特許第6503156号(P6503156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6503156固体撮像素子用着色組成物及びカラーフィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6503156
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】固体撮像素子用着色組成物及びカラーフィルタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20190408BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   G02B5/20 101
   G03F7/004 505
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-46228(P2014-46228)
(22)【出願日】2014年3月10日
(65)【公開番号】特開2015-169880(P2015-169880A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2016年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591183153
【氏名又は名称】トーヨーカラー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】原口 一道
(72)【発明者】
【氏名】日岐 憲司
(72)【発明者】
【氏名】港 浩一
(72)【発明者】
【氏名】大熊 聡
【審査官】 辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−137321(JP,A)
【文献】 特開2014−142582(JP,A)
【文献】 特開2011−075759(JP,A)
【文献】 特開2013−254205(JP,A)
【文献】 特開2011−117986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G03F 7/004
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑色顔料及び黄色顔料を含む固体撮像素子用着色組成物であって、該緑色顔料がC.I.ピグメントグリーン58およびC.I.ピグメントグリーン7を含み、該黄色顔料がC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、およびC.I.ピグメントイエロー150からなる群より選ばれる1種以上を含み、C.I.ピグメントグリーン58の含有量が、顔料全量に対して45質量%以上、かつC.I.ピグメントグリーン7の含有量が、顔料全量に対して5〜10質量%であることを特徴とする固体撮像素子用着色組成物。
【請求項2】
黄色顔料が、C.I.ピグメントイエロー150を含むことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子用着色組成物。
【請求項3】
基材上に、請求項1または2に記載の固体撮像素子用着色組成物から形成されるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶ディスプレイやデジタルカメラ、ビデオカメラ、コピー、スキャナーなどの固体撮像素子に装着されるカラーフィルタ、カラーフィルタの形成に用いる固体撮像素子用着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶ディスプレイやデジタルカメラ、ビデオカメラ、コピー、スキャナーなどの固体撮像素子に装着されるカラーフィルタは、一般的にガラスや固体撮像素子上に赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色やシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の補色などの色を微細パタ−ンとして設けることにより製造されている。
【0003】
カラーフィルタの製造方法には、色材に染料を使った染色法、染料分散法や、色材に顔料を使った顔料分散法、印刷法、電着法などがある。このうち染色法、あるいは染色分散法は色素が染料であることから、耐熱性や耐光性にやや劣る欠点がある。よってカラーフィルタの色材としては耐熱性や耐光性に優れる顔料が用いられ、製造方法としては形成方法の精度や安定性から顔料分散法を用いる場合が多い。
【0004】
顔料分散法は、透明樹脂中に色素である顔料粒子を分散させたものに感光剤や添加剤などを混合・調合することによってカラーレジスト化し、このカラーレジストを基板上にスピンコーターなどの塗布装置により塗膜形成し、アライナーやステッパー等によりマスクを介して選択的に露光を行い、アルカリ現像、熱硬化処理をすることによりパターニングし、この操作を繰り返すことによってカラーフィルタを作製する方法である。
【0005】
しかしながら、近年、カラーフィルタにおいて、特にデジタルカメラ用、固体撮像素子用カラーフィルタにおいては、高精細化、高輝度化、高色再現性が要求されており、カラーフィルタの更なる高透過率化、優れた色分離性が望まれている。おり、このような優れた色分解性と、高透過率を達成できる着色組成物とするのは非常に困難なのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−267792号公報
【特許文献2】特開2008−040404号公報
【特許文献3】特開2006−104243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明は、特定の顔料を用いることで、固体撮像素子用カラーフィルタに要求される、分光特性を制御することを可能とし、色分解性に優れ、かつ高透過率化である着色組成物、およびそれを用いたカラーフィルタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の着色組成物は、緑色顔料がC.I.ピグメントグリーン58およびC.I.ピグメントグリーン7を含み、黄色顔料がC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150およびC.I.ピグメントイエロー185からなる群より選ばれる1種以上を含むことで、分光特性の制御が可能となり、それにより、色分解性に優れ、かつ高透過率の固体撮像素子用に優れたものとなることを見出したものである。
【0009】
すなわち、本発明の第一の態様は、緑色顔料及び黄色顔料を含む固体撮像素子用着色組成物であって、該緑色顔料がC.I.ピグメントグリーン58およびC.I.ピグメントグリーン7を含み、該黄色顔料がC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150およびC.I.ピグメントイエロー185からなる群より選ばれる1種以上を含むことを特徴とする固体撮像素子用着色組成物である。
【0010】
本発明の第二の態様は黄色顔料が、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、およびC.I.ピグメントイエロー185からなる群より選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子用着色組成物である。
本発明の第三の態様は基材上に、前記固体撮像素子用着色組成物から形成されるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の固体撮像素子用着色組成物は、緑色顔料がC.I.ピグメントグリーン58およびC.I.ピグメントグリーン7を含み、黄色顔料がC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150およびC.I.ピグメントイエロー185からなる群より選ばれる1種以上を含むため、膜厚0.5〜1.2μmで650nmの透過率が2%になるように塗膜を形成したとき、該塗膜における短波長側の分光透過率50%となる波長が475nm〜495nmの範囲にあり、長波長側の分光透過率50%となる波長が580nm〜590nmの範囲とすることができる。また、C.I.ピグメントグリーン58はC.I.ピグメントグリーン36と比較すると、その色特性が分光透過率のピークにおいて高透過率をもち、また長波長領域において分光透過率が低く推移するという特性を示す。そのため530nmの透過率が85%以上と高い分光透過率を示す。そのため、色分離が良い。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明の固体撮像素子用着色組成物について詳細に説明する。ここでは一般的に多く用いられる顔料分散法を用いた場合について具体的に説明する。
【0013】
本発明の固体撮像素子用着色組成物は、特定の緑色顔料と特定の黄色顔料を含み、緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン58およびC.I.ピグメントグリーン7を含み、黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150およびC.I.ピグメントイエロー185からなる群より選ばれる1種以上を含む。
【0014】
各顔料の含有量は、顔料全量(100重量%)中、ピグメントグリーン58の含有量が5〜85重量%、ピグメントグリーン7の含有量が5〜60重量%、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150およびC.I.ピグメントイエロー185からなる群より選ばれる1種以上の黄色顔料が、合計で1〜50重量%にあることが、膜厚0.5〜1.2μmで650nmの透過率が2%になるように塗膜を形成したとき、該塗膜における短波長側の分光透過率50%となる波長が75nm〜495nmの範囲にあり、長波長側の分光透過率50%となる波長が580nm〜590nmの範囲とすることができる。また、C.I.ピグメントグリーン58はC.I.ピグメントグリーン36と比較すると、その色特性が分光透過率のピークにおいて高透過率をもち、また長波長領域において分光透過率が低く推移するという特性を示す。そのため530nmの透過率が85%以上と高い分光透過率を示すため好ましい。
【0015】
特に、黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー185からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
C.I.ピグメントグリーン58と、C.I.ピグメントグリーン7を含み、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、およびC.I.ピグメントイエロー185からなる群より選ばれる1種以上を含む顔料を用いることで、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、またはC.I.ピグメントイエロー185が、C.I.ピグメントグリーン58の特性である、400nm〜500nm波長領域の好ましくない透過ピークを抑えることができ、分光特性に優れたものとなるためである。
【0016】
これらの顔料を用いる場合には、各顔料の含有量は、顔料全量(100重量%)中、ピグメントグリーン58の含有量が5〜85重量%、ピグメントグリーン7の含有量が5〜60重量%、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、またはC.I.ピグメントイエロー185の黄色顔料が合計1〜50重量%であることが膜厚0.5〜1.2μmで650nmの透過率が2%になるように塗膜を形成したとき、該塗膜における短波長側の分光透過率50%となる波長が475nm〜495nmの範囲にあり、長波長側の分光透過率50%となる波長が580nm〜590nmの範囲とすることができる。また、530nmの透過率が85%以上と高い分光透過率を示すために好ましい。
【0017】
そして、本発明の固体撮像素子用着色組成物を用いることにより、膜厚0.5〜1.2μmで650nmの透過率が2%になるように塗膜を形成したとき、該塗膜における短波長側の分光透過率50%となる波長が475nm〜495nmの範囲、長波長側の分光透過率50%となる波長が580nm〜590nmの範囲にあり、530nmの透過率が85%以上と高い分光透過率を示す、優れた色分離性及び高透過率を併せ持つ緑色カラーフィルタを提供できる。
【0018】
つまり、本発明の固体撮像素子用着色組成物において、緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン58、およびC.I.ピグメントグリーン7を含み、黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150およびC.I.ピグメントイエロー185からなる群より選ばれる1種以上を含むことで、該着色組成物を用いて膜厚0.5〜1.2μmの緑色塗膜またはカラーフィルタを形成すると、前記の分光特性を達成できる。なお、緑色塗膜とは、本発明の固体撮像素子用着色組成物を基材に塗工・塗布したものをいい、公知の塗工・塗布手段により得ることができる。当然に、本発明の緑色塗膜は緑色フィルタセグメントまたはカラーフィルタに流用することができる。また、緑色フィルタセグメントのみからなるカラーフィルタを形成することもできる。
【0019】
本発明の固体撮像素子用着色組成物は、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物により構成される顔料担体を含むことが好ましい。顔料を良好に分散させるためである。透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および活性エネルギー線硬化性樹脂が含まれ、その前駆体には、活性エネルギー線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
固体撮像素子用着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化するときには、光重合 開始剤等が添加される。
【0020】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0021】
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0022】
モノマー、オリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1, 6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられ、これらを単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0023】
本発明の固体撮像素子用着色組成物は、紫外線照射による硬化のために、光重合開始剤等を含むことができる。光重合開始剤を使用する際の配合量は、顔料の合計100重量部に対して5〜200重量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から10〜150重量部であることがより好ましい。
【0024】
光重合性開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、又は2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、又は2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、又はO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又は2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
【0025】
上記光重合開始剤は、単独あるいは2種以上混合して用いるが、増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
増感剤を使用する際の配合量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤100重量部に対して3〜60重量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50重量部であることがより好ましい。
【0026】
本発明の固体撮像素子用着色組成物は、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストの形態で調整されることができる。着色レジストは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂とモノマーを含む顔料担体中に顔料を分散させたものであり、顔料または2種以上の顔料からなる顔料組成物を、必要に応じて光開始剤と共に、顔料担体中に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。また、本発明の着色組成物は、数種類の顔料を別々に顔料担体に分散したものを混合して製造することもできる。
【0027】
顔料を顔料担体中に分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を顔料担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
【0028】
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0029】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0030】
本発明の固体撮像素子用着色組成物は、顔料を充分に顔料担体中に分散させ、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために、溶剤を含有することができる。
溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。溶剤は、顔料の合計100重量部に対して800〜4000重量部の量で用いることができる。
【0031】
本発明の固体撮像素子用着色組成物は、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有することができる。
貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
本発明の固体撮像素子用着色組成物には、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0032】
本発明の固体撮像素子用着色組成物は、顔料を1.5〜20重量%の割合で含有することが好ましい。また、本発明のカラーフィルタにおいては、その最終フィルタセグメント中に、顔料は、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは35〜50重量%の割合で含有され、その残部は、顔料担体により提供される樹脂質バインダーから実質的になる。
【0033】
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0034】
本発明のカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、および少なくとも1つの青色フィルタセグメントを具備してなる。ここで、少なくとも1つの緑色フィルタセグメントは、本発明の固体撮像素子用着色組成物を用いて形成される。
【0035】
青色フィルタセグメントは、公知の青色着色組成物を用いて形成される。青色着色組成物には、例えばC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を含むことができる。青色着色組成物には、C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。
【0036】
また、赤色フィルタセグメントは、公知の赤色着色組成物を用いて形成される。赤色着色組成物には、例えばC.I.ピグメントレッド 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272等の赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物には、黄色着色組成物、オレンジ色着色組成物を併用することができる。
【0037】
黄色着色組成物には、例えばC.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199等の黄色顔料を用いることができる。
【0038】
オレンジ色着色組成物には、例えばC.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、61等のオレンジ色顔料を用いることができる。
【0039】
本発明の固体撮像素子用顔料組成物は、下記一般式(1)の塩基性基、一般式(2)の塩基性基、一般式(3)の塩基性基および一般式(4)の塩基性基から選ばれる少なくとも1つの塩基性基(以下、「特定の塩基性基」ということがある)を有する、顔料誘導体、アントラキノン誘導体、トリアジン誘導体またはアクリドン誘導体から選ばれる少なくとも一種の誘導体を含有することが好ましい。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】
【0040】
一般式(1)〜(4)において、Xは、−SO−、−CO−、−CHNHCOCH−、−CH−または直接結合を表す。
nは、1〜10の整数を表し、好ましくは1〜3の整数である。
およびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜36の置換されていてもよいアルキル基、炭素数2〜36の置換されていてもよいアルケニル基もしくは置換されていてもよいフェニル基を表すか、またはRとRとが結合して更なる窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を形成する。RおよびRは、好ましくは、1〜5個の炭素原子を有する非置換もしくは置換アルキル基である。
は、炭素数1〜36の置換されていてもよいアルキル基、炭素数2〜36の置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。Rは、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する非置換もしくは置換アルキル基である。
【0041】
、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜36の置換されていてもよいアルキル基、炭素数2〜36の置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。R、R、RおよびRは、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する非置換もしくは置換アルキル基である。
Yは、−NR−Z−NR−または直接結合を表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜36の置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜36のアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。RおよびRは、好ましくは、それぞれ、水素原子である。
Zは、炭素数1〜36の置換されていてもよいアルキレン基、炭素数2〜36の置換されていてもよいアルケニレン基、または置換されていてもよいフェニレン基を表す。Zは、好ましくは、非置換もしくは置換フェニレン基である。
【0042】
Rは、下記一般式(5)で示される置換基または下記一般式(6)で示される置換基を表す。下記一般式(5)および一般式(6)において、R〜R、およびnは、上に定義したとおりである。
Qは、水酸基、アルコキシル基、下記一般式(5)で示される置換基または下記一般式(6)で示される置換基を表す。Qは、好ましくは、下記一般式(5)で示される置換基である。
【0043】
【化5】

【化6】
【0044】
塩基性基を有する顔料誘導体を構成する有機色素としては、例えば、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、金属錯体系色素が挙げられる。また、先に例示した有機顔料でもよい。
【0045】
塩基性基を有する顔料誘導体は、種々の合成経路で合成することができる。例えば、有機色素に、下記式(7)〜(10)で表される置換基を導入した後、該置換基と反応して一般式(1)〜(4)で表される置換基を形成するアミン成分、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N−メチルピペラジン、ジエチルアミンまたは4−[4−ヒドロキシ−6−[3−(ジブチルアミノ)プロピルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]アニリン等を反応させることによって得られる。
【0046】
式(7) −SOCl
式(8) −COCl
式(9) −CHNHCOCHCl
式(10) −CH2Cl
【0047】
有機色素がアゾ系色素である場合は、一般式(1)〜(4)で表される置換基をあらかじめジアゾ成分またはカップリング成分に導入し、その後カップリング反応を行うことによって塩基性基を有するアゾ系顔料誘導体を製造することもできる。
また、本発明の塩基性基を有するトリアジン誘導体は、種々の合成経路で合成することができる。例えば、塩化シアヌルを出発原料とし、塩化シアヌルの少なくとも1つの塩素に一般式(1)〜(4)で表される置換基を形成するアミン成分、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミンまたはN−メチルピペラジン等を反応させ、次いで塩化シアヌルの残りの塩素と種々のアミンまたはアルコール等を反応させることによって得られる。
【0048】
一般式(1)〜(4)で表される置換基を形成するために使用されるアミン成分としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジーsec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチルーラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチルーヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニペコチン酸メチル、イソニペコチン酸エチル、2−ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン等が挙げられる。
顔料誘導体は、単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
【0049】
特定の塩基性基を有する顔料誘導体の含有量は、顔料を基準として、好ましくは0.001〜40重量%、さらに好ましくは1〜25重量%である。
【0050】
続いて、本発明の固体撮像素子用着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを具備するカラーフィルタについて説明する。
【0051】
本発明のカラーフィルタは、基材上に、印刷法、電着法またはフォトリソグラフィー法等により、本発明の着色組成物を用いて透明基板上に各色のフィルタセグメントを形成することにより製造することができる。
【0052】
基材としては、ガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板やシリコンウェハーなどが用いられる。
【0053】
印刷法による各色フィルタセグメントの形成は、上記各種の印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0054】
フォトリソグラフィー法により各色フィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μm、より好ましくは0.5〜1.5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジストの重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0055】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0056】
なお、電着法は、透明基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめカラーフィルタ層を形成しておき、このカラーフィルタ層を所望の透明基板に転写させる方法である。
【実施例】
【0057】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表す。また、「PGMAc」とはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを意味する。
【0058】
まず、実施例および比較例に用いた樹脂溶液の製造方法と、顔料のソルトミリング処理方法と、顔料分散体の製造方法と、青色着色組成物および赤色着色組成物の製造方法とについて説明する。
【0059】
<樹脂溶液の製造方法>
(アクリル樹脂溶液)
反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
スチレン 60.0部
メタクリル酸 60.0部
メチルメタクリレート 65.0部
ブチルメタクリレート 65.0部
アゾビスイソブチロニトリル 10.0部
滴下後さらに100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、さらに100℃で1時間反応を続けて、重量平均分子量が約40000のアクリル樹脂の溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
【0060】
<顔料のソルトミリング処理方法>
(黄色ソルトミリング処理顔料製造例)
黄色顔料(C.I.ピグメントイエロー 139、BASF社製「パリオトールエローD1819」)250g、塩化ナトリウム700g、マレイン酸樹脂(荒川化学社製「マルキードNo.3002」、酸価:100)107gおよびポリエチレングリコール300g(東京化成社製)160gをステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、3時間混練した。次にこの混合物を約3リットルの温水に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウム及び溶剤を除き、60℃の熱風オーブンで約24時間乾燥して「P.Y.139ソルトミリング処理顔料」を得た。
【0061】
<顔料分散体の製造方法>
(緑色顔料分散体1の製造例)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで10時間分散した後、1.0μmのフィルタで濾過し、緑色顔料分散体1を作製した。

C.I.ピグメントグリーン58 12.0部
(DIC社製「FASTOGEN GREEN A110」)
分散剤 1.0部
(日本ルーブリゾール社製「ソルスパーズ20000」)
アクリル樹脂溶液 35.0部
PGMAc 52.0部
【0062】
(緑色顔料分散体2の製造例)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで10時間分散した後、1.0μmのフィルタで濾過し、緑色顔料分散体2を作製した。

C.I.ピグメントグリーン7 12.0部
(DIC(株)社製「ファストゲングリーンS」)
分散剤 1.0部
(日本ルーブリゾール社製「ソルスパーズ20000」)
アクリル樹脂溶液 35.0部
PGMAc 52.0部
【0063】
(緑色顔料分散体3の製造例)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで10時間分散した後、1.0μmのフィルタで濾過し、緑色顔料分散体3を作製した。

C.I.ピグメントグリーン36 12.0部
(トーヨーカラー(株)社製「CF−G−6YK」)
分散剤 1.0部
(日本ルーブリゾール社製「ソルスパーズ20000」)
アクリル樹脂溶液 35.0部
PGMAc 52.0部
【0064】
(黄色顔料分散体1の製造例)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで10時間分散した後、1.0μmのフィルタで濾過し、黄色顔料分散体1を作製した。

C.I.ピグメントエロー150 10.0部
(ランクセス(株)社製「E4GN」)
分散剤 1.0部
(日本ルーブリゾール社製「ソルスパーズ20000」)
アクリル樹脂溶液 45.0部
PGMAc 44.0部
【0065】
(黄色顔料分散体2の製造例)
黄色顔料分散体1の製造例のC.I.ピグメントエロー150(ランクセス(株)社製「E4GN」)を「P.Y.139ソルトミリング処理顔料」に変更した以外は、黄色顔料分散体1と同様にして、黄色顔料分散体2を作製した。
【0066】
(黄色顔料分散体3の製造例)
黄色顔料分散体1の製造例のC.I.ピグメントエロー150(ランクセス(株)社製「E4GN」)をC.I.ピグメントエロー83(トーヨーカラー(株)社製「LIONOL Yellow NBR」)に変更した以外は、黄色顔料分散体1と同様にして、黄色顔料分散体3を作製した。
【0067】
(黄色顔料分散体4の製造例)
黄色顔料分散体1の製造例のC.I.ピグメントエロー150(ランクセス(株)社製「E4GN」)をC.I.ピグメントエロー110(BASF(株)社製「クロモフタールエロー2RLTS」)に変更した以外は、黄色顔料分散体1と同様にして、黄色顔料分散体4を作製した。
【0068】
(黄色顔料分散体5の製造例)
黄色顔料分散体1の製造例のC.I.ピグメントエロー150(ランクセス(株)社製「E4GN」)をC.I.ピグメントエロー138(トーヨーカラー(株)製「CF−Y−1010」)に変更した以外は、黄色顔料分散体1と同様にして、黄色顔料分散体5を作製した。
【0069】
(黄色顔料分散体6の製造例)
黄色顔料分散体1の製造例のC.I.ピグメントエロー150(ランクセス(株)社製「E4GN」)をC.I.ピグメントエロー185(BASF(株)社製「PALIOTOL YELLOW D1155」)に変更した以外は、黄色顔料分散体1と同様にして、黄色顔料分散体6を作製した。
【0070】
<青色着色組成物および赤色着色組成物の製造方法>
(青色着色組成物の製造例)
[青色着色組成物1]
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して青色顔料分散体1を作製した。

C.I.ピグメントブルー15:6 12.0部
(トーヨーカラー(株)社製「リオノールブルーES」)
分散剤 1.0部
(日本ルーブリゾール社製「ソルスパーズ20000」)
アクリル樹脂溶液 35.0部
PGMAc 52.0部
【0071】
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、0.45μmのフィルタで濾過して青色着色組成物1を得た。

青色着色分散体1 63.8部
光重合性モノマー 4.1部
(東亞合成社製「アロニックスM402」)
アクリル樹脂溶液 2.8部
光重合開始剤 1.1部
(BASF(株)社製「OXE-01」:オキシムエステル系開始剤)
PGMAc 29.8部
【0072】
(赤色着色組成物の製造例)
[赤色着色組成物1]
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色顔料分散体1を作製した。

C.I.ピグメントレッド254 10.0部
(BASF(株)社製「イルガフォアレッドB−CF」)
C.I.ピグメントレッド177 2.0部
(BASF(株)社製「クロモフタールレッド A2B」)
分散剤 1.0部
(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」)
アクリル樹脂溶液 35.0部
PGMAc 52.0部
【0073】
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、0.45μmのフィルタで濾過して赤色着色組成物1を得た。

赤色着色分散体1 63.8部
光重合性モノマー 2.5部
(東亞合成社製「アロニックスM402」)
アクリル樹脂溶液 2.8部
光重合開始剤 1.1部
(BASF(株)社製「OXE-01」:オキシムエステル系開始剤)
PGMAc 29.8部
【0074】
[実施例1]
(緑色着色組成物1(レジスト材1))
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、0.6μmのフィルタで濾過して、緑色着色組成物1(レジスト材1)を得た。

緑色顔料分散体1 39.0部
緑色顔料分散体2 6.0部
黄色顔料分散体1 14.4部
黄色顔料分散体2 3.6部
アクリル樹脂溶液 2.6部
光重合性モノマー 3.5部
(東亞合成社製「アロニックスM402」)
光重合開始剤 1.1部
(BASF(株)製「OXE-01」:オキシムエステル系開始剤)
PGMAc 29.8部
【0075】
[実施例2〜7比較例1〜3]
(緑色着色組成物2〜10(レジスト材2〜10))
表1に示す組成、および配合量(部)に変えた以外は実施例1の緑色着色組成物1と同じ方法で攪拌混合及びろ過を行い、緑色着色組成物2〜10(レジスト材2〜10)を得た。なお、実施例2〜6参考例である。
【0076】
【表1】
【0077】
緑色着色組成物1〜8(レジスト材1〜8)の顔料比を表2に示す。
【表2】
【0078】
得られた緑色着色組成物をスピンコーターでガラス基板に塗布し、乾燥、露光後、現像し、再度乾燥して、膜厚0.5〜1.2μmで650nmの透過率が2%になるように塗膜を形成した。得られた塗膜の透過率を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて、分光透過率を測定した。結果を表3に示す。
【0079】
【表3】
【0080】
[実施例1]、[実施例2]、[実施例4]〜[実施例7]の着色組成物で得られた緑色塗膜は短波長側の分光透過率50%となる波長が475nm〜495nmであり、長波長側の分光透過率50%となる波長が580nm〜590nmの波長領域の間を満たしている。また、530nmの透過率が85%以上と高い透過率を満たしており、色分解性に優れるものであった。
【0081】
特に、緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン58およびC.I.ピグメントグリーン7、黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150またはC.I.ピグメントイエロー185を含む場合には膜厚が0.9μm以下となり、より薄膜化が可能であった。
【0082】
[比較例1]の着色組成物で得られた緑色塗膜は、緑色顔料がC.I.ピグメントグリーン58のみであるため長波長側の分光透過率50%となる波長が591.1nmとなり、色分離が悪くなった。また、膜厚も1.6μmと厚膜となった。
【0083】
[比較例2]の着色組成物で得られた緑色塗膜は緑色顔料がC.I.ピグメントグリーン7のみであるため、長波長側の分光透過率50%となる波長が570.0nmとなり、580nm〜590nmの範囲を満たさなかった。また、530nmの透過率も83.0%と85%を下回り、色分離が悪くなった。また、膜厚も1.9μmと厚膜となった。
【0084】
[比較例3]の着色組成物で得られた緑色塗膜はC.I.ピグメントグリーン58を含まないため530nmの透過率が84.8%と85%を下回り、色分離が悪くなった。
【0085】
また、本発明の固体撮像素子用緑色着色組成物から得られた塗膜、およびカラーフィルタは、色分離の良い分光透過率を有するものであった。