特許第6503087号(P6503087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6503087
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】シャッタスラット
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/15 20060101AFI20190408BHJP
【FI】
   E06B9/15 C
   E06B9/15 A
【請求項の数】20
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-551990(P2017-551990)
(86)(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公表番号】特表2018-508676(P2018-508676A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】US2014071241
(87)【国際公開番号】WO2016099517
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2017年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】517214714
【氏名又は名称】クオリタス マニュファクチャリング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, ジェイムズ ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン, ブライアン
【審査官】 鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0053990(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0053991(US,A1)
【文献】 特開2013−151813(JP,A)
【文献】 特表2010−525195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールシャッタのスラットであって、
外向きの凸形側面及び内向きの凹形側面を有する湾曲、第1の端及び第2の端を有する本体と、
前記第1の端に位置合わせされるフックトラックと、
前記本体と前記フックトラックとの間に形成される曲がりであって、前記フックトラックは、前記本体の前記凸形側面より外向きに突き出す、曲がりと、
前記第2の端に位置合わせされる受入れトラックであって、前記受入れトラックは、前記本体の前記湾曲に沿って延びるガード部材と、前記本体の前記凹形側面より内向きに突き出すリップ部材とを含む、受入れトラックと、
前記リップ部材と前記ガード部材との間に画定される関節空間であって、前記フックトラックに蝶番式に係合するようなサイズ及び形状にされる関節空間と、を備えるスラット。
【請求項2】
前記リップ部材は、前記本体の前記凹形側面より内向きに第1の高さで突き出し、前記フックトラックは、前記本体の前記凸形側面より外向きに、前記第1の高さと略同じ第2の高さで突き出す、請求項1に記載のスラット。
【請求項3】
前記フックトラックは、前記本体に隣接する第1のベースを含み、前記リップ部材は、前記本体に隣接する第2のベースを有し、前記第1及び第2のベースは、相補的であるようなサイズ及び形状にされる、請求項1に記載のスラット。
【請求項4】
前記本体の前記凸形側面は、第1の表面湾曲を有する第1の表面を有し、前記ガード部材は、前記第1の表面湾曲に沿って延びる第2の表面を有する、請求項1に記載のスラット。
【請求項5】
前記リップ部材は、前記本体の湾曲と略同じである湾曲を有する、請求項1に記載のスラット。
【請求項6】
ロールシャッタであって、
スピンドルと、
複数のスラットとを備え、各スラットは、
外向きの凸形側面及び内向きの凹形側面を有する湾曲、第1の端及び第2の端を有する本体と、
前記第1の端に位置合わせされるフックトラックと、
前記本体と前記フックトラックとの間に形成される曲がりと、
前記第2の端に位置合わせされる受入れトラックであって、前記受入れトラックは、前記本体の前記湾曲に沿って延びるガード部材と、前記本体の前記凹形側面より内向きに突き出すリップ部材とを含む、受入れトラックと、
前記リップ部材と前記ガード部材との間に画定される関節空間であって、前記フックトラックに蝶番式に係合するようなサイズ及び形状にされる関節空間と、を備え、
前記複数のスラットは、前記スピンドルから延びる連鎖を形成し、連続する各スラットの前記フックトラックは、前記連鎖における先行するスラットの前記受入れトラック内に係合される、ロールシャッタ。
【請求項7】
前記スラットは、前記本体の前記第1及び第2の端の間の高さを有し、前記ロールシャッタは、前記複数のスラットが少なくとも1つのスラットを前記スピンドルの近位にしかつ1つのスラットを遠位にして前記スピンドルの周りに巻き取られる引き込まれた位置を有し、近位であるスラットの高さは、遠位であるスラットの高さより短い、請求項6に記載のロールシャッタ。
【請求項8】
前記複数のスラットの前記高さは、前記スピンドルから遠ざかるほど増加する、請求項7に記載のロールシャッタ。
【請求項9】
前記本体の前記湾曲は、半径を有し、近位であるスラットの半径は、遠位であるスラットの半径より短い、請求項7に記載のロールシャッタ。
【請求項10】
前記複数のスラットの半径は、前記スピンドルから遠ざかるほど増加する、請求項9に記載のロールシャッタ。
【請求項11】
前記本体と前記フックトラックとの間の曲がりは、角度を有し、近位であるスラットの角度は、遠位であるスラットの角度より小さい、請求項7に記載のロールシャッタ。
【請求項12】
前記複数のスラットの角度は、前記スピンドルから遠ざかるほど増加する、請求項11に記載のロールシャッタ。
【請求項13】
前記複数のスラットは、前記スピンドルの周りに複数の連続する巻上げで巻き取られる、請求項7に記載のロールシャッタ。
【請求項14】
前記複数の巻上げは、第1の巻上げと、連続する第2の巻上げとを有し、前記第1の巻上げにおけるスラットの前記フックトラックは、前記本体によって重ねられ、前記連続する第2の巻上げにおけるスラットの前記受入れトラックに隣接する、請求項13に記載のロールシャッタ。
【請求項15】
少なくとも1つの巻上げは、前記スピンドルの最も近くに位置合わせされる最初のスラットと、前記スピンドルから最も離れて位置合わせされる最後のスラットとを有する一連のスラットを備え、前記最初のスラットの前記フックトラックは、前記本体によって重ねられ、かつ前記最後のスラットの前記受入れトラックに隣接する、請求項13に記載のロールシャッタ。
【請求項16】
前記一連のスラットは、前記最初のスラットと前記最後のスラットとの間に位置合わせされる中間スラットを含み、前記中間スラットの前記フックトラックは、前記本体によって重ねられ、かつ連続する巻上げにおけるスラットの前記受入れトラックに隣接する、請求項15に記載のロールシャッタ。
【請求項17】
前記巻上げは、各々、同数のスラットを備える、請求項13に記載のロールシャッタ。
【請求項18】
前記巻上げは、各々、5つのスラットを備える、請求項13に記載のロールシャッタ。
【請求項19】
ロールシャッタであって、
第1及び第2のスラットを備え、各スラットは、
外向きの凸形側面及び内向きの凹形側面を有する湾曲、第1の端及び第2の端を有する本体であって、前記凸形側面は、第1の表面湾曲を有する第1の表面を有する、本体と、
前記第1の端に位置合わせされるフックトラックであって、第2の表面を有するフックトラックと、
前記本体と前記フックトラックとの間に形成される曲がりと、
前記第2の端に位置合わせされる受入れトラックであって、前記受入れトラックは、前記本体の前記湾曲に沿って延びるガード部材と、前記本体の前記凹形側面より内向きに突き出すリップ部材とを含み、前記ガード部材は、第3の表面を有する、受入れトラックと、
前記リップ部材と前記ガード部材との間に画定される関節空間であって、前記フックトラックに蝶番式に係合するようなサイズ及び形状にされる関節空間と、を備え、
前記第1のスラットの前記フックトラックが前記第2のスラットの前記受入れトラック内に係合されて前記第1及び第2のスラットが垂直位置にあるとき、前記第1のスラットの前記第2の表面は、前記第2のスラットの前記第3の表面の接線を越えて突き出さない、ロールシャッタ。
【請求項20】
前記第2のスラットの前記受入れトラックにおける前記第1のスラットの前記フックトラックの係合により形成されるヒンジをさらに備え、前記第2及び第3の表面は、前記第1の表面湾曲に沿って延びるヒンジ面を形成する、請求項19に記載のロールシャッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2012年2月20日に出願された米国仮特許出願第61/600,909号の利益を主張する2013年2月20日に出願された「シャッタスラット(Shutter Slat)」と題する米国特許出願第13/772,154号の一部継続出願であり、これらは共に、本参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、シャッタスラットに関し、具体的には、嵐や侵入に対する耐性が改善されたローラタイプのシャッタスラットに関する。本発明は、さらに、コンパクトな引き込み能力を有するシャッタスラットにも関する。
【背景技術】
【0003】
従来のローラシャッタは、侵入に対する安全性または嵐からの保護を提供するように設計されている。小売店が営業している日中、または自宅所有者が晴れの日に窓を開けたり海洋景観を楽しんだりしたいときなど、このような保護及びセキュリティが常に必要であるまたは希望されるとは限らないことから、ローラシャッタは、収納場所であるケーシング内へ引き込まれ得るように設計される。例によっては、コンパクトな収納を容易にするために、ハリケーンの風や泥棒に対抗すべく設計される剛性のシャッタスラットは、同時にロールに順応することもできなければならない。
【0004】
ある従来のシャッタスラットは、スラット間に緩やかな関節を提供することによってロールに順応するように作られる。スラットは、1つのスラットの上縁及び別のスラットの下縁に滑動可能に係合される。上縁は、フック形の輪郭で終わる垂直突出部を備える。下縁は、共働して垂直ポケットを画定する第1の部分と第2の部分とを備える。上縁のフック形の輪郭は、上縁が、同じくフック形の輪郭を有する下縁の第1の部分と係合できるようにする。上縁は、下縁の第2の部分によって下縁との係合が望ましくなく外れることがないように防止され、下縁の第2の部分は、下方へと下縁のフック形の輪郭より僅かに下まで延びて下縁の第1の部分と第2の部分との間に水平の開口を画定するガードを備える。下縁の第1及び第2の部分により画定される垂直ポケットの深さは、上縁の垂直突出部の高さと同様である。このシャッタ構成のフレキシブルさは、水平開口内部における上縁の垂直部分の旋回に起因する。
【0005】
この構成により、1つには、上縁が垂直ポケット内部に大きな垂直のクリアランスを有する結果となる。この構成によるシャッタは、スラット当たり1/4インチまで、またはそれ以上のクリアランスを有することが知られている。したがって、48枚のスラットとスラット当たり1/4インチのクリアランスを有するシャッタは、全開位置と全閉位置との間で合計12インチのクリアランスを有することになる。捻りばねをカウンタバランスとして有するこのようなシャッタを引き上げるには、ユーザは、シャッタが引き込みを開始する前に、底部スラットを手で、または機械的に持ち上げてクリアランスの全量を補正しなければならない。このようなシャッタの場合、ユーザは、シャッタの引込み機構に係合させるために、約68kg(約150ポンド)を30.48cm(12インチ)持ち上げなければならない。この構成のシャッタは、捻りばねにより、または他の手段により提供されるようなカウンタバランスの利点を完全には達成しない。
【0006】
この構成のさらなる結果は、緩く関節接合されたスラットの騒々しさが知られている点にある。スラットは、伸縮の間、互いに対してガタガタと揺れる。さらに、ローラシャッタが展開されている場合、普通の風の力でもスラットをガタガタ鳴らすのに十分である。
【0007】
従来のシャッタスラットは、概して、ロールまたはスピンドルから垂れ下がるように設計され、ロールまたはスピンドルは、ケーシング内に収納される。シャッタが引き込まれるとき、スラットは、スピンドルの周りに巻き付く。スラットは、ロールの周りにコンパクトに嵌合し合わないことから、結果的に、シャッタアッセンブリが引き込まれると、直径の大きいロールが形成され、よって、ロールのための大きなケーシングが必要となる。これは、特に住宅建物で使用されるシャッタアプリケーションでは、目障りな場合がある。したがって、コンパクトに収納できるシャッタアッセンブリが望まれる。
【0008】
コンパクトな収納という課題に対する1つの解決策には、Millerに付与された「Shutter Slat with Integrated Boss」と題する米国特許第6,095,225号明細書に記載されているような、隣接するスラット間の関節と同心であるボスの組込みが含まれる。 この構成におけるスラットは、1つのスラットの上縁及び別のスラットの下縁に滑動可能式にも係合される。上縁は、c字形のねじボス内で終わる短い垂直突出部を備え、下縁は、上縁を収容するに足る直径を有するc字形チャネルを備える。このシャッタ構成のフレキシブルさは、c字形チャネルの丸い内面とc字形ねじボスの丸い外面との共働に起因する。上縁の直径は、c字形チャネルの直径より小さいが、c字形チャネルにより画定される開口の幅より大きく、上縁が、下縁により提供されるc字形チャネルから単純に落下することが防止される。
【0009】
この構成により、1つには、下縁のC字形チャネルの露出部分が、関節に圧力が加わって崩れると、スラットが望ましくなく分離し得る結果となる。C字形チャネルによる上縁の保持は、比較的小さいサイズ差に基づいていることから、何れかの縁の損傷は、ロールシャッタを破損させる結果となり得る。例えば、侵入者と推定される者がシャッタに打撃を加えると、c字形チャネルが開放されることがある。チャネルの曲がりがほんの僅かであっても、上縁と下縁との間に一旦隙間が形成されると、望ましくない僅かな労力で2つのスラットが離されてしまうことがある。
【0010】
従って、スラットで構成されるロールシャッタが完全な閉止状態で巻き上げられるのに必要なスペースを完全に最小化するシャッタスラットが必要とされている。また、凍り付いてスラットを損傷させる可能性がある水を保持しないシャッタスラットも必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、ロールシャッタにおいて使用するためのロールシャッタ・スラットであって、前記スラットは、第1の端と、第2の端と、上縁及び下縁とを有する本体、上縁と下縁との間に延びる外向きの側面及び上縁と下縁との間に延びる内向きの側面を含む輪郭とを有する。スラットは、上縁で本体へ連結される係合トラックを有し、係合トラックは、係合トラックと上縁との間の滑らかに湾曲する移行部において上縁から上へ延びるフックを有する。スラットは、さらに、下縁で本体へ連結される受入れトラックを備え、受入れトラックは、外側のリップ面と関節リップ面とを有するリップ部材を備え、外側のリップ面は、本体の内向きの側面に隣接しかつ本体の内向きの側面と同じ曲線に沿って下へカールまで延び、カールは、上へ先端まで延びる。受入れトラックは、さらに、リップ部材から離隔されるガード部材と、関節空間であって、第2の等しいスラットの第2の係合トラックが、リップ部材とガード部材との間の開口を介してリップ部材を引っ掛けてヒンジを形成する関節空間と、レセプタクルであって、リップ部材とガード部材との間に位置決めされ、関節リップ面上の第1のショルダ及び関節ガード面上の第2のショルダにより関節空間から分離されるレセプタクルとを備え、カールの最下点は、第2の等しいスラットの第2の係合トラックと本体との共通部分から水平に変位される。
【0012】
別の実施形態において、シャッタスラットは、凸側面及び凹側面を有する湾曲を有する本体と、第1の端と、第2の端とを備える。フックトラックは、本体とフックトラックとの間に曲がりが形成された状態で第1の端に位置合わせされ、フックトラックは、本体の凸側面から上へ突き出す。受入れトラックは、第2の端に位置合わせされ、受入れトラックは、本体の湾曲に沿って延びるガード部材と、本体の凹側面より下に突き出すリップ部材とを含む。関節空間は、リップ部材とガード部材との間に画定され、関節空間は、フックトラックに蝶番式に係合するような寸法及び形状にされる。さらなる代替実施形態において、シャッタスラットは、複数のスラットがスピンドルから延びる連鎖を形成するロールシャッタに組み込まれてもよく、連続する各スラットのフックトラックは、連鎖における先行するスラットの受入れトラック内に係合される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を単に例示としてさらに詳しく説明する。
図1図1は、本発明によるシャッタスラットの側面図である。
図2図2は、本発明によるシャッタスラットの正面図である。
図3図3は、本発明によるフックトラックの詳細図である。
図4図4は、本発明による受入れトラックの詳細図である。
図5図5は、本発明によるロールシャッタを含む窓開口の立面図である。
図6図6は、線A-Aに沿った、トラックに係合している本発明によるシャッタスラットを示す部分水平断面図である。
図7図7は、シャッタスラットが開位置にあるときの、本発明による2つのシャッタスラットによる共働を示す側面図である。
図8図8は、図7の2つのシャッタスラットのフックトラックと受入れトラックとの共働を示す詳細図である。
図9図9は、シャッタスラットが閉位置にあるときの、本発明による2つのシャッタスラットによる共働を示す側面図である。
図10図10は、シャッタスラットの連続する巻上げ間の相互作用を示す、図9のシャッタスラットの側面図である。
図11図11は、シャッタスラットの代替実施形態を示す側面図である。
図12図12は、引き込まれた位置における、図11のシャッタスラットから成るロールシャッタの側面図である。
図13図13は、図12のシャッタスラットの詳細な側面図である。
図14図14は、シャッタスラットのさらなる代替実施形態を示す側面図である。
図15図15は、図14の2つのシャッタスラットの係合により形成されるヒンジを示す側面図である。
図16図16は、水侵入に対する耐性を試験するための装置に取り付けられたロールシャッタの写真である。
図17図17は、試験中の水の侵入を示す、図16の装置に取り付けられたロールシャッタの写真である。
図18図18は、試験中の水の非侵入を示す、図16の装置に取り付けられたロールシャッタの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1及び図2は、本発明によるシャッタスラット1を示す。
例示的に、シャッタスラット1は、押出しアルミニウム製の細長い本体であって、本体部分4と、フックトラック7と、受入れトラック8とを有する。本体部分4は、外向きの側面2と、内向きの側面3と、第1の縁5と、第2の縁6と、第1の端15と、第2の端16とによって結合される。この実施形態では、スラットが単一の押出しアルミニウム層で形成されているが、二重のアルミニウム層、ならびに他の金属またはプラスチック材料も考えられる。
【0015】
図1は、本発明によるシャッタスラット1の側面図である。本体部分4は、外向きの側面2と、内向きの側面3と、第1の縁5と、第2の縁6とを有する湾曲した単壁である。スラット1の長さに沿った任意の位置で垂直に切断された場合、本体部分4の外向きの側面2は、凸状の断面を有し、内向きの側面3は、凹状の断面を有する。外向きの側面2と内向きの側面3との距離は、本体部分4の厚さ50を画定する。
【0016】
図2は、本発明による低クリアランスのシャッタスラット1を示す正面図である。フックトラック7の上端52と受入れトラック8の下端53との距離は、スラット1の垂直高さ54を画定する。しかしながら、ロールシャッタ9における各スラット1は、同じ垂直高さ54を有していなくてもよい。当業者には、スラット1がシャッタケーシング12(図5)内へと転がり込むように適合されている限り、スラット1の垂直高さ54が決定的に重要ではないことが認識されるであろう。ロールシャッタ9を完全な閉位置まで引き込むために必要とされるスペースを最小限に抑えるためには、ロールシャッタ9におけるスラット1の垂直高さ54を変えることが効果的であり得る。
【0017】
本体部分4の第1の端15と第2の端16との距離は、スラット1の水平の全幅55を画定する。水平の全幅55は、スラット1を用いて製造されるロールシャッタ9が保護するように設計される建物の開口または他の開口を覆うに足る広さでなければならない。
【0018】
外向きの側面2及び内向きの側面3の双方は、曲率半径51によって形成される。しかしながら、当業者には、スラット1がスピンドル19(図9)を包み込むように適合されている限り、曲率半径51が決定的に重要ではないことが認識されるであろう。本体部分4の全体的な垂直高さ54及び曲率半径51は、スラット1により形成されるロールシャッタ9がスピンドル19の回りに引き込まれる際に転がることができるように共働する。本体部分4の曲率半径51、全体的な垂直高さ54及び厚さ50は、スラット1で形成されるロールシャッタ9の引込み及びスピンドル19を中心とする巻上げを容易にし、かつロールシャッタ9に強度を与えるように選択される。
【0019】
図3は、本体部分4の第1の縁5へ連結される、滑らかな凹形の移行部であるフックトラック7を示す詳細図である。フックトラック7は、外面31と、内面32と、先端33とを有するフック30を含む。フックトラック7は、本体部分4と一体式に形成される。しかしながら、フックトラック7が別個に形成されて本体部分4へ固定される可能性もあることは、理解される。また、フックトラック7が、代替例では、第2の縁6に位置決めされる可能性があることも理解される。
【0020】
フックトラック7のフック30は、受入れトラック8の関節空間20の輪郭に略類似するようなサイズにされた輪郭を有する。フック30は、単一の半径を有してもよく、または、フック30の輪郭に沿って半径が変わってもよい。図示されている実施形態において、フック30の半径は、先端33に近づくにつれて低減する。
【0021】
外面31は、内面32の曲率半径と共に、フックトラック7に先端33から本体部分4の第1の端5まで略一様な厚さ56を保有させる曲率半径を有する。この実施形態におけるフックトラック7の厚さ56は、本体部分4の厚さ50に略類似する。また、フックトラック7は、第1の縁5から上端52まで延びる垂直高さ57も有する。
【0022】
図4は、本体部分4の第2の縁6へ連結される受入れトラック8を示す詳細図である。受入れトラック8は、リップ部材10と、ガード部材11と、関節空間20とを含む。また、受入れトラック8は、レセプタクル23も含んでもよい。受入れトラック8は、本体部分4と一体式に形成される。しかしながら、受入れトラック8が別個に形成されて本体部分4へ固定される可能性もあることは、理解される。
【0023】
受入れトラック8は、第2の縁6から下端53まで延びる垂直高さ58を有する。しかしながら、当業者には、受入れトラック8がフックトラック7と係合するようなサイズにされる限り、受入れトラック8の垂直高さ58が決定的に重要ではないことが認識されるであろう。
【0024】
リップ部材10は、外側リップ面15と、関節リップ面16と、先端25とを有する。外側リップ面15は、さらに、外側リップ壁40及び外側リップカール41を含む。外側リップ面15の外側リップ壁40は、内側に向く側面3及び外側リップ壁40の曲率51が同じでありかつ内向きの側面3と外側リップ壁40との間に途切れがないように、本体部分4の内向きの側面3と接触している。この共通する曲率51は、スラット1で構成されるロールシャッタ9が完全な閉位置まで引き込まれた際にスラット1により占有されるスペースを最小にする。
【0025】
ガード部材11は、外側ガード面17と、関節ガード面18とを有する。図示されているように、関節面16及び18は、全体的または部分的に凹形であってもよい。このような凹形の関節面は、追加の垂直クリアランスを設ける必要なしに、隣接するスラット間の改善された関節を見込んでいる。
【0026】
関節空間20は、ロールシャッタ9を形成するために隣接するスラット1のフックトラック7を受入れトラック8内に受け入れるスペースである。リップ部材10の先端25及びガード部材11の関節ガード面18は、関節空間20と連通する開口22を画定する。隣接するスラット1のフックトラック7のフック30は、開口22を介して関節空間20へ入るようなサイズにされる。関節空間20の輪郭は、フックトラック7のフック30の輪郭と略一致するようなサイズにされる。隣接するスラット1のフック30の先端33は、リップ部材10の関節リップ面16に着座し、これにより、隣接するスラット1のフック部材7とレセプタクル部材8との間にヒンジが形成される。隣接するスラット1のフック30の外面31は、ガード部材11の関節ガード面18に接触し、これにより、隣接するスラット1のフック部材7がレセプタクル部材8との係合から外れることが防止される。
【0027】
従来技術の設計では、受入れトラックは、スラットが垂直位置にあるときに略垂直である薄いガード部材を有する。従来技術によるこのようなガード部材の最下点は、連通するリップ部材の最下点より下まで延びる。ガード部材11は、従来技術によるスラットのガード部材よりかなり短く、よってスラット1が垂直位置にあるとき、ガード部材11の最下点はリップ部材10の最下点より上で終わる。ガード部材11は、リップ部材より相対的に短いことから、隣接するスラット1のフックトラック7に係合する場所が厚くされかつ補強されていて、受入れトラック8の形成に必要な押出しアルミニウムの量がそれと分かるほど増加されることがなく、2つのスラットにより形成されるヒンジの安全性が、材料費を追加する必要なしにさらに高められる。また、ガード部材11の増大された厚さは、別のスラット1のフックトラックと共に形成されるヒンジを外し得る過度の関節からスラット1を保護する。
【0028】
レセプタクル23は、保持または位置合わせデバイス29(図6)を受け入れるように適合化されている。この保持または位置合わせデバイスは、ねじ、ボルト、または、レセプタクルによって保持されることが可能でありかつスラットを互いに位置合わせさせる、かつ/またはスラットをガイドへと保持することが可能な他のデバイスであってもよい。関節リップ面16は、関節空間20をレセプタクル23から分離するショルダ27を有し、関節ガード面18は、関節空間20をレセプタクル23から分離するショルダ28を有する。スラット1が垂直位置にあるとき、図1に示すように、レセプタクル23は、ショルダ27及び28より上に位置決めされる。図4に示すように、レセプタクル23は、本体部分4と開口22との間に配置されることが効果的である。レセプタクル23は、受入れトラック8がスラット1の第1の縁5に位置決めされるとしても、やはり本体部分4と開口22との間に位置決めされることが理解される。
【0029】
レセプタクル23は、関節空間20とは別個の、かつショルダ27、28により分離される空間であるが、図示されているように、レセプタクル23は、関節空間20に対して開放されかつこれと連通する部分を有する。隣接するスラット1のフックトラック7は、第1のショルダ27と第2のショルダ28との間の隙間に入ることができず、よってレセプタクル23内に保持されることができない。レセプタクル23は、関節空間20へ開放されてこれと連通しているが、レセプタクル23は、リップ部材10及びガード部材11により、かつ隣接するスラット1のフックトラック7により、汚れ及びごみが集まることから保護されている。所望されれば、レセプタクル23が関節空間20から完全に分離され得ることは、理解される。このような実施形態では、関節面16及び18がショルダ27及び28で連結されて第2のスラット1のフックトラック7のための単一の連続する関節面が提供されることになる。
【0030】
図5は、窓またはドア等の建物の開口部に設置され得るロールシャッタ9内へ連節される、本発明による複数のシャッタスラット1を示す立面図である。建物の開口部の詳細は、明確さを期して図示されていない。建物の開口部には、さらに、シャッタケーシング12と、建物開口部の対向する側縁に位置決めされる一対のガイド13及び14が装備されている。ロールシャッタ9は、巻き上げられてシャッタケーシング12内に収納されてもよい。スラット1の第1及び第2の端15及び16は、図2に示すように、隣接するガイド13及び14である。保持ねじ29は、端15及び16とガイド13及び14との確実な位置合わせをもたらす。
【0031】
図6は、図5の線A-Aに沿った部分断面図である。シャッタスラット1は、ガイド13及び保持ねじ29と結合されて示されている。保持ねじ29は、好ましくは、ガイド13と共に使用するために、シャッタスラット1のレセプタクル23に挿入される。保持ねじ29の頭44は、レセプタクル23から突き出し、ロールシャッタ9の端に設けられる垂直ガイド13内を滑動する。この例示的な実施形態では、保持ねじ29は、受入れトラック8内部におけるフックトラック7の回転または旋回を制限しない。図示されているように、ロールシャッタを最小化するために、保持ねじ29の頭44の直径は、受入れトラック8の外部輪郭より大きくない。ねじ29の頭44とスラット1の第1の端15との間の空間に起因して、1つのスラット1の受入れトラック8は、別のスラット1のフックトラック7と相対的に水平に滑動してもよい。水平方向の滑動量は、部分的には、ねじ29の頭44とスラット1の第1の端15との間の空間により、またはガイド13及び14の形状によって限定されてもよい。ねじ29の代わりに、延長部材を備える延長されたねじ(不図示)が使用されてもよい。延長されたねじの延長部材は、ねじ29の頭44より長く、よって意図的な押し込み、または暴風状態の間の何れにおいてもロールシャッタ9をガイド13及び14内に保持するようにさらに適応されている。延長されたねじの一例は、米国特許第7,784,522号明細書に開示されている。
【0032】
図7は、本発明による2つのスラット1a及び1bの共働を示す側面図であり、図8は、スラット1aの受入れトラック8とスラット1bのフックトラック7との共働を示す詳細図である。図7及び図8は共に、これらのシャッタスラットが開位置にあるときのスラット1a及び1bの係合を示している。図7に示すように、底側のスラット1bは、垂直位置、即ち、スラット1aの垂直軸59がスラット1bの垂直軸60と略一致または完全に一致する、開放シャッタの場合のような位置にある。スラット間には、クリアランス空間がほとんど生じていない。それでもなお、底側のスラット1bは、時計回りの方向に連節することができる。
【0033】
図8に示すように、スラット1bのフックトラック7は、スラット1aの受入れトラック8と滑動可能式に係合され、スラット1aとスラット1bとの間にヒンジが形成される。スラット1bのフック30の外面31は、凸形であって、リップ部材10の関節リップ面16及びスラット1aのガード部材11の関節ガード面18に着座する。スラット1bのフック30の先端33は、スラット1aのリップ部材10の関節リップ面16にも着座する。スラット1aのリップ部材10は、スラット1bのフック30を関節空間20内に保持する。スラット1aのリップ部材10の先端25は、スラット1bのフック30により画定される空間内に延びる。スラット1aのリップ部材10の先端25は、関節空間20内へもカールし、スラット1bのフックトラック7及びスラット1aの受入れトラック8により形成されるヒンジに対する安全性が追加される。
【0034】
ガード部材11は、スラット1bのフックトラック7とスラット1aのリップ部材10との連結を遮蔽し、スラット1bのフックトラック7がスラット1aの受入れトラック8から外れることを防止する。また、ガード部材11は、スラット1bのフックトラック7及びスラット1aのリップ部材10がスラット1a及び1bの外向きの側面2へ加わる力に曝されないように保護する。開位置において、受入れトラック8の荷重部分はリップ部材10である。スラット1bのフックトラック7は、スラット1aのガード部材11を直に圧迫しないことから、スラット1aの外向きの側面2及びスラット1aのガード部材11への損傷によりスラット1aとスラット2bとの間の関節の係合が外れる可能性は、下側のトラックの露出部分が荷重部分である従来技術のシャッタより少ない。
【0035】
リップ部材10及びガード部材11の構成の1つの優位点は、スラット1a及び1bが、スラット1bのフックトラック7及びスラット1aの受入れトラック8により形成されるヒンジに水をためないことにある。スラット1aのリップ部材10は、その最下点において、スラット1bの本体部分4とフックトラック7との交差部から水平に変位される。スラット1bの本体部分4とフックトラック7との交差部は、滑らかな移行部である。この設計により、水は、スラット1aのリップ部材10から滑らかに流れることができ、スラット1aとスラット1bとの交差により形成されるヒンジに水が流れ込まない。
【0036】
スラット1は、過剰な関節を防ぐための突起を必要としない。スラット1の場合、従来技術のスラットよりもガード部材11が厚くされている。ガード部材11の厚さ及びリップ部材10の形状は、スラット1による過度の関節を防止し、よって、フック部材7上の突起は不要である。突起がないことから、リップ部材10から垂れ落ちる水を保持する溝もない。水が保持されることになれば、凍結してヒンジを損傷する可能性もある。
【0037】
図9は、スラットが閉位置にあるときに係合している2つのスラット1c及び1dの共働を示す側面図である。図示されているように、スラットが完全な閉位置にあるとき、スラット1cのリップ部材10の先端25は、スラット1dのフック30の内面32にぴったりと重なり、スラット1c及び1dの本体部分4は、略円弧を形成する。この弧は、スラットが完全な閉位置にあるときに、ロールシャッタ9のスラット1の最初のサブアッセンブリがスピンドル19に略ぴったりと重なって存在することを可能にし、スラット1のこれに続くサブアッセンブリが最初のサブアッセンブリの周りに、かつ他のサブアッセンブリの周りに類似の弧を形成することを可能にする。当業者には、ロールシャッタ9がその完全な閉位置において必要とする全体的なスペースを最小限に抑えるために、スラットとスピンドルとの距離が増加するにつれてスラットの弧を変更することが効果的であり得る点が理解されるであろう。
【0038】
ガード部材11の形状は、シャッタが閉位置にあるときのスラット1によるロールシャッタ9の全体的な半径をさらに最小にする。先に述べたように、ガード部材11は、従来技術のスラットより短くて厚く、よってスラット1が垂直位置にあるとき、ガード部材11の最下点は、リップ部材10の最下点より上にある。図9に示すように、スラット1c及び1dが閉位置にあるとき、スラット1cのガード部材11が、スピンドル19の中心65からのその最遠点において位置決めされるスピンドル19の中心65からの距離は、スピンドル19の中心65からのその最遠点におけるスラット1dのフックトラック7と略同じである。この構成は、スピンドル19を周回するスラットの各サブアセンブリによって占有される全体的な半径を最小限に抑えることにより、シャッタが閉位置にあるときのスラット1によるロールシャッタ9の全体的な半径を最小にする。ガード11の外面は、さらに、本体の曲がりに略平行であるように形成され、これにより、巻き上げられるシャッタスラットの全体的な半径が低減される。
【0039】
ある好ましい実施形態において、スラットには、スラットのフックトラックと本体との間に曲がりまたは窪みが設けられる。図3に最も良く示されているように、スラット1は、第1の縁5において、本体4とフックトラック7との間に曲がり有する。曲がりは、隣接するスラット間のヒンジが滑らかな移行部を形成できるようにする。例えば、図7及び図8は、垂直位置におけるスラット1aとスラット1bとの間のヒンジを示している。スラット1bのフックトラック7がスラット1aの受入れトラック8内に係合されると、この曲がりは、フック30の外面31とガード部材11の外側ガード面17との間に滑らかな移行部が形成されることを可能にする。この滑らかな移行部により、水は、ヒンジ内に集まって流れ込むことなく、ヒンジの上を滑らかに流れることができるものと考えられる。さらに、ヒンジへの水の浸透は、曲がりの角度が鋭いほどより効果的に低減されることが分かっている。
【0040】
スラットの構成によっては、本体とフックトラックとの間の曲がりの存在が、ロールシャッタを完全な閉位置へと引き込むために必要なスペースを最小にする能力を妨げることがある。例えば、図10は、スラットの本体4の凸形の湾曲より上に突き出す、即ち、外向きの側面2から突き出したフックトラック7及び受入れトラック8を有するスラット1を示している。フックトラック7と受入れトラック8との係合は、スラット1の共通する凸形の湾曲より上に突き出すヒンジ62を形成し、連続する巻上げにおいて隣接するスラットの本体4間に隙間64を生成する。これらの隙間は、シャッタが引込み位置または完全な閉位置へと巻き込まれる際のコンパクトな嵌合を妨げる。
【0041】
引き込まれた位置におけるロールシャッタに必要なスペースは、スラットの本体の凹形の湾曲より下に突き出す、即ち、内向きの側面から突き出す受入れトラックを有するスラットを形成することにより、本体とフックトラックとの間の曲がりを犠牲にすることなく、最小限に抑えられ得ることが分かっている。図11及び図12を参照すると、本体の内向きの側面の凹形の湾曲より下に突き出すリップ部材を伴う受入れトラックを有するスラットの代替実施形態が示されている。受入れトラックのガード部材は、本体の湾曲に沿って延びる。
【0042】
図11に示すように、スラット100は、第1の縁105と第1の縁とは反対側の第2の縁106とを伴う本体104を有する。本体104は、曲率半径151を有する湾曲と、外向きの凸形側面102と、内向きの凹形側面103とを有する。フックトラック107は、第1の縁105で本体104へ連結され、受入れトラック108は、第2の縁106で本体に連結される。
【0043】
受入れトラック108は、リップ部材110と、ガード部材111と、関節空間120とを含む。リップ部材110は、本体104の端106に隣接するベース168と、外側リップ壁140とを備える。リップ部材110は、本体104の内向きの凹形側面103より下に高さ166だけ突き出している。ガード部材111は、本体104の湾曲に沿って延びる。関節空間120は、リップ部材110とガード部材111との間に画定される開口122と連通している。関節空間120は、フックトラック107に蝶番式に係合するようなサイズ及び形状にされる。また、受入れトラック108は、リップ部材110とガード部材111との間に画定される、先に述べたように保持または位置合わせデバイス(不図示)を受け入れるようなサイズ及び形状にされるレセプタクル123を含んでもよい。
【0044】
フックトラック107は、外面131と、内面132と、本体104の端105に隣接するベース170と、先端133とを有するフック130を備える。フック130は、受入れトラック108の関節空間120のサイズ及び形状に略類似するようなサイズ及び形状にされる。フックトラック107と本体104との間には、内角174を有する曲がり172が形成される。曲がり172によって、フックトラック107は、本体104の外向きの凸形側面102より上へ高さ176だけ突き出る。
【0045】
図12及び図13は、スピンドル119から延びる連鎖を形成する複数のスラット100を備える、引き込まれた位置におけるロールシャッタを示す。連続する各スラット100のフックトラック107は、連鎖における先行するスラット100の受入れトラック108内に蝶番式に係合される。引き込まれた位置において、連鎖するスラットは、スピンドル119のまわりに、スピンドルから次第に遠ざかる一連の巻上げ状態で巻き付けられている。
【0046】
単一の巻上げの一例を、スラット100a、100b、100c、100d及び100eによって示す。即ち、スラット100aは、巻上においてスピンドルの最も近くに位置合わせされる最初のスラットであり、スラット100eは、巻上においてスピンドルから最も遠くに位置合わせされる最後のスラットであり、スラット100b、100c及び100dは、最初のスラット100aと最後のスラット100eとの間に位置合わせされる中間スラットである。図13に示すように、最初のスラット100aのフックトラック107aは、最後のスラット100eの受入れトラック108eに隣接して位置合わせされる。さらに、最後のスラット100eの本体104eは、最初のスラット100aのフックトラック107aに重なる。逆に、第1のスラット100aの本体104aは、部分的に、最後のスラット100eの受入れトラック108eの下に重なる。同様に、中間スラット100b、100c及び100dも、受入れトラック108に隣接して位置合わせされかつ連続する巻上げにおけるスラットの本体104が重なるフックトラック107を有し、かつ連続する巻上げにおけるスラットの受入れトラック108の下に部分的に重なる本体104を有する。
【0047】
引き込まれた位置において必要とされるスペースを最小限にするために、スラット100は、本体104の凹形側面103より下(内側)へ、フックトラック107が本体104の凸形側面102より上(外側)へ突き出す高さ176と略同じ高さ166で突き出すリップ部材110を有する受入れトラック108を伴って構成されてもよい。受入れトラック108のガード部材111は、本体104の湾曲に沿って延びる湾曲を有し、受入れトラック108のリップ部材110の外壁140も、本体104の湾曲と同じ、または略同じである湾曲を有してもよい。さらに、本体104の端106に隣接する受入れトラック108のベース168は、本体104の端105に隣接するフックトラック107のベース170のサイズ及び形状と相補的であるようなサイズ及び形状にされてもよい。
【0048】
以前に記載したように、本体104の湾曲及び垂直高さは、引き込まれた位置においてロールシャッタが必要とするスペースを最小にするように変えられてもよい。図12から明らかであるように、連続する各巻上げの半径及び円周は、スピンドルから遠ざかるにつれて増加する。従って、スラット100の曲率半径151は、スピンドル119から遠ざかるにつれて増加してもよく、即ち、スピンドルに近位であるスラットの本体104の曲率半径は、スピンドルから遠位であるスラットの半径より短くてもよい。同様に、スラット100の高さは、スピンドル119から遠ざかるにつれて増加してもよく、即ち、スピンドルに近位であるスラットの本体104の端105と端106との間の高さは、スピンドルから遠位であるスラットの高さより短くてもよい。
【0049】
別の実施形態において、曲がり172の内角174は、ロールシャッタ内のスラット間で変わってもよい。当業者には、本体104の曲率半径151が増加するにつれて、本体のより平坦な湾曲に適応しかつ連続する巻上げにおける隣接するスラットの本体間の隙間を最小限に抑えるために、曲がり172の内角174も増加し得ることが認識されるであろう。従って、スピンドル119に近位であるスラット100の曲がり172の内角174は、スピンドルから遠位であるスラットの内角より小さくてもよい。
【0050】
さらなる実施形態において、引き込まれた位置におけるロールシャッタの各巻上げは、同数のスラットを有する。図12の実施形態において、各巻上げは、5つのスラットを備え、ヒンジ162は各々、コンパクトなロールを形成するために先行するヒンジに着座する。
【0051】
これらの実施形態は、引き込まれた位置において必要とされるスペースを最小限に抑えることの他に、さらなる優位点を提供するものと思われる。先に論じたように、受入れトラック108は、本体104の湾曲と同じ、またはこれに類似する湾曲を有するガード部材111と、本体の内向きの凹形側面103より下へに突き出すリップ部材110とを有してもよい。この構成は、外向きの凸形側面上のヒンジ162の輪郭を最小にし、かつ係合されるシャッタスラット100間の移行部を滑らかにし、これにより、水は、ロールシャッタの外面からより滑らかに流れ出ることができ、かつ水が集まってヒンジへ流れ込み得る突出面が低減される。また、ヒンジ162の最小限の輪郭は、普通なら係合されるシャッタスラットを押し離す弱い場所を提供し得る、ロールシャッタの外向きの外側面102上の受入れトラック108及びフックトラック107の露出を減らす。受入れトラック108とフックトラック107との係合は、ロールシャッタの内側103へ移動され、ガード部材111は、シャッタスラットの外向きの側面102へ加えられる力からフックトラックをより効果的に保護することができる。
【0052】
さらに別の実施形態において、スラットは、ヒンジ262の輪郭をさらに最小にするように構成されてもよい。図14及び図15は、本体204と、フックトラック207と、受入れトラック208とを有するスラット200を示す。本体204は、曲率半径251を有する外向きの凸形側面202を有する。受入れトラック208は、概して本体204の外向きの面202の湾曲に沿って延びる外側ガード面217を伴うガード部材211を有する。したがって、外側ガード面217及び外向きの面202は、概して連続する湾曲を有する表面を形成し、これにより、ヒンジ262の外向きの面の輪郭がさらに最小化される。
【0053】
ある好ましい実施形態では、フックトラック207も、ヒンジ262の外向きの面の輪郭を最小にするようなサイズ及び形状にされる。図15に最も良く示されているように、隣接するスラット同士が垂直位置にあるとき、フックトラック207の外面231は、概して、受入れトラック208の外側ガード面217に対する接線(平面)264を超えて突き出さない。より好ましくは、フックトラック207が受入れトラック208内に係合されると、外面231及び外側ガード面217は、外向きの面202の湾曲に沿って延びるヒンジ面を形成する。したがって、ヒンジ面及び外向きの面202は、概して連続する湾曲を有する一面を形成する。その結果、隣接するスラット同士が垂直位置にあるとき、2つのスラットの間の接合部は、2つのシャッタスラットの外向きの側面202の湾曲251間の略交差部分である。この構成は、図12における隣接する垂直のスラット同士によっても示されている。
【0054】
以下の例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために包含される。以下の例に開示される技術が、本発明の実施に際して良好に機能することが本発明者らによって発見されている技術を表し、よって、その実施のための好ましい態様を構成するものとされ得ることは、当業者には認識されるべきである。しかしながら、当業者には、本開示に鑑みて、開示される特定の実施形態に対し、発明の範囲を逸脱することなく多くの変更を行なうことができ、しかも同様または類似の結果を達成できることが認識されるべきである。
【0055】
水浸入に対する耐性について、様々な設計によるシャッタスラットを試験した。シャッタスラットAは、従来のスラット設計を有し、スラットの外向きの凸形側面から突き出す受入れトラックを有する。シャッタスラットBは、先に論じたような、図11及び図14に示すものに類似するスラット設計を有する。
【0056】
試験は、図16に示すように、シャッタを垂直なフレームまたはバックに取り付けることによって実行した。シャッタの隣接するスラット間のヒンジを、シャッタ重量によって圧縮した。スプレーラックを、シャッタの外側面上に、複数の噴霧ノズルをスラットの外向きの凸形側面へ向けて位置合わせした。噴霧ノズルを、水平から0°、+ 45°または-45°の噴射角でヒンジへと集中させた。シャッタに水を、流速3、4または5gpm(ガロン/分)で10分間シャッタに噴射した。キャッチトラフをシャッタ底部のシャッタ内側に位置合わせし、外側からヒンジに浸透した水の量(ml)を測定した。
表1:水進入の結果
【表1】
【0057】
水浸入試験の結果を表1に示す。従来のシャッタ設計であるスラットAに、噴射角0°の5gpmでかなりの量の水が浸透することが判明した。図17に示すように、複数のヒンジから即時的な安定した滴が観察された。測定不能な(NM)量の水を生成する単一のヒンジからのゆっくりした滴も、噴射角0度の4gpm、及び噴射角+ 45°の5gpmで観察された。これに対して、図18に示すように、シャッタ設計スラットBには、いかなる条件下でも水が浸入していなかった。
【0058】
本明細書に記述されている構造及び技術に対しては、上述したものに加えて、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく変更が行われてもよい。したがって、特定の実施形態について説明したが、これらは単なる例示であって、本発明の範囲を限定するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18