特許第6502914号(P6502914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502914
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】二重管の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/40 20060101AFI20190408BHJP
   F28D 7/10 20060101ALI20190408BHJP
   F16L 9/18 20060101ALI20190408BHJP
   F16L 53/75 20180101ALI20190408BHJP
   B21D 9/00 20060101ALI20190408BHJP
   B21D 11/14 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   F28F1/40 M
   F28D7/10 A
   F16L9/18
   F16L53/75
   B21D9/00 A
   B21D11/14
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-220492(P2016-220492)
(22)【出願日】2016年11月11日
(65)【公開番号】特開2018-75622(P2018-75622A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2018年9月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】大野 裕之
【審査官】 庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−144970(JP,A)
【文献】 特開平04−339531(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第01028000(GB,A)
【文献】 実開昭61−063580(JP,U)
【文献】 特開2002−318083(JP,A)
【文献】 実開昭63−005277(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/40
F28D 7/10
F16L 9/18
F16L 53/75
B21D 39/04
B21D 53/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管の内部に内管が介装される二重管の製造方法であって、
前記内管の内部に板状のフィン材を挿入し、
前記フィン材の一部を前記内管に固定し、
前記フィン材を芯金に支持させ、
前記内管と前記芯金とを相対回転し、前記芯金が前記フィン材を捩って螺旋フィンを成形し、
前記芯金を前記内管の内部のみに挿入して前記内管及び前記外管を共に曲げることを特徴とする二重管の製造方法。
【請求項2】
請求項に記載の二重管の製造方法であって、
前記芯金は、前記フィン材を支持するスリットを有し、
前記芯金と前記内管とを相対回転させながら前記内管の軸方向に相対移動させて前記スリットから出て行く前記フィン材を捩ることを特徴とする二重管の製造方法。
【請求項3】
請求項に記載の二重管の製造方法であって、
前記芯金は、
曲げ加工される前の前記内管の内面に当接する型部と、
前記型部から縮径して前記内管の曲げ加工部の内部に臨むように突出する型先端部と、
を有することを特徴とする二重管の製造方法。
【請求項4】
外管の内部に内管が介装される二重管の製造装置であって、
前記内管の内部に挿入されフィン材を支持する芯金と、
前記内管の内部に挿入されて一部が前記内管に固定された板状の前記フィン材を前記芯金が捩って螺旋フィンを成形するように前記内管と前記芯金とを相対回転させる駆動機構と、
前記芯金を前記内管の内部に挿入して前記内管及び前記外管を共に曲げる曲げ加工機と、を備えることを特徴とする二重管の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外管の内部に内管が介装される二重管の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内管と外管とからなる二重管を湾曲させる曲げ加工装置が開示されている。
【0003】
上記曲げ加工装置は、内管の内部に挿入される内部芯金と、内管と外管との間に挿入される中間芯金と、内部芯金及び中間芯金が挿入された二重管を湾曲させる曲げダイスと、を備える。
【0004】
上記曲げ加工装置は、内管及び外管を内部芯金及び中間芯金が挿入された状態で曲げダイスに沿って湾曲させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−245722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記曲げ加工装置は、内部芯金及び中間芯金を二重管内で移動させる際に生じる摺動抵抗が大きいため、曲げ加工を円滑に行うことが難しい。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、二重管の曲げ加工が円滑に行われることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、外管の内部に内管が介装される二重管の製造方法であって、前記内管の内部に板状のフィン材を挿入し、前記フィン材の一部を前記内管に固定し、前記フィン材を芯金に支持させ、前記内管と前記芯金とを相対回転し、前記芯金が前記フィン材を捩って螺旋フィンを成形し、前記芯金を前記内管の内部のみに挿入して前記内管及び前記外管を共に曲げることを特徴とする二重管の製造方法が提供される。
【0009】
又、本発明の他の態様によれば、外管の内部に内管が介装される二重管の製造装置であって、前記内管の内部に挿入されフィン材を支持する芯金と、前記内管の内部に挿入されて一部が前記内管に固定された板状の前記フィン材を前記芯金が捩って螺旋フィンを成形するように前記内管と前記芯金とを相対回転させる駆動機構と、前記芯金を前記内管の内部に挿入して前記内管及び前記外管を共に曲げる曲げ加工機と、を備えることを特徴とする二重管の製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
上記態様によれば、二重管の曲げ加工時には、芯金を内管の内部に挿入し、芯金が内管と外管との間に挿入されない状態で、内管及び外管が共に曲げられる。これにより、芯金を二重管内で移動させる際に生じる摺動抵抗が小さく抑えられるため、二重管の曲げ加工が円滑に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る二重管を示す断面図である。
図2図2は、二重管の製造装置を示す斜視図である。
図3図3は、芯金を示す平面図である。
図4図4は、二重管を製造する工程を示す斜視図である。
図5図5は、二重管を製造する工程を示す斜視図である。
図6図6は、二重管を製造する工程を示す斜視図である。
図7図7は、二重管を製造する工程を示す断面図である。
図8図8は、図7の一部を拡大した断面図である。
図9図9は、変形例に係る二重管を製造する工程を示す断面図である。
図10図10は、二重管を製造する工程を示す断面図である。
図11図11は、二重管を製造する工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る二重管40を示す断面図である。二重管40は、空調装置(図示省略)の冷媒(流体)が循環する熱交換器として設けられる。
【0014】
二重管40は、内部に内側流路51を形成する円筒状の内管20と、内管20のまわりに外側流路52を形成する円筒状の外管32と、を備える。内管20の両端部には冷媒を導く配管(図示省略)が接続される。外管32の両端部36、37は、内管20の外周に接合される。外管32は、冷媒を導く配管(図示省略)が接続される入口38及び出口39を有する。
【0015】
外側流路52には、図中矢印A、Bで示すように、入口38及び出口39を通じて高温高圧の液状冷媒が流通する。内側流路51には、図中矢印C、Dで示すように、低温低圧のガス状冷媒が流通する。二重管40では、外側流路52及び内側流路51を流通する冷媒どうしが熱交換する。
【0016】
内管20の内部には、螺旋フィン10が介装される。螺旋フィン10は、後述するように、帯板状のフィン材11が螺旋状に捩られることで成形される。フィン材11の両端部11A、11Bは、内管20の内面21に例えばカシメによって固定される。
【0017】
二重管40を構成する各部材32、20、10は、例えばアルミニウム等の金属を材質とする。
【0018】
内管20及び螺旋フィン10は、熱交換器の要素としてフィン内蔵管30を構成する。フィン内蔵管30では、内側流路51を流通する冷媒が螺旋フィン10に沿って螺旋状に旋回しながら流通することで、冷媒が内管20を介して熱交換することが促される。
【0019】
二重管40は、設置されるスペースに対応して、その中程を湾曲させた湾曲部44を有する。内管20は、湾曲部44を構成する曲げ加工部24と、曲げ加工部24から直線状に延在する直管部23、25と、を有する。外管32は、湾曲部44を構成する曲げ加工部34と、曲げ加工部34から直線状に延在する直管部33、35と、を有する。
【0020】
次に、図2を参照して、二重管40の製造装置50について説明する。
【0021】
製造装置50は、内管20の内部に挿入する芯金60と、内管20の外周を把持するチャック70と、二重管40(外管32)の外周を摺動自在に支持して曲げ加工をする曲げ加工機80と、を備える。なお、製造装置50は、内管20と外管32との間に挿入される芯金を備えない。
【0022】
製造装置50は、芯金60を駆動する駆動機構65と、チャック70を駆動する駆動機構75と、を備える。駆動機構65は、矢印Eで示すように芯金60を内管20の軸Oまわりに回転駆動するとともに、矢印Fで示すように、芯金60を軸O方向に移動させる。駆動機構75は、チャック70を矢印Hで示すように軸O方向に移動させる。駆動機構65、75及び曲げ加工機80の作動は、コントローラ(図示省略)によって制御される。
【0023】
曲げ加工機80は、ロール型81、圧力型82、及びクランプ型83を備える。ロール型81は、曲げ中心軸Sを中心とする円弧状に延在する成形溝81Aを有する。圧力型82は、軸O方向に延在するガイド溝82Aを有する。二重管40は、成形溝81Aとガイド溝82Aとの間に摺動自在に支持され、軸O方向に移動するように案内される。クランプ型83は、二重管40を把持するクランプ溝(図示省略)を有する。
【0024】
曲げ加工時には、ロール型81及びクランプ型83は、両者の間に二重管40が把持された状態で、駆動機構(図示省略)によって曲げ中心軸Sを中心に回動する。これにより、駆動機構75によって送られる二重管40は、成形溝81Aに沿って曲げられる。
【0025】
芯金60は、軸O方向に延在する円柱状の基端部62、支持部63、及び先端部64と、支持部63及び先端部64にわたって開口するスリット61と、を有する。
【0026】
芯金60の基端部62は、駆動機構65に連結される部位である。
【0027】
芯金60の支持部63は、基端部62に対して先端部64を支持する部位である。支持部63は、基端部62及び先端部64より縮径して形成され、内管20の内面21に間隙をもって軸O方向に延在する。これにより、芯金60の摺動抵抗が小さく抑えられる。
【0028】
図3に示すように、先端部64は、内管20の内面21に摺接する型部64Aと、型部64Aから軸O方向に次第に縮径するように延在する型先端部64B及び先端逃げ部64Cと、を有する。
【0029】
型部64Aは、円柱状に形成される。型部64Aの外周面は、内管20の内面21に間隙をもって対峙する。型部64Aは、後述するように、曲げ加工時に相対回転しながら曲げ加工部24の近傍で内管20の内面21に当接して、曲げ加工部24を成形するようになっている。
【0030】
型先端部64Bは、型部64Aから段差なく縮径する紡錘状に形成される。型先端部64Bの外周面は、型部64Aの外周面から曲折することなく曲面状に延在している。型先端部64Bは、後述するように、曲げ加工時に相対回転しながら曲げ加工部24の内面21に当接し、曲げ加工部24を成形するようになっている。
【0031】
先端逃げ部64Cは、型先端部64Bからさらに縮径して突出する。先端逃げ部64Cは、後述するように、曲げ加工時に曲げ加工部24の内面21に干渉しないようになっている。
【0032】
スリット61は、一定の開口幅を有して軸O方向に延在する間隙であり、芯金60に収容されるフィン材11を支持する支持壁部を形成する。スリット61の開口端部61Aは、次第に開口幅が増大して先端逃げ部64Cに開口している。
【0033】
次に、製造装置50を用いて二重管40を製造する方法について説明する。
【0034】
まず、図2に矢印Gで示すように、フィン材11を二重管40の内管20に挿入する。そして、内管20の外周をカシメることによって、フィン材11の先端部11Aを内管20に固定する。二重管40は、予め管32を内管20に嵌合し、外管32の両端部を内管20に接合することによって形成される。
【0035】
なお、上記した構成に限らず、例えば、フィン材11の先端部11Aを内管20の内面21に圧入して内管20に固定する構成としてもよい。
【0036】
続いて、図4に示すように、芯金60を内管20に挿入する。このとき、芯金60のスリット61にフィン材11が挿入される。
【0037】
続いて、図5、6に矢印Hで示すように、内管20を芯金60に対して軸O方向に移動するとともに、図5、6に矢印Eで示すように、芯金60を内管20に対して一方向に回転させる。
【0038】
これにより、芯金60のスリット61から出ていくフィン材11は、先端部11Aを支点として捩られる。こうして、内管20の直管部25の内部で螺旋フィン10が形成される。
【0039】
続いて、図7、8に示すように、曲げ加工機80を作動して内管20を曲げる。このときに、ロール型81及びクランプ型83が二重管40を把持した状態で矢印Iで示すように曲げ中心軸Sを中心に回動する。これにより、駆動機構75によって矢印Hで示すように送られる二重管40は、円弧状の成形溝81Aに沿って曲げられる。
【0040】
上記曲げ加工時に、内管20は、その内面21に芯金60の先端部64の外周が当接することによって曲げ加工部24が成形される。
【0041】
上記曲げ加工時に、曲げ加工部24の内側に位置する湾曲内側部分24Aでは、圧縮応力が生じるが、その近傍で円柱状の型部64Aが内管20の内面21に当接することによって、座屈することが抑えられる。これにより、湾曲内側部分24Aには、図8に2点鎖線で示すように、シワ24C等の成形不良が発生することが抑えられる。
【0042】
上記曲げ加工時に、曲げ加工部24の外側に位置する湾曲外側部分24Bでは、引張応力が生じるが、紡錘状の型先端部64Bが相対回転してその内面21に当接することによって、その円弧形状をした断面形状が維持される。これにより、湾曲外側部分24Bでは、図8に2点鎖線で示すように、その断面形状が過度に扁平になった部位24Dが形成されることが抑えられる。
【0043】
上記曲げ加工時に、外管32の曲げ加工部34は、内管20と外管32との間に芯金を挿入することなく、内管20の曲げ加工部24に沿って円滑に曲げられる。これにより、駆動機構65が芯金60を駆動する駆動力が抑えられる。
【0044】
コントローラは、上記曲げ加工時に、駆動機構75によって内管20を矢印Hで示すように軸O方向に送る移動速度に対して駆動機構65によって芯金60を矢印Eで示すように回転させる回転速度を低下させる制御を行う。こうして、螺旋フィン10は、フィン材11が軸Oについて一定角度だけ捩れる軸O方向の長さ(螺旋ピッチ)が直管部23、25に比べて曲げ加工部24で大きくなるように形成される。これにより、曲げ加工部24では、その内部に配置されるフィン材11の角度に応じて螺旋フィン10の曲げ剛性の変化することが小さく抑えられる。よって、曲げ加工部24の成形精度を高められる。
【0045】
上記曲げ加工が行われた後に、曲げ加工機80は、二重管40を把持していたクランプ型83を退避位置に移動させる。そして、二重管40を芯金60に対して軸O方向に移動するとともに、芯金60を回転させることで、内管20の直管部23の内部に螺旋フィン10を形成する。
【0046】
そして、内管20の外周をカシメることによって、フィン材11の基端部11Bを内管20に固定する。
【0047】
こうして、螺旋フィン10を内蔵した二重管40が製造される。
【0048】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0049】
本実施形態によれば、芯金60を内管20の内部のみに挿入して内管20及び外管32を共に曲げる二重管40の製造方法を提供することができる。
【0050】
又、本実施形態によれば、内管20の内部に挿入される芯金60と、芯金60を内管20の内部に挿入して内管20及び外管32を共に曲げる曲げ加工機80と、を備える二重管40の製造装置50を提供することができる。
【0051】
二重管40の曲げ加工時には、芯金60を内管20の内部に挿入し、芯金が内管20と外管32との間に挿入されない状態で、内管20及び外管32が共に曲げられる。これにより、芯金60を二重管40内で移動させる際に生じる摺動抵抗が小さく抑えられ、二重管40の曲げ加工が円滑に行われる。
【0052】
又、本実施形態によれば、内管20の内部に板状のフィン材11を挿入し、フィン材11の先端部11A(一部)を内管20に固定し、内管20と芯金60とを相対回転し、芯金60がフィン材11を捩って螺旋フィン10を螺旋状に成形することで二重管40を製造する製造方法を提供することができる。
【0053】
これにより、芯金60が相対回転することにより内管20の内部で螺旋フィン10が螺旋状に成形される。このため、二重管40を製造するときに、螺旋状に成形された螺旋フィン10を二重管40の内部に挿入する工程が無くなる。よって、二重管40の組み立て性を向上させ、製造に要する時間を短縮することができる。
【0054】
そして、螺旋フィン10は、内管20に固定されたフィン材11の先端部11Aを基準として二重管40の所定位置に介装することができる。
【0055】
なお、フィン材11を内管20に固定する部位は、先端部11Aに限らず、フィン材11の中程の部位であってもよい。
【0056】
又、本実施形態によれば、芯金60は、フィン材11を収容するスリット61を有し、芯金60と内管20とを相対回転させながら内管20の軸O方向に移動させてスリット61から出て行くフィン材11を捩ることで二重管40を製造する製造方法を提供することができる。
【0057】
これにより、コントローラが駆動機構75によって芯金60を内管20の軸O方向に移動する移動速度と、芯金60を回転させる回転速度とを変えることにより、内管20に対して任意の位置でフィン材11を捩ることができる。よって、二重管40は、内管20に対するフィン材11の捩れ位置を任意に設定することができる。
【0058】
又、本実施形態によれば、芯金60は、曲げ加工される前の内管20の内面21に当接する型部64Aと、型部64Aから縮径して内管20の曲げ加工部24の内部に臨むように突出する型先端部64Bと、を有することで二重管40を製造する製造方法を提供することができる。
【0059】
これにより、内管20の曲げ加工部24では、相対回転する芯金60の型部64Aが曲げ加工される前の内管20の内面21に当接することにより、曲げ加工によって圧縮される湾曲内側部分24Aにシワ24C等の成形不良が発生することが抑えられる。そして、曲げ加工部24では、曲げ加工によって引っ張られる湾曲外側部分24Bが相対回転する芯金60の型先端部64Bに当接することにより、扁平になることが抑えられる。こうして、二重管40は、曲げ加工部24の成形不良を抑制できる。
【0060】
次に、図9〜10に示す変形例に係る二重管40の製造方法について説明する。
【0061】
本変形例では、螺旋フィン10が、二重管40を曲げ加工する工程とは別工程で形成される。
【0062】
製造装置50は、中空筒状の芯金68を備える。芯金68の曲げ加工部24を成形する先端部69を有する。芯金68の先端部69は、前記芯金60の先端部64と同様の外形を有し、かつ螺旋フィン10を挿通させる開口部(図示省略)を有する。
【0063】
製造装置50を用いて二重管40を製造する場合には、以下の工程が順に行われる。
【0064】
まず、図9に示すように、製造装置50に二重管40をセットする。
【0065】
続いて、図10に矢印Jで示すように、予め形成された螺旋フィン10を芯金68を通して内管20の内部に挿入する。
【0066】
続いて、図11に矢印I示すように、曲げ加工機80のロール型81及びクランプ型83が回動し、二重管40を曲げ加工する。
【0067】
二重管40を曲げ加工時に、内管20に対して芯金68を回転させないようにし、芯金68の先端部69を内管20の内面21に当接させることにより、内管20及び外管32が円滑に成形される。
【0068】
なお、上記した構成に限らず、二重管40を曲げ加工時に、芯金68の先端部69が相対回転しながら内管20の内面21に摺接して内管20及び外管32が成型される構成としてもよい。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0070】
例えば、上記実施形態では、製造装置50は、芯金60を内管20の内部に挿入して回転させる構成とした。これに限らず、製造装置50は、芯金60を回転することなく、芯金60を介して内管20の内部にフィン材11を介装する構成としてもよい。この場合に、フィン内蔵管30は、内管20の内部に平板状のフィンを有するものとなる。
【0071】
又、製造装置50は、芯金に板状のフィン材11を通す過程で螺旋フィン10を成形する構成としてもよい。
【0072】
上記実施形態の二重管40は、熱交換器を構成するものとして好適であるが、熱交換器以外に使用される機械又は設備にも適用できる。
【符号の説明】
【0073】
10 螺旋フィン
11 フィン材
11A 先端部
20 内管(管)
21 内面
24 曲げ加工部
40 二重管
60、68 芯金
61 スリット
64A 型部
64B 型先端部
80 曲げ加工機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11