特許第6502277号(P6502277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502277
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】搬送物供給構造
(51)【国際特許分類】
   B65G 21/20 20060101AFI20190408BHJP
   B65G 11/00 20060101ALI20190408BHJP
   B65G 15/08 20060101ALI20190408BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   B65G21/20 A
   B65G11/00 A
   B65G11/00 B
   B65G15/08 A
   B65G47/52 B
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-32404(P2016-32404)
(22)【出願日】2016年2月23日
(65)【公開番号】特開2017-149517(P2017-149517A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2016年5月26日
【審判番号】不服2018-3761(P2018-3761/J1)
【審判請求日】2018年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】細川 正宏
【合議体】
【審判長】 冨岡 和人
【審判官】 粟倉 裕二
【審判官】 金澤 俊郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−258941(JP,A)
【文献】 特開平8−225130(JP,A)
【文献】 実開昭55−136710(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 21/00-21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体又は粒状物又はこれらの組み合わせからなる搬送物を搬送する搬送供給設備と、
この搬送供給設備の鉛直下方側に配されるとともに前記搬送供給設備から供給される前記搬送物を受け止めて搬送するコンベアと、
前記搬送供給設備と前記コンベアとをつなぐように配される案内シュートと、
この案内シュートと前記コンベアの載置面の空隙を塞ぐように配され、かつ細長平板状をなすシュートゴム板と、
このシュートゴム板を前記案内シュートに着脱可能に固定する固定構造と、を有し、
前記コンベアの両側縁は、前記コンベアの中央側に向かって屈曲又は湾曲し、
前記案内シュートの下端部において前記コンベアの両側縁側に配される面は、その垂直方向断面がハ字状をなす屈曲部を備え、
前記シュートゴム板は、前記屈曲部の上面に載置されており、
前記固定構造は、前記屈曲部の前記上面上に突設される複数の突起部と、
前記シュートゴム板の長手方向と平行に配される長尺状の押圧部と、
この押圧部上において、前記押圧部を前記シュートゴム板上に配した際に前記突起部が配される位置と符合する位置に配されている複数の掛止部と、
前記突起部に前記掛止部を掛止した際に、前記掛止部の外れを防止するとともに、前記シュートゴム板に対する前記押圧部の押圧力を調整するくさびと、を備え
複数の前記掛止部は前記押圧部に一体に固設されていてこれらは互いに分離できない一体の物体をなしていることを特徴とする搬送物供給構造。
【請求項2】
前記シュートゴム板の下端は、前記コンベアの前記載置面と接触していることを特徴とする請求項1に記載の搬送物供給構造。
【請求項3】
前記屈曲部は前記案内シュートの前記下端部に着脱可能に固設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の搬送物供給構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複数のコンベアを介して搬送物を移送する際にコンベア同士の乗継箇所に設けられ、鉛直上方側に配される搬送供給設備(例えば、コンベア)から鉛直下方側に配されるコンベアに搬送物を案内して供給する搬送物供給構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、火力発電所等においては大量の石炭がコンベアにより移送されている。
この場合、コンベアによる移送時に、石炭と接触する部位では特に摩耗が起こり易く、搬送設備の保守点検やメンテナンスに手間とコストがかかるという課題があった。
このような課題に対処するための先行技術文献としては以下に示すようなものが開示されている。
【0003】
特許文献1には「ベルトコンベア乗継部の搬送物落下防止支持装置」という名称で、鉄鉱石や石炭等の粉状物あるいは塊状ばら物等の搬送物を搬送するベルトコンベアの乗継部で、搬送物がベルトの外部に落下しないようにベルトコンベアのベルトを支持する支持装置の構造に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明は、(a)上流側コンベアからの搬送物が下流側コンベアに乗継ぐ乗継部で、搬送物を上流側コンベアから下流側コンベアに案内する案内シュートが設けられ、この案内シュート下端のスカート部と下流側コンベアのベルトとの間に隙間が生じ搬送物が落下するのを防止するために、下流側コンベアのベルト直下に設置される支持装置において、(b)ベルトの幅方向中央に配置されたキャリアローラと、ベルトの両端が所定の角度で上方に屈曲する屈曲部の近傍を支持する耐摩耗性材を有する第一の摺動支持板と、屈曲部のベルト幅方向外側を支持する平滑性材を有する第二の摺動支持板とを備えたことを特徴とするものである。
上記構成の特許文献1に開示される発明によれば、ベルト幅方向中央をキャリアローラによって支持することで、落下する搬送物の直撃に対して強い剛性及び耐摩耗性を持つと共に、屈曲部をセラミックスチップなどの耐摩耗性材を有する第一の摺動支持板によって支持することで、屈曲部との摺動による局部摩耗に対する耐久性を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−258942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される発明では、特許文献1中の図2に示されるように案内シュート2の下端がその内側に折込まれているので、案内シュート2内を搬送物4が通過する際に、案内シュート2の下端に鉄鉱石や石炭等の粉状物あるいは塊状ばら物等からなる搬送物4が接触して、この部分が激しく摩耗することが予想される。
そして、案内シュート2の下端に摩耗が生じた場合は、摩耗が生じた部位を溶断するなどして切除してから、新たな部材を溶接して取付ける等のメンテナンス作業を行う必要があり、案内シュート2の維持管理のための労力とコストがかかるという課題があった。
【0006】
また、特許文献1の場合のように、案内シュートの下端を案内シュートの内側に折り曲げることなく鉛直下方に単に垂下させた場合でも、案内シュート(乗継シュート)の内側面に搬送物が接触するのは避けられないので、やはり案内シュートの下端の内側には摩耗が起こる。したがって、この場合も、案内シュートの下端部を溶断し、新たな部材を溶接する修理を行う必要があった。
【0007】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、案内シュートの下端部の内側面の摩耗を軽減することができ、かつ、案内シュートの下端部へのシュートゴム板の着脱作業を容易に行うことができる搬送物供給構造を提供することにある。
加えて、案内シュートの下端部に摩耗が生じた際には、その補修作業を容易に行うことができる搬送物供給構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため第1の発明である搬送物供給構造は、粉体又は粒状物又はこれらの組み合わせからなる搬送物を搬送する搬送供給設備と、この搬送供給設備の鉛直下方側に配されるとともに搬送供給設備から供給される搬送物を受け止めて搬送するコンベアと、搬送供給設備とコンベアとをつなぐように配される案内シュートとを有し、コンベアの両側縁は、コンベアの中央側に向かって屈曲又は湾曲し、案内シュートの下端部においてコンベアの両側縁側に配される面は、その垂直方向断面がハ字状をなす屈曲部を備え、この屈曲部とコンベアの載置面との空隙は、この空隙を塞ぐように配されるシュートゴム板を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明において、搬送供給設備は案内シュートまで搬送物を搬送するという作用を有する。また、コンベアは、搬送供給設備により搬送及び/又は供給された搬送物を受け止めて搬送するという作用を有する。さらに、案内シュートは、搬送供給設備により搬送及び/又は供給された搬送物をコンベアの載置面上に供給するという作用を有する。
そして、コンベアの両側縁がコンベアの中央側に向かって屈曲又は湾曲していることで、コンベアの載置面に搬送物が供給された際に、あるいは、搬送物の搬送時にコンベアの両側縁側に搬送物がこぼれ落ちるのを妨げるという作用を有する。
また、案内シュートの下端部においてコンベアの両側縁側に配される面が、その垂直方向断面がハ字状をなす屈曲部を備えていることで、案内シュート内を移動する搬送物が、案内シュートの下端部において案内シュートの内側面に接触し難くするという作用を有する。加えて、コンベアの載置面に到達した搬送物が、案内シュートの下端部内側面に接触するのを妨げるという作用を有する。
さらに、シュートゴム板は、案内シュートの下端部とコンベアの載置面との空隙を塞いで、この部分から搬送物がこぼれ落ちるのを妨げるという作用を有する。
【0009】
第2の発明である搬送物供給構造は、上述の第1の発明において、シュートゴム板の下端は、コンベアの載置面と接触していることを特徴とするものである。
上記構成の第2の発明は、第1の発明と同じ作用に加えて、シュートゴム板の下端がコンベアの載置面と接触していることで、案内シュートとコンベアの載置面の隙間から、搬送物の粉塵が周囲に飛散するのを妨げるという作用を有する。
【0010】
第3の発明である搬送物供給構造は、上述の第1又は第2の発明において、シュートゴム板は、屈曲部上に載置されていることを特徴とするものである。
上記構成の第3の発明は、第1又は第2の発明と同じ作用に加えて、シュートゴム板は案内シュートの屈曲部上に載置されていることで、案内シュートの屈曲部によりシュートゴム板の荷重を常時支持するという作用を有する。この場合、シュートゴム板の交換作業を行う際に、作業者はシュートゴム板を手で支えておく必要がないので、作業負荷が大幅に軽減される。
【0011】
第4の発明である搬送物供給構造は、上述の第3の発明において、シュートゴム板を屈曲部の上面に押し当てて固定するための固定構造を有し、この固定構造は、屈曲部の上面上に突設される複数の突起部と、シュートゴム板の伸長方向と平行に配され長尺状の押圧部と、この押圧部をシュートゴム板上に配した際に突起部が配される位置と符合する位置に固設される複数の掛止部と、突起部に掛止部を掛止した際に、掛止部の外れを防止するとともに、シュートゴム板に対する押圧部の押圧力を調整するくさびと、を備えることを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明は、第3の発明と同じ作用に加えて、固定構造は、案内シュートの屈曲部上にシュートゴム板を着脱可能に固定するという作用を有する。
より具体的には、上記固定構造において、押圧部はシュートゴム板の上面に配されて、シュートゴム板を案内シュートの屈曲部の上面に押圧するという作用を有する。また、掛止部は上記押圧部の複数個所に一体に固設されて、押圧部のハンドリングを可能にするとともに、押圧部によりシュートゴム板を押圧する際の押圧力を伝達するという作用を有する。
さらに、案内シュートの屈曲部上に突設される突起部は、上記掛止部を掛止させるという作用を有する。
そして、くさびは、上記掛止部が掛止された後に、突起部に形成されるくさび挿通孔に差し込まれることで、掛止部の外れを妨げながら、掛止部を案内シュートの屈曲部の上面側に押圧するという作用を有する。これにより、掛止部に作用する押圧力が押圧部に伝達され、押圧部によりシュートゴム板が屈曲部の上面側に常時押し付けられることになる。
【0012】
第5の発明である搬送物供給構造は、上述の第1乃至第4の発明のいずれかにおいて、屈曲部は案内シュートの下端部に着脱可能に固設されていることを特徴とするものである。
上記構成の第5の発明は、第1乃至第4のそれぞれの発明による作用と同じ作用に加えて、屈曲部は案内シュートの下端部に着脱可能に固設されていることで、屈曲部の内側(案内シュートの内側)に摩耗が起きた際に、案内シュートの屈曲部を溶断することなく取り外すことを可能にするという作用を有する。さらに、摩耗が起きた屈曲部を取り外した後に、溶接を行うことなく新たな屈曲部をシュートの下端部に取付け可能にするという作用を有する。
【発明の効果】
【0013】
上述のような第1の発明によれば、案内シュートの下端部の内側面が搬送物と接触して削り取られるリスクを大幅に軽減することができる。この結果、案内シュート下端部の内側において摩耗を起こり難くすることができる。
これにより、案内シュートの耐用年数を長くできる。また、第1の発明によれば、案内シュートの補修作業を頻繁に行う必要がなくなるので、案内シュートのメンテナンスに必要な労力及びコストを大幅に削減することができる。
【0014】
第2の発明によれば、第1の発明による効果と同じ効果に加えて、案内シュートの下端部とコンベアの載置面との間に隙間が生じないので、案内シュートとコンベアの接続部分において、周囲に粉塵が飛散するリスクを大幅に低減することができる。よって、第2の発明によれば、クリーンな搬送物供給構造を提供することができる。
【0015】
第3の発明によれば、第1又は第2の発明と同じ効果に加えて、シュートゴム板の取り換え作業時に、作業者がシュートゴム板を支えておく必要がないので、作業者の身体的負荷を大幅に軽減することができる。従って、第3の発明によれば、案内シュートのメンテナンス作業の負荷を軽減することができる。
【0016】
第4の発明によれば、第3の発明による効果と同じ効果に加えて、シンプルな構造でありながら、案内シュートの屈曲部上にシュートゴム板を着脱可能に固定することができるという効果を有する。従って、第4の発明によれば、案内シュートのメンテナンス作業の負荷を一層軽減することができる。
【0017】
第5の発明によれば、第1乃至第4のそれぞれの発明と同じ効果に加えて、案内シュートの屈曲部の内側に摩耗が生じて補修作業が必要になった場合に、この屈曲部の除去作業と、新たな屈曲部の取付け作業を、溶断・溶接作業によらず行うことができる。従って、第5の発明によれば、案内シュートのメンテナンスに係る労力及びコストを大幅に軽減することができる。
さらに、案内シュートの屈曲部を容易に交換可能にすることで、案内シュートの本体部分の耐用年数を長くすることができる。この結果、案内シュートのメンテナンスに係る作業及びコストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1に係る搬送物供給構造の概念図である。
図2】本発明の実施例1に係る搬送物供給構造の部分拡大図である。
図3】本発明の実施例1に係る搬送物供給構造においてシュートゴム板の固定構造を分解した状態で示した概念図である。
図4】本発明の実施例1に係る搬送物供給構造におけるシュートゴム板の固定構造の概念図である。
図5】本発明の実施例1の変形例に係る搬送物供給構造の部分拡大図である。
図6】本発明の実施例2に係る搬送物供給構造の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態に係る搬送物供給構造について実施例1乃至実施例3を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明の実施例1に係る搬送物供給構造1Aについて図1乃至図4を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施例1に係る搬送物供給構造の概念図である。また、図2は本発明の実施例1に係る搬送物供給構造の部分拡大図である。
図1,2に示すように、実施例1に係る搬送物供給構造1Aは、粉体又は粒状物又はこれらの組み合わせからなる搬送物14を搬送する、例えば、第1のコンベア2等からなる搬送供給設備と、この搬送供給設備の鉛直下方側に配されるとともに搬送供給設備から供給される搬送物14を受け止めて搬送する第2のコンベア3と、搬送供給設備と第2のコンベア3とをつなぐように配される案内シュート4とを有し、第2のコンベア3の両側縁3a,3aは、第2のコンベア3の中央側に向かって屈曲又は湾曲し、案内シュート4の下端部4aにおいて第2のコンベア3の両側縁3a,3a側に配される面は、その垂直方向断面がハ字状をなす屈曲部4bを備え、この屈曲部4bと第2のコンベア3の載置面3bとの空隙は、この空隙を塞ぐように配されるシュートゴム板5を備えていることを特徴とするものである。
【0021】
なお、実施例1の搬送物供給構造1Aでは、搬送供給設備が第1のコンベア2である場合を例に挙げて説明しているが、搬送供給設備はコンベア以外の、例えば、ホッパー等でもよい。つまり、案内シュート4に搬送物14を搬送及び/又は供給することができる設備であれば、搬送供給設備の形態は特定されなくてよい。
また、搬送供給設備が、例えば第1のコンベア2である場合は、図1に示すように、その始端部や終端部、あるいは、搬送路に配されるローラ2aの回転により、載置面を構成するバンド体が周回して、粉体又は粒状物又はこれらの組み合わせからなる搬送物14を搬送できるよう構成してもよい。
さらに、第2のコンベア3も、基本的には第1のコンベア2と同様の構成により動作するものであるが、載置面3bを有するバンド体の進行方向垂直断面形状が凹状をなすように屈曲又は湾曲されている。また、第2のコンベア3ではバンド体の裏面にバンド体の断面形状を維持するようにローラ3cが配されている。
【0022】
上述のような実施例1に係る搬送物供給構造1Aでは、案内シュート4の下端部4aにおいて、第2のコンベア3の両側縁3a,3a側に配される面に、その垂直方向断面がハ字状をなす屈曲部4bが設けられることで、搬送物14が案内シュート4内を降下する際に、案内シュート4の下端部4aの内側面に搬送物14を接触し難くすることができる。これにより、案内シュート4の使用時にその下端部4aの内側面を摩耗し難くすることができる。
従って、実施例1に係る搬送物供給構造1Aによれば、案内シュート4の耐用年数を長くすることができる。
【0023】
一般に、火力発電所等の発電設備においては、石炭等の搬送物14を、例えば、図1に示すような第1のコンベア2や第2のコンベア3を用いて搬送している。
そして、搬送物14が特に粒状物である、又は、粒状物を含む場合は、案内シュート4の内部を移動する際に、案内シュート4の内側面に接触しながら落下するため、特に案内シュート4の下端部4aの内側面に摩耗が起こり易かった。
そして、案内シュート4の内側面に摩耗が起きた場合は、摩耗した部位を溶断して切除してから、切除された部位を補う部材を溶接により取付ける必要があった。この場合、第2のコンベア3が頭上に配設される場合は、不安定な足場の上で案内シュート4の溶断・溶接作業を行わねばならず、作業者にとって大きな負担となっていた。
よって、上述のような実施例1に係る発明によれば、案内シュート4の下端部4aの摩耗を好適に抑制することができるので、案内シュート4の補修作業に要する労力及びコストを大幅に削減することができる。
【0024】
さらに、実施例1に係る搬送物供給構造1Aでは、図1,2に示すように、シュートゴム板5の下端5aを第2のコンベア3の載置面3bに接触させておいてもよい。
この場合、搬送物14が案内シュート4内を通過する際に発生する粉塵が、シュートゴム板5と第2のコンベア3の載置面3bの間から外部に拡散するのを防止することができる。従って、実施例1に係る搬送物供給構造1Aによれば、クリーンな搬送物供給構造を提供することができる。
【0025】
また、実施例1に係る搬送物供給構造1Aでは、図1,2に示すように、シュートゴム板5を案内シュート4の屈曲部4bの上面に載置するように配してもよい。
通常、シュートゴム板5として、細長平板状の長尺材が用いられている。そして、このシュートゴム板5は重量物である。また、案内シュート4が屈曲部4bを備えない場合は、シュートゴム板5の交換時に作業者がその交換作業が終わるまで手でシュートゴム板5を支えている必要があり、特に第2のコンベア3が頭上に配設されている場合は不安定な足場の上でこの作業を行うので、作業者の身体的な負担が極めて大きかった。
従って、実施例1に係る搬送物供給構造1Aによれば、シュートゴム板5の交換作業を行う際に、案内シュート4の屈曲部4bの上面上にシュートゴム板5を載置しておくことができるので、作業時の作業者の肉体的な負担を大幅に軽減することができる。
【0026】
さらに、実施例1に係る搬送物供給構造1Aでは、以下に示すような固定構造6により、案内シュート4の屈曲部4bの上面に着脱可能にシュートゴム板5を固定しておいてもよい。この点について図2乃至図4を参照しながら詳細に説明する。
図3は本発明の実施例1に係る搬送物供給構造においてシュートゴム板の固定構造を分解した状態で示した概念図である。また、図4は本発明の実施例1に係る搬送物供給構造におけるシュートゴム板の固定構造の概念図である。なお、図1,2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図2,3に示すように、実施例1に係る搬送物供給構造1Aの固定構造6は、案内シュート4の屈曲部4bの上面上に突設される複数の突起部7と、上述のシュートゴム板5の伸長方向と平行に配される長尺状の押圧部8と、この押圧部8をシュートゴム板5上に配した際に突起部7が配される位置と符合する位置に固設される複数の掛止部9と、突起部7に掛止部9を掛止した際に、掛止部9の外れを防止するとともに、シュートゴム板5に対する押圧部8の押圧力を調整するくさび10とにより構成されてもよい。
【0027】
また、図2,3に示すように、固定構造6における押圧部8は、断面L字状の長尺鋼材を使用しているが、シュートゴム板5をその長手方向に均等に押圧することができれば、図2,3に示す形態のものに特定される必要はない。
さらに、掛止部9は、矩形状の金属板(鋼板)を断面L字状に折り曲げたものである。また、この掛止部9は、押圧部8上において、案内シュート4における屈曲部4bの上面上にシュートゴム板5を載置し、その上に押圧部8を配した際に、突起部7が配される位置と符合する位置に固設されている。加えて、掛止部9において押圧部8が固設される面には、突起部7を挿通させるための突起部挿通孔9aが形成されており、この突起部挿通孔9aに突起部7を挿通させることで、案内シュート4の屈曲部4b上における押圧部8の位置が間接的に特定される。
そして、掛止部9が金属製の平板材をL字状に屈曲させてなり、その端部に鉤状部(屈曲部4bの上面に当接する部位)を備えていることで、掛止部9の突起部挿通孔9aに突起部7を挿通させた際に、この鉤状部の端面が屈曲部4bの上面に当接することで、掛止部9に固設される押圧部8の浮き上がりを防止することができる。
【0028】
また、実施例1に係る搬送物供給構造1Aの固定構造6における突起部7は、その頂部近傍にくさび10を挿通させるためのくさび挿通孔7aを備えている。
そして、この固定構造6では、掛止部9の突起部挿通孔9aに突起部7を挿通させた場合に、掛止部9の肉厚部により突起部7に形成されるくさび挿通孔7aの一部が隠れるように構成し(図2を参照)、かつ、掛止部9の屈曲内側面からの押圧部8の高さH(図2を参照)を、案内シュート4における屈曲部4bの上面における掛止部9の立ち上がり高さP(図2を参照)よりも小さく設定しておくことで、突起部7のくさび挿通孔7aにくさび10を挿設した際に、くさび10の側方端面により掛止部9を屈曲部4bの上面側に押し付けるように力を作用させることができる。
この時、掛止部9には押圧部8が固設されているので、この動作に伴ってシュートゴム板5上に載置されている押圧部8がシュートゴム板5の厚み方向に押し込まれて、シュートゴム板5が屈曲部4b上に固定される。
なお、固定構造6により案内シュート4の屈曲部4bの上面上にシュートゴム板5を固定した状態を示したものが図4である。
【0029】
また、案内シュート4の屈曲部4bからシュートゴム板5を取り外す場合は、上記手順の逆を行えばよい。
すなわち、突起部7のくさび挿通孔7aからくさび10を抜き取り、突起部7にから掛止部9を取り外すことで、シュートゴム板5上の押圧部8を取り外すことができる。そして、この結果、案内シュート4の屈曲部4b上からシュートゴム板5を取り外すことができる。
【0030】
そして、図2乃至図4に示すような固定構造6を備える場合は、シンプルで少ない数のパーツによりシュートゴム板5を案内シュート4の屈曲部4b上にしっかりと固定することができる。このため、固定構造6を構成する個々のパーツが破損し難く、しかも、固定構造6を構成する個々のパーツが万一破損した場合でも、パーツの構造がシンプルなのでその交換が容易である。よって、固定構造6を備える実施例1に係る搬送物供給構造1Aによれば、メンテナンスが容易な搬送物供給構造を提供することができる。
さらに、図2乃至図4に示すような固定構造6を備える場合は、案内シュート4の屈曲部4b上にシュートゴム板5を着脱可能に固定することができる。しかも、図2乃至図4に示すような固定構造6を備える場合は、案内シュート4の屈曲部4bの上面上にシュートゴム板5を載置したままその固定又は取外し作業を行うことができる。従って、図2乃至図4に示すような固定構造6を備える実施例1に係る搬送物供給構造1Aによれば、シュートゴム板5の交換作業時に、作業者の身体的な負担を大幅に軽減することができる。よって、実施例1に係る搬送物供給構造1Aによれば、メンテナンス作業が容易な搬送物供給構造を提供することができる。
【0031】
次に、図5を参照しながら実施例1の変形例に係る搬送物供給構造について詳細に説明する。
図5は本発明の実施例1の変形例に係る搬送物供給構造の部分拡大図である。なお、図1乃至図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
先の図2乃至図4では、固定構造6を構成する掛止部9の屈曲内側面に、断面L字状の長尺材の開放端部を固設する場合を例に挙げて説明しているが、図5に示すように、掛止部9の屈曲内側面に、断面L字状の長尺材の角部を固設してなる固定構造6aを用いてもよい。
そして、固定構造6aを備える変形例に係る搬送物供給構造1Bによれば、固定構造6を備える実施例1に係る搬送物供給構造1Aと同様の効果を発揮させることができる。
【実施例2】
【0032】
最後に、実施例2に係る搬送物供給構造について図6を参照しながら詳細に説明する。
図6は本発明の実施例2に係る搬送物供給構造の部分拡大図である。なお、図1乃至図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図1乃至図5では、案内シュート4における屈曲部4bが、案内シュート4と一体に設けられる場合を例に挙げて説明しているが、図6に示すように、屈曲部4bを案内シュート4とは別体に構成し、案内シュート4の下端部4aに屈曲部4bを着脱可能に設けてもよい。
本発明では案内シュート4の下端部4aに屈曲部4bを備えることで、この部分における搬送物14との摩擦を軽減できるものの、案内シュート4の屈曲部4bの内側面の摩耗は不可避である。従って、本発明に係る搬送物供給構造1A,1Bを用いる場合でも、案内シュート4の下端部4aの内側面に摩耗が生じた場合は、溶断・溶接による補修作業を行う必要がある。
これに対して、実施例2に係る搬送物供給構造1Cのように、案内シュート4の下端部4aに、別体として設けられる屈曲部4bを着脱可能に固設しておくことで、案内シュート4の屈曲部4bの内側面に摩耗が生じた際に、別体として設けられる屈曲部4bを交換するだけでその補修作業を完了することができる。しかも、この場合、本発明に係る搬送物供給構造1A,1Bの場合のように、摩耗が起きた屈曲部4bを溶断し、その後に、新たな屈曲部4bとなるパーツを溶接する作業を行う必要がない。
従って、実施例2に係る搬送物供給構造1Cによれば、案内シュート4の屈曲部4bの内側面に摩耗が生じた際に、その補修作業に係る労力及びコストを大幅に節減することができる。
【0033】
なお、実施例2に係る搬送物供給構造1Cにおいて、別体からなる屈曲部4bの取付け構造として、以下に示すような構造を採用してもよい。
例えば、図6に示すように、別体に設けられる屈曲部4bにおいて、案内シュート4側に配される端部に接続部15を一体に延設しておき、さらに、案内シュート4の外側面、及び、屈曲部4bの外側面、のそれぞれに連結アーム部11,12を突設し、案内シュート4の外側において連結アーム部11,12を、例えば、ボルト13等の固定具により着脱可能に連結してもよい。
この場合、別体に設けられる屈曲部4bの固定構造が、案内シュート4の外側に配されるので、別体に設けられる屈曲部4bの着脱作業時に案内シュート4の内側において作業を行う必要がない。
よって、図6に示すような屈曲部4bの取付け構造を有する搬送物供給構造1Cによれば、案内シュート4の屈曲部4bの交換作業を効率的に、しかも、安全かつ容易に行うことができる。
【0034】
また、図6に示すような屈曲部4bの取付け構造は、図5に示す変形例に係る搬送物供給構造1Bに採用することもできる。この場合、変形例に係る搬送物供給構造1Bによる効果と、実施例3に係る搬送物供給構造1Cによる効果を同時に発揮させることができる。
さらに、本実施の形態においては、固定構造6又は固定構造6aにおける押圧部8として、断面L字状の長尺材(例えば、金属製)を用いる場合を例に挙げて説明しているが、押圧部8の形状は、図1乃至図6に開示される形態に特定される必要はない。つまり、押圧部8として中空管体(断面形状は任意)や中実な棒状体(断面形状は任意)を支障なく使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上説明したように本発明は、案内シュートの下端部の内側面が摩耗し難い搬送物供給構造、並びに、案内シュートの下端部の内側面に摩耗が生じた場合でもその部位の補修作業が容易かつ安価に行うことができる搬送物供給構造であり、搬送供給設備に関する技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0036】
1A〜1C…搬送物供給構造 2…第1のコンベア 2a…ローラ 3…第2のコンベア 3a…側縁 3b…載置面 3c…ローラ 4…案内シュート 4a…下端部 4b…屈曲部 5…シュートゴム板 5a…下端 6,6a…固定構造 7…突起部 7a…くさび挿通孔 8…押圧部 9…掛止部 9a…突起部挿通孔 10…くさび 11…連結アーム部 12…連結アーム部 13…ボルト 14…搬送物 15…接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6