特許第6502495号(P6502495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6502495制御されたサイズ分布を有するセラミック粉末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502495
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】制御されたサイズ分布を有するセラミック粉末
(51)【国際特許分類】
   C01G 23/00 20060101AFI20190408BHJP
   C04B 35/462 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   C01G23/00 C
   C04B35/462
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-526850(P2017-526850)
(86)(22)【出願日】2015年11月18日
(65)【公表番号】特表2017-538651(P2017-538651A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(86)【国際出願番号】US2015061256
(87)【国際公開番号】WO2016081552
(87)【国際公開日】20160526
【審査請求日】2017年11月28日
(31)【優先権主張番号】62/081,627
(32)【優先日】2014年11月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】バックハウス−リクルト,モニカ
(72)【発明者】
【氏名】ロッカー,ロバート ジョン
(72)【発明者】
【氏名】サルマ,フタヴァハナ クチブホトラ
(72)【発明者】
【氏名】テペシュ,パトリック デイヴィッド
【審査官】 小野 久子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−254557(JP,A)
【文献】 特開2010−138036(JP,A)
【文献】 特開2010−159197(JP,A)
【文献】 特開2010−150088(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/028207(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/046912(WO,A1)
【文献】 特開2010−180120(JP,A)
【文献】 特開2011−020899(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/095615(WO,A1)
【文献】 特開2010−089981(JP,A)
【文献】 特開2010−132527(JP,A)
【文献】 特開2010−077008(JP,A)
【文献】 特開2010−138035(JP,A)
【文献】 URIBE R,FORMACION DE TITANATO DE ALUMINIO POR REACCION EN ESTADO SOLIDO DE ALUMINA Y TITANIA,BOLETIN DE LA SOCIEDAD ESPANOLA DE CERAMICA Y VIDRIO,ES,2000年 3月 1日,VOL:39, NR:2,PAGE(S):221 - 228,ALUMINUM TITANATE FORMATION BY SOLD-STATE REACTION OF ALUMINA AND TITANIA,URL,https://www.researchgate.net/profile/Rafael_Uribe3/publication/45192162_Formacion_de_Titanato_de_Aluminio_por_Reaccion_en_Estado_Solido_de_Alumina_y_Titania/links/57c998a708ae59825180f135/Formacion-de-Titanato-de-Aluminio-por-Reaccion-en-Estado-Solid
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 23/00
C04B 35/462
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタネート化合物粉末を調製する方法において、
第1の金属又は金属酸化物の供給源から選択される少なくとも1つの第1の無機化合物、チタニア供給源から選択される少なくとも1つの第2の無機化合物、少なくとも1つの結合剤、および任意でコロイド状シリカを混合して、混合物を形成する工程;
前記混合物を、ある温度で、ある時間、焼成して、複数のチタネート化合物粒を含む多結晶性材料を形成する工程であって、該多結晶性材料が複数の微小亀裂をさらに含む、工程;及び
前記多結晶性材料を前記微小亀裂の少なくとも一部に沿って破壊して、1μm〜100μmの範囲のメジアン粒径(d50)、1μm〜80μmの範囲のd10、1μm〜200μmの範囲のd90、0.5〜2.0の範囲の(d90−d10)/d50として定義されるDを有するチタネート化合物粉末として表される、制御された粒径及び/又は粒径分布を有するチタネート化合物粒子を含むチタネート化合物粉末を提供する工程
を含
少なくとも、(1)焼成温度;(2)焼成時間;(3)コロイド状シリカの添加;および(4)MT2(二チタン酸マグネシウム)レベルを可変パラメータとして制御する、方法。
【請求項2】
前記多結晶性材料を前記微小亀裂の少なくとも一部に沿って破壊する工程が、前記多結晶性材料を粉砕する工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
セラミック物品を調製する方法において、
第1の金属又は金属酸化物の供給源から選択される少なくとも1つの第1の無機化合物、チタニア供給源から選択される少なくとも1つの第2の無機化合物、少なくとも1つの結合剤、および任意でコロイド状シリカを混合して、混合物を形成する工程;
前記混合物を、ある温度で、ある時間、焼成して、複数のチタネート化合物粒を含む多結晶性材料を形成する工程であって、該多結晶性材料が複数の微小亀裂をさらに含む、工程;
前記多結晶性材料を前記微小亀裂の少なくとも一部に沿って破壊して、1μm〜100μmの範囲のメジアン粒径(d50)、1μm〜80μmの範囲のd10、1μm〜200μmの範囲のd90、0.5〜2.0の範囲の(d90−d10)/d50として定義されるDを有するチタネート化合物粉末として表される、制御された粒径及び/又は粒径分布を有するチタネート化合物粒子を含むチタネート化合物粉末を提供する工程;
制御された粒径分布を有するチタネート化合物粒子を含む前記チタネート化合物粉末を含む、セラミックバッチ組成物を調製する工程;
前記セラミックバッチ組成物を成形して、未焼成のセラミック体を調製する工程;及び
前記未焼成のセラミック体を焼成して、セラミック物品を調製する工程であって、該セラミック物品が、約室温〜約800℃の範囲にわたり、約0/℃〜約25×10−7/℃の範囲の熱膨張係数を有する、工程
を含
少なくとも、(1)焼成温度;(2)焼成時間;(3)コロイド状シリカの添加;および(4)MT2(二チタン酸マグネシウム)レベルを可変パラメータとして制御する、方法。
【請求項4】
セラミック物品を調製する方法において、
第1の金属又は金属酸化物の供給源から選択される少なくとも1つの第1の無機化合物、チタニア供給源から選択される少なくとも1つの第2の無機化合物、少なくとも1つの結合剤、および任意でコロイド状シリカを混合して、混合物を形成する工程;
前記混合物を、ある温度で、ある時間、焼成して、複数のチタネート化合物粒を含む多結晶性材料を形成する工程であって、該多結晶性材料が複数の微小亀裂をさらに含む、工程;
前記多結晶性材料を前記微小亀裂の少なくとも一部に沿って破壊して、1μm〜100μmの範囲のメジアン粒径(d50)、1μm〜80μmの範囲のd10、1μm〜200μmの範囲のd90、0.5〜2.0の範囲の(d90−d10)/d50として定義されるDを有するチタネート化合物粉末として表される、制御された粒径及び/又は粒径分布を有するチタネート化合物粒子を含むチタネート化合物粉末を提供する工程;
制御された粒径分布を有するチタネート化合物粒子を含む前記チタネート化合物粉末を含む、セラミックバッチ組成物を調製する工程;及び
前記セラミックバッチ組成物を加工して、セラミック物品に施用するためのセラミックプラグ又はセラミックスキンを提供する工程
を含
少なくとも、(1)焼成温度;(2)焼成時間;(3)コロイド状シリカの添加;および(4)MT2(二チタン酸マグネシウム)レベルを可変パラメータとして制御する、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2014年11月19日出願の米国仮特許出願第62/081,627号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、制御された粒径分布を有するセラミック粉末、及び、そのようなセラミック粉末の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば多孔質のハニカム体などの高表面積構造を含むがそれらに限られない、成形されたセラミック体は、さまざまな用途に使用されうる。このような成形されたセラミック体は、例えば、化学反応を行うための触媒の担体として、又は、ガス流及び液体流などの流体から微粒子、液体、又は気体種を捕捉するための吸着剤又はフィルタとして、使用されうる。非限定的な例として、例えばハニカム成形体などのある特定の高表面積材料は、触媒担体として、又は、ガス流からの重金属の捕捉のために用いられうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低い熱膨張係数(「CTE」)のセラミックは、環境的な濾過用途に使用されるセラミックの1つのカテゴリである。低CTE材料の2つの例は、コージエライトとチタン酸アルミニウム(「AT」)である。セラミックハニカムの製造に用いられる1つのプロセスは、コージエライト又はAT前駆体材料をバッチ化し、未焼成体を形成し、前駆体材料を反応焼結させて、インサイチュで最終的な相(例えば、コージエライト又はAT)を生成する工程を含む。このプロセスは、最高浸漬温度近くで液体の形成を生じうるが、しかしながら、前駆体材料の焼結及び反応に起因して、未焼成体のかなりの収縮も引き起こしうる。
【0005】
加えて、反応焼結を使用するプロセスは、しばしば、高多孔質のハニカムを製造するために大量の細孔形成剤を使用する。幾つかの実施形態では、細孔形成剤の量の低減により、効率が向上し、かつ、コストが削減されうる。
【0006】
最後に、セラミックバッチ材料の粒径分布(「PSD」)は、所望の微細構造の実現における重要な役割を果たす。反応焼結を使用するプロセスは、所望の微細構造を得るために、高い等級の原材料の使用を必要としうる。
【0007】
よって、代替的な方法を獲得することは有用であろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のさまざまな実施形態によれば、特定の粒径及び/又は粒径分布を有するチタネート化合物粉末又はチタネート化合物粉末前駆体を生成する方法が開示される。本方法は、第1の金属又は金属酸化物の供給源から選択される少なくとも1つの第1の無機化合物、チタニア供給源から選択される少なくとも1つの第2の無機化合物、及び少なくとも1つの結合剤を混合して、混合物を形成する工程;混合物を、ある温度で、ある時間、焼成して、複数のチタネート化合物粒を含む多結晶性材料を形成する工程であって、該多結晶性材料が複数の微小亀裂をさらに含む、工程;及び、多結晶性材料を微小亀裂の少なくとも一部に沿って破壊して、制御された粒径及び/又は粒径分布を有するチタネート化合物粒子を含むチタネート化合物粉末を提供する工程を含む。
【0009】
さまざまな実施形態において、第1の金属又は金属酸化物は、アルミニウム、アルミナ、マグネシウム、酸化マグネシウム、鉄、酸化鉄、及びそれらの組合せの供給源から選択される。幾つかの実施形態では、第1の金属酸化物はアルミナである。
【0010】
混合物は、ある特定の実施形態では、マグネシウム化合物、鉄化合物、及びそれらの組合せから選択される少なくとも1つの化合物をさらに含みうる。幾つかの実施形態では、混合物はさらに、例えばコロイド状シリカなどの少なくとも1つのシリカ成分を含む。
【0011】
さまざまな実施形態において、多結晶性材料は、チタン酸アルミニウム、二チタン酸マグネシウム、チタン酸鉄、シリカ、及びそれらの組合せを含む粒を含みうる。
【0012】
幾つかの実施形態では、混合物は、焼成工程の前に、少なくとも1つの成形体又は未成形体へと形成される。
【0013】
さまざまな実施形態において、期間は、例えば約1時間〜約25時間など、最長で約30時間までの範囲でありうる。
【0014】
温度は、ある特定の実施形態では、約1200℃〜約1800℃の範囲でありうる。
【0015】
幾つかの実施形態では、チタネート化合物粒子は、約5μm〜約60μm の範囲のd50によって特徴付けられる制御された粒径分布を有する。ある特定の実施形態では、チタネート化合物粒子は、約1μm〜約100μmの範囲の平均粒径を有する。
【0016】
さまざまな実施形態において、多結晶性材料を微小亀裂の少なくとも一部に沿って破壊する工程は、多結晶性材料を粉砕する工程を含む。幾つかの実施形態では、多結晶性材料は自己崩壊(self-milling)する。
【0017】
本開示の他の例となる実施形態によれば、セラミック物品を調製する方法が開示される。本方法は、第1の金属又は金属酸化物の供給源から選択される少なくとも1つの第1の無機化合物、チタニア供給源から選択される少なくとも1つの第2の無機化合物、及び少なくとも1つの結合剤を混合して、混合物を形成する工程;混合物を、ある温度で、ある時間、焼成して、複数のチタネート化合物粒を含む多結晶性材料を形成する工程であって、該多結晶性材料が複数の微小亀裂をさらに含む、工程;多結晶性材料を微小亀裂の少なくとも一部に沿って破壊して、制御された粒径及び/又は粒径分布を有するチタネート化合物粒子を含む、チタネート化合物粉末を提供する工程;及び、制御された粒径分布を有するチタネート化合物粒子を含むチタネート化合物粉末を含む、セラミックバッチ組成物を調製する工程を含む。
【0018】
幾つかの実施形態では、例示的な方法は、セラミックバッチ組成物から未焼成のセラミック体を調製する工程をさらに含む。ある特定の実施形態では、セラミックバッチ組成物は、噴霧乾燥、顆粒化、又は押出成形されて、未焼成のセラミック体を形成する。本方法は、さらに別の例示的な実施形態では、未焼成のセラミック体を焼成して、セラミック物品を調製する工程をさらに含みうる。ある特定の実施形態では、本方法は、セラミックバッチ組成物を加工して、セラミック物品に施用するためのセラミックプラグ又はセラミックスキンを提供する工程をさらに含む。
【0019】
さまざまな実施形態において、セラミック物品は、約室温〜約800℃の範囲にわたり、最大約25×10−7/℃の範囲の熱膨張係数を含む。
【0020】
本開示の他の実施形態によれば、セラミックバッチ組成物は、制御された粒径分布を有する粒子を含み、かつ、チタン酸アルミニウム、二チタン酸マグネシウム、チタン酸鉄、シリカ、及びそれらの組合せから選択される少なくとも1つの化合物を含む。幾つかの実施形態では、セラミックバッチ組成物は1つの化合物を含む。他の実施形態では、セラミックバッチ組成物は2つの化合物を含む。さらに他の実施形態では、セラミックバッチ組成物は、幾つかの化合物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】本開示の実施形態に従ったチタン酸アルミニウム凝集粒子の研磨断面の走査電子顕微鏡写真
図1B】本開示の実施形態に従ったチタン酸アルミニウム凝集粒子の研磨断面の走査電子顕微鏡写真
図2A】本開示の実施形態に従ったチタン酸アルミニウム粉末粒子の走査電子顕微鏡写真
図2B】本開示の実施形態に従ったチタン酸アルミニウム粉末粒子の走査電子顕微鏡写真
図3】本開示の実施形態に従ったさまざまな技法によって粉砕されたチタン酸アルミニウム粉末の粒径分布を示すグラフ
図4】本開示のさまざまな実施形態に従ったチタン酸アルミニウム粉末の粒径分布を示すグラフ
図5】チタン酸アルミニウム粉末のメジアン粒径(d50)における、焼成時間、温度、及び化学の影響を示すグラフ
図6】チタン酸アルミニウム粉末の粒径分布における、マグネシウム濃度の影響を示すグラフ
図7】チタン酸アルミニウム粉末のメジアン粒径(d50)における、マグネシウム濃度及びシリカの存在の影響を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の実施形態は、特定の又は制御された粒径及び/又は粒径分布(「PSD」)を有するチタネート化合物粉末の生成のための方法に関する。チタネート化合物粉末前駆体は、結合剤と混合されて混合物を形成し、該混合物は、焼成されて多結晶性材料を形成する。多結晶性材料は、破砕されてチタネート化合物粉末を形成する。粉末の粒径及び/又はPSDの制御は、チタネート化合物粉末前駆体の化学、並びに、焼成時間及び温度などの処理パラメータを介して達成される。
【0023】
本明細書に記載されるように生成される多結晶性材料は、粉末を粉砕するために用いられる方法、機械、又は技法とは無関係に、所定の粒径へと容易に破砕されうる。例えばディスク粉砕プロセスなど、粉砕プロセスのタイプを考慮せずに、任意の粉砕プロセスにさらす際に、所定の粒径及び/又はPSDへと縮小されうる材料は、本明細書では「自己崩壊」する材料と称される。所定の粒径も「制御」された粒径と称されうる。
【0024】
本明細書に記載されるように生成されるチタネート化合物粉末は、セラミックスキン及びプラグバッチ組成物における、例えば、押出成形されたセラミックハニカム又は低熱膨張係数(「CTE」)のフィラー粒子など、さまざまな用途における原材料として用いられうる。本開示の実施形態に従って生成されたチタネート化合物粉末の制御された粒径及び/又はPSDは、セラミック体の形成の間に反応焼結することなく、所望の多孔性及び低いCTEを有するセラミック体を生じうる。ある特定の実施形態によれば、セラミック体の焼成は、最終的なセラミック体材料を形成するために、少なくとも1つの前駆体材料の反応に加えて、セラミック体の高密度化を結果的に生じうる。他の実施形態では、セラミック体の焼成は、セラミック体の高密度化を結果的に生じうるが、セラミック体の焼成の間にチタネート化合物が形成される必要はない。これらの実施形態では、セラミック体は、チタネート化合物のインサイチュ形成なしに焼成される。
【0025】
よって、本開示のさまざまな実施形態は、チタネート化合物前駆体を予反応してチタネート化合物粉末を形成することによってセラミック体を形成すること、チタネート化合物粉末を有するセラミックバッチ組成物を調製すること、バッチ組成物を有するセラミック未焼成体を形成すること、及び、セラミック未焼成体を焼結してセラミック体を形成することに関する。幾つかの実施形態では、チタネート化合物前駆体からチタネート化合物を形成する反応は、セラミック未焼成体をセラミック体へと高密度化することを含む焼結ステップとは別の焼結ステップを含む。
【0026】
理論に縛られることは望まないが、多結晶性材料は、結晶子又は「粒」の熱膨張における異方性の結果として、自己崩壊しうる。この方法で生成された粉末の粒径及び/又はPSDは、材料の粒度に関連している。幾つかの実施形態では、粒径は粒度と実質的に同じである。他の実施形態では、粒径は、粒度の実質的にn倍であり、ここでnは、0より大きい数である。幾つかの実施形態では、nは、約1〜約50、約1〜約20、約1〜約10、約1〜約5、約2〜約10、又は約2〜約5など、約1〜約100である。
【0027】
さまざまな実施形態によれば、粒のサイズは、チタネート化合物のペレット又は凝集塊を形成するように焼成又はか焼された、チタネート化合物前駆体のペレット又は凝集塊のサイズに応じて決まる。
【0028】
理論に縛られることは望まないが、粒は、多結晶性材料内の微小亀裂に沿って分離されうる。幾つかの実施形態では、閾値サイズより大きいチタネート化合物粒の存在は、微小亀裂に沿った粒の分離を結果的に生じる。閾値サイズは、チタネート化合物のペレット又は凝集塊のサイズ、チタネート化合物のペレット又は凝集塊の化学成分、及び/又は、例えば細孔に対する近さ又は多孔の量などの粒を取り囲む環境に応じて決定されうる。加えて、チタネート化合物材料中の例えばマグネシウム又は鉄などの追加の金属の量は、閾値サイズに影響を与えうる。ある特定の実施形態では、チタネート化合物のペレット又は凝集塊が大きいほど、粒間に十分な応力を生成して微小亀裂を形成するために、より大きい閾値サイズを必要とする。幾つかの実施形態では、閾値サイズは、例えば約1μm〜約5μmなど、約1μm〜約10μmの範囲である。
【0029】
多結晶性材料を所望の又は制御された粒径へと破砕するのに必要とされるエネルギーは、異方性の熱膨張によって誘起される歪みエネルギーによって、一部又は全体的に供給されうる。よって、少なくともある特定の実施形態では、非常に小さい力学的な外部エネルギーが、所望の又は制御されたサイズの粒子の生成に必要とされる。さまざまな実施形態において、積極的な又はエネルギー集約型の粉砕工程がないことは、焼成後の粉末の汚染の可能性を低減しうる。
【0030】
本開示のさまざまな実施形態によって生成されるチタネート化合物粉末は、所定の又は制御された粒径及び/又はPSDを有することから、粉末を要求される粒径及び/又はPSDへと粉砕するための費用のかかる機械及び/又はプロセスの必要性が低減される。少なくとも幾つかの実施形態では、チタネート化合物粉末の粒径及び/又はPSDは、粉砕プロセス又は技法とは無関係である。
【0031】
さまざまな実施形態によれば、チタネート化合物粉末は、擬板チタン石粉末又は擬板チタン石の結晶構造を有するチタネート化合物を含む。幾つかの実施形態では、チタネート化合物粉末は、アルミニウム、マグネシウム、鉄、又はそれらの組合せから選択される少なくとも1つの金属を含む。
【0032】
本開示のさまざまな実施形態に従ったチタネート化合物前駆体は、第1の金属又は金属酸化物を含む化合物とチタンを含む化合物とを含む。幾つかの実施形態では、チタネート化合物前駆体は、アルミニウム、マグネシウム、鉄、ケイ素、又はそれらの組合せから選択される元素を含む少なくとも1つの化合物を含む。本出願人らは、チタネート化合物前駆体材料の粒径が多結晶性のチタネート化合物材料の粒度又は微小亀裂に影響を与えないことを見出した。
【0033】
さまざまな実施形態において、第1の金属又は金属酸化物は、アルミニウムを含む化合物から選択される。幾つかの実施形態では、アルミニウムを含む化合物は、例えばアルミナの供給源など、アルミニウムを含む無機化合物である。アルミナの非限定的な供給源としては、例えば、焼成アルミナ、α−アルミナ、ベーマイト、カオリン、焼成カオリン、水和アルミナ、ギブサイト、コランダム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、及びアルミニウム三水和物が挙げられる。カオリン及び焼成カオリンは、アルミナに加えてシリカの供給源でもあり、幾つかの実施形態では、限られた量で添加される。
【0034】
アルミニウムを含む化合物は、所望のチタネート化合物材料にとって適切な任意の量で存在しうる。さまざまな実施形態において、アルミニウムを含む化合物は、チタネート化合物前駆体を含む混合物、又はチタネート化合物前駆体混合物の無機部分全体の少なくとも約35質量パーセントである。幾つかの実施形態では、アルミニウムを含む化合物は、チタネート化合物前駆体混合物の無機部分全体の少なくとも約40質量パーセント、少なくとも約45質量パーセント、少なくとも約50質量パーセント、又は少なくとも約55質量パーセントである。例えば、ある特定の実施形態では、アルミニウムを含む化合物は、チタネート化合物前駆体混合物の無機部分全体の約45質量パーセント、約46質量パーセント、約47質量パーセント、約48質量パーセント、約49質量パーセント、約50質量パーセント、約51質量パーセント、約52質量パーセント、約53質量パーセント、約54質量パーセント、又は約55質量パーセントである。
【0035】
さまざまな実施形態において、チタンを含む化合物は、例えばチタニアの供給源など、チタンを含む無機化合物である。非限定的なチタニアの供給源としては、例えば、二酸化チタン、二酸化ルチルチタン、アナターゼ二酸化チタン、及びルチル鉱石が挙げられる。ルチル鉱石は、チタニアの他の供給源よりも低コストでありうるが、しかしながら、幾つかの実施形態では、チタニアの他の供給源よりも高レベルの不純物を含みうる。
【0036】
チタンを含む化合物は、所望のチタネート化合物材料にとって適切な任意の量で存在しうる。さまざまな実施形態において、チタンを含む化合物は、チタネート化合物前駆体混合物の無機部分全体の少なくとも約35質量パーセントである。幾つかの実施形態では、チタンを含む化合物は、チタネート化合物前駆体混合物の無機部分全体の少なくとも約40質量パーセント、少なくとも約45質量パーセント、少なくとも約50質量パーセント、又は少なくとも約55質量パーセントである。例えば、ある特定の実施形態では、チタンを含む化合物は、チタネート化合物前駆体混合物の無機部分全体の約41質量パーセント、約42質量パーセント、約43質量パーセント、約44質量パーセント、約45質量パーセント、約46質量パーセント、約47質量パーセント、約48質量パーセント、約49質量パーセント、約50質量パーセント、又は約51質量パーセントである。
【0037】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの追加の無機材料がチタネート化合物前駆体混合物に添加される。追加の無機材料の非限定的な例としては、アルミニウム含有化合物、マグネシウム含有化合物、鉄含有化合物、マグネシウム及び鉄含有化合物、及びそれらの混合物が挙げられる。本開示のさまざまな実施形態では、チタネート化合物前駆体混合物は、マグネシウム含有化合物と鉄含有化合物の両方を含む。少なくともある特定の実施形態では、多結晶性のチタネート化合物材料は、チタン酸アルミニウム、二チタン酸マグネシウム、及びチタン酸鉄を含む粒を有する。このような多結晶性のチタネート化合物材料は、チタン酸アルミニウム、二チタン酸マグネシウム、及びチタン酸鉄を含む粒子を含む、チタネート化合物粉末を提供するように破砕されうる。
【0038】
チタネート化合物前駆体混合物中のマグネシウム及び/又は鉄の量は、多結晶性のチタネート化合物材料における粒度、及び/又は、多結晶性のチタネート化合物材料の破砕の結果生じるチタネート化合物粉末の粒径及び/又は粒径分布を制御するために利用されうる。
【0039】
ある特定の実施形態では、水酸化マグネシウム、タルク、焼成タルク、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウムスピネル、ブルサイト、又はそれらの組合せなど、マグネシウム含有化合物が、チタネート化合物前駆体混合物に添加される。タルク及び焼成タルクは、マグネシウムに加えてシリカの供給源でもあり、幾つかの実施形態では限られた量で添加される。ブルサイトは、他のマグネシウム供給源よりも低コストでありうる。
【0040】
チタネート化合物前駆体混合物の焼成後、チタネート化合物及び二チタン酸マグネシウム(「MT2」)を含む粒を有する多結晶性材料が形成される。幾つかの実施形態では、チタネート化合物はチタン酸アルミニウム(「AT」)であり、多結晶性材料はAT及びMT2を含む粒を有する。
【0041】
マグネシウム含有化合物は、多結晶性のチタネート化合物材料中のMT2の所望の含量、多結晶性のチタネート化合物材料の所望の粒度又は粒度分布、及び/又は、多結晶性のチタネート化合物材料の破砕の結果生じるチタネート化合物粉末の所望の粒径又は粒径分布に基づいた任意の適切な量で、チタネート化合物前駆体混合物中に存在しうる。本開示のさまざまな実施形態では、マグネシウム含有化合物は、チタネート化合物前駆体混合物中の無機化合物の全質量に基づいて、約1質量パーセント〜約20質量パーセント、又は約2質量パーセント〜約10質量パーセントなど、最大約30質量パーセントの範囲の量で存在する。幾つかの実施形態では、マグネシウム含有化合物の量は、チタネート化合物前駆体混合物中の無機化合物の全質量に基づいて、約0パーセント、約0.5質量パーセント、約1質量パーセント、約2質量パーセント、約3質量パーセント、約5質量パーセント、約8質量パーセント、約10質量パーセント、約15質量パーセント、又は約20質量パーセントである。
【0042】
他の実施形態では、酸化鉄、ヘマタイト、及びイルメナイトなどの鉄含有化合物が、チタネート化合物前駆体混合物に添加される。チタネート化合物前駆体混合物の焼成後、チタネート化合物及びチタン酸鉄を含む粒を有する多結晶性材料が形成される。
【0043】
鉄含有化合物は、多結晶性のチタネート化合物材料中のチタン酸鉄の所望の含量、多結晶性のチタネート化合物材料の所望の粒度又は粒度分布、及び/又は、多結晶性のチタネート化合物材料の破砕の結果生じるチタネート化合物粉末の所望の粒径又は粒径分布に基づいた任意の適切な量で、チタネート化合物前駆体混合物中に存在しうる。本開示のさまざまな実施形態では、鉄含有化合物は、チタネート化合物前駆体混合物中の無機化合物の全質量に基づいて、最大約4質量パーセント、約1質量パーセント〜約4質量パーセント、又は約2質量パーセント〜約3質量パーセントの範囲の量で存在する。幾つかの実施形態では、鉄含有化合物の量は、チタネート化合物前駆体混合物中の無機化合物の全質量に基づいて、約0パーセント、約0.5質量パーセント、約1質量パーセント、約1.5質量パーセント、約2質量パーセント、約2.5質量パーセント、約3質量パーセント、約3.5質量パーセント、又は約4質量パーセントである。
【0044】
本開示の幾つかの実施形態によれば、チタネート化合物前駆体混合物は、例えばコロイド状シリカなどのシリカ化合物を含む。幾つかの実施形態では、多結晶性のチタネート化合物材料は、チタン酸アルミニウム及びシリカを含む粒を有する。このような多結晶性のチタネート化合物材料は、チタン酸アルミニウム及びシリカを含む粒子を有するチタネート化合物粉末をもたらすように破砕されうる。
【0045】
チタネート化合物前駆体混合物中のコロイド状シリカの存在は、多結晶性のチタネート化合物材料の粒度、及び/又は、多結晶性のチタネート化合物材料の破砕の結果生じるチタネート化合物粉末の粒径及び/又はPSDにおけるマグネシウム及び/又は鉄の量の影響を抑制しうる。よって、ある特定の実施形態では、シリカを含む多結晶性のチタネート化合物材料の破砕の結果生じるチタネート化合物粉末のメジアン粒径は、チタネート化合物粉末中のマグネシウム及び/又は鉄の量との強い相関関係はない、又はそれらとは全く相関関係がないであろう。
【0046】
さまざまな実施形態によれば、チタネート化合物前駆体混合物は、焼結の間にガラスを形成するであろう成分を含む。理論に縛られることは望まないが、コロイド状シリカなどのガラス質相は、多結晶性のチタネート化合物材料の焼結及び粒の成長速度論に影響を与えうる。ある特定の実施形態では、カルシウム、ホウ素、ナトリウム、カリウム、セリウム、ランタン、他の希土類元素、又はそれらの組合せなどの他のガラス質相が用いられうる。
【0047】
幾つかの実施形態では、チタネート化合物前駆体混合物は、焼結の間又は後に結晶相を形成するであろう成分を含む。シリカ又はケイ酸塩などの結晶相は、ある特定の実施形態では、多結晶性のチタネート化合物材料の焼結及び粒の成長速度論に影響を与えうる。
【0048】
コロイド状シリカは、任意の適切な量で存在しうる。さまざまな実施形態において、コロイド状シリカは、チタネート化合物前駆体混合物の無機部分全体の100質量パーセントに基づいて、約1質量パーセント〜約4質量パーセント、又は約2質量パーセント〜約4質量パーセントなど、最大で約5質量パーセントの範囲の量の上乗せ添加として存在する。ある特定の実施形態では、コロイド状シリカは、チタネート化合物前駆体混合物の無機部分全体の100質量パーセントに基づいて、約0質量パーセント、約0.5質量パーセント、約1質量パーセント、約2質量パーセント、約3質量パーセント、約4質量パーセント、又は約5質量パーセントの量の上乗せ添加として存在する。
【0049】
チタネート化合物前駆体混合物は、少なくとも1つの結合剤を含みうる。結合剤は、有機結合剤又は無機結合剤でありうる。幾つかの実施形態では、チタネート化合物前駆体混合物は、結合剤を含まない。幾つかの実施形態によれば、結合剤は感熱性の結合剤である。他の実施形態では、結合剤は、感熱性の結合剤である必要はない。
【0050】
幾つかの実施形態では、チタネート化合物前駆体混合物は、有機結合剤を含む。ある特定の実施形態では、有機結合剤は、セルロース又はセルロース誘導体である。有機結合剤の非限定的な例としては、改質デンプン、グルテン、天然ガム、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられ、例えばMethocel(登録商標)A4Mなどである。
【0051】
他の実施形態では、チタネート化合物前駆体混合物は無機結合剤を含む。ある特定の実施形態では、無機結合剤は、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、粘土型の材料、又はそれらの組合せである。
【0052】
さまざまな実施形態において、結合剤は、チタネート化合物前駆体混合物の無機部分全体の100質量パーセントに基づいて、約0.1質量パーセント〜約5質量パーセント、約0.2質量パーセント〜約3質量パーセント、約0.3質量パーセント〜約2質量パーセント、約0.3質量パーセント〜約1.5質量パーセント、約0.3質量パーセント〜約1質量パーセント、又は約0.4質量パーセント〜約0.8質量パーセントなど、0〜約10質量パーセントの範囲の量の上乗せ添加として存在しうる。例えば、結合剤は、チタネート化合物前駆体混合物の無機部分全体の100質量パーセントに基づいて、約0.1質量パーセント、約0.2質量パーセント、約0.3質量パーセント、約0.4質量パーセント、約0.5質量パーセント、約0.6質量パーセント、又は約0.7質量パーセントの量の上乗せ添加として存在しうる。
【0053】
チタネート化合物前駆体混合物はさらに、必要に応じて、他の添加剤、例えば レオロジー改質剤、分散剤、界面活性剤、又は潤滑剤を含みうる。添加剤の非限定的な例としては、脂肪酸及びトール油が挙げられる。幾つかの実施形態では、チタネート化合物前駆体混合物は他の添加剤を含まない。
【0054】
チタネート化合物前駆体混合物は、バッチとして焼成されてよく、あるいは、混合物は、焼成前に少なくとも1つの成形体又は未成形体へと形成されうる。さまざまな実施形態において、混合物は、焼成前に少なくとも1つの成形体又は未成形体へと、押出成形、一軸又は静水圧冷間プレス、圧延、噴霧乾燥、カレンダー仕上げ、及び/又は押圧されうる。混合物は、各本体の均一な焼成のために実質的に均一な寸法を有する複数の本体へと形成されうる。ある特定の実施形態では、混合物は、焼成前にペレットへと形成される。幾つかの実施形態では、粒のサイズは、焼成前の成形体又は未成形体のサイズによって制御される。幾つかの実施形態では、焼成前の成形体又は未成形体がより大きいと、多結晶性材料において、より大きい粒度を生じる。
【0055】
焼成の間の加熱速度は、幾つかの実施形態では、約1℃/分より大きくなりうる。ある特定の実施形態では、焼成の間の加熱速度は、約2℃/分、約3℃/分、約4℃/分、約5℃/分、約6℃/分、又は7℃/分より大きい。幾つかの実施形態では、加熱速度は、最大約100℃/分又は1000℃/分でありうる。
【0056】
チタネート化合物前駆体混合物は、例えば、約1200℃〜約2000℃、約1250℃〜約1700℃、約1300℃〜約1700℃、約1400℃〜約1800℃、約1400℃〜約1700℃、約1450℃〜約1700℃、約1500℃〜約1700℃、又は約1500℃〜約1650℃など、少なくとも約1200℃の最高温度又は「最高浸漬」温度で焼成されうる。幾つかの実施形態では、チタネート化合物前駆体混合物は、約1450℃、約1500℃、約1550℃、約1600℃、約1650℃、又は約1700℃の温度で焼成される。
【0057】
チタネート化合物前駆体混合物は、焼成時間として知られる時間の間、焼成されうる。焼成時間は、チタネート化合物前駆体が最高温度又は最高浸漬温度で保持される時間であり、チタネート化合物前駆体を最高温度まで加熱するのに費やした時間、又はチタネート化合物前駆体を最高温度から冷却するのに費やした時間を含まない。さまざまな実施形態において、焼成時間は、例えば、約1時間〜約30時間、約1時間〜約25時間、約1時間〜約10時間、約1時間〜約5時間、約1時間〜約4時間、又は約1時間〜約3時間など、少なくとも約0.5時間又は最長で約30時間である。幾つかの実施形態では、チタネート化合物前駆体混合物は、約0.5時間、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、又は約3時間の間、焼成される。
【0058】
焼成の間の冷却速度は、幾つかの実施形態では、約1℃/分より大きくなりうる。ある特定の実施形態では、焼成の間の加熱速度は、約10℃/分、約50℃/分、約100℃/分、約200℃/分、約300℃/分、約400℃/分約500℃/分、約600℃/分、約700℃/分、約800℃/分、約900℃/分、又は約1000℃/分より大きい。
【0059】
焼成工程の間、チタネート化合物前駆体混合物は、複数のチタネート化合物粒を有する多結晶性のチタネート化合物材料を形成する。本開示のさまざまな実施形態では、多結晶性のチタネート化合物材料は、焼成工程の時間及び温度に基づいた、特定の粒度及び/又は粒度分布の粒を有する。ある特定の実施形態では、粒の特定のサイズ及び/又はサイズ分布は、該粒度及び/又は粒度分布が制御される及び/又は制御可能になるように、焼成工程の時間及び温度、並びに、チタネート化合物前駆体混合物の組成に基づいて、あらかじめ定められる。
【0060】
多結晶性のチタネート化合物材料はまた、複数の微小亀裂も含む。さまざまな実施形態において、チタネート化合物粒の一部は、微小亀裂によって分離される。幾つかの実施形態では、例えば、約20%〜約100%、約25%〜約95%、約30%〜約90%、約35%〜約85%、約40%〜約80%、又は約50%〜約75%など、少なくとも約20%のチタネート化合物粒が微小亀裂によって分離される。さまざまな実施形態において、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%のチタネート化合物粒が微小亀裂によって分離される。
【0061】
多結晶性のチタネート化合物材料は、任意の知られた方法によって破砕されて、チタネート化合物粉末を形成しうる。さまざまな実施形態において、多結晶性のチタネート化合物材料は、微小亀裂の少なくとも一部に沿って破砕されて、制御された粒径及び/又はPSDを有するチタネート化合物粒子を有するチタネート化合物粉末を提供する。幾つかの実施形態では、チタネート化合物粒子は微小亀裂を含む、すなわち、チタネート化合物材料は、すべての微小亀裂に沿っては破砕されない。
【0062】
さまざまな実施形態によれば、チタネート化合物粒子の少なくとも1つの表面は、微小亀裂の破断面である。幾つかの実施形態では、チタネート化合物粒子の少なくとも1つの表面は研摩面である、すなわち、チタネート化合物材料の少なくとも一部は、微小亀裂以外の場所で破砕されうる。
【0063】
さまざまな実施形態において、多結晶性のチタネート化合物材料を破砕するために用いられる方法は、結果的に得られるチタネート化合物粉末の粒径及び/又はPSDに影響を与えない。多結晶性のチタネート化合物材料を破砕する方法としては、粉砕、ボールミル、超音波処理、ディスク粉砕、及び、手持ち式の乳棒及び乳鉢の使用が挙げられるがこれらに限られない。
【0064】
本開示のさまざまな方法は、例えば約5μm〜約60μm、又は約10μm〜約50μmなど、約1μm〜約100μmの範囲のメジアン粒径(d50)を有するチタネート化合物粉末を提供する。
【0065】
本開示のさまざまな方法は、制御された粒径分布(「PSD」)を有するチタネート化合物粉末を提供する。
【0066】
さまざまな実施形態によれば、チタネート化合物粉末は、例えば約5μm〜約60μm、約10μm〜約50μm、約12μm〜約25μm、又は約15μm〜約20μmなど、約1μm〜約80μmの範囲のd10を有する。
【0067】
さまざまな実施形態において、チタネート化合物粉末は、例えば約5μm〜約150μm、約10μm〜約100μm、約20μm〜約80μm、約40μm〜約70μm、又は約50μm〜約60μmなど、約1μm〜約200μmの範囲のd90を有する。
【0068】
さまざまな実施形態によれば、(d90−d10)/d50として定義されるチタネート化合物粉末のDは、約0.5〜約2.0、約0.8〜約1.8、約0.9〜約1.6、約1.0〜約1.5、約1.0〜約1.4、約1.1〜約1.4、約1.1〜約1.3、約1.2〜約1.4、約1.2〜約1.3、約0.8〜約1.2、約0.9〜約1.1、約1.0〜約1.2、又は約1.1〜約1.2の範囲にある。このような狭い粒径分布は、従来の粉砕方法によっては達成困難である。
【0069】
上記方法によってもたらされる制御された粒径及び/又は粒径分布を有するチタネート化合物粉末は、セラミックバッチ組成物の調製に用いられうる。幾つかの実施形態では、セラミックバッチ組成物は、制御された粒径及び/又は粒径分布を有し、かつ、チタン酸アルミニウム、チタン酸マグネシウム(magnestium titanate)、チタン酸鉄、及びそれらの組合せから選択される化合物を含む粒子を含む。ある特定の実施形態では、粒子はさらにシリカを含む。
【0070】
セラミックバッチ組成物は、任意の知られた方法によって、未焼成のセラミック体へと成形及び焼成されて、セラミック体を生じうる。幾つかの実施形態では、セラミックバッチ組成物は、無機物、有機物、溶媒、及びチタネート化合物を含む。さまざまな実施形態によれば、セラミックバッチ組成物は、少なくとも1つの細孔形成剤を含む。他の実施形態では、セラミックバッチ組成物は細孔形成剤を含まない。
【0071】
ある特定の実施形態によれば、未焼成のセラミック体の焼成により、最終的なセラミック体材料を形成するための少なくとも1つの前駆体材料の反応に加えて、未焼成のセラミック体の高密度化も結果的に生じる。他の実施形態では、未焼成のセラミック体の焼成は、未焼成のセラミック体の高密度化を結果的に生じ、チタネート化合物は、未焼成のセラミック体の焼成の間に形成される必要はない。これらの実施形態では、未焼成のセラミック体は、チタネート化合物のインサイチュ形成なしに焼成される。幾つかの実施形態では、セラミックバッチ組成物におけるチタネート化合物の使用により、未焼成のセラミック体の焼成の間に、結果的により少ない圧密化又は収縮が生じうる。
【0072】
さまざまな実施形態によれば、少なくとも1つのチタネート化合物を含むセラミックバッチ組成物は、少なくとも1つの細孔形成剤を含む。焼成の間の未焼成のセラミック体の収縮の低下に起因して、チタネート化合物前駆体を使用するセラミックバッチ組成物よりも、必要とされる細孔形成剤の量が低減される。ある特定の実施形態では、セラミックバッチ組成物における特定の粒径分布と、低減され多量の細孔形成剤とを有する、少なくとも1つのチタネート化合物の使用により、チタネート化合物前駆体及びより大量の細孔形成剤を使用するセラミックバッチ組成物を用いた場合に可能であるよりも高多孔質の材料が結果的に生じうる。
【0073】
さまざまな実施形態において、セラミックバッチ組成物は、未焼成のセラミック体へと押出成形されうる。幾つかの実施形態では、未焼成のセラミック体は焼成されて、例えば、約室温〜約800℃の範囲にわたって最大約15×10−7/℃、約1×10−7/℃〜約10×10−7/℃、又は約1×10−7/℃〜約5×10−7/℃など、約室温〜約800℃の範囲にわたって最大で約25×10−7/℃までの範囲の熱膨張係数(「CTE」)を有するセラミック物品を調製する。
【0074】
幾つかの実施形態では、セラミックバッチ組成物は、別のセラミック物品に施用するためのセラミックプラグ又はセラミックスキンとして用いられうる。
【0075】
上記方法によるチタネート化合物粉末の調製におけるさまざまなパラメータの影響が、下記実施例に示されている。可変パラメータには、(1)焼成温度;(2)焼成時間;(3)コロイド状シリカの添加;(4)MT2レベルが含まれうる。生成されたチタネート化合物粉末のPSDにおけるこれらのパラメータの各々の影響を以下に説明する。
【実施例】
【0076】
以下の実施例は、本開示を限定することを意図していない。
【0077】
実施例1
本開示の原理をさらに例証するため、チタン酸アルミニウム(「AT」)を含む幾つかのチタネート化合物粉末を、上記開示される方法によって調製した。表1は、実施例の実施に用いられた原材料の重量部を列挙している。
【0078】
【表1-1】
【0079】
【表1-2】
【0080】
無機原材料(アルミナ、二酸化チタン、及び水酸化マグネシウム)を有機結合剤(「Methocel」A4M)とともにLittleford(登録商標)ミキサを使用して混合し、その後、40mmの二軸スクリュ押出機を使用してペレットへと押出成形した。次に、小型のアルミナボートを使用して、ペレットを箱型の加熱炉内で焼成した。焼成されたペレットを、その後、さまざまな手段を用いて破砕し、粉末の粒径分布(「PSD」)を測定して、結果的に得られる粉末の粒径及びPSDにおけるバッチ化学及び処理条件の影響を調べた。
【0081】
図1A及び1Bは、それぞれ、100倍及び500倍の倍率で、表1に概説されるバッチ2の組成を有する多結晶性のAT材料の研磨断面の走査電子顕微鏡写真(「SEM」)の画像を示している。個々の粒を分離する微小亀裂がはっきりと分かる。比較的狭い粒度分布も表れている。
【0082】
図2A及び2Bは、それぞれ、1000×及び5000×の倍率における、表1に概説されるバッチ2の組成を有するAT粉末粒子のSEM画像を示している。図2A及び2Bに示されるAT粉末粒子は、手持ち式の乳棒及び乳鉢によって破砕した多結晶性のAT材料の結果である。特に図2Bに示されるように、微小亀裂は、個々の粒を分離するように見える。加えて、粒子の表面の少なくとも一部は微小亀裂破断面である。図1A及び1Bに示される粒度分布に実質的に比例した、比較的狭い粒径分布も表れている。
【0083】
図3は、乳鉢及び乳棒、乳鉢及び乳棒の後に超音波処理、ボールミルの後に超音波処理、及び、ディスク粉砕(例えばBico社)を含む、4つの技法によってバッチ2の多結晶性のAT材料を粉砕することによって得られたAT粉末の粒径分布を示している(1600℃で2時間焼成)。図3に示されるように、PSDは、さまざまな粉砕法において、依然として一致している。これは、多結晶性のAT材料中の粒は、使用される特定の粉砕方法に関係なく、微小亀裂に沿って優先的に分離することを示唆している。また、多結晶性のAT材料を破砕するためには、例えば低エネルギー消耗粉砕などの穏やかな粉体化(gentle communition)方法のみが必要とされることも観察された。
【0084】
図4は、同一条件下で焼成された、バッチ1の15ロットについての粒径分布を示している。すべてのロットを、ディスク粉砕機を使用して粉砕した。図4に示されるように、粒径分布は、15ロットの各々について依然として一致している。これは、粒径分布が、所与の化学、焼成温度、及び焼成時間について再現可能であることを示唆している。
【0085】
図5は、それぞれ、バッチ1、8、及び9の多結晶性のAT材料の粉砕によって得られたAT粉末の粒径分布を示している(1600℃で2時間焼成)。メジアン粒径(d50)は、MT2含量の増加につれて増加する。粒径分布は、MT2含量によっても影響を受ける。
【0086】
図6は、それぞれ、バッチ3〜7の多結晶性のAT材料の粉砕によって得られたAT粉末についてのメジアン粒径を示すグラフである(400℃/時間の加熱速度で、1600℃で2時間焼成)。図6に示されるように、メジアン粒径(d50)は、バッチ3及び4のMT2レベルの増加につれて増加する。しかしながら、バッチ5〜7におけるシリカの存在は、AT粉末のメジアン粒径におけるMT2レベルの影響を少なくとも減少させるように見える。よって、バッチ5及び6は、異なる量のMT2を有するにもかかわらず、おおよそ同じメジアン粒径を有する。バッチ7では、より多量のMT2を有するにもかかわらず、メジアン粒径はバッチ5及び6に対してわずかな増加しか示さない。
【0087】
図7は、バッチ1及び2の多結晶性のAT材料を粉砕することによって得られるメジアン粒径のAT粉末における、バッチ化学並びに焼成時間及び温度の影響を示すグラフである。
【0088】
焼成温度は、図7に示されるように、生成されたAT粉末のメジアン粒径(d50)に対し強い影響を有することが分かった。焼成温度が高くなると、より粗い粒径を生じる。しかしながら、このパラメータは、非シリカ含有組成物(バッチ1)においてのみ有効であることが分かったと同時に、シリカ含有組成物(バッチ2)は、焼成温度に対して実際には感受性ではないことが分かった。
【0089】
焼成時間は、粉末の粒径に影響を与えた別のパラメータであった。焼成時間の増加は、より大きい粒度につながり、したがって、図7に示されるように粗い粉末を生じる。この変数は、シリカ含有組成物(バッチ2)よりも非シリカ含有組成物(バッチ1)においてより強い影響を有することが分かった。
【0090】
コロイド状シリカ含有組成物(バッチ2)は、その低シリカ対応物(バッチ1)よりも粗い粒子を生じることが分かった。しかしながら、この組成物は、上述のように焼成時間及び温度に対してより感受性が低いことが分かった。
【0091】
実施例2
同一組成を有する幾つかの純粋なAT粉末を、以下に開示される方法によって調製し、異なる加熱速度で焼成した。
【0092】
55.35%の焼成アルミナ及び44.65%の二酸化チタン、並びに3.64%のヒドロキシプロピルメチルセルロースF240 LFの上乗せ添加の混合物をドライブレンドした。10.5%の水を加え、結果的に得られた混合物を、二軸スクリュ押出機で押出成形した。押出成形物を乾燥させた後に、異なる加熱速度で焼成した。50℃/時間及び5℃/時間の条件については、室温から1000℃までの加熱速度は300℃/時間であり、1000℃から1600℃の最高温度までは、より遅い速度を使用した。押出成形物を最高温度で2時間保持した。すべての条件に、300℃/時間の冷却速度を使用した。
【0093】
表2は、XRDデータとともに、AT粉末の粒径分布における加熱速度の影響を示している。すべての事例において、優位相は、すべての事例において、チタン酸アルミニウムである。材料は、粒径を測定する前に乳鉢及び乳棒で、手動で粉砕した。
【0094】
【表2】
【0095】
表2に示されるように、加熱速度が遅いほど、結果的に、より大きい粒径分布を生じた。特に、50℃/時間の加熱速度を有する試料Eは、試料の最大Dである3.0のDを有していた。5℃/時間の加熱速度を有する試料Fもまた、2.0の大きいDを有していた。各々、少なくとも100℃/時間の加熱速度を有する試料A〜Dは、各々、1.4以下のDを有していた。
【0096】
加えて、加熱速度が遅いほど、結果的に、より大きい粒径を生じた。試料E及びFは、少なくとも100℃/時間の加熱速度及び17〜24μmのメジアン粒径を有する試料A〜Dよりも、それぞれ、はるかに大きい30μm及び41μmのメジアン粒径(d50)を有していた。試料E及びFのそれぞれ106μm及び100μmのd90は、試料A〜Dの31〜45μmのd90よりもはるかに大きかった。
【0097】
ルチルのピークの存在は、未反応のルチル相の材料の存在の現れである。ルチルピークがないXRDスペクトルを有する試料は、ルチルのピークを伴ったXRDスペクトルを有する試料と比較して、より完全な反応を示す。各々が少なくとも100℃/時間の加熱速度を有する試料A〜Dは、ルチルピークを示さず、実質的に完全な反応を示唆した。
【0098】
実施例3
バッチ1の組成を有する幾つかのAT/MT2粉末を、実施例1の方法で調製し、異なる加熱速度で焼成した。
【0099】
50℃/時間の試料については、室温から1000℃までの加熱速度は300℃/時間であり、1000℃から1600℃の最高温度まではより遅い速度を使用した。押出成形物を最高温度で2時間、保持した。すべての条件に300℃/時間の冷却速度を使用した。
【0100】
表3は、XRDデータとともに、AT/MT2粉末の粒径分布における加熱速度の影響を示している。すべての事例において、優位相はチタン酸アルミニウムである。粒径を測定する前に、材料を乳鉢及び乳棒で、手動で粉砕した。
【0101】
【表3】
【0102】
表3に示されるように、加熱速度は、実施例2に開示される純粋なAT試料についてよりも、AT/MT2試料で、粒径分布に対し、より少ない影響を有していた。特に、50℃/時間〜400℃/時間の加熱速度を有するAT/MT2試料G〜Jは、各々、純粋なAT試料A〜Fよりも小さい、1.0のDを有していた。
【0103】
加えて、加熱速度は、実施例2に開示される純粋なAT試料についてよりも、AT/MT2試料で、粒径に対し、より少ない影響を有していた。特に、試料Jは、50℃/時間の加熱速度及び30μmのメジアン粒径を有するのに対し、100℃/時間〜400℃/時間の加熱速度を有するAT/MT2試料G〜Iは、各々、22μm〜26μmのメジアン粒径(d50)を有していた。AT/MT2試料G〜Iの37〜48μmのd90は、試料A〜Dの31〜45μmのd90と同等であった。
【0104】
加熱速度は、AT/MT2試料の反応の完全性に影響を与えた。50℃/時間の加熱速度を有する試料Jは、微量のアルミナを示し、僅かな量の未反応の原材料を示唆した。少なくとも100℃/時間の加熱速度を有する試料G〜Iは、各々、ルチルピークを示さず、実質的に完全な反応を示唆した。
【0105】
他に示唆されない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いられるすべての数は、そのように記載されていようといまいと、用語「約」によってすべての事例において修正されるように解釈されるべきである。また、本明細書及び特許請求の範囲で用いられる正確な数値は、本開示の追加の実施形態を形成するものと解されたい。実施例に開示される数値の正確さを確実にするために努力がなされている。しかしながら、測定された数値は、それぞれの測定法に見られる標準偏差の結果として生じる、ある特定の誤差を本質的に含みうる。
【0106】
本明細書で用いられる場合、名詞の使用は、「少なくとも1つ」の対象を指し、そうではないことが明確に示されない限り、「1つのみ」の対象に限定されるべきではない。
【0107】
本明細書で用いられる場合、用語「少なくとも1つ」は、例えば、1つ、2つ、幾つか、多く、又はすべてなど、「1つ以上」を意味する。
【0108】
本明細書で用いられる場合、用語「及び/又は」は、少なくとも1つの選択肢を意味するが、しかしながら、例えば1つ、2つ、幾つか、多くの、又はすべての選択肢など、2つ以上の選択肢も含みうる。
【0109】
前述の概要及び詳細な説明は、両方とも、単なる典型かつ説明であって、限定されることは意図されていないものと解されたい。
【0110】
本明細書に取り込まれ、その一部を構成する添付の図面は、限定されることは意図されておらず、むしろ本開示の実施形態を例証するものである。
【0111】
他の実施形態は、本明細書の検討及び本開示の実施から当業者にとって明白であろう。
【0112】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0113】
実施形態1
チタネート化合物粉末を調製する方法において、
第1の金属又は金属酸化物の供給源から選択される少なくとも1つの第1の無機化合物、チタニア供給源から選択される少なくとも1つの第2の無機化合物、及び少なくとも1つの結合剤を混合して、混合物を形成する工程;
前記混合物を、ある温度で、ある時間、焼成して、複数のチタネート化合物粒を含む多結晶性材料を形成する工程であって、該多結晶性材料が複数の微小亀裂をさらに含む、工程;及び
前記多結晶性材料を前記微小亀裂の少なくとも一部に沿って破壊して、制御された粒径及び/又は粒径分布を有するチタネート化合物粒子を含むチタネート化合物粉末を提供する工程
を含む、方法。
【0114】
実施形態2
前記少なくとも1つの第1の無機化合物がアルミナの供給源から選択されることを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
【0115】
実施形態3
前記混合物が、マグネシウム化合物、鉄化合物、及びそれらの組合せから選択される少なくとも1つの化合物をさらに含むことを特徴とする、実施形態1又は2に記載の方法。
【0116】
実施形態4
前記多結晶性材料が、チタン酸アルミニウム、二チタン酸マグネシウム、チタン酸鉄、及びそれらの組合せから選択される化合物の粒を含むことを特徴とする、実施形態1〜3のいずれかに記載の方法。
【0117】
実施形態5
前記混合物が、少なくとも1つのシリカ成分をさらに含むことを特徴とする、実施形態1〜4のいずれかに記載の方法。
【0118】
実施形態6
前記少なくとも1つのシリカ成分がコロイド状シリカから選択されることを特徴とする、実施形態5に記載の方法。
【0119】
実施形態7
前記混合物が、焼成工程の前に、少なくとも1つの成形体又は未成形体へと形成されることを特徴とする、実施形態1〜6のいずれかに記載の方法。
【0120】
実施形態8
前記焼成時間が、最長で約30時間までの範囲であることを特徴とする、実施形態1〜7のいずれかに記載の方法。
【0121】
実施形態9
前記焼成時間が、約1時間〜約25時間の範囲であることを特徴とする、実施形態8に記載の方法。
【0122】
実施形態10
前記焼成温度が、約1200℃〜約1800℃の範囲であることを特徴とする、実施形態1〜9のいずれかに記載の方法。
【0123】
実施形態11
加熱速度が、少なくとも約1℃/分であることを特徴とする、実施形態1〜10のいずれかに記載の方法。
【0124】
実施形態12
前記チタネート化合物粒子が、約5μm〜約60μmの範囲のd50によって特徴付けられる、制御された粒径分布を有することを特徴とする、実施形態1〜11のいずれかに記載の方法。
【0125】
実施形態13
前記チタネート化合物粒子が、約1μm〜約100μmの範囲の平均粒径を有することを特徴とする、実施形態1〜12のいずれかに記載の方法。
【0126】
実施形態14
前記多結晶性材料を前記微小亀裂の少なくとも一部に沿って破壊する工程が、前記多結晶性材料を粉砕する工程を含むことを特徴とする、実施形態1〜13のいずれかに記載の方法。
【0127】
実施形態15
前記多結晶性材料が自己崩壊することを特徴とする、実施形態14に記載の方法。
【0128】
実施形態16
セラミック物品を調製する方法において、
第1の金属又は金属酸化物の供給源から選択される少なくとも1つの第1の無機化合物、チタニア供給源から選択される少なくとも1つの第2の無機化合物、及び少なくとも1つの結合剤を混合して、混合物を形成する工程;
前記混合物を、ある温度で、ある時間、焼成して、複数のチタネート化合物粒を含む多結晶性材料を形成する工程であって、該多結晶性材料が複数の微小亀裂をさらに含む、工程;
前記多結晶性材料を前記微小亀裂の少なくとも一部に沿って破壊して、制御された粒径及び/又は粒径分布を有するチタネート化合物粒子を含むチタネート化合物粉末を提供する工程;及び
制御された粒径分布を有するチタネート化合物粒子を含む前記チタネート化合物粉末を含む、セラミックバッチ組成物を調製する工程
を含む、方法。
【0129】
実施形態17
前記少なくとも1つの第1の無機化合物がアルミナの供給源から選択されることを特徴とする、実施形態16に記載の方法。
【0130】
実施形態18
前記セラミックバッチ組成物を成形して、未焼成のセラミック体を調製する工程をさらに含む、実施形態16又は17に記載の方法。
【0131】
実施形態19
前記未焼成のセラミック体を焼成して、セラミック物品を調製する工程をさらに含む、実施形態16〜18のいずれかに記載の方法。
【0132】
実施形態20
前記セラミック物品が、約室温〜約800℃の範囲にわたり、約0/℃〜約25×10−7/℃の範囲の熱膨張係数を含むことを特徴とする、実施形態19に記載の方法。
【0133】
実施形態21
前記セラミックバッチ組成物を加工して、セラミック物品に施用するためのセラミックプラグ又はセラミックスキンを提供する工程をさらに含む、実施形態16〜20のいずれかに記載の方法。
【0134】
実施形態22
チタン酸アルミニウム、二チタン酸マグネシウム、チタン酸鉄、及びそれらの組合せから選択される化合物を含む、制御された粒径分布を有する粒子を含むセラミックバッチ組成物。
【0135】
実施形態23
シリカ成分をさらに含むことを特徴とする、実施形態22に記載のセラミックバッチ組成物。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7