特許第6502942号(P6502942)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502942
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】抗CD33抗体とイムノコンジュゲート
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20190408BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20190408BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20190408BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20190408BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20190408BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20190408BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20190408BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20190408BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20190408BHJP
   A61K 31/5517 20060101ALI20190408BHJP
   A61K 31/5383 20060101ALI20190408BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20190408BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20190408BHJP
【FI】
   C12N15/13ZNA
   C07K16/28
   C07K16/46
   C12N1/15
   C12N1/19
   C12N1/21
   C12N5/10
   A61K39/395 L
   A61K39/395 T
   A61P35/02
   A61K31/5517
   A61K31/5383
   G01N33/574 A
   !C12P21/08
【請求項の数】45
【全頁数】136
(21)【出願番号】特願2016-537001(P2016-537001)
(86)(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公表番号】特表2017-505604(P2017-505604A)
(43)【公表日】2017年2月23日
(86)【国際出願番号】US2014069874
(87)【国際公開番号】WO2015089344
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年12月11日
(31)【優先権主張番号】61/916,087
(32)【優先日】2013年12月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ユ, シャン−ファン
(72)【発明者】
【氏名】リャン, ウェイ−チーン
(72)【発明者】
【氏名】ウー, イェン
(72)【発明者】
【氏名】レオン, スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ポルソン, アンドリュー
【審査官】 吉森 晃
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/045752(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/173496(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/130598(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/009124(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/023355(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号118のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号119のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号111のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、CD33に結合する単離された抗体。
【請求項2】
(a)配列番号23又は配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、又は配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6、配列番号26、配列番号27、配列番号28、又は配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
(i)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
ii)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
iii)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
iv)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
vi)(a)配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
vii)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
viii)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
ix)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;又は
xi)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3
を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
a)配列番号80の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域;
)配列番号82の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号81の配列を含む軽鎖可変領域;
)配列番号84の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号83の配列を含む軽鎖可変領域;
)配列番号86の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号85の配列を含む軽鎖可変領域;
)配列番号88の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号87の配列を含む軽鎖可変領域;
)配列番号90の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号89の配列を含む軽鎖可変領域;
)配列番号92の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号91の配列を含む軽鎖可変領域;
)配列番号94の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号93の配列を含む軽鎖可変領域;
)配列番号96の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号95の配列を含む軽鎖可変領域;
)配列番号98の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号97の配列を含む軽鎖可変領域;又は
)配列番号100の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号99の配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の抗体。
【請求項5】
以下の特性:
a)組み換えヒトCD33に結合する;
b)組み換えカニクイザルCD33に結合する;
c)ヒト末梢血単核細胞(PBMC)の表面上の内因性CD33に結合する;
d)カニクイザルPBMCの表面上の内因性CD33に結合する;
e)がん細胞の表面上の内因性CD33に結合する;
f)AMLがん細胞の表面上の内因性CD33に結合する;
g)Molm−13細胞の表面上の内因性CD33に結合する;
h)R69Gの突然変異を含むCD33に結合する;
i)CD33のIg Vドメインに結合する;
j)N100にN−結合型グリコシル化を欠くCD33に結合する;
k)N113にN−結合型グリコシル化を欠くCD33に結合する;
l)S102Aの突然変異を含むCD33に結合する;
m)S115Aの突然変異を含むCD33に結合する;
n)CD33のIg C2ドメインに結合しない;
o)ヒトCD33への結合についてMy9.6抗体と競合する;
p)ヒトCD33への結合について抗体33H4と競合する;
q)ヒトCD33への結合について抗体23E4と競合する;
r)15nM未満、10nM未満、7nM未満、5nM未満、又は3nM未満のKdで内因性のヒトCD33に結合する;
s)10nM未満、7nM未満、5nM未満、又は3nM未満のKdで組み換えヒトCD33に結合する;及び/又は
t)10nM未満、7nM未満、5nM未満、又は3nM未満、2nM未満、又は1nM未満のKdで組み換えカニクイザルCD33に結合する
のうちの一又は複数を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の抗体。
【請求項6】
モノクローナル抗体である、請求項1からのいずれか一項に記載の抗体。
【請求項7】
ヒト又はキメラ抗体である、請求項1からのいずれか一項に記載の抗体。
【請求項8】
CD33に結合する抗体断片である、請求項1からのいずれか一項に記載の抗体。
【請求項9】
CD33が、配列番号1のアミノ酸18から364を含むヒトCD33である、請求項1からのいずれか一項に記載の抗体。
【請求項10】
(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、CD33に結合する単離された抗体。
【請求項11】
(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、CD33に結合する単離された抗体。
【請求項12】
IgG1、IgG2a又はIgG2b抗体である、請求項1から11のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体をコードする、単離された核酸。
【請求項14】
請求項13に記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項15】
抗体が生成されるように請求項14に記載の宿主細胞を培養することを含む、抗体生成方法。
【請求項16】
請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体と細胞傷害性剤とを含むイムノコンジュゲート。
【請求項17】
式Ab−(L−D)pを有する請求項16に記載のイムノコンジュゲートであって、式中:
(a)Abは請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体であり;
(b)Lはリンカーであり;
(c)Dは細胞傷害性剤であり;且つ
(d)pは1〜8である、
イムノコンジュゲート。
【請求項18】
細胞傷害性剤が、メイタンシノイド、カリケアマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、及びネモルビシン誘導体から選択される、請求項16又は17に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項19】
Dが式A:
A;
[上式中、点線は、C1とC2又はC2とC3が二重結合していてもよいことを示し;
は、独立して、H、OH、=O、=CH、CN、R、OR、=CH−R、=C(R、O−SO−R、COR及びCORから選択され、任意選択的に、更にハロ又はジハロから選択され、ここでRは、独立して、R、COR、COR、CHO、COH、及びハロから選択され;
及びRは、独立して、H、R、OH、OR、SH、SR、NH、NHR、NRR’、NO、MeSn及びハロから選択され;
は、独立して、H、R、OH、OR、SH、SR、NH、NHR、NRR’、NO、MeSn及びハロから選択され;
Qは、独立して、O、S及びNHから選択され;
11はH又はRであり、ここでQは、O、SOMであり、Mはメタルカチオンであり;
R及びR’の各々は、独立して、置換されてもよいC1−8アルキル、C3−8ヘテロシクリル及びC5−20アリール基から選択され、任意選択的に基NRR’に関連して、R及びR’は、それらが結合する窒素原子と共に、置換されてもよい4、5、6又は7員の複素環式環を形成し;
12、R16、R19及びR17は、それぞれR、R、R及びRについて定義された通りであり;
R″はC3−12アルキレン基であり、この鎖は、一又は複数のヘテロ原子及び/又は置換されていてもよい芳香族環によって中断されていてもよく;且つ
X及びX’は、独立して、O、S及びN(H)から選択される]
のピロロベンゾジアゼピンである、請求項17に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項20】
Dが構造:

[上の構造中、nは0又は1である]
を有する、請求項19に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項21】
Dがネモルビシン誘導体である、請求項17に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項22】
Dが:
から選択される構造を有する、請求項21に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項23】
リンカーがプロテアーゼによって切断可能である、請求項17から22のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項24】
リンカーが酸不安定性である、請求項17から22のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項25】
リンカーがヒドラゾンを含む、請求項24に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項26】


及び

から選択される式を有する、請求項22に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項27】
pが2から5にわたる、請求項17から26のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項28】
請求項10又は11に記載の抗体を含む、請求項17から27のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項29】
請求項17から28のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲートと薬学的に許容される担体とを含む薬学的製剤。
【請求項30】
更に追加的治療剤を含む、請求項29に記載の薬学的製剤。
【請求項31】
CD33陽性がんを有する個体を治療するための医薬であって、請求項17から28のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート又は請求項29に記載の薬学的製剤の有効量を含む、医薬。
【請求項32】
CD33陽性がんがAMLである、請求項31に記載の医薬。
【請求項33】
追加的治療剤を更に含む、請求項31又は32に記載の医薬。
【請求項34】
CD33陽性細胞の増殖を阻害するための薬剤であって、請求項17から28のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲートを含み、該細胞が、該細胞の表面上のCD33に対する該イムノコンジュゲートの結合を許容する条件下において、該イムノコンジュゲートに曝露されることにより、細胞の増殖が阻害される、薬剤。
【請求項35】
細胞がAMLがん細胞である、請求項34に記載の薬剤。
【請求項36】
標識にコンジュゲートした、請求項から12のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項37】
標識が陽電子放射体である、請求項36に記載の抗体。
【請求項38】
陽電子放射体が89Zrである、請求項37に記載の抗体。
【請求項39】
生物学的試料中のヒトCD33を検出するためのキットであって、請求項1から12のいずれか一項に記載の抗CD33抗体を含み、該生物学的試料が、天然に存在するヒトCD33に対する抗CD33抗体の結合を許容する条件下において、該抗CD33抗体と接触させられ、及び該生物学的試料中において該抗CD33抗体と該天然に存在するヒトCD33の間に複合体が形成されるかどうかが検出される、キット。
【請求項40】
抗CD33抗体が請求項10又は11に記載の抗体である、請求項39に記載のキット。
【請求項41】
生物学的試料がAML子宮内膜がん試料である、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
CD33陽性がんを検出するためのキットであって、請求項1から12のいずれか一項に記載の抗CD33抗体を含む標識された抗CD33抗体を含み、(i)該標識された抗CD33抗体が、CD33陽性がんを有する又は有すると疑われる対象に投与され、及び(ii)対象において標識された抗CD33抗体が検出され、標識された抗CD33抗体の検出によって対象におけるCD33陽性がんが示される、キット。
【請求項43】
標識された抗CD33抗体が、標識された、請求項10又は11に記載の抗体である、請求項42に記載のキット。
【請求項44】
標識された抗CD33抗体が、陽電子放射体にコンジュゲートした抗CD33抗体を含む、請求項42又は43に記載のキット。
【請求項45】
陽電子放射体が89Zrである、請求項44に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗CD33抗体とイムノコンジュゲート、及びそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CD33は、シアル酸に結合する免疫グロブリン様レクチンファミリーのメンバーであり、67−kDaのグリコシル化膜貫通タンパク質である。CD33は、委任骨髄単球性及び赤血球前駆細胞に加えて、大部分の骨髄及び単球白血病細胞に発現する。CD33は、初期の多能性幹細胞、成熟顆粒球、リンパ細胞、又は非造血細胞には見られない。See Sabbath et al., J. Clin. Invest. 75:756-56 (1985) and Andrews et al., Blood 68:1030-5 (1986)参照。CD33は、その細胞質尾部に二つのチロシン残基を含み、それらの各々には、多くの抑制受容体に見られる免疫受容体チロシン−ベース阻害モチーフ(ITIM)に類似の疎水性残基が続いている。
【0003】
モノクローナル抗体(mAb)ベースの治療法は、がんの重要な治療モダリティとなっている。白血病は、血液、骨髄、脾臓、及びリンパ節中の悪性細胞への到達し易さと、様々な系統の免疫表現型及び血球分化の段階がよく分類されているために抗原性標的が同定可能であることにより、このアプローチに対する適性が高い。急性骨髄性白血病(AML)の研究の大部分がCD33に焦点を当てている。非コンジュゲート抗CD33 mAbリンツズマブによる応答は、弱い単一剤及びAMLに対する活性を有しており、従来の化学療法と組み合わせたとき、二つの無作為試験において患者の転帰を改善することができなかった。イムノコンジュゲートであるゲムツズマブオゾガミシン(GO;マイロターグ)は、抗腫瘍抗生物質カリケアマイシンにコンジュゲートした抗CD33モノクローナル抗体であり、標準的な化学療法と組み合わせたときにAML患者のサブセットにおいて生存率を改善したが、安全性に関する懸念から米国において市場から撤退した。加えて、AML患者における抗CD33−メイタンシンコンジュゲート(AVE9633;huMy9−6−DM4)の三つの第I相試験が行われた。二つの試験は、飽和用量よりずっと大きな用量でも活性の徴候が現れなかったためにMTDに到達する前に中止され、最大耐量(MTD)は第I相試験のうちの一つで決定されただけであった(投与スケジュール1/8日目)。第I相投与スケジュールの1/8日目のAVE9633の活性が最大であった。Lapusan et al., Invest. New Drugs 30:1121-1131 (2012)。
【0004】
当技術分野には、がんのようなCD33に関連する状態の診断及び治療のための、CD33を標的とする安全且つ有効な薬剤に対する需要が存在する。本発明は、この需要を満たし、他の利点を提供する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、抗CD33抗体及びイムノコンジュゲートと、それらの使用方法を提供する。
【0006】
いくつかの実施態様では、CD33に結合する単離された抗体が提供される。いくつかの実施態様では、CD33に結合する抗体は、以下の特性のうちの一又は複数を有する:
a)組み換えヒトCD33に結合する;
b)組み換えカニクイザルCD33に結合する;
c)ヒト末梢血単核細胞(PBMC)の表面上の内因性CD33に結合する;
d)カニクイザルPBMCの表面上の内因性CD33に結合する;
e)がん細胞の表面上の内因性CD33に結合する;
f)AMLがん細胞の表面上の内因性CD33に結合する;
g)Molm−13細胞の表面上の内因性CD33に結合する;
h)R69Gの突然変異を含むCD33に結合する;
i)CD33のIg Vドメインに結合する;
j)N100にN−結合型グリコシル化を欠くCD33に結合する;
k)N113にN−結合型グリコシル化を欠くCD33に結合する;
l)S102Aの突然変異を含むCD33に結合する;
m)S115Aの突然変異を含むCD33に結合する;
n)CD33のIg C2ドメインに結合しない;
o)ヒトCD33への結合についてMy9.6抗体と競合する;
p)ヒトCD33への結合について抗体33H4と競合する;
q)ヒトCD33への結合について抗体23E4と競合する;
r)15nM未満、10nM未満、7nM未満、5nM未満、又は3nM未満のKdで内因性のヒトCD33に結合する;
s)10nM未満、7nM未満、5nM未満、又は3nM未満のKdで組み換えヒトCD33に結合する;及び/又は
t)10nM未満、7nM未満、5nM未満、又は3nM未満、2nM未満、又は1nM未満のKdで組み換えカニクイザルCD33に結合する。
【0007】
いくつかの実施態様では、CD33に結合する単離された抗体が提供され、この抗体は、(a)配列番号112のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号113のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号114のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号111のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。いくつかの実施態様では、この抗体は、(a)配列番号115のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号116のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号117のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。いくつかの実施態様では、この抗体は、(a)配列番号118のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号119のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号111のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
【0008】
いくつかの実施態様では、CD33に結合する抗体は、(a)配列番号8、配列番号11、配列番号20、配列番号23、又は配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号9、配列番号12、配列番号21、配列番号24、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、又は配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号10、配列番号13、配列番号22、又は配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6、配列番号26、配列番号27、配列番号28、又は配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
【0009】
いくつかの実施態様では、CD33に結合する抗体は:
(i)(a)配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
(ii)(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
(iii)(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
(iv)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
(v)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
(vi)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
(vii)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
(viii)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
(ix)(a)配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
(x)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
(xi)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
(xii)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
(xiii)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;又は
(xiv)(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3;
【0010】
いくつかの実施態様では、CD33に結合する抗体は:
a)配列番号66の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号65の配列を含む軽鎖可変領域;
b)配列番号68の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号67の配列を含む軽鎖可変領域;
c)配列番号78の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号77の配列を含む軽鎖可変領域;
d)配列番号80の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域;
e)配列番号82の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号81の配列を含む軽鎖可変領域;
f)配列番号84の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号83の配列を含む軽鎖可変領域;
g)配列番号86の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号85の配列を含む軽鎖可変領域;
h)配列番号88の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号87の配列を含む軽鎖可変領域;
i)配列番号90の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号89の配列を含む軽鎖可変領域;
j)配列番号92の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号91の配列を含む軽鎖可変領域;
k)配列番号94の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号93の配列を含む軽鎖可変領域;
l)配列番号96の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号95の配列を含む軽鎖可変領域;
m)配列番号98の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号97の配列を含む軽鎖可変領域;又は
n)配列番号100の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号99の配列を含む軽鎖可変領域。
【0011】
いくつかの実施態様では、CD33に結合する単離された抗体が提供される。いくつかの実施態様では、CD33に結合する抗体は、以下の特性のうちの一又は複数を有する:
a)組み換えヒトCD33に結合する;
b)組み換えカニクイザルCD33に結合する;
c)ヒト末梢血単核細胞(PBMC)の表面上の内因性CD33に結合する;
d)10nM未満、7nM未満、5nM未満、又は3nM未満、2nM未満、又は1nM未満のKdで組み換えヒトCD33に結合する;
e)10nM未満、7nM未満、5nM未満、又は3nM未満、2nM未満、又は1nM未満のKdで組み換えカニクイザルCD33に結合する。
【0012】
いくつかの実施態様では、CD33に結合する単離された抗体は、(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
【0013】
いくつかの実施態様では、CD33に結合する抗体は:
a)配列番号70の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号69の配列を含む軽鎖可変領域;
b)配列番号72の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号71の配列を含む軽鎖可変領域;
c)配列番号74の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号73の配列を含む軽鎖可変領域;又は
d)配列番号76の配列を含む重鎖可変領域と、配列番号75の配列を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0014】
いくつかの実施態様では、CD33に結合する単離された抗体は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
【0015】
いくつかの実施態様では、CD33に結合する単離された抗体は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
【0016】
いくつかの実施態様では、CD33に結合する単離された抗体は、(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
【0017】
いくつかの実施態様では、抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施態様では、抗体はヒト、ヒト化、又はキメラ抗体である。いくつかの実施態様では、抗体はIgG1、IgG2a又はIgG2b抗体である。いくつかの実施態様では、抗体は、CD33に結合する抗体断片である。いくつかの実施態様では、CD33は、シグナル配列を含む又は含まない(例えば、アミノ酸1〜17を含む又は含まない)、配列番号1の配列を有するヒトCD33である。
【0018】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載される抗体をコードする単離された核酸が提供される。いくつかの実施態様では、核酸を含む宿主細胞が提供される。いくつかの実施態様では、抗体が生成されるように宿主細胞を培養することを含む抗体生成方法が提供される。
【0019】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載される抗体及び細胞傷害性剤を含むイムノコンジュゲートが提供される。いくつかの実施態様では、イムノコンジュゲートは式Ab−(L−D)pを有し、式中:
(a)Abは請求項1から15のいずれか一項に記載の抗体であり;
(b)Lはリンカーであり;
(c)Dは細胞傷害性剤であり;且つ
(d)pは1〜8である。
【0020】
いくつかの実施態様では、細胞傷害性剤は、メイタンシノイド、カリケアマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、及びネモルビシン誘導体から選択される。いくつかの実施態様では、Dは式A:
A;
のピロロベンゾジアゼピンであり、
式中、点線は、C1とC2又はC2とC3の間に二重結合が存在していてもよいことを示し;
は、独立して、H、OH、=O、=CH、CN、R、OR、=CH−R、=C(R、O−SO−R、COR及びCORから選択され、更にハロ又はジハロから選択されてもよく、ここでRは、独立して、R、COR、COR、CHO、COH、及びハロから選択され;
及びRは、独立して、H、R、OH、OR、SH、SR、NH、NHR、NR R’、NO、MeSn及びハロから選択され;
は、独立して、H、R、OH、OR、SH、SR、NH、NHR、NRR’、 NO、MeSn及びハロから選択され;
Qは、独立して、O、S及びNHから選択され;
11は、H、又はRであるか、或いはここでQはO、SOMであり、Mはメタルカチオンであり;
R及びR’の各々は、独立して、置換されていてもよいC1−8アルキル基、Cヘテロシクリル基及びC5−20アリール基から選択され、任意選択的に基NRR’に関連して、R及びR’は、それらが結合する窒素原子と共に、置換されていてもよい4、5、6又は7員の複素環式環を形成し;
12、R16、R19及びR17は、それぞれR、R、R及びRについて規定され;
R″はC3−12アルキレン基であり、この鎖は一又は複数のヘテロ原子及び/又は置換されていてもよい芳香族環によって中断されていてもよく;且つ
X及びX’は、独立して、O、S及びN(H)から選択される。
【0021】
いくつかの実施態様では、Dは構造:


を有し、構造中、nは0又は1である。
【0022】
いくつかの実施態様では、Dはネモルビシン誘導体である。いくつかの実施態様では、Dは:
から選択された構造を有する。
【0023】
いくつかの実施態様では、イムノコンジュゲートは、プロテアーゼによって切断可能なリンカーを含む。いくつかの実施態様では、イムノコンジュゲートは、酸不安定なリンカーを含む。いくつかの実施態様では、リンカーはヒドラゾンを含む。
【0024】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載される抗体を含むイムノコンジュゲートは:

及び

から選択された式を有する。
【0025】
本明細書に記載されるイムノコンジュゲートの実施態様のいずれにおいても、pは2〜5である。
【0026】
いくつかの実施態様では、薬学的製剤が提供される。いくつかの実施態様では、薬学的製剤は、本明細書に記載されるイムノコンジュゲートと薬学的に許容される担体を含む。いくつかの実施態様では、薬学的製剤は追加的治療剤を含む。
【0027】
いくつかの実施態様では、治療方法が提供される。いくつかの実施態様では、CD33陽性がんの治療方法が提供される。いくつかの実施態様では、治療方法は、個体に対し、本明細書に記載されるイムノコンジュゲート又は本明細書に記載される薬学的製剤の有効量を投与することを含む。いくつかの実施態様では、CD33陽性がんはAMLである。いくつかの実施態様では、方法は、追加的治療剤を個体に投与することを含む。
【0028】
いくつかの実施態様では、CD33陽性細胞の増殖を阻害する方法が提供される。いくつかの実施態様では、方法は、細胞の表面上のCD33に対するイムノコンジュゲートの結合を許容する条件下において本明細書に記載されるイムノコンジュゲートに対して細胞を露出し、それにより細胞の増殖を阻害することを含む。いくつかの実施態様では、細胞はAMLがん細胞である。
【0029】
いくつかの実施態様では、生物学的試料中のヒトCD33を検出する方法が提供される。いくつかの実施態様では、方法は、天然に存在するヒトCD33に対する抗CD33の結合を許容する条件下において生物学的試料を抗CD33抗体と接触させること、及び生物学的試料中において抗CD33抗体と天然に存在するヒトCD33の間に複合体が形成されるかどうかを検出することを含む。いくつかの実施態様では、抗CD33抗体は本明細書に記載される抗体である。いくつかの実施態様では、生物学的試料はAMLがん試料である。
【0030】
いくつかの実施態様では、CD33陽性がんを検出するための方法が提供される。いくつかのこのような実施態様では、方法は、(i)標識された抗CD33抗体を、CD33陽性がんを有する又は有すると疑われる個体に投与すること、及び(ii)対象中において標識された抗CD33抗体を検出することを含み、標識された抗CD33抗体の検出は対象中におけるCD33陽性がんを示す。いくつかの実施態様では、抗CD33抗体は本明細書に記載される抗体である。いくつかのこのような実施態様では、標識された抗CD33抗体は、陽電子放射体にコンジュゲートした抗CD33抗体を含む。いくつかの実施態様では、陽電子放射体は89Zrである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A】7A1、9C2、10D3、及び15G15の軽鎖可変領域の配列のアラインメントを示す。
図1B】7A1、9C2、10D3、及び15G15の重鎖可変領域の配列のアラインメントを示す。
図2A】15G15、15G15.33、15G15.37、15G15.83、15G15.88、15G15.7、15G15.17、15G15.30、15G15.31、15G15.39、及び15G15.84の軽鎖可変領域の配列のアラインメントを示す。
図2B】15G15、15G15.33、15G15.37、15G15.83、15G15.88、15G15.7、15G15.17、15G15.30、15G15.31、15G15.39、及び15G15.84の重鎖可変領域の配列のアラインメントを示す。
図3A】23E4、27C6、33F3、33F9、及び33H4の軽鎖可変領域の配列のアラインメントを示す。
図3B】23E4、27C6、33F3、33F9、及び33H4の重鎖可変領域の配列のアラインメントを示す。
図4A】9C3、9C3.2、9C3.3、及び9C3.4の軽鎖可変領域の配列のアラインメントを示す。
図4B】9C3、9C3.2、9C3.3、及び9C3.4の重鎖可変領域の配列のアラインメントを示す。
図5】A〜Dは、組み換えCD33に対する抗CD33抗体の種交差反応性を示している。組み換えヒト(hu)CD33(A、C)及びカニクイザル(cyno)CD33(B、D)を発現する293細胞に結合する抗CD33抗体が示されている。
図6】A〜Dは、Molm−13(A、C)及びAML(B、D)細胞において発現される内因性のhuCD33に結合する抗CD33抗体を示している。
図7】A〜Dは、内因性CD33に対する抗CD33抗体の種公差反応性を示している。huCD33+(A、C)及びcynoCD33+(B、D)骨髄細胞に結合する抗CD33抗体である。
図8A-B】huCD33を用いた抗CD33抗体エピトープの結合とMY9.6との比較を示す。MY9に関しては、例えば、Griffin et al., Leuk Res. 8:521 (1984)を参照のこと。
図8C-D】huCD33(C)及びcynoCD33(D)を用いた抗CD33抗体エピトープの結合とMY9.6との比較を示す。MY9に関しては、例えば、Griffin et al., Leuk Res. 8:521 (1984)を参照のこと。
図9】抗CD33抗体15G15と抗CD33抗体27C6、9C2、33F9、10D3、7A1、15G15、23E4、及び33H4との間の、ヒトCD33結合に関する例示的抗体の競合実験を示す。
図10】A〜Cは、抗CD33抗体9C3が抗CD33抗体15G15.33と競合せず、15G15.33とは異なるエピトープに結合することを示している。
図11】9C3抗体の変異体である9C3.2、9C3.3、及び9C3.4のhuCD33に対する結合が向上していることを示している。
図12】Aは、実施例で使用された、ドメインをスワップしたポリペプチドを概略的に示す。B〜Dは、抗CD33抗体7A1、9C2、10D3 及び15G15がhuCD33のIg様Vドメインに結合することを示す。
図13】抗CD33抗体のWM53(A)及び15G15(B)が、N−結合型グリコシル化を欠くhuCD33のIg様Vドメインに結合できることを示す。図13Cでは、変異部位S102A及びS115Aを含むhuCD33のIg様VドメインのコンセンサスN−グリコシル化部位の配列が四角で囲われている。(Ig様Vドメインのみが示されているため、図中の番号付けは完全長CD33の番号付けとは異なる。)
図14】A〜Cは、CD33のR69及びG69Ig−Vドメインの野生型及び一塩基多型(SNP)配列を示し(A)、抗CD33抗体の7A1、9C2、10D3、15G15、23E4、27C6、33F9、及び33H4の結合が、SNP(r2455069)(例えば、R69G)の影響を受けなかったことを示している。
図15】A及びBは、抗CD33抗体15G15及び15G15.33 L−D#1の内部移行とインビトロ力価を示している。
図16A】HL−60異種移植片において15G15.33 Thio−HC A118C L−D#1(L−D#1はリンカー−薬物部分モノメチル−ピリジル ジスルフィド、N10連結ピロロベンゾジアゼピン
【化1】
をコンジュゲートすることにより作製される)及び15G15.33 Thio−LC V205C L−D#1を様々な用量で用いた治療による、経時的腫瘍体積(mm3)の変化を示す。
図16B】EOL−1異種移植片において15G15.33 Thio−HC A118C L−D#1(L−D#1はリンカー−薬物部分モノメチル−ピリジル ジスルフィド、N10連結ピロロベンゾジアゼピン(同図16A)をコンジュゲートすることにより作製される)及び15G15.33 Thio−LC V205C L−D#1を様々な用量で用いた治療による、経時的腫瘍体積(mm3)の変化を示す。
図17】HL−60異種移植片において15G15 Thio−HC A118C L−D#2(L−D#2はリンカー−薬物部分マレイミドをアセタールリンカーPNU
【化2】
とコンジュゲートすることにより作製される)を様々な濃度で用いた治療による、経時的腫瘍体積(mm)の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
I.定義
本明細書における目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」は、下記に定義されるように、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークから得られる軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含有するフレームワークである。ヒト免疫グロブリンのフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同一のアミノ酸配列を含んでもよく、又はアミノ酸配列の変化を含んでもよい。いくつかの実施態様において、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。いくつかの実施態様において、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンのフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。
【0033】
「親和性」は、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合相互作用の総和の強度を指す。本明細書で使用する場合、特に断らない限り、「結合親和性」は、結合対(例えば、抗体と抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する本質的な結合親和性を指す。そのパートナーYに対する分子Xの親和性は、一般的に解離定数(Kd)で表すことができる。親和性は、本明細書に記載したものを含む、当技術分野で知られている一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための具体的な例示的且つ典型的な実施態様は、以下で説明される。
【0034】
「親和性成熟」抗体は、その改変を有していない親抗体と比較して、その一又は複数の超可変領域(HVR)に、抗原に対する抗体の親和性に改良を生じせしめる一又は複数の改変を持つものである。
【0035】
用語「抗CD33抗体」及び「CD33に結合する抗体」は、CD33を標的とする際に診断薬及び/又は治療剤として抗体が有用であるように、十分な親和性でCD33に結合可能な抗体を指す。一実施態様において、抗CD33抗体の、無関係な、非CD33タンパク質への結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される場合、抗体のCD33への結合の約10%未満である。特定の実施態様では、CD33に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、、≦5nm、≦4nM、≦3nM、≦2nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10−8M以下、例えば10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)の解離定数(Kd)を有する。特定の実施態様では、抗CD33抗体は、異なる種由来のCD33間で保存されているCD33のエピトープに結合する。
【0036】
本明細書では用語「抗体」は最も広い意味で用いられ、様々な抗体構造を包含し、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及び、所望の抗原結合活性を示す限り、抗体断片を含む。
【0037】
「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部分を含み、且つインタクトな抗体が結合する抗原に結合する、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SHは、F(ab’);ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えばscFv);及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。
【0038】
参照抗体として「同一のエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいて50%以上、参照抗体のその抗原への結合をブロックする抗体を指し、逆に参照抗体は、競合アッセイにおいて50%以上、その抗体のその抗原への結合をブロックする。典型的な競合アッセイが、本明細書において提供される。
【0039】
用語「がん」及び「がん性」は、典型的には、制御されない細胞成長/増殖を特徴とする、哺乳動物における生理学的状態を指す又は説明する。がんの例には、限定されないが、カルシノーマ、リンパ腫(例えば、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫)、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が含まれる。このようながんの更に具体的な例には、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性骨髄増殖性疾患、血小板性白血病、前駆体B細胞急性リンパ芽球性白血病(pre−B−ALL)、前駆体T細胞急性リンパ芽球性白血病(preT−ALL)、多発性骨髄腫(MM)、マスト細胞疾患、マスト細胞白血病、マスト細胞肉腫、骨髄肉腫、リンパ性白血病、及び未分化白血病が含まれる。いくつかの実施態様では、がんは骨髄性白血病である。いくつかの実施態様では、がんは急性骨髄性白血病(AML)である。
【0040】
用語「キメラ」抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が特定の起源又は種に由来し、重鎖及び/又は軽鎖の残りの部分が異なる起源又は種に由来する抗体を指す。
【0041】
抗体の「クラス」は、その重鎖が保有する定常ドメイン又は定常領域のタイプを指す。抗体の5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、これらのいくつかは、更にサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IGA、及びIgAに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
【0042】
本明細書で用いられる「細胞傷害性薬物」という用語は、細胞の機能を阻害又は阻止し及び/又は細胞死又は破壊を生ずる物質を指す。細胞傷害性薬物には、限定されないが、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位体);化学療法剤又は薬物(例えば、メトトレキセート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン又は他の挿入剤);増殖阻害剤;酵素及びその断片、例えば核酸分解酵素など;抗生物質;小分子毒素などの毒素、又は細菌、真菌、植物又は動物由来の酵素活性毒素(それらの断片及び/又はその変異体を含む);及び以下に開示される様々な抗腫瘍剤又は抗癌剤が含まれる。
【0043】
「エフェクター機能」は、抗体のアイソタイプにより変わる、抗体のFc領域に起因する生物学的活性を指す。抗体エフェクター機能の例には:C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御;及びB細胞活性化が含まれる。
【0044】
薬剤、例えば、薬学的製剤の「有効量」は、所望の治療的又予防的結果を達成するために必要な用量及び期間での有効な量を指す。
【0045】
用語「エピトープ」は、抗体が結合する抗原分子上の特定の部位を指す。
【0046】
本明細書では、用語「Fc領域」は、定常領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。その用語は、天然配列Fc領域と変異体Fc領域を含む。一実施態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域はCys226又はPro230から重鎖のカルボキシル末端まで延びる。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在しても、存在してなくともよい。特に断らない限り、Fc領域又は定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991に記載されるように、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。
【0047】
「フレームワーク」又は「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に四つのFRのドメイン、即ちFR1、FR2、FR3、及びFR4で構成される。したがって、HVR及びFR配列は一般VH(又はVL)の以下の配列に現れる:FR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4。
【0048】
用語「完全長抗体」、「インタクトな抗体」及び「全抗体」は、本明細書中で互換的に使用され、天然型抗体構造と実質的に類似の構造を有するか、又は本明細書で定義されるFc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。
【0049】
用語「CD33のグリコシル化形態」は、糖(炭水化物)残基の添加により翻訳後に修飾される、CD33の天然に存在する形態を指す。
【0050】
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」及び「宿主細胞培養物」は互換的に使用され、外因性の核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫を含める。宿主細胞は、「形質転換体」及び「形質転換された細胞」を含み、それには、継代の数に関係なく、それに由来する一次形質転換細胞及び子孫が含まれる。子孫は親細胞と核酸含量が完全に同一ではないかもしれず、突然変異が含まれる場合がある。本明細書には、最初に形質転換された細胞においてスクリーニング又は選択されたものと同じ機能又は生物活性を有する変異型子孫が含まれる。
【0051】
「ヒト抗体」は、ヒト又はヒト細胞により産生されるか、又はヒト抗体のレパートリーや他のヒト抗体をコードする配列を利用した非ヒト起源に由来する抗体のそれに対応するアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。
【0052】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」とは、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に存在するアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般的に、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからのものである。一般的に、配列のサブグループは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, NIH Publication 91-3242, Bethesda MD (1991), vols. 1-3のサブグループである。一実施態様において、VLについて、サブグループは上掲のKabatらのサブグループカッパIである。一実施態様において、VHについて、サブグループは上掲のKabatらのサブグループIIIである。
【0053】
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基、及びヒトFR由来アミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。特定の実施態様において、ヒト化抗体は、少なくとも一つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、HVR(例えば、CDR)のすべて又は実質的にすべてが、非ヒト抗体のものに対応し、FRのすべて又は実質的にすべてが、ヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。抗体の「ヒト化型」、例えば、非ヒト抗体は、ヒト化を遂げた抗体を指す。
【0054】
本明細書で使用される用語「超可変領域」又は「HVR」は、配列が超可変であるか、及び/又は構造的に定義されたループ(「超可変ループ」)を形成する抗体可変ドメインの各領域を指す。一般的に、天然型4鎖抗体は、VHに三つ(H1、H2、H3)、及びVLに三つ(L1、L2、L3)の計六つのHVRSを含む。HVRは、一般的に超可変ループ由来及び/又は「相補性決定領域」(CDR)由来のアミノ酸残基を含み、後者は最も高い配列可変性を有し、及び/又は抗原認識に関与している。典型的な超可変ループはアミノ酸残基26−32(L1)、50−52(L2)、91−96(L3)、26−32(H1)、53−55(H2)、及び96−101(H3)で生じる。(Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987)。)典型的なCDR(CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3)は、アミノ酸残基L1の24−34、L2の50−56、L3の89−97、H1の31−35B、H2の50−65、及びH3の95−102に生じる。(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)。)VHのCDR1の例外を除いて、CDRは一般的に超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。CDRは、抗原に接触する残基である「特異性決定残基」又は「SDR」を含む。SDRは、略称(abbreviated−)CDR、又はa−CDRと呼ばれるCDRの領域内に含まれている。典型的なa−CDR(a−CDR−L1、a−CDR−L2、a−CDR−L3、a−CDR−H1、a−CDR−H2、及びa−CDR−H3)は、アミノ酸残基L1の31−34、L2の50−55、L3の89−96、H1の31−35B、H2の50−58、及びH3の95−102に生じる。(Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)参照。)特に断らない限り、可変ドメイン内のHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書では上掲のKabatらに従って番号が付けられる。
【0055】
「イムノコンジュゲート」は、細胞傷害性剤を含むがそれに限定されない、一又は複数の異種分子にコンジュゲートした抗体である。
【0056】
「個体」又は「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物は、限定されないが、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウマ)、霊長類(例えば、ヒト、サルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、げっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む。特定の実施態様において、個体又は被検体はヒトである。
【0057】
「単離された」抗体は、その自然環境の成分から分離されたものである。いくつかの実施態様において、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS−PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)により決定されるように、95%又は99%を上回る純度に精製される。抗体純度の評価法の総説としては、例えばFlatman et al., J. Chromatogr. B 848:79-87 (2007)を参照のこと。
【0058】
「単離された核酸」は、その自然環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸は、核酸分子を通常含む細胞に含まれる核酸分子を含むが、その核酸分子は、染色体外又はその自然の染色体上の位置とは異なる染色体位置に存在している。
【0059】
「抗CD33抗体をコードする単離された核酸」は、抗体の重鎖及び軽鎖(又はその断片)をコードする一又は複数の核酸分子を指し、これには、単一のベクター又は別々のベクター中のこのような核酸分子、及び宿主細胞の一又は複数の位置に存在するこのような核酸分子が含まれる。
【0060】
本明細書で使用される用語「CD33」は、細胞中のCD33前駆体タンパク質の処理により得られる任意の天然、成熟CD33を指す。この用語は、特に断らない限り、霊長類(例えばヒト、及びカニクイザル)及びげっ歯類(例えば、マウス、ラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物由来のCD33を指す。この用語は、天然に存在するCD33の変異体、例えば、スプライス変異体又は対立遺伝子変異体も含む。シグナル配列を含む例示的なヒトCD33前駆体タンパク質のアミノ酸配列(シグナル配列を含む、アミノ酸1−17)を配列番号1に示す。例示的な成熟ヒトCD33のアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸18−364である。例示的な細胞外ドメインのアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸18−259である。例示的なIg様V型(Ig V)ドメインのアミノ酸配列は配列番号2である。例示的なIg様C2型(Ig C2)ドメインのアミノ酸配列は配列番号3である。シグナル配列を含む例示的なカニクイザルCD33前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号4に示す。
【0061】
用語「CD33陽性がん」は、表面上にCD33を発現する細胞を含むがんを指す。いくつかの実施態様では、細胞表面におけるCD33の発現は、例えば、免疫組織化学、FACSなどの方法においてCD33に抗体を用いて決定される。或いは、CD33 mRNAの発現は、細胞表面におけるCD33の発現と相関すると考えられ、in situハイブリダイゼーション及びRT−PCR(定量的RT−PCRを含む)から選択された方法により決定することができる。
【0062】
用語「CD33陽性細胞」は、表面上にCD33を発現する細胞を指す。
【0063】
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、即ち、例えば、天然に生じる変異を含むか又はモノクローナル抗体調製物の製造時に発生し、一般的に少量で存在している可能性のある変異体抗体を除き、集団を構成する個々の抗体は同一であり、及び/又は同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を通常含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。したがって、修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の生成を必要とするものとして解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、限定されないが、ハイブリドーマ法、組み換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含む様々な技術によって作成され、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法は、本明細書に記載されている。
【0064】
「ネイキッド抗体」とは、異種の部分(例えば、細胞傷害性部分)又は放射性標識にコンジュゲートしていない抗体を指す。ネイキッド抗体は薬学的製剤中に存在してもよい。
【0065】
「天然型抗体」は、様々な構造を有する天然に生じる免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然型IgG抗体は、ジスルフィド結合している二つの同一の軽鎖と二つの同一の重鎖からなる約150000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各重鎖は、N末端からC末端に、可変重ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)を有し、これには三つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)が続く。同様に、各軽鎖は、N末端からC末端に、可変軽ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)を有し、これには一つの定常軽鎖(CL)ドメインが続く。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)とラムダ(λ)と呼ばれる、二つのタイプのいずれかに割り当てることができる。
【0066】
用語「パッケージ挿入物」は、治療製品の商品包装に通例含まれる説明書を指すのに使用され、このような治療製品の使用に関する指示、使用法、用量、投与、併用療法、禁忌及び/又は注意事項についての情報を含む。
【0067】
参照ポリペプチド配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入した後、いかなる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした場合の、参照ポリペプチドのアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成可能である。当業者であれば、比較される配列の完全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性の値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を使用して生成される。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテック社によって作製され、ソースコードは米国著作権庁、ワシントンD.C.,20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。また、ALIGN−2プログラムは、ジェネンテック社、サウスサンフランシスコ、カリフォルニアから公的に入手可能であるか、又はそのソースコードからコンパイルすることができる。ALIGN−2プログラムは、デジタルUNIXのV4.0Dを含む、UNIXオペレーティングシステム上での使用のためにコンパイルされるべきである。すべての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムによって設定されて変動しない。
【0068】
アミノ酸配列比較にALIGN−2が用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Aの、所与のアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(或いは、所与のアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む所与のアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
100×分率X/Y
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN−2により、そのプログラムのA及びBのアラインメントにおいて完全に一致するとされたアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。特に断らない限り、本明細書で使用されるすべての%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN−2コンピュータプログラムを使用して、直前の段落で説明したように得られる。
【0069】
用語「薬学的製剤」は、その中に含有される活性成分の生物学的活性が有効になることを可能にするような形態であって、製剤が投与される対象にとって許容できない毒性を有する他の成分を含まない調製物を指す。
【0070】
「薬学的に許容される担体」は、対象に非毒性である、有効成分以外の薬学的製剤の成分を指す。薬学的に許容される担体には、限定されないが、バッファー、賦形剤、安定剤、又は保存剤が含まれる。
【0071】
本明細書で用いられる場合、「治療」(及び「治療する(treat)」又は「治療している(treating)」などの文法的変形)は、治療されている個体の自然経過を変えようと試みる臨床的介入を指し、予防のために、又は臨床病理の過程において実行できる。治療の望ましい効果には、限定されないが、疾患の発症又は再発を予防すること、症状の緩和、疾患の直接的又は間接的な病理学的帰結の縮小、転移を予防すること、疾患の進行の速度を遅らせること、疾患状態の改善又は緩和、及び寛解又は予後の改善が含まれる。いくつかの実施態様において、本発明の抗体は、疾患の発症を遅延させるか又は疾患の進行を遅くするために使用される。
【0072】
用語「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然型抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれVH及びVL)は一般に、各々が四つの保存されたフレームワーク領域(FR)と三つの超可変領域(HVR)とを含む類似構造を有する。(例えば、Kindt et al., Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007)を参照されたい。)単一のVH又はVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分でありうる。更に、特定の抗原に結合する抗体は、相補的なVL又はVHドメインそれぞれのライブラリーーをスクリーニングするために、抗原に結合する抗体由来のVH又はVLドメインを用いて単離することができる。例えば、Portolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993); Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991)を参照。
【0073】
本明細書で使用される用語「ベクター」は、それが結合されている別の核酸を伝播することができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、並びにそれが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。ある種のベクターは、それらが動作可能なように結合されている核酸の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と言う。
【0074】
「アルキル」は、正常、第二級、第三級、又は環状の炭素原子を含有するC1−C18の炭化水素である。例として、メチル(Me、−CH)、エチル(Et、−CHCH)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CHCHCH)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CHCHCHCH)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CHCH(CH)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH)CHCH)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CHCHCHCHCH)、2−ペンチル(−CH(CH)CHCHCH)、3−ペンチル(−CH(CHCH)、2−メチル−2−ブチル(−C(CHCHCH)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH)CH(CH)、3−メチル−1−ブチル(−CHCHCH(CH)、2−メチル−1−ブチル(−CHCH(CH)CHCH)、1−ヘキシル(−CHCHCHCHCHCH)、2−ヘキシル(−CH(CH)CHCHCHCH)、3−ヘキシル(−CH(CHCH)(CHCHCH))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CHCHCHCH)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CH(CH)CHCH)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CHCH(CH)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH)(CHCH)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CHCH)CH(CH)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CHCH(CH)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH)C(CHが挙げられる。
【0075】
本明細書で使用される用語「C−Cアルキル」は、1〜8の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和炭化水素を指す。代表的な「C−Cアルキル」基には、限定されないが、−メチル、−エチル、−n−プロピル、−n−ブチル、−n−ペンチル、−n−ヘキシル、−n−ヘプチル、−n−オクチル、−n−ノニル及び−n−デシルが含まれ;分枝状C−Cアルキルには、限定されないが、−イソプロピル、−sec−ブチル、−イソブチル、−tert−ブチル、−イソペンチル、2−メチルブチルが含まれ、不飽和C−Cアルキルには、限定されないが、−ビニル、−アリル、−1−ブテニル、−2−ブテニル、−イソブチレニル(isobutylenyl)、−1−ペンテニル、−2−ペンテニル、−3−メチル−1−ブテニル、−2−メチル−2−ブテニル、−2,3−ジメチル−2−ブテニル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル,−アセチレニル、−プロピニル、−1−ブチニル、−2−ブチニル、−1−ペンチニル、−2−ペンチニル、−3−メチル−1 ブチニルが含まれる。C−Cアルキル基は、置換されなくてもよく、又は−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’) −NHC(O)R’、−SOR’、−S(O)R’、−S(O)R’、−OH、−ハロゲン、−N、−NH、−NH(R’)、−N(R’)及び−CNを含むがこれらに限定されない一又は複数の基により置換されてもよく、ここで各R’は独立してH、−C−Cアルキル及びアリールから選択される。
【0076】
本明細書で使用される用語「C−C12アルキル」は、1〜12の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和炭化水素を指す。C−C12アルキル基は、置換されなくてもよく、又は−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’)−NHC(O)R’、−SOR’、−S(O)R’、−S(O)R’、−OH、−ハロゲン、−N、−NH、−NH(R’)、−N(R’)及び−CNを含むがこれらに限定されない一又は複数の基により置換されてもよく、ここで各R’は独立してH、−C−Cアルキル及びアリールから選択される。
【0077】
本明細書で使用される用語「C−Cアルキル」は、1〜6の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和炭化水素を指す。代表的な「C−Cアルキル」基には、限定されないが、−メチル、−エチル、−n−プロピル、−n−ブチル、−n−ペンチル、及びn−ヘキシルが含まれ;分枝状C−Cアルキルには、限定されないが、−イソプロピル、−sec−ブチル、−イソブチル、−tert−ブチル、−イソペンチル、及び2−メチルブチルが含まれ;不飽和C−Cアルキルには、限定されないが、−ビニル、−アリル、−1−ブテニル、−2−ブテニル、及び−イソブチレニル、−1−ペンテニル、−2−ペンテニル、−3−メチル−1−ブテニル、−2−メチル−2−ブテニル、−2,3−ジメチル−2−ブテニル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、及び3−ヘキシルが含まれる。C−Cアルキル基は置換されなくてもよく、又はC−Cアルキル基について上述した一又は複数の基で置換されてもよい。
【0078】
本明細書で使用される用語「C−Cアルキル」は、1〜4の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和炭化水素を指す。代表的な「C−Cアルキル」基には、限定されないが、−メチル、−エチル、−n−プロピル、−n−ブチルが含まれ;分枝状C−Cアルキルには、限定されないが、−イソプロピル、−sec−ブチル、−イソブチル、−tert−ブチルが含まれ;不飽和C−Cアルキルには、限定されないが、−ビニル、−アリル、−1−ブテニル、−2−ブテニル、及び−イソブチレニルが含まれる。C−Cアルキル基は置換されなくてもよく、又はC−Cアルキル基について上述した一又は複数の基で置換されてもよい。
【0079】
「アルコキシ」は、単独で酸素に結合したアルキル基である。例示的アルコキシ基には、限定されないが、メトキシ(−OCH)及びエトキシ(−OCHCH)が含まれる。「C−Cアルコキシ」は、1〜5の炭素原子を含むアルコキシ基である。アルコキシ基は、置換されなくてもよく、又はアルキル基について上述した一又は複数の基で置換されてもよい。
【0080】
「アルケニル」は、少なくとも一の不飽和部位、即ち炭素−炭素、sp二重結合を含む正常、第二級、第三級、又は環状の炭素原子を含有するC−C18の炭化水素である。その例には、限定されないが:エチレン又はビニル(−CH=CH)、アリル(−CHCH=CH)、シクロペンテニル(−C)、及び5−ヘキセニル(−CH CHCHCHCH=CH)が含まれる。「C−Cアルケニル」は、少なくとも一の不飽和部位、即ち炭素−炭素、sp二重結合を含む、2〜8の正常、第二級、第三級又は環状の炭素原子を含有する炭化水素である。
【0081】
「アルキニル」は、少なくとも一の不飽和部位、即ち炭素−炭素、sp三重結合を含む正常、第二級、第三級、又は環状の炭素原子を含有するC−C18の炭化水素である。その例には、限定されないが:アセチレン系(−C≡CH)及びプロパギル(−CHC≡CH)が含まれる。「C−Cアルキニル」は、少なくとも一の不飽和部位、即ち炭素−炭素、sp三重結合を含む、2〜8の正常、第二級、第三級又は環状の炭素原子を含有する炭化水素である。
【0082】
「アルキレン」は、飽和した、分枝鎖若しくは直鎖又は環状の、1〜18の炭素原子からなる炭化水素ラジカルを指し、これは、親アルカンの同じ又は二つの異なる炭素原子から二つの水素原子を除去することにより得られた二つの一価のラジカル中心を有する。典型的なアルキレンラジカルには、限定されないが:メチレン(−CH−)1,2−エチル(−CHCH−)、1,3−プロピル(−CHCHCH−)、1,4−ブチル(−CHCHCHCH−)などが含まれる。
【0083】
「C−C10アルキレン」は、式−(CH1−10−の直鎖状飽和炭化水素基である。C−C10アルキレンの例には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン(ocytylene)、ノニレン及びデカレン(decalene)が含まれる。
【0084】
「アルケニレン」は、不飽和の、分枝鎖若しくは直鎖又は環状の、2〜18の炭素原子からなる炭化水素ラジカルを指し、これは、親アルケンの同じ又は二つの異なる炭素原子から二つの水素原子を除去することにより得られた二つの一価のラジカル中心を有する。典型的なアルケニレンラジカルは、限定しないが:1,2−エチレン(−CH=CH−)を含む。
【0085】
「アルキニレン」は、不飽和の、分枝鎖若しくは直鎖又は環状の、2〜18の炭素原子からなる炭化水素ラジカルを指し、これは、親アルキンの同じ又は二つの異なる炭素原子から二つの水素原子を除去することにより得られた二つの一価のラジカル中心を有する。典型的なアルキニレンラジカルには、限定されないが:アセチレン(−C≡C−)、プロパギル(−CHC≡C−)、及び4−ペンチニル(−CHCHCHC≡C−)が含まれる。
【0086】
「アリール」は、炭素環式芳香族基である。アリール基の例には、限定されないが、フェニル、ナフチル及びアントラセニルが含まれる。炭素環式芳香族基又は複素環式芳香族基は、置換されなくともよく、又は限定しないが、−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’) −NHC(O)R’、−S(O)R’、−S(O)R’、−OH、−ハロゲン、−N、−NH、−NH(R’)、−N(R’)及び−CNを含む一又は複数の基で置換されてもよく;ここで各R’は、独立してH、−C−Cアルキル及びアリールから選択される。
【0087】
「C−C20アリール」は、炭素環式芳香族環に5〜20の炭素原子を含むアリール基である。C−C20アリール基の例には、限定されないが、フェニル、ナフチル及びアントラセニルが含まれる。C−C20アリール基は、アリール基について上述したもので置換されても又はされなくともよい。「C−C14アリール」は、炭素環式芳香族環に5〜14の炭素原子を含むアリール基である。C−C14アリール基の例には、限定されないが、フェニル、ナフチル及びアントラセニルが含まれる。C−C14アリール基は、アリール基について上述したもので置換されても又はされなくともよい。
【0088】
「アリーレン」は、二つの共有結合を有するアリール基であり、以下の構造式に示すようなオルソ、メタ、又はパラ構成をとることができる:

式中、フェニル基は、置換されなくともよく、又は限定しないが、−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’)−NHC(O)R’、−S(O)R’、−S(O)R’、−OH、−ハロゲン、−N、−NH、−NH(R’)、−N(R’)及び−CNを含む最大四つの基で置換されてもよく;ここで各R’は、独立してH、−C−Cアルキル及びアリールから選択される。
【0089】
「アリールアルキル」は、炭素原子、典型的には末端又はsp炭素原子に結合する水素原子の一つがアリールラジカルで置換されている非環式アルキルラジカルを指す。典型的なアリールアルキル基には、限定されないが、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどが含まれる。アリールアルキル基は6〜20の炭素原子を含み、例えばアリールアルキル基の、アルカニル、アルケニル又はアルキニル基を含むアルキル部分は1〜6の炭素原子であり、アリール部分は5〜14の炭素原子である。
【0090】
「ヘテロアリールアルキル」は、炭素原子、典型的には末端又はsp炭素原子に結合した水素原子のうちの一つがヘテロアリールラジカルで置換されている非環式アルキルラジカルを指す。典型的なヘテロアリールアルキル基には、限定されないが、2−ベンズイミダゾリルメチル、2−フリルエチルなどが含まれる。ヘテロアリールアルキル基は6〜20の炭素原子を含み、例えばヘテロアリールアルキル基の、アルカニル、アルケニル又はアルキニル基を含むアルキル部分は1〜6の炭素原子であり、ヘテロアリール部分は5〜14の炭素原子と、N、O、P、及びSから選択された1〜3のヘテロ原子である。ヘテロアリールアルキル基のヘテロアリール部分は、3〜7の環員 を有する単環(2〜6の炭素原子)又は7〜10の環員を有する二環(4〜9の炭素原子とN、O、P、Sから選択された1〜3のヘテロ原子)、例えば:ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、又は[6,6]系であってよい。
【0091】
「置換されたアルキル」、「置換されたアリール」、及び「置換されたアリールアルキル」はそれぞれ、一又は複数の水素原子が各々独立して置換基で置換されているアルキル、アリール、及びアリールアルキルを意味する。典型的な置換基には、限定されないが、−X、−R、−O、−OR、−SR、−S、−NR、−NR、=NR、−CX、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、NC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)NR、−SO、−SOH、−S(=O)R、−OS(=O)OR、−S(=O)NR、−S(=O)R、−OP(=O)(OR)、−P(=O)(OR)、−PO、−PO、−C(=O)R、−C(=O)X、−C(=S)R、−COR、−CO、−C(=S)OR、−C(=O)SR、−C(=S)SR、−C(=O)NR、−C(=S)NR、−C(=NR)NRが含まれ、ここで各Xは独立してハロゲンであり:F、Cl、Br、又はI;及び各Rは独立して−H、C−C18アルキル、C−C20アリール、C−C14複素環、保護基又はプロドラッグ部分である。上述のアルキレン、アルケニレン、及びアルキニレン基は、同様に置換されていてもよい。
【0092】
「ヘテロアリール」及び「複素環」は、一又は複数の環原子がヘテロ原子、例えば窒素、酸素、及び硫黄である環系を指す。ヘテロシクリルラジカルは、3〜20の炭素原子とN、O、P、及びSから選択される1〜3のヘテロ原子を含む。複素環は、3〜7の環員(2〜6の炭素原子とN、O、P、及びSから選択される1〜3のヘテロ原子)を有する単環、又は7〜10の環員(4〜9の炭素原子とN、O、P、及びSから選択される1〜3のヘテロ原子)を有する二環、例えば:ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、又は[6,6]系であってよい。
【0093】
例示的複素環は、例えば、Paquette, Leo A., “Principles of Modern Heterocyclic Chemistry” (W.A. Benjamin, New York, 1968)、特にChapters 1, 3, 4, 6, 7, and 9; “The Chemistry of Heterocyclic Compounds, A series of Monographs” (John Wiley & Sons, New York, 1950 to present)、特にVolumes 13, 14, 16, 19, and 28; and J. Am. Chem. Soc. (1960) 82:5566に記載されている。
【0094】
複素環の例には、限定されないが例として、ピリジル、dihydroypyridyl、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、硫黄酸化テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル(thianaphthalenyl)、インドリル、インドレニル(indolenyl)、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ピペリジニル、4−ピペリドニル(4−piperidonyl)、ピロリジニル、2−ピロリドニル(2−pyrrolidonyl)、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、ビス−テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ビス−テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、アゾシニル、トリアジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、チエニル、チアントレニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチニル(phenoxathinyl)、2H−ピロリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、1H−インダゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4aH−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェナチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、オキシインドリル、ベンゾオキサゾリニル、及びイサチノイル(isatinoyl)が含まれる。
【0095】
限定ではなく例を挙げると、炭素結合したヘテロ環は、ピリジンの位置2、3、4、5又は6、ピリダジンの位置3、4、5又は6、ピリミジンの位置2、4、5又は6、ピラジンの位置2、3、5又は6、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロール又はテトラヒドロピロールの位置2、3、4又は5、オキサゾール、イミダゾール又はチアゾールの位置2、4又は5、イソオキサゾール、ピラゾール又はイソチアゾールの位置3、4又は5、アジリジンの位置2又は3、アゼチジンの位置2、3又は4、キノリンの位置2、3、4、5、6、7又は8、もしくはイソキノリンの位置1、3、4、5、6、7又は8で結合される。更に典型的には、炭素結合複素環には、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、6−ピリジル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピラジニル、5−ピラジニル、6−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、又は5−チアゾリルが含まれる。
【0096】
非限定的に例を挙げると、窒素結合したヘテロ環は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの位置1、イソインドール又はイソインドリンの位置2、モルホリンの位置4、及びカルバゾール又はβ−カルボリンの位置9で結合される。更に典型的には、窒素結合複素環には、1−アジリジル、1−アゼテジル(1−azetedyl)、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、及び1−ピペリジニルが含まれる。
【0097】
「C−C複素環」は、O、S及びNからなる群より選択される環炭素原子のうちの一〜四が独立してヘテロ原子で置換されている、芳香族又は非芳香族C−C炭素環を指す。C−C複素環の代表的な例には、限定されないが、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェン、インドリル、ベンゾピラゾリル、クマリニル、イソキノリニル、ピロリル、チオフェニル、フラニル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、キノリニル、ピリミジニル、ピリジニル、ピリドニル(pyridonyl)、ピラジニル、ピリダジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル及びテトラゾリルが含まれる。C−C複素環は、置換されていないか、又は−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’)−NHC(O)R’、−S(O)R’、−S(O)R’、−OH、−ハロゲン、−N、−NH、−NH(R’)、−N(R’)及び−CNを含むがこれらに限定されない最大七つの基で置換されていてもよく;ここで各R’は独立してH、−C−Cアルキル及びアリールから選択される。
【0098】
「C−Cヘテロシクロ」は、複素環基の水素原子の一つが結合で置換されている上記に定義されたC−C複素環基を指す。C−Cヘテロシクロは、置換されていないか、又は−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’)−NHC(O)R’、−S(O)R’、−S(O)R’、−OH、−ハロゲン、−N、−NH、−NH(R’)、−N(R’)及び−CNを含むがこれらに限定されない最大六つの基で置換されていてもよく;ここで各R’は独立してH、−C−Cアルキル及びアリールから選択される。
【0099】
「C−C20複素環」は、環炭素原子のうちの一から四が独立して、O、S及びNからなる群からのヘテロ原子で置換されている、芳香族又は非芳香族C−C炭素環を指す。C−C20複素環は、置換されていなくともよく、又は−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’)−NHC(O)R’、−S(O)R’、−S(O)R’、−OH、−ハロゲン、−N、−NH、−NH(R’)、−N(R’)及び−CNを含むがこれらに限定されない最大七つの基で置換されていてもよく;ここで各R’は独立してH、−C−Cアルキル及びアリールから選択される。
【0100】
「C−C20ヘテロシクロ」は、複素環基の水素原子の一つが結合で置換されている上記に定義されたC−C20複素環基を指す。
【0101】
「炭素環」は、3〜7の炭素原子を単環として、又は7〜12の炭素原子を二環として有する飽和又は不飽和の環を意味する。単環式の炭素環は、3〜6の環原子、更に典型的には5又は6の環原子を有する。二環式の炭素環は、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]若しくは[6,6]系として構成された7〜12の環原子、又はビシクロ[5,6]若しくは[6,6]系として構成された9若しくは10の環原子を有する。単環式炭素環の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペント−1−エニル、1−シクロペント−2−エニル、1−シクロペント−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキサ−1−エニル(1−cyclohex−1−enyl)、1−シクロヘキサ−2−エニル、1−シクロヘキサ−3−エニル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが含まれる。
【0102】
「C−C炭素環」は、3、4、5、6、7又は8員の飽和又は不飽和非芳香族炭素環式環である。代表的なC−C炭素環には、限定されないが、−シクロプロピル、−シクロブチル、−シクロペンチル、−シクロペンタジエニル、−シクロヘキシル、−シクロヘキセニル、−1,3−シクロヘキサジエニル、−1,4−シクロヘキサジエニル、−シクロヘプチル、−1,3−シクロヘプタジエニル、−1,3,5−シクロヘプタトリエニル、−シクロオクチル、及び−シクロオクタジエニルが含まれる。C−C炭素環基は、置換されなくてもよく、又は−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル、)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’)−NHC(O)R’、−S(O)R’、−S(O)R’、−OH、−ハロゲン、−N、−NH、−NH(R’)、−N(R’)及び−CNを含むがこれらに限定されない一又は複数の基で置換されてもよく;ここで各R’は独立してH、−C−Cアルキル及びアリールから選択される。
【0103】
「C−Cカルボシクロ」は、炭素環基の水素原子のうちの一つが結合で置換されている、上記に定義されたC−C炭素環基を指す。
【0104】
「リンカー」は、抗体を共有結合的に薬物部分に結合させる原子の鎖又は共有結合を含む化学部分を指す。種々の実施態様では、リンカーは、アルキルジイル、アリールジイル、ヘテロアリールジイルといった二価のラジカル、−(CRO(CR−のような部分、アルキルオキシ(例えばポリエチレンオキシ、PEG、ポリメチレンオキシ)及びアルキルアミノ(例えばポリエチレンアミノ、JeffamineTM)の反復単位;及びスクシネート、スクシンアミド、ジグリコレート、マロネート、及びカプロアミドを含む二価酸エステル及びアミドを含む。種々の実施態様では、リンカーは、バリン、フェニルアラニン、リジン、及びホモリジンといった一又は複数のアミノ酸残基を含むことができる。
【0105】
用語「キラル」は、重ね合わせることができないという鏡像パートナーの性質を有する分子を指し、用語「アキラル」は、その鏡像パートナー上に重ね合わせることができる分子を指す。
【0106】
用語「立体異性体」は、同じ化学構造を有するが、原子又は基の空間配置の点で異なる化合物を指す。
【0107】
「ジアステレオマー」は、複数のキラル中心を持つ立体異性体であって、それらの分子が互いに鏡像関係にないものを指す。ジアステレオマーは、異なる物理的性質、例えば融点、沸点、スペクトル的性質及び反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、例えば電気泳動法及びクロマトグラフィーなどの高分解能分析手順の下で分離することができる。
【0108】
「エナンチオマー」とは、互いに重ね合わせることができない鏡像である、化合物の二つの立体異性体を指す。
【0109】
本明細書で使用される立体化学的定義及び慣例は、S. P. Parker, Ed., McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (1984) McGraw-Hill Book Company, New York; and Eliel, E. and Wilen, S., Stereochemistry of Organic Compounds (1994) John Wiley & Sons, Inc., New Yorkに従う。多くの有機化合物は、光学的に活性な形態で存在する、即ち、平面偏光の平面を回転させることができる。光学的に活性な化合物を記載する際に、接頭語D及びL、又はR及びSが使用されて、そのキラル中心の周りでの分子の絶対配置を表す。接頭語d及びl、又は(+)及び(−)は、面偏光された光の、その化合物による回転の符号を表すために使用され、(−)又は1はその化合物が左旋性であることを意味する。接頭語(+)又はdを有する化合物は右旋性である。所与の化学構造に関して、これらの立体異性体は、互いのに鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体は、エナンチオマーとも称され、このような異性体の混合物は、しばしばエナンチオマー混合物と呼ばれる。エナンチオマーの50:50混合物は、ラセミ混合物又はラセミ体と称され、化学反応又はプロセスにおいて立体選択又は立体特異性がなかった場合に生じうる。用語「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」は、二つのエナンチオマー種の等モル混合物を指し、光学活性がないものをいう。
【0110】
「脱離基」は、別の官能基で置換できる官能基を指す。特定の脱離基は、当技術分野で周知であり、その例には、限定されないが、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、メタンスルホニル(メシル)、p−トルエンスルホニル(トシル)、トリフルオロメチルスルホニル(トリフラート)、及びトリフルオロメチルスルホネートが含まれる。
【0111】
用語「保護基」は、化合物の他の官能基に反応しながら特定の機能性をブロック又は保護するために一般に用いられる置換基を指す。例えば、「アミノ−保護基」は、化合物のアミノ機能性をブロック又は保護する、アミノ基に結合する置換基である。適切なアミノ保護基には、限定されないが、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)及び9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(9−fluorenylmethylenoxyrbonyl)(Fmoc)が含まれる。保護基及びそれらの使用の一般的な説明については、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York, 1991、又はその改訂版を参照されたい。
【0112】
II.組成物及び方法
一態様では、本発明は、一つにはCD33に結合する抗体と、このような抗体を含むイムノコンジュゲートに基づく。本発明の抗体イムノコンジュゲートは、例えば、CD33陽性がんの診断又は治療のために有用である。
【0113】
A.例示的抗CD33抗体
ここでは、CD33に結合する単離された抗体が提供される。CD33は、シアル酸に結合する免疫グロブリン様レクチンファミリーのメンバーであり、67−kDaのグリコシル化I型膜貫通タンパク質であり、委任骨髄単球性及び赤血球前駆細胞に加えて大部分の骨髄及び単球白血病細胞に発現する。
【0114】
シグナル配列(アミノ酸1−17)を含む、例示的な天然に存在するヒトCD33前駆体のタンパク質配列は、配列番号1に提供され、これに対応する成熟CD33タンパク質配列は、配列番号1のアミノ酸18−364に対応している。
【0115】
特定の実施態様では、抗CD33抗体は、以下の特性のうちの少なくとも一又は複数を、任意の組み合わせで有する:
a)組み換えヒトCD33に結合する;
b)組み換えカニクイザルCD33に結合する;
c)ヒト末梢血単核細胞(PBMC)の表面上の内因性CD33に結合する;
d)カニクイザルPBMCの表面上の内因性CD33に結合する;
e)がん細胞の表面上の内因性CD33に結合する;
f)AMLがん細胞の表面上の内因性CD33に結合する;
g)Molm−13細胞の表面上の内因性CD33に結合する;
h)R69Gの突然変異を含むCD33に結合する;
i)CD33のIg Vドメインに結合する;
j)N100にN−結合型グリコシル化を欠くCD33に結合する;
k)N113にN−結合型グリコシル化を欠くCD33に結合する;
l)S102Aの突然変異を含むCD33に結合する;
m)S115Aの突然変異を含むCD33に結合する;
n)CD33のIg C2ドメインに結合しない;
o)ヒトCD33への結合についてMy9.6抗体と競合する;
p)ヒトCD33への結合について抗体33H4と競合する;
q)ヒトCD33への結合について抗体23E4と競合する;
r)15nM未満、10nM未満、7nM未満、5nM未満、又は3nM未満のKdで内因性のヒトCD33に結合する;
s)10nM未満、7nM未満、5nM未満、又は3nM未満のKdで組み換えヒトCD33に結合する;及び/又は
t)10nM未満、7nM未満、5nM未満、又は3nM未満、2nM未満、又は1nM未満のKdで組み換えカニクイザルCD33に結合する。
【0116】
いくつかの実施態様では、抗体の特性は、後述の実施例に記載されるように決定される。非限定的且つ例示的なこのような抗体は、本明細書に記載される、7A1、9C2、10D3、及び15G15と、その変異体を含む。いくつかの実施態様では、CD33に結合する抗体は、組み換え及び内因性両方のヒト及びカニクイザルCD33に結合し、ヒトCD33への結合についてMy9.6、33H4、及び23E4と競合する。いくつかの実施態様では、CD33に結合する抗体は、組み換え及び内因性両方のヒト及びカニクイザルCD33に結合し、ヒトCD33への結合についてMy9.6と競合するが、My9.6と重複するがMy9.6とは異なるエピトープを有する。
【0117】
特定の実施態様では、抗CD33抗体は、以下の特性のうちの少なくとも一又は複数を、任意の組み合わせで有する:
a)組み換えヒトCD33に結合する;
b)組み換えカニクイザルCD33に結合する;
c)ヒト末梢血単核細胞(PBMC)の表面上の内因性CD33に結合する;
d)10nM未満、7nM未満、5nM未満、又は3nM未満、2nM未満、又は1nM未満のKdで組み換えヒトCD33に結合する;
e)10nM未満、7nM未満、5nM未満、3nM未満、2nM未満、又は1nM未満のKdで組み換えカニクイザルCD33に結合する。
【0118】
いくつかの実施態様では、抗体の特性は、後述の実施例に記載されるように決定される。非限定的且つ例示的なこのような抗体は、本明細書に記載される、9C3とその変異体を含む。
【0119】
抗体7A1、9C2、10D3、15G15、15G15.33、15G15.37、15G15.83、15G15.88、15G15.7、15G15.17、15G15.30、15G15.31、15G15.39と他の実施態様
いくつかの実施態様では、本発明は、(a)配列番号8、配列番号11、配列番号20、配列番号23、及び/又は配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号9、配列番号12、配列番号21、配列番号24、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、又は配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号10、配列番号13、配列番号22、又は配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6、配列番号26、配列番号27、配列番号28、又は配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された少なくとも一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、又は六つのHVRを含む抗CD33抗体を提供する。
【0120】
一態様では、本発明は、(a)配列番号8、配列番号11、配列番号20、配列番号23、又は配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号9、配列番号12、配列番号21、配列番号24、配列番号9、配列番号12、配列番号21、配列番号24、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、又は配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号10、配列番号13、配列番号22、又は配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含む抗体を提供する。一実施態様では、抗体は、配列番号10、配列番号13、配列番号22、又は配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。別の実施態様では、抗体は、配列番号10、配列番号13、配列番号22、又は配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3、及び配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。更なる実施態様では、抗体は、配列番号10、配列番号13、配列番号22、又は配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号9、配列番号12、配列番号21、配列番号24、配列番号9、配列番号12、配列番号21、配列番号24、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、又は配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。更なる実施態様では、抗体は、(a)配列番号8、配列番号11、配列番号20、配列番号23、又は配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号9、配列番号12、配列番号21、配列番号24、配列番号9、配列番号12、配列番号21、配列番号24、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、又は配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号10、配列番号13、配列番号22、又は配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。
【0121】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号6、配列番号26、配列番号27、配列番号28、又は配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含む抗体を提供する。一実施態様では、抗体は、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号6、配列番号26、配列番号27、配列番号28、又は配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
【0122】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号8、配列番号11、配列番号20、配列番号23、又は配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号9、配列番号12、配列番号21、配列番号24、配列番号9、配列番号12、配列番号21、配列番号24、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、又は配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(iii)配列番号10、配列番号13、配列番号22、又は配列番号25から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号6、配列番号26、配列番号27、配列番号28、又は配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてののVL HVR配列を含む。
【0123】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号8、配列番号11、配列番号20、配列番号23,及び/又は配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号9、配列番号12、配列番号21,及び/又は配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号10、配列番号13、配列番号22、配列番号25、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34,及び/又は配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6、配列番号26、配列番号27、配列番号28,及び/又は配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0124】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号112のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号113のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号114から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号111のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0125】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号112のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号113のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号114のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号111のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0126】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号115のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号116のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号117から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0127】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号115のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号116のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号117のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0128】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号118のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号119のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号25から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号111のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0129】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号118のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号119のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号111のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0130】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号10から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0131】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0132】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号13から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0133】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0134】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号22から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0135】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0136】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号25から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0137】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0138】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号25から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0139】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0140】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号25から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0141】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0142】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号25から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0143】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0144】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号25から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0145】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0146】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号25から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0147】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0148】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号25から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0149】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0150】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号25から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0151】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0152】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号25から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0153】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0154】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号25から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0155】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0156】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号25から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0157】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0158】
上記実施態様のいずれにおいても、抗CD33抗体はヒト化されている。一実施態様では、抗CD33抗体は、上記実施態様のいずれかにおけるHVRを含み、更にはヒトアクセプターフレームワーク、例えばヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを含む。特定の実施態様では、ヒトアクセプターフレームワークはヒトVLカッパIコンセンサス(VLKI)フレームワーク及び/又はVHフレームワークVHである。特定の実施態様では、ヒトアクセプターフレームワークはヒトVLカッパIコンセンサス(VLKI)フレームワーク及び/又は以下の変異のうちのいずれか一つを含むVHフレームワークVHである。
【0159】
別の態様では、抗CD33抗体は、配列番号66、配列番号68、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、又は配列番号100のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の実施態様では、配列番号66、配列番号68、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98,及び/又は配列番号100のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対し、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、この配列を含む抗CD33抗体はCD33への結合能を保持する。特定の実施態様では、配列番号66、配列番号68、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98,及び/又は配列番号100において、合計で1〜10のアミノ酸が置換、挿入及び/又は削除されている。特定の実施態様では、配列番号66、配列番号68、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98,及び/又は配列番号100において、合計で1〜5のアミノ酸が置換、挿入及び/又は削除されている。所定の実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(即ちFR内の)領域で生じる。任意選択的に、抗CD33抗体は、配列番号66、配列番号68、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、又は配列番号100のVH配列を含み、この配列の翻訳後修飾も含む。特定の一実施態様では、VHは:(a)配列番号8、配列番号11、配列番号20、配列番号23、又は配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号9、配列番号12、配列番号21、配列番号24、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、又は配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号10、配列番号13、配列番号22、又は配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、一つ、二つ、又は三つのHVRを含む。
【0160】
別の態様では、抗CD33抗体が提供され、この抗体は、配列番号65、配列番号67、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、及び/又は配列番号99のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。特定の実施態様では、配列番号65、配列番号67、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、又は配列番号99のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対し、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、この配列を含む抗CD33抗体はCD33への結合能を保持する。特定の実施態様では、配列番号65、配列番号67、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97,及び/又は配列番号99において、合計で1〜10のアミノ酸が置換、挿入及び/又は削除されている。特定の実施態様では、配列番号65、配列番号67、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97,及び/又は配列番号99において、合計で1〜5のアミノ酸が置換、挿入及び/又は削除されている。所定の実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(即ちFR内の)領域で生じる。任意選択的に、抗CD33抗体は、配列番号65、配列番号67、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、又は配列番号99のVL配列を含み、この配列の翻訳後修飾も含む。特定の一実施態様では、VLは、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号6、配列番号26、配列番号27、配列番号28、又は配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、一つ、二つ又は三つのHVRを含む。
【0161】
別の態様では、上記実施態様のいずれかにおけるVH、及び上記実施態様のいずれかにおけるVLを含む抗CD33抗体が提供される。
【0162】
一実施態様では、抗体は、配列番号66及び配列番号65中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。一実施態様では、抗体は、配列番号68及び配列番号67中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。一実施態様では、抗体は、配列番号78及び配列番号77中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。一実施態様では、抗体は、配列番号80及び配列番号79中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。一実施態様では、抗体は、配列番号82及び配列番号81中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。一実施態様では、抗体は、配列番号84及び配列番号83中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。一実施態様では、抗体は、配列番号86及び配列番号85中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。一実施態様では、抗体は、配列番号88及び配列番号87中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。一実施態様では、抗体は、配列番号90及び配列番号89中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。一実施態様では、抗体は、配列番号92及び配列番号91中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。一実施態様では、抗体は、配列番号94及び配列番号93中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。一実施態様では、抗体は、配列番号96及び配列番号95中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。一実施態様では、抗体は、配列番号98及び配列番号97中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。一実施態様では、抗体は、配列番号100及び配列番号99中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。
【0163】
本明細書では、更なる態様において、本明細書に提供される抗CD33抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。例えば、特定の実施態様において、配列番号66、配列番号68、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、又は配列番号100のVH配列と、配列番号65、配列番号67、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、又は配列番号99のVL配列を含む抗CD33抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。
【0164】
本明細書では、図1A及び/又は2Aに示されるカバット番号付けによるHVR1−LC、HVR2−LC及びHVR3−LC配列を含む軽鎖可変ドメインと、図1B及び/又は2Bに示されるカバット番号付けによるHVR1−HC、HVR2−HC及びHVR3−HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗体が提供される。いくつかの実施態様では、抗体は、図1A及び/又は2Aに示される、HVR1−LC、HVR2−LC及び/又はHVR3−LC配列と、FR1−LC、FR2−LC、FR3−LC及び/又はFR4−LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施態様では、抗体は、図1B及び/又は2Bに示される、HVR1−HC、HVR2−HC及び/又はHVR3−HC配列と、FR1−HC、FR2−HC、FR3−HC及び/又はFR4−HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0165】
本発明の更なる態様では、上記実施態様のいずれかによる抗CD33抗体は、ヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。一実施態様において、抗CD33抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)断片である。別の実施態様では、抗体は、実質的に完全長抗体であり、例えば、本明細書に定義されるIgG1抗体、IgG2a抗体又は他の抗体クラス若しくはアイソタイプである。
【0166】
更なる態様では、上記実施態様のいずれかによる抗CD33抗体は、後述の特徴のいずれかを、単独で又は組み合わせて含む。
【0167】
抗体9C3とその他の実施態様
いくつかの実施態様では、本発明は、(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、又は六つのHVRを含む抗CD33抗体を提供する。
【0168】
一態様では、本発明は、(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含む抗体を提供する。一実施態様では、抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。別の実施態様では、抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H3、及び配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。更なる実施態様では、抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。更なる実施態様では、抗体は、(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。
【0169】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含む抗体を提供する。一実施態様では、抗体は、(a)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
【0170】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号19から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0171】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0172】
上記実施態様のいずれにおいても、抗CD33抗体はヒト化されている。一実施態様では、抗CD33抗体は、上記実施態様のいずれかにおけるHVRを含み、更にはヒトアクセプターフレームワーク、例えばヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを含む。特定の実施態様では、ヒトアクセプターフレームワークはヒトVLカッパIコンセンサス(VLKI)フレームワーク及び/又はVHフレームワークVHである。特定の実施態様では、ヒトアクセプターフレームワークはヒトVLカッパIコンセンサス(VLKI)フレームワーク及び/又は以下の変異のうちのいずれか一つを含むVHフレームワークVHである。
【0173】
別の態様では、抗CD33抗体は、配列番号70、配列番号72、配列番号74、及び/又は配列番号76のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の実施態様では、配列番号70、配列番号72、配列番号74,及び/又は配列番号76のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対し、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、この配列を含む抗CD33抗体はCD33への結合能を保持する。特定の実施態様では、配列番号70、配列番号72、配列番号74,及び/又は配列番号76において、合計1から10のアミノ酸が置換、挿入及び又は削除されている。特定の実施態様では、配列番号70、配列番号72、配列番号74,及び/又は配列番号76において、合計1から5のアミノ酸が置換、挿入及び又は削除されている。所定の実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(即ちFR内の)領域で生じる。任意選択的に、抗CD33抗体は、配列番号70、配列番号72、配列番号74、又は配列番号76のVH配列を含み、この配列の翻訳後修飾も含む。特定の一実施態様では、VHは:(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された一つ、二つ、又は三つのHVRを含む。
【0174】
別の態様において、配列番号69、配列番号71、配列番号73、及び/又は配列番号75のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、抗CD33抗体が提供される。特定の実施態様では、配列番号69、配列番号71、配列番号73,及び/又は配列番号75のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対し、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、この配列を含む抗CD33抗体はCD33への結合能を保持する。特定の実施態様では、配列番号69、配列番号71、配列番号73,及び/又は配列番号75において、合計1から10のアミノ酸が置換、挿入及び又は削除されている。特定の実施態様では、配列番号69、配列番号71、配列番号73,及び/又は配列番号75において、合計1から5のアミノ酸が置換、挿入及び/又は削除されている。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(即ちFR内の)領域で生じる。任意選択的に、抗CD33抗体は、配列番号69、配列番号71、配列番号73、又は配列番号75のVL配列を含み、この配列の翻訳後修飾も含む。特定の一実施態様では、VLは、(a)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、一つ、二つ又は三つのHVRを含む。
【0175】
別の態様では、上記実施態様のいずれかにおけるVH、及び上記実施態様のいずれかにおけるVLを含む抗CD33抗体が提供される。
【0176】
一実施態様では、抗体は、配列番号70及び配列番号69中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。一実施態様では、抗体は、配列番号72及び配列番号71中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。一実施態様では、抗体は、配列番号74及び配列番号73中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。一実施態様では、抗体は、配列番号76及び配列番号75中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。
【0177】
本明細書では、更なる態様において、本明細書に提供される抗CD33抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。例えば、特定の実施態様では、配列番号70、配列番号72、配列番号74、及び配列番号76のVH配列及び配列番号69、配列番号71、配列番号73、及び配列番号75のVL配列を含む抗CD33抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。
【0178】
本明細書では、図4Aに示されるカバット番号付けによるHVR1−LC、HVR2−LC及びHVR3−LC配列を含む軽鎖可変ドメインと、図4Bに示されるカバット番号付けによるHVR1−HC、HVR2−HC及びHVR3−HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗体が提供される。いくつかの実施態様では、抗体は、図4Aに示される、HVR1−LC、HVR2−LC及び/又はHVR3−LC配列と、FR1−LC、FR2−LC、FR3−LC及び/又はFR4−LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施態様では、抗体は、図4Bに示される、HVR1−HC、HVR2−HC及び/又はHVR3−HC配列と、FR1−HC、FR2−HC、FR3−HC及び/又はFR4−HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0179】
本発明の更なる態様では、上記実施態様のいずれかによる抗CD33抗体は、ヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。一実施態様において、抗CD33抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)断片である。別の実施態様では、抗体は、実質的に完全長抗体であり、例えば、本明細書に定義されるIgG1抗体、IgG2a抗体又は他の抗体クラス若しくはアイソタイプである。
【0180】
更なる態様では、上記実施態様のいずれかによる抗CD33抗体は、後述の特徴のいずれかを、単独で又は組み合わせて含む。
【0181】
抗体23E4及びその他の実施態様
いくつかの実施態様では、本発明は、(a)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、又は六つのHVRを含む抗CD33抗体を提供する。
【0182】
一態様では、本発明は、(a)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含む抗体を提供する。一実施態様では、抗体は、配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。別の実施態様では、抗体は、配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR−H3、及び配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。更なる実施態様では、抗体は、配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。更なる実施態様では、抗体は、(a)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。
【0183】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含む抗体を提供する。一実施態様では、抗体は、(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
【0184】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号41から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0185】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0186】
上記実施態様のいずれにおいても、抗CD33抗体はヒト化されている。一実施態様では、抗CD33抗体は、上記実施態様のいずれかにおけるHVRを含み、更にはヒトアクセプターフレームワーク、例えばヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを含む。特定の実施態様では、ヒトアクセプターフレームワークはヒトVLカッパIコンセンサス(VLKI)フレームワーク及び/又はVHフレームワークVHである。特定の実施態様では、ヒトアクセプターフレームワークはヒトVLカッパIコンセンサス(VLKI)フレームワーク及び/又は以下の変異のうちのいずれか一つを含むVHフレームワークVHである。
【0187】
別の態様では、抗CD33抗体は、配列番号102のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の実施態様において、配列番号102のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗CD33抗体は、CD33抗体への結合能を保持する。特定の実施態様では、配列番号102において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。特定の実施態様では、配列番号102において、合計1から5のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。所定の実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(即ちFR内の)領域で生じる。任意選択的に、抗CD33抗体は配列番号102のVH配列を含み、この配列の翻訳後修飾も含む。特定の一実施態様では、VHは:(a)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された一つ、二つ、又は三つのHVRを含む。
【0188】
別の態様において、配列番号101のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、抗CD33抗体が提供される。特定の実施態様において、配列番号101のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗CD33抗体は、CD33抗体への結合能を保持する。特定の実施態様では、配列番号101において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。特定の実施態様では、配列番号101において、合計1から5のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。所定の実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(即ちFR内の)領域で生じる。任意選択的に、抗CD33抗体は配列番号101のVL配列を含み、この配列の翻訳後修飾も含む。特定の一実施態様では、VLは、(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、一つ、二つ又は三つのHVRを含む。
【0189】
別の態様では、上記実施態様のいずれかにおけるVH、及び上記実施態様のいずれかにおけるVLを含む抗CD33抗体が提供される。
【0190】
一実施態様では、抗体は、配列番号102及び配列番号101中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。
【0191】
本明細書では、更なる態様において、本明細書に提供される抗CD33抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。例えば、特定の実施態様において、配列番号102のVH配列及び配列番号101のVL配列を含む抗CD33抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。
【0192】
本明細書では、図3Aに示されるカバット番号付けによるHVR1−LC、HVR2−LC及びHVR3−LC配列を含む軽鎖可変ドメインと、図3Bに示されるカバット番号付けによるHVR1−HC、HVR2−HC及びHVR3−HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む23E4抗体が提供される。いくつかの実施態様では、23E4抗体は、図3Aに示される、HVR1−LC、HVR2−LC及び/又はHVR3−LC配列と、FR1−LC、FR2−LC、FR3−LC及び/又はFR4−LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施態様では、23E4抗体は、図3Bに示される、HVR1−HC、HVR2−HC及び/又はHVR3−HC配列と、FR1−HC、FR2−HC、FR3−HC及び/又はFR4−HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0193】
本発明の更なる態様では、上記実施態様のいずれかによる抗CD33抗体は、ヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。一実施態様において、抗CD33抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)断片である。別の実施態様では、抗体は、実質的に完全長抗体であり、例えば、本明細書に定義されるIgG1抗体、IgG2a抗体又は他の抗体クラス若しくはアイソタイプである。
【0194】
更なる態様では、上記実施態様のいずれかによる抗CD33抗体は、後述の特徴のいずれかを、単独で又は組み合わせて含む。
【0195】
抗体27C6とその他の実施態様
いくつかの実施態様では、本発明は、(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号43のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、又は六つのHVRを含む抗CD33抗体を提供する。
【0196】
一態様では、本発明は、(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含む抗体を提供する。一実施態様では、抗体は、配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。別の実施態様では、抗体は、配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−H3、及び配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。更なる実施態様では、抗体は、配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。更なる実施態様では、抗体は、(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。
【0197】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号43のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含む抗体を提供する。一実施態様では、抗体は、(a)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号43のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
【0198】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号47から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号43のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0199】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号43のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0200】
上記実施態様のいずれにおいても、抗CD33抗体はヒト化されている。一実施態様では、抗CD33抗体は、上記実施態様のいずれかにおけるHVRを含み、更にはヒトアクセプターフレームワーク、例えばヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを含む。特定の実施態様では、ヒトアクセプターフレームワークはヒトVLカッパIコンセンサス(VLKI)フレームワーク及び/又はVHフレームワークVHである。特定の実施態様では、ヒトアクセプターフレームワークはヒトVLカッパIコンセンサス(VLKI)フレームワーク及び/又は以下の変異のうちのいずれか一つを含むVHフレームワークVHである。
【0201】
別の態様では、抗CD33抗体は、配列番号104のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の実施態様において、配列番号104のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗CD33抗体は、CD33抗体への結合能を保持する。特定の実施態様では、配列番号104において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。特定の実施態様では、配列番号104において、合計1から5のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。所定の実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(即ちFR内の)領域で生じる。任意選択的に、抗CD33抗体は配列番号104のVH配列を含み、この配列の翻訳後修飾も含む。特定の一実施態様では、VHは:(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された一つ、二つ、又は三つのHVRを含む。
【0202】
別の態様において、配列番号103のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、抗CD33抗体が提供される。特定の実施態様において、配列番号103のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗CD33抗体は、CD33抗体への結合能を保持する。特定の実施態様では、配列番号103において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。特定の実施態様では、配列番号103において、合計1から5のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(即ちFR内の)領域で生じる。任意選択的に、抗CD33抗体は配列番号103のVL配列を含み、この配列の翻訳後修飾も含む。特定の一実施態様では、VLは、(a)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号43のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、一つ、二つ又は三つのHVRを含む。
【0203】
別の態様では、上記実施態様のいずれかにおけるVH、及び上記実施態様のいずれかにおけるVLを含む抗CD33抗体が提供される。
【0204】
一実施態様では、抗体は、配列番号104及び配列番号103中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。
【0205】
本明細書では、更なる態様において、本明細書に提供される抗CD33抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。例えば、特定の実施態様において、配列番号104のVH配列及び配列番号103のVL配列を含む抗CD33抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。
【0206】
本明細書では、図3Aに示されるカバット番号付けによるHVR1−LC、HVR2−LC及びHVR3−LC配列を含む軽鎖可変ドメインと、図3Bに示されるカバット番号付けによるHVR1−HC、HVR2−HC及びHVR3−HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む27C6抗体が提供される。いくつかの実施態様では、27C6抗体は、図3Aに示される、HVR1−LC、HVR2−LC及び/又はHVR3−LC配列と、FR1−LC、FR2−LC、FR3−LC及び/又はFR4−LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施態様では、抗体は、図3Bに示される、HVR1−HC、HVR2−HC及び/又はHVR3−HC配列と、FR1−HC、FR2−HC、FR3−HC及び/又はFR4−HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0207】
本発明の更なる態様では、上記実施態様のいずれかによる抗CD33抗体は、ヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。一実施態様において、抗CD33抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)断片である。別の実施態様では、抗体は、実質的に完全長抗体であり、例えば、本明細書に定義されるIgG1抗体、IgG2a抗体又は他の抗体クラス若しくはアイソタイプである。
【0208】
更なる態様では、上記実施態様のいずれかによる抗CD33抗体は、後述の特徴のいずれかを、単独で又は組み合わせて含む。
【0209】
抗体33F3とその他の実施態様
いくつかの実施態様では、本発明は、(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号48のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号49のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、又は六つのHVRを含む抗CD33抗体を提供する。
【0210】
一態様では、本発明は、(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含む抗体を提供する。一実施態様では、抗体は、配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。別の実施態様では、抗体は、配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3、及び配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。更なる実施態様では、抗体は、配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。更なる実施態様では、抗体は、(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。
【0211】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号48のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号49のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含む抗体を提供する。一実施態様では、抗体は、(a)配列番号48のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号49のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
【0212】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号52から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号48のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号49のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0213】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号48のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号49のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0214】
上記実施態様のいずれにおいても、抗CD33抗体はヒト化されている。一実施態様では、抗CD33抗体は、上記実施態様のいずれかにおけるHVRを含み、更にはヒトアクセプターフレームワーク、例えばヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを含む。特定の実施態様では、ヒトアクセプターフレームワークはヒトVLカッパIコンセンサス(VLKI)フレームワーク及び/又はVHフレームワークVHである。特定の実施態様では、ヒトアクセプターフレームワークはヒトVLカッパIコンセンサス(VLKI)フレームワーク及び/又は以下の変異のうちのいずれか一つを含むVHフレームワークVHである。
【0215】
別の態様では、抗CD33抗体は、配列番号106のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の実施態様において、配列番号106のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗CD33抗体は、CD33抗体への結合能を保持する。特定の実施態様では、配列番号106において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。特定の実施態様では、配列番号106において、合計1から5のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。所定の実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(即ちFR内の)領域で生じる。任意選択的に、抗CD33抗体は配列番号106のVH配列を含み、この配列の翻訳後修飾も含む。特定の一実施態様では、VHは:(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された一つ、二つ、又は三つのHVRを含む。
【0216】
別の態様において、配列番号105のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、抗CD33抗体が提供される。特定の実施態様において、配列番号105のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗CD33抗体は、CD33抗体への結合能を保持する。特定の実施態様では、配列番号105において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。特定の実施態様では、配列番号105において、合計1から5のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(即ちFR内の)領域で生じる。任意選択的に、抗CD33抗体は配列番号105のVL配列を含み、この配列の翻訳後修飾も含む。特定の一実施態様では、VLは、(a)配列番号48のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号49のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、一つ、二つ又は三つのHVRを含む。
【0217】
別の態様では、上記実施態様のいずれかにおけるVH、及び上記実施態様のいずれかにおけるVLを含む抗CD33抗体が提供される。
【0218】
一実施態様では、抗体は、配列番号106及び配列番号105中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。
【0219】
本明細書では、更なる態様において、本明細書に提供される抗CD33抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。例えば、特定の実施態様において、配列番号106のVH配列及び配列番号105のVL配列を含む抗CD33抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。
【0220】
本明細書では、図3Aに示されるカバット番号付けによるHVR1−LC、HVR2−LC及びHVR3−LC配列を含む軽鎖可変ドメインと、図3Bに示されるカバット番号付けによるHVR1−HC、HVR2−HC及びHVR3−HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む33F3抗体が提供される。いくつかの実施態様では、33F3抗体は、図3Aに示される、HVR1−LC、HVR2−LC及び/又はHVR3−LC配列と、FR1−LC、FR2−LC、FR3−LC及び/又はFR4−LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施態様では、33F3抗体は、図3Bに示される、HVR1−HC、HVR2−HC及び/又はHVR3−HC配列と、FR1−HC、FR2−HC、FR3−HC及び/又はFR4−HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0221】
本発明の更なる態様では、上記実施態様のいずれかによる抗CD33抗体は、ヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。一実施態様において、抗CD33抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)断片である。別の実施態様では、抗体は、実質的に完全長抗体であり、例えば、本明細書に定義されるIgG1抗体、IgG2a抗体又は他の抗体クラス若しくはアイソタイプである。
【0222】
更なる態様では、上記実施態様のいずれかによる抗CD33抗体は、後述の特徴のいずれかを、単独で又は組み合わせて含む。
【0223】
抗体33F9とその他の実施態様
いくつかの実施態様では、本発明は、(a)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号58のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、又は六つのHVRを含む抗CD33抗体を提供する。
【0224】
一態様では、本発明は、(a)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号58のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含む抗体を提供する。一実施態様では、抗体は、配列番号58のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。別の実施態様では、抗体は、配列番号58のアミノ酸配列を含むHVR−H3、及び配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。更なる実施態様では、抗体は、配列番号58のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。更なる実施態様では、抗体は、(a)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号58のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。
【0225】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含む抗体を提供する。一実施態様では、抗体は、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
【0226】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号58から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0227】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号58のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0228】
上記実施態様のいずれにおいても、抗CD33抗体はヒト化されている。一実施態様では、抗CD33抗体は、上記実施態様のいずれかにおけるHVRを含み、更にはヒトアクセプターフレームワーク、例えばヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを含む。特定の実施態様では、ヒトアクセプターフレームワークはヒトVLカッパIコンセンサス(VLKI)フレームワーク及び/又はVHフレームワークVHである。特定の実施態様では、ヒトアクセプターフレームワークはヒトVLカッパIコンセンサス(VLKI)フレームワーク及び/又は以下の変異のうちのいずれか一つを含むVHフレームワークVHである。
【0229】
別の態様では、抗CD33抗体は、配列番号108のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の実施態様において、配列番号108のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗CD33抗体は、CD33抗体への結合能を保持する。特定の実施態様では、配列番号108において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。特定の実施態様では、配列番号108において、合計1から5のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。所定の実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(即ちFR内の)領域で生じる。任意選択的に、抗CD33抗体は配列番号108のVH配列を含み、この配列の翻訳後修飾も含む。特定の一実施態様では、VHは:(a)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号58のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された一つ、二つ、又は三つのHVRを含む。
【0230】
別の態様において、配列番号107のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、抗CD33抗体が提供される。特定の実施態様において、配列番号107のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗CD33抗体は、CD33抗体への結合能を保持する。特定の実施態様では、配列番号107において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。特定の実施態様では、配列番号107において、合計1から5のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(即ちFR内の)領域で生じる。任意選択的に、抗CD33抗体は配列番号107のVL配列を含み、この配列の翻訳後修飾も含む。特定の一実施態様では、VLは、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、一つ、二つ又は三つのHVRを含む。
【0231】
別の態様では、上記実施態様のいずれかにおけるVH、及び上記実施態様のいずれかにおけるVLを含む抗CD33抗体が提供される。
【0232】
一実施態様では、抗体は、配列番号108及び配列番号107中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。
【0233】
本明細書では、更なる態様において、本明細書に提供される抗CD33抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。例えば、特定の実施態様において、配列番号108のVH配列及び配列番号107のVL配列を含む抗CD33抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。
【0234】
本明細書では、図3Aに示されるカバット番号付けによるHVR1−LC、HVR2−LC及びHVR3−LC配列を含む軽鎖可変ドメインと、図3Bに示されるカバット番号付けによるHVR1−HC、HVR2−HC及びHVR3−HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む33F9抗体が提供される。いくつかの実施態様では、33F9抗体は、図3Aに示される、HVR1−LC、HVR2−LC及び/又はHVR3−LC配列と、FR1−LC、FR2−LC、FR3−LC及び/又はFR4−LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施態様では、33F9抗体は、図3Bに示される、HVR1−HC、HVR2−HC及び/又はHVR3−HC配列と、FR1−HC、FR2−HC、FR3−HC及び/又はFR4−HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0235】
本発明の更なる態様では、上記実施態様のいずれかによる抗CD33抗体は、ヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。一実施態様において、抗CD33抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)断片である。別の実施態様では、抗体は、実質的に完全長抗体であり、例えば、本明細書に定義されるIgG1抗体、IgG2a抗体又は他の抗体クラス若しくはアイソタイプである。
【0236】
更なる態様では、上記実施態様のいずれかによる抗CD33抗体は、後述の特徴のいずれかを、単独で又は組み合わせて含む。
【0237】
抗体33H4とその他の実施態様
いくつかの実施態様では、本発明は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号59のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、又は六つのHVRを含む抗CD33抗体を提供する。
【0238】
一態様では、本発明は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含む抗体を提供する。一実施態様では、抗体は、配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。別の実施態様では、抗体は、配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−H3、及び配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。更なる実施態様では、抗体は、配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。更なる実施態様では、抗体は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。
【0239】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号59のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含む抗体を提供する。一実施態様では、抗体は、(a)配列番号59のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
【0240】
別の態様では、本発明の抗体は、(a)(i)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H1,(ii)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号64から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号59のアミノ酸配列を含むHVR−L1,(ii)配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0241】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号59のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体を提供する。
【0242】
上記実施態様のいずれにおいても、抗CD33抗体はヒト化されている。一実施態様では、抗CD33抗体は、上記実施態様のいずれかにおけるHVRを含み、更にはヒトアクセプターフレームワーク、例えばヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを含む。特定の実施態様では、ヒトアクセプターフレームワークはヒトVLカッパIコンセンサス(VLKI)フレームワーク及び/又はVHフレームワークVHである。特定の実施態様では、ヒトアクセプターフレームワークはヒトVLカッパIコンセンサス(VLKI)フレームワーク及び/又は以下の変異のうちのいずれか一つを含むVHフレームワークVHである。
【0243】
別の態様では、抗CD33抗体は、配列番号110のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の実施態様において、配列番号110のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗CD33抗体は、CD33抗体への結合能を保持する。特定の実施態様では、配列番号110において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。特定の実施態様では、配列番号110において、合計1から5のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。所定の実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(即ちFR内の)領域で生じる。任意選択的に、抗CD33抗体は配列番号110のVH配列を含み、この配列の翻訳後修飾も含む。特定の一実施態様では、VHは:(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された一つ、二つ、又は三つのHVRを含む。
【0244】
別の態様において、配列番号109のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、抗CD33抗体が提供される。特定の実施態様において、配列番号109のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗CD33抗体は、CD33抗体への結合能を保持する。特定の実施態様では、配列番号109において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。特定の実施態様では、配列番号109において、合計1から5のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は削除されている。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(即ちFR内の)領域で生じる。任意選択的に、抗CD33抗体は配列番号109のVL配列を含み、この配列の翻訳後修飾も含む。特定の一実施態様では、VLは、(a)配列番号59のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された、一つ、二つ又は三つのHVRを含む。
【0245】
別の態様では、上記実施態様のいずれかにおけるVH、及び上記実施態様のいずれかにおけるVLを含む抗CD33抗体が提供される。
【0246】
一実施態様では、抗体は、配列番号110及び配列番号109中にそれぞれVH及びVL配列を含み、これら配列の翻訳後修飾も含む。
【0247】
本明細書では、更なる態様において、本明細書に提供される抗CD33抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。例えば、特定の実施態様において、配列番号110のVH配列及び配列番号109のVL配列を含む抗CD33抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。
【0248】
本明細書では、図3Aに示されるカバット番号付けによるHVR1−LC、HVR2−LC及びHVR3−LC配列を含む軽鎖可変ドメインと、図3Bに示されるカバット番号付けによるHVR1−HC、HVR2−HC及びHVR3−HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む33H4抗体が提供される。いくつかの実施態様では、33H4抗体は、図3Aに示される、HVR1−LC、HVR2−LC及び/又はHVR3−LC配列と、FR1−LC、FR2−LC、FR3−LC及び/又はFR4−LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施態様では、33H4抗体は、図3Bに示される、HVR1−HC、HVR2−HC及び/又はHVR3−HC配列と、FR1−HC、FR2−HC、FR3−HC及び/又はFR4−HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0249】
本発明の更なる態様では、上記実施態様のいずれかによる抗CD33抗体は、ヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。一実施態様において、抗CD33抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)断片である。別の実施態様では、抗体は、実質的に完全長抗体であり、例えば、本明細書に定義されるIgG1抗体、IgG2a抗体又は他の抗体クラス若しくはアイソタイプである。
【0250】
更なる態様では、上記実施態様のいずれかによる抗CD33抗体は、後述の特徴のいずれかを、単独で又は組み合わせて含む。
【0251】
1.抗体親和性
特定の実施態様では、本明細書に提供される抗体は、≦1μM、≦100nM、≦50nM、≦10nM、≦5nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nMの解離定数(Kd)を有し、任意選択的に、≧10−13Mである。(例えば10−8M以下、例えば10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M。)
【0252】
一実施態様において、以下のアッセイにより説明されるように、Kdは、目的の抗体のFab型とその抗原を用いて実施される放射標識抗原結合アッセイ(RIA)により測定される。非標識抗原の力価測定系の存在下で、最小濃度の(125I)標識抗原でFabを均衡化し、次いで抗Fab抗体コートプレートと結合した抗原を捕獲することによって抗原に対するFabの溶液結合親和性を測定する(例としてChen, et al., J. Mol. Biol. 293:865-881(1999)を参照)。アッセイ条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、5μg/mlの捕捉抗Fab抗体(Cappel Labs)を含む50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)を用いて一晩コートし、その後2%(w/v))のウシ血清アルブミンを含むPBSで室温(約23℃)で2〜5時間ブロックする。非吸着プレート(Nunc #269620)に、100pM又は26pMの[125I]抗原を段階希釈した目的のFabと混合する(例えば、Presta et al., Cancer Res. 57:4593-4599 (1997)の抗VEGF抗体、Fab−12の評価と一致する)。次いで目的のFabを一晩インキュベートする;しかしながら、インキュベーションは平衡状態に達したことを確認するまで更に長い時間(例えばおよそ65時間)かかる場合がある。その後、混合物を捕獲プレートに移し、室温で(例えば1時間)インキュベートする。次いで溶液を取り除き、プレートを0.1%のポリソルベート20(TWEEN−20(登録商標))を含むPBSで8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μl/ウェルの閃光物質(MICROSCINT−20TM;Packard)を加え、プレートをTOPCOUNTTMγ計測器(Packard)で10分間計測する。最大結合の20%以下の濃度のFabを選択し、それぞれを競合結合測定に用いる。
【0253】
別の実施態様によれば、〜10反応単位(RU)に固定されている抗原CM5チップを用いた25℃のBIACORE(登録商標)−2000又はBIACORE(登録商標)−3000(BIAcore、Inc.,Piscataway,NJ)を用いる表面プラズモン共鳴アッセイを使用してKdを測定する。簡潔には、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE Inc.)を、供給業者の指示書に従ってN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化する。抗原を、10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈した後で、結合したタンパク質の反応単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流速で注入する。抗原の注入後、反応しない群をブロックするために、1Mのエタノールアミンを注入する。動力学的な測定のために、Fabの2倍の段階希釈(0.78nMから500nM)を、25℃、及び約25μl/分の流速で、0.05%のポリソルベート20(TWEEN−20TM)界面活性剤(PBST)を含むPBSに注入する。会合センサーグラム及び解離センサーグラムを同時にフィットさせることによる単純な1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)評価ソフトウェアバージョン3.2)を用いて、会合速度(kon)と解離速度(koff)を算出する。平衡解離定数(Kd)をkoff/kon比として算出する。例えば、Chen et al., J. Mol. Biol. 293:865-881 (1999)参照。上記の表面プラズモン共鳴アッセイによる会合速度が10−1−1を上回る場合、会合速度は、分光計、例えば流動停止を備えた分光光度計(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズ SLM−AMINCOTM分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される漸増濃度の抗原の存在下において、25℃、及びPBS(pH7.2)中20nMの抗抗原抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、帯域通過=16nm)における増加又は減少を測定する蛍光消光技術を用いて測定することができる。
【0254】
2.抗体断片
特定の実施態様において、本明細書に提供される抗体は、抗体断片である。抗体断片は、限定されないが、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)、Fv,及びscFv断片、及び下記の他の断片を含む。特定の抗体断片の総説については、Hudson et al. Nat. Med. 9:129-134 (2003)を参照。scFv断片の総説については、例えば、Pluckthun, in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., (Springer-Verlag, New York), pp. 269-315 (1994)を参照;また、国際公開第93/16185号;及び米国特許第5571894号及び第5587458号も参照。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、且つつインビボ半減期を増加させたFab及びF(ab’)断片の議論については、米国特許第5869046号を参照のこと。
【0255】
ダイアボディは二価又は二重特異性でありうる二つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404097号;国際公開第1993/01161号;Hudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003);及びHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993)を参照。トリアボディ及びテトラボディもHudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003)に記載されている。
【0256】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインのすべて又は一部、又は軽鎖可変ドメインのすべて又は一部を含む抗体断片である。特定の実施態様において、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis、Inc.、Waltham、MA;例えば、米国特許第6248516号を参照)。
【0257】
抗体断片は様々な技術で作製することができ、このような技術には、限定されないが、本明細書に記載するように、インタクトな抗体のタンパク分解、並びに組み換え宿主細胞(例えば、大腸菌又はファージ)による生産が含まれる。
【0258】
3.キメラ及びヒト化抗体
特定の実施態様では、本明細書に提供される抗体は、キメラ抗体である。特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4816567号、及びMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984)に記載されている。一例において、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又はサル等の非ヒト霊長類由来の可変領域)とヒト定常領域とを含む。更なる例において、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のものから変更されている「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
【0259】
特定の実施態様において、キメラ抗体はヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、ヒトに対する免疫原性を低減するために、親の非ヒト抗体の特異性と親和性を保持したままヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、HVR(例えばCDR)(又はその一部)が非ヒト抗体に由来し、FR(又はその一部)がヒト抗体配列に由来する、一又は複数の可変ドメインを含む。ヒト化抗体はまた、任意選択的にヒト定常領域の少なくとも一部を含む。いくつかの実施態様において、ヒト化抗体のいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性又は親和性を回復又は改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。
【0260】
ヒト化抗体及びそれらの製造方法については、例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)に総説が、更に、例えばRiechmann et al., Nature 332:323-329 (1988); Queen et al., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 86:10029-10033 (1989);米国特許第5821337号、同第7527791号、同第6982321号,及び同第7087409号;Kashmiri et al., Methods 36:25-34 (2005)(SDR(a−CDR)グラフティングを記述);Padlan, Mol. Immunol. 28:489-498 (1991)(「リサーフェシング」を記述);Dall’Acqua et al., Methods 36:43-60 (2005)(「FRシャッフリング」を記述);及びOsbourn et al., Methods 36:61-68 (2005) 及びKlimka et al., Br. J. Cancer, 83:252-260 (2000)(FRのシャッフリングへの「誘導選択」アプローチを記述)に記載がある。
【0261】
ヒト化に用いられ得るヒトフレームワーク領域は、限定されないが、「ベストフィット」法を用いて選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al. J. Immunol. 151:2296 (1993)を参照);軽鎖又は重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992);及びPresta et al. J. Immunol., 151:2623 (1993)を参照);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域又はヒトの生殖細胞系フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)を参照);及びFRライブラリーースクリーニング由来のフレームワーク領域(例えば、Baca et al., J. Biol. Chem. 272:10678-10684 (1997)及び Rosok et al., J. Biol. Chem. 271:22611-22618 (1996)を参照)を含む。
【0262】
4.ヒト抗体
特定の実施態様では、本明細書に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野において既知の様々な技術を用いて生産することができる。ヒト抗体は一般的にvan Dijk and van de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol. 5: 368-74 (2001)及びLonberg, Curr. Opin. Immunol. 20:450-459 (2008)に記載されている。
【0263】
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答してインタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に、免疫原を投与することにより作製される。このような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置換するか、又は染色体外に存在するか若しくは動物の染色体にランダムに組み込まれた、ヒト免疫グロブリン遺伝子座のすべて又は一部を含む。このようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般的に不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の概説については、Lonberg, Nat. Biotech. 23:1117-1125 (2005)を参照のこと。また、例えば、XENOMOUSETM技術を記載している、米国特許第6075181号及び同第6150584号;HuMab(登録商標)技術を記載している米国特許第5770429号;K−M MOUSE(登録商標)技術を記載している米国特許第7041870号、及びVelociMouse(登録商標)技術を記載している米国特許出願公開第2007/0061900号も参照されたい。このような動物により生成されるインタクトな抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることにより、更に改変されうる。
【0264】
ヒト抗体は、ハイブリドーマベースの方法によっても作製することができる。ヒトモノクローナル抗体の生産のためのヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が記述されている。(例えば、Kozbor J. Immunol., 133: 3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987);及びBoerner et al., J. Immunol., 147: 86 (1991)を参照)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により生成されるヒト抗体もLi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:3557-3562 (2006)に記載されている。更なる方法は、例えば、米国特許第7189826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載し)及びNi, Xiandai Mianyixue, 26(4):265-268 (2006)(ヒト−ヒトハイブリドーマを記載)に記載されるものを含む。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)も、Vollmers and Brandlein, Histology and Histopathology, 20(3):927-937 (2005)及びVollmers and Brandlein, Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology, 27(3):185-91 (2005)に記載されている。
【0265】
ヒト抗体は、ヒト由来のファージディスプレイライブラリーーから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによっても生成されうる。このような可変ドメイン配列は、次いで所望のヒト定常ドメインと組み合わされてもよい。抗体ライブラリーーからヒト抗体を選択するための技術が、以下に記載される。
【0266】
5.ライブラリーー由来の抗体
本発明の抗体は、一又は複数の所望の活性を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーーをスクリーニングすることによって単離することができる。例えば、様々な方法が、ファージディスプレイライブラリーーを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてそのようなラリーをスクリーニングするために、当技術分野で知既知である。そのような方法は、例えば、Hoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O’Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, 2001)に総説が、更に、例えば、McCafferty et al., Nature 348:552-554; Clackson et al., Nature 352: 624-628 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol. 222: 581-597 (1992); Marks and Bradbury, in Methods in Molecular Biology 248:161-175 (Lo, ed., Human Press, Totowa, NJ, 2003); Sidhu et al., J. Mol. Biol. 338(2): 299-310 (2004); Lee et al., J. Mol. Biol. 340(5): 1073-1093 (2004); Fellouse, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(34): 12467-12472 (2004);及びLee et al., J. Immunol. Methods 284(1-2): 119-132(2004)に記載がある。
【0267】
特定のファージディスプレイ法において、VH及びVL遺伝子のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により個別にクローニングし、ファージライブラリーーにランダムに再結合させ、その後、Winter et al., Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455 (1994)に記載されるように、抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは通常、抗体断片を、単鎖Fv(scFv)断片、又はFab断片として表示する。免疫された起源からのライブラリーーは、ハイブリドーマを構築する必要性を伴うことなく免疫原に高親和性抗体を提供する。代わりに、Griffiths et al., EMBO J, 12: 725-734 (1993)に記載されるように、ナイーブなレパートリーを、いかなる免疫感作も無く、広範囲の非自己抗原及び自己抗原に対し、抗体の単一起源を提供するために、(例えば、ヒトから)クローニングすることができる。最後に、ナイーブなライブラリーーは、幹細胞由来の再配置されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを用いて高度に可変のCDR3領域をコードし、Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227: 381-388 (1992)により記載されるようにインビトロでの再配置を達成することにより、合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリーーを記述する特許公報は、例えば、米国特許第5750373号、及び米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号及び同第2009/0002360を含む。
【0268】
ヒト抗体ライブラリーーから単離された抗体又は抗体断片は、本明細書でヒト抗体又はヒト抗体の断片とみなされる。
【0269】
6.多重特異性抗体
特定の実施態様では、本明細書に提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも二つの異なる部位に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体である。特定の実施態様では、結合特異性の一つはCD33に対してであり、他は他のいずれかの抗原に対してである。特定の実施態様において、結合特異性の一つはCD33に対してであり、他はCD3に対してである。例えば、米国特許第5821337号を参照のこと。特定の実施態様において、二重特異性抗体は、CD33の二の異なるエピトープに結合することができる。二重特異性抗体はまた、CD33を発現する細胞に対して細胞傷害性剤を局在化させるために用いてもよい。二重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片として調製することができる。
【0270】
多重特異性抗体を作製するための技術には、限定されないが、異なる特異性を有する二つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の組み換え共発現(Milstein and Cuello, Nature 305: 537 (1983)、国際公開第93/08829号、及びTraunecker et al., EMBO J. 10: 3655 (1991)を参照)及び「knob−in−hole」エンジニアリング(例えば、米国特許第5,731,168号を参照)が含まれる。
多重特異抗体はまた、抗体のFc−ヘテロ二量体分子を作成するための静電ステアリング効果を操作すること(国際公開第2009/089004A1号);二つ以上の抗体又は断片を架橋すること(例えば米国特許第4676980号、及びBrennan et al., Science, 229: 81 (1985)を参照);二重特異性抗体を生成するためにロイシンジッパーを使用すること(例えば、Kostelny et al., J. Immunol., 148(5):1547-1553 (1992)を参照);二重特異性抗体断片を作製するため、「ダイアボディ」技術を使用すること(例えば、Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)を参照);単鎖Fv(sFv)ダイマーを使用すること(例えば、Gruber et al., J. Immunol., 152:5368 (1994)を参照);及び、例えば、Tutt et al. J. Immunol. 147: 60 (1991)に記載されているように、三重特異性抗体を調製することによって作成することができる。
【0271】
「オクトパス抗体(Octopus antibody)」を含む三つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作抗体も本明細書に含まれる(例えば、米国特許第2006/0025576号を参照)。
【0272】
本明細書中の抗体又は断片はまた、CD33並びに別の異なる抗原(例えば米国特許出願公開第2008/0069820号参照)に結合する抗原結合部位を含む、「二重作用(Dual Acting)FAb」又は「DAF」を含む。
【0273】
7.抗体変異体
特定の実施態様では、本明細書に提供される抗体のアミノ酸配列変異体が企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望まれる。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な改変を導入することにより、又はペプチド合成によって調製することができる。このような改変は、例えば、抗体のアミノ酸配列内における、残基の欠失、及び/又は挿入及び/又は置換を含む。最終コンストラクトが所望の特性、例えば、抗原結合を有していることを条件として、欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせを、最終構築物に到達させるために作製することができる。
【0274】
a)置換、挿入、及び欠失変異体
特定の実施態様では、一又は複数のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。置換突然変異の対象となる部位は、HVRとFRを含む。保存的置換は、表1の「望ましい置換」という見出しの列に示されている。より実質的な変更が、表1の「例示的置換」という見出しの列に与えられ、アミノ酸側鎖のクラスを参照して以下に更に説明される。アミノ酸置換は、目的の抗体に導入することができ、その産物は、所望の活性、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の低下、又はADCC又はCDCの改善についてスクリーニングされる。
アミノ酸は共通の側鎖特性に従ってグループ化することができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe
【0275】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの一つのメンバーを別のクラスのメンバーと交換する必要があろう。
【0276】
置換変異体の一種は、親抗体(例えばヒト化又はヒト抗体)の一又は複数の超可変領域残基の置換を伴う。一般的には、結果として得られ、更なる研究のために選択された変異体は、親抗体と比較して、特定の生物学的特性に修飾(例えば、改善)(例えば、親和性の向上、免疫原性の低下)を有し、及び/又は親抗体の特定の生物学的特性を実質的に保持するであろう。例示的な置換型変異体は、親和性成熟抗体であり、例えば、本明細書に記載されるようなファージディスプレイに基づく親和性成熟技術を用いて、簡便に生成される。簡潔に言えば、一又は複数のHVR残基が変異し、変異体抗体は、ファージ上に表示され、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
【0277】
変更(例えば、置換)は、例えば抗体の親和性を向上させるために、HVRで行うことができる。このような変更は、HVRの「ホットスポット」、即ち、体細胞成熟過程中に高頻度で変異を受けるコドンにコードされた残基で(例えばChowdhury, Methods Mol. Biol. 207:179-196 (2008)を参照)、及び/又はSDR(a−CDR)で行うことができ、得られた変異体VH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリーから構築し選択し直すことによる親和性成熟が、例えばHoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O’Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, (2001)に記載されている。親和性成熟のいくつかの実施態様において、多様性が、種々の方法(例えば、変異性PCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチドを標的とした突然変異誘発)のいずれかにより、成熟のために選択された可変遺伝子中に導入される。次いで、二次ライブラリーーが作製される。次いで、ライブラリーーは、所望の親和性を持つ抗体変異体を同定するためにスクリーニングされる。多様性を導入するする別の方法は、複数のHVR残基(例えば、一度に4から6残基)がランダム化されたHVR指向のアプローチを伴う。抗原結合に関与するHVR残基は、例えばアラニンスキャニング突然変異誘発、又はモデリングを用いて、特異的に同定することができる。特にCDR−H3及びCDR−L3がしばしば標的にされる。
【0278】
特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、そのような変更が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させない限りにおいて、一又は複数のHVR内で生じうる。例えば、実質的に結合親和性を低下させない保存的変更(例えば本明細書において提供される保存的置換)をHVR内で行うことができる。このような改変は、HVR「ホットスポット」又はSDRの外側であってもよい。上記に与えられた変異体VH又はVL配列の特定の実施態様では、各HVRは不変であるか、又は多くとも一つ、二つ又は三つのアミノ酸置換しか含まない。
【0279】
突然変異誘発のために標的とすることができる抗体の残基又は領域を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells (1989) Science, 244:1081-1085により記載されるように「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、標的残基の残基又はグループ(例えば、arg、asp、his、lys及びgluなどの荷電残基)が同定され、抗原と抗体との相互作用が影響を受けるかどうかを決定するために、中性又は負に帯電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)により置換される。更なる置換が、最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸の位置に導入されうる。代わりに、又は更に、抗原抗体複合体の結晶構造が、抗体と抗原との接触点を同定するために使用される。そのような接触残基及び隣接残基は、置換の候補として標的とされる又は排除される。変異体は、それらが所望の特性を含むかどうかを決定するためにスクリーニングされる。
【0280】
アミノ酸配列挿入は、長さが一残基から、百以上の残基を有するポリペプチドに及ぶアミノ末端及び/又はカルボキシル末端融合、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例は、N末端メチオニル残基を有する抗体を含む。抗体分子の他の挿入変異体は、抗体の血清半減期を延長させる酵素(例えばADEPTのための)又はポリペプチドに対する抗体のN末端又はC末端への融合物を含む。
【0281】
b)グリコシル化変異体
所定の実施態様において、本明細書に提供される抗体は、抗体のグリコシル化度を上昇又は低下させるように改変される。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、一又は複数のグリコシル化部位が作成又は除去されるようにアミノ酸配列を改変することにより、簡便に達成される。
【0282】
抗体がFc領域を含む場合、それに結合する糖を変えることができる。哺乳動物細胞によって生成された天然型抗体は、典型的には、Fc領域のCH2ドメインのAsn297にN−結合により一般的に付着した分岐鎖、二分岐オリゴ糖を含んでいる。例えばWright et al. TIBTECH 15:26-32 (1997)を参照。オリゴ糖は、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、並びに二分岐糖鎖構造の「幹」のGlcNAcに結合したフコースを含む。いくつかの実施態様では、本発明の抗体におけるオリゴ糖の改変は一定の改善された特性を有する抗体変異型を生成するために行われる。
【0283】
一実施態様において、抗体変異体は、Fc領域に(直接又は間接的に)付着したフコースを欠く糖鎖構造を有して提供される。例えば、このような抗体のフコース量は、1%から80%、1%から65%、5%から65%、又は20%から40%である。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号に記載されているように、MALDI−TOF質量分析法によって測定されるAsn297に付着しているすべての糖構造の合計(例えば、コンプレックス、ハイブリッド及び高マンノース構造)に対して、Asn297の糖鎖中のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297は、Fc領域(Fc領域残基のEu番号付け)のおよそ297に位置するアスパラギン残基を指す;しかしながら、Asn297は、位置297の上流又は下流のおよそ±3アミノ酸に、即ち抗体の軽微な配列変異に起因して、位置294と300の間に位置してもよい。このようなフコシル化変異体においては、ADCC機能が改善している可能性がある。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号(Presta、L.);米国特許出願公開第2004/0093621号(協和発酵工業株式会社)を参照。「脱フコシル化」又は「フコース欠損」抗体変異体に関連する出版物の例としては、米国特許出願公開第2003/0157108号、国際公開第2000/61739号、同第2001/29246号、米国特許出願公開第2003/0115614号、同第2002/0164328号、同第2004/0093621号、同第2004/0132140号、同第2004/0110704号、同第2004/0110282号、同第2004/0109865号、国際公開第2003/085119号、国際公開第2003/084570号、同第2005/035586号、同第2005/035778号、同第2005/053742号、同第2002/031140号、Okazaki et al. J. Mol. Biol. 336:1239-1249 (2004); Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004)が含まれる。脱フコシル化抗体を産生する能力を有する細胞株の例には、タンパク質フコシル化を欠損しているLec13 CHO細胞(Ripka et al. Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545 (1986);米国特許出願公開第2003/0157108号、Presta、L;及び国際公開第2004/056312号、Adams et al.、特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、アルファ−1、6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004); Kanda, Y. et al., Biotechnol. Bioeng., 94(4):680-688 (2006);及び国際公開第2003/085107号を参照)が含まれる。
【0284】
例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている、二分オリゴ糖を有する抗体変異体が更に提供さ与される。このような抗体変異体においては、フコシル化が減少し及び/又はADCC機能が改善している可能性がある。そのような抗体変異体の例は、例えば、国際公開第2003/011878号(Jean−Mairettら);米国特許第6602684号(Umanaら);及び米国特許出願公開第2005/0123546号(Umanaら)に記載されている。Fc領域に結合したオリゴ糖内に少なくとも1つのガラクトース残基を持つ抗体変異体も提供される。このような抗体変異体はCDC機能を改善させた可能性がある。このような抗体変異体は、例えば、国際公開第1997/30087号(Patelら);同第1998/58964号(Raju、S.);及び同第1999/22764号(Raju、S.)に記載されている。
【0285】
c)Fc領域変異体
特定の実施態様では、一又は複数のアミノ酸修飾を、本明細書に提供される抗体のFc領域に導入することにより、Fc領域変異体が生成される。Fc領域変異体は、一又は複数のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4 Fc領域)を含みうる。
【0286】
特定の実施態様において、本発明は、インビボにおける抗体の半減期が重要であるが、ある種のエフェクター機能(例えば補体及びADCCなど)が不要又は有害である用途のための望ましい候補とならしめる、すべてではないがいくつかのエフェクター機能を有する抗体変異体を意図している。インビトロ及び/又はインビボ細胞傷害性アッセイを、CDC及び/又はADCCの活性の低下/枯渇を確認するために実施することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実施して、抗体がFcγR結合を欠く(したがって恐らくはADCC活性を欠く)が、FcRn結合能を保持していることを確認することができる。ADCCを媒介する第一の細胞であるNK細胞がFc(RIIIのみを発現するのに対し、単球はFc(RI、Fc(RII及びFc(RIIIを発現する。造血細胞におけるFcRの発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-492 (1991)の464ページの表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom, I. et al.のProc. Nat’l Acad. Sci. USA 83:7059-7063 (1986)を参照)及びHellstrom, I et al.、Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 82:1499-1502 (1985); 5,821,337 (Bruggemann, M. et al.、J. Exp. Med. 166:1351-1361 (1987)を参照)に説明される。或いは、非放射性アッセイ法を用いることができる(例えば、フローサイトメトリー用のACTITM非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA);及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞毒性アッセイ(Promega,Madison,WI)。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。或いは、又は加えて、目的の分子のADCC活性は、例えば、Clynes et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:652-656 (1998)に開示されているような動物モデルにおいて、インビボで評価されうる。また、C1q結合アッセイを、抗体が体C1qを結合することができないこと、したがって、CDC活性を欠くことを確認するために実施することができる。例えば、国際公開第2006/029879号及び同第2005/100402号のC1q及びC3c結合ELISAを参照。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを実施することができる(例えば、Gazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202:163 (1996); Cragg, M.S. et al.、Blood 101:1045-1052 (2003);並びにCragg, M.S. and M.J. Glennie, Blood 103:2738-2743 (2004)を参照)。FcRn結合、及びインビボでのクリアランス/半減期の測定も、当分野で既知の方法を用いて行うことができる(例えば、Petkova, S.B. et al.、Int’l. Immunol. 18(12):1759-1769 (2006)を参照)。
【0287】
エフェクター機能が低下した抗体は、一又は複数のFc領域残基238、265、269、270、297、327及び329の置換を含むものを含む(米国特許第6737056号)。そのようなFc変異体は、残基265及び297のアラニンへの置換を有する、いわゆる「DANA」Fc変異体を含む、アミノ酸位置265、269、270、297及び327の2以上での置換を有するFc変異体を含む(米国特許第7,332,581号)。
【0288】
FcRへの結合を改善又は減少させた特定の抗体変異体についての記載がある。(例えば、米国特許第6737056号;国際公開第2004/056312号、及びShields et al., J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)を参照)。
【0289】
特定の実施態様では、抗体変異体は、ADCCを改善する一又は複数のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298位、333位,及び/又は334位(残基のEU番号付け)における置換を含むFc領域を含む。
【0290】
いくつかの実施態様では、例えば、米国特許第6194551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogie et al. J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000)にっ記載されるような、改変された(即ち改善又は低減された)C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を生じる、Fc領域における改変がなされる。
【0291】
半減期が延長され、胎児への母性IgGの移送を担う(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976)及びKim et al., J. Immunol. 24:249 (1994))新生児Fc受容体(FcRn)への結合性が改善された抗体は、米国特許出願公開第2005/0014934号(Hintonら)に記述されている。このような抗体は、FcRnへのFc領域の結合性を向上させる一又は複数の置換を有するFc領域を含む。このようなFc変異体は、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434のうちの一又は複数における置換、例えば、Fc領域残基434の置換(米国特許第7371826号)を含むものを含む。
【0292】
Duncan & Winter, Nature 322:738-40 (1988);米国特許第5648260号;同第5624821号;及び、Fc領域の変異体の他の例に関しては国際公開第94/29351号も参照のこと。
【0293】
d)システイン操作抗体変異体
特定の実施態様では、システイン操作抗体、例えば、抗体の一又は複数の残基がシステイン残基で置換されている「チオMab」を作製することが望ましい。特定の実施態様では、置換された残基は、抗体のアクセス可能な部位に生じる。それらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基は、それによって抗体のアクセス可能な部位に配置され、本明細書中でさらに記載されるように、イムノコンジュゲーを作成するために、例えば薬物部分又はリンカー−薬剤部分などの他の部分に抗体をコンジュゲートするために使用される。特定の実施態様では、以下の残基のうちのいずれかの一又は複数がシステインで置換される:軽鎖のV205(Kabatの番号付け);重鎖のA118(EU番号付け);及び重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)。システイン改変抗体は、例えば、米国特許第7521541号に記載のように生成されうる。
【0294】
e)抗体誘導体
特定の実施態様において、本明細書で提供される抗体は、当技術分野で知られ、容易に入手可能な追加の非タンパク質部分を含むように更に改変することができる。抗体の誘導体化に適した部分は、限定しないが、水溶性ポリマーを含む。水溶性ポリマーの非限定的な例は、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)及びデキストラン又はポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレン(prolypropylene)オキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール並びにこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドはその水中での安定性のために製造上の利点を有し得る。ポリマーは任意の分子量のものであってよく、分枝鎖又は非分枝鎖であってよい。抗体に結合するポリマーの数は変化してもよく、一を超えるポリマーが結合する場合、それらは同じ分子でも異なる分子でもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又は型は、限定されるものではないが、改善されるべき抗体の特定の特性又は機能、その抗体誘導体が定まった条件下で治療に使用されるかどうかを含む考慮事項に基づいて決定することができる。
【0295】
別の実施態様において、放射線への曝露によって選択的に加熱されてもよい非タンパク質部分と抗体とのコンジュゲートが提供される。一実施態様では、非タンパク質部分はカーボンナノチューブである(Kam et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102: 11600-11605 (2005))。放射線は、任意の波長であって良いが、限定されないものの、通常の細胞に害を与えないが、抗体−非タンパク質部分の近位細胞が死滅させる温度に非タンパク質部分を加熱する波長が含まれる。
【0296】
B.組み換え方法及び組成物
抗体は、例えば米国特許第4816567号に記載されているような組み換え方法及び組成物を用いて製造される。一実施態様では、本明細書に記載される抗CD33抗体をコードする単離された核酸が提供される。このような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列、及び/又は抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/又は重鎖)をコードしうる。更なる実施態様では、そのような核酸を含む一又は複数のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。更なる実施態様では、そのような核酸を含む宿主細胞が提供される。一実施態様では、宿主細胞は以下を含む(例えば、以下で形質転換されている):(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列、及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、又は(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第一ベクターと、抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第ニベクター。一実施態様において、宿主細胞は、真核生物細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又はリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一実施態様では、抗CD33抗体の作製方法が提供され、この方法は、上述のような抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体の発現に適した条件下で培養すること、及び任意選択的に、宿主細胞(又は宿主細胞培地)から抗体を回収することを含む。
【0297】
抗CD33抗体の組み換え生産のために、例えば上述のような、抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞内での更なるクローニング及び/又は発現のために、一又は複数のベクターに挿入される。このような核酸は、容易に単離することができ、一般的な手順を用いて(例えば、抗体の重鎖と軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)配列決定することができる。
【0298】
抗体をコードするベクターのクローニング又は発現に適した宿主細胞は、本明細書に記載される原核生物細胞又は真核細胞を含む。例えば、特に、グリコシル化及びFcエフェクター機能が必要ない場合には、抗体は、細菌内で製造されうる。細菌における抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5648237号、同第5789199号及び同第5840523号を参照。(また、大腸菌における抗体断片発現を記載している、Charlton, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ, 2003), pp. 245-254参照)。発現の後、抗体を、可溶性画分において細菌の細胞ペーストから単離し、更に精製することができる。
【0299】
原核生物に加えて、部分的又は完全なヒトのグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす、「ヒト化」されたグリコシル化経路を有する真菌及び酵母の株を含む、糸状菌又は酵母のような真核微生物も、抗体をコードするベクターのための適切なクローニング宿主又は発現宿主である。Gerngross, Nat. Biotech. 22:1409-1414 (2004)、及びLi et al., Nat. Biotech. 24:210-215 (2006)を参照。
【0300】
グリコシル化抗体の発現に適した宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物と脊椎動物)からも得られる。無脊椎動物細胞の例には、植物細胞及び昆虫細胞が含まれる。多数のバキュロウイルス株が同定されており、これらは特にスポドプテラ・フルギペルダ細胞のトランスフェクションのために、昆虫細胞と組み合わせて使用することができる。
【0301】
植物細胞培養物を宿主として利用することもできる。例えば、米国特許第5959177号、同第6040498号、同第6420548号、同第7125978号及び同第6417429号(トランスジェニック植物における抗体生成に関するPLANTIBODIESTM技術を記載)を参照。
【0302】
脊椎動物細胞も宿主として用いることができる。例えば、懸濁液中で増殖するように適応された哺乳動物細胞株は有用でありうる。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS−7)で形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胚腎臓株(例えば、Graham et al., J. Gen Virol. 36:59 (1977)に記載された293細胞又は293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスのセルトリ細胞(例えば、Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980)に記載されるTM4細胞);サル腎細胞(CV1);アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76);ヒト子宮頚癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(HepG2);マウス乳腺腫瘍細胞(MMT060562);例えばMather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982)に記載されるTRI細胞;MRC5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株は、DHFR CHO細胞を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980));並びにY0、NS0及びSp2/0などの骨髄腫細胞株を含む。抗体生成に適した特定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ), pp. 255-268 (2003)を参照。
【0303】
C.アッセイ
本明細書で提供される抗CD33抗体が、同定され、当技術分野で既知の様々なアッセイによってその物理的/化学的性質及び/又は生物学的活性についてスクリーニングされる、又は特徴づけられる。
【0304】
一態様では、本発明の抗体は、その抗原結合活性について、例えば、ELISA、BIACore(登録商標)、FACS、又はウェスタンブロットといった既知の方法により試験される。
【0305】
別の態様では、CD33への結合について本明細書に記載される抗体のいずれかと競合する抗体を同定するために、競合アッセイが使用される。特定の実施態様では、このような競合抗体は、本明細書に記載される抗体が結合する同じエピトープ(例えば直鎖状又は立体構造エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための典型的な方法の詳細が、Morris (1996) “Epitope Mapping Protocols,” in Methods in Molecular Biology vol. 66 (Humana Press, Totowa, NJ)に提供されている。
【0306】
例示的競合アッセイでは、固定化CD33は、CD33に結合する第1の標識抗体(例えば、本明細書に記載される抗体のいずれか)と、CD33への結合について第1の抗体と競合する能力について試験される第2の標識化されていない抗体を含む溶液中においてインキュベートされる。第二抗体はハイブリドーマ上清中に存在してもよい。コントロールとして、固定化CD33が、第一の標識された抗体を含むが第二の非標識抗体は含まない溶液中でインキュベートされる。第一の抗体のCD33への結合を許容する条件下でインキュベートした後、過剰な未結合抗体が除去され、固定化されたCD33に結合した標識の量が測定される。固定化CD33に結合した標識の量が、コントロール試料と比較して試験試料中で実質的に減少している場合、それは、第二抗体が、CD33への結合において第一の抗体と競合していることを示している。Harlow and Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual ch.14 (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY)を参照。
【0307】
D.イムノコンジュゲート
本発明はまた、化学療法剤又は薬、成長阻害剤、毒素(例えば、タンパク毒素、細菌、真菌、植物、又は動物起源の酵素的に活性の毒素、若しくはその断片)、又は放射性同位体(即ち、放射性コンジュゲート)といった一又は複数の細胞傷害性剤にコンジュゲートする本明細書の抗CD33抗体を含むイムノコンジュゲートを提供する。
【0308】
イムノコンジュゲートは、腫瘍への薬物部分の標的化送達を可能にし、いくつかの実施態様では、非コンジュゲート薬の全身投与により正常細胞への毒性が許容不可能なレベルに達しうる、腫瘍中の細胞内蓄積が起こりうる(Polakis P. (2005) Current Opinion in Pharmacology 5:382-387)。
【0309】
抗体−薬物コンジュゲート(ADC)は、強力な細胞傷害性薬物を抗原発現腫瘍細胞に標的化することにより、抗体と細胞傷害性薬物両方の特性を組み合わせ(Teicher, B.A. (2009) Current Cancer Drug Targets 9:982-1004)、それにより、有効性を最大化し、標的外毒性を最小化することで治療指数を増強する(Carter, P.J. and Senter P.D. (2008) The Cancer Jour. 14(3):154-169; Chari, R.V. (2008) Acc. Chem. Res. 41:98-107)、標的とされる化学療法剤分子である。
【0310】
本発明のADC化合物は、抗がん活性を含むものを含む。いくつかの実施態様では、ADC化合物は、薬物部分に対し、コンジュゲート、即ち共有結合的に結合した抗体を含む。いくつかの実施態様では、抗体は、リンカーを通して薬物部分に共有結合的に結合する。本発明の抗体−薬物コンジュゲート(ADC)は、有効用量の薬物を腫瘍組織へと選択的に送達し、それにより、選択性の増大、即ち効力をもたらす用量の低減を達成すると同時に、治療指数(「治療濃度域」)を増大することができる。
【0311】
抗体−薬物コンジュゲート(ADC)の薬物部分(D)は、細胞傷害性又は細胞分裂停止性の効果を有する任意の化合物、部分又は基を含む。薬物部分は、その細胞傷害性及び細胞分裂停止性の効果を、チューブリン結合、DNA結合又はインタカレーション、及びRNAポリメラーゼ、タンパク質合成、及び/又はトポイソメラーゼの阻害を含むがこれらに限定されないメカニズムにより付与する。例示的薬物部分には、限定されないが、メイタンシノイド、ドラスタチン、アウリスタチン、カリケアマイシン、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、ネモルビシン及びその誘導体、PNU−159682、アントラサイクリン、ズオカルマイシン、ビンカアルカロイド、タキサン、トリコテセン、CC1065、カンプトテシン、エリナフィド(elinafide)、及び細胞傷害活性を有するそれらの立体異性体、同配体、アナログ、及び誘導体が含まれる。このようなイムノコンジュゲートの非限定的な例を以下に更に詳細に記載する。
【0312】
1.例示的な抗体−薬物コンジュゲート
抗体−薬物コンジュゲート(ADC)化合物の例示的な実施態様は、腫瘍細胞を標的とする抗体(Ab)、薬物部分(D)、及びAbをDに結合させるリンカー部分(L)を含む。いくつかの実施態様では、抗体は、リンカー部分(L)に対し、リジン及び/又はシステインといった一又は複数のアミノ酸残基を通して結合する。
【0313】
例示的ADCは式I:
Ab−(L−D)
を有し、式中のpは1〜約20である。いくつかの実施態様では、抗体にコンジュゲートすることのできる薬物部分の数は、遊離システイン残基の数によって制限される。いくつかの実施態様では、遊離システイン残基は、抗体のアミノ酸配列中に、本明細書に記載される方法により導入される。式Iの例示的ADCは、限定しないが、1、2、3、又は4の操作されたシステインアミノ酸を有する抗体を含む(Lyon, R. et al (2012) Methods in Enzym. 502:123-138)。いくつかの実施態様では、一又は複数の遊離システイン残基は、エンジニアリングを用いなくとも抗体中に既に存在し、この場合既存の遊離システイン残基は抗体を薬物にコンジュゲートするために使用されうる。いくつかの実施態様では、抗体は、一又は複数の遊離システイン残基を生成するために、抗体のコンジュゲーションに先立ち還元条件に曝される。
【0314】
a)例示的リンカー
「リンカー」(L)は、一又は複数の薬物部分(D)を抗体(Ab)に結合させて式Iの抗体−薬物コンジュゲート(ADC)を形成するために使用することが可能な二官能性又は多官能性部分である。いくつかの実施態様では、抗体−薬物コンジュゲート(ADC)は、薬物と抗体に共有結合的に結合させるための反応性の官能性を有するリンカーを使用して調製することができる。例えば、いくつかの実施態様では、抗体(Ab)のシステインチオールは、リンカーの反応性官能基又は薬物−リンカー中間体との結合を形成し、ADCをつくる。
【0315】
一態様では、リンカーは、抗体上に存在する遊離システインと反応して共有結合を形成することができる官能性を有する。非限定的且つ例示的なこのような反応性の官能性には、マレイミド、ハロアセトアミド、α−ハロアセチル、活性化エステル、例えばスクシンイミド エステル、4−ニトロフェニル エステル、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、無水物、酸クロリド、スルホニルクロリド、イソシアネート、及びイソチオシアネートが含まれる。例えば、Klussman, et al (2004), Bioconjugate Chemistry 15(4):765-773の766頁のコンジュゲーション方法、及びその実施例を参照されたい。
【0316】
いくつかの実施態様では、リンカーは、抗体上に存在する求電子基と反応できる官能性を有する。例示的なこのような求電子基には、限定されないが、アルデヒド基及びケトン カルボニル基が含まれる。いくつかの実施態様では、リンカーの反応性官能性のヘテロ原子は、抗体上の求電子基と反応し、抗体単位への共有結合を形成することができる。非限定的且つ例示的なこのような反応性官能性には、限定されないが、ヒドラジド、オキシム、アミノ、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジン カルボキシレート、及びアリールヒドラジンが含まれる。
【0317】
リンカーは、一又は複数のリンカー成分を含むことができる。例示的なリンカー成分には、6−マレイミドカプロイル(「MC」)、マレイミドプロパノイル(「MP」)、バリン−シトルリン(「val−cit」又は「vc」)、アラニン−フェニルアラニン(「ala−phe」)、p−アミノベンジルオキシカルボニル(「PAB」)、N−スクシンイミジル4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエート(「SPP」)、及び4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1 カルボキシレート(「MCC」)が含まれる。様々なリンカー成分が当技術分野で既知であり、そのうちのいくつかについて後述する。
【0318】
リンカーは、薬物の放出を容易にする「切断可能なリンカー」でありうる。非限定的且つ例示的な、切断可能なリンカーには、酸不安定性のリンカー(例えば、ヒドラゾンを含む)、プロテアーゼ過敏性(例えば、ペプチダーゼ過敏性)リンカー、光解離性リンカー、又はジスルフィド含有リンカー(Chari et al., Cancer Research 52:127-131 (1992);米国特許第5208020号)が含まれる。
【0319】
特定の実施態様では、リンカーは、以下の式IIを有する:
式中、Aは「ストレッチャー単位」であり、aは0〜1の整数であり;Wは「アミノ酸単位」であり、wは0〜12の整数であり;Yは「スペーサー単位」であり、yは0、1、又は2であり;Ab、D、及びpは式Iについて上述したように定義される。このようなリンカーの例示的実施態様は、米国特許第7498298号に記載されており、これは参照により本明細書に包含される。
【0320】
いくつかの実施態様では、リンカー成分は、抗体を、別のリンカー成分又は薬物部分に結合させる「ストレッチャー単位」を含む。非限定的且つ例示的なストレッチャー単位を以下に示す(ここで波線は抗体、薬物、又は追加的リンカー成分への共有結合部位を示す):
【0321】
いくつかの実施態様では、リンカー成分はアミノ酸単位を含む。このようないくつかの実施態様では、アミノ酸単位は、プロテアーゼによるリンカーの切断を可能にし、それによりリソソーム酵素のような細胞内プロテアーゼへの曝露時にイムノコンジュゲートからの薬物の放出を容易にする(Doronina et al. (2003) Nat. Biotechnol. 21:778-784)。例示的アミノ酸単位には、限定されないが、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、及びペンタペプチドが含まれる。例示的ジペプチドには、限定されないが、バリン−シトルリン(vc又はval−cit)、アラニン−フェニルアラニン(af又はala−phe);フェニルアラニン−リジン(fk又はphe−lys);フェニルアラニン−ホモリジン(phe−homolys);及びN−メチル−バリン−シトルリン(Me−val−cit)が含まれる。例示的トリペプチドには、限定されないが、グリシン−バリン−シトルリン(gly−val−cit)及びグリシン−グリシン−グリシン(gly−gly−gly)が含まれる。アミノ酸単位は、天然に存在するアミノ酸残基、及び/又はシトルリンのような非天然存在アミノ酸アナログ及び/又はマイナーなアミノ酸を含みうる。アミノ酸単位は、特定の酵素、例えば腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、C及びD、又はプラスミンプロテアーゼによる酵素的切断について設計及び最適化することができる。
【0322】
いくつかの実施態様では、リンカー成分は、抗体を、直接的に又はストレッチャー単位及び/又はアミノ酸単位を介して薬物部分に結合させる「スペーサー」単位を含む。スぺーサー単位は、「自壊性」でも「非自壊性」でもよい。「非自壊性」のスペーサー単位は、スペーサー単位の一部又は全部が、ADCの開裂時に薬物部分に結合したままであるスペーサー単位である。非自壊性スペーサーの例には、限定されないが、グリシンスペーサー単位及びグリシン−グリシンスペーサー単位が含まれる。いくつかの実施態様では、腫瘍細胞に結合したプロテアーゼによるグリシン−グリシンスペーサー単位を含むADCの酵素的切断は、残りのADCからのグリシン−グリシン−薬物部分の放出を招く。いくつかのこのような実施態様では、腫瘍細胞中においてグリシン−グリシン−薬物部分に加水分解工程を行い、それにより薬物部分からグリシン−グリシンスペーサー単位を切断する。
【0323】
「自壊性」スペーサー単位は、薬物部分の放出を可能にする。特定の実施態様では、リンカーのスペーサー単位はp−アミノベンジル単位を含む。いくつかのこのような実施態様では、p−アミノベンジルアルコールは、アミド結合を介してアミノ酸単位に結合し、カルバメート、メチルカルバメート、又は炭酸塩がベンジルアルコールと薬物の間に形成される(Hamann et al. (2005) Expert Opin. Ther. Patents (2005) 15:1087-1103)。いくつかの実施態様では、スペーサー単位はp−アミノベンジルオキシカルボニル(PAB)である。いくつかの実施態様では、自壊性リンカーを含むADCは、構造:

を有し、構造中、Qは−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−ハロゲン、−ニトロ、又は−cynoであり;mは0〜4の整数であり;pは1〜約20である。いくつかの実施態様では、pは、1〜10、1〜7、1〜5、又は1〜4である。
【0324】
自壊性スペーサーの他の例には、限定されないが、PAB基に電子的に類似している芳香族化合物、例えば2−アミノイミダゾール−5−メタノール誘導体(米国特許第7375078号;Hay et al. (1999) Bioorg. Med. Chem. Lett. 9:2237)及びオルト−又はパラ−アミノベンジルアセタールが含まれる。いくつかの実施態様では、アミド結合の加水分解時に環化する、置換及び非置換の4−アミノ酪酸アミド(Rodrigues et al. (1995) Chemistry Biology, 2, 223)、適切に置換されたビシクロ[2.2.1]及びビシクロ[2.2.2]環系(Storm, et al. (1972) J. Amer. Chem. Soc., 94, 5815)、及び2−アミノフェニルプロピオン酸アミド(Amsberry, et al. (1990) J. Org. Chem., 55, 5867)といったスペーサーを使用することができる。グリシン残基のα炭素に対する薬物の結合は、ADCに有用でありうる自壊性スペーサーの別の例である(Kingsbury et al (1984) J. Med. Chem. 27.1447)。
【0325】
いくつかの実施態様では、リンカーLは、一を超える薬物部分の、分枝した多機能リンカー部分を介した抗体に対する共有結合のための樹状型リンカーである(Sun et al (2002) Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 12:2213-2215; Sun et al (2003) Bioorganic & Medicinal Chemistry 11:1761-1768)。樹状リンカーは、ACDの力価に関連する、抗体に対する薬物のモル比、即ち負荷を上昇させることができる。したがって、抗体が反応性システインチオール基を一つのみ保持する場合、多数の薬物部分が樹状リンカーを介して結合できる。
【0326】
式IのADCに関連して非限定的且つ例示的リンカーを以下に示す:
【0327】
更なる非限定的且つ例示的ADCは構造:
を含み、
構造中、Xは:

であり、
Yは:

であり、各Rは独立してH又はC-Cアルキルであり;nは1〜12である。
【0328】
通常、ペプチドタイプのリンカーは、二つ以上のアミノ酸及び/又はペプチド断片の間にペプチド結合を形成することにより調製することができる。このようなペプチド結合は、例えば、液体相合成法に従って調製することができる(例えば、E. Schroer and K. Lubke (1965) “The Peptides”, volume 1, pp 76-136, Academic Press)。
【0329】
いくつかの実施態様では、リンカーは、溶解度及び/又は反応性を調節する基で置換される。非限定的な例として、スルホネート(−SO)又はアンモニウムのような荷電置換基は、リンカー試薬の水溶解度を上昇させ、ADCを調製するために用いられる合成経路に応じて、リンカー試薬と抗体及び/又は薬物部分とのカップリング反応を容易にする、又はAb−L(抗体−リンカー中間体)とDとの、又はD−L(薬物−リンカー中間体)とAbとのカップリング反応を容易にする。いくつかの実施態様では、リンカーの一部は抗体に結合し、リンカーの一部は薬物に結合し、次いでAb−(リンカー部分)は薬物−(リンカー部分)に結合して、式IのADCを形成する。いくつかの実施態様では、抗体は複数の(リンカー部分)置換基を含み、したがって複数の薬物が式IのADC中の抗体に結合する。
【0330】
本発明の化合物は、限定しないが、以下のリンカー試薬を用いて調製されるADCを明確に考慮する:ビス−マレイミド−トリオキシエチレングリコール(BMPEO)、N−(β−マレイミドプロピルオキシ)−N−ヒドロキシ スクシンイミド エステル(BMPS)、N−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド エステル(EMCS)、N−[γ−マレイミドブチリルオキシ]スクシンイミド エステル(GMBS)、1,6−ヘキサン−ビス−ビニルスルホン(HBVS)、スクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシ−(6−アミドカプロン酸)(LC−SMCC)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシ スクシンイミド エステル(MBS)、4−(4−N−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド(MPBH)、スクシンイミジル 3−(ブロムアセトアミド)プロピオネート(SBAP)、スクシンイミジル ヨードアセテート(SIA)、スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート(SIAB)、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)、スクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、スクシンイミジル 4−(p−マレイミドフェニル)ブチラート(SMPB)、スクシンイミジル 6−[(ベータ−マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート](SMPH)、イミノチオラン(IT)、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−KMUS、スルホ−MBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMCC、及びスルホ−SMPB、及びスクシンイミジル−(4−ビニルスルホン)ベンゾエート(SVSB)。このような試薬には、ビス−マレイミド試薬:ジチオビスマレイミドエタン(DTME)、1,4−ビスマレイミドブタン(BMB)、1,4 ビスマレイミジル−2,3−ジヒドロキシブタン(BMDB)、ビスマレイミドヘキサン(BMH)、ミスマレイミドエタン(BMOE)、BM(PEG)(以下に示す)、及びBM(PEG)(以下に示す);イミドエステルの二官能性誘導体(例えばジメチル アジピミダート HCl)、活性エステル(例えばスベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビス‐アジド化合物(例えばビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム 誘導体(例えばビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えばトルエン 2,6−ジイソシアネート)、及びビス活性フッ素化合物(例えば1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンも含まれる。いくつかの実施態様では、ビス−マレイミド試薬は、抗体中のシステインのチオール基がチオール含有薬物部分、リンカー、又は−薬物中間体に結合することを許容する。チオール基と反応する他の官能基には、限定されないが、ヨードアセトアミド、ブロモアセトアミド、ビニルピリジン、ジスルフィド、ピリジル ジスルフィド、イソシアネート、及びイソチオシアネートが含まれる。
【0331】
特定の有用なリンカー試薬は、様々な商業的ソース、例えばPierce Biotechnology、Inc.(Rockford、IL)、Molecular Biosciences Inc.(Boulder、CO)から得ることができるか、又は当技術分野の文献;例えば、Toki et al (2002) J. Org. Chem. 67:1866-1872; Dubowchik, et al. (1997) Tetrahedron Letters, 38:5257-60; Walker, M.A. (1995) J. Org. Chem. 60:5352-5355; Frisch et al (1996) Bioconjugate Chem. 7:180-186;米国特許第6214345号;国際公開第02/088172号;米国特許出願公開第2003130189号;同第2003096743号;国際公開第03/026577号;同第03/043583号;及び同第04/032828号に記載の手順に従って合成することができる。
【0332】
炭素−14−標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、放射性核種の抗体へのコンジュゲーションのキレート剤の例である。例えば、国際公開第WO94/11026号参照。
【0333】
b)例示的薬物部分
(1)メイタンシン及びメイタンシノイド
いくつかの実施態様では、イムノコンジュゲートは、一又は複数のメイタンシノイド分子にコンジュゲートした抗体を含む。メイタンシノイドは、メイタンシンの誘導体であり、チューブリン重合を阻害することにより作用する有糸分裂阻害剤である。メイタンシンは、東アフリカの灌木メイテナスセラタ(Maytenus serrata)から最初に単離された(米国特許第3896111号)。続いて、特定の微生物も、メイタンシノイド、例えばマイタンシノール及びC−3メイタンシノールエステルなどのメイタンシノイドを生成することが発見された(米国特許第4151042号)。合成メイタンシノイドは、例えば、米国特許第4137230号;同第4248870号;同第4256746号;同第4260608号;同第4265814号;同第4294757号;同第4307016号;同第4308268号;同第4308269号;同第4309428号;同第4313946号;同第4315929号;同第4317821号;同第4322348号;同第4331598号;同第4361650号;同第4364866号;同第4424219号;同第4450254号;同第4362663号;及び同第4371533号に開示されている。
【0334】
メイタンシノイドの薬物部分は、以下の理由で抗体−薬物コンジュゲートの魅力的な薬剤成分である:(i)発酵生成物の発酵又は化学的修飾又は誘導体化により調製するために比較的到達可能であり、(ii)非ジスルフィドリンカーを介した抗体へのコンジュゲートに適した官能基による誘導化を行い易く、(iii)血漿中において安定であり、且つ(iv)様々な腫瘍細胞株に対して有効である。
【0335】
メイタンシノイド薬物部分としての使用に適した特定のメイタンシノイドは、当技術分野で周知であり、既知の方法に従って天然供給源から単離することができるか、又は遺伝子工学技術を用いて生成することができる(例えば、Yu et al (2002) PNAS 99:7968-7973参照)。メイタンシノノイドは、既知の方法に従って合成的に調製することもできる。
【0336】
例示的メイタンシノイド薬物部分には、限定されないが、修飾された芳香族環、例えば:C−19−デクロロ(米国特許第4256746号)(例えば、アンサマイトシン(ansamytocin)P2の水素化アルミニウムリチウム還元により調製);C−20−ヒドロキシ(又はC−20−デメチル)+/−C−19−デクロロ(米国特許第4361650号及び同第4307016号)(例えば、ストレプトマイセス又はアクチノミセスを用いた脱メチル化、又はLAHを用いた脱塩素化により調製);及びC−20−デメトキシ、C−20−アシルオキシ(−OCOR)、+/−デクロロ(米国特許第4294757号)(例えば、塩化アシルを用いたアシル化により調製)、及び芳香族環の他の位置に修飾を有するものが含まれる。
【0337】
また、例示的なメイタンシノイド薬物部分は、修飾を有するもの、例えば、C−9−SH(米国特許第4424219号)(例えば、HS又はPを有するメイタンシノールの反応により調製される);C−14−アルコキシメチル(デメトキシ/CH OR)(米国特許第4331598号);C−14−ヒドロキシメチル又はアシルオキシメチル(CHOH又はCHOAc)(米国特許第4450254号)(例えば、Nocardiaより調製される);C−15−ヒドロキシ/アシルオキシ(米国特許第4364866号)(例えば、ストレプトマイセス属によるメイタンシノールの変換によって調製される);C−15−メトキシ(米国特許第4313946号及び同第4315929号)(例えば、トレウィアヌドロフローラ(Trewia nudlflora)から単離される);C−18−N−デメチル(米国特許第4362663号及び第4322348号)(例えば、ストレプトマイセス属によるメイタンシノールの脱メチル化により調製される);及び、4,5−デオキシ(米国特許第4371533号)(例えば、メイタンシノールの三塩化チタン/LAH還元により調製される)を含む。
【0338】
メイタンシノイド化合物上の多数の位置が、結合位置として有用である。例えば、エステル結合は、従来のカップリング技術を使用したヒドロキシル基との反応により形成される。いくつかの実施態様では、反応は、ヒドロキシル基を有するC−3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC−14位、ヒドロキシル基で修飾されたC−15位、及びヒドロキシル基を有するC−20位で生じうる。いくつかの実施態様では、結合は、メイタンシノール又はメイタンシノールアナログのC−3位で形成される。
【0339】
メイタンシノイド薬物部分は、構造:


を有するものを含み、構造中、波線は、メイタンシノイド薬物部分の硫黄原子の、ADCのリンカーへの共有結合を示す。各Rは、独立して、H又はC−Cアルキルでよい。硫黄原子へアミド基を結合するアルキレン鎖は、メタニル、エタニル、又はプロピルでよく、即ちmは1、2、又は3である(米国特許第633410号;同第5208020号;Chari et al (1992) Cancer Res. 52:127-131; Liu et al (1996) Proc. Natl. Acad. Sci USA 93:8618-8623)。
【0340】
メイタンシノイド薬物部分のすべての立体異性体、即ち、不斉炭素におけるR及びS構成の任意の組み合わせが本発明のADCのために考慮される(米国特許第7276497号;同第6913748号;同第6441163号;同第633410号(RE39151);同第5208020号;Widdison et al (2006) J. Med. Chem. 49:4392-4408、これらの全体を参照により包含する)。いくつかの実施態様では、メイタンシノイドの薬物部分は以下の立体化学を有する


【0341】
メイタンシノイドの薬物部分の例示的実施態様には、限定されないが、構造:





を有するDM1;DM3;及びDM4が含まれ、ここで波線は、薬物の硫黄原子の、抗体−薬物コンジュゲートのリンカー(L)への共有結合を示す。
【0342】
他の例示的メイタンシノイド抗体−薬物コンジュゲートは、以下の構造及び略称を有する(ここでAbは抗体であり、pは1〜約20である。いくつかの実施態様では、pは、1〜10、1〜7、1〜5、又は1〜4である):

Ab −SPP−DM1

Ab −SMCC−DM1
【0343】
DM1がBMPEOリンカーを介して抗体のチオール基に結合している例示的な抗体−薬物コンジュゲートは、構造及び略称:


を有し、ここでAbは抗体であり;nは0、1、又は2であり;pは1〜約20である。いくつかの実施態様では、pは、1〜10、1〜7、1〜5、又は1〜4である。
【0344】
メイタンシノイドを含有するイムノコンジュゲート、その作製方法及びそれらの治療用途は、例えば米国特許第5208020号、同第5416064号、米国特許出願公開第2005/0276812号;及び欧州特許第0425235号に開示されており、これらの開示内容は、参照により本明細書に明示的に包含される。更にはLiu et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618-8623 (1996); and Chari et al. Cancer Research 52:127-131 (1992)を参照のこと。
【0345】
いくつかの実施態様では、抗体−メイタンシノイドコンジュゲートは、抗体をメイタンシノイド分子に、抗体又はメイタンシノイド分子いずれの生物活性も大きく低減させることなく、化学的に結合することにより調製される。例えば、米国特許第5208020号参照(開示内容は参照により本明細書に明示的に包含される)。いくつかの実施態様では、抗体分子一つに平均3〜4個のメイタンシノイド分子がコンジュゲートするADCは、抗体の機能又は溶解度に悪影響を与えることなく標的細胞の細胞傷害性の亢進に有効性を示した。いくつかの事例では、毒素/抗体の一分子でさえ、ネイキッド抗体の使用よりも細胞傷害性を亢進すると思われる。
【0346】
抗体−メイタンシノイドコンジュゲートを作製するための例示的な結合基には、例えば、本明細書に記載されるもの、及び米国特許第5208020号;EP特許第0425235号;Chari et al. Cancer Research 52:127-131 (1992);米国特許出願公開第2005/0276812号;及び同第2005/016993号に開示されるものが含まれ、これら文献の開示内容は参照により本明細書に明示的に包含される。
【0347】
(2)アウリスタチン及びドラスタチン
薬物部分には、ドラスタチン、アウリスタチン、並びにこれらのアナログ及び誘導体が含まれる(米国特許第5635483号;同第5780588号;同第5767237号;同第6124431号)。アウリスタチンは、海生軟体動物の化合物ドラスタチン−10の誘導体である。どのような特定の理論にも拘束されることを意図しないが、ドラスタチン及びアウリスタチンは微小管動態、GTP加水分解及び核と細胞の分割を妨げ(Woyke et al (2001) Antimicrob. Agents and Chemother. 45(12):3580-3584)、抗がん活性(米国特許第5663149号)及び抗真菌活性(Pettit et al (1998) Antimicrob. Agents Chemother. 42:2961-2965)を有することが示されている。ドラスタチン/アウリスタチン薬物部分は、ペプチド性薬物部分のN(アミノ)末端又はC(カルボキシル)末端を介して抗体に結合する(国際公開第02/088172号;Doronina et al (2003) Nature Biotechnology 21(7):778-784; Francisco et al (2003) Blood 102(4):1458-1465)。
【0348】
例示的なアウリスタチンの実施態様には、米国特許7498298及び同第7659241号に開示されたN末端に結合したモノメチルアウリスタチン薬物部分D及びDが含まれ、これら特許文献の開示内容は、その全体が参照により本明細書に明示的に包含される:





式中、D及びDの波線は、抗体又は抗体リンカー成分への共有結合部位を示し、各位置において独立して:
は、H及びC−Cアルキルから選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−C炭素環、アリール、C−Cアルキル−アリール、C−Cアルキル−(C−C炭素環)、C−C複素環及びC−Cアルキル−(C−C複素環)から選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−C炭素環、アリール、C−Cアルキル−アリール、C−Cアルキル−(C−C炭素環)、C−C複素環及びC−Cアルキル−(C−C複素環)から選択され;
は、H及びメチルから選択され;
又はR及びRは、連帯して炭素環式環を形成し、式−(CR−(式中、R及びRは、独立して、H、C−Cアルキル及びC−C炭素環から選択され、nは2、3、4、5及び6から選択される)を有し;
は、H及びC−Cアルキルから選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−C炭素環、アリール、C−Cアルキル−アリール、C−Cアルキル−(C−C炭素環)、C−C複素環及びC−Cアルキル−(C−C複素環)から選択され;
各Rは、独立して、H、OH、C−Cアルキル、C−C炭素環及びO−(C−Cアルキル)から選択され;
は、H及びC−Cアルキルから選択され;
10は、アリール又はC−C複素環から選択され;
Zは、O、S、NH、又はNR12であり、ここでR12はC−Cアルキルであり;
11は、H、C−C20アルキル、アリール、C−C複素環、−(R13O)−R14、又は−(R13O)−CH(R15から選択され;
mは1〜1000にわたる整数であり;
13はC−Cアルキルであり;
14はH又はC−Cアルキルであり;
15の各発生は、独立して、H、COOH、−(CH−N(R16、−(CH−SOH、又は−(CH−SO−C−Cアルキルであり;
16の各発生は、独立して、H、C−Cアルキル、又は−(CH−COOHであり;
18は、−C(R2−C(R2−アリール、−C(R2−C(R2−(C−C複素環)、及び−C(R2−C(R−(C−C炭素環)から選択され;且つ
nは0〜6にわたる整数である。
【0349】
一実施態様では、R、R及びRは、独立して、イソプロピル又はsec−ブチルであり、Rは-H又はメチルである。例示的な一実施態様では、R及びRの各々はイソプロピルであり、Rは−Hであり、Rはsec−ブチルである。
【0350】
また別の実施態様では、R及びRの各々はメチルであり、Rは−Hである。
【0351】
また別の実施態様では、Rの各発生は−OCHである。
【0352】
例示的一実施態様では、R及びRの各々はイソプロピルであり、R及びRの各々はメチルであり、Rは−Hであり、Rはsec−ブチルであり、Rの各発生は−OCHであり、且つRは−Hである。
【0353】
一実施態様では、Zは−O−又は−NH−である。
【0354】
一実施態様では、R10はアリールである。
【0355】
例示的一実施態様では、R10は−フェニルである。
【0356】
例示的一実施態様では、Zが−O−であるとき、R11は-H、メチル又はt−ブチルである。
【0357】
一実施態様では、Zが−NHであるとき、R11は−CH(R15であり、ここでR15は−(CH−N(R16であり、R16は−C−Cアルキル又は−(CH−COOHである。
【0358】
別の実施態様では、Zが−NHであるとき、R11は−CH(R15であり、ここでR15は−(CH−SOHである。
【0359】
式Dの例示的アウリスタチンの実施態様はMMAEであり、式中の波線は、抗体−薬物コンジュゲートのリンカー(L)への共有結合を示す:

MMAE
【0360】
式Dの例示的アウリスタチンの実施態様はMMAFであり、式中の波線は、抗体−薬物コンジュゲートのリンカー(L)への共有結合を示す:

MMAF
【0361】
他の例示的実施態様は、ペンタペプチドアウリスタチン薬物部分のC末端にフェニルアラニンカルボキシ修飾を有するモノメチルバリン化合物(国際公開第2007/008848号)及びペンタペプチドアウリスタチン薬物部分のC末端にフェニルアラニン側鎖修飾を有するモノメチルバリン化合物(国際公開第2007/008603号)を含む。
【0362】
MMAE又はMMAFと、様々なリンカー成分とを含む式IのADCの非限定的且つ例示的な実施態様は、以下の構造及び略称を有する(ここで「Ab」は抗体であり;pは1〜約8であり、「Val−Cit」はバリン−シトルリンジペプチドであり;「S」は硫黄原子である)。

Ab−MC−vc−PAB−MMAF


Ab−MC−vc−PAB−MMAE


Ab−MC−MMAE



Ab−MC−MMAF
【0363】
MMAF及び様々なリンカー成分を含む式IのADCの非限定的且つ例示的な実施態様は更に、Ab−MC−PAB−MMAF及びbAb−PAB−MMAFを含む。タンパク質分解性に切断可能でないリンカーにより抗体に結合したMMAFを含むイムノコンジュゲートは、タンパク質分解性に切断可能なリンカーにより抗体に結合したMMAFを含むイムノコンジュゲートに匹敵する活性を保持することが示されている(Doronina et al. (2006) Bioconjugate Chem. 17:114-124)。いくつかのこのような実施態様では、薬物の放出は、細胞中の抗体分解によって行われると考えらえる。
【0364】
通常、ペプチドベースの薬物部分は、二つ以上のアミノ酸及び/又はペプチド断片の間にペプチド結合を形成することにより調製することができる。このようなペプチド結合は、例えば、液体相合成法に従って調製することができる(例えば、E. Schroder and K. Lubke, “The Peptides”, volume 1, pp 76-136, 1965, Academic Press参照)。アウリスタチン/ドラスタチン薬物部分は、いくつかの実施態様では、米国特許第7498298号;同第5635483号;同第5780588号;Pettit et al (1989) J. Am. Chem. Soc. 111:5463-5465; Pettit et al (1998) Anti-Cancer Drug Design 13:243-277; Pettit, G.R., et al. Synthesis, 1996, 719-725; Pettit et al (1996) J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1 5:859-863;及びDoronina (2003) Nat Biotechnol 21(7):778-784の方法に従って調製される。
【0365】
いくつかの実施態様では、MMAEといった式Dの、及びMMAFといった式Dの、アウリスタチン/ドラスタチンの薬物部分、及び薬物−リンカー中間体と、MC−MMAF、MC−MMAE、MC−vc−PAB−MMAF、及びMC−vc−PAB−MMAEといったこれらの誘導体は、米国特許第7498298号;Doronina et al. (2006) Bioconjugate Chem. 17:114-124;及びDoronina et al. (2003) Nat. Biotech. 21:778-784に記載の方法を用いて調製され、次いで対象の抗体にコンジュゲートされる。
【0366】
(3)カリケアマイシン
いくつかの実施態様では、イムノコンジュゲートは、一又は複数のカリケアマイシン分子にコンジュゲートした抗体を含む。抗生物質のカリケアマイシンファミリー、及びそのアナログは、ピコモル以下の濃度において二本鎖DNA破壊を生じさせることができる(Hinman et al., (1993) Cancer Research 53:3336-3342; Lode et al., (1998) Cancer Research 58:2925-2928)。カリケアマイシンは、特定の事例において作用の細胞内部位を有するが、容易に原形質膜を横断しない。したがって、抗体媒介性の内部移行によるこれら薬剤の細胞取込は、いくつかの実施態様では、それらの細胞傷害性効果を著しく亢進させる。カリケアマイシンの薬物部分を用いて抗体−薬物コンジュゲートを調製する非限定的且つ例示的な方法は、例えば、米国特許第5712374号;同第5714586号;同第5739116号;及び同第5767285号に記載されている。
【0367】
(4)ピロロベンゾジアゼピン
いくつかの実施態様では、ADCはピロロベンゾジアゼピン(PBD)を含む。いくつかの実施態様では、PDBダイマーは特異的なDNA配列を認識してこれに結合する。天然物であるアントラマイシンは、PBDであり、1965年に初めて報告された(Leimgruber, et al., (1965) J. Am. Chem. Soc., 87:5793-5795; Leimgruber, et al., (1965) J. Am. Chem. Soc., 87:5791-5793)。それ以来、複数のPBDが、天然物及びアナログ共に報告されており(Thurston, et al., (1994) Chem. Rev. 1994, 433-465、これには三環系PBDのスキャホールドのダイマーが含まれる(米国特許第6884799号;同第7049311号;同第7067511号;同第7265105号;同第7511032号;同第7528126号;同第7557099号)。どのような特定の理論にも拘束されることを意図しないが、ダイマー構造は、イソヘリシティの適切な三次元形状にB型DNAの小さな溝を付与して結合部位に嵌合を導くと考えられている(Kohn, In Antibiotics III. Springer-Verlag, New York, pp. 3-11 (1975); Hurley and Needham-VanDevanter, (1986) Acc. Chem. Res., 19:230-237)。C2アリール置換基を保持する二量体型PBD化合物は、細胞傷害性剤として有用であることが示されている(Hartley et al (2010) Cancer Res. 70(17):6849-6858; Antonow (2010) J. Med. Chem. 53(7):2927-2941; Howard et al (2009) Bioorganic and Med. Chem. Letters 19(22):6463-6466)。
【0368】
いくつかの実施態様では、PBD化合物は、インビボで除去可能な窒素保護基を有するN10位においてそれらを保護することにより、プロドラッグとして用いることができる 国際公開第00/12507号;同第2005/023814号)。
【0369】
PBDダイマーは、抗体にコンジュゲートし、その結果得られたADCは抗がん特性を有することが示されている(米国特許出願公開第2010/0203007号)。PBDダイマー上の非限定的且つ例示的な結合部位には、五員のピロロ環、PBD単位間のテザー、及びN10−C11イミン基(国際公開第2009/016516号;米国特許出願公開第2009/304710号;同第2010/047257号;同第2009/036431号;同第2011/0256157号;国際公開第2011/130598号)が含まれる。
【0370】
ADCの非限定的且つ例示的なPBDダイマー成分は、式A:


並びにその塩及び溶媒和物であり、式中:
波線はリンカーへの共有結合部位を示し;
点線は、C1とC2、又はC2とC3の間の二重結合の任意選択的存在を示し;
は、独立して、H、OH、=O、=CH、CN、R、OR、=CH−R、=C(R、O−SO−R、COR及びCORから選択され、任意選択的に、更にハロ又はジハロから選択され、ここでRは、独立して、R、COR、COR、CHO、COH、及びハロから選択され;
及びRは、独立して、H、R、OH、OR、SH、SR、NH、NHR、NRR’、NO、MeSn及びハロから選択され;
は、独立して、H、R、OH、OR、SH、SR、NH、NHR、NRR’、NO、MeSn及びハロから選択され;
Qは、独立して、O、S及びNHから選択され;
11は、H又はRであり、ここでQは、O、SOMであり、Mはメタルカチオンであり
R及びR’の各々は、独立して、置換されていてもよいC1−8アルキル、C1−12アルキル、C3−8ヘテロシクリル、C3−20複素環、及びC5−20アリール基から選択され、任意選択的に、基NRR’に関して、R及びR’は、それらが結合する窒素原子と共に、置換されてもよい4、5、6又は7員の複素環式環を形成し;
12、R16、R19及びR17は、それぞれR、R、R及びRについて定義された通りであり;
R’’は、C3−12アルキレン基であり、この鎖は、一又は複数のヘテロ原子、例えばO、S、N(H)、NMe及び/又は芳香族環、例えばベンゼン又はピリジンによって中断されていてもよく、芳香族環は置換されていてもよく;且つ
X及びX’は、独立して、O、S及びN(H)から選択される。
【0371】
いくつかの実施態様では、R及びR’の各々は、独立して、置換されてもよいC1−12アルキル、C3−20複素環及びC5−20アリール基から選択され、任意選択的に基NRR’に関連して、R及びR’は、それらが結合する窒素原子と共に置換されてもよい4、5、6又は7員の複素環式環を形成する。
【0372】
いくつかの実施態様では、R及びR19はHである。
【0373】
いくつかの実施態様では、R及びR16はHである。
【0374】
いくつかの実施態様では、R及びR17は共にOR7Aであり、ここでR7Aは置換されてもよいC1−4アルキルである。いくつかの実施態様では、R7AはMeである。いくつかの実施態様では、R7AはChPhであり、ここでPhはフェニル基である。
【0375】
いくつかの実施態様では、XはOである。
【0376】
いくつかの実施態様では、R11はHである。
【0377】
いくつかの実施態様では、各モノマー単位においてC2とC3の間に二重結合が存在する。
【0378】
いくつかの実施態様では、R及びR12は、独立して、H及びRから選択される。いくつかの実施態様では、R及びR12は、独立してRである。いくつかの実施態様では、R及びR12は、独立して、置換されてもよいC20アリール又はC5−7アリール又はC8−10アリールである。いくつかの実施態様では、R及びR12は、独立して、置換されてもよいフェニル、チエニル、ナプチル(napthyl)、ピリジル、キノリニル、又はイソキノリニルである。いくつかの実施態様では、R及びR12は、独立して、=O、=CH、=CH−R、及び=C(Rから選択される。いくつかの実施態様では、R及びR12の各々は、=CHである。いくつかの実施態様では、R及びR12の各々はHである。いくつかの実施態様では、R及びR12の各々は=Oである。いくつかの実施態様では、R及びR12の各々は=CFである。いくつかの実施態様では、R及び/又はR12は、独立して=C(Rである。いくつかの実施態様では、R及び/又はR12は独立して=CH−Rである。
【0379】
いくつかの実施態様では、R及び/又はR12が=CH−Rであるとき、各基は、独立して、以下に示す構造のいずれかを有する:

いくつかの実施態様では、=CH−Rは構造(I)である。
【0380】
いくつかの実施態様では、R″はCアルキレン基又はCアルキレン基である。
【0381】
いくつかの実施態様では、ADCの例示的なPBDダイマー成分は式A(I):

A(I);
の構造を有し、式中、nは0又は1である。
【0382】
いくつかの実施態様では、ADCの例示的なPBDダイマー成分は式A(II):

A(II);
の構造を有し、式中、nは0又は1である。
【0383】
いくつかの実施態様では、ADCの例示的なPBDダイマー成分は式A(III):

A(III);
の構造を有し、式中、R及びRE”の各々は、独立して、H又はRから選択され、ここでRは上記のように定義され;且つnは0又は1である。
【0384】
いくつかの実施態様では、nは0である。いくつかの実施態様では、nは1である。いくつかの実施態様では、R及び/又はRE”はHである。いくつかの実施態様では、R及びRE”はHである。いくつかの実施態様では、R及び/又はRE”はRであり、ここでRは置換されてもよいC1−12アルキルである。いくつかの実施態様では、R及び/又はRE”はRであり、ここでRはメチルである。
【0385】
いくつかの実施態様では、ADCの例示的なPBDダイマー成分は式A(IV):

A(IV);
の構造を有し、式中、Ar及びArの各々は、独立して、置換されてもよいC5−20アリールであり;ここでAr及びArは同じでも異なっていてもよく;且つnは0又は1である。
【0386】
いくつかの実施態様では、ADCの例示的なPBDダイマー成分は式A(V):

A(V);
の構造を有し、式中、Ar及びArの各々は、独立して、置換されてもよいC5−20アリールであり;ここでAr及びArは同じでも異なっていてもよく;且つnは0又は1である。
【0387】
いくつかの実施態様では、Ar及びArの各々は、独立して、置換されてもよいフェニル、フラニル、チオフェニル及びピリジルから選択される。いくつかの実施態様では、Ar及びArの各々は、独立して、置換されてもよいフェニルである。いくつかの実施態様では、Ar及びArの各々は、独立して、置換されてもよいチエン−2−イル又はチエン−3−イルである。いくつかの実施態様では、Ar及びArの各々は、独立して、置換されてもよいキノリニル又はイソキノリニルである。キノリニル又はイソキノリニル基は、任意の可能な環位置を介してPBDのコアに結合していてよい。例えば、キノリニルは、キノリン−2−イル、キノリン−3−イル、キノリン−4yl、キノリン−5−イル、キノリン−6−イル、キノリン−7−イル及びキノリン−8−イルである。いくつかの実施態様では、キノリニルは、キノリン−3−イル及びキノリン−6−イルから選択される。イソキノリニルは、イソキノリン−1−イル、イソキノリン−3−イル、イソキノリン−4yl、イソキノリン−5−イル、イソキノリン−6−イル、イソキノリン−7−イル及びイソキノリン−8−イルとすることができる。いくつかの実施態様では、イソキノリニルは、イソキノリン−3−イル及びイソキノリン−6−イルから選択される。
【0388】
更なる非限定的且つ例示的なADCのPBDダイマー成分は、式B:

のもの、並びにその塩及び溶媒和物であり、式中:
波線はリンカーへの共有結合部位を示し;
OHに接続する波線は、S又はR構成を示し;
V1及びRV2は、独立して、H、メチル、エチル及びフェニル(このフェニルは、特に4位において、フルオロで置換されてもよい)、並びにC5−6ヘテロシクリルから選択され、ここでRV1とRV2は同じでも異なってもよく;且つ
nは、0又は1である。
【0389】
いくつかの実施態様では、RV1及びRV2は、独立して、H、フェニル、及び4−フルオロフェニルから選択される。
【0390】
いくつかの実施態様では、リンカーは、B環のN10のイミン、C環のC−2エンド/エクソ位、又はA環に結合するテザー単位を含む、PBDダイマー薬物部分の様々な部位の一つに結合する(以下の構造C(I)及びC(II)を参照)。
【0391】
非限定的且つ例示的なADCのPBDダイマー成分は、式C(I)及びC(II)を含む:

C(I)

C(II)
【0392】
式C(I)及びC(II)は、それらのN10〜C11のイミン形態で示されている。例示的なPBD薬物部分は、以下の表に示すような、カルビノールアミン、並びに保護されたカルビノールアミン形態も含む:
上式中:
XはCH(n=1〜5)、N、又はOであり;
Z及びZ’は、独立して、OR及びNRから選択され、ここでRは、1〜5の炭素原子を含有する一級、二級、又は三級アルキル鎖であり;
、R’、R及びR’の各々は、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C5−20アリール(置換されたアリールを含む)、C5−20ヘテロアリール基、-NH、−NHMe、−OH、及び−SHから選択され、この場合、いくつかの実施態様では、アルキル、アルケニル及びアルキニル鎖は最大5の炭素原子を含み;
及びR’は、独立して、H、OR、NHR、及びNRから選択され、ここでRは、1〜5の炭素原子を含有する一級、二級、又は三級アルキル鎖であり;
及びR’は、独立して、H、Me、及びOMeから選択され;
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C5−20アリール(ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシ,アルキル、ヘテロシクリルにより置換されたアリールを含む)及びC5−20ヘテロアリール基から選択され、ここで、いくつかの実施態様では、アルキル、アルケニル及びアルキニル鎖は最大5の炭素原子を含み;
11は、H、C−Cアルキル、又は保護基(例えばアセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(9−fluorenylmethylenoxycarbonyl)(Fmoc)、又はバリン−シトルリン−PAB)のような自己犠牲単位を含む部分であり;
12は、H、C−Cアルキル、又は保護基であり;
ここでR、R’、R、R’、R、又はR12のうちの一つの水素、又はA環の間の-OCHCH(X)CHCHO−スペーサーの水素は、ADCのリンカーに接続する結合で置換される。
【0393】
例示的なADCのPDBダイマー部分には、限定されないが、(波線はリンカーに対する共有結合の部位を示す):
PBDダイマー;
が含まれる。
【0394】
PBDダイマーを含むADCの非限定的且つ例示的な実施態様は、以下の構造:

PBDダイマー−val−cit−PAB−Ab;

PBDダイマー−Phe−Lys−PAB−Ab
を有し、ここで:nは0〜12である。いくつかの実施態様では、nは2〜10である。いくつかの実施態様では、nは4〜8である。いくつかの実施態様では、nは、4、5、6、7、及び8から選択される。
【0395】
更なる非限定的且つ例示的な、PBDダイマーを含有するADCは、モノメチルピリジル ジスルフィド、N10に結合したPBD(以下に示す)を抗体にコンジュゲートすることにより作製される:

【0396】
PBDダイマー−val−cit−PAB−AbとPBDダイマー−Phe−Lys−PAB−Abのリンカーは、プロテアーゼにより切断可能であり、PBDダイマー−マレイミド−アセタールのリンカーは酸不安定性である。
【0397】
PBDダイマーと、PBDダイマーを含むADCとは、当技術分野で既知の方法にしたがって調製されうる。例えば、国際公開第2009/016516号;米国特許出願公開第2009/304710号;同第2010/047257号;同第2009/036431号;同第2011/0256157号;国際公開第2011/130598号を参照されたい。
【0398】
(5)アントラサイクリン
いくつかの実施態様では、ADCはアントラサイクリンを含む。アントラサイクリンは、細胞傷害活性を呈する抗生物質化合物である。いかなる特定の理論にも拘束されることを意図しないが、研究により、アントラサイクリンが複数の異なるメカニズムにより細胞を死滅させる働きを有することが示されており、このようなメカニズムには以下が含まれる:1)細胞のDNA中への薬物分子のインタカレーションによる、DNA依存性の核酸合成の阻害;2)薬物による遊離ラジカルの生成と、次いで細胞高分子との反応により生じさせる細胞の損傷、及び/又は3)薬物分子と細胞膜との相互作用(例えば、C. Peterson et al., “Transport And Storage Of Anthracycline In Experimental Systems And Human Leukemia” in Anthracycline Antibiotics In Cancer Therapy; N.R. Bachur, “Free Radical Damage” id. at pp.97-102参照)。その細胞傷害能により、アントラサイクリンは、白血病、乳癌、肺癌、卵巣腺癌及び肉腫といった多数のがんの治療に使用されてきた(例えば、P.H- Wiernik, in Anthracycline: Current Status And New Developments p 11参照)。
【0399】
非限定的且つ例示的なアントラサイクリンには、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ダウノマイシン、ネモルビシン、及びこれらの誘導体が含まれる。ダウノルビシン及びドキソルビシンのイムノコンジュゲート及びプロドラッグの調製及び研究が行われてきた(Kratz et al (2006) Current Med. Chem. 13:477-523; Jeffrey et al (2006) Bioorganic & Med. Chem. Letters 16:358-362; Torgov et al (2005) Bioconj. Chem. 16:717-721; Nagy et al (2000) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:829-834; Dubowchik et al (2002) Bioorg. & Med. Chem. Letters 12:1529-1532; King et al (2002) J. Med. Chem. 45:4336-4343;EP0328147;米国特許第6630579号)。抗体−薬物コンジュゲートであるBR96−ドキソルビシンは、腫瘍関連抗原Lewis−Yと特異的に反応するもので、第I相及びII相試験において評価された(Saleh et al (2000) J. Clin. Oncology 18:2282-2292; Ajani et al (2000) Cancer Jour. 6:78-81; Tolcher et al (1999) J. Clin. Oncology 17:478-484)。
【0400】
PNU−159682は、ネモルビシンの強力な代謝産物(又は誘導体)である(Quintieri, et al. (2005) Clinical Cancer Research 11(4):1608-1617)。ネモルビシンは、ドキソルビシンのグリコシドアミノ上に2−メトキシモルホリノ基を含むドキソルビシンの半合成アナログであり、臨床評価段階が行われており(Grandi et al (1990) Cancer Treat. Rev. 17:133; Ripamonti et al (1992) Brit. J. Cancer 65:703;)、これには、肝細胞癌の第II/III相治験(Sun et al (2003) Proceedings of the American Society for Clinical Oncology 22, Abs1448; Quintieri (2003) Proceedings of the American Association of Cancer Research, 44:1st Ed, Abs 4649; Pacciarini et al (2006) Jour. Clin. Oncology 24:14116)が含まれる。
【0401】
ネモルビシン又はネモルビシン誘導体を含む非限定的且つ例示的なADCは、式Ia:

に示され、
式中、Rは水素原子、ヒドロキシ又はメトキシ基であり、RはC−Cアルコキシ基であるか、又はその薬学的に許容される塩であり;
及びZは連帯して本明細書に記載されるリンカー(L)であり;
Tは本明細書に記載される抗体(Ab)であり;且つ
mは1〜約20である。いくつかの実施態様では、mは1〜10、1〜7、1〜5、又は1〜4である。
【0402】
いくつかの実施態様では、R及びRは共にメトキシ(−OMe)である。
【0403】
ネモルビシン又はネモルビシン誘導体を含む更なる非限定的且つ例示的なADCは、式Ib:

に示され、
式中、Rは水素原子、ヒドロキシ又はメトキシ基であり、RはC−Cアルコキシ基であるか、又はその薬学的に許容される塩であり;
及びZは連帯して本明細書に記載されるリンカー(L)であり;
Tは本明細書に記載される抗体(Ab)であり;且つ
mは1〜約20である。いくつかの実施態様では、mは1〜10、1〜7、1〜5、又は1〜4である。
【0404】
いくつかの実施態様では、R及びRは共にメトキシ(−OMe)である。
【0405】
いくつかの実施態様では、ネモルビシン含有ADCのネモルビシン成分は、PNU−159682である。いくつかのこのような実施態様では、ADCの薬物部分は以下の構造のうちの一つを有することができ:
構造中、波線はリンカー(L)への結合を示す。
【0406】
PNU−159682を含むアントラサイクリンは、本明細書に記載されるリンカーを含む、複数の結合部位及び様々なリンカーを介して抗体にコンジュゲートできる(米国特許出願公開第2011/0076287号;国際公開第2009/099741号;米国特許出願公開第2010/0034837号;国際公開第2010/009124号)。
【0407】
ネモルビシンとリンカーを含む例示的なADCには、限定されないが、:

PNU−159682マレイミドアセタール−Ab;

PNU−159682−val−cit−PAB−Ab;


PNU−159682−val−cit−PAB−スペーサー−Ab;

PNU−159682−val−cit−PAB−スペーサー(R)−Ab(R及びRは、独立して、H及びC−Cアルキルから選択される);及び

PNU−159682−マレイミド−Ab
が含まれる。
【0408】
PNU−159682マレイミドアセタール−Abのリンカーは酸不安定性であり、PNU−159682−val−cit−PAB−Ab、PNU−159682−val−cit−PAB−スペーサー−Ab、及びPNU−159682−val−cit−PAB−スペーサー(R)−Abのリンカーはプロテアーゼにより切断可能である。
【0409】
(6)その他の薬物部分
薬物部分はまた、ゲルダナマイシン(Mandler et al (2000) J. Nat. Cancer Inst. 92(19):1573-1581; Mandler et al (2000) Bioorganic & Med. Chem. Letters 10:1025-1028; Mandler et al (2002) Bioconjugate Chem. 13:786-791);及び酵素的に活性な毒素及びその断片を含み、これには、限定されないが、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシン(モデシン)A鎖、アルファ−サルシン、アレウリテスフォーディ(シナアブラギリ)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(ヨウシュヤマゴボウ)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP−S)、モモルディカチャランチア(ツルレイシ)阻害剤、クルシン、クロチン、サパオナリアオフィシナリス(sapaonaria oficinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン及びトリコテセン(tricothecene)が含まれる。例えば、国際公開第93/21232を参照のこと。
【0410】
薬物部分は、核酸分解活性を有する化合物(例えば、リボヌクレアーゼ又はDNAエンドヌクレアーゼ)も含む。
【0411】
特定の実施態様では、イムノコンジュゲートは、高度に放射性の原子を含む。様々な放射性同位体が放射性コンジュゲート抗体の生成のために入手可能である。例として、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体が挙げられる。いくつかの実施態様では、イムノコンジュゲートは、検出用に使用される場合、シンチグラフ検査のための放射性原子、例えばTc99若しくはI123、又は核磁気共鳴(NMR)画像法(磁気共鳴画像法、MRIとしても知られている)のためのスピン標識、例えば、ジルコニウム−89、ヨウ素−123、ヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガン又は鉄を含む。ジルコニウム−89は、例えば、PET画像法のために、様々な金属キレート剤に複合化して、抗体にコンジュゲートすることができる(国際公開第2011/056983号)。
【0412】
放射能又は他の標識は、既知の方法でイムノコンジュゲートに取り込むことができる。例えば、ペプチドは、例えば一又は複数の水素の代わりに一又は複数のフッ素−19原子を含む適切なアミノ酸前駆体を用いて、生合成されるか又は化学的に合成される。いくつかの実施態様では、Tc99、I123、Re186、Re188及びIn111といった標識を、抗体中のシステイン残基を介して結合させることができる。いくつかの実施態様では、イットリウム−90を、抗体のリジン残基を介して結合させることができいる。いくつかの実施態様では、IODOGEN法(Fraker et al (1978) Biochem. Biophys. Res. Commun. 80 49-57)を、ヨウ素−123を取り込むために使用することができる。「Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy」(Chatal, CRC Press 1989)には、他の特定の方法が記載されている。
【0413】
特定の実施態様では、イムノコンジュゲートは、プロドラッグ活性化酵素にコンジュゲートした抗体を含む。いくつかのこのような実施態様では、プロドラッグ活性化酵素は、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤(国際公開第81/01145号参照))を、抗がん薬のような活性薬物に変換する。このようなイムノコンジュゲートは、いくつかの実施態様では、抗体依存性酵素媒介性プロドラッグ療法(「ADEPT」)において有用である。抗体にコンジュゲートしうる酵素には、限定されないが、以下が含まれる:ホスフェート含有プロドラッグを遊離薬物に変換させるのに有用なアルカリホスファターゼ;スルフェート含有プロドラッグを遊離薬物に変換させるのに有用なアリールスルファターゼ;非毒性の5−フルオロシトシンを抗がん薬の5−フルオロウラシルに変換させるのに有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離薬物に変換させるのに有用なプロテアーゼ、例えば、セラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ、及びカテプシン(例えばカテプシンB及びL);D−アミノ酸置換基を含有するプロドラッグを変換させるのに有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化されたプロドラッグを遊離薬物に変換させるのに有用な炭水化物開裂酵素、例えばβ−ガラクトシダーゼ及びノイラミニダーゼ;β−ラクタムで誘導体化されている薬物を遊離薬物に変換させるのに有用なβ−ラクタマーゼ;並びに、アミン窒素の位置においてそれぞれフェノキシアセチル基又はフェニルアセチル基で誘導体化されている薬剤を遊離薬物に変換させるのに有用なペニシリンアミダーゼ、例えばペニシリンVアミダーゼ又はペニシリンGアミダーゼ。いくつかの実施態様では、酵素は、当技術分野で周知の組み換えDNA技術により抗体に共有結合しうる。例えば、Neuberger et al., Nature 312:604-608 (1984)を参照のこと。
【0414】
c)薬物負荷
薬物負荷は、式Iの一分子中の抗体一つ当たりの薬物部分の平均数であるpにより表される。薬物負荷は、抗体一つ当たり1〜20個の薬物部分(D)でありうる。式IのADCは、1〜20個の範囲の薬物部分にコンジュゲートした抗体の集団を含む。コンジュゲート反応に基づくADCの調製における抗体一つ当たりの薬物部分の平均数は、質量分析、ELISAアッセイ、及びHPLCのような一般的な手段により特徴づけられる。pの観点からADCの量的分布も決定される。いくつかの例では、、同質のADC(pが特定値である)を、他の薬物負荷を有するADCから分離、精製、及び特徴づけすることは、逆相HPLC又は電気泳動などの手段により達成される。
【0415】
いくつかの抗体−薬物コンジュゲートの場合、pは抗体の結合部位の数によって限定される。例えば、上記特定の例示的実施態様のように結合がシステインチオールである場合、抗体は一つのみ又は複数のシステインチオール基を有するか、又はそれを介してリンカーが結合する一つのみ又は複数の十分に反応性のチオール基を有することができる。特定の実施態様では、より高い薬物負荷、例えばp>5は、特定の抗体−薬物コンジュゲートの凝集、不溶化、毒性、又は細胞透過性の欠失を引き起こすことがある。特定の実施態様では、ADCの平均薬物負荷は、1〜約8;約2〜約6;又は約3〜約5にわたる。実際、特定のADCについて、抗体一つ当たりの薬物部分の最適な比が8未満であり、約2〜約5でありうることが示されている(米国特許第7498298号)。
【0416】
特定の実施態様では、理論的最大値を下回る薬物部分がコンジュゲート反応の間に抗体にコンジュゲートする。抗体は、例えば、後述するように、薬物−リンカー中間体又はリンカー試薬と反応しないリジン残留物を含むことができる。通常、抗体は、薬物部分に結合しうる、反応性の遊離システインチオール基を多くは含まず;実際、抗体中の大部分のシステインチオール残基はジスルフィド架橋として存在する。特定の実施態様では、抗体は、部分又は全還元条件下において、ジチオスレイトール(DTT)又はトリカルボニルエチルホスフィン(TCEP)といった還元剤により還元されて、反応性システインチオール基を生成する。特定の実施態様では、抗体は、リジン又はシステインといった反応性求核基を明らかにするために、変性条件にさらされる。
【0417】
ADCの負荷(薬物/抗体比)は、様々な方法によって制御することができ、例えば:(i)抗体に対し、過剰モルの薬物−リンカー中間体又はリンカー試薬を制限すること、(ii)コンジュゲート反応時間又は温度を制限すること、並びに(iii)システインチオール修飾の還元条件を制限することによって制御されうる。
【0418】
複数の求核基が薬物−リンカー中間体又はリンカー試薬と反応する場合、結果として得られる生成物が、ADC化合物と、抗体に結合した一又は複数の薬物部分の分配との混合物であることを理解されたい。抗体一つ当たりの薬物の平均数は、二重ELISA抗体アッセイにより混合物から計算することができ、これは抗体に特異的であり、且つ薬物に特異的である。個々のADC分子は、質量分析により混合物中において同定され、HPLC、例えば疎水性相互作用クロマトグラフィーによって分離される(例えば、McDonagh et al (2006) Prot. Engr. Design & Selection 19(7):299-307; Hamblett et al (2004) Clin. Cancer Res. 10:7063-7070; Hamblett, K.J., et al. “Effect of drug loading on the pharmacology, pharmacokinetics, and toxicity of an anti-CD30 antibody-drug conjugate,” Abstract No. 624, American Association for Cancer Research, 2004 Annual Meeting, March 27-31, 2004, Proceedings of the AACR, Volume 45, March 2004; Alley, S.C., et al. “Controlling the location of drug attachment in antibody-drug conjugates,” Abstract No. 627, American Association for Cancer Research, 2004 Annual Meeting, March 27-31, 2004, Proceedings of the AACR, Volume 45, March 2004参照)。特定の実施態様では、単一の負荷値を有する均一なADCは、電気泳動又はクロマトグラフィーによりコンジュゲート混合物から単離される。
【0419】
d)特定のイムノコンジュゲート調製方法
式IのADCは、(1)共有結合を介し、抗体の求核基を二価性リンカー試薬と反応させてAb−Lを形成し、続いて薬物部分Dと反応させる;(2)共有結合を介し、薬物部分の求核基を二価性リンカー試薬と反応させてD−Lを形成し、続いて抗体の求核基と反応させることを含む、当業者に既知の有機化学反応、条件、及び試薬を用いる複数の経路により調製することができる。上記経路による式IのADCの例示的調製方法は、米国特許第7498298に記載されており、この特許文献は参照により本明細書に明確に包含される。
【0420】
抗体上の求核基には、限定されないが:(i)N末端アミン基、(ii)側鎖アミン基、例えばリシン、(iii)側鎖チオール基、例えばシステイン、及び(iv)抗体がグリコシル化されている糖のヒドロキシル基又はアミノ基を含む。アミン、チオール及びヒドロキシル基は求核性であり、(i)NHSエステル、HOBtエステル、ハロホルメート及び酸ハロゲン化物などの活性エステル、(ii)アルキル及びベンジルハロゲン化物、例えばハロアセトアミド;及び(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシル及びマレイミド基を含む、リンカー部分及びリンカー試薬上の求電子基と反応して共有結合を形成することができる。特定の抗体は、還元可能な鎖間ジスルフィド、即ちシステイン架橋を有する。抗体は、抗体を完全に又は部分的に還元されるように、DTT(ジチオスレイトール)又はトリカルボニルエチルホスフィン(TCEP)といったの還元剤を用いた処理によって、リンカー試薬とのコンジュゲーションに対して反応性にされる。したがって、各システイン架橋は、理論的には二の反応性チオール求核試薬を形成する。リジン残基の修飾、例えば、リジン残基と2−イミノチオラン(Trautの試薬)との反応によって、追加的な求核基を抗体内に導入することができ、その結果、アミンがチオールに変換される。一、二、三、四又はそれより多くのシステイン残基を導入することによって(例えば、一又は複数の非天然システインアミノ酸残基を含む変異抗体を調製することによって)、反応性チオール基も抗体内に導入することができる。
【0421】
本発明の抗体−薬物コンジュゲートは、アルデヒド又はケトン カルボニル基といった抗体上の求電子基と、リンカー試薬又は薬物上の求核基との反応によって生成することもできる。リンカー試薬上の有用な求核基には、限定されないが、ヒドラジド、オキシム、アミノ、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジン カルボキシレート、及びアリールヒドラジドが含まれる。一実施態様では、抗体は、リンカー試薬又は薬物上の求核置換基と反応することができる求電子部分を導入するために修飾される。別の実施態様では、グリコシル化された抗体の糖は、例えば過ヨウ素酸酸化剤で酸化させ、リンカー試薬又は薬物部分のアミン基と反応しうるケトン基又はアルデヒド基を形成させうる。得られたイミンシッフ塩基群は、安定な結合を形成しうる、又は例えば水素化ホウ素試薬によって還元されて安定なアミン結合を形成しうる。一実施態様では、グリコシル化された抗体の炭水化物部分と、ガラクトースオキシダーゼ又はメタ過ヨウ素酸ナトリウムとの反応により、薬物上の適切な基と反応することができる抗体中にカルボニル(アルデヒド及びケトン)基が生じる(Hermanson,Bioconjugate Techniques)。別の実施態様では、N末端セリン又はスレオニン残基を含有する抗体は、メタ過ヨウ素酸ナトリウムと反応して、第一のアミノ酸の代わりにアルデヒドを生成することができる(Geoghegan & Stroh, (1992) Bioconjugate Chem. 3:138-146;米国特許第5362852号)。このようなアルデヒドは、薬物部分又はリンカー求核試薬と反応させることができる。
【0422】
薬物部分上の例示的求核基は、(i)NHSエステル、HOBtエステル、ハロホルメート及び酸ハロゲン化物等の活性エステル;(ii)アルキル及びベンジルハロゲン化物、例えばハロアセトアミド;(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシル及びマレイミド基を含む、リンカー部分及びリンカー試薬上の求電子基と反応して共有結合を形成することができる、アミン、チオール、ヒドロキシル、ヒドラジド、オキシム、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジン カルボキシレート及びアリールヒドラジド基を含むがこれらに限定されない。
【0423】
ADCを調製するために使用される非限定的且つ例示的な架橋試薬は、本明細書の「例示的リンカー」の項に記載されている。このような架橋試薬を使用して、タンパク質性部分と化学的部分を含む二つの部分を結合させ方法は、当技術分野で既知である。いくつかの実施態様では、抗体を含む融合タンパク質及び細胞傷害性剤は、例えば、組み換え技術又はペプチド合成により作製することができる。組み換えDNA分子は、抗体をコードする領域と、互いに隣接しているか又はコンジュゲートの所望の特性を破壊しないリンカーペプチドをコードする領域により分離されているコンジュゲートの細胞傷害性部分を含む。
【0424】
また別の実施態様では、腫瘍の事前標的化に利用するための「受容体」(例えばストレプトアビジン)に抗体をコンジュゲートし、この場合、抗体−受容体コンジュゲートが患者に投与され、続いて洗浄剤を使用して循環から非結合コンジュゲートを除去し、次いで細胞傷害性剤(例えば、薬物又は放射性ヌクレオチド)にコンジュゲートさせた「リガンド」(例えばアビジン)の投与が行われる。
【0425】
E.診断及び検出のための方法及び組成物
特定の実施態様では、本明細書において提供される抗CD33抗体のいずれもが、生物学的試料中のCD33の存在を検出するために有用である。本明細書で使用する「検出」という用語は、定量的又は定性的検出を包含する。「生物学的試料」には、例えば、細胞又は組織(例えば、リンパ球、リンパ芽球、単球、骨髄性単球、及びこれらの混合物といった、がん性又はがん性の可能性があるリンパ組織を含む生検材料)が含まれる。
【0426】
一実施態様では、診断又は検出方法に使用される抗CD33抗体が提供される。さらなる態様では、生物学的試料中におけるCD33の存在を検出する方法が提供される。特定の実施態様では、方法は、生物学的試料を、抗CD33抗体のCD33への結合を許容する条件下において本明細書に記載される抗CD33抗体と接触させること、及び生物学的試料中において抗CD33抗体とCD33の間に複合体が形成されたかどうかを検出することを含む。このような方法は、インビトロ法又はインビボ法とすることができる。一実施態様では、抗CD33抗体は、抗CD33抗体を用いた療法に適した対象を選択するために使用され、例えばCD33は患者の選択のためのバイオマーカーである。更なる実施態様では、生物学的試料は細胞又は組織である。
【0427】
更なる実施態様では、抗CD33抗体は、例えば、がんの診断、予後判定、若しくは進行度診断を目的として、適切な治療過程の決定を目的として、又は治療法に対するがんの応答のモニタリングを目的として、インビボにおいて、例えば、インビボでの画像化により、対象中のCD33陽性がんを検出するために使用される。当技術分野で既知のインビボでの検出のための一方法は、免疫陽電子放出断層撮影(免疫PET)であり、これは例えば、van Dongen et al., The Oncologist 12:1379-1389 (2007) and Verel et al., J. Nucl. Med. 44:1271-1281 (2003)に記載されている。このような実施態様では、方法は、対象中のCD33陽性がんの検出のために提供され、この方法は、標識された抗CD33抗体を、CD33陽性がんを有する又は有すると疑われる個体に投与すること、及び対象中において標識された抗CD33抗体を検出することを含み、標識された抗CD33抗体の検出は対象中におけるCD33陽性がんを示す。このような実施態様の一部では、標識された抗CD33抗体は、68Ga、18F、64Cu、86Y、76Br、89Zr、及び124Iといった陽電子放射体にコンジュゲートした抗CD33抗体を含む。特定の一実施態様では、陽電子放射体は89Zrである。
【0428】
さらなる実施態様では、診断又は検出の方法は、基質に固定化されている第1の抗CD33抗体を、CD33の存在について試験される生物学的試料に接触させること、この基質を第2の抗CD33抗体に曝露すること、及び第2の抗CD33が、生物学的試料中において第1の抗CD33抗体とCD33との複合体に結合したかどうかを検出することを含む。基質は、任意の支持媒体、例えば、ガラス、金属、セラミック、ポリメリックビーズ、スライド、チップ、及びその他の基板とすることができる。特定の実施態様では、生物学的サンプルは細胞又は組織を含む。特定の実施態様では、第1の又は第2の抗CD33抗体は、本明細書に記載される抗体のいずれかである。
【0429】
上記実施態様のいずれかにより診断又は検出される例示的な障害には、CD33陽性がん、例えばCD33陽性AML、CD33陽性CML、CD33陽性MDS、CD33陽性慢性骨髄単球性白血病、CD33陽性APL、CD33陽性慢性骨髄増殖性疾患、CD33陽性血小板性白血病、CD33陽性pre−B−ALL、CD33陽性preT−ALL、CD33陽性多発性骨髄腫、CD33陽性マスト細胞疾患、CD33陽性マスト細胞白血病、CD33陽性マスト細胞肉腫、CD33陽性骨髄肉腫、CD33陽性リンパ性白血病、及びCD33陽性未分化白血病が含まれる。いくつかの実施態様では、CD33陽性がんは、抗CD33免疫組織化学(IHC)又はin situハイブリダイゼーション(ISH)のスコアが「0」を上回る、本明細書の実施例Bに記載される条件下において、腫瘍細胞の>90%における極めて弱い染色又は無染色に対応するがんである。別の実施態様では、CD33陽性がんは、本明細書の実施例Bに記載される条件下において定義された、1+、2+又は3+のレベルでCD33を発現する。いくつかの実施態様では、CD33陽性がんは、CD33 mRNAを検出する逆転写PCR(RT−PCR)アッセイによりCD33を発現するがんである。いくつかの実施態様では、RT−PCRは定量的RT−PCRである。
【0430】
特定の実施態様では、標識された抗CD33抗体が提供される。標識は、限定されないが、(例えば、蛍光標識、発色団標識、高電子密度標識、化学発光標識、放射性標識などの)直接検出される標識又は部分、並びに、例えば、酵素反応又は分子間相互作用を介して間接的に検出される酵素又はリガンドのような部分が含まれる。このような標識の例には、限定されないが、ラジオアイソトープ32P、14C、125I、H、及び131I、フルオロフォア、例えば希土類キレート又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシェフェラーゼ、例えばホタルルシェフェラーゼ及び細菌ルシェフェラーゼ(米国特許第4737456号)、ルシェフェリン、2,3−ジヒドロフタルジネジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖オキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘテロサイクリックオキシダーゼ、例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼを、色素前駆体、例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ、又はマイクロペルオキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピンラベル、バクテリオファージラベル、安定な遊離ラジカルなどを酸化するために過酸化水素を利用する酵素とカップリングさせたもの、などが含まれる。別の実施態様では、標識は陽電子放射体である。陽電子放射体には、限定されないが、68Ga、18F、64Cu、86Y、76Br、89Zr、及び124Iが含まれる。特定の一実施態様では、陽電子放射体は89Zrである。
【0431】
F.薬学的製剤
本明細書に記載される抗CD33抗体又はイムノコンジュゲートの薬学的製剤は、所望の度合いの純度を有するこのような抗体又はイムノコンジュゲートを、一又は複数の任意選択的な薬学的に許容される担体と混合することによって(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980))、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態に調製される。薬学的に許容される担体は、使用される投薬量及び濃度で日版的にレシピエントに毒性でなく、限定しないが、ホスフェート、シトレート、及び他の有機酸のような緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチオルベンジルアンモニウムクリド;ヘキサメトニウムクロライド;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジン;マンノサッカライド、ジサッカライド、及びグルコース、マンノース又はデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA;糖、例えばスクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);及び/又はポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。本明細書における典型的な薬学的に許容される担体は、介在性薬物分散剤、例えば水溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rhuPH20(HYLENEX(登録商標))、Baxter International、Inc.)などのヒト可溶性PH−20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質を更に含む。特定の典型的なsHASEGP及び使用法は、rHuPH20を含み、米国特許出願公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968に記載されている。一態様において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなどの一又は複数の更なるグリコサミノグリカナーゼと組み合わせられる。
【0432】
例示的な凍結乾燥抗体製剤又はイムノコンジュゲート製剤は、米国特許第6267958号に記載されている。水性抗体製剤又はイムノコンジュゲート製剤は、米国特許第6171586号及び国際公開第2006/044908号に記載されているものを含み、後者の製剤はヒスチジン−アセテート緩衝液を含む。
【0433】
本明細書の製剤は治療される特定の徴候に必要な一を超える活性成分、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するのも含有しうる。
【0434】
活性成分は、例えば、コアセルベーション技術又は界面重合法によって作られたマイクロカプセル、例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン−マイクロカプセル及びポリ−(メチルメタクリレート(methylmethacylate))マイクロカプセルに、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、ミクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)に、又はマクロエマルジョンに封入されてもよい。これらの技術は、RemingtonのPharmaceutical Sciences 16th edition、Osol、A. Ed.(1980)に開示されている。
【0435】
徐放性製剤が調製されてもよい。徐放性製剤の適切な例は、抗体又はイムノコンジュゲートを含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスを含み、このマトリックスは、成形品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。
【0436】
インビボ投与に使用される製剤は、一般的に無菌である。滅菌状態は、例えば、滅菌濾過膜を通して濾過することにより、容易に達成される。
【0437】
G.治療方法及び組成物
本明細書に提供される抗CD33抗体又はイムノコンジュゲートのいずれもが、方法、例えば治療方法に使用されうる。
【0438】
一態様では、本明細書に提供される抗CD33抗体又はイムノコンジュゲートは、CD33陽性細胞の増殖を阻害する方法に使用され、この方法は、細胞の表面上のCD33に対する抗CD33抗体又はイムノコンジュゲートの結合を許容する条件下において、細胞を抗CD33抗体又はイムノコンジュゲートに曝露し、それにより細胞の増殖を阻害することを含む。特定の実施態様では、方法は、インビトロ又はインビボ法である。更なる実施態様では、細胞は、リンパ球,リンパ芽球、単球、又は骨髄単球性細胞である。
【0439】
インビトロでの細胞増殖の阻害は、Promega(Madison、WI)より市販されている、CellTiter−GloTM Luminescent Cell Viability Assayを用いてアッセイされる。このアッセイは、代謝的に活性な細胞を示す、存在するATPの定量化に基づいて培養物中の生細胞の数を決定する。Crouch et al. (1993) J. Immunol. Meth. 160:81-88、米国特許第6602677号参照。このアッセイは96又は384ウェル形式で実施され、自動ハイスループットスクリーニング(HTS)に適したものにされる。Cree et al. (1995) AntiCancer Drugs 6:398-404参照。アッセイ手順は、単一の試薬(CellTiter−Glo(登録商標)試薬)を培養細胞に直接添加することを伴う。これにより細胞溶解が起こり、ルシフェラーゼ反応により生じる発光性のシグナルが生成される。発光性のシグナルは、存在するATPの量に比例し、培養物中に存在する生細胞の数に直接比例する。データは、ルミノメーター又はCCDカメラ撮像装置により記録することができる。発光出力は、発光量(RLU)として表わされる。
【0440】
別の態様では、医薬として使用される抗CD33抗体又はイムノコンジュゲートが提供される。更なる態様では、治療方法において使用される抗CD33抗体又はイムノコンジュゲートが提供される。特定の実施態様では、CD33陽性がんの治療に使用される抗CD33抗体又はイムノコンジュゲートが提供される。特定の実施態様では、本発明は、CD33陽性がんを有する個体の治療方法に使用される抗CD33抗体又はイムノコンジュゲートを提供し、この方法は、個体に対して有効量の抗CD33抗体又はイムノコンジュゲートを投与することを含む。このような一実施態様では、方法は更に、個体に対し、後述するような少なくとも一の追加的な治療剤の有効量を投与することを含む。
【0441】
更なる実施態様では、本発明は、医薬の製造又は調製における抗CD33抗体又はイムノコンジュゲートの使用を提供する。一実施態様では、医薬はCD33陽性がんの治療を目的とする。更なる実施態様では、医薬は、CD33陽性がんの治療方法における使用を目的とし、この方法は、CD33陽性がんを有する個体に対して有効量の医薬を投与することを含む。このような一実施態様では、方法は更に、個体に対し、後述するような少なくとも一の追加的な治療剤の有効量を投与することを含む。
【0442】
更なる態様では、本発明は、CD33陽性がんの治療方法を提供する。一実施態様では、方法は、このようなCD33陽性がんを有する個体に対し、有効量の抗CD33抗体又はイムノコンジュゲートを投与することを含む。このような一実施態様では、方法は更に、個体に対し、後述するような少なくとも一の追加的な治療剤の有効量を投与することを含む。
【0443】
上記実施態様のいずれかによるCD33陽性がんは、例えば、CD33陽性AML、CD33陽性CML、CD33陽性MDS、CD33陽性慢性骨髄単球性白血病、CD33陽性APL、CD33陽性慢性骨髄増殖性疾患、CD33陽性血小板性白血病、CD33陽性pre−B−ALL、CD33陽性preT−ALL、CD33陽性多発性骨髄腫、CD33陽性マスト細胞疾患、CD33陽性マスト細胞白血病、CD33陽性マスト細胞肉腫、CD33陽性骨髄肉腫、CD33陽性リンパ性白血病、及びCD33陽性未分化白血病である。いくつかの実施態様では、CD33陽性がんは、抗CD33免疫組織化学(IHC)又はin situハイブリダイゼーション(ISH)のスコアが「0」を上回る、本明細書の実施例Bに記載される条件下において、腫瘍細胞の>90%における極めて弱い染色又は無染色に対応するがんである。別の実施態様では、CD33陽性がんは、本明細書の実施例Bに記載される条件下において定義された、1+、2+又は3+のレベルでCD33を発現する。いくつかの実施態様では、CD33陽性がんは、CD33 mRNAを検出する逆転写PCR(RT−PCR)アッセイによりCD33を発現するがんである。いくつかの実施態様では、RT−PCRは定量的RT−PCRである。
【0444】
上記実施態様のいずれかによる「個体」は、ヒトである。
【0445】
更なる実施態様では、本発明は、例えば、上記治療方法のいずれかにおける使用のための、本明細書に提供される抗CD33抗体又はイムノコンジュゲートのいずれかを含む薬学的製剤を提供する。一実施態様では、薬学的製剤は、本明細書に提供される抗CD33抗体又はイムノコンジュゲートのいずれかと薬学的に許容される担体を含む。別の実施態様では、薬学的製剤は、本明細書に提供される抗CD33抗体又はイムノコンジュゲートのいずれかと、例えば後述のような少なくとも一の追加的な治療剤を含む。
【0446】
本発明の抗体又はイムノコンジュゲートは、治療において、単独で、又は他の薬剤と組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の抗体又はイムノコンジュゲートは少なくとも1つの追加的な治療剤と同時投与されうる。
【0447】
上記のこうした併用療法は、併用投与(二つ以上の治療剤が、同一又は別々の製剤に含まれている)、及び本発明の抗体又はイムノコンジュゲートの投与が、追加的な治療剤及び/又はアジュバントの投与の前、投与と同時、及び/又は投与の後に起きうる分離投与を包含する。本発明の抗体又はイムノコンジュゲートは、放射線療法と組み合わせて使用することもできる。
【0448】
本発明の抗体又はイムノコンジュゲート(及び追加的な治療剤)は、非経口、肺内、及び鼻腔内、並びに局所治療のために望ましい場合は、病巣内投与を含む任意の適切な手段により投与することができる。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内又は皮下投与を含む。投薬は、その投与が短期間か又は長期であるかどうかに部分的に依存して、任意の適切な経路、例えば、静脈内又は皮下注射などの注射により行うことができる。限定されないが、様々な時間点にわたる、単一又は複数回投与、ボーラス投与、パルス注入を含む様々な投薬スケジュールが本明細書において考慮される。
【0449】
本発明の抗体又はイムノコンジュゲートは、医学実行動規範に合致する方法で処方され、調剤され、投与される。この観点において考慮すべき要因は、治療される特定の障害、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤送達部位、投与方法、投与日程及び医療従事者に既知の他の要因を含む。本発明の抗体又はイムノコンジュゲートは、必ずしも必須ではないが任意選択的に、当該問題の障害を予防若しくは治療するのに目下使用されている一又は複数の薬剤と共に製剤化される。このような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体又はイムノコンジュゲートの量、障害又は治療の種類、及び上記以外の要因によって決まる。これらは一般的には本明細書に記載されるのと同じ投薬量及び投与経路において、又は、本明細書に記載された用量の1%から99%で、又は経験的に/臨床的に妥当であると決定された任意の投薬量及び任意の経路により、使用される。
【0450】
疾病の予防又は治療のための、本発明の抗体又はイムノコンジュゲートの適切な用量は(単独で、又は一又は複数の他の追加的治療剤と組み合わせて使用されるとき)、治療される疾患の種類、抗体又はイムノコンジュゲートの種類、疾患の重症度及び経過、抗体又はイムノコンジュゲートが予防目的で又は治療目的で投与されるのか、治療歴、患者の病歴及び抗体又はイムノコンジュゲートに対する応答、並びに主治医の判断に依拠するであろう。抗体又はイムノコンジュゲートは、患者に対して、単回で、又は一連の治療にわたって適切に投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、例えば一回以上の別個の投与によるか、連続注入によるかに関わらず、約1μg/kg〜15mg/kg(例えば0.1mg/kg〜10mg/kg)の抗体又はイムノコンジュゲートが患者への投与のための初期候補用量となりうる。一つの典型的な一日当たり投薬量は、上記要因に応じて約1μg/kg〜100mg/kg以上の範囲である。数日間以上にわたる反復投与の場合には、状態に応じて、治療は疾患症状の望まれる抑制が起こるまで持続されるであろう。抗体又はイムノコンジュゲートの一の例示的投薬量は、約0.05mg/kg〜約10mg/kgであろう。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg又は10mg/kgの一又は複数の用量(又はこれらのいずれかの組み合わせ)を患者に投与してよい。このような用量は断続的に、例えば毎週又は三週毎(例えば患者が約2から約20、例えば抗体の約6用量を受けるように)投与してよい。初期の高負荷用量の後、一つ以上の低用量を投与してよい。しかしながら、他の用量用法も有用でありうる。この治療法の進行は、従来の技術及びアッセイにより容易にモニタリングされる。
【0451】
上記製剤又は治療方法のいずれもが、本発明のイムノコンジュゲートと抗CD33抗体の両方を使用して実施できると理解される。
【0452】
H.製造品
本発明の別の態様では、上述した障害の治療、予防、及び/又は診断に有用な材料を含む製造品が提供される。製造品は、容器と容器上の又は容器に付随するラベル又はパッケージ挿入物を含む。好適な容器は、例としてボトル、バイアル、シリンジ、IV輸液バッグなどを含む。容器はガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成されうる。容器は、障害の治療、予防、及び/又は診断に有効な、単独の又は別の組成物と併用される組成物を保持し、無菌のアクセスポートを有することができる(例えば、容器は皮下注射針により穿孔可能なストッパーを有する静脈内溶液のバッグ又はバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも一の活性剤は本発明の抗体又はイムノコンジュゲートである。ラベル又はパッケージ挿入物は、選択された病態を治療するために組成物が使用されることを示している。更に、製造品は、(a)本発明の抗体又はイムノコンジュゲートを含む組成物を中に収容する第一の容器;及び(b)更なる細胞傷害性剤又はその他の治療剤含む組成物を中に収容する第二の容器を含みうる。本発明のこの実施態様における製造品は、特定の疾患を治療するために組成物が使用できることを示すパッケージ挿入物を更に含んでもよい。代わりに、又は加えて、製造品は、薬学的に許容可能な緩衝液、例えば注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液又はデキストロース溶液を含む第二(又は第三)の容器を更に含んでもよい。製造品は、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針及びシリンジを含む、商業的及び使用者の観点から望ましい他の材料を更に含むことができる。
【実施例】
【0453】
以下は本発明の方法及び組成物の実施例である。上記に提供された一般的な説明を前提として、他の様々な実施態様が実施されうる。
【0454】
実施例1
A.モノクローナル抗体の生成
ヒト(hu)及びカニクイザル(cyno)のCD33に対するモノクローナル抗体を、哺乳動物の発現系に発現されるC末端Flagに融合した組み換えhu及びcynoCD33細胞外ドメイン(ECD、1〜262のhuCD33及び1〜257のcynoCD33のアミノ酸)で動物を免疫化することにより、以下の手順を用いて生成した。
【0455】
陽性のクローンを増やし、ELISA及びFACSにより、huCD33及びcynoCD33への結合について再度スクリーニングした。九つのクローン、即ち:組み換えヒト及びカニクイザルCD33を発現する安定な細胞株と、急性骨髄性白血病腫瘍細胞株上に発現した腫瘍由来のCD33とを用いた蛍光活性化セルソーティング(FACS)により、強く反応した33H4、33F9、27C6、2E4、7A1、9C2、9C3、10D3及び15G15が同定された。変異体は、9C3.2、9C3.3、9C3.4、15G15.33、15G15.37、15G15.83、15G15.88、15G15.7、15G15.17、15G15.30、15G15.31、15G15.39、及び15G15.84を含む、9C3及び15G15から作製された。いくつかの事例では、一価の結合親和性を、Biacoreにより決定した(データは示さない)。
【0456】
単離された重鎖及び軽鎖の配列を、図1〜4と以下の配列表に示す。残基番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)に従う。
【0457】
B.種交差反応性
モノクローナル抗体がcynoCD33(huCD33タンパク質と86.3%の同一性を有する)と交差反応するかどうかを決定するために、これら抗体を試験した。ヒト又はカニクイザルのCD33を安定して発現するHEK293AD細胞を使用して、FACSにより種特異性を決定した。細胞を、抗体クローンと共に、1μg/mlで40分間4℃でインキュベートし、洗浄し、goat−anti−mIgG(H+L)F(ab’)−488又はgoat−anti−hIgG(H+L)F(ab’)−488二次抗体を用いて検出した。図5A〜Dは、6個の抗体(7A1、9C2、10D3、15G15、27C6及び33F9)が組み換えhu及びcynoCD33の両方を認識する一方、二つの抗体(33H4及び23E4)はMY9.6と同様の結合プロフィルを有し、ヒトCD33にのみ結合することを示している。カニクイザルCD33に対する交差反応性の更なる確認は、カニクイザル(モーリシャス起源)由来の血液のFACS分析により行った。図7A〜Dは、7A1、9C2、10D3、15G15、33F9及び27C6はカニクイザルCD14/CD33骨髄細胞を染色するが、33H4、23E4又はMY9.6は染色しなかったことを示している。抗体結合は、ヒトCD14/CD33骨髄細胞についても確認された。腫瘍細胞は、タンパク質のグリコシル化パターンを、例えば、免疫応答から逃れるように改変する可能性を有するので、本発明の抗体がこのような修飾の影響を受けないことを保証するために、AML腫瘍細胞株Molm13、HL−60、EOL−1、THP−1及びU937と、AMLの症例であることが確認された患者由来の骨髄とに対してFACSを行った。図6A〜Dは、Molm−13又は陽性AML試料に結合する抗体の代表的な例を示す。このような結果は、CD33に結合する抗体が、AML腫瘍細胞株又は患者試料に見られる改変されたグルコシル化の影響を受けないことを示唆するものである。
【0458】
C.モノクローナル抗体のエピトープのグループ化
抗CD33抗体のエピトープビニングを、オクテットRED384機器(ForteBio)を用いて実施した。ビオチン化したCD33を、ストレプトアビジンバイオセンサー上に、10μg/mlで60秒間捕獲した。飽和状態に達する第1の抗体の結合が、50μg/mlを600秒間添加することにより達成された。同じバイオセンサーを5μg/mlの競合抗体に浸し、結合を300秒間測定した。飽和量の第1の抗体の存在下において第2の抗体が結合しないことは、二つの抗体が同じエピトープビンに属することを示唆し;飽和量の第1の抗体の存在下において第2の抗体が結合することは、二つの抗体が異なるエピトープビンに属することを示唆する。My9.6を、第1の飽和抗体として、続いて競合抗体27C6、23E4、33H4、33F9、9C2、7A1、10D3、及び15G15を使用した。続く実験では、抗体33H4、27C6、23E4、7A1、33F9、及び15G15を飽和抗体として使用し、分析を完了及び確認した(データは示さない)。
【0459】
図8A〜Cは、CD33に対する抗体のエピトープビニングを示し、33F9、7A1、9C2、10D3及び15G15はMY9.6と同じビンであるが、27C6、23E4及び33H4はそうでないことが示されている。更に、27C6は他のすべての抗体と異なるエピトープを有し、23E4と33H4は重複するエピトープを共有することが決定された(データは示さない)。cyno−CD33に対するエピトープビニングは、7A1、9C2、10D3、及び15G15は同じビンであるが、このビンは27C6と33F9を含まないことを示す(図8D)。これにより、27C6と33F9がcyno−CD33上の異なるエピトープに結合することが示唆される。データは、27C6と33F9が同じビンでないことも明らかにした(データは示さない)。ヒトビニングは、MY9.6の、7A1、9C2、10D3、15G15及び33F9との重複を示すが、FACSのデータにより、MY9.6、23E4及び33H4がcyno−CD33に結合しないことが示されており、したがって、MY9.6のCD33に対するエピトープは、恐らくは7A1、9C2、10D3、15G15及び33F9と同一ではない。
【0460】
エピトープのグループ化は、更に、細胞ベースの競合結合FACSアッセイを用いて決定された。組み換えヒトCD33を発現するHEK293AD細胞を、Dylight−650標識化トレーサー抗体(0.3−1μg/ml)及び50〜100倍過多の標識化していない競合抗体を用いて同時にインキュベートした。標識化していない抗体でトレーサーを置換すると競合が起こり、抗体が、CD33上の同じ又は類似の領域に結合すること示唆された。これは、同じ抗体がトレーサー及び競合抗体として使用されるときに起こるものである。異なる標識化していない抗体でトレーサーを置換しないとき、標識化していない抗体はCD33の異なる領域に結合している。
【0461】
図9は、15G15 Dylight−650トレーサー抗体を、トレーサーの50倍過多の標識化していない競合抗体と共に使用した、代表的な実施例を示している。オクテットデータに観察されるように、27C6は15G15と競合しなかった。三つの他の抗体(9C2、33F9、及び10D3)は、競合を示したが、標識していない15G15に見られた範囲程ではなく、これらのエピトープは類似しているものの同一ではないことが示唆された。
【0462】
図10A−Bに示すように、9C3はhu及びcynoCD33に結合することが示された。しかしながら、競合抗体15G15は9C3標識化トレーサー抗体を置換せず、huCD33の異なる領域に結合することが示唆された(図10C)。9C3の物理的特徴づけにより、重鎖のCDR2とCDR3の間の69位(kabat#)に非定型のN結合グリコシル化部位が同定された。部位特異的突然変異誘発を使用してこの部位を除去した。図11は、FACS及びスキャッチャード解析によるCD33に対する結合の向上を示す(表2)。
【0463】
CD33抗体がCD33のIg様V又はIg様Cドメインに結合するかを決定するために、標準的な分子クローニング法を用いて、無関係なIg様C(TM/CDを含む;コンストラクト−88B)に結合したCD33 Ig様V(スペーサーH137〜H143を含むM17〜V136)又はCD33 Ig様C(TMを含むR144−Q228/CD L229)(コンストラクト−88)に結合した無関係なIg様Vを含有するキメラIg様ドメイン膜タンパク質をエンジニアリングした。図12Aを参照。これらコンストラクトによりトランスフェクトされた293細胞が細胞膜にタンパク質を発現することを確認するために、N末端又は細胞質のタグを結合させた(データは示さない)。簡潔には、293細胞を、ポリフェクトを用いてコンストラクト88&88Bで一時的にトランスフェクトした。48時間後、細胞を、1〜10μg/mlのDylight−650標識化7A1、9C2、10D3又は15G15で30〜40分間4℃で染色し、洗浄し、BD FACS caliburで分析した。
【0464】
図12Dにおいて、抗体7A1、9C2、10D3及び15G5は、コンストラクト88B中のCD33のIg様Vに対する有意な結合−アイソタイプコントロールと比較して少なくとも100倍多い結合を示した。しかしながら、コンストラクト88中のCD33 Ig様Cに対する結合は見られなかった(図12C)−実際、結合はmockトランスフェクト細胞(図12B)と同等であった。抗体により、無関係のIg様Vドメインに対する陽性シグナルがコンストラクト88において検出され、コンストラクトが細胞表面上に発現されることが確認された(データは示さない)。
【0465】
CD33のIg様Vドメインは、CD33に対する抗体の結合に影響しうる、二つのN結合グリコシル化部位(NXS/T)とCD33の69位のSNP(R69G;r2455069)を含有する。これら二つのN結合グリコシル化部位の影響を試験するために、S102位及びS115位におけるセリン残基を、標準的な部位特異的突然変異誘発(QuikChange II,Agilent Technologies)を用いてアラニンで置換し、完全長huCD33膜コンストラクトのIg様VドメインにおいてN100位及びN113位それぞれのN−結合型グリコシル化を低減又は破壊した。コンストラクトは、単一の変異(S115A)又は二重変異(S102A/S115A)を含んでおり、ポリフェクト(Promega)を用いた一過性のトランスフェクションにより293AD細胞に発現された(図13A)。Dylight−650にコンジュゲートした1μg/mlの抗体を用いたFACSを48時間後に実行した。図13Bは、代表的な実施例であるクローン15G15の結果を示し、このクローンは、アイソタイプコントロールと比較して18〜44倍高い蛍光光度に示されるように、部分的に又は完全に脱グリコシル化されたhuCD33のIg様V形態を発現する一時的にトランスフェクトされた細胞に対する有意な結合を呈した。この実験は、抗体の結合が、Ig様Vドメイン内のN−結合型グリコシル化とは無関係であることを実証するものである。(安定的に高レベルのrhCD33を発現するHEK 293ADは、ポジティブコントロール染色として使用されたものであり、一時的にトランスフェクトされた細胞による発現の定量化のための基準として適さない。)
【0466】
Ig様Vドメインに結合する抗体に対するSNP(R69G)の影響を、標準的な部位特異的突然変異誘発及び上述の293AD細胞におけるR69G変異体の発現を用いて、huCD33のアミノ酸位69におけるグリシン及びアルギニンの効果により調査した(図14A)。
【0467】
図14B〜Cは、試験された抗体がR69 CD33及びG69 CD33に結合したこと、及び結合はhuCD33の二つの形態の間で類似していたこと(データは示さない)を示している。
【0468】
D.抗体親和性
33H4、33F9、27C6、2E4、7A1、9C2、9C3、9C3.2、9C3.3、9C3.4、10D3、15G15、15G15.33、15G15.83、及び15G15.88を含む抗体の相対的結合親和性を決定するために、以下の標準的な手順に従ってスキャッチャード解析を実施した(Holmes et al., Science 256:1205-1210 (1992))。
【0469】
抗CD33抗体を、直接的Iodogen法を用いて[I125]標識した。[I125]標識した抗CD33抗体は、NAP−5カラム(GE Healthcare)を用いたゲル濾過により遊離125I−Naから精製され;精製されたヨウ素化抗CD33抗体は、8〜10μCi/μgの特定の活性範囲を有していた。固定濃度の[I125]標識抗体と、連続希釈により濃度を徐々に低下させた非標識抗体とを含有する体積50μLの競合アッセイ混合物を、96ウェルプレートに配置した。安定して組み換えhu又はcynoCD33を発現するHEK293AD細胞又は内因性CD33を発現するMolm−13腫瘍細胞を、増殖培地において37℃及び5%のCOで培養した。細胞を、Sigma Cell Dissociation Solutionを用いてフラスコから分離し、1%のウシ血清アルブミン(BSA)、300mMのヒトIgG及び0.1%のアジ化ナトリウムを含むDulbecco’s Modified Eagle Medium(DMEM)からなる結合バッファーで洗浄した。洗浄済みの細胞を96ウェルプレートに、0.2mLの結合バッファー中100000個の細胞密度で添加した。各ウェル内の[I125]標識抗体の最終濃度は〜250pMであった。競合アッセイの非標識抗体の最終濃度は、十回の2倍希釈工程により1000nM〜バッファーのみのアッセイの0nMであった。競合アッセイは3重に実施した。競合アッセイは、2時間室温でインキュベートした。2時間のインキュベーション後、競合アッセイを、Millipore Multiscreenフィルタープレート(Billerica、MA)に移し、4回にわたって結合バッファーで洗浄し、結合した[I125]標識抗体から遊離したものを分離した。フィルターは、Wallac Wizard 1470ガンマ計数器で数えた(PerkinElmer Life and Analytical Sciences Inc.;Wellesley,MA)。結合データは、抗体の結合親和性を決定するために、MunsonとRobardのフィッティングアルゴリズム(Munson and Robard 1980)を使用する、NewLigandソフトウェア(Genentech)を用いて評価した。
【0470】
表2は、HEK293AD CD33安定細胞により発現される組み換えhu及びcynoCD33と、Molm−13細胞とに対する親和性(0.2〜23nMのkD範囲)を示している。
【0471】
E. 抗CD33抗体の内部移行
ADC標的の一つの望ましい属性は、抗体を、細胞内の分解区画中に内部移行させる能力である。結合時に抗CD33抗体が内部移行するかどうかを決定するため、細胞培養物で処理した4ウェルチャンバースライド(Nalge Nunc International)に播種する前に、HL−60又はMolm−13細胞を、RPMI培地において0.3mg/mlのhIgGと共に37℃で2時間プレインキュベートし、FcRに対する非特異的結合を低減した。最終濃度1μg/mLでDylight488に直接コンジュゲートした抗体を、暗所においてhIgGブロック細胞と共に氷上で30分間インキュベートした。細胞を直ちに画像化して膜染色を示し(T0)、続いてLeica SP5共焦点顕微鏡を用いて37℃で10時間にわたるタイムラプス写真撮影を行った。図15Aに示すように、代表的な実施例である15G15は、HL−60により30分以内で急速に内部移行する。リソソームへの15G15の局在化が、薬物コンジュゲートの標的細胞殺傷能力を測定するインビトロでの細胞ベースアッセイを用いて確認された。簡潔には、Molm−13又はEOL−1細胞を、0.3mg/mlの低エンドトキシンhIgGを含有するRPMIと共に2時間にわたり37℃でプレインキュベートしてFcRに対する非特異的結合を低減させ、96ウェルプレートに1ウェル当たり8000〜16000個の密度で広げた。試験物のアイソタイプ−L−D#1又は15G15.33 L−D#1を、3重工程で最終濃度範囲0〜1000ng/mlで細胞に加え、〜60時間にわたり37℃で5%のCOと共にインキュベートした。CellTiter−Glo(Promega,Inc.)及びEnvision 2012 Multilabel Reader(Perkin Elmer)を用いて細胞生存率を決定した。図15Bは、アイソタイプADCと比較した場合の、15G15.33−L−D#1 ADCによる標的細胞の特異的殺傷及び完全消滅を示し(それぞれ6及び63ng/mlのEC50)、よってリソソーム中のADCの輸送及び処理を確認するものである。両方のADCは類似の薬物負荷を有していた。
【0472】
F.抗CD33抗体薬物コンジュゲートの生成
更に大規模な抗体生成のために、抗体をCHO細胞中で生成した。VL及びVHのコード化のためのベクターを、CHO細胞中にトランスフェクトし、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーによりIgGを細胞培養培地からIgGを精製した。
【0473】
抗CD33抗体−薬物コンジュゲート(ADC)を、重鎖A118C変異を含む15G15(15G15 thio−HC A118C)、及び重鎖A118C変異を含む15G15.33(15G15.33 thio−HC A118C)、又は軽鎖V205C変異(15G15.33 thio−LC V205C)を薬物−リンカー部分モノメチル−ピリジル ジスルフィド、N10−結合ピロロベンゾジアゼピン(図16参照;L−D #1)又はアセタールリンカー−PNUを有するマレイミド(図17参照;L−D #2)にコンジュゲートすることにより精製した。はじめに単離されたため、抗体15G15及び15G15.33中の改変システイン残基は細胞チオールとの混合ジスルフィドとして存在し(例えば、グルタチオン)したがってコンジュゲーションには使用されない。例えばJunutula et al. (2008) Nat. Biotechnol. 26:925-932及び米国特許出願公開第2011/0301334号に以前に記載されたように、これら抗体の部分的低減(例えば、DTTによる)、精製、及びデヒドロアスコルビン酸(DHAA)による再酸化により、コンジュゲーションに利用可能な遊離システインスルフヒドリル基を含む抗体が得られる。簡潔には、抗体を薬物−リンカー部分と組み合わせて薬物−リンカー部分と抗体の遊離システイン残基とのコンジュゲーションを可能にした。数時間後、ADCを精製した。各ADCの薬物負荷(抗体一つ当たりの薬物部分の平均数)を決定したところ、PBDコンジュゲートの場合は1.4〜1.6であり、PNUコンジュゲートの場合は1.3であった。
【0474】
G.HL−60及びEOL−1ヒト急性骨髄性白血病細胞株異種移植モデルにおける抗CD33抗体薬物コンジュゲートの有効性
抗CD33 ADCの有効性を、ヒト急性骨髄性白血病異種移植モデルのHL−60(AMLサブタイプM2)及びEOL−1(AMLサブタイプM4a)を用いて調査した。それらの遺伝的特質及び分子異常の結果として、両モデルが中程度から不良の予後に関連付けられる。メスC.B−17 SCIDマウス(Charles River Laboratories;Hollister、CA)の各々の側腹部領域に、HL−60又はEOL−1の細胞五百万個を皮下接種した。異種移植片腫瘍が100〜300mmの平均腫瘍体積に達したとき(0日目と呼ぶ)、動物は、7〜10匹のマウスからなる群に無作為化し、単独のADCの静脈内注射を与えた。ADC投与の約4時間前に、動物に、過量(30mg/kg)の抗gDコントロール抗体を腹腔内投薬し、腫瘍細胞上にありうる非特異的抗体結合部位をブロックした。マウスの腫瘍及び体重を、試験期間を通じて週に1〜2回測定した。体重の減少が開始時の>20%となったとき、マウスを速やかに安楽死させた。腫瘍が3000mm3に達するか、又は潰瘍になりそうな徴候が見える前に、すべての動物が安楽死させられた。抗体の存在を、注射後1、7及び14日後に、PK出血により確認した。
【0475】
図16A−Bに示すように、15G15.33−L−D#1の用量1mg/kg又は20μg/mにおいて、HL−60及びOL−1モデルの両方に実質的な腫瘍増殖の阻害が達成され、それよりも低い用量では、ネガティブコントロールの抗体−薬物コンジュゲートと比較して腫瘍増殖は遅かった。図17に示すように、単独の11.9mg/kg用量の15G15 L−D #2は、HL−60モデルにおいて腫瘍増殖を遅らせることが分かった。
【0476】
前述の発明は、明確な理解を目的として例示及び実施例によってある程度詳細に説明さているが、これらの記載や実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に引用されるすべての特許及び科学文献の開示内容は、参照によりその全体が本明細書に包含される。

【0477】
配列表
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A-B】
図8C-D】
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]