することができる。例えば、水性バイオマススラリーは90〜150℃、あるいは、105〜145℃、任意で110〜140℃またはさらに任意で115〜135℃まで加熱することができる。水性バイオマス混合物をピーク温度で維持する時間は1〜12時間、あるいは、1〜6時間、任意でピーク温度で1〜4時間である。場合によっては、水性バイオマス混合物は酸性であり、pHは1〜5の間、任意で1〜4、あるいは、2〜3である。他の場合には、水性バイオマス混合物はアルカリ性であり、pHは6〜13の間、あるいは、8〜12、または任意で、8〜11である。
【0111】
糖化
被処理バイオマス材料は一般に、材料およびセルラーゼ酵素を流体媒質、例えば、水溶液中で合わせることにより糖化させることができる。場合によっては、材料は、2011年10月18日に出願された米国特許出願公開2012/01000577A1号(その全内容は本明細書に組み込まれる)に記載されるように、糖化前に、熱水中で煮沸し、浸し、または調理される。
【0112】
糖化プロセスは、部分的にまたは完全に、製造プラント内の槽(例えば、少なくとも4000、40,000、または500,000Lの体積を有する槽)で実施することができ、および/または、輸送中、例えば、鉄道車両、タンカートラック、または超大型タンカーまたは船倉内で部分的にまたは完全に実施することができる。完全糖化のために要求される時間は、プロセス条件ならびに使用される炭水化物含有材料および酵素に依存する。糖化が製造プラント内で制御された条件下で実施される場合、セルロースは糖、例えば、グルコースに約12〜96時間で実質的に完全に変換され得る。糖化が部分的にまたは完全に輸送中に実施される場合、糖化にはより長く時間がかかる可能性がある。
【0113】
槽内容物は、2010年5月18日に出願され、WO2010/135380号として英語で公開され、米国を指定した国際出願第PCT/US2010/035331号(その全開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、糖化中、例えば、ジェット混合を用いて混合されることが一般に好ましい。
【0114】
界面活性剤の添加は、糖化速度を増強させることができる。界面活性剤の例としては、下記が挙げられる:非イオン性界面活性剤、例えばTween(登録商標)20またはTween(登録商標)80ポリエチレングリコール界面活性剤、イオン性界面活性剤、または両性界面活性剤。
【0115】
糖化から得られる糖溶液の濃度は比較的高い、例えば、40重量%超、または50重量%超、60、70、80、90またはさらに95重量%超であることが一般に好ましい。水は、例えば、蒸発により除去することができ、糖溶液の濃度が増加する。これにより出荷される体積が低減し、また、溶液中での微生物増殖が阻止される。
【0116】
あるいは、より低い濃度の糖溶液を使用してもよく、この場合、抗菌添加物、例えば、広域スペクトル抗生物質を、低濃度、例えば、50〜150ppmで添加することが望ましい可能性がある。他の好適な抗生物質としては下記が挙げられる:アンホテリシンB、アンピシリン、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、ゲンタマイシン、ハイグロマイシンB、カナマイシン、ネオマイシン、ペニシリン、ピューロマイシン、ストレプトマイシン。抗生物質は、輸送および貯蔵中の微生物の増殖を阻害し、適切な濃度、例えば、15〜1000ppmの間(重量)、例えば、25〜500ppmの間、または50〜150ppmの間で使用することができる。所望であれば、糖濃度が比較的高い場合であっても抗生物質を含めることができる。あるいは、他の添加物を保存特性の抗菌薬と共に使用してもよい。好ましくは抗菌添加物(複数可)は食品グレードである。
【0117】
比較的高濃度の溶液は、酵素と共に炭水化物含有材料に添加される水の量を制限することにより入手することができる。濃度は、例えば、どれくらい糖化が起こるかを制御することにより制御することができる。例えば、濃度はより多くの炭水化物含有材料を溶液に添加することにより増加させることができる。溶液中で生成された糖を維持するために、界面活性剤、例えば、以上で記載されるものの1つが添加され得る。溶解度はまた、溶液の温度を増加させることにより増加させることができる。例えば、溶液は40〜50℃、60〜80℃、またはさらにより高い温度で維持することができる。
【0118】
糖類
本明細書で記載されるプロセスでは、例えば糖化後、糖類(例えば、グルコースおよびキシロース)は単離することができる。例えば糖類は沈殿、結晶化、クロマトグラフィー(例えば、疑似移動床クロマトグラフィー、高圧クロマトグラフィー)、遠心分離、抽出、当技術分野で知られている任意の他の単離方法、およびそれらの組み合わせにより単離することができる。
【0119】
水素化および他の化学転換
本明細書で記載されるプロセスは水素化を含むことができる。例えば、グルコースおよびキシロースはそれぞれ、ソルビトールおよびキシリトールに水素化することができる。水素化は触媒(例えば、Pt/γ−Al2O3、Ru/C、ラネーニッケル、または当技術分野において知られている他の触媒)の使用をHと組み合わせることにより、高圧下(例えば、10〜12000psi)で達成することができる。本明細書で記載されるプロセスからの生成物の他の型の化学転換を、使用することができ、例えば有機糖誘導生成物(例えば、フルフラールおよびフルフラール誘導生成物)の生成である。糖誘導生成物の化学転換は2012年7月3日に出願された、米国仮出願第61/667,481号(その開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。
【0120】
発酵
酵母およびザイモモナス細菌は、例えば、糖(複数可)のアルコール(複数可)への発酵または変換のために使用することができる。他の微生物を以下で記載する。発酵のための最適pHは約pH4〜7である。例えば、酵母のための最適pHは約pH4〜5であるが、ザイモモナスのための最適pHは約pH5〜6である。典型的な発酵時間は、20℃〜40℃の範囲の温度(例えば、26℃〜40℃)を用いると約24〜168時間(例えば、24〜96時間)であるが、しかしながら好熱性微生物はより高い温度を好む。
【0121】
いくつかの実施形態では、例えば嫌気性生物が使用される場合、発酵の少なくともの一部は、酸素なし、例えば、不活性ガス、例えばN、Ar、He、COまたはそれらの混合物のブランケット下で実施される。加えて、混合物は、発酵の一部または全体中に、槽を通して流れる不活性ガスの一定パージを有し得る。場合によっては、嫌気性条件は発酵中の二酸化炭素生成により達成または維持することができ、追加の不活性ガスは必要ない。
【0122】
いくつかの実施形態では、発酵プロセスの全てまたは一部は低分子量糖が完全に生成物(例えば、エタノール)に変換される前に中断させることができる。中間発酵生成物は糖および炭水化物を高濃度で含む。糖類および炭水化物は当技術分野で知られている任意の手段を介して単離することができる。これらの中間発酵生成物はヒト用または飼料用の食品の調製において使用することができる。加えてまたはその代わりに、発酵生成物は、粉砕により適切なサイズまで破砕することができる。
【0123】
ジェット混合を発酵中に使用することができ、場合によっては糖化および発酵は同じ槽内で実施される。
【0124】
微生物のための栄養分、例えば、2011年7月15日に出願された米国特許出願公開2012/0052536号(その完全な開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載される食品に基づく栄養分パッケージは糖化中および/または発酵中に添加され得る。
【0125】
発酵は、2012年12月22日に出願された米国仮出願第61/579,559号、および2012年12月22日に出願された米国仮出願第61/579,576号(その両方の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で開示される方法および生成物を含む。
【0126】
国際出願第PCT/US2007/074028号(これは、2007年7月20日に出願され、英語でWO2008/011598号として公開され、米国を指定した)(その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる)に記載される可動発酵槽が利用され得る。同様に、糖化機器は可動性とすることができる。さらに、糖化および/または発酵は、一部または完全に輸送中に実施することができる。
【0127】
蒸留
発酵後、得られた流体は、例えば、「ビール塔」を使用して蒸留することができ、エタノールおよび他のアルコールが大部分の水および残留固体から分離される。ビール塔を出て行く蒸気は、例えば、35重量%エタノールとすることができ、精留塔に送ることができる。精留塔からのほぼ共沸(92.5%)エタノールおよび水の混合物は、気相モレキュラーシーブを使用して純粋(99.5%)エタノールに精製することができる。ビール塔底部は、3効用蒸発器の第1のエフェクトに送ることができる。精留塔還流冷却器は、この第1のエフェクトのために熱を提供することができる。精留塔還流冷却器は、この第1のエフェクトのために熱を提供することができる。第1のエフェクト後、固体は、遠心分離機を用いて分離することができ、および回転乾燥機中で乾燥させることができる。遠心分離機排出物の一部(25%)は、発酵にリサイクルすることができ、残りは、第2および第3の蒸発器エフェクトに送ることができる。蒸発器凝縮物のほとんどは、かなりきれいな凝縮物としてプロセスに戻すことができ、ごく一部が分離されて廃水処理に送られ、低沸点化合物の蓄積が防止される。
【0128】
中間体および生成物
本明細書で記載されるプロセスを使用して、バイオマス材料は1つ以上の生成物、例えばエネルギー、燃料、食品および材料に変換することができる。生成物の具体例としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:水素、糖類(例えば、グルコース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース、果糖、二糖類、オリゴ糖類および多糖類)、アルコール(例えば、一価アルコールまたは二価アルコール、例えばエタノール、n−プロパノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールまたはn−ブタノール)、水和または含水アルコール(例えば、10%超、20%、30%またはさらに40%超の水を含む)、バイオディーゼル、有機酸、炭化水素(例えば、メタン、エタン、プロパン、イソブテン、ペンタン、n−ヘキサン、バイオディーゼル、バイオガソリンおよびそれらの混合物)、副産物(例えば、タンパク質、例えばセルロース分解性タンパク質(酵素)または単細胞タンパク質)、ならびに任意の組み合わせまたは相対濃度の、および任意で任意の添加物(例えば、燃料添加物)と組み合わされた、これらのいずれかの混合物。他の例としては下記が挙げられる:カルボン酸、カルボン酸の塩、カルボン酸およびカルボン酸の塩の混合物ならびにカルボン酸のエステル(例えば、メチル、エチルおよびn−プロピルエステル)、ケトン(例えば、アセトン)、アルデヒド(例えば、アセトアルデヒド)、αおよびβ不飽和酸(例えば、アクリル酸)およびオレフィン(例えば、エチレン)。他のアルコールおよびアルコール誘導体としては下記が挙げられる:プロパノール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、糖アルコール(例えば、エリスリトール、グリコール、グリセロール、ソルビトールトレイトール、アラビトール、リビトール、マンニトール、ズルシトール、フシトール、イジトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、キシリトールおよび他のポリオール)、およびこれらのアルコールのいずれかのメチルまたはエチルエステル。他の生成物としては下記が挙げられる:アクリル酸メチル、メチルメタクリル酸、乳酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、吉草酸、カプロン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、オレイン酸、リノール酸、グリコール酸、γヒドロキシ酪酸、およびそれらの混合物、これらの酸のいずれかの塩、酸のいずれかおよびそれらの個々の塩の混合物。得られた生成物の多く、例えばエタノールまたはn−ブタノールは、車、トラック、トラクター、船舶または列車に電力供給するための燃料として、例えば、内燃機関燃料として、または燃料電池供給原料として利用することができる。得られた生成物の多くはまた、例えば、ジェットエンジンを有する航空機、例えば飛行機またはヘリコプターに電力供給するために利用することができる。加えて、本明細書で記載される生成物は、発電のために、例えば、従来の蒸気発生プラントまたは燃料電池プラントにおいて利用することができる。
【0129】
他の中間体および生成物(食品および医薬品を含む)は、2009年4月3日に出願された米国特許出願第12/417,900号(その全開示内容はこれにより、参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。
【0130】
炭水化物含有材料(バイオマス材料)
本明細書では、「バイオマス材料」という用語は「炭水化物含有材料」という用語と同じ意味で使用されリグノセルロース、セルロース、澱粉質、および微生物材料を含む。本明細書で記載される方法のいずれも本明細書で記載される任意のバイオマス材料の混合物を用いて実施することができる。
【0131】
リグノセルロース材料としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:木材、パーティクルボード、林業廃棄物(例えば、おがくず、アスペン材、木材チップ)、草、(例えば、スイッチグラス、ススキ、スパルティナ、クサヨシ)、穀物残渣、(例えば、もみ殻、カラスムギ殻、コムギもみ殻、オオムギ殻)、農業廃棄物(例えば、サイレージ、キャノーラわら、麦わら、オオムギわら、カラスムギわら、コメわら、ジュート、麻、亜麻、竹、サイザル麻、アバカ、トウモロコシ穂軸、コーン・ストーバー、ダイズストーバー、トウモロコシ繊維、アルファルファ、干し草、ココナツの毛)、糖加工処理残渣(例えば、バガス、ビートパルプ、リュウゼツランバガス)、藻類、海藻、堆肥、下水、およびこれらのいずれかの混合物。
【0132】
場合によっては、リグノセルロース材料はトウモロコシ穂軸を含む。破砕またはハンマーミリングされたトウモロコシ穂軸は、照射のために比較的均一な厚さの層に散布させることができ、照射後、さらなる加工処理のために媒質中に分散させることが容易になる。収穫および収集を促進するために、場合によっては、全トウモロコシ植物が使用され、トウモロコシ葉柄、トウモロコシ穀粒、場合によっては植物の根系までも含まれる。
【0133】
有利に、トウモロコシ穂軸またはかなりの量のトウモロコシ穂軸を含むセルロースまたはリグノセルロース材料の発酵中、追加の栄養分(窒素源、例えば、尿素またはアンモニア以外)は要求されない。
【0134】
トウモロコシ穂軸はまた、粉砕前および後、運搬および分散するのがより容易であり、他のセルロースまたはリグノセルロース材料、例えば干し草および草よりも、空気中で爆発性混合物を形成する傾向が小さい。
【0135】
セルロース材料としては、例えば下記が挙げられる:紙、紙製品、紙くず、紙パルプ、着色紙、塗被紙、コート紙、充填紙、雑誌、印刷物(例えば、本、カタログ、マニュアル、ラベル、カレンダー、グリーティングカード、パンフレット、案内書、新聞用紙)、プリンター用紙、ポリコート紙、カード用紙、ボール紙、板紙、高いαセルロース量を有する材料、例えば綿、およびこれらのいずれかの混合物。例えば紙製品は米国特許出願第13/396,365号(Medoffらによる“Magazine Feedstocks”、2012年2月14日に出願)(その全開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。
【0136】
セルロース材料はまた、脱リグニンさせたリグノセルロース材料を含むことができる。
【0137】
澱粉質材料としては、下記が挙げられる:デンプン自体、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、ジャガイモデンプンまたはコメデンプン、デンプンの誘導体、またはデンプンを含む材料、例えば可食食品または作物。例えば、澱粉質材料はアラカチャ、ソバ、バナナ、オオムギ、キャッサバ、クズ、オカ、サゴ、ソルガム、一般家庭用ジャガイモ、サツマイモ、タロイモ、ヤム、または1つ以上の豆類、例えばソラマメ、レンズマメまたはエンドウマメとすることができる。任意の2つ以上の澱粉質材料のブレンドもまた澱粉質材料である。澱粉質、セルロースおよびまたはリグノセルロース材料の混合物もまた使用することができる。例えば、バイオマスは植物全体、植物の一部または植物の異なる部分、例えば、コムギ植物、綿植物、トウモロコシ植物、コメ植物または木とすることができる。澱粉質材料は、本明細書で記載されるのいずれかにより処理することができる。
【0138】
微生物材料としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:炭水化物(例えば、セルロース)物源を含む、またはこれを提供することができる任意の天然起源または遺伝子改変微生物または生物、例えば、原生生物、例えば、動物原生生物(例えば、原虫、例えば鞭毛虫、アメーバ、繊毛虫、および胞子虫)ならびに植物原生生物(例えば、藻類、例えばアルベオラータ、クロララクニオン藻、クリプト藻類、ユーグレナ、灰色藻、ハプト藻類、紅藻類、黄色植物、および緑色植物亜界)。他の例としては、下記が挙げられる:海藻、プランクトン(例えば、マクロプランクトン、メソプランクトン、マイクロプランクトン、ナノプランクトン、ピコプランクトン、およびフェムトプランクトン)、植物プランクトン、細菌(例えば、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、および好極限性細菌)、酵母および/またはこれらの混合物。場合によっては、微生物バイオマスは自然源、例えば、海洋、湖、水体、例えば、塩水もしくは真水から、または陸上で入手することができる。その代わりに、または加えて、微生物バイオマスは培養系、例えば、大規模乾燥および湿潤培養および発酵系から入手することができる。
【0139】
他の実施形態では、バイオマス材料、例えばセルロース、澱粉質およびリグノセルロース供給原料材料は、野生型種に対して改変されたトランスジェニック微生物および植物から入手することができる。そのような改変は、例えば、植物において所望の形質を得るための選択および繁殖の反復工程によるものであってもよい。さらに、植物は野生型種に対して、遺伝子材料を除去、改変、発現停止および/または付加させることができる。例えば、遺伝子改変植物は組換えDNA方法により生成させることができ、この場合、遺伝子改変は、親種由来の特定の遺伝子を導入または改変することを含み、または、例えば、トランスジェニック繁殖を使用することにより、この場合、1つまたは複数の特定の遺伝子が植物に異なる種の植物および/または細菌から導入される。遺伝的変異を生成させる別の方法は突然変異繁殖によるものであり、この場合、新しいアレルが内在性遺伝子から人工的に生成される。人工遺伝子は、様々な方法により生成させることができ、植物または種子を、例えば、化学変異原(例えば、アルキル化剤、エポキシド、アルカロイド、過酸化物、ホルムアルデヒドの使用)、照射(例えば、X線、γ線、中性子、β粒子、α粒子、プロトン、重陽子、UV放射線)および温度ショックまたは他の外部ストレスおよびその後の選択技術で処理することが含まれる。改変遺伝子を提供する他の方法はエラープローンPCRおよびDNAシャッフリング、続いて所望の改変DNAの所望の植物または種子中への挿入による。所望の遺伝的変異を種子または植物に導入する方法は、例えば、細菌運搬体、微粒子銃、リン酸カルシウム沈殿、電気穿孔、遺伝子スプライシング、遺伝子サイレンシング、リポフェクション、マイクロインジェクションおよびウイルス運搬体の使用を含む。追加の遺伝子改変材料は2012年2月14日に出願された米国特許出願第13/396,369号(その全開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0140】
糖化剤
好適なセルロース分解酵素としては、バチルス(Bacillus)、コプリナス(Coprinus)、ミセリオフソラ(Myceliophthora)、セファロスポリウム(Cephalosporium)、スキタリジウム(Scytalidium)、ペニシリウム(Penicillium)、アスペルギルス(Aspergillus)、シュードモナス(Pseudomonas)、ヒュミコラ(Humicola)、フサリウム(Fusarium)、チエラビア(Thielavia)、アクレモニウム(Acremonium)、クリソスポリウム(Chrysosporium)およびトリコデルマ(Trichoderma)属における種由来のセルラーゼが挙げられ、とりわけ、下記種から選択される株により生成されるものが挙げられる:アスペルギルス(Aspergillus)(例えば、欧州公開第0 458 162号を参照されたい)、ヒュミコラ・インソレンス(Humicola insolens)(スキタリジウム・サーモフィルム(Scytalidium thermophilum)として再分類、例えば、米国特許第4,435,307号を参照されたい)、コプリヌス・シネレウス(Coprinus cinereus)、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、ミセリオフソラ・サーモヒラ(Myceliophthora thermophila)、メリピウス・ギガンテウス(Meripilus giganteus)、チエラビア・テレストリス(Meripilus giganteus)、アクレモニウム(Acremonium)種(例えば、限定はされないが、A.ペルシシナム(A. persicinum)、A.アクレモニウム(A. acremonium)、A.ブラキペニウム(A. brachypenium)、A.ジクロモスポルム(A. dichromosporum)、A.オブクラバタム(A. obclavatum)、A.ピンケルトニエ(A. pinkertoniae)、A.ロセオグリセウム(A. roseogriseum)、A.インコロラタム(A. incoloratum)、およびA.フラタム(A. furatum))。好ましい株としては下記が挙げられる:ヒュミコラ・インソレンス(Humicola insolens)DSM 1800、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)DSM 2672、ミセリオフソラ・サーモヒラ(Myceliophthora thermophila)CBS 117.65、セファロスポリウム種RYM−202、アクレモニウム種CBS 478.94、アクレモニウム種CBS 265.95、アクレモニウム・ペルシシナムCBS 169.65、アクレモニウム・アクレモニウム(Acremonium acremonium)AHU 9519、セファロスポリウム種CBS 535.71、アクレモニウム・ブラシペニウム(Acremonium brachypenium)CBS 866.73、アクレモニウム・ジクロモスポルム(Acremonium dichromosporum)CBS 683.73、アクレモニウム・オブクラバタム(Acremonium obclavatum)CBS 311.74、アクレモニウム・ピンケルトニエ(Acremonium pinkertoniae)CBS 157.70、アクレモニウム・ロセオグリセウム(Acremonium roseogriseum)CBS 134.56、アクレモニウム・インコロラタム(Acremonium incoloratum)CBS 146.62、およびアクレモニウム・フラタム(Acremonium furatum)CBS 299.70H。セルロース分解酵素はまた、クリソスポリウム、好ましくはクリソスポリウム・ラクノウェンスの株から入手することができる。使用することができる追加の株としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:トリコデルマ(特に、T.ビリデ、T.リーセイ、およびT.コニンギイ)、好アルカリ性バチルス(例えば、米国特許第3,844,890号および欧州公開第0 458 162号を参照されたい)、およびストレプトマイセス(例えば、欧州公開第0 458 162号を参照されたい)。
【0141】
発酵剤
発酵で使用される微生物(複数可)は、天然微生物および/または操作された微生物とすることができる。例えば、微生物は細菌(限定はされないが、例えば、セルロース分解性細菌を含む)、真菌(限定はされないが、例えば、酵母を含む)、植物、原生生物、例えば原虫または真菌様原生生物(protest)(限定はされないが、例えば、粘菌を含む)、または藻類とすることができる。生物が適合性である場合、生物の混合物を使用することができる。
【0142】
好適な発酵微生物は炭水化物、例えば、グルコース、果糖、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース、オリゴ糖類または多糖類を発酵生成物に変換する能力を有する。発酵微生物としては下記の株が挙げられる:サッカロマイセス属種(例えば、限定はされないが、S.セレビシエ(S. cerevisiae)(パン酵母)、S.ディスタチカス(S. distaticus)、S.ウバラム(S. uvarum))、クリベロミセス属、(例えば、限定はされないが、K.マルキシアヌス(K. marxianus)、K.フラジリス(K. fragilis))、カンジダ属(例えば、限定はされないが、C.シュードトロピカリス(C.pseudotropicalis、およびC.ブラシカ(C. brassicae))、ピキア・スティピティス(Pichia stipitis)(カンジダ・シハタエ(Candida shehatae)の近縁種)、クラビスポラ属(例えば、限定はされないが、C.ルシタニエ(C. lusitaniae)およびC.オプンティアエ(C. opuntiae))、パキソレン属(例えば、限定はされないが、P.タンノフィルス(P. tannophilus))、ブレタノミセス属(例えば、限定はされないが、例えば、B.クラウセニイ(B. clausenii)(Handbook on Bioethanol: Production and Utilization, Wyman, C.E., ed., Taylor & Francis, Washington, DC, 179−212 に記載のPhilippidis, G. P., 1996, Cellulose bioconversion technology))。他の好適な微生物としては、例えば、下記が挙げられる:ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、クロストリジウム種(例えば、限定はされないが、C.サーモセラム(C. thermocellum)(Philippidis、1996、上記)、C.サッカロブチルアセトニカム(C. saccharobutylacetonicum)、C.サッカロブチリカム(C. saccharobutylicum)、C.パニセウム(C. Puniceum)、C.ベイジェリンキ(C. beijernckii)、およびC.アセトブチリカム(C. acetobutylicum))、モニリエラ・ポリニス(Moniliella pollinis)、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、アウレオバシジウム種、トリコスポロノイデス種、トリゴノプシス・バリアビリス(Trigonopsis variabilis)、トリコスポロン種、モニリエラ・アセトアブタンス種、チフラ・バリアビリス(Typhula variabilis)、カンジダ・マグノリアエ(Candida magnoliae)、ウスチラジノマイシーテス種、シュードジーマ・ツクバエンシス(Pseudozyma tsukubaensis)、ザイゴサッカロミセス属の酵母種、デバリオマイセス、ハンゼヌラ(Hansenula)およびピキア(Pichia)、ならびに黒色(dematioid)トルラ(Torula)属の真菌。
【0143】
多くのそのような微生物の株は、商業的にまたは保管所、例えば、2〜3例を挙げると、ATCC(American Type Culture Collection, Manassas, Virginia, USA)、NRRL(Agricultural Research Sevice Culture Collection, Peoria, Illinois, USA)、またはDSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Braunschweig, Germany)を介して公的に入手可能である。
【0144】
市販の酵母としては、例えば、下記が挙げられる:RED STAR(登録商標)/Lesaffre Ethanol Red(Red Star/Lesaffre、USAから入手可能)、FALI(登録商標)(Fleischmann’s Yeast、Burns Philip Food Inc., USAの一部門から入手可能)、SUPERSTART(登録商標)(Lallemand Biofuels and Distilled Spirits, Canada)、EAGLE C6 FUEL(商標)またはC6 FUEL(商標)(Lallemand Biofuels and Distilled Spirits, Canadaから入手可能)、GERT STRAND(登録商標)(Gert Strand AB, Swedenから入手可能)、およびFERMOL(登録商標)(DSM Specialtiesから入手可能)。
【0145】
本明細書における実施例以外、または他に明確に特定されない限り、明細書の下記部分および添付の特許請求の範囲における、数値範囲、量、値およびパーセンテージのすべて、例えば、材料の量、要素含量、反応時間および温度、量の比、などに対するものは、「約」という用語が値、量または範囲と共に明確に出現していなくても、「約」という用語が前置きされているかのように読むことができる。したがって、反対のことが示されない限り、下記明細書および添付の特許請求の範囲において明記される数値パラメータは、近似値であり、これは、本発明により得られることが求められる所望の特性によって変動し得る。最低限でも、特許請求の範囲の等価物の教義の適用を制限しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁の数を考慮して、および普通の四捨五入技術を適用することにより解釈されるべきである。
【0146】
発明の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、具体例で明記される数値は可能な限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は、その基本的な個々の試験測定値において見られる標準偏差から必然的に生じる誤差を、本質的に含む。さらに、数値範囲が本明細書で明記される場合、これらの範囲は列挙された範囲終点を含む。重量パーセンテージが本明細書で使用される場合、報告された数値は総重量に対するものである。
【0147】
また、本明細書で列挙された任意の数値範囲は、その中に包含される全てのサブ範囲を含むことが意図されることが理解されるべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、列挙された1の最小値および列挙された10の最大値の間(これらを含む)の、すなわち、1以上の最小値および10以下の最大値を有する、全てのサブ範囲を含むことが意図される。「1つ(one、a、an)」という用語は、本明細書では、別記されない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を含むことが意図される。
【0148】
参照により本明細書に組み込まれると言われた、任意の特許、刊行物、または他の開示材料は、全体として、または一部、組み込まれた材料が既存の定義、声明、またはこの開示で明記された他の開示材料と矛盾しない程度までのみ、本明細書に組み込まれる。そのようなものとして、必要な程度まで、本明細書で明確に明記された開示は参照により本明細書に組み込まれる任意の矛盾する材料に優先する。参照により本明細書に組み込まれると言われたが、既存の定義、声明、または本明細書で明記された他の開示材料と矛盾する、任意の材料、またはその一部は、組み込まれた材料と既存の開示材料の間で矛盾が生じない程度まで組み込まれるにすぎない。
【0149】
この発明について、その好ましい実施形態を参照して特定的に図示し、記載してきたが、当業者であれば、形態および細部における様々な変更が、その中で、添付の特許請求の範囲により含まれる発明の範囲から逸脱せずに可能であることが理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5