【実施例1】
【0020】
本発明の実施例1に係る搬送物供給構造1Aについて
図1乃至
図4を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施例1に係る搬送物供給構造の概念図である。また、
図2は本発明の実施例1に係る搬送物供給構造の部分拡大図である。
図1,2に示すように、実施例1に係る搬送物供給構造1Aは、粉体又は粒状物又はこれらの組み合わせからなる搬送物14を搬送する、例えば、第1のコンベア2等からなる搬送供給設備と、この搬送供給設備の鉛直下方側に配されるとともに搬送供給設備から供給される搬送物14を受け止めて搬送する第2のコンベア3と、搬送供給設備と第2のコンベア3とをつなぐように配される案内シュート4とを有し、第2のコンベア3の両側縁3a,3aは、第2のコンベア3の中央側に向かって屈曲又は湾曲し、案内シュート4の下端部4aにおいて第2のコンベア3の両側縁3a,3a側に配される面は、その垂直方向断面がハ字状をなす屈曲部4bを備え、この屈曲部4bと第2のコンベア3の載置面3bとの空隙は、この空隙を塞ぐように配されるシュートゴム板5を備えていることを特徴とするものである。
【0021】
なお、実施例1の搬送物供給構造1Aでは、搬送供給設備が第1のコンベア2である場合を例に挙げて説明しているが、搬送供給設備はコンベア以外の、例えば、ホッパー等でもよい。つまり、案内シュート4に搬送物14を搬送及び/又は供給することができる設備であれば、搬送供給設備の形態は特定されなくてよい。
また、搬送供給設備が、例えば第1のコンベア2である場合は、
図1に示すように、その始端部や終端部、あるいは、搬送路に配されるローラ2aの回転により、載置面を構成するバンド体が周回して、粉体又は粒状物又はこれらの組み合わせからなる搬送物14を搬送できるよう構成してもよい。
さらに、第2のコンベア3も、基本的には第1のコンベア2と同様の構成により動作するものであるが、載置面3bを有するバンド体の進行方向垂直断面形状が凹状をなすように屈曲又は湾曲されている。また、第2のコンベア3ではバンド体の裏面にバンド体の断面形状を維持するようにローラ3cが配されている。
【0022】
上述のような実施例1に係る搬送物供給構造1Aでは、案内シュート4の下端部4aにおいて、第2のコンベア3の両側縁3a,3a側に配される面に、その垂直方向断面がハ字状をなす屈曲部4bが設けられることで、搬送物14が案内シュート4内を降下する際に、案内シュート4の下端部4aの内側面に搬送物14を接触し難くすることができる。これにより、案内シュート4の使用時にその下端部4aの内側面を摩耗し難くすることができる。
従って、実施例1に係る搬送物供給構造1Aによれば、案内シュート4の耐用年数を長くすることができる。
【0023】
一般に、火力発電所等の発電設備においては、石炭等の搬送物14を、例えば、
図1に示すような第1のコンベア2や第2のコンベア3を用いて搬送している。
そして、搬送物14が特に粒状物である、又は、粒状物を含む場合は、案内シュート4の内部を移動する際に、案内シュート4の内側面に接触しながら落下するため、特に案内シュート4の下端部4aの内側面に摩耗が起こり易かった。
そして、案内シュート4の内側面に摩耗が起きた場合は、摩耗した部位を溶断して切除してから、切除された部位を補う部材を溶接により取付ける必要があった。この場合、第2のコンベア3が頭上に配設される場合は、不安定な足場の上で案内シュート4の溶断・溶接作業を行わねばならず、作業者にとって大きな負担となっていた。
よって、上述のような実施例1に係る発明によれば、案内シュート4の下端部4aの摩耗を好適に抑制することができるので、案内シュート4の補修作業に要する労力及びコストを大幅に削減することができる。
【0024】
さらに、実施例1に係る搬送物供給構造1Aでは、
図1,2に示すように、シュートゴム板5の下端5aを第2のコンベア3の載置面3bに接触させておいてもよい。
この場合、搬送物14が案内シュート4内を通過する際に発生する粉塵が、シュートゴム板5と第2のコンベア3の載置面3bの間から外部に拡散するのを防止することができる。従って、実施例1に係る搬送物供給構造1Aによれば、クリーンな搬送物供給構造を提供することができる。
【0025】
また、実施例1に係る搬送物供給構造1Aでは、
図1,2に示すように、シュートゴム板5を案内シュート4の屈曲部4bの上面に載置するように配してもよい。
通常、シュートゴム板5として、細長平板状の長尺材が用いられている。そして、このシュートゴム板5は重量物である。また、案内シュート4が屈曲部4bを備えない場合は、シュートゴム板5の交換時に作業者がその交換作業が終わるまで手でシュートゴム板5を支えている必要があり、特に第2のコンベア3が頭上に配設されている場合は不安定な足場の上でこの作業を行うので、作業者の身体的な負担が極めて大きかった。
従って、実施例1に係る搬送物供給構造1Aによれば、シュートゴム板5の交換作業を行う際に、案内シュート4の屈曲部4bの上面上にシュートゴム板5を載置しておくことができるので、作業時の作業者の肉体的な負担を大幅に軽減することができる。
【0026】
さらに、実施例1に係る搬送物供給構造1Aでは、以下に示すような固定構造6により、案内シュート4の屈曲部4bの上面に着脱可能にシュートゴム板5を固定しておいてもよい。この点について
図2乃至
図4を参照しながら詳細に説明する。
図3は本発明の実施例1に係る搬送物供給構造においてシュートゴム板の固定構造を分解した状態で示した概念図である。また、
図4は本発明の実施例1に係る搬送物供給構造におけるシュートゴム板の固定構造の概念図である。なお、
図1,2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図2,3に示すように、実施例1に係る搬送物供給構造1Aの固定構造6は、案内シュート4の屈曲部4bの上面上に突設される複数の突起部7と、上述のシュートゴム板5の伸長方向と平行に配される長尺状の押圧部8と、この押圧部8をシュートゴム板5上に配した際に突起部7が配される位置と符合する位置に固設される複数の掛止部9と、突起部7に掛止部9を掛止した際に、掛止部9の外れを防止するとともに、シュートゴム板5に対する押圧部8の押圧力を調整するくさび10とにより構成されてもよい。
【0027】
また、
図2,3に示すように、固定構造6における押圧部8は、断面L字状の長尺鋼材を使用しているが、シュートゴム板5をその長手方向に均等に押圧することができれば、
図2,3に示す形態のものに特定される必要はない。
さらに、掛止部9は、矩形状の金属板(鋼板)を断面L字状に折り曲げたものである。また、この掛止部9は、押圧部8上において、案内シュート4における屈曲部4bの上面上にシュートゴム板5を載置し、その上に押圧部8を配した際に、突起部7が配される位置と符合する位置に固設されている。加えて、掛止部9において押圧部8が固設される面には、突起部7を挿通させるための突起部挿通孔9aが形成されており、この突起部挿通孔9aに突起部7を挿通させることで、案内シュート4の屈曲部4b上における押圧部8の位置が間接的に特定される。
そして、掛止部9が金属製の平板材をL字状に屈曲させてなり、その端部に鉤状部(屈曲部4bの上面に当接する部位)を備えていることで、掛止部9の突起部挿通孔9aに突起部7を挿通させた際に、この鉤状部の端面が屈曲部4bの上面に当接することで、掛止部9に固設される押圧部8の浮き上がりを防止することができる。
【0028】
また、実施例1に係る搬送物供給構造1Aの固定構造6における突起部7は、その頂部近傍にくさび10を挿通させるためのくさび挿通孔7aを備えている。
そして、この固定構造6では、掛止部9の突起部挿通孔9aに突起部7を挿通させた場合に、掛止部9の肉厚部により突起部7に形成されるくさび挿通孔7aの一部が隠れるように構成し(
図2を参照)、かつ、掛止部9の屈曲内側面からの押圧部8の高さH(
図2を参照)を、案内シュート4における屈曲部4bの上面における掛止部9の立ち上がり高さP(
図2を参照)よりも小さく設定しておくことで、突起部7のくさび挿通孔7aにくさび10を挿設した際に、くさび10の側方端面により掛止部9を屈曲部4bの上面側に押し付けるように力を作用させることができる。
この時、掛止部9には押圧部8が固設されているので、この動作に伴ってシュートゴム板5上に載置されている押圧部8がシュートゴム板5の厚み方向に押し込まれて、シュートゴム板5が屈曲部4b上に固定される。
なお、固定構造6により案内シュート4の屈曲部4bの上面上にシュートゴム板5を固定した状態を示したものが
図4である。
【0029】
また、案内シュート4の屈曲部4bからシュートゴム板5を取り外す場合は、上記手順の逆を行えばよい。
すなわち、突起部7のくさび挿通孔7aからくさび10を抜き取り、突起部7にから掛止部9を取り外すことで、シュートゴム板5上の押圧部8を取り外すことができる。そして、この結果、案内シュート4の屈曲部4b上からシュートゴム板5を取り外すことができる。
【0030】
そして、
図2乃至
図4に示すような固定構造6を備える場合は、シンプルで少ない数のパーツによりシュートゴム板5を案内シュート4の屈曲部4b上にしっかりと固定することができる。このため、固定構造6を構成する個々のパーツが破損し難く、しかも、固定構造6を構成する個々のパーツが万一破損した場合でも、パーツの構造がシンプルなのでその交換が容易である。よって、固定構造6を備える実施例1に係る搬送物供給構造1Aによれば、メンテナンスが容易な搬送物供給構造を提供することができる。
さらに、
図2乃至
図4に示すような固定構造6を備える場合は、案内シュート4の屈曲部4b上にシュートゴム板5を着脱可能に固定することができる。しかも、
図2乃至
図4に示すような固定構造6を備える場合は、案内シュート4の屈曲部4bの上面上にシュートゴム板5を載置したままその固定又は取外し作業を行うことができる。従って、
図2乃至
図4に示すような固定構造6を備える実施例1に係る搬送物供給構造1Aによれば、シュートゴム板5の交換作業時に、作業者の身体的な負担を大幅に軽減することができる。よって、実施例1に係る搬送物供給構造1Aによれば、メンテナンス作業が容易な搬送物供給構造を提供することができる。
【0031】
次に、
図5を参照しながら実施例1の変形例に係る搬送物供給構造について詳細に説明する。
図5は本発明の実施例1の変形例に係る搬送物供給構造の部分拡大図である。なお、
図1乃至
図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
先の
図2乃至
図4では、固定構造6を構成する掛止部9の屈曲内側面に、断面L字状の長尺材の開放端部を固設する場合を例に挙げて説明しているが、
図5に示すように、掛止部9の屈曲内側面に、断面L字状の長尺材の角部を固設してなる固定構造6aを用いてもよい。
そして、固定構造6aを備える変形例に係る搬送物供給構造1Bによれば、固定構造6を備える実施例1に係る搬送物供給構造1Aと同様の効果を発揮させることができる。
【実施例2】
【0032】
最後に、実施例2に係る搬送物供給構造について
図6を参照しながら詳細に説明する。
図6は本発明の実施例2に係る搬送物供給構造の部分拡大図である。なお、
図1乃至
図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図1乃至
図5では、案内シュート4における屈曲部4bが、案内シュート4と一体に設けられる場合を例に挙げて説明しているが、
図6に示すように、屈曲部4bを案内シュート4とは別体に構成し、案内シュート4の下端部4aに屈曲部4bを着脱可能に設けてもよい。
本発明では案内シュート4の下端部4aに屈曲部4bを備えることで、この部分における搬送物14との摩擦を軽減できるものの、案内シュート4の屈曲部4bの内側面の摩耗は不可避である。従って、本発明に係る搬送物供給構造1A,1Bを用いる場合でも、案内シュート4の下端部4aの内側面に摩耗が生じた場合は、溶断・溶接による補修作業を行う必要がある。
これに対して、実施例2に係る搬送物供給構造1Cのように、案内シュート4の下端部4aに、別体として設けられる屈曲部4bを着脱可能に固設しておくことで、案内シュート4の屈曲部4bの内側面に摩耗が生じた際に、別体として設けられる屈曲部4bを交換するだけでその補修作業を完了することができる。しかも、この場合、本発明に係る搬送物供給構造1A,1Bの場合のように、摩耗が起きた屈曲部4bを溶断し、その後に、新たな屈曲部4bとなるパーツを溶接する作業を行う必要がない。
従って、実施例2に係る搬送物供給構造1Cによれば、案内シュート4の屈曲部4bの内側面に摩耗が生じた際に、その補修作業に係る労力及びコストを大幅に節減することができる。
【0033】
なお、実施例2に係る搬送物供給構造1Cにおいて、別体からなる屈曲部4bの取付け構造として、以下に示すような構造を採用してもよい。
例えば、
図6に示すように、別体に設けられる屈曲部4bにおいて、案内シュート4側に配される端部に接続部15を一体に延設しておき、さらに、案内シュート4の外側面、及び、屈曲部4bの外側面、のそれぞれに連結アーム部11,12を突設し、案内シュート4の外側において連結アーム部11,12を、例えば、ボルト13等の固定具により着脱可能に連結してもよい。
この場合、別体に設けられる屈曲部4bの固定構造が、案内シュート4の外側に配されるので、別体に設けられる屈曲部4bの着脱作業時に案内シュート4の内側において作業を行う必要がない。
よって、
図6に示すような屈曲部4bの取付け構造を有する搬送物供給構造1Cによれば、案内シュート4の屈曲部4bの交換作業を効率的に、しかも、安全かつ容易に行うことができる。
【0034】
また、
図6に示すような屈曲部4bの取付け構造は、
図5に示す変形例に係る搬送物供給構造1Bに採用することもできる。この場合、変形例に係る搬送物供給構造1Bによる効果と、実施例3に係る搬送物供給構造1Cによる効果を同時に発揮させることができる。
さらに、本実施の形態においては、固定構造6又は固定構造6aにおける押圧部8として、断面L字状の長尺材(例えば、金属製)を用いる場合を例に挙げて説明しているが、押圧部8の形状は、
図1乃至
図6に開示される形態に特定される必要はない。つまり、押圧部8として中空管体(断面形状は任意)や中実な棒状体(断面形状は任意)を支障なく使用することができる。