特許第6502313号(P6502313)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502313
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】下顎骨プレート
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/80 20060101AFI20190408BHJP
【FI】
   A61B17/80
【請求項の数】7
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-500534(P2016-500534)
(86)(22)【出願日】2014年3月3日
(65)【公表番号】特表2016-511061(P2016-511061A)
(43)【公表日】2016年4月14日
(86)【国際出願番号】US2014019774
(87)【国際公開番号】WO2014158740
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2017年3月3日
(31)【優先権主張番号】61/783,482
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/827,184
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】コルネリウス・カール−ペーター
(72)【発明者】
【氏名】スカウテンズ・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルゲ・ラズバン
(72)【発明者】
【氏名】モーティエン・アザゲン
【審査官】 宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05087259(US,A)
【文献】 米国特許第06423068(US,B1)
【文献】 特開平01−178255(JP,A)
【文献】 特表2009−500093(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0015593(US,A1)
【文献】 米国特許第5380328(US,A)
【文献】 米国特許第5769637(US,A)
【文献】 特開2006−230803(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0271418(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/80
A61F 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頬側表面と、舌側表面と、前記頬側表面を前記舌側表面に接合する下側表面とを画定する下顎に取り付けられるよう構成された下顎骨プレートであって、前記下顎骨プレートが、
第1端及び第2端を有する湾曲した顎先部分と、
第1軸に沿って前記第1端から延出しかつ前記第1軸に沿って細長い、第1延長部分と、を含み、前記第1延長部分が、前記第1端に近接する近位端と、前記第1軸に沿って前記近位端から離間している遠位端と、を画定し、前記第1延長部分が、凹状骨側向き表面と、前記凹状骨側向き表面に相対する第1外側表面と、前記凹状骨側向き表面から前記第1外側表面へと延在する複数の骨アンカー穴と、を画定し、前記凹状骨側向き表面が、湾曲した下側端と、湾曲した上側端と、を有し、前記上側端が、前記第1軸に対して垂直な第1方向に沿って前記下側端から離間しており、前記第1延長部分は、前記第1延長部分の遠位部分で前記第1方向に沿って前記凹状骨側向き表面の前記下側端と前記上側端の両方に接する第1直線が引かれ得るような向きにされ、前記第1直線が、前記第1延長部分の近位部分で前記第1方向に沿って前記凹状骨側向き表面の前記下側端と前記上側端の両方に接して引かれ得る第2直線に対して、前記第1軸を中心に回転されており、これによって、前記下顎骨プレートが前記下顎に取り付けられたときに、前記下顎の前記頬側表面、前記舌側表面、及び前記下側表面のうち少なくとも2つの少なくとも一部分に、前記凹状骨側向き表面が接するよう構成されている、下顎骨プレート。
【請求項2】
湾曲した前記骨側向き表面が、第1凹状骨側向き表面であり、前記下顎骨プレートが、第2軸に沿って前記第2端から延出しかつ前記第2軸に沿って細長い、第2延長部分を更に含み、前記第2延長部分が、前記第2端に近接する近位端と、前記第2軸に沿って前記近位端から離間している遠位端と、を画定し、前記第2延長部分が、第2凹状骨側向き表面と、前記第2凹状骨側向き表面に相対する第2外側表面と、前記第2凹状骨側向き表面から前記第2外側表面へと延在する複数の骨アンカー穴と、を画定し、前記第2凹状骨側向き表面が、湾曲した下側端と、湾曲した上側端と、を有し、前記上側端が、前記第2軸に対して垂直な第2方向に沿って前記下側端から離間しており、前記第2延長部分は、前記第2延長部分の遠位部分で前記第2方向に沿って前記第2凹状骨側向き表面の前記下側端と前記上側端に接する第3直線が引かれ得るような向きにされ、前記第3直線が、前記第2延長部分の近位部分で前記第2方向に沿って前記第2凹状骨側向き表面の前記下側端と前記上側端に接して引かれ得る第4直線に対して、前記第2軸を中心に回転されており、これによって、前記下顎骨プレートが前記下顎に取り付けられたときに、前記下顎の前記頬側表面、前記舌側表面、及び前記下側表面のうち少なくとも2つの少なくとも一部分に、前記第2凹状骨側向き表面が接するよう構成されている、
請求項1に記載の下顎骨プレート。
【請求項3】
前記湾曲した顎先部分が、顎先骨側向き表面と、前記顎先骨側向き表面に相対する外側表面と、前記顎先骨側向き表面から前記外側表面まで前記湾曲した顎先部分を貫通して延在する少なくとも1つの骨アンカー穴とを画定し、
前記湾曲した顎先部分は、前記下顎骨プレートが前記下顎に取り付けられたときに前記顎先骨側向き表面が前記下顎の前記下側表面に面するよう構成されるような向きにされ、
前記顎先骨側向き表面、前記第1凹状骨側向き表面、及び前記第2凹状骨側向き表面が一致して、連続的な骨側向き表面を画定し、
前記第1及び第2凹状骨側向き表面はそれぞれ、前記下顎骨プレートが前記下顎に取り付けられたときに前記下顎の前記舌側表面のそれぞれの部分に対応する複数のうねりを含む、請求項2に記載の下顎骨プレート。
【請求項4】
前記湾曲した顎先部分が、顎先骨側向き表面と、前記顎先骨側向き表面に相対する外側表面と、前記顎先骨側向き表面から前記外側表面まで前記湾曲した顎先部分を貫通して延在する少なくとも1つの骨アンカー穴と、を画定し、
(i)前記顎先部分が、前記外側表面から前記顎先骨側向き表面へと延在する第1側面と、前記第1側面に相対しかつ前記外側表面から前記顎先骨側向き表面へと延在する第2側面と、を画定し、
(ii)前記第1延長部分が、前記第1外側表面から前記第1凹状骨側向き表面へと延在する第3側面と、前記第3側面に相対しかつ前記第1外側表面から前記第1凹状骨側向き表面へと延在する第4側面と、を画定し、前記第1延長部分の少なくとも一部分が、前記第3側面から前記第4側面に向かって先細であり、
(iii)前記第2延長部分が、前記第2外側表面から前記第2凹状骨側向き表面へと延在する第5側面と、前記第5側面に相対しかつ前記第2外側表面から前記第2凹状骨側向き表面へと延在する第6側面と、を画定し、前記第2延長部分の少なくとも一部分が、前記第5側面から前記第6側面に向かって先細である、
請求項2に記載の下顎骨プレート。
【請求項5】
前記湾曲した顎先部分が、顎先骨側向き表面と、前記顎先骨側向き表面に相対する外側表面と、前記顎先骨側向き表面から前記外側表面まで前記湾曲した顎先部分を貫通して延在する少なくとも1つの骨アンカー穴と、を画定し、
(i)前記顎先部分が、前記外側表面から前記顎先骨側向き表面へと延在する第1側面と、前記第1側面に相対しかつ前記外側表面から前記顎先骨側向き表面へと延在する第2側面と、を画定し、
(ii)前記第1延長部分が、前記第1外側表面から前記第1凹状骨側向き表面へと延在する第3側面と、前記第3側面に相対しかつ前記第1外側表面から前記第1凹状骨側向き表面へと延在する第4側面と、隣接する骨アンカー穴の間で前記第3側面の中へと延在する第1陥凹と、前記第1延長部分の前記第1陥凹に相対し、隣接する骨アンカー穴の間で前記第4側面の中へと延在する第2陥凹と、を画定し、
(iii)前記第2延長部分が、前記第2外側表面から前記第2凹状骨側向き表面へと延在する第5側面と、前記第5側面に相対しかつ前記第2外側表面から前記第2凹状骨側向き表面へと延在する第6側面と、隣接する骨アンカー穴の間で前記第5側面の中へと延在する第1陥凹と、前記第2延長部分の前記第1陥凹に相対し、隣接する骨アンカー穴の間で前記第6側面の中へと延在する第2陥凹と、を画定する、
請求項4に記載の下顎骨プレート。
【請求項6】
前記湾曲した顎先部分が、複数の骨アンカー穴を含み、前記湾曲した顎先部分、前記第1延長部分、及び前記第2延長部分がそれぞれ、隣接する骨アンカー穴の間における少なくとも1つの弱化部分を含む、請求項2〜5のいずれか一項に記載の下顎骨プレート。
【請求項7】
前記第1及び第2延長部分がそれぞれ前記第1及び第2軸を中心にねじれており、これにより、前記第1及び第2凹状骨側向き表面は、前記下顎骨プレートが前記下顎に取り付けられたときに、前記下側表面の少なくとも一部分と、前記下顎の前記舌側表面の少なくとも一部分と、に接するよう構成されている、請求項2〜6のいずれか一項に記載の下顎骨プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許仮出願第61/783,482号(2013年3月14日出願)、及び米国特許出願第13/827,184号(2013年3月14日出願)の利益を主張するものであり、それらの各々の内容は参照により本明細書に記述されているものとして組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
外傷、萎縮、又は腫瘍のために、患者の下顎再建が必要になることがある。腫瘍を除去するためには、外科医は腫瘍のいずれかの側で下顎を切断し、これによって腫瘍を下顎から分離できるようにする。腫瘍が除去されると、この下顎は第1部分と第2部分とに分離する。必要に応じて、この第1部分及び/又は第2部分を復位させ、ねじ及びプレートを使用して、自然に骨治癒が起こるまで、この第1部分と第2部分を合わせて固定することができる。
【0003】
現在使用されている下顎骨プレートは、下顎の頬側表面、場合によっては下顎の内側表面に取り付けるように成形されている。その結果、これらのプレートは比較的大きな形状であり、周囲の軟組織(例えば周囲の血管、筋肉、神経、及び皮膚)に刺激をもたらし、また、触知可能な美観上の変形をもたらすことがある。更に、解剖学的な配置を促進するためにこれらのプレートを適応させることにより、性能を低下させることがあり、及び/又は疲労寿命を縮めることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態において、頬側表面、舌側表面、及び内側表面(頬側表面を舌側表面に接合する)を画定する下顎に取り付けられるよう構成された下顎骨プレートは、第1端及び第2端を有する湾曲した顎先部分と、第1端から第1軸に沿って延出し、かつ第1軸に沿って細長い第1延長部分とを含み、これによって、第1端に近接する近位端と、第1軸に沿って近位端から離間した遠位端とを画定する。この第1延長部分は、第1骨側向き表面と、この第1骨側向き表面に相対する第1外側表面と、第1骨側向き表面から第1外側表面まで延在する複数の骨アンカー穴とを画定し得る。この第1骨側向き表面は、下側端と、この内側端から、第1軸に垂直な第1方向に沿って離間している上側端とを有し得る。第1延長部分は、第1延長部分の遠位部分で第1方向に沿って第1骨側向き表面の下側端及び上側端に接する線が、第1延長部分の近位部分で第1方向に沿って第1骨側向き表面の下側端及び上側端に接する線に対して、第1軸を中心に回転するように、向けることができ、これによって、第1骨側向き表面は、下顎骨プレートが下顎に取り付けられたときに、下顎の頬側表面、舌側表面、及び内側表面のうち少なくとも2つの少なくとも一部分に接するように構成される。
【0005】
別の一実施形態において、下顎骨プレートは本体を含み、この本体は、骨側向き表面と、この骨側向き表面に相対する外側表面と、骨側向き表面から外側表面まで本体を貫通して延在する複数の骨アンカー穴とを画定する。この本体は、顎先部分と、この顎先部分から延出する第1及び第2延長部分とを含み、これによって、顎先部分の骨側向き表面は、下顎骨プレートが下顎に取り付けられたときに、下顎の内側表面に面し、また第1及び第2延長部分の骨側向き表面は、下顎骨プレートが下顎に取り付けられたときに、少なくとも部分的に下顎の舌側表面に面する。
【0006】
別の一実施形態において、骨プレートを、頬側表面と、舌側表面と、この舌側表面からこの頬側表面まで延在する下側表面とを有する下顎に取り付ける方法には、下顎の下側表面及び舌側表面を露出させる工程と、骨プレートを下顎に対して配置し、これによって骨プレートの一部分が下顎の舌側表面に接するようにする工程と、複数の骨アンカーを使って骨プレートを下顎に固定する工程とが含まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
前述の発明の概要、及び以下の本願の好ましい実施形態の詳細な説明は、添付の図面と共に読まれれば、より良く理解されるであろう。本開示を説明する目的のため、好ましい実施形態を図面に示す。しかしながら、本願は、開示される特定の実施形態及び方法に限定されず、その目的のために、特許請求の範囲が参照されることを理解するべきである。図面は、以下の通りである。
図1A】頬側表面と、舌側表面と、舌側表面から頬側表面まで延在する下側表面とを画定する例示的な下顎の斜視図である。
図1B図1Aに示す下顎に取り付けられた、一実施形態による下顎骨プレートの斜視図であり、下顎に取り付けられたときに、下顎骨プレートが下顎の舌側表面の一部に接するよう構成されている。
図2A図1Bに示す下顎骨プレートの上方斜視図であり、この下顎骨プレートは、顎先部分と、この顎先部分から第1軸に沿って延出する第1延長部分と、この顎先部分から第2軸に沿って延出する第2延長部分と、を有する本体を含み、この本体は、骨側向き表面と、この骨側向き表面に相対する外側表面と、骨側向き表面から外側表面まで本体を貫通して延在する複数の骨アンカー穴とを画定する。
図2B図2Aに示す下顎骨プレートの側面図である。
図2C図2Aに示す下顎骨プレートの正面図である。
図2D図2Aに示す下顎骨プレートの背面図である。
図2E図2Aに示す下顎骨プレートの底面図である。
図2F図2Aに示す下顎骨プレートの平面図である。
図2G図2Fに示す下顎骨プレートの顎先部分の、線2G−2Gを通る断面図である。
図2H図2Fに示す下顎骨プレートの第1延長部分の、線2H−2Hを通る断面図である。
図2I図2Fに示す下顎骨プレートの第2延長部分の、線2I−2Iを通る断面図である。
図3A図2Aに示す下顎骨プレートの骨アンカー穴の一実施形態を示す断面図であり、この骨アンカー穴は、可変角度の非ロック式骨アンカー穴として構成されている。
図3B図2Aに示す下顎骨プレートの骨アンカー穴の別の一実施形態を示す平面図であり、この骨アンカー穴は、可変角度のロック式骨アンカー穴として構成されている。
図3C図2Aに示す下顎骨プレートの骨アンカー穴の更に別の一実施形態を示す平面図であり、この骨アンカー穴は、可変角度のロック式骨アンカー穴として構成されている。
図4A】下顎に下顎骨プレートを取り付けるのに使用され得る骨アンカーの例示的な一実施形態であり、この骨アンカーはロックねじとして構成されている。
図4B】下顎に下顎骨プレートを取り付けるのに使用され得る骨アンカーの別の例示的な一実施形態であり、この骨アンカーは、カニューレ状シャフトと、シャフトを膨張させるよう構成された膨張部材とを有する膨張可能な固定部材として構成されている。
図4C】膨張形状にある図4Bの膨張可能な固定部材である。
図5A図1Aに示す下顎に取り付けられた、図2Aに示す下顎骨プレートの下斜視図である。
図5B図1Aに示す下顎に取り付けられた、図2Aに示す下顎骨プレートの側面図である。
図5C図1Aに示す下顎に取り付けられた、図2Aに示す下顎骨プレートの正面図である。
図5D図1Aに示す下顎に取り付けられた、図2Aに示す下顎骨プレートの平面図である。
図5E図1Aに示す下顎に取り付けられた、図2Aに示す下顎骨プレートの底面図である。
図5F図5Dに示す下顎に取り付けられた下顎骨プレートの、線5F−5Fを通る断面図である。
図6】下顎に穴を形成するのに使用するよう構成された例示的なドリルガイドの模式図である。
図7】下顎の頬側表面を貫通して下顎骨プレートの中へと挿入され、これによって下顎に骨プレートを取り付けている、骨アンカーの断面図である。
図8】骨プレートを貫通して下顎の下側表面の中へと挿入されている骨アンカーと、骨プレートを貫通して下顎の舌側表面の中へと挿入されている骨アンカーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、特定の用語は、単に便宜上使用され、限定ではない。単語「右」、「左」、「下側」及び「上側」は、言及される図面内での向きを示す。用語「近位に」及び「遠位に」は、それぞれ、外科デバイスを使用する外科医に向けて、及びその外科医から離れる方向を指す。用語「前部」、「後部」、「上側」、「下側」、及び関連する語及び/又はフレーズは、参照する人体における好ましい位置及び方位を指定し、限定的であることを意味しない。専門用語には、前述で列挙した語、その派生語、及び同様の意味を有する語が含まれる。
【0009】
図1A及び1Bに示すように、下顎骨プレート10は下顎14に取り付けられるよう構成することができ、これによって、構造、成長、顎関節障害(TMJ障害)に関連する下顎の特定の状態を補正し、又は歯科矯正の問題を補正することができる。図1Aに示すように、下顎14は、外側又は頬側表面18と、内側又は舌側表面22と、舌側表面22から頬側表面18へと延在する下方又は下側表面26とを画定する。図1Bに示すように、下顎骨プレート10は下顎14に取り付けられるよう構成され、これによって下顎骨プレート10の一部分が、下顎14の舌側表面22に接する。図1Bに示すように、下顎骨プレート10は更に、下顎14に取り付けられるよう構成され、これによって下顎骨プレート10の一部分が、下顎14の下側表面26にも面し、これによって例えば喉部分15などの特定の組織を避けることができる。しかしながら、下顎骨プレート10は、所望により、下顎14の頬側表面18及び下側表面26に接して配置されるよう構成され、又は3つの表面18、22、及び26全部に接して配置されるよう構成され得ることが理解されよう。下顎骨プレート10の位置と形状によって、下顎14の頬側表面18及び下側表面26だけに取り付けられている骨プレートよりも、少なくとも骨プレート10の触知性を低減することができる。下顎14は単に図示目的であり、下顎骨プレート10は任意のタイプの下顎に、任意の状態で取り付けられ得ることが理解されよう。例えば、下顎骨プレート10は、萎縮した下顎に取り付けるよう構成することができる。更に、下顎骨プレート10は、任意の望ましい理由で、及び/又は任意のタイプの病状、骨折、又は再建を補正/治療するために、下顎14に取り付けられるよう構成され得ることが理解されよう。
【0010】
図2A〜2Iを参照して、長手方向「L」及び横方向「A」に沿って水平に延在し、及び横断方向「T」に沿って垂直に延在する、下顎骨プレート10及び骨プレートの様々な構成要素が本明細書において記述される。本明細書において特に明記しない限り、「横」、「縦」、及び「横断」という語は、様々な構成要素の直交する方向成分を示すために用いられている。例えば、下顎骨プレート10が、下顎(例えば下顎14など)に移植されるとき、横断方向Tは、概ね上方−下方(又は頭側−尾側)の方向に沿って垂直に延在するが、長手方向Lと横方向Aによって画定される面は、概ね、内方−外方の方向と前方−後方の方向とによって画定される解剖学的平面内で水平に延在する。したがって、「垂直」及び「水平」という方向に関する用語は、単に明確さ及び例示を目的に、図示のような下顎骨プレート10及びその構成要素を説明するために用いられる。
【0011】
図2Aに示すように、下顎骨プレート10は、近位端P及び遠位端Dを画定する実質的にv字形の本体40を含み得る。このv字形本体は更に、骨側向き表面44と、横断方向Tに少なくとも部分的に沿って骨側向き表面44に相対する外側表面48と、骨側向き表面44から外側表面48へと本体40を通して延在する複数の骨アンカー穴52とを画定し得る。下顎骨プレート10、特に、y字形本体40は、顎先部分56と、顎先部分56から横方向Aに概ね沿って延在する第1延長部分60と、顎先部分56から横方向Aに概ね沿って延在する第2延長部分64とを含み得る。顎先部分56、第1延長部分60、及び第2延長部分64は、下顎骨プレート10が下顎14に取り付けられたときに、顎先部分56の骨側向き表面44が下顎14の内側表面26に面し、また下顎骨プレート10が下顎14に取り付けられたときに、第1延長部分60及び第2延長部分64の骨側向き表面44が、少なくとも部分的に下顎14の舌側表面22に面するように、向けられる。しかしながら、顎先部分56、第1延長部分60、及び第2延長部分64は、骨プレート10が、頬側表面18、舌側表面22、及び下側表面26のうち少なくとも2つに接するかあるいは面するような向きにできることが理解されよう。更に、本体40は所望により任意の形状を有し得ることが理解されよう。例えば、本体40は、所望により実質的にU字形であり、又は所望により実質的にJ字形であり得る。よって更に、骨プレート10は、1つのJ字形プレートとして構成でき、またそれぞれ顎先部分及びとそれぞれの延長部分を有する1対のJ字形プレートとして構成できることが理解されよう。骨側向き表面44の向きは、解剖学的に誘導することができる。例えば、骨側向き表面44の向きは、複数の下顎14の統計をとり、これによって大多数の下顎に対応し得る向きを誘導することによって、誘導できる。しかしながら、所望の任意の方法を用いて、骨側向き表面44の向きを誘導できることが理解されよう。下顎骨プレート10は、コバルトクロムモリブデン(CoCrMo)、チタン、及びチタン合金、ステンレス鋼、セラミック、あるいは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)などのポリマー、生体再吸収性材料及び複合材料など、様々な生体親和性材料で形成することができる。物理特性又は化学特性を向上させるために、又は、投薬を提供するために、コーティングを下顎骨プレート10に追加又は適用することができる。コーティングの例としては、プラズマ溶射チタン、ヒドロキシアパタイト、又は抗菌性コーティングが挙げられる。
【0012】
引き続き図2A及び2C〜2Fを参照して、顎先部分56は長手方向Lに沿って湾曲していてよく、かつ、第1端72aと、長手方向Lに沿って第1端72aから離間している第2端72bとを有する。図2A〜2Fに示すように、顎先部分56は、骨側向き表面44の顎先骨側向き表面76と、顎先骨側向き表面76に相対する外側表面80と、顎先骨側向き表面76から外側表面80へと顎先部分56を貫通して延在する骨アンカー穴52のうち少なくとも1つの骨アンカー穴84(例えば複数の骨アンカー穴84)とを画定し得る。図1Bに示すように、顎先部分56は平らであってよく、これによって、顎先骨側向き表面76は、下顎骨プレート10が下顎14に取り付けられたときに、下顎14の下側表面26に面しかつ離間している。しかしながら、顎先部分56は所望の任意の形状を有し得ることが理解されよう。例えば、顎先部分56は、うねりを含むか又は他の形状に構成することができ、これによって、顎先骨側向き表面76の少なくとも一部分は、下顎骨プレート10が下顎14に取り付けられたときに、下顎14の舌側表面22に面するように、及び/又は、顎先骨側向き表面76の少なくとも一部分が下顎14の下側表面26に接するようにできる。
【0013】
図2A、2F及び2Gに示すように、顎先部分56は更に、顎先骨側向き表面76の外側表面80から延出する第1側面88と、第1側面88に相対し、かつ顎先骨側向き表面76の外側表面80から延出する第2側面92とを画定し得る。図2Gに示すように、第1側面88及び第2側面92は凸状であってよく、又はそうでなければ湾曲であってもよい。図2Fに示すように、顎先部分56は更に、隣接する骨アンカー穴84の間に複数の弱化部分96を含み得る。弱化部分96は、下顎骨プレート10の移植時に、顎先部分56を折り曲げることができるように構成される。具体的には、各弱化部分96は、第1側面88に延在する少なくとも第1陥凹100と、第1陥凹100に相対する、第2側面92に延在する第2陥凹102とによって画定される。例示の実施形態において、顎先部分56は、6つの骨アンカー穴84、及び4つの弱化部分96を含む。しかしながら、顎先部分56は、所望により任意の数の骨アンカー穴84を含み、かつ所望により任意の数の弱化部分96を含み得ることが理解されよう。更に、弱化部分96は、他の構造によって画定され得ることが理解されよう。例えば、弱化部分96は、顎先骨側向き表面76及び/又は外側表面80内に形成された陥凹によって画定され得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、第1陥凹100及び第2陥凹102は更に、縫合糸保持陥凹として構成することもできる。例えば、下顎を覆う組織を近づけるために使用される縫合糸を、第1陥凹100及び第2陥凹102内で、顎先部分56に巻き付けることができる。第1陥凹100及び第2陥凹102は、組織を近づけた後に縫合糸が遊走するのを防ぐのに役立ち得る。この縫合糸は顎先部分56に巻き付けることができ、これによって縫合糸を顎先部分に1巻きのループにするか、又は、所望により縫合糸を顎先部分56に複数回巻き付けるようにできることが理解されよう。
【0015】
引き続き図2Gを参照して、顎先部分56の少なくとも一部分、最大で顎先部分56の全体が、断面において実質的に三角形形状であり得る。すなわち、顎先部分56は第1側面88から第2側面92に向かって先細であり得る。よって、第2側面92での顎先部分56の厚さは、第1側面88及び第2側面92の間の、顎先部分56の中心での顎先部分56の厚さよりも薄くてよい。しかしながら、顎先部分56は所望により任意の形状の断面を有し得ることが理解されよう。例えば、顎先部分56は所望により長方形の断面を有し得る。更に、実質的に三角形形状とは、三角形形状を有するか、又は外観が概ね三角形であることを意味することが理解されよう。例えば、顎先部分56は第1側面88及び第2側面92を有するが、先細形状のため、顎先部分56は実質的に三角形の断面を画定する。
【0016】
ここで図2A〜2Fを参照して、第1延長部分60は概ね第1軸Aに沿って第1端72aから延出し、かつ第1軸Aに沿って細長く、また第2延長部分64は概ね第2軸Aに沿って第2端72bから延出し、かつ第2軸Aに沿って細長い。第1延長部分60は、第1端72aに近接する近位端73aと、近位端73aから第1軸Aに沿って離間している遠位端73bとを画定する。第2延長部分64は、第2端72bに近接する近位端74aと、近位端74aから第1軸Aに沿って離間している遠位端74bとを画定する。図2Cに示すように、第1延長部分60は、骨側向き表面44の第1骨側向き表面106と、第1骨側向き表面106に相対する第1外側表面110と、第1骨側向き表面106から第1外側表面110へと延在する複数の骨アンカー穴52の複数の骨アンカー穴114とを画定する。第2延長部分64は、骨側向き表面44の第2骨側向き表面118と、第骨側向き表面118に相対する第2外側表面122と、第2骨側向き表面118から第2外側表面122へと延在する複数の骨アンカー穴52の複数の骨アンカー穴128とを画定する。顎先骨側向き表面76、第1骨側向き表面106、及び第2骨側向き表面118は一致し、これによって、骨側向き表面44が連続的になるように本体40の骨側向き表面44を画定する。同様に、外側表面80、110、及び122は一致し、これによって、外側表面48が連続的になるように本体40の外側表面48を画定する。しかしながら、表面76、106、及び118並びに/又は表面80、110、及び122は、骨との最小限の又は低減された接触を提供するように断続的であってもよいことが理解されよう。例えば、表面76、80、106、110、118、及び122のいずれかが、表面の連続性を中断するスカラップ又は陥凹を画定し得る。
【0017】
図2Aに示すように、第1骨側向き表面106は、下側端106aと、第1軸Aに対して垂直な第1方向に沿って下側端106から離間している上側端106bとを画定する。同様に、第2骨側向き表面118は、下側端118aと、第2軸Aに対して垂直な第2方向に沿って下側端106aから離間している上側端118bとを画定する。この第1及び第2方向は、それぞれの下側端及び上側端の間の最短距離に沿うものとする。第1延長部分60及び第2延長部分64の向きが、それぞれの長さに沿って変化するため、この第1延長部分60及び第2延長部分64の方向は、それらの長さに沿って変化し得ることが理解されよう。すなわち、第1及び第2方向は、下側端から上側端への最短経路の方向であり、これは、第1延長部分60及び第2延長部分64に沿った任意の点でのそれぞれの軸に対して垂直である。
【0018】
図2Fに示すように、第1延長部分60及び第2延長部分64は概ね、長手方向Lに沿って互いに離間しており、第1及び第2軸A及びAは互いに角度がずれており、これによって、角θは、第1及び第2軸A及びAの間で画定される。よって、第1延長部分60及び第2延長部分64は、顎先部分56から遠位側に伸びるに従って開散する。角θは所望により任意の角であり得ることが理解されよう。
【0019】
図2B〜2Dに示すように、第1延長部分60は、湾曲した顎先部分56に対して、第1軸Aを中心に反時計回りにねじれており、これによって、第1骨側向き表面106は、下顎骨プレート10が下顎14に取り付けられているときに、下顎14の舌側表面22の少なくとも一部分に接するよう構成される。すなわち、第1延長部分60は、顎先部分56に対して、近位端73aから遠位端73bに向かって、第1軸Aを中心に反時計回りに回転され、これによって、第1骨側向き表面106が部分的に、顎先骨側向き表面に対して横方向外向きに面し、第2骨側向き表面118とは反対側を向くように、ねじれ形状を画定する。例えば、第1骨側向き表面106は、第2骨側向き表面118とは反対側を向いていてよく、これによって、第1骨側向き表面106に対して垂直な線が、少なくとも、長手方向Lに沿って第2骨側向き表面118から反対側に延在する方向構成要素のひとつを有する。
【0020】
よって、第1延長部分60の向きは、第1延長部分60の遠位部分で第1骨側向き表面106に対して垂直な線Nが、第1延長部分106の近位部分で第1骨側向き表面106に対して垂直な線Nに対して、第1軸Aを中心に回転されており、これによって、第1骨側向き表面60は、下顎骨プレート10が下顎に取り付けられたときに、下顎の頬側表面、舌側表面及び下側表面のうち少なくとも2つの少なくとも一部分に接するよう構成されるような向きにされると言うことができる。また、第1延長部分60の向きは、第1延長部分60の遠位部分で第1方向に沿って第1骨側向き表面106の下側端106a及び上側端106bに接する線Mが、第1延長部分106の近位部分で第1方向に沿って第1骨側向き表面106の下側端106a及び上側端106bに接する線Mに対して、第1軸Aを中心に回転されており、これによって、第1骨側向き表面60は、下顎骨プレート10が下顎に取り付けられたときに、下顎の頬側表面、舌側表面及び下側表面のうち少なくとも2つの少なくとも一部分に接するよう構成されるような向きにされると言うことができる。この近位部分は、近位端73aにあるか、又は近位端73aと遠位端73bとの間の部分であり、またこの遠位部分は、近位端73aと遠位端73bとの間で、近位部分に対して遠位側にある、任意の部分であり得ることが理解されよう。更に、第1延長部分60は、第1延長部分60の長さの一部に沿って、最長で第1延長部分60の全長にわたって、ねじれていてよいことが理解されよう。更に、この「ねじれ」は、第1延長部分60の向きを記述するのに使用されるものであり、第1延長部分60が実際にねじられて本開示の向きを形成していることを必ずしも意味するものではないことが理解されよう。例えば、第1延長部分60は、金型成形又は機械加工によりねじれた向きを画定し得る。
【0021】
図2B及び2Dに示すように、第1骨側向き表面106は、複数の非線形うねり140を含み、これは、下顎骨プレート10が下顎14に取り付けられたときに、下顎14のそれぞれの表面部分(舌側表面22など)に対応する。第1延長部分60は、第1軸Aを中心に反時計回り又は別の方向にねじれていてよく、これによって、第1骨側向き表面106は、下顎骨プレート10が下顎14に取り付けられたときに、下顎14の下側表面26又は他の任意の2つの、少なくとも一部分にも接するよう構成されることが、理解されよう。
【0022】
図2A、2C、2F及び2Hに示すように、第1延長部分60は更に、第1外側表面110から第1骨側向き表面106へと延在する第3側面150と、第3側面150に相対し、第1外側表面110から第1骨側向き表面106へと延在する第4側面154とを画定し得る。図2Hに示すように、第3側面106及び第4側面110は凸状であってよく、又は他の湾曲であってもよい。図2Aに示すように、第1延長部分60は更に、隣接する骨アンカー穴114の間に複数の弱化部分158を含み得る。弱化部分158は、下顎骨プレート10の移植時に、第1延長部分60を折り曲げる及び/又は短くすることができるように構成される。例えば、弱化部分158は、第1延長部分60の遠位端Dに近接し、これによって、第1延長部分60は、弱化部分158の1つで切断又は他の方法で破断することができ、これによって第1延長部分60を短くすることができる。各弱化部分158は、第3側面150に延在する少なくとも第1陥凹162と、第1陥凹162に相対する、第4側面154に延在する第2陥凹166とによって画定される。例示の実施形態において、第1延長部分60は、9つの骨アンカー穴114、及び3つの弱化部分158を含む。しかしながら、第1延長部分60は、所望により任意の数の骨アンカー穴114を含み、所望により任意の数の弱化部分158を含み得ることが理解されよう。更に、弱化部分158は、他の構造によって画定され得ることが理解されよう。例えば、弱化部分158は、第1骨側向き表面106及び/又は外側表面110内に形成された陥凹によって画定され得る。
【0023】
引き続き図2Hを参照して、第1延長部分60の少なくとも一部分、最大で第1延長部分60の全体が、断面において実質的に三角形形状であり得る。すなわち、第1延長部分60は第3側面150から第4側面154に向かって先細であり得る。よって、第4側面154での第1延長部分60の厚さは、第3側面150及び第4側面154の間の、第1延長部分60の中心での第1延長部分60の厚さよりも薄くてよい。しかしながら、第1延長部分60は所望により任意の形状の断面を有し得ることが理解されよう。例えば、第1延長部分60は所望により長方形の断面を有し得る。
【0024】
図2Hを参照して、第1骨側向き表面106は、第3側面150から第4側面154に向かって凸状であり得る。この凸状形状は、下顎14の表面18、22、及び26のうち少なくとも1つに、下顎骨プレート10をぴったり沿わせるのに役立ち得る。しかしながら、第1骨側向き表面106は所望により任意の形状を有し得ることが理解されよう。例えば、第1骨側向き表面106は、所望により実質的に平坦であり得る。
【0025】
図2B〜2Dに戻って参照し、第2延長部分64は、湾曲した顎先部分56に対して、第2軸Aを中心に時計回りにねじれており、これによって、第2骨側向き表面118は、下顎骨プレート10が下顎14に取り付けられているときに、下顎14の舌側表面22の少なくとも一部分に接するよう構成される。すなわち、第2延長部分64は、顎先部分56に対して、近位端74aから遠位端74bに向かって、第2軸Aを中心に時計回りに回転され、これによって、第2骨側向き表面118が部分的に、顎先骨側向き表面76に対して横方向外向きに面し、第1骨側向き表面106とは反対側を向くように、ねじれ形状を画定する。例えば、第2骨側向き表面118は、第1骨側向き表面106とは反対側を向いていてよく、これによって、第2骨側向き表面118に対して垂直な線が、少なくとも、長手方向Lに沿って第1骨側向き表面106から反対側に延在する方向構成要素のひとつを有する。
【0026】
よって、第2延長部分64の向きは、第2延長部分64の遠位部分で第1骨側向き表面118に対して垂直な線Nが、第2延長部分64の近位部分で第2骨側向き表面118に対して垂直な線Nに対して、第2軸Aを中心に回転されており、これによって、第2骨側向き表面118は、下顎骨プレート10が下顎に取り付けられたときに、下顎の頬側表面、舌側表面及び下側表面のうち少なくとも2つの少なくとも一部分に接するよう構成されるような向きにされると言うことができる。また、第2延長部分64の向きは、第2延長部分64の遠位部分で第2方向に沿って下側端118a及び上側端118bに接する線Mが、第2延長部分64の近位部分で第2方向に沿って下側端118a及び上側端118bに接する線Mに対して、第2軸Aを中心に回転されており、これによって、第2骨側向き表面118は、下顎骨プレート10が下顎に取り付けられたときに、下顎の頬側表面、舌側表面及び下側表面のうち少なくとも2つの少なくとも一部分に接するよう構成されるような向きにされると言うことができる。この近位部分は、近位端にあるか、又は近位端74aと遠位端74bとの間の部分であり、またこの遠位部分は、近位端74aと遠位端74bとの間で、近位部分に対して遠位側にある、任意の部分であり得ることが理解されよう。更に、第2延長部分64は、第2延長部分64の長さの一部に沿って、最長で第2延長部分64の全長にわたって、ねじれていてよいことが理解されよう。更に、この「ねじれ」は、第2延長部分64の向きを記述するのに使用されるものであり、第2延長部分64が実際にねじられて本開示の向きを形成していることを必ずしも意味するものではないことが理解されよう。例えば、第2延長部分64は、金型成形又は機械加工によりねじれた向きを画定し得る。
【0027】
図2B及び2Dに示すように、第2骨側向き表面118も、複数の非線形うねり140を含み、これは、下顎骨プレート10が下顎14に取り付けられたときに、下顎14のそれぞれの表面部分(舌側表面22など)に対応する。第2延長部分64は、第2軸Aを中心に時計回りにねじれていてよく、これによって、第2骨側向き表面118は、下顎骨プレート10が下顎14に取り付けられたときに、下顎14の下側表面26の少なくとも一部分にも接するよう構成されることが、理解されよう。
【0028】
図2C、2F及び2Iに示すように、第2延長部分64は更に、第2外側表面122から第2骨側向き表面118へと延在する第5側面180と、第5側面180に相対し、第2外側表面122から第2骨側向き表面118へと延在する第6側面184とを画定し得る。図2Iに示すように、第5及び第6側面118及び122は凸状であってよく、又は他の湾曲であってもよい。図2Fに示すように、第2延長部分64は更に、隣接する骨アンカー穴128の間に複数の弱化部分188を含み得る。弱化部分188は、下顎骨プレート10の移植時に、第2延長部分64を折り曲げる及び/又は短くすることができるように構成される。例えば、弱化部分158は、第2延長部分64の遠位端Dに近接し、これによって、第2延長部分64は、弱化部分188の1つで切断又は他の方法で破断することができ、これによって第2延長部分64を短くすることができる。各弱化部分188は、第5側面180に延在する少なくとも第1陥凹192と、第1陥凹192に相対する、第6側面184に延在する第2陥凹196とによって画定される。例示の実施形態において、第2延長部分64は、9つの骨アンカー穴128、及び3つの弱化部分188を含む。しかしながら、第2延長部分64は、所望により任意の数の骨アンカー穴128を含み、所望により任意の数の弱化部分188を含み得ることが理解されよう。更に、弱化部分188は、他の構造によって画定され得ることが理解されよう。例えば、弱化部分188は、第2骨側向き表面118及び/又は外側表面122内に形成された陥凹によって画定され得る。
【0029】
引き続き図2Iを参照して、第2延長部分64の少なくとも一部分、最大で第2延長部分64の全体が、断面において実質的に三角形状であり得る。すなわち、第2延長部分64は第5側面180から第6側面184に向かって先細であり得る。よって、第6側面184での第2延長部分64の厚さは、第5側面180及び第6側面184の間の、第2延長部分64の中心での厚さよりも薄くてよい。しかしながら、第2延長部分64は任意の形状の断面を有し得ることが理解されよう。例えば、第2延長部分64は所望により長方形の断面を有し得る。更に、実質的に三角形状とは、外観が概ね三角形を有することを意味することが理解されよう。
【0030】
引き続き図2Iを参照して、第2骨側向き表面118は、第5側面180から第6側面184に向かって凸状であり得る。この凸状形状は、下顎14の表面18、22、及び26のうち1つに、下顎骨プレート10をぴったり沿わせるのに役立ち得る。しかしながら、第2骨側向き表面118は所望により任意の形状を有し得ることが理解されよう。例えば、第2骨側向き表面118は、所望により実質的に平坦であり得る。
【0031】
ここで図3A〜3Cを参照して、顎先部分56の骨アンカー穴84、第1延長部分60の骨アンカー穴114、及び第2延長部分64の骨アンカー穴128などの骨アンカー穴52は、ロック穴又は圧迫穴として構成することができ、また固定軸又は可変角度穴として構成することができる。図2Cに示すように、第1延長部分60及び第2延長部分64の各骨アンカー穴114及び128は、それぞれの中心軸Aを画定し、中心軸軸Aの少なくともいくつかは、他の中心軸Aに対して角度がずれている。よって穴114及び128内に受容される骨アンカーは、穴114及び128を通過する際に異なる軌道を有することになる。骨アンカー穴52はすべて又は部分的に、平行であるか、又は、軌道の原点又は移動先を画定する1つ以上の点に収束する、中心軸Aを有し得ることが理解されよう。
【0032】
図3Aに示すように、骨アンカー穴52のすべて又は一部が、可変角度圧迫穴210として構成され、又はいずれも可変角度圧迫穴210として構成されなくてもよい。図3Aに示すように、可変角度圧迫穴210は、骨プレート本体40の内側表面214によって画定され得る。内側表面214の上部は、骨側向き表面44から外側表面48に向かって、中心軸Aに向かい径方向に先細になっていてよく、また内側表面214の下部は、中心軸Aから離れる方向に収束していてよい。内側表面214は、スレッドなしで、圧迫骨アンカー又はねじのスレッドなしヘッドと嵌合するよう構成されていてよく、これによって、下顎14に向かう方向に、骨プレート10に対して圧縮力をもたらす。図3Aに示すように、内側表面214の上部の外側領域222は湾曲していてよく、これによって穴210の直径は中心軸Aに沿って可変的に減少し、また、内側表面214の上部の内側領域228は線形であってよく、これによって穴210の直径は中心軸Aに沿って線形的に減少し得る。
【0033】
図3B及び3Cに示すように、骨アンカー穴44のすべて又は一部が、可変角度ロック穴310a又は310bとして構成され、又はいずれも可変角度ロック穴310a又は310bとして構成されなくともよい。図3B及び3Cに示すように、各可変角度穴310a及び310bは、骨プレート本体40の内側表面314により画定される。内側表面314は、骨側向き表面44と外側表面48との間に延在する複数のカラム318を含む。図3Bに示す実施形態により、3本のカラム318は穴310aを中心に円周方向に等間隔であってよく、また図3Cに示す実施形態により、4本のカラム318は穴310bを中心に円周方向に等間隔であってよい。しかしながら、穴310a及び310bは別の方法として、所望により任意の数のカラムを含んでよく、図示のように円周方向に等間隔であってよく、あるいは所望により、円周方向に可変の距離であってもよいことが、理解されよう。各カラム318は、それぞれの穴310a及び310bに面する内側スレッド322を呈し、これによって、カラム318が拡張されて互いに結合した場合(すなわち、内側表面314の回りに完全に拡張された場合)、カラム318は、それぞれの穴310a及び310bの中心軸Aを中心として延在する連続的ならせん状スレッドを形成することになる。よって、隣接するカラム318のスレッド322は、機能的に互いに揃って配置される。
【0034】
カラム318は、図示では内側らせん状スレッド322を呈するが、別の方法として、カラム318はその中に形成された歯として提供されるスレッドを画定し得ることが理解されよう。歯のカラムを、互いに結合するように拡張した場合(すなわち、内側表面314の回りに完全に拡張された場合)、らせん状のスレッドは形成されないが、骨アンカー穴52の中心軸Aに対して垂直な一連の同心の稜及び溝が形成される。よって、これらの歯は、機能的に互いに揃って配置され得る。カラム318は、円周方向に互いに離間しており、これによって、横断中心軸Aに対して角度を有する対応軸を画定し、これによって、ねじによりスレッド322に固定されると同時に、ねじが任意の様々な角度の軸で穴310a及び310bを通して延在し得る。
【0035】
引き続き図3B及び3Cを参照して、穴310a及び310bをそれぞれ画定する内側表面314は更に、複数の弓状ポケット330を含み、これは、円周方向に隣接するカラム318の間の位置で、プレート本体40内に突出する。ポケット330はそれぞれ弓状表面334を呈し、これは、それぞれの穴310a及び310bの中心軸Aから径方向に外側の方向に凹状である。可変角度穴310a及び310bは、中心軸Aに対して所望により任意の角度方向(最大+/−15°、例えば30°範囲内)でスレッド318に、骨アンカー又はねじが係合できるように、構成することができる。
【0036】
骨プレート10は、骨プレート本体40を通して延在する可変角度穴210、310a、及び310bを含んで図示されているが、別の方法として、骨プレート10は所望により任意のタイプの骨アンカー穴52を含み得ることが理解されよう。例えば、骨アンカー穴52のすべて又は一部を、固定軸穴として構成することができる。
【0037】
図4Aに示すように、ねじ410のような骨アンカーを使用して、下顎骨プレート10を下顎14に固定又は他の方法で取り付けることができる。図示のように、ねじ410は、シャフト414と、シャフト414から延出するヘッド418を含み得る。シャフト414は、骨に係合するよう構成されたスレッド422を有し、これによって骨プレート10を下顎14に取り付ける。ヘッド418もスレッド426を有し、これは、穴310a又は310bのスレッド322に係合するよう構成され、これによって骨ねじ410を骨プレート10にロックする。ねじ410は、可変角度ねじとして構成することができ、これによってねじ410は、様々な角度で穴310a及び310bに挿入することができる。しかしながら、ねじ410は、望ましい場合、固定角度ねじとして構成され得ることが理解されよう。更に、ねじ410は、圧迫ねじとして構成され得ることが理解されよう。例えば、ねじ410はスレッド426がないヘッド418を含んでよく、これによって、ねじ410が穴210の1つを通過して下顎14へと入るとき、ヘッド418は、骨アンカー穴210の外側領域222に対して接する表面を画定する。更にまた、下顎骨プレート10は、所望により、任意のタイプの骨アンカー又はねじで、下顎14に固定又は別の方法で取り付けられることが、理解されよう。例えば、ピン、リベット、k−ワイヤなどが挙げられる。
【0038】
図4B及び4Cに示すように、膨張可能な固定部材510のような骨アンカーを使用して、下顎骨プレート10を下顎14に固定又は他の方法で取り付けることができる。図4A及び4Bに示すように、膨張可能な固定部材510は、カニューレ状又は環状シャフト514と、カニューレ状シャフト514を通して延在する延長部材518とを含み得る。シャフト514は、遠位端で膨張可能領域522を画定する本体520を含み得る。シャフト514は更に、膨張可能領域522で本体520から径方向に外側に延在するショルダー524を含み得る。膨張部材518は、近位端にあるヘッド526と、遠位端にあるマンドレル528とを含み得る。膨張部材518がシャフト514に対して近位側に引っ張られると、マンドレル528がシャフト514のカニューレ部分に入り、これによって、図4Cに示すように、膨張可能領域522が径方向外側に膨張する。膨張した膨張可能領域522は、ショルダー524を更に径方向外側に配置させる。膨張可能な固定部材510は、様々な構成を有し得ることが理解されよう。例えば、膨張可能な固定部材510は、米国特許公開第2011/0046682号(Synthes USA、LLC)に開示されている構成の任意のものであってよく、この開示の内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
ここで図5A〜5Fを参照して、下顎骨プレート10は下顎14に取り付けることができ、これによって、骨プレート10が部分的に下顎の下側表面26に面し、骨プレート10が部分的に下顎14の舌側表面22に面する。具体的には、下顎14の下側表面26及び舌側表面22が露出していてよく、骨プレート10が下顎に対して配置されて、骨プレート10が部分的に下顎14の舌側表面22に接するようにできる。骨プレート10は次に、複数の骨アンカー(例えばねじ410)で下顎14に取り付けることができる。このようにして、下顎骨プレート10は、顎下外科的アプローチで下顎14に対して配置することができる。しかしながら、下顎骨プレート10は、任意の望ましいアプローチで配置できることが理解されよう。
【0040】
図5B〜5Fに示されているように、下顎骨プレート10は、骨プレート10が部分的に舌側表面22に接し、かつ骨プレート10の少なくとも一部分が下顎14の下側表面26に面するよう、配置することができる。図5Bに示すように、顎先部分56は下側表面26に面していてよく、これによって、顎先骨側向き表面76は、下側表面26から距離dだけ離間している。しかしながら、顎先骨側向き表面76は所望により、下側表面26に接し得ることが理解されよう。
【0041】
図5D〜5Fに示すように、第1骨側向き表面106及び第2骨側向き表面118は、舌側表面22及び下側表面26に接し得る。図5Fに示すように、骨プレート10は、舌側表面22から頬側表面18に向かって伸びるにつれて、延長部分60及び64が先細になるように配置される。第1延長部分60及び第2延長部分64の配置により、並びに第1延長部分60及び第2延長部分64の先細により、下顎骨プレート10の触知性は低減され得る。しかしながら、下顎骨プレート10は、頬側表面18及び下側表面26に接するように構成することができ、あるいは、3つの表面18、22、及び26のすべてに接するように構成することができ、これによって延長部分60及び64の先細部分によって、触知性の低減が達成されることが理解されよう。
【0042】
骨プレート10を配置する前又は配置しているときに、骨プレート10は、弱化部分158及び188で第1延長部分60及び第2延長部分64を切断することにより、短くすることができる。更に、骨プレート10を配置する前又は配置しているときに、骨プレート10は、顎先部分56、第1延長部分60、及び第2延長部分64の弱化部分96、158、及び188の任意の場所で、折り曲げるか又は別の操作を行うことができ、これによって骨プレート10を下顎14により良く適合することができる。
【0043】
ここで図6を参照して、ドリルガイド610を使用して、下顎14に穴614を形成することができる。ドリルガイド610は、舌側表面22又は下側表面26のいずれかに向かって、下顎14の頬側表面18に穴614をドリルで開けるか、あるいは、頬側表面18に向かって、舌側表面22又は下側表面26のいずれかに穴614をドリルで開けるように、ドリルビットを揃えることができるような、二方向ドリルガイドとして構成することができる。図6に示すように、ドリルガイド610は、第1端618と、第1端から第1方向に沿って離間した第2端622とを有するC字形本体616を含み得る。ドリルガイド610は更に、第1端618に連結された第1ガイド部分630及び第2端622に連結された第2ガイド部分634を含み得る。第1及び第2ガイド部分630及び634はそれぞれ、第1方向に沿って第1及び第2ガイド部分630及び634を通して延在するそれぞれのガイド経路638を画定することができ、これによって、第1ガイド部分630及び第2ガイド部分634のガイド経路638が、第1方向に沿って揃う。
【0044】
図6に示すように、ドリルガイド610は、第1ガイド部分630が下顎骨プレート10の骨アンカー穴52に揃い、かつ第2ガイド部分634が下顎14の頬側表面18に揃うよう配置することができる。次に、ドリルビットを、第1ガイド部分630のガイド経路638、又は第2ガイド部分634のガイド経路638のいずれかを通して動かすことができ、これによって下顎14に穴614を形成することができる。このようにしてドリルビットは、第1ガイド部分630を通る第1軌道TRと、第2ガイド部分634を通り第1軌道TRに相対する第2軌道TRとを有し得る。ガイド経路638は、ドリルガイド610が骨プレート10及び下顎14に隣接して配置されたときに、下顎14の中のドリルビットの穴が神経又はその他の軟組織を避けるような向きにされる。
【0045】
図7に示すように、下顎骨プレート10は、骨アンカー(例えばねじ410)を、頬側表面18を通して、骨プレート10の骨アンカー穴52の1つに挿入することによって、下顎14に取り付けることができる。よって、骨プレート10は、舌側表面から頬側表面又は下側表面に向かう軌道、頬側表面から舌側表面又は下側表面に向かう軌道、及び、下側表面から舌側表面又は頬側表面に向かう軌道を含む、様々な軌道から下顎14に取り付け可能であることが理解されよう。
【0046】
図8に示すように、下顎骨プレート10の骨アンカー穴52は、隙間をあけた穴パターンを提供するよう構成することができる。例えば、第1骨アンカー穴(例えば穴52a)は、第1骨アンカー穴内に収容された骨アンカーが下顎の下側表面26へと延在し、第2骨アンカー穴(例えば穴52b)は、第2骨アンカー穴内に収容された骨アンカーが舌側表面22へと延在するように、配置することができる。第1穴52a及び第2穴52bを通る骨アンカーの軌道は異なるため、望ましい位置からプレート10が後ろ向きにずれるか又は移動する可能性が、低減する。穴52は、骨アンカーが望ましい任意の軌道を有し、所望により下顎の任意の表面の中へと伸びるよう、配置できることが理解されよう。
【0047】
骨プレート10がいったん下顎14に取り付けられた後、縫合糸を使用して軟組織を骨プレート10に取り付けることができる。例えば、第1陥凹100及び第2陥凹102内で顎先部分56の周囲に縫合糸を巻き付けることにより、軟組織を骨プレートに取り付けることができる。しかしながら、軟組織は他の方法で骨プレートに取り付けられ得ることが理解されよう。例えば、所望により、縫合糸を骨アンカー穴84の1つに通すことができる。
【0048】
下顎骨プレート10は、例えば複数の骨アンカーなどの少なくとも1つ、及び/又はドリルガイド610と共に、キットとして提供することができる。よって、骨プレート10は、骨アンカー410及び/又は510の任意のもの、及び/又はドリルガイド610と共に、キットとして提供することができる。しかしながら、骨プレート10又はドリルガイド610は、任意の望ましい構成要素と共にキットとして提供され得ることが理解されよう。
【0049】
前述した説明及び図面は、本発明の好ましい実施形態を表すが、それに関して、添付の特許請求の範囲において定義されているように、本発明の趣旨及び範囲を逸脱せずに様々な追加、修正、組み合わせ及び/又は置き換えを行うことができることが理解されよう。特に、本発明が、他の特定の形態、構造、配置、比率で、また他の要素、材料、及び構成要素を用いて、その趣旨又は本質的な特性から逸脱することなく具現化され得ることが、当業者には明らかとなるであろう。当業者は、本発明が、本発明の原理から逸脱することなく、特定の環境及び動作要件に特に適合される構造、配置、比率、材料、及び構成要素の多くの修正とともに使用され得ることを認識するであろう。加えて、本明細書において記述されている形体を単独で、又は他の形体と組み合わせて使用することもできる。例えば、一実施形態とのつながりにおいて説明した特徴を別の実施形態において説明した特徴とともに使用すること及び/又は交換することが可能である。したがって、今般開示される実施形態は、あらゆる点において、限定的なものではなく、例示的なものであると見なされるべきであり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、前述の説明に限定されることはない。
【0050】
添付の特許請求の範囲の広義の範囲を逸脱することなく、本発明の様々な改変及び変更をなしうる点は当業者によれば認識されるであろう。これらのいくつかのものは上記に述べたものであり、他のものは当業者には明らかであろう。
【0051】
〔実施の態様〕
(1) 頬側表面と、舌側表面と、前記頬側表面を前記舌側表面に接合する下側表面とを画定する下顎に取り付けられるよう構成された下顎骨プレートであって、前記下顎骨プレートが、
第1端及び第2端を有する湾曲した顎先部分と、
第1軸に沿って前記第1端から延出しかつ前記第1軸に沿って細長い、第1延長部分と、を含み、前記第1延長部分が、前記第1端に近接する近位端と、前記第1軸に沿って前記近位端から離間している遠位端と、を画定し、前記第1延長部分が、第1骨側向き表面と、前記第1骨側向き表面に相対する第1外側表面と、前記第1骨側向き表面から前記第1外側表面へと延在する複数の骨アンカー穴と、を画定し、前記第1骨側向き表面が、下側端と、前記第1軸に対して垂直な第1方向に沿って前記下側端から離間している上側端と、を有し、前記第1延長部分は、前記第1延長部分の遠位部分で前記第1方向に沿って前記第1骨側向き表面の前記下側端と前記上側端の両方に接する線が、前記第1延長部分の近位部分で前記第1方向に沿って前記第1骨側向き表面の前記下側端と前記上側端の両方に接する線に対して、前記第1軸を中心に回転されたような向きにされ、これによって、前記下顎骨プレートが前記下顎に取り付けられたときに、前記下顎の前記頬側表面、前記舌側表面、及び前記下側表面のうち少なくとも2つの少なくとも一部分に、前記第1骨側向き表面が接するよう構成されている、下顎骨プレート。
(2) 第2軸に沿って前記第2端から延出しかつ前記第2軸に沿って細長い、第2延長部分を更に含み、前記第2延長部分が、前記第2端に近接する近位端と、前記第2軸に沿って前記近位端から離間している遠位端とを画定し、前記第2延長部分が、第2骨側向き表面と、前記第1骨側向き表面に相対する第2外側表面と、前記第2骨側向き表面から前記第2外側表面へと延在する複数の骨アンカー穴とを画定し、前記第2骨側向き表面が、下側端と、前記第2軸に対して垂直な第2方向に沿って前記下側端から離間している上側端と、を有し、前記第2延長部分は、前記第2延長部分の遠位部分で前記第2方向に沿って前記第2骨側向き表面の前記下側端と前記上側端に接する線が、前記第2延長部分の近位部分で前記第2方向に沿って前記第2骨側向き表面の前記下側端と前記上側端に接する線に対して、前記第2軸を中心に回転されたような向きにされ、これによって、前記下顎骨プレートが前記下顎に取り付けられたときに、前記下顎の前記頬側表面、前記舌側表面、及び前記下側表面のうち少なくとも2つの少なくとも一部分に、前記第2骨側向き表面が接するよう構成されている、実施態様1に記載の下顎骨プレート。
(3) 前記湾曲した顎先部分が、顎先骨側向き表面と、前記顎先骨側向き表面に相対する外側表面と、前記顎先骨側向き表面から前記外側表面まで前記湾曲した顎先部分を貫通して延在する少なくとも1つの骨アンカー穴とを画定する、実施態様2に記載の下顎骨プレート。
(4) 前記顎先骨側向き表面、前記第1骨側向き表面、及び前記第2骨側向き表面が一致して、連続的な骨側向き表面を画定する、実施態様3に記載の下顎骨プレート。
(5) 前記第1及び第2骨側向き表面はそれぞれ、前記下顎骨プレートが前記下顎に取り付けられたときに前記下顎の前記舌側表面のそれぞれの部分に対応する複数のうねりを含む、実施態様4に記載の下顎骨プレート。
【0052】
(6) 前記湾曲した顎先部分は、前記下顎骨プレートが前記下顎に取り付けられたときに前記顎先骨側向き表面が前記下顎の前記下側表面に面するような向きにされる、実施態様5に記載の下顎骨プレート。
(7) (i)前記顎先部分が、前記外側表面から前記顎先骨側向き表面へと延在する第1側面と、前記第1側面に相対しかつ前記外側表面から前記顎先骨側向き表面へと延在する第2側面と、を画定し、(ii)前記第1延長部分が、前記第1外側表面から前記第1骨側向き表面へと延在する第3側面と、前記第3側面に相対しかつ前記第1外側表面から前記第1骨側向き表面へと延在する第4側面と、を画定し、(iii)前記第2延長部分が、前記第2外側表面から前記第2骨側向き表面へと延在する第5側面と、前記第5側面に相対しかつ前記第2外側表面から前記第2骨側向き表面へと延在する第6側面と、を画定する、実施態様3〜6のいずれかに記載の下顎骨プレート。
(8) 前記第1延長部分の少なくとも一部分が、前記第3側面から前記第4側面に向かって先細であり、前記第2延長部分の少なくとも一部分が、前記第5側面から前記第6側面に向かって先細である、実施態様7に記載の下顎骨プレート。
(9) 前記第1及び第2延長部分がそれぞれ、隣接する骨アンカー穴の間でそれぞれ前記第3及び第5側面の中へと延在する、それぞれの第1陥凹と、前記それぞれの第1陥凹に相対し、前記隣接する骨アンカー穴の間でそれぞれ前記第4及び第6側面の中へと延在する、それぞれの第2陥凹とを画定する、実施態様7又は8に記載の下顎骨プレート。
(10) 前記第1及び第2延長部分がそれぞれ、隣接する骨アンカー穴の間に少なくとも1つの弱化部分を含む、実施態様2〜9のいずれかに記載の下顎骨プレート。
【0053】
(11) 前記湾曲した顎先部分が、複数の骨アンカー穴と、隣接する骨アンカー穴の間における少なくとも1つの弱化部分と、を含む、実施態様2〜10のいずれかに記載の下顎骨プレート。
(12) 前記第1及び第2延長部分のそれぞれの少なくとも一部分が、前記第1及び第2軸に対して垂直な面に沿った断面において実質的に三角形形状である、実施態様2〜11のいずれかに記載の下顎骨プレート。
(13) 前記第1及び第2骨側向き表面が凹状である、実施態様2〜12のいずれかに記載の下顎骨プレート。
(14) 前記第1及び第2延長部分がそれぞれ前記第1及び第2軸を中心にねじれており、これにより、前記第1及び第2骨側向き表面は、前記下顎骨プレートが前記下顎に取り付けられたときに、前記下側表面の少なくとも一部分と、前記下顎の前記舌側表面の少なくとも一部分と、に接するよう構成されている、実施態様2〜13のいずれかに記載の下顎骨プレート。
(15) 前記第1及び第2延長部分の各骨アンカー穴が、それぞれの中心軸を画定し、前記中心軸のうち少なくともいくつかが、他の前記中心軸に対して角度がずれている、実施態様1〜14のいずれかに記載の下顎骨プレート。
【0054】
(16) 頬側表面と、舌側表面と、前記頬側表面を前記舌側表面に接合する下側表面とを画定する下顎に取り付けられるよう構成された下顎骨プレートであって、前記下顎骨プレートが、
本体を含み、前記本体は、骨側向き表面と、前記骨側向き表面に相対する外側表面と、前記骨側向き表面から前記外側表面まで前記本体を貫通して延在する複数の骨アンカー穴と、を画定し、
前記本体は、顎先部分と、前記顎先部分からそれぞれ第1及び第2軸に沿って延出する第1及び第2延長部分とを含み、これによって、前記下顎骨プレートが前記下顎に取り付けられたときに、前記顎先部分の前記骨側向き表面が前記下顎の前記下側表面に面し、また前記下顎骨プレートが前記下顎に取り付けられたときに、前記第1及び第2延長部分の前記骨側向き表面が、少なくとも部分的に前記下顎の前記舌側表面に面する、下顎骨プレート。
(17) 前記顎先部分が湾曲し、かつ、第1端と、前記第1端に相対する第2端とを画定し、前記第1延長部分が前記第1軸に沿って前記第1端から延出しかつ前記第1軸に沿って細長く、また、前記第2延長部分が前記第2軸に沿って前記第2端から延出しかつ前記第2軸に沿って細長い、実施態様16に記載の下顎骨プレート。
(18) 前記第1延長部分が、前記湾曲した顎先部分に対して前記第1軸を中心に反時計回りにねじれており、これによって、前記第1延長部分の前記骨側向き表面は、前記下顎骨プレートが前記下顎に取り付けられたときに前記下顎の前記舌側表面の少なくとも一部分に接するよう構成され、また、前記第2延長部分が、前記湾曲した顎先部分に対して前記第2軸を中心に時計回りにねじれており、これによって、前記第2延長部分の前記骨側向き表面は、前記下顎骨プレートが前記下顎に取り付けられたときに前記下顎の前記舌側表面の少なくとも一部分に接するよう構成される、実施態様17に記載の下顎骨プレート。
(19) 前記第1及び第2延長部分の前記骨側向き表面はそれぞれ、前記下顎骨プレートが前記下顎に取り付けられたときに前記下顎の前記舌側表面のそれぞれの部分に対応する複数のうねりを含む、実施態様16〜18のいずれかに記載の下顎骨プレート。
(20) 前記湾曲した顎先部分が、前記第1及び第2延長部分に比べて減少した厚さを有する、実施態様17〜19のいずれかに記載の下顎骨プレート。
【0055】
(21) 前記顎先部分が、前記外側表面から前記骨側向き表面へと延在する第1側面と、前記第1側面に相対しかつ前記外側表面から前記骨側向き表面へと延在する第2側面と、を画定し、(ii)前記第1延長部分が、前記外側表面から前記骨側向き表面へと延在する第3側面と、前記第3側面に相対しかつ前記外側表面から前記骨側向き表面へと延在する第4側面と、を画定し、(iii)前記第2延長部分が、前記外側表面から前記骨側向き表面へと延在する第5側面と、前記第5側面に相対しかつ前記外側表面から前記骨側向き表面へと延在する第6側面と、を画定する、実施態様16〜20のいずれかに記載の下顎骨プレート。
(22) 前記第1延長部分の少なくとも一部分が、前記第3側面から前記第4側面に向かって先細であり、前記第2延長部分の少なくとも一部分が、前記第5側面から前記第6側面に向かって先細である、実施態様21に記載の下顎骨プレート。
(23) 前記第1及び第2延長部分がそれぞれ、隣接する骨アンカー穴の間でそれぞれ前記第3及び第5側面の中へと延在する、それぞれの第1陥凹と、前記それぞれの第1陥凹に相対し、前記隣接する骨アンカー穴の間でそれぞれ前記第4及び第6側面の中へと延在する、それぞれの第2陥凹とを画定する、実施態様21に記載の下顎骨プレート。
(24) 前記第1及び第2延長部分がそれぞれ、隣接する骨アンカー穴の間に少なくとも1つの弱化部分を含む、実施態様16〜23のいずれかに記載の下顎骨プレート。
(25) 前記顎先部分が、前記複数の骨アンカー穴のうち少なくとも2つの骨アンカー穴と、前記少なくとも2つの骨アンカー穴のうち隣接する骨アンカー穴の間における少なくとも1つの弱化部分とを含む、実施態様16〜24のいずれかに記載の下顎骨プレート。
【0056】
(26) 前記第1及び第2延長部分の少なくとも一部分が、前記第1及び第2軸に対して垂直な面に沿った断面において実質的に三角形形状である、実施態様16〜25のいずれかに記載の下顎骨プレート。
(27) 前記第1及び第2延長部分の前記骨側向き表面が凹状である、実施態様16〜26のいずれかに記載の下顎骨プレート。
(28) 前記第1及び第2延長部分がそれぞれ前記第1及び第2軸を中心にねじれており、これにより、前記第1及び第2骨側向き表面は、前記下顎骨プレートが前記下顎に取り付けられたときに、前記下側表面の少なくとも一部分と、前記下顎の前記舌側表面の少なくとも一部分とに接するよう構成されている、実施態様16〜27のいずれかに記載の下顎骨プレート。
(29) 前記本体の各骨アンカー穴が、それぞれの中心軸を画定し、前記中心軸のうち少なくともいくつかが、他の前記中心軸に対して角度がずれている、実施態様16〜28のいずれかに記載の下顎骨プレート。
(30) 頬側表面と、舌側表面と、前記舌側表面から前記頬側表面へと延在する下側表面とを有する下顎に、骨プレートを取り付ける方法であって、前記方法が、
前記下顎の前記下側表面及び前記舌側表面にアクセスする工程と、
前記下顎に対して前記骨プレートを配置することにより、前記骨プレートが部分的に、前記下顎の前記舌側表面に接するようにする工程と、
複数の骨アンカーを、前記骨プレートを通して前記下顎の中へと駆動することにより、前記骨プレートを前記下顎に取り付ける工程と、
を含む、方法。
【0057】
(31) 前記露出工程が、顎下外科的アプローチで前記下顎にアプローチする工程を含む、実施態様30に記載の方法。
(32) 前記配置工程が、前記骨プレートが部分的に前記下顎の前記舌側表面に接するよう、かつ、前記骨プレートの少なくとも一部分が前記下顎の前記下側表面に面するように、前記骨プレートを前記下顎に対して配置する工程を含む、実施態様30又は31に記載の方法。
(33) 前記配置工程が、前記骨プレートの顎先部分が前記下顎の前記下側表面に面するように、前記骨プレートを配置する工程を含む、実施態様32に記載の方法。
(34) 前記取り付け工程が、前記顎先部分が前記下側表面から離間するように、前記骨プレートを前記下顎に取り付ける工程を含む、実施態様33に記載の方法。
(35) 前記配置工程の前に、前記骨プレートを折り曲げる工程を更に含む、実施態様30〜34のいずれかに記載の方法。
【0058】
(36) 前記骨プレートを短くする工程を更に含む、実施態様30〜35のいずれかに記載の方法。
(37) 前記駆動工程が、前記骨アンカーを、前記下顎の前記頬側表面を通して前記骨プレートの中へと駆動させる工程を含む、実施態様30〜36のいずれかに記載の方法。
(38) 前記駆動工程が、第1骨アンカーを、前記骨プレートを通して前記下顎の前記下側表面の中へと駆動させる工程と、第2骨アンカーを、前記骨プレートを通して前記下顎の前記舌側表面の中へと駆動させる工程とを含む、実施態様30〜36のいずれかに記載の方法。
(39) 二方向ドリルガイドを、前記下顎及び骨プレートに隣接して配置し、これにより前記ドリルガイドの第1ドリルガイド部分が、前記骨プレートに隣接し、また前記ドリルガイドの第2ドリルガイド部分が、前記下顎の表面に隣接する工程を更に含む、実施態様30〜38のいずれかに記載の方法。
(40) 前記下顎の前記表面が、前記頬側表面である、実施態様39に記載の方法。
【0059】
(41) 軟組織を前記骨プレートに取り付ける工程を更に含む、実施態様30に記載の方法。
(42) 前記骨プレートが、第1陥凹及び相対する第2陥凹を画定する顎先部分を含み、かつ、前記取り付け工程が、前記第1陥凹及び第2陥凹内で前記顎先部分の回りに縫合糸を巻き付ける工程を含む、実施態様41に記載の方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8