(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
幅方向及び長手方向の内の一方側方向の中央部を他方側方向の全長に亘って前記吸収体貫通部が備えられ、前記吸収体貫通部と一致する領域に前記防水シート開口部が形成され、前記防水シート開口部の略半分の幅で形成された前記粘着剤層が前記防水シート開口部に重なる領域の一方側方向の片側に他方側方向に沿って設けられている請求項1記載の吸収性物品。
幅方向及び長手方向の内の一方側方向の中央部を他方側方向の全長に亘って前記吸収体貫通部が備えられ、前記吸収体貫通部と一致する領域に前記防水シート開口部が形成され、前記防水シート開口部に隣接する他方側方向の両側又は片側に他方側方向に沿って前記粘着剤層が設けられている請求項1記載の吸収性物品。
着用者の体液排出部に当接する領域に前記吸収体貫通部が備えられ、前記吸収体貫通部の中央部に前記吸収体貫通部より小さな形状の前記防水シート開口部が形成され、前記防水シート開口部の外側領域に前記粘着剤層が設けられている請求項1記載の吸収性物品。
幅方向及び長手方向の内の一方側方向の中央部を他方側方向の全長に亘って前記吸収体貫通部が備えられ、前記吸収体貫通部の他方側方向の中間部に前記防水シート開口部が形成され、前記吸収体貫通部に重なる前記防水シート開口部以外の領域に前記粘着剤層が設けられている請求項1記載の吸収性物品。
【背景技術】
【0002】
従来より、使い捨ておむつなどのアウターの内面に装着して使用される尿取りパッドなどのインナーパッドとして、前記簡易交換用としての使用態様と、前記補助吸収用としての使用態様の2通りがあることが知られている。前記簡易交換用としての使用態様では、頻繁に使い捨ておむつを交換する手間を軽減するとともに、おむつの購入費用を削減することなどを目的として、尿を吸収したインナーパッドのみを交換して使い捨ておむつを繰り返し使用できるように、吸収体に吸収された尿のアウター側への漏れを防止するため、インナーパッドの非肌側が不透液性のシート材で覆われている。この簡易交換用のインナーパッドは、昼間などパッドを頻繁に交換できるときに主に使用されている。
【0003】
一方、前記補助吸収用としての使用態様では、使い捨ておむつなどのアウターの吸収能力を増大させることなどを目的として、使い捨ておむつの内面に積層して使用し、吸収体に吸収された尿が速やかに使い捨ておむつの吸収体に移行するように、インナーパッドの非肌側が透液性のシート材で覆われている。この補助吸収用のインナーパッドは、就寝時などパッドを長時間に亘って交換できないときに主に使用されている。
【0004】
このように、前記簡易交換用としての使用態様ではアウターに尿が溢れ出ないことが要求される一方で、前記補助吸収用としての使用態様ではインナーパッド及びアウターの各吸収体の吸収性能を有効に活用するため、インナーパッドからアウター側に尿がスムーズに移行することが要求されている。このように、簡易交換用としての使用態様と補助吸収用としての使用態様とでは、相反する性能が要求されることとなる。
【0005】
従来のインナーパッドでは、非肌側のシート材を不透液性とするか透液性とするかによって、何れか一方の機能を備えることしかできなかったため、使用者は各機能に応じたパッドを2種類用意しておかなければならなかった。
【0006】
ところが近年では、このようなパッドにも幾多の改良が重ねられ、1つのパッドで簡易交換用としての使用態様と、補助吸収用としての使用態様とを選択可能としたものが提案されている。例えば、下記特許文献1では、内面側に液透過性のトップシートが、内部に前記トップシートを通過した液を吸収する吸収コアが、外面側に液不透過性のバックシートが設けられ、前記バックシートには、前記吸収コアを透過した液を通過させる開口部が形成されている吸収性物品が開示されている。
【0007】
また、下記特許文献2では、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これら両シートの間に配置された吸収体を有する吸収性物品において、前記バックシートに線状の引裂線を形成する分離手段を具備したことにより、前記バックシートに開口部を形成することができる吸収性物品が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に記載の吸収性物品では、液不透過性のバックシートに形成された開口部に吸収体が介在しているため、前記補助吸収用としての使用態様において、長時間装着して繰り返しの排尿があった場合には、2回目以降の排尿時に前記開口部に介在する吸収体が膨潤することにより、前記開口部を通じてアウター側に液透過しにくくなり、インナーパッドの表面に尿が溢れやすくなる欠点があった。
【0010】
また、上記特許文献2に記載の吸収性物品では、バックシートに線状の引裂線を形成する分離手段として、ミシン目状の切り込み線などが挙げられているが、簡易交換用としての使用態様において、このミシン目を通じて吸収体に吸収された尿がアウターの使い捨ておむつ側に浸出するおそれがあった。また、バックシートに開口部を形成した状態で使用する補助吸収用としての使用態様においては、前記開口部に吸収体が介在しているため、繰り返しの排尿があった場合には、前述と同様にインナーパッドの表面に尿が溢れやすくなる欠点があった。
【0011】
そこで本発明の主たる課題は、簡易交換用としての使用態様においてアウターへの尿の漏れ出しを防止するとともに、補助吸収用としての使用態様においてアウターに尿がスムーズに移行できるようにした吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、吸収体と、前記吸収体の肌側を覆う透液性のトップシートと、前記吸収体の非肌側を覆う防水シートと、前記防水シートの非肌側を覆う透液性のバックシートとを備え、
少なくとも着用者の体液排出部を含む領域に備えられた前記吸収体の肌面から非肌面にかけて貫通する吸収体貫通部と、前記吸収体貫通部に重なる領域に形成された前記防水シートが存在しない防水シート開口部と、前記防水シート開口部に重なる領域及びこれに隣接する領域のいずれか一方又は両方の前記バックシートの外面に設けられ、前記防水シート開口部を閉じるように前記バックシートを折り畳んだ状態を固定保持するための粘着剤層とを有していることを特徴とする吸収性物品が提供される。
【0013】
上記請求項1記載の発明では、少なくとも着用者の体液排出部を含む領域に、前記吸収体の肌面から非肌面にかけて貫通する吸収体貫通部が備えられるとともに、前記吸収体貫通部に重なる領域に、前記防水シートが存在しない防水シート開口部が形成された状態でアウターの内面に装着する補助吸収用としての使用態様と、前記防水シート開口部を閉じるように前記バックシートを折り畳んで前記バックシートを前記粘着剤層によって固定することにより、吸収体の非肌側の全面が不透液性の防水シートで覆われた状態でアウターの内面に装着する簡易交換用としての使用態様とが選択可能となっている。
【0014】
前記補助吸収用としての使用態様においては、前記吸収体貫通部に重なる領域に防水シート開口部を形成しているため、この防水シート開口部を通じて尿がアウター側に移行できるようになる。しかも、この防水シート開口部は吸収体貫通部に重なる領域に設けられ、防水シート開口部の肌側には吸収体が介在していないため、吸収体が膨潤して液透過が生じにくくなるようなことがなく、防水シート開口部を通じてアウターに尿がスムーズに移行できるようになる。
【0015】
また、前記簡易交換用としての使用態様において、前記防水シート開口部は、バックシートを折り畳んで該防水シート開口部の両側端同士を接続させるように前記バックシートを折り畳んだ状態を粘着剤層によって固定保持することにより簡単に閉じることができるため、吸収体の非肌側の全面が前記防水シートによって覆われ、アウターへの尿の漏れ出しが確実に防止できるようになる。
【0016】
請求項2に係る本発明として、幅方向及び長手方向の内の一方側方向の中央部を他方側方向の全長に亘って前記吸収体貫通部が備えられ、前記吸収体貫通部と一致する領域に前記防水シート開口部が形成され、前記防水シート開口部の略半分の幅で形成された前記粘着剤層が前記防水シート開口部に重なる領域の一方側方向の片側に他方側方向に沿って設けられている請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0017】
上記請求項2記載の発明は、具体的な形態例を示したものであり、その一例としては、幅方向中央部を長手方向の全長に亘って前記吸収体貫通部が備えられ、前記吸収体貫通部と一致する領域に前記防水シート開口部が形成され、前記防水シート開口部の略半分の幅で形成された前記粘着剤層が前記防水シート開口部に重なる領域の幅方向の片側に長手方向に沿って設けられたものである。従って、前記補助吸収用としての使用態様においては、前記防水シート開口部のうち略半分が不透液性の前記粘着剤層で覆われ、残りの略半分が開口しているため、この開口部を通じてアウターに尿が移行できるようになる。また、前記粘着剤層を吸収体貫通部の略半分の幅で形成してあるため、前記簡易交換用として使用する場合に、前記吸収体貫通部に重なるバックシート部分を、前記粘着剤層が形成された側の端部を基点として断面Z状に折り畳んだときに、粘着剤層がバックシートの外面側に接着し、この折り畳み状態が保持できるようになる(
図6参照)。これにより、防水シート開口部の両側の防水シートが引っ張られて端縁同士が接続して防水シート開口部が閉じた状態が保持できるようになる。
【0018】
請求項3に係る本発明として、幅方向及び長手方向の内の一方側方向の中央部を他方側方向の全長に亘って前記吸収体貫通部が備えられ、前記吸収体貫通部と一致する領域に前記防水シート開口部が形成され、前記防水シート開口部に隣接する他方側方向の両側又は片側に他方側方向に沿って前記粘着剤層が設けられている請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0019】
上記請求項3記載の発明は、具体的な他の形態例を示したものであり、その一例としては、幅方向中央部を長手方向の全長に亘って前記吸収体貫通部が備えられ、前記吸収体貫通部と一致する領域に前記防水シート開口部が形成され、前記防水シート開口部に隣接する他方側方向の両側又は片側に長手方向に沿って前記粘着剤層が設けられたものである。このため、前記補助吸収用としての使用態様においては、前記防水シート開口部に前記粘着剤層が介在しないので、この防水シート開口部を通じたアウターへの尿の移行がスムーズになる。また、前記簡易交換用として使用するには、防水シート開口部に重なるバックシート部分を指で摘み前記防水シート開口部の両側又は片側に設けられ粘着剤層に固定することにより、防水シート開口部の両側の防水シートの端縁同士を引き寄せて接続させるようにする。これによって、吸収体の非肌側が防水シートによって覆われるので、アウターへの尿の漏れ出しが防止できるようになる。
【0020】
請求項4に係る本発明として、着用者の体液排出部に当接する領域に前記吸収体貫通部が備えられ、前記吸収体貫通部の中央部に前記吸収体貫通部より小さな形状の前記防水シート開口部が形成され、前記防水シート開口部の外側領域に前記粘着剤層が設けられている請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0021】
上記請求項4記載の発明は、具体的な他の形態例を示したものである。本形態例では、補助吸収用としての使用態様において、着用者の体液排出部に当接する領域に吸収体貫通部が備えられ、この吸収体貫通部の中央部に前記吸収体貫通部より小さな形状の前記防水シート開口部が形成され、かつ前記防水シート開口部に不透液性の前記粘着剤層が介在しないので、防水シート開口部を通じたアウターへの尿の移行がスムーズになる。また、本インナーパッドを簡易交換用として使用するには、中央部の防水シート開口部を覆うバックシート部分を引っ張って防水シート開口部の周縁を中央に引き寄せて接続させるようにするとともに、このバックシートを外側領域の粘着剤層に固定することによって、防水シート開口部が閉じた状態を保持する。これによって、吸収体の非肌側が防水シートによって覆われるので、アウターへの尿の漏れ出しが防止できるようになる。
【0022】
請求項5に係る本発明として、幅方向及び長手方向の内の一方側方向の中央部を他方側方向の全長に亘って前記吸収体貫通部が備えられ、前記吸収体貫通部の他方側方向の中間部に前記防水シート開口部が形成され、前記吸収体貫通部に重なる前記防水シート開口部以外の領域に前記粘着剤層が設けられている請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0023】
上記請求項5記載の発明は、具体的な他の形態例を示したものであり、その一例としては、幅方向中央部を長手方向の全長に亘って前記吸収体貫通部が備えられ、前記吸収体貫通部の長手方向の中間部に前記防水シート開口部が形成され、前記吸収体貫通部の長手方向の中間部に前記防水シート開口部が形成され、前記吸収体貫通部に重なる前記防水シート開口部以外の領域に前記粘着剤層が設けられたものである。本形態例では、防水シート開口部を着用者の体液排出部に当接する部分に設け、この防水シート開口部に重なる領域に不透液性の粘着剤層を設けていないため、補助吸収用として使用した場合に、前記防水シート開口部を通じてアウターへの尿の移行がスムーズになる。また、簡易交換用として使用する際、前記防水シート開口部を着用者の体液排出部に当接する部分にしか設けていないため、比較的簡単に防水シート開口部を閉じることができるとともに、吸収体貫通部を吸収体の全長に亘って設けているため、吸収体の硬さの影響を受けずにバックシートを折り畳むことができるようになる。
【発明の効果】
【0024】
以上詳説のとおり本発明によれば、簡易交換用としての使用態様においてアウターへの尿の漏れ出しが防止できるとともに、補助吸収用としての使用態様においてアウターに尿がスムーズに移行できるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。なお、本発明における「長手方向」とは、インナーパッド1の前側と後側を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは長手方向と直交する方向(インナーパッド1の展開時の左右方向)を意味する。
【0027】
本発明に係るインナーパッド1は、
図1及び
図2に示されるように、使い捨ておむつ、失禁パンツ、おむつカバーなどのアウター30の内面に装着して使用されるものであり、具体的には尿取りパッドや失禁パッドなどとして知られるものである。
【0028】
前記アウター30(使い捨ておむつ)は、
図1及び
図2に示されるように、不織布などからなる透液性トップシート31と、バックシート32との間に、綿状パルプ等からなる吸収体33を介在させた構造から成る。より具体的には、有孔または無孔の不織布や孔開きプラスチックシート等からなり使用面側を覆う透液性トップシート31と、不織布からなりおむつの外面側を覆うとともに、おむつ両側部では後述のギャザーシート35とともにサイドフラップ部を構成するバックシート32と、前記透液性トップシート31とバックシート32との間に介在された、綿状パルプ等からなる、たとえば砂時計形状(または長方形状等)のある程度の剛性を有する吸収体33と、前記吸収体33とバックシート32との間に少なくとも吸収体33の全面積を覆うように配設されたポリエチレン等からなる防水フィルム34と、アウター30の両側部に肌側に起立する立体ギャザー36、36を形成するとともに、おむつ両側部では前記バックシート32とともにサイドフラップ部を構成するためのギャザーシート35とから主に構成されている。なお、前記吸収体33は、形状保持と透液性トップシート31を透過した体液の拡散性向上のためにクレープ紙や不織布等からなる被包シートによって囲繞されているのが好ましい。
【0029】
前記インナーパッド1は、
図3及び
図4に示されるように、綿状パルプ等からなり、たとえば略砂時計状のある程度の剛性を有するとともに、必要に応じてクレープ紙や不織布等からなる被包シートによって囲繞された吸収体2と、前記吸収体2の肌側(表面側)を覆うように配設された有孔または無孔の不織布や孔開きプラスチックシート等からなる透液性のトップシート3と、前記吸収体2の非肌側を覆うように配設されたポリエチレン等からなる不透液性の防水シート4と、前記防水シート4の非肌側を覆うように配設された有孔または無孔の不織布や孔開きプラスチックシート等からなる透液性のバックシート5とから主に構成されている。また、前記吸収体2の周囲において、その吸収体2の外縁よりも外側に延出しているトップシート3と防水シート4及びバックシート5とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール、超音波シール等の接合手段によって接合され、外周に吸収体2の存在しない外周フラップ部が形成されている。
【0030】
前記インナーパッド1は、アウター30の前側領域から後側領域に亘る製品長とされるとともに、アウター30の立体ギャザー36、36間に配置可能であって、アウター30の吸収体33より小さな寸法幅で形成されている。
【0031】
前記吸収体2は、たとえばフラッフ状パルプと高吸水性ポリマーとにより構成されている。前記吸水性ポリマーは吸収体を構成するパルプ中に、例えば粒状粉として混入されている。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。吸収体2を囲繞するクレープ紙を設ける場合には、結果的にトップシート3と吸収体2との間にクレープ紙が介在することになり、吸収性に優れる前記クレープ紙によって体液を速やかに拡散させるとともに、これら尿の逆戻りを防止するようになる。
【0032】
前記吸収体2は、図示例では平面形状を略砂時計状として成形されたものが使用され、股下部では吸収体の幅寸法を狭めることにより股間部への当たりを弱くし着用者にゴワ付き感を与えないようにしているが、略長方形状として成形されたものを使用してもよい。この吸収体2は、形状保持とトップシート3を透過した体液の拡散性向上のために前記被包シートによって被包されているのが好ましい。前記吸収体2には、後段で詳細に説明するように、所定の領域に吸収体貫通部10が形成されている。
【0033】
前記吸収体2の肌側(上層側)を覆う透液性のトップシート3としては、液を透過する性質を有し、例えば、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は特に限定されない。例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、スパンボンド法はドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法、ポイントボンド法及びエアスルー法は嵩高で圧縮復元性(=ソフト性)が高い点で優れている。また、トップシート3は、1枚のシートから成るものであっても、2枚以上のシートを貼り合わせて得た積層シートから成るものであってもよい。透液性トップシート3に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。不織布の繊維は、長繊維または短繊維のいずれでもよいが、好ましくはタオル地の風合いを出すため短繊維を使用するのがよい。また、エンボス処理を容易とするために、比較的低融点のポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系繊維のものを用いるのがよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド−バイ−サイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維を好適に用いることもできる。
【0034】
前記吸収体2の非肌側(下層側)を覆う防水シート4は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、たとえばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートであり、仮にシート厚が同じであれば無孔シートよりも剛性が低下するため、柔軟性の点で勝るものとなる。この他にも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも用いることができる。前記防水シート4の外縁は、インナーパッド1の外縁とほぼ一致している。前記防水シート4には、後段で詳細に説明するように、所定の領域に防水シート開口部11が設けられている。
【0035】
前記防水シート4の非肌側(下層側)を覆う透液性のバックシート5は、上記透液性のトップシート3と同様に、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。
【0036】
本インナーパッド1においては、少なくとも着用者の排尿口部Hを含む領域に備えられた、前記吸収体2の肌面から非肌面にかけて貫通する吸収体貫通部10と、この吸収体貫通部10に重なる領域に形成された、前記防水シート4が存在しない防水シート開口部11と、前記吸収体貫通部10に重なる領域及びこれに隣接する領域のいずれか一方又は両方の前記バックシート5の外面(非肌側面)に設けられ、前記防水シート開口部11を閉じるように前記バックシート5を折り畳んだ状態を固定保持するための粘着剤層12とを有している。また、前記粘着剤層12は、個装状態で、剥離材13によって剥離可能にで覆われている。
【0037】
前記吸収体貫通部10は、吸収体2の肌面から非肌面にかけて厚み方向に貫通させた吸収体2が存在しない部分であり、少なくとも着用者の排尿口部Hの一部を含み、排尿口部Hより幅方向及び長手方向の両方向又はいずれか一方の方向に広い領域に形成されている。前記吸収体貫通部10は、吸収体2の幅方向又は長手方向の全長に亘って備えられることにより、前記吸収体2が長手方向又は幅方向に二つに分割されるとともに、この二つに分割された吸収体2、2を前記吸収体貫通部10において長手方向又は幅方向に離間して配置することにより形成してもよいし、前記吸収体貫通部10が吸収体2の中間部に1つ又は複数設けられることにより、吸収体貫通部10の周囲に吸収体2が存在する開口状に形成されるようにしてもよい。前記吸収体2は面積が0.03m
2〜0.20m
2、厚みが3〜15mmが望ましい。透液性パッドとして使用する際に吸収体貫通部10が小さすぎると、2回目以降の排尿時に吸収体2が膨潤し液が下に移行しにくくなり、吸収体貫通部10が大きすぎるとパッドの吸収量が減りもれる可能性があるため、短辺が5〜30mm、長辺が50mm〜吸収体端部までの長さであることが好ましい。
図4に示されるように、前記吸収体貫通部10の肌側はトップシート3によって覆われている。一方、非肌側はバックシート5によって覆われているが、吸収体貫通部10とバックシート5との間の一部に前記防水シート4が介在してもよい(
図12及び
図17参照)。
【0038】
前記吸収体貫通部10を形成するには、二つに分割された吸収体2、2を左右に又は前後に離間して配置することにより形成してもよいし、吸収体製造時の積繊によって形成してもよいし、吸収体2をカッターで切断することにより形成してもよい。
【0039】
前記防水シート開口部11は、防水シート4がインナーパッド1の厚み方向に存在しない開口部であり、少なくとも着用者の排尿口部Hを含む領域に形成されるとともに、前記吸収体貫通部10に重なる領域の全部又は一部に形成されている。前記防水シート開口部11は、前記防水シート4の幅方向又は長手方向の全長に亘って形成されることにより、防水シート4が長手方向又は幅方向に二つに分割され、この二つに分割された防水シート4、4を前記防水シート開口部11において長手方向又は幅方向に離間して配置することにより形成してもよいし、前記防水シート開口部11が防水シート4の中間部に設けられることにより、防水シート開口部11の周囲が防水シート4によって囲まれた開口状に形成されるようにしてもよい。なお、前記吸収体貫通部10が吸収体2の幅方向又は長手方向の全長に亘って設けられ、かつ前記防水シート開口部11が吸収体貫通部10の全部と重なる領域に設けられる場合、防水シート開口部11は、吸収体2の外縁を越えた吸収体2が介在しない外周フラップ部も含めた防水シート4の全長に亘って形成するのが好ましい。透液性パッドとして使用する際に、防水シート開口部11が小さすぎると液が下に移行しにくくなり、不透液性パッドとして使用する際に防水シート開口部11が吸収体貫通部10より大きいと、液が下に透過してしまうため、吸収体貫通部10の大きさに対し、50〜100%であることが望ましい。
【0040】
前記防水シート開口部11は、前記吸収体貫通部10の全部と重なる吸収体貫通部10とほぼ一致する領域又は吸収体貫通部10と重なる吸収体貫通部10より小さな領域に形成されている。すなわち、防水シート開口部11の肌側が吸収体2によって覆われることがなく、外周フラップ部を除いて、防水シート開口部11の肌側は常に吸収体貫通部10の空間部が存在するように形成されている。一方、前記防水シート開口部11の非肌側はバックシート5によって覆われている。
【0041】
前記バックシート5の外面(非肌側面)に適宜の塗布パターンによって前記粘着剤層12が形成されるとともに、個装状態で、この粘着剤層12に前記剥離材13が剥離可能に貼着されている。前記粘着剤層12は、後述する補助吸収用としての使用態様において、アウター30の表面に接着してアウター30に対する位置ずれ防止手段として利用されるとともに、簡易交換用としての使用態様において、前記防水シート開口部11を閉じるようにバックシート5を引っ張って折り畳んだ状態を固定保持する手段として利用される。また、簡易交換用としての使用態様において折り畳んだバックシート5を固定保持する粘着剤層12に加えて、アウター30の表面に接着してずれ止めを図るための粘着剤層を適宜設けることが可能である(図示せず)。前記粘着材層12を形成する接着剤の目付は15〜30g/m
2であることが好ましい。
【0042】
前記粘着剤層12を形成する粘着剤としては、たとえばスチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤のいずれかが主成分であるものが好適に使用される。前記スチレン系ポリマーとしては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体等が挙げられるが、これらのうち1種のみを使用しても、二種以上のポリマーブレンドであってもよい。この中でも熱安定性が良好であるという点で、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体が好ましい。また、前記粘着付与剤および可塑剤としては、常温で固体のものを好ましく用いることができ、粘着付与剤ではたとえばC5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられ、前記可塑剤では例えば、リン酸トリフレシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のモノマー可塑剤の他、ビニル重合体やポリエステルのようなポリマー可塑剤が挙げられる。
【0043】
前記粘着剤層12は、前記防水シート開口部11に重なる領域の一部に配置されるか、前記防水シート開口部11に重ならない、前記防水シート開口部11に隣接する領域に配置されるか、これら両方の領域に配置されている。すなわち、前記粘着剤層12は不透液性の性質を有するため、後述する補助吸収用としての使用態様において防水シート開口部11を尿が通過できなくなるのを防止するため、防水シート開口部11の全部と重ならない領域に配置されている。前記粘着剤層12は不透液性のため、防水シート開口部11の面積の0〜60%、好ましくは0〜50%とするのがよい。防水シート開口部11に隣接する領域に粘着材層12を塗布する場合には、粘着材層12の短辺が防水シート開口部11の大きさと近いと不透液性のパッドとして使用する際に開口部11を接着できなくなり、粘着材層12が広すぎると開口部11を接着する際に手などに貼り付き接着しにくくなるため、粘着材層12の大きさは短辺が防水シート開口部11の1.5〜3倍が好ましい。粘着材層12の長辺は防水シート開口部11と同じ長さ〜吸収体端部までとし、特に指定はない。
【0044】
前記剥離材13は、少なくとも前記粘着剤層12に対する当接面に対し、例えばシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、または四フッ化エチレン系樹脂などの離型処理液を塗工するかスプレー塗布し離型処理したプラスチックシートなどを用いるのが好ましい。なお、特別に離型処理を施さなくても、実質的に粘着力の低下を招かないものであれば、フィルムそのものであっても、不織布そのものであっても良い。
【0045】
以上の構成からなる本インナーパッド1においては、少なくとも着用者の排尿口部Hを含む領域に前記吸収体貫通部10が備えられるとともに、前記吸収体貫通部10に重なる領域に前記防水シート開口部11が形成された状態でアウター30の内面に装着する補助吸収用としての使用態様と、前記防水シート開口部11を閉じるように前記バックシート5を折り畳んで、この折り畳んだバックシート5を前記粘着剤層12によって固定することにより、前記防水シート開口部11が閉じて吸収体2の非肌側の全面が不透液性の防水シート4で覆われた状態でアウター30の内面に装着する簡易交換用としての使用態様とが選択可能となっている。
【0046】
前記補助吸収用としての使用態様においては、前記吸収体貫通部10に重なる領域に防水シート開口部11を形成しているため、吸収体貫通部10内に流れ込んだ尿が、この防水シート開口部11を通ってアウター30側に移行できるようになる。しかも、この防水シート開口部11は吸収体貫通部10に重なる領域に設けられ、防水シート開口部11の肌側には吸収体2が一切介在していないため、吸収体2(特に高吸水性ポリマー)が膨潤して液透過が生じにくくなるようなことが一切なく、防水シート開口部11を通じてアウター30に尿がスムーズに移行できるようになる。
【0047】
また、前記簡易交換用として使用する際、前記防水シート開口部11に介在するバックシート5部分を適宜折り畳んで該防水シート開口部11周縁の防水シート4の端縁同士を接続させるように前記バックシート5を折り畳んだ状態で前記粘着剤層12によって固定保持することにより、防水シート開口部11を閉じた状態が簡単に保持できるため、吸収体2の非肌側の全面が防水シート4によって覆われ、アウター30への尿の漏れ出しが確実に防止できるようになる。
【0048】
以下、インナーパッド1の具体的な形態例について詳細に説明する。
【0049】
〔第1形態例〕
第1形態例に係るインナーパッド1は、
図3〜
図6に示されるように、幅方向の中央部を長手方向の全長に亘って前記吸収体貫通部10が備えられ、前記吸収体貫通部10と一致する領域に前記防水シート開口部11が形成され、前記防水シート開口部11の略半分の幅で形成された前記粘着剤層12が前記防水シート開口部11に重なる領域の幅方向の片側に長手方向に沿って前記吸収体貫通部10のほぼ全長に亘って設けられたものである。
【0050】
前記補助吸収用としての使用態様においては、
図3及び
図4に示されるように、前記防水シート開口部11のうち幅方向片側の略半分に不透液性の粘着剤層12が介在し、反対側の略半分には粘着剤層12が介在しないため、この粘着剤層12が介在しない幅方向片側部分を通ってアウター30に尿がスムーズに移行できるようになる。
【0051】
前記補助吸収用として使用する場合、本形態例では前記吸収体貫通部10において吸収体2、2が左右に離間しているため、装着時に幅方向両側からの脚圧を受けたとき、吸収体2、2の離間部分が幅方向に潰れるおそれがあるが、前記吸収体貫通部10に重なる領域に設けられた前記粘着剤層12がアウター30の表面に接着しているため、この接着部分が幅方向の圧力に対する抵抗力となり、前記吸収体貫通部10による吸収体2、2の離間部分が閉じるのが抑制できるようになる。
【0052】
また、簡易交換用として使用する場合には、
図5及び
図6に示されるように、前記粘着剤層12が形成された側の防水シート開口部11の側縁を基点として、前記粘着剤層12が形成されたバックシート5部分を幅方向に折り返して、バックシート5の外面側に接着することにより、この折り畳み状態を保持するとともに、前記粘着剤層12の反対側の側縁で前記バックシート5を反対側に折り返すことにより、断面Z状に折り畳むようにする。これにより、吸収体貫通部10の両側の吸収体2、2が中央に引き寄せられ、吸収体2、2の端縁同士が接続して吸収体貫通部10が閉じるとともに、防水シート開口部11の両側の防水シート4、4が中央に引き寄せられ、防水シート4、4の端縁同士が接続して防水シート開口部11が閉じるようになる。従って、吸収体2の非肌側が防水シート4によって完全に覆われるようになり、アウター30への尿の漏れ出しが確実に防止できるようになる。なお、吸収体貫通部10に重なる部分のトップシート3は折り畳んだ状態で吸収体2の肌側に配置してもよいし、吸収体2、2間に挟み込ませるように配置してもよい。
【0053】
〔第2形態例〕
第2形態例に係るインナーパッド1は、上記第1形態例に係るインナーパッド1と比較して、上記第1形態例では吸収体貫通部10、防水シート開口部11及び粘着剤層12を幅方向中央部の長手方向に沿って設けているのに対して、本第2形態例ではこれらを長手方向中央部の幅方向に沿って設けている点で相違する。具体的には、
図7に示されるように、長手方向の中央部を幅方向の全長に亘って前記吸収体貫通部10が備えられ、前記吸収体貫通部10と一致する領域に前記防水シート開口部11が形成され、前記防水シート開口部11の略半分の幅で形成された前記粘着剤層12が前記防水シート開口部11に重なる領域の長手方向の片側に幅方向に沿って設けられている。
【0054】
上記第1形態例では吸収体貫通部10、防水シート開口部11及び粘着剤層12が長手方向に沿って設けられているため、前記簡易交換用として使用する場合に防水シート開口部11を長手方向の全長に亘って閉じる作業が必要なため、作業が面倒であるとともに、補助吸収用として使用している際に、幅方向中央部で吸収体2が離間しているため、装着状態で幅方向両側からの脚圧が作用することによって離間部分が閉じてしまうおそれがあった。これに対して本第2形態例では、前記吸収体貫通部10、防水シート開口部11及び粘着剤層12が幅方向に沿って設けられているため、防水シート開口部11を閉じる長さが短くて済み、作業が簡単になるとともに、補助吸収用としての使用態様において装着時に幅方向両側からの脚圧などが作用しても吸収体貫通部10が閉じにくくなる。
【0055】
また、本形態例では、上記第1形態例と同様に、補助吸収用としての使用態様においては、粘着剤層12で覆われない長手方向片側部分を通じてアウター30に尿がスムーズに移行できるようになる。また、簡易交換用としての使用態様においては、防水シート開口部11が形成された部分のバックシート5を長手方向に断面Z状に折り畳み、この折り畳み状態を前記粘着剤層12によって保持することにより、防水シート開口部11の両側の防水シート4の端縁同士を接続して防水シート開口部11を閉じることにより、アウター30への尿の漏れ出しが確実に防止できるようになる。
【0056】
〔第3形態例〕
第3形態例に係るインナーパッド1は、
図8〜
図11に示されるように、幅方向中央部を長手方向の全長に亘って前記吸収体貫通部10が備えられ、前記吸収体貫通部10と一致する領域に前記防水シート開口部11が形成され、前記防水シート開口部11に隣接する長手方向の両側又は片側に、図示例では両側に、それぞれ長手方向に沿って前記粘着剤層12が設けられたものである。
【0057】
本形態例では、補助吸収用としての使用態様においては、
図8及び
図9に示されるように、前記防水シート開口部11に粘着剤層12が介在しないので、この防水シート開口部11を通ってアウター30に尿がスムーズに移行できるようになる。また、簡易交換用として使用するには、
図10及び
図11に示されるように、吸収体貫通部10に重なるバックシート5部分を指で摘み前記粘着剤層12が設けられた吸収体貫通部10の両側に固定することにより、防水シート開口部11の両側の防水シート4の端縁同士を引き寄せて接続させるようにする。これによって、吸収体2の非肌側が防水シート4によって覆われるので、アウター30への尿の漏れ出しが防止できるようになる。
【0058】
〔第4形態例〕
第4形態例に係るインナーパッド1は、図示しないが、上記第3形態例に係るインナーパッド1と比較して、上記第3形態例では吸収体貫通部10、防水シート開口部11及び粘着剤層12を長手方向に沿って設けているのに対して、本第4形態例では、これらを幅方向に沿って設けるようにしたものである。具体的には、長手方向の中央部を幅方向の全長に亘って前記吸収体貫通部10が備えられ、前記吸収体貫通部10と一致する領域に前記防水シート開口部11が形成され、前記防水シート開口部11に隣接する長手方向の両側又は片側に幅方向に沿って粘着剤層12が設けられている。
【0059】
本形態例では、上記第2形態例と同様に、簡易交換用として使用するための作業が簡略化できるとともに、補助吸収用として使用する際に、装着状態で吸収体貫通部10が潰れにくくなるなどの効果を有するようになる。
【0060】
〔第5形態例〕
第5形態例に係るインナーパッド1は、
図12〜
図15に示されるように、着用者の排尿口部Hに当接する領域に前記吸収体貫通部10が備えられ、前記吸収体貫通部10の中央部に前記吸収体貫通部10より小さな形状の防水シート開口部11が形成され、前記防水シート開口部11の外側領域に前記粘着剤層12が設けられるようにしたものである。前記吸収体貫通部10及び防水シート開口部11はそれぞれ、吸収体2及び防水シート4の長手方向及び幅方向の端縁まで達しない中間部に形成されている。前記粘着剤層12は、防水シート開口部11の周縁より外側であって、前記吸収体貫通部10の周縁を越えた吸収体2の中間位置まで配置されている。また、前記粘着剤層12の前後部にそれぞれ離間してインナーパッド1の長手方向端縁にかけての領域に粘着剤層14、14が設けられるとともに、これら粘着剤層14、14が個装状態で剥離材15、15によって覆われている。
【0061】
上記第1〜第4形態例のように、長手方向又は幅方向の全長に亘って吸収体貫通部10、防水シート開口部11及び粘着剤層12を形成した場合には、簡易交換用として使用する際に防水シート開口部11を閉じる作業が面倒であったが、本第5形態例では、着用者の排尿口部Hに対応する長手方向及び幅方向の中間部にのみ吸収体貫通部10、防水シート開口部11及び粘着剤層12を形成しているため、防水シート開口部11を閉じる作業が簡略化できる。また、補助吸収用としての使用態様において、着用者の排尿口部Hに当接する領域に吸収体貫通部10が備えられ、この吸収体貫通部10の中央部に前記防水シート開口部11が形成され、かつ前記防水シート開口部11に不透液性の粘着剤層12が介在しないので、前記防水シート開口部11を通じたアウター30への尿の移行がスムーズになる。また、本形態例に係るインナーパッド1を簡易交換用として使用するには、中央部の防水シート開口部11に介在するバックシート5を指で摘んで非肌側に引っ張って粘着剤層12が設けられた外側領域に固定することによって、防水シート開口部11周囲の防水シート4を中央に引き寄せて、防水シート4の端縁同士を接続させるようにする。これによって、吸収体2の非肌側が防水シート4によって覆われるので、アウター30への尿の漏れ出しが防止できるようになる。
【0062】
また、本形態の変形例として、
図16に示されるように、防水シート開口部11は、幅方向両側の外形線が幅方向外側に膨出する円弧によって形成されたアーモンド形にすることも可能である。これにより、簡易交換用として使用する際、バックシート5を引っ張ることにより、防水シート開口部11を簡単に閉じることができるようになる。
【0063】
〔第6形態例〕
第6形態例に係るインナーパッド1は、
図17〜
図18に示されるように、幅方向中央部を長手方向の全長に亘って前記吸収体貫通部10が備えられ、前記吸収体貫通部10の長手方向の中間部に前記防水シート開口部11が形成され、前記吸収体貫通部10に重なる防水シート開口部11以外の領域に前記粘着剤層12が設けられるようにしたものである。前記吸収体貫通部10と防水シート開口部11とは、ほぼ同じ幅で形成されるのが好ましい。
【0064】
本形態例では、吸収体貫通部10の全長に亘って防水シート開口部11を設けた場合、簡易交換用として使用するために防水シート開口部11を閉じる作業にかかる手間を軽減するため、防水シート開口部11を着用者の排尿口部Hに対応する部分の長手方向の中間部にのみ設けたものである。
【0065】
本形態例では、防水シート開口部11を着用者の体液排出部に当接する部分に設け、この防水シート開口部11に重なる領域に不透液性の粘着剤層12を設けていないため、補助吸収用として使用した場合に、前記防水シート開口部11を通じてアウター30に尿がスムーズに移行できるようになる。
【0066】
〔第7形態例〕
第7形態例に係るインナーパッド1は、上記第6形態例に係るインナーパッド1と比較して、上記第6形態例では吸収体貫通部10、防水シート開口部11を長手方向に沿って設けているのに対して、本第7形態例では、図示しないが、これらを幅方向に沿って設けるようにしたものである。
【0067】
これによって、上記第2形態例に係るインナーパッド1と同様に、補助吸収用としての使用態様において幅方向両側からの脚圧などによって吸収体貫通部10が閉じにくくなるとともに、簡易交換用として使用するための作業が簡略化できるなどの利点を有するようになる。