特許第6503225号(P6503225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6503225
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 23/06 20060101AFI20190408BHJP
【FI】
   E02D23/06 A
   E02D23/06 Z
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-103022(P2015-103022)
(22)【出願日】2015年5月20日
(65)【公開番号】特開2016-217005(P2016-217005A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149594
【氏名又は名称】株式会社大本組
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】神田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】山崎 達紀
(72)【発明者】
【氏名】阿部 貴之
【審査官】 佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−130464(JP,A)
【文献】 特開2005−226386(JP,A)
【文献】 特開平07−109739(JP,A)
【文献】 実開昭60−070647(JP,U)
【文献】 特開昭53−091245(JP,A)
【文献】 特開2004−353394(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0129013(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 23/06
E02D 23/08
B61B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレール本体と前記ガイドレール本体に設けられるラックギヤとを具備し、互いに隙間を有して直列に配置される複数のガイドレールユニットを具備するガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って走行するフレームと、直線状に並んで前記フレームに回転可能に支持され、前記ラックギヤに噛み合い合う複数のピニオンギヤと、前記フレームに設けられ、複数の前記ピニオンギヤを駆動する駆動装置と、を具備し、前記複数のピニオンギヤのうち回転中心間距離が前記ラックギヤ間の隙間のうち最大の隙間以上となる2つのピニオンギヤからなる組み合わせを少なくとも1つ有する搬機と、
を具備することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記搬機は、前記複数のピニオンギヤのうち回転中心間距離が前記ガイドレールユニット間の隙間のうち最大の隙間以上となる2つのピニオンギヤからなる組み合わせを2つ以上有する
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記ガイドレールは、重力方向に沿って配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
筒状の搬機昇降用シャフトと、
前記搬機昇降用シャフト内に設けられ、前記搬機昇降用シャフト内を開閉する扉と、
前記搬機昇降用シャフト内の前記扉を挟んで両側に配置され、ガイドレール本体と前記ガイドレール本体に設けられるラックギヤとを具備して直列に並んで配置される一対のガイドレールユニットを具備するガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って走行するフレームと、直線状に並んで前記フレームに回転可能に支持され、前記ラックギヤに噛み合い合う複数のピニオンギヤと、前記フレームに設けられ、複数の前記ピニオンギヤを駆動する駆動装置と、を具備し、前記複数のピニオンギヤのうち回転中心間距離が一方の前記ガイドレールユニットと他方のガイドレールユニットとの間の隙間以上となる2つのピニオンギヤからなる組み合わせを少なくとも1つ有する搬機と、
を具備することを特徴とする搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばニューマチックケーソン工法で用いられる掘削機を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁基礎の工事等に、ニューマチックケーソン工法が用いることが知られている。ニューマチックケーソン工法は、ケーソンの下部に設けられる作業室内に設置される掘削機によって地面を掘削し、ケーソンを所定深さまで埋没する工法である。作業室の天井には走行レールが敷設されている。掘削機は、遠隔操作により走行レールに沿って走行しながら、地面を掘削する。作業室内は、地面を通して作業室内への湧水を防止する為に、高圧に設定されている。
【0003】
一方、掘削機は、メンテナンス時には、地上に引き上げられる必要がある。この為、ケーソン内に、作業室と地上とを連通する掘削機回収シャフトが設けられている。掘削機回収シャフト内には、作業室内の圧力が低下することを防止する為に、上部耐圧扉装置と下部耐圧扉装置とによって仕切られた掘削機回収ロックが設けられている。
【0004】
掘削機回収シャフト内が上部耐圧扉装置及び下部耐圧扉装置によって仕切られる為、掘削機回収シャフト内に掘削機の昇降に用いる連続したガイドレールを敷設することは難しい。この為、ワイヤを用いて掘削機を昇降することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−176910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、ワイヤを用いる掘削機の搬送には以下の問題があった。すなわち、ワイヤを用いることによって、掘削機は、昇降の際に掘削機回収シャフト内で揺れ動く場合がある。掘削機が掘削機回収シャフトの内面にぶつかる虞があるので、掘削機をガイドするレール等を設ける必要がある。しかし、前記に示したように、上部耐圧扉装置と下部耐圧扉装置がある為、レールを設けることは困難である。
【0007】
この為、掘削機をシャフト内に搬入する際に、掘削機がシャフト内面にぶつからないようにする為に、掘削機をいくつかの部分に分解してシャフト内に搬入することが行われている。しかしながら、掘削機をいくつかの部分に分解して搬入すると、効率が悪い。
【0008】
この為、本発明は、被搬送物を安全にかつ効率よく搬送できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の搬送装置は、ガイドレールと、搬機と、を備える。前記ガイドレールは、互いに隙間を有して直列に配置される複数のガイドレールユニットを備える。ガイドレールユニットは、ガイドレール本体と前記ガイドレール本体に設けられるラックギヤとを備える。搬機は、前記ガイドレールに沿って走行するフレームと、直線状に並んで前記フレームに回転可能に支持され、前記ラックギヤに噛み合い合う複数のピニオンギヤと、前記フレームに設けられ、複数の前記ピニオンギヤを駆動する駆動装置と、を備え、かつ、前記複数のピニオンギヤのうち回転中心間距離が前記ラックギヤ間の隙間のうち最大の隙間以上となる2つのピニオンギヤからなる組み合わせを少なくとも1つ有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、被搬送物を安全にかつ効率よく搬送できる搬送装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る搬送装置を備えるニューマチックケーソン工法を用いる工事システムを示す一部断面図。
図2】同工事システムの掘削機回収シャフトの掘削機回収ロックの近傍を示す断面図。
図3】同掘削機回収シャフトの同掘削機回収ロックの近傍を示す断面図。
図4】同工事システムの昇降機を示す正面図。
図5】同昇降機を示す側面図。
図6】同昇降機が上昇している状態を示す掘削機昇降装置の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係る搬送装置を用いたニューマチックケーソン工法を用いる工事システム10を、図1〜6を用いて説明する。図1は、ニューマチックケーソン工法を用いる工事システム10を示す一部断面図である。ここで、本実施形態では、重力が作用する方向を下方向として、上下方向を設定する。
【0013】
図1に示すように、工事システム10は、ケーソン20と、ケーソン20の作業室23内に設置される掘削機30と、ケーソン20内に設置されるマテリアルシャフト40と、マテリアルシャフト40の上端に設置されるマテリアルロック45と、ケーソン20内に設置されるマンシャフト50と、マンシャフト50の上端に設置されるマンロック55と、ケーソン20内に設置される掘削機昇降装置(搬送装置)60と、操作装置150と、を有している。
【0014】
図1では、ケーソン20が地中に埋没した状態が示されている。ケーソン20は、地面1上に設置される筒形状の作業室スラブ21と、作業室スラブ21上に設置される筒形状のケーソン躯体22と、を有している。
【0015】
作業室スラブ21内は、作業室23となっている。作業室スラブ21の下端縁部は、刃口24が形成されている。作業室スラブ21の天井21aには、走行レール25が敷設されている。
【0016】
作業室スラブ21の天井21aには、マテリアルシャフト用の開口部26と、マンシャフト用の開口部27と、昇降シャフト用の開口部28と、が形成されている。これら開口部26,27,28は、天井21aを貫通している。
【0017】
掘削機30は、走行レール25に沿って移動可能に構成されている。また、掘削機30は、地面1を掘削可能に構成されている。
【0018】
マテリアルシャフト40は、筒状に形成されている。マテリアルシャフト40は、マテリアルシャフト用開口部26に連結されており、マテリアルシャフト用開口部26を介して作業室23内に連通している。マテリアルシャフト40は、作業室スラブ21から地上まで延びている。マテリアルシャフト40は、作業室23内の掘削土を収容する排土バケットを地上に移動する際に用いられる。
【0019】
マテリアルロック45は、排土バケットの搬入及び搬出が行われる。
【0020】
マンシャフト50は、筒状に形成されている。マンシャフト50は、マンシャフト用開口部27に連結されており、マンシャフト用開口部27を介して作業室23内に連通している。マンシャフト50は、作業室スラブ21から地上まで延びている。マンシャフト50は、作業者が作業室23内に出入りする為に用いられる。この為、マンシャフト50内には、作業者の昇降用のエレベータが設けられている。また、マンシャフト50の下端部は、混合ガスマンロック56となっている。
【0021】
マンロック55は、作業者の出入りが行われる。
【0022】
掘削機昇降装置60は、掘削機回収シャフト70と、掘削機回収シャフト70内に設けられる上部耐圧扉装置80と、掘削機回収シャフト70内において上部耐圧扉装置80よりも下方に設けられる下部耐圧扉装置85と、掘削機回収シャフト70内に敷設されるガイドレール90(図2,3に示す)と、電力供給用のトロリーバー100(図2,3に示す)と、操作装置150からの信号を伝達する信号線105(図2,3に示す)と、昇降機(搬機)110(図2,3に示す)と、を有している。
【0023】
掘削機回収シャフト70は、筒状に形成されている。掘削機回収シャフト70は、昇降シャフト用開口部28に連結されており、昇降シャフト用開口部28を通して作業室23内に連通している。掘削機回収シャフト70は、地上まで延びている。
【0024】
掘削機回収シャフト70は、その下端部に掘削機回収ロック71を有している。図2は、掘削機回収シャフト70の掘削機回収ロック71の近傍を示す断面図である。図2に示すように、掘削機回収ロック71は、上部区画壁72と下部区画壁73とによって、区画されている。
【0025】
上部区画壁72には、上部貫通口74が形成されている。下部区画壁73は、上部区画壁72よりも下方に設けられている。下部区画壁73には、下部貫通口75が形成されている。
【0026】
上部耐圧扉装置80は、上部貫通口74を気密に開閉可能に形成されている。上部耐圧扉装置80は、観音開き構造を有している。
【0027】
具体的には、上部耐圧扉装置80は、第1の上部扉部材81と、第1の上部扉部材用開閉装置82と、第2の上部扉部材83と、第2の上部扉部材用開閉装置84と、を有している。第1の上部扉部材81は、上部貫通口74の半分の面積を塞ぐ大きさを有している。第1の上部扉部材81の一端部は、上部区画壁72に回転可能に支持されている。第1の上部扉部材用開閉装置82は、操作装置150からの指令を受けて、第1の上部扉部材81を開閉可能に構成されている。
【0028】
第2の上部扉部材83は、上部貫通口74の半分の面積を塞ぐ大きさを有している。第2の上部扉部材83の一端部は、上部区画壁72に回転可能に支持されている。第2の上部扉部材用開閉装置84は、操作装置150からの指令を受けて、第2の上部扉部材83を開閉可能に構成されている。
【0029】
上部扉部材81,83が閉まることによって、上部貫通口74は気密に塞がれる。
【0030】
下部耐圧扉装置85は、下部貫通口75を気密に開閉可能に形成されている。下部耐圧扉装置85は、観音開き構造を有している。
【0031】
具体的には、下部耐圧扉装置85は、第1の下部扉部材86と、第1の下部扉部材用開閉装置87と、第2の下部扉部材88と、第2の下部扉部材用開閉装置89と、を有している。第1の下部扉部材86は、下部貫通口75の半分の面積を塞ぐ大きさを有している。第1の下部扉部材86の一端部は、下部区画壁73に回転可能に支持されている。第1の下部扉部材用開閉装置87は、操作装置150からの指令を受けて、第1の下部扉部材86を開閉可能に構成されている。
【0032】
第2の下部扉部材88は、下部貫通口75の半分の面積を塞ぐ大きさを有している。第2の下部扉部材88の一端部は、下部区画壁73に回転可能に支持されている。第2の下部扉部材用開閉装置89は、操作装置150からの指令を受けて、第2の下部扉部材88を開閉可能に構成されている。
【0033】
下部扉部材86,88が閉まることによって、下部貫通口75は気密に塞がれる。
【0034】
ガイドレール90は、掘削機30を、掘削機回収シャフト70の上端まで案内可能に形成されている。また、ガイドレール90は、上部耐圧扉装置80及び下部耐圧扉装置85に干渉しないように、上部耐圧扉装置80の近傍及び下部耐圧扉装置85の近傍が途切れた構造を有している。
【0035】
具体的には、ガイドレール90は、第1のガイドレールユニット91と、第2のガイドレールユニット92と、第3のガイドレールユニット93と、を有している。
【0036】
図3は、掘削機回収シャフト70の掘削機回収ロック71の近傍を示す断面図である。図3は、掘削機回収シャフト70を、図2に示される断面に対して掘削機回収シャフト70の軸線回りに90度回転した状態の断面を示している。
【0037】
図3に示すように、第1のガイドレールユニット91は、一対の第1のガイドレール本体91aと、第1のガイドレール本体91aに設けられる第1のラックギヤ91bと、を有している。
【0038】
一対の第1のガイドレール本体91aは、掘削機回収シャフト70の軸線回りに180度離間しており、複数のブラケット6によって掘削機回収シャフト70内に固定されている。
【0039】
第1のガイドレール本体91aは、図2に示すように、昇降シャフト用開口部28から下部貫通口75の手前の位置まで上下方向に延びている。ここでいう手前の位置とは、下部扉部材86,88に干渉しない位置であって、下部貫通口75に近い位置である。
【0040】
第1のラックギヤ91bは、両第1のガイドレール本体91aにおいて互いに対向する面に固定されている。第1のラックギヤ91bは、第1のガイドレール本体91aの一端から他端まで上下方向に延びている。
【0041】
第2のガイドレールユニット92は、図3に示すように、一対の第2のガイドレール本体92aと、一対の第2のラックギヤ92bと、を有している。第2のガイドレール本体92aは、第1のガイドレール本体91aの延長上に配置されている。第2のガイドレール本体92aは、ブラケット6によって掘削機回収シャフト70内に固定されている。第2のガイドレール本体92aは、図2に示すように、下部貫通口75から上部貫通口74の手前の位置まで上下方向に延びている。ここで言う手前の位置とは、上部扉部材81,83に干渉しない位置であって、上部貫通口74に近い位置である。
【0042】
第2のラックギヤ92bは、第1のラックギヤ91bの延長上に配置されており、第2のガイドレール本体92aに固定されている。第2のラックギヤ92bは、第2のガイドレール本体92aの一端から他端まで上下方向に延びている。第1のラックギヤ91bの上端から第2のラックギヤ92bの下端までの距離は、L1である。
【0043】
第3のガイドレールユニット93は、図2に示すように、一対の第3のガイドレール本体93aと、一対の第3のラックギヤ93bと、を有している。第3のガイドレール本体93aは、第2のガイドレール本体92aの延長上に配置されている。第3のガイドレール本体93aは、ブラケット6によって掘削機回収シャフト70内に固定されている。第3のガイドレール本体93aは、上部貫通口74から掘削機回収シャフト70の上端まで上下方向に延びている。
【0044】
第3のラックギヤ93bは、第2のラックギヤ92bの延長上に配置されており、第3のガイドレール本体93aに固定されている。第3のラックギヤ93bは、第3のガイドレール本体93aの一端から他端まで上下方向に延びている。第2のラックギヤ92bの上端から第3のラックギヤ93bの下端までの距離は、L1である。
【0045】
なお、ガイドレール本体91a,92a,93aは、長さが異なる以外については、同じ形状を有している。同様の、ラックギヤ91b,92b,93bは、長さが異なる以外については、同じ形状を有している。
【0046】
トロリーバー100は、図3に示すように、掘削機回収シャフト70の内面において一対の第1のガイドレール本体91a間と、一対の第2のガイドレール本体92a間と、一対の第3のガイドレール本体93a間とに敷設されている。トロリーバー100は、3本用いられている。トロリーバー100は、外部の電力供給装置に接続されている。
【0047】
なお、トロリーバー100は、上部貫通口74の近傍と下部貫通口75の近傍では、扉部材81,83,86,88に干渉しないように、その一部が掘削機回収シャフト70の外側に出ている。この為、トロリーバー100は、見掛け上、途切れているようにみえる。このトロリーバー100の見掛け上の途切れた範囲の上下方向に沿う長さは、L6である。
【0048】
信号線105は、掘削機回収シャフト70の内面に敷設されている。信号線105は、操作装置150に接続されている。信号線105は、一例として2本用いられている。なお、信号線105は、上部貫通口74の近傍と下部貫通口75の近傍では、扉部材81,83,86,88に干渉しないように、その一部が掘削機回収シャフト70の外側に出ている。この為、信号線105は、見掛け途切れたようにみえる。この信号線105の見掛け上の途切れた範囲の上下方向に沿う長さは、L6である。
【0049】
図4は、昇降機110を示す正面図である。図5は、昇降機110を示す側面図である。昇降機110の説明において、昇降機110がガイドレール90に組み付けられた状態に基づいて、上下方向を設定する。
【0050】
図4,5に示すように、昇降機110は、フレーム120と、駆動機構130と、複数のガイドローラ111と、複数の押さえローラ112と、トロリーバー100から電力を受け、かつ、信号線105から信号を受けるコレクタ113と、掘削機30が連結可能な連結フレーム114と、を有している。
【0051】
フレーム120は、直方体形状に形成されるフレーム本体121と、複数の手摺122と、梯子123と、を有している。フレーム本体121は、上部を構成する上部フレーム124と、下部を構成する下部フレーム125と、側部を構成する駆動フレーム126と、を有している。
【0052】
手摺122は、上部フレーム124と下部フレーム125との各々に設けられている。手摺122は、作業者が昇降機110を手で持って移動するときに、作業者が把持可能な形状に形成されている。手摺122は、例えば、枠形状に形成されている。
【0053】
梯子123は、上部フレーム124と下部フレーム125とに取り付けられている。梯子12は、上下方向に延びており、作業者が昇降可能に形成されている。
【0054】
駆動機構130は、ラックギヤ91b,92b,93bに噛み合い可能なピニオンギヤ131と、伝達ギヤ132と、電動モータ(駆動装置)133と、電動モータ133の出力軸133aに固定されるモータピニオンギヤ133bと、電動モータ133の回転を制御する制御装置134と、を有している。
【0055】
ピニオンギヤ131は、第1のピニオンギヤ135と、第2のピニオンギヤ136と、第3のピニオンギヤ137と、第4のピニオンギヤ138と、第5のピニオンギヤ139と、第6のピニオンギヤ140と、を有している。ピニオンギヤ135〜140は、それぞれ、両駆動フレーム126に回転可能に支持されている。ピニオンギヤ135〜140は、互いに離間して上から順番に配置されており、回転中心が上下方向に並んで配置されている。
【0056】
複数のピニオンギヤ135〜140の列の一端に位置する第1のピニオンギヤ135の回転中心135aと他端に位置する第6のピニオンギヤ140の回転中心140aとの間の距離は、L2である。L2は、L1より長い。
【0057】
また、回転中心間の距離がL1以上となるピニオンギヤの組み合わせが複数ある。具体的には、第1のピニオンギヤ135の回転中心135aと第5のピニオンギヤ139の回転中心139aとの間の距離L3は、L1より長い。第2のピニオンギヤ136の回転中心136aと第6のピニオンギヤ140の回転中心140aとの間の距離L4は、L1より長い。第2のピニオンギヤ136の回転中心136aと第5のピニオンギヤ139の回転中心139aとの間の距離L5は、L1より長い。
【0058】
伝達ギヤ132は、第1の伝達ギヤ141と第2の伝達ギヤ142と、を有している。第1の伝達ギヤ141は、第2のピニオンギヤ136と第3のピニオンギヤ137との間に配置されており、駆動フレーム126に回転可能に支持されている。第1の伝達ギヤ141は、ピニオンギヤ136,137に噛み合っている。
【0059】
第2の伝達ギヤ142は、第4のピニオンギヤ138と第5のピニオンギヤ139との間に配置されており、駆動フレーム126に回転可能に支持されている。第2の伝達ギヤ142は、ピニオンギヤ138,139に噛み合っている。
【0060】
電動モータ133は、一例として、4つ用いられている。電動モータ133は、フレーム本体121の隅に1ずつ設置されている。制御装置134は、電動モータ133の近傍に配置されている。
【0061】
駆動フレーム126の上端部近傍に配置される電動モータ133の出力軸133aに固定されるモータピニオンギヤ133bは、第1のピニオンギヤ135と第2のピニオンギヤ136との間に配置されており、ピニオンギヤ135,136に噛み合っている。
【0062】
駆動フレーム126の下端部近傍に配置される電動モータ133の出力軸133aに固定されるモータピニオンギヤ133bは、第5のピニオンギヤ139と第6のピニオンギヤ140との間に配置されており、ピニオンギヤ139,140に噛み合っている。
【0063】
ガイドローラ111は、駆動フレーム126の上端部と下端部とに一対ずつ回転可能に支持されている。これら一対のガイドローラ111は、上下方向に直交する方向にガイドレール本体91a,92a,93aを間に挟持可能な隙間を有して離間している。
【0064】
駆動フレーム126の上端部に支持される一対のガイドローラ111は、第1のピニオンギヤ135よりも上方に位置している。駆動フレーム126の下端部に支持される一対のガイドローラ111は、第6のピニオンギヤ140よりも下方に位置している。
【0065】
押さえローラ112は、各ピニオンギヤとの間に、上下方向に直交する方向にラックギヤ91b,92b,93bを挟持可能な隙間を有して配置されている。押さえローラ112は、駆動フレーム126に回転可能に支持されている。
【0066】
コレクタ113は、上部フレーム124と下部フレーム125とにそれぞれ設けられている。コレクタ113は、トロリーバー100に接触してトロリーバー100から供給された電力を各電動モータ133に供給する。また、コレクタ113は、信号線105に接触し信号線105から伝達された信号を制御装置134に伝達する。
【0067】
上部フレーム124に設けられるコレクタ113と下部フレーム125に設けられるコレクタ113との間の上下方向に沿う距離は、L7である。L7は、L6より長い。
【0068】
連結フレーム114は、下部フレーム125に設けられている。連結フレーム114は、掘削機30が連結可能に構成されている。
【0069】
このように構成される昇降機110は、掘削機回収シャフト70の上端からガイドレール90に組み付けられる。具体的には、上部フレーム124が重力方向に沿って上方となるようにガイドレール90に組みつけられる。さらに具体的には、両コレクタ113がトロリーバー100と信号線105とに接触する姿勢で、ピニオンギヤ135〜140を第3のガイドレールユニット93の第3のラックギヤ93bに噛みあわせる。このとき、ピニオンギヤ135〜140と押さえローラ112との間に第3のラックギヤ93bを挟持させ、かつ、一対のガイドローラ111間に、第3のガイドレール本体93aを挟持させる。
【0070】
このように昇降機110が第3のガイドレールユニット93に組み付けられると、昇降機110は、ピニオンギヤ135〜140が回転することによって、ガイドレール90に沿って昇降可能となる。
【0071】
操作装置150は、作業者によって操作可能に構成されている。操作装置150は、信号線105が接続されている。操作装置150は、作業者の操作によって、電動モータ133の制御信号を送信する。また、操作装置150は、一例として無線で、扉部材81,83,86、88の開閉の信号を、開閉装置82,84,87,89に送信する。
【0072】
この為、作業者は、操作装置150を操作することによって、掘削機30の動作と、扉部材81,83,86,88の開閉動作と、昇降機110の昇降動作と、を制御することができる。
【0073】
次に、工事システム10の動作について、説明する。作業者が操作装置150を操作することによって、掘削機30が駆動し、地面1を掘削する。掘削機30が掘削した土は、マテリアルシャフト40とマテリアルロック45とを通ってケーソン20の外部に排出される。
【0074】
掘削機30をメンテナンスする場合では、作業者は、操作装置150を操作して、昇降機110を、図2,3に示すように、連結フレーム114に掘削機30を連結可能となる位置まで下ろす。
【0075】
具体的には、電動モータ133は、コレクタ113を介してトロリーバー100から供給された電力と、コレクタ113を介して受信した操作装置150からの信号とによって、昇降機110を下降させる方向に回転する。電動モータ133の回転は、モータピニオンギヤ133bと伝達ギヤ132とによって、ピニオンギヤ135〜140に伝達される。ピニオンギヤ135〜140は、同一方向に回転する。昇降機110は、ピニオンギヤ135〜140が回転することによって、下降する。
【0076】
昇降機110が連結フレーム114に掘削機30を連結可能となる位置に到達すると、作業者は、操作装置150を操作して掘削機30を連結フレーム114に連結させる。
【0077】
連結フレーム114に掘削機30が連結されると、作業者は、操作装置150を操作して、下部扉部材81,83を開く。
【0078】
下部扉部材81,83が開くと、作業者は、操作装置150を制御して、昇降機110を上昇させる。昇降機110がガイドレール90に沿って上昇すると、上部フレーム124に設けられたコレクタ113は、トロリーバー100及び信号線105の見掛け上の途切れた範囲に侵入する。この為、上部フレーム124に設けられたコレクタ113は、トロリーバー100及び信号線105に接触しない状態となる。
【0079】
上部フレーム124に設けられたコレクタ113と下部フレーム125に設けられたコレクタ113との間の距離L7は、トロリーバー100及び信号線105の見かけ上の途切れた範囲の距離L6よりも長い。この為、上部フレーム124に設けられたコレクタ113がトロリーバー100及び信号線105の接触しない状態となっても、下部フレーム125に設けられたコレクタ113とトロリーバー100及び信号線105との接触状態は維持されている。
【0080】
同様に、下部フレーム125に設けられたコレクタ113がトロリーバー100及び信号線105の途切れた範囲内に進入してトロリーバー100及び信号線105に接触しない状態となっても、上部フレーム124に設けられたコレクタ113とトロリーバー100及び信号線105との接触状態は維持されている。
【0081】
図6は、昇降機110が連結フレーム114に掘削機30を連結可能となる位置から上昇している状態を示す側面図である。なお、図6中では、掘削機回収シャフト70は省略されている。図6では、上部フレーム124に設けられたコレクタ113とトロリーバー100及び信号線105との接触状態が維持され、かつ、下部フレーム125に設けられたコレクタ113がトロリーバー100及び信号線105に接触しない状態を示している。
【0082】
また、昇降機110が上昇すると、ピニオンギヤ131は、第1のピニオンギヤ135から順番にガイドレール90の途切れた範囲内に進入する。
【0083】
しかしながら、第2のピニオンギヤ136の回転中心136aと第5のピニオンギヤ139の回転中心139aとの間の距離L5が、途切れた範囲の距離L1よりも大きいため、第1のラックギヤ91bと第2のラックギヤ92bとのうち少なくとも一方は、2つ以上のピニオンギヤが噛み合う。この為、昇降機110は、上昇を維持することができる。
【0084】
昇降機110が掘削機回収ロック71内に収容されると、操作者は、操作装置150を操作して、昇降機110を停止して下部扉部材86,88を閉じる。
【0085】
下部扉部材86,88が閉じられると、作業者は、操作装置150を操作して、上部扉部材81,83を開く。上部扉部材81,83が開くと、作業者は、操作装置150を操作して、昇降機110を上昇させる。
【0086】
上部貫通口の74の近傍では、ガイドレール90は、途切れている。具体的には、第2のラックギヤ92bと第3のラックギヤ93bとは、距離L1離間している。また、トロリーバー100及び信号線105は、見かけ上、距離L5途切れている。
【0087】
しかしながら、昇降機110は、下部貫通口75の近傍の途切れた範囲を通過したのと同様にして、上部貫通口74の近傍の途切れた範囲を通過する。
【0088】
昇降機110が掘削機回収シャフト70の上端に到達すると、掘削機30が回収される。
【0089】
このように構成された工事システム10では、昇降機110は、第2のピニオンギヤ136の回転中心136aと第5のピニオンギヤ139の回転中心139aとの間の距離L2が、ガイドレール90の途切れた範囲の長さL1よりも長い。この為、ガイドレール90において途切れた範囲を挟んでいずれか一方の部分に、少なくとも2つ以上のピニオンギヤが噛み合うので、昇降機110は、上昇動作または下降動作を維持することができる。
【0090】
この為、区画壁72,73によってガイドレール90が一部途切れる場合であっても、昇降機110を用いて掘削機30を搬送できるので、掘削機30の安全にかつ効率よく搬送することができる。
【0091】
また、ガイドレール90において途切れた範囲を挟んでいずれか一方の部分に、少なくとも2つ以上のピニオンギヤが噛み合うので、昇降機110は、上昇動作または下降動作をより安定させることができる。
【0092】
また、ガイドレール90が上下方向に延びる姿勢で配置することによって、ガイドレール90において途切れた部分があっても、昇降機110がこの途切れた部分内に落ち込むことがない。
【0093】
なお、本発明の搬送装置は、本実施形態では、一例として、掘削機30を搬送した。本発明は、本実施形態に限定されない。例えば、本発明の搬送装置は、掘削機以外のものを搬送することも可能である。本発明は、一部が途切れたガイドレールを用いる場合に、有効である。
【0094】
また、本実施形態では、第1のピニオンギヤ35の回転中心35aと第6のピニオンギヤ140の回転中心140aとの間の距離L2は、距離L1より大きく、第1のピニオンギヤ35の回転中心35aと第5のピニオンギヤ139の回転中心139aとの間の距離L3は、距離L1より大きく、第2のピニオンギヤ136の回転中心136aと第6のピニオンギヤ140の回転中心140aとの間の距離L4は、距離L1より大きく、かつ、第2のピニオンギヤ136の回転中心136aと第5のピニオンギヤ139の回転中心139aとの間の距離L5は、距離L1より大きい。他のピニオンギヤの組み合わせでは、回転中心間距離は、距離L1より小さい。
【0095】
他の例では、回転中心間距離が距離L1と同じであってもよい。このように、回転中心間距離が同じであても、一方のピニオンギヤが途切れた範囲に進入しても、他方のピニオンギヤは、ガイドレールのラックギヤに噛み合う。
【0096】
また、本実施形態では、ラックギヤ91b,92b間の距離と、ラックギヤ92b,93b間の距離とが、共にL1であった。他の例としては、それぞれ異なる長さであってもよい。この場合は、回転中心間距離が、ラックギヤ91b,92b間の距離とラックギヤ92b,93b間の距離とのうち長い方の長さ以上あればよい。
【0097】
また、本実施形態では、搬機の一例として、重力の作用する方向及びこの方向に対して逆方向(上下方向)に昇降する掘削機昇降装置60が用いられた。他の例として、搬機は、水平方向に移動可能に構成されてもよい。この場合、ガイドレールは、水平方向に延びるように設けられる。
【0098】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
ガイドレール本体と前記ガイドレール本体に設けられるラックギヤとを具備し、互いに隙間を有して直列に配置される複数のガイドレールユニットを具備するガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って走行するフレームと、直線状に並んで前記フレームに回転可能に支持され、前記ラックギヤに噛み合い合う複数のピニオンギヤと、前記フレームに設けられ、複数の前記ピニオンギヤを駆動する駆動装置と、を具備し、前記複数のピニオンギヤのうち回転中心間距離が前記ガイドレールユニット間の隙間のうち最大の隙間以上となる2つのピニオンギヤからなる組み合わせを少なくとも1つ有する搬機と、
を具備することを特徴とする搬送装置。
[2]
前記搬機は、前記複数のピニオンギヤのうち回転中心間距離が前記ガイドレールユニット間の隙間のうち最大の隙間以上となる2つのピニオンギヤからなる組み合わせを2つ以上有する
ことを特徴とする[1]に記載の搬送装置。
[3]
前記ガイドレールは、重力方向に沿って配置される
ことを特徴とする[1]に記載の搬送装置。
[4]
筒状の搬機昇降用シャフトと、
前記搬機昇降用シャフト内に設けられ、前記搬機昇降用シャフト内を開閉する扉と、
前記搬機昇降用シャフト内の前記扉を挟んで両側に配置され、ガイドレール本体と前記ガイドレール本体に設けられるラックギヤとを具備して直列に並んで配置される一対のガイドレールユニットを具備するガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って走行するフレームと、直線状に並んで前記フレームに回転可能に支持され、前記ラックギヤに噛み合い合う複数のピニオンギヤと、前記フレームに設けられ、複数の前記ピニオンギヤを駆動する駆動装置と、を具備し、前記複数のピニオンギヤのうち回転中心間距離が一方の前記ガイドレールユニットと他方のガイドレールユニットとの間の隙間以上となる2つのピニオンギヤからなる組み合わせを少なくとも1つ有する搬機と、
を具備することを特徴とする搬送装置。

【符号の説明】
【0099】
10…工事システム、60…掘削機昇降装置(搬送装置)、70…掘削機回収シャフト、80…上部耐圧扉装置、85…下部耐圧扉装置、90…ガイドレール、91…第1のガイドレールユニット、91a…第1のガイドレール本体、91b…第1のラックギヤ、92…第2のガイドレールユニット、92a…第2のガイドレール本体、92b…第2のラックギヤ、93…第3のガイドレールユニット、93a…第3のガイドレール本体、93b…第3のラックギヤ、110…昇降機(搬機)、120…フレーム、131…ピニオンギヤ、133…電動モータ(駆動装置)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6