(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機エレクトロルミッセンス素子、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査素子、有機光受容体から選ばれることを特徴とする、請求項20記載の電子素子。
有機エレクトロルミッセンス素子であり、それが、また、有機発光トランジスタ(OLET)、有機電場消光素子(OFQD)、有機発光電子化学電池(OLEC、LEEC、LEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機発光ダイオード(OLED)より成る群から選ばれることを特徴とする、請求項24記載の電子素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子伝導および正孔伝導基の特定の配列を有する環状化合物、その電子素子での使用とその製造法と電子素子に関する。
【0002】
有機半導体が機能性材料として使用される有機エレクトロルミネセンス素子(たとえば、OLED−有機発光ダイオードまたはOLEC−有機発光電子化学電池)の構造は、たとえば、US 4539507、US 5151629、EP0676461およびWO98/27136に記載されている。ここで用いられる発光材料は、蛍光発光に加えて、燐光発光を示す有機金属錯体とますますなっている(M. A. Baldo et al., Appl. Phys. Lett. 1999, 75, 4-6)。量子力学的理由により、4倍までのエネルギーとパワー効率の増加が、燐光発光エミッターとして有機金属化合物を使用して可能である。一般的に、一重項発光を示すOLEDの場合と三重項発光を示すOLEDの場合の両方において、特に、効率、駆動電圧および寿命に関して、改善に対する必要性が未だ存在する。これは、特に、比較的より短い波長領域で、すなわち、緑色および特に、青色で発光するOLEDにあてはまる。
【0003】
有機エレクトロルミッセンス素子の特性は、用いられるエミッターによってのみ決定されるのではない。特に、ホストおよびマトリックス材料、正孔ブロック材料、電子輸送材料、正孔輸送材料および電子もしくは励起子ブロック材料等の使用されるその他の材料が、また、ここで特に重要である。これら材料における改善は、また、エレクトロルミッセンス素子に顕著な改善をもたらし得る。
【0004】
先行技術にしたがうと、特に、ケトン(たとえば、2004/093207もしくはWO 2010/006680にしたがう)もしくはホスフィンオキシド(たとえば、WO 2005/003253にしたがう)が燐光エミッターのためのマトリックス材料として使用される。先行技術にしたがうさらなるマトリックス材料は、トリアジンである(たとえば、WO 2008/056746、EP 0906947、EP 0908787、EP 0906948)。
【0005】
先行技術にしたがって、蛍光OLEDのために、特に、縮合芳香族化合物、特に、アントラセン誘導体、特に、たとえば、9,10-ビス(2-ナフチル)アントラセン(US 5935721)が、青色発光エレクトロルミッセンス素子のためのホスト材料として使用される。WO 03/095445およびCN 1362464は、OLEDでの使用のための9,10-ビス(1-ナフチル)アントラセン誘導体を開示する。さらなるアントラセン誘導体は、WO 01/076323、WO 01/021729、WO 2004/013073、WO 2004/018588、WO 2003/087023、もしくはWO 2004/018587に開示されている。アリール置換ピレンおよびクリセン系ホスト材料は、WO 2004/016575に開示されている。ベンズアントラセン誘導体系ホスト材料は、WO 2008/145239に開示されている。入手可能な改善されたホスト材料を有することが高付加価値用途に望ましい。
【0006】
先行技術は、たとえば、WO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP 1205527もしくはWO 2008/086851において電子素子での一以上のカルバゾール基を含む化合物の使用を開示している。
【0007】
先行技術は、さらに、たとえば、WO 2010/136109およびWO 2011/000455において電子素子での一以上のインデノカルバゾール基を含む化合物の使用を開示している。
【0008】
先行技術は、さらに、たとえば、WO 2010/015306、WO 2007/063754およびWO 2008/056746において電子素子での一以上の電子不足複素環式芳香族6員環を含む化合物の使用を開示している。
【0009】
WO 2009/069442は、電子不足複素環式芳香族基(たとえば、ピリジン、ピリミジンもしくはトリアジン)により高レベルで置換されたカルバゾール、ジベンゾフランもしくはジベンゾチオフェン等の3環系化合物を開示する。3環系化合物は、正孔伝導基、すなわち、電子リッチ基により置換されていない。
【0010】
JP 2009-21336は、マトリックス材料として、置換カルバゾールを開示し、ここで、カルバゾールは、電子伝導基と正孔伝導基により置換されている。しかしながら、化合物は、対面置換を全く有していない。
【0011】
WO 2011/057706は、マトリックス材料として、置換カルバゾールを開示し、ここで、カルバゾールは、電子伝導基と正孔伝導基により置換されている。しかしながら、開示されたカルバゾールの大部分は、対面置換を全く有していない。しかし、たまたま開示された対面配列の場合には、正孔もしくは電子伝導基は、3環系化合物に直接結合する。
【0012】
しかしながら、これらの材料の使用に関して、他の材料の場合と同様に、特に、素子の効率と寿命に関して、改善の必要性が未だ存在する。
【0013】
したがって、本発明の目的は、蛍光もしくは燐光OLEDでの、たとえば、ホスト材料および/またはマトリックス材料として、正孔輸送/電子ブロック材料もしくは励起子ブロック材料として、または電子輸送もしくは正孔ブロック材料としての使用に適し、OLEDで使用されると、良好な素子特性をもたらす化合物を提供することと、対応する電子素子を提供することである。
【0014】
驚くべきことに、以下に詳細に説明されるある種の化合物が、これらの目的を達成し、特に、寿命、効率と駆動電圧に関して、有機エレクトロルミネッセンス素子の良好な特性をもたらすことが見出された。したがって、本発明は、このタイプの化合物を含む電子素子、特に、有機エレクトロルミッセンス素子と対応する好ましい化合物に関する。驚くべき効果が、以下に示された式の化合物において、電子伝導基と正孔伝導基の特定の配列(基の「対面」配列)により達成される。理論に束縛されるものではないが、そこに分子のある種の短距離秩序が存在する、比較的良好に画定された(高度に秩序ある)分子の平行整列(対面配列)の理由により、迅速な電荷輸送が可能となる。互いの基間の短離隔に基づいて、分子間相互作用、たとえば、直接的π-π相互作用が、迅速な電荷輸送の原因の一つであり得る。
【0015】
本発明の化合物は、また、高いガラス転移温度(T
g)を有し、電子素子製造時の化合物の加工性の点で有利である。化合物の高いガラス転移温度は、また、薄い無定形の有機層での化合物の使用をも許容する。
【0016】
さらに、本発明の化合物は、励起状態での電価キャリアーの安定化を可能とし、燐光素子の重要な前提である、十分に高い三重項エネルギーを有する。さらに、本発明の化合物は、先行技術からの化合物と比べて、OLEDでの改善された特性を有する。
【0017】
したがって、本発明は、一般式(1)の化合物に関し、
【0018】
【化1】
【0019】
式中、以下が、使用される記号と添え字に適用される;
AおよびA'は、互いに同一であるか異なり、5もしくは6個の環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環であり、1以上の基R
1により置換されてよく、互いに独立であってよく;
ETGは、電子不足複素環式芳香族基の群からの有機電子輸送基(ETG)であり、ここで、ETGは、好ましくは、5〜60個の芳香族環原子を有するヘテロアリール基であり、ここで、窒素原子が、非常に好ましいヘテロ原子であり、および非常に特に好ましいETGは、基トリアジン、ピリミジン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノール、イソキノリン、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾールおよびピリジンから選ばれ、ここで、基ETGは、1以上の基R
1により置換されてよく、互いに独立であってよく;
Zは、単結合または2価基であり、Zが単結合であれば、そこで、基ETGは、環Aの炭素原子に直接結合し;
Vは、単結合、C=O、C(R
1)
2、NAr
3、O、S、Si(R
1)
2、BR
1、PR
1、P(=O)R
1、SOもしくはSO
2であり、ここで、単結合の場合には、環AおよびA'の炭素原子は、単結合により互いに直接結合し、ここで、単結合、C(R
1)
2、NAr
3、OおよびSが好ましく、ここで、単結合、C(R
1)
2、OおよびSが、非常に好ましく、ここで、OおよびSが、非常に特に好ましく、ここで、Oが、特別に好ましく;
Wは、単結合、C=O、C(R
1)
2、NR
1、O、S、Si(R
1)
2、BR
1、PR
1、P(=O)R
1、SOもしくはSO
2であり、単結合の場合には、環AおよびA'の炭素原子は、単結合により互いに直接結合し、ここで、単結合、C(R
1)
2、NR
1、OおよびSが、好ましく、ここで、単結合、C(R
1)
2、OおよびSが、非常に好ましく、ここで、OおよびSが、非常に特に好ましく、ここで、Oが、特別に好ましく;
Wが単結合でない場合には、Vは単結合であり、Vが単結合でない場合には、Wは単結合であることが、さらに好ましく;
WがOもしくはSである場合には、Vは単結合であり、VがOもしくはSである場合には、Wは単結合であることが、さらに非常に好ましく;
WがOである場合には、Vは単結合であり、VがOである場合には、Wは単結合であることが、さらに非常に特に好ましく;
mは、0もしくは1の何れかであり;
nは、0もしくは1の何れかであり;
ここで、m=nであり;
Ar
3は、5〜30個の環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環もしくは環構造であり、ここで、環もしくは環構造は、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよく、1以上の基R
3により置換されてよく、ここで、2以上の基R
2は、互いに閉環を形成してよく;
R
1は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
2)
2、CN、NO
2、Si(R
2)
3、B(OR
2)
2、C(=O)R
2、P(=O)(R
2)
2、S(=O)R
2、S(=O)
2R
2、OSO
2R
2、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々、1以上の基R
2により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
2C=CR
2、C≡C、Si(R
2)
2、Ge(R
2)
2、Sn(R
2)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
2、P(=O)(R
2)、SO、SO
2、NR
2、O、SもしくはCONR
2で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
2により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシ、アリールアルコキシもしくはヘテロアリールオキシ基、1以上の基R
2により置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基または2個以上のこれらの基の組み合わせ、または架橋可能基Qであって;ここで、2個以上の隣接する基R
1は、単環式あるいは多環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を互いに形成してよく、ここで、2個以上の隣接する基R
1は、単環式あるいは多環式の脂肪族もしくは芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を互いに形成しないことが好ましく;
R
2は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
3)
2、CN、NO
2、Si(R
3)
3、B(OR
3)
2、C(=O)R
3、P(=O)(R
3)
2、S(=O)R
3、S(=O)
2R
3、OSO
2R
3、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々、1以上のR
3基により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
3C=CR
3、C≡C、Si(R
3)
2、Ge(R
3)
2、Sn(R
3)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
3、P(=O)(R
3)、SO、SO
2、NR
3、O、SもしくはCONR
3で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)、各場合に、1以上の基R
3により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
3により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシ、アリールアルコキシもしくはヘテロアリールオキシ基、1以上の基R
3により置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基、または2個以上のこれらの基の組み合わせであり;ここで、2個以上の隣接する基R
2は、単環式あるいは多環式の脂肪族もしくは芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を互いに形成してよく;
R
3は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素環式芳香族炭化水素基であって、ここで、さらに、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよく;ここで、2個以上の置換基R
3は、単環式あるいは多環式の脂肪族もしくは芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を互いに形成してもよく;
pは、1〜7、好ましくは、1〜4、非常に好ましくは、1〜3、特に好ましくは、1もしくは2、非常に特に好ましくは、丁度2および、特別に好ましくは、丁度1の整数であり;
R
4は、出現毎に同一であるか異なり、N(R
2)
2、Si(R
2)
3、B(OR
2)
2、C(=O)R
2、P(=O)(R
2)
2、S(=O)R
2、S(=O)
2R
2、OSO
2R
2、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々、1以上の基R
2により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
2C=CR
2、C≡C、Si(R
2)
2、Ge(R
2)
2、Sn(R
2)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
2、P(=O)(R
2)、SO、SO
2、NR
2、O、SもしくはCONR
2で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
2により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシ、アリールアルコキシもしくはヘテロアリールオキシ基、1以上の基R
2により置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基または2個以上のこれらの基の組み合わせであって;ここで、2個以上の隣接する基R
4は、単環式あるいは多環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を互いに形成してよい。
【0020】
2個以上の隣接する基が、単環式あるいは多環式の脂肪族もしくは芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を互いに形成しない場合には、これらの基は、環もしくは環構造の部分となることはできない。たとえば、基R
1が、2個以上の隣接する基R
1が、単環式あるいは多環式の脂肪族もしくは芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を互いに形成しないが、基R
1が、それ自身再度基R
2により置換されてよく、ここで、2個以上の隣接する基R
2が、単環式あるいは多環式の脂肪族もしくは芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を互いに形成するように定義される場合には、そこで、基R
2の閉環は、基R
1が、環もしくは環構造の部分となるように生じることはできない。
【0021】
ETGは、1以上の基R
1により置換されてよく、電子リッチな芳香族または複素環式芳香族環もしくは環構造を含まないことが好ましい。
【0022】
したがって、一般式(1)の化合物は、水素以外である少なくとも一つの置換基R
4を常に含む。
【0023】
基R
4の結合は、カルバゾールの未だ非置換である位置1〜8の何れでも生じることができ、基R
4は、カルバゾールの5,6,7および8位で結合することが好ましい。
【0024】
式(1)の化合物において、カルバゾール環の環A’の炭素原子への結合は、1,2,3および4位を介して生じることができる。
【0025】
好ましい1態様では、カルバゾール環の環A’への結合は、1位を介して生じる。
【0026】
別の好ましい1態様では、カルバゾール環の環A’への結合は、2位を介して生じる。
【0027】
別の好ましい1態様では、カルバゾール環の環A’への結合は、3位を介して生じる。
【0028】
さらに別の好ましい1態様では、カルバゾール環の環A’への結合は、4位を介して生じる。
【0029】
したがって、たとえば、一般式(1)の化合物に対して、m=n=1で、V=W=単結合の場合には、一般式は、以下のとおりであり、ここで、以下の式は、本発明の非常に特に好ましい態様でもある。
【0030】
【化2】
【0031】
さらに、たとえば、一般式(1)の化合物に対して、m=n=1で、V=OでW=単結合の場合には、一般式は、以下のとおりであり、ここで、以下の式は、本発明の非常に特に好ましい態様でもある。
【0032】
【化3】
【0033】
さらに、たとえば、一般式(1)の化合物に対して、m=n=0の場合には、一般式は、以下のとおりであり、ここで、以下の式は、本発明の非常に特に好ましい態様でもある。
【0034】
【化4】
【0035】
好ましい1態様では、化合物は、一般式(2)から選ばれ、
【0036】
【化5】
【0037】
式中、追加的に使用される記号は、以下のとおりである:
Xは、出現毎に同一であるか異なり、NまたはCR
1であり;
Qは、出現毎に同一であるか異なり、X=X、S、OまたはNR
1、好ましくは、X=X、SまたはO、非常に好ましくは、X=XまたはS、非常に特に好ましくは、X=Xである。
【0038】
したがって、非常に好ましくは、一般式(3)〜(11)の化合物であり、
【0039】
【化6-1】
【0040】
【化6-2】
【0041】
【化6-3】
【0042】
式中、一般式(3)〜(8)の化合物が、非常に特に好ましく、一般式(4)の化合物が、特別に好ましい。
【0043】
式(1)〜(9)中のXが、CR
1であることが、さらに非常に特に好ましい。
【0044】
好ましい1態様では、本発明は、式(4)の化合物に関し、好ましくは、XがCR
1であり、m=1である式(4)の化合物であり、非常に特に好ましくは、XがCR
1であり、m=1で、VがOである式(4)の化合物であり、ここで、上記定義と好ましい態様は、その他の記号と添え字に適用される。
【0045】
さらに好ましい1態様では、本発明は、XがCR
1であり、m=1で、VがN-Ar
3である式(4)の化合物に関し、ここで、上記定義と好ましい態様は、その他の記号と添え字に適用される。
【0046】
本発明の意味でのさらに好ましい化合物は、以下の式(3a)の一つであり:
【0047】
【化7】
【0048】
式中、sとtは、0〜3の整数であることができ、ここで、s+tは、0〜6の整数であり、s+tは、好ましくは、4であり、s+tは、非常に好ましくは、2であり、s+tは、非常に特に好ましくは、1であり、および、s+tは、特別に好ましくは、0である。
【0049】
本発明の意味でのさらに好ましい化合物は、以下の式(3b)の一つであり:
【0050】
【化8】
【0051】
式中、pは、1〜4の整数であり、好ましくは、丁度2であり、非常に好ましくは、丁度1である。
【0052】
本発明の意味でのさらに好ましい化合物は、以下の式(3c)の一つである。
【0053】
【化9】
【0054】
さらに好ましい1態様では、本発明は、一般式(12)の化合物に関し、
【0055】
【化10】
【0056】
式中、Vは、OもしくはSであり、ここで、所与の定義と好ましい態様が、使用される記号と添え字に適用される。式(12)の化合物中のVが、Oであることが、非常に好ましい。
【0057】
さらに好ましい1態様では、本発明は、一般式(13)の化合物に関し、
【0058】
【化11】
【0059】
式中、Vは、OまたはSであり、ここで、所与の定義と好ましい態様が、使用される記号と添え字に適用され、ここで、芳香族環AおよびA'は、各々最大1個の置換基R
1を有し、すなわち、sは、0または1であり、tは、0または1であり、ここで、s+tは、0、1または2である。式(13)の化合物中のVが、Oであることが、非常に好ましい。
【0060】
非常に好ましい1態様では、本発明は、一般式(14)の化合物に関し、
【0061】
【化12】
【0062】
式中、所与の定義と好ましい態様が、使用される記号と添え字に適用され、ここで、芳香族環AおよびA'は、各々最大1個の置換基R
1を有する。
【0063】
非常に特に好ましい1態様では、本発明は、一般式(15)の化合物に関し、
【0064】
【化13】
【0065】
式中、所与の定義と好ましい態様が、使用される記号と添え字に適用され、ここで、R
1により置換された2個の芳香族環は、各々最大1個の置換基R
1を有し、R
1により置換された2個の環AおよびA'上のR
1は、Hであることが、非常に好ましい。
【0066】
非常に好ましい1態様では、本発明は、一般式(16)の化合物に関し、
【0067】
【化14】
【0068】
式中、所与の定義と好ましい態様が、使用される記号と添え字に適用され、ここで、R
1により置換された2個の芳香族環は、各々最大1個の置換基R
1を有し、R
1により置換された2個の環AおよびA'上のR
1は、Hであることが、非常に好ましい。
【0069】
非常に特に好ましい1態様では、本発明は、一般式(17)の化合物に関し、
【0070】
【化15】
【0071】
式中、所与の定義と好ましい態様が、使用される記号と添え字に適用され、ここで、R
1により置換された2個の芳香族環は、各々最大1個の置換基R
1を有し、R
1により置換された2個の環AおよびA'上のR
1は、Hであることが、非常に好ましい。
【0072】
非常に特に好ましい1態様では、本発明は、一般式(18)の化合物に関し、
【0073】
【化16】
【0074】
式中、所与の定義と好ましい態様が、使用される記号と添え字に適用され、ここで、R
1により置換された2個の芳香族環は、各々最大1個の置換基R
1を有し、R
1により置換された2個の環AおよびA'上のR
1は、Hであることが、非常に好ましい。
【0075】
さらに非常に特に好ましい1態様では、本発明は、一般式(19)の化合物に関し、
【0076】
【化17】
【0077】
式中、所与の定義と好ましい態様が、使用される記号と添え字に適用され、ここで、R
1により置換された2個の芳香族環は、各々最大1個の置換基R
1を有し、R
1により置換された2個の環AおよびA'上のR
1は、Hであることが、非常に好ましく、pは、1〜4、好ましくは、1または2、非常に好ましくは、丁度2、および特別に好ましくは、丁度1の整数である。
【0078】
さらに非常に特に好ましい1態様では、本発明は、一般式(20)の化合物に関し、
【0079】
【化18】
【0080】
式中、所与の定義と好ましい態様が、使用される記号と添え字に適用され、ここで、R
1により置換された2個の芳香族環は、各々最大1個の置換基R
1を有し、R
1により置換された2個の環AおよびA'上のR
1は、Hであることが、非常に好ましく、pは、1〜4、好ましくは、1または2、非常に好ましくは、丁度2、および特別に好ましくは、丁度1の整数である。
【0081】
さらに非常に特に好ましい1態様では、本発明は、一般式(21)の化合物に関し、
【0082】
【化19】
【0083】
式中、所与の定義と好ましい態様が、使用される記号と添え字に適用され、ここで、R
1により置換された2個の芳香族環は、各々最大1個の置換基R
1を有し、R
1により置換された2個の環AおよびA'上のR
1は、Hであることが、非常に好ましく、pは、1〜4、好ましくは、1または2、非常に好ましくは、丁度2、および特別に好ましくは、丁度1の整数である。
【0084】
さらに非常に特に好ましい1態様では、本発明は、一般式(22)の化合物に関し、
【0085】
【化20】
【0086】
式中、所与の定義と好ましい態様が、使用される記号と添え字に適用され、ここで、R
1により置換された2個の芳香族環は、各々最大1個の置換基R
1を有し、R
1により置換された2個の環AおよびA'上のR
1は、Hであることが、非常に好ましく、pは、1〜4、好ましくは、1または2、非常に好ましくは、丁度2、および特別に好ましくは、丁度1の整数である。
【0087】
Zは、好ましくは、単結合または5〜60個の環原子を有する2価の芳香族もしくは複素環式芳香族環あるいは環構造、好ましくは、6〜60個の環原子を有する芳香族環もしくは環構造であり、環もしくは環構造が、AおよびA'を含む環構造とも、ETGともブリッジしないこと好ましく、Zは、好ましくは、ピリジレン、ピリミジレン、フェニレン、ビフェニレンもしくはフルオレン、スピロ、テルフェニレン、チオフェン、フラン、ジベンゾフランもしくはジベンゾチオフェン基であり、フェニレン、ビフェニレンもしくはテルフェニレン基が、特に好ましく、フェニレン基が、非常に特に好ましい。
【0088】
二個以上の基が、互いに環を形成してもよいという表現は、本出願の目的のためには、特に、二個の基が化学結合により互いに結合する意味で使用されることを意図されている。これは、以下のスキームにより図解される。
【0089】
【化21】
【0090】
しかしながら、さらに、上記言及した表現は、二個の基の一つが水素である場合には、第二の基は、水素原子が結合した位置で結合して環を形成する意味で使用されることを意図されている。これは、以下のスキームにより図解される。
【0091】
【化22】
【0092】
ここで、縮合アリール基は、互いに縮合した2個以上の芳香族環を含むアリール基の意味で使用され、換言すれば、それらは、一以上の芳香族結合を共有する。対応する定義が、ヘテロアリール基にあてはまる。縮合アリール基の例は、それらの環原子の数にかかわらず、ナフチル、アントラセニル、ピレニル、フェナントレニルおよびペリレニルである。縮合ヘテロアリール基の例は、キノリニル、インドリル、カルバゾリルおよびアクリジニルである。
【0093】
以下が、本出願の意味での化学基の一般的定義である。
【0094】
アリール基は、本発明の意味では、6〜60個の芳香族環原子を含有し、ヘテロアリール基は、本発明の意味では、5〜60個の芳香族環原子を含み、その中の少なくとも1つはヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、OおよびSから選択される。これが基本的な定義である。他の選好が、たとえば、芳香族環原子もしくはヘテロ原子の数に関して、本発明の説明で示される場合には、これらが、適用される。
【0095】
ここで、アリール基またはヘテロアリール基は、簡単な芳香族環、すなわち、ベンゼン、または簡単な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジン、チオフェン等、または縮合(縮合環化)芳香族もしくは複素環式芳香族多環、たとえば、ナフタレン、フェナントレン、キノリンもしくはカルバゾール等のいずれかの意味で使用される。縮合(縮合環化)芳香族もしくは複素環式芳香族多環は、本発明の意味では、互いに縮合した2個以上の簡単な芳香族もしくは複素環式芳香族環から成る。
【0096】
本発明の意味で、電子不足ヘテロアリール基は、少なくとも2つのヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール環基、たとえば、イミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール等、または少なくとも1つのヘテロ原子を含む6員ヘテロアリール環基、たとえば、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等と定義される。さらなる6員アリールもしくは6員ヘテロアリール基がこれらの基に縮合してもよく、たとえば、ベンズイミダゾール、キノリンもしくはフェナントロリンがその場合である。
【0097】
アリールもしくはヘテロアリール基は、各々上記言及した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して、芳香族または複素環式芳香族構造に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンゾフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナンスリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナンスリイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナンスロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナンスロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基の意味で使用される。
【0098】
本発明の定義にしたがって、アリールオキシ基は、酸素原子を介して結合する上記定義のとおりのアリール基の意味で使用される。同様の定義が、ヘテロアリールオキシ基にあてはまる。
【0099】
芳香族環構造は、本発明の意味では、環構造中に6〜60個のC原子を含有する。複素環式芳香族環構造は、本発明の意味では、5〜60個の芳香族環原子を含み、その中の少なくとも1つはヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくはN、Oおよび/またはSから選択される。芳香族または複素環式芳香族環構造は、本発明の意味では、必ずしもアリールまたはヘテロアリール基だけを含有するとは限らない構造であって、複数のアリールまたはヘテロアリール基が、非芳香族単位(好ましくは、H以外の原子は10%未満)、たとえば、sp
3混成のC、Si、NもしくはO原子、sp
2混成のCもしくはN原子またはsp混成のC原子などによって連結されていてもよい構造の意味で使用されることを意図されている。たとえば9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等の構造は、2以上のアリール基が、たとえば、直鎖あるいは環状アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基により、もしくはシリル基により連結される構造であるから、同様に、本発明の意味での芳香族環構造の意味で使用されることを意図されている。さらに、たとえば、ビフェニル、テルフェニルもしくはジフェニルトリアジン等の二個以上のアリールもしくはヘテロアリール基が、単結合を介して互いに結合する構造も、本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の意味で使用される。
【0100】
5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記定義された基により置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族または複素環式芳香族構造に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンゾフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、クアテルフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、cis-またはtrans-インデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナンスリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナンスリイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナンスロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナンスロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールまたはこれら構造の組み合わせから得られる基の意味で使用される。
【0101】
本発明の目的のために、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基は、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH
2基は、基の定義の元で上記言及した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルまたはオクチニルの意味で使用される。1〜40個のC原子を有するアルコキシもしくはチオアルキル基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオル、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオの意味で使用される。
【0102】
基ETGは、好ましくは、1以上の基R
1により置換されてよい電子不足複素環式芳香族基である。さらに特に好ましくは、少なくとも1つが、好ましくは、少なくとも2つが、非常に好ましくは、少なくとも3つが窒素原子である6個の芳香族環原子を有する複素環式芳香族基または、少なくとも2つが、ヘテロ原子であり、好ましくは、少なくとも1つが窒素原子である5個の芳香族環原子を有する複素環式芳香族基であり、R
1により置換されてよく、ここで、さらなるアリールもしくはヘテロアリール基が、各場合に、これらの基に縮合してもよい。
【0103】
ここで、好ましい電子不足複素環式芳香族基は、以下の基から選ばれ、
【0104】
【化23】
【0105】
式中、破線の結合は、結合位置の印であり、R
1は上記定義されるとおりであり、および
Q'は、出現毎に同一であるか異なり、CR
1またはNであり;および
Q"は、NR
1、OまたはSであり;
ここで、少なくとも一つのQ'は、Nであり、および/または少なくとも一つのQ"は、NR
1である。
【0106】
電子不足複素環式芳香族基の好ましい例は、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾールもしくはベンズオキサゾールであり、それぞれ、R
1で置換されてよい。さらにより好ましくは、電子輸送基は、一以上の基R
1で置換されたピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジンおよび1,3,5-トリアジンである。
【0107】
非常に好ましい電子不足複素環式芳香族基は、以下の基から選ばれる。
【0108】
【化24】
【0109】
ETG中の置換基R
1は、好ましくは、Hまたは各場合に一以上の基R
2で置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ、ここで、式(E−11)、(E−17)および(E−18)の基がさらにより好ましく、式(E−11)の基が、最も好ましい。
【0110】
非常に特に好ましいETGの例は、以下の基であり、一以上のR
2基で置換されてよく、互いに独立しており、ここで、破線の結合は、基Ar
1とAr
2への結合位置を示す。
【0111】
【化25-1】
【0112】
【化25-2】
【0113】
【化25-3】
【0114】
電子輸送基は、好ましくは、−1.3eVより低い、非常に好ましくは、−2.5eVより低い、非常に特に好ましくは、−2.7eVより低い、LUMO(最低非占分子軌道)エネルギーを有する。電子輸送基のLUMOエネルギーは、以下に記載される方法を使用して決定される。計算においては、電子輸送基は単離されていると見なされる。式(E−11)〜(E−34)の基において、破線の結合はフェニル基への結合により置き代えられる。たとえば、以下の化合物が、式(E−19)の電子輸送基のLUMOエネルギーの計算のために使用される。
【0115】
【化26】
【0116】
材料の分子軌道、特に、最高占有分子軌道(HOMO)と最低非占分子軌道(LUMO)、そのエネルギー準位と最低三重項状態のエネルギーT
1もしくは最低励起一重項状態のエネルギーS
1とを、本出願において量子化学計算によって決定することができる。金属を含まない有機物質を計算するために、まず、「基底状態/準実験的/デフォルトスピン/AM1/電荷0/一重項スピン」法を使用して、最初に幾何学的な最適化を実施する。続いて幾何学的な最適化を基準にしてエネルギー計算を実施する。エネルギー計算は、引き続き「6−31G(d)」ベースセットと共に「TD−SCF/DFT/デフォルトスピン/B3PW91」法を使用してなされる(電荷0/一重項スピン)。有機金属化合物に対しては、ジオメトリーは、「基底状態/Hartree−Fock/デフォルトスピン/LanL2MB/電荷0/一重項スピン」を介して最適化される。エネルギー計算は「LanL2DZ」基本セットが金属原子のために使用され、「6−31G(d)」基本セットがリガンドのために使用されるという相違の他は上記記載のとおりの有機物質と同様に実行される。エネルギー計算は、HOMOエネルギー準位HEhもしくはLUMOエネルギー準位LEhを、ハートリー単位で与えるサイクリックボルタンメトリ測定を参照して較正される電子ボルトにおけるHOMOとLUMOエネルギー準位は、以下のとおりに、そこから決定される。
【0117】
HOMO(eV)=((HEh*27.212)−0.9899)/1.1206
LUMO(eV)=((LEh*27.212)−2.0041)/1.385
これらの値は、本願の目的のために、材料の各々のHOMOおよびLUMOエネルギー準位としてみなすべきである。
【0118】
最低三重項準位T
1を、上記量子化学計算から明らかな、最低エネルギーを有する三重項状態のエネルギーとして定義する。
【0119】
最低励起一重項準位S
1を、上記量子化学計算から明らかな、最低エネルギーを有する励起一重項状態のエネルギーとして定義する。
【0120】
ここに記載された方法は、使用されるソフトウエアパッケージとは独立しており、常に同じ結果が得られる。この目的のためによく利用されるプログラムの例は、「ガウシアン09W (Gaussian Inc.)とQ−Chem 4.1 (Q−Chem, Inc.)」である。
【0121】
さらに好ましくは、電子輸送基は、電子移動度μが、10
−6cm
2/(Vs)以上、非常に好ましくは、10
−5cm
2/(Vs以上)、非常に特に好ましくは、10
−4cm
2/(Vs)以上であることを特徴とする。ETGのLUMOエネルギーの決定と同様に、ETGは単離されていると見なされる。さらに、式(E−11)〜(E−34)の基において、破線の結合はフェニル基への結合により置き代えられる。
【0122】
式(1)の化合物において、LUMOは、好ましくは、電子輸送基上で局在化される。LUMOは、電子輸送基上で80%以上局在化されると非常に好ましく、さらに特に好ましくは、LUMOは、カルバゾール基上で全く局在化されない。本発明の化合物のHOMOとLUMOの絶対値が、全く重複しないことが、特別に好ましい。当業者は、軌道の絶対値の重複(波長関数の絶対値の重複積分)を決定することに全く困難性を有さない。この目的のために、ここで示された計算法が使用され、90%の確率密度を有する軌道が仮定される。
【0123】
Ar
3は、好ましくは、5〜30個の環原子を有する芳香族環もしくは環構造であり、各場合に、1以上の基R
2によりそれぞれ置換されてよく、1以上の基R
3により置換されてよい。
【0124】
Ar
3は、非常に好ましくは、5〜30個の環原子を有する芳香族環もしくは環構造であり、各場合に、1以上の基R
2によりそれぞれ置換されてよく、1以上の基R
3により置換されてよく、ここで、Ar
3は、非置換であることが、さらにより好ましい。
【0125】
非常に特に好ましい芳香族基は、フェニル、ビフェニル、テルフェニルおよびクアテルフェニルである。
【0126】
Ar
3は、非常に好ましくは、5〜30個の環原子を有する複素環式芳香族環もしくは環構造であり、各場合に、1以上の基R
2によりそれぞれ置換されてよく、1以上の基R
3により置換されてよく、ここで、Ar
3は、非置換であることが、さらにより好ましい。
【0127】
非常に特に好ましい複素環式芳香族基は、フラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、フェナンスリジンおよびキノキサリンである。
【0128】
好ましい1態様では、基R
4は、互いにブリッジするか、または、基R
4は、O、S、NAr
3もしくはC(R
2)
2によりブリッジする。
【0129】
非常に好ましい1態様では、p=2であり、2つの基R
4は、閉環を形成し、その結果特別に好ましくは、インデノカルバゾールもしくはインドロカルバゾールを形成し、それらは、順に、互いに独立する1以上のR
2により置換されてよい。
【0130】
さらに好ましい1態様では、基R
4は、互いにブリッジしない。
【0131】
さらに好ましい1態様では、基R
4は、カルバゾールとブリッジしない。
【0132】
本発明の好ましい1態様では、R
4は、出現毎に同一であるか異なり、N(R
2)
2、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々、1以上の基R
2により置換されてよい。)、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
2により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシ、アリールアルコキシもしくはヘテロアリールオキシ基、1以上の基R
2により置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基または2個以上のこれらの基の組み合わせであって;ここで、2個以上の隣接する基R
4は、単環式あるいは多環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を互いに形成してよい。
【0133】
本発明の非常に好ましい1態様では、R
4は、出現毎に同一であるか異なり、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
2により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシ、アリールアルコキシもしくはヘテロアリールオキシ基、1以上の基R
2により置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基または2個以上のこれらの基の組み合わせであって;ここで、2個以上の隣接する基R
4は、単環式あるいは多環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を互いに形成してよい。
【0134】
R
4は、特に好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であって;ここで、2個以上の隣接する基R
4は、多環式の芳香族環構造を互いに形成してよい。
【0135】
R
4に対する非常に特に好ましい芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、各々1以上の基R
2により置換されてよいフェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、カルバゾール、ジベンゾフラニルであり、非常に特に好ましくは、非置換である。
【0136】
本発明による化合物は、スキーム1と2にしたがって調製され得る。
【0137】
対応するモノボロン酸をスズキカップリングと引き続くシリル化により調製することができる(スキーム1)。さらなる選択肢は、ブッフバルトカップリングと引き続くシリル化による1臭素化物から出発して対応するモノボロン酸を調製することである(スキーム2)。スズキカップリングを介するこれらのモノボロン酸と対応する臭素化アリールと塩素化アリールとの反応は、目標化合物をもたらす。
【0138】
【化27】
【0139】
式中、上記所与の定義とその好ましい態様が、使用される記号と添え字に適用される。
【0140】
スズキ反応は、当業者に周知であり、当業者は、当分野の一般的専門知識を考慮して、クレームされた範囲の化合物を調製するために、本発明の化合物に対して反応とその公知の変形を適用することに何の困難性も有さない。さらに、スズキ反応およびブッフバルト反応の両者においては、化学官能基を、置換基とAおよびA'環を含む構造との間で交換することができる。これは、ETGまたはカルバゾールを含む置換基が、ボロン酸を含むことができ、ここでAおよびA'環を含む構造がハロゲン化物を含むことを意味する。以下のスキームは、より特別な場合を参照する例により、前記プロセスの適用を例示し、上記定義が使用する記号と添え字に適用される。Halは、ハロゲン化物であり、好ましくは、BrもしくはIである。
【0141】
したがって、本発明は、スズキカップリングによる本発明の化合物の製造方法にも関する。
【0142】
【化28】
【0143】
スキーム3
本発明の化合物の調製のためのさらなる選択肢は、2ハロゲン化物(Hal=Br、I)と1当量の対応するボロン酸との反応と引き続くスズキカップリングより、所望の化合物をもたらし、合成手順は、スキーム1で示されるのと同様の工程を使用する。
【0144】
さらなる選択肢は、2ハロゲン化物と2当量のETGのボロン酸との反応である。
【0145】
【化29】
【0146】
スキーム4
多くの2ハロゲン化物と2ボロン酸が、市販されているか、またはスキーム5で示されるとおりに合成することができる。それらは、引き続き、スズキカップリングにより所望の生成物に変換することができる。
【0147】
【化30】
【0148】
スキーム5
本発明の化合物の調製のためのさらなる選択肢は、カルバゾール誘導体の反応と、引き続くウルマンもしくはブッフバルトカップリングである。
【0149】
【化31】
【0150】
本発明の化合物の合成のために示されるプロセスは、例とみなされるべきである。当業者は、当分野の一般的専門知識の範囲内で代替合成経路を開発することができるであろう。
【0151】
以下の概観は、ここで説明されたプロセスの一つにより調製することができる化合物の例示を含む。
【0152】
【化32-1】
【0153】
【化32-2】
【0154】
【化32-3】
【0155】
【化32-4】
【0156】
【化32-5】
【0157】
【化32-6】
【0158】
【化32-7】
【0159】
【化32-8】
【0160】
【化32-9】
【0161】
【化32-10】
【0162】
【化32-11】
【0163】
【化32-12】
【0164】
【化32-13】
【0165】
【化32-14】
【0166】
【化32-15】
【0167】
【化32-16】
【0168】
本発明は、さらに、式(1)の化合物の、電子素子での、好ましくは、電子輸送層でのおよび/または発光層での使用に関する。
【0169】
本発明の電子素子は、好ましくは、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査素子、有機光受容器、有機電場消光素子(OFQD)、有機発光電子化学電池(OLEC、LEEC、LEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機発光ダイオード(OLED)より成る群から選ばれる。特に好ましくは、有機エレクトロルミッセンス素子、非常に特に好ましくは、OLECおよびOLED、特別に好ましくは、OLEDである。
【0170】
式(1)の化合物を含む有機層は、好ましくは、電子輸送機能を有する層である。特に好ましくは、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層または発光層である。
【0171】
さらに非常に特に好ましい1態様では、一般式(1)の化合物は、発光層中で、特に、マトリックス材料として用いられる。
【0172】
本出願にしたがう正孔輸送層は、アノードと発光層との間に位置する正孔輸送機能を有する層である。
【0173】
本出願にしたがう電子輸送層は、カソードと発光層との間に位置する電子輸送機能を有する層である。
【0174】
正孔注入層と電子ブロック層は、本出願の意味では、正孔輸送層の特別な態様の意味で使用される。アノードと発光層との間の複数の正孔輸送層の場合には、正孔注入層は、アノードに直接隣接するかまたはアノードの単一被覆によってのみそこから分離される正孔輸送層である。アノードと発光層との間の複数の正孔輸送層の場合には、電子ブロック層は、アノード側の発光層に直接隣接する正孔輸送層である。
【0175】
既に上記言及したとおり、式(1)の化合物は、好ましい1態様では、特に、有機エレクトロルミッセンス素子で、たとえば、OLEDもしくはOLECで、有機電子素子の発光層でマトリックス材料として使用される。式(1)のマトリックス材料は、一以上のドーパント、好ましくは、燐光ドーパントと組み合わせて電子素子中に存在する。
【0176】
用語燐光ドーパントは、典型的には、発光が、スピン禁制遷移、たとえば、励起三重項状態または比較的高いスピン量子数を有する状態、たとえば、五重項状態からの遷移により生じる化合物を包含する。
【0177】
適切な燐光発光ドーパントは、特に、適切な励起により、好ましくは、可視域で発光する化合物であり、加えて、20より大きい、好ましくは、38〜84の、特に好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子を含む。使用される燐光発光エミッターは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウム、白金または銅を含む化合物である。
【0178】
すべてのルミネッセントイリジウム、白金または銅錯体が、本発明の意味で、燐光化合物とみなされる。燐光ドーパントの例は、以下のセクションで示される。
【0179】
マトリックス材料とドーパントとを含む系中のドーパントは、混合物中でその割合がより少ない成分の意味で使用される。対応して、マトリックス材料とドーパントとを含む系中のマトリックス材料は、混合物中でその割合がより多い成分の意味で使用される。
【0180】
発光層中のマトリックス材料の割合は、この場合、蛍光発光層に対しては、50.0〜99.9体積%、好ましくは、80.0〜99.5体積%、特に好ましくは、92.0〜99.5体積%であり、燐光発光層に対しては、85.0〜97.0体積%である。
【0181】
対応して、ドーパントの割合は、蛍光発光層に対しては、0.1〜50.0体積%、好ましくは、0.5〜20.0体積%、特に好ましくは、0.5〜8.0体積%であり、燐光発光層に対しては、3.0〜15.0体積%である。
【0182】
有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層は、また、複数のマトリックス材料(混合マトリックス系)および/または複数のドーパントを含む系をも含んでもよい。この場合にも、ドーパントは、一般的には、系中でその割合がより少ない材料であり、マトリックス材料は、系中でその割合がより多い材料である。しかしながら、個々の場合では、系中の個々のマトリックス材料の割合は、個々のドーパントの割合よりもより少なくてよい。
【0183】
本発明のさらに好ましい1態様では、式(1)の化合物は、混合マトリックス系の成分として使用される。混合マトリックス系は、好ましくは、二または三種の異なるマトリックス材料、特に好ましくは、二種の異なるマトリックス材料を含む。ここで、二種の材料の一つは、好ましくは、正孔輸送特性を有する材料であり、他方は電子輸送特性を有する材料である。しかしながら、混合マトリックス成分の所望の電子輸送および正孔輸送特性は、単一の混合マトリックス成分中で主としてまたは完全に結合されてもよく、この場合には、さらなる混合マトリックス成分が他の機能を果たす。ここで、二種の異なるマトリックス材料は、1:50〜1:1、好ましくは、1:20〜1:1、特に好ましくは、1:10〜1:1、非常に特に好ましくは、1:4〜1:1の比で存在してよい。混合マトリックス系は、好ましくは、燐光有機エレクトロルミッセンス素子中で用いられる。混合マトリックス系に関するより正確な情報は、特に、出願WO 2010/108579で得られる。
【0184】
本発明の化合物と組み合わせて混合マトリックス系のマトリックス成分として使用することのできる特に適するマトリックス材料は、どの型のドーパントが混合マトリックス系に使用されるかに応じて、以下に示される燐光ドーパントのための好ましいマトリックス材料または蛍光ドーパントのための好ましいマトリックス材料から選ばれる。
【0185】
本発明は、さらに、少なくとも一つの式(1)の化合物と、蛍光エミッター、燐光エミッター、ホスト材料、マトリックス材料、電子輸送材料、電子注入材料、正孔伝導材料、正孔注入材料、電子ブロック材料、正孔ブロック材料、n-ドーパントおよびp-ドーパントより成る群から選ばれる少なくとも一つのさらなる有機半導体材料とを含む組成物に関する。
【0186】
ここで、n-ドーパントは、還元剤、すなわち、電子供与剤の意味で使用される。n-ドーパントの好ましい例は、W(hpp)
4とWO2005/086251 A2にしたがうさらなる電子リッチ金属錯体、P=N化合物(たとえば、WO2012/175535 A1、WO2012/175219 A1)、ナフチレンカルボジイミド(たとえば、WO2012/168358 A1)、フルオレン(たとえば、WO2012/031735 A1)、フリーラジカルとジラジカル(たとえば、EP1837926 A1、WO2007/107306 A1)、ピリジン(たとえば、EP2452946 A1、EP2463927 A1)、N-ヘテロ環化合物(たとえば、WO2009/000237 A1)およびアクリジンとフェナジン(たとえば、US2007/145355 A1)である。
【0187】
ここで、p-ドーパントは、酸化剤、すなわち、電子受容剤の意味で使用される。p-ドーパントの好ましい例は、F
4-TCNQ、F
6-TNAP、NDP-2(Novaled)、NDP-9(Novaled)、キノン(たとえば、EP1538684 A1、WO2006/081780 A1、WO2009/003455 A1、WO2010/097433 A1)、ラジアレン(たとえば、EP1988587 A1、US2010/102709 A1、EP2180029 A1、WO2011/131185 A1、WO2011134458 A1、US2012/223296 A1)、S-含有遷移金属錯体(たとえば、WO2007/134873 A1、WO2008/061517 A2、WO2008/061518 A2、DE102008051737 A1、WO2009/089821 A1、US2010/096600 A1)、ビスイミダゾール(たとえば、WO2008/138580 A1)、フタロシアニン(たとえば、WO2008/058525 A2)、ボラートテトラアザペンタレン(たとえば、WO2007/115540 A1)、フラーレン(たとえば、DE102010046040 A1)および主族ハロゲン化物(たとえば、WO2008/128519 A2)である。
【0188】
本発明は、また、少なくとも一つの式(1)の化合物と少なくとも一つのさらなるマトリックス材料とを含む組成物に関する。
【0189】
本発明は、また、少なくとも一つの式(1)の化合物と少なくとも一つの広バンドギャップ材料とを含む組成物に関し、広バンドギャップ材料は、US 7,294,849の開示の意味での材料の意味で使用される。これらの系は、エレクトロルミッセンス素子で特に有利な性能データを呈する。
【0190】
本発明は、また、少なくとも一つの式(1)の化合物と少なくとも一つのさらなるマトリックス材料と少なくとも一つの燐光エミッターとを含む組成物に関する。
【0191】
本発明は、また、少なくとも一つの式(1)の化合物と少なくとも一つの広バンドギャップ材料と少なくとも一つの燐光エミッターとを含む組成物に関する。
【0192】
混合マトリックス系での使用のための好ましい燐光ドーパントは、以下に示される好ましい燐光ドーパントである。
【0193】
燐光ドーパントの例は、出願WO 2000/70655、WO 2001/41512、WO 2002/02714、WO 2002/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 2005/033244、WO 2005/019373およびUS2005/0258742に見出すことができる。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術にしたがって使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が適切である。
【0194】
燐光ドーパントの明確な例が、以下の表により示される。
【0195】
【化33-1】
【0196】
【化33-2】
【0197】
【化33-3】
【0198】
【化33-4】
【0199】
【化33-5】
【0200】
【化33-6】
【0201】
【化33-7】
【0202】
【化33-8】
【0203】
【化33-9】
【0204】
【化33-10】
【0205】
【化33-11】
【0206】
好ましい蛍光ドーパントは、アリールアミンのクラスから選ばれる。本発明の意味でのアリールアミンもしくは芳香族アミンは、窒素に直接結合した3個の置換あるいは非置換芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を含む化合物の意味で使用される。これら芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の少なくとも1個は、好ましくは、縮合環構造であり、特に好ましくは、少なくとも14個の芳香族環原子を有する。これらの好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミンもしくは芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、一個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族アントラセンジアミンは、二個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9.10-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは、同様に定義され、ここで、ジアリールアミノ基は、好ましくは、ピレンに、1位もしくは1.6-位で結合する。さらに好ましいドーパントは、たとえば、WO 2006/108497もしくはWO 2006/122630にしたがうインデノフルオレンアミンあるいはインデノフルオレンジアミン、たとえば、WO 2008/006449にしたがうベンゾインデノフルオレンアミンもしくベンゾインデノフルオレンジアミン、および、たとえば、WO 2007/140847にしたがうジベンゾインデノフルオレンアミンとジベンゾインデノフルオレンジアミンおよびWO 2010/ 012328に開示された縮合アリール基を含むインデノフルオレン誘導体である。
【0207】
好ましくは、蛍光ドーパントのための適切なマトリックス材料は、式(1)の化合物に加えて、種々のクラスの物質からの材料である。好ましいマトリックス材料は、オリゴアリーレン(たとえば、EP 676461にしたがう2,2’,7,7’-テトラフェニルスピロビフルオレンもしくはジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(たとえば、DPVBiもしくはEP 676461にしたがうスピロ-DPVBi)、ポリポダル金属錯体(たとえば、WO 2004/081017にしたがう)、正孔伝導化合物(たとえば、WO 2004/058911にしたがう)、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(たとえば、WO 2005/084081およびWO 2005/084082にしたがう)、アトロプ異性体(たとえば、WO 2006/048268にしたがう)、ボロン酸誘導体(たとえば、WO 2006/177052にしたがう)またはベンズアントラセン(たとえば、WO2008/145239にしたがう)のクラスから選択される。特に好ましいマトリックス材料は、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体、オリゴアリーレンビニレン、ケトン、ホスフィンオキシドおよびスルホキシドのクラスから選択される。非常に特に好ましいマトリックス材料は、アントラセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体のクラスから選択される。本発明の意味でのオリゴアリーレンは、少なくとも三個のアリールもしくはアリーレン基が互いに結合した化合物の意味で使用される。
【0208】
燐光ドーパントのための好ましいマトリックス材料は、式(1)の化合物に加えて、芳香族アミン、特に、たとえば、US2005/0069729にしたがうトリアリールアミン、カルバゾール誘導体(たとえば、CBP、N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)または、WO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP1205527もしくはWO2008/086851にしたがう化合物、たとえば、WO 2011/088877およびWO 2011/128017にしたがう架橋カルバゾール誘導体、WO2010/136109およびWO2011/000455にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2004/093207もしくはWO 2010/006680にしたがうケトン、たとえば、WO 2005/003253にしたがうホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホン、オリゴアリーレン、たとえば、WO 2007/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO 2005/111172にしたがうシラン、たとえば、WO2006/117052にしたがうアザボロールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO2010/15306、WO2007/063754もしくはWO2008/056746にしたがうトリアジン誘導体、たとえば、EP652273もしくはWO2009/062578にしたがう亜鉛錯体、アルミニウム錯体、たとえば、BAlq、たとえば、WO2010/054729にしたがうジアザシロールおよびテトラアザシロール誘導体、たとえば、WO2010/054730にしたがうジアザホスホール誘導体、アルミニウム錯体、たとえば、BAlQである。
【0209】
カソード、アノードおよび式(1)の化合物を含む層とは別に、電子素子は、さらなる層を含んでよい。これらは、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、発光層、電子輸送層、電子注入層、電子ブロック層、励起子ブロック層、中間層、電荷生成層(IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED (5), T. Matsumoto, T. Nakada, J.Endo, K. Mori, N. Kawamura, A. Yokoi, J.Kido, Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)および/または有機あるいは無機p/n接合を含んでもよい。しかしながら、これら層の夫々は、必ずしも存在する必要はないことが指摘されねばならない。
【0210】
有機エレクトロルミッセンス素子の層配列は、好ましくは、以下のとおりである:
アノード/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/カソード。
【0211】
ここで、前記層の全てが必ずしも存在する必要がないことおよび/またはさらなる層が追加的に存在してもよいことを、ここで、再度指摘する必要がある。
【0212】
本発明の有機エレクトロルミッセンス素子は、複数の発光層を含んでもよい。この場合に、これらの発光層は、特に好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光波長を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発し、青色もしくは黄色、オレンジ色もしくは赤色発光することができる種々の発光化合物を、発光層に使用することができる。特に、好ましいものは、3層構造であり、すなわち、3個の発光層を有する構造であり、ここで、その3層は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)。白色光の生成のためには、広波長範囲で発光する個々に使用されるエミッター化合物が、色発光する複数のエミッター化合物に代えて適当である可能性があることに注意する必要がある。
【0213】
本発明の有機エレクトロルミネセンス素子の正孔注入もしくは正孔輸送層中で、または電子ブロック層中でまたは電子輸送層中で使用することができる適切な電荷輸送材料は、たとえば、Y. Shirota et al., Chem. Rev. 2007, 107(4), 953-1010に開示された化合物または先行技術によりこれらの層に使用される他の材料である。
【0214】
電子輸送層のために使用することのできる材料は、電子輸送層中で電子輸送材料として先行技術にしたがって使用されるとおりのすべての材料である。特に適切なものは、アルミニウム錯体、たとえば、Alq
3、ジルコニウム錯体、たとえば、Zrq
4、ベンズイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、芳香族ケトン、ラクタム、ボラーン、ジアザホスホール誘導体およびホスフィンオキシド誘導体である。さらに、適切な材料は、JP2000/053957、WO2003/060956、WO 2004/028217、WO 2004/080975およびWO 2010/072300に開示されたとおりの上記言及した化合物の誘導体である。
【0215】
正孔輸送、正孔注入もしくは電子ブロック層中で使用することができる好ましい正孔輸送材料は、インデノフルオレンアミン誘導体(たとえば、WO 06/122630もしくはWO06/100896にしたがう)、EP1661888に開示されたアミン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体(たとえば、WO 01/049806にしたがう)、縮合芳香族環を持つアミン誘導体(たとえば、US5,061,569にしたがう)、WO95/09147に開示されたアミン誘導体、モノベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO08/006449にしたがう)、ジベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO 07/140847にしたがう)、スピロビフルオレンアミン(たとえば、WO2012/034627もしくは未公開EP12000929.5にしたがう)、フルオレンアミン(たとえば、未公開出願EP12005369.9、EP12005370.7およびEP12005371.5にしたがう)、スピロジベンゾピランアミン(たとえば、未公開出願EP 11009127.9にしたがう)およびジヒドロアクリジン誘導体(たとえば、未公開出願EP 11007067.9にしたがう)である。
【0216】
電子素子のカソードは、好ましくは、低い仕事関数を有する金属、種々の金属を含む金属合金もしくは多層構造、たとえば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属あるいはランタノイド(たとえば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)を含む。また、適切なのは、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属と銀を含む合金、たとえば、マグネシウムと銀とを含む合金である。多層構造の場合、たとえば、AgあるいはAlのような比較的高い仕事関数を有するさらなる金属を前記金属に加えて使用することもでき、その場合、たとえば、Ca/Ag、Mg/AgもしくはBa/Agのような金属の組み合わせが一般的に使用される。高い誘電定数を有する材料の薄い中間層を金属カソードと有機半導体との間に挿入することも好ましい可能性がある。この目的のために適切なのは、たとえば、アルカリ金属フッ化物もしくはアルカリ土類金属フッ化物だけでなく対応する酸化物もしくは炭酸塩である(たとえば、LiF、Li
2O、BaF
2、MgO、NaF、CsF、Cs
2CO
3等)。さらに、リチウムキノリナート(LiQ)も、この目的のために使用することができる。この層の層厚は、好ましくは、0.5〜5nmである。
【0217】
アノードは、好ましくは、高い仕事関数を有する材料である。アノードは、好ましくは、真空に対して4.5eVより高い仕事関数を有する。この目的に適切なのは、たとえば、Ag、PtもしくはAuのような高い還元電位を有する金属である。他方、金属/金属酸化物電極(たとえば、Al/Ni/NiO
x、Al/PtO
x)も好ましい可能性がある。いくつかの用途のためには、少なくとも一つの電極は、有機材料の照射(有機太陽電池)もしくは光のアウトカップリング(OLED、O−LASER)の何れかを可能とするために、透明または部分的に透明でなければならない。ここで、好ましいアノード材料は、伝導性混合金属酸化物である。特に好ましいものは、インジウム錫酸化物(ITO)もしくはインジウム亜鉛酸化物(IZO)である。さらに好ましいものは、伝導性のドープされた有機材料、特に、伝導性のドープされたポリマーである。さらに、アノードは、複数の層、たとえば、ITOの内部層と金属酸化物の外部層、好ましくは、タングステン酸化物、モリブデン酸化物またはバナジウムから成ってもよい。
【0218】
製造中に、電子素子は(用途により)適切に構造化され、接点を供され、本発明による素子の寿命が水および/または空気の存在で短くなることから、最後に封止される。
【0219】
好ましい1態様では、本発明の電子素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用されることを特徴とし、材料は、10
−5mbar未満、好ましくは、10
−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で真空気相堆積される。しかしながら、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10
−7mbar未満でも可能である。
【0220】
同様に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)法もしくはキャリアガス昇華により適用されることを特徴とし、材料は、10
−5mbar〜1barの圧力で適用される。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)法であり、材料はノズルにより直接適用され、そしてそれにより構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0221】
さらに好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえばスクリーン印刷、フレキソ印刷、ノズル印刷あるいはオフセット印刷、特に好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、あるいはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。可溶性の式(1)の化合物が、この目的のために必要である。高い溶解性は、化合物の適切な置換により実現することができる。
【0222】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造のために、一以上の層を溶液からまた一以上の層を昇華プロセスにより適用することが、さらに好ましい。
【0223】
したがって、本発明は、少なくとも一つの有機層が気相堆積により、または溶液から適用されることを特徴とする本発明の電子素子の製造方法に関する。
【0224】
本発明にしたがうと、一以上の式(I)の化合物を含む電子素子は、照明用途の光源として、医療および/または美容用途(たとえば、光治療)の光源として、表示装置において使用することができる。
【0225】
本発明は、また、少なくとも一つの式(I)の化合物もしくは少なくとも一つの上記言及した組成物と少なくとも一つの溶媒を含む調合物に関する。
【0226】
適切で好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に、3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコンヌ、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、ブチルベンゾエート、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、エチルベンゾエート、インダン、メチルベンゾエート、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ−テル、トリプロピレングリコールジメチルエ−テル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタンもしくはこれら溶媒の混合物である。
【0227】
式(1)の化合物を含む素子を、非常に多用途で使用することができる。よって、たとえば式(1)の1以上の化合物を含むエレクトロルミネッセンス素子を、テレビジョン、モバイル電話機、コンピュータ、カメラ用の表示装置で使用することができる。しかしながら、素子を照明用途にも使用することができる。さらに、たとえばOLEDまたはOLECにおいて、式(1)の少なくとも1つの化合物を含むエレクトロルミネッセンス素子を、医学あるいは美容における光線療法に利用できる。したがって、多数の病気(乾癬、アトピー性皮膚炎、炎症、にきび、皮膚癌等)、あるいは皮膚の皺、皮膚の発赤、皮膚の老化の予防または低減の処置をすることができる。さらに、飲料、食物または食品を新鮮に保つため、あるいは装置(例えば医療機器)を滅菌するために、発光素子を利用することができる。
【0228】
したがって、本発明は、医学での光線療法に用いるための、少なくとも1つの式(1)の化合物を含む、電子素子、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子、非常に好ましくは、OLEDまたはOLEC、最も好ましくは、OLEDにも関する。
【0229】
したがって、本発明は、さらに、皮膚疾患の光線療法に用いるための、少なくとも1つの式(1)の化合物を含む、電子素子、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子、非常に好ましくは、OLEDまたはOLEC、非常に特に好ましくは、OLEDにも関する。
【0230】
したがって、本発明は、さらに、乾癬、アトピー性皮膚炎、炎症、にきび、創傷治癒、皮膚癌の光線療法に用いるための、少なくとも1つの式(1)の化合物を含む、電子素子、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子、非常に好ましくは、OLEDまたはOLEC、非常に特に好ましくはOLEDにも関する。
【0231】
したがって、本発明は、さらに、ニキビ、皮膚の老化の、およびセルライトの治療用に美容用に用いるための、少なくとも1つの式(1)の化合物を含む、電子素子、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子、非常に好ましくは、OLEDまたはOLEC、非常に特に好ましくは、OLEDにも関する。
【0232】
本発明の化合物または本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、先行技術より優れた以下の驚異的な利点により、先行技術とは異なる。
【0233】
1.本発明の化合物は、発光層での使用のために極めて高度に適しており、先行技術からの化合物と比べて改善された性能データを示す。
【0234】
2.本発明の化合物は、比較的低い昇華温度、高い温度安定性を有し、それゆえに分解することなく、残留物もなく昇華することができる。さらに、それらは、高い酸化安定性と高いガラス転移温度を有し、このことはたとえば溶液からのまたは気相からの加工能性と、電子素子での使用との両者について好都合である。
【0235】
3.電子素子における本発明の化合物の使用により、特に、マトリックス材料としてのみならず、電子輸送または電子注入材料として用いると、高い効率、低い駆動電圧と長い寿命をもたらす。
【0236】
本発明で説明された態様の変形が、本発明の範囲に入ることが指摘されねばならない。本発明で開示された各特長は、明確に除外されなければ、同じか、等価か、類似する目的に役立つ代替的特徴により置き代えられてよい。したがって、特に断らなければ、本発明で開示された各特長は、一般的な一連の例としてか、等価か類似する特長とみなされなければならない。
【0237】
本発明のすべての特長は、特定の特徴および/または工程が相互に排除しないならば、とにかく互いに組み合わせることができる。これは、特に、本発明の好ましい特徴にあてはまる。同様に、非本質的な組み合わせの特徴は、(組み合わせではなく)別に、使用することができる。
【0238】
多くの特徴、特に、本発明の好ましい態様の特徴は、それ自身で発明性があり、本発明の態様の単なる部分としてだけではないとみなされねばならない。現在クレームされた発明に加えてまたその代替として、独立した保護が、これらの特徴のために与えられてよい。
【0239】
本発明で開示された技術的機能に関する教示を抽出し、他の例と組み合わせることができる。
【0240】
本発明を、以下の例によってより詳細に説明するが、それにより本発明が制限されるものではない。
【0241】
例:
以下の合成を、別段の指定がない限り、無水溶媒中で保護ガス雰囲気下で実施する。溶媒及び試薬を、たとえば、Sigma-ALDRICHまたはABCRから購入することができる。文献から知られている化合物に対して示されている角括弧中の番号は、CAS番号に関連する。
【0242】
例1
3-ジベンゾフラン-4-イル-6,9-ジフェニル-9H-カルバゾールの合成
【0243】
【化34】
【0244】
28.9g(136ミリモル)のジベンゾフラン-4-ボロン酸と、40g(124.1ミリモル)の3-ブロモ-9-フェニル-9H-カルバゾールと、78.9ml(158ミリモル)のNa
2CO
3(2M溶液)とを、120mlのトルエンと、120mlのエタノールと、100mlの水の中に懸濁させる。2.6g(2.2ミリモル)のPd(PPh
3)
4をこの懸濁液に添加し、この反応混合物を還流下で16時間、加熱する。冷却後、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過し、200mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。残留物をトルエンから再結晶化させる。収率は49.7g(121ミリモル)であり、理論値の97%に対応する。
【0245】
同じようにして、以下の化合物を得ることができる:
【0246】
【化35-1】
【0247】
【化35-2】
【0248】
例2
1-ジベンゾフラン-4-イル-2-フェニル-1H-ベンズイミダゾールの合成
【0249】
【化36】
【0250】
8.0g(42.2ミリモル)のヨウ化銅(I)と、11.7ml(97.5ミリモル)のtrans-シクロヘキサンジアミンとを、1170mlのジオキサン中で、42g(234ミリモル)の2-フェニル-1H-ベンズイミダゾールと、57.7g(234ミリモル)の4-ブロモ-ジベンゾフランと、416.4g(1961ミリモル)のリン酸カリウムとを激しく撹拌した懸濁液へ添加し、この混合物をその後、還流下で16時間、加熱する。冷却後、沈殿した固形物を吸引濾過し、50mlのトルエンで三度、50mlのエタノール:水(1:1,v:v)で三度、100mlのエタノールで三度、洗浄する。収率:52g(144ミリモル)、理論値の85%。
【0251】
同じようにして、以下の化合物を得ることができる:
【0252】
【化37】
【0253】
例3
3,9-ジフェニル-6-(6-トリメチルシラニルジベンゾフラン-4-イル)-9H-カルバゾールの合成
【0254】
【化38】
【0255】
127ml(225.4ミリモル)のn-ブチルリチウム(ヘキサン中、2.5M)を、1000mlのTHF中で、58.7g(121ミリモル)の3-ジベンゾフラン-4-イル-6,9-ジフェニル-9H-カルバゾールと、28g(242ミリモル)のTMEDAの20℃に冷却した溶液へ滴下する。この反応混合物を室温で3時間、撹拌し、次いで0℃まで冷却し、26g(242ミリモル)のクロロトリメチルシランを30分間にわたって滴下し、この混合物を室温で8時間、撹拌する。その後、溶媒を真空で除去し、残留物を、溶離剤としてクロロホルムとともに、シリカゲル上でクロマトグラフィにより精製する。収率:41g(72ミリモル)、理論値の61%。
【0256】
同じようにして、以下の化合物を得ることができる:
【0257】
【化39-1】
【0258】
【化39-2】
【0259】
例4
6-(3,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-4-ジベンゾフラニル-ボロン酸の合成
【0260】
【化40】
【0261】
21g(86ミリモル)の三臭化臭素を、保護ガス下で、500mlのジクロロメタン中の40g(72ミリモル)の3,9-ジフェニル-6-(6-トリメチルシラニル-ジベンゾフラン-4-イル)-9H-カルバゾールの溶液へ滴下し、この混合物を室温で10時間、撹拌する。次いで、少量の水をこの混合物へゆっくりと添加し、沈殿した残留物を濾過して取り除き、ヘプタンで洗浄する。収率は32g(61ミリモル)であり、理論値の85%に対応する。
【0262】
同じようにして、以下の化合物を得ることができる。
【0263】
【化41-1】
【0264】
【化41-2】
【0265】
例5
6-(3,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-4-ジベンゾフラニル-ボロン酸の合成
【0266】
【化42】
【0267】
9g(32ミリモル)の4,6-ジベンゾフランジイルビスボロン酸と、12.5g(31.6ミリモル)の3-ブロモ-9-フェニル-9H-カルバゾールと、31ml(63ミリモル)のNa
2CO
3(2M溶液)とを、120mlのトルエンと、120mlのエタノールの中に懸濁させる。0.73g(0.63ミリモル)のPd(PPh
3)
4をこの懸濁液に添加し、この反応混合物を還流下で16時間、加熱する。冷却後、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過し、200mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。残留物をトルエンから再結晶化させる。収率は11.2g(21ミリモル)であり、理論値の67%に対応する。
【0268】
同じようにして、以下の化合物を得ることができる:
【0269】
【化43】
【0270】
例6
10-(6-ブロモジベンゾフラン-4-イル)-7-フェニル-7H-12-チア-7-アザインデノ[1,2-a]フルオレンの合成
【0271】
【化44】
【0272】
12.5g(32ミリモル)の5-フェニル-5H[1]ベンゾチエノ[3,2-c]カルバゾール-3-イル)ボロン酸と、8.9g(31.6ミリモル)の4,6-ジブロモジベンゾフランと、31ml(63ミリモル)のNa
2CO
3(2M溶液)とを、120mlのトルエンと、120mlのエタノールの中に懸濁させる。0.73g(0.63ミリモル)のPd(PPh
3)
4をこの懸濁液に添加し、この反応混合物を還流下で16時間、加熱する。冷却後、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過し、200mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。残留物をトルエンから再結晶化させる。収率は13.3g(22ミリモル)であり、理論値の73%に対応する。
【0273】
同じようにして、以下の化合物を得ることができる。
【0274】
【化45-1】
【0275】
【化45-2】
【0276】
【化45-3】
【0277】
対応するボロン酸との第2の添加反応によって、同じようにして、以下の化合物を得ることができる:残留物はトルエンから再結晶化され、最後に、高真空(p=5×10
−5mbar)で昇華させる。
【0278】
【化46-1】
【0279】
【化46-2】
【0280】
【化46-3】
【0281】
【化46-4】
【0282】
例7
3-[6-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)ジベンゾフラン-4-イル]-6,9-ジフェニル-9H-カルバゾールの合成
【0283】
【化47】
【0284】
37g(70ミリモル)の6-(3,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-4-ジベンゾフラニル-ボロン酸と、18.8g(70ミリモル)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンと、78.9ml(158ミリモル)のNa
2CO
3(2M溶液)とを、120mlのエタノールと、100mlの水の中に懸濁させる。1.3g(1.1ミリモル)のPd(PPh
3)
4をこの懸濁液に添加し、この反応混合物を還流下で16時間、加熱する。混合物の冷却後、ジクロロメタンを添加し、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過する。収率は41g(58ミリモル)であり、理論値の83%に対応する。残留物をトルエンから再結晶化させ、最後に、高真空(p=5×10
−5mbar)で昇華させる。純度は99.9%である。
【0285】
同じようにして、以下の化合物を得ることができる。
【0286】
【化48】
【0287】
例8
8-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-9,6’,9’-トリフェニル-9H,9’H-[1,2’]ビカルバゾリルの合成
【0288】
【化49】
【0289】
50.4g(70.58ミリモル)の8-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-6’,9’-ジフェニル-9H,9’H-[1,2’]ビカルバゾリルと、16.4g(105.87ミリモル)のブロモベンゼンとをトルエン中に溶解させ、この混合物を保護ガスの導入によって脱気する。7ml(7ミリモル、トルエン中、1M溶液)のトリ-tert-ブチルホスフィンと、633.8mg(2.82ミリモル)のPd(OAc)
2と、10.2g(105.87ミリモル)のNaOtBuとを、その後添加する。固形物を前もって脱気しておき、この混合物を引き続き、脱気し、次いで還流下で3時間撹拌する。温い反応溶液を酸化アルミニウムB(活性度1)を通して濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、蒸発させる。収率は44g(55ミリモル)であり、理論値の79%に対応する。残留物をトルエンから再結晶化させ、最後に、高真空(p=5×10
−5mbar)で昇華させる。純度は99.9%である。
【0290】
同じようにして、以下の化合物を得ることができる:
【0291】
【化50】
【0292】
例10(比較)
3-{4-[6-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)ジベンゾフラン-4-イル]-フェニル}-9-フェニル-9H-カルバゾールの合成
a) 2-(6-ブロモジベンゾフラン-4-イル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンの合成
【0293】
【化51】
【0294】
80g(245ミリモル)の4,6-ジブロモジベンゾフランを、加熱により乾燥されているフラスコ中で、500mlの無水THFに溶解させる。反応混合物を−78℃まで冷却する。ジブチルエーテル(115ミリモル)中の、57mlのn-フェニルリチウムの1.9M溶液をこの温度でゆっくりと滴下する。バッチを−73℃でさらに1時間、撹拌する。その後、65gの2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(245ミリモル)を、150mlのTHF中に溶解させ、−70℃で滴下する。添加が完了したら、反応混合物を室温までゆっくりと温め、室温で終夜、撹拌し、水で反応を止め、その後、ロータリーエバポレーター中で蒸発させ、その期間に白色の固形物が沈殿する。バッチを次いで、室温まで冷却し、沈殿した固形物を吸引濾過し、メタノールで濯ぐ。収率は40g(84ミリモル)であり、理論値の34%に対応する。
【0295】
b) 3-{4-[6-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)ジベンゾフラン-4-イル]フェニル}-9-フェニル-9H-カルバゾールの合成
【0296】
【化52】
【0297】
33.4g(70ミリモル)の2-(6-ブロモジベンゾフラン-4-イル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンと、25.4g(70ミリモル)の4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニルボロン酸と、78.9ml(158ミリモル)のNa
2CO
3(2M溶液)とを、120mlのエタノールと、100mlの水との中に懸濁させる。1.3g(1.1ミリモル)のPd(PPh
3)
4をこの懸濁液に添加し、この反応混合物を還流下で16時間、加熱する。混合物の冷却後、ジクロロメタンを添加し、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過し、トルエンから再結晶化させる。収率は40g(56ミリモル)であり、理論値の80%に対応する。
【0298】
同じようにして、以下の化合物を得ることができる:
【0299】
【化53】
【0300】
例11(比較)
3-{7-[4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]ジベンゾ-フラン-4-イル}-9-フェニル-9H-カルバゾールの合成
a) 2-(4-ジベンゾフラン-3-イルフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンの調製
【0301】
【化54】
【0302】
24g(70ミリモル)の4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル)ボロン酸と、17.3g(70ミリモル)の3-ブロモジベンゾフランと、78.9ml(158ミリモル)のNa
2CO
3(2M溶液)とを、120mlのエタノールと、100mlの水との中に懸濁させる。1.3g(1.1ミリモル)のPd(PPh
3)
4をこの懸濁液に添加し、この反応混合物を還流下で16時間、加熱する。混合物の冷却後、ジクロロメタンを添加し、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過し、トルエンから再結晶化させる。収率は28g(58ミリモル)であり、理論値の86%に対応する。
【0303】
同じようにして、以下の化合物を得ることができる:
【0304】
【化55】
【0305】
b) 2,4-ジフェニル-6-[4-(6-トリメチルシラニルジベンゾフラン-3-イル)-フェニル]-1,3,5トリアジンの合成
【0306】
【化56】
【0307】
127ml(225.4ミリモル)のn-ブチルリチウム(ヘキサン中、2.5M)を、1000mlのTHF中の、57.4g(121ミリモル)の2-(4-ジベンゾフラン-3-イルフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5トリアジンと、28g(242ミリモル)のTMEDAの20℃に冷却した溶液へ滴下する。この反応混合物を室温で3時間、撹拌し、次いで0℃まで冷却し、26g(242ミリモル)のクロロトリメチルシランを30分間にわたって滴下する。この混合物を室温で8時間、撹拌する。その後、溶媒を真空で除去し、残留物を、溶離剤としてクロロホルムとともに、シリカゲル上でクロマトグラフィにより精製する。収率:41g(74ミリモル)、理論値の63%。
【0308】
同じようにして、以下の化合物を得ることができる。
【0309】
【化57】
【0310】
c) 3-[4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]ジベンゾ-フラン-6-ボロン酸の合成
【0311】
【化58】
【0312】
21g(86ミリモル)の三臭化臭素を、保護ガス下で、500mlのジクロロメタン中の39gの2,4-ジフェニル-6-[4-(6-トリメチルシラニルジベンゾフラン-3-イル)フェニル]-1,3,5-トリアジンの溶液へ滴下し、この混合物を室温で10時間、撹拌する。次いで、少量の水をこの混合物へゆっくりと添加し、沈殿した残留物を濾過して取り除き、ヘプタンで洗浄する。収率は32g(62ミリモル)であり、理論値の87%に対応する。
【0313】
同じようにして、以下の化合物を得ることができる。
【0314】
【化59】
【0315】
d) 3-{7-[4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]-ジベンゾフラン-4-イル}-6,9-ジフェニル-9H-カルバゾールの合成
【0316】
【化60】
【0317】
36g(70ミリモル)の3-[4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]ジベンゾ-フラン-6-ボロン酸と、27g(70ミリモル)の3-ブロモ-6,9-ジフェニル-9H-カルバゾールと、78.9ml(158ミリモル)のNa
2CO
3(2M溶液)とを、120mlのエタノールと、100mlの水との中に懸濁させる。1.3g(1.1ミリモル)のPd(PPh
3)
4をこの懸濁液に添加し、この反応混合物を還流下で16時間、加熱する。混合物の冷却後、ジクロロメタンを添加し、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過し、トルエンから再結晶化させる。残留物をトルエンから再結晶化させ、最後に、高真空(p=5×10
−5mbar)で昇華させる。収率は36g(53ミリモル)であり、理論値の80%に対応する。
【0318】
同じようにして、以下の化合物を得ることができる。
【0319】
【化61】
【0320】
例12
3-ジベンゾフラン-4-イル-9-フェニル-9H-カルバゾールの合成
【0321】
【化62】
【0322】
28.9g(136ミリモル)のジベンゾフラン-4-ボロン酸と、40g(124.1ミリモル)の3-ブロモ-9-フェニル-9H-カルバゾールと、78.9ml(158ミリモル)のNa
2CO
3(2M溶液)とを、120mlのトルエンと、120mlのエタノールと、100mlの水の中に懸濁させる。2.6g(2.2ミリモル)のPd(PPh
3)
4をこの懸濁液に添加し、この反応混合物を還流下で16時間、加熱する。冷却後、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過し、200mlの水で三度洗浄し、その後蒸発乾固させる。残留物をトルエンから再結晶化させる。収率は49.7g(121ミリモル)であり、理論値の97%に対応する。
【0323】
同じようにして、以下の化合物を得ることができる:
【0324】
【化63】
【0325】
例13
9-フェニル-3-(6-トリメチルシラニルジベンゾフラン-4-イル)-9H-カルバゾールの合成
【0326】
【化64】
【0327】
127ml(225.4ミリモル)のn-ブチルリチウム(ヘキサン中、2.5M)を、1000mlのTHF中の49g(121ミリモル)の3-ジベンゾフラン-4-イル-9-フェニル-9H-カルバゾールと、28g(242ミリモル)のTMEDAとの20℃に冷却した溶液へ滴下する。この反応混合物を室温で3時間、撹拌し、次いで0℃まで冷却し、26g(242ミリモル)のクロロトリメチルシランを30分間にわたって滴下し、この混合物を室温で8時間、撹拌する。その後、溶媒を真空で除去し、残留物を、溶離剤としてクロロホルムとともに、シリカゲル上でクロマトグラフィにより精製する。収率:34g(72ミリモル)、理論値の60%。
【0328】
同じようにして、以下の化合物を得ることができる。
【0329】
【化65】
【0330】
例14
B-[6-(フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-4-ジベンゾフラニル]ボロン酸の合成
【0331】
【化66】
【0332】
21g(86ミリモル)の三臭化臭素を、保護ガス下で、500mlのジクロロメタン中の34g(72ミリモル)のB-[6-(フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-4-ジベンゾフラニル]ボロン酸の溶液に滴下し、この混合物を室温で10時間、撹拌する。次いで、少量の水をこの混合物へゆっくりと添加し、沈殿した残留物を濾過して取り除き、ヘプタンで洗浄する。収率は28g(62ミリモル)であり、理論値の86%に対応する。
【0333】
同じようにして、以下の化合物を得ることができる。
【0334】
【化67】
【0335】
例15
10-(6-ブロモジベンゾフラン-4-イル)-7-フェニル-7H-12-チア-7-アザインデノ[1,2-a]フルオレンの合成
【0336】
【化68】
【0337】
12.5g(32ミリモル)の5-フェニル-5H[1]ベンゾチエノ[3,2-c]カルバゾール-3-イルボロン酸と、8.9g(31.6ミリモル)の4,6-ジブロモジベンゾフランと、31ml(63ミリモル)のNa
2CO
3(2M溶液)とを、120mlのトルエンと、120mlのエタノール中に懸濁させる。0.73g(0.63ミリモル)のPd(PPh
3)
4をこの懸濁液に添加し、この反応混合物を還流下で16時間、加熱する。冷却後、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過し、200mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。残留物をトルエンから再結晶化させる。収率は13.3g(22ミリモル)であり、理論値の73%に対応する。
【0338】
同じようにして、以下の化合物を得ることができる
【0339】
【化69】
【0340】
例16
OLEDの製造および特性決定
以下の例V1〜V7とE1〜Eでは、種々のOLEDのデータが提示されている(表1と2)。
【0341】
例V1−E23の前処理:厚さ50nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆されたガラス板が、改善された加工のために、20nmのPEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレン・スルホン酸)で水溶液からのスピンコーティング、Heraeus Precious Metals GmbH独国からCLEVIOS(登録商標)P VP AI 4083として購入)で被覆される。これらの被覆されたガラス板は、OLEDが適用される基板を形成する。
【0342】
OLEDは、基本的に、次の層構造を有する:基板/正孔輸送層(HTL)/中間層(IL)/電子ブロック層(EBL)/発光層(EML)/随意に、正孔ブロック層(HBL)/電子輸送層(ETL)/随意に、電子注入層(EIL)および最後にカソード。カソードは、100nm厚のアルミニウム層により形成される。OLEDの正確な構造を、表1に見ることができる。OLEDの製造のために必要な材料を、表3に示す。
【0343】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。ここでは、発光層は、常に、少なくとも一種のマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発により特定の体積割合で一種または複数種のマトリックス材料と予備混合される発光ドーパント(エミッター)とから成る。ここでは、IC1:IC3:TEG1(55%:35%:10%)等の表現は、材料IC1が55体積%の割合で層中に存在し、IC3が35体積%の割合で層中に存在し、TEG1が10体積%の割合で層中に存在することを意味する。同じように、電子輸送層も、二種の材料の混合物から成ってもよい。
【0344】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、ランベルト発光特性を仮定して、電流-電圧-輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としての電流効率(cd/Aで測定)、パワー効率(Im/Wで測定)、外部量子効率(EQE、パーセントで測定)および寿命が測定される。エレクトロルミネセンススペクトルは、輝度1000cd/m
2で測定され、CIE1931xおよびy色座標はそこから計算される。表2での言い回しU1000は、輝度1000cd/m
2に対して必要とされる電圧を示す。CE1000とPE1000は、1000cd/m
2で達成される電流およびパワー効率をそれぞれ示す。最後に、EQE1000は、駆動輝度1000cd/m
2での外部量子効率を示す。寿命LTは、一定の電流で動作する輝度が、初期輝度から、ある比率L1に低下するまでの時間として定義される。表2中のL0;j0=4000cd/m
2とL1=70%という表現は、列LTに示される寿命が、初期輝度が4000cd/m
2から2800cd/m
2に低下した後の時間に対応することを意味する。同じように、L0;j0=20mA/cm
2とL1=80%は、輝度が、20mA/cm
2で動作する時間LT後に、その初期輝度の80%に低下することを意味する。
【0345】
種々のOLEDについてのデータを、表2に要約する。例V1〜V7は先行技術による比較例であり、例E1〜E23は、本発明によるOLEDのデータを示している。
【0346】
いくつかの例を、本発明のOLEDの優位性を証明するために、以下により詳細に説明する。
【0347】
燐光OLEDの発光層における本発明の混合物の使用
燐光OLEDでマトリックス材料として使用するとき、本発明の材料は、先行技術と比べて、すべてのパラメータ、特に寿命と外部量子効率に関して、著しい改善を与える。
【0348】
緑色発光ドーパントTEG1と組み合わせて本発明の化合物FF1とFF2を使用することにより、先行技術StdT1とStdT2と比べて、約30〜40%までの寿命の増加を観察することができる(例V1、E1およびV2、E2)。さらに、本発明の化合物FF3は、先行技術StdT3と比べて、約25%までの外部量子効率の増加を可能にする(例V3、E3)。
【0349】
【表1】
【0350】
【表2】
【0351】
【表3-1】
【0352】
【表3-2】
【0353】
【表3-3】
【0354】
【表3-4】
【0355】
【表3-5】