【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の一実施例である寸法算出装置1の全体構成を示すブロック図である。寸法算出装置1は撮像された測定対象物の表面積等の寸法データを算出する装置である。寸法算出装置1は、ユーザが操作する入力部10と、装置全体や様々な演算を制御する演算処理部(以下、演算制御部と記す)20と、測定対象物の画像や寸法データ、プログラムを記憶する記憶部30、測定対象物の画像やトレース線などを表示する表示部40からなる。また、測定対象物を撮像する撮像部60や画像や寸法データを出力する出力部50を備えることもできる。また、外部に画像や寸法データを送受信できる通信部70を備えてもよい。
【0015】
入力部10は、寸法算出装置1の各種操作を行うためのインターフェイスとして動作する。入力部10は例えば、キーボード11やポインティングデバイス12(タッチパッド、トラックボール、マウスなど)であり、機械的な入力だけでなく音声入力であっても良いし、これらの組みあわせであってもよい。また、表示部40の表示画面上にタッチパネル41として入力部10を設けてもよい。本実施例では、ユーザが入力部10のキーボードを介して測定対象物の面の一部の実寸値を入力する作業やタッチパネル41を介して、測定対象物の面の輪郭線をトレースする作業を行うことができる。
【0016】
演算制御部20は、記憶部30の画像記憶部31に記憶された画像から測定対象物の面の一辺の長さ、周囲の長さ、面積を含む寸法データを演算処理によって求めるものである。具体的には、測定対象物の一部の実寸値やトレースされた測定対象物の面の輪郭線から消失点を検出する消失点検出部21、寸法算出部22、一致判断部23、CADデータファイル等に変換する変換処理部24を制御する。また、上述の各構成部および装置全体に対する制御や処理を行う。
【0017】
表示部40は、記憶部30の画像記憶部31に記憶された画像を表示し、タッチパネル41等によってトレースされた測定対象物の面及び面の一部の輪郭線を表示する。また、演算制御部20によって求められた消失点からの引き出し線や、入力部10からユーザ操作により入力された測定対象物の面の一部の実寸値、演算制御部20によって演算された測定対象物の寸法を表示することもできる。
【0018】
記憶部30は、画像記憶部31に測定対象物の画像を記憶し、データ記憶部32に演算制御部20によって演算された寸法データを記憶する。また、寸法算出装置1を構成する種々の機能を動作させるためのプログラム33が格納されている。出力部50は、記憶部30に保持された画像データ等を記録するメモリカードを挿入する端子やUSB端子などの出力端子を備える。また、出力部50を介して、それらのデータや画像を印刷できる構成としてもよい。
【0019】
本実施例の寸法算出装置1の動作の流れを
図2から
図8を用いて説明する。
図2は、本実施例の寸法算出装置1の動作及びユーザによる操作を示すフローチャートである。
図3及び
図5〜8は、本実施例の寸法算出装置1の表示部40の表示画面を示す図である。以下、
図2に示すフローチャートに沿って寸法算出方法を説明する。
【0020】
まず、ステップS10で、寸法算出装置1が撮像部(カメラ)60を備える場合には、ユーザ操作により撮像部60を使用して測定対象物を撮像する。撮像部60は寸法算出装置1に必ずしも必要な構成ではないが、撮像部60を備えることで、測定対象物の撮像から寸法算出までを1つの装置で行うことができるため、便利であり、効率よく測定対象物の寸法を求めることができる。撮像部60で撮像された画像の画像ファイルは、記憶部30の画像記憶部31に記憶される。なお、既に測定対象物の画像が撮像されている場合には、次のステップS11から始める。
【0021】
ステップS11で、寸法算出装置1の表示部40は、画像記憶部31の画像ファイルを参照し、
図3に示すような測定対象物を表示する(画像表示)。なお、画像ファイルは、JPEG、PNG、GIF形式等の画像ファイルを含み、PDFファイル、PPTファイル等の画像を表示するファイルも含むものとする。本実施例では測定対象物は建築物100である。建築物100が比較的大きい場合、撮像距離や見る角度により建築物100の形状が歪み、台形のように見える場合がある。以下、「測定対象物の面」を「建築物の壁面」と記載するが、本発明の測定対象物は建物に限定されず、また面は壁面に限定されない。
【0022】
ステップS12で、寸法算出装置1の表示部40は、
図3に示すように建築物100の壁面110の輪郭線をトレースした画面を表示する。壁面の輪郭のトレースは、ユーザ操作により、タッチパネル41上で描くことができ、いわゆるSurfaceペン等を使用して描いてもよいし、入力部10のポインティングデバイス(マウス等)12を使用して描いてもよい。その際に、建築物100の壁面110を囲むように、予め四角の枠線111を用意して、そのエッジ部120(以下、ターゲットマーカーと記す)を壁面110の輪郭に合うように動かして調整して、壁面110の輪郭線を描くようにすることもできる。このように予め四角の枠線を用意することで、壁面110の輪郭線のトレースを、簡単に、かつ精度よく行うことができる。また、その際により精度よく壁面110の輪郭線をトレースするために、建築物100の画像を拡大してターゲットマーカー120を移動させ、壁面110の輪郭に合うように枠線111を調整することが好ましい。壁面110の輪郭線がトレースされると、建築物100の垂直方向と水平方向の画面上の基準値(長さ)がそれぞれ10.0と設定される。その基準値を表示部40に表示する構成としてもよい。
【0023】
本実施例ではユーザ操作により、建築物100の壁面110の輪郭をトレースするが、演算制御部20が建築物100の画像からその壁面110の輪郭線を抽出してトレースする構成としてもよい。壁面110の輪郭線の抽出は、例えばパターン認識や画像の輝度差認識、被写界深度認識により行うことができる。このように、演算制御部20が壁面110の輪郭線を抽出してトレースすることで、ユーザ操作でトレースする必要がなくなり、より効率よく壁面110の寸法を求めることができる。また、自動で輪郭線を抽出した場合においても、より正確にトレースするために、手動で細部を修正できるものとする。
【0024】
ステップS13で、演算制御部20の消失点検出部21が、トレースされた建築物100の壁面110の輪郭線の略垂直方向及び略水平方向の向かい合う2辺の線分を延長し、消失点が検出されるか否かを判断する。消失点が検出された場合(YESの場合)には、ステップS15に進み、消失点が検出されない場合(NOの場合)には、ステップS14に進む。消失点について
図4を用いて説明する。
【0025】
図4は、建物を遠近法(透視図法)で描いた透視図の消失点を示す説明図である。前述のように、カメラで撮像された画像は、実際に目に映る像を平面に写されるため、遠近法(透視図法)で描かれた透視図のように、物体が視点から遠いほど小さく、目線の高さ(アイレベル)や角度によっては物体が歪んで見える。また、多くの透視図には消失点が存在し、例えば
図4の建物のように、視点により3個の消失点が存在する場合がある。1つの壁面S1に注目し、その略垂直方向の向かい合う2辺の線分を延長すると、消失点3が存在する。また、1つの壁面S1の略水平方向の向かい合う2辺の線分を延長すると、消失点1が存在する。
【0026】
また、隣り合う壁面S2に関しても、その略垂直方向の向かい合う2辺の線分を延長すると、消失点3が存在し、略水平方向の向かい合う2辺の線分を延長すると消失点2が存在する。このように、視点や建物の大きさにより、多くの場合には消失点が存在するが、壁面の水平方向又は垂直方向の向かい合う2辺が平行な場合には消失点は存在しない。
【0027】
なお、壁面S1上にあり、壁面S1の垂直方向及び水平方向と、それぞれ平行な窓枠や玄関枠など壁面の一部についても、その略垂直方向の向かい合う2辺の線分を延長すると壁面S1の場合と同じ消失点3が存在し、略水平方向の向かい合う2辺の線分を延長すると壁面S1の場合と消失点1が存在する。壁面S2上の窓等においても同様である。本発明では、壁面110の消失点と、壁面の一部130の消失点が同一であることを利用して、建築物100の壁面110の寸法データを算出する。
【0028】
ステップS14で、演算制御部20が2本の平行な引き出し線を引き出す。また、ステップS15で、演算制御部20が検出した消失点から2本の引き出し線を引き出す。
このとき、表示部40に引き出し線を表示してもよいし、表示しなくてもよい。本実施例では引き出し線を表示する場合(
図5参照)について説明する。
図5は、本実施例の壁面の建築物100の壁面110の消失点からの引き出し線141、151を表示した画面の図である。
図5に示すように、引き出し線141、151は、建築物100の画像上に重ねて表示される。
図5では、演算制御部20が建築物100の壁面110の輪郭線の略垂直方向の消失点と、略水平方向の消失点の両方を検出した例を示している。なお、建築物100の壁面110の輪郭線の略垂直方向の消失点又は略水平方向の消失点のどちらか一方の消失点のみを検出した場合には、検出した消失点から2本の引き出し線を引き出し、消失点が検出されなかった方向には、2本の平行な引き出し線を引き出す。
【0029】
図5に示すように、略水平方向の消失点140からは、引き出し線141、141が引き出されて表示されているが、略垂直方向の消失点は建築物100から遠く、画面の範囲内に収まらないため、その場合には、引き出し線151、151のみが表示される。また、引き出し線は1つの消失点から2本引き出されるが、1本ずつ表示し、1本目の位置が確定してから、2本目を表示してもよい。1本ずつ表示させることで、図面が複雑化することを避けることができる。
【0030】
ステップS16で、寸法算出装置1の表示部40は、引き出し線を使用して建築物100の壁面110の一部130の輪郭をトレースした画面を表示する。
図6は、引き出し線を利用して建築物100の壁面110の一部の輪郭をトレースした画面の図である。
図6に示すように、窓枠などの一部130の輪郭のトレースは、略垂直方向及び略水平方向の各2本の引き出し線を移動させて行う。建築物100の壁面110のトレースと同様にユーザ操作により、タッチパネル41又は入力部10を使用して引き出し線を移動させることができる。各引き出し線は、一端が消失点で固定されているため、固定されていない他端142、142、152、152(以下、測線マーカーと記す)を動かすだけで、容易に窓枠等の一部130の輪郭線のトレースを行うことができる。その際、より精度よく輪郭線をトレースするために、窓枠等の一部130の部分をタッチパネル41等で拡大して測線マーカー142、142、152、152を移動させ、一部130の輪郭に合うように調整することが好ましい。
【0031】
本実施例ではユーザ操作により、引き出し線を使用して建築物100の窓枠等の一部130の輪郭をトレースするが、演算制御部20が建築物100の画像からその壁面の窓枠等の一部130の輪郭線を抽出してトレースする構成としてもよい。また、このとき、引き出し線を表示しないで、輪郭線を抽出してもよい。この抽出も壁面110の輪郭線の抽出と同様に、例えばパターン認識や画像の輝度差認識、被写界深度認識により行うことができる。また、自動で輪郭線を抽出した場合においても、より正確にトレースするために、手動で細部を修正できるものとする。
【0032】
上記のようにして建築物100の壁面110の一部130の輪郭がトレースされると、建築物100の壁面110の基準値10.0と比較した一部130の垂直方向と水平方向の画面上の値(寸法比率)がそれぞれ計算される。その寸法比率を表示部40に表示される構成としてもよい。本実施例では
図6に示すように、一部130の垂直方向と水平方向の画面上の寸法比率が水平方向1.08197(1.082と表示)、垂直方向1.11303(1.113と表示)と計算され、表示されている。
【0033】
ステップS17で、ユーザ操作により入力部10を使用して建築物100の壁面110の一部の実寸値を入力することができる。予め壁面110の一部の実寸値が与えられており、記憶部30に記憶されている場合には、このステップは省略することができる。例えば、壁面110の一部が、寸法がわかっている目印・標識として利用できるものである場合には、実寸値の入力を省略することができる。また、表示部40は、実寸値を画像に重ねて表示することができる。実寸値は必ずしも表示する必要はないが、本実施例では
図7に示すように表示する。
図7は、建築物100の壁面110の一部130の実寸値と、演算された寸法データを建築物100の画像上に表示した画面の図である。本実施例では、ユーザ操作により壁面110の一部130の実寸値(垂直幅900mm、水平幅1700mm)が入力されている。このように、実寸値が既にわかっている、又は容易に測定できる壁面の一部130を選ぶことが必要である。
【0034】
ステップS18で、演算制御部20の寸法算出部22が壁面の一部130の実寸値と、寸法比率に基づいて、壁面110の一辺の長さ、周囲の長さ、面積などの寸法データを算出する。本実施例では、壁面110の水平方向と垂直方向の長さを算出する。例えば、水平方向について、壁面110と壁面の一部130の寸法比率が10:1.08197であるから、壁面110の実寸値をxとし、壁面110の一部130の実寸値の1700(mm)とおくと、下記の式で壁面110の実寸値xが計算できる。
【0035】
【数1】
【0036】
この式からxが15712(mm)(少数点以下省略)と計算される。垂直方向も同様に計算でき、壁面110の垂直方向の実寸値は8086(mm)と計算される。
図7に示すように、表示部40が算出された寸法データを画像に重ねて表示してもよい。なお、本実施例では、寸法算出部22が壁面の水平方向と垂直方向の長さを算出したが、周囲の長さ、面積を含む寸法データを算出する場合には、それらのデータを画像に重ねて表示してもよい。また、算出された寸法データを表示部40に表示せず、出力する構成としてもよい。
【0037】
また、演算制御部20の寸法算出部22が壁面110の面積から壁面の一部130の面積を差し引く構成としてもよい。このような構成とすることで、例えば、壁面110の塗装が必要な場合に、塗装に必要な面積(窓の部分を差し引いた面積)を簡単に求めることができるため便利である。また、窓の部分を差し引いた面積を寸法データに含めることができる。
【0038】
更に、演算制御部20が、壁面110の一部130と略同一な寸法の部分を抽出する一致判断部23を備える構成としてもよい。抽出は、例えばパターン認識や画像の輝度差認識、被写界深度認識によって行われる。一致判断部23が、壁面の一部130と略同一な寸法の部分を抽出し、寸法算出部22が壁面110の面積から抽出された部分の面積を差し引く。それにより、例えば、塗装に必要な面積(複数の窓の部分を差し引いた面積)を容易に求めることができる。壁面110に同じ大きさの窓がいくつもある場合には、この一致判断部23を備える構成が有用である。ステップS18で算出された寸法データは、記憶部30のデータ記憶部32に記憶される。また、算出された寸法データを画面の端にまとめて表示してもよい(図示せず)。
【0039】
ステップS19で、建築物100の壁面の寸法データのみを表示することができる。以上で寸法算出方法の一連の処理の流れが終了する。
図8は、建築物100の画像を取り除き、寸法データのみを表示した画面の図である。この工程により、寸法データが見えやすくなる。この工程は必ずしも必要なものではなく、寸法データを画像に重ねて表示しても見えやすい場合には表示しなくてもよい。その場合にはステップS18で終了となる。
【0040】
さらに、演算制御部20が、画像又は/及び寸法データをCADデータファイル等に変換する変換処理部24を備える構成としてもよい。変換処理部24は、データ記憶部32を参照し、寸法データを示した建築物100の画像を、CADデータファイル、表計算ファイル、文書ファイル、画像ファイル、HTMLファイル、プレゼンテーションファイルのうち少なくとも一つのファイルに変換する。これらの変換は、汎用の2次元又は3次元CADソフトや汎用の表計算ソフト等によって行われる。変換処理部24を備えることで、ユーザがCADソフトを使用して図面を描く手間が省ける。また、CADデータファイル、表計算ファイル等に変換することで、建築物100全体の形状や寸法が見えやすく、より容易に建築物100の塗装に必要な面積を把握することができ、見積書等を作成しやすくなる。それにより、例えば塗装業者との打ち合わせ等も円滑に行うことができる。
【実施例2】
【0041】
次に、本発明の第2の実施例について、
図9と
図10を使用して説明する。
図9は、本実施例の寸法算出装置1に表示される測定対象物の第1の壁面の一部の輪郭をトレースした画面の図である。また、
図10は、本実施例の寸法算出装置1に表示される測定対象物の第2の壁面の一部の輪郭をトレースした画面の図である。
【0042】
実施例1では、建築物100の1つの壁面110の寸法データを求めたが、本実施例では、
図9と
図10に示すように建築物200の隣り合う2つの壁面210、220の寸法データを求める。本実施例の寸法算出装置の構成や寸法算出方法の一連の処理の流れの基本的な部分は実施例1と共通しているため説明を省略し、実施例1と異なる部分について説明する。
【0043】
図4を使用して説明したように、1つの壁面S1に注目し、その略垂直方向の向かい合う2辺の線分を延長すると、消失点3が存在し、その略水平方向の向かい合う2辺の線分を延長すると、消失点1が存在する。本実施例では、さらに壁面S2に注目し、その略垂直方向の向かい合う2辺の線分を延長すると、消失点3が存在し、その略水平方向の向かい合う2辺の線分を延長すると、消失点2が存在する。このように隣り合う2つの壁面に注目すると、消失点が3つ存在し得る。ただし、消失点3は、壁面S1と壁面S2で共通する消失点である。壁面S1と壁面S2が隣り合わない建築物の場合には、それぞれの壁面に消失点が2つずつ存在し、合わせて4つの消失点が存在し得る。本実施例では、建築物200の2つの壁面210、220が隣り合う場合について説明する。
【0044】
まず、建築物200の第1の壁面210の寸法データの算出について、寸法算出装置1が、前述のステップS12からステップS18(又はステップS19)までを実施する。本実施例では、壁面210の一部は、窓枠211であり、その実寸値が既に測定されている。実施例1と同様な方法で、寸法算出装置1は、壁面210の一辺の長さ、周囲の長さ、面積、窓枠211を除いた面積等を算出することができる。その際に、枠線222やターゲットマーカー223を用いてもよい。枠線222とターゲットマーカー223は、第1の壁面210と第2の壁面220で共通のものを使用してもよいし、別の枠線を使用してもよい。共通の枠線222を使用すると、一度に第1の壁面210と第2の壁面220
をトレースできるため、便利である。本実施例では、第1の壁面210と第2の壁面220で共通の枠線222とターゲットマーカー223を使用する。
【0045】
また、壁面210の窓枠211は、消失点240からの引き出し線241、241と、引き出し線251、251の各測線マーカー242、242、252、252を動かして、トレースすることができる。
図10に示すように、建築物200の第2の壁面220の寸法データも同様に壁面220の一部221の実寸値を使用して算出することができる。その際、壁面220の垂直方向の引き出し線251、251が引き出される消失点は、壁面210の垂直方向の消失点と一致する。また、壁面220の水平方向には新たな消失点が存在し、そこから引き出し線261、261が引き出される。これらの引き出し線261、261、251、251の測線マーカー262、262、252、252を動かして、窓枠221をトレースすることができる。壁面の一部(窓枠等)を差し引く構成や、壁面の一部と略同一な寸法の部分を抽出し、壁面の面積からその部分を差し引く構成などは実施例1と同様である。
【0046】
さらに、本実施例ではステップS18において、演算制御部21が2つの壁面210、220の面積を合わせた面積を算出することができ、建築物200の2つの壁面210、220に向かい合う2つの壁面の面積を合わせた面積(建築物200の側面全体の面積)を算出することもできる。それにより、建築物200の塗装に必要な面積の総和を容易に求めることができる。
【0047】
また、建築物200の隣り合う壁面210と壁面220の寸法データが求まることで、その屋根230の寸法データも求めることができる。屋根の形状には、切妻屋根や片流れ屋根、 寄棟屋根、方形屋根などがあるが、その屋根の形状の詳細データ(勾配や軒の出など)を入力することで、より正確な屋根の寸法データを求めることができる。また、建築物200の寸法データから建築物200全体の体積も求めることができる。さらに、壁面ごとに仕上げ等の属性を与えて塗装面積を集計する応用や、方位を入力することで、日射方向を取得できるようにする応用を含めて寸法データを算出するようにしてもよい。
【0048】
以上説明してきた様に、本発明の寸法算出装置は、実際に測定対象物の寸法を測定することなく、撮像された測定対象物の画像が遠近感のある画像であっても、その画像から測定対象物全体の寸法を簡単に、かつ正確に求めることができる。特に、塗装面積を求める必要がある場合において、本発明の寸法算出装置は、建築物の面積から窓枠などの面積を差し引き、塗装をするのに必要な面積を容易に算出することができる。なお、本実施例では、測定対象物が建築物である場合について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、あらゆる測定対象物に適用することができる。
【0049】
また、本発明の寸法算出装置は、撮像された測定対象物の画像があれば、その画像から測定対象物全体の寸法を求めることができるため、例えば、足場が悪く、近寄ると危険な場所に測定対象物があっても、ドローン等で空中撮像ができれば、その寸法を求めることができる。このように、現場まで行かずに測定対象物全体の寸法を求めることができるため、利便性が高く、時間と費用が節約できる。
【0050】
本実施例では、本発明の寸法算出装置と寸法算出方法について説明してきたが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。本発明の目的は、上述した寸法算出装置の機能を実現するソフトウェアであるプログラムとしても実現可能である。つまり、このプログラムのプログラムコードをコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を介して、システムあるいは装置に供給し、コンピュータが記録媒体に記録されているプログラムコードを読出し、実行することによっても本発明の目的は達成可能である。この場合、記録媒体から読みだされたプログラムと、その記録媒体は本発明を構成する。
【0051】
記録媒体としては、磁気ディスクや光ディスク(CD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等)、ICカード(メモリカードを含む)、あるいは半導体メモリ(マスクROM/EPROM/PROM/フラッシュメモリ等)を用いることができる。
【0052】
コンピュータとしては、デスクトップパソコン又はノートパソコン、タブレット端末等、いかなるコンピュータでもよい。特に本発明をタブレット端末で実施することで、ユーザが必要に応じて持ち運ぶことができ、建築物等を撮像し、その場で建築物等の寸法を容易に求めることができるため、効率がよく利便性が高い。
【0053】
なお、上述した実施例の寸法算出装置と寸法算出方法は一例であり、その構成は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。