(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502952
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】クリンチ・タイプの接合を作成するためのツール
(51)【国際特許分類】
B21D 39/03 20060101AFI20190408BHJP
【FI】
B21D39/03 B
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-552679(P2016-552679)
(86)(22)【出願日】2014年11月4日
(65)【公表番号】特表2016-539811(P2016-539811A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】EP2014073718
(87)【国際公開番号】WO2015063333
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2017年10月17日
(31)【優先権主張番号】1300686-1
(32)【優先日】2013年11月4日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】516133445
【氏名又は名称】ベルホフ アッテクサー エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ドゥブニョン,オリビエ
(72)【発明者】
【氏名】フェーブル,ジャン−クロード
【審査官】
石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04803767(US,A)
【文献】
特表2003−530221(JP,A)
【文献】
特表2003−513806(JP,A)
【文献】
特開2003−033829(JP,A)
【文献】
特開2005−131699(JP,A)
【文献】
特表2000−511470(JP,A)
【文献】
特開平10−180374(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0258824(US,A1)
【文献】
米国特許第05315743(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 39/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上のシート状部材の間のクリンチ・タイプの接合を作成するツールであって、
該ツールは、2つの別個のツール部品、すなわち前記接合をもたらすために協働する、パンチを備える第1のツール部品と、同軸のダイス型と共に設けられる第2のツール部品と、を含み、
パンチは、アンビル(3)が配置されるダイス型ケビティの底部においてダイス型ケビティと共に設けられる、同軸のダイス型本体(1)の方向へ直線運動で駆動されるように配置され、
同軸のダイス型は、ダイス型本体(1)と、ばね要素(5)からの力に対するダイス型本体(1)の長手軸に垂直なダイス型本体(1)の端部に配置された支持表面(10)の上で側方に摺動するように配置される少なくとも2つの動作可能なダイス型要素(4)と共に設けられ、
ダイス型は少なくとも2つの動作可能なダイス型要素(4)を含み、
ばね要素(5)は、円筒状ケージの全体形状を有しており、その円筒状ケージの表面は、ケージの上端に長い弾性アーム(11)の自由端を備えるケージの周囲で仕切られた、対応する数の長い弾性アーム(11)を形成するための多くのスロットと共に設けられ、
各アーム(11)の自由端は、動作可能なダイス型要素(4)のうちの対応する一つに弾性力を移すために、動作可能なダイス型要素(4)のうちの対応する一つに対して側方で支えるように配置される曲げフランジ(12)と共に設けられ、
曲げフランジ(12)は、ダイス型本体に固定されているケージ(5)に対する軸動作について対応する動作可能なダイス型要素(4)の一つを遮断するために、対応する動作可能なダイス型要素(4)の一つのヒール部分(13)のまわりを把持するために付加的に配置される、ことを特徴とするツール。
【請求項2】
周囲で仕切られたスロットの数は、動作可能なダイス型要素(4)の数以上あることを特徴とする、請求項1に記載のツール。
【請求項3】
円筒状ケージは、ダイス型本体(1)の外径と本質的に等しい内径を有することを特徴とする、請求項1乃至2の何れかに記載のツール。
【請求項4】
円筒状ケージは、ケージとダイス型本体との間に圧縮されたダイス型本体(1)の上のリング状の溝(6)にある中間のOリングによりダイス型本体(1)に固定されることを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載のツール。
【請求項5】
円筒状ケージは、本体(1)中の溝又は別個の孔に適合する、ケージの側壁に位置する1以上のトング(8)によって、ダイス型本体(1)に固定されることを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載のツール。
【請求項6】
円筒状ケージは、1以上のスクリュー(9)またはピンによって、ダイス型本体(1)に固定されることを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載のツール。
【請求項7】
スロットは直線であることを特徴とする、請求項1乃至6の何れかに記載のツール。
【請求項8】
スロットは、ダイス型本体(1)の長手軸に平行であることを特徴とする、請求項1乃至7の何れかに記載のツール。
【請求項9】
スロットは、ダイス型本体(1)の周囲に沿って均等に仕切られることを特徴とする、請求項1乃至8の何れかに記載のツール。
【請求項10】
スロットは、ダイス型本体(1)の長手軸に対して角度をつけて配置されることを特徴とする、請求項1乃至9の何れかに記載のツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属または非金属の、2以上のシート状部材の間に、いわゆるクリンチ・タイプの接合を作成するためのツールに関する。本発明は特に、約数ミリメートルの直径を備える、小さなあるいは非常に小さな接合を作成するためのツールを指す。
【背景技術】
【0002】
こうした技術は、当該技術分野で既知である。適切なツールは、一般に、前述の接合をもたらすために協働する2つの別個のツール部品を含む。第1のツール部品は、アンビルが配置される底部にてダイス型の形状にあるダイス型キャビティを備え、同軸の第2のツール部品の方向への直線運動で駆動される、パンチの形状を有している。
【0003】
接合を作成するために、シート状部材は、第2のツール部品に対して位置づけられ、ダイス型は、弾性要素からの力に対して支持面上を側方に摺動するように配置される動作可能なダイス型要素(movable die elements)と共に設けられる。弾性要素はエラストマーで作られているリングか、あるいは、動作可能なダイス型要素を取り囲むトロイド状の金属バネであり得る。
【0004】
近接するパンチは、接合される部材の1つの表面に衝撃を与える。2つの部材の材料はまず、ダイス型キャビティ引っ張られ、その後キャビティの底にてパンチとアンビルとの間の相互作用により側方に押し出され、それにより、動作可能なダイス型要素を外に向かって移動させ、部材を連結するキノコ状のボタンをシート状部材に形成する。
【0005】
このタイプのツールは、例えば、国際公開第97/02912号として1997年1月30日に公開された米国特許第5946782号に示されており、引用によって本明細書中に組み込まれる。当該文献の
図1および
図2は、パンチ(1)と側圧要素(2)を備えた第1ツール部品(1,2,3)及び支持面(9)とそこから立ち上がるアンビル(8)を備えた第2のツール部品(6,11)により構成される、シート形状の部材(4,5)同士を接合させるツールであり、マトリックス(6’)は少なくとも二つのマトリックス部品(6)により構成され、各マトリックス部品(6)は上部マトリックス作用面(13)を有し、および前記アンビル(8)の周囲に配置される、ことを示している。各マトリックス部品は前記支持面(9)に対して摺動するように配置された部分(14)を含み、弾性部材により前記アンビル(8)の側面に当てられている。保持部材(10)が、パンチ(1)の撤去の間、マトリックス部品の長手方向運動を制限するよう配置されている。上部マトリックス作用面(13)、前記支持面(9)に対して滑るよう配置された部分(14)、および前記保持部材(10)は、第2のツール部品(6,11)の頂部から、前記の順序で配置されている。
【0006】
本発明は、より具体的には、アンビルが配置される底部においてダイス型キャビティを備えた形状にある、そのような第2のツールの部分に向けられており、第2のツール部品は特殊なタイプの弾性要素を備える。
【0007】
文献EP12178068は、ケージの一般的な形態を有する弾性要素またはバネ要素を示しており、該要素の表面には、一定である必要はないがケージの軸に対して鋭角を有する、多くのスロットが設けられて、それにより周囲で均等に仕切られた長い弾性アームまたはブレードを対応する数だけ形成する。この弾性部材は、動作可能なダイス型要素が接合工程の間に側方に動かされる力を生成する。パンチが引っ張られる時、変形したシート部材に接する動作可能なダイス型要素は、それらの支持面からそれらを上げようとする鉛直力にさらされる。これを防ぐために、型要素のスライド運動の方向と平行な、型のダイス型要素および支持要素状の共働的な配置を備える。故に、本発明に係る弾性要素およびバネ要素は、パンチが引っ込められるとき、動作可能なダイス型要素の保持には寄与しない。結果として、ケージ状のバネ要素は、型の軸の方向においてダイス型本体に固定される必要はない。
【発明の概要】
【0008】
<発明の簡単な説明>
本発明は、特により小さな寸法の接合をもたらすために適用されるが、ある実施形態においては、より大きな寸法のためにも使用され得る。これらの寸法の接合は、例えば、時計産業、電子工学および電気産業、自動車産業などにおける用途を見出す。
【0009】
本発明の目的の1つは、側方に非常に小さな寸法を有する第2のツール部品を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、第2のツール部品を提供することであって、第2のツール部品上でばね要素が、接合の形成中に側方の弾性力を提供するということと同様に、第1のツール部品のパンチが引っ込められる際の垂直の保持機能といった、二重の機能をもつことである。
【0011】
本発明の別の目的は、ばね要素が容易に取り付けられ必要な場合には交換される、第2のツール部品を提供することである。
【0012】
前記技術的問題への解決策を提供する本発明は、添付の特許請求の範囲によって特徴づけられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の他の目的および利点は、本記載の一部を形成する添付の図面を参照しながら進められる本記載を読むことにより、明らかとなる。
【0014】
【
図1A】
図1Aは、本発明に係る第2のツール部品の異なる視点の実施形態を示す。
【
図1B】
図1Bは、本発明に係る第2のツール部品の異なる視点の実施形態を示す。
【
図1C】
図1Cは、本発明に係る第2のツール部品の異なる視点の実施形態を示す。
【
図1D】
図1Dは、本発明に係る第2のツール部品の異なる視点の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1のA−Dは、本発明に係る第2のツール部品の異なる視点の実施形態を示す。
図1Aは、セクションにおけるツール部品の第1の実施形態を示す。ツール部品本体1は、その上部において、フット2に対向し、2つの動作可能なダイス型要素4のための支持面10を備える。ダイス型要素の数は、すべての実施形態において少なくとも2である。
図1Aに係る実施形態において、支持面10の中心に、その表面から垂直に上方に突出するアンビル3が配置されている。別の実施形態において、アンビルは、水平な支持面10自体の中央部分によって、形成され得る。接合形成過程において、シート形状部材は、アンビル3の頂部の上で側方に押し出され、それにより、ばね要素5からの力に対して外側へと動作可能なダイス型要素4を移動させる。
【0016】
ばね要素の概略的な形態は、
図1のB−Dにおいてよりはっきりと見ることができる。それは、表面に多くのスロットが設けられた、円筒状ケージ又はスリーブの形態を有する。それは、いくつかの適切な弾性材料、および、スロットの形状および長さが、動作可能な要素4について適切な弾性を与えるように選択された材料で作られている。示される実施形態において、スロットは、ツール軸と平行及び垂直に配置され、ケージ5の上部端にて、ケージの周囲がその自由端で仕切られた、多くの長い弾性のアーム又はブレード11が形成される。しかしながら、スロットは、アーム11の長さを増大させるために、ケージの軸に対して角度をつけて配置され得る。スロットはまた、弾性特性を変更するために、アームを自由端の方向にテーパ形状にするように配置され得る。
【0017】
各ブレード11の自由端は、動作可能な要素(4)に弾性力を移すために、及び同時に、動作可能な要素4のヒール部分13のまわりを把持するために、動作可能な要素4に対して側方で支えるように配置される、曲げフランジ12と共に設けられる。したがって、接合手順の終わりに歪んだシート部品の引込から生じる、動作可能なダイス型要素を介して移された鉛直力のためのダイス型本体に対する軸動作について遮断されるように、ケージ5がダイス型本体1に固定される場合、その後ダイス型要素4は支持面10に接して留まる。
【0018】
ケージ5のダイス型本体1への固定は、異なる方法でなされ得る。接合の小さな寸法について、固定の特に単純な配置が
図1Aに示される。ダイス型本体1はその周囲に、通常のOリング7を収容する円形の溝6を備えている。ケージ5は、ダイス型の頂部からダイス型の上方にケージを摺動させることにより取り付けられる。ケージ5の内径は、この位置におけるダイス型本体1の外径に相当する。溝6およびOリング7の寸法は、Oリングがケージと溝6の底部及び側壁との間に詰め込まれ、ケージ5とダイス型本体1との間に十分な摩擦を生じさせて適所にケージを保持するように、選択される。
【0019】
固定のための別の配置が、
図1Bに示される。ここでケージ5は、1以上のトング8を備えており、例えばケージ5の側壁の外側に刻印される。これらのトングは、上述のような溝に、又はダイス型本体1に配置される別個の孔に、適合し得る。トングが例えば内側に曲げられて、あらかじめ形成される場合、適切なスナップ・イン機能を作成し得る。
【0020】
図1Cにおいて、固定ネジ9を備えた率直な解決策(straightforward solution)が示される。スクリューの代わりに、貫通孔においてはピンがもちろん想到され得る。
【0021】
少なくとも1つのアーム11が、各動作可能なダイス型要素4に必要とされ、アームの数は少なくとも2である。
図1のA−Dに示される実施形態において、アーム11の数は動作可能なダイス型要素4あたり4つであり、故に、2つのダイス型要素あたり全部で8つのアームである。1つのダイス型要素当たり2又は3つのアームがもちろん想到され得る。
【0022】
故に、上に記載されるようなツール部品は、適切なパンチ、例えばC−フレームワークヘッド(C−frame work head)において協働するように設置され得る。これらのツールペアを備える複数のツールアレイもまた可能である。典型的なダイス型の直径は、1.0乃至2.0mmであり得、ツーリングが 例えば2×0.1mmから2 x0.5 mmまでのシートメタル厚さを接合するために使用され得る。創造性のあるアイデアに係るツーリングの他の寸法もまた、当然可能である。