【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 建設技術性能証明 評価概要報告書 GBRC 性能証明 第13−08号 ニューバースパイルV工法 −先端翼付き鋼管を用いた杭状地盤補強工法−
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記軸方向と垂直な前記本体部の断面形状の半径に対する、該本体部の周面から前記羽根部材の外周縁までの距離の比は、0.48〜2.61の範囲内である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の杭。
前記進入させるステップにより形成された孔の内部空間において、コンクリート構造物を構築するステップを、更に有する請求項5または請求項6に記載の杭の設置方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1-A】
図1−Aは、本発明の第1実施形態に係る杭を概略的に表す正面図である。
【
図1-B】
図1−Bは、
図1−Aに示す杭を、矢印IBの方向に見た右側面図である。
【
図1-C】
図1−Cは、
図1−Aに示す杭を、矢印ICの方向に見た左側面図である。
【
図1-D】
図1−Dは、
図1−Aに示す杭を、矢印IDの方向に見た上面図である。
【
図1-E】
図1−Eは、
図1−Aに示す杭を、矢印IEの方向に見た下面図である。
【
図1-F】
図1−Fは、
図1−Bに示す杭を、矢印IFの方向に見た背面図である。
【
図1-G】
図1−Gは、
図1−Eに示す杭を、一点鎖線IG−IGに沿って表す部分断面図である。
【
図1-H】
図1−Hは、
図1−Eに示す杭を、一点鎖線IH−IHに沿って表す部分断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る杭の施工例を示す概略図である。
【
図3-A】
図3−Aは、本発明の第2実施形態に係る杭を概略的に表す正面図である。
【
図3-B】
図3−Bは、
図3−Aに示す杭を、矢印IIIBの方向に見た右側面図である。
【
図3-C】
図3−Cは、
図3−Aに示す杭を、矢印IIICの方向に見た左側面図である。
【
図3-D】
図3−Dは、
図3−Aに示す杭を、矢印IIIDの方向に見た上面図である。
【
図3-E】
図3−Eは、
図3−Aに示す杭を、矢印IIIEの方向に見た下面図である。
【
図3-F】
図3−Fは、
図3−Bに示す杭を、矢印IIIFの方向に見た背面図である。
【
図4-A】
図4−Aは、第2実施形態に係る杭に対してガイドを係合する方法を示す説明図である。
【
図4-B】
図4−Bは、
図4−Aの杭に対してガイドを係合した状態を表す説明図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る杭の施工例を示す概略図である。
【
図6-A】
図6−Aは、本発明の第3実施形態に係る杭を概略的に表す正面図である。
【
図6-B】
図6−Bは、
図6−Aに示す杭を、矢印VIBの方向に見た右側面図である。
【
図6-C】
図6−Cは、
図6−Aに示す杭を、矢印VICの方向に見た左側面図である。
【
図6-D】
図6−Dは、
図6−Aに示す杭を、矢印VIDの方向に見た上面図である。
【
図6-E】
図6−Eは、
図6−Aに示す杭を、矢印VIEの方向に見た下面図である。
【
図6-F】
図6−Fは、
図6−Bに示す杭を、矢印VIFの方向に見た背面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る杭を用いた他の施工例を表す概略図である。
【
図8】
図8は、第4実施形態に係るガイドを表す概略図である。
【
図9】
図9は、本発明の第5実施形態に係る杭を概略的に表す図である。
【
図10】
図10は、本発明の第6実施形態に係る杭を概略的に表す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第7実施形態に係るガイドを表す概略図である。
【
図12】
図12は、本発明の第8実施形態に係るガイドを表す概略図である。
【
図13】
図13は、本発明の第9実施形態に係るガイドを表す概略図である。
【
図14】
図14は、本発明の第10実施形態に係る杭およびガイドを表す概略図である。
【
図15】
図15は、本発明の第11実施形態に係る杭およびガイドを表す概略図である。
【
図16】
図16は、本発明の第12実施形態に係る杭およびガイドを表す概略図である。
【
図17】
図17は、本発明の第13実施形態に係る杭およびガイドを表す概略図である。
【
図18】
図18は、本発明の第14実施形態に係る杭およびガイドを表す概略図である。
【
図19】
図19は、本発明の第15実施形態に係る杭およびガイドを表す概略図である。
【
図20】
図20は、本発明の杭の施工方法の一例において、杭の周囲に形成された空間へ固化材を充填する方法を示す概略図である。
【
図21-A】
図21−Aは、本発明の第16実施形態に係る杭の部分断面図である。
【
図21-B】
図21−Bは、第16実施形態に係る杭の別の部分断面図である。
【
図22-A】
図22−Aは、本発明の第17実施形態に係る杭の部分断面図である。
【
図22-B】
図22−Bは、第17実施形態に係る杭の別の部分断面図である。
【
図23】
図23は、本発明の第18実施形態に係る杭の部分断面図である。
【
図24-A】
図24−Aは、本発明の第19実施形態に係る杭の下面図である。
【
図24-B】
図24−Bは、
図24−Aの杭を、一点鎖線XXIVB−XXIVBに沿って表す部分断面図である。
【
図24-C】
図24−Cは、
図24−Aの杭を、一点鎖線XXIVC−XXIVCに沿って表す部分断面図である。
【
図25】
図25は、本発明の第20実施形態に係る杭を概略的に表す図である。
【
図26】
図26は、本発明の第21実施形態に係る杭を概略的に表す図である。
【
図27】
図27は、本発明の第22実施形態に係る杭を概略的に表す図である。
【
図28】
図28は、本発明の第23実施形態に係る杭を概略的に表す図である。
【
図29】
図29は、本発明の第24実施形態に係る杭を概略的に表す図である。
【
図30】
図30は、本発明の第25実施形態に係る杭を概略的に表す図である。
【
図31】
図31は、本発明の変形例に係る杭を概略的に表す図である。
【
図32】
図32は、
図31の杭の棒状部材、掘削刃、突起部を一体的に構成したものを概略的に表す図である。
【
図33】
図33は、本発明の第26実施形態に係る杭を概略的に表す図である。
【
図34】
図34は、第26実施形態に係るガイドを概略的に表す図である。
【
図36】
図36は、第26実施形態のガイドと杭を施工機に取り付ける方法を説明する図である。
【
図37】
図37は、第26実施形態に係る保持具を概略的に示す斜視図である。
【
図38】
図38は、第26実施形態のガイドと杭を保持具に取り付ける方法を説明する図である。
【
図39】
図39は、第26実施形態に係る杭の施工例を示す概略図である。
【
図40】
図40は、本発明の第27実施形態に係る杭を示す概略図であり、
図40(A)は斜視図、
図40(B)は杭の棒状部材の上端を示す平面図である。
【
図42】
図42は、第27実施形態に係る杭とガイドを保持具に取り付ける方法を説明するための説明図である。
【
図43】
図43は、第27実施形態に係る施工例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
最初に
図1−A〜
図1−Hを参照し、本発明の第1実施形態に係る杭10を説明する。本実施形態に係る杭10は鋼製であり、
図1−A〜
図1−Fの6面図に示すように、先端部材20と、棒状部材30とからなる。先端部材20は、円筒状の本体部21と、本体部21の周面上に立設され、螺旋形状に沿って延在する羽根部材22とを有する。羽根部材22の下端は切刃として作用する。先端部材20は更に、軸方向後端側に円盤状の蓋部材23と、先端側に板状の掘削刃24を有する。なお、本実施形態においては羽根部材22を連続的なものとしたが、本発明はこれに限らず、途中で切り込みを有する形状や、分割部分を有する不連続な形状としても良い。
【0017】
棒状部材30は、先端部材20の蓋部材23の中心付近部分に接続され、先端部材20の本体部21の軸方向に延伸している。なお、本実施形態において棒状部材30の断面形状を円形としたが、本発明はこれに限らず、四角形等の多角形や楕円形など任意である。
上記構成において、本体部21の軸方向と垂直な方向における棒状部材30の断面積(
図1−Dにおいて、π×x
2)が、本体部21の断面積(同図において、π×y
2)よりも小となっている。本発明において棒状部材30の断面積、および、本体部21の断面積という場合、棒状部材30および本体部21が中空であるか中実であるかに関わらず、それらの外縁が画定する内側の領域の面積をいうものとする。
【0018】
図1−Gは、下面図である
図1−Eに示す杭10を一点鎖線IG−IGに沿って表す部分断面図である。
図1−Hは、
図1−Eに示す杭10を、一点鎖線IH−IHに沿って表す部分断面図である。図示するように、本体部21の下端部付近の内周面に対して、略三角形板状の掘削刃24が固着している。掘削刃24の形状は略三角形板状に限らず、略台形状とするなど、任意の形状とすることができる。
【0019】
次に、
図2を参照して、本実施形態の杭10を地中に埋設する方法について説明する。最初に、
図2(A)に示すように、杭設置面に杭10の先端(先端部材20)を突き当て、適した施工機械または器具(図示略)を用いて杭10、特に棒状部材30に対して回転力(上から見た場合、時計回りの回転力)を与える。こうすることで、羽根部材22による推進力を得て、掘削刃24と羽根部材22の切刃により地表を掘削し、更に地中へと掘削を行う。
図2(B)は掘削途中の状態を模式的に表している。図中、記号Vによって示すように地中に孔が形成され、孔内部には掘削土(砂礫)が存在する状態となる。
図2(C)は、杭10を設置する予定深さまで孔を形成し終わった状態を示す。この後、適した機械・器具により、空間V内部の掘削土を含む杭10周辺の地盤を締め固める。こうして、
図2(D)のように杭10の埋設が完了する。
【0020】
上述した様に、本実施形態の杭10においては、棒状部材30の断面積が、本体部21の断面積よりも小となっている。このように、棒状部材30の径を小さくすることにより、杭全体を一定の径とする従来の杭と比較して杭の製造コストを低減することができる利点がある。棒状部材30の径が小さくなったことで、その周面における摩擦抵抗力が低下する可能性はあるが、先端部材20の本体部21の径を大きくすることで、その周面による摩擦抵抗力を増加させることができ、杭10全体として必要な摩擦抵抗力を発揮することができる。
【0021】
特に、先端部材20の本体部21の断面積に対する棒状部材30の断面積の比を0.005〜0.79の範囲内とすることにより、上記したコスト低減効果等を効果的に発揮しつつ、杭10全体として軸方向支持力を有効に発揮することができる。
また、本体部21の先端部分の円形状の半径(
図1−E中のa)(本実施形態においては、本体部21の軸方向と垂直な断面の半径に同じ)に対する、本体部21の周面から羽根部材22の外周縁までの距離(
図1−E中のb)の比を、0.48〜2.61の範囲内とすることが好ましい。先端部材20の本体部21の単位面積当たりの軸方向支持力は、羽根部材22の単位面積当たりの軸方向支持力の約2倍と見積もられている。そのため、上記寸法比とすることにより、羽根部材22による推進力を十分に発揮させられる一方で、先端部材20の本体部21による軸方向支持力を効果的に発揮させることができる。
【0022】
(第2実施形態)
次に、
図3−A〜
図3−Fを参照して、本発明の第2実施形態に係る杭10を説明する。第2実施形態の杭10は、先端部材20の本体部21の蓋部材23近傍の周面上に設けられた突起部25を有する点でのみ、第1実施形態の杭10と異なる。図示するように、本体部21の周面上において互いに反対側となるように、一対の突起部25が備えられている。
【0023】
次に、
図4−A、
図4−B、
図5を参照して、本実施形態に係る杭10を地中に埋設する方法を説明する。
図4−A、
図4−Bに示すように、本実施形態の杭10は、突起部25を介して円筒状のガイド40と係合できるようになっている。即ち、円筒状の本体部41からなるガイド40は、その先端側端部から軸方向に延び更に垂直に屈曲して周方向に延びるように形成された切欠き42を有する。ガイド40と杭10とを係合させるためには、まず
図4−Aに示すように、切欠き42の軸方向に延びる部分に対して、突出部25を挿入する。次に、
図4−Bに示すように、ガイド40を周方向に相対回転させることで、突出部25を、切欠き42の周方向に延びる部分に係合させる。
【0024】
このように杭10とガイド40とを係合させた状態で、杭10の地中への埋設を開始する。即ち、
図5(A)に示すように、係合状態の杭10の先端を地表に突き当て、ガイド40に回転力を与える。そうすると、回転力が突起部25を介して杭10に伝達され、羽根部材22による推進力を得て、掘削刃24と羽根部材22の切刃により地表を掘削し、更に地中へと掘削を行う。
図5(B)は掘削途中の状態を模式的に表している。
図5(C)に示すように、杭10が設置予定深さまで達すると、ガイド40をやや逆回転させ、上方向へ引き抜くことで切欠き42と突起部25との係合を解除し、更に地上へとガイド40を完全に引き抜く。この後、適した機械・器具により、空間V内部の掘削土を含む杭10周辺の地盤を締め固める。こうして、
図5(D)のように杭10の埋設が完了する。
このような方法によれば、円筒状のガイド40を用いることで、効率良く、かつ安定的に、杭10を地中に埋設することができる。
なお、本体部21の周面上に一対の突起部25を備えるものに限らず、3つ以上の突起部25を備えるものであっても良い。
本実施形態に係る杭10においても、先端部材20の本体部21と棒状部材30の断面積比や、本体部21と羽根部材24の寸法比を第1実施形態と同様に設定することで、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0025】
(第3実施形態)
次に、
図6−A〜
図6−Fを参照して、本発明の第3実施形態に係る杭10を説明する。
本実施形態に係る杭10は、先端部材20の本体部21の先端側に掘削刃を有していない点でのみ、第1実施形態に係る杭10と異なる。このような構成であっても、先端部材20の本体部21と棒状部材30の断面積比や、本体部21と羽根部材24の寸法比を第1実施形態と同様に設定することで、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0026】
(変形例)
上記した各実施形態に係る杭10の施工方法は、上記した施工方法に何ら限定されない。例えば、
図2(D)や
図5(D)で示したように、単に杭10周辺の地盤を締め固めることに代えて、孔Vに対してコンクリートや鉱さい等の充填材を投入して地盤の改良を行ったり、あるいは、セメントミルクを注入して、場所打ち杭を構築したりすることも可能である。あるいは、
図7に示すように、孔Vから掘削土を一旦排出して、孔V内に鉄筋50を敷設し、コンクリートを打設することにより、場所打ち鉄筋コンクリート杭とすることも可能である。
【0027】
(第4実施形態)
上述した第2実施形態のガイド40に代えて、
図8に示す本発明の第4実施形態に係るガイド40を用いても良い。
図8に示すガイド40は、その周面上に螺旋形状のガイド羽根43を有している。このガイド羽根43により、ガイド40に付与された回転力を、軸方向への推進力に変換することができる。更に、杭10が予定深さまで到達し、ガイド40と杭10の係合を解除した後、ガイド40を逆回転させながら上方向へ引き抜くことにより、孔V内部の掘削土や充填材を、ガイド羽根43により締め固めつつ、ガイド40を引き抜くことができ、作業効率が向上する。更には、杭設置作業終了後、ガイド40を逆回転させて引き上げる際に、切欠き42からセメントミルクを棒状部材30の周囲に注入したり、ガイド40の上部から直接セメントミルクを注入し、バイブレータを用いて攪拌するなどの方法を用いることもできる。
【0028】
(第5実施形態)
次に、
図9を参照して、本発明の第5実施形態に係る杭110を説明する。
図9(A)は杭110を概略的に表した正面図、
図9(B)は、
図9(A)の杭110を矢印IXB方向に見た側面図、
図9(C)は、
図9(A)の杭110を矢印IXCの方向に見た上面図、
図9(D)は、
図9(A)の杭110を矢印IXDの方向に見た下面図である。本実施形態に係る杭110は、螺旋状の羽根部材を備えない点でのみ、第2実施形態に係る杭10(
図3−A参照)と異なる。即ち、本実施形態に係る杭110は
図9に示すように、先端部材120と、棒状部材130とからなる。先端部材120は円筒状の本体部121と、軸方向後端側に円盤状の蓋部材123と、先端側に板状の掘削刃124を有する。杭110は更に先端部材120の本体部121の蓋部材123近傍の周面上に設けられた突起部125を有する。
このような構成の杭110であっても、
図8に示すガイド羽根43付きのガイド40を用いることで、ねじ込み杭工法により地中に埋設することができる。
本実施形態に係る杭110においても、先端部材120の本体部121と棒状部材130の断面積比を第1実施形態と同様に設定することで、杭110の製造コスト低減の効果を得ることができる。
【0029】
(第6実施形態)
次に、
図10を参照して、本発明の第6実施形態に係る杭210を説明する。
図10(A)は杭210を概略的に表した正面図、
図10(B)は、
図10(A)の杭210を矢印XB方向に見た上面図、
図10(C)は、
図10(A)の杭210を矢印XCの方向に見た下面図である。本実施形態に係る杭210は、第4実施形態に係る杭110の掘削刃124および突起部125を備えないものである。このような構成の杭210は、圧入工法、打ち込み工法または埋め込み工法等によって地中に設置することができる。
本実施形態に係る杭210においても、先端部材220の本体部221と棒状部材230の断面積比を第1実施形態と同様に設定することで、杭210の製造コスト低減の効果を得ることができる。
【0030】
(第7実施形態)
図11は、本発明の第7実施形態に係るガイド40を表す概略図である。図示するように、本実施形態のガイド40は、複数段の羽根部材43を有する。また、羽根部材43が複数個所で分割されているものとしても良い。
【0031】
(第8実施形態)
図12は、本発明の第8実施形態に係るガイド40を表す概略図である。
図12(A)は正面図、
図12(B)は、
図12(A)中のガイド40を、矢印XIIBの方向に見た部分断面図である。本実施形態に係るガイド40は、本体部41の軸方向の一部が、内側部分44と外側部分45の同軸二重円筒構造となっている。即ち、本体部41の軸方向の一部の径を小さくすることで内側部分44とし、その周囲に外側部分45を遊嵌している。内側部分44の外周面には軸方向に延びるレール46が形成され、外側部分45の内周面には、レール46と緩く係合する軸方向溝47が形成されている。このような構造により、内側部分44と外側部分45とが軸方向に所定距離だけ相対移動できるようになっている。そして、羽根部材43は、外側部分45の外周面にのみ定着されている。これにより、羽根部材43は、ガイド40の本体部41に形成された切欠き42に対して、軸方向に相対移動することができる。
【0032】
図8に示す第4実施形態のガイド40を用いる場合、杭10の埋設が完了した時点で、ガイド40を周方向に回転させることは比較的容易である一方、周囲の地盤と羽根部材43との干渉により、ガイド40を軸方向へ移動させることが困難または不可能な場合がある。そうすると、突起部25と切欠き部42の係合を解除することができず、ガイド40を更に逆回転させて地中から抜き出すことができない。このような場合であっても、第8実施形態のガイド40であれば、羽根部材43及び外側部分45と相対的に、ガイド40の本体部41を軸方向上向きに移動させることができる。そのため、杭10の埋設が完了した時点で、ガイド40全体をやや逆回転させ、その後、外側部分45と羽根部材43に対して本体部41を軸方向上向きに移動させることで、突起部25と切欠き42との係合を容易に解除することができる。
【0033】
(第9実施形態)
図13は、本発明の第9実施形態に係るガイドを表す概略図である。
図13(A)は正面図、
図13(B)は、
図13(A)中のガイド40を、矢印XIIIBの方向に見た部分断面図である。本実施形態に係るガイド40は、第8実施形態のものと異なり、外側部分45を有さず、羽根部材43の内周側に軸方向溝47を直接有している。これにより、羽根部材43と内側部分44とが遊嵌され、軸方向に相対移動可能となっている。結果として、第8実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0034】
(第10実施形態)
図14は、本発明の第10実施形態に係る杭10およびガイド40を表す概略図である。
図14(A)は杭10とガイド40の係合状態を示す図、
図14(B)は杭10の正面図、
図14(C)は、
図14(A)中のガイド40を、矢印XIVCの方向に見た部分断面図である。本発明の杭10とガイド40との係合方法は、第2実施形態のものに何ら限定されない。例えば、
図14に示すものにおいては、ガイド40の先端側内周面上に、複数(図では3つ)の直方体状のガイド突起部48が設けられており、杭10の先端部材20の蓋部材23上には複数のかぎ状の係止部材26が設けられている。そして、杭10の上部側からガイド40を同軸状に配置して嵌め合わせ、上部から見て時計回りにガイド40を杭10に対して回転させることで、複数のガイド突起部48と複数の係止部材26とが係合するようになっている。
【0035】
(第11実施形態)
図15は、本発明の第11実施形態に係る杭10およびガイド40を表す概略図である。
図15に示す例ではガイド40の先端に蓋がされており、その蓋に複数の矩形のキー穴113と、中心に丸い穴115が穿設されている。
他方、蓋部材23の上面には、棒状部材30を中心にしてキー穴113の数に相当する数のキー119が設けられている。棒状部材30を穴115へ挿入し、キー119をそれぞれ矩形のキー穴113へ挿着することにより、蓋部材23とガイド40とが組付けられる。
ガイド40による掘削作業が完了したら、ガイド40を引き抜きながら、セメント材料を注入することができる。セメント材料の注入は、矩形のキー穴113を介して行える。セメント材料注入専用の穴を設けてもよい。
【0036】
(第12実施形態)
図16は、本発明の第12実施形態に係る杭10およびガイド40を表す概略図である。
図16の例では、ガイド40側に複数のキー129を設け、キー129の数に相当する数のキー穴133を蓋部材23側に設けている。
【0037】
(第13実施形態)
図17は、本発明の第13実施形態に係る杭10およびガイド40を表す概略図である。
図17の例では、蓋部材23において複数のキー139と棒状部材30とが連設されており、それに応じて、ガイド40側の穴145の形状が調整されている。
【0038】
(第14実施形態)
図18は、本発明の第14実施形態に係る杭10およびガイド40を表す概略図である。
図18の例では、蓋部材23上に、薄型矩形のキー149に重ねて棒状部材30が立設されている。他方、ガイド40側には、キー149に対応した穴155が形成されている。この穴155へ棒状部材30も通される。
キー149が穴155から外れた段階で、棒状部材と穴155の周縁との間に隙間ができるので、そこからセメント材料を容易に注入できる。
【0039】
(第15実施形態)
図19は、本発明の第15実施形態に係る杭10およびガイド40を表す概略図である。
図19の例では、蓋部材23に丸穴形状のキー穴153を設ける。このキー穴153は蓋部材23の軸を中心として、等距離かつ同じ角度(この例では90度)をあけて設けられている。
他方、ガイド40の先端側には、キー穴153に対向する位置に、4つの円柱状のキー156が配設されている。
ガイドの先端のキー156が蓋部材のキー穴153へ抜き差しされる。ここに、4つのキー穴153が蓋部材23の軸を中心として均等に分配されているので、各キー穴に対してキー156をそれぞれ挿入する際、両者の位置合わせが容易である。
【0040】
なお、上記各実施形態において、杭の先端部材の本体部の形状を円筒状としたが、これに限定されず、多角柱状(四角柱状、八角柱状など、あるいは、断面がH型など)その他、任意である。また、先端部材は鋼製のものに限らず、本体部や羽根部材がコンクリート製(鉄筋コンクリート製、プレストレストコンクリート製を含む)のものも採用することができる。先端部材の本体部をコンクリート製とする場合、例えば、先端部材の内部に内部鉄筋を配筋し、内部鉄筋と溶接等により接合した金属板部材を、先端部材の上部側面の中心部付近に設置し、金属板部材と棒状部材とを溶接により接合しても良い。または、開口端を有する円筒状金属部材を、当該開口端が先端部材の上面中心部付近に開口するように先端部材のコンクリートに埋め込み、棒状部材を当該開口端から円筒状金属部材に挿入し、棒状部材と円筒状金属部材の縁とを溶接により接合しても良い。このように棒状部材とコンクリート製先端部材の接合の方法は任意である。また、コンクリート製の先端部材が、ガイドとの係合のための突起部を有する場合には、当該突起部は金属製とすることが強度の点から好ましく、更に、突起部を上述した金属板部材や円筒状金属部材と一体化することが好ましい。更に、杭の先端部材をプラスチック製や、木製とすることも可能である。
【0041】
また、本体部の軸方向に垂直な断面の面積が軸方向に一定であるものに限らず、軸方向に変化するものであっても良い。その場合、本体部の最大の断面積に対する棒状部材の断面積の比を、0.005〜0.79の範囲内とすることが、本発明の上述した効果を奏するためには好ましい。
また、ガイドの形状についても、先に説明した円筒状のものに限定されず、多角筒状(四角柱状、八角柱状など)その他、任意である。
棒状部材をコンクリート製(鉄筋コンクリート製、プレストレストコンクリート製含む)としても良い。
【0042】
図20は、本発明の杭の施工方法の一例として、地盤に打設された杭10(特に棒状部材30)の周囲の地盤をガイド40を用いて改良する様子(柱状改良の様子)を示す。ガイド40は、図示しない杭打設機により回転かつ上下動される。図に示す通り、ガイド40の回転および上下動により地盤が除去され、杭10の棒状部材30を中心として空間が水平方向に均等に形成されている。
【0043】
杭10の棒状部材30の周囲から地盤を除去した後、ガイド40上部側から固化材を注入し、ガイド40の下端側から固化材を吐出させて空間を充填する。ガイド40を回転かつ上下させることより、固化材の撹拌、均一化を図る。これにより、棒状部材30の周囲に補強層が形成される。
上記において、固化材撹拌時のガイド40の回転方向は、地盤除去時の回転方向と逆方向であることが好ましいが、撹拌を促進させるために、ガイド40の回転方向を作業途中に切り替えることもできる。本例において、棒状部材30の周辺の地盤を除去せずに、セメントミルクと地盤とを撹拌混合することで、杭10(特に棒状部材30)周辺の地盤改良を行うものとしても良い。
【0044】
(第16実施形態)
次に、
図21−Aおよび
図21−Bを参照して、本発明の第16実施形態に係る杭10について説明する。
図21−A、
図21−Bは、第1実施形態の杭10の部分断面図である
図1−G、
図1−Hにそれぞれ対応する、第16実施形態の杭10の部分断面図である。図示するように、本実施形態においては、掘削刃24が、本体部21の内周面上、本体部21の先端部付近から後端部付近にまで至る長さ方向の全域に延び、掘削刃24は、蓋部材23の内面に対して、固着している。このような構成とすることで、蓋部材23の補強を図ることができる。つまり、蓋部材23の曲げ耐力を向上することができる。結果として、蓋部材23の変形を抑制することができる。掘削刃24は、本体部21の内周面に対し、本体部21の先端部付近から後端部付近にまで至る長さ方向の全域において固着していてもよく、部分的に固着していてもよい。掘削刃24が蓋部材23の内面に対して固着する構成に代えて、単に接触する構成としてもよい。
【0045】
(第17実施形態)
次に、
図22−Aおよび
図22−Bを参照して、本発明の第17実施形態に係る杭10について説明する。第17実施形態は第16実施形態の変形例であり、
図22−A、
図22−Bは、
図21−A、
図21−Bにそれぞれ対応する部分断面図である。第16実施形態の杭10においては、掘削刃24を延長して蓋部材23に対して接触または固着させることにより、蓋部材23の補強を図った。これに対して、本実施形態の杭10においては、掘削刃24とは別体の鋼板である補強部材241を蓋部材23の内面に対して固着させる。こうして蓋部材23の補強を図る。なお、補強部材241は鋼板に限定されず、形鋼や鋼管の鋼材としてもよく、それらの場合には、補強部材241の長手方向の側面を蓋部材23の内面に対して固着させることが好ましい。
【0046】
(第18実施形態)
次に、
図23を参照して、本発明の第18実施形態に係る杭10について説明する。本実施形態の杭10は、第1実施形態に係る杭10の本体部21の内部にコンクリートやモルタルまたは樹脂といった固化材242を充填し、固化させたものである。
図23は、第1実施形態の
図1−Hに対応する部分断面図である。固化材242は本体部21の内周面および蓋部材23の内面に固着した状態で固化している。このような固化材242を備えることによっても、蓋部材23の補強を図ることができる。
【0047】
(第19実施形態)
次に、
図24−A、
図24−B、
図24−Cを参照して、本発明の第19実施形態に係る杭10について説明する。本実施形態の杭10は、
図22−A、
図22−Bに示す第17実施形態の杭10に対して、交差補強部材243を追加したものである。図示するように、交差補強部材243は、補強部材241と略直交するように設置されている。交差補強部材243は、蓋部材23の内面に対して固着している。例えば、交差補強部材243は2つの部分からなり、補強部材241の両側を挟んで一直線になるように設置される。交差補強部材243と補強部材241とが固着していてもよい。
このように、補強部材241に加えて、交差補強部材243を備えることにより、蓋部材23の曲げ耐力を更に向上させることができる。
【0048】
(第20〜25実施形態)
本発明に係る杭10の先端部材20の本体部21の直径に対する羽根部材22の直径を比(以下、軸翼比と呼ぶ)は、施工条件や要求性能等に応じて様々に設定することができる。
例として、本体部21の直径が比較的小さい(直径例:89.1mm)杭10の場合において、軸翼比が比較的小さい杭10の6面図を
図25に示し(第20実施形態、軸翼比例:1.68)、軸翼比が中程度の杭10の6面図を
図26に示し(第21実施形態、軸翼比例:2.42)、軸翼比が比較的大きい杭10の6面図を
図27に示した(第22実施形態、軸翼比例:3.18)。別の例として、本体部21の直径が比較的大きい(直径例:165.2mm)杭10の場合であって、軸翼比が比較的小さい杭10の6面図を
図28に示し(第23実施形態、軸翼比例:1.48)、軸翼比が中程度の杭10の6面図を
図29に示し(第24実施形態、軸翼比例:2.10)、軸翼比が比較的大きい杭10の6面図を
図30に示した(第25実施形態、軸翼比例:2.72)。
図25〜30のそれぞれにおいて、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は左側面図、(D)は上面図、(E)は下面図、(F)は背面図を表す。
【0049】
(別の変形例)
次に、
図31、
図32を参照して、本発明の別の変形例について説明する。
図31に示す杭110は、
図9に示す第5実施形態の変形例である。
図31(A)は杭110を概略的に表した正面図、
図31(B)は、
図31(A)の杭110を矢印XXXIB方向に見た側面図、
図31(C)は、
図31(A)の杭110を矢印XXXICの方向に見た上面図、
図31(D)は、
図31(A)の杭110を矢印XXXIDの方向に見た下面図である。本変形例の先端部材120はコンクリート製(鉄筋コンクリート製、プレストレストコンクリート製を含む)の本体部121を有し、蓋部材を有さない。
【0050】
上述した通り、ガイドとの係合のための突起部125は、金属製とすることが強度の点から好ましい。そこで、本例においては、
図32に示すように、棒状部材130、掘削刃124、突起部125を、一体的な金属部材として構成している。
図32(A)は該一体的な金属部材の正面図、
図32(B)は、
図32(A)の一体的な金属部材を矢印XXXIIBの方向に見た側面図である。
図32に示す棒状部材130および掘削刃124の一部の周囲にコンクリート等からなる本体部121を円柱状に形成することにより、
図31の杭110を作成することができる。
棒状部材130、掘削刃124、突起部125の一体的な金属部材を作成する方法は任意であるが、一例として、まず掘削刃124および突起部125を一体的な平板状金属部材として作成し、次に棒状部材130と溶接することが考えられる。
【0051】
上記の各実施形態、各実施例および変形例において、杭10の各部材は溶接や接着等により互いに固着し一体化されるものとしてもよく、あるいは、固着による一体化に代えて、それら各部材の一部または全部をモールディングや鋳造等の手段により一体的に成形するものとしてもよい。
【0052】
(第26実施形態)
次に、
図33〜
図39を参照して、本発明の第26実施形態を説明する。
図33は、本発明の第26実施形態に係る杭を概略的に表す図であり、
図33(A)は杭10の正面図、
図33(B)は
図33(A)の杭10を矢印XXXIIIBの方向に見た側面図、
図33(C)は
図33(B)の杭10を矢印XXXIIICの方向に見た背面図である。本実施形態に係る杭10は、
図33に示すように、蓋部材23の上面に、かぎ状の係止部材27を有する。図示例では係止部材27は、回転軸を中心とした点対称の位置に2つ設けられているが、これに限らず、1つまたは3つ以上の係止部材27を備えるものとして良い。各係止部材27は、蓋部材23の上面から立設される垂直部271と、垂直部271の上端から水平方向に延びる水平部272とを有する。これにより、係止部材27は、杭10の逆回転方向に開口を有する。
【0053】
図34に本実施形態に係るガイド40を示す。
図34は、本発明の第26実施形態に係るガイドを概略的に表す図であり、
図34(A)はガイド40の正面図、
図34(B)は
図34(A)のガイド40の側面図、
図34(C)は
図34(A)のガイド40を矢印XXXIVCの方向に見た上面図、
図34(D)は
図34(A)のガイド40を矢印XXXIVDの方向に見た下面図である。本実施形態のガイド40の長さは、杭10の棒状部材30と略等しく、棒状部材30を挿入できる程度の内径を有する。また、ガイド40は筒状のガイド本体部400と、施工時の下端側のガイド本体部400外周面から突出するガイド下部突起部481と、上端付近のガイド本体部400外周面から突出するガイド上部突起部482とからなる。ガイド下部突起部481の個数と位置は、杭10の係止部材27の個数と位置に対応し、本実施形態においては、2つのガイド下部突起部481が、ガイド40のガイド本体部400外周面の反対側にそれぞれ設けられる。
【0054】
次に、ガイド40を用いて杭10を地中に設置する方法を説明する。最初に、ガイド40を杭10に装着する本実施形態に係る方法を
図35により説明する。
図35(A)に示すように、本実施形態においては、まず杭10とガイド40とを横倒しの状態として、次に、
図35(B)に示すように、杭10をガイド40に挿入する。更に、
図35(C)のようにガイド40の施工時下端側が杭10の蓋部材23に接するまで挿入し、その状態で、ガイド40を正回転させることにより、
図35(D)に示すように、各ガイド下部突起部481を、対応する各係止部材27に対して、その開口側から係合させる。
【0055】
次に、
図36に示すように、建柱車タイプ等の施工機に対して、挿入状態の杭10およびガイド40を取り付ける。具体的には、
図36(A)に示すように、ガイド40の上端部付近にワイヤを掛け、当該ワイヤを施工機のクレーン(つり上げ装置)により引っ張り上げる。これにより、施工機のクレーン先端付近に取り付けた回転機械および保持具200に対して、ガイド40の上端部を接近させる。更に、
図36(B)に示すように、ガイド40の上端部を保持具200に対して取り付ける。これにより、杭10を挿入した状態のガイド40が、保持具200を介してクレーンによって鉛直に懸垂保持される。このとき、杭10は、杭10の係止部材27と、ガイド40のガイド下部突起部481との係合を介して、保持される。
【0056】
図37は保持具200の斜視図である。図示するように、保持具200は、円筒形状のカバー201を有し、該円筒形状の一端側にヘッド部202が蓋状に形成されている。カバー201とは反対側のヘッド部202の面上に、角柱状のコネクタ203が設けられる。コネクタ203には、回転機械への接続のためのボルト穴203aが設けられている。カバー201側のヘッド部202の面上に、円柱状の心棒204が設けられる。上記構成において、カバー201、コネクタ203、心棒204は同心状に設けられる。
【0057】
カバー201には、軸方向に伸びる軸方向開口205と、周方向に延びる周方向開口206が設けられる。軸方向開口205は、心棒204側のカバー201の軸方向端面に開口する。周方向開口206は、軸方向開口205に対して、周方向に開口する。軸方向開口205と周方向開口206は、ガイド40のガイド上部突起部482の個数と位置に対応して設けられる。本実施形態においては、各一対のガイド上部突起部482、軸方向開口205、周方向開口206がそれぞれ、回転軸を中心とする点対称の位置に設けられているが、本発明はこれに限られず、例えば、各3組以上としても良い。
【0058】
図38は、
図36(B)のように、ガイド40の上端部を保持具200に対して取り付ける方法を説明する図である。
図38(A)に示すように、保持具200は、施工機のクレーン先端に取り付けられた回転機械に対して、コネクタ203を介してボルト止めされている。ガイド40の上端部が保持具200に接近した段階で、保持具200のカバー201内周に対してガイド40の外周を挿入するとともに、保持具200の心棒204を杭10の棒状部材30の内周に対して挿入する。その際、
図38(A)のように、各ガイド上部突起部482を、カバー201の対応する軸方向開口205に進入させる。
【0059】
図38(B)のようにガイド40の上端がヘッド部202に到達した段階で、ガイド40および杭10を、保持具200に対して一体的に正回転させる。回転機械の駆動により、保持具200をガイド40および杭10に対して逆回転させてもよい。これにより、
図38(C)に示すように、各ガイド上部突起部482は、対応する周方向開口206に進入する。このような
図36(B)および
図38(C)に示す状態とすれば、クレーンを持ち上げることによって、挿入状態の杭10およびガイド40を一体的に持ち上げ、杭10の設置場所へ移動させることが可能となる。
【0060】
次に、
図39を参照して、杭10を地中に設置する方法を説明する。
図39では施工機の図示を省略した。
図36(B)の状態から、杭10の設置場所地表上で回転機械を正回転させると、保持具200がガイド40に対して正回転方向に相対回転する。これにより、
図39(A)に示すように、ガイド上部突起部482が、軸方向開口205の、逆回転方向側の縁部(以下、正回転駆動縁部205aと称する)に接することとなる。更に保持具200が回転駆動されることで、駆動縁部205aは、ガイド上部突起部482を正回転方向に回転駆動する。すると、その回転力が、ガイド40およびガイド下部突起部481を介して杭10の係止部材27に伝達され、これにより、杭10も正回転方向に回転駆動される。
【0061】
図39(B)のように回転機械による正回転を継続することで杭10がその設置予定深さまで到達すると、回転機械の回転を停止し、回転機械を逆転させる。そうすることで、
図39(C)に示すように、保持具200はガイド40に対して逆回転方向に相対回転する。その結果、ガイド上部突起部482は駆動縁部205aを離れ、周方向開口206の、正回転方向の縁部(以下、逆回転駆動縁部206aと称する)に当接する。更に回転機械による逆回転を継続することで、逆回転駆動縁部206aがガイド上部突起部482を逆回転方向に回転駆動することとなる。すると、ガイド40が逆回転方向に回転することで、ガイド下部突起部481と係止部材27との係合状態が解消する、つまり、ガイド下部突起部481が係止部材27から逆回転方向へ外れることとなる。
【0062】
この状態で再びクレーンを持ち上げることで、保持具200を介してガイド40を持ち上げることができる。そのとき、ガイド40と杭10との係合状態が解消されているので、杭10を設置場所に残置したまま、ガイド40のみを引き上げ(
図39(D))、地表にまで抜き去ることができる。
【0063】
このような杭10の設置方法においては、上述した通り、最初に、杭10およびガイド40を横倒しにした状態で杭10をガイド40に挿入し、次に、挿入状態の杭10およびガイド40を垂直に立てて、施工機のクレーン先端の回転機械に対して取り付ける。そのため、従来行われていたような、クレーン先端の回転機械に対して最初にガイドを取付けた後、垂直に立てた杭の上方にまでガイドをクレーンで持ち上げて、上方からガイドを杭に被せる施工方法に比べて、クレーンを持ち上げる高さが約2分の1となる。すなわち、クレーンを持ち上げる高さは、従来技術においては杭とガイドの合計の高さ以上の高さが必要であったが、本実施形態の方法においては、杭のみの高さと略同一の高さへと減じられることとなる。これにより、施工時に要する高さ方向の空間が削減でき、施工が容易となり、施工の安全性が大幅に向上する。
【0064】
図36の施工機として建柱機タイプのものを示したが、これは例示に過ぎず、クローラタイプ、パワーショベルタイプ、クレーン車タイプなど、本発明が適用できる限りどのような機械を用いてもよい。
また、係止部材27の形状は上述のかぎ状に限らず、同様の機能を奏し得る限り、どのような形状としても良い。また、
図35の施工例においては、杭10をガイド40に挿入する際、杭10およびガイド40を横倒しとしたが、これは必須の要件ではなく、例えば、両者を縦または斜めにした状態で挿入し、その後、挿入状態の杭10とガイド40を保持具200に取り付けても良い。特に杭10およびガイド40が比較的短い場合には、両者を縦にした状態で挿入し、その後、挿入状態の杭10とガイド40を保持具200に取り付けても良い。
【0065】
(第27実施形態)
次に、
図40〜
図43を参照して、本発明の第27実施形態を説明する。
図40(A)は本実施形態に係る杭10の斜視図、
図40(B)は棒状部材30の上面図である。
図40に示すように、本実施形態の杭10は、棒状部材30の上端部内周面から周方向内側へ突出する係合突起31を有する。
図41A〜
図41Cに、本実施形態に係る保持具200を示す。
図41Aは正面図、
図41Bは下面図、
図41Cは斜視図である。本実施形態の保持具200は、周方向開口として、第1周方向開口207と第2周方向開口208を有する点で、第26実施形態の保持具200と異なる。また、後に述べるように、心棒204の形状も異なっている。
【0066】
第1周方向開口207と第2周方向開口208はいずれも軸方向開口205から正回転方向へ広がる開口であり、第2周方向開口208と比して第1周方向開口207はヘッド部202により近い。
心棒204は、ヘッド部202側の大径部250と、反ヘッド部202側の小径部260とからなる。大径部250の最大径アは小径部260の径イより大きく(
図41B参照)、棒状部材30の内径より小さい。大径部250の最大径アと小径部260の径イは、棒状部材30をガイド40に挿入したときに、係合突起31が小径部260とは干渉せず、大径部250の最大径アの部分とは干渉するように設定されている。大径部250の外周には、軸方向に伸び、反ヘッド部202側に開口する軸方向溝251と、軸方向溝251から正回転方向に伸びる周方向溝252とが形成されている。大径部250の軸方向溝251は、カバー201の1つの軸方向開口205の径方向内側に形成されている。棒状部材30をガイド40に挿入したときに、係合突起31は、軸方向溝251および周方向溝252部分において大径部250とは干渉しない。
【0067】
次に、
図42および
図43を参照して、本実施形態の杭10およびガイド40を保持具200に対して取り付ける方法を説明する。
図35の方法と同様に本実施形態の杭10をガイド40に挿入し、ガイド下部突起部481を係止部材27に係合したとき、杭10の棒状部材30およびガイド40の上端部を上方向から観察すると、
図42(A)のようになる。すなわち、ガイド40の一方のガイド上部突起部482の位置に対応する棒状部材30の内周面上の位置に係合突起31が位置することとなる。この状態で、
図36と同様に杭10およびガイド40を保持具200に取り付ける際、
図42(B)に示すように、ガイド上部突起部482をカバー201の軸方向開口205に進入させ、棒状部材30の係合突起31を、心棒204の大径部250の軸方向溝251に進入させる。そして、
図42(C)のようにガイド40の上端がヘッド部202に到達すると、杭10およびガイド40を正回転方向に回転させるか、または保持具200を逆回転方向に回転させることにより、
図42(D)に示すようにガイド上部突起部482をカバー201の第1周方向開口207に進入させる。このとき、
図42(E)に示すように、係合突起31は、心棒204の大径部250の周方向溝252内へ進入する。
図42(E)は心棒204と係合突起31の相対的な位置関係を示す説明図である。
【0068】
図42(D)および
図42(E)に示す状態とすれば、クレーンを持ち上げることで、挿入状態の杭10およびガイド40を一体的に持ち上げ、杭10の設置場所上へ運搬することが可能となる。第26実施形態においては、保持具200はガイド40のガイド上部突起部482のみを周方向開口206の下縁で持ち上げるのみであったが、本実施形態においては、ガイド40のガイド上部突起部482を第1周方向開口207の下縁で持ち上げると同時に、棒状部材30の係合突起31を心棒204の周方向溝252の下縁で持ち上げるため、ガイド40のみならず杭10をも直接持ち上げることになるため、より安定的に持ち上げ、運搬することができる。また、杭10およびガイド40の持ち上げおよび運搬時に、ガイド下部突起部481が係止部材27に対して上向きに付加する力を低減することができる。
【0069】
挿入状態の杭10およびガイド40を杭10の設置予定場所の地表上に垂直に保持した後、
図39で説明したのと同様に、回転機械によりガイド40に対して正回転方向の回転力を加えることで、杭10は地中への進入を開始する。すなわち、回転機械からの回転力は、保持具200の軸方向開口205の逆回転方向側の縁部(以下、正回転駆動縁部205aと称する)から、ガイド上部突起部482に加えられる(
図43の(A−1)参照)。すると、その回転力が、ガイド40およびガイド下部突起部481を介して杭10の係止部材27に伝達され、これにより、杭10も正回転方向に回転駆動される。本実施形態においては、回転機械からの回転力が、保持具200の心棒204の大径部250の軸方向溝251の逆回転方向側の縁部251aから杭10の棒状部材30の係合突起31に対しても加えられ、もって、上記回転力が、ガイド40を介して伝達されるのと並行して、杭10に対して直接付加されるようにしても良い(
図43の(B−1)参照)。
【0070】
次に、杭10が設置予定深さまで到達した後、杭10を残置してガイド40のみを地表まで引き抜く方法について、
図43を参照して説明する。回転機械がガイド40および杭10を回転駆動しているときは、上述の通り、
図43の(A−1)に示すように、保持具200の正回転駆動縁部205aがガイド上部突起部482に対して正回転方向の回転力を付加する。そのときの心棒204の大径部250と、棒状部材30の係合突起31の相対的位置関係を、同図の(B−1)に概略的に示す。そして、杭10が設置予定深さまで到達すると、保持具200を逆回転させることで、同図の(A−2)に示すように、保持具200の第1周方向開口207の正回転方向の縁部(以下、逆回転駆動縁部207aと称する)が、ガイド上部突起部482に接するようにする。そのとき、同図の(B−2)に示すように、心棒204の大径部250の周方向溝252の正回転方向縁部が、棒状部材30の係合突起31に接する。
【0071】
この状態で更に逆回転方向へガイド40と杭10を一体回転させることで、ガイド下部突起部481と係止部材27との係合状態を解消する。すなわち、ガイド下部突起部481を係止部材27から逆回転方向へ外す。次に、保持具200を正回転方向へやや回転させることで、
図43の(A−1)および(B−1)に示す状態となるようにする。このとき、保持具200の回転量は、ガイド下部突起部481と係止部材27が係合しない程度のものとする。
この状態でクレーンを持ち上げることで、保持具200とガイド40との相対的位置関係を
図43の(A−3)に示すようにする。すなわち、ガイド上部突起部482が、保持具200の軸方向開口205を通って、第2周方向開口208と水平方向に隣り合う位置まで来るようにする。そのとき、棒状部材30の係合突起31は、
図43の(B−3)に示すように、心棒204の大径部250の軸方向溝251を通って大径部250を脱出し、小径部260と面するようになる。
【0072】
次に、保持具200を逆回転方向へ回転させることで、
図43の(A−4)に示すように、ガイド上部突起部482を保持具200の第2周方向開口208へ進入させる。次に、クレーンを持ち上げることで、保持具200の第2周方向開口208の下縁がガイド上部突起部482を持ち上げ、これによりガイド40を持ち上げることができる。このとき、同図の(B−4)に示すように、棒状部材30の係合突起31は、心棒204の大径部250を既に脱出しているため、心棒204が上昇しても、棒状部材30の係合突起31を持ち上げることはない。また、このとき、ガイド下部突起部481と係止部材27は係合状態となっていない。よって、保持具200によりガイド40を持ち上げても、杭10には持ち上げる力が及ばない。そのため、杭10のみを地中の設置位置に残置したまま、ガイド40のみを地表まで持ち上げることができる。以上により、第26実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0073】
上記各実施形態、各実施例及び変形例の各特徴は、可能な限り互いに組み合わせて実施しても良く、そのような組み合わせも本発明の範囲に含まれる。
この発明は、上記発明の実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【0074】
以下、開示する。
(付記1)
円筒状の本体部と、該本体部の周面上に立設され、螺旋形状に沿って延在する羽根部材と、を有する先端部材と、
前記本体部の軸方向後端側に設けられ、前記本体部の前記軸方向後端側を密閉する平坦な円盤状の蓋部材と、
前記蓋部材の軸方向後端側面の中心付近部分に一端が固着され、そこから前記本体部の軸方向に沿って伸びる棒状部材と、
前記蓋部材の軸方向先端側面に対して接触または固着し、前記本体部の軸方向先端側から突出する平板状の掘削刃と、を有する杭であって、
前記軸方向と垂直な方向における前記棒状部材の断面積が、同方向における前記本体部の断面積よりも小であり、
前記蓋部材の外径は、前記羽根部材の内径と略等しく、
前記蓋部材の外周部分はその全周において、前記本体部の前記軸方向後端と前記軸方向に重なり、
前記蓋部材の外径は、前記本体部の前記軸方向後端の外径と等しい、杭。
(付記2)
前記本体部の断面積に対する前記棒状部材の断面積の比は、0.005〜0.79の範囲内である、付記1に記載の杭。
(付記3)
前記軸方向と垂直な前記本体部の断面形状の半径に対する、該本体部の周面から前記羽根部材の外周縁までの距離の比は、0.48〜2.61の範囲内である、付記1または付記2に記載の杭。
(付記4)
前記本体部の内部において前記蓋部材の軸方向先端側面に固着し、該蓋部材を補強する補強部材を更に備える、付記1〜3のいずれか一項に記載の杭。
(付記5)
付記1〜4のいずれか一項に記載の杭を地中に設置する杭の設置方法であって、
前記本体部に対して筒状のガイドを係合させるステップと、
前記ガイドを回転させることにより前記杭を回転させ、該杭を地中に進入させるステップと、を有する杭の設置方法。
(付記6)
前記進入させるステップにより形成された孔の内部空間に対して、充填材を投入するステップを、更に有する付記5に記載の杭の設置方法。
(付記7)
前記進入させるステップにより形成された孔の内部空間において、コンクリート構造物を構築するステップを、更に有する付記5または付記6に記載の杭の設置方法。
(付記8)
前記進入させるステップの後、前記ガイドを逆の方向に回転させながら引き抜くステップを更に有し、
前記ガイドはその周面上に螺旋状の羽根部材を備える、付記5〜7のいずれか一項に記載の杭の設置方法。
(付記9)
前記本体部に対して筒状のガイドを係合させるステップは、前記杭と前記ガイドとを横倒しにした状態で、前記棒状部材を前記ガイドに挿入し、前記本体部と前記ガイドを係合させる、付記5〜8のいずれか一項に記載の杭の設置方法。
(付記10)
前記本体部に対して筒状のガイドを係合させるステップの後に、前記ガイドの端部を回転機械に取り付けるステップを更に含む付記5〜9のいずれか一項に記載の杭の設置方法。
(付記11)
前記本体部に対して筒状のガイドを係合させるステップの後に、係合した前記杭と前記ガイドとを略鉛直状態となるように持ち上げるステップを更に含む付記5〜10のいずれか一項に記載の杭の設置方法。
(付記12)
係合した前記杭と前記ガイドとを略鉛直状態となるように持ち上げるステップは、前記杭と前記ガイドとを持ち上げたときの高さが前記杭の高さと略等しい、ことを特徴とする付記11に記載の杭の設置方法。
(付記13)
前記進入させるステップの後、前記ガイドを逆の方向に回転させることで前記本体部と前記ガイドの係合を解消するステップと、
次に前記杭を地中に残置しつつ、前記ガイドのみを鉛直上方へ引き抜くステップと、を更に含む付記5〜7、9〜12のいずれか一項に記載の杭の設置方法。