特許第6502709号(P6502709)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502709
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】可変バルブリフト装置
(51)【国際特許分類】
   F01L 13/00 20060101AFI20190408BHJP
   F01L 1/18 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   F01L13/00 301A
   F01L1/18 A
   F01L1/18 N
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-50445(P2015-50445)
(22)【出願日】2015年3月13日
(65)【公開番号】特開2016-56799(P2016-56799A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2018年2月5日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0119222
(32)【優先日】2014年9月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 尚 潤
【審査官】 二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0265751(US,A1)
【文献】 特開2002−188418(JP,A)
【文献】 特開平04−058006(JP,A)
【文献】 特開平05−044410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/34− 1/356
F01L 9/00− 9/04
F01L 13/00−13/08
F01L 1/00− 1/32
F01L 1/36− 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カム軸の回転によりエンジンの吸気または排気を行うように作動するバルブのリフトをハイリフトまたはローリフトに選択的に変更する可変バルブリフト装置において、
前記カム軸の回転によりレバー運動するように一定の長さで形成され、一端に油圧供給部が連結され、他端に前記バルブが連結されるレバーボディーと、
前記レバーボディーの幅方向を長さ方向にして備えられる回転軸と、
前記回転軸を中心として回転可能に備えられるローラと、
前記カム軸に配置されて前記カム軸と共に回転し、前記ローラとローリング接触することでハイリフトを具現するローブの形状を有するハイカムと、
前記カム軸に配置されて前記カム軸と共に回転し、前記ローラとローリング接触することでローリフトを具現するローブの形状を有するローカムと、
を含み、
前記ローラは、前記回転軸の長さ方向に沿ってスライド可能に備えられ、前記ローラのスライドにより前記ローラが前記ハイカムまたは前記ローカムと選択的にローリング接触すると共に、
前記ローラには、内側が開口し外側が閉鎖されたカップ状のハウジングが形成され、前記回転軸には、前記ハウジングの内部に配置され、前記回転軸の長さ方向両端より太い軸ボディーが形成され、前記回転軸の長さ方向両端は、前記ハウジングの閉鎖された外側を貫通するように配置されることを特徴とする可変バルブリフト装置。
【請求項2】
前記ローラの外面を内側に押すように前記レバーボディーに支持される弾性部材をさらに含み、
前記ハウジングの閉鎖された外側の内面と前記軸ボディーの外面との間には油圧チャンバーが形成されることを特徴とする請求項1に記載の可変バルブリフト装置。
【請求項3】
前記油圧供給部から前記油圧チャンバーに供給する油圧によって前記ローラは外側にスライドし、
前記油圧供給部から前記油圧チャンバーへの油圧供給が解除されることで、前記ローラは、前記弾性部材によって内側にスライドすることを特徴とする請求項2に記載の可変バルブリフト装置。
【請求項4】
前記レバーボディーには、前記油圧供給部から油圧が伝達される連結孔および前記連結孔と連通して前記回転軸に向かって延長するボディー流路が形成され、
前記回転軸には、前記ボディー流路と連通するように前記回転軸の内部に形成される軸流路、および前記軸流路と交差するように配置されて前記油圧チャンバーと連通する供給流路が形成されることを特徴とする請求項3に記載の可変バルブリフト装置。
【請求項5】
前記油圧供給部から発生した油圧は、前記連結孔、前記ボディー流路、前記軸流路、および前記供給流路を順次に経由して前記油圧チャンバーに供給されることを特徴とする請求項4に記載の可変バルブリフト装置。
【請求項6】
前記軸流路は、前記回転軸の長さ方向に沿って前記軸ボディーを横切って形成され、
前記供給流路は、前記軸ボディーの外面まで延長して前記油圧チャンバーに連通するように前記回転軸の長さ方向を基準として傾いて形成されることを特徴とする請求項4に記載の可変バルブリフト装置。
【請求項7】
前記ローラが油圧供給の解除により内側にスライドする時に前記ローラのスライドを制限するように係止部の役割をするストッパーが前記軸ボディーの外周面から突き出して形成されることを特徴とする請求項3に記載の可変バルブリフト装置。
【請求項8】
前記ローラは、外側にスライドして前記ハイカムとローリング接触し、内側にスライドして前記ローカムとローリング接触することを特徴とする請求項3に記載の可変バルブリフト装置。
【請求項9】
前記ローラは2個のローラを含み、前記2個のローラは、同時に外側にスライドするか内側にスライドすることを特徴とする請求項3に記載の可変バルブリフト装置。
【請求項10】
前記ハイカムは、前記ローカムの両側に配置される2個のハイカムを含み、前記2個のローラは、外側にスライドして前記ローカム両側のハイカムにそれぞれローリング接触し、内側にスライドして前記ローカムにローリング接触することを特徴とする請求項9に記載の可変バルブリフト装置。
【請求項11】
カム軸の回転によりレバー運動するように一定の長さを有し、一側が開口した内側空間が形成され、一定の幅および厚さを有するレバーボディーと、
前記レバーボディーの一端に装着され、前記レバーボディーに油圧を供給する油圧供給部と、
前記レバーボディーの内側空間を横切るように配置される回転軸と、
前記レバーボディーの内側空間に配置され、前記回転軸を中心として回転可能であり、前記回転軸の長さ方向に沿ってスライド可能に備えられるローラと、
前記ローラの内周面と接触して前記ローラのスライドをガイドするように前記回転軸の長さ方向中間部に前記回転軸の長さ方向両端より太く形成される軸ボディーと、
前記軸ボディーの外面とハウジングの閉鎖された側内面との間に形成される油圧チャンバーと、
前記レバーボディーの内側空間の内面と前記ローラの外面との間に配置される弾性部材と、
前記ローラと選択的にローリング接触して前記カム軸と共に回転することにより前記レバーボディーをレバー運動させ、前記レバーボディーの一端に連結するバルブのハイリフトを具現するローブの形状を有するハイカムと、
前記ローラと選択的にローリング接触して前記カム軸と共に回転することにより前記レバーボディーをレバー運動させ、前記レバーボディーの一端に連結するバルブのローリフトを具現するローブの形状を有するローカムと、
を含み、
前記油圧供給部から前記油圧チャンバーに油圧が供給されることにより前記ローラが外側にスライドして前記ハイカムとローリング接触し、
前記油圧チャンバーの油圧が解除されることにより前記ローラが前記弾性部材によって内側にスライドして前記ローカムとローリング接触することを特徴とする可変バルブリフト装置。
【請求項12】
前記油圧供給部から油圧が伝達されるように前記レバーボディーの一端に形成される連結孔と、
前記連結孔と連通して前記回転軸に向かって延長するように前記レバーボディーの内部に形成されるボディー流路と、
前記ボディー流路と連通するように前記回転軸の内部に形成される軸流路と、
前記軸流路と交差して前記油圧チャンバーに連通するように前記軸ボディーに形成される供給流路と、
をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の可変バルブリフト装置。
【請求項13】
前記油圧供給部から発生した油圧は、前記連結孔、前記ボディー流路、前記軸流路、および前記供給流路を順次に経由して前記油圧チャンバーに供給されることを特徴とする請求項12に記載の可変バルブリフト装置。
【請求項14】
前記油圧供給部には、前記油圧供給部から発生した油圧が前記レバーボディーに供給されるように前記連結孔と連通する油圧供給孔が形成され、
前記ローラが前記ハイカムまたは前記ローカムのベースと接触する時に前記連結孔と前記油圧供給孔が連通し、前記ローラが前記ハイカムまたは前記ローカムのローブと接触する時に前記連結孔と前記油圧供給孔の連通が遮断されることを特徴とする請求項12に記載の可変バルブリフト装置。
【請求項15】
前記供給流路は、前記回転軸の長さ方向を基準として傾いて形成されることを特徴とする請求項12に記載の可変バルブリフト装置。
【請求項16】
前記ハイカムと前記ローカムは、ベースが一致することを特徴とする請求項11に記載の可変バルブリフト装置。
【請求項17】
前記ローラが内側にスライドする時に前記ローラのスライドを制限するように前記軸ボディーの外周面から突出するストッパーが形成されることを特徴とする請求項11に記載の可変バルブリフト装置。
【請求項18】
前記ローラは、同時に外側にスライドするか内側にスライドする2個のローラを含むことを特徴とする請求項11に記載の可変バルブリフト装置。
【請求項19】
前記ハイカムは、前記2個のローラが外側にスライドしてそれぞれローリング接触するように前記ローカム両側に配置される2個のハイカムを含むことを特徴とする請求項18に記載の可変バルブリフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変バルブリフト装置に係り、より詳しくは、バルブが選択的にハイカムまたはローカムによって駆動されるようにして、バルブリフトの変更を具現する可変バルブリフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、内燃機関(internal combustion engine)は、燃焼室(combustion chamber)に受け入れた燃料と空気を燃焼させることで動力を発生させる。ここで、空気を吸入する時は、カムシャフト(camshaft)の駆動によって吸気バルブ(intake valves)を作動させ、吸気バルブが開いている間に空気が燃焼室に吸入される。また、空気を排出する時は、カムシャフトの駆動によって排気バルブ(exhaust valve)を作動させ、排気バルブが開いている間に空気が燃焼室から排出する。
一方、最適の吸気バルブまたは排気バルブの動作は、エンジンの回転速度によって変る。即ち、エンジンの回転速度によって適切なリフト(lift)またはバルブ開閉時期を制御する。このように、エンジンの回転速度により適切なバルブ動作を具現するために、バルブがエンジンの回転数により他のリフト(lift)で動作するように具現する可変バルブリフト(variable valve lift;VVL)装置が研究されている。
【0003】
このような可変バルブリフト装置の例としては、カムシャフトに互いに異なるリフトにバルブを駆動させる複数のカムが備えられ、状況によってバルブを駆動させるカムが選択されるように作動する装置がある。
しかし、カムシャフトに複数のカムが備えられる場合、吸気バルブまたは排気バルブを作動させるためのカムを選択的に変更するための構成が複雑になり、構成要素間の干渉が発生する。一方、構成要素間の干渉が防止されるように複数のカムをそれぞれ独立して作動させる場合、それぞれのカム毎に作動のための構成要素が要求されるので、原価が上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−157129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的とするところは、構成が簡単でかつ構成要素間の干渉を防止することができる可変バルブリフト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するための本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置は、カム軸の回転によりエンジンの吸気または排気を行うように作動するバルブのリフトをハイリフトまたはローリフトに選択的に変更する可変バルブリフト装置において、前記カム軸の回転によりレバー運動するように一定の長さで形成され、一端に油圧供給部が連結され、他端に前記バルブが連結されるレバーボディーと、前記レバーボディーの幅方向を長さ方向にして備えられる回転軸と、前記回転軸を中心として回転可能に備えられるローラと、前記カム軸に配置されて前記カム軸と共に回転し、前記ローラとローリング接触することでハイリフトを具現するローブの形状を有するハイカムと、前記カム軸に配置されて前記カム軸と共に回転し、前記ローラとローリング接触することでローリフトを具現するローブの形状を有するローカムと、を含み、前記ローラは、前記回転軸の長さ方向に沿ってスライド可能に備えられ、前記ローラのスライドにより前記ローラが前記ハイカムまたは前記ローカムと選択的にローリング接触すると共に、前記ローラには、内側が開口し外側が閉鎖されたカップ状のハウジングが形成され、前記回転軸には、前記ハウジングの内部に配置され、前記回転軸の長さ方向両端より太い軸ボディーが形成され、前記回転軸の長さ方向両端は、前記ハウジングの閉鎖された外側を貫通するように配置されることを特徴とする。
【0008】
前記ローラの外面を内側に押すように前記レバーボディーに支持される弾性部材をさらに含み、前記ハウジングの閉鎖された外側の内面と前記軸ボディーの外面との間には油圧チャンバーが形成されることを特徴とする。
【0009】
前記油圧供給部から前記油圧チャンバーに供給する油圧によって前記ローラは外側にスライドし、前記油圧供給部から前記油圧チャンバーへの油圧供給が解除されることで、前記ローラは、前記弾性部材によって内側にスライドすることを特徴とする。
【0010】
前記レバーボディーには、前記油圧供給部から油圧が伝達される連結孔および前記連結孔と連通して前記回転軸に向かって延長するボディー流路が形成され、
前記回転軸には、前記ボディー流路と連通するように前記回転軸の内部に形成される軸流路、および前記軸流路と交差するように配置されて前記油圧チャンバーと連通する供給流路が形成されることを特徴とする。
【0011】
前記油圧供給部から発生した油圧は、前記連結孔、前記ボディー流路、前記軸流路、および前記供給流路を順次に経由して前記油圧チャンバーに供給されることを特徴とする。
【0012】
前記軸流路は、前記回転軸の長さ方向に沿って前記軸ボディーを横切って形成され、前記供給流路は、前記軸ボディーの外面まで延長して前記油圧チャンバーに連通するように前記回転軸の長さ方向を基準として傾いて形成されることを特徴とする。
【0013】
前記ローラが油圧供給の解除により内側にスライドする時に前記ローラのスライドを制限するように係止部の役割をするストッパーが前記軸ボディーの外周面から突き出して形成されることを特徴とする。
【0014】
前記ローラは、外側にスライドして前記ハイカムとローリング接触し、内側にスライドして前記ローカムとローリング接触することを特徴とする。
【0015】
前記ローラは2個のローラを含み、前記2個のローラは、同時に外側にスライドするか内側にスライドすることを特徴とする。
【0016】
前記ハイカムは、前記ローカムの両側に配置される2個のハイカムを含み、前記2個のローラは、外側にスライドして前記ローカム両側のハイカムにそれぞれローリング接触し、内側にスライドして前記ローカムにローリング接触することを特徴とする。
【0017】
また、本発明による他の可変バルブリフト装置は、カム軸の回転によりレバー運動するように一定の長さを有し、一側が開口した内側空間が形成され、一定の幅および厚さを有するレバーボディーと、前記レバーボディーの一端に装着され、前記レバーボディーに油圧を供給する油圧供給部と、前記レバーボディーの内側空間を横切るように配置される回転軸と、前記レバーボディーの内側空間に配置され、前記回転軸を中心として回転可能であり、前記回転軸の長さ方向に沿ってスライド可能に備えられるローラと、前記ローラの内周面と接触して前記ローラのスライドをガイドするように前記回転軸の長さ方向中間部に前記回転軸の長さ方向両端より太く形成される軸ボディーと、前記軸ボディーの外面とハウジングの閉鎖された側内面との間に形成される油圧チャンバーと、前記レバーボディーの内側空間の内面と前記ローラの外面との間に配置される弾性部材と、前記ローラと選択的にローリング接触して前記カム軸と共に回転することにより前記レバーボディーをレバー運動させ、前記レバーボディーの一端に連結するバルブのハイリフトを具現するローブの形状を有するハイカムと、前記ローラと選択的にローリング接触して前記カム軸と共に回転することにより前記レバーボディーをレバー運動させ、前記レバーボディーの一端に連結するバルブのローリフトを具現するローブの形状を有するローカムと、を含み、前記油圧供給部から前記油圧チャンバーに油圧が供給されることにより前記ローラが外側にスライドして前記ハイカムとローリング接触し、前記油圧チャンバーの油圧が解除されることにより前記ローラが前記弾性部材によって内側にスライドして前記ローカムとローリング接触することを特徴とする。
【0018】
前記油圧供給部から油圧が伝達されるように前記レバーボディーの一端に形成される連結孔と、
前記連結孔と連通して前記回転軸に向かって延長するように前記レバーボディーの内部に形成されるボディー流路と、
前記ボディー流路と連通するように前記回転軸の内部に形成される軸流路と、
前記軸流路と交差して前記油圧チャンバーに連通するように前記軸ボディーに形成される供給流路と、
をさらに含むことを特徴とする。
【0019】
前記油圧供給部から発生した油圧は、前記連結孔、前記ボディー流路、前記軸流路、および前記供給流路を順次に経由して前記油圧チャンバーに供給されることを特徴とする。
【0020】
前記油圧供給部には、前記油圧供給部から発生した油圧が前記レバーボディーに供給されるように前記連結孔と連通する油圧供給孔が形成され、
前記ローラが前記ハイカムまたは前記ローカムのベースと接触する時に前記連結孔と前記油圧供給孔が連通し、前記ローラが前記ハイカムまたは前記ローカムのローブと接触する時に前記連結孔と前記油圧供給孔の連通が遮断されることを特徴とする。
【0021】
前記供給流路は、前記回転軸の長さ方向を基準として傾いて形成されることを特徴とする。
【0022】
前記ハイカムと前記ローカムは、ベースが一致することを特徴とする。
【0023】
前記ローラが内側にスライドする時に前記ローラのスライドを制限するように前記軸ボディーの外周面から突出するストッパーが形成されることを特徴とする。
【0024】
前記ローラは、同時に外側にスライドするか内側にスライドする2個のローラを含むことを特徴とする。
【0025】
前記ハイカムは、前記2個のローラが外側にスライドしてそれぞれローリング接触するように前記ローカム両側に配置される2個のハイカムを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、ローラ20がハイカム71、72またはローカム74と選択的に直接接触し、ローラ20の他にハイカム71、72あるいはローカム74と接触する構成要素がないようにすることで、構成要素間の干渉および摩擦による燃費悪化が防止される。
また、油圧を使用してローラ20が選択的にハイカム71、72またはローカム74と接触するようにする構成が簡単になることで、反応性が向上し、原価が節減される。
さらに、窮極的にエンジンの回転速度および負荷により適切なバルブリフトが具現されることで、燃費が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置の構成図である。
図2】本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置の平面図である。
図3】本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置がバルブのローリフトを具現する状態の断面図である。
図4】本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置がバルブのローリフトを具現するようにする作動図である。
図5】本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置がバルブのハイリフトを具現する状態の断面図である。
図6】本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置がバルブのハイリフトを具現するようにする作動図である。
図7】本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置の作動図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施例を添付の図面に基づいて詳しく説明する。
図1は、本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置の構成図である。
図1に示すように、本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置は、レバーボディー10、ローラ20、回転軸30、および油圧供給部40を含む。
レバーボディー10は、カム軸80の回転力の伝達を受けてレバー運動し、バルブ60を開閉させるように作動する。また、カム軸80には、カム軸80の回転運動をレバーボディー10のレバー運動に変換させるようにカム70が形成されるか備えられる。ここで、バルブ60は、エンジンの吸気バルブまたは排気バルブである。
カム70は、一端が他端に比べて相対的にさらに突出するように断面の外周面がタマゴ型(oval shape)に形成された一般的なカム(cam)形状で形成される。通常、カム70の一端はローブ(lobe)といい、他端はベース(base)という。
【0029】
カム70のベースは、カム70の外周中、半径の一定な弧状を有するカム70の基礎円(base circle)である。ここで、ベースの弧状は、カム70の回転中心Cを遠心Cとする弧状である。また、カム70のローブは、カム70の外周中、バルブ60がカム70の回転によって開きはじめ完全に閉じられるまでローラ20を押している部分である。
レバーボディー10は、装着溝12および連結孔14を含む。
装着溝12は、油圧供給部40を装着するために形成された溝である。また、油圧供給部40は、装着溝12に装着してレバーボディー10の一端に取り付けられる。さらに、レバーボディー10のレバー運動によってバルブ60が開閉されるように、レバーボディー10の他端はバルブ60と連結される。
【0030】
レバーボディー10の内側には、レバーボディー10が垂直方向に貫通した空間が形成される。即ち、レバーボディー10は、レバー運動するように一定の長さを有し、レバーボディー10の内側空間が形成されるように一定の幅および厚さを有する。一方、油圧供給部40と連結するレバーボディー10の一端には、レバー運動の回転軸が形成される。
以下の説明において、レバーボディー10に備えられる構成要素の外面および内面または外側および内側は、レバーボディー10の幅方向を基準としてした外側および内側とそれぞれ同一の方向を意味する。
連結孔14は、装着溝12からレバーボディー10の内部に連結された孔である。
ローラ20は、レバーボディー10の内側空間に備えられ、レバーボディー10と回転可能に連結される。さらに、ローラ20は、カム軸80の回転運動をレバーボディー10のレバー運動に変換させるようにカム70とローリング接触する。
【0031】
回転軸30は、ローラ20の回転中心となる円筒状の軸である。また、回転軸30は、レバーボディー10をレバーボディー10の幅方向に貫通するように配置され、回転軸30によってレバーボディー10とローラ20は回転可能に連結される。即ち、回転軸30は、レバーボディー10の内側空間を横切るように配置される。
ローラ20は中空の円筒状で形成され、ローラ20の中空には電動体25が備えられる。また、電動体25は、ローラ20の中空でローラ20と回転軸30との間に介在され、ローラ20の回転を円滑にする。
【0032】
油圧供給部40は、連結孔14を通じてレバーボディー10の内部に油圧を供給する装置である。また、油圧供給部40は、油圧を供給して可変バルブリフト装置を作動させる通常のハイドロリックラッシュアジャスター(hydraulic lash adjuster、HLA)である。ここで、ハイドロリックラッシュアジャスターは、可変バルブリフト装置が作動するように油圧を供給すると同時に、バルブリフタが常にカムに密着して動くようにする装置で、当該技術分野で通常の知識を有する者(以下、当業者)に自明であるので、これ以上の詳しい説明は省略する。
油圧供給部40には、油圧供給孔42が形成される。
油圧供給孔42は、油圧供給部40から発生した油圧がレバーボディー10に供給するように油圧供給部40が装着溝12と接触する部分に形成された孔である。また、油圧供給孔42が装着溝12と連通した連結孔14と連通することにより、油圧供給部40から発生した油圧が連結孔14を通じてレバーボディー10に供給される。
【0033】
図2は、本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置の平面図であり、図3は、本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置がバルブのローリフトを具現する状態の断面図である。
図2および図3に示すように、本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置は、ハウジング24、貫通孔26、軸ボディー32、ストッパー34、軸流路36、ボディー流路15、および弾性部材50をさらに含む。
ハウジング24は、電動体25と回転軸30との間でローラ20、電動体25、およびハウジング24で構成されるローリングベアリングの内輪として機能することができる。ここで、ローリングベアリングの内輪の機能は当業者に自明であるので、これに対する詳しい説明は省略する。
【0034】
ハウジング24は、断面が「U」字のカップ状で形成される。この時、ローラ20は、内面が対向するように配置される2個のローラ21、22で構成され、説明の便宜上、2個のローラ21、22を第1ローラ21および第2ローラ22と称する。また、ハウジング24は、第1ローラ21および第2ローラ22の外面からそれぞれカップ状に突出する。即ち、ハウジング24の「U」字断面の開口された側は、第1ローラ21および第2ローラ22の内面に向かい、閉鎖された側は、第1ローラ21および第2ローラ22の外面に向かうか外面を通り突出する。
貫通孔26は、ハウジング24の閉鎖された側に形成される。また、貫通孔26には、回転軸30がハウジング24を貫通するように挿入される。
軸ボディー32は、回転軸30の長さ方向の中間部で回転軸30の長さ方向両端より太く形成される。つまり、軸ボディー32は、回転軸30と段差があるように形成される。
【0035】
軸ボディー32は、ハウジング24のカップ状内側に配置される。また、軸ボディー32の外周は、ハウジング24の内周と対応する大きさを有し、軸ボディー32の外周面とハウジング24の内周面との間には気密が確保される。さらに、ハウジング24は、軸ボディー32によってガイドされ、回転軸30の長さ方向に沿ってローラ20と共にスライド可能に備えられる。
ストッパー34は、軸ボディー32の長さ方向の中心部で軸ボディー32の外周面から突き出して形成される。また、ストッパー34は、第1ローラ21と第2ローラ22との間に配置される。さらに、ストッパー34は、回転軸30の長さ方向に沿ってスライドする第1ローラ21と第2ローラ22の移動で、第1ローラ21と第2ローラ22が内側方向に移動し過ぎることを制限し、第1ローラ21と第2ローラ22の内面が互いに衝突および接触することを防止する。
【0036】
軸流路36は、回転軸30の内部で長さ方向に沿って軸ボディー32を横切って形成される流路である。
ボディー流路15は、レバーボディー10に形成または備えられ、連結孔14と軸流路36を連通させるように配置される流路である。
弾性部材50は、レバーボディー10の内側空間の内面とローラ20の外面との間に配置される。また、弾性部材50は、ローラ20を内側に押すように機能する。
第1ローラ21と第2ローラ22とが備えられる場合、弾性部材50は、第1ローラ21の外面とこれに対向するレバーボディー10内側空間の内面との間、および第2ローラ22の外面とこれに対向するレバーボディー10内側空間の内面との間にそれぞれ配置される。この時、説明の便宜上、第1ローラ21を押すように機能する弾性部材50を第1弾性部材51と称し、第2ローラ22を押すように機能する弾性部材50を第2弾性部材52と称する。また、弾性部材50の外側はレバーボディー10の内側空間の内面に支持され、内側はローラ20の外面に支持される。
【0037】
さらに、弾性部材50は、コイルスプリングであり、コイルスプリングの内側には、ハウジング24の突出した部分が挿入されて、コイルスプリングの内側がハウジング24の突出した部分を囲むように装着される。
図4は、本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置がバルブのローリフトを具現するようにする作動図である。
図4に示すように、本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置は、ハイカム71、72、ローカム74、油圧チャンバー39、および供給流路38をさらに含む。つまり、カム70は、ハイカム71、72およびローカム74で構成される。
ハイカム71、72は、バルブ60のハイリフトを具現するように回転するカムであり、カム軸80の外周面から突出するように形成されるか備えられる。
ローカム74は、バルブ60のローリフトを具現するように回転するカムであり、カム軸80の外周面から突出するように形成されるか備えられる。
【0038】
ハイカム71、72は、ローカム74よりローブが相対的にさらに突出するように形成される。また、ハイカム71、72とローカム74は、ベースが一致するように形成される。図4および図6には、2個のハイカム71、72がローカム74の両側にそれぞれ配置されたものが示されたが、これに限定されず、当業者の設計によりハイカム71、72およびローカム74の位置は反対になってもよい。
2個のハイカム71、72がローカム74の両側にそれぞれ配置される場合、説明の便宜上、本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置の作動により第1ローラ21と接触するハイカム71、72を第1ハイカム71と称し、第2ローラ22と接触するハイカム71、72を第2ハイカム72と称する。
【0039】
油圧チャンバー39は、軸ボディー32と回転軸30の段差によって形成された軸ボディー32の外面とハウジング24の閉鎖された側内面との間に形成された空間である。
供給流路38は、軸ボディー32の内部に形成され、軸流路36と交差するように回転軸30の長さ方向を基準として傾いて配置される。また、供給流路38は、軸ボディー32の外面まで延長して油圧チャンバー39と連通する。
図2乃至図4に示すように、油圧供給部40からレバーボディー10の内部に油圧が供給されないことを説明する。
第1ローラ21および第2ローラ22は、それぞれ第1弾性部材51および第2弾性部材52によって内側に押し出され、第1ローラ21および第2ローラ22の内面あるいはハウジングの内面がストッパー34に接触した状態で、第1ローラ21および第2ローラ22はローカム74とローリング接触する。このような状態で、カム軸80およびカム70が回転することによりバルブ60のローリフトが具現される。図4には、弾性部材50によるローラ20の移動方向を点線の矢印で示す。
【0040】
図5は、本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置がバルブのハイリフトを具現する状態の断面図であり、図6は、本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置がバルブのハイリフトを具現するようにする作動図である。
図5および図6に示すように、油圧供給部40からレバーボディー10の内部に油圧が供給されることを説明する。
油圧供給部40で発生した油圧は、油圧供給孔42、連結孔14、ボディー流路15、軸流路36、および供給流路38を順次に経由して油圧チャンバー39に供給される。図5には、油圧の供給経路を点線の矢印で示す。
【0041】
弾性部材50がローラ20を押し付ける力より大きい油圧が油圧チャンバー39に供給されれば、第1ローラ21および第2ローラ22は外側にスライドする。従って、第1ローラ21は第1ハイカム71とローリング接触し、第2ローラ22は第2ハイカム72とローリング接触する。このような状態で、カム軸80およびカム70が回転することによりバルブ60のハイリフトが具現される。図6には、油圧チャンバー39に供給された油圧によるローラ20の移動方向は点線の矢印で示す。
油圧供給部40からの油圧供給が解除されれば、第1ローラ21および第2ローラ22は、それぞれ第1弾性部材51および第2弾性部材52によって内側の元の位置に戻る(図2乃至図4参照)。この時、ストッパー34は、第1ローラ21および第2ローラ22の内側方向移動を制限する係止部であり、第1ローラ21および第2ローラ22の内側方向移動によって発生し得る衝撃を緩和するように機能する。
【0042】
一方、油圧供給部40による油圧の供給および解除による第1ローラ21および第2ローラ22のスライド移動は、ローラ20がカム70のベースと接触する区間で行われる。従って、第1ローラ21および第2ローラ22のスライドが円滑に行われ、第1ローラ21および第2ローラ22のスライド時に発生し得る干渉および衝撃が防止される。このような作動の制御は、カム軸80およびクランク軸(図示せず)の回転位相を感知するセンサーなどを使用して当業者が容易に具現することができる。
図7は、本発明の実施例に係る可変バルブリフト装置の作動図である。
図7に示すように、ローラ20がカム70のローブと接触する区間では、油圧供給部40の油圧供給孔42とレバーボディー10の連結孔14の位置が一致しなくなる。従って、油圧供給孔42と連結孔14の連通が遮断され、油圧供給部40によるレバーボディー10の内部への油圧供給が中断される。この時、レバーボディー10の内部に既に供給された油圧が維持されることはもちろんである。
【0043】
このような作動により、オイルコントロールバルブ(OCV:oil control valve、図示せず)の圧力変動による可変バルブリフト装置の誤作動が防止される。また、ローラ20がカム70のローブと接触する区間で油圧の供給および解除が行われることが未然に防止される。
一方、本発明の実施例によると、油圧の解除時に弾性部材50によってローラ20がローカム74と接触するように移動することで、オイルコントロールバルブの故障などの異常条件およびエンジンの始動OFFの際は、バルブ60がローリフトで駆動される。
【0044】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0045】
10:レバーボディー
12:装着溝
14:連結孔
15:ボディー流路
20:ローラ
21:第1ローラ
22:第2ローラ
24:ハウジング
25:電動体
26:貫通孔
30:回転軸
32:軸ボディー
34:ストッパー
36:軸流路
38:供給流路
39:油圧チャンバー
40:油圧供給部
42:油圧供給孔
50:弾性部材
51:第1弾性部材
52:第2弾性部材
60:バルブ
70:カム
71、72:ハイカム
74:ローカム
80:カム軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7