【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に記載の製造方法および請求項14に記載の化粧壁パネルまたは化粧床パネルにより達成される。
すなわち、本発明は、化粧壁パネルまたは化粧床パネルの製造方法であって、
a)流し込み可能なキャリア材料、特に粒状のキャリア材料を準備する工程と、
b)2つのベルト状搬送手段の間にキャリア材料を配置する工程と、
c)温度の影響下でキャリア材料を成形し、ウェブ状のキャリアを形成する工程と、
d)キャリアを圧縮する工程と、
e)二重ベルトプレスを使用して圧力の作用下でキャリアを処理する工程であって、キャリアが
二重ベルトプレスの上流、すなわち
該e)工程の前に冷却される工程と、
f)場合により、キャリアをさらに冷却する工程と、
g)場合により、キャリアの少なくとも一部の上に化粧サブ表面を付与する工程と、
h)キャリアの少なくとも一部の上に化粧テンプレートを再現した化粧物を付与する工程と、
i)化粧物の少なくとも一部の上に保護層を付与する工程と、
j)場合により、細孔を導入するために保護層を構造化する、および/または接続要素を形成するためにキャリアの縁領域を構造化する工程と、
k)場合により、前記工程のいずれか1つの前に静電放電させるためにキャリアを処理する工程と、
を含む化粧壁パネルまたは化粧床パネルの製造方法を提案する。
【0005】
本発明における「化粧壁パネルまたは化粧床パネル」または「化粧パネル」という用語は、特に、キャリア板上に付与された化粧テンプレートを再現した化粧物を含む、壁、天井、または床のパネルを意味する。化粧パネルは、部屋のインテリアデザインの分野および建物の化粧外装の両方で、例えば展示ブースの建設において、様々な方法で使用される。化粧パネルの最も一般的な応用分野の1つに、床カバー材としての使用がある。本明細書においては、化粧パネルには大抵、天然材料の複製を目的とした化粧物が含まれる。
【0006】
複製される天然材料または化粧テンプレートの例としては、カエデ、オーク、カバ、サクラ、トネリコ、クルミ、クリ、ウェンジなどの木材種、さらには外国産の木、例えばパンガパンガ、マホガニー、竹、およびブビンガなどが挙げられる。また、石の表面またはセラミック表面などの天然材料がしばしば複製される。
【0007】
したがって、本発明における「化粧テンプレート」は、複製の元となる天然材料、または化粧物によって模倣もしくは複製されるそのような材料の少なくとも表面として理解してもよい。
【0008】
「流し込み可能な」材料は、特に、サブ表面上に注ぐプロセスまたは散布するプロセスによって配置されることができる材料である。本明細書においては、材料は流体としてまたは特に流し込み可能な固体として準備されてもよい。
【0009】
「粒状物」または「粒子状材料」とは、顆粒またはビーズなどの複数の固体粒子を含むまたはそれのみから成る、固体または固体の凝集物(head)をいう。例として粒状または粉末状材料を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0010】
「キャリア」とは、特に、コアとして機能する層としてまたは完成したパネルにおけるベース層であり、これには、特に、木質系材料などの天然材料、繊維性材料、またはプラスチックを含む材料が含まれていてもよい。例えば、キャリアは、それ自体でパネルに適した安定性を与えるまたはそれに寄与することができる。
【0011】
「ウェブ状のキャリア」とは、その製造プロセスにおいてウェブ状構造を有し、長さが厚さまたは幅と比較して相当に大きいキャリアである。長さは、例えば15メートルを超えていてもよい。
【0012】
本発明において、「板状のキャリア」とは、ウェブ状のキャリアから分離されて板の形状に成形されるキャリアである。板状のキャリアは、それ自体で製造されるパネルの形状および/またはサイズを画定することが可能である。しかし、板状のキャリアは、大型のプレートとして供給することもできる。本発明における大型プレートとは、特に、寸法が完成品化粧パネルの寸法を数倍上回り、製造プロセスの過程で、例えば鋸、レーザー、またはウォータージェットにより切断されて、対応する複数の化粧パネルとなるキャリアである。例えば、大型プレートは、ウェブ状キャリアに相当するものであってもよい。
【0013】
本発明における木質系材料とは、木質無垢材の他、直交集成材、接着集成材、ブロックボード、ベニヤ合板、単板積層材、平行ストランドランバー、および曲げ合板などの材料である。また、本発明における木質系材料とは、プレスボード、押出成形ボード、配向性構造ボード(OSB)、および積層ストランドランバーなどのチップボード、並びに木質繊維断熱ボード(HFD)、半硬質および硬質繊維板(MB、HFH)、特に中密度繊維板(MDF)および高密度繊維板(HDF)などの木質繊維材料である。さらには、木材ポリマー材料(木材プラスチック複合材、WPC)、軽量コア材料(発泡体、硬質発泡体、またはハニカム紙など)とそれに貼り付けられた木材の層でできており、例えばセメントにより無機物で硬化させたサンドイッチボード、および、チップボードなどの近代的な木質系材料も、本発明における木質系材料である。さらに、コルクは本発明における木質系材料を代表するものである。
【0014】
本発明において、「繊維材料」とは、植物、動物、鉱物、またはさらには合成の繊維、並びに厚紙をベースとする、紙および不織布などの材料を意味する。セルロース繊維で作られた紙および不織布に加えて、植物繊維をベースとする繊維材料の例としては、麦わらなどのバイオマス製のボード、トウモロコシのわら、竹、葉、藻類抽出物、麻、綿、またはアブラヤシ繊維が挙げられる。動物繊維材料の例としては、羊毛または馬の毛などのケラチン系材料が挙げられる。無機繊維材料の例としては、ミネラルウールまたはグラスウールが挙げられる。
【0015】
驚くことに、上記化粧壁パネルまたは化粧床パネルの製造方法は、優れた特性があるため、特に化粧壁パネルまたは化粧床パネルのキャリアの製造に好ましい材料に適用することができることが分かった。
【0016】
ひいては、前記製造方法の工程を組み合わせることにより、特に化粧壁パネルまたは化粧床パネルのキャリアであって、極めて優れた材料を含むキャリアの、効率が向上した製造方法を提供することができる。さらにこの化粧壁パネルまたは化粧床パネルの製造方法によれば、適合性が高く非常に安定性のあるパネルを製造することができる。したがって、好ましい特性を有するパネルを簡便な方法で製造することができる。
【0017】
化粧壁パネルまたは化粧床パネルの製造方法は、以下の工程を含む。
本発明に係る化粧壁パネルまたは化粧床パネルの製造方法に従って、まずキャリアまたはコアを製造する。上記化粧壁パネルまたは化粧床パネルの製造方法は、この目的の達成のために、まず流し込み可能なキャリア材料を準備する工程a)を含む。
【0018】
キャリア材料は、特にパネル用である板状のキャリアを製造するためのベースとして機能する。キャリア材料は、例えば、均一な材料としてまたは2つ以上の材料の混合材料として準備してもよい。キャリア材料または少なくともキャリア材料の成分は、以下に詳細に説明されるように、さらなる工程において熱の作用によってキャリア材料を形成するために、融点または軟化点を有するべきである。
【0019】
特に有利な方法においては、キャリア材料は流し込み可能な固体としてまたは粒状物として準備されてもよく、使用される材料に応じた粒状物の粒径は、一例に限るが100μm以上(≧100μm)10mm以下(≦10mm)の範囲であってもよい。
【0020】
これにより、保管が容易になり、所望の材料組成に特に良好に適応させることもできるようになる。特に粒子状の形態では、異なる成分から成る特に均一な混合物を製造することができ、組成が正確に設定可能である一定の混合物を得ることができる。
【0021】
例として、いわゆる乾燥ブレンド、すなわち添加剤が添加された乾燥プラスチック粉末を使用することができる。また、特に粒径が上記範囲にある粒状物は、非常に均一かつ非常に一定である状態でサブ表面に散布できるので、非常に一定である特性プロファイルを有するキャリアを製造できる。
【0022】
本明細書においては、キャリア材料の好ましいフィル(fill)または分布は、嵩密度の偏差≦5%、特に嵩密度の偏差≦3%である。
工程b)で、流し込み可能なキャリア材料、特に粒子状キャリア材料を2本のベルト状搬送手段の間に配置する。詳述すれば、下側のベルト状搬送手段を回転動作させ、また、下側の搬送手段から所定の距離をおいて、上側のベルト状搬送手段を回転動作させる。このようにすることで、キャリア材料を下側の搬送手段の上に配置し、その後、下側および上側の搬送手段によって閉じ込めることができる。
【0023】
正確な散布プロセスによって、側部の境界を省くことができる。2本の搬送手段によって、キャリア材料を個々の加工ステーションへ移動させるかまたは個々の加工ステーションを通して移動させることができ、かつ、キャリアへと加工することができる。
【0024】
さらに、キャリア材料は、この工程で予備成形してもよい。したがって、ベルト状搬送手段は2つの機能、すなわち輸送手段の機能とモールドの機能とを有していてもよい。
ベルト状搬送手段は、下記で説明するように、少なくとも二重ベルトプレスの領域において、少なくとも一部がテフロンまたはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製であってもよい。例えば、ベルトは全体がポリテトラフルオロエチレンで形成されていてもよいし、またはベルトはポリテトラフルオロエチレンの外層を備えたベルトを使用してもよい。後者の場合では、例えば、ガラス繊維強化プラスチックベルトまたは鋼のベルトを使用できる。この種の搬送手段を用いると、この材料が抗付着性であるので、製造されるキャリアについて特に規定された、例えば滑らかな表面を得ることができる。
【0025】
したがって、搬送されるキャリア材料が搬送手段に付着して表面構造に直接悪影響を及ぼしたり、または、付着した材料が次のサイクルで表面構造に悪影響を及ぼしたりすることを防止できる。また、ポリテトラフルオロエチレンは高温下でも分解に対してだけでなく化学物質に対して耐性があるので、一方では何の問題もなくキャリア材料の温度処理が可能であり、他方では搬送手段が長期間安定する。また、材料は自由に選択してもよい。
【0026】
本明細書においては、搬送手段は装置全体にわたって通っていてもよく、または途中で中断されて複数の搬送手段として構成されていてもよい。
工程b)でのキャリア材料の投入は、特に、複数の散布ヘッドによって実現してもよい。散布ヘッドは、キャリア材料を所定の方法で投入するように適合させてある。散布ヘッドに関して、散布ヘッドは例えば散布のための集合体の一部であってもよく、少なくとも1つの回転散布ローラを含んでいてもよい。
【0027】
例えば、投入しようとする材料を散布ローラ上に所定の方法で投入することができるホッパを備えていてもよい。この場合、材料をローラのくぼみに運ぶドクターブレードをさらに備えていてもよい。その後、回転ブラシロールを使用して材料を散布ローラから投入することができ、材料はバッフルに当たってそこから搬送手段上に滑り出る。散布幅を制御するために、さらに散布幅調整装置を備えていてもよい。この実施形態では、キャリア材料の特に均一な投入を実現することができる。したがって所定の品質を有する均一なキャリアが得られる。
【0028】
例えば1つの散布ヘッドまたは2つ、3つもしくは3つを超える散布ヘッドを備えていてもよい。そうすることで、キャリアは特に簡便な方法で、例えば材料の所望の混合物を準備することによって調整することができる。この実施形態においては、混合物は製造プロセス中または2つの装入物間で容易に調整することができるので、可変性を大きくできる。また、個々の散布ヘッドを別々に備えることで、キャリア材料の混合物を加工の直前に製造できる。したがって様々な成分が互いに悪影響を及ぼすことおよびその結果として製造されるキャリアの品質が低下することを防ぐことができる。
【0029】
さらに工程c)で、ベルト状搬送手段の間に配置されたキャリア材料は温度または熱の影響下で成形される。この工程ではキャリア材料に作用する熱エネルギーまたは熱によってキャリア材料またはその少なくとも一部が溶融または軟化し、それによって、例えば粒状物が成形可能となる。この状態では、キャリア材料が搬送手段の間に形成された収容空間を均一に満たすことができるので、ウェブ状キャリアを形成することができる。ウェブ状キャリアはさらに処理してもよい。
【0030】
このように形成されたウェブ状キャリアを、工程d)と同時にまたは工程d)の後に圧縮することができる。この工程は特に、好適なプレス機またはローラを使用して実施してもよい。このように、ここではウェブ状キャリアの第1の圧縮が行われる。この工程では、実質的にキャリアを既に所望の厚さとすることができるので、その後の加工工程ではわずかに圧縮する必要があるだけである。それゆえ、以下で詳細に説明するように、さらなる工程を非常に穏やかに実施できる。本明細書においては、確実にキャリアの温度を十分に冷却できるので、所望の成果を維持しながら好適な圧縮が可能となる。
【0031】
さらに工程e)では、圧力の影響下で二重ベルトプレスを使用してキャリアをさらに処理する。この工程では、特に、キャリアの表面特性を調整できる。例えば、この工程では特に、表面の平滑化を行うことができる。この目的のために、前もって圧縮したキャリアを圧力の影響下で処理してもよく、特にこの第2の圧縮が非常に小さい領域でのみ行われるように低い圧力を選択してもよい。
【0032】
例として、第2の圧縮前に、キャリアの全厚みの≦10%、≦5%、特に≦3%の範囲で圧縮を行うことができる。例えば、4.5mmのプレート厚さにおいて0.2mm〜0.3mmの範囲で圧縮を行うことができる。したがって、この工程における加工装置のデザインは、特に所望する表面特性の調整事項に応じて選択でき、表面特性はとりわけ滑らかなものであってもよい。したがって、二重ベルトプレスは、特にキャリアの厚さだけでなく最終的な表面特性を調整するためのキャリブレーションゾーンとして機能し得る。
【0033】
ここで、特に二重ベルトプレスを使用すると、そのようなプレスにより特に穏やかな圧縮工程を実施することが可能となり、また表面特性を効果的かつ一定に設定できるので、有利な場合がある。さらに、特にベルトプレスを使用するとライン速度を速くすることができるので、当該プロセス全体をもって処理量を特に大きくすることができる。
【0034】
例えば、そのようなベルトプレスは、通常はキャリアの搬送方向にかなり長い加工空間を有しており、複数のテンパリングゾーンを含んでいてもよい。これにより、温度分布を生じさせることができるので、ライン速度が速くても表面特性を効果的に調整できる。
【0035】
また、空気圧シリンダーを備えつけることにより、二重ベルトプレスの特に均一かつ一定の調整可能なベルト張力が得られるので、圧縮の調整だけでなく表面品質の調整も極めて正確に実施できる。ベルトプレスは、鋼のベルト、例えば、コーティングを有していないかまたはポリテトラフルオロエチレンコーティングを有する鋼のベルトを含んでいてもよく、および/または熱媒油加熱器によって温度制御されてもよい。
【0036】
この工程における表面品質の平滑化または調整によって、最表面は平滑化されるが既に導入されていた構造または存在するならば細孔は、影響を受けないかまたは一定の領域内でのみ影響を受けるので、それらはこの工程後においてさえも所望の程度で存在している。これは特に、好適な温度分布および好適な圧力値を有するベルトプレスを使用することで可能となる。
【0037】
本明細書において、二重ベルトプレスの上流または二重ベルトプレス内のキャリア、つまり工程e)の間または工程e)の前のキャリアは、特にキャリア材料のプラスチック成分の融点または軟化点未満で冷却されることがさらに規定される。本明細書において、冷却プロセスは制限領域内でのみ実施することができるので、キャリアは実際には室温(22℃)と比較して高い温度を有するが、あらかじめ設定された上昇した温度を下回る。
【0038】
つまり、好ましくは、また使用されるプラスチック材料に応じて、キャリア材料中に含まれるプラスチック成分の融点または軟化点を下回る。これは、例えば、二重ベルトプレスに配置されたテンパリング手段の温度を適切に選択することによって実現することができ、またはキャリアは特に、二重ベルトプレスの上流に位置するテンパリング手段によってより弱く冷却または加熱することができる。
【0039】
特に、キャリアを冷却することによって、例えばポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))製であってもよい二重ベルトプレスのベルトがよりストレスを受けにくいので特に高品質の表面画像を得ることができる。さらに、陥凹または気泡もしくは細孔の存在を避けることができるので、キャリアの表面を特に高品質にすることができる。ポリエチレンに適した温度は、例えば、130℃未満の範囲、例えば80℃以上(≧80℃)、115℃以下(≦115℃)の範囲など、例えば120℃などであるが、それらに限定されない。
【0040】
さらなる工程f)がさらに進行すると、場合によりウェブ状キャリアのさらなる冷却プロセスが行われる。キャリアは特に、所定の冷却ステージを冷却手段に備えつけることにより、室温に相当する温度まで、または例えば、20℃以上までの範囲で冷却されてもよい。例えば、キャリアの所定の冷却を可能にするために複数の冷却ゾーンが存在していてもよい。
【0041】
製造されたキャリアを冷却後、キャリアをウェブ状の形態でまたは分離した板状のキャリアとして保管してもよく、プロセスを一時的に停止してもよい。しかし、好ましくは、以下に詳細に説明するように、例えば研削せずに行えるさらなる加工工程、特に完成パネルを製造するために供給されたキャリアを加工するための加工工程を直ちに続ける。
【0042】
完成パネルを製造するために、この製造方法はキャリアに化粧物を施しこの化粧物を保護層で被覆するための下記のさらなる工程を含む。本明細書において、その後の工程は好ましくは、製造されたウェブ状キャリアを直接使用して行われる。しかし、本発明は、工程g)〜工程j)の1つの前にウェブ状キャリアを複数の板状のキャリアに分割すること、および/またはそれに対応したその後の工程によって板状のキャリアをさらに処理することも含む。以下の説明は両方の選択肢に適用され、以下では単純化のためにキャリアの処理に言及する。
【0043】
したがって工程k)で、場合によりまず静電放電のためのキャリアの前処理を工程g)の前に行うことができる。これは特に化粧物を付与する過程でブレが発生することを防ぐのに役立てることができる。製造工程の過程で印刷しようとするキャリア中に蓄積する静電荷は、塗料またはインク液滴がプリントヘッドから印刷しようとする表面への途中でそれることを引き起こすので、これは化粧層を付与するための印刷プロセスに適している。このようにして塗料のコーティングが不正確になると、認識できるほどの印刷画像のブレを生じてしまう。
【0044】
静電荷を放電するための装置は、導電率≧1×10
3Sm
-1である導電性材料から成る少なくとも1つのローラ、ブラシ、またはリップを含んでいてもよく、この導電性材料は少なくとも印刷機構の領域でキャリアに接触し、かつ接地電位に接続されている。この場合、接地電位は例えば設置により設けることができる。さらに、静電荷を放電するための装置は、例えばコロナ放電を生じさせるための手段を含んでいてもよい。
【0045】
工程g)で、さらに場合により化粧物サブ表面をキャリアの少なくとも一部の上に付与してもよい。例えば、まず特に印刷プロセスのための下塗りを、装飾物サブ表面として例えば10μm以上(≧10μm)、60μm以下(≦60μm)の厚さで塗装してもよい。この場合、下塗りとして、ウレタンまたはウレタンアクリレートをベースとし、場合により光開始剤、反応性希釈剤、UV安定剤、増粘剤などのレオロジー剤、ラジカル捕捉剤、レベリング剤、消泡剤、または保存料、顔料、および/または染料のうちの1つまたは複数を含む、液体の放射線硬化性混合物を使用してもよい。例えば、反応性オリゴマーまたはプレポリマーの形態のウレタンアクリレートが下塗り組成物中に含まれていてもよい。
【0046】
本発明における「反応性オリゴマー」または「プレポリマー」とは、場合により反応性バインダーまたは反応性希釈剤をウレタンポリマーまたはウレタンアクリレートポリマーに添加して、放射線を照射することで、反応を生じることができる、ウレタンアクリレート単位を含む化合物である。
【0047】
本発明におけるウレタンアクリレートは、1つまたは複数の脂肪族構造要素およびウレタン基で本質的に構成される化合物である。脂肪族構造要素は、アルキレン基(好ましくは4〜10個の炭素原子を有するアルキレン基)とシクロアルキレン基(好ましくは6〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基)の両方を含む。アルキレン基およびシクロアルキレン基は共に、C
1〜C
4アルキル、特にメチルでモノ置換または多置換されていてもよく、1つまたは複数の隣接していない酸素原子を含んでいてもよい。脂肪族構造要素は、場合により、尿素基、ビウレット、ウレトジン、アロファネート、シアヌレート、ウレタン、エステル、もしくはアミド基を介して、またはエーテル酸素もしくはアミン窒素を介して互いに結合している第4級または第3級炭素原子である。さらに、本発明におけるウレタンアクリレートはエチレン性不飽和構造要素も含んでいてもよい。この場合、エチレン性不飽和構造要素は好ましくはビニルまたはアリル基であり、ビニルまたはアリル基はまたC
1〜C
4アルキル、特にメチルで置換されていてもよく、特にα、β−エチレン性不飽和カルボン酸またはそれらのアミドに由来するものである。特に好ましいエチレン性不飽和構造単位はアクリルアミドおよびメタクリルアミドなどのアクリロイルおよびメタクリロイル基であり、特にアクリルオキシおよびメタクリルオキシである。
【0048】
本発明における放射線硬化性とは、紫外線または電子線などの好適な波長を有する電磁波を照射することによって下塗り組成物が少なくとも一部重合可能であることをいう。
ウレタンアクリレートをベースとする放射線硬化性の下塗りを使用すると、下塗り層の塗布および放射線で誘起された硬化の直後に、例えばデジタル印刷技術によって、特に有利な方法で化粧物を付与できる。下塗り層により、下塗りで被覆されたキャリアの表面に、付与する化粧物を良好に接着させることが可能となる。
【0049】
本明細書においては、ウレタンアクリレートにはキャリア材料および化粧層(すなわち化粧物塗料またはインク)の両方に対して接着性が良好であるという利点がある。これはとりわけこのタイプのポリマーで起きる重合反応に基づくものであり、この反応では一方では放射線により誘起されるOH基のラジカル重合が生じ、他方ではNCO基によるポリマーの後硬化が生じる。このことは、放射線誘起硬化の後、直ちに不粘着性でさらなる加工が可能な表面が得られるが、その一方で、下塗り層の最終的な特性はNCO基に基づく後硬化によっても影響を受け、当該特性によってキャリア材料への確実な接着が生じることにつながる。
【0050】
また、後硬化が生じることによって、照射の少ないまたは照射されていないキャリアの領域であっても、十分な層の安定性が確実に得られる。したがって、本発明に係る化粧壁パネルまたは化粧床パネルの製造方法によれば、特に前もって構造化されたキャリア、すなわち表面に既に3次元構造を有するキャリアに、下塗り層を容易に設けることが可能になるので、その後に付与される化粧物を確実にキャリアにしっかりと接着結合させることができる。
【0051】
好ましくは、本発明に係る化粧壁パネルまたは化粧床パネルの製造方法では、下塗りはキャリアプレート上にゴムローラ、流し込み機を用いて、または噴霧によって塗装してもよい。好ましくは、下塗りは1g/m
2以上(≧1g/m
2)100g/m
2(≦100g/m
2)以下、好ましくは10g/m
2以上(≧10g/m
2)50g/m
2以下(≦50g/m
2)、特に20g/m
2以上(≧20g/m
2)40g/m
2以下(≦40g/m
2)の量で塗装する。キャリア表面上への下塗りの塗布に続いて、適切な波長の放射源を用いた照射が行われる。
【0052】
下塗りを使用することに加えて、化粧物をそれに対応する化粧物で印刷可能な化粧紙上に付与することが可能であり、当該化粧物は例えばあらかじめキャリアに付与された接着剤としての樹脂層を用いて設けてもよい。そのような印刷サブ表面はフレキソ印刷、オフセット印刷、またはスクリーン印刷法、並びに特にインクジェット法またはレーザー印刷法などのデジタル印刷技術に適している。
【0053】
樹脂層を付与するために、好ましくは樹脂成分としてメラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート、またはそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つの化合物を含む樹脂組成物を付与してもよい。
【0054】
樹脂組成物は、例えば、5g/m
2以上(≧5g/m
2)40g/m
2以下(≦40g/m
2)、好ましくは10g/m
2以上(≧10g/m
2)30g/m
2以下(≦30g/m
2)の被覆量で付与してもよい。さらに、30g/m
2以上(≧30g/m
2)80g/m
2以下(≦80g/m
2)、好ましくは40g/m
2以上(≧40g/m
2)70g/m
2以下(≦70g/m
2)の坪量を有する紙または不織布を板状のキャリアの上に付与してもよい。
【0055】
さらに、工程h)で、化粧テンプレートを再現した化粧物をキャリアの少なくとも一部の上に付与してもよい。この場合、化粧物はいわゆるダイレクト印刷により付与してもよい。本発明における「ダイレクト印刷」とは、パネルのキャリア上またはキャリアに付与された印刷されていない繊維材料層もしくは化粧物サブ表面の上に化粧物を直接付与することを意味する。
【0056】
ここで、フレキソ印刷、オフセット印刷、またはスクリーン印刷などの様々な印刷技術を使用してもよい。特にインクジェット法またはレーザー印刷法などのデジタル印刷技術を使用できる。
【0057】
例えば、特に緻密でかつ非常に正確な3次元の形態で化粧テンプレートを模倣または再現するために、化粧物はテンプレートと同一に付与することができる。特に、3次元化粧物データは、化粧テンプレートを電磁波によって、例えば、3次元スキャナー(3Dスキャナー)によって3次元的にスキャンすることによって得ることができる。ここで、3次元化粧物データに基づき、複数の化粧層を少なくとも部分的に表面付与量を変えて順次付与することができる。
【0058】
さらに、化粧層は特に放射線硬化性の塗料および/またはインクから形成されていてもよい。例えば、紫外線硬化性の塗料またはインクを使用できる。この実施形態においては、特に緻密で化粧テンプレートにぴったり一致する、化粧テンプレートの再現物を得ることができる。このように、別の寸法を生じることなく、一致した細孔を非常に正確に得ることができる。一致した細孔は、特に細孔または別のタイプの構造であってもよく、視覚的な化粧物の特徴と一致する触覚的パターニングによって細孔が視覚的に示されまた得られる場所に、空間的に正確に位置している。
【0059】
この実施形態においては、構造的デザインが塗料またはインクによって生じるので、実質的には自然とこのようになる。また、木質系材料などの化粧テンプレートでは多くの場合に、当該化粧テンプレートの幅または長さに沿ってだけでなく当該化粧テンプレートの深さに沿っても色の印象が変化する。この色の印象または色の勾配も、この実施形態では特に緻密に複製することができ、またパネルの全体の印象をより一層同一に見えるようにさせる。この場合、特に使用される塗料またはインクが放射線硬化性である場合に、特に急速に固化させることができるので、複数の層を迅速に連続して付与することができ、そのため短時間でプロセス全体を実施でき、特にコスト効率が高い。
【0060】
本発明における放射線硬化性塗料とは、バインダーおよび/またはフィラー並びに顔料を含有する組成物であって、紫外線または電子線などの好適な波長の電磁波により誘起されて少なくとも一部が重合することのできる組成物を意味する。
【0061】
本発明における放射線硬化性インクとは、実質的にフィラーを含まない着色顔料含有組成物であって、紫外線または電子線などの好適な波長の電磁波により誘起されて少なくとも一部が重合することのできる組成物を意味する。
【0062】
ここで、化粧層はそれぞれ5μm以上(≧5μm)10μm以下(≦10μm)の範囲の厚さで付与してもよい。
色および/またはテクスチャに関するポジ型画像に加えて、化粧テンプレートの対応するネガ型画像を付与することもできる。詳述すれば、周知のように、例えば、木質系材料のポジティブ染色またはネガティブ染色から、デジタルデータを使用することにより例えば木目の色の印象を反転することができるので、色に関して、または特により薄い領域およびより濃い領域に関してネガ型を得られる。色の印象に加えて、付与される構造においても対応する結果を得ることができるので、構造デザインに関してもネガ型を作製できる。そのような効果さえも、製造プロセスにおけるリードタイムまたは再調整を伴わずに、デジタル3次元に基づいて容易に組み込むことができる。
【0063】
工程i)で、保護層を化粧物の少なくとも一部の上に付与できる。そのような、付与された化粧物を保護するための層は、特に化粧層の上の装着層または最上層としてその後の工程で付与することができ、特に化粧層を塵、湿気、または機械的衝撃(摩耗など)により生じる摩耗または損傷から保護する。
【0064】
例えば、装着層および/または最上層をメラミンなどをベースとするあらかじめ作成しておいたオーバーレイ層として、印刷されたキャリアの上に載置し、圧力および/または熱の影響によりそこに接着してもよい。さらに、装着層および/または最上層の形成において、放射線硬化性ラッカー(例えばアクリル系ラッカー)などの放射線硬化性組成物を塗布することも好ましい場合がある。
【0065】
本明細書においては、層の耐摩耗性を高めるために、装着層は、窒化チタン、炭化チタン、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化タンタル、アルミナ(コランダム)、ジルコニア、またはそれらの混合物などの硬質材料を含んでいてもよい。この場合、塗布は例えばゴムローラなどのローラ、または流し込み装置によって実施してもよい。
【0066】
さらに、まず最上層を部分的に硬化させることができ、その後ウレタンアクリレートを用いた最終的な被覆プロセスとガリウム発光体などを使用した最終的な硬化プロセスとを実施することができる。
【0067】
さらに、最上層および/または装着層は、最終的な積層物の静的(静電的)帯電を低減するための薬剤を含んでいてもよい。
この目的のために、例えば、最上層および/または装着層は塩化コリンなどの化合物を含んでいてもよい。静電防止剤は、例えば、最上層および/または装着層を形成するための組成物中に0.1wt.%以上(≧0.1wt.%)40.0wt.%以下(≦40.0wt.%)、好ましくは1.0wt.%以上(≧1.0wt.%)30.0wt.%以下(≦30.0wt.%)の濃度で含有されていてもよい。
【0068】
さらに、工程j)で、保護層においてまたは装着層もしくは最上層において、細孔を導入することにより、構造化、特に化粧物とマッチする表面構造を形成してもよい。
本明細書においては、キャリアプレートが既に構造を有していてもよく、光学的方法によって検出されるキャリアプレートの構造に応じて、化粧物を付与するための印刷ツールおよびキャリアプレートのアライメントを互いに対して実施してもよい。
【0069】
印刷ツールおよびキャリアプレートのアライメントを互いに対して行うために、キャリアプレートを移動させるまたは印刷ツールを移動させることによって、アライメントプロセスに必要な印刷ツールとキャリアプレートの間の相対的な移動を行ってもよい。さらに、最上層および/または装着層を付与した後、化粧パネルの構造化を実施してもよい。この目的のために、最上層および/または装着層として硬化性組成物を付与することが好ましい場合があり、単に最上層および/または装着層の部分的硬化のみが起こる程度に硬化プロセスを行う。
【0070】
このように部分的に硬化させた層において、硬質の金属構造ローラまたはダイなどの好適なツールを用いて所望の表面構造を浮き彫りにする。付与された化粧物に応じてエンボス加工プロセスを行う。導入しようとする構造と化粧物とを確実に十分にマッチさせるために、対応する相対的な移動によってキャリアプレートおよびエンボス加工ツールを互いに対してアライメントしてもよい。部分的に硬化させた最上層および/または装着層に所望の構造を導入した後、ちょうど構造化されたばかりの最上層および/または装着層のさらなる硬化プロセスを実施する。
【0071】
多くの場合、そのような装着層または最上層において、化粧物と一致する化粧表面構造が採用されることが考えられる。表面構造が化粧物と一致するということは、化粧パネルの表面が触覚的に知覚可能な構造を有しており、当該構造が、触覚に関してさえも可能な限りオリジナルに近い天然材料の再現物を得るために、当該構造の形状およびパターンに関して、付与された化粧物に対応していることを意味する。
【0072】
また、化粧物面と反対側の面に裏張り層を付与することができる。本明細書においては、紙または不織布を化粧物面上に付与すると共に、裏張り層を一般的なカレンダー加工工程において付与することが特に好ましい。
【0073】
代わりにまたはさらに、特に解除可能な接続要素を設けるために、パネルの縁領域を構造化するまたはパネルの縁領域に形状を与えることができる。この点に関して、本発明におけるプロファイリングにおいては、適切な材料除去ツールによって化粧プロファイルおよび/または機能性プロファイルを少なくとも化粧パネルの縁部の一部に導入してもよい。
【0074】
本明細書において、機能性プロファイルは、例えば、導入されたプロファイルによって化粧パネルを互いに接続可能にするためにグルーブ(溝)および/またはタング(舌状)プロファイルを導入することを意味する。特にグルーブおよび/またはタングプロファイルを用いると、弾性材料のみによって扱いやすく安定であるプロファイルを製造できるので、弾性材料が有利である。したがって、特に、接続要素を製造するためにさらなる材料を必要としない。
【0075】
上記化粧壁パネルまたは化粧床パネルの製造方法によれば、化粧壁パネルまたは化粧床パネルの製造を改善することができる。
特に、キャリア材料は任意に選択でき、特に製造するパネルにとって特に有利である特性を有し得るキャリア材料を使用できる。例えば、外観および安定性に関して最大限の要求を満たすことができる、特に高品質のパネルを製造できる。そのため、製造を特に効果的でコスト効率の高いものにすることができる。
【0076】
化粧壁パネルおよび化粧床パネルの製造方法に適用可能な、キャリアの製造方法は、従来技術においてキャリアの供給速度またはパネルを製造するための搬送手段の供給速度として知られるライン速度を大幅に上回ってライン速度を特に速くできるので、本発明に係る化粧壁パネルおよび化粧床パネルの製造方法では特に有利である場合がある。本明細書において、二重ベルトプレスを使用することによって15m/minまでのライン速度を得ることができ、この点において困難な材料であっても6m/min以上とすることができる。
【0077】
さらに、上記の2段階圧縮プロセスを用いることで、特にパネルのキャリア材料において非常に正確な厚みを達成することができ、例えば0.1mm以下の範囲内の厚み公差を達成することができる。したがって、上記方法で製造されるキャリアは、特に均一な組成に加えて特に均一な厚さをさらに備えることができ、特に一定で再現性のある製品、ひいては特に高い品質を得ることができる。
【0078】
さらに、特に上記の方法によれば非常に安定なキャリアを製造することができ、当該キャリアの安定性に関してさらに改善できることを見出した。
一実施形態によれば、プラスチックまたは木材プラスチック複合材料(WPC)をベースとするキャリア材料を提供できる。例えば、キャリアプレートは熱可塑性プラスチック材料、弾性プラスチック材料またはデュロプラスチック材料から形成されていてもよい。また、上記の材料に由来するリサイクル材料を本発明に係る化粧壁パネルおよび化粧床パネルの製造方法で使用できる。
【0079】
ここでは、プレート材料として特に、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン(例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリウレタン(PU)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))、またはそれらの混合物もしくはコポリマーなどの熱可塑性プラスチックが好ましい場合がある。
【0080】
この場合、キャリアのキャリア材料を問わずに、例えば、可塑剤は0wt.%を超えて(>0wt.%)20wt.%以下(≦20wt.%)、特に10wt.%以下(≦10wt.%)、好ましくは7wt.%以下(≦7wt.%)、例えば5wt.%以上(5wt.%)10wt.%以下(≦10wt.%)の範囲であってもよい。
【0081】
適切な可塑剤には、例えば「Dinsch」の商品名でBASF社から販売される可塑剤が含まれる。さらに、従来の可塑剤の代替として、アクリレートまたはメタクリレートなどのコポリマーを準備してもよい。さらに、この実施形態における二重ベルトプレス内または二重ベルトプレスの上流で、プラスチック成分の融点を下回る温度までキャリアを冷却することができる。
【0082】
特に、熱可塑性プラスチックは、当該熱可塑性プラスチックから作られた製品を容易に再生利用できるという利点がある。他の原料に由来するリサイクル材料を使用することも可能である。このことは製造コストを削減するさらなる可能性を与える。
【0083】
そのようなキャリアは非常に弾性(elastic)または弾力性(resilient)があり、歩いたときに快適であると感じることができ、従来の材料と比較して歩いているときに発生する騒音を低減することもできるので、足音の防音を改善することができる。
【0084】
また、上記のキャリアは、膨張度が1%以下であるので、耐水性が良好であるという利点を有する。以下に詳細に説明するように、このことは、驚くことに純粋なプラスチックキャリアの他にWPC材料にも当てはまる。
【0085】
特に有利な方法においては、キャリア材料は木材ポリマー材料(木材プラスチック複合材、WPC)を含むかまたはそれのみから成っていてもよい。ここで、例えば、木材およびポリマーが好適であり得、それらは40/60〜70/30、例えば50/50などの比で存在していてもよい。ポリマー成分としてはポリプロピレン、ポリエチレン、または上記の2つの材料のコポリマーを使用でき、さらに木粉を木質成分として使用してもよい。
【0086】
そのような材料は、上記のプロセスにおいて180℃以上(≧180℃)200℃以下(≦200℃)の範囲などの低温で既にキャリアに成形できるという利点を有するので、例えば6m/minの範囲のライン速度で、特に効果的にプロセスを制御することが可能である。例えば、木材およびポリマー成分の比率が50/50であるWPC製品に関しては、例えば製品厚さを4.1mmとすることが可能であり、これにより特に効果的な製造プロセスが可能になる。
【0087】
さらに、このように非常に安定なパネルを製造でき、さらに当該パネルは高い弾性を有する。このことは、キャリアの縁領域において接続要素を効果的でコスト効率の高い構成とすること、さらには足音の防音に関して特に有利である場合がある。さらに、そのようなWPC材料では、膨張度が1%未満という上記の良好な水分許容度が可能となる。本明細書において、WPC材料は、例えば、好ましくはプラスチック成分中に存在していてもよい安定化剤および/または他の添加剤を含んでいてもよい。
【0088】
さらに、キャリア材料がPVC系材料を含むかまたはそれのみから成ると特に有利となり得る。そのような材料でも、ウェットルーム内で問題なく使用できる高品質パネルに特に有利な形で使用できる。さらに、PVC系キャリア材料はまた、このプロセスで例えば4.1mmの製品厚みにおいてライン速度を8m/minとすることが可能であるので、特に効果的な製造プロセスに提供される。
【0089】
これにより特に効果的な製造プロセスが可能になる。さらに、そのようなキャリアであっても弾性および水分許容度において有利であり、これにより上記利点をもたらすことができる。
【0090】
プラスチック系パネル並びにWPC系パネルにおいては、無機フィラーが有利である場合がある。ここでは、タルクまたは炭酸カルシウム(チョーク)、酸化アルミニウム、シリカゲル、ケイ砂粉末、木粉、および石膏が特に好適である。例えば、チョークは30wt.%以上(≧30wt.%)70wt.%以下(≦70wt.%)の範囲で添加してもよく、フィラーによって、特にチョークによって、特にキャリアの滑りを改善することができる。さらに、それらは公知の方法で着色することができる。特に、プレート材料は難燃剤を含むことができる。
【0091】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、キャリア材料はPE/PPブロック共重合体および木材の混合物のみから成る。本明細書においては、PE/PPブロック共重合体の割合および木材の割合は45wt%以上(≧45wt%)55wt%以下(≦55wt%)の範囲であってもよい。さらに、キャリア材料は0wt%以上(≧0wt%)10wt%以下(≦10wt%)の他の添加剤、例えば流動剤、熱安定剤、またはUV安定剤などを含んでいてもよい。
【0092】
ここで、木材の粒径は0μmを超えて(>0μm)600μm以下(≦600μm)であり、好ましい粒径分布はD50≧400μmである。特に、キャリア材料は粒径分布がD10≧400μmである木材を含んでいてもよい。粒径分布は体積径に基づくものであって、粒子の体積に言及するものである。
【0093】
特に好ましくは、キャリア材料は、特定の粒径分布を有する、PE/PPブロック共重合体および木材粒子の粒子状またはペレット状予備押出混合物として供給される。ここで、顆粒および/またはペレットの粒径は、好ましくは400μm以上(≧400μm)10mm以下(≦10mm)、好ましくは600μm以上(≧600μm)10mm以下(≦10mm)、特に800μm以上(≧800μm)10mm以下(≦10mm)の範囲とすることができる。
【0094】
例えば、キャリア材料は粒状物の形態で存在していてもよく、円筒形であってもよい。さらに、形状に関わらず、粒子、例えば円筒形の粒子は、直径が2〜3mmの範囲、例えば2または3mmなど、長さが2〜9mm、例えば2〜7mmまたは5〜9mmなどであってもよい。
【0095】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、キャリア材料はPE/PPポリマーブレンドおよび木材の混合物のみから成る。ここで、PE/PPポリマーブレンドの割合並びに木材の割合は45wt%以上(≧45wt%)55wt%以下(≦55wt%)の範囲にあってもよい。さらに、キャリア材料は0wt%以上(≧0wt%)10wt%以下(≦10wt%)の他の添加剤、例えば流動剤、熱安定剤、またはUV安定剤などを含んでいてもよい。ここで、木材の粒径は0μmを超えて(>0μm)600μm≦600μmであり、好ましい粒径分布はD50≧400μmである。特に、キャリア材料は粒径分布がD10≧400μmである木材を含んでいてもよい。
【0096】
粒径分布は体積径に基づくものであって、粒子の体積に言及するものである。特に好ましくは、キャリア材料は、特定の粒径分布を有する、PE/PPポリマーブレンドおよび木材粒子の粒子状またはペレット状予備押出混合物として供給される。ここで、顆粒および/またはペレットの粒径は、好ましくは400μm以上(≧400μm)10mm以下(≦10mm)、好ましくは600μm(≧600μm)10mm以下(≦10mm)、特に800μm以上(≧800μm)10mm以下(≦10mm)の範囲とすることができる。
【0097】
本発明のさらなる実施形態において、キャリア材料はPPホモポリマーおよび木材の混合物のみから成る。PPホモポリマーの割合および木材の割合は45wt%以上(≧45wt%)55wt%以下(≦55wt%)の範囲にあってもよい。例えば、構成成分の木材およびポリプロピレンは0.5:1〜1:0.5、例えば1:1などの比で存在していてもよい。さらに、キャリア材料は0wt%以上(≧0wt%)10wt%以下(≦10wt%)の他の添加剤、例えば流動剤、熱安定剤、またはUV安定剤などを含んでいてもよい。
【0098】
ここで、木材の粒径は0μmを超えて(>0μm)600μm以下(≦600μm)であり、好ましい粒径分布はD50≧400μmである。特に、キャリア材料は粒径分布がD10≧400μmである木材を含んでいてもよい。粒径分布は体積径に基づくものであって、粒子の体積に言及するものである。特に好ましくは、キャリア材料は、特定の粒径分布を有する、PPホモポリマーおよび木材粒子の粒子状またはペレット状予備押出混合物として供給される。顆粒および/またはペレットの粒径は、好ましくは400μm以上(≧400μm)10mm以下(≦10mm)、好ましくは600μm以上(≧600μm)10mm以下(≦10mm)、特に800μm以上(≧800μm)10nm(≦10mm)の範囲とすることができる。
【0099】
本発明の別の実施形態において、キャリア材料はPVCポリマーおよびチョークの混合物のみから成る。本明細書においては、PVCポリマーの割合およびチョークの割合は45wt%以上(≧45wt%)55wt%以下(≦55wt%)の範囲にあってもよい。さらに、キャリア材料は0wt%以上(≧0wt%)10wt%以下(≦10wt%)の他の添加剤、例えば流動剤、熱安定剤、またはUV安定剤などを含んでいてもよい。チョークの粒径は0μmを超えて(>0μm)1000μm以下(≦1000μm)、例えば800μm以上(≧800μm)1000μm以下(≦1000μm)であり、好ましい粒径分布はD50≧400μm、例えば≧600μmである。
【0100】
特に、キャリア材料は粒径分布がD10≧400μm、例えば≧600μmであるチョークを含んでいてもよい。粒径分布は体積径に基づくものであって、粒子の体積に言及するものである。特に好ましくは、キャリア材料は、特定の粒径分布を有する、PVCポリマーとチョークの粒子状またはペレット状予備押出混合物として提供される。顆粒および/またはペレットの粒径は好ましくは400μm以上(≧400μm)10mm以下(≦10mm)、好ましくは600μm以上(≧600μm)10mm以下(≦10mm)、特に800μm以上(≧800μm)10mm以下(≦10mm)、例えば1000μm以上(≧1000μm)10mm以下(≦10mm)の範囲とすることができる。
【0101】
本発明のさらなる実施形態において、キャリア材料はPVCポリマーと木材の混合物のみから成る。本明細書においては、PVCポリマーの割合および木材の割合は45wt%以上(≧45wt%)55wt%以下(≦55wt%)の範囲にあってもよい。さらに、キャリア材料は0wt%以上(≧0wt%)10wt%以下(≦10wt%)の他の添加剤、例えば流動剤、熱安定剤、またはUV安定剤などを含んでいてもよい。
【0102】
木材の粒径は0μmを超えて(>0μm)1000μm以下(≦1000μm)、例えば800μm以上(≧800μm)1000μm以下(≦1000μm)などであり、好ましい粒径分布はD50≧400μm、例えば≧600μmなどである。特に、キャリア材料は粒径分布がD10≧400μm、例えば≧600μmである木材を含んでいてもよい。粒径分布は体積径に基づくものであって、粒子の体積に言及するものである。特に好ましくは、キャリア材料は、特定の粒径分布を有する、PVCポリマーおよび木材粒子の粒子状またはペレット状予備押出混合物として供給される。顆粒および/またはペレットの粒径は好ましくは400μm以上(≧400μm)10mm以下(≦10mm)、好ましくは600μm以上(≧600μm)10mm以下(≦10mm)、特に800μm以上(≧800μm)10mm以下(≦10mm)、例えば1000μm以上(≧1000μm)10mm以下(≦10mm)の範囲とすることができる。
【0103】
粒径分布の決定には、レーザー回折法などの公知の方法を使用でき、それによって数ナノメートルから数ミリメートルまでの範囲の粒径を決定できる。この方法を使用してD50またはD10値も決定でき、それによれば測定される粒子のそれぞれ50%および10%は特定の値よりも小さい。
【0104】
別の実施形態によれば、キャリア材料は中空ミクロスフィアを含んでいてもよい。この種の添加剤は特にキャリアの密度ひいては製造されるパネルの密度を大幅に減少させることができるので、特に簡便でコスト効率高く輸送することおよび非常に快適に取り付けることもできる。本明細書においては、特に中空ミクロスフィアを挿入することによって、製造されるパネルの安定性を確保でき、当該安定性は中空ミクロスフィアを含まない材料と比較して著しく低下しない。したがって、たいていの用途において十分に安定である。本明細書においては、中空ミクロスフィアは、特に、中空基体を有しサイズまたは最大直径がマイクロメートルの範囲にある構造体として理解できる。
【0105】
例えば、使用に適した中空球の直径は5μm以上(≧5μm)100μm以下(≦100μm)、例えば20μm以上(≧20μm)50μm以下(≦50μm)などの範囲となり得る。中空ミクロスフィアの材料としては、基本的に、ガラスまたはセラミックなど、任意の材料が考慮される。さらに、重量の点から、キャリア材料で使用されるプラスチックなどのプラスチック、例えばPVC、PE、またはPPなどが有利である場合があり、これらは場合により好適な添加剤によって製造プロセス中に変形するのを防ぐことができる。
【0106】
さらなる実施形態によれば、ベルト状搬送手段は少なくとも一部が構造化されていてもよい。構造化された搬送手段を使用することで、同様に構造化されたキャリアを製造することができる。そのため、例えば複製される天然産物を反映し得る、例えば細孔を含んでいてもよい。このようにするとその後のパネルの製造プロセスにおいて任意のさらなる構造化を省略することができ、これによりその後の加工工程を特に簡便、迅速で、かつコスト効率が高いものとすることができる。
【0107】
また、この実施形態における構造または細孔はウェブ状キャリアの成形と共に1つの工程で実現できるので、細孔を形成するためのさらなる工程を省略できる。さらに、形成された構造は、既にキャリア中ひいてはパネルのコア中に存在しているため、極度の応力下であっても特に安定で耐久性がある。
【0108】
このようにキャリアを形成するときのガス抜きを改善できるので、搬送手段のベルトは、構造を導入することに加えて、一定の粗さを備えさせることもできる。本明細書においては、例えば、上側および下側のベルトにおいて異なる表面粗さを適用してもよく、下側のベルトの粗さ深度は上側のベルトまたはベルト状搬送手段の粗さ深度よりも大きくてもよい。例えば、下側のベルトおよび/または上側のベルトの粗さ深度は0以上(≧0)25μm以下(≦25μm)の範囲であってもよい。
【0109】
さらなる実施形態によれば、2本のベルト状搬送手段間におけるキャリア材料の配置を検証するセンサーを設けてもよい。特に、センサーは下側のベルト状搬送手段上のキャリア材料の配置を検出することができる。例えば、成膜された材料の坪量ひいては成膜された材料の均質性を検証する、特にX線に基づくセンサーを設けてもよい。
【0110】
好ましくは、センサーは不良である成膜に対してすぐに対応できるように散布ユニットへのフィードバックを備えていてもよい。本明細書において、不要なX線の漏出を防ぐためにセンサーを個別の保護シートによって遮蔽してもよい。さらに、センサーを保護してセンサーの寿命を延ばすために冷却系を設けてもよい。
【0111】
さらなる実施形態によれば、繊維材料をキャリアに組み込んでもよい。繊維材料は特に、工程b)でキャリアに組み込んでもよい。この実施形態では、繊維材料、特に繊維材料ウェブをコイル上に巻き付け、繊維材料を巻出用巻出しステーションにより巻出し、繊維材料を挿入するために2本のベルト状搬送手段の間に供給してもよい。
【0112】
例えば、この実施形態ではガラス繊維マットを使用できる。この実施形態では、繊維材料を組み込むことによってキャリアの強度を大幅に増大できるので、強度または安定性が特に高いキャリアを製造できる。さらに、この実施形態では、例えば既に詳述したように複数の散布ユニットを設けることによって、キャリア材料を例えばマットまたは不織布の上下で所望のとおりに調整できるので、キャリアを特に調整することができる。さらに、複数の繊維材料ウェブを準備すればなお一層良好に調整することに対する解決策となり、その場合キャリア材料は、所望のように変化または調整してもよい。
【0113】
さらなる実施形態によれば、温度勾配を工程c)で設定することができる。温度勾配は特にキャリア材料の運搬方向に沿って設定することができる。この実施形態では、この工程により、特に高品質である製品を得ることができ、さらにはライン速度を特に速くできる。
【0114】
詳述すれば、運搬方向に沿った温度勾配を利用して、例えば、特に急速に昇温でき、ライン速度を早くすることができる。これは例えば、運搬方向の第1領域または主要領域の温度を比較的高くすることで実現できる。本明細書においては、さらに、キャリア材料への高温になりすぎる衝撃を防ぐことができ、これにより損傷を防ぎ品質を特に高くできる。
【0115】
さらに、キャリア材料を加熱しているときの脱ガスを改善および促進することができ、これによりライン速度を速くでき、かつガス混入を防止することによって安定性および品質を特に高くすることもできる。これは特に運搬方向と垂直な方向の温度勾配によって促進することができる。後者の場合、特に、キャリア材料の下の領域をキャリア材料の上の領域よりも高い温度まで加熱してもよい。ここで、例えば、50℃の範囲内の温度勾配が有利となる。
【0116】
さらなる実施形態によれば、工程c)は2つの板状の成形手段を使用して実施してもよい。この実施形態ではライン速度が速くても、加工時間を特に長くでき、かつ、キャリアを成形できる。これによりキャリアを特に一定に成形できる。特にこの実施形態では、キャリア材料と板状の成形手段との接触時間が長く、それに応じて板状の成形手段を加熱可能にすることができるので、ライン速度が速くてもキャリア材料を所望かつ必要な温度まで容易に加熱できる。また、この実施形態によれば特に容易かつ効果的に温度プロファイルを形成できる。
【0117】
さらなる実施形態によれば、工程d)はS型ローラを使用してもよい。S型ローラを圧縮ユニットとして使用することによって、速いライン速度であっても簡便で安価な手段を用いた所定の方法で、所望するように圧縮できる。所望する結果に対応して、かつ、それに応じて好適な力を生じさせるために、ローラは例えば通過するキャリア材料と垂直の方向にシフト可能であってもよい。
【0118】
本明細書において、S型ローラは例えば1本のローラのみを備えていてもよく、当該ローラによりベルト状搬送手段のベルト張力によって生じる対向力との組合せでのみ力が加わる。あるいは、1つまたは複数の対向ローラを備えてもよく、当該対向ローラにより対応する対向力が加わる。本発明におけるS型ローラは、当業者に周知のように、キャリアがS字型の経路で通過するように配置されているローラを意味し、図を参照して以下で詳細に説明される。
【0119】
さらなる実施形態によれば、工程e)においてキャリアを0%を超えて(>0%)7%以下(≦7%)、好ましくは0%を超えて(>0%)5%以下(≦5%)圧縮してもよい。したがって、この実施形態では、工程e)は表面品質の均質化または設定に実質的に適合させることができるので、工程e)でわずかに圧縮することで特に滑らかな表面を得ることができる。
【0120】
したがって、プレス(特に二重ベルトプレス)の設定全体を平滑化のために最適化してもよく、過度に圧縮する必要がないので、処理量が多いにもかかわらず特に良好である表面外観を得ることができる。
【0121】
さらなる実施形態によれば、工程e)の後、特に工程e)の直後、および/または、例えばキャリア上にさらなる層を付与する前に、キャリア中に存在するプラスチック材料の結晶化温度を超える温度までキャリアを加熱してもよい。その後キャリアを再び結晶化温度を下回る温度、例えば室温(22℃)まで冷却してもよい。
【0122】
特に、キャリアの処理後に圧力の影響下で二重ベルトプレスを使用することによって、キャリア材料中に含有されるプラスチック材料の結晶化温度を超える温度まで、場合により水分制御材料のフィルムのプラスチック材料の結晶化温度を超える温度までキャリアを再び加熱すると、キャリアの特性をさらに一層改善することができる。
【0123】
例えば、キャリアは特にその機械的耐性、および/または耐熱性、および/または耐化学薬品性に関して、安定性を改善させることができる。したがって、キャリアの品質をさらに改善させることができる。
【0124】
この実施形態は、キャリア材料中またはポリエチレンもしくはポリプロピレンなどのフィルム中に部分結晶性および/または熱可塑性ポリマーが存在する場合に特に適用可能である。本発明における結晶化温度は特に、その後の冷却中に結晶を形成させるために、ポリマーを加熱しなければならない温度である。
【0125】
特に、結晶の形成は、ポリマーの冷却中に融解温度を下回る場合によりガラス転移温度を上回る温度で開始する。相応して、それぞれのプラスチック材料の融解温度を下回る温度までまたは融解温度を下回る温度まで加熱すれば十分である。直鎖ポリエチレン(LLDPE)の場合は、例えば、100℃〜150℃の範囲の温度まで、例えば120℃まで加熱すれば十分である。ポリプロピレンの場合は、例えば、160℃〜200℃の範囲の温度まで、例えば180℃まで加熱すれば十分である。
【0126】
対応する加熱プロセスの持続時間は、したがって、キャリアの厚さおよび当業者に明らかな方法で設定される温度から、キャリアの移動スピードに応じて決めてもよい。
この化粧壁パネルまたは化粧床パネルの製造方法のさらなる技術的特徴および利点に関して、化粧壁パネルまたは化粧床パネルの説明、並びに図に明示的に言及することとする。
【0127】
さらに、本発明は、上記のように構成された化粧壁パネルまたは化粧床パネルの製造方法を実施するための手段を含むことを特徴とする、化粧壁パネルまたは化粧床パネルの製造装置に関する。
【0128】
対応する手段の提供およびその利点に関して、化粧壁パネルまたは化粧床パネルの製造方法、化粧壁パネルまたは化粧床パネルの説明、並びに図に明示的に言及することとする。
【0129】
さらに、本発明は、板状のキャリアが少なくとも縁領域にプロファイルを含む、上記化粧壁パネルまたは化粧床パネルの製造方法で製造される化粧壁パネルまたは化粧床パネルに関する。
【0130】
本発明におけるプロファイリングにおいては、好適な切断ツールを用いて少なくとも化粧パネルの縁部の一部に化粧プロファイルおよび/または機能性プロファイルを形成する。
【0131】
本明細書において、機能性プロファイルとは、例えば、形成されたプロファイルによって化粧パネルを互いに接続できるようにするために、縁部に形成されるグルーブおよび/またはタングプロファイルをいう。
【0132】
本発明における化粧プロファイルとしては、例えばいわゆるワイドプランクなどにおける、相互に連結された2枚のパネル間の接合部を模するために、化粧パネルの縁領域に形成される面取り部が挙げられる。
【0133】
化粧パネルを部分的にプロファイリングすることによって、完成パネルに設けられるすべてのプロファイルが形成されるわけではなく、一部のプロファイルが形成されるのみである。その他のプロファイルはその後の工程で形成される。したがって、例えば、パネルに設けられる面取り部などの化粧プロファイルをある工程で形成し、その一方で機能性プロファイル(例えばグルーブ/タング)をその後の工程で形成してもよい。
【0134】
例えばダイレクト印刷などの上記の方法によって、キャリアの少なくとも一部をプロファイリングした後に化粧物を付与することによって、プロファイリングプロセスにおける化粧物の摩耗または損傷を有利に回避できる。したがって、プロファイル領域の化粧物も詳細には所望の模倣物、例えば天然材料の模倣物に一致する。
【0135】
プロファイリング領域であっても特に緻密な模倣物を提供するために、印刷プロセスで使用されるマスターはパネルのプロファイル領域において矯正が施されてゆがんだ形であってもよい。
【0136】
本発明におけるひずみ補正とは、例えば印刷プロセスによって印刷するケースに関すれば、例えば面取り縁部におけるキャリアの表面(平面)からのプロフィリングのずれによって生じる印刷画像のゆがみを、ずれにマスターを適合させることによって補正することをいう。
【0137】
本明細書において、ひずみ補正は、例えば、完成化粧パネルにおいて意図する縁部プロファイルに応じて、画素間隔、画素サイズ、および/またはインク塗布を適合させることによって実施してもよい。
【0138】
本明細書において、デジタル印刷で印刷する場合には、補正するひずみに応じてプリントヘッドを駆動させることができるので、プリントヘッドを例えばプロファイリング領域を越えるようにそらして、インクの放出をプロファイルに適合させる。
【0139】
ここで、例えば、大型プレートとして準備したキャリアに化粧層を付与する前に、最終パネル積層体に備えつけるジョイント(Vジョイントなど)をキャリアの形状にし、そのようにプロファイリングしたキャリア上に少なくとも化粧層を付与し、その後少なくともプロファイリング領域でキャリアを切断することができる。
【0140】
本明細書においては、鋸、レーザーまたはウォータージェット切断などの切断方法に応じて、形成するプロファイルにおいて必要な裁ち切りにおける遊びを考慮することが好ましい。
【0141】
例えば、板状のキャリアはWPC材料またはPVC材料をベースとする材料を含んでいてもよい。正確な組成およびそれによる利点に関しては、この化粧壁パネルまたは化粧床パネルの製造方法の上記の説明に明示的に言及することとする。
【0142】
例えば、キャリア材料は、粒径が0μm以上(≧0)1000μm以下(≦1000μm)、例えば80μm以上(≧800)1000μm以下(≦1000μm)などであり、粒径分布D50が≧400μm、好ましくは粒径分布D10が≧400μm、例えば粒径分布D50が≧600μmなど、好ましくは粒径分布D10が≧600μmである、木材および/またはチョークを含んでいてもよい。
【0143】
化粧壁パネルまたは化粧床パネルのさらなる技術的特徴および利点に関しては、本明細書において化粧壁パネルまたは化粧床パネルの製造方法の説明、並びに図に明示的に言及することとする。
【0144】
以下において、図および例示的な実施形態を参照して本発明について詳細に説明する。