特許第6502613号(P6502613)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502613
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】テキスト入力方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0488 20130101AFI20190408BHJP
   G06F 3/023 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   G06F3/0488 160
   G06F3/023 460
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2014-6905(P2014-6905)
(22)【出願日】2014年1月17日
(65)【公開番号】特開2014-147063(P2014-147063A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2016年12月5日
(31)【優先権主張番号】260/CHE/2013
(32)【優先日】2013年1月21日
(33)【優先権主張国】IN
(31)【優先権主張番号】469/CHE/2013
(32)【優先日】2013年2月4日
(33)【優先権主張国】IN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515113008
【氏名又は名称】キーポイント テクノロジーズ インディア プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナビーン・ドゥルガ
(72)【発明者】
【氏名】プリマ・ドナ・クリアン
(72)【発明者】
【氏名】サンディープ・イェルボル
(72)【発明者】
【氏名】スミット・ゴスワミ
(72)【発明者】
【氏名】スニル・モタパーティ
【審査官】 ▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/086689(WO,A1)
【文献】 特開2009−283015(JP,A)
【文献】 特表2008−508600(JP,A)
【文献】 特開2009−146435(JP,A)
【文献】 特開2013−003801(JP,A)
【文献】 特開2007−316732(JP,A)
【文献】 特開2012−113741(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/076743(WO,A1)
【文献】 特表2007−529069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00
H04M 99/00
G06F3/01−G06F3/027
G06F3/048−G06F3/0489
G06F17/20−G06F17/26
H04M1/24−H04M1/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器にテキストを入力するためのコンピュータ実装方法であって、
データベースから候補語の第1のセットを選択することと、
ユーザに選択させるために前記候補語の第1のセットのうちの複数を表示することと、
ユーザによって生成された連続入力パターンを検出し、前記連続入力パターンに沿ってまたは近接して配置されている1つまたは複数の候補語を識別し、識別された各候補語をテキスト入力フィールドに入力することと、を含み、
当該候補語は、候補語が選択される順序に対応する順に、各単語クラスタが互いに視覚的に区別され得るように配置された複数の単語クラスタのシーケンスで表示され、前記複数の単語クラスタは前記連続入力パターンをなぞることによって前記複数の単語クラスタから最初の候補語が選択される前に同時に表示され、
前記連続入力パターンが予め定義されたリフレッシュジェスチャに対応しているか、または、前記連続入力パターンが予め定義された領域に入るかもしくは予め定義された領域から出ると、表示された候補語がリフレッシュされる、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
表示された候補語をリフレッシュすることが、前記候補語の第1のセットから追加の単語を表示すること、および/または、前記データベースから候補語の第2のセットを選択し、前記候補語の第2のセットのうちの少なくともいくつかを表示することを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記複数の単語クラスタは、前記連続入力パターンが1の単語クラスタから次の単語クラスタへ移行するときに、前記候補語、前記候補語の表示位置、前記複数の単語クラスタの配置及びクラスタサイズの少なくとも1つがリアルタイムでリフレッシュされる、請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記候補語の第1のセットを関連した候補語の1つまたは複数のグループにグループ分けし、関連した候補語をそれぞれの単語クラスタに表示することを含む、請求項3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
候補語の選択を容易にするために、前記複数の単語クラスタ間および/または前記複数の単語クラスタ内で選択的にパンすることおよび/またはズームすることを含む、請求項3または4に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記パンおよび/またはズームが、タッチスクリーンに加えられた圧力、滞留時間、選択の間隔、予め定義されたジェスチャの検出、モーションセンサによる動きの検出のうちの1つまたは複数に依存する、請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記リフレッシュジェスチャが、前記連続入力パターンにおいて形成された輪形または円形を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
右から左への入力から左から右への入力に移行するために前記輪形が第1の方向になぞられ、左から右への入力から右から左への入力に移行するために前記輪形が第2の方向になぞられ、前記第1および第2の方向が互いに逆である、請求項7に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記連続入力パターンの主な入力方向を判定することを含み、前記リフレッシュジェスチャが、前記主な入力方向の角度閾値以上の角度変化を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記予め定義されたリフレッシュジェスチャが、マルチタッチイベントおよび/または2つ以上の連続した接触点を検出することを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記予め定義された領域が、入力エリアの端、予め定義されたウィンドウの端、またはリフレッシュノードを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記1つまたは複数の識別された候補語が、順次またはまとめて前記テキスト入力フィールドに入力される、請求項1〜11のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
記号クラスタ、数字クラスタ、英数字クラスタ、エモティコンクラスタ、文字クラスタ、および単語クラスタのうちの1つまたは複数を表示することを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記記号クラスタ、数字クラスタ、英数字クラスタ、エモティコンクラスタ、文字クラスタ、および単語クラスタのうちの1つまたは複数のクラスタが、予測され、前記連続入力パターンの近くに表示される、請求項13に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
前記1つまたは複数の識別された候補語が、各候補語に対応する1つまたは複数の選択ノードを含む格子構造で表示される、請求項1から12のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記連続入力パターンが前記選択ノードのうちの1つに対応付けられた候補語を選択するために該選択ノードに入ると、前記表示された候補語がリフレッシュされる、請求項15に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項17】
前記連続入力パターンが現在のルートノードから子ノードへなぞられ、該現在のルートノードと該子ノードとの間の前記連続入力パターンが進んだ距離が予め定義された距離閾値を超えると、前記表示された候補語がリフレッシュされる、請求項15に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法を実行するようにプログラムされたコンピュータ装置。
【請求項19】
入力インタフェースと、
ディスプレイと、
一連のコンピュータ読み取り可能な命令を実行するとき、単語予測処理を実行するように構成された処理装置と、を含み、
前記単語予測処理が、
データベースから候補語の第1のセットを選択することと、
ユーザに選択させるために前記候補語の第1のセットのうちの複数を表示することと、
ユーザによって生成された連続入力パターンを検出し、前記連続入力パターンに沿ってまたは近接して配置されている1つまたは複数の候補語を識別し、識別された各候補語をテキスト入力フィールドに入力することと、を含み、
当該候補語は、候補語が選択される順序に対応する順に、各単語クラスタが互いに視覚的に区別され得るように配置された複数の単語クラスタのシーケンスで表示され、前記複数の単語クラスタは前記連続入力パターンをなぞることによって前記複数の単語クラスタから最初の候補語が選択される前に同時に表示され、
前記連続入力パターンが予め定義されたリフレッシュジェスチャに対応しているか、または、前記連続入力パターンが予め定義された領域に入るかもしくは予め定義された領域から出ると、前記表示された候補語がリフレッシュされる、コンピュータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テキストを電子機器に入力するためのコンピュータ実装方法および関連するコンピュータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機のような携帯型電子機器に入力予測システムを実装することが知られている。入力予測システムは、一般的に、単語の少なくとも一部分を入力するための英数字キーボード(仮想または物理的)を含む。入力予測システムは、一般的には、格納されたデータベースを参照し、ユーザに選択させるための候補語を表示する。入力予測システムは、例えば、最も選択されそうな単語を決定するために、頻度情報または確率情報を用いることができる。
【0003】
完全な単語または単語のシーケンスを予測することも知られている。例えば、特許文献1は、電子機器のマインドマップインタフェースを開示している。例えばタッチスクリーンディスプレイに表示された出発テキストから、一連の単語鎖が放射状に広がる。ユーザは、ディスプレイ上の該当する場所に触れることによってテキストを選択することができる。追加のテキストをいかなる途中のレベルででも選択することができる。しかしながら、この方法はシステムの柔軟性を制限し、ユーザは表示されたオプションに制限されてしまう。また、ユーザは、テキストが入力されるたびに表示オプションを見直さなければならない。
【0004】
別の単語入力機構が特許文献2により知られている。選択対象となる一群の候補語が入力キーボードとともに表示される。ユーザは、ディスプレイから特定の単語を選択するためにタッチイベントを行う。ユーザは、入力されるべき様々な単語を選択するために別々のタッチイベントを行う。そのため、このシステムは、ユーザにとっては脈絡のない断続的な入力技術を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2010/086689号
【特許文献2】US2009/0187846号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の状況を背景になされたものである。少なくとも一定の実施形態において、本発明は、従来のシステムの欠点の少なくともいくつかを克服または改善することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の諸態様は、テキストを入力するためのコンピュータ実装方法およびコンピュータ装置に関する。
【0008】
本発明のさらなる態様によると、電子機器にテキストを入力するためのコンピュータ実装方法であって、データベースから候補語の第1のセットを選択することと、ユーザに選択させるために上記候補語の第1のセットのうちの少なくとも1つを表示することと、ユーザによって生成された連続入力パターンを検出し、上記連続入力パターンに沿ってまたは近接して配置されている1つまたは複数の候補語を識別し、識別された各候補語をテキスト入力フィールドに入力することと、を含み、上記連続入力パターンが予め定義されたリフレッシュジェスチャに対応しているか、または、上記連続入力パターンが予め定義された領域に入るかもしくは予め定義された領域から出ると、表示された候補語がリフレッシュされる、方法が提供される。入力パターンは、ユーザが、例えば、画面上でカーソルを動かしたり、タッチスクリーンに触れ続けることによって、なぞることができる。表示された候補語が自動的にリフレッシュされることを可能にすることによって、本方法は、ユーザが連続入力パターンをなぞることができるようにする。少なくとも一定の実施形態において、本方法は、ユーザが連続入力パターンをなぞりながら単語のシーケンスを入力することを可能にし得る。同じように、少なくとも一定の実施形態において、本方法は、ユーザが句を入力することを可能にし得る。候補語は、例えば、1つまたは複数の句を形成するシーケンスで表示することができる。
【0009】
カーソルを利用する実装例では、ユーザは、ボタンまたはキー(例えば、コンピュータマウス上のボタン)を押し、入力パターンがなぞられている間そのボタンまたはキーを押したままにすることによって、入力パターンを開始することができる。ユーザは、ボタンまたはキーを離すことによって、入力パターンを終了することができる。タッチスクリーンの実装例では、ユーザは、入力パターンを開始するために、タッチスクリーンに接触することができる(一般的には指でタッチスクリーンに触れることによって)。次いで、ユーザは、タッチスクリーンに接触したままタッチスクリーンに対して相対的に動かすことによって、入力パターンをなぞることができる。ユーザは、タッチスクリーンとの接触を終了することによって(一般的にはタッチスクリーンから指を離すことによって)、入力パターンを終了させることができる。
【0010】
表示された候補語をリフレッシュすることは、上記候補語の第1のセットから追加の単語を表示すること、および/または、上記データベースから候補語の第2のセットを選択し、上記候補語の第2のセットのうちの少なくともいくつかを表示することを含み得る。
【0011】
本方法は、ユーザに選択させるために上記第1のセットおよび/または上記第2のセットからの複数の候補語を表示することを含み得る。これらの複数の候補語は、1つまたは複数の単語クラスタ内に表示され得る。1つまたは複数の単語クラスタ内での単語の位置決めは、 ユーザによる選択の可能性に依存し得る。例えば、各単語クラスタ内の単語は、ユーザによる選択の可能性に応じて異なる層に表示され得る(例えば、1つまたは複数の前景層および/または背景層)。ユーザは、様々な層の間を移動することによって、異なる単語を区別することができる。これらの層は、例えば、奥行きの知覚を生じさせるために、パララックススクローリングで表示させることができる。本方法は、検出された入力装置の動きに応じて異なる層をスクロールさせることを含み得る。例えば、画面上に選択のために表示された候補語の異なる層の相対位置を変化させるために、慣性センサによって検出された動きが利用され得る。携帯電話機の場合、ユーザは、例えば、各層を互いに対して相対的に移動させるために携帯電話機を傾けることができる。ディスプレイは、各クラスタ内の単語の奥行き知覚を高めるために、例えばパララックスバリアを含む、3−Dディスプレイであり得る。
【0012】
本方法は、候補語のセットを関連した候補語の1つまたは複数のグループにグループ分けすることを含み得る。関連した候補語は、それぞれの単語クラスタに表示され得る。例えば、候補語は、トピック、文法構造、または文法規則に基づき得る。
【0013】
本方法は、候補語の選択を容易にするために、上記1つもしくは複数のクラスタ間および/または上記1つもしくは複数のクラスタ内で選択的にパンすることおよび/またズームすることを含み得る。例えば、本方法は、1つまたは複数の単語クラスタのズームインおよび/またはズームアウトをすることを含み得る。上記パンおよび/またはズームは、タッチスクリーンに加えられた圧力、滞留時間、選択の間隔、予め定義されたジェスチャの検出、モーションセンサによる動きの検出のうちの1つまたは複数に依存し得る。
【0014】
予め定義されたリフレッシュジェスチャは、上記入力パターンにおいて形成された輪形または円形を含み得る。輪形は、時計回り方向/反時計回り方向になぞることができる。輪形は、右から左への入力から左から右への入力に移行するために時計回り方向になぞることができ、左から右への入力から右から左への入力に移行するために反時計回り方向になぞることができる。この構成は反転させることもできる。例えば、入力テキストが左から右へ読まれる言語に関する場合は輪形は時計回りになぞられ得、入力テキストが右から左へ読まれる言語に関する場合は1つまたは複数の輪形は反時計回り方向になぞられ得る。
【0015】
本方法は、入力パターンの主な入力方向を判定することを含み得る。主な入力方向は、入力パターンがユーザによってなぞられる支配的な方向に対応する。主な入力方向は、例えば、入力パターンに対応付けられた動きベクトルを解析することによって決定され得る。主な入力方向は、水平(左から右へもしくは右から左へ)または垂直(上から下へもしくは下から上へ)であり得る。主な入力方向は、例えば、ユーザに選択させるために表示された候補語の位置決めに基づき得る。上記リフレッシュジェスチャは、入力パターンの主な入力方向の変化を含み得る。例えば、リフレッシュジェスチャは、「左から右へ」から「右から左へ」(またはその逆)の主な入力方向の変化を含み得る。主な入力方向の変化は、例えば、入力エリアの端またはディスプレイ画面の端で生じ得る。このため、ユーザに選択させるために表示された候補語は、ユーザが主な入力方向を変化させると自動的にリフレッシュされ得る。したがって、ユーザは、開始ノード等に戻る必要なしに入力パターンをなぞり続けてよい。
【0016】
表示された候補語は、主な入力方向の角度変化が予め定義された閾値を超えた場合にリフレッシュされ得る。例えば、角度閾値を45°、90°、または135°とすることができる。あるいは、本方法は、いつ主な入力方向が反転(すなわち、実質的に180°に等しい方向の変化)したかを判定することを含み得る。タッチスクリーンの実装例では、主な入力方向の反転は、マルチタッチイベントおよび/または2つ以上の連続した接触点を検出することによって判定され得る。
【0017】
予め定義された領域は、入力エリア(例えば単語ボード)の端を含み得る。本方法は、入力パターンが入力エリアを出たかまたは入力エリアの境界に到達したと判定すると、表示された候補語を自動的にリフレッシュすることを含み得る。入力エリアは、ディスプレイ画面の一部または全部とされ得る。入力エリアの境界を示すために、グラフィカル要素がディスプレイ画面上に表示され得る。あるいは、またはさらに、本方法は、入力パターンが予め定義された領域(リフレッシュノード等)に入ったと判定すると、表示された候補語を自動的にリフレッシュすることを含み得る。
【0018】
1つまたは複数の識別された候補語は、各単語が入力パターンとの関連で識別されると、順次テキスト入力フィールドに入力され得る。あるいは、1つまたは複数の識別された候補語、例えば入力パターンをなぞることが完了すると、まとめてテキスト入力フィールドに入力され得る。
【0019】
本方法は、記号クラスタ、数字クラスタ、英数字クラスタ、エモティコンクラスタ、文字クラスタ、および単語クラスタのうちの1つまたは複数を表示することを含み得る。1つまたは複数のクラスタは入力パターンの近くに表示され得る。例えば、上記1つまたは複数のクラスタは、タッチスクリーン上の現在のカーソルの場所または現在の接触イベントの近くに表示され得る。上記1つまたは複数のクラスタは、動的に予測され得る。
【0020】
上記1つまたは複数の識別された候補語は、各候補語に対応する1つまたは複数の選択ノードを含む格子構造で表示され得る。この格子構造は、ルートノードと、選択のための次の候補語を表示するために1つの層に配列された少なくとも2つ、3つ、または4つの子ノードとを含み得る。格子構造は、例えば次の次の単語等を表示するために、2つ以上の層を含み得る。例として、格子構造は、1つまたは複数の子ノードをそれぞれが有する2つの層を含み得る。第1の層における1つまたは複数の子ノードは次の単語に対応し、第2の層における1つまたは複数の子ノードは次の次の単語に対応する。2つ以上のルートノードを存在させることもできる。ユーザがある子ノード(候補ノードとする)を選択するためにルートノードから当該子ノードまでなぞっている間に、当該候補ノードの子ノードがリフレッシュされる。ルートノードに沿ったその他の子ノードは消え得る。新しいルートノードは上記候補ノードである。ユーザが、例えば現在のルートノードから子ノードへなぞり、現在のルートノードからなぞられた距離が関連する閾値を超えると、リフレッシュが開始されてもよい。
【0021】
格子構造は、例えば、4つの外側選択ノードと中心の選択ノードとを含むダイヤモンド形状を有し得る。入力パターンがある選択ノードまで延びていると、それに対応する候補語が選択され得る。上記選択ノードのうちの1つに対応付けられた候補語を選択するために入力パターンがその選択ノードに入ると、表示された候補語がリフレッシュされ得る。入力パターンが選択ノードの1つに入ると、当該選択ノードがルートノードとなり得る。選択された候補語はリフレッシュされないが、その他の選択ノードはそのうちのいくつかまたは全てがリフレッシュされる。新しいルートノードからつながるリフレッシュされた候補は、新しいルートノードの次単語予測である。ルートノードに隣接するノードが、新しいルートノードと同レベルの現在の単語予測を表してもよい。
【0022】
あるいは、上記選択ノードのうちの1つに対応付けられた候補語を選択するために、入力パターンが当該選択ノードまでの経路の途中である閾値距離を越えると、表示された候補語がリフレッシュされ得る。この閾値距離は、例えば、現在のルートノードと上記選択ノードのうちの1つとの間の中間点に相当する。ルートノードは、一般的には、直前に選択された選択ノードに相当するため、入力パターンが生成されるにつれて動的に変化し得る。本方法は、直前に選択された候補語の後に続くと予測される1つまたは複数の候補語を表示することを含み得る。
【0023】
本発明のさらなる態様によると、本明細書中に記載の方法を実行するようにプログラムされたコンピュータ装置が提供される。
【0024】
本発明のさらなる態様によると、
入力インタフェースと、
ディスプレイと、
一連のコンピュータ読み取り可能な命令の実行時に単語予測処理を実行するように構成された処理装置と、を含み、
上記単語予測処理が、
データベースから候補語の第1のセットを選択することと、
ユーザに選択させるために上記候補語の第1のセットのうちの少なくとも1つを表示することと、
ユーザによって生成された連続入力パターンを検出し、該連続入力パターンに沿ってまたは近接して配置されている1つまたは複数の候補語を識別し、識別された各候補語をテキスト入力フィールドに入力することと、を含み、
上記連続入力パターンが予め定義されたジェスチャに対応しているか、または、予め定義された領域に入るかもしくは予め定義された領域から出ると、上記表示された候補語がリフレッシュされる、コンピュータ装置が提供される。
【0025】
本発明のさらなる態様によると、電子機器にテキストを入力するためのコンピュータ実装方法であって、
辞書から複数の候補語を選択することと、
ユーザに選択させるために上記候補語のうちの少なくともいくつかを表示することと、
ユーザによって生成された連続入力パターンを検出することと、を含み、
上記入力パターンがユーザによって生成されているときに、上記連続入力パターンに沿ってまたは近接して配置されている1つまたは複数の候補語を識別し、上記1つまたは複数の識別された候補語をテキスト入力フィールドに入力することを含む、方法が提供される。識別された候補語はそれぞれ順番にテキスト入力フィールドに入力され得る。候補語が順次テキスト入力フィールドに入力されることによって、ユーザは、一連の候補語を確認しながら進捗を判断することができる。入力パターンは入力ジェスチャを構成し得る。
【0026】
上記辞書は例えばデータベースであり得る。候補語は、単一頻度(unifrequency)、確率情報、文法規則(構文および/または意味論を含む)、ならびに文脈のうちの1つまたは複数に基づいて選択され得る。候補語を識別および選択するための適切な技術は、本出願人の以前の出願であるWO2005/093555号、WO2006/100505号、WO2006/100509号から知られており、その内容を参照により本明細書に援用する。
【0027】
上記辞書は、固体記憶装置のような適切な記憶媒体に格納することができる。辞書は、個々に、例えばセルラーデバイス、タブレット、ラップトップ、デスクトップパソコン、または他のコンピュータ装置に格納することができる。あるいは、辞書は、離れた場所に、例えばサーバ上に、格納し、ネットワークを通じてアクセスすることができる。このネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、またはインターネットである。辞書との有線または無線接続を確立することができる。例えば、広域携帯電話ネットワークのような電気通信ネットワークまたはIEEE802.11ネットワークのようなローカル無線ネットワークを通じて接続を確立することができる。同じように、本方法に対応付けられた計算ステップを、個々の場所またはリモートサーバ上で実行することができる。
【0028】
例えば単語間の関係および/またはデータ構造階層を識別するために、辞書内のエントリを関連付けることができる。辞書は、単語間の関係を識別するために、文法規則(例えば構文および/もしくは意味論に基づく)ならびに/または文脈を含み得る。同じように、辞書は、ユーザの過去の使用例および/または参照テキストの解析に基づいて単語間の関係を判定することができる。辞書内のエントリ間の関係は、例えば、確率および/または頻度データに基づいて判定することもできる。本方法は、互いに関連する候補語を選択し、当該関連する候補語を1つまたは複数の単語クラスタまたはグループで表示するために出力することを含み得る。単語クラスタのそれぞれは、ユーザに選択させるための複数の関連する候補語を含み得る。ユーザは、テキスト入力フィールドに入力する所望の単語を選択するために、ある特定の単語クラスタ内の単語を循環的に切り替えることができる。この循環動作は、滞留時間、圧力、独自のジェスチャの検出、例えばクラスタ内またはクラスタの近くに定められた専用の循環ノードの選択、等のうちの1つまたは複数に基づいて行うことができる。各単語クラスタ内の候補語は、空間的に離れて配置され得、例えばフォントサイズ、種類、色、フォーマット等によって視覚的に互いに区別され得る。候補語は、各単語クラスタ内かつ/または単語クラスタ間の順序付けおよび/またはランク付けされた単語であり得る。
【0029】
辞書は、既存のコーパスの解析から得られたデータを含み得る。あるいは、またはさらに、辞書は、例えばユーザのコミュニケーション媒体(ソーシャルアカウント、電子メール、メッセージングアプリケーション等)、ユーザが作成したコンテンツ、ユーザが好むブログ、アプリケーション、ブラウザ/検索エンジンを参照して新しいデータを生成するために動的に更新され得る。このデータは、学習ソースがはっきりと区別されていようといまいと、オンラインで提供され得る。辞書は、エディタ/文脈/文/段落/メッセージの先頭および/もしくは末尾や基礎をなすアプリケーションの種類のような、追加情報も利用し得る。
【0030】
単語クラスタは、混乱の可能性を低くするために、空間的に互いに離れて配置され得る。あるいは、またはさらに、単語クラスタは、例えばフォントサイズ、種類、色、フォーマットなどによって、視覚的に区別され得る。上記単語クラスタの最初のクラスタ内のある候補語が識別されると、上記単語クラスタの2番目のクラスタに表示された候補語の少なくともいくつかが、更新もしくはリフレッシュされ得る。2番目の単語クラスタの変更は、語尾を変化させること(例えば、単数もしくは複数を示すために、または、動詞の時制の変化を反映させるため)、あるいは、選択のための候補語のいくつかまたは全てを置き換えることであり得る。単語クラスタは、(a)単語、(b)句、(c)文のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0031】
本方法は、句読点、演算子、符号、数学記号のような記号を表示するために記号クラスタを表示することを含み得る。記号クラスタは、例えば入力パターンの近くに表示されるフローティングクラスタとすることもできる。本方法は、数字または英数字クラスタを表示することを含み得る。本方法は、候補記号をランク付けし、記号クラスタ内の候補記号をそれらの順位に基づいて表示することを含み得る。例えば、候補記号は、ランク付けされた順序で記号クラスタ内に表示され得る。
【0032】
本方法は、筋の通った文または句を組み立てるのに必要な単語のうちのいくつかのみを表示することを含み得る。表示される単語は、本明細書中でキーワードと呼ばれ、名詞および代名詞のような実詞であり得る。本方法は、介在する単語をキーワード間に自動的に挿入することを含み得る(例えば冠詞/不定冠詞および前置詞)。辞書は、ある候補語がキーワードであるかどうかを示すために、または、その単語を類別するために、フラグを含み得る。フラグは、候補語を修飾(qualify)および/または量化(quantify)し得、任意に、候補語を類別し得る。介在する単語は、例えば、いったん候補語が選択されると挿入の前にテキスト入力フィールドに表示され得る。
【0033】
本方法は、ユーザに順次選択させるための複数の候補語を同時に表示することを含み得る。少なくとも1つの候補語鎖が選択ツリーに表示され得る。候補語のそれぞれは、選択ツリーの1つのノードを表し得る。ユーザは、選択ツリーの一部または全部を通って入力パターンをなぞることによって、単語のシーケンスを選択することができる。単語のシーケンスは、上記選択ツリーにおける1つまたは複数の枝として表示され得る。複数のシーケンスは、選択ツリー内で異なる枝として表示され得る。枝は、相互に連結され得、いくつかの枝は共通のノードを有する。選択された語は、選択されるとテキスト入力フィールドに入力される。本方法は、ユーザが選択ツリー内の鎖を結合または分割できるようにする機能を含むこともできる。例えば、ユーザは、選択ツリー内の鎖を分割/結合するために、選択された語または単語間のリンクをドラッグアンドドロップすることもできる。あるいは、またはさらに、ユーザは、結合もしくは分割させる鎖を選択するために、タップのような点接触を行うこともできる。これにより、ユーザは、選択の前に候補語のシーケンスをさらに正確なものにすることができる。
【0034】
ユーザが表示された候補語をリフレッシュすることを可能にするために、リフレッシュノードが表示され得る。リフレッシュノードは、例えばタッチスクリーンディスプレイをタップすることによって、単独で選択することができる。リフレッシュノードは、選択ツリーの最後に表示することができる。本方法は、例えば候補語のシーケンスが選択ツリーから選択された後、なぞられるパターンがリフレッシュノードに入ると、上記少なくとも1つの鎖に表示された候補語をリフレッシュすることを含み得る。
【0035】
本方法は、入力パターンの一部分がなぞられる速度を測定することを含み得る。測定速度は、ユーザに選択させるために表示された候補語をリフレッシュするために用いられ得る。本方法は、測定速度が予め定められた速度閾値未満である場合には表示された候補語を循環的に切り替えること、および/または、測定速度が上記予め定められた速度閾値を超える場合には別の候補語を表示することを含み得る。本方法は、例えばある単語鎖のベースノードに対応する、定められた領域における速度を測定することを含むこともできる。あるいは、またはさらに、表示された候補語のリフレッシュまたは置換えは、電子機器が振られたことを検出することや予め定義されたジェスチャの入力を認識することのような他のイベントに応じて行うこともできる。
【0036】
本方法は、なぞられた入力パターンの一部分の角度方向を測定することを含み得る。この測定は、例えば、連続した表示された候補語間の予め定められた経路を基準として行うことができる。表示された候補語は、測定された角度方向に基づいて調節される。例えば、本方法は、測定された角度方向が予め定められた角度閾値未満の場合には表示された候補語を循環的に切り替えること、および/または、測定された角度方向が上記予め定義された角度閾値を超える場合には別の候補語を表示すること含むことができる。
【0037】
別の候補語に入れ替え、かつ/または、候補語属性(時制、複数、性等)をさらに正確なものにするために、1つまたは複数の技術が採用され得る。例として、このような技術は、角運動(ジェスチャ)、クラスタ内の専用スペース(例えば、「More」ノード)、滞留時間、別の候補語を循環表示させるかまたは単語属性をさらに正確なものにするためのクラスタ上での円状のジェスチャの検出のうちの1つまたは複数を含む。別の単語は語形変化等を含み得、追加の単語は次の優先度の単語を含み得る。
【0038】
本方法は、ディスプレイ上の接触圧を検出することを含むこともできる。接触圧は、例えば、(例えば、ある単語クラスタ内で)選択のための別の候補語を表示するため、または、選択された候補語について別の語形変化を提供するために用いられる。接触圧は、タッチスクリーン上の押圧点を識別し、接触時間および/またはタッチスクリーン上の接触領域の面積を測定することによって、測定され得る。接触圧を示すために、正規化値が出力され得る。例えば、接触面積を示すために、0〜1の正規化値が出力され得る。値が0であれば、タッチスクリーンに圧力が加えられていないことを示し、値が1であれば、圧力が加えられていることを示す(この値は、装置較正によっては一定の状況において1より大きくなり得る)。同様に、検出されたタッチイベントに対応付けられた接触面積の近似値が、例えば、ピクセルカバレッジを表す0〜1の正規化値として、出力され得る。グラフィカル表示は、例えば、接触圧の上昇が検出されたことに応じてズームインつまり拡大機能を実行し、かつ/または、接触圧の低下が検出されたことに応じてズームアウトつまり縮小機能を実行するために、検出された接触圧に応じて修正され得る。候補語は、検出された接触圧に応じて単語クラスタ内で前景および/または背景に移動され得る。ユーザが単語クラスタ内のある単語との見かけの接点を押した場合、本方法は、その単語を前景へ引き込むことを含み得る。
【0039】
表示された候補語のそれぞれは、それに対応付けられた明確な領域を有する。いつ候補語が選択されたのかを判定するために、タッチイベントの場所は、XY座標を用いて監視される。ある候補語の選択は、座標、圧力、滞留時間、単語境界における位置、前の単語クラスタにおける前の選択点、単語の文脈、単一頻度、トピック、単語間の関係等のうちの1つまたは複数の組み合わせであり得る。
【0040】
本明細書中に記載の方法は、連続入力パターンをなぞることによる候補語のシーケンスの選択を容易にし得る。入力パターンは、以下のイベントのうちの1つまたは複数が検出された場合、リセットされ得る:(a)入力パターンが単語ボードエリアの端に到達する、(b)入力パターンがエディタスペースまたは予め定められたスペースに入る、および(c)入力パターンがランダムな動きを含む。本方法は、任意に、リセット入力パターン(the reset input pattern)に対応付けられたテキスト入力フィールドに挿入されたいかなる単語をも除去することを含み得る。
【0041】
本方法は、入力パターンを画面上に表示することを含み得る。本方法は、識別された候補語のそれぞれを当該表示された入力パターンに沿って表示することも含み得る。したがって、結果として得られるなぞられたパターンは、識別済みの候補語で増大されている。ユーザがシーケンスを続行できるようにするために、例えば単語クラスタまたは選択ウィンドウに、追加の候補語が表示され得る。
【0042】
入力パターンが表示された候補語の上に所定の期間とどまっている場合は、表示された候補語について語形変化が表示される。例えば、ユーザに選択させるための別の語尾が表示され得る。語形変化は、マルチタッチ技術によっても表示および/または 選択され得る。例えば、第1の接触で入力パターンをなぞり、第2の接触で選択を行うことができる。
【0043】
本方法は、ユーザに1つのものとして選択させるために、いくつかの候補語を1つのグループ中に配列することを含み得る。単語は、例えば、句などを形成するように配列され得る。候補語のグループは、まとめてテキスト入力フィールドに入力され得る。
【0044】
本発明のさらなる態様においては、
入力インタフェースと、
ディスプレイと、
一連のコンピュータ読み取り可能な命令を実行するとき、単語予測処理を実行するように構成された処理装置と、を含み、
上記単語予測処理が、
データベースから複数の候補語を決定することと、
ユーザに選択させるために上記候補語の少なくともいくつかを上記ディスプレイに表示することと、
上記入力インタフェースを介して連続入力パターンを検出し、
上記入力パターンを検出するとき、上記連続入力パターンに沿ってまたは近接して配置されている1つまたは複数の候補語を識別し、識別された候補語のそれぞれを順番にテキスト入力フィールドに入力することと、を含む、コンピュータ装置が提供される。コンピュータ装置は、本明細書中に記載の方法を実行するように構成され得る。
【0045】
本発明のさらなる態様によると、電子機器にテキストを入力するためのコンピュータ実装方法であって、
データベースから複数の候補語を選択することと、
関連した候補語を識別することと、
上記関連した候補語を互いの近くに表示することと、を含む方法が提供される。1つまたは複数の単語クラスタ内に、関連した単語の1つまたは複数のセットが表示され得る。
【0046】
本発明のさらなる態様によると、電子機器にテキストを入力するためのコンピュータ実装方法であって、
データベースから複数の候補語を選択することと、
ユーザに選択させるために上記候補語の少なくともいくつかを上記ディスプレイに表示することと、を含み、
上記ユーザに選択させるために表示された候補語がキーワードからなり、ユーザによって選択されたキーワードの間に介在する単語を自動的に挿入することを含む、方法が提供される。
【0047】
本発明のさらなる態様において、処理装置によって実行されるとコンピュータに本明細書中に記載の方法を実行させる機械実行可能な命令がコード化された機械読み取り可能な記憶媒体が提供される。
【0048】
本発明のさらなる態様において、本明細書中に記載の方法を実行するようにプログラムされたコンピュータ装置が提供される。コンピュータ装置は、例えば格納された命令セットを実行することによって、本明細書中に記載の方法を実行するために動作可能な1つまたは複数電子マイクロプロセッサを含み得る。命令セットは、例えば、ハードウェアに(例えば、不揮発性メモリに格納または上記1つまたは複数電子マイクロプロセッサ上にコード化)提供され得、あるいは、ソフトウェアとして(例えば、機械読み取り可能な媒体上にまたはネットワークを通じて揮発性メモリにダウンロードされて)提供され得る。本明細書中に記載の方法は、個々の場所でコンピュータ装置上で実行することもでき、セルラー通信ネットワークまたはインターネット(例えば、WiFi(登録商標)接続を通じて)のようなネットワークを通じて離れた場所で実行することもできる。
【0049】
本明細書中に記載の方法は、携帯電話機、ラップトップ、またはタブレットコンピュータのような、タッチスクリーンを含む装置に特に適用される。入力パターンは、一般的には、ユーザが例えば指またはスタイラスタッチスクリーンに接触することによってなぞられる。タッチスクリーンは、例えば、デスクトップモニタ、ラップトップ、タブレットコンピュータ、または携帯電話機に設けられ得る。本発明は、タッチスクリーン装置に限定されず、ラップトップ、デスクトップコンピュータ装置(パーソナルコンピュータ等)、またはビデオゲーム用コンソールのような他のコンピュータ装置に実装することもできる。入力パターンは、コンピュータマウス、コンピュータキーボード、 ジョイスティック、Dパッド、タッチパッド、トラックボール(roller ball)、カーソルキー、圧力検出装置、視標追跡、遠隔操作装置、遠隔追跡(例えばカメラを用いて)、投影キーボード、ユーザからの空中ジェスチャを検出するカメラセンサおよびウェアラブルセンサ、ならびにハードキーボード装置などのような様々な入力装置またはそれらの組み合わせを用いてなぞることができる。単語クラスタ内の単語を選択し、次のクラスタまでなぞり、次の単語等を選択し、連続した句、文を生成するために、加速度計のような他の関連技術が用いられてもよい。
【0050】
本発明のさらなる態様は、電子機器にテキストを入力するためのコンピュータ実装方法であって、
データベース内の候補語の第1のセットを識別することと、
ユーザに選択させるために上記候補語の第1のセットをディスプレイに表示することと、
ユーザによってなぞられた入力パターンを検出し、上記入力パターンに基づいて、上記電子機器に入力するための上記候補語のうちの1つまたは複数を選択することと、を含み、
上記第1のセット内の候補語が、第1の単語クラスタ内に表示され、該第1の単語クラスタ内で、上記候補語は、各候補語がユーザに選択される可能性の統計的指標に応じて配列される、方法に関する。候補語は、曲がり点を参照した単語の識別が容易になるように、単語クラスタ内で配列され得る。例えば、候補語は、曲がり点の形成を促進するように、第1の単語クラスタ内で配列され得る。
【0051】
本方法は、ユーザによってなぞられた上記入力パターンにおける1つまたは複数の有意な点を識別することを含み得る。1つまたは複数の候補語は、上記1つまたは複数の有意な点を参照して選択され得る。1つまたは複数の有意な点は、有意な開始点(例えば、入力パターンの開始点)、有意な終点(例えば、入力パターンの終端)、有意な中間点、曲がり点、方向の変化、曲率の変化のうちの1つまたは複数を含み得る。上記候補語を選択するために、滞留時間および接触圧のような追加のパラメータも用いられ得る。
【0052】
表示された候補語のそれぞれに、選択ノードが対応付けられ得る。選択ノードは、上記候補語の位置に対応する上記ディスプレイ上の明確な領域であり得る。候補語は、識別された有意な点を上記選択ノードにマップすることによって識別され得る。例えば、ある有意な点が表示された候補語のうちの1つまたは複数に近いことが、入力するための候補語を選択するために利用され得る。有意な点は、入力パターンがなぞられているときに識別され得る。この技術は、入力パターンがユーザによってなぞられている間に候補語を識別することを可能にする。
【0053】
統計的指標は、履歴データ、例えば、各候補語の使用頻度(単一頻度データ)を含む。あるいは、またはさらに、統計的指標は、選択確率データを含み得る。選択確率 は、予め定義されていてもよく、算出されてもよい。選択確率は、例えばシーケンスを形成するために、2つ以上の単語が選択される可能性を示すために、合成された確率とすることもできる。選択確率データは、追加のデータ、例えば文脈データおよびインデックスを組み込み得る。
【0054】
上記第1の単語クラスタ内に表示するための候補語は、上記統計的指標に応じてランク付けされ得る。候補語は、選択の可能性が高い順にランク付けされ得る。このため、最も選択される可能性が高い候補語が最も高い順位の候補語になり得る。本方法は、候補語をそれらの相対的順位に基づいて表示することを含み得る。順位が近い候補語は、上記第1の単語クラスタ内に表示されるときに互いに離間され得る。候補語は、例えば、互いに1つまたは2つ違いの順位にある場合に、順位が近いとみなされ得る。連続した順位の候補語は、例えば、上記第1の単語クラスタを挟んで両側に表示され得る。特に、連続した順位の候補語は、上記第1の単語クラスタ内で少なくともほぼ正反対の位置に表示され得る。
【0055】
第1の単語クラスタは、第1の仮想中心(すなわち、単語クラスタの中心点)を有し得る。上記第1の単語クラスタ内の候補語のそれぞれは、上記第1の仮想中心から個別の距離をおいて表示される。(各候補語の距離は、例えば、その候補語に対応付けられた選択ノードの中心点から測定され得る。)候補語のそれぞれは、上記第1の仮想中心から上記統計的指標に関連した距離をおいて表示され得る。各候補語から上記第1の仮想中心までの距離は、例えば、候補語が選択される可能性の統計的指標に比例し得る。第1の仮想中心と各候補語との間の距離は、統計的指標に正比例し得る。したがって、候補語が選択される可能性が高いほど、ディスプレイ上の上記第1の仮想中心からその候補語までの距離が大きくなる。この技術によって、最も選択される可能性が高い候補語は、その他の候補語から離れた位置に表示されるので、ユーザによって識別されやすくなり、入力パターンが第1の単語クラスタ内のいくつかの候補語の上をなぞられることを回避するのに役立つ。あるいは、第1の仮想中心と各候補語との間の距離は、統計的指標に反比例してもよい。
【0056】
本方法は、データベース内の候補語の第2のセットを識別することを含み得る。上記第2のセットの候補語は、第2の単語クラスタ内に表示される。上記第2のセットの候補語は、第1のセットからの候補語の1つまたは複数の後に入力するために選択され得る。第2のセットを構成する候補語は、上記第1のセットからの候補語の後に順次入力するために識別され得る。
【0057】
上記第2のセットの候補語は、第2の単語クラスタ内で、各候補語がユーザに選択される可能性の統計的指標に応じて配列される。統計的指標は、上記候補語ごとに算出された選択確率であり得る。統計的指標は、使用頻度データを含むこともできる。統計的指標は、算出された選択確率を含み得る。
【0058】
上記第1のセットからのある候補語の後に上記第2のセットからのある候補語が選択される可能性を判定するために、合成選択確率が算出され得る。したがって、合成選択確率は、一対の連続する候補語が選択される可能性を示し得る。候補語は、算出された合成選択確率に基づいて上記第1のセットおよび/または上記第2のセット中に表示され得る。
【0059】
本方法は、上記第1および第2のセット中の比較的高い合成選択確率を有する一対または複数対の候補語を識別することを含み得る。本方法は、上記第1および第2の単語クラスタにおいて上記一対または複数対の候補語を互いの近くに表示することを含み得る。あるいは、またはさらに、本方法は、上記第1および第2の単語クラスタ内の上記一対または複数対の候補語を、上記単語対を構成する候補語間で他の候補語を横断することなく直線状の経路をなぞることができるように、表示することを含み得る。候補語は、合成確率が予め定義された閾値を超える場合に、比較的高い合成選択確率を有するとみなされ得る。
【0060】
上記第1の単語クラスタおよび/または上記第2の単語クラスタに表示された候補語は、上記候補語を互いの近くに位置決めするために中心点周りに回転され得る。回転は、第1および第2の単語クラスタにおいて上記候補語の所望の相対的な向きを達成するために行われ得る。本方法は、合成された確率に基づいて一対または複数対の候補語をランク付けし、上記第1および第2のクラスタ内の候補語を、単語対の順位が高いほど候補語間の距離が小さくなるように、表示することを含み得る。
【0061】
第1および第2の単語クラスタは、上記第1および第2の単語クラスタのそれぞれから1つまたは複数の候補語を選択するために、入力パターンを表示された候補語を通って連続的になぞることができるように、同時に表示され得る。第1および第2の単語クラスタは、上記ディスプレイ上で水平方向および垂直方向に互いにずらされ得る。
【0062】
上記第1および第2の単語クラスタと同時に第3の単語クラスタが表示され得る。第3の単語クラスタは、垂直方向および/または水平方向に上記第2の単語クラスタからずらされ得る。追加の単語クラスタ、例えば4つまたは5つの単語クラスタが同時に表示され得る。n個のクラスタ(nは整数)を同時に表示することを可能にするために、本明細書中に記載の技術が適用され得る。単語クラスタはそれぞれ、シーケンスにおける直前の単語クラスタから垂直方向および水平方向にずらされ得る。
【0063】
本明細書中に記載の候補語は、英数字と組み合され得る。英数字は、数字および/または句読点を含むかまたはそれらから成り得る。英数字は、ユーザに選択させるための候補語と共に表示され得る。英数字を、別個の英数字クラスタ内に表示することもできる。上記英数字クラスタ内の英数字は、選択可能性の統計的指標に基づいて配列することもできる。統計的指標は、例えば、句読点がその直前の1つまたは複数の単語、例えばユーザによって既に選択された候補語に対応付けられる可能性を示す確率データを含む。英数字クラスタ内の英数字の表示は、単独で特許性を有すると考えられる。
【0064】
本発明のさらなる態様によると、電子機器にテキストを入力するためのコンピュータ実装方法であって、
英数字のセットを識別することと、
ユーザに選択させるためにディスプレイに上記英数字のセットを表示することと、
ユーザによってなぞられた入力パターンを検出し、上記入力パターンに基づいて、上記電子機器に入力するための上記英数字のうちの1つまたは複数を選択することと、を含み、
上記セットの英数字が、英数字クラスタに表示され、該英数字クラスタ内で、英数字は、各英数字がユーザに選択される可能性の統計的指標に応じて配列される、方法が提供される。統計的指標は、例えば、確率データを含み得る。上記英数字クラスタ内の上記英数字の位置を決定するために、1つまたは複数の文法規則も利用され得る。
【0065】
英数字クラスタは、本明細書中に記載のタイプの単語クラスタと順に表示することもできる。英数字クラスタは、上記単語クラスタの前または後に表示することができる。単語クラスタ内での候補語の表示を整えるための本明細書中に記載の技術は、英数字クラスタ内での英数字の表示にも適用され得る。同様に、単語クラスタとの関連での英数字クラスタの位置決めは、単語クラスタの相対的位置決めのための技術に基づき得る。
【0066】
本発明のさらなる態様によると、電子機器にテキストを入力するためのコンピュータ実装方法であって、
候補語の第1のセットを識別し、上記候補語の第1のセットを第1の単語クラスタ内に表示することと、
候補語の第2のセットを識別し、上記候補語の第2のセットを第2の単語クラスタ内に表示することと、を含み、
上記第1および第2の単語クラスタは垂直方向および水平方向に互いにずらされている、方法が提供される。
【0067】
本方法は、候補語の第3のセットを識別し、上記候補語の第3のセットを第3の単語クラスタ内に表示することを含み得る。第3の単語クラスタは、上記第2の単語クラスタから垂直方向および/または水平方向にずらされ得る。さらに追加の単語クラスタも表示され得る。
【0068】
本発明のさらなる態様によると、電子機器にテキストを入力するためのコンピュータ実装方法であって、
データベース内の候補語のシーケンスを識別することと、
上記少なくとも1つの候補語のシーケンスをディスプレイに表示することと、
ユーザによってなぞられた入力パターンを検出し、上記入力パターンに基づいて、上記電子機器に入力するための上記候補語のうちの1つまたは複数を選択することと、を含み、
上記シーケンス内の連続した候補語が、上記ディスプレイ上で水平方向および垂直方向に互いにずらされ、上記連続した候補語の水平方向および/または垂直方向のずれが、上記連続した候補語が選択される可能性の統計的指標に基づく、方法が提供される。
【0069】
上記候補のシーケンスを通ってなぞられた入力パターンは、上記候補語のうちの1つに対応付けられた少なくとも1つの曲がり点を規定し得る。シーケンスは、例えば選択を確認するために選択ノードと共に表示されてもよい、2つ以上の候補語を含み得る。あるいは、シーケンスは、3つ以上の候補語を含み得る。
【0070】
候補語のシーケンスは、合成選択確率に基づいて識別され得る。
【0071】
水平方向のずれおよび/または垂直方向のずれは、連続した単語が選択される可能性に正比例または反比例し得る。
【0072】
本方法は、上記入力パターンにおける1つまたは複数の曲がり点を識別することを含み得る。上記シーケンスからの上記1つまたは複数の候補語の選択は、上記1つまたは複数の曲がり点への近さに基づき得る。
【0073】
本明細書において言及する水平および垂直は、ディスプレイの水平軸および垂直軸に関連している。これらの軸は、ディスプレイが縦向きの配置であるか横向きの配置であるかによって変化し得る。
【0074】
さらに、本発明を候補語に関して説明したが、本発明は例えば2つ以上の単語を含む候補句にも適用することができることが理解されるであろう。句は、データベースに格納されてもよく、動的にコンパイルされてもよい。また、本発明を数値および/または英数字に適用することもできる。
【0075】
本出願人の同時継続中のインド特許出願第260/CHE/2013号、2013年1月21日付出願、の全内容を参照により本明細書に援用する。
【0076】
本出願の範囲内で、先行する段落、特許請求の範囲ならびに/または以下の説明および図面において述べられた種々の態様、実施形態、例および代替例、特にそれらの個々の特徴が、単独でまたは任意の組み合わせで実施され得ることは、明らかに想定される。1つの実施形態に関して記載された特徴は、相容れないものでない限り、すべての実施形態に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1】本発明の一実施形態に係る単語予測システムを動作させるための携帯電話機を示す。
図2図1に示す携帯電話機の概略ブロック図である。
図3-1】図1に示す携帯電話機上で動作する単語予測システムのための第1のユーザインタフェースを示す。
図3-2】図1に示す携帯電話機上で動作する単語予測システムのための第1のユーザインタフェースを示す。
図3-3】図1に示す携帯電話機上で動作する単語予測システムのための第1のユーザインタフェースを示す。
図3-4】図1に示す携帯電話機上で動作する単語予測システムのための第1のユーザインタフェースを示す。
図4図1に示す携帯電話機上で動作する単語予測システムのための第2のユーザインタフェースを示す。
図5図4に示す第2のユーザインタフェースの変形例を示す。
図6-1】図1に示す携帯電話機上で動作する単語予測システムのための第3のユーザインタフェースを示す。
図6-2】図1に示す携帯電話機上で動作する単語予測システムのための第3のユーザインタフェースを示す。。
図7図1に示す携帯電話機上で動作する単語予測システムのための第4のユーザインタフェースを示す。
図8-1】図7に示す第4のユーザインタフェースにおいて具現される3つのインタフェースを示す。
図8-2】図7に示す第4のユーザインタフェースにおいて具現される3つのインタフェースを示す。
図9】本発明のさらなる態様に係る単語クラスタのシーケンス内の候補語の位置決め構成を示す。
図10】本発明のさらなる態様に係る単語クラスタの位置決め構成を示す。
図11】本発明のさらなる態様に係る単語クラスタの位置決め構成を示す。
図12】本発明のさらなる態様に係る単語クラスタの位置決め構成を示す。
図13】一連の単語クラスタを通ってなぞられた入力パターン内の有意な点の識別を示す。
図14】本発明のさらなる態様に係る別の候補語配置技術を示す。
図15】本発明のさらなる態様に従って配列された単語クラスタのシーケンスを通ってなぞられた一連の入力パターンを示す。
図16】本発明のさらなる態様に従って配列された単語クラスタシーケンスを通ってなぞられた一連の入力パターンを示す。
図17】本明細書中に記載の単語クラスタ配置技術を実装するグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【発明を実施するための形態】
【0078】
ここで、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら、単なる例示として説明する。
【0079】
本発明の一実施形態に係る単語予測機能を有する携帯電話機10について、添付図面を参照しながら説明する。本実施形態において、携帯電話機10は、システム情報を表示したり、ユーザ入力を受けたりするためのタッチスクリーンディスプレイ20を含む。単語予測機能は、例えばショート・メッセージ・サービス(SMS)テキストメッセージ、電子メール、またはドキュメントの一部もしくは全部を作成するために、携帯電話機10上で動作する種々のアプリケーションにおいてテキストを入力するために用いられる。
【0080】
図2は携帯電話機10の概略ブロック図100を示す。携帯電話機10は、本発明の一実施形態に係る単語予測システム120を動作させる中央処理装置110を含む。中央処理装置110は、オンボードメモリ130と、タッチスクリーンディスプレイ20に対応付けられた入出力インタフェース140とに接続される。携帯電話機10は、セルラーネットワークを介したワイヤレス通信のための無線回路150および信号処理回路160も含む。音声信号の入力のためのマイクロホン170および出力のためのスピーカ180が設けられる。WiFi(登録商標)ネットワーク等を介して通信を確立するためにローカルワイヤレス送受信機190が設けられてもよい。
【0081】
タッチスクリーンディスプレイ20は、画面上の2つ以上の接触点をいつでも検出できるようにするためにマルチタッチセンシングを提供し得る。タッチスクリーンディスプレイ20は、例えば、静電容量式タッチスクリーンを含み得る。タッチスクリーンディスプレイ20上のユーザ入力は、点接触(例えば、ユーザが画面をタップする場合)またはジェスチャとしての連続入力パターン(例えば、ユーザが連続した経路を描くように画面をなぞる場合)からなり得る。
【0082】
本実施形態による単語予測システム120は、ユーザによる完全な単語の入力を容易にするように構成される。単語予測システム120は、タッチスクリーンディスプレイ20上で連続入力パターンをなぞることによってある単語列を順次入力することを可能にするのに特に適用される。単語予測システム120は、中央処理装置110に(例えば読出し専用メモリに)内蔵されてもよく、中央処理装置110の動作を制御するために一連の計算命令を提供するソフトウェアアプリケーションとして動作してもよい。本実施形態における単語予測システム120は、携帯電話機10(またはその他のコンピュータ装置)へ入力される単語を予測する方法を実施するために処理装置110を制御するように動作する一連の命令という形態をとる。
【0083】
単語予測システム120は、例えば、単一頻度(unifrequency)、使用文脈、エディタの始まり、および文脈の始まりのうちの1つまたは複数に基づいて、ユーザに選択させるための候補語を識別する。ユーザは、単語予測システム120を導くために、例えばタッチスクリーンディスプレイ20上に表示された仮想キーボードを用いて、1つまたは複数の文字を入力し得る。
【0084】
単語予測システム120は、ユーザに選択させるための単語の第1のセットを識別することができる。使用可能な文脈がない場合、単語予測システム120は、上記第1のセットを以下のうちの1つまたは複数に基づいて識別することができる。
1.辞書における最も単一頻度が高い単語。
2.コーパスに基づいて、コーパスにおいて最初の単語として出現する単一頻度が最も高い単語。
3.ユーザのスタイルから学習すること−以前にユーザがタイプしたテキストに基づいて、出現回数を更新する。ユーザのスタイルは、ソーシャルネットワーキングサイトのような他の情報源、装置内の他の情報、またはユーザによってスタイル学習のために明示的に提供された情報から学習することができ得る。
4.構文カテゴリ(syntactic categories)に基づいて−単語のどの構文カテゴリが最初に出現し得るか。
5.用途に基づいて(例えば、電子メール用途であれば最初の単語は「hi」である)。
6.トピックモデリング:話題が識別できたら(前の入力文から)、示唆を話題に合わせることができる。
7.意味論および高い頻度の共起に基づいて(例えば前の入力文から)。
【0085】
単語予測システム120は、以下のうちの1つまたは複数に基づいて次の単語を識別するために、文脈を使用することができる。
1.単一頻度数に基づいて。
2.nグラム言語モデルを用いて文脈−前にタイプされた単語−に基づいて。
3.構文上適切な単語を選択するために構文情報も用いられ得る。
4.意味論。
5.単語の高い頻度の共起。
6.トピックに基づくモデリング。
7.分類アプローチ。
【0086】
ここで、単語予測システム120のための第1のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)200について、図3A図3Gを参照しながら説明する。本明細書に記載のように、第1のGUI200は、同様の機能を提供する縦向きモードか横向きモードかのどちらでも表示可能であるが、本明細書では主に縦向きモードを参照しながら説明する。図3Aに示すように、第1のGUI200は、テキスト入力フィールド210と、候補語が選択のために表示される単語ボード220とを含む。単語ボード220で選択された語は、テキスト入力フィールド210のテキスト行中に入力される。
【0087】
単語ボード220は、第1および第2のカラム225、230によって横方向を限られており、各カラムは、省略された(truncated)英数字キーボードを形成するように配置された4つのサイドキー240を含む。サイドキー240はそれぞれアルファベットのアルファベット順の文字のセット(abc;def, ghi・・・tuv;wxyz)を表し、適切な標示がサイドキー240に表示されている。追加の入力機能を提供するために、ボトムバー250が単語ボード220の下方に表示される。ピリオド(つまり「終止符」)およびコンマを入力するためにそれぞれ第1および第2の句読点キー260、270が設けられている。文字、単語、および文をテキスト入力フィールド210から削除することを可能にするために削除キー280が設けられている。テキスト入力フィールド210内のテキストの書式を設定するためのシフトキー290、スペースバーキー300、およびキャリッジリターンキー310も設けられている。これらのキーの機能は、フルサイズのキーボードのキーと一致している。ユーザが数字および/または特殊記号を入力するためにテンキーボードを選択することを可能にするために数字入力キー320が設けられている。
【0088】
第1のGUI200における単語ボード220は、第1、第2、および第3の層A、B、Cに分割され、これらの層は、共同で、ユーザに選択させるための候補語のシーケンスを表す。第1の層Aは、現在のシーケンスにおいてユーザによって選択される最初の単語となりそうな候補語の第1のサブセットを含む。第2の層Bは、現在のシーケンスにおいてユーザによって選択される2番目の単語となりそうな(すなわち、最初の入力語の後に続きそうな)候補語からなる第2のサブセットを含む。第3の層Cは、現在のシーケンスにおいてユーザによって選択される3番目の単語となりそうな(すなわち、2番目の入力語の後に続きそうな)候補語の第3のサブセットを含む。
【0089】
本実施形態においては、第1のサブセットは3つの候補語(A1、A2、A3)を含み、第2のサブセットは2つの候補語(B1、B2)を含み、第3のサブセットは2つの単語(C1、C2)を含む。単語ボード220は、候補語のそれぞれを仮想キーを表すために部分的にまたは完全にフレームで囲まれていてもよい選択ノードに表示するように構成される。候補語は、その候補語に対応付けられた選択ノードの中へまたはそれを通過して入力パターンIPをなぞることによって選択することができる。候補語の第1のサブセットは、選択を容易にするために、最もユーザに選択されそうな語が中央に位置しかつより大きいフォントサイズで表示されるように、配置される。第2および第3のサブセットの候補語は、ユーザに選択させるための連続した鎖を形成するように配置される。従って、最も互いに続きそうな候補語が、連続した層A、B、Cにおいて互いに隣接して配置される。それにより、ユーザが少なくとも一定の実施形態においてはテキスト入力フィールド210に入力するための一続きの候補語を選択することを可能にするために、一連の候補語鎖が表示される。
【0090】
図3Aに示す例示的配置を参照すると、第1のサブセットは、一次ノード(N11)、(N12)、(N13)に表示された「Good」(A1)、「Hey」(A2)、および「Hello」(A3)という候補語からなる。候補語「Good」(A1)は、最もユーザが選択しそうな単語として識別されたため、中央の位置にある一次ノード(N12)に表示されている。第1のサブセットにおける残りの候補語「Hey」(A2)および「Hello」(A3)は、横のノード(N12)、(N13)に表示されている。第2のサブセットは、二次ノード(N21)、(N22)に表示された「morning」(B1)および「one」(B2)という候補語からなる。第3のサブセットは、三次ノード(N31)、(N32)に表示された「dear」(C1)および「mate」(C2)という候補語からなる。第2および第3のサブセットの候補語は、第1のノード鎖(N12、N22、N32)に対応する「Good morning dear」および第2のノード鎖(N12、N21、N31)に対応する「Good one mate」という別の単語鎖を形成するように配置される。
【0091】
ユーザは、所望の候補語の鎖を選択するために、タッチスクリーンディスプレイ20上の連続入力パターンをなぞることができる。ユーザが例えば指またはスタイラスを用いてなぞった第1の入力パターンIPを図3Bに示す。第1の入力パターンIPは、ユーザが候補語「Good」に対応付けられた一次選択ノード(N12)内で単語ボード220に触れることによって開始される。単語予測システム120は、ユーザがこのノード(N12)に表示された単語を選択したと判定し、対応する候補語がテキスト入力フィールド210に入力される。ユーザは、その後、候補語「morning」(B1)および「dear」(C1)が含まれる二次選択ノードおよび三次選択ノード(N22)および(N32)を通過して続く第1の入力パターンIPをなぞり続ける。それによって、単語予測システム120は、ユーザがこれらのさらなる単語を選択したと判定し、今度はこれらの単語がテキスト入力フィールド210に入力される。ユーザが第1の入力パターンIPをなぞるにつれて、候補語がテキスト入力フィールド210のテキスト行中に挿入される。所与の選択ノードに対応付けられた候補語は、入力パターンIPが閾値期間を超えて選択ノードに留まっている(例えば、ユーザが指やスタイラス等を特定の候補語の上に合わせている)場合に、または、入力パターンIPが選択ノードから特定の方向に出て行くと、テキスト入力フィールド210においてテキスト行中に入力される。どの候補語が入力されるかを判定するために、様々なパラメータが用いられ得る。例えば、単語予測システム120は、屈曲、圧変化、滞留時間、クラスタ内の単語の配列、クラスタに表示された単語の順序、ノードの範囲内の入力パターンの量のうちの1つまたは複数を識別するために入力パターンを監視することができる。
【0092】
所望の候補語が表示されていない場合は、ユーザは、単語ボード220に表示するための新しい候補語を選択することができる。図3Cを参照すると、ユーザは、指を滑らせて、入力パターンIPを第1の層Aの領域(長方形330で表す)内で左または右になぞることができる。単語予測システム120は、この横へのジェスチャを検出すると、さらなる候補語を第1の層Aに表示し、第2および第3の層B、Cに表示される候補語をリフレッシュする。横へのジェスチャの速度が速ければ、例えば、所定の速度閾値を超えていれば、単語予測システム120は、第1の層Aの全ての候補語を置き換える。横へのジェスチャの速度が遅ければ、例えば、所定の速度閾値未満であれば、単語予測システム120は、横へのジェスチャの起点と方向とに応じて、第1の層Aに表示される候補語のうちの1つを置き換える。例えば、第1の層Aにおける最初の示唆がA3、A1、A2(左から右へ)であり、ユーザがA2またはA1から左側へ向けてゆっくりしたジェスチャを開始した場合、得られる示唆はA1、A2、A4(左から右へ)となり、この場合、A4は挿入される可能性が次に高い候補語である。あるいは、ゆっくりしたジェスチャがA3またはA1から右側へ向けて開始された場合、得られる示唆はA4、A3、A1(左から右へ)となり、この場合もやはりA4は可能性が次に高い候補語である。そのため、ユーザは、横への入力パターンIPを遅い速度でなぞることによって、候補語を循環的に切り替えることができる。従って、循環手順(cycling procedure)は、入力パターンIPをなぞる速度に基づいて制御可能である。別の構成においては、候補語の循環的切替を、回転ダイヤルの回転と同様な候補語の回転運動によって表すことができる。
【0093】
第1および第2のカラム225、230を形成するサイドキー240は、従来の12キーレイアウトのキーと同様に予測(あいまい)モードで動作可能である。ユーザは、サイドキー240のいずれかをタップおよびリリースして、コアによって予測モードで当該キーに対して生成された最上位の示唆に従って、マップされた文字のうちの1つを入力することができる。サイドキー240のいずれかを長押しすると、図3Dに示すように、当該キーにマップされた全ての基本文字が示された選択ウィンドウ340(または吹き出し)が生成され得る。ユーザは、この選択ウィンドウから所望の文字を選択でき、リリースするとその文字が入力される。ユーザが第1のサイドキー240から第2のサイドキー240へ指を滑らせてからリリースした場合は、第2のサイドキー240からのある文字が入力される。長押しに対して選択ウィンドウが表示されると、その選択ウィンドウ上への入力パターンをなぞることによって、図3Eに示すように、当該サイドキー240にマップされた全てのアクセント記号付き文字が示されたグリッド350が表示される。
【0094】
図3Fを参照すると、ユーザは、タッチスクリーンディスプレイ20をタップすることによって単語ボード220から任意の候補語を直接選択することができる。この候補語は、図示の例においては「morning」(B1)であり、テキスト入力フィールド210に直接入力される。図示するように、ユーザにフィードバックを提供するために、選択された候補語は強調表示される。
【0095】
図3Gに第1のGUI200を横向きモードで示す。図示した構成においては、キー入力のあいまいさを取り除く必要をなくすために、QWERTYフルキーボード360が、各アルファベット文字に対応付けられたキーを備えている。単語ボード220には第1および第2の層A、Bしか図示されていないが、単語予測システム120の動作には実質的に影響しない。別のアプローチは、図3Hに示すように、第1、第2、第3の層A、B、Cの表示を容易にするために、12キーのキーボードを実装することである。
【0096】
第1のGUI200は、成立可能な単語鎖(すなわち、意味を成して組み合わせることができる候補語のシーケンスまたは経路)を強調表示するために、単語ボード220をグラフィカルフレームワークもしくは格子で補うことができる。単語予測システム120は、文法規則および文法構造に基づいて単語鎖を識別することができる。単語鎖のグラフィカル表現は、ユーザが候補語から候補語へ移動するのに役立ち得る。単語鎖に沿った単語の表現は、例えば計算された確率に基づいて、当該単語が選択される見込みを示すように変形され得る。例えば、この方法は、フォントサイズ、フォントの色、透明度、フォントフォーマット、下線、太字等のうちの1つまたは複数を変えることを含む。
【0097】
テキスト行中に挿入される単語ごとにスペースを追加することができる。その代わりに、次の単語が挿入されると前の単語にスペースを追加することもできる。指を離したときにスペースが追加されてもよく、されなくてもよい。単語ボード内の任意の単語をタップすると、その単語とスペースが入力される。スペースを追加するために、あるジェスチャを定義することもできる。なぞられたパターンが選択されたノードに対応付けられた領域を出るかまたはターゲットノードに対応付けられた領域に入ると、スペースが挿入される。
【0098】
ユーザは、例えば押したままにするかまたはタップする等のジェスチャによって、いかなる単語挿入をも元に戻すことができるようになっている。システムはユーザのテキスト入力スタイルを常に学習するので、ワードクラウドの質が学習に基づいて時間と共に向上する。頻繁に用いられる句が単一ノードとして予測されてもよく、それによって、入力に要する時間がさらに短縮される。
【0099】
図4に、単語予測システム120のための第2のGUI400を示す。第2のGUI400は、複数の単語クラスタ410A〜410Dを含み、各クラスタは、単語、句、または文のうちの1つまたは複数を含んでいる。単語予測システム120は、関連する候補語を単語クラスタ410A〜410Dにグループ分けするように構成される。ユーザは、それぞれの単語クラスタ410A〜410Dに含まれる候補語を選択するために、連続入力パターン420をなぞることができる。選択された単語は、入力パターン420をなぞるにつれて、テキスト入力フィールド430のテキスト行中に順次挿入される。選択された単語がテキスト行中に挿入されると、ユーザがなぞった単語は、エディタ内で、ユーザが入力した前の単語とは視覚的な差をつけて提示される。例えば、テキスト行中に挿入された単語は、エディタにおいて、例えば、下線付きで、かつ/または、斜体で、かつ/または、別の色で、かつ/または、強調表示されて、かつ/または、枠で囲まれて、表示することができる。この単語はそれでもやはりエディタに挿入されており、ただ、表示された単語の属性がテキスト入力フィールドに表示された残りのテキストとは異なるというだけである。このことは、ユーザに対して、なぞられていてシステムによって識別されている単語についての視覚的な標識を提供し、それによって、ユーザが、例えば元に戻す操作を実行するために、テキスト行中に挿入された単語に対して迅速な行動をとることを可能にする。
【0100】
図示した例においては、単語クラスタ410A〜410Dは、典型的な文構造を表す順に配置されている。また、各単語クラスタ410A〜410Dに表示された単語は、互いに関連付けられ得る。候補語は、文法規則によって関連付けることができ、例えば、各単語クラスタ410A〜410Dの候補語が全て名詞、動詞、または形容詞となり得る。候補語は、文脈によって関連付けることもでき、例えば、各単語クラスタ410A〜410Dの候補語が特定の主題またはトピックに関係し得る。候補語は、オンボードメモリ130に格納されたデータベースから選択され得る。データベースは、候補語間の関係を識別するために、入力データ間のリンクを含み得る。各単語クラスタ410A〜410D内の単語間の関係は、利用可能な経路のいずれもが有効となり、適切なテキストを形成するように、自然言語処理規則に基づいて確立され得る。
【0101】
単語クラスタ410A〜410Dは、分かりやすさを向上させるために、タッチスクリーンディスプレイ20上で互いに離間して表示される。各単語クラスタ410A〜410Dに表示される候補語は、例えば入力パターン420がある選択ノードに入るまで、固定され得る。あるいは、各単語クラスタ410A〜410Dに表示される候補語は、ユーザが入力パターン420をなぞるにつれて、リアルタイムで更新され得る。例えば、入力パターン420が現在第1の単語クラスタ410Aに対応付けられているとすると、単語予測システム120は、その他の単語クラスタ410B〜410Dのうちの1つまたは複数における候補語をリフレッシュするように構成することもできる。単語クラスタ410A〜410Dは、単語、句、および文のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0102】
図4を参照すると、GUI400には、いくつかの連続した単語クラスタ410A〜410Dを通ってなぞられた入力パターン420が図示されている。さらなる操作方法は、ユーザが、文または句を連続的に形成するために、第1の単語クラスタ410A内の任意の単語から始めて異なるクラスタ410B〜410D内の別の単語までドラッグすることを可能にし得る。ユーザは、単語シーケンスを異なる単語クラスタ410A〜410Dまでドラッグしたり、かつ/または、候補語を単語シーケンスまでドラッグすることによって、単語列を作成することができる。ユーザが現在のクラスタから出て行くようになぞると、次の単語クラスタが表示可能になる。
【0103】
変形構成においては、ユーザは、テキスト入力フィールド430のテキスト行中への挿入の前に、選択エリアに候補語を一時的に追加し得る。候補語は、例えば、上記単語クラスタ410A〜410Dに表示された候補語のそれぞれの選択ノードを通って入力パターン420をなぞることによって選択することができる。ユーザは、これらの単語を所望のシーケンスに追加し、任意には、それらの単語がテキスト行中に挿入される前にソーティングステップを行うことができる。あるいは、単語予測システム120は、例えば文法、構文、および意味論の定められた規則に基づいて、選択された単語を自動的に適切な順序にソートすることもできる。ユーザは、例えば、候補語をある選択エリアにドラッグアンドドロップすることができる。あるいは、ユーザは、ある候補語をタップしてその単語を選択し、その後上記選択エリアをタップして当該選択された候補語がその選択エリアに追加されるべきであることを示すこともできる。ユーザは、次に、選択エリア内の候補語のシーケンスを再配列し得る。例えば、ユーザは、選択エリア内の1つまたは複数の単語を選択し、選択された単語を選択エリア内のその他の単語に対して所望の位置にドラッグし得る。
【0104】
クラスタ内の単語は、それらの認識された関連性に応じて様々なフォントサイズ、色、フォーマット等にすることができる。図4に示すように、このフォントの変化を決定するために、文脈、単一頻度、エディタの開始、基礎をなすアプリケーション情報および他の使用文脈情報を用いることができる。大きいフォントほど高い関連性を示すことが理解されるであろう。
【0105】
クラスタは、予め定義されていてもよく、ユーザによって独自に定義されてもよい。考えられ得るクラスタのリストの概要を以下に例示的に示す。
【0106】
ユーザ定義クラスタ − ユーザは、1つのクラスタとして表示され得る単語のセットを定義することができる。このユーザ定義クラスタを表示させるために、任意の1回のスワイプジェスチャを割り当てることができる。例えば、ユーザは、友人の名前を含むクラスタを定義できる。ユーザは、このクラスタに対応付けられた、ループ等のなぞりパターンジェスチャを定義できる。ユーザが画面上の何もないエリアでこのパターンジェスチャをなぞると、当該パターンジェスチャをなぞった画面上の領域の近くに上記ユーザ定義クラスタが表示される。ユーザは、この独自のクラスタ内の単語から単語へ指等を滑らせて、特定の友人の名前等の所望の単語を選択することができる。この概念を、多数のクラスタに拡張することができ、各クラスタに専用のパターンジェスチャが割り当てられる。
【0107】
略語クラスタ − 選択対象となるユーザ定義されたおよび/または予め定義された略語を、示唆として略語クラスタに示すことができ、ある略語まで入力パターンがなぞられると、完全表記を挿入することができる。
【0108】
感情クラスタ − 選択対象となる感情を、ユーザに選択させるためにクラスタ内に表示することができる。
【0109】
単語クラスタのさらなる改良点は、単語クラスタ内の句の流れを識別することである。単語の有効なシーケンスまたは句を、上記の単語クラスタのうちの1つまたは複数において識別することができる。その特定のシーケンスにおける単語の表現は、例えば、それらを当該単語クラスタ内の他の単語と区別するために表示色またはフォントを変えることによって、変更することができる。この技術は、単一の単語クラスタにおいて、または多数の単語クラスタにわたって適用することができる。例えば、第1の単語クラスタに「have」、「good」、および「hello」という単語が表示され、第2の単語クラスタに「morning」および「there」という単語が表示されている場合、単語予測システムは、「good morning」という句を識別し、この句を認識しやすくするためにこれらの単語を同じ色で表示することができる。
【0110】
後続の各単語クラスタにおける次の単語の示唆および/または示唆の数は、単語の確率に比例し得る。例えば、「hello」および「good」という単語を含む第1の単語クラスタの場合、単語予測システムは、ユーザが「hello」という単語を選択する確率が70%、ユーザが「good」という単語を選択する確率が30%であると判定し得る。第2の単語クラスタにおいては、単語予測システムは、「hello」について、より多くの次の単語の示唆を挿入することになる。
【0111】
さらに、ユーザは、独自のクラスタを独自のジェスチャに基づいて表示させることができる。例として、「@」のような独自のジェスチャをなぞることによって、電子メール識別クラスタを表示させることができる。同様に、ユーザは、数字クラスタや記号クラスタのような標準クラスタを、予め定義されたジェスチャかまたは独自のジェスチャに基づいて表示させることができる。さらに、ユーザは、独自のキーボードまたは標準キーボード(例えば、12キーパッド、サイクリックキーパッド(cyclic keypad)、コンセントリックキーパッド(concentric keypad)等)を、予め定義されたジェスチャまたは独自のジェスチャで、表示させることができる。キーボードは、現在触れている点の近くまたは周りに表示させることができる。その代わりに、独自のキーボードまたは標準キーボード(例えば、12キーパッド、サイクリックキーパッド、コンセントリックキーパッド等)を、常に、現在触れている点付近にフロート表示させることもできる。このキーのクラスタは、ユーザがその方向にドラッグするまでは、小さいサイズで示したり、フェードさせたり、視覚的に異ならせたりして示され得る。ユーザがこのキークラスタに向けてドラッグすると、ユーザが指等を滑らせるために、本来のキーパッドサイズが表示される。ユーザは、データ列のシーケンスを入力するために、キーからキーへ連続入力パターンをなぞることができる。その代わりに、ユーザは、各キーをタップして入力することもできる。特定の文字の入力が完了すると、ユーザは、あるイベント、あるジェスチャ、または専用のクローズキーを打つことによって、キークラスタを終わらせることができる。単語クラスタは、ユーザによる入力に基づいてリフレッシュすることができる。次にありそうな単語のための単語クラスタは、キークラスタ上またはキークラスタ寄りの、指が離れた点から始まる。キークラスタは、バックスペースオプションおよび/または元に戻すオプションを有し得る。
【0112】
ある単語クラスタに表示される候補語を、特定のトピックに基づいてグループ分けすることができる。例えば、各トピックを、当該トピックの代表的なテキストの集まりを生成することによって表すことができる。トピックにおいて類似したドキュメントをクラスタのようにグループ分けするために、手動によってまたは無監督のアルゴリズム(an unsupervised algorithm)によって自動的に、ドキュメントまたはドキュメントの一部分にトピックラベルを割り当てることができる。トピックは、階層的集まりとしてまたはトピックのばらばらなセットとして、編成することができる。階層システムの場合は、単語を以下のように配列することができる。
トピックレベル1−hobbies(趣味)、sports(スポーツ)、movies(映画)
トピックレベル1の各トピックごとのサブトピック:
sportsでは、サブトピックは、クリケット、ホッケー等である。
hobbiesでは、サブトピックは、チェス、読書等である。
【0113】
単語予測システムは、これまでに行われていて定期的に更新されている会話の部分を参照して、現在のトピックを判定する。普通は、会話は多数のトピックについて話し合うものである。トピックのほとんどで出現する単語は、会話から除かれる。(例えば、ある単語がトピックの85%以上に出現する場合は、その単語はいかなるトピックにも特異でない一般的な単語であり得るので飛ばされる。)現在の会話と各トピックとの間のドキュメント類似性を算出することができる。上記の例の場合では、現在のテキストが「I like movies」であれば、利用可能な各トピック(すなわち、「hobbies」、 「sports」および「movies」)に会話が関係する確率を以下のように算出することができる。
P(movies|現在のテキスト)=現在のテキストが「I like movies」であればトピックがmoviesである確率
同様に、
P(sports|現在のテキスト)およびP(hobbies|現在のテキスト)
【0114】
ある候補語の確率を算出するとき、前の単語(単一頻度、文脈、構文、および意味論等)に基づいたその単語の確率に加えて、会話のトピックに関するその単語の確率も考慮する。
h1、h2−履歴−前の単語
T−トピック
P2(w|h2)=前の単語(単一頻度、文脈、構文、および意味論等)に基づいたその単語の確率
P1(w|h1,T)=前の単語と会話のトピックとに基づいたその単語の確率=Σt■トピックP(t|h1)*P(w|h1,t)

P(t|h1)=履歴h1である場合のtがトピックである確率
P(w|h1,t)=履歴h1かつトピックtである場合の候補語の確率
その単語の最終確率は次のように算出され得る。
P(w)=P2(w|h2)*[P1(w|h1,T)]α
(α−パラメータ)
(または)
その単語の最終確率は次のように算出され得る。
P(w)=((1−α)*P2(w|h2))+(α*P1(w|h1,T))
(α−パラメータ)
【0115】
本発明の一態様によると、単語予測システム120を、重要な単語(キーワード)のみを単語クラスタ410A〜410Dに表示するように構成することができる。これらの重要な単語は、データベースにおいてフラグがつけられていてもよく、履歴の使用パターンに基づいて識別されてもよい。第2のGUI400は、短いまたは重要でない単語を表示しないように構成することができる(予め定義された規則、例えば単語長に基づいて、または、データベース中の特定のマーカによって)。これらの短いまたは重要でない単語は、一般的には、重要な単語の間に配置され、構文解析を用いて入力時に自動的に追加することが可能である。この技術は、ユーザが、入力するための重要な単語のみを選択する短縮された入力パターン420をなぞることを可能にする。介在する短い単語は、例えば重要な単語がテキスト入力フィールド430に追加されるにつれて、自動的に挿入され得る。同様のアプローチを、例えば文脈学習および単一頻度等に基づいて、句読点を追加するためにそのまま適用することがきる。これらの技術は、本明細書中に記載の第1のGUI200にも等しく適用可能である。
【0116】
定冠詞および不定冠詞のような単語(「a」、「an」、「the」)は、このようにして自動的に入れることができる。これらの単語が表示される示唆リストに現れた場合には、それらを飛ばすことができ、次の単語が示される。次の単語が選択されると、飛ばされた単語が自動的に挿入される。例として、句が「have a good day」である場合、「have」「good」「day」という単語が示唆として示される。「good」が選択されると、不定冠詞「a」が自動的に挿入される。
【0117】
ユーザは、入力パターン420を単語ボードの端までもしくはテキスト入力フィールド/エディタスペース内へ延ばすアクション、ランダムな動きを素早く行うアクション、または入力パターン420を単語ボード上の専用スペースまで延ばすアクションのうちの1つまたは複数を実行することによって、現在の入力パターン420を取り消すことができる。同様に、ユーザは、装置を振るアクション(これは、内蔵の動き検出器によって検出され得る)、端で円を描くようなジェスチャを行い、反対方向へ移動するアクション、入力パターン420を例えばなぞる方向の反対側の端に設けられたリフレッシュノード/領域内へ延ばすアクションのうちの1つまたは複数を実行することによって、候補語をリフレッシュすることができる。候補語はリフレッシュされ、シーケンスの次のクラスタまたは単語が、ユーザが進んだ向きの順に現れる。これらの技術は、ユーザが、連続入力パターン420をなぞりながら候補語をリフレッシュできるようにし、それによって、ユーザがタッチスクリーンディスプレイ20から指等を離す必要性をなくす。あるいは、またはさらに、候補語は、ユーザが指(またはスタイラス)をタッチスクリーンディスプレイ20から離すとリフレッシュできる。
【0118】
さらなる構成において、第1および第2の入力方向のそれぞれへの第1および第2の軌跡を含む、連続してなぞられたパターンを検出するために、マルチタッチアプローチを採用することができる。ユーザは、第1の指(人差し指等)で第1の方向に、例えば開始点からディスプレイの一方の側へなぞり、第1の軌跡を描くことができる。次いで、ユーザは、この連続してなぞるパターンを維持しながら(すなわち、ディスプレイ画面から指を離さずに)方向を変え、第2の方向になぞる第2の軌跡を描くことができる。ユーザは、第2の指(中指等)を用いて第2の軌跡を描くことができる。システムは、方向が変化すると(すなわち、第1および第2の指の両方がディスプレイに触れると)、瞬間的なマルチタッチイベントを検出する。このマルチタッチイベントは、例えばマルチタッチディスプレイ上では2つの同時の接触として、または、例えば単一接触点ディスプレイ(すなわち、マルチタッチに対応していないディスプレイ)上でマルチタッチを模擬的に再現するために連続した接触として、識別される。別のアプローチは、なぞられるパターンの入力方向の角度変化を検出することである。例えば、予め定義された閾値を超える角度変化が検出されると、表示された候補語をリフレッシュすることができる。この閾値は、例えば、入力方向の反転に対応する。この構成において、本方法は、入力パターンの主な入力方向を検出することを含み得る。
【0119】
ユーザが単語クラスタ410A〜410Dのうちの1つまたは複数に表示された候補語の全てに均一な変化を適用することを可能にするために、あるオプションを提供することができる。例えば、単語予測システム120を、ユーザが単語クラスタ410A〜410Dのうちの1つにおける全ての単語の時制を変更することを可能にするように構成することができる。ユーザに過去時制、現在時制、または未来時制を指定させるために、時制選択ノードが設けられる。単語予測システム120は、選択された時制に基づいて語尾を変化させたり、候補語を変更することができる。時制選択ノードは、前にテキスト入力フィールド430に挿入されたテキストの時制を変化させるのにも適用できる。
【0120】
図5に、第2のGUI400の変形例を示す。この構成は、ディスプレイからキーボードを省略することができるため、本明細書中では「ブラインドキーボード」と呼ぶ。ユーザは、画面上のどこからでも始めて、どの場所にも移動することができる。開始点(すなわち、最初に触れた場所)では、単語予測システム120は、単語、ワードクラウド、または単語リストを表示する。ユーザが連続入力パターン420を特定の距離までなぞるかまたは屈曲を生じさせると、次のワードクラウド410が表示される。ユーザは、キーボードのないユーザインタフェースで、なぞるパターンの方向を選ぶことができる。
【0121】
入力パターン420がなぞられると、最上位の単語がコミットされる。ユーザが代わりの単語にしたい場合は、入力パターンを、表示された単語まで、または、リストについては上/下の直感的な方向へ、または、ワードクラウド410についてはそれぞれの向きへ、なぞる。ユーザは、入力パターン420を表示されたワードクラウド410から離れる方向へなぞることによって、代わりのワードクラウド410の表示を促すことができる。入力パターン420をなぞる方向は、ある特定の機能、例えばワードクラウド410に形容詞ではなく動詞を表示すること、に対応付けられる。ある独自のジェスチャによって、ユーザがなぞることから選択モードへ移ったことを示すこともできる。あるいは、停止したことや押されたことが検出されることによって、同じ移行が示される等であってもよい。マルチタッチ適用例については、ユーザは、表示された単語を選択するためにマルチタッチジェスチャを用いることができる。
【0122】
選択された単語はテキスト入力フィールド430に挿入され、その選択は画面上に表示されたグラフィカルマーカ440によって示される。GUI400は、句読点もしくは数字または特定の文字を数字/英数字ユーザインタフェースまたは文字キーボードから挿入することができる。同様に、GUI400は、記号またはエモティコンを入力するための記号インタフェースまたはエモティコンインタフェースを表示することができる。入力されたなぞるパターンによって形成されたジェスチャを検出することによって、そのジェスチャに対応する適切なインタフェースを表示させることができる。例えば、GUI400が「*」または「@」をなぞる等の第1のジェスチャを検出すると、句読点インタフェースが表示され得、GUI400が反時計回り方向に円を描くようになぞる等の第2のジェスチャを検出すると、記号インタフェースを表示され得る。あるいは、ディスプレイ上の任意の場所でまたは専用の領域上で、指をリリースした後にタップまたはジェスチャを行うと、関連する入力インタフェースを表示させることができる。GUI400は、迅速な入力のために画面の端または他の領域に沿って代替的なキーボードを表示することができる。さらに考えられ得るジェスチャは、数字インタフェースを表示するために「8」をなぞることである。
【0123】
単語予測システム120のための第3のGUI500を図6A図6Eに示す。第3のGUI500は、ノードNのアレイを含むワードクラウド510を含む。ノードNのそれぞれが、ユーザに選択させるための単語、句、数、句読点、記号等のエントリを含む。ノードNは、タッチスクリーンディスプレイ20上に表示され、縁付きであってもよく(図6Aに示すように)、縁なしであってもよい(図6Bに示すように)。第3のGUI500は、ユーザに選択させるために明確なシーケンス中に候補語を表示するように構成される。このため、ノードNは、一連の平行な単語鎖520A〜520Cを形成するように配置され、各単語鎖520A〜520Cが、ユーザによって入力される可能性のある単語列を表す。単語鎖520A〜520Cのそれぞれを強調表示するために、グラフィカル要素530(矢印等)を連続したノードN間に表示させることができる。
【0124】
ユーザは、各候補語をテキスト入力フィールド550(図6Dに示す)に入力するために単語鎖520A〜520Cのうちの1つに沿って連続入力パターン540をなぞることができる。なぞられるパターン540は、タッチスクリーンディスプレイ20上のノードNの配置によって決定されるトレース入力方向を有する。このトレース方向は、第1のノードN1から延び、連続したノードN2、N3等を通って進む。図示した構成では、トレース方向はほぼ左から右であるが、右から左、上から下、または下から上にもできる。また、トレース方向は、例えばユーザが続行ノード545に到達した後、入力パターンをなぞり続けられるようにするために、反転することもできる。入力パターンが単語鎖520A〜520Cの最終ノードN3まで延び、指等を離したことが検出されると、単語予測システム120は、文が完成したと判定し、自動的にピリオド(終止符)を挿入することができる。単語予測システム120は、同じ方向または反対方向になぞるように配置されたノードNに表示された候補語を自動的にリフレッシュすることができる。入力パターンをタッチスクリーンディスプレイ20の端までなぞることによって、現在の入力パターンを取り消すことができる。続行ノード545のサイズおよび/または位置は、入力パターン540を続行可能にするために、リアルタイムで変更することができる。
【0125】
第3のGUI500は、ユーザが例えば語形変化を適用するために候補語を修正することを可能にするように適合することができる。具体的には、単語予測システム120が、定められた時間閾値よりも長い期間にわたって1つのノードNが選択されていることを検出した場合、当該ノードに対応付けられた語形変化が、ユーザに選択させるために、そのノードの周りに(縦にかまたは放射状に)生成される。ある語形変化が選択されると、走査パスは変化せず、次のノードだけがリフレッシュする。あるいは、ユーザが対応する語形変化へ移動することを可能にするために、小さい矢印または記号をノードNに示すことができる。
【0126】
単語予測システム120は、表示された単語鎖520A〜520Cのどれが最もユーザに選択されそうであるかを判定するように構成される。ユーザを補助するために、最も可能性の高い単語鎖520A〜520Cを自動的に強調表示することができる。あるいは、ユーザは、最もユーザに選択されそうな単語鎖520A〜520Cを強調表示させるために、パスインジケータ(図示せず)を選択することができる。
【0127】
例として、図6Dおよび図6Eに第3のGUI500の2つの実装例を示す。これらの構成におけるノードNは縁なしであり、ユーザは、ワードクラウド510内で入力パターン540を自由になぞることができる。ユーザがワードクラウド510内に表示された候補語をリフレッシュできるようにするために、リフレッシュボタン560が設けられる。また、各アルファベット文字に対応付けられた別個の選択領域570がワードクラウド510の両側でカラムに表示される。選択領域570は、データベースからの候補語の識別と表示を補助するためにユーザが文字を入力することを可能にする。ユーザを補助するために、単語予測システムは、最も次の単語の先頭となりそうな文字を強調表示するようにも構成される。これらの文字は、図6Dに示すように、より大きいフォントサイズで表示することによって強調表示される。
【0128】
第4のGUI600を図7および図8A図8Cに示す。図7に示すように、入力シーケンスは、第1のノード610から出発し、それに続く候補語(次単語予測(NWP)と呼ぶ)が第1、第2、および第3の単語鎖620、630、640に表示される。GUI600は、第1のレベル(レベルI)、第2のレベル(レベルII)、第3のレベル(レベルIII)で選択的に動作する階層入力システムを提供する。第1のレベル(レベルI)は文字入力に基づいた単語補完/予測を提供し、第2のレベル(レベルII)は次単語予測を提供し、第3のレベル(レベルIII)は句予測を提供する。
【0129】
最初のインストール時は、第4のGUI600は、第1のレベル(レベルI)で動作する。ユーザに示唆される単語は、一般的な文脈に基づくものであり、ユーザは、文字入力に基づいた簡単な候補語示唆リストを提供される。第4のGUI600の第1のレベル(レベルI)での動作を図8Aに示す。
【0130】
継続使用後は、単語予測システムが第2のレベル(レベルII)を利用できるようになるのに十分な学習をしている。そこで、ユーザは、第1のレベル(レベルI)および/または第2のレベル(レベルII)の使用を続けることができる。第2のレベル(レベルII)は、ユーザにタップして示唆を選択させるインタフェースと指等を滑らせて句を選択させるインタフェースとの間の中間ユーザインタフェースである。GUI600が第2のレベル(レベルII)での動作中、ユーザは、連続してなぞるパターンを用いて2つの連続した単語(または、場合によっては3つの連続した単語)を選択することができる。第4のGUI600の第2のレベル(レベルII)での動作を図8Bに示す。
【0131】
単語予測システムを継続使用することによって、精度が高まり、例えば句を形成する単語のシーケンスの正確な予測が可能になる。そうすると、第4のGUI600は、ユーザが連続入力パターンをなぞることによって3つ以上の単語を連続して入力できる第3のレベル(レベルIII)での動作を可能にする。第3のレベル(レベルIII)での動作中、ユーザは、連続してなぞるパターンを用いて完全な文を入力することができる。
【0132】
本発明に係る単語予測システムは、第3のレベル(レベルIII)で動作しているとき、ユーザが、ルートノードから指等を滑らせて3つの候補語の中の意図した次単語予測まで動かすことを可能にする。選択された候補語は、ルートノードのように振る舞い、ユーザに選択させるための3つの候補語を与える。第4のGUI600は、静的ではなく、ユーザが候補語を連続的に選択するために指等を滑らせることができる経路を与える。ここで単語予測システムの次単語予測(NWP)を出力する動作について、図8Cを参照しながら説明する。
ルート語:a
ルート語「a」についてのNWPからの経路:コアからの精度順にa1、a2、a3
見込み(View)1:a+(a1,a2,a3)
進んだ経路:a→a1

新しいルート語:b(選択されたa1の位置に相当)
ルート語「b」についてのNWPからの経路:コアからの精度順にb1,b2,b3
見込み2: b+(b1,b2,b3)
進んだ経路:b→b2

新しいルート語:e(選択されたb2の位置に相当)
ルート語「e」についてのNWPからの経路:コアからの精度順にe1,e2,e3
[入力パターンが終了されるまで処理が繰り返される。]
【0133】
ユーザに選択させるための候補語は、一連の選択経路(表示されていてもよく、されていなくてもよい)からなる格子構造の各頂点に表示される。図8Cに示すように、本実施形態における格子構造は、4つの外側選択ノード(a,b,c,d)と中心の選択ノード(e)とを有するダイヤモンド形状を形成する。単語予測システム120は、現在の入力語の次に来そうな3つの候補語を選択するように構成される。選択された候補語は、現在の入力語に対応付けられたルートノードから外に放射状に延びるそれぞれの選択経路の終端に表示される。ユーザは、ルートノードから選択する候補語に対応付けられた次のノードまでの選択経路に沿って入力パターンをなぞることにより、候補語のうちの1つを選択することができる。そして、選択されたノードが新しいルートノードになり、選択のために表示される候補語が更新される。その結果、ルートノードは、ユーザによってなぞられた入力パターンに応じて動的に変わり、選択ノードa〜eのうちのいずれか1つであり得る。
【0134】
単語予測システムは、新しく選択された単語の次に来そうな3つの新しい候補語を選択する。これら3つの選択された候補語は、新しいルートノードから放射状に延びる選択経路の終端に位置するそれぞれのノードに表示される。格子構造内に表示された候補語は、表示された単語のうちの1つが選択されるたびにリフレッシュされる。この動的処理が、ユーザが格子構造内の連続入力パターンをなぞることを可能にするために、繰り返され得る。格子構造内で連続入力パターンをなぞり、完全な句または文を入力することができる。単語予測システムは、例えば、入力パターンがある選択ノードに対応付けられた領域から出るかもしくはその領域に入るたびに、または、入力パターンが各選択経路の途中のある閾値点を通過するたびに、選択された単語間に自動的にスペースを挿入することができる。ユーザは、対応する候補語を選択するために、連続入力パターンをなぞるのではなく、各選択ノードに点接触する(例えば、タッチスクリーンをタップすることによって)こともできる。
【0135】
第4のGUI600は、第1、第2、および第3のレベル(レベルI,レベルII,レベルIII)で自動的に切り替わるように構成することができ、かつ/または、ユーザが所望の動作モードを選択することができる。これにより、ユーザは、文字予測システム(レベルI)を用いてテキストの入力を始め、その後、単語予測システム(レベルII)または句予測システム(レベルIII)に切り替えることができる。これらの異なるレベルによって提供される機能を、文字、単語、または句の予測の確実性に基づいて制御することができる。例えば、ユーザがテキストの入力を始めようとする場合、単語または句を予測する確実性が不十分なことがあるため、第4のGUI600は、もっぱら第1のレベル(レベルI)で動作する。ユーザがより多くのテキストを入力するにつれて、単語予測システムは文脈を評価することができるようになり、単語予測の確実性が高くなる。その後、第4のGUI600は、ユーザが単語を選択することを可能にするために第2のレベル(レベルII)を起動し得る。後続の単語を入力することによって句予測の確実性がさらに高まり、そうすると、第4のGUI600は、ユーザが句を選択することを可能にするために第3のレベル(レベルIII)を起動し得る。
【0136】
第4のGUI600において提案される階層システムは、本明細書中に記載の他のシステムのうちの1つまたは複数を統合するために拡張することができる。例えば、以下の階層システムを実装することができる。
レベルI−単語選択システム
レベルII−単語鎖システム
レベルIII−単語クラスタシステム
レベルIV−「ブラインド」キーボードシステム
【0137】
上記のレベルを、精度確率係数(accuracy probability factor)および/または利用可能な文脈情報の量に基づいて起動/停止することができる。
【0138】
本明細書中に記載の第4のGUI600を実装するための別のアプローチは、以下の通りである。
レベル1:単語予測システムは、現在の単語に入力された文字がなければ、次単語予測を提供する。あるいは、単語予測システムは、現在の単語にいくつかの文字が入力されていれば、単語補完を提供する。
レベル2:次の単語に入力された文字がなければ、単語予測システムは、次単語予測と次々単語予測とを提供する。次の単語の1つまたは複数の文字が入力されていれば、単語予測システムは、単語補完とそれらの補完の次単語予測とを提供することができる。ユーザは、任意に、2つの単語を一度になぞることができる。
レベル3:次の単語に入力された文字がなければ、単語予測システムは、3つ以上のレベルの単語予測を提供する。ユーザは、連続してなぞることによって、句、文等を入力することができる。
【0139】
上記3つのレベルの目的は、少なくとも一定の実施形態において、最初のシステムインストール時には非常に簡単な周知のインタフェースをユーザに提供することである。単語予測システムがユーザの文脈を学習すると、1回なぞるだけで2つ以上の単語が入力されてユーザが快適な第2のテキスト入力レベルに移行することができる。単語予測システムがユーザのスタイルを十分に学習すると、提供可能な予測の質の信頼度が高まり、ユーザは、楽々と句および文(2つ以上の単語)をなぞることができる。このレベルに基づくアプローチによって、親しみやすさとユーザの支持が得られる。
【0140】
本明細書中に記載のいわゆる「ブラインドキーボード」に対応するさらなるレベル(レベルIV)があってもよい。このレベルでは、ユーザは何もないボード上をなぞることができ、そこでは、開始点、滞留点、屈曲点に対して、単語予測システムは選択してなぞられる候補語または候補語クラスタを提供することができる。
【0141】
本発明のさらなる実施形態について、図9図17を参照しながら説明する。ユーザに選択させるための候補語Wは、単語クラスタCのシーケンスで表示される図示した構成では、各クラスタC内に7つの候補語(W1、W2、W3・・・W7)が表示され、3つの単語クラスタ(C1、C2、C3)が一緒に表示される。単語クラスタ(C1、C2、C3)は、候補語Wが選択される順序に対応する順に配置される。図示した構成において、第1の単語クラスタC1は現在の候補語Wに対応し、第2の単語クラスタC2は次の候補語Wに対応し、第3の単語クラスタC3は次の次の候補語Wに対応する。電子機器上のエディタに入力する単語を選択するために、それぞれの単語クラスタCを通って入力パターンIPがなぞられる。候補語Wは、タッチスクリーンに表示され、それぞれがそれぞれに対応付けられた選択ノードを有する。選択ノードは同じ直径の円として図示されているが、異なる形状および/または異なるサイズにすることもできる。
【0142】
候補語Wごとに選択確率が算出され(例えば、先行する単語のうちの1つまたは複数に基づいて)、候補語Wは、各単語クラスタC内でそれらの相対的選択確率に基づいて配列される。図示した構成においては候補語Wが1つの円の円周の周りに表示されるが、他の表示配置も考えられる。第1の候補語W1は最も選択確率が高く(すなわち、選択される可能性が最も高く第2の候補語W2は2番目に選択確率が高く、以降、最も選択確率が低い(すなわち、選択される可能性が最も低い)第7の候補語W7まで、同様である。各単語クラスタC内で候補語Wをランク付けするために、選択確率に加えて、またはその代わりに、他の要素を用いることができる。例えば、使用頻度および/または文脈との関連度に基づいて候補語Wをランク付することもできる。別の表示構成では、第1の候補語W1を中心位置に表示することもでき、さらなる候補語(W2・・・Wn)は、本明細書中に記載の技術によって第1の候補語W1の周りに表示される。
【0143】
本実施形態において、入力パターンIPは、携帯電話機のタッチスクリーン上をなぞられる。入力パターンIPは、ユーザが例えば指またはスタイラスを用いて画面に触れ、所望のパターンをなぞることによって生成される。入力パターンIPの解析は、その長さ方向の中間の距離で、有意な点を識別することを目的として行われる。特に、本技術は、有意な開始点(SSP)と有意な中間点(SIP)と有意な終点(SEP)とを識別する。
【0144】
図9を参照すると、入力パターンIPはユーザがタッチスクリーンに最初に触れると開始され、最初の接触点ICPが入力パターンIPにおいて識別される。ユーザは、タッチスクリーンに触れたまま入力パターンIPをなぞる。ユーザは、タッチスクリーンから指を離すことによって入力パターンIPを終了し、最後の接触点FCPが入力パターンIPにおいて識別される。本明細書中に記載のように、最初の接触点ICPと最後の接触点FCPとを含む入力パターンIPは、単語クラスタCのうちの1つまたは複数の中から表示された候補語Wのうちのどれが選択されるかを判定するために解析される。入力パターンIPがユーザによってなぞられている間、選択された候補語Wのそれぞれがエディタのテキスト行中に自動的に挿入される。このため、ICPとFCPとがなぞられた後に解析を行う必要はない。
【0145】
触れた点に相当する最初の接触点ICPが解析され、ある候補語Wの選択ノード上であれば、その候補語Wにフラグが付けられ、その候補語Wの選択ノードの上を延びる入力パターンIPの長さが、ユーザが当該クラスタC内の候補語Wを通ってなぞっているときのある中間点において識別される。この候補語Wは、以下の基準のうちの1つまたは複数が満たされていれば、有意な開始点SSPであると識別される。
a.当該候補語W上でなぞり始めている。
b.入力パターンIPのうちの有意な量が当該候補語Wの選択ノードを横切って延びている。
c.任意には、有意な滞留時間(すなわち、入力パターンIPがなぞられているときに所与の選択ノードの上にとどまり続ける期間)および/または選択ノードについての接触圧(タッチスクリーンの接触面積の関数として推定される)を当該候補語について識別することができる。滞留時間および/または接触圧以外のパラメータを用いることもできる。
【0146】
入力パターンIPの特徴は、有意なパラメータ(経路長、滞留時間、接触圧等)に一致するかどうかを判定するために、1つまたは複数の予め定義された閾値と比較され得る。候補語WがSSPであると識別されると、その候補語Wがエディタに挿入される。図9に示す例においては、第1のクラスタC1内の第1の単語W1がSSPであると識別され、エディタに入力される。
【0147】
上記の例は、以下のような、現在、次、およびその次の単語予測の選択確率をカバーする。
・C1W1−>C2W1,−>C3W1、C1W2−>C2W2−>C3W2等、または、
・C1W1−>C2W1,−>C3W1、C1W1−>C2W2−>C3W4(異なる出現確率で)
【0148】
このため、選択確率は、現在の単語の確率、次の単語の確率、次の次の単語の確率を含む。C3W4の確率は、それがC2内の1つまたは複数の単語の後に出現する確率によって、また、C1内の1つまたは複数の単語の次々単語予測としても、測定される。したがって、現在の単語クラスタC内のある単語は、前のクラスタ内の2つ以上の単語の次単語予測であり得る。
【0149】
入力パターンIPがクラスタC内の第2の候補語Wを通過した場合、第2の候補語Wの対応選択ノードに一致するか近接する入力パターンIPの部分が中間点で解析される。例として、図9において、入力パターンIPは、第1のクラスタC1内の第1の単語W1を通過した後で同じクラスタ内の第6の単語W6を通過する。上記候補語Wのどちらがエディタに入力されるかを判定するために、1つまたは複数のパラメータの合成重みを解析することができる。パラメータは、以下のうちの1つまたは複数を含み得る。
a.各候補語の相対的選択確率(例えば、第1の候補語W1と第6の候補語W6との相対的選択確率)
b.それぞれの選択ノードでの入力パターンの相対的滞留時間(例えば、第1の候補語W1の選択ノード上と第6の候補語W6の選択ノード上との相対的滞留時間)
c.入力パターンIP上に配置されている候補語のそれぞれの選択ノードについてのタッチスクリーンに加えられる相対的圧力(例えば、第1の候補語W1の選択ノードと第6の候補語W6の選択ノードとに加えられる相対的圧力)
d.入力パターンIPが各候補語上をなぞる順序(例えば、入力パターンIPは第1の候補語W1上をなぞった後で第6の候補語W6上をなぞる)
e.各候補語においての、かつ/または、入力パターンが各単語から出て行くときの入力パターンIPの角度変化および/または方向変化(例えば、入力パターンIPが第6の単語W6の選択ノードに出入りするときに形成される角度)
【0150】
解析により、上記候補語Wのどちらの方がユーザに意図されていた可能性が高いかが判定され、当該候補語Wがエディタのテキスト行中に入力される。例えば、第6の単語W6が、第1の単語W1と置き換えるために、エディタのテキスト行中に挿入される。なぞられた単語のテキスト行中への挿入は、なぞられている時点で、または、入力パターンがクラスタCを通り抜けたときや入力パターンが当該クラスタCについての予め定義された領域を出たときのような、もっと後の決定時点で、実行され得る。
【0151】
間違った選択をユーザが訂正できることを確実にするために、視覚的なフィードバックを提供することができる。
【0152】
各クラスタC内で、候補語Wは、同じような選択確率の候補語Wが互いに離間されるように配列される。例えば、第1および第2の候補語W1、W2は第1のクラスタC1の両側に配置され、これに対して、第1および第6の候補語W1、W6は第1のクラスタC1内で互いに隣接して配置される。(nグラム関係のような)次単語予測である単語については、確率は前の単語と関連している。文または文脈の始まりではない場合は、このことをクラスタ配列に利用することができる。
【0153】
入力パターンIPが第1のクラスタC1から出て第2のクラスタC2へとなぞられると、第1の候補語選択が有効にされ、テキスト行中に入力される。次のクラスタに入る(例えば、第1のクラスタC1を出て第2のクラスタC2に入る)とき、入力パターンIPは、1つまたは複数の候補語Wを通過した後で次に意図されるクラスタに到達する。あいまいさを回避するために、連続した単語クラスタC(すなわち、第1および第2のクラスタC1およびC2、第2および第3のクラスタC2およびC3等)内の単語は、可能な限り、次単語予測の選択確率が互いに接近していないように配列される。
【0154】
連続したクラスタ内の候補語Wの選択確率が比較され(例えば、C1.W1、C2.W1、C1.W2、C2.W2)、候補語Wは、連続したクラスタC内で、入力パターンが次のクラスタへ、例えば第1のクラスタC1から第2のクラスタC2へ移行するときのこれらの単語についてのあいまいさが最小限になるように配列される。
【0155】
第1のアプローチは、各クラスタC内の候補語Wの順位に対して同様の位置決めロジックが適用されることを確実にすることである。図9に示すように、候補語Wは、クラスタC内で、それらの選択確率に対応する順位に基づいて表示される。ある特定の順位(当該クラスタCについてその他の候補語Wとの関連で)を有する候補語Wの表示位置は、各クラスタCにおいて同じである。図示した例において、第1の候補語W1(すなわち、最も選択確率が高い候補語W)は、各クラスタC内で12時の位置に表示される。
【0156】
第2のアプローチは、連続したクラスタCにおいて候補語Wの表示位置をずらすことである。例えば、ある特定の順位(当該クラスタCについてその他の候補語Wとの関連で)を有する候補語Wの表示位置を、連続したクラスタCにおいて、予め定義された数の分の位置だけ調節することができる。図10を参照すると、候補語Wの表示位置は、連続したクラスタCのそれぞれにおいて、位置1つ分ずつ進められる。このため、図示した例においては、第1のクラスタC1内の第1の候補語W1が12時の位置に表示され、第2のクラスタC2内の第1の候補語W1が1時の位置に表示され、第3のクラスタC3内の第1の候補語W1が3時の位置に表示される。
【0157】
あいまいさをさらに低減する目的で、単語クラスタCを互いに十分に離間して配置することができる。あるいは、クラスタ間のあいまいさを低減するために、単語クラスタCを垂直方向および/または水平方向に互いに表示させることができる。ここに記載の位置決めは、対応する画面位置と、表示時の単語領域に相当する単語の長さ、フォントサイズ等に基づいたオフセットとを含み得る。
【0158】
さらなる技術は、図11に示すように、単語クラスタCを波形(例えば、正弦波)で表示することである。単語クラスタCを波形で表示することは、単語クラスタCの走査をユーザにとってよりスムーズで自然なものにするのに役立ち得る。この波形表示技術は、1つのクラスタC内のほとんどの候補語Wとその次のクラスタC内の著しく確率が高い候補語Wとの間に直線を引くときに最小の有意な角度を生成するのにも役立ち得る。
【0159】
入力パターンIPが第2のクラスタC2に入ると、選択される候補語Wを識別するために、同様の技術が使用される。例えば、入力パターンIPは、第2のクラスタC2内に規定されたある単語領域の中になければならない。例えば予め定義された閾値を参照して決定されたこの単語領域に入力パターンのうちの有意な量が入っていなければならない。さらなる要件は、任意に、例えばある閾値を参照して決定された有意な滞留時間および/または圧力パラメータ等を識別することであり得る。
【0160】
入力パターン上の中間距離ごとに、角度/方向の変化が測定され、重み付けがなされる。そして、入力パターンIPが動的になぞられているときに、角度変化が最大点となる点を、入力パターンIP上の曲がり点であると識別することができる。ユーザがなぞっている入力パターンIPは、デジタル曲線として扱われる。識別された曲がり点は、任意には1つまたは複数の追加のパラメータ(滞留時間および/または圧力パラメータ等)と組み合わせて、有意な中間点(SIP)を決定するために用いることができる。そして、SIPに一致する(または最も近い)選択ノードを有する候補語Wが識別され、確率が取り出される。次いで、SIPと確率との合成重みが考慮され、当該クラスタから出る前に当該クラスタ内でユーザによってなぞられたその他のSIPと照らし合わせて決定が行われる。重み付けと確率との組合せは、エディタのテキスト行中に入力するための候補語Wを選択するために用いられる。
【0161】
なぞられる軌跡に階層付けをするために、クラスタサイズをクラスタ位置の順に小さくすることができる。図12を参照すると、第1のクラスタC1が第2のクラスタC2よりも大きく、そして、第2のクラスタC2が第3のクラスタC3よりも大きいように、表示を構成することができる。
【0162】
入力パターンIPの有意な終点(SEP)は、以下のうちの1つまたは複数に基づいて識別される。
a.入力パターンIPが開始された後、指が離された、最後の接触点FCPに相当する点。
b.ある単語クラスタC内で指が離された場合は以下のいずれかである。
i.前述のような最も適切なSIPが識別される。
ii.最も適切なSIPが存在しない場合は、入力パターンIPの領域がFCPにあたる候補語Wに基づいて、リリース点が解析される。出現の確率(文脈、単一頻度等)が前の候補語W(および/または句読点)と比較して十分に高い場合は、SEPとして受け入れられる。
iii.FCPにマップできる単語領域がない場合は何もしない。
c.SEPの最も近くにマップする単語Wが、エディタに挿入される。
【0163】
SSP/SIP/SEPがテキスト行中に挿入されると、スペースまたは句読点を自動的に挿入することができる。あるいは、次の入力イベントがトリガされると、スペースまたは句読点を自動的に挿入することができる。
【0164】
このタイプの単語クラスタC内では、入力パターンIPが当該単語クラスタC内の候補語Wをなぞる回数にかかわらず、最後に識別されたSIPに対応する候補語Wが、既にテキスト行中に挿入された単語と置き換わる。ある1つのクラスタ内で選択することができるのはいつでも1つの単語/句(選択ノード)だけである。入力パターンIPが単語クラスタCを出て、リフレッシュジェスチャ/イベントなしで当該単語クラスタCに再び入る場合、これが当てはまる。ユーザが単語クラスタCから出ると、ユーザが入力パターンIPを途切れることなく続けられるように、挿入記号(∧)がエディタ内のテキストの最後に入れられる。
【0165】
あいまいな経路を減らすのを助けるために、候補語Wのフォントサイズを選択確率順にすることができる。
【0166】
各単語クラスタC内の7つの候補語(W1、W2、W3・・・W7)を参照しながら本実施形態について説明したが、7つ未満または7つを超える候補語Wを表示できることが理解されるであろう。各単語クラスタC内に複数の候補語Wが表示されることが考えられるが、ユーザに選択させるための単一の候補語Wを連続した単語クラスタWの間に表示することもできると考えられる。また、3つ未満または3つを超える単語クラスタCを表示できることが理解されるであろう。本技術は複数の単語クラスタCを同時に表示することを含むことが考えられるが、単一の単語クラスタCについて本明細書中に記載の技術を等しく採用することもできる。
【0167】
入力パターンIPがなぞられているときに有意な点(SSP、SIP、SEP)を識別することができるようにクラスタ間およびクラスタ内の位置決めが行われる上記アプローチについて詳細に説明する。単語クラスタは、例えば測定された夾角に基づいて重み付けすることができる有意な曲がり点CPを規定するように表示することができる。入力パターンIP内の角度変化を増加させる1つの方法は、上記の単語クラスタにランク付けをして位置をずらす技術である。なぞられるパターンに角度変化IPを生じさせるさらなる技術は、単語クラスタCを垂直方向および水平方向に互いに相対的にずらすことである。例えば、第1の単語クラスタC1の仮想の中心点が第2の単語クラスタC2の仮想の中心点から垂直方向および水平方向にずれ、以降シーケンス全体にわたって同様にずれるように、単語クラスタCをタッチスクリーン上に表示することができる。
【0168】
さらなる技術は、1つの単語クラスタC内のある選択ノードの中心から次の単語クラスタC内の選択ノードの中心まで引かれた直線が測定可能な(かつ有意な)角度変化αを提供することを確実にすることである。例えば、単語クラスタCを正弦波に沿って配列することによって、連続した単語クラスタCに表示された候補語W間に引かれた入力パターンIPに有意な角度変化があることを確実にすることができる。図13に示すように、角度αは、勾配が変化するか、曲線の最大点に到達するか、かつ/または、方向が変化する点で測定される。測定された角度に基づいて重みがつけられ、当該点は入力パターンIP内の曲がり点CPであると識別される。
【0169】
別の構成は、最も選択確率が高い候補語Wを一連の単語クラスタCにわたって直線的な配置で表示することである。このため、図14に示すように、直線状の入力パターンIPをなぞることによって、単語クラスタCのシーケンス中の最も選択確率が高い候補語Wを選択することができる。この結果、最も確率が高いパターンが直線であり、他のより確率が低いパターンが有意な屈曲および/または直線を有するということが可能である。このシナリオでは、入力パターンIPは、適切な候補語Wを入力するために対応する選択ノードを識別するために用いられる曲がり点CPを決定するために解析される。識別された曲がり点CPを補足するかまたは置き換えるために本明細書中に記載のその他のパラメータおよび技術を用いることができる。
【0170】
図15を参照すると、3つの単語クラスタ(C1、C3、C2)のシーケンスから候補語(W1〜W7)を選択するための一連のなぞられた入力パターンIPが示されている。例として、第1の単語クラスタC1内の第1および第5の候補語W1、W5の選択ノードの近くまたは一致する場所を起点とする3つの入力パターンIPが示されている。図示した一連の3つの入力パターンIPの起点から生じる曖昧さを解消するために、第1の単語クラスタC1内の第1および第5の候補語W1、W5の相対的重み付けが比較される。次いで、第2の単語クラスタC2からどの候補語Wが選択されるかを判定するために、なぞられた入力パターンIPのうちの第2の単語クラスタC2内の第1および第5の単語W1、W5のそれぞれの選択ノードに収まる長さが比較される。入力パターンIPのそれぞれは、第3の単語クラスタC3内の第5の単語W5で終わっており、さらなる解析をせずにこの候補語Wを選択することができる。
【0171】
第1のクラスタC1内の第3の候補語W3から出発する別の入力パターンIPを図15に示す。この入力パターンIPは、第1のクラスタC1内の第6の候補語W6を横切っており、第3および第6の候補語W3、W6のそれぞれの選択ノードに収まる入力パターンIPの長さが比較される。第3および第6の候補語W3、W6の相対的選択確率に基づいて重み付けも行われる。この入力パターンIPは、第1のクラスタC1内の第3の候補語W3に対応する選択ノードから出発し、これが有意な開始点(SSP)であると識別される。エディタのテキスト行中に入力されるのは第3の候補語W3であるのか第6の候補語W6であるのかを判定するために、SSPの近傍も解析に織り込まれる。第2の単語クラスタC2において、第6の候補語W6上の曲がり点CPであると識別される有意な中間点(SIP)の位置と共に、第3および第6の候補語W3、W6上の入力パターンIPの相対的長さも比較される。第3の単語クラスタC3においては、候補語Wごとの相対的選択確率と共に、第1および第4の候補語W1、W4の選択ノード内をなぞられた入力パターンIPの長さが比較される。入力パターンIPはユーザがタッチスクリーンから指等を離すと終了し、これが有意な終点(SEP)であると識別される。第1および第4の候補語W1、W4の選択ノードに対するSEPの相対位置も、どちらの候補語Wが入力されるかを判定する際に考慮に入れられる。
【0172】
図16に示す表示例に、さらなる一連の入力パターンIPを示す。4つの単語クラスタ(C1〜C4)を通って順になぞられた3つの入力パターンIPについての一連の曲がり点CPの識別が図示されている。第1の単語クラスタC1から直接に第4の単語クラスタC4までなぞられた第1の入力パターンIP1が図16に示されている。第1の入力パターンIP1は、単語クラスタ(C1〜C4)のシーケンスを辿っていない。1つのアプローチは、第1の入力パターンIP1を無視することである。あるいは、有意な開始点SSP、有意な中間点SIP(もしあれば)、および有意な終点SEPを識別し、これらの点に基づいて解析を行うこともできる。ここでもまた、選択確率は、特定の次の単語、なぞられた長さ(すなわち、選択ノード上を延びる入力パターンの長さ)、接触圧、滞留時間等のうちの1つまたは複数の発生を識別することを含み得る。
【0173】
第1の単語クラスタC1から第3の単語クラスタC3までなぞられ、その後第4の単語クラスタC4までなぞられた第2の入力パターンIP2も図16に図示されている。ここでもまた、第2の入力パターンIP2の解析は、SSP、SEP、およびもしあればSIPに基づいて行うことができる。あるいは、またはさらに、解析は、滞留時間、なぞられた長さ、接触圧、特定の単語の選択確率、およびもしあれば曲がり点のうちの1つまたは複数を考慮して行うことができる。曲がり点CPは、選択ノードに対するそれらの位置に基づいて、および、任意には、測定された夾角αに基づいたそれらの相対的重みにも基づいて、解析することができる。
【0174】
図9図16に示した単語クラスタCは、単語クラスタCの周囲の周りに候補語Wが等間隔で配置された時計の文字盤状の構成を含む。しかしながら、この特定の表示配置を修正することができることが理解されるであろう。例として、ユーザインタフェースの例を図17に示す。候補語Wは螺旋形の経路に沿って中心点から外向きに延びるように遠近法で表示される。中心点から各候補語Wまでの距離は、当該候補語Wが選択される確率に正比例している。このため、最も選択される可能性が少ない候補語Wは、最も中心点の近くに表示されている。逆に、最も選択される可能性が高いとみなされる候補語Wは、螺旋形の外側に配置されている。図17に示す構成においては、各単語が選択される確率に応じてフォントサイズも変化させている。このため、確率が高い単語ほど、大きいフォントサイズで表示される。
【0175】
単語クラスタCは、単語クラスタC内の全ての候補語Wの表示位置をそれらの相対位置に影響を及ぼすことなく調節するために、中心点の周りを回転させることができる。この回転技術は、2つ以上の単語クラスタCが表示される構成に特に適用される。例えば、それぞれ第1および第2の単語クラスタC1、C2内のある候補語Wの間の経路距離を短くするために、第1の単語クラスタC1および/または第2の単語クラスタC2を回転させることができる。この技術は、一対または複数対の候補語Wをより近くに位置決めするために採用することができる。このため、当該単語対を選択するためにユーザがなぞる入力パターンIPの長さを短くすることができる。一対または複数対の候補語Wは、合成された確率データを参照して識別することができる。
【0176】
上記の回転技術は、1つまたは複数の候補語Wを選択するためにユーザがなぞらなければならない入力パターンIPを修正するために適用することができる。例えば、ある特定の候補語(または複数の単語)Wに対応付けられた選択ノードで曲がり点つまり方向の変化を生じさせるために、第1の単語クラスタC1および/または第2の単語クラスタC2を回転させることができる。例えば、選択の確率が比較的低い候補語Wの選択ノードの近くで曲がり点つまり方向の変化を生じさせることが望ましい場合がある。比較的急な曲がり点つまり方向の変化を生じさせることによって、当該候補語Wをより高い確実性をもって識別することができる。一定の状況においては、選択の確率が比較的高い候補語Wの選択ノードの近くで曲がり点つまり方向の変化を生じさせることが適切な場合がある。これらの技術は、ある1つの単語クラスタC内で候補語Wの相対位置を決定するために実装することもできる。
【0177】
上記の回転技術は、入力パターンIPにおけるあいまいさを軽減または回避するためにも使用することができる。上記の回転技術は、完全な単語クラスタC(すなわち、候補語Wの相対位置を維持すること)および/または単語クラスタC内の候補語Wのうちの1つまたは複数を回転させることに適用することができる。例えば、第1の単語クラスタC1および/または第2の単語クラスタC2は、一対または複数対の候補語Wの間で他の候補語を通過せずに直線経路をなぞることができるように候補語Wを配列するために、(または、少なくとも入力パターンIPにおけるそのような交差を可能な限り少なくするために、)回転させることができる。ここでもまた、合成された確率データを参照して一対または複数対の候補語Wを識別することができる。
【0178】
各単語クラスタC内での候補語Wの相対位置決めは、表示のために候補語Wが識別されたら固定することができる。あるいは、候補語Wの相対位置決めを動的に修正することもできる。例えば、入力パターンIPが第1の単語クラスタC1を通ってなぞられているときに、第2の単語クラスタC2および/または第3の単語クラスタC3における候補語Wの相対位置決めを変化させることができる。同様に、単語クラスタCの相対的な位置および/または向きの決定を固定しておくこともでき、動的に修正することもできる。
【0179】
本発明を特に携帯電話機に関して説明してきた。しかしながら、単語予測システム120はジェスチャ入力が可能な様々な応用例、例えば、ゲーム、映像、スタイラス、指、杖型リモコン等において具現化できることが理解されるであろう。
【0180】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更および変形が成され得ることが理解されよう。例えば、入力パターンがなぞられているときに、1つまたは複数の単語クラスタの見た目を動的に変更することができる。同じように、キーボードの外観を、例えば、最初はキーボードを小さいサイズで表示し、入力パターンがキーボードに向けてなぞられると拡大されるというように、動的に変更することができる。例えば、入力テキスト中にコンマ、終止符(ピリオド)等の文脈の切れ目があった場合に、記号パッドの外観を動的に変えることができる。本明細書中に記載のシステムは、検出された接触イベントの周りに記号キーボードを表示するように構成することができる。記号キーボードは、常に表示させることもでき、例えば予め定義されたジェスチャをなぞることによって呼び出すこともできる。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
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図6-1】
図6-2】
図7
図8-1】
図8-2】
図9
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