(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コルチコステロイドが、ベタメタゾン、ブデソニド、クロベタゾール、クロベタゾン、デスオキシメタゾン、ジフルコルトロン、ジフロラゾン、フルオシノニド、フルオシノロン、ハルシノニド、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾン、モメタゾンおよびトリアムシノロンからなる群から選択されるものであるか、またはその薬学的に許容されるエステルである、請求項1〜4の何れか1項に記載の加圧容器。
一般式Iの化合物が、ポリオキシプロピレン−15−ステアリル エーテル、ポリオキシプロピレン−11−ステアリル エーテル、ポリオキシプロピレン−14−ブチル エーテル、ポリオキシプロピレン−10−セチル エーテルまたはポリオキシプロピレン−3−ミリスチル エーテルである、請求項9記載の加圧容器。
n−ブタンおよび/またはイソブタン:ジメチルエーテルの比が、6:1〜0:1(v/v)、例えば5:1〜1:2、4:1〜1:1、4:2〜1:1、4:2〜4:3または4:2〜1:1の範囲である、請求項16記載の加圧容器。
カルシポトリオールまたはカルシポトリオール 一水和物の量が、噴射剤を除いた組成物の重量の約0.005%(w/w)であり、ベタメタゾンジプロピオン酸エステルの量が、噴射剤を除いた組成物の重量の約0.064%(w/w)である、請求項1〜3および5〜24の何れか1項に記載の加圧容器。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の詳細な説明
定義
用語“ビタミンD誘導体”は、ビタミンD
3の生物活性な代謝物、例えばカルシトリオール、または当該代謝物に対する前駆体、例えばアルファカルシドールを示すことが意図される。
【0027】
用語“ビタミンD類似体”は、ビタミンDの側鎖を修飾したおよび/またはビタミンD骨格自身を修飾したビタミンD骨格を含む合成化合物を示すことが意図される。該類似体は、ビタミンD受容体に対して天然由来ビタミンD化合物に匹敵する生物活性を示す。
【0028】
“カルシポトリオール”は、式:
【化1】
のビタミンD類似体である。
【0029】
カルシポトリオールは、2種の結晶形、すなわち無水和物および一水和物で存在することが見出された。カルシポトリオール 一水和物およびその製造は、国際公開第94/15912号で開示される。
【0030】
用語“保存安定性”または“保存安定な”は、組成物が、冷蔵で、または好ましくは室温で、組成物を市販するのに十分な時間、例えば少なくとも12月、特に少なくとも18月、好ましくは少なくとも2年、組成物を保存できる化学的および物理的安定性を示すことを表すことが意図される。
【0031】
用語“化学的安定性”または“化学的に安定な”は、製品の貯蔵寿命の間、典型的には室温で2年間で、有効成分の10%以上、好ましくは6%以上が分解しないことを意味することが意図される。室温の化学的安定性の近似は、組成物を40℃で加熱棚に置いて、サンプルを1月目、2月目および3月目に採取して、HPLCによって分解生成物の存在を試験する40℃での加速安定性試験を、組成物について行うことによって得られる。40℃で3月後に分解した物質が約10%未満であれば、通常、これは室温で2年の貯蔵寿命に対応するとされる。本組成物に含まれる有効成分がカルシポトリオールであるとき、“化学的安定性”は、通常、カルシポトリオールが、最終医薬品において経時的に24−エピカルシポトリオールまたは他の分解生成物に有意に分解しないことを意味することを示す。
【0032】
用語“物理的安定性”または“物理的に安定な”は、本組成物の貯蔵寿命にわたって、有効成分が、噴射剤またはビークル相から沈殿しないことを意味することが意図される。
【0033】
用語“実質的に無水”は、軟膏組成物中の自由水の含量が、本組成物の約2重量%を超えない、好ましくは約1重量%を超えないことを意味することが意図される。
【0034】
用語“中鎖トリグリセリド”は、6〜12個の炭素原子の鎖長を有する脂肪酸のトリグリセリド エステルを示すために用いられる。このような中鎖トリグリセリドの現在好ましい例は、例えば、商品名Miglyol 812で利用可能なカプリル酸(C
8)およびカプリン酸(C
10)トリグリセリドの混合物である。
【0035】
用語“可溶化能”は、ある物質を溶解する溶媒または溶媒混合物の能力を示すことが意図され、物質の完全な可溶化を行うのに必要な量として表される。
【0036】
用語“半固体”は、粘弾性の挙動を示し、非ニュートン性である、すなわち低剪断力では流れないが、室温で高剪断速度で可塑性、擬可塑性またはチキソトロピー流動性の挙動を示す組成物または添加物を表すために用いられる。半固体組成物の典型的な例は、軟膏およびクリームである。
【0037】
用語“密封性”は、経皮水分喪失を減らして皮膚の水和をもたらすのに十分な水和障壁を形成する皮膚表面への液体層の供給を示すことが意図される。
【0038】
用語“皮膚浸透”は、種々の皮膚の層、すなわち角質層、表皮、真皮への有効成分の拡散を意味することが意図される。
【0039】
用語“皮膚透過”は、皮膚を通じた体循環への、または、下記の実施例4に示すようなインビトロ試験の場合では実験で用いられるFranzセル装置のレセプター液への、有効成分の流入を意味することが意図される。
【0040】
用語“生物学的活性”は、本発明の組成物において、皮膚に適用したときのビタミンD誘導体または類似体の活性を意味することが意図される。組成物の生物学的活性は、下記の実施例5に詳細に記載する通り、培養されたヒトのケラチン生成細胞に関する再構築されたヒト表皮モデルにおいて、カテリシジンをコードする標的遺伝子の活性化を測定するインビトロアッセイで決定される。
【0041】
本発明の具体的態様
本発明の組成物に含まれるビタミンD誘導体または類似体は、カルシポトリオール、カルシトリオール、タカルシトール、マキサカルシトール、パリカルシトールおよびアルファカルシドールから選択されてもよい。乾癬の処置に有効なことが示されている好ましいビタミンD類似体は、カルシポトリオールである。溶媒混合物に溶解する前、カルシポトリオールは、水和物または一水和物の形態であってもよく、好ましくは一水和物である。
【0042】
本発明の組成物に含まれるコルチコステロイドは、アムシノニド、ベタメタゾン、ブデソニド、クロベタゾール、クロベタゾン、コルチゾン、デソニド、デスオキシコルチゾン、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフルコルトロン、ジフロラゾン、フルコルチゾン(flucortisone)、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノニド、フルオシノロン、フルオロメトロン、フルプレドニゾロン、フルランドレノロン(flurandrenolide)、フルチカゾン、ハルシノニド、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾン、モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾン、プレドニゾロンおよびトリアムシノロンからなる群から選択されるもの、またはその薬学的に許容されるエステルまたはアセトニドであってもよい。コルチコステロイドは、好ましくは、ベタメタゾン、ブデソニド、クロベタゾール、クロベタゾン、デスオキシメタゾン、ジフルコルトロン、ジフロラゾン、フルオシノニド、フルオシノロン、ハルシノニド、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾン、モメタゾンおよびトリアムシノロンから選択されるもの、またはその薬学的に許容されるエステルであってもよい。コルチコステロイド エステルは、例えば、ベタメタゾン酢酸エステル、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル、ベタメタゾン吉草酸エステル、クロベタゾールプロピオン酸エステル、デキサメタゾン酢酸エステル、フルメタゾンピバル酸エステル、フルチカゾンプロピオン酸エステル、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステルまたはモメタゾンフランカルボン酸エステルであってもよい。アセトニドは、フルオシノロン アセトニドまたはトリアムシノロン アセトニドから選択されるものであってもよい。
【0043】
本発明の組成物は、下記の溶媒のクラス:
(a) 一般式I:
【化2】
[式中、R
1は、直鎖または分枝鎖のC
1−20アルキルであり、xは2〜60の整数である。]
の化合物;
(b) 直鎖または分枝鎖のC
10−18アルカン酸またはアルケン酸のイソプロピル エステル;
(c) C
8−14アルカン酸またはアルケン酸のプロピレン グリコール ジエステル;
(d) 直鎖または分枝鎖のC
8−24アルカノールまたはアルケノール;
(e) 高精製植物油、例えば中鎖トリグリセリドまたは長鎖トリグリセリド;および
(f) N−アルキルピロリドンまたはN−アルキルピペリドン;
の少なくとも1つから選択される、非蒸発油性共溶媒をさらに含んでもよい。
【0044】
油性共溶媒は、有効成分が噴射剤の蒸発時に皮膚上で迅速に結晶化しないが、皮膚に浸透し得る飽和溶液として皮膚上に存在するように、噴射剤または噴射剤混合物への組成物の可溶化能を維持するために提供されてもよい (Reid et al, Pharm. Res. 25 (11), 2008, pp. 2573-2580を参照のこと。)。
【0045】
一つの態様において、本発明の組成物に含まれる油性共溶媒は、一般式Iの化合物、例えばポリオキシプロピレン−15−ステアリル エーテル、ポリオキシプロピレン−11−ステアリル エーテル、ポリオキシプロピレン−14−ブチル エーテル、ポリオキシプロピレン−10−セチル エーテルまたはポリオキシプロピレン−3−ミリスチル エーテルであってもよい。
【0046】
他の態様において、油性共溶媒は、直鎖または分枝鎖のC
10−18アルカン酸またはアルケン酸のイソプロピルエステル、例えばミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、リノール酸イソプロピルまたはモノオレイン酸イソプロピルであってもよい。
【0047】
さらなる態様において、油性共溶媒は、C
8−14アルカン酸のプロピレン グリコール ジエステル、例えばプロピレン グリコール ジペラルゴネートであってもよい。
【0048】
また、さらなる態様において、油性共溶媒は、直鎖のC
8−24アルカノール、例えばカプリル、ラウリル、セチル、ステアリル、オレイル、リノレイルまたはミリスチル アルコール、あるいは、分枝C
8−24アルカノール、好ましくはC
18−24アルカノール、例えば2−オクチルドデカノールであってもよい。
【0049】
また、さらなる態様において、油性共溶媒は、N−アルキルピロリドン、例えばN−メチルピロリドンである。
【0050】
本発明をもたらす研究において、驚くべきことに、噴射剤として純粋なC
3−5アルカン類、例えばブタンを使用すると、有効成分が十分に溶解せず、その結果、経時的にビタミンD類似体が溶液から沈殿して、コルチコステロイドの結晶成長が観察され、すなわち、本組成物が組成物の貯蔵寿命において物理的に安定でないことが見出された。驚くべきことに、ジメチルエーテルをそれ自身噴射剤として用いたとき、または、ある割合のジメチルエーテルをC
3−5アルカン類に添加して噴射剤混合物を形成するときにさえ、この問題は起こらないことが見出された。従って、現在好ましい態様において、本発明の組成物は、単独の噴射剤としてまたは噴射剤混合物の第1噴射剤としてジメチルエーテルを含む。
【0051】
本発明の組成物において、噴射剤混合物の第2噴射剤は、好ましくは、C
3−5アルカン類であり、好ましくはn−プロパン、イソプロパン、n−ブタンまたはイソブタンからなる群から選択されるものである。特に好ましいC
3−5アルカン類は、n−ブタンおよび/またはイソブタンである。
【0052】
噴射剤混合物において、n−ブタンおよび/またはイソブタン:ジメチルエーテルの比は、好ましくは、6:1〜0:1(v/v)の範囲であってもよく、例えば5:1〜1:2、4:1〜1:1、4:2〜1:1、4:2〜4:3または4:3〜1:1の範囲である。
【0053】
特定の態様において、本組成物は、
(a) 約0.00001〜0.05%(w/w)のビタミンD誘導体または類似体、
(b) 約0.0005〜1%(w/w)のコルチコステロイド、
(c) 約5〜55%(w/w)の脂質担体、および、
(d) 約45〜95%(w/w)の噴射剤または噴射剤混合物
を含む。
【0054】
より具体的には、本発明の組成物は、約10〜50%(w/w)、約15〜45%(w/w)または約20〜40%(w/w)の脂質担体を含んでもよい。
より具体的には、本発明の組成物は、約50〜90%(w/w)または約55〜70%(w/w)の噴射剤または噴射剤混合物を含んでもよい。
【0055】
具体的な態様において、本発明の組成物は、約0.1〜10%(w/w)の上で定義した油性溶媒、例えば約0.5〜3%(w/w)、約1〜2.5%(w/w)または約1.5〜2%(w/w)の油性溶媒をさらに含んでもよい。
【0056】
脂質担体は、C
5〜C
60の範囲の鎖長を有する炭化水素であっても炭化水素の混合物であってもよい。しばしば用いられる軟膏担体は、ペトロラタム、または、約C
40−44に異なる鎖長ピークを有する炭化水素から構成される白色軟パラフィン、または、ペトロラタムと液体パラフィン(C
28−40に異なる鎖長ピークを有する炭化水素からなる)の混合物である。白色軟パラフィンは処置された皮膚表面を密封し、経皮水分喪失を減少させ、組成物中の有効成分の治療効果を強める一方で、適用後にかなり長い時間持続する、脂っぽいかまたはべとつく感触を有する傾向がある。従って、幾らか短い鎖長の炭化水素からなるパラフィン類、例えばC
14−16、C
18−22、C
20−22、C
20−26に鎖長ピークを有する炭化水素またはそれらの混合物からなるパラフィンを用いることが好ましい。このようなパラフィン類は、適用時にそれほど脂っぽくないかまたはべとつかない点で、より美容上許容されることが見出された。本発明の組成物にこのようなパラフィンを含めることは、従って、患者コンプライアンスを改善すると予測される。このタイプの適当なパラフィン類は、ペトロラタムゼリーと呼ばれ、Sonnebornにより製造され、商品名Sonnecone、例えばSonnecone CM、Sonnecone DM1、Sonnecone DM2およびSonnecone HVで販売されている。これらのパラフィン類は、さらに、国際公開第2008/141078号(言及することによって本明細書に組み込まれる)で開示され、特性決定されている。その好ましい化粧品特性に加えて、驚くべきことに、これらのパラフィン類を含む組成物は、慣用のパラフィン類(パラフィンの炭化水素組成はガスクロマトグラフィーによって決定)を含む組成物より耐性があることが見出された。脂質担体はまた、イソパラフィン類、例えばイソヘキサデカンであってもよい。
【0057】
本発明の組成物は、適当には、適用および噴射剤の蒸発後に皮膚上に半固体密封層を形成する性質を脂質担体に与えることができる親油性粘度増大成分を含んでもよい。親油性粘度増大成分は、適当には、高分子量炭化水素類、例えば飽和C
35−70アルカン類の混合物からなるミネラル・ワックス、例えば微晶性ワックスであってもよい。あるいは、ワックスは、植物ワックスまたは動物ワックスであってもよく、例えば、C
14−32脂肪酸とC
14−32脂肪アルコールのエステル、例えば蜜蝋、シリコン・ワックスまたは水素化ヒマシ油、またはそれらの混合物である。粘度増大成分の量は、典型的に、組成物の約0.01〜5重量%の範囲であってもよい。粘度増大成分が水素化ヒマシ油であるとき、それは、典型的に、組成物の約0.05〜1重量%、例えば約0.1〜0.5重量%の範囲の量で存在する。
【0058】
本組成物は、乾癬斑の厚くなった表皮を柔らかくするよう作用し得る皮膚軟化剤をさらに含んでもよい。シリコンの存在が皮膚へのカルシポトリオールの浸透を助けることがさらに見出されたことから、本発明の組成物に含まれるのに適当な皮膚軟化剤は、揮発性シリコンオイルであってもよい。シリコンオイルを含む組成物はまた、皮層刺激がより少なくなることが見出された。本発明の組成物に含まれるのに適当なシリコンオイルは、シクロメチコンおよびジメチコンから選択されてもよい。本発明の組成物に含まれるシリコンオイルの量は、典型的に、0.3〜3%(w/w)、例えば約0.5〜1.5%(w/w)の範囲である。
【0059】
本発明の組成物はまた、皮膚製剤に一般的に使用される他の成分、例えば抗酸化剤(例えばα−トコフェロール)、保存料、顔料、皮膚無痛化剤(skin soothing agents)、皮膚治癒剤および皮膚コンディショニング剤、例えば尿素、グリセロール、アラントインまたはビサボロールを含んでもよい(CTFA Cosmetic Ingredients Handbook, 2
nd Ed., 1992を参照のこと。)。好ましい態様において、本組成物は、抗刺激剤、例えばメントール、ユーカリプトールまたはニコチンアミドを含んでよい。皮膚へのカルシポトリオールの浸透を増加させることが見出されたため、現時点で好ましい抗刺激剤は、メントールである(
図1参照)。メントールは、組成物中で、組成物の約0.001〜1%(w/w)、特に約0.002〜0.003%(w/w)の量で含まれていてもよい。
【0060】
本発明の組成物は、処置を必要とする患者に、有効量の本発明の組成物を局所投与することによって、乾癬、脂漏性乾癬、掌蹠膿疱症、皮膚炎、魚鱗癬、酒さおよび挫瘡、ならびに関連する皮膚疾患の処置に使用され得る。当該方法は、好ましくは、1日1回または2回の治療上十分な量の当該組成物の局所投与を含む。そのためには、本発明の組成物は、好ましくは、約0.001〜0.5mg/g、好ましくは約0.002〜0.25mg/g、特に0.005〜0.05mg/gのビタミンD誘導体または類似体を含む。本発明の組成物は、これらの皮膚疾患の維持処置のために、すなわち症状の再発を遅延させるための疾患の可視症状の消滅後の継続した処置のために、好都合に用いられ得ると認識される。
【0061】
さらなる局面において、本発明は、皮膚患部に局所組成物を分配するよう適合させた加圧容器であって、本発明の組成物、および、スプレーの形態で組成物を放出するためのバルブアセンブリおよびアクチュエータを含む容器に関する。
【0062】
図6aおよび6bに示される通り、加圧製品に適当な容器の例は、本組成物が保存される容器本体(1)、浸漬管(2)、ならびに、バルブキャップ(3)、バルブ本体(5)およびアクチュエータ(4)を含むバルブアセンブリで構成されてもよい。
【0063】
典型的に、容器本体(1)は、金属、ガラス、セラミックス、ポリエステル、ポリエチレン テレフタラート(PET)または他のポリマーなどの材料から構成されてもよい。ガラス容器には、衝撃で硬い表面と共に形成され得るガラス破片を含むポリプロピレンなどの安全コーティングを提供してもよい。金属容器本体は、よりよく衝撃に耐え、表面コーティングしやすいため、現在好ましい。ステンレス鋼、錫板およびアルミニウム(すなわち陽極酸化したアルミニウムを含むアルミニウムまたはアルミニウム合金)の容器本体は、この目的に特に適当な材料であり、アルミニウムは、軽くて、容易に壊れないために、現在好ましい。
【0064】
金属容器は、典型的に、組成物を金属との反応から保護するために、不活性材料で裏打ちされるかまたはコートされ、それによって、有効成分または組成物の他の成分の何らかの分解を防ぐかまたは実質的に排除する。
【0065】
不活性材料は、組成物と容器の間の全ての化学的相互作用を防ぐために、容器と組成物の間で障壁を作る何れかの適当なポリマー、ラッカー、樹脂または他のコーティング処理を含む。好ましくは、不活性材料は、非金属コーティングである。
【0066】
金属容器のための既知のコーティングは、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂およびビニル樹脂を含む。しかし、ビタミンD誘導体または類似体を含む組成物は、酸性条件下または酸性反応性化合物の存在下で、化学的に分解する可能性がある。さらに、コルチコステロイドは、アルカリ条件下またはアルカリ性反応性化合物の存在下で、化学的に分解することが知られている。従って、本発明の組成物と共に使用する容器コーティングは、好ましくは、それ自身酸性反応性またはアルカリ反応性を示さないように、かつ、組成物の存在下でそれから酸性またはアルカリ性反応性不純物が滲み出ないように選択されるべきである。
【0067】
本発明をもたらす研究において、例えば、特定のエポキシフェノール樹脂内部ラッカーが、有効成分の1つと混和可能でなく、カルシポトリオールの許容されない化学的分解を引き起こすことが見出された。このような分解は、おそらくは、酸性基を含むコロホニウムのラッカーの存在によるものであろう。他方、ポリイミド−ポリアミド樹脂が内部コーティングとして用いられたとき、カルシポトリオールの化学的安定性は満足のいくものであった。
【0068】
ポリイミド−ポリアミド・コーティングに加えて、金属容器の内部を裏打ちするのに適当な他の材料は、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリプロピレン、ポリエチレン、パーフルオロエチレンプロピレン・コポリマー(FEP)を含むフルオロポリマー、フッ素ゴム(FPM)、エチレン−プロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン テトラフルオロエチレン コポリマー(EFTE)、パーフルオロアルコキシアルカン類、パーフルオロアルコキシアルキレン類、または、非フッ化炭素ポリマーとフルオロポリマーの混合物を含む。フルオロポリマーは、例えば、ポリイミド−ポリアミド樹脂と組み合わせて用いられてもよい。
【0069】
容器コーティング材料は、単層として、または例えばさらなる層の適用前に各層を硬化させる多層として適用されてもよい。組成物を金属容器から保護すると共に、1以上のコーティングの適用はまた、容器の壁への有効成分の付着を妨げるのを助け得る。
【0070】
同じ理由のために、組成物と接触する容器のバルブ部品はまた、好ましくは、組成物の分解を起こさない材料で作られているか、またはコートされていてもよい。例えば、金属のバルブ部品、例えばバルブキャップは、陽極酸化された銀、エポキシメラミンまたはポリプロピレンでコートされていてもよい。
【0071】
容器からの漏れ、特に噴射剤の漏れを阻止すると共に、容器内のガスケットまたは封止剤に用いられる材料はまた、好ましくは、化学的に不活性であるべきである。例えば、容器本体およびバルブキャップを、少なくとも一部が組成物と接触するよう露出される中間ガスケットを用いて一緒に圧着させ、従って、該ガスケットが不活性材料で作られていなければ、結果として組成物の分解を経時的に起こし得る。
【0072】
慣用のエアゾール容器バルブ中のガスケットに用いられる材料の広範囲の試験により、硫黄含有促進剤(例えばチアゾール類)を用いた加硫によって製造されるポリマー材料が、本発明の組成物を含むことが意図された容器のためのガスケット材料として適当でないことが立証され、これは、おそらくは、化学的分解を引き起こす硫黄含有残渣または不純物と有効成分の一方または両方との反応性に起因する。
【0073】
同様に、本発明の組成物に含まれる噴射剤を透過できるガスケット材料は、本発明の目的のためのガスケット材料として適当でない。
【0074】
本発明の組成物と共に使用するのに適当なガスケットまたは封止剤の材料は、フルオロエラストマー(例えばViton V 600)、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー(FEP)、フッ素ゴム(FPM、例えばVI500)、または、エチレン−プロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)を含む。
【0075】
浸漬管に適当な材料は、例えばポリエチレンおよびポリプロピレンであることが見出された。バルブステムに適当な材料は、例えばポリアミドおよびアセタール(POM)であることが見出された。
【0076】
図6bに示される態様において、本組成物は、ビークル相(6)、噴射剤相(7)および蒸気相(8)を含む。この態様において、スプレー容器は、ビークル相(6)が噴射剤相(7)中で均一に懸濁されるように、使用前に徹底的に振盪されるべきである。
【0077】
図7で示される通り、バルブアセンブリは、典型的に金属、例えばアルミニウムから作られるバルブキャップ(3)、圧着によりそれに連結した容器本体(1)、バルブステム(51)およびスプリング(53)を含むバルブ本体(5)、容器から本組成物を放出するよう作動するために押し下げられる、バルブ本体に連結したアクチュエータ(4)で構成されてもよい。バルブステム(51)は、アクチュエータ(4)が押し下げられたときに容器中に存在する組成物が流れる0.05〜1mmの直径を有する少なくとも1個の開口(52)を含む。バルブステム開口(52)には、好ましくは、容器を異なる位置で、例えば逆さままたは横向きで用いることを可能にするようボールを提供してもよい。
【0078】
アクチュエータ(4)には、組成物が放出される直径0.3〜1.5mmの末端オリフィス(41)を有するインサート(44)を提供する。アクチュエータ(4)は、製品の均一なスプレーを確実にするのに十分な程小さいが、容器から放出されたときに、組成物の液滴が、生物学的に活性な物質を含む液滴を偶然吸入し得るような微細な霧を形成しない程大きい大きさの液滴を有するエアゾールスプレーをオリフィス(41)から提供するよう設計されるべきである。
【0079】
インサートオリフィス(41)およびバルブステム開口(52)の大きさ、および、容器内の圧力は、一般的に、組成物が開口(4)から放出されるときに形成されるスプレーコーンの幅を決定し、結果として、スプレーされた組成物によって覆われる領域の大きさを決定する。
特定の態様において、容器に、組成物の用量を測定する手段を提供してもよい。
【0080】
本発明は、下記の実施例によってさらに説明されるが、それは特許請求される本発明の範囲を限定することを一切意図しない。
【実施例】
【0081】
実施例1
異なる噴射剤混合物中のカルシポトリオールおよびBDPの溶解度試験
2×12個の100mlのバルブおよびアクチュエータを取り付けたガラス瓶に、67mgのBDP、13mgのカルシポトリオール、20gのビークル(液体パラフィン、白色軟パラフィンおよびPPG−15−ステアリル エーテルを含む)、および、表1に示す通りに変化させた量のDMEおよびブタンを含む組成物を充填した。組成物は連続相を形成し、分散相は白色軟パラフィン中に存在する長鎖アルカン類(鎖中に≧50個の炭素原子を有する)で構成されると推定される。分散相は、放置したとき、組成物の底部に沈殿した。従って、組成物の上部は、連続相のみを含み、一方、組成物の底部は、連続相と分散相の混合物で構成された。
【0082】
<表1>
【表1】
C1-9は、瓶中の連続相から採取したサンプルである。
D1-9は、瓶中の連続相および分散相の混合物から採取したサンプルである。
【0083】
サンプリングする前に、内容物が均一となるまで瓶を激しく振盪し、その後、瓶を暗所に一夜放置し、瓶の底部に、連続相と混合して、分散相の沈降が起こった。バルブに連結して連続相または混合連続相−分散相に至る浸漬管を通じて、組成物の上部および底部からサンプルを採取し、何れかの相のサンプルを褐色のガラスにスプレーした。分散相が組成物の底部に沈殿したままとなるように、処理の間で瓶を振盪しないよう注意した。スプレーしたサンプルを、噴射剤が蒸発するまで、水浴上で、40℃で5時間置いた。サンプルを室温で1時間冷却した。
【0084】
各サンプル中に存在するカルシポトリオールおよびBDPの量を、下記の作動条件下でHPLCによって測定した。
カラム:Agilent Zorbas Eclipse Plus C18, 150×4.6mm, 3.5μm
移動相:アセトニトリル/メタノール/0.01M (NH
4)
2HPO
4, pH 6.0, 25:45:30(v/v/v)
流速:1.2ml/分
検出:225〜320nm
カルシポトリオールについては264nmで、BDPについては240nmで計算
カラムオーブン:30℃
オートサンプラー:20℃
ランタイム:30分
注入:80μl
【0085】
カルシポトリオールについての結果を
図1aおよび1bに、BDPについての結果を
図2aおよび2bに示す。図から、カルシポトリオールおよびBDPが両方とも、ブタン:DMEの比4:3で、噴射剤相およびビークル相の両方に完全に溶解していることが明らかである。さらに、カルシポトリオールおよびBDPが、噴射剤としての100% DMEに完全に溶解していることが明らかである。
【0086】
組成物中のカルシポトリオールおよびBDPの物理的安定性を、偏光顕微鏡によって測定した。この結果により、組成物を4月間放置したとき、カルシポトリオールまたはBDPの何れもが再結晶しないことが示された。
【0087】
実施例2
ビークル組成物
組成物A〜E
組成物A〜Eを調製するために、白色軟パラフィンを80℃で融解し、続いて70℃に冷却してその温度に維持した。カルシポトリオール 一水和物をポリオキシプロピレン−15−ステアリル エーテルに溶解して溶液を形成し、それを融解したパラフィンに撹拌しながら加えた。BDPを液体パラフィンに分散し、分散液をカルシポトリオール含有パラフィン混合物に撹拌しながら加え、その後、混合物を30℃未満まで冷却した。ポリアミド−ポリイミド内部ラッカー(HOBA 8460)を提供されたアルミニウムスプレー容器に、混合物30gを移し、その後、圧着によってバルブキャップを容器本体に固定化した。チューブを通じて必要量の噴射剤混合物を加え、その後、カルシポトリオールおよびBDPを完全に溶解させるために容器を5分間振盪した。
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
【表5】
【0092】
【表6】
【0093】
組成物F
組成物Fを調製するために、水素化ヒマシ油を液体パラフィンと共に85〜90℃で融解し、均一化しながら約60℃まで冷却する。混合物を撹拌しながら25〜30℃まで冷却する。BDPを液体パラフィンに懸濁し、均一化された混合物に加える。カルシポトリオール 一水和物をポリプロピレン−15−ステアリル エーテルに溶解し、他の成分の混合物に加え、有効成分を確実に均一に分布させるために製剤を均一化した。ポリアミド−ポリイミド内部ラッカー(HOBA 8460)を提供されたアルミニウムスプレー容器に、混合物30gを移し、その後、圧着によってバルブキャップを容器本体に固定化する。チューブを通じて必要量の噴射剤混合物を加え、その後、カルシポトリオールおよびBDPを完全に溶解させるために、容器を5分間振盪する。
【0094】
【表7】
【0095】
組成物GおよびH
組成物Gを調製するために、N−メチルピロリドン中のカルシポトリオール 一水和物の溶液を、中鎖トリグリセリド類およびポリオキシプロピレン−15−ステアリル エーテルと混合する。Sonnecone DM1および微晶性ワックスを80〜85℃で融解し、液体パラフィン中のα−トコフェロールの溶液を、融解するまで、撹拌しながら80℃で加える。70〜75℃まで冷却した後、カルシポトリオール 一水和物を含む溶媒混合物を、撹拌しながら加える。約40℃まで冷却した後、メントールを加え、得られた混合物を、30℃未満まで冷却しながら撹拌する。ポリアミド−ポリイミド内部ラッカー(HOBA 8460)を提供されたアルミニウムスプレー容器に、混合物30gを移し、その後、圧着によってバルブキャップを容器に固定化する。チューブを通じて必要量の噴射剤混合物を加え、その後、カルシポトリオールおよびBDPを完全に溶解させるために、容器を5分間振盪する。
【0096】
【表8】
【0097】
組成物Hを調製するために、白色軟パラフィンを80〜85℃で融解し、70〜75℃まで冷却し、溶媒混合物を撹拌しながら加える。ポリアミド−ポリイミド内部ラッカー(HOBA 8460)を提供されたアルミニウムスプレー容器に、混合物30gを移し、その後、圧着によってバルブキャップを容器本体に固定化する。チューブを通じて必要量の噴射剤混合物を加え、その後、カルシポトリオールおよびBDPを完全に溶解させるために、容器を5分間振盪する。
【0098】
【表9】
【0099】
組成物I〜P
組成物Iを調製するために、中鎖トリグリセリド類、カプリル酸/カプリン酸グリセリドおよびポリオキシル 40 水素化ヒマシ油を混合し、混合物をマグネチックスターラーで50℃で15分間撹拌する。カルシポトリオール 一水和物を、マグネチックスターラーを用いて、40℃で15分間溶解する。白色軟パラフィンを80℃で融解する。カルシポトリオール 一水和物を含む3成分界面活性剤−溶媒混合物を、融解したパラフィンに加え、軟膏混合物が均一になるまで泡立てる。均一化された混合物を、撹拌しながら、30℃まで冷却する。組成物Jは、カプリル酸/カプリン酸グリセリドの代わりにグリセロール モノオレート 40を共界面活性剤として用いる以外、同様の方法で調製される。ポリアミド−ポリイミド内部ラッカー(HOBA 8460)を提供されたアルミニウムスプレー容器に、混合物30gを移し、その後、圧着によってバルブキャップを容器本体に固定化する。チューブを通じて必要量の噴射剤混合物を加え、その後、カルシポトリオールおよびBDPを完全に溶解させるために、容器を5分間振盪する。
【0100】
【表10】
【0101】
組成物K〜Pは、下記の表に示す通りに界面活性剤、共界面活性剤および溶媒を適切に置き換える以外、組成物Iと同様の方法で調製される。
【表11】
【表12】
【0102】
実施例3
異なる組成物中のカルシポトリオールおよびBDPの化学的安定性
上記の実施例2に記載した通りに調製した組成物Eを、スプレー容器中で、40℃で3月間保存した。1月間、2月間および3月間保存後、それぞれ、組成物のサンプルを採取し、カルシポトリオールおよびBDP、ならびに可能性のある分解生成物(関連する不純物)の含量を、HPLCによって測定した。下記の表に、理論上の当初量のパーセントを示す。
【0103】
【表13】
【0104】
この結果より、40℃で3月後のカルシポトリオールの喪失量と測定された不純物の量が一致しないことが明らかである。このことは、カルシポトリオールの見かけの喪失量が、保存の間のカルシポトリオールの分解の結果ではなく、他の原因、例えば容器の部品の1個以上、おそらくは浸漬管または内部ラッカーへのカルシポトリオールの吸着などに帰することを示唆する。従って、我々は、両方の有効成分は、示された条件下で化学的に安定であり、このことは、組成物が25℃で約2年の貯蔵寿命を有することを示唆すると結論付けた。
【0105】
実施例4
浸透試験
本発明の組成物からのカルシポトリオールの皮膚浸透および透過を調べるために、皮膚拡散実験を行なった。豚耳由来の十分な厚さの皮膚を本試験で用いた。使用前は耳を−18℃で冷凍した。試験前日、ゆっくりと解凍するために耳を冷蔵庫(5±3℃)に入れた。試験の日に、獣医用ヘア・トリマーを用いて毛を除去した。メスを用いて皮膚から皮下脂肪を除去し、2片の皮膚を各耳から切断し、平衡の順でFranz拡散セルにマウントした。
【0106】
実質的にT.J. Franz, “The finite dose technique as a valid in vitro model for the study of percutaneous absorption in man”, in Current Problems in Dermatology, 1978, J.W.H. Mall (Ed.), Karger, Basel, pp. 58-68に記載された方法で、3.14cm
2の利用可能な拡散面積と8.6〜11.1mlの範囲のレセプター容積を有する静的Franz型拡散セルを用いた。各セルについて具体的な容積を測定し、記録した。マグネチックバーを各セルのレセプター・コンパートメントに入れた。皮膚をマウントした後に、皮膚を水和するために生理食塩水(35℃)を各レセプターチャンバーに充填した。400rpmに設定されたマグネチックスターラー上に置かれた熱的に制御された水浴に、セルを入れた。水浴中の循環水を35±1℃に維持し、皮膚表面上の温度を約32℃とした。1時間後、食塩水を、レセプター媒体である4% ウシ血清アルブミン含有0.04M 等張リン酸緩衝液(pH7.4)(35℃)に置き換えた。試験期間中常に沈降条件を維持し、すなわち、レセプター媒体中の活性な化合物の濃度は媒体中の化合物の溶解度の10%未満であった。
【0107】
各試験組成物のインビトロの皮膚透過を6複製(すなわちn=6)で試験した。各試験組成物を0時間で皮膚膜にスプレーした。皮膚表面に組成物を均一に広げるために、ガラススパチュラを用いた。
【0108】
皮膚浸透試験を21時間進行させた。2時間、6時間および21時間で、下記のコンパートメントからサンプルを集めた:
角質層を、D-Squame(登録商標)テープ(直径22mm, CuDerm Corp., Dallas, Texas, USA)を用いて、10回テープを剥いで集めた。各テープ片を、試験領域に標準圧力を5秒間使用して適用し、1回の穏やかな、連続的な移動で試験領域から除いた。繰り返し剥離する際にそれぞれ、剥がす方向を変更した。生存表皮および真皮を同様の方法で皮膚からサンプリングした。
【0109】
拡散セルに残るレセプター液のサンプル(1ml)を集めて分析した。
サンプル中のカルシポトリオールの濃度を、LC質量分析によって測定した。
【0110】
下記の
図3および4より、この結果は、生存皮膚(真皮および表皮)およびレセプター液中で、適用後2時間、6時間および21時間で測定されたカルシポトリオールおよびBDPの量をそれぞれ適用された量の%で示す。この結果は、組成物Eの適用が、Daivobet(登録商標) 軟膏と比較して、カルシポトリオールおよびBDPの皮膚透過の著しい増大をもたらすことを示している。
【0111】
実施例5
組成物の生物学的活性
下記の
図5に示す通り、カテリシジンはヒトのケラチン生成細胞で発現される抗菌ペプチドである。カテリシジンの発現は、皮膚の感染または皮膚障壁の崩壊で強く誘発される。乾癬において、カテリシジンのレベルは乾癬患者の皮膚病変で増加する。カテリシジンをコードする遺伝子の発現は、ビタミンD受容体への結合を介して、ビタミンD
3またはビタミンD類似体、例えばカルシポトリオールによって誘発され得ることが見出された(TT Wang et al, J. Immunol. 173(5), 2004, pp. 2909-2912; J Schauber et al., Immunology 118(4), 2006, pp. 509-519; Schauber and Gallo, J. Allergy Clin Immunol 122, 2008, pp. 261-266; M. Peric et al., PloS One 4(7), July 22, 2009, e6340)。この発見は、ヒトのケラチン生成細胞における試験組成物からのカルシポトリオールの取り込みおよび生物学的活性が、カテリシジンをコードする遺伝子の誘発レベルの測定により決定されるアッセイを開発するのに利用されている。
【0112】
本アッセイにおいて、上記の実施例2に記載した通りに調製した組成物Eを、0.5cm
2のポリカーボネートフィルター(SkinEthic(登録商標) Laboratories, Nice, Franceから入手可能)上で12日間培養したヒトの正常ケラチン生成細胞からなる再構築されたヒトの表皮上に、3複製で、局所的にスプレーした。ポリカーボネートフィルターから表皮を分離した後組織を2日間処理して、液体窒素中で瞬間冷凍した。RNAを細胞から抽出し、cDNAを慣用の手順によって合成した。定量的リアルタイムPCR(qPCR)を、Applied Biosystemsからの下記のアッセイを用いて行った:CAMP Hs0018038_m1およびGAPDH Hs99999905_m1。カテリシジンの発現レベルをGAPDHに対して標準化し、Daivobet(登録商標) 軟膏との比較によって、相対的な定量化を行った。
【0113】
結果は、Daivobet(登録商標) 軟膏で得られた結果に対して、カテリシジンの生物学的活性化を2.3倍増大させたことを示す。
【0114】
実施例6
異なる内部ラッカーの存在下でのカルシポトリオール/BDPの化学的安定性
実施例2に記載した通りに調製し、2つの異なるタイプの内部ラッカー、すなわちエポキシフェノールをベースとするラッカー(HOBA 7940/7407)およびポリイミド−ポリアミドをベースとするラッカー(HOBA 8460)をそれぞれ提供されたアルミニウムスプレー容器に入れた組成物Aのバッチを、40℃で1月間放置した後の有効成分の化学的安定性について、各バッチのサンプルをガラスにスプレーし、実施例3で記載した手順によって、それらについてHPLCを行うことによって試験した。
【0115】
結果を下記の表に示す。
【表14】
EP=エポキシフェノールをベースとするラッカー
PI-PA=ポリイミド−ポリアミドをベースとするラッカー
【0116】
表から、エポキシフェノールをベースとするラッカーを、スプレー容器の内部ラッカーとして用いるときはカルシポトリオールが許容されない程分解されるが、ポリイミド−ポリアミドをベースとする内部ラッカーの存在下では化学的安定性が許容されることが明らかである。ベタメタゾンジプロピオン酸エステルの化学的安定性は、これらの内部ラッカーの組成物にほとんど影響されないことが明らかである。表に示されるカルシポトリオールの分解は、噴射剤混合物の溶媒作用によりラッカーから滲み出る、エポキシフェノールをベースとするHOBA 7940/7407ラッカー中の1種以上の酸性反応成分によって引き起こされると考えられる。現在、このような成分は、それが酸性基を含むため、コロホニウムであると考えられる。
【0117】
実施例7
異なる噴射剤混合物中のビタミンD類似体およびコルチコステロイドの溶解度試験
バルブおよびアクチュエータを取り付けた100mlのガラス瓶に、API(10mgのカルシトリオール、タカルシトール、マキサカルシトール、30mgのクロベタゾールプロピオン酸エステル、60mgのベタメタゾン 17−バレレート、ヒドロコルチゾン 17−ブチレート、120mgのヒドロコルチゾン吉草酸エステルまたは800mgのヒドロコルチゾン)、および変化させた量のDMEおよびブタン(46.7mlのブタン、6.7mlのDMEおよび40.0mlのブタン、または、23.3mlのDMEおよび23.3mlのブタン)を含む組成物を充填した。
【0118】
サンプリングする前に、内容物が均一となるまで、瓶を激しく振盪し、その後、瓶を暗所に一夜放置し、溶解していないAPIの沈殿が起こった。サンプルをシンチレーションガラスにスプレーすることによって、バルブに連結した浸漬管を通じて組成物の上部からサンプルを採取した。溶解していないAPIが組成物の底部に沈んだままとなるように、処理の間で瓶を振盪しないよう注意した。必要な場合は、HPLCに注入する前に、抽出および希釈のために、ガラス中のAPIを溶媒に溶解した。
【0119】
各サンプル中に存在するカルシトリオール、タカルシトール、マキサカルシトール、ベタメタゾン 17−バレレートおよびクロベタゾールプロピオン酸エステルの量を、下記の作動条件下でHPLCによって測定した。
カラム:4.6×150mm Waters Sunfire C18. 3.5μm カラム
移動相:アセトニトリル−メタノール−水(20:50:30)
流速:1.2ml/分
検出:
PDA 210nm〜350nm
ベタメタゾン 17−バレレートおよびクロベタゾールプロピオン酸エステルについては、240nmで計算
ビタミンD類似体については260nmで計算
カラムオーブン:35℃
オートサンプラー:20℃
ランタイム:40分
注入:各APIで標準曲線に従って変更可能
保持時間:
6.2分(クロベタゾールプロピオン酸エステル)
6.7分(ベタメタゾン 17−バレレート)
10.5分(マキサカルシトール)
28.6分(カルシトリオール)
32.6分(タカルシトール)
【0120】
各サンプル中に存在するヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン吉草酸エステルおよびヒドロコルチゾン 17−ブチレートの量を、下記の作動条件下、HPLCによって測定した。
カラム:
Phenomenex Precolumn C18 4.0mm×2.0mmまたは同等物+Waters
Sunfire C18 3.5μm, 100mm×4.6mmまたは同等物
移動相:
溶出液A=テトラヒドロフラン
溶出液B=水
濃度勾配:
【表15】
流速:1.0ml/分
プレカラム容量:ループサイズに対応
検出:
UV 254nm
PDA検出器 220〜320nm
注入:各APIで標準曲線に従って変更可能
カラムオーブン:40℃
オートサンプラー:環境温度
ランタイム:ヒドロコルチゾンの保持時間の最低4倍
保持時間:
6.0分(ヒドロコルチゾン)
12.7分(ヒドロコルチゾン 17−ブチレート)
14.5分(ヒドロコルチゾン バレレート)
【0121】
結果を、ビタミンD類似体およびコルチコステロイドについて、それぞれ表aおよび表bに示す。表によれば、DMEの量を増大させることによって、ビタミンD類似体およびコルチコステロイドの溶解度が増大することが明らかである。
【0122】
表a:環境温度でのビタミンD類似体の溶解度
【表16】
値は、同じ瓶から2回測定した平均値である。
【0123】
表b:環境温度でのコルチコステロイドの溶解度
【表17】
値は、同じ瓶から2回測定した平均値である。
【0124】
実施例8
異なるガスケット物質存在下でのカルシポトリオール/BDPの化学的安定性
組成物と種々のガスケット材料との適合性を試験するために、組成物E(実施例2参照)でサンプルを調製し、ポリアミド−ポリイミド内部ラッカーを有するアルミニウムスプレー容器に充填し、容器本体に圧着したバルブキャップで密閉した。各容器に、10ピースまたは1当量のガスケット試験材料をスプレー容器に加え、組成物中に沈めた。容器を25℃または40℃で保存し、40℃で1月後および3月後、そして25℃で3月後に試験した。
【0125】
保存後、組成物をガラス瓶にスプレーし、噴射剤を2日間蒸発させた。組成物の非揮発性部分を、カルシポトリオール、ベタメタゾンジプロピオン酸エステルおよびその関連した有機不純物について分析した。
【0126】
カルシポトリオールの量を、液体抽出し、50℃で制御異性化した後、HPLCによって測定した。メチルテストステロンを内部標準として用いた。下記の条件をHPLC分析に用いた。
カラム:LiChrospher RP-18, 125×4mm, 5μm
移動相:アセトニトリル/メタノール/0.01M (NH
4)
2PO
4(20:50:30)
流速:2.0ml/分
検出:UV 264nm
注入:50μl
ランタイム:約9分
【0127】
カルシポトリオールに関する有機性不純物を、液体抽出後、下記の条件を用いて、HPLCによって測定した。
カラム:YMC ODS-AM, 150×4.6mm, 3μm
移動相:アセトニトリル/メタノール/0.01M (NH
4)
2PO
4(20:50:30)
流速:1.0ml/分
検出:UV 264nm
注入:500μl
ランタイム:カルシポトリオールの保持時間の2倍
【0128】
ベタメタゾンジプロピオン酸エステルの量を、液体抽出後、内部標準としてベクロメタゾンプロピオン酸エステルを用いて、下記のHPLC条件を用いて、HPLCによって測定した。
カラム:Superspher RP-18, 75×4mm, 4μm
移動相:アセトニトリル/水(50:55)
流速:1.5ml/分
検出:UV 240nm
注入:20μl
ランタイム:約9分
【0129】
ベタメタゾンジプロピオン酸エステルに関する有機性不純物を液体抽出によって抽出し、下記の条件を用いてHPLCによって分析した。
カラム:LiChrospher RP-18, 125×4mm, 5μm
移動相:アセトニトリル/0.05M (NH
4)
2PO
4 pH 7(50:55)
流速:2.0ml/分
検出:UV 240nm
注入:20μl
ランタイム:約20分
【0130】
結果を下記の表に示す。
【表18】
BunaおよびNPRはニトリルゴムであり、Vitonはフルオロエラストマーであり、EPDMはエチレン−プロピレンジエンモノマーゴムである。
【0131】
データは、2つのガスケットタイプ、すなわちBunaおよびNPRが、カルシポトリオールおよびベタメタゾンジプロピオン酸エステルの双方の分解を起こすことを示す。この適合性試験に基づいて、これらの2つの材料が、試験組成物と接触して使用するのに適当でないと結論づけられた。VitonおよびEPDMガスケットは、カルシポトリオールおよびベタメタゾンジプロピオン酸エステルの安定性に負の影響を有さず、従って、それらは、試験された組成物のためのガスケット材料として有用であると考えられる。