(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズ部の周囲に配置されるオートフォーカス用コイル部と、前記オートフォーカス用コイル部に対して径方向に離間して配置されるオートフォーカス用マグネット部とを有し、前記オートフォーカス用コイル部と前記オートフォーカス用マグネット部とで構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して、前記オートフォーカス用コイル部及び前記オートフォーカス用マグネット部の何れか一方を含むオートフォーカス固定部に対して、前記オートフォーカス用コイル部及び前記オートフォーカス用マグネット部の何れか他方を含むオートフォーカス可動部を光軸方向に移動させることにより自動的にピント合わせを行うレンズ駆動装置であって、
前記オートフォーカス可動部に対して光軸方向結像側に離間して配置され、前記オートフォーカス可動部に向けて光を出射するとともに、前記オートフォーカス可動部で反射した反射光を受光して、受光強度に基づいて前記オートフォーカス可動部の光軸方向の位置を検出する位置検出部と、
前記オートフォーカス可動部の下面に配置され、前記オートフォーカス可動部を前記オートフォーカス固定部に対して弾性支持する下側弾性支持部と、
を備え、
前記オートフォーカス可動部とともに前記光軸方向に変位する、前記下側弾性支持部の前記オートフォーカス可動部に固定される固定部位が、前記位置検出部から出射された光を反射する反射板として機能することを特徴とするレンズ駆動装置。
【背景技術】
【0002】
一般に、スマートフォン等の携帯端末には、小型のカメラモジュールが搭載されている。このようなカメラモジュールには、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うオートフォーカス機能(以下「AF機能」と称する、AF:Auto Focus)を有するレンズ駆動装置が適用される。
【0003】
オートフォーカス用のレンズ駆動装置は、レンズ部を光軸方向に移動させるためのオートフォーカス用駆動部(以下「AF用駆動部」と称する)を備える。AF用駆動部は、例えばレンズ部の周囲に配置されるオートフォーカス用コイル部(以下「AF用コイル部」と称する)と、AF用コイル部に対して径方向に離間して配置されるオートフォーカス用マグネット部(以下「AF用マグネット部」と称する)とを有する。AF用コイル部とAF用マグネット部とで構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して、AF用マグネット部を含むオートフォーカス固定部(以下「AF固定部」と称する)に対してレンズ部及びAF用コイル部を含むオートフォーカス可動部(以下「AF可動部」と称する)を光軸方向に移動させることにより、自動的にピント合わせが行われる。
【0004】
従来は、例えばレンズ部を移動させながらイメージセンサーで取得される複数の画像情報を解析し、コントラスト評価を行うことによって合焦位置を調整する手法が採用されている。しかし、この手法では、ピント合わせに時間がかかり、撮影までの時間が長くなる。
【0005】
そこで、昨今では、カメラモジュールに搭載した位置検出装置でレンズ位置を常に検出し、この検出結果に基づいてAF用駆動部(ボイスコイルモーター)の動作を制御する方式が増えつつある(いわゆるクローズドループ制御方式)。レンズ位置を検出する方式としては、ホール素子を用いて磁界の変化を元に検出する方式と、受光部に入射する光の変化を元に検出する光学センサー(例えば反射型フォトリフレクタ)を用いる方式がある(例えば特許文献1)。
【0006】
反射型フォトリフレクタは、1つの半導体パッケージ内に発光部と受光部を有し、発光部から出射された光(例えば赤外線)を検出対象の物体で反射させ、受光部に入射する反射光の強度から検出対象の位置を検出する光学センサーである。この反射型フォトリフレクタを利用してAF固定部に対するAF可動部の位置を検出する場合、AF固定部に反射型フォトリフレクタを実装し、AF可動部に反射板(例えばアルミミラー)を配置する必要がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュールAを搭載するスマートフォンM(カメラ搭載装置)を示す図である。
図1AはスマートフォンMの正面図であり、
図1BはスマートフォンMの背面図である。
【0016】
スマートフォンMは、例えば背面カメラOCとして、カメラモジュールAを搭載する。カメラモジュールAは、オートフォーカス機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行う。
【0017】
図2は、カメラモジュールAの外観斜視図である。
図3は、カメラモジュールAの分解斜視図である。
図2、
図3に示すように、本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。カメラモジュールAは、スマートフォンMで実際に撮影が行われる場合に、X方向が上下方向(又は左右方向)、Y方向が左右方向(又は上下方向)、Z方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z方向が光軸方向であり、図中上側が光軸方向受光側(「マクロ位置側)ともいう)、下側が光軸方向結像側(「無限遠位置側」ともいう)となる。
【0018】
カメラモジュールAは、円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されてなるレンズ部(図示略)、オートフォーカス用のレンズ駆動装置1、及び全体を覆うシールドカバー2等を備える。
【0019】
シールドカバー2は、光軸方向から見た平面視で正方形状の有蓋四角筒体であり、上面に円形の開口2aを有する。この開口2aからレンズ部(図示略)が外部に臨む。シールドカバー2は、レンズ駆動装置1のベース部材21(
図6参照)に固定される。シールドカバー2は、ベース部材21の端子金具(図示略)を介してイメージセンサー基板22(
図6参照)に電気的に接続され、接地される。シールドカバー2によって、EMCノイズを遮断することができる。
【0020】
図4は、レンズ駆動装置1の分解斜視図である。
図4に示すように、レンズ駆動装置1は、AF用駆動部10、ベース部20、及び支持部材30等を備える。
【0021】
AF用駆動部10は、ベース部20に対して光軸方向受光側に離間して配置され、支持部材30によってベース部20と連結される。具体的には、支持部材30は、Z方向に沿って延在する4本のサスペンションワイヤーで構成される(以下「サスペンションワイヤー30」と称する)。サスペンションワイヤー30の一端(上端)はAF用駆動部10(上側弾性支持部13)に固定され、他端(下端)はベース部20(端子金具211、
図6参照)に固定される。4本のサスペンションワイヤー30のうちの2本は、AF用コイル部112(
図5参照)への給電経路として使用される。なお、サスペンションワイヤー30の本数は、これに限定されず、4本より多くてもよい。
【0022】
図5は、AF用駆動部10の分解斜視図である。
図5に示すように、AF用駆動部10は、AF可動部11、AF固定部12、上側弾性支持部13、下側弾性支持部14等を備える。AF可動部11は、AF固定部12に対して径方向内側に離間して配置され、上側弾性支持部13及び下側弾性支持部14によってAF固定部12と連結される。
【0023】
AF可動部11は、AF用ボイスコイルモーターを構成するコイル部を有し、ピント合わせ時に光軸方向に移動する部分である。AF固定部12は、AF用ボイスコイルモーターを構成するマグネット部を有する部分である。すなわち、レンズ駆動装置1のAF用駆動部10には、ムービングコイル方式が採用されている。
【0024】
AF可動部11は、レンズホルダー111、及びAF用コイル部112を有する。
【0025】
レンズホルダー111は、四角筒形状の部材であり、円筒状のレンズ収容部111aにレンズ部(図示略)が接着又は螺合により固定される。レンズホルダー111は、レンズ収容部111aの周面に、上側フランジ部111b及び下側フランジ部111cを有する。上側フランジ部111bと下側フランジ部111cとで挟まれる部分(以下「コイル巻線部」と称する)に、AF用コイル部112が巻線される。
【0026】
上側フランジ部111bの四隅は、周囲の基準面(上面)より一段凹んで形成される。上側フランジ部111bは、X方向に延びる周縁の略中央に、切欠部111dを有する。上側フランジ部111bは、レンズ収容部111aの上部外周に、Y方向に対向する2つの突出部111eを有する。また、上側フランジ部111bは、レンズ収容部111aの上部外周に、X方向に対向する2つの突出部111fを有する。突出部111e、111fは、上側弾性支持部13を固定するための上バネ固定部となる(以下「上バネ固定部111e」「上バネ固定部111f」と称する)。また、一組の上バネ固定部111eの外側端部は下方(光軸方向結像側)に折曲し、切欠部111dに位置する。
【0027】
下側フランジ部111cの四隅は、周囲の基準面(コイル当接面)より一段凹んで形成される。下側フランジ部111cは、レンズ収容部111aの下部外周に、Y方向に対向する2つの突出部111gを有する。また、下側フランジ部111cは、レンズ収容部111aの下部外周に、X方向に対向する2つの突出部111hを有する。突出部111hの下面と、下側フランジ部111cの四隅の下面とは面一である。突出部111g、111hは、下側弾性支持部14を固定するための下バネ固定部となる(以下「下バネ固定部111g」「下バネ固定部111h」と称する)。
【0028】
AF用コイル部112は、ピント合わせ時に通電される空芯コイルであり、レンズホルダー111のコイル巻線部の外周面に巻線される。AF用コイル部112の両端は、レンズホルダー111の上バネ固定部111e、111eに絡げられる。
【0029】
AF固定部12は、マグネットホルダー121、及びマグネット部122を有する。マグネットホルダー121は、平面視正方形の四角筒形状を有する。マグネットホルダー121は、四隅に、径方向内側に凹んで形成される円弧溝部121aを有する。この円弧溝部121aにサスペンションワイヤー30が配置される。
【0030】
マグネットホルダー121は、上部の四隅に、上側弾性支持部13を固定する上バネ固定部121bを有する。上バネ固定部121bは、径方向内側に張り出して形成され、AF可動部11が光軸方向受光側に移動するときに、レンズホルダー111の四隅に当接することにより、AF可動部11の光軸方向受光側への移動を規制する。マグネットホルダー121は、上部の各辺の略中央に、上方(光軸方向受光側)に突出する突出部121cを有する。
【0031】
マグネットホルダー121の下面121dには、下側弾性支持部14が固定される(以下「下バネ固定部121d」と称する)。マグネットホルダー121は、4つの側壁に、四角形状の開口121eを有する。この開口に、マグネット部122が収容される(以下「マグネット収容部121e」と称する)。
【0032】
マグネット部122は、4つの直方体状の永久磁石122A〜122Dで構成される。永久磁石122A〜122Dは、それぞれマグネットホルダー121のマグネット収容部121eに配置される。永久磁石122A、122BがX方向に対向して配置され、永久磁石122C、122DがY方向に対向して配置される。永久磁石122A〜122Dは、AF用コイル部112に径方向に横切る磁界が形成されるように着磁される。例えば、永久磁石122A〜122Dは、内周側がN極、外周側がS極に着磁される。マグネット部122及びAF用コイル部112によって、AF用ボイスコイルモーターが構成される。
【0033】
上側弾性支持部13は、例えばベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレス等からなる板バネであり、全体として平面視で正方形状を有する。上側弾性支持部13は、AF固定部12に対してAF可動部11を弾性支持する。ここでは、上側弾性支持部13は、点対称に配置される2つの上側板バネ131、132で構成される。上側板バネ131、132は、例えば、一枚の板金を打ち抜いて切断することにより成形される。上側板バネ131、132は同様の構成を有するので、上側板バネ132についての説明は省略する。
【0034】
上側板バネ131は、レンズホルダー固定部131a、131b、マグネットホルダー固定部131c、131d、及びアーム部131e、131fを有する。レンズホルダー固定部131a、131bは、レンズホルダー111のレンズ収容部111aの上面に沿う内縁部131gで連結される。マグネットホルダー固定部131c、131dは、マグネットホルダー121の突出部121cに沿う外縁部131hで連結される。
【0035】
レンズホルダー固定部131a、131bは、レンズホルダー111の上バネ固定部111e、111fに対応する形状を有する。レンズホルダー固定部131a、131bの固定穴131jが、レンズホルダー111の位置決めボス111jに挿嵌されることにより、レンズホルダー111に対して上側板バネ131が位置決めされ、位置決めボス111jに接着剤塗布又は位置決めボス111jを熱かしめすることで固定される。一方のレンズホルダー固定部131aは、レンズホルダー111の上バネ固定部111eに固定され、上バネ固定部111eに絡げられたAF用コイル部112と電気的に接続される。
【0036】
マグネットホルダー固定部131c、131dは、マグネットホルダー121の上バネ固定部121bに対応する形状を有する。マグネットホルダー固定部131c、131dの固定穴131kが、マグネットホルダー121の位置決めボス121kに挿嵌されることにより、マグネットホルダー121に対して上側板バネ131が位置決めされ、位置決めボス121kに接着剤塗布又は位置決めボス121kを熱かしめすることで固定される。また、マグネットホルダー固定部131c、131dの頂角部131iは、サスペンションワイヤー30が接続されるワイヤー接続部となる(以下「ワイヤー接続部131i」と称する)。
【0037】
ワイヤー接続部131iは、マグネットホルダー121の円弧溝部121aの光軸方向受光側に位置する。上側板バネ131をマグネットホルダー121に取り付けた状態において、ワイヤー接続部131iと円弧溝部121aの間には隙間が形成される。この隙間にはダンパー材が配置される。また、ワイヤー接続部131iは、弾性変形しやすい形状を有する。ワイヤー接続部131iとサスペンションワイヤー30との撓みにより、落下時の衝撃が吸収される。したがって、落下衝撃によって、サスペンションワイヤー30が塑性変形したり破断したりするのを効果的に防止できる。
【0038】
アーム部131e、131fは、それぞれレンズホルダー固定部131aとマグネットホルダー固定部131c、レンズホルダー固定部131bとマグネットホルダー固定部131dを連結する。アーム部131e、131fは、つづら折り形状を有し、AF可動部11が移動するときに弾性変形する。
【0039】
下側弾性支持部14は、上側弾性支持部13とほぼ同様の構成を有する。すなわち、下側弾性支持部14は、例えばベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレス等からなる板バネであり、全体として平面視で正方形状を有する。下側弾性支持部14は、AF固定部12に対してAF可動部11を弾性支持する。ここでは、下側弾性支持部14は、点対称に配置される2つの下側板バネ141、142で構成される。下側板バネ141、142は、例えば、一枚の板金を打ち抜いて切断することにより成形される。下側板バネ141、142は同様の構成を有するので、下側板バネ142についての説明は省略する。
【0040】
下側板バネ141は、レンズホルダー固定部141a、141b、マグネットホルダー固定部141c、141d、及びアーム部141e、141fを有する。レンズホルダー固定部141a、141bは、レンズホルダー111のレンズ収容部111aの下面に沿う内縁部141gで連結される。
【0041】
レンズホルダー固定部141a、141bは、レンズホルダー111の下バネ固定部111g、111hに対応する形状を有する。レンズホルダー固定部141a、141bの固定穴141mが、レンズホルダー111の位置決めボス(図示略)に挿嵌されることにより、レンズホルダー111に対して下側板バネ141が位置決めされ、位置決めボスに接着剤塗布又は位置決めボスを熱かしめすることで固定される。AF可動部11が光軸方向に移動するとき、レンズホルダー固定部141a、141bは、AF可動部11とともに変位する。
【0042】
本実施の形態では、レンズホルダー固定部141aは、反射型フォトリフレクタ24(
図6参照)から出射された光を反射する反射板として機能する。下側板バネ141は金属材料で構成されるので、これの一部を反射板として利用できる。これにより、AF可動部11の構成部材とは別部材の反射板をAF可動部11に貼り付ける必要はないので、部品コストが増大することはなく、組立作業が煩雑になることもない。また、AF可動部11の重量も増加しないので、良好な応答感度が確保される。
【0043】
高い反射効率を得るためには、下側板バネ14は、ステンレスで構成されるのが好ましい。また、反射板として機能するレンズホルダー固定部141aの下面(反射型フォトリフレクタ24(
図6参照)と対向する面)には、めっき等の鏡面加工が施されるのが好ましい。これにより、レンズホルダー固定部141aにおける反射効率を高めることができるとともに、表面の酸化や腐食による反射率の変動を防止することができる。なお、反射効率を確保できれば、透明テープや透明な塗料を塗布して表面を保護するようにしてもよい。
【0044】
マグネットホルダー固定部141c、141dは、マグネットホルダー121の下バネ固定部121dに対応する形状を有する。マグネットホルダー固定部141c、141dの固定穴141nが、マグネットホルダー121の位置決めボス(図示略)に挿嵌されることにより、マグネットホルダー121に対して下側板バネ141が位置決めされ、位置決めボスに接着剤塗布又は位置決めボスを熱かしめすることで固定される。
【0045】
アーム部141e、141fは、それぞれレンズホルダー固定部141aとマグネットホルダー固定部141c、レンズホルダー固定部141bとマグネットホルダー固定部141dを連結する。アーム部141e、141fは、つづら折り形状を有し、AF可動部11が移動するときに弾性変形する。
【0046】
AF用駆動部10を組み立てる場合、まず、マグネットホルダー121のマグネット収容部121eにマグネット部122が収容され、上バネ固定部121bに上側弾性支持部13が取り付けられる。次に、レンズホルダー111の下バネ固定部111g、111hに下側板バネ14が取り付けられ、この状態で、レンズホルダー111が光軸方向結像側からマグネットホルダー121に挿嵌される。そして、上側板バネ131、132がレンズホルダー111の上バネ固定部111e、111fに取り付けられる。また、マグネットホルダー121の下バネ固定部121dに下側板バネ14が取り付けられる。
【0047】
上側板バネ131、132のレンズホルダー固定部131a、132aは、それぞれレンズホルダー111の上バネ固定部111e、111eに絡げられたAF用コイル部112の端部に半田付けされ、電気的に接続される。このようにしてAF用駆動部10が組み立てられる。
【0048】
図6は、ベース部20の分解斜視図である。
図6に示すように、ベース部20は、ベース部材21、イメージセンサー基板22、撮像素子23、及び反射型フォトリフレクタ24等を備える。ベース部20は、AF用駆動部10の光軸方向結像側に配置される。ベース部20は、レンズ部(図示略)により結像された被写体像を撮像する撮像部である。
【0049】
ベース部材21は、平面視で正方形状の部材であり、中央に四角形状の開口21aを有する。また、ベース部材21は、反射型フォトリフレクタ24に対応する位置に切欠部213を有する。
【0050】
ベース部材21には、インサート成形により、端子金具211等が埋め込まれる。端子金具211は、一端部がベース部材21の四隅から露出し、他端部(図示略)はベース部材21の下部から露出する。端子金具211の一端部は、サスペンションワイヤー30の他端(下端)と接続され、他端部は、イメージセンサー基板22の電源ライン(図示略)と電気的に接続される。
【0051】
ベース部材21は、周縁部に、カバー取付部212を有する。カバー取付部212は、ベース部材21の基準面(上面)から上方に突出する突出部212aと、基準面から下方に凹む段差部212bを有する。シールドカバー2は、突出部212aによって位置決めされた状態でカバー取付部212に嵌着され、段差部212bに接着される。カバー取付部212には端子金具(図示略)が埋め込まれており、この端子金具を介して、シールドカバー2がイメージセンサー基板22に電気的に接続され、接地される。
【0052】
イメージセンサー基板22は、ベース部材21と同様に平面視で正方形状の基板である。イメージセンサー基板22は、基準面(撮像素子23の実装面)よりも上方に突出し、ベース部材21が接着される枠部221を有する。枠部221によって、撮像素子23及び反射型フォトリフレクタ24を実装するための凹部が形成される。
【0053】
撮像素子23は、イメージセンサー基板22の略中央に実装される。撮像素子23は、例えばCCD(chargecoupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成される。撮像素子23は、レンズ部(図示略)により結像された被写体像を撮像する。
【0054】
反射型フォトリフレクタ24は、イメージセンサー基板22において、下側板バネ14のレンズホルダー固定部141aと対応する位置に実装される。反射型フォトリフレクタ24は、1つの半導体パッケージ内に発光部と受光部を有する光学センサーである。
図7、
図8に示すように、反射型フォトリフレクタ24は、ベース部材21の切欠部213を介してAF可動部11側に臨み、AF可動部11の反射板(ここでは下側板バネ14のレンズホルダー固定部141a)に向けて赤外線を出射する。そして、反射板で反射して受光部に入射する反射光の強度からAF可動部11の位置を検出する。
【0055】
通常、反射型フォトリフレクタを利用して、光軸方向におけるAF可動部11の位置を検出する場合、AF可動部11に対して光軸方向に離間して反射型フォトリフレクタを実装し、AF可動部11に反射板(例えばアルミミラー)を配置する必要がある。本実施の形態ではAF可動部11とともに変位する部材の一部、ここでは下側板バネ14のレンズホルダー固定部141aを、反射型フォトリフレクタ用の反射板として利用するので、新たな部品を配置する必要はない。
【0056】
レンズ駆動装置1を組み立てる場合、まず、サスペンションワイヤー30の一端が、それぞれAF用駆動部10の上側板バネ131のワイヤー接続部131iに挿通され、半田付けにより固定される。次に、サスペンションワイヤー30の他端(下端)が、ベース部材21の端子金具211に挿通され、はんだ付けにより固定される。サスペンションワイヤー30と上側弾性支持部13を介して、AF用コイル部112への給電が行われる。
【0057】
上側弾性支持部13のワイヤー接続部131iとマグネットホルダー121の円弧溝部121aの間に形成される隙間には、サスペンションワイヤー30を囲むように、ダンパー材が配置される。ダンパー材が上側弾性支持部13とマグネットホルダー121との間に介在することとなる。上側弾性支持部13とマグネットホルダー121との間にダンパー材(図示略)を介在させることにより、不要共振(高次の共振モード)の発生が抑制されるので、動作の安定性を確保することができる。ダンパー材は、ディスペンサーを使用して容易に塗布することができる。また、ダンパー材としては、例えば紫外線硬化性のシリコーンゲルを適用できる。
【0058】
レンズ駆動装置1において自動ピント合わせを行う場合には、AF用コイル部112に通電が行われる。AF用コイル部112に通電すると、マグネット部122の磁界とAF用コイル部112に流れる電流との相互作用により、AF用コイル部112にローレンツ力が生じる。ローレンツ力の方向は、磁界の方向(X方向又はY方向)とAF用コイル部112に流れる電流の方向(Y方向又はX方向)に直交する方向(Z方向)である。マグネット部122は固定されているので、AF用コイル部112に反力が働く。この反力がAF用ボイスコイルモーターの駆動力となり、AF用コイル部112を有するAF可動部11が光軸方向に移動し、ピント合わせが行われる。
【0059】
さらに、レンズ駆動装置1においては、反射型フォトリフレクタ24(位置検出部)の検出信号に基づいて、クローズドループ制御が行われる。クローズドループ制御方式によれば、ボイスコイルモーターのヒステリシス特性を考慮する必要がなく、またAF可動部11の位置が安定したことを直接的に検出できる。さらには、像面検出方式の自動ピント合わせにも対応できる。したがって、応答性能が高く、自動ピント合わせ動作の高速化を図ることができる。
【0060】
このように、レンズ駆動装置1は、レンズ部(図示略)の周囲に配置されるAF用コイル部112と、AF用コイル部112に対して径方向に離間して配置されるマグネット部122(AF用マグネット部)とを有し、AF用コイル部112とマグネット部122とで構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して、マグネット部122を含むAF固定部12に対して、AF用コイル部112を含むAF可動部11を光軸方向に移動させることにより自動的にピント合わせを行う。また、レンズ駆動装置1は、AF可動部11に対して光軸方向結像側に離間して配置され、AF可動部11に向けて光を出射するとともに、AF可動部11で反射した反射光を受光して、受光強度に基づいてAF可動部11の光軸方向の位置を検出する反射型フォトリフレクタ24(位置検出部)を備える。下側板バネ14のレンズホルダー固定部141a(AF可動部11とともに変位する部材の一部)が、反射型フォトリフレクタ24から出射された光を反射する反射板として機能する。
【0061】
レンズ駆動装置1によれば、AF可動部11とともに変位する下側板バネ14の一部が反射板として利用されるので、部品コストの増大及び組立作業の煩雑化を招くことなく、反射型フォトリフレクタ24を実装することができる。したがって、反射型フォトリフレクタ24を利用してクローズドループ制御方式で自動ピント合わせを行う場合に極めて有用である。
【0062】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0063】
例えば、レンズホルダー111の特定部位(反射型フォトリフレクタ24に対応する部位)を、反射板として機能させるようにしてもよい。この場合、良好な反射効率を得るために、少なくともレンズホルダー111の特定部位は、白色系(ナチュラル色)の樹脂材料で構成されるのが好ましい。通常、レンズホルダー111は黒色の樹脂材料で構成されるが、二色成形(ダブルモールド)によって特定部位だけを白色系の樹脂材料で構成することもできる。
【0064】
また例えば、レンズ駆動装置1のAF用駆動部10には、AF可動部11にAF用マグネット部が配置され、AF固定部12にAF用コイル部が配置されたムービングマグネット方式を採用してもよい。
【0065】
本発明は、AF機能とともに、撮影時に生じる手振れ(振動)を光学的に補正して画像の乱れを軽減する振れ補正機能(いわゆるOIS機能、OIS:Optical Image Stabilization)を備えたレンズ駆動装置に適用することもできる。
【0066】
実施の形態では、カメラモジュールAを備えるカメラ搭載装置の一例として、カメラ付き携帯端末であるスマートフォンを挙げて説明したが、本発明は、情報機器または輸送機器であるカメラ搭載装置に適用できる。情報機器であるカメラ搭載装置とは、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する制御部を有する情報機器であり、例えばカメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)を含む。また、輸送機器であるカメラ搭載装置とは、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像を処理する制御部を有する輸送機器であり、例えば自動車を含む。
【0067】
図9は、カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Cを示す図である。
図9Aは自動車Cの正面図であり、
図9Bは自動車Cの後方斜視図である。自動車Cは、車載用カメラモジュールVCとして、実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。
図9に示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
【0068】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。