(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502316
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】回転プラテン装置および回転ユニオン
(51)【国際特許分類】
H01J 37/317 20060101AFI20190408BHJP
【FI】
H01J37/317 B
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-501267(P2016-501267)
(86)(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公表番号】特表2016-511524(P2016-511524A)
(43)【公表日】2016年4月14日
(86)【国際出願番号】US2014023494
(87)【国際公開番号】WO2014164791
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2016年11月28日
(31)【優先権主張番号】13/799,089
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500324750
【氏名又は名称】バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リアフ、アーサー ピー.
【審査官】
道祖土 新吾
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−519229(JP,A)
【文献】
米国特許第05473627(US,A)
【文献】
特表2010−511270(JP,A)
【文献】
実開昭62−086054(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00 − 16/56
H01J 37/00 − 37/02
37/05
37/09 − 37/21
37/24 − 37/244
37/252− 37/36
H01L 21/205
21/26 − 21/268
21/31
21/322− 21/326
21/365
21/42 − 21/425
21/428
21/469
21/477− 21/479
21/67 − 21/683
21/86
H05H 1/00 − 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに回転可能に連結されるプラテンと、
前記プラテンを冷却すべく極低温流体を供給するための回転ユニオンと、を備え、
前記回転ユニオンは、前記ベースと前記プラテンとの間に連結されたコイル状管部であって、前記プラテンの非回転位置に関連付けられる第1の形状、および前記プラテンの回転位置に関連付けられる第2の形状を有するコイル状管部と、
前記コイル状管部の移動を制御可能に制限するための拘束装置と
を備え、
前記第1の形状において前記コイル状管部は第1の曲げ半径を有し、前記第2の形状において前記コイル状管部は第2の曲げ半径を有し、前記第1の曲げ半径と前記第2の曲げ半径とは異なる
回転プラテン装置。
【請求項2】
前記コイル状管部の第1の端部および第2の端部に関連付けられる第1の管継手および第2の管継手をさらに備え、前記第1の管継手は極低温流体源から極低温流体を受け取るためのものであり、前記第2の管継手は前記プラテンに極低温流体を供給するためのものである
請求項1に記載の回転プラテン装置。
【請求項3】
前記コイル状管部が前記第1の形状と前記第2の形状との間を移動するとき、前記コイル状管部の移動を制御可能に制限するためのクランプ部材を備える
請求項1または2に記載の回転プラテン装置。
【請求項4】
前記コイル状管部が前記第1の形状と前記第2の形状との間を移動するとき、前記コイル状管部の移動を制御可能に制限するための周辺外壁を有するユニオンベース部材を備える
請求項1から3の何れか一項に記載の回転プラテン装置。
【請求項5】
前記コイル状管部と前記第1の管継手との間に連結される駆動ブロック部をさらに備え、前記駆動ブロック部は、極低温流体が前記コイル状管部と前記第1の管継手との間を流れることを可能にする流路を備える
請求項2に記載の回転プラテン装置。
【請求項6】
前記駆動ブロック部に連結されるステムとを備え、前記ステムは、前記回転ユニオンのベース部に回転可能に連結されており、前記ベース部は前記ベースに固定されている
請求項5に記載の回転プラテン装置。
【請求項7】
前記プラテンに対して固定される保護部材をさらに備え、前記保護部材は前記駆動ブロック部に連結され、前記保護部材は、前記プラテンおよび前記ベースが互いに対して回転するとき、前記回転ユニオンを通して回転力を伝える
請求項6に記載の回転プラテン装置。
【請求項8】
ベース部材であり、前記ベース部材に接続される周辺外壁およびカバーを有するベース部材を備え、前記ベース部材、前記周辺外壁、および前記カバーは、前記コイル状管部が前記第1の形状と前記第2の形状との間を移動するとき、前記コイル状管部の移動を制御可能に制限する
請求項1から7の何れか一項に記載の回転プラテン装置。
【請求項9】
前記プラテンから極低温流体を排水するための第2の回転ユニオンをさらに備え、前記第2の回転ユニオンは前記ベースと前記プラテンとの間に連結され、前記第2の回転ユニオンはコイル状管部を備え、前記コイル状管部は、前記プラテンの非回転位置に関連付けられる第1の形状、および前記プラテンの回転位置に関連付けられる第2の形状を有し、
前記第1の形状において前記コイル状管部は第1の曲げ半径を有し、前記第2の形状において前記コイル状管部は第2の曲げ半径を有し、前記第1の曲げ半径と前記第2の曲げ半径とは異なり、
前記回転ユニオンおよび前記第2の回転ユニオンは、前記プラテンを挟んだ一対の回転ユニオンである
請求項1から5の何れか一項に記載の回転プラテン装置。
【請求項10】
半導体処理用の回転ユニオンであり、前記回転ユニオンは、
ベース部と、
前記ベース部に回転可能に連結されるステムと、
第1の端部において前記ステムに接続され、第2の端部において第1の管継手に接続される駆動ブロック部と、
第1の端部および第2の端部を有するコイル状管部であり、前記第1の端部は前記駆動ブロック部に連結され、前記第2の端部は第2の管継手に連結されるコイル状管部と、
前記コイル状管部の移動を制御可能に制限するための拘束装置と
を備え、
前記コイル状管部は、前記回転ユニオンの非回転位置に関連付けられる第1の形状、および前記回転ユニオンの回転位置に関連付けられる第2の形状を有し、
前記第1の形状において、前記コイル状管部は第1の曲げ半径を有し、前記第2の形状において、前記コイル状管部は第2の曲げ半径を有し、前記第1の曲げ半径と前記第2の曲げ半径とは異なる
回転ユニオン。
【請求項11】
前記第1の管継手は極低温流体源から極低温流体を受け取るためのものであり、前記第2の管継手はプラテンに極低温流体を供給するためのものである
請求項10に記載の回転ユニオン。
【請求項12】
前記回転ユニオンは、前記コイル状管部が、前記第1の形状と前記第2の形状との間を移動するとき、前記コイル状管部の移動を制御可能に制限するためのクランプ部材を備える
請求項10または11に記載の回転ユニオン。
【請求項13】
前記ベース部は、前記コイル状管部が、前記第1の形状と前記第2の形状との間を移動するとき、前記コイル状管部の移動を制御可能に制限するための周辺外壁を有する
請求項10から12の何れか一項に記載の回転ユニオン。
【請求項14】
前記駆動ブロック部は、極低温流体が前記コイル状管部と前記第1の管継手との間を流れることを可能にする流路を備える
請求項10から13の何れか一項に記載の回転ユニオン。
【請求項15】
前記ベース部は、前記ベース部に接続される、周辺外壁およびカバーを有し、前記ベース部、前記周辺外壁、および前記カバーは、前記コイル状管部が、前記第1の形状と前記第2の形状との間を移動するとき、前記コイル状管部の移動を制御可能に制限する
請求項10から14の何れか一項に記載の回転ユニオン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して回転ユニオンおよび回転プラテン装置に関し、特に、複数の半導体処理用途用の、可撓性の管を使用する極低温回転ユニオン、およびそれを用いた回転プラテン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[背景技術]
イオン注入とは、エネルギーを与えられた複数のイオンによる基板の衝撃によって、基板の中に化学種を堆積する処理である。半導体製造において、イオン注入装置は、対象となる複数の材料の導電型および導電性レベルを変化させるドーピング処理に使用される。集積回路(IC)基板における精密なドーピングプロファイルおよびその薄膜構造は、適切なIC性能のために重要である。所望のドーピングプロファイルを得るべく、1または複数のイオン種が異なる照射量および異なるエネルギーレベルで注入され得る。
【0003】
図1は、イオン注入装置100を示す。イオン注入装置100は、電源101、イオン源102、複数の引出電極104、90°磁場型分析器106、第1の減速(D1)ステージ108、70°磁場型分析器110、および第2の減速(D2)ステージ112を含む。D1およびD2の減速ステージ(「減速レンズ」と称されることが多い)は、それぞれが画定された開口を有する複数の電極を備えて、イオンビーム10がそれらを通過できるようする。複数の電極に異なる組み合わせの電位を印加することによって、D1およびD2の減速レンズは複数のイオンのエネルギーを操作し、所望のエネルギーでイオンビーム10に対象のワークピース114をたたかせ得る。複数の測定装置116(例えば、照射量制御ファラデーカップ、移動ファラデーカップ、またはセットアップファラデーカップ)が、イオンビームの複数の状態をモニタし、かつ制御すべく使用され得る。
図1には示されないが、対象のワークピース114は、注入中にワークピースを固定し、かつ移動させるべく使用され得るプラテンによって支持され得る。
【0004】
シリコンウエハの複数のワークピースについて、イオン注入中に比較的低温にすることが、シリコンウエハの非晶質化に有利であることが発見された。例えば、−60℃より低い温度でイオン注入を実行すると、イオン注入処理性能を大幅に向上させ得る。複数のイオン注入の用途において、複数のウェハは一般的に、冷却プラテンに供給される極低温液体によって注入処理中に冷却される。冷却プラテンにおいて、極低温液体は冷却装置によって冷却された。
【0005】
冷却に加えて、イオン注入中にウェハの位置を操作することが望ましいこともある。例えば、回転プラテンは、注入中にウェハをクランプで固定し、ウェハの冷却を提供すべく使用され得る。回転プラテンは、ウェハをイオンビームに対して所望の態様に位置合わせすべく、水平方向および鉛直方向のウェハ傾きを可能にし得る。プラテンが、注入中にイオンビームが通過する間でウェハを回転させることができるようにすることによって、軽微なビーム不均一性の影響は低減され得る。
【0006】
そのような複数の
装置に伴う1つの問題は、極低温であることが多い冷却流体が、回転プラテンに供給されなければならないということである。回転プラテンに極低温供給管を連結すべく使用される現存の複数の回転ユニオンは、そのような複数の低温状態下での、および多数のサイクルにわたっての長期の使用には不向きであると証明された。理解され得るように、極低温流体の漏出は極めて望ましくないものであり、従って、極低温流体供給部を回転プラテンに連結するための改良された
装置が必要とされる。
【発明の概要】
【0007】
この概要は、発明を実施するための形態において以下にさらに記載される複数の概念の抜粋を、簡素化された形で導入すべく提供される。この概要は、クレームされる主題の複数の主要な特徴または複数の不可欠な特徴を特定することが意図されるものではなく、クレームされる主題の範囲の決定を補助することが意図されるものでもない。
【0008】
回転プラテン装置が開示される。当該装置は、ベースと、ベースに回転可能に連結されるプラテンと、プラテンを冷却すべく極低温流体を供給するための回転ユニオンとを含む。回転ユニオンは、ベースとプラテンとの間に連結され得て、コイル状管部を含む。コイル状管部は、プラテンの非回転位置に関連付けられる第1の形状と、プラテンの回転位置に関連付けられる第2の形状とを有し得る。第1の形状において、コイル状管部は第1の曲げ半径を有し得て、第2の形状において、コイル状管部は第2の曲げ半径を有し得る。第1の曲げ半径と第2の曲げ半径とは異なり得る。
【0009】
半導体処理用回転ユニオンが開示される。当該ユニオンは、ベース部と、ベース部に回転可能に連結されるステムと、第1の端部においてステムに接続され、かつ第2の端部において第1の管継手に接続される駆動ブロック部と、第1の端部および第2の端部を有するコイル状管部であり、第1の端部は駆動ブロック部に連結され、第2の端部は第2の管継手に連結されるコイル状管部とを含み得る。コイル状管部は、ユニオンの非回転位置に関連付けられる第1の形状と、ユニオンの回転位置に関連付けられる第2の形状とを有し得る。第1の形状において、コイル状管部は第1の曲げ半径を有し得て、第2の形状において、コイル状管部は第2の曲げ半径を有し得る。第1の曲げ半径と第2の曲げ半径とは異なり得る。
【0010】
回転プラテン装置が開示される。当該装置は、回転可能に連結されるプラテンを有するベースと、プラテンを冷却すべく流体源から極低温流体を供給するための回転ユニオンとを含む。回転ユニオンは、ベースとプラテンとの間に連結され得る。回転ユニオンは、プラテンの非回転位置に関連付けられる第1の形状と、プラテンの回転位置に関連付けられる第2の形状とを有するコイル状管部を含み得る。第1の形状において、コイル状管部は第1の曲げ半径を有し得て、第2の形状において、コイル状管部は、第1の曲げ半径より小さい第2の曲げ半径を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
複数の添付の図面は、複数の原理の実用的用途のためにこれまで考案された、開示された方法の複数の好適な実施形態を図示するものである。
【0012】
【
図1】例示的なイオン注入システムの概略図である。
【0013】
【
図2】例示的な回転プラテンシステムの側面図である。
【0014】
【
図3】回転位置における
図2の回転プラテンシステムの側面図である。
【0015】
【0016】
【0017】
【
図6】
図5の線6―6による、
図4の回転ユニオンの断面図である。
【0018】
【
図7】
図4の線7―7による、
図4の回転ユニオンの断面図である。
【0019】
【
図8】開示される回転ユニオンの代替的な実施形態の、等角の部分分解組立図である。
【0020】
【
図9】非回転位置における
図8の回転ユニオンの等角図である。
【0021】
【
図10】回転位置における
図8の回転ユニオンの側面図である。
【0022】
【
図11】カバープレートを含む
図8の回転ユニオンの側面図である。
【0023】
【
図12】
図8の回転ユニオンの2つを合体する回転プラテンシステムの一部分の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
開示される回転ユニオンが、開示の複数の実施形態が示される複数の添付の図面を参照して、これより以下でより完全に記載される。開示される回転ユニオンは、しかしながら、多数の異なる形態で具現化され得て、本明細書において説明される、明確に詳述される複数の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0025】
図2を参照すると、プラテンを冷却するための例示的な回転プラテン装置200が示される。
図2は、ベース202a、プラテン204、およびプラテン204に接続されるモータ206を有する回転プラテン装置200を示す。この例において、熱パッド208a、208bはプラテン204の下に設けられる。熱パッド208a、208bは、極低温流体が熱パッド208a、208b内に流れ得る際に通る複数の熱路212を含み得る。極低温流体は熱パッド208a、208bを通って流れるとき、プラテン204上に配置されるウェハ216は所望の温度まで冷却され得る。熱パッド208a、208b中の複数の熱路212は、1または複数の給排水管214に接続し得る。1または複数の給排水管214は今度は、極低温流体源および/または排水管(図示せず)に接続される。いくつかの実施形態において、1つの熱パッドだけが使用されることが理解されるであろう。複数の熱パッドが使用され得るが、それらは必要とされないこともまた理解されるであろう。従って、いくつかの実施形態において、複数の熱路は回転プラテン装置200の中に直接統合され得る。
図3は、作動アーム205が90度(すなわち、
図2の矢印「A」の方向に)回転させられて、ウェハが鉛直位置に向けられる、回転プラテン装置200の別の側面図を示す。必要に応じて、プラテンが、ウェハに面内回転もまた与え得ること、または代替的にそれを与え得ることが理解されるであろう。それらの図は水平位置および鉛直位置におけるプラテン204を示しているが、ウェハ216をイオンビームに対して任意の所望の向きに示すべく、プラテン204は所望される任意の角度で回転され得ることがさらに理解されるであろう。
【0026】
ここで
図4を参照すると、
図2および
図3に関して説明されたものなどの回転プラテン
装置用の例示的な回転ユニオン300が開示される。開示される回転ユニオン300は、回転動作が必要とされる様々な極低温利用の任意のものにおいて使用され得ることが理解されるであろう。従って、それは
図2および
図3のプラテン
装置での使用に限定されない。
【0027】
回転ユニオン300は、第1および第2の管継手302、304と、コイル状管部306とを含み得る。駆動ブロック部310は、コイル状管部306と第1の管継手302との間に配置され得る。当該ユニオンはまた、当該ユニオンを適切な回転プラテン装置に接続するためのベース部308を含み得る。ベース部308は、回転ユニオン300を回転プラテン装置200(
図2)に接続するための適した複数の留め具を受けるための1または複数の開口部または凹部314を含むフランジ部312を有し得る。ベース部308は、ベースの周囲の周りに配置される円筒壁部309をさらに含み得る。この円筒壁部309は、動作中にコイル状管部306を最大外径に閉じ込めるべく機能し得る。そのような閉じ込めによって、回転ユニオンが回転するとき、コイル状管部306が制御範囲内で屈曲することを保証し得る。従って、使用中に複数の構成部分の有害な摩擦を引き起こし得る、管の望ましくない移動を防ぐ。そのような摩擦は、不必要に複数の粒子を生じることがあり、管の早期破損をもたらす場合がある。円筒壁部309中の1または複数の開口部311が設けられて、それらを通って第2の管継手304が突き出ることができるようにし得る。
【0028】
第1および第2の管継手302、304は、回転プラテン装置200の極低温給排水管214に接続されて、極低温流体が極低温流体供給部から、複数の管214および回転ユニオン300を通り、それから熱パッド208a、b中の複数の熱路212(または熱パッドを使用しない場合はプラテン自身)を通って供給され得る。後により詳細に記載されるように、同様の戻り経路が別個の回転ユニオン300によって提供され得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、駆動ブロック部310および第1の管継手302は、回転プラテン装置200のベース202aに対して回転可能であり得る。一方で、第2の管継手304は回転プラテン204に対して固定であり得る(
図3参照)。他の実施形態において、第2の管継手304は、回転プラテン装置200のベース202aに対して固定され得る。一方で、駆動ブロック部310および第1の管継手302は、回転プラテン204に対して固定され得る。特定の
装置に関係なく、プラテン204がベース202aに対して回転するとき、第1および第2の管継手302、304は互いに対して回転し得て、コイル状管部306は回転に適応すべく屈曲し得る。
【0030】
図4−
図7を参照すると、駆動ブロック部310は、ステム係合部316と、コイル状管部306に接続するための連結部318と、第1の管継手302に接続するための管連結部320とを含み得る。図示されないが、駆動ブロック部310は、極低温流体がコイル状管部306と第1の管継手302との間を流れることを可能にする内部の流路もまた含む。
図6および
図7においてより明らかに示されるように、ステム係合部316はステム322に接続し得て、ステム322は、今度は、ブッシュ332によってベース部308に接続される。この
装置は、ステム322がベース部308に対して回転することを可能にする。円板状部材324は、ステム係合部316とステム322との間に配置され得る。円板状部材324は、組立体のその他の部分を望ましくない量だけ冷却することによる、コイル状管部306内の温度の低下を最小限にする断熱材料を備える。ステム係合部316は複数の留め具326によってステム322に固定され得る。中央および周辺蓋状断熱部材328、330は、ステム係合部316の上に設けられ得る。蓋状断熱部材330はカバー342(
図11)の望ましくない冷却を防ぐための断熱材料を備える。中央蓋状断熱部材328は、後により詳細に説明される、保護ブラケット340(
図9)を受ける溝329を含み得る。
【0031】
図5は、回転ユニオン300が作動されない形状に対応する緩和形状におけるコイル状管部306を示す。この非作動位置において、管部分は第1の曲げ半径「R1」を有する。プラテン204が回転プラテン装置200のベース202aに対して回転させられるとき(
図10に示される形状)など、回転ユニオン300が回転(作動)させられるとき、コイル状管部306は圧縮された、または屈曲された形状をとり、それは、第1の曲げ半径より小さい第2の曲げ半径「R2」をとるようになる。例示される実施形態はこれら2つの位置において示されるが、回転ユニオン300は回転プラテン装置200(
図2)の動作中、様々な位置のうちのいずれかを循環し得ることが理解されるであろう。従って、いくつかの例においては、回転ユニオンは数度回転することが必要とされるだけであり得て、一方で、複数の他の実施形態においては、回転ユニオン300は90度まで、またはそれを上回って回転することが必要とされ得る。
【0032】
動作中のコイル状管部306の無制限な移動を防ぐべく、動作中にその移動をいくらか制限するよう、拘束装置がコイル状管部に連結され得る。1つの非限定的な例示的実施形態において、管クランプ334は、コイル状管部をベース部308、または、回転ユニオンの他の固定された部分に接続し得る。例示される実施形態において、管クランプ334は2本のバーの連結336に連結され、2本のバーの連結336は、今度はベース部308に連結される。2本のバーの連結336は、互いに対して回転可能な第1および第2の連結部材336a、336bを含み得る。それらの連結部材は、互いに接続され、かつ、複数のねじなどの複数の適した留め具338によって管クランプ334およびベース部308に接続されて、それらの連結部材および管クランプは互いに対して限定された範囲で回転し得る。
【0033】
しかしながら、例示された連結336は、その可撓性の巻付き/巻戻り特性を最大限に利用すべく、コイル状管部306に対して動作中に限定的な移動の自由を与える1つのやり方である。理解されるように、この
装置は排他的なものではなく、動作中にコイル状管部306の移動を制限すべく、他の複数の
装置もまた使用され得る。例えば、
図8に示されるように、代替的な拘束
装置が例示される。
図4の実施形態と同様に、
図8の実施形態の回転ユニオン300は、第1および第2の管継手302、304と、コイル状管部306と、駆動ブロック部310と、円筒壁部309を有するベース部308とを含む。円筒壁部309中の1または複数の開口部311が設けられて、それらを通って第2の管継手304が突き出ることができるようにし得る。
【0034】
この実施形態の管の拘束は、しかしながら、2本のバーの連結を使用しない。むしろ、コイル状管部306は、管部分の長さに沿って配置される複数の管クランプ313a−cによってベース部308に連結され得る。管クランプ313a−cのそれぞれは、今度は、可撓支持部材315a−cの端部に連結され得る。可撓支持部材315a−cは、一実施形態において、薄手のステンレス鋼板部材である。複数の可撓支持部材のうちの1つの315aは、駆動ブロック部310の反対側の端部において連結される。可撓支持部材315aは、当該部材の中間部分に配置される追加の管継手フランジ317を有する。他の可撓支持部材315bおよび315cは、各L字型支持ブラケット321の鉛直脚部の反対側の端部において連結される。それから各L字型支持ブラケットの水平脚部は、ベース部308に連結される。
【0035】
このように配置されることによって、動作中にコイル状管部306が巻付き、かつ巻戻るとき、可撓支持部材315a−cは、所望の経路に沿って管部分を前後に誘導もしながら、管部分306が屈曲することを可能にする。前述したように、この
装置は、複数の部品が互いに擦れ合う可能性を最小限にし、組立体の使用寿命を高める。
【0036】
コイル状管部306は、複数の極低温において動作すべく設計される任意の適切な可撓性の管であってよい。1つの非限定的な例示的実施形態において、コイル状管部306は、ハイドロフォーム成形されたステンレス鋼の可撓性の管である。溶接または機械的に形成された管などの、他複数のタイプの可撓性の管もまた使用され得ることが理解されるであろう。第1および第2の管継手302、304は、それぞれ駆動ブロック部310およびコイル状管部306に、溶接、ロウ接、または他の方法で接続される、適切なОリング取り付け具、または圧縮取り付け具であってよい。
【0037】
理解されるように、管をらせん状(コイル状)パターンに配置することによって、たとえ管が実質的に線形な形態で、または曲げが限定された状態で動作すべく製造されても、管306は、劣化することなく、幾度も循環して、巻付きかつ巻戻ることが可能である。発明者は、円筒状の筐体(ベース部308の鉛直壁309から成る)に管306を閉じ込めることによって、管が予想以上にきつく巻付けられ得ること、および、例示される実施形態において、管の両端が上限115度まで回転させられる間は、極低温流体が管を通って流れ得ることを発見した。1つの非限定的な例示的実施形態において、コイル状管部306は、内径6.35mm(1/4インチ)の可撓性の管を使用する場合、わずか101.6mm(4インチ)の曲げ半径をとり得る。コイル状管部306の長さを増大させることによって、さらなる回転の自由(360度より大きい)が達成され得ることが理解されるであろう。
【0038】
図9は、
図2の回転プラテン装置200のベース202aに接続される回転ユニオン300を示す。例示される実施形態において、保護部材340は、第1の管継手302および駆動ブロック部310の上に配置される。保護部材340の第1の端部340a(
図9)は、中央蓋状断熱部材328の溝329(
図7)内の一端部において受けられる。保護部材340の第2の端部340b(
図10)はプラテン304、またはプラテンと共に回転する他の構造部に接続される。この保護部材340は、プラテン304の回転中、ユニオン300に加えられる回転力に適応し得て、そうして第1の管継手302および駆動ブロック部310にかかる応力を最小限にする。配置される通り、プラテン204およびベース202aが互いに対して回転する場合、回転力は保護部材340を通して直接ステム322に加えられ、ステム322はベース部308に対して回転し得る。
【0039】
図10は、「作動」位置の形状における回転ユニオン300を示す。「作動」位置において、第2の管継手304は、
図4−
図8において例示される非作動の形状と比べて反時計回りの方向に約90度だけ回転されている。図に示すように、この形状においては、コイル状管部306の内側のループは、ユニオンの回転に適応すべくより小さい曲げ半径(「R2」)をとっている。プラテン204がその元の、ベース202aに対して非回転の位置に戻ると、コイル状管部306は外側に屈曲して戻り、その元の曲げ半径(「R1」)(
図5参照)をとる。
【0040】
図11は、ユニオンの内部の複数の構成部分を囲みこむべく取り付けられる保護カバー342を有する
図10の回転ユニオン300を示す。保護カバー342は、ベース部308および鉛直壁309との組み合わせで作用して、ユニオン300の回転中に管が屈曲するとき、コイル状管部306の移動を制限し得る。前述したように、そのような制限は、コイル状管部306が制御範囲内で屈曲することを保証すべく機能し、そうして、使用中に複数の構成部分の有害な摩擦を引き起こし得る、管の望ましくない移動を防ぐ。保護カバー342は、コイル状管部306に対して物理的な保護を与え、回転ユニオンの複数の構成部分の、直接的または間接的なイオンビームの衝突を防ぎ、管、ベアリング/ブッシュ、またはフレキシャの移動中に生成されるあらゆる粒子を阻止し、イオン注入処理中にコイル状管部上にフォトレジストが凝縮するのを防ぐ。
【0041】
図12は、
図2−
図3の回転プラテン装置200と共に一対の回転ユニオン300が使用される1つの適用例を示す。この実施形態において、それらの回転ユニオン300のうちの1つは、冷却装置から冷却プラテンへの極低温流体の供給をサポートし、一方で他方の回転ユニオン300は冷却装置へ極低温流体を戻すための排水をサポートする。
【0042】
説明されたように、開示される回転ユニオン300は、コイル状管部306がコイル状の形態でのみ移動し得るようにコイル状管部306を制限する。任意の側方移動は、複数のフレキシャによって制限され、それにより、予め決められた巻付き/巻戻り動作を維持する。さらに、動作中、コイル状管部306は150psiほどの高さの圧力下にあり、長期の動作に望まれる巻付き/巻戻り移動の変形の影響を受けやすい。そのような制限がない場合、コイル状管部は「ねじれる(squirm)」ことがあり、不要な複数の構成部分の摩擦、および望ましくない複数の粒子の生成を引き起こす。
【0043】
理解されるように、開示される回転ユニオン300は、プラテン、またはプラテンの裏側の冷却リングへの冷却ガスの流れを促しながら、プラテン204がロード位置(フラット−
図2)から注入位置(例えば、
図3)へと移動されることが可能である。
【0044】
本開示の複数の実施形態は、プラズマベースイオン注入システムなどの、様々なイオン注入システムの任意のものに適用し得ることが理解されるべきである。これらは、高周波プラズマドーピング(RF−PLAD)システム、グロー放電プラズマドーピング(GD−PLAD)システム、および他の同様のシステムを含み得る。
【0045】
本開示は、本明細書において説明される特定の複数の実施形態によって範囲を限定されるものではない。実際、本明細書において説明されるものに加えて、本開示の他の様々な実施形態および本開示に対する複数の変更形態が、前述の説明および複数の添付の図面から当業者には明らかであろう。従って、そのような他の複数の実施形態および複数の変更形態は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。本発明は特定の複数の実施形態を参照して開示されたが、説明された複数の実施形態に対する多数の変形、修正、および変更が、添付の特許請求の範囲において定義されるような本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく施されることが可能である。従って、本発明は、説明された複数の実施形態には限定されないが、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物の用語によって定義される全範囲を有することが意図される。