(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
直方体形状を呈しており、第一方向で互いに対向している一対の主面と、前記一対の主面を連結するように前記第一方向に延びていると共に前記第一方向と直交する第二方向で互いに対向している一対の第一側面と、前記一対の主面を連結するように前記第一方向に延びていると共に前記第一及び第二方向に直交する第三方向で互いに対向している一対の第二側面と、を有している素体と、
前記第一方向で互いに対向するように前記素体内に交互に配置された、それぞれ複数の第一及び第二内部電極と、
前記素体に配置され、前記複数の第一内部電極と接続される第一端子電極と、
前記素体に配置され、前記複数の第二内部電極と接続される第二端子電極と、を備え、
前記素体の前記第一方向の長さは、前記素体の前記第二方向の長さ及び前記素体の前記第三方向の長さよりも小さく、
前記第一端子電極は、前記主面に配置されている第一電極部分を有し、
前記第二端子電極は、前記主面に配置されていると共に該主面上において前記第一電極部分と前記第二方向で離間している第二電極部分を有し、
前記第一電極部分及び前記第二電極部分における前記第三方向での中央部の前記第二方向の長さは、前記第一電極部分及び前記第二電極部分における前記第三方向での端部の前記第二方向の長さよりも小さく、
前記第一電極部分及び前記第二電極部分の前記端部の前記第二方向の長さは、前記第一電極部分の前記端部と前記第二電極部分の前記端部との前記第二方向での間隔よりも大きく、
前記第一電極部分及び前記第二電極部分の前記中央部の前記第二方向の長さは、前記第一電極部分の前記中央部と前記第二電極部分の前記中央部との前記第二方向での間隔よりも小さく、
前記第一電極部分と前記第二電極部分とは、前記第二方向で互いに対向する縁をそれぞれ有しており、
前記第一及び第二電極部分の各前記縁は、前記第二方向での前記端部の前記間隔よりも前記第二方向での前記中央部の前記間隔が大きくなるように、前記第一方向から見て、湾曲している、積層コンデンサ。
前記第一端子電極と前記第二端子電極とは、前記素体に形成されていると共にCu又はNiを含んでいる焼付導体層と、前記焼付導体層に形成されていると共にNi又はSnを含んでいる第一めっき層と、前記第一めっき層に形成されていると共にCu又はAuを含んでいる第二めっき層と、をそれぞれ有している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層コンデンサ。
前記素体は、前記複数の第一内部電極と前記複数の第二内部電極とが位置している内層部と、前記内層部を前記第一方向で挟むように位置している一対の外層部と、を有しており、
前記一対の外層部の前記第一方向の厚みは、前記第一電極部分の前記第一方向の厚み及び前記第二電極部分の前記第一方向の厚みよりも小さい、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層コンデンサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、情報端末機器などの電子機器では、小型化及び薄型化が進んでいる。それに伴って、電子機器に搭載される基板や基板に搭載される電子部品においても、小型化が進んでおり、高密度実装化も進んでいる。更なる小型化を図るために、基板内に電子部品が埋め込まれている、電子部品内蔵基板も開発されてきている。電子部品内蔵基板では、基板の内部に電子部品が埋め込まれて実装されている。基板に形成される配線と埋め込まれている電子部品とは、確実に、電気的に接続される必要がある。しかしながら、特許文献1に記載された積層コンデンサでは、基板への埋め込み(基板への内蔵)、及び、基板に形成される配線との電気的な接続については考慮されていない。
【0005】
本発明は、基板に形成される配線との接続性を確保しつつ、表面リークの発生を抑制することが可能な積層コンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る積層コンデンサは、直方体形状を呈しており、第一方向で互いに対向している一対の主面と、一対の主面を連結するように第一方向に延びていると共に第一方向と直交する第二方向で互いに対向している一対の第一側面と、一対の主面を連結するように第一方向に延びていると共に第一及び第二方向に直交する第三方向で互いに対向している一対の第二側面と、を有している素体と、第一方向で互いに対向するように素体内に交互に配置された、それぞれ複数の第一及び第二内部電極と、素体に配置され、複数の第一内部電極と接続される第一端子電極と、素体に配置され、複数の第二内部電極と接続される第二端子電極と、を備え、素体の第一方向の長さは、素体の第二方向の長さ及び素体の第三方向の長さよりも小さく、第一端子電極は、主面に配置されている第一電極部分を有し、第二端子電極は、主面に配置されていると共に当該主面上において第一電極部分と第二方向で離間している第二電極部分を有し、第一電極部分及び第二電極部分における第三方向での中央部の第二方向の長さは、第一電極部分及び第二電極部分における第三方向での端部の第二方向の長さよりも小さく、第一電極部分及び第二電極部分の端部の第二方向の長さは、第一電極部分の端部と第二電極部分の端部との第二方向での間隔よりも大きく、第一電極部分及び第二電極部分の中央部の第二方向の長さは、第一電極部分の中央部と第二電極部分の中央部との第二方向での間隔よりも小さい。
【0007】
本発明に係る積層コンデンサでは、素体の第一方向の長さが、素体の第二方向の長さ及び素体の第三方向の長さよりも小さい。これにより、積層コンデンサの低背化が図られ、基板への内蔵に適した積層コンデンサを実現することができる。第一端子電極は、素体の主面に配置された第一電極部分を有し、第二端子電極は、素体の主面に配置された第二電極部分を有している。したがって、本発明に係る積層コンデンサは、素体の上記主面側において、基板に形成された配線と電気的に接続可能となり、基板への内蔵が容易である。
【0008】
第一電極部分における第三方向での端部の第二方向の長さは、第一電極部分の端部と第二電極部分の端部との第二方向での間隔よりも大きい。第二電極部分における第三方向での端部の第二方向の長さも、第一電極部分の端部と第二電極部分の端部との第二方向での間隔よりも大きい。これらにより、第一電極部分及び第二電極部分の上記端部側の領域において、電極面積が確保される。この結果、基板に形成される配線と第一及び第二端子電極との接続性を確保することができる。
【0009】
第一電極部分における第三方向での中央部の第二方向の長さと、第二電極部分における第三方向での中央部の第二方向の長さは、第一電極部分の中央部と第二電極部分の中央部との第二方向での間隔よりも小さい。すなわち、第一電極部分の中央部と第二電極部分の中央部との第二方向での間隔は、第一電極部分の端部と第二電極部分の端部との第二方向での間隔よりも大きい。これにより、第一電極部分の中央部と第二電極部分の中央部との第二方向での間隔が、第一電極部分の端部と第二電極部分の端部との第二方向での間隔以下である構成に比して、表面リークの発生を抑制することができる。
【0010】
素体の第一方向の長さは、第二方向での第一端子電極と第二端子電極との間隔よりも小さくてもよい。この場合、積層コンデンサの更なる低背化を実現しつつ、基板に形成される配線と第一及び第二端子電極との接続性を確保することができる。
【0011】
素体の第三方向の長さは、素体の第二方向の長さよりも大きく、複数の第一内部電極は、一方の第一側面に露出していると共に第三方向の長さが第二方向の長さよりも大きく、複数の第二内部電極は、他方の第一側面に露出していると共に第三方向の長さが第二方向の長さよりも大きく、第一端子電極は、一方の第一側面に配置されていると共に複数の第一内部電極に接続されている電極部分を更に有し、第二端子電極は、他方の第一側面に配置されていると共に複数の第二内部電極に接続されている電極部分を更に有していてもよい。この場合、積層コンデンサにおける電流経路が短くなり、ESL(等価直列インダクタンス)の低減を図ることができる。
【0012】
第一端子電極と第二端子電極とは、素体に形成されていると共にCu又はNiを含んでいる焼付導体層と、焼付導体層に形成されていると共にNi又はSnを含んでいる第一めっき層と、第一めっき層に形成されていると共にCu又はAuを含んでいる第二めっき層と、をそれぞれ有していてもよい。この場合、第一内部電極は、第一端子電極の焼付導体層と接続されるので、第一内部電極と第一端子電極とが確実に接触する。第二内部電極は、第二端子電極の焼付導体層と接続されるので、第二内部電極と第二端子電極とが確実に接触する。第二めっき層がCu又はAuを含んでいるので、基板に形成される配線と第一及び第二端子電極との接続性を更に確保することができる。第一めっき層は、第二めっき層が形成される工程において、焼付導体層がダメージを受けるのを抑制する。これにより、積層コンデンサの絶縁抵抗が劣化するのを抑制することができる。
【0013】
第二めっき層は、Cuめっき層であって、Cuめっき層の表面には、Cuからなる突起が形成されていてもよい。積層コンデンサは、基板の収容部に配置された後に、収容部に樹脂が充填されることにより、基板に内蔵される。第二めっき層に突起が形成されていると、当該突起により、第二めっき層の表面には凹凸が形成される。第二めっき層に突起が形成されている構成では、突起が形成されていない構成に比して、第二めっき層の表面積が大きく、かつ、上記凹凸により樹脂との噛み合わせがよい。したがって、積層コンデンサが基板に内蔵される際に、第二めっき層と樹脂との密着性を向上することができる。
【0014】
素体は、複数の第一内部電極と複数の第二内部電極とが位置している内層部と、内層部を第一方向で挟むように位置している一対の外層部と、を有しており、一対の外層部の第一方向の厚みは、第一電極部分の第一方向の厚み及び第二電極部分の第一方向の厚みよりも小さくてもよい。この場合、積層コンデンサの更なる低背化を実現することができる。
【0015】
積層コンデンサが基板に内蔵された後に、レーザー加工により、第一端子電極及び第二端子電極に到達するビアホールが基板に形成される。このとき、第一端子電極及び第二端子電極にレーザーが照射され、第一端子電極及び第二端子電極がダメージを受けるおそれがある。第一電極部分の第一方向の厚み及び第二電極部分の第一方向の厚みが各外層部の第一方向の厚みよりも大きいため、レーザーの照射によるダメージの影響を低く抑えることができる。
【0016】
第一電極部分と第二電極部分とは、第二方向で互いに対向する縁をそれぞれ有しており、第一及び第二電極部分の各縁は、第二方向での両端部の間隔よりも第二方向での中央部の間隔が大きくなるように、第一方向から見て、湾曲していてもよい。この場合、第一及び第二電極部分の各縁は、滑らかな形状を呈するので、第一及び第二電極部分には、電界が集中する箇所が生じ難い。このため、第一端子電極と第二端子電極との間でのショートの発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基板に形成される配線との接続性を確保しつつ、表面リークの発生を抑制することが可能な積層コンデンサを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0020】
図1〜
図6を参照して、本実施形態に係る積層コンデンサC1の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
図2及び
図3は、本実施形態に係る積層コンデンサを示す平面図である。
図4は、
図2におけるIV−IV線に沿った断面構成を説明するための図である。
図5は、
図2におけるV−V線に沿った断面構成を説明するための図である。
図6は、
図2におけるVI−VI線に沿った断面構成を説明するための図である。
【0021】
積層コンデンサC1は、
図1〜
図6に示されるように、直方体形状を呈している素体2と、素体2の外表面に配置される第一端子電極5及び第二端子電極7と、を備えている。第一端子電極5と第二端子電極7とは、離間している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。
【0022】
素体2は、その外表面として、互いに対向している略長方形状の一対の主面2a,2bと、互いに対向している一対の第一側面2c,2dと、互いに対向している一対の第二側面2e,2fと、を有している。一対の主面2a,2bが対向している方向が第一方向D1であり、一対の第一側面2c,2dが対向している方向が第二方向D2であり、一対の第二側面2e,2fが対向している方向が第三方向D3である。本実施形態では、第一方向D1は、素体2の高さ方向である。第二方向D2は、素体2の幅方向であり、第一方向D1と直交している。第三方向D3は、素体2の長手方向であり、第一方向D1と第二方向D2とに直交している。
【0023】
素体2の第一方向D1の長さは、素体2の第三方向D3の長さ及び素体2の第二方向D2の長さよりも小さい。素体2の第三方向D3の長さは、素体2の第二方向D2の長さよりも大きい。素体2の第三方向D3の長さは、たとえば、0.4〜1.6mmに設定される。素体2の第二方向D2の長さは、たとえば、0.2〜0.8mmに設定される。素体2の第一方向D1の長さは、たとえば、0.1〜0.35mmに設定される。積層コンデンサC1は、超低背型の積層コンデンサである。素体2の第三方向D3の長さは、素体2の第二方向D2の長さと同等であってもよい。
【0024】
同等とは、等しいことに加えて、予め設定した範囲での微差又は製造誤差などを含んだ値を同等としてもよい。たとえば、複数の値が、当該複数の値の平均値の±5%の範囲内に含まれているのであれば、当該複数の値は同等であると規定する。
【0025】
一対の第一側面2c,2dは、一対の主面2a,2bの間を連結するように第一方向D1に延びている。一対の第一側面2c,2dは、第三方向D3(一対の主面2a,2bの長辺方向)にも延びている。一対の第二側面2e,2fは、一対の主面2a,2bの間を連結するように第一方向D1に延びている。一対の第二側面2e,2fは、第二方向D2(一対の主面2a,2bの短辺方向)にも延びている。
【0026】
素体2は、一対の主面2a,2bが対向している方向(第一方向D1)に複数の誘電体層が積層されて構成されている。素体2では、複数の誘電体層の積層方向(以下、単に「積層方向」と称する。)が第一方向D1と一致する。各誘電体層は、例えば誘電体材料(BaTiO
3系、Ba(Ti,Zr)O
3系、又は(Ba,Ca)TiO
3系などの誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体2では、各誘電体層は、各誘電体層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0027】
積層コンデンサC1は、
図4〜
図6に示されるように、複数の第一内部電極11と、複数の第二内部電極13と、を備えている。第一及び第二内部電極11,13は、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(たとえば、Ni又はCuなど)からなる。第一及び第二内部電極11,13は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0028】
第一内部電極11と第二内部電極13とは、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。すなわち、第一内部電極11と第二内部電極13とは、素体2内において、第一方向D1に間隔を有して対向するように交互に配置されている。第一内部電極11と第二内部電極13とは、互いに極性が異なる。
【0029】
各第一内部電極11は、
図7の(a)に示されるように、主電極部11aと、接続部11bと、を含んでいる。接続部11bは、主電極部11aの一辺から延び、第一側面2cに露出している。第一内部電極11は、第一側面2cに露出し、一対の主面2a,2b、第一側面2d、及び一対の第二側面2e,2fには露出していない。主電極部11aと、接続部11bとは、一体的に形成されている。
【0030】
主電極部11aは、第三方向D3を長辺方向とし、第二方向D2を短辺方向とする矩形形状を呈している。すなわち、各第一内部電極11の主電極部11aは、第三方向D3の長さが第二方向D2の長さよりも大きい。接続部11bは、主電極部11aの第一側面2c側の端部から第一側面2cまで延びている。接続部11bの第三方向D3の長さは、主電極部11aの第三方向D3の長さよりも小さい。接続部11bの第二方向D2の長さも、主電極部11aの第二方向D2の長さよりも小さい。接続部11bは、第一側面2cに露出した端部で、第一端子電極5に接続されている。接続部11bの第三方向D3の長さは、主電極部11aの第三方向D3の長さと同等であってもよい。
【0031】
各第二内部電極13は、
図7の(b)に示されるように、主電極部13aと、接続部13bと、を含んでいる。主電極部13aは、第一方向D1で素体2の一部(誘電体層)を介して主電極部11aと対向している。接続部13bは、主電極部13aの一辺から延び、第一側面2dに露出している。第二内部電極13は、第一側面2dに露出し、一対の主面2a,2b、第一側面2c、及び一対の第二側面2e,2fには露出していない。主電極部13aと、接続部13bとは、一体的に形成されている。
【0032】
主電極部13aは、第三方向D3を長辺方向とし、第二方向D2を短辺方向とする矩形形状を呈している。すなわち、各第二内部電極13の主電極部13aは、第三方向D3の長さが第二方向D2の長さよりも大きい。接続部13bは、主電極部13aの第一側面2d側の端部から第一側面2dまで延びている。接続部13bの第三方向D3の長さは、主電極部13aの第三方向D3の長さよりも小さい。接続部13bの第二方向D2の長さも、主電極部13aの第二方向D2の長さよりも小さい。接続部13bは、第一側面2cに露出した端部で、第二端子電極7に接続されている。接続部13bの第三方向D3の長さは、主電極部13aの第三方向D3の長さと同等であってもよい。
【0033】
素体2は、
図4〜
図6に示されるように、内層部3Aと、一対の外層部3B,3Cとを有している。内層部3Aには、複数の第一内部電極11と、複数の第二内部電極13とが位置している。一対の外層部3B,3Cは、内層部3Aを第一方向D1で挟むように位置している。一対の外層部3B,3Cには、第一内部電極11と第二内部電極13とは位置していない。
【0034】
外層部3Bの第一方向D1の厚みは、主面2aと、当該主面2aに最も近い内部電極(本実施形態では、第一内部電極11)と、の第一方向D1での間隔で規定される。外層部3Cの第一方向D1の厚みは、主面2bと、当該主面2bに最も近い内部電極(本実施形態では、第二内部電極13)と、の第一方向D1での間隔で規定される。内層部3Aの第一方向D1の厚みは、主面2aに最も近い内部電極と、主面2bに最も近い内部電極と、の第一方向D1での間隔で規定される。各外層部3B,3Cの第一方向D1の厚みは、内層部3Aの第一方向D1の厚みよりも小さい。
【0035】
第一端子電極5は、第二方向D2に見て、素体2における第一側面2c側の端部に位置している。第一端子電極5は、主面2aに配置されている電極部分5a、主面2bに配置されている電極部分5b、第一側面2cに配置されている電極部分5c、及び、一対の第二側面2e,2fに配置されている電極部分5dを有している。すなわち、第一端子電極5は、五つの面2a,2b,2c,2e,2fに形成されている。互いに隣り合う電極部分5a〜5d同士は、素体2の稜線部において接続されており、互いに電気的に接続されている。
【0036】
第二端子電極7は、第二方向D2に見て、素体2における第一側面2d側の端部に位置している。第二端子電極7は、主面2aに配置されている電極部分7a、主面2bに配置されている電極部分7b、第一側面2dに配置されている電極部分7c、及び、一対の第二側面2e,2fに配置されている電極部分7dを有している。すなわち、第二端子電極7は、五つの面2a,2b,2d,2e,2fに形成されている。互いに隣り合う電極部分7a〜7d同士は、素体2の稜線部において接続されており、互いに電気的に接続されている。
【0037】
電極部分5cは、各接続部11bの第一側面2cに露出した部分をすべて覆うように配置されており、接続部11bは、第一端子電極5に直接的に接続される。すなわち、接続部11bは、主電極部11aと電極部分5cとを接続している。これにより、各第一内部電極11は、第一端子電極5に電気的に接続される。電極部分7cは、各接続部13bの第一側面2dに露出した部分をすべて覆うように配置されており、接続部13bは、第二端子電極7に直接的に接続される。すなわち、接続部13bは、主電極部13aと電極部分7cとを接続している。これにより、各第二内部電極13は、第二端子電極7に電気的に接続される。
【0038】
主面2aに配置されている電極部分5aと電極部分7aとは、主面2a上において、第二方向D2で離間している。電極部分5aは、第一方向D1から見て、電極部分7aと対向する縁6Aを有している。電極部分7aは、第一方向D1から見て、電極部分5aと対向する縁8Aを有している。すなわち、縁6Aと縁8Aとは、第二方向D2で互いに対向している。
【0039】
主面2bに配置されている電極部分5bと電極部分7bとは、主面2b上において、第二方向D2で離間している。電極部分5bは、第一方向D1から見て、電極部分7bと対向する縁6Bを有している。電極部分7bは、第一方向D1から見て、電極部分5bと対向する縁8Bを有している。すなわち、縁6Bと縁8Bとは、第二方向D2で互いに対向している。
【0040】
各電極部分5a,5bは、
図2及び
図3に示されるように、第三方向D3での各端部における第二方向D2の長さL
51,L
52が、第三方向D3での中央部の第二方向D2の長さL
53よりも大きい。本実施形態では、縁6A,6Bは、長さL
51,L
52が長さL
53よりも大きくなるように、第一方向D1から見て、湾曲している。本実施形態では、長さL
51と長さL
52とは同等である。長さL
51と長さL
52とは異なっていてもよい。
【0041】
本実施形態では、電極部分5aと電極部分5bとは、第一方向D1から見て、同等の形状を呈している。すなわち、電極部分5aの長さL
51は電極部分5bの長さL
51と同等であり、電極部分5aの長さL
52は電極部分5bの長さL
52と同等であり、電極部分5aの長さL
53は電極部分5bの長さL
53と同等である。電極部分5aの長さL
51は、電極部分5bの長さL
51と異なっていてもよい。電極部分5aの長さL
52は、電極部分5bの長さL
52と異なっていてもよい。電極部分5aの長さL
53は、電極部分5bの長さL
53と異なっていてもよい。
【0042】
各電極部分7a,7bは、
図2及び
図3に示されるように、第三方向D3での各端部における第二方向D2の長さL
71,L
72が、第三方向D3での中央部の第二方向D2の長さL
73よりも大きい。本実施形態では、縁8A,8Bは、長さL
71,L
72が長さL
73よりも大きくなるように、第一方向D1から見て、湾曲している。本実施形態では、長さL
71と長さL
72とは同等である。長さL
71と長さL
72とは異なっていてもよい。
【0043】
本実施形態では、電極部分7aと電極部分7bとは、第一方向D1から見て、同等の形状を呈している。すなわち、電極部分7aの長さL
71は電極部分7bの長さL
71と同等であり、電極部分7aの長さL
72は電極部分7bの長さL
72と同等であり、電極部分7aの長さL
73は電極部分7bの長さL
73と同等である。電極部分7aの長さL
71は、電極部分7bの長さL
71と異なっていてもよい。電極部分7aの長さL
72は、電極部分7bの長さL
72と異なっていてもよい。電極部分7aの長さL
73は、電極部分7bの長さL
73と異なっていてもよい。
【0044】
電極部分5a,5bの一方の端部と電極部分7a,7bの一方の端部とは、第一方向D1から見て、第二側面2e側に位置している。電極部分5a,5bの他方の端部と電極部分7a,7bの他方の端部とは、第一方向D1から見て、第二側面2f側に位置している。
【0045】
電極部分5a,5bの一方の端部と電極部分7a,7bの一方の端部との第二方向D2での間隔G
11は、電極部分5a,5bの中央部と電極部分7a,7bの中央部との第二方向D2での間隔G
13よりも小さい。電極部分5a,5bの他方の端部と電極部分7a,7bの他方の端部との第二方向D2での間隔G
12は、間隔G
13よりも小さい。すなわち、縁6Aと縁8Aとは、間隔G
11,G
12よりも間隔G
13が大きくなるように、第一方向D1から見て、湾曲している。縁6Bと縁8Bとは、間隔G
11,G
12よりも間隔G
13が大きくなるように、第一方向D1から見て、湾曲している。
【0046】
電極部分5aの一方の端部と電極部分7aの一方の端部との間隔G
11は、電極部分5bの一方の端部と電極部分7bの一方の端部との間隔G
11と同等でもよく、また、異なっていてもよい。電極部分5aの一方の端部と電極部分7aの一方の端部との間隔G
12は、電極部分5bの一方の端部と電極部分7bの一方の端部との間隔G
12と同等でもよく、また、異なっていてもよい。電極部分5aの一方の端部と電極部分7aの一方の端部との間隔G
13は、電極部分5bの一方の端部と電極部分7bの一方の端部との間隔G
13と同等でもよく、また、異なっていてもよい。
【0047】
長さL
51,L
52,L
53,L
71,L
72,L
73と間隔G
11,G
12,G
13との関係は、次の通りである。長さL
51,L
71は、間隔G
11よりも大きい。長さL
52,L
72は、間隔G
12よりも大きい。長さL
53,L
73は、間隔G
13よりも小さい。
【0048】
第二側面2eに配置されている電極部分5dと電極部分7dとは、第二側面2e上において、第二方向D2で離間している。本実施形態では、電極部分5dの第二方向D2の長さは長さL
51と同等であり、電極部分7dの第二方向D2の長さは長さL
71と同等である。第二側面2eに配置されている電極部分5dと電極部分7dとの第二方向D2での間隔は、間隔G
11と同等である。
【0049】
第二側面2fに配置されている電極部分5dと電極部分7dとは、第二側面2f上において、第二方向D2で離間している。本実施形態では、電極部分5dの第二方向D2の長さは長さL
52と同等であり、電極部分7dの第二方向D2の長さは長さL
72と同等である。第二側面2fに配置されている電極部分5dと電極部分7dとの第二方向D2での間隔は、間隔G
12と同等である。
【0050】
第一及び第二端子電極5,7は、第一電極層21、第二電極層23、及び第三電極層25をそれぞれ有している。すなわち、電極部分5a,5b,5c,5dと電極部分7a,7b,7c,7dとが、第一電極層21、第二電極層23、及び第三電極層25をそれぞれ含んでいる。第三電極層25は、第一及び第二端子電極5,7の最外層を構成している。
【0051】
第一電極層21は、導電性ペーストを素体2の表面に付与して焼き付けることにより形成されている。すなわち、第一電極層21は、焼付導体層である。本実施形態では、第一電極層21は、Cuからなる焼付導体層である。第一電極層21は、Niからなる焼付導体層であってもよい。このように、第一電極層21は、Cu又はNiを含んでいる。導電性ペーストには、Cu又はNiからなる粉末に、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を混合したものが用いられている。第一電極層21の厚みは、たとえば、最大で20μmである。
【0052】
第二電極層23は、第一電極層21上にめっき法により形成されている。本実施形態では、第二電極層23は、第一電極層21上にNiめっきにより形成されたNiめっき層である。第二電極層23は、Snめっき層であってもよい。このように、第二電極層23は、Ni又はSnを含んでいる。第二電極層23の厚みは、たとえば、1〜5μmである。
【0053】
第三電極層25は、第二電極層23上にめっき法により形成されている。本実施形態では、第三電極層25は、第二電極層23上にCuめっきにより形成されたCuめっき層である。第二電極層23は、Auめっき層であってもよい。このように、第三電極層25は、Cu又はAuを含んでいる。第三電極層25の厚みは、たとえば、1〜15μmである。
【0054】
Cuめっき層である第三電極層25の表面には、
図8にも示されるように、複数の突起25aが形成されている。各突起25aは、Cuからなる。各突起25aの直径は10〜30μmであり、各突起25aの高さは1〜10μmである。
【0055】
各電極部分5a,5b,7a,7bの厚みは、当該電極部分5a,5b,7a,7bを構成する第一電極層21、第二電極層23、及び第三電極層25の各厚みの合計値により規定される。各電極部分5a,5b,7a,7bの厚みは、たとえば、5〜40μmである。本実施形態では、各外層部3B,3Cの第一方向D1の厚みは、各電極部分5a,5b,7a,7bの第一方向D1の厚みよりも大きい。
【0056】
以上のように、本実施形態では、素体2の第一方向D1の長さが、素体2の第二方向D2の長さ及び素体2の第三方向D3の長さよりも小さい。これにより、積層コンデンサC1の低背化が図られ、基板への内蔵に適した積層コンデンサを実現することができる。第一端子電極5は、主面2a,2bに配置された電極部分5a,5bを有し、第二端子電極7は、主面2a,2bに配置された電極部分7a,7bを有している。したがって、積層コンデンサC1は、素体2の主面2a側、素体2の主面2b側、又は、素体2の両主面2a,2b側において、基板に形成された配線と電気的に接続可能となり、基板への内蔵が容易である。
【0057】
長さL
51,L
71は間隔G
11よりも大きく、長さL
52,L
72は間隔G
12よりも大きい。これらにより、電極部分5a及び電極部分7aの両端部側の領域において、電極面積が確保される。この結果、基板に形成される配線と第一及び第二端子電極5,7との接続性を確保することができる。この場合、電極部分5a及び電極部分7aの両端部側の領域が、基板に形成される配線と接続されることが好ましい。
【0058】
本実施形態では、電極部分5b及び電極部分7bの両端部側の領域において、電極面積が確保される。したがって、電極部分5b及び電極部分7bの両端部側の領域が、基板に形成される配線と接続される場合でも、基板に形成される配線と第一及び第二端子電極5,7との接続性を確保することができる。
【0059】
長さL
53,L
73は、間隔G
13より小さい。すなわち、間隔G
13は、間隔G
12よりも大きい。これにより、間隔G
13が間隔G
12以下である構成に比して、第一端子電極5と第二端子電極7との第二方向での間隔が大きくなる。したがって、第一端子電極5と第二端子電極7との間でリーク電流が素体2上(特に、主面2a,2b上)を流れ難く、表面リークの発生を抑制することができる。
【0060】
本実施形態では、素体2の第三方向D3の長さは、素体2の第二方向D2の長さよりも大きく、各第一内部電極11は、第三方向D3の長さが第二方向D2の長さよりも大きく、各第二内部電極13は、第三方向D3の長さが第二方向D2の長さよりも大きい。すなわち、素体2の第二方向D2の長さは素体2の第三方向D3の長さよりも小さく、各第一及び第二内部電極11,13は、第二方向D2の長さが第三方向D3の長さよりも小さい。したがって、積層コンデンサC1における電流経路が短くなり、ESLの低減を図ることができる。
【0061】
本実施形態では、第一及び第二端子電極5,7は、第一電極層21、第二電極層23、及び第三電極層25をそれぞれ有している。第一及び第二内部電極11,13は、焼付導体層である第一電極層21と接続されるので、第一及び第二内部電極11,13と第一電極層21とが確実に接触する。第三電極層25がCu又はAuを含んでいるので、基板に形成される配線と第一及び第二端子電極5,7との接続性を更に確保することができる。第二電極層23は、第三電極層25が形成される工程において、第一電極層21がダメージを受けるのを抑制する。これにより、積層コンデンサC1の絶縁抵抗が劣化するのを抑制することができる。
【0062】
第三電極層25は、Cuめっき層であって、第三電極層25の表面には、Cuからなる突起25aが形成されている。積層コンデンサC1は、後述するように、基板の収容部に配置された後に、収容部に樹脂が充填されることにより、基板に内蔵される。第三電極層25に突起25aが形成されていると、突起25aにより、第三電極層25の表面には凹凸が形成される。第三電極層25に突起25aが形成されている構成では、突起25aが形成されていない構成に比して、第三電極層25の表面積が大きく、かつ、上記凹凸により樹脂との噛み合わせがよい。したがって、積層コンデンサC1が基板に内蔵される際に、第三電極層25と樹脂との密着性を向上することができる。
【0063】
本実施形態では、縁6Aと縁8Aとは、間隔G
11,G
12よりも間隔G
13が大きくなるように、第一方向D1から見て、湾曲していると共に、縁6Bと縁8Bとは、間隔G
11,G
12よりも間隔G
13が大きくなるように、第一方向D1から見て、湾曲している。各縁6A,6B,8A,8Bは、滑らかな形状を呈するので、電極部分5a,5b,7a,7bには、電界が集中する箇所が生じ難い。このため、第一端子電極5と第二端子電極7との間でのショートの発生を抑制することができる。
【0064】
積層コンデンサC1は、
図9〜
図11に示されるように、基板31に埋め込まれて実装される。すなわち、積層コンデンサC1は、基板31に内蔵される。
図9〜
図11は、本実施形態に係る積層コンデンサの実装構造を説明するための図である。
【0065】
基板31は、複数の絶縁層33が積層されることにより構成されている。絶縁層33は、セラミック又は樹脂などの絶縁性材料からなり、接着などにより互いに一体化されている。
【0066】
積層コンデンサC1は、基板31に形成された収容部31aに配置されており、収容部31aに充填された樹脂34により、基板31に固定されている。これにより、積層コンデンサC1が、基板31内に埋め込まれる。積層コンデンサC1は、基板31の表面に配置された電極35,37と、ビア導体45,47を通して、電気的に接続されている。すなわち、第一端子電極5(電極部分5a)は、ビア導体45を通して電極35と電気的に接続され、第二端子電極7(電極部分7a)は、ビア導体47を通して電極37と電気的に接続されている。
【0067】
ビア導体45,47は、基板31に形成されたビアホール内に導電性金属(たとえば、Cu又はAuなど)を無電解めっきなどにより成長させることにより、形成される。ビアホールは、レーザー加工により、基板31の表面側から積層コンデンサC1の第一及び第二端子電極5,7の電極部分5a,7aに達するように形成される。
【0068】
第一及び第二端子電極5,7は、上述したように、電極部分5a,7aの両端部側の領域において、電極面積が確保されている。このため、第一及び第二端子電極5,7(電極部分5a,7a)とビア導体45,47とを確実に接続することができる。
【0069】
積層コンデンサC1では、電極部分5a,7aは、めっき層としての第三電極層25と、を有している。したがって、ビアホールに形成されるビア導体45,47と電極部分5a,7aとを確実に接続することができる。特に、ビア導体45,47がめっきにより形成される場合、ビア導体45,47と電極部分5a,7aとが、より一層確実に接続される。
【0070】
次に、
図12〜
図15を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサC2の構成を説明する。
図12は、本変形例に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
図13〜
図15は、本変形例に係る積層コンデンサの断面構成を説明するための図である。
【0071】
積層コンデンサC2も、素体2と、第一端子電極5及び第二端子電極7と、複数の第一内部電極11と、複数の第二内部電極13と、を備えている。
【0072】
積層コンデンサC2は、素体2の第一方向D1の長さ、すなわち素体2の高さ方向の長さが、積層コンデンサC1よりも小さい。本変形例では、素体2の第一方向D1の長さは、第一端子電極5及び第二端子電極7との第二方向D2での間隔よりも小さい。具体的には、素体2の第一方向D1の長さは、間隔G
11,G
12よりも小さい。これにより、本変形例では、積層コンデンサC2の更なる低背化を実現しつつ、基板に形成される配線と第一及び第二端子電極5,7との接続性を確保することができる。
【0073】
各外層部3B,3Cの第一方向D1の厚みは、各電極部分5a,5b,7a,7bの第一方向D1の厚みT
Eよりも小さい。これによっても、本変形例では、積層コンデンサC2の更なる低背化を実現することができる。
【0074】
上述したように、積層コンデンサC2が基板に内蔵された後に、レーザー加工により、第一端子電極5及び第二端子電極7に到達するビアホールが基板に形成される。このとき、第一端子電極5及び第二端子電極7にレーザーが照射され、第一端子電極5及び第二端子電極7がダメージを受けるおそれがある。しかしながら、各電極部分5a,5b,7a,7bの第一方向D1の厚みT
Eが各外層部3B,3Cの第一方向D1の厚みよりも大きいため、レーザーの照射によるダメージの影響を低く抑えることができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0076】
第一及び第二端子電極5,7は、電極部分5a,7aと電極部分5b,7bとを有している必要はない。第一及び第二端子電極5,7は、基板に形成される配線と接続される電極部分として、電極部分5a,7aと電極部分5b,7bとの少なくとも一方の電極部分を有していればよい。
【0077】
図8及び
図9では、積層コンデンサC1が基板31に埋め込まれて実装されているが、積層コンデンサC2が基板31に埋め込まれて実装されていてもよい。