特許第6503306号(P6503306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6503306レンタル管理サーバ、レンタル管理サーバによる運行ルート管理方法、レンタル管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6503306
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】レンタル管理サーバ、レンタル管理サーバによる運行ルート管理方法、レンタル管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20190408BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20190408BHJP
【FI】
   G06Q50/10
   G06Q30/06 350
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-12857(P2016-12857)
(22)【出願日】2016年1月26日
(65)【公開番号】特開2017-134545(P2017-134545A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】集貝 忠文
【審査官】 松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−296439(JP,A)
【文献】 特開2014−048047(JP,A)
【文献】 特開2004−083233(JP,A)
【文献】 特開2002−007908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌によるレンタル商品の貸出及び返却の予約に基づいて車輌ごとの運行ルートを管理するレンタル管理サーバであって、
前記レンタル商品の貸出予約情報及び返却予約情報に基づいて、前記車輌ごとに運行ルートを決定するルート決定部と、
決定された前記運行ルートに基づいて、所定時間における、返却により積載されるレンタル商品の積載数を前記車輌ごとに算出する算出部と、
前記貸出予約情報に含まれる予約対象のレンタル商品の貸出予約数が、店舗の在庫数を超えるか否かを判断する判断部と、
前記貸出予約数が前記在庫数を超える場合、算出された前記車輌ごとの各レンタル商品の積載数に基づいて、前記貸出予約情報に含まれる予約対象のレンタル商品の貸出の予約時間より前に前記貸出予約数を超える前記予約対象のレンタル商品を積載する車輌を特定する特定部と、
特定された前記車輌が、前記予約対象のレンタル商品の貸出を行う車輌でない場合、特定された前記車輌の位置と、前記予約対象のレンタル商品の貸出場所を運行ルートに含む他の車輌の位置と、前記貸出場所とに基づいて、特定された前記車輌に積載される前記予約対象のレンタル商品を前記他の車輌へ積み替える積替場所を決定する決定部とを備え、
前記ルート決定部は、決定された前記積替場所を前記両車輌の運行ルートに組み込むことを特徴とするレンタル管理サーバ。
【請求項2】
前記決定部は、前記積替場所を決定する際、積み替えにかかる積替コストと、レンタル商品を貸し出すことにより得られる貸出利益とを比較し、前記貸出利益が前記積替コストを上回る場所を前記積替場所として決定することを特徴とする請求項1に記載のレンタル管理サーバ。
【請求項3】
前記決定部は、あらかじめ決められた複数の積替場所の候補の中から、前記積替場所を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載のレンタル管理サーバ。
【請求項4】
車輌によるレンタル商品の貸出及び返却の予約に基づいて車輌ごとの運行ルートを管理するレンタル管理サーバによる運行ルート管理方法であって、
前記レンタル商品の貸出予約情報及び返却予約情報に基づいて、前記車輌ごとに運行ルートを決定するステップと、
決定された前記運行ルートに基づいて、所定時間における、返却により積載されるレンタル商品の積載数を前記車輌ごとに算出するステップと、
前記貸出予約情報に含まれる予約対象のレンタル商品の貸出予約数が、店舗の在庫数を超えるか否かを判断するステップと、
前記貸出予約数が前記在庫数を超える場合、算出された前記車輌ごとの各レンタル商品の積載数に基づいて、前記貸出予約情報に含まれる予約対象のレンタル商品の貸出の予約時間より前に前記貸出予約数を超える前記予約対象のレンタル商品を積載する車輌を特定するステップと、
特定された前記車輌が、前記予約対象のレンタル商品の貸出を行う車輌でない場合、特定された前記車輌の位置と、前記予約対象のレンタル商品の貸出場所を運行ルートに含む他の車輌の位置と、前記貸出場所とに基づいて、特定された前記車輌に積載される前記予約対象のレンタル商品を前記他の車輌へ積み替える積替場所を決定するステップと、
決定された前記積替場所を前記両車輌の運行ルートに組み込むステップとを、
有することを特徴とする運行ルート管理方法。
【請求項5】
レンタル商品の貸出及び返却の予約を行う際に利用する予約端末と、車輌によるレンタル商品の貸出及び返却の予約に基づいて車輌ごとの運行ルートを管理するレンタル管理サーバとを備えるレンタル管理システムであって、
前記予約端末が、前記レンタル商品の貸出予約情報及び返却予約情報を前記レンタル管理サーバへ送信し、
前記レンタル管理サーバが、前記レンタル商品の貸出予約情報及び返却予約情報に基づいて、前記車輌ごとに運行ルートを決定し、
決定された前記運行ルートに基づいて、所定時間における、返却により積載されるレンタル商品の積載数を前記車輌ごとに算出し、
前記貸出予約情報に含まれる予約対象のレンタル商品の貸出予約数が、店舗の在庫数を超えるか否かを判断し、
前記貸出予約数が前記在庫数を超える場合、算出された前記車輌ごとの各レンタル商品の積載数に基づいて、前記貸出予約情報に含まれる予約対象のレンタル商品の貸出の予約時間より前に前記貸出予約数を超える前記予約対象のレンタル商品を積載する車輌を特定し、
特定された前記車輌が、前記予約対象のレンタル商品の貸出を行う車輌でない場合、特定された前記車輌の位置と、前記予約対象のレンタル商品の貸出場所を運行ルートに含む他の車輌の位置と、前記貸出場所とに基づいて、特定された前記車輌に積載される前記予約対象のレンタル商品を前記他の車輌へ積み替える積替場所を決定し、
決定された前記積替場所を前記両車輌の運行ルートに組み込むことを特徴とするレンタル管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の場所でのレンタル商品の貸出及び返却を可能とさせるレンタル管理サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンタル商品を借りる又は返却する際には、ユーザは店舗に出向く必要があった。ユーザにとって店舗に出向くことは煩わしいことである。そこで、この煩わしさを解消するためのシステム、すなわちユーザが指定する場所及び日時でレンタル商品の貸出や返却ができるシステム(下記の特許文献1を参照)が考えられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−296439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記システムでは、貸出予約の際に、店舗などに貸出予約の対象のレンタル商品の在庫がない場合には、ユーザの希望に沿えず、レンタル商品の貸出を行うことができない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、店舗などに貸出予約の対象のレンタル商品の在庫がない場合でも、ユーザの希望に沿いつつ、レンタル業者の利益を上げることができるレンタル管理サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車輌によるレンタル商品の貸出及び返却の予約に基づいて車輌ごとの運行ルートを管理するレンタル管理サーバであって、前記レンタル商品の貸出予約情報及び返却予約情報に基づいて、前記車輌ごとに運行ルートを決定するルート決定部と、決定された前記運行ルートに基づいて、所定時間における、返却により積載されるレンタル商品の積載数を前記車輌ごとに算出する算出部と、前記貸出予約情報に含まれる予約対象のレンタル商品の貸出予約数が、店舗の在庫数を超えるか否かを判断する判断部と、前記貸出予約数が前記在庫数を超える場合、算出された前記車輌ごとの各レンタル商品の積載数に基づいて、前記貸出予約情報に含まれる予約対象のレンタル商品の貸出の予約時間より前に前記貸出予約数を超える前記予約対象のレンタル商品を積載する車輌を特定する特定部と、特定された前記車輌が、前記予約対象のレンタル商品の貸出を行う車輌でない場合、特定された前記車輌の位置と、前記予約対象のレンタル商品の貸出場所を運行ルートに含む他の車輌の位置と、前記貸出場所とに基づいて、特定された前記車輌に積載される前記予約対象のレンタル商品を前記他の車輌へ積み替える積替場所を決定する決定部とを備え、前記ルート決定部は、決定された前記積替場所を前記両車輌の運行ルートに組み込むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明のレンタル管理サーバにおいて、前記決定部が、前記積替場所を決定する際、積み替えにかかる積替コストと、レンタル商品を貸し出すことにより得られる貸出利益とを比較し、前記貸出利益が前記積替コストを上回る場所を前記積替場所として決定することは、好ましい態様である。
【0008】
また、本発明のレンタル管理サーバにおいて、前記決定部が、あらかじめ決められた複数の積替場所の候補の中から、前記積替場所を決定することは、好ましい態様である。
【0009】
また、本発明は、車輌によるレンタル商品の貸出及び返却の予約に基づいて車輌ごとの運行ルートを管理するレンタル管理サーバによる運行ルート管理方法であって、前記レンタル商品の貸出予約情報及び返却予約情報に基づいて、前記車輌ごとに運行ルートを決定するステップと、決定された前記運行ルートに基づいて、所定時間における、返却により積載されるレンタル商品の積載数を前記車輌ごとに算出するステップと、前記貸出予約情報に含まれる予約対象のレンタル商品の貸出予約数が、店舗の在庫数を超えるか否かを判断するステップと、前記貸出予約数が前記在庫数を超える場合、算出された前記車輌ごとの各レンタル商品の積載数に基づいて、前記貸出予約情報に含まれる予約対象のレンタル商品の貸出の予約時間より前に前記貸出予約数を超える前記予約対象のレンタル商品を積載する車輌を特定するステップと、特定された前記車輌が、前記予約対象のレンタル商品の貸出を行う車輌でない場合、特定された前記車輌の位置と、前記予約対象のレンタル商品の貸出場所を運行ルートに含む他の車輌の位置と、前記貸出場所とに基づいて、特定された前記車輌に積載される前記予約対象のレンタル商品を前記他の車輌へ積み替える積替場所を決定するステップと、決定された前記積替場所を前記両車輌の運行ルートに組み込むステップとを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、レンタル商品の貸出及び返却の予約を行う際に利用する予約端末と、車輌によるレンタル商品の貸出及び返却の予約に基づいて車輌ごとの運行ルートを管理するレンタル管理サーバとを備えるレンタル管理システムであって、前記予約端末が、前記レンタル商品の貸出予約情報及び返却予約情報を前記レンタル管理サーバへ送信し、前記レンタル管理サーバが、前記レンタル商品の貸出予約情報及び返却予約情報に基づいて、前記車輌ごとに運行ルートを決定し、決定された前記運行ルートに基づいて、所定時間における、返却により積載されるレンタル商品の積載数を前記車輌ごとに算出し、前記貸出予約情報に含まれる予約対象のレンタル商品の貸出予約数が、店舗の在庫数を超えるか否かを判断し、前記貸出予約数が前記在庫数を超える場合、算出された前記車輌ごとの各レンタル商品の積載数に基づいて、前記貸出予約情報に含まれる予約対象のレンタル商品の貸出の予約時間より前に前記貸出予約数を超える前記予約対象のレンタル商品を積載する車輌を特定し、特定された前記車輌が、前記予約対象のレンタル商品の貸出を行う車輌でない場合、特定された前記車輌の位置と、前記予約対象のレンタル商品の貸出場所を運行ルートに含む他の車輌の位置と、前記貸出場所とに基づいて、特定された前記車輌に積載される前記予約対象のレンタル商品を前記他の車輌へ積み替える積替場所を決定し、決定された前記積替場所を前記両車輌の運行ルートに組み込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、店舗などに貸出予約の対象のレンタル商品の在庫がない場合でも、ユーザの希望に沿いつつ、レンタル業者の利益を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態におけるレンタル管理システムの構成の一例を示す図である。
図2】実施の形態に係るレンタル管理サーバの具体的な機能構成の一例を示す図である。
図3A】実施の形態における車輌Xが管轄するエリアのレンタル予約テーブルの一例を示す図である。
図3B】実施の形態における車輌Yが管轄するエリアのレンタル予約テーブルの一例を示す図である。
図4】実施の形態における車輌Xと車輌Yの管轄エリアを示す図である。
図5】実施の形態における運行ルートの一例を示す図である。
図6】実施の形態における最低必要コストテーブルの一例を示す図である。
図7】実施の形態におけるレンタル商品の積載数を車輌ごとに算出した結果を示す図である。
図8】実施の形態における在庫テーブルの一例を示す図である。
図9】実施の形態における積替コストテーブルの一例を示す図である。
図10】実施の形態における利益テーブルの一例を示す図である。
図11】実施の形態に係るレンタル管理サーバを実現するためのハードウェア構成の一例を示す図である。
図12】実施の形態に係るレンタル管理サーバにおける積替場所を組み込む運行ルートの決定フローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。まず、実施の形態に係るレンタル管理システム1の一例について図1を用いて説明する。レンタル管理システム1は、予約端末2(2a、2b、2c)、レンタル管理サーバ3から構成されている。予約端末2とレンタル管理サーバ3は、ネットワーク4を介して繋がっている。この例では、予約端末2は3台のみであるが、3台に限られるものではない。
【0014】
なお、レンタル管理サーバ3には、レンタル商品の貸出や返却が店舗以外の指定された場所で行うことができるように、貸出登録や返却登録が可能な不図示のPC(Personal Computer)が不図示のネットワークを介して接続される。PCには、例えばレンタル商品に付されたRFIDタグを読み取るRFIDリーダやユーザの認証を行う認証装置が接続される。また、PCには、例えばカメラなどの撮像装置が設置され、レンタル商品の状態などの確認を行うことができるようにしてもよい。PCなどの設備により、店舗以外の場所でのレンタル商品の貸出や返却の情報をレンタル管理サーバ3へ登録することができる。PCなどの設備は、後述する車輌に搭載されている。
【0015】
予約端末2は、車輌によるレンタル商品の貸出や返却の予約を行う際に利用される端末であって、例えば、ユーザが保有するスマートフォンなどの携帯端末やPCなどである。ここでのユーザは、レンタル商品の貸出や返却の予約を希望する者を言う。レンタル商品の貸出を予約する場合、ユーザは、例えば、予約端末2の画面に表示される不図示の貸出予約画面を利用して、貸出を希望するレンタル商品のタイトル、貸出数、希望貸出日、貸出日数などを入力する。また、レンタル商品の返却を予約する場合、ユーザは、例えば、予約端末2の画面に表示される不図示の返却予約画面を利用して、返却を希望するレンタル商品のタイトル、返却数、希望返却日などを入力する。なお、貸出予約と同時に返却予約をするようにしてもよい。
【0016】
レンタル管理サーバ3は、レンタル商品の一般的な管理、すなわちレンタル商品の貸出状況や延滞状況などを管理する。また、レンタル管理サーバ3は、予約端末2からのレンタル商品の貸出や返却の予約を受け付け、レンタル業者の店舗などのレンタル商品の在庫を確認し、在庫がない場合には、返却予定のレンタル商品を考慮して、貸出予約を受け付けられるか否かを判断する。具体的な処理については後述する。
【0017】
なお、上記判断の説明を分かりやすくするため、前提として、例えば、レンタル商品の貸出や返却の予約は、貸出又は返却をする日の前日の15時まで受け付ける。また、レンタル管理サーバ3は、貸出又は返却をする日の前日の15時から16時までに後述する貸出や返却の予約を受け付けられるか否かを決定し、受付の可否を16時から17時までにユーザへ通知する。また、レンタル商品は、返却後に商品のクリーニングなどが不要で、すぐに貸し出せるものとする。
【0018】
ここで、実施の形態に係るレンタル管理サーバ3の機能構成の一例について図2を用いて説明する。図2に示すように、レンタル管理サーバ3は、受付部20、ルート決定部21、算出部22、判断部23、特定部24、決定部25、格納部26から構成されている。
【0019】
受付部20は、予約端末2からのレンタル商品の貸出や返却の予約を受け付け、レンタル予約テーブルとして格納部26に格納する。レンタル予約テーブルの一例を図3A図3Bに示す。ここでのレンタル予約テーブルは、レンタル商品の貸出や返却を行う車輌ごとのテーブルとなっている。レンタル商品の貸出や返却は、複数の車輌で行い、車輌ごとに貸出や返却の管轄エリアが決められている。車輌とは、レンタル商品を運ぶことができるものであればよく、車輪の数や、エンジンやバッテリーの有無を問わないものである。
【0020】
例えば、図4に示すように、車輌Xはエリア40を管轄エリアとし、車輌Yはエリア41を管轄エリアとして決められている。この例のように、エリア40とエリア41が重複するエリア42があってもよい。エリア40には返却場所a、b、貸出場所c、dが含まれ、エリア41には返却場所e、f、貸出場所g、hが含まれる。なお、返却場所a、b、e、fは、貸出場所にもなり得、また貸出場所c、d、g、hは、返却場所にもなり得る。また、この例では、車輌は車輌Xと車輌Yの2台であるが、更に他の車輌があってもよい。
【0021】
図3Aのレンタル予約テーブルは、車輌Xが管轄するエリア40のレンタル予約テーブルである。レンタル予約テーブルは、予約日、貸出又は返却場所、予約時間、レンタル商品、貸出予約数、返却予約数から構成されている。図3Aのレンタル予約テーブルは、11月28日分の予約であって、例えば、返却場所aにおいて9時にレンタル商品Aを100個返却するという予約がある。一方、図3Bのレンタル予約テーブルは、車輌Yが管轄するエリア41のレンタル予約テーブルであるが、基本的に図3Aのレンタル予約テーブルと同様であるため、説明を省略する。なお、ここでは、車輌ごとにレンタル予約テーブルを分けているが、車輌ごとに分けずに1つのレンタル予約テーブルとしてまとめてもよい。
【0022】
ルート決定部21は、レンタル商品の貸出予約情報及び返却予約情報、すなわち図3A図3Bのレンタル予約テーブルに基づいて、車輌ごとの運行ルートを決定する。貸出予約情報とは、レンタル商品の貸出予約に関する情報であって、図3A図3Bにおける予約日、貸出場所、予約時間、レンタル商品、貸出予約数などである。また、返却予約情報とは、レンタル商品の返却予約に関する情報であって、図3A図3Bにおける予約日、返却場所、予約時間、レンタル商品、返却予約数などである。
【0023】
ここで、車輌Xの11月28日の運行ルートの決定の一例について説明する。ルート決定部21は、図3Aのレンタル予約テーブルから、貸出又は返却場所の情報と予約時間を取得し、それぞれの予約を実行できるように運行ルートを決定する。具体的には、ルート決定部21は、レンタル予約テーブルの時間順に貸出又は返却場所を回るルートを運行ルートとして決定する。ただし、異なる場所で予約時間が重なる場合など物理的に運行ができない場合には、ルート決定部21は、できる限りユーザの希望に沿うように、予約時間をずらすなどしてもよい。その場合、予約をしたユーザに対して予約時間の変更通知を行い、承諾を得る必要がある。
【0024】
図3Aのレンタル予約テーブルの場合、図5に示すように、店舗を出発して、場所(返却場所)a、場所(返却場所)b、場所(貸出場所)c、場所(貸出場所)dの順に回って店舗に戻ってくる運行ルートとなる。車輌Yについても図3Bのレンタル予約テーブルを用いて同様に運行ルートが決定される。
【0025】
なお、ルート決定部21は、貸出場所や返却場所へ訪問する際に必要なコスト(最低必要コスト)を下回る場所へは基本的に訪問しないと決定し、運行ルートにその場所を組み込まないようにしてもよい。ただし、最低必要コストを下回る場合でも、今後(翌日以降)の貸出を考慮して商品を回収した方がよい場合には返却場所などへの訪問をするようにしてもよい。最低必要コストを管理する最低必要コストテーブルの一例を図6に示す。最低必要コストテーブルは、場所、時間、最低必要コストから構成されている。例えば、場所(返却場所)aへ9時に訪問する場合には、最低必要コスト10(例えば、車輌の燃料代や有料道路の道路通行料)が必要となる。最低必要コストは、同じ場所でも時間帯によって異なるものであってもよい。
【0026】
また、ルート決定部21は、後述する、決定された積替場所を両車輌(X車輌、Y車輌)の運行ルートに組み込む処理を行う。
【0027】
算出部22は、ルート決定部21によって決定された運行ルートに基づいて、所定時間(例えば、車輌が貸出場所又は返却場所に到着する時間ごと)における、返却により積載されるレンタル商品の積載数を車輌ごとに算出する。算出された結果の一例を図7に示す。図7に示す返却予約数の括弧書き内の英文字は返却場所を示している。例えば、9時の時点で、レンタル商品Aが返却場所aで100個返却され、車輌Xには9時の時点でレンタル商品Aが100個積載されることがわかる。レンタル商品B、Cについては9時の時点では積載されないことがわかる。図7に示す結果によれば、他の時間帯においても同様に、返却による積載数を把握することができる。
【0028】
判断部23は、貸出予約情報、すなわち図3A及び図3Bのレンタル予約テーブルに含まれる予約対象のレンタル商品の貸出予約数が、レンタル業者の店舗の在庫数を超えるか否かを判断する。店舗の在庫数は、例えば図8に示す在庫テーブルで管理される。在庫テーブルは、日付、レンタル商品、在庫数から構成されている。例えば、11月27日において、レンタル商品A、B、Cは、それぞれ在庫数が10個となっている。
【0029】
具体的に、判断部23は、図3Aのレンタル予約テーブルの貸出場所cにおけるレンタル商品Aの5個、貸出場所dにおけるレンタル商品Cの3個が、店舗の在庫数で足りるか否かを判断する。また、判断部23は、図3Bのレンタル予約テーブルの貸出場所gにおけるレンタル商品Aの20個、貸出場所hにおけるレンタル商品Aの2個が、店舗の在庫数で足りるか否かを判断する。このとき、レンタル商品A、B、Cは、在庫数がそれぞれ10個であるため、判断部23は、レンタル商品Aの20個については、店舗の在庫では貸し出すことができないと判断する。
【0030】
特定部24は、貸出予約数が在庫数を超える場合、算出された車輌ごとの各レンタル商品の積載数に基づいて、予約対象のレンタル商品の貸出の予約時間より前に貸出予約数を超える予約対象のレンタル商品を積載する車輌を特定する。具体的には、特定部24は、レンタル商品Aの20個の貸出の予約時間、この場合、14時(図3Bのレンタル予約テーブルを参照)より前に、レンタル商品Aの20個を越えて積載する車輌を特定する。特定部24は、車輌Xが9時の時点でレンタル商品Aを100個積載することが図7に示す算出結果に基づいてわかるため、車輌Xを特定する。
【0031】
レンタル商品Aを20個貸し出す車輌は車輌Yであり、レンタル商品Aを100個積載する車輌は車輌Xである。そのため、車輌Xに積載されるレンタル商品Aを車輌Yに積み替える必要がある。
【0032】
決定部25は、特定された車輌(車輌X)の位置情報と、予約対象のレンタル商品(この場合、レンタル商品A)の貸出場所(貸出場所g)を運行ルートに含む他の車輌(車輌Y)の位置情報と、貸出場所の位置情報とに基づいて、特定された車輌に積載された予約対象のレンタル商品を他の車輌へ積み替える積替場所を決定する。決定される積替場所は、例えば、車輌Xが管轄するエリア40と車輌Yが管轄するエリア41が重複するエリア42内又はエリア42の周辺であることが好ましい。両車輌の移動距離が長くならないようにするためである。
【0033】
具体的には、決定部25は、9時(レンタル商品Aの積載時間)から14時(レンタル商品Aの貸出時間)の間における、運行ルートに基づく車輌Xの位置情報と、運行ルートに基づく車輌Yの位置情報と、貸出場所gの位置情報とに基づいて、ルート決定部21によって決定された各車輌の運行ルートの遂行に支障がないレンタル商品Aの積替場所を、既存のルート検索機能を用いて決定する。ここでの位置情報は、例えばGPS(Global Positioning System)機能を用いて得られる緯度及び経度の情報である。
【0034】
また、決定部25は、積替場所を決定する際、あらかじめ決められた複数の積替場所の候補の中から、ルート決定部21によって決定された各車輌の運行ルートの遂行に支障がない場所を積替場所として決定するようにしてもよい。これにより、積替場所の決定の処理を即座に容易に行うことができる。また、決定部25は、積替場所を決定する際、積み替えにかかる積替コストと、レンタル商品を貸し出すことにより得られる貸出利益とを比較し、貸出利益が積替コストを上回る(貸出利益が積替コスト以上の)場所を積替場所として決定するようにしてもよい。これにより、利益が得られない積み替えを回避することができる。
【0035】
上記積替コストを管理する積替コストテーブルの一例を図9に示し、商品を貸し出すことによって得られる貸出利益を管理する利益テーブルの一例を図10に示す。積替コストテーブルは、積替場所と積替コストから構成されている。この例では、積替場所Zで積み替えを行うと、積替コストが1000かかる。積替コストは、例えば車輌の燃料代や有料道路の道路通行料などのコストから算出される。ここでは、1つの積替場所のみが示されているが、複数の積替場所があってもよい。
【0036】
利益テーブルは、レンタル商品と、1個のレンタル商品を貸し出した際に得られる利益とから構成されている。この例では、レンタル商品Aは、1個貸し出すと50の利益が得られる。そのため、上記の例では、レンタル商品Aを20個貸し出すと50×20個=1000の利益が得られる。よって、貸出利益が積替コスト以上であるため、決定部25は、積替場所Zを積替場所として決定する。なお、積替コストテーブルに複数の積替場所がある場合、決定部25は、利益が最も得られる場所を積替場所と決定するようにしてもよい。
【0037】
格納部26は、レンタル管理サーバ3を動作させるために必要なプログラムなどを格納するものである。また、上述した各種テーブルを格納するものである。
【0038】
ここで、実施の形態に係るレンタル管理サーバ3を実現するためのハードウェア構成の一例について図11を用いて説明する。ハードウェア構成は、例えば、CPU(Central Processing Unit)111、HDD(Hard Disk Drive)112、ROM(Read Only Memory)113、RAM(Random Access Memory)114、通信インタフェース(I/F)115、バス116を備えている。CPU111、HDD112、ROM113、RAM114、通信インタフェース(I/F)115は、例えば、バス116を介して互いに接続されている。
【0039】
CPU111は、バス116を介して、HDD112などに格納されるレンタル管理サーバ3の各種処理を行うためのプログラムを読み込み、読み込んだプログラムをRAM114に一時的に格納し、そのプログラムにしたがって各種処理を行うものであり、主として上述したルート決定部21、算出部22、判断部23、特定部24、決定部25として機能する。
【0040】
HDD112には、レンタル管理サーバ3の各種処理を行うためのアプリケーションプログラムや、レンタル管理サーバ3の処理に必要なデータなどが格納され、主として上述した格納部26として機能する。
【0041】
ROM113は、不揮発性メモリであって、ブートプログラムやBIOS(BasicInput/Output System)などのプログラムを記憶する。
【0042】
RAM114には、揮発性メモリであって、CPU111に実行させるためのOS(Operating System)プログラムやアプリケーションプログラムの一部が一時的に格納される。また、RAM114には、CPU111による処理に必要な各種データが格納される。
【0043】
通信インタフェース(I/F)115は、外部(予約端末2など)とデータの送受信を行うものであり、主として上述した受付部20として機能する。
【0044】
バス116は、各装置間の制御信号、データ信号などの授受を媒介する経路である。
次に、実施の形態に係るレンタル管理サーバ3における積替場所を組み込む運行ルートの決定フローの一例について図12を用いて説明する。受付部20は、予約端末2によって入力された貸出及び返却の予約の情報を受け付け、受け付けた情報をレンタル予約テーブルとして格納する(ステップS1201)。ルート決定部21は、レンタル商品の貸出予約情報及び返却予約情報、すなわちレンタル予約テーブルに基づいて、車輌ごとの運行ルートを決定する(ステップS1202)。
【0045】
算出部22は、決定された運行ルートに基づいて、所定時間(例えば、車輌が貸出場所又は返却場所に到着する時間ごと)において返却により積載されるレンタル商品の積載数を車輌ごとに算出する(ステップS1203)。判断部23は、貸出予約情報、すなわちレンタル予約テーブルに含まれる予約対象のレンタル商品の貸出予約数が、レンタル業者の店舗の在庫数を超えるか否かを判断する(ステップS1204)。
【0046】
特定部24は、貸出予約数が在庫数を超える場合(ステップS1204でYes)、算出された車輌ごとの各レンタル商品の積載数に基づいて、予約対象のレンタル商品の貸出の予約時間より前に貸出予約数を超える予約対象のレンタル商品を積載する車輌を特定する(ステップS1205)。決定部25は、特定された車輌(車輌X)の位置情報と、予約対象のレンタル商品の貸出場所を運行ルートに含む他の車輌(車輌Y)の位置情報と、貸出場所の位置情報とに基づいて、特定された車輌に積載された予約対象のレンタル商品を他の車輌へ積み替える積替場所を決定する(ステップS1206)。特定部24によって貸出予約数を超えるレンタル商品を積載する車輌が特定できない場合、すなわちレンタル商品の貸出ができない場合、貸出予約をしたユーザに対して予約を受け付けられない旨の通知をするようにしてもよい。
【0047】
ルート決定部21は、決定された積替場所を両車輌(X車輌、Y車輌)の運行ルートに組み込む処理を行う(ステップS1207)。なお、ステップS1204において、貸出予約数が在庫数を超えない場合(ステップS1204でNo)、店舗の在庫数のうち、貸出予約数分が車輌に積載される(ステップS1208)。なお、貸出予約数が在庫数を超えない場合でも、店舗の在庫を貸し出すのではなく、返却予定のレンタル商品をまた貸しするようにしてもよい。この場合、貸出と返却が同一車輌で行われない場合、上述したように、積替場所の決定をし、運行ルートに積替場所が組み込まれる。
【0048】
上述したようなレンタル管理サーバ3によれば、店舗などに貸出予約の対象のレンタル商品の在庫がない場合でも、ユーザの希望に沿いつつ、レンタル業者の利益を上げることができる。
【0049】
なお、上述した実施の形態では、レンタル管理サーバ3などの主な処理をCPUによるソフトウェア処理によって実行するものとして説明したが、この処理の全部又は一部をハードウェアによって実現するようにしてもよい。
【0050】
また、上述した実施の形態は、上述したものに限定されるものではなく、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 レンタル管理システム
2(2a、2b、2c) 予約端末
3 レンタル管理サーバ
4 ネットワーク
20 受付部
21 ルート決定部
22 算出部
23 判断部
24 特定部
25 決定部
26 格納部
40、41、42 エリア
111 CPU
112 HDD
113 ROM
114 RAM
115 通信インタフェース(I/F)
116 バス
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12